(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024044832
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】接続金具付電線及び接続金具付電線の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01R 4/02 20060101AFI20240326BHJP
H01B 7/00 20060101ALI20240326BHJP
H01R 4/18 20060101ALI20240326BHJP
H01R 4/04 20060101ALI20240326BHJP
H01R 43/02 20060101ALI20240326BHJP
H01M 50/505 20210101ALN20240326BHJP
【FI】
H01R4/02 C
H01B7/00 306
H01R4/18 A
H01R4/04
H01R43/02 B
H01R43/02 Z
H01M50/505
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022150599
(22)【出願日】2022-09-21
(71)【出願人】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】391045897
【氏名又は名称】古河AS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141656
【弁理士】
【氏名又は名称】大田 英司
(74)【代理人】
【識別番号】100182888
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100196357
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 吉章
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 文孝
(72)【発明者】
【氏名】田中 義和
【テーマコード(参考)】
5E051
5E085
5G309
5H043
【Fターム(参考)】
5E051LA01
5E051LA10
5E051LB03
5E085BB02
5E085BB03
5E085BB12
5E085BB14
5E085CC03
5E085DD03
5E085DD05
5E085DD13
5E085EE34
5E085FF01
5E085HH06
5E085HH11
5E085JJ12
5E085JJ36
5G309FA06
5H043AA02
5H043CA05
5H043FA04
5H043HA02F
5H043JA11F
5H043JA13F
5H043LA22F
(57)【要約】
【課題】接続部に対して接続対象が接続された状態において、導体と接続金具との接続箇所の損傷を低減できる接続金具付電線及び接続金具付電線の製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】接続金具付電線1は、先端側の絶縁被覆12を剥がして導体11を露出させた被覆電線10と、露出する導体11が接続されたバスバー20とが備えられ、バスバー20は、接続対象と接続される接続部21と、導体11が接続される導体接続部23とが設けられ、導体接続部23は、平面板状部分を有し、導体11は、導体接続部23に対して長手方向Lに沿って配置されて接続され、被覆電線10は、導体接続部23から延出され、導体11は、導体接続部23から被覆電線10が延設する方向と交差する長手方向L、かつ、平面板状部分から離間する方向に作用する外力F1の作用方向である上側HUと反対側の主面に接続されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導体を絶縁被覆で被覆し、先端側の前記絶縁被覆を剥がして前記導体を露出させた被覆電線と、
露出する前記導体が接続された接続金具とが備えられ、
前記接続金具は、接続対象と接続される接続部と、前記導体が接続される導体接続部とが設けられ、
前記導体接続部は、平面板状部分を有し、
前記導体は、前記導体接続部に対して所定方向に沿って配置されて接続され、
前記導体が前記導体接続部に接続された前記被覆電線は、前記導体接続部から延出され、
前記導体は、前記導体接続部から前記被覆電線が延設する方向と交差する方向、かつ、前記平面板状部分から離間する方向に作用する外力の作用方向と反対側の主面に接続された
接続金具付電線。
【請求項2】
前記接続部は、主面が前記導体接続部の主面と同方向に配置された板状部分を有し、
前記導体接続部における前記導体が接続された主面は、前記接続部に対して前記接続対象が接続される主面と同じ側である
請求項1に記載の接続金具付電線。
【請求項3】
前記絶縁被覆における前記先端側の端部は、前記被覆電線が延出する前記導体接続部の縁部よりも、前記導体接続部側に配置された
請求項1又は請求項2に記載の接続金具付電線。
【請求項4】
前記導体接続部における前記被覆電線が延出する側に、
前記外力が作用すると、前記被覆電線に当接して、前記外力を前記所定方向に沿った引っ張り力として、前記導体と前記導体接続部の接続箇所に作用するように変換する変換部が設けられた
請求項1に記載の接続金具付電線。
【請求項5】
前記変換部は、
前記被覆電線が挿通する挿通変換部である
請求項4に記載の接続金具付電線。
【請求項6】
前記挿通変換部は、
所定長さの前記被覆電線が挿通される略筒状に形成された
請求項5に記載の接続金具付電線。
【請求項7】
前記挿通変換部は、
底部と、該底部から延出されたバレル片とを有するバレル部における前記バレル片を曲げて、所定長さの前記被覆電線が挿通される略筒状に形成された
請求項5に記載の接続金具付電線。
【請求項8】
前記挿通変換部は、前記平面板状部分に対して前記被覆電線が延出する側が傾斜する傾斜姿勢である
請求項5に記載の接続金具付電線。
【請求項9】
前記挿通変換部は、
前記導体接続部における前記被覆電線が延出する側の端部に設けられ、
前記導体が接続された前記平面板状部分から離間する方向の前記被覆電線の移動を規制する離間規制部と、前記離間する方向に対して交差方向の前記被覆電線の移動を規制する一対の脚部とで枠状に形成され、前記平面板状部分より突出する枠状体である
請求項5に記載の接続金具付電線。
【請求項10】
前記枠状体は前記導体接続部の端部から所定間隔を隔てて配置され、
前記脚部のそれぞれと前記導体接続部の前記端部とを連結する連結部が設けられるとともに、
前記枠状体が、前記導体接続部が配置された側に向かって傾斜する傾斜姿勢である
請求項9に記載の接続金具付電線。
【請求項11】
前記挿通変換部と、前記挿通変換部に挿通された前記被覆電線との間に緩衝材が配置された
請求項5に記載の接続金具付電線。
【請求項12】
前記被覆電線において前記絶縁被覆の前記先端側に露出した前記導体が前記挿通変換部に挿通された
請求項5に記載の接続金具付電線。
【請求項13】
導体を絶縁被覆で被覆する被覆電線における先端側の前記絶縁被覆を剥がして露出させた前記導体が接続金具に接続された接続金具付電線の製造方法であり、
前記接続金具は、接続対象と接続される接続部と、前記導体が接続される導体接続部とが設けられ、
前記導体接続部は、平面板状部分を有し、
前記導体を、前記導体接続部に対して所定方向に沿って配置するとともに、
前記導体接続部から前記被覆電線が延設する方向と交差する方向、かつ、前記平面板状部分から離間する方向に作用する外力の作用方向と反対側に接続する
接続金具付電線の製造方法。
【請求項14】
前記導体接続部は、前記被覆電線が延出する側に、前記外力が作用すると、前記被覆電線に当接して、前記外力を前記所定方向に沿った引っ張り力として、前記導体と前記導体接続部の接続箇所に作用するように変換する変換部が設けられ、
