(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024044831
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】接続金具付電線及び接続金具付電線の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01R 4/02 20060101AFI20240326BHJP
H01R 4/04 20060101ALI20240326BHJP
H01R 43/02 20060101ALI20240326BHJP
H02G 1/14 20060101ALI20240326BHJP
H01R 4/18 20060101ALI20240326BHJP
H01M 50/505 20210101ALN20240326BHJP
【FI】
H01R4/02 C
H01R4/04
H01R43/02 B
H02G1/14
H01R4/18 A
H01M50/505
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022150598
(22)【出願日】2022-09-21
(71)【出願人】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】391045897
【氏名又は名称】古河AS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141656
【弁理士】
【氏名又は名称】大田 英司
(74)【代理人】
【識別番号】100182888
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100196357
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 吉章
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 文孝
(72)【発明者】
【氏名】田中 義和
【テーマコード(参考)】
5E051
5E085
5G355
5H043
【Fターム(参考)】
5E051LA01
5E051LA10
5E051LB03
5E085BB02
5E085BB03
5E085BB12
5E085BB14
5E085CC03
5E085DD03
5E085DD05
5E085DD13
5E085EE34
5E085FF01
5E085HH06
5E085HH11
5E085JJ12
5E085JJ36
5G355BA08
5G355BA11
5G355CA15
5H043AA02
5H043CA05
5H043FA04
5H043HA11F
5H043JA02F
5H043JA13F
5H043LA22F
(57)【要約】
【課題】開口を介して容易に電線収容部に挿入された被覆電線における導体と接続金具との接続箇所の損傷を低減できる接続金具付電線及び接続金具付電線の製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】接続金具付電線1は、先端側LFの絶縁被覆12を剥がして導体11を露出させた被覆電線10とバスバー20とが備えられ、バスバー20は、接続対象と接続される接続部21と、導体11が接続される導体接続部23とが設けられ、導体11が導体接続部23に接続された被覆電線10は、導体接続部23から延出され、導体接続部23における被覆電線10が延出する基端側LBに電線収容部30が設けられ、電線収容部30は、上側HUに開口D1を有し、電線収容部30の収容幅は、被覆電線10の外径よりも広く、開口D1の間隔は、被覆電線10の外径よりも短く構成されるとともに、被覆電線10を挿入可能に構成された。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導体を絶縁被覆で被覆し、先端側の前記絶縁被覆を剥がして前記導体を露出させた被覆電線と、
露出する前記導体が接続された接続金具とが備えられ、
前記接続金具は、接続対象と接続される接続部と、前記導体が接続される導体接続部とが設けられ、
前記導体は、前記導体接続部に対して所定方向に沿って配置されるとともに接続され、
前記導体が前記導体接続部に接続された前記被覆電線は、前記導体接続部から延出され、
前記導体接続部における前記被覆電線が延出する側に、前記被覆電線の一部を収容する電線収容部が設けられ、
前記電線収容部は、
前記被覆電線の外径よりも広い収容幅を有するとともに、
前記導体接続部から延出される前記被覆電線の延出方向と交差する交差方向に、前記被覆電線の外径よりも短い間隔の開口を有し、
前記開口を介して前記被覆電線を挿入可能に構成された
接続金具付電線。
【請求項2】
前記電線収容部は、
前記導体接続部における前記被覆電線が延出する側に連続する前記被覆電線の外径よりも幅広な底部と、前記底部の幅方向の両端部分から前記導体接続部に対して前記導体が接続された方向に立設する一対の脚部とで構成され、
前記脚部の先端の間に前記開口が形成される
請求項1に記載の接続金具付電線。
【請求項3】
前記開口の少なくとも一部を塞ぐカバーが備えられた
請求項1又は請求項2に記載の接続金具付電線。
【請求項4】
前記カバーが、前記電線収容部の外周を巻き回したテープである
請求項3に記載の接続金具付電線。
【請求項5】
前記電線収容部に配置された前記被覆電線と前記電線収容部との間に、前記被覆電線と前記電線収容部とを接着する接着層が設けられた
請求項1又は請求項2に記載の接続金具付電線。
【請求項6】
前記電線収容部と、前記電線収容部に挿通された前記被覆電線との間に緩衝材が配置された
請求項1又は請求項2に記載の接続金具付電線。
【請求項7】
前記被覆電線において前記絶縁被覆の前記先端側に露出した前記導体が、前記電線収容部に配置され、
前記脚部の先端同士の間隔は、前記導体の外径よりも短く構成されるとともに、前記導体を挿入可能に構成された
請求項2に記載の接続金具付電線。
【請求項8】
前記導体接続部は、平面板状部分を有し、
前記電線収容部は、前記平面板状部分に対して前記被覆電線が延出する側が傾斜する傾斜姿勢である
請求項1又は請求項2に記載の接続金具付電線。
【請求項9】
前記電線収容部は、
前記導体と前記導体接続部とが接続する方向と反対方向に前記開口を有するとともに、前記導体接続部が配置された側に向かって傾斜する傾斜姿勢である
請求項8に記載の接続金具付電線。
【請求項10】
導体を絶縁被覆で被覆する被覆電線における先端側の前記絶縁被覆を剥がして露出させた前記導体が接続金具に接続された接続金具付電線の製造方法であり、
前記接続金具は、接続対象と接続される接続部と、前記導体が接続される導体接続部とが設けられ、
前記導体接続部には、前記被覆電線の一部を収容する電線収容部が設けられ、
前記電線収容部は、
前記被覆電線の外径よりも広い収容幅を有するとともに、前記導体が前記導体接続部に接続された前記被覆電線が前記導体接続部から延出される延出方向と交差する交差方向に、前記被覆電線の外径よりも短い間隔の開口を有し、
前記開口から前記被覆電線を挿入し、所定方向に沿うように前記導体接続部に対して配置した前記導体を前記導体接続部に接続する
接続金具付電線の製造方法。
【請求項11】
前記電線収容部は、
前記導体接続部における前記被覆電線が延出する側に連続する前記被覆電線の外径よりも幅広な底部と、前記底部の幅方向の両端部分から前記導体接続部に対して前記導体が接続された方向に立設する一対の脚部とで構成され、
前記脚部の先端の間に形成された前記開口から前記被覆電線を挿入する
請求項10に記載の接続金具付電線の製造方法。
【請求項12】
前記導体接続部は、平面板状部分を有し、
前記開口から前記被覆電線を挿入し、
前記平面板状部分に対して前記電線収容部を前記被覆電線が延出する側に傾斜した後に、前記導体接続部に対して前記所定方向に沿って配置した前記導体を接続する
請求項10に記載の接続金具付電線の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、接続端子やバスバーなどの接続金具に被覆電線の先端から露出する導体を溶接などで接続した接続金具付電線及び接続金具付電線の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、接続端子やバスバーなどの接続金具に被覆電線の先端から露出する導体を溶接などで接続した接続金具付電線が様々な分野で用いられている。例えば、特許文献1には、電池モジュールパックに収容される電池に接続されるバスバーと電線とを接続した接続金具付電線が開示されている。