前記変換部に前記被覆電線を配置するとともに、
前記導体を、前記導体接続部に対して前記所定方向に沿って配置して、前記導体接続部に接続する
請求項13に記載の接続金具付電線の製造方法。
【請求項15】
前記変換部は、前記被覆電線が挿通する挿通変換部であり、
前記挿通変換部に前記被覆電線を挿通する
請求項14に記載の接続金具付電線の製造方法。
【請求項16】
所定長さの前記被覆電線が挿通される略筒状に形成された前記挿通変換部に、前記先端側の前記導体が露出した前記被覆電線を前記導体接続部に向かって挿通するとともに、前記導体接続部に対して前記導体を前記所定方向に沿って配置し、
前記所定方向に沿って配置した前記導体を、前記導体接続部に接続する
請求項15に記載の接続金具付電線の製造方法。
【請求項17】
底部と、該底部から延出されたバレル片とを有するバレル部で形成された前記挿通変換部の内部に、前記先端側の前記導体が露出した前記被覆電線を配置するとともに、前記導体接続部に対して前記導体を前記所定方向に沿って配置し、
前記所定方向に沿って配置した前記導体を、前記導体接続部に接続し、
前記バレル片を曲げて、所定長さの前記被覆電線が挿通される略筒状に形成する
請求項15に記載の接続金具付電線の製造方法。
【請求項18】
前記被覆電線が挿通された前記挿通変換部を、前記平面板状部分に対して延出する側に傾斜させる
請求項15に記載の接続金具付電線の製造方法。
【請求項19】
前記挿通変換部は、
前記導体接続部における前記被覆電線が延出する側の端部に設けられ、
前記導体が接続された前記平面板状部分から離間する方向の前記被覆電線の移動を規制する離間規制部と、前記離間する方向に対して交差方向の前記被覆電線の移動を規制する一対の脚部とで枠状に形成され、前記平面板状部分より突出する枠状体であり、
前記枠状体である前記挿通変換部に、前記先端側の前記導体が露出した前記被覆電線を前記導体接続部に向かって挿通するとともに、前記導体接続部に対して前記導体を前記所定方向に沿って配置し、
前記所定方向に沿って配置した前記導体を、前記導体接続部に接続する
請求項15に記載の接続金具付電線の製造方法。
【請求項20】
前記枠状体は前記導体接続部の端部から所定間隔を隔てて配置されるとともに、
前記脚部のそれぞれと前記導体接続部の前記端部とを連結する連結部が設けられ、
前記枠状体を、前記導体接続部が配置された側に向かって傾斜させる
請求項19に記載の接続金具付電線の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、接続端子やバスバーなどの接続金具に被覆電線の先端から露出する導体を溶接などで接続した接続金具付電線及び接続金具付電線の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、接続端子やバスバーなどの接続金具に被覆電線の先端から露出する導体を溶接などで接続した接続金具付電線が様々な分野で用いられている。例えば、特許文献1には、電池モジュールパックに収容される電池に対して接続されるバスバーに電線が接続された接続金具付電線が開示されている。
【0003】
このバスバーは、電池に対して接続する接続部と、略平板状の導体接続部とが備えられ、導体接続部には、電池が配置される側と反対側に向けて突出する溶接部を有する。そして、この溶接部の上に被覆電線から露出する導体を重ねて溶接し、バスバーと電線とを導通させている。
【0004】
ところで、バスバーから延びる被覆電線に外力が作用すると、導体と導体接続部との接続箇所に外力が作用することとなる。この特許文献1の接続金具付電線では、被覆電線に対して、導体の延設方向と交差する方向、かつ、バスバーに対する接続対象である電池の配置方向と反対方向に外力が作用すると、接続箇所が損傷し、導通性が低下するおそれがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこでこの発明は、接続部に対して接続対象が接続された状態において、導体と接続金具との接続箇所の損傷を低減できる接続金具付電線及び接続金具付電線の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、導体を絶縁被覆で被覆し、先端側の前記絶縁被覆を剥がして前記導体を露出させた被覆電線と、露出する前記導体が接続された接続金具とが備えられ、前記接続金具は、接続対象と接続される接続部と、前記導体が接続される導体接続部とが設けられ、前記導体接続部は、平面板状部分を有し、前記導体は、前記導体接続部に対して所定方向に沿って配置されて接続され、前記導体が前記導体接続部に接続された前記被覆電線は、前記導体接続部から延出され、前記導体は、前記導体接続部から前記被覆電線が延設する方向と交差する方向、かつ、前記平面板状部分から離間する方向に作用する外力の作用方向と反対側の主面に接続された接続金具付電線であることを特徴とする。
前記接続は、超音波溶接、振動溶接、レーザ溶接などによる溶接、導電性接着剤による接着、あるいはカシメなどによって、導電可能に一体化した状態をいう。
【0008】
この発明によると、前記接続部に対して前記接続対象が接続された状態において、被覆電線に対して導体の延設方向、かつ、平面板状部分から離間する方向に作用する外力を、導体接続部に向かうように、導体に作用させることができる。このため、接続部に対して接続対象が接続された状態において、導体と接続金具との接続箇所の損傷を低減することができる。
【0009】
また、被覆電線に上述の外力が作用した場合に、被覆電線が延出する導体接続部の縁部と被覆電線とが当接するため、被覆電線に作用した外力の一部は、導体接続部に導体が配置された所定方向に沿った引っ張り力に変換され、導体と導体接続部の接続箇所に作用する。そのため、被覆電線に作用した外力が接続箇所に及ぼす影響を低減することができる。
【0010】
このため、被覆電線に対して、導体接続部から被覆電線が延設する方向と交差する方向、かつ、平面板状部分から離間する方向に外力が作用したとしても、導体接続部から剥離する方向に外力が作用することを防止できる。したがって、接続部に対して接続対象が接続された状態において、導体と接続金具との接続箇所の損傷を低減できる
【0011】
この発明の態様として、前記接続部は、主面が前記導体接続部の主面と同方向に配置された板状部分を有し、前記導体接続部における前記導体が接続された主面は、前記接続部に対して前記接続対象が接続される主面と同じ側としてもよい。
【0012】
この発明によると、導体接続部に接続された導体と接続対象との間に、隙間がなく、導体接続部から延設する被覆電線が、接続部に対して接続対象が接続されている方向に向けて湾曲するように外力が作用することを阻害できる。これにより、導体接続部から導体が剥がれる方向に外力が作用することを防止できる。
【0013】
またこの発明の態様として、前記絶縁被覆における前記先端側の端部は、前記被覆電線が延出する前記導体接続部の縁部よりも、前記導体接続部側に配置されてもよい。
この発明により、前記導体接続部から前記被覆電線が延設する方向と交差する方向、かつ、前記平面板状部分から離間する方向に外力が作用したとしても、導体接続部の縁部に対して絶縁被覆が当接するため、導体が損傷することを防止できる。
【0014】
またこの発明の態様として、前記導体接続部における前記被覆電線が延出する側に、前記外力が作用すると、前記被覆電線に当接して、前記外力を前記所定方向に沿った引っ張り力として、前記導体と前記導体接続部の接続箇所に作用するように変換する変換部が設けられてもよい。
【0015】
前記変換部は、前記導体接続部から延出する前記被覆電線の断面方向の全周、あるいは断面方向の一部、所定の範囲、間隔を隔てて複数箇所などいずれの方向において前記被覆電線に当接するように配置されていればよい。
【0016】
この発明によると、導体接続部から延出する被覆電線に外力が作用することで、被覆電線が変換部に当接するため、被覆電線に作用した外力が導体接続部に導体が配置された所定方向に沿った引っ張り力により確実に変換でき、引っ張り力を導体と導体接続部の接続箇所に作用させることができる。このため、より確実に、被覆電線に作用した交差方向の外力によって接続箇所に及ぼす影響を低減することができる。
【0017】
またこの発明の態様として、前記変換部は、前記被覆電線が挿通する挿通変換部であってもよい。
この発明により、被覆電線が挿通変換部に挿通されているため、導体接続部から延出する被覆電線に交差方向の外力が作用しても、被覆電線は挿通変換部に確実に当接するため、被覆電線に作用する外力を引っ張り力に変換することができる。これにより、接続箇所に対して所定方向に沿った引っ張り力として作用させることができる。
【0018】
またこの発明の態様として、前記挿通変換部は、所定長さの前記被覆電線が挿通される略筒状に形成されてもよい。
所定長さの前記被覆電線が挿通される略筒状は、前記被覆電線の長手方向を高さ方向とし、長手方向に直交する断面が、円形、楕円形、多角形の閉鎖断面、挿通する前記被覆電線が通過できない開口を有するC型、U型、角形U状などの開放断面の略筒状を含むものとする。
【0019】
この発明により、被覆電線が挿通する挿通変換部が、上述の外力以外の、被覆電線に作用する外力を、接続箇所に対して所定方向に沿った引っ張り力として変換し、接続箇所に作用させることができる。これにより、導体と接続金具との接続箇所の損傷を低減することができる。
【0020】
またこの発明の態様として、前記挿通変換部は、底部と、該底部から延出されたバレル片とを有するバレル部における前記バレル片を曲げて、所定長さの前記被覆電線が挿通される略筒状に形成されてもよい。
上述の所定長さの前記被覆電線が挿通される略筒状は、曲げたバレル片と底部とで閉鎖断面で構成してもよいし、挿通する前記被覆電線が通過できない開口を有する開放断面で構成してもよい。
【0021】
この発明により、バレル部において、バレル片を曲げて被覆電線を挿通可能な略筒状に形成し、所定長さの被覆電線が略筒状に形成された挿通変換部を挿通する。そのため、被覆電線に作用する外力を被覆電線が挿通する挿通変換部が変換して接続箇所に対して所定方向に沿った引っ張り力に変換し、接続箇所に作用させることができる。
【0022】
また、内部を挿通する被覆電線を圧着することがないため、被覆電線を挿通する前に、バレル片を曲げて略筒状の挿通変換部を構成することもできる。仮に、被覆電線を挿通する前に、バレル片を曲げて略筒状の挿通変換部を構成する場合、導体接続部に導体を接続した後に、接続金具を変形させることがないため、接続箇所に変形に伴う応力が発生することがなく、導体接続部と導体との接続箇所の接続状態を安定させることができる。
【0023】
またこの発明の態様として、前記挿通変換部は、前記平面板状部分に対して前記被覆電線が延出する側が傾斜する傾斜姿勢であってもよい。
上述の前記平面板状部分に対して前記被覆電線が延出する側が傾斜するは、前記挿通変換部が前記平面板状部分において前記導体を接続する主面に対して面内方向に傾斜させてもよいし、面外方向に傾斜させてもよい。
【0024】
この発明により、挿通変換部が平面板状部分に対して傾斜するため、導体接続部から延出する被覆電線に曲げが生じ、導体接続部と導体との接続箇所に作用する外力の影響を低下させることができる。
【0025】
またこの発明の態様として、前記挿通変換部は、前記導体接続部における前記被覆電線が延出する側の端部に設けられ、前記導体が接続された前記平面板状部分から離間する方向の前記被覆電線の移動を規制する離間規制部と、前記離間する方向に対して交差方向の前記被覆電線の移動を規制する一対の脚部とで枠状に形成され、前記平面板状部分より突出する枠状であってもよい。
【0026】
上述の前記導体が接続された前記平面板状部分から離間する方向とは、前記導体接続部に接続された前記導体が剥がれる剥離方向をいう。
上述の前記導体が接続された前記平面板状部分から離間する方向の前記被覆電線の移動を規制する離間規制部と、前記離間する方向に対して交差方向の前記被覆電線の移動を規制する一対の脚部とで形成された枠状は、離間規制部と脚部との延伸方向が異なる角形U字状、U字状、H字状など、あるいは離間規制部と脚部とが連続する半円状、半楕円状、円弧状などであってもよいし、さらには、互いに向かって傾斜する一対の脚部の交差部分を離間規制部としてもよい。つまり、離間規制部と一対の脚部とで構成した枠状は、前記導体接続部に接続された前記導体が剥がれる剥離方向への前記被覆電線の移動を規制できればよい。なお、前記被覆電線の移動を規制するとは、通常状態で、枠状体と、挿通する前記被覆電線とが当接していても、隙間が設けられていてもよい。
【0027】
この発明により、枠状体に被覆電線を容易に挿通することができ、上述の外力以外の力であって、枠状体に挿通した被覆電線に作用する力を、離間規制部が接続箇所に対して所定方向に沿った引っ張り力として変換することができる。
【0028】
またこの発明の態様として、前記枠状体は前記導体接続部の端部から所定間隔を隔てて配置され、前記脚部のそれぞれと前記導体接続部の前記端部とを連結する連結部が設けられるとともに、前記枠状体が、前記導体接続部が配置された側に向かって傾斜する傾斜姿勢であってもよい。
【0029】
前記連結部は、一対の脚部を前記導体接続部の端部と連結できれば一対構成されていてもよいし、ひとつの連結部で一対の脚部を前記導体接続部の端部と連結してもよい。また、一対の脚部を前記導体接続部の端部と連結する一対構成された連結部は、脚部のそれぞれと連結部のそれぞれとが延伸方向や断面形状が連続していてもよいし、不連続に形成されてもよい。
【0030】
この発明により、連結部で導体接続部の端部と連結された枠状体が、導体接続部が配置された側に向かって傾斜する傾斜姿勢であるため、導体接続部から延出する被覆電線に外力が作用した場合であっても、被覆電線が連結部から離間することを防止できる。このため、導体接続部と導体との接続箇所に作用する外力の影響を低下させることができる。
【0031】
またこの発明の態様として、前記挿通変換部と、前記挿通変換部に挿通された前記被覆電線との間に緩衝材が配置されてもよい。
この発明により、被覆電線に作用する外力を変換する際に、緩衝材を介して挿通変換部に当接するため、被覆電線が損傷することを防止できる。
【0032】
またこの発明の態様として、前記被覆電線において前記絶縁被覆の前記先端側に露出した前記導体が前記挿通変換部に挿通されてもよい。
この発明により、外力が作用する被覆電線の導体が挿通変換部を挿通するため、挿通変換部が外力を変換して接続箇所に対して所定方向に沿った引っ張り力として作用させることができる。
【0033】
またこの発明は、導体を絶縁被覆で被覆する被覆電線における先端側の前記絶縁被覆を剥がして露出させた前記導体が接続金具に接続された接続金具付き電線の製造方法であり、前記接続金具は、接続対象と接続される接続部と、前記導体が接続される導体接続部とが設けられ、前記導体接続部は、平面板状部分を有し、前記導体を、前記導体接続部に対して所定方向に沿って配置するとともに、前記接続部に対して前記接続対象が接続された状態における、前記導体接続部から前記被覆電線が延設する方向と交差する方向、かつ、前記平面板状部分から離間する方向に作用する外力の作用方向と反対側に接続することを特徴とする。
【0034】
この発明によると、接続部に対して接続対象が接続された状態において、被覆電線に対して、導体接続部から被覆電線が延設する方向と交差する方向、かつ、平面板状部分から離間する方向に外力が作用したとしても、導体接続部から導体が剥離する方向に外力が作用することを防止できる接続金具付電線を容易に製造することができる。