【0003】
このバスバーは、電池に対して接続する接続部と、電池の配置される側と反対側に向けて突出する溶接部が設けられた導体接続部とを有し、溶接部の上に被覆電線から露出する導体を重ねて溶接し、バスバーと電線とを容易に接続して導通させている。
【0004】
ところで、バスバーに接続された延びる被覆電線に外力が作用すると、外力が被覆電線を伝播して導体と導体接続部との接続箇所に力が作用することとなる。この特許文献1の接続金具付電線では、被覆電線に対して、導体接続部に接続された導体が、導体接続部から離間する方向に外力が作用すると、接続箇所が損傷し、導通性が低下するおそれがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこでこの発明は、開口を介して容易に電線収容部に挿入された被覆電線における導体と接続金具との接続箇所の損傷を低減できる接続金具付電線及び接続金具付電線の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、導体を絶縁被覆で被覆し、先端側の前記絶縁被覆を剥がして前記導体を露出させた被覆電線と、露出する前記導体が接続された接続金具とが備えられ、前記接続金具は、接続対象と接続される接続部と、前記導体が接続される導体接続部とが設けられ、前記導体は、前記導体接続部に対して所定方向に沿って配置されるとともに接続され、前記導体が前記導体接続部に接続された前記被覆電線は、前記導体接続部から延出され、前記導体接続部における前記被覆電線が延出する側に、前記被覆電線の一部を収容する電線収容部が設けられ、前記電線収容部は、前記導体接続部から延出される前記被覆電線の延出方向と交差する交差方向に開口を有し、前記電線収容部の収容幅は、前記被覆電線の外径よりも広く、前記開口の間隔は、前記被覆電線の外径よりも短く構成されるとともに、前記被覆電線を挿入可能に構成された接続金具付電線であることを特徴とする。
【0008】
前記接続は、超音波溶接、振動溶接、レーザ溶接などによる溶接、導電性接着剤による接着、あるいはカシメなどによって、導電可能に一体化した状態をいう。
前記電線収容部は、被覆電線を外部から内部へと通過できるとともに、内部から外部への通過を規制できる開口を有していればその形状について特に限定はなく、例えば、延出方向と直交する断面が、円形、楕円形、多角形状の開放断面を含む。なお、開口の設けられた方向は、導体と導体接続部との接続する方向に沿う必要はなく、例えば、導体と導体接続部との接続する方向に直交する方向に設けていてもよい。
【0009】
この発明によると、製造時において開口を介して容易に電線収容部に挿入された被覆電線における導体に対して、接続された導体接続部から離間方向に向けて力が作用することを規制できる。
詳述すると、電線収容部における交差方向に、間隔が被覆電線の外径よりも短く構成されるとともに、被覆電線を挿入可能に構成された開口を有するため、製造時において開口を介して容易に被覆電線を電線収容部に挿入でき、導体接続部における所望の位置に導体を容易に配置させ、導体と導体接続部とを接続できる。
【0010】
一方で、電線収容部に収容された被覆電線に対して、導体が導体接続部から離間する離間方向に向けた外力が作用した場合であっても、被覆電線が電線収容部の内周面と干渉する。このため、電線収容部に収容された被覆電線が離間方向に移動することが規制され、導体接続部と接続された導体に対して離間方向に向けた力が作用することを規制できる。したがって、開口を介して容易に電線収容部に挿入された被覆電線における導体と接続金具との接続箇所の損傷を低減できる。
【0011】
この発明の態様として、前記電線収容部は、前記導体接続部における前記被覆電線が延出する側に連続する前記被覆電線の外径よりも幅広な底部と、前記底部の幅方向の両端部分から前記導体接続部に対して前記導体が接続された方向に立設する一対の脚部とで構成され、前記脚部の先端の間に前記開口が形成されてもよい。
【0012】
この発明によると、脚部が幅方向の内側に向けて傾斜するように底部から立設するため、断面が円形状や矩形状の電線収容部と比べて、電線収容部の内部に配置された被覆電線の幅方向への移動を脚部で規制でき、幅方向に過度に移動することを規制できる。したがって、導体接続部と接続された導体に対して幅方向に沿った意図しない外力が作用することを規制できる。
【0013】
またこの発明の態様として、前記開口の少なくとも一部を塞ぐカバーが備えられてもよい。
前記カバーは、前記電線収容部と一体又は別体である場合を含む。
【0014】
この発明によると、開口の少なくとも一部をカバーで塞ぐため、被覆電線が開口から外部に抜け出すことを確実に規制できる。すなわち、離間方向に向けた外力が被覆電線に作用した場合であっても、被覆電線が電線収容部の内周面及びカバーの少なくとも一方に干渉することとなり、導体接続部と接続された導体に対して離間方向に向けた力が作用することを規制できる。したがって、導体と接続金具との接続箇所の損傷をより確実に低減できる。
【0015】
またこの発明の態様として、前記カバーが、前記電線収容部の外周を巻き回したテープであってもよい。
上述の前記電線収容部の外周を巻き回したとは、前記電線収容部の外周を巻き回した場合や、前記電線収容部の外周とともに、前記電線収容部から延出する前記被覆電線をテープで巻き回した場合を含む。
【0016】
この発明によると、既製品であるテープで電線収容部の外周を巻き回しただけで、容易に開口の少なくとも一部を塞ぐことができる。このため、離間方向に向けた外力が被覆電線に作用した場合であっても、被覆電線が電線収容部の内周面及びカバーの少なくとも一方に干渉することとなり、導体接続部と接続された導体に対して離間方向に向けた外力が作用することを容易かつ確実に規制できる。
【0017】
またこの発明の態様として、前記電線収容部に配置された前記被覆電線と前記電線収容部との間に、前記被覆電線と前記電線収容部とを接着する接着層が設けられてもよい。
前記接着層は、前記被覆電線と前記電線収容部とを化学的に接着したもののみならず、前記被覆電線と前記電線収容部との間の空間に充填し、前記電線収容部の内部において前記被覆電線を固定したり、前記被覆電線の移動を規制したりするような充填剤を含む。
【0018】
この発明により、電線収容部に被覆電線を接着することができるため、離間方向に向けた外力が被覆電線に作用した場合に、被覆電線が離間方向に動くことを規制できる。したがって、導体接続部と接続された導体に対して離間方向に向けた外力が作用し、導体が導体接続部から剥離するなど、導体と接続金具との接続箇所の損傷をより確実に低減できる。
【0019】
また、電線収容部の内部に導体が収容されている場合において、前記接着層を
導電性接着剤とすれば、導体接続部と導体との接続に加え、電線収容部でも導電性を確保できるため、導体と接続金具との導電性を向上させることができる。
【0020】
またこの発明の態様として、前記電線収容部と、前記電線収容部に挿通された前記被覆電線との間に緩衝材が配置されてもよい。
この発明により、被覆電線に外力が作用した際に、緩衝材を介して電線収容部に当接することとなる。このため、被覆電線が電線収容部に当接して損傷することを規制できる。
【0021】
またこの発明の態様として、前記被覆電線において前記絶縁被覆の前記先端側に露出した前記導体が、前記電線収容部に配置され、前記脚部の先端同士の間隔は、前記導体の外径よりも短く構成されるとともに、前記導体を挿入可能に構成されてもよい。
【0022】
この発明によると、電線収容部における交差方向に、間隔が導体の外径よりも短く構成される開口を有するため、電線収容部に収容された導体に対して離間方向に向けた外力が作用した場合であっても、導体が電線収容部の内周面と干渉する。このため、電線収容部に収容された導体が離間方向に移動することが規制され、導体接続部と接続された導体に対して離間方向に向けた力が作用することを規制できる。
【0023】
また、導電性の接着剤などを用いて導体と電線収容部とを固定している場合には、導体と電線収容部とで導通を確保することができる。したがって、被覆電線と接続金具との導通性をより確実に確保できる。
【0024】
またこの発明の態様として、前記導体接続部は、平面板状部分を有し、前記電線収容部は、前記平面板状部分に対して前記被覆電線が延出する側が傾斜する傾斜姿勢であってもよい。
この発明によると、電線収容部が平面板状部分に対して傾斜するため、導体接続部から延出する被覆電線に曲げが生じ、導体接続部と導体との接続箇所に作用する力の影響を低下させることができる。