【0035】
この発明の態様として、前記導体接続部は、前記被覆電線が延出する側に、前記外力が作用すると、前記被覆電線に当接して、前記外力を前記所定方向に沿った引っ張り力として、前記導体と前記導体接続部の接続箇所に作用するように変換する変換部が設けられ、前記変換部に前記被覆電線を配置するとともに、前記導体を、前記導体接続部に対して前記所定方向に沿って配置して、前記導体接続部に接続してもよい。
【0036】
この発明により、被覆電線に外力が作用しても、導体接続部に導体が配置された所定方向に沿った引っ張り力に変換でき、被覆電線に作用した外力が接続箇所に及ぼす影響を低減することができる接続金具付電線を容易に製造することができる。
【0037】
またこの発明の態様として、前記変換部は、前記被覆電線が挿通する挿通変換部であり、前記挿通変換部に前記被覆電線を挿通してもよい。
この発明により、前記被覆電線に作用する外力を前記接続箇所に対して前記所定方向に沿った引っ張り力に変換して、接続箇所に作用させることができる接続金具付電線の製造性を向上することができる。
【0038】
またこの発明の態様として、所定長さの前記被覆電線が挿通される略筒状に形成された前記挿通変換部に、前記先端側の前記導体が露出した前記被覆電線を前記導体接続部に向かって挿通するとともに、前記導体接続部に対して前記導体を前記所定方向に沿って配置し、前記所定方向に沿って配置した前記導体を、前記導体接続部に接続してもよい。
【0039】
この発明により、前記被覆電線に作用する外力を前記接続箇所に対して前記所定方向に沿った引っ張り力に変換して、接続箇所に作用させることができる略筒状の前記挿通変換部に所定長さの前記被覆電線を挿通するため、接続金具付電線の製造性を向上することができる。
【0040】
また、前記挿通変換部に前記被覆電線を前記導体接続部に向かって挿通するとともに、前記導体接続部に対して前記導体を前記所定方向に沿って配置してから、前記所定方向に沿って配置した前記導体を前記導体接続部に接続することができる。すなわち、前記導体接続部に前記導体を接続した後に、接続金具を変形させることがないため、接続箇所に変形に伴う応力が発生することがなく、前記導体接続部と前記導体との接続箇所の接続状態を安定させることができる。
【0041】
またこの発明の態様として、底部と、該底部から延出されたバレル片とを有するバレル部で形成された前記挿通変換部の内部に、前記先端側の前記導体が露出した前記被覆電線を配置するとともに、前記導体接続部に対して前記導体を前記所定方向に沿って配置し、前記所定方向に沿って配置した前記導体を、前記導体接続部に接続し、前記バレル片を曲げて、所定長さの前記被覆電線が挿通される略筒状に形成してもよい。
【0042】
この発明により、バレル部において、バレル片を曲げて前記被覆電線を挿通可能な略筒状に形成し、所定長さの前記被覆電線が略筒状に形成された前記挿通変換部を挿通するため、前記被覆電線に作用する外力を、前記被覆電線が挿通する前記挿通変換部が変換して、前記接続箇所に対して前記所定方向に沿った引っ張り力として作用させることができる。
【0043】
また、前記導体接続部に対して前記導体を前記所定方向に沿って配置し、前記所定方向に沿って配置した前記導体を、前記導体接続部に接続し、前記バレル片を曲げて、所定長さの前記被覆電線が挿通される略筒状に形成するが、引っ張り力が導体の接続箇所に加わらないようにバレル部で前記被覆電線をしっかりと圧着する必要がないため、バレル部におけるバレル片の曲げ管理がしやすくなり、接続金具付電線の製造性を向上することができる。
【0044】
またこの発明の態様として、前記導体接続部は、平面板状部分を有し、前記被覆電線が挿通された前記挿通変換部を、前記平面板状部分に対して延出する側に傾斜させてもよい。
この発明により、前記挿通変換部が前記平面板状部分に対して傾斜するため、前記導体接続部から延出する前記被覆電線に曲げが生じ、前記導体接続部と前記導体との接続箇所に作用する外力の影響を低下させることができる接続金具付電線を製造できる。
【0045】
またこの発明の態様として、前記導体接続部は、平面板状部分を有し、前記挿通変換部は、前記導体接続部における前記被覆電線が延出する側の端部に設けられ、前記導体が接続された前記平面板状部分から離間する方向の前記被覆電線の移動を規制する離間規制部と、前記離間する方向に対して交差方向の前記被覆電線の移動を規制する一対の脚部とで枠状に形成され、前記平面板状部分より突出する枠状体であり、前記枠状体である前記挿通変換部に、前記先端側の前記導体が露出した前記被覆電線を前記導体接続部に向かって挿通するとともに、前記導体接続部に対して前記導体を前記所定方向に沿って配置し、前記所定方向に沿って配置した前記導体を、前記導体接続部に接続してもよい。
【0046】
この発明により、上述の外力以外の力であって、前記被覆電線に作用する力を前記接続箇所に対して前記所定方向に沿った引っ張り力に変換して、接続箇所に作用させることができる枠状体に前記被覆電線を容易に挿通することができ、接続金具付電線の製造性を向上することができる。
【0047】
またこの発明の態様として、前記枠状体は前記導体接続部の端部から所定間隔を隔てて配置されるとともに、前記脚部のそれぞれと前記導体接続部の前記端部とを連結する連結部が設けられ、前記枠状体を、前記導体接続部が配置された側に向かって傾斜させてもよい。
【0048】
この発明により、連結部で前記導体接続部の端部と連結された枠状体が、前記導体接続部が配置された側に向かって傾斜する傾斜姿勢であるため、前記導体接続部から延出する前記被覆電線に曲げが生じ、前記導体接続部と前記導体との接続箇所に作用する外力の影響を低下させることができる接続金具付電線を製造できる。
【発明の効果】
【0049】
この発明によれば、接続部に対して接続対象が接続された状態において、導体と接続金具との接続箇所の損傷を低減できる接続金具付電線及び接続金具付電線の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【
図5】第2実施形態の接続金具付電線の製造方法についての説明図。
【
図6】第2実施形態の接続金具付電線の変形例の製造方法についての説明図。
【
図7】第2実施形態の接続金具付電線の変形例の説明図。
【
図8】第2実施形態の接続金具付電線のさらなる変形例の説明図。
【
図9】第2実施形態の接続金具付電線のさらなる変形例の説明図。
【
図10】第2実施形態の接続金具付電線のさらなる変形例の製造方法についての説明図。
【
図12】第3実施形態の接続金具付電線の基端側からの概略斜視図。
【
図14】第3実施形態の接続金具付電線の製造方法についての説明図。
【
図15】第3実施形態の接続金具付電線の変形例の説明図。
【
図16】第3実施形態の接続金具付電線の変形例の説明図。
【
図17】第3実施形態の接続金具付電線の変形例の製造方法についての説明図。
【
図20】第4実施形態の接続金具付電線の製造方法についての説明図。
【
図21】第4実施形態の接続金具付電線の変形例の説明図。
【
図22】第4実施形態の接続金具付電線の変形例の説明図。
【
図23】第4実施形態の接続金具付電線の変形例の製造方法についての説明図。
【
図26】第5実施形態の接続金具付電線の製造方法についての説明図。
【発明を実施するための形態】
【0051】
この発明の一実施形態を以下図面とともに説明する。
(第1実施形態)
まず、第1実施形態における接続金具付電線1について、
図1乃至
図2を用いて説明する。
【0052】
図1は接続金具付電線1を先端側LFかつ下側HDから視た概略斜視図を示し、
図2は接続金具付電線1の説明図を示す。
図2について詳述すると、
図2(a)は接続金具付電線1の底面図を示し、
図2(b)は
図2(a)に示すA-A矢視断面図を示す。
【0053】
なお、
図2における左右方向を長手方向Lとし、
図2(a)における上下方向を幅方向Wとし、
図2(b)における上下方向を高さ方向Hとしている。さらに、長手方向Lにおいて
図2における左側を先端側LFとし、
図2における右側を基端側LBとしている。また、幅方向Wにおいて
図2(a)における上側を左側WLとし、
図2(a)における下側を右側WRとし、高さ方向Hにおいて
図2(b)における上側を上側HUとし、
図2(b)における下側を下側HDとしている。
【0054】
接続金具付電線1は、導体11が絶縁被覆12で被覆された被覆電線10と、接続金具であるバスバー20とが、物理的にも電気的にも接続されて構成されている。
被覆電線10は、中心に配置された導体11と、導体11の外側を覆う絶縁被覆12とで構成されている。被覆電線10の先端側LFにおいて、絶縁被覆12の一部を剥がして、導体11が露出している。ここで、被覆電線10の長手方向Lにおいて、先端側LFで導体11が露出する部分を導体露出部分101とし、絶縁被覆12が導体11を覆っている部分を被覆部分102としている。
【0055】
なお、被覆電線10は、複数本の電線を束ねて構成したワイヤーハーネスにおける幹線や幹線から分岐した枝線のうちのいずれかであってもよい。また、被覆電線10は信号線、電力線あるいはアース線であってもよい。
【0056】
バスバー20は、先端側LFから基端側LBに向かって、接続対象と接続される接続部21と、中間部22と、被覆電線10の導体11が接続される導体接続部23とがこの順で設けられ、適宜の幅方向Wの長さの導電性の板材を折り曲げて構成されている。
【0057】
接続部21及び導体接続部23は略同型状の平面板状に形成されている。すなわち、接続部21及び導体接続部23の主面の法線方向は、ともに高さ方向Hである。中間部22は、接続部21の基端側LBの端部と導体接続部23の先端側LFの端部を高さ方向Hに連結するように形成され、バスバー20は階段状に形成されている。なお、接続部21に接続される接続対象は、接続部21の下側HDに配置される。
また、導体接続部23における基端側LBの上面側の角部には、
図2(b)のa部拡大図に示すように、断面円弧状に面取りした面取部231が設けられている。
【0058】
このように形成されたバスバー20には、被覆電線10における導体露出部分101の導体11が、導体接続部23の下側HDの主面において長手方向Lに沿って配置されるとともに、導体接続部23と導体11とが溶接されて溶接部30が形成されている。なお、
図1及び
図2に図示するように、導体露出部分101と、溶接によって形成される溶接部30とは溶接熱で一体化するが、本明細書では、溶接された一体化された導体露出部分101と溶接部30として記載している。
【0059】
このようにして、長手方向Lに延びる溶接部30によって、導体接続部23と導体11が電気的且つ物理的に接続された、つまりバスバー20と被覆電線10とが電気的且つ物理的に接続された接続金具付電線1を構成している。
なお、導体接続部23に対して導体11を溶接して溶接部30を形成する溶接方法としては、超音波溶接、振動溶接、あるいはレーザ溶接などの適宜の溶接方法で溶接すればよい。
【0060】
このように構成された接続金具付電線1は、被覆電線10における先端側LFの所定長さ分の絶縁被覆12を剥がして、導体11を露出する導体露出部分101を形成し、絶縁被覆12の先端側LFの端部が導体接続部23に配置されるように、導体接続部23の下面側に長手方向Lに沿って導体11を配置し、導体接続部23の下面と導体11との境界部分を長手方向Lに溶接することで製造することができる。
【0061】
そして、接続部21の下面側に接続対象を配置し、接続部21と接続対象とを適した手段で接続することができる。なお、接続部21と接続対象とが接続された状態において、導体接続部23と接続対象との間の空間が狭くなっており、導体接続部23と接続された被覆電線10は、上側HUに向けて延出するように配置されることとなる。
【0062】
このため、接続金具付電線1は、接続金具付電線1が接続対象に接続された状態において、バスバー20より基端側LBに延出された被覆電線10に対して上側HU、より正確には斜め上方側(基端側LB及び上側HU)に外力F1が作用することがあり、被覆電線10に外力F1が作用すると、当該外力F1は被覆電線10を伝播し、導体接続部23と導体11とを溶接した溶接部30に力が作用することになる。
【0063】
しかしながら、導体11は、導体接続部23の下面に対して溶接されているため、
図2(b)において破線及び破線矢印で示す外力F1が被覆電線10に作用したとしても、導体11を導体接続部23に向けて押し付けるように作用するため、導体11と導体接続部23との接続箇所を損傷することを防止できる。
【0064】
また、溶接部30は、長手方向Lに沿って形成されているため、導体11が導体接続部23から離れる下側HDの力が溶接部30に作用すると、溶接部30の長手方向Lの端部から剥がれたり、損傷したりするおそれがあるが、長手方向Lに沿って基端側LBに向かう力に対する抗力は高い。
【0065】
導体接続部23の下面に溶接された導体11は、被覆電線10に外力F1が作用することにより、絶縁被覆12が面取部231に当接することとなる。これにより、導体接続部23の基端側LBの端部と被覆電線10との当接箇所を支点として、外力F1は方向転換し、導体接続部23の基端側LBの端部より先端側LFの被覆電線10に基端側LBに向かう変換外力F2として作用する(
図2(b)参照)。
【0066】
この
図2(b)において破線及び破線矢印で示す変換外力F2は、基端側LBの端部より先端側LFの被覆電線10を伝播し、溶接部30に対して基端側LBに向かう変換外力F2として作用する。上述のように、長手方向Lに沿って延びる溶接部30は長手方向Lの力に対して高い抗力を有するため、基端側LBに向かう変換外力F2が溶接部30に作用しても、溶接部30は損傷することなく、接続状態を維持することができる。
【0067】
また、被覆電線10における導体接続部23の基端側LBの端部との当接箇所には、絶縁被覆12が配置されているため、導体11が損傷することを防止できる。
さらにまた、導体接続部23の基端側LBの端部と被覆電線10との当接箇所であって支点となる、導体接続部23の基端側LBの内面側の角部には、
図2(b)のa部拡大図に示すように、断面円弧状に面取りした面取部231を設けている。そのため、導体接続部23より基端側LBの被覆電線10に対して、上側HUに向けた外力F1が作用し、被覆電線10と当接したとしても、導体接続部23の角部により、被覆電線10の絶縁被覆12が損傷することを防止できる。なお、面取部231は断面円弧状でなく、テーパー状の面取り部であってもよい。
【0068】
このように構成された接続金具付電線1は、導体11を絶縁被覆12で被覆し、先端側の絶縁被覆12を剥がして導体11を露出させた被覆電線10と、露出する導体11が接続されたバスバー20とが備えられている。バスバー20は、接続対象と接続される接続部21と、導体11が接続される導体接続部23とが設けられ、導体接続部23は、平面板状部分を有している。そして、導体11は、導体接続部23に対して長手方向Lに沿って配置されて接続され、導体11が導体接続部23に接続された被覆電線10は、導体接続部23から延出され、導体11は、導体接続部23から被覆電線10が延設する方向と交差する方向(長手方向L)、かつ、平面板状部分から離間する方向に作用する外力F1の作用方向である上側HUと反対側の主面に接続されている。
【0069】
これにより、接続部21に対して接続対象が接続された状態において、被覆電線10に対して導体11の延設方向(長手方向L)、かつ、平面板状部分から離間する方向(上側HU)に作用する外力F1が、導体接続部23に向かうように導体11に作用させることができる。このため、接続部21に対して接続対象が接続された状態において、導体11とバスバー20との溶接部30の損傷を低減することができる。