【0025】
またこの発明の態様として、前記電線収容部は、前記導体と前記導体接続部とが接続する方向と反対方向に前記開口を有するとともに、前記導体接続部が配置された側に向かって傾斜する傾斜姿勢であってもよい。
この発明によると、電線収容部は、導体接続部が配置された側に向かって傾斜しているため、導体と導体接続部とが接続する方向と反対方向、すなわち、離間方向に対して作用した外力が、電線収容部に対して分散される。より確実に被覆電線が電線収容部から抜けることを規制できる。
【0026】
またこの発明は、導体を絶縁被覆で被覆する被覆電線における先端側の前記絶縁被覆を剥がして露出させた前記導体が接続金具に接続された接続金具付電線の製造方法であり、前記接続金具は、接続対象と接続される接続部と、前記導体が接続される導体接続部とが設けられ、前記導体接続部には、前記被覆電線の一部を収容する電線収容部が設けられ、前記電線収容部は、収容幅が前記被覆電線の外径よりも広く、前記導体接続部に対して前記導体が接続された前記被覆電線が前記導体接続部から延出する延出方向と交差する交差方向に、前記被覆電線の外径よりも短い幅の開口を有し、前記開口から前記被覆電線を挿入し、所定方向に沿うように前記導体接続部に対して配置した前記導体を前記導体接続部に接続することを特徴とする。
【0027】
この発明によると、電線収容部に収容された被覆電線に対して、離間方向に向けた外力が作用した場合であっても、電線収容部に収容された被覆電線が電線収容部の内周面と干渉して離間方向に移動することが規制し、離間方向に向けた力が導体と導体接続部との接続箇所作用することを規制できる接続金具付電線を容易に製造することができる。
【0028】
また、開口を介して被覆電線を電線収容部に配置することで、導体接続部と接続される導体が電線収容部と干渉するおそれがなく、容易に接続金具付電線を製造できるとともに、接続金具付電線の生産性を向上させることができる。
【0029】
さらにまた、電線収容部は、収容幅が前記被覆電線の外径よりも広く構成されていることから、開口を介して被覆電線を電線収容部に挿入させた後でも、被覆電線を所定方向に移動させることができる。したがって、所定方向に沿って導体の位置調整が容易にでき、導体接続部における所望の位置に導体を配置させることができ、接続金具付電線の製品のバラツキを抑えることができる。
【0030】
またこの発明の態様として、前記電線収容部は、前記導体接続部における前記被覆電線が延出する側に連続する前記被覆電線の外径よりも幅広な底部と、前記底部の幅方向の両端部分から前記導体接続部に対して前記導体が接続された方向に立設する一対の脚部とで構成され、前記脚部の先端の間に形成された前記開口から前記被覆電線を挿入してもよい。
【0031】
この発明によると、導体接続部に導体を接続させる方向と、開口に対して被覆電線を挿入する方向が一致するため、導体接続部における所望の位置に導体が配置されるように、被覆電線を開口から導体接続部に対して挿入することができる。また、電線収容部の内部に配置された被覆電線の幅方向への移動を脚部で規制できるため、導体接続部の幅方向に対する導体の過度な位置ずれも規制できる。
【0032】
またこの発明の態様として、前記導体接続部は、平面板状部分を有し、前記開口から前記被覆電線を挿入し、前記平面板状部分に対して前記電線収容部を前記被覆電線が延出する側に傾斜した後に、前記導体接続部に対して前記所定方向に沿って配置した前記導体を接続してもよい。
【0033】
この発明によると、電線収容部が平面板状部分に対して傾斜するため、導体接続部から延出する被覆電線に曲げが生じ、導体接続部と導体との接続箇所に作用する外力の影響を低下させることができる接続金具付電線を製造できる。
【発明の効果】
【0034】
この発明によれば、開口を介して容易に電線収容部に挿入された被覆電線における導体と接続金具との接続箇所の損傷を低減できる接続金具付電線及び接続金具付電線の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図3】接続金具付電線の製造方法についての説明図。
【
図9】接続金具付電線の変形例の製造方法についての説明図。
【
図14】接続金具付電線の変形例の製造方法についての説明図。
【
図18】接続金具付電線の変形例の製造方法についての説明図。
【発明を実施するための形態】
【0036】
この発明の一実施形態を以下図面とともに説明する。
まず、バスバー20に被覆電線10が接続された接続金具付電線1について、
図1乃至
図3を用いて説明する。
【0037】
図1及び
図2は接続金具付電線1の説明図を示し、
図3は接続金具付電線1の製造方法についての説明図を示す。
詳述すると、
図1(a)は接続金具付電線1の先端側LF及び上側HUからの概略斜視図を示し、
図1(b)は
図2(a)に示すA-A矢視断面図を示す。
図2(a)は接続金具付電線1の平面図を示し、
図2(b)は
図2(a)に示すB-B矢視断面図を示している。
【0038】
図3(a)はバスバー20に対して被覆電線10を配置した状態の概略斜視図を示し、
図3(b)はバスバー20の電線収容部30に被覆電線10を収容した状態の概略斜視図を示し、
図3(c)は導体11を導体接続部23に接合した接続金具付電線1の概略斜視図を示す。ここで、
図3は接続金具付電線1の先端側LF及び上側HUから視た概略斜視図を示している。
【0039】
なお、
図2における左右方向を長手方向Lとし、
図2(a)における上下方向を幅方向Wとし、
図2(b)における上下方向を高さ方向Hとしている。さらに、長手方向Lにおいて
図2における左側を先端側LFとし、
図2における右側を基端側LBとしている。また、幅方向Wにおいて
図2(a)における上側を左側WLとし、
図2(a)における下側を右側WRとし、高さ方向Hにおいて
図2(b)における上側を上側HUとし、
図2(b)における下側を下側HDとしている。
【0040】
接続金具付電線1は、導体11が絶縁被覆12で被覆された被覆電線10と、接続金具であるバスバー20とが、物理的にも電気的にも接続されて構成されている。
被覆電線10は、中心に配置された導体11と、導体11の外側を覆う絶縁被覆12とで構成されている。被覆電線10の先端側LFにおいて、絶縁被覆12の一部を剥がして、導体11が露出している。ここで、被覆電線10の長手方向Lにおいて、先端側LFで導体11が露出する部分を導体露出部分101とし、絶縁被覆12が導体11を覆っている部分を被覆部分102としている。
【0041】
なお、被覆電線10は、複数本の電線を束ねて構成したワイヤーハーネスにおける幹線や幹線から分岐した枝線のうちのいずれかであってもよい。また、被覆電線10は信号線、電力線あるいはアース線であってもよい。
【0042】
バスバー20は、先端側LFから基端側LBに向かって、接続対象と接続される接続部21と、中間部22と、被覆電線10の導体11が接続される導体接続部23とがこの順で設けられ、適当な幅方向Wの長さを有する導電性の板材を折り曲げて構成されている。
【0043】
接続部21及び導体接続部23は略同型状の平面板状に形成されている。すなわち、接続部21及び導体接続部23の主面の法線方向は、ともに高さ方向Hである。中間部22は、接続部21の基端側LBの端部と導体接続部23の先端側LFの端部を高さ方向Hに連結するように形成され、バスバー20は階段状に形成されている。なお、接続部21に接続される接続対象は、接続部21の下側HDに配置される。
【0044】
導体接続部23の基端側LBの端部における幅方向Wの中央には、基端側LBに向かって延出された電線収容部30が設けられている。
電線収容部30は、内部に被覆電線10を挿通可能な挿通空間30Xを有する。この電線収容部30は、
図1乃至
図3に示すように、導体接続部23の基端側LBの端部における幅方向Wの中央から基端側LBに向かって延出された底部31と、底部31の両端から上側HUに向けて立設する一対の脚部32とで構成されている。
【0045】
底部31は、
図1(b)に示すように、被覆電線10の外径よりも幅広である。より詳しくは、底部31の幅方向Wの長さは、被覆電線10の外径のおよそ1.5倍である。
脚部32は、底部31の幅方向Wの両端から幅方向Wの内側かつ上側HUに向けて立設している。すなわち、脚部32は、長手方向Lから視て、底部31の幅方向Wの両端から幅方向Wの内側に傾いて延設している。
【0046】
このように構成された一対の脚部32における先端同士の間には、絶縁被覆12の外径よりも短く、導体11の外径よりわずかに長い間隔の開口D1が設けられており、開口D1を介して被覆電線10を電線収容部30の内部に収容することができる。なお、電線収容部30に収容された被覆電線10は、
図1(b)に示すように、電線収容部30に挟持されておらず、電線収容部30の内部で移動することができる。
また、電線収容部30における基端側LBの内周側の角部には、
図2(b)のa部拡大図に示すように、断面円弧状に面取りした面取部30Yを設けている。
【0047】
このように形成されたバスバー20における電線収容部30に対して被覆電線10が挿入され、被覆電線10における導体露出部分101の導体11が、導体接続部23において長手方向Lに沿って配置されるとともに、導体接続部23と導体11とが溶接されて溶接部40が形成されている。なお、
図1及び
図2に図示するように、導体露出部分101と、溶接によって形成される溶接部40とは溶接熱で一体化するが、本明細書では、溶接された一体化された導体露出部分101と溶接部40として記載している。
【0048】
このようにして、長手方向Lに延びる溶接部40によって、導体接続部23と導体11が電気的且つ物理的に接続された、つまりバスバー20と被覆電線10とが電気的且つ物理的に接続された接続金具付電線1を構成している。
なお、導体接続部23に対して導体11を溶接して溶接部40を形成する溶接方法としては、超音波溶接、振動溶接、あるいはレーザ溶接などの適宜の溶接方法で溶接すればよい。
【0049】
続いて、接続金具付電線1の製造方法について、
図3とともに説明する。
被覆電線10における先端側LFの所定長さ分の絶縁被覆12を剥がして、導体11を露出する導体露出部分101を形成し、
図3(a)に示すように、バスバー20の上側HUに被覆電線10を配置する。より具体的には、導体接続部23に対して導体露出部分101が対応するとともに、開口D1に沿って被覆部分102が対応するように、バスバー20の上側HUに被覆電線10を配置する。
【0050】
次に、電線収容部30の上側HUから開口D1を介して被覆部分102を挿入し、
図3(b)に示すように、バスバー20の導体接続部23において、導体露出部分101において露出する導体11を長手方向Lに沿って配置する。電線収容部30に挿入された被覆部分102は、電線収容部30によって挟持されていないため、導体接続部23に対して導体11(導体露出部分101)を容易に位置調整できる。そして、導体接続部23の上面と、長手方向Lに沿って配置した導体11との境界部分を長手方向Lに溶接して接続金具付電線1が完成する(
図3(c)参照)。
【0051】
なお、底部31に被覆電線10が配置された状態において、被覆電線10の高さ方向Hの中央、すなわち、被覆電線10の幅方向Wの長さが最も長い箇所において、一対の脚部32と絶縁被覆12の間には隙間がある。すなわち、電線収容部30は、底部31に絶縁被覆12が配置された状態において、絶縁被覆12の幅方向Wの長さが最も長い箇所に対応する箇所における幅(収容幅)が、絶縁被覆12(被覆電線10)の外径よりも長くなるように構成されている。
【0052】
このように構成された接続金具付電線1において、電線収容部30の内部の挿通空間30Xには、被覆電線10の被覆部分102の一部が挿通されているものの、挿通する被覆部分102は電線収容部30によって拘束されていない。
【0053】
また、溶接部40は、長手方向Lに沿って形成されているため、基端側LBに向かう外力に対する抗力は高いものの、導体11が導体接続部23から離れる上側HUや、導体接続部23の上面に沿った幅方向W、あるいは上側HU且つ幅方向Wの斜め方向の外力が溶接部40に作用すると、溶接部40の長手方向Lの端部から剥がれたり、損傷したりするおそれがある。
【0054】
例えば、電線収容部30より基端側LBの被覆電線10に
図1や
図2において破線及び破線矢印で示すように、長手方向Lと交差する上側HU、より正確には斜め上方側(基端側LB及び上側HU)に外力F1が作用する。このように被覆電線10に外力F1が作用すると、当該外力F1は被覆電線10を伝播し、導体接続部23と導体11とを溶接した溶接部40に力が作用することになる。
【0055】
しかしながら、接続金具付電線1は、電線収容部30の挿通空間30Xに被覆電線10の被覆部分102が挿通しているため、外力F1が電線収容部30より基端側LBの被覆電線10に作用すると、外力F1が作用する方向に被覆電線10は変形し、電線収容部30の内周面に被覆電線10が当接することとなり、上側HUの力が溶接部40に伝搬することを規制できる。
【0056】
より詳しくは、被覆電線10に外力F1が作用することにより、電線収容部30の基端側LBの端部と被覆電線10との当接箇所を支点として、外力F1は方向転換し、電線収容部30の基端側LBの端部より先端側LFの被覆電線10に基端側LBに向かう変換外力F2として作用する。そして、変換外力F2は、基端側LBの端部より先端側LFの被覆電線10を伝播し、溶接部40に対して基端側LBに向かう変換外力F2として作用する。上述したように、長手方向Lに沿って延びる溶接部40は長手方向Lの外力に対して高い抗力を有するため、基端側LBに向かう変換外力F2が溶接部40に作用しても、溶接部40は損傷することなく、接続状態を維持することができる。
【0057】
また、電線収容部30の基端側LBの端部と被覆電線10との当接箇所であって支点となる、電線収容部30における基端側LBの内面側の角部には、
図2(b)のa部拡大図に示すように、断面円弧状に面取りした面取部30Yを設けている。そのため、電線収容部30より基端側LBの被覆電線10に長手方向Lと異なる方向の外力F1が作用し、被覆電線10との当接箇所が支点となっても、電線収容部30の角部が被覆電線10の絶縁被覆12を損傷することを規制できる。なお、面取部30Yは断面円弧状でなく、テーパー状の面取り部であってもよい。
【0058】
このように構成された接続金具付電線1は、導体11を絶縁被覆12で被覆し、先端側LFの絶縁被覆12を剥がして導体11を露出させた被覆電線10と、露出する導体11が接続されたバスバー20とが備えられている。バスバー20は、接続対象と接続される接続部21と、導体11が接続される導体接続部23とが設けられ、導体11は、導体接続部23に対して長手方向Lに沿って配置されるとともに接続されている。導体11が導体接続部23に接続された被覆電線10は、導体接続部23から延出され、導体接続部23における被覆電線10が延出する側である基端側LBに、被覆電線10の一部を収容する電線収容部30が設けられている。電線収容部30は、導体接続部23から延出される被覆電線10の長手方向Lと交差する上側HUに開口D1を有し、電線収容部30の収容幅は、被覆電線10の外径よりも広く、開口D1の間隔は、被覆電線10の外径よりも短く構成されるとともに、被覆電線10を挿入可能に構成されている。
【0059】
この接続金具付電線1は、製造時において開口D1を介して容易に被覆電線10を電線収容部30に挿入できるとともに、導体接続部23と接続された導体11に対して上側HUに向けた力が作用することを規制できる。
詳述すると、電線収容部30における上側HUに、間隔が被覆電線10の外径よりも短く構成されるとともに、被覆電線10を挿入可能に構成された開口D1を有するため、製造時において、基端側LBから電線を挿通空間30Xに通す場合と比べて、開口D1を介して容易に被覆電線10を電線収容部30に挿入でき、導体接続部23における所望の位置に導体11を容易に配置させ、導体11と導体接続部23とを接続できる。
【0060】
一方で、電線収容部30に収容された被覆電線10に対して、導体11が導体接続部23から離間する上側HUに向けた外力F1が作用した場合であっても、被覆電線10が電線収容部30の内周面と干渉する。このため、電線収容部30に収容された被覆電線10が上側HUに移動することが規制され、導体接続部23と接続された導体11に対して上側HUに向けた力が作用することを規制できる。したがって、開口D1を介して容易に電線収容部30に挿入された被覆電線10における導体11とバスバー20との接続箇所の損傷を低減できる。
【0061】
また、電線収容部30は、導体接続部23における被覆電線10が延出する側に連続する被覆電線10の外径よりも幅広な底部31と、底部31の幅方向Wの両端部分から導体接続部23に対して導体11が接続された方向に立設する一対の脚部32とで構成され、脚部32の先端の間に開口D1が形成されている。
【0062】