【0070】
また、被覆電線10に外力F1が作用した場合に、被覆電線10が延出する導体接続部23の縁部と被覆電線10とが当接するため、被覆電線10に作用した外力F1の一部は、導体接続部23に導体11が配置された長手方向Lに沿った変換外力F2に変換され、導体11と導体接続部23とを接続した溶接部30に作用する。そのため、被覆電線10に作用した外力F1が、溶接部30に及ぼす影響を低減することができる。
【0071】
したがって、被覆電線10に対して、導体接続部23から被覆電線10が延設する方向と交差する方向、かつ、平面板状部分から離間する方向に外力F1が作用したとしても、導体接続部23から剥離する方向に外力が作用することを防止できる。したがって、接続部21に対して接続対象が接続された状態において、導体11とバスバー20との接続箇所の損傷を低減できる
【0072】
また、接続部21は、主面が導体接続部23の主面と同方向に配置された板状部分を有し、導体接続部23における導体11が接続された主面は、接続部21に対して接続対象が接続される主面と同じ側としている。これにより、導体接続部23に接続された導体11と接続対象との間に、隙間がなく、導体接続部23から延設する被覆電線10が、接続部21に対して接続対象が接続されている方向(下側HD)に向けて湾曲するように力が作用することを阻害することができる。これにより、導体接続部23から導体11が剥がれることを防止できる。
【0073】
さらにまた、絶縁被覆12における先端側LFの端部は、被覆電線10が延出する導体接続部23の縁部よりも、導体接続部23側に配置されている。これにより、導体接続部23から被覆電線10が延設する方向と交差する方向、かつ、平面板状部分から離間する方向に外力F1が作用したとしても、導体接続部23の縁部に対して絶縁被覆12が当接するため、導体11が損傷することを防止できる。
【0074】
また、平面板状部分を有する導体接続部23に対して導体11を長手方向Lに沿って配置するとともに、接続部21に対して接続対象が接続された状態における、導体接続部23から被覆電線10が延設する方向と交差する方向、かつ、平面板状部分から離間する方向に作用する外力F1の高さ方向Hと反対側に接続することで接続金具付電線1を製造方法である。
【0075】
これにより、接続部21に対して接続対象が接続された状態において、被覆電線10に対して、導体接続部23から被覆電線10が延設する方向と交差する方向、かつ、平面板状部分から離間する方向に外力F1が作用したとしても、導体接続部23から導体11が剥離する方向に力が作用することを防止できる接続金具付電線1を容易に製造することができる。
【0076】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態における接続金具付電線1aについて、
図3乃至
図5を用いて説明する。
【0077】
上述の接続金具付電線1では、バスバー20における導体接続部23の基端側LBから被覆電線10が延伸されたが、
図3(a)に示すように、バスバー20における導体接続部23の基端側LBに筒状挿通変換部40が設けられてもよい。このような筒状挿通変換部40が設けられた接続金具付電線1aについて、
図3乃至
図5を用いて説明する。
【0078】
図3及び
図4は接続金具付電線1aの説明図を示し、
図5は接続金具付電線1aの製造方法についての説明図を示している。
詳述すると、
図3(a)は接続金具付電線1aの先端側LFかつ下側HDからの概略斜視図を示し、
図3(b)は
図4(a)に示すB-B矢視断面図を示し、
図3(c)は
図3(b)と同断面において筒状挿通変換部40の別の態様を図示している。
【0079】
図4(a)は接続金具付電線1aの底面図を示し、
図4(b)は
図4(a)に示すC-C矢視断面図を示している。
図5(a)はバスバー20に対して被覆電線10を配置した状態の概略斜視図を示し、
図5(b)はバスバー20の筒状挿通変換部40に被覆電線10を挿通した状態の概略斜視図を示す。
なお、以下の接続金具付電線1aの説明において、上述の接続金具付電線1aと同じ構成については同じ符号を付してその説明を省略する。
【0080】
接続金具付電線1aにおいて、バスバー20は、接続部21と中間部22と導体接続部23とがこの順で設けられ、適宜の幅方向Wの長さの導電性の板材を折り曲げて構成されている。そして、導体接続部23の基端側LBの端部における幅方向Wの中央には、基端側LBに向かって延出された筒状挿通変換部40が設けられている。
【0081】
筒状挿通変換部40は、長手方向Lの所定の長さを有し、
図3(b)に示すように、板材を幅方向Wの両側から丸めて略筒状に形成している。
なお、筒状挿通変換部40は、下側HDにおいて丸めた板材の端部同士の間にわずかな隙間を設けて曲げ加工されており、被覆電線10が挿通する略円筒状の挿通空間40X(
図3(b)参照)が内部に形成されている。
【0082】
被覆電線10が挿通する略円筒状の挿通空間40Xの径、つまり筒状挿通変換部40の内径は、被覆電線10の外形よりひと回り大きく形成されている。
また、筒状挿通変換部40における基端側LBの内面側の角部には、
図4(b)のa部拡大図に示すように、断面円弧状に面取りした面取部40Yを設けている。
【0083】
そして、このように形成された筒状挿通変換部40に対して被覆電線10が挿通され、被覆電線10における導体露出部分101の導体11が、導体接続部23において長手方向Lに沿って配置されるとともに、導体接続部23と導体11とが溶接されて溶接部30が形成されている。
【0084】
なお、このようにして構成された接続金具付電線1aでは、筒状挿通変換部40の内部の挿通空間40Xに、被覆電線10の被覆部分102の一部が挿通されているものの、挿通空間40Xの径が被覆電線10の被覆部分102における外径よりひと回り大きく形成されているため、挿通する被覆部分102は筒状挿通変換部40によって拘束されていない。
【0085】
続いて、接続金具付電線1aの製造方法について、
図5とともに説明する。
被覆電線10における先端側LFの所定長さ分の絶縁被覆12を剥がして、導体11を露出する導体露出部分101を形成し、
図5(a)に示すように、バスバー20の筒状挿通変換部40の基端側LBに配置する。
【0086】
次に、筒状挿通変換部40の基端側LBから、導体露出部分101において導体11が露出する被覆電線10を、筒状挿通変換部40の挿通空間40Xに挿通し、
図5(b)に示すように、バスバー20の導体接続部23において、導体露出部分101において露出する導体11を長手方向Lに沿って配置する。そして、導体接続部23の下面と、長手方向Lに沿って配置した導体11との境界部分を長手方向Lに溶接して接続金具付電線1aが完成する。
【0087】
このようにして構成された接続金具付電線1aは、接続金具付電線1と同様の効果を奏する。
具体的には、接続部21に対して接続対象が接続された状態において、長手方向Lと交差する上側HUの斜め方向に作用した外力F1を、導体11が導体接続部23に向かうように、導体11に作用させることができる。このため、接続部21に対して接続対象が接続された状態において、導体11とバスバー20との溶接部30の損傷を低減することができる。
【0088】
また、筒状挿通変換部40より基端側LBの被覆電線10に、
図3や
図4に示すように、長手方向Lと交差する上側HUの斜め方向の外力F1が被覆電線10に作用した場合に、筒状挿通変換部40の挿通空間40Xを挿通する被覆電線10の被覆部分102に外力F1が作用する。これにより、外力F1が作用する上側HUに被覆電線10は曲げられることとなる。
【0089】