これにより、脚部32が幅方向Wの内側に向けて傾斜するように底部31から立設するため、断面が円形状や矩形状の電線収容部30と比べて、電線収容部30の内部に配置された被覆電線10の幅方向Wへの移動を脚部32で規制でき、幅方向Wに過度に移動することを規制できる。したがって、導体接続部23と接続された導体11に対して幅方向Wに沿った意図しない力が作用することを規制できる。
【0063】
また、導体11を絶縁被覆12で被覆する被覆電線10における先端側LFの絶縁被覆12を剥がして露出させた導体11がバスバー20に接続された接続金具付電線1の製造方法は、バスバー20は、接続対象と接続される接続部21と、導体11が接続される導体接続部23とが設けられ、導体接続部23には、被覆電線10の一部を収容する電線収容部30が設けられ、電線収容部30は、収容幅が被覆電線10の外径よりも広く、導体接続部23に対して導体11が接続された被覆電線10が導体接続部23から延出する長手方向Lと交差する上側HUに、被覆電線10の外径よりも短い幅の開口D1を有し、開口D1から被覆電線10を挿入し、長手方向Lに沿うように導体接続部23に対して配置した導体11を導体接続部23に接続する方法である。
【0064】
これにより、電線収容部30に収容された被覆電線10に対して、上側HUに向けた外力F1が作用した場合であっても、電線収容部30に収容された被覆電線10が電線収容部30の内周面と干渉して上側HUに移動することが規制し、上側HUに向けた外力が導体11と導体接続部23との接続箇所作用することを規制できる接続金具付電線1を容易に製造することができる。
【0065】
また、開口D1を介して被覆電線10を電線収容部30に配置することで、導体接続部23と接続される導体11が電線収容部30と干渉するおそれがなく、容易に接続金具付電線1を製造できるとともに、接続金具付電線1の生産性を向上させることができる。
【0066】
さらにまた、電線収容部30は、収容幅が被覆電線10の外径よりも広く構成されていることから、開口D1を介して被覆電線10を電線収容部30に挿入させた後でも、被覆電線10を長手方向Lに移動させることができる。したがって、長手方向Lに沿って導体11の位置調整が容易にでき、導体接続部23における所望の位置に導体11を配置させることができ、接続金具付電線1の製品のバラツキを抑えることができる。
【0067】
また、電線収容部30は、導体接続部23における被覆電線10が延出する側に連続する被覆電線10の外径よりも幅広な底部31と、底部31の幅方向Wの両端部分から導体接続部23に対して導体11が接続された方向に立設する一対の脚部32とで構成され、脚部32の先端の間に形成された開口D1から被覆電線10を挿入する。
【0068】
これにより、導体接続部23に導体11を接続させる方向である高さ方向Hと、開口D1に対して被覆電線10を挿入する方向が一致するため、導体接続部23における所望の位置に導体11が配置されるように、被覆電線10を開口D1から導体接続部23に対して挿入することができる。また、電線収容部30の内部に配置された被覆電線10の幅方向Wへの移動を脚部32で規制できるため、導体接続部23の幅方向Wに対する導体11の過度な位置ずれも規制できる。
【0069】
なお、上述の接続金具付電線1における電線収容部30は、
図1(b)に示すように、上側HUに開口D1を有する断面略三角形状になるように曲げ加工されていたが、例えば、
図4に示すように、上側HUに開口D1を有する断面略円形状になるように曲げ加工してもよい。また、丸めた板材の開口D1が上側HUでなく(
図4(b)参照)、幅方向Wのいずれかなど、適宜の方向で対向するように形成してもよい(
図4(c)参照)。なお、電線収容部30の長手方向Lと直交する断面は、円形や三角形状の開放断面の他、楕円形や他の四角形や五角形などの多角形状の開放断面であってもよい。
【0070】
これらの場合であっても、上述の接続金具付電線1と同様に、製造時において開口D1を介して容易に被覆電線10を電線収容部30に挿入できるとともに、導体接続部23と接続された導体11に対して上側HUに向けた力が作用することを規制できるといった効果を奏することができる。
【0071】
また、上述の接続金具付電線1では、バスバー20における導体接続部23に対して電線収容部30が基端側LBに向かって延伸されたが、
図5(b)に示すように、導体接続部23に対して傾斜する傾斜電線収容部30aであってもよい。導体接続部23に対して傾斜電線収容部30aが傾斜する接続金具付電線1aについて
図5及び
図6とともに説明する。
【0072】
図5及び
図6は接続金具付電線1の変形例である接続金具付電線1aの説明図を示している。
詳しくは、
図5(a)は上述したように接続金具付電線1の基端側LBからの概略斜視図を示し、
図5(b)は導体接続部23に対して傾斜電線収容部30aが傾斜した接続金具付電線1aの基端側LBからの概略斜視図を示している。
図6(a)は接続金具付電線1の
図2(a)に示すB-B矢視断面図を示し、
図6(b)は接続金具付電線1aの同断面位置の断面図を示している。
なお、以下の接続金具付電線1aの説明において、上述の接続金具付電線1と同じ構成については同じ符号を付してその説明を省略する。
【0073】
導体接続部23の基端側LBの端部に接続された電線収容部30が基端側LBに向かって延びる接続金具付電線1と異なり、接続金具付電線1aは、導体接続部23の基端側LB端部に接続された傾斜電線収容部30aが、基端側LBに向かって上側HUとなる上向きに傾斜する傾斜姿勢である。傾斜電線収容部30aが傾斜姿勢であること以外、上述の電線収容部30と同じ構成であるため、その説明を省略する。
【0074】
傾斜電線収容部30aが傾斜姿勢である接続金具付電線1aは、被覆電線10を開口D1から挿入して、導体露出部分101の導体11を導体接続部23に対して長手方向Lに沿って配置したのちに、電線収容部30の基端側LBの端部を上側HUに上げるように傾斜させ、導体露出部分101と導体接続部23とを溶接することで製造される。
【0075】
なお、接続金具付電線1における電線収容部30の基端側LBの端部を下側HDに下げるように傾斜させることで製造してもよいし、バスバー20において、導体接続部23に対して電線収容部30を傾斜させた後に、被覆電線10を開口D1から挿入し、導体露出部分101の導体11を導体接続部23に対して長手方向Lに沿って配置し、溶接して溶接部40を形成して接続金具付電線1aを製造してもよい。
【0076】
このように構成した接続金具付電線1aは、上述の接続金具付電線1が奏する効果と同等の効果を奏する。具体的には、傾斜電線収容部30aより基端側LBの被覆電線10に外力F1が作用しても、傾斜電線収容部30aの基端側LBの端部に被覆電線10が当接して、被覆電線10に作用する外力F1を変換し、導体接続部23に導体11を溶接する溶接部40に基端側LBに向かう変換外力F2として作用させることができ、溶接部40は損傷することなく、接続状態を維持することができる。
【0077】
また、接続金具付電線1aにおいて、傾斜電線収容部30aが、平面状の導体接続部23に対して基端側LBが上側HUに傾斜する傾斜姿勢であるため、
図6(b)に示すように、導体接続部23から延出する被覆電線10に曲げが生じ、導体接続部23と導体11との溶接部40に作用する外力の影響を低下させることができる。
【0078】
さらにまた、傾斜電線収容部30aの基端側LBの端部と被覆電線10との当接箇所であって支点となる、傾斜電線収容部30aにおける基端側LBの内面側端部の角部に断面円弧状に面取りした面取部30Yを設けているため、傾斜電線収容部30aより基端側LBの被覆電線10に長手方向Lと異なる方向の外力F1が作用し、被覆電線10との当接箇所が支点となっても、傾斜電線収容部30aの角部が被覆電線10の絶縁被覆12を損傷することを規制できる。なお、面取部30Yは断面円弧状でなく、テーパー状の面取り部であってもよい。
【0079】
なお、上述の接続金具付電線1aの説明では、接続金具付電線1aにおける傾斜電線収容部30aは、基端側LBに向かって上側HUとなる上向きに傾斜する傾斜姿勢であったが、幅方向Wのいずれか、下側HD、あるいは高さ方向H且つ幅方向Wの斜め方向に傾斜する傾斜姿勢であってもよい。さらには、傾斜電線収容部30aにおける長手方向Lの途中部分で傾斜方向が変わるように構成してもよい。
【0080】
また、傾斜電線収容部30aは、導体11と導体接続部23とが接続する方向と反対方向に開口D1を有するとともに、導体接続部23が配置された側(上側HU)に向かって傾斜する傾斜姿勢であることにより、導体11と導体接続部23とが接続する方向と反対方向、すなわち、上側HUに対して作用した外力F1が、電線収容部30に対して分散される。より確実に被覆電線10が傾斜電線収容部30aから抜けることを規制できる。