被覆電線10が、上側HUに曲げられることにより、筒状挿通変換部40の基端側LBの端部に被覆電線10は当接することとなり、筒状挿通変換部40の基端側LBの端部と被覆電線10との当接箇所を支点として、外力F1は方向転換し、筒状挿通変換部40の基端側LBの端部より先端側LFの被覆電線10に基端側LBに向かう変換外力F2として作用する。この変換外力F2は、基端側LBの端部より先端側LFの被覆電線10を伝播し、溶接部30に対して基端側LBに向かう変換外力F2として作用することとなるが、長手方向Lに沿って延びる溶接部30は長手方向Lの力に対して高い抗力を有するため、基端側LBに向かう変換外力F2が溶接部30に作用しても、溶接部30が損傷することなく、接続状態を維持することができる。
【0090】
また、仮に被覆電線10に対して下側HDに向けて力が作用した場合においても、外力を長手方向Lに沿った変換外力F2に確実に変換させることができるため、導体接続部23と導体11とが接続された溶接部30が損傷することなく、接続状態を維持することができる。
【0091】
さらにまた、筒状挿通変換部40の基端側LBの端部と被覆電線10との当接箇所であって支点となる、筒状挿通変換部40の基端側LBの内面側の角部には、
図4(b)のa部拡大図に示すように、断面円弧状に面取りした面取部40Yを設けている。そのため、筒状挿通変換部40より基端側LBの被覆電線10に長手方向Lと異なる方向の外力F1が作用し、被覆電線10との当接箇所が支点となっても、筒状挿通変換部40の角部により、被覆電線10の絶縁被覆12が損傷することを防止できる。なお、面取部40Yは断面円弧状でなく、テーパー状の面取り部であってもよい。
【0092】
このように接続金具付電線1aは、接続金具付電線1に加えて、導体接続部23における被覆電線10が延出する側に、外力F1が作用すると、被覆電線10に当接して、外力F1を長手方向Lに沿った変換外力F2として、導体11と導体接続部23の溶接部30に作用するように変換する筒状挿通変換部40が設けられている。
【0093】
これにより、導体接続部23から延出する被覆電線10に外力F1が作用することで、被覆電線10が筒状挿通変換部40に当接するため、被覆電線10に作用した外力F1が、導体接続部23に導体11が配置された長手方向Lに沿った変換外力F2により確実に変換でき、変換外力F2を導体11と導体接続部23の溶接部30に作用させることができる。このため、より確実に、被覆電線10に作用した外力F1によって溶接部30に及ぼす影響を低減することができる。したがって、被覆電線10とバスバー20との導通をより確実に維持できる。
【0094】
また、筒状挿通変換部40は、被覆電線10が挿通しているため、導体接続部23から延出する被覆電線10に外力F1が作用しても、被覆電線10と筒状挿通変換部40とを確実に当接させることができるため、被覆電線10に作用する外力F1を変換外力F2に確実に変換することができる。これにより、溶接部30に対して長手方向Lに沿った変換外力F2としてより確実に作用させることができる。
【0095】
また、筒状挿通変換部40は、所定長さの被覆電線10が挿通される略筒状に形成されていることにより、被覆電線10が挿通する筒状挿通変換部40が、被覆電線10に作用する外力F1以外の力が作用しても、長手方向Lに沿った変換外力F2として変換し、溶接部30に作用させることができる。これにより、導体11とバスバー20との溶接部30の損傷を低減することができる。
【0096】
また、導体11を絶縁被覆12で被覆する被覆電線10における先端側LFの絶縁被覆12を剥がして露出させた導体11がバスバー20に接続された接続金具付電線1aの製造方法として、バスバー20に設けられた筒状挿通変換部40に被覆電線10を配置するとともに、導体11を、導体接続部23に対して長手方向Lに沿って配置し、導体11を、導体接続部23に溶接して接続する。
【0097】
これにより、被覆電線10に外力F1が作用しても、導体接続部23に導体11が配置された長手方向Lに沿った変換外力F2に変換でき、被覆電線10に作用した外力F1が溶接部30に及ぼす影響を低減することができる接続金具付電線1aを容易に製造することができる。
【0098】
また、筒状挿通変換部40に被覆電線10を挿通することにより、被覆電線10に作用する外力F1を溶接部30に対して長手方向Lに沿った変換外力F2に変換して、溶接部30に作用させることができる接続金具付電線1aの製造性を向上することができる。
【0099】
また、所定長さの被覆電線10が挿通される略筒状に形成された筒状挿通変換部40に、先端側LFの導体11が露出した被覆電線10を導体接続部23に向かって挿通するとともに、導体接続部23に対して導体11を長手方向Lに沿って配置し、長手方向Lに沿って配置した導体11を、導体接続部23に接続している。
【0100】
これにより、被覆電線10に作用する外力F1を接続箇所に対して長手方向Lに沿った変換外力F2に変換して、溶接部30に作用させることができる略筒状の筒状挿通変換部40に所定長さの被覆電線10を挿通するだけで接続金具付電線1aを製造でき、接続金具付電線1aの製造性を向上することができる。
【0101】
また、筒状挿通変換部40に被覆電線10を導体接続部23に向かって挿通するとともに、導体接続部23に対して導体11を長手方向Lに沿って配置してから、長手方向Lに沿って配置した導体11を導体接続部23に接続することができる。すなわち、導体接続部23に導体11を接続した後に、バスバー20を変形させることがないため、溶接部30に変形に伴う応力が発生することがなく、導体接続部23と導体11との接続状態を安定させることができる。
【0102】
なお、上述の接続金具付電線1aにおける筒状挿通変換部40は、
図3(b)に示すように、下側HDにおいて丸めた板材の端部同士の間にわずかな隙間を有するように曲げ加工されていたが、丸めた板材の端部同士が当接するように曲げ加工してもよい。また、丸めた板材の端部同士が下側HDでなく、
図3(c)に示すように、幅方向Wのいずれかなど、適宜の方向で対向するように形成してもよい。
これらの場合であっても、上述の接続金具付電線1aと同様の効果を奏することができる。
【0103】
また、上述の接続金具付電線1aでは、バスバー20における導体接続部23に対して筒状挿通変換部40が基端側LBに向かって延伸されたが、
図6(b)に示すように、導体接続部23に対して傾斜する傾斜挿通変換部40bであってもよい。導体接続部23に対して傾斜挿通変換部40bが傾斜する接続金具付電線1bについて
図6及び
図7とともに説明する。
【0104】
図6は接続金具付電線1aの変形例である接続金具付電線1bの製造方法についての説明図を示し、
図7は接続金具付電線1の変形例である接続金具付電線1bの説明図を示している。
詳しくは、
図6(a)は上述したように接続金具付電線1aの基端側LBかつ下側HDからの概略斜視図を示し、
図6(b)は導体接続部23に対して傾斜挿通変換部40bが傾斜した接続金具付電線1bの基端側LBかつ下側HDからの概略斜視図を示している。
図7(a)は接続金具付電線1aの
図4(a)に示すC-C矢視断面図を示し、
図7(b)は接続金具付電線1bの同断面位置の断面図を示している。
なお、以下の接続金具付電線1bの説明において、上述の接続金具付電線1,1aと同じ構成については同じ符号を付してその説明を省略する。
【0105】
導体接続部23の基端側LBの端部に接続された筒状挿通変換部40が基端側LBに向かって延びる接続金具付電線1aと異なり、接続金具付電線1bは、導体接続部23の基端側LB端部に接続された傾斜挿通変換部40bが、基端側LBに向かって上側HUとなる上向きに傾斜する傾斜姿勢である。傾斜挿通変換部40bが傾斜姿勢であること以外、上述の筒状挿通変換部40と同じ構成であるため、その説明を省略する。
【0106】
傾斜挿通変換部40bが傾斜姿勢である接続金具付電線1bは、