【0081】
また、開口D1から被覆電線10を挿入し、平面板状部分に対して電線収容部30を被覆電線10が延出する側に傾斜した後に、導体接続部23に対して長手方向Lに沿って配置した導体11を接続する。
【0082】
これにより、傾斜電線収容部30aが平面板状部分に対して傾斜するため、導体接続部23から延出する被覆電線10に曲げが生じ、導体接続部23と導体11との溶接部40に作用する力の影響を低下させることができる接続金具付電線1を製造できる。
【0083】
また、平面板状部分に対して電線収容部30を被覆電線10が延出する側に傾斜した後に、導体接続部23に対して長手方向Lに沿って配置した導体11を接続することで、製造過程において、傾斜させることによる力が溶接部40に対して作用することを防止できるため、より導体11とバスバー20との溶接部40の損傷を低減できる。
【0084】
さらにまた、上述の接続金具付電線1,1aでは、電線収容部30や傾斜電線収容部30aに被覆電線10における被覆部分102が挿通されたが、
図7乃至
図9に示すように、被覆電線10における導体露出部分101が電線収容部30に挿通されてもよい。電線収容部30に導体露出部分101が挿通された接続金具付電線1bについて
図7乃至
図9とともに説明する。
【0085】
図7乃至
図9は接続金具付電線1のさらなる変形例である接続金具付電線1bの説明図を示す。
図7(a)は接続金具付電線1bの先端側LF及び上側HUからの概略斜視図を示し、
図7(b)は
図8(a)に示すA-A矢視断面図を示す。
図8(a)は接続金具付電線1bの平面図を示し、
図8(b)は
図8(a)に示すB-B矢視断面図を示している。
【0086】
図9(a)はバスバー20に対して被覆電線10を配置した状態の概略斜視図を示し、
図9(b)はバスバー20の電線収容部30に被覆電線10を収容した状態の概略斜視図を示し、
図9(c)は導体11を導体接続部23に接合した接続金具付電線1bの概略斜視図を示す。ここで、
図9は接続金具付電線1の先端側LF及び上側HUから視た概略斜視図を示している。
なお、以下の接続金具付電線1bの説明において、上述の接続金具付電線1と同じ構成については同じ符号を付してその説明を省略する。
【0087】
被覆電線10の被覆部分102が電線収容部30の挿通空間30Xに挿通された上述の接続金具付電線1と異なり、絶縁被覆12が剥がれて導体11が露出した導体露出部分101が電線収容部30の挿通空間30Xを挿通している。
より詳しくは、接続金具付電線1bは、被覆部分102の導体11に緩衝材50を装着して電線収容部30の挿通空間30Xに挿通している。
【0088】
緩衝材50は、スポンジ、ゴム、布帛など適宜の緩衝作用を有する素材で構成され、導体11の外径と略等しい内径と、絶縁被覆12の外径と略等しい径を有し、かつ、電線収容部30の長手方向Lの長さより長い円環柱状に形成している。
上述のような緩衝材50を導体11に装着して開口D1から電線収容部30の挿通空間30Xに挿入することで、被覆電線10の外形より細径である導体11が開口D1を介して電線収容部30の外部に離脱しないように、被覆電線10を電線収容部30に収容することができる。
【0089】
上述の接続金具付電線1bは、
図9に示すように製造される。
具体的には、
図9(a)に示すように、先端側LFの所定長さの絶縁被覆12を剥がして導体11を露出された接続金具付電線1の被覆電線10より長く絶縁被覆12を剥がし、長い導体11が露出した被覆電線10bにおける導体露出部分101の導体11に緩衝材50を装着する。
【0090】
なお、被覆電線10bを構成するための絶縁被覆12を剥がす長さ、つまり導体11が露出する導体露出部分101の長さは、導体接続部23に導体11を配置する長さに、電線収容部30の長手方向Lの長さを加え、さらに余裕を持たせた長さで形成している。
【0091】
また、緩衝材50は、導体露出部分101における導体11の先端側LFから、導体接続部23に配置する長さ分より基端側LBに装着する。なお、緩衝材50に長手方向Lに沿ったスリットが設けられており、スリットを介して導体11を緩衝材50の内部に挿入してもよい。
【0092】
そして、
図8(a)に示すように、導体接続部23に対して導体露出部分101の先端部分が対応するとともに、開口D1に沿って緩衝材50が対応するように、バスバー20の上側HUに被覆電線10を配置し、
図8(b)に示すように、電線収容部30の上側HUから開口D1を介して緩衝材50を挿入し、バスバー20の導体接続部23において、導体露出部分101において露出する導体11を長手方向Lに沿って配置する。このとき、導体露出部分101における導体11に装着した緩衝材50が電線収容部30の長手方向Lの両端から露出するように配置する。この状態で、
図8(c)に示すように、導体接続部23の上面に配置した導体11と導体接続部23とを溶接して溶接部40を形成し、被覆電線10bは完成する。
【0093】
このように構成された接続金具付電線1bは、接続金具付電線1と同様の効果を奏することができる。具体的には、電線収容部30より基端側LBの被覆電線10に外力F1が作用しても、電線収容部30の基端側LBの端部に緩衝材50が当接して、被覆電線10に作用する外力F1を変換し、導体接続部23に導体11を溶接する溶接部40に基端側LBに向かう変換外力F2として作用させることができ、溶接部40は損傷することなく、接続状態を維持することができる。
【0094】
また、接続金具付電線1bにおいて、電線収容部30と、電線収容部30に挿通された被覆電線10との間に緩衝材50が配置されているため、被覆電線10に外力F1が作用した際に、緩衝材50を介して電線収容部30に当接することとなる。したがって、被覆電線10が電線収容部30に当接して損傷することを規制できる。
【0095】
なお、接続金具付電線1bにおいては、電線収容部30に対して緩衝材50を装着させた導体11を挿入しているが、例えば、
図10及び
図11に示すように、電線収容部30に代わる電線収容部30cに導体11を直接挿通させてもよい。電線収容部30cに対して導体11を挿通させたる接続金具付電線1cについて
図10及び
図11とともに説明する。
【0096】
図10及び
図11は接続金具付電線1bの変形例である接続金具付電線1cの説明図を示している。
詳しくは、
図10(a)は上述したように接続金具付電線1cの先端側LF及び上側HUからの概略斜視図を示し、
図10(b)は
図11(a)に示すA-A矢視断面図を示す。
図11(a)は接続金具付電線1cの平面図を示し、
図11(b)は
図11(a)に示すB-B矢視断面図を示している。なお、以下の接続金具付電線1cの説明において、上述の接続金具付電線1,1a,1bと同じ構成については同じ符号を付してその説明を省略する。
【0097】
導体接続部23の基端側LBの端部に接続された電線収容部30が基端側LBに向かって延びる接続金具付電線1bと異なり、接続金具付電線1cは、導体接続部23の基端側LB端部に電線収容部30cが接続されている。
【0098】
電線収容部30cは、
図10及び
図11に示すように、導体接続部23の基端側LBの端部における幅方向Wの中央から基端側LBに向かって延出された底部31と、底部31の両端から上側HUに向けて立設する一対の脚部32cとで構成されている。
【0099】
脚部32cは、底部31の幅方向Wの両端から幅方向Wの内側かつ上側HUに向けて立設している。すなわち、脚部32cは、長手方向Lから視て、底部31の幅方向Wの両端から幅方向Wの内側に傾いて延設している。
【0100】
このように構成された一対の脚部32cにおける先端同士の間には、導体11を外部から内部に挿通できるとともに、D1よりも間隔の短い、より詳しくは導体11の外径よりも短い間隔の開口D2が設けられている。すなわち、脚部32cは、電線収容部30における脚部32に比べて、幅方向W内側への傾きが若干大きくなるように傾斜している。
【0101】
このように構成された電線収容部30cは、開口D2を介して導体11を内部に収容できるとともに、導体11が開口D2から抜け出ることを規制できる。なお、電線収容部30cに収容された導体11は、
図10(b)に示すように、電線収容部30cに挟持されておらず、電線収容部30cの内部で移動することができる。
【0102】
また、電線収容部30cは、底部31に導体11が配置された状態において、導体11の幅方向Wの長さが最も長い箇所に対応する箇所における幅(収容幅)が、導体11の外径よりも長くなるように構成されている。
なお、このように構成された電線収容部30における基端側LBの内周側の角部には、
図2(b)のa部拡大図に示すように、断面円弧状に面取りした面取部30Yを設けている。
【0103】
この接続金具付電線1cは、被覆電線10における先端側LFの所定長さ分の絶縁被覆12を剥がして、導体11を露出する導体露出部分101を形成し、導体接続部23に対して導体露出部分101の先端部分が対応するとともに、開口D1に沿って導体露出部分101の基端部分が対応するように、バスバー20の上側HUに被覆電線10を配置する。
【0104】
次に、電線収容部30の上側HUから開口D2を介して導体露出部分101を挿入し、バスバー20の導体接続部23において、導体露出部分101において露出する導体11を長手方向Lに沿って配置する。そして、導体接続部23の上面と、長手方向Lに沿って配置した導体11との境界部分を長手方向Lに溶接して接続金具付電線1cが完成する(
図3(c)参照)。
【0105】
このように構成された接続金具付電線1cは、上述の接続金具付電線1が奏する効果と同等の効果を奏する。具体的には、電線収容部30cより基端側LBの被覆電線10に外力F1が作用しても、電線収容部30cの基端側LBの端部に導体11が当接して、被覆電線10に作用する外力F1を変換し、導体接続部23に導体11を溶接する溶接部40に基端側LBに向かう変換外力F2として作用させることができ、溶接部40は損傷することなく、接続状態を維持することができる。
【0106】
次に、接続金具付電線1の変形例である接続金具付電線1dについて、
図12乃至
図14を用いて説明する。
図12及び
図13は接続金具付電線1dの説明図を示し、
図14は接続金具付電線1cの製造方法についての説明図を示している。
【0107】
詳しくは、
図12(a)は接続金具付電線1dの先端側LF及び上側HUからの概略斜視図を示し、
図12(b)は
図13(a)に示すA-A矢視断面図を示す。
図13(a)は接続金具付電線1dの平面図を示し、
図13(b)は
図13(a)に示すB-B矢視断面図を示している。
【0108】
図14(a)は被覆電線10を収容したバスバー20の電線収容部30にテープ材70aを巻き回している状態の概略斜視図を示し、
図14(b)は被覆電線10を収容した電線収容部30にテープ材70aを巻き回した状態の概略斜視図を示し、
図14(c)は導体11を導体接続部23に接合した接続金具付電線1dの概略斜視図を示す。ここで、
図14は先端側LF及び上側HUから視た概略斜視図を示している。
なお、以下の接続金具付電線1dの説明において、上述の実施形態の接続金具付電線1,1a,1b,1cにおける構成と同じ構成については、同じ符号を付してその説明を省略する。
【0109】
接続金具付電線1dは、
図12及び
図13に示すように、電線収容部30の外周面に対してテープ固定部70を有し、テープ固定部70で電線収容部30に設けられた開口D1を塞いでいる。より詳しくは、接続金具付電線1dは、電線収容部30と、電線収容部30の基端側LBから延出する被覆部分102の一部分とを固定するテープ固定部70が設けられている。
【0110】
このように構成された接続金具付電線1dは、開口D1を介して被覆電線10を電線収容部30に挿入して、導体露出部分101の導体11を導体接続部23に対して長手方向Lに沿って配置したのちに、
図13(a)に示すように、電線収容部30の先端側LFからテープ材70aを電線収容部30の外周面に沿って巻き付けるとともに、電線収容部30の基端側LBから延出する被覆部分102にもテープ材70aを巻き付けることで、導体接続部23の基端側LBにテープ固定部70を形成させことができる(
図13(b)参照)。そして、導体接続部23と101を溶接することで接続金具付電線1dは製造される。
【0111】
なお、接続金具付電線1dは、導体接続部23と101を溶接した後に、電線収容部30の先端側LFからテープ材70aを電線収容部30の外周面に沿って巻き付けるとともに、電線収容部30の基端側LBから延出する被覆部分102にも巻き付けてもよいが、この場合、導体接続部23と導体露出部分101とが溶接された溶接部40に、意図しない力が作用する可能性があるため、先にテープ材70aを電線収容部30などに巻き付けてテープ固定部70を形成する方が好ましい。
【0112】
このように構成した接続金具付電線1dは、上述の接続金具付電線1が奏する効果と同等の効果を奏する。具体的には、電線収容部30より基端側LBの被覆電線10に外力F1が作用しても、電線収容部30の基端側LBの端部及びテープ固定部70の少なくとも一方に被覆電線10が当接して、被覆電線10に作用する外力F1を変換し、導体接続部23に導体11を溶接する溶接部40に基端側LBに向かう変換外力F2として作用させることができ、溶接部40は損傷することなく、接続状態を維持することができる。
【0113】
また接続金具付電線1dにおいて、開口D1の少なくとも一部を塞ぐテープ固定部70が備えられていることにより、開口D1の少なくとも一部をテープ固定部70で塞ぐことができ、被覆電線10が開口D1から外部に抜け出すことを確実に規制できる。すなわち、上側HUに向けた外力F1が被覆電線10に作用した場合であっても、被覆電線10が電線収容部30の内周面及びテープ固定部70の少なくとも一方に干渉することとなり、導体接続部23と接続された導体11に対して上側HUに向けた力が作用することを規制できる。したがって、導体11とバスバー20との接続箇所の損傷をより確実に低減できる。
【0114】
さらにまた、テープ固定部70が、電線収容部30の外周を巻き回したテープ材70aで構成されている。これにより、既製品であるテープ材70aで電線収容部30の外周を巻き回しただけで、テープ固定部70で開口D1の少なくとも一部を容易に塞ぐことができる。このため、上側HUに向けた外力F1が被覆電線10に作用した場合であっても、被覆電線10が電線収容部30の内周面及びテープ固定部70の少なくとも一方に干渉することとなり、導体接続部23と接続された導体11に対して上側HUに向けた外力が作用することを容易に規制できる。
【0115】
また、接続金具付電線1dにおいて、開口D1を塞ぐカバーとして、テープ固定部70を用いているが、例えば、
図15に示すように、テープ材70a以外の別カバー71や、脚部32と一体に形成されたヒンジカバー72を用いてもよい。以下、
図15に基づいて、簡単に説明する。
【0116】
図15は、テープ固定部70の代わりに別カバー71やヒンジカバー72を用いた接続金具付電線1dの説明図を示す。詳述すると、
図15(a)は別カバー71を用いた接続金具付電線1dの先端側LF及び上側HUからの概略斜視図を示し、
図15(b)はA-A矢視断面図に対応する別カバー71を用いた接続金具付電線1dに断面図を示し、
図15(c)はヒンジカバー72で開口D1を塞いだ接続金具付電線1dにおけるA-A矢視断面図に対応する断面図を示す。
【0117】
例えば、別カバー71は、電線収容部30とは別体で構成された金属製のカバーであり、薄い板状体の幅方向W両端部分を折り曲げることで、長手方向Lから視て門型に形成されている。この別カバー71は、
図15(a)及び
図15(b)に示すように、上面部711と係止部712とで構成されている。
【0118】
上面部711は底部31における幅方向Wの長さと略等しい長さを有する板状体であり、幅方向Wの両端部分からは、一対の係止部712が下側HDに向けて立設している。
係止部712は、電線収容部30の高さ方向Hの長さと略等しい高さを有するとともに、先端が幅方向W内側に向けて折れ曲がった鉤状に形成されており、先端が底部31の底面と係止可能に構成されている。なお、一対の係止部712は、上面部711に対して幅方向Wに開閉できる程度の弾性を有している。
【0119】
このように構成された別カバー71は、被覆電線10を電線収容部30に収容するとともに、導体11(導体露出部分101)と導体接続部23とを溶接した接続金具付電線1に対して、開口D1を塞ぐように上側HUから別カバー71を装着することができる。
【0120】
詳しくは、係止部712が下側HDに向くように、電線収容部30の上側HUに別カバー71を配置させ、別カバー71を下側HDに移動させることにより、係止部712が電線収容部30の外面に当接して広がり、所定の位置において、係止部712の先端が底部31に係止する。
【0121】