図6及び
図7に示すように、上述の接続金具付電線1aにおける筒状挿通変換部40の基端側LBの端部を上側HUに上げるように傾斜させて構成することができる。なお、バスバー20において、筒状挿通変換部40に被覆電線10を挿通する前に、導体接続部23に対して筒状挿通変換部40を傾斜させてから、被覆電線10を挿通し、導体露出部分101の導体11を導体接続部23に対して長手方向Lに沿って配置し、溶接して溶接部30を形成して接続金具付電線1bを構成してもよい。
【0107】
このように構成した接続金具付電線1bは、上述の接続金具付電線1aが奏する効果と同等の効果を奏する。具体的には、外力F1が、導体接続部23に向かうように導体11に作用させることができる。このため、接続部21に対して接続対象が接続された状態において、導体11とバスバー20との溶接部30の損傷を低減することができる。
【0108】
また、傾斜挿通変換部40bより基端側LBの被覆電線10に外力F1が作用しても、傾斜挿通変換部40bの基端側LBの端部に被覆電線10が当接して、被覆電線10に作用する外力F1の一部を変換し、導体接続部23に導体11を溶接する溶接部30に基端側LBに向かう変換外力F2として作用させることができ、溶接部30は損傷することなく、接続状態を維持することができる。なお、外力F1のうち、一部は変換外力F2に変換され、その他は上側HUへの力となるため、導体接続部23に向かうように導体11に力を作用させることができ、接続部21に対して接続対象が接続された状態において、導体11とバスバー20との溶接部30の損傷を低減することができる。
【0109】
また、接続金具付電線1bは、傾斜挿通変換部40bが平面板状の導体接続部23に対して基端側LBが上側HUに傾斜する傾斜姿勢であるため、導体接続部23から延出する被覆電線10に曲げが生じることを抑制できる。
【0110】
また、傾斜挿通変換部40bの基端側LBの端部と被覆電線10との当接箇所であって支点となる、傾斜挿通変換部40bの基端側LBの内面側端部の角部に断面円弧状に面取りした面取部40Yを設けているため、傾斜挿通変換部40bより基端側LBの被覆電線10に長手方向Lと異なる方向の外力F1が作用し、被覆電線10との当接箇所が支点となっても、傾斜挿通変換部40bの角部が被覆電線10の絶縁被覆12が損傷することを防止できる。なお、面取部40Yは断面円弧状でなく、テーパー状の面取り部であってもよい。
【0111】
なお、上述の接続金具付電線1bの説明では、接続金具付電線1bにおける傾斜挿通変換部40bは、基端側LBに向かって上側HUとなる上向きに傾斜する傾斜姿勢であったが、幅方向Wのいずれかや下側HD、あるいは高さ方向H且つ幅方向Wの斜め方向に傾斜する傾斜姿勢であってもよい。さらには、傾斜挿通変換部40bにおける長手方向Lの途中部分で傾斜方向が変わるように構成してもよい。
【0112】
さらにまた、上述の接続金具付電線1a,1bでは、挿通変換部40,40bに被覆電線10における被覆部分102が挿通されたが、
図8及び
図9に示すように、被覆電線10における導体露出部分101が筒状挿通変換部40に挿通されてもよい。筒状挿通変換部40に導体露出部分101が挿通された接続金具付電線1cについて
図8乃至
図10とともに説明する。
【0113】
図8及び
図9は接続金具付電線1aのさらなる変形例である接続金具付電線1cの説明図を示し、
図10は接続金具付電線1cの製造方法についての説明図を示している。
なお、以下の接続金具付電線1cの説明において、上述の接続金具付電線1,1aと同じ構成については同じ符号を付してその説明を省略する。
【0114】
被覆電線10の被覆部分102が筒状挿通変換部40の挿通空間40Xに挿通された上述の接続金具付電線1aと異なり、絶縁被覆12が剥がれて導体11が露出した導体露出部分101が筒状挿通変換部40の挿通空間40Xを挿通している。
より詳しくは、接続金具付電線1cは、被覆部分102の導体11に緩衝材50を装着して筒状挿通変換部40の挿通空間40Xに挿通している。
【0115】
緩衝材50は、スポンジ、ゴム、布帛など適宜の緩衝作用を有する素材で構成され、筒状挿通変換部40の内面よりひと回り大きな径、且つ筒状挿通変換部40の長手方向Lの長さより長い円柱状に形成している。
上述のような緩衝材50を導体11に装着して筒状挿通変換部40の挿通空間40Xに挿通することで、被覆電線10の外形より細径である導体11と、筒状挿通変換部40の内面との間を埋めることができる。
【0116】
上述の接続金具付電線1cは、
図10に示すように製造される。
具体的には、
図10(a)に示すように、先端側LFの所定長さの絶縁被覆12を剥がして導体11を露出された接続金具付電線1の被覆電線10より長く絶縁被覆12を剥がし、長い導体11が露出した被覆電線10bにおける導体露出部分101の導体11に緩衝材50を装着する。
【0117】
なお、被覆電線10bを構成するための絶縁被覆12を剥がす長さ、つまり導体11が露出する導体露出部分101の長さは、導体接続部23に絶縁被覆12を配置する長さに、筒状挿通変換部40の長手方向Lの長さを加え、さらに余裕を持たせた長さで形成している。
【0118】
また、緩衝材50は、導体露出部分101における導体11の先端側LFから、導体接続部23に配置する長さ分より基端側LBに装着する。
そして、
図10(b)に示すように、筒状挿通変換部40に対して基端側LBから先端側LFに向かって被覆電線10bを挿通し、導体接続部23において導体11を長手方向Lに沿って配置する。このとき、導体露出部分101における導体11に装着した緩衝材50が筒状挿通変換部40の長手方向Lの両端から露出するように配置する。この状態で、導体接続部23の上面に配置した導体11と導体接続部23とを溶接して溶接部30を形成し、接続金具付電線1cは完成する。
【0119】
このように構成した接続金具付電線1cは、上述の接続金具付電線1aが奏する効果と同等の効果を奏する。具体的には、外力F1が、導体接続部23に向かうように導体11に作用させることができる。このため、接続部21に対して接続対象が接続された状態において、導体11とバスバー20との溶接部30の損傷を低減することができる。
【0120】
また、筒状挿通変換部40より基端側LBの被覆電線10bに外力F1が作用しても、筒状挿通変換部40の基端側LBの端部に緩衝材50を介して被覆電線10bが当接して、被覆電線10bに作用する外力F1を変換し、導体接続部23に導体11を溶接する溶接部30に基端側LBに向かう変換外力F2として作用させることができ、溶接部30は損傷することなく、接続状態を維持することができる。
【0121】
また、筒状挿通変換部40と、筒状挿通変換部40に挿通された被覆電線10bとの間に緩衝材50が配置されているため、被覆電線10bに作用する外力F1を変換する際に、緩衝材50を介して筒状挿通変換部40に当接し、被覆電線10bが損傷することを防止できる。
【0122】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態における接続金具付電線1dについて、
図11乃至
図14を用いて説明する。
【0123】
図11は第3実施形態の接続金具付電線1dの説明図を示し、
図12は第3実施形態の接続金具付電線1dの基端側LBかつ下側HDからの概略斜視図を示し、
図13は第3実施形態の接続金具付電線1dの説明図を示し、
図14は第3実施形態の接続金具付電線1dの製造方法についての説明図を示している。
なお、以下の接続金具付電線1dの説明において、上述の実施形態の接続金具付電線1,1a,1b,1cにおける構成と同じ構成については、同じ符号を付してその説明を省略する。
【0124】
接続金具付電線1dは、バスバー20と被覆電線10,10bを接続した接続金具付電線1~1cと異なり、後述するように、バレル