このように構成された別カバー71であっても、テープ固定部70と同様の効果を奏する。すなわち、開口D1の少なくとも一部を別カバー71で塞ぐため、被覆電線10が開口D1から外部に抜け出すことを確実に規制できる。これにより、上側HUに向けた外力F1が被覆電線10に作用した場合であっても、被覆電線10が電線収容部30の内周面及び別カバー71の少なくとも一方に干渉することとなり、導体接続部23と接続された導体11に対して上側HUに向けた力が作用することを規制できる。したがって、導体11とバスバー20との接続箇所の損傷をより確実に低減できる。
【0122】
また、別カバー71は、電線収容部30と別体で構成されているが、
図15(c)に示すように、一対で構成された脚部32の一方とヒンジ721を介して連結するとともに、延出する延出部722の先端が、一対で構成された脚部32の他方と係止するヒンジカバー72で開口D1を塞いでもよい。
【0123】
この場合、被覆電線10を電線収容部30に収容するとともに、導体11(導体露出部分101)と導体接続部23とを溶接した後に、ヒンジ721を介して延出部722を脚部32の他方側に枢動させて係止し、開口D1をヒンジカバー72で塞ぐことができる。
【0124】
このように構成されたヒンジカバー72であっても、テープ固定部70と同様の効果を奏する。すなわち、開口D1の少なくとも一部をヒンジカバー72で塞ぐため、被覆電線10が開口D1から外部に抜け出すことを確実に規制できる。これにより、上側HUに向けた外力F1が被覆電線10に作用した場合であっても、被覆電線10が電線収容部30の内周面及びヒンジカバー72の少なくとも一方に干渉することとなり、導体接続部23と接続された導体11に対して上側HUに向けた力が作用することを規制できる。したがって、導体11とバスバー20との接続箇所の損傷をより確実に低減できる。
【0125】
次に、接続金具付電線1の変形例である接続金具付電線1eについて、
図16乃至
図18を用いて説明する。
図16及び
図17は接続金具付電線1eの説明図を示し、
図18は接続金具付電線1eの製造方法についての説明図を示している。
【0126】
詳しくは、
図16(a)は接続金具付電線1eの先端側LF及び上側HUからの概略斜視図を示し、
図16(b)は
図17(a)に示すA-A矢視断面図を示す。
図17(a)は接続金具付電線1eの平面図を示し、
図17(b)は
図17(a)に示すB-B矢視断面図を示している。
【0127】
図18(a)はバスバー20に対して被覆電線10を配置した状態の概略斜視図を示し、
図18(b)は被覆電線10を収容した電線収容部30に接着剤80aを塗布している状態の概略斜視図を示し、
図18(c)は導体11を導体接続部23に接合した接続金具付電線1eの概略斜視図を示す。ここで、
図18は先端側LF及び上側HUから視た概略斜視図を示している。
なお、以下の接続金具付電線1eの説明において、上述の実施形態の接続金具付電線1,1a,1b,1c,1dにおける構成と同じ構成については、同じ符号を付してその説明を省略する。
【0128】
接続金具付電線1eは、
図16及び
図17に示すように、電線収容部30の内部において、電線収容部30に収容された絶縁被覆12と電線収容部30との間に、電線収容部30に対して被覆電線10を固定する接着層80が設けられている。
【0129】
このように構成された接続金具付電線1eは、被覆電線10を開口D1から挿入して、導体露出部分101の導体11を導体接続部23に対して長手方向Lに沿って配置したのちに(
図18(a)参照)、被覆部分102を収容した電線収容部30の内部に、接着剤塗布装置Gから出した接着剤80aを塗布して電線収容部30に対して被覆電線10を固定するとともに、導体接続部23と101を溶接することで製造される。
【0130】
なお、接続金具付電線1dは、導体接続部23と101を溶接した後に、被覆部分102を収容した電線収容部30の内部に接着剤塗布装置Gから出した接着剤80aを塗布して電線収容部30に対して被覆電線10を固定してもよい。また、予め被覆部分102を収容した電線収容部30の内部に接着剤80aを塗布し、開口D1を介して被覆電線10を電線収容部30に挿入してもよい。
【0131】
このように構成した接続金具付電線1eは、上述の接続金具付電線1が奏する効果と同等の効果を奏する。具体的には、接続金具付電線1eにおいて、電線収容部30に配置された被覆電線10と電線収容部30との間に、被覆電線10と電線収容部30とを接着する接着層80が設けられていることにより、電線収容部30に被覆電線10を接着することができるため、上側HUに向けた外力F1が被覆電線10に作用した場合に、被覆電線10が上側HUに動くことを規制できる。したがって、導体接続部23と接続された導体11に対して上側HUに向けた力が作用し、導体11が導体接続部23から剥離するなど、導体11とバスバー20との接続箇所の損傷をより確実に低減できる。
【0132】
なお、接続金具付電線1eにおいて、電線収容部30の内部には被覆部分102(絶縁被覆12)が挿入されているが、導体11を電線収容部30cの内部に挿入し、導体11と電線収容部30cとを接着層80で接着してもよい。このように、電線収容部30の内部に導体11が収容されている場合において、接着層80を導電性接着剤とすれば、導体接続部23と導体11との接続に加え、電線収容部30でも導電性を確保できるため、導体11とバスバー20との導電性を向上させることができる。
【0133】
また、接続金具付電線1eにおいて、接着層80は電線収容部30に被覆電線10を接着固定する接着剤80aとしたが、例えば、光硬化樹脂のように電線収容部30の内部に充填して硬化させることで、電線収容部30の内部に被覆電線10を固定し、被覆電線10の移動を規制する充填剤や、電線収容部30の内部に充填するゲル状の充填剤などにより、電線収容部30の内部における10の移動を規制してもよい。
【0134】
この発明の構成と、上述の実施形態との対応において、
この発明の導体は、導体11に対応し、
以下同様に、
絶縁被覆は、絶縁被覆12に対応し、
被覆電線は、被覆電線10に対応し、
接続金具は、バスバー20に対応し、
接続部は、接続部21に対応し、
導体接続部は、導体接続部23に対応し、
所定方向は、長手方向Lに対応し、
電線収容部は、電線収容部30及び傾斜電線収容部30a,電線収容部30cに対応し、
延出方向は、長手方向Lに対応し、
交差方向は、上側HUに対応し、
開口は、開口D1及び開口D2に対応し、
接続金具付電線は、接続金具付電線1,1a,1b,1c,1d,1eに対応し、
底部は、底部31に対応し、
脚部は、脚部32に対応し、
カバーは、テープ固定部70に対応し、
接着層は、接着層80に対応し、
緩衝材は、緩衝材50に対応するが、この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施形態を得ることができる。
【0135】
例えば、導体接続部23に対して導体11を長手方向Lに沿って配置したが、幅方向Wや斜め方向に沿って配置してもよい。
また、上述のバスバー20は、接続部21、中間部22及び導体接続部23をこの順で配置し階段状に形成したが、例えば、正極あるいは負極を構成する電極端子で構成し、ケースに対して複数配置して電池モジュールを構成してもよい。その場合、導体接続部23に対してふたつの接続部21及び中間部22が設けられ、二股状のバスバーを構成してもよい。さらには、板状のバスバー20ではなく、接続端子に電線収容部30、傾斜電線収容部30a、電線収容部30cを備え、被覆電線10を接続してもよい。
【0136】
また、導体接続部23に対して導体11を溶接して溶接部40を形成して接続したが、導電性接着剤による接着、あるいはカシメなどによって、導電可能に導体接続部23に対して導体11を一体化してもよい。
【0137】
また、導体接続部23の上側HUの面に導体11を接続しているが、導体接続部23の下側HDの面に導体11を接続してもよい。この場合、電線収容部30、傾斜電線収容部30a、電線収容部30cは、下側HDに開いくように、開口D1や開口D2が形成される。
【符号の説明】
【0138】
1,1a,1b,1c,1d,1e…接続金具付電線
10,10b…被覆電線
11…導体
12…絶縁被覆
20,20d,20f…バスバー
21…接続部
23…導体接続部
30…溶接部30
40…筒状挿通変換部
40b…傾斜挿通変換部
40d…バレル挿通部40
40f…枠状挿通変換部40
41…バレル部
42…バレル片
43…底部
44,47…離間方向規制部
45,48…脚部
46…門型部分
49…連結部
50…緩衝材
F1…外力
F2…変換外力
L…長手方向
HU…上側
HD…下側
W…幅方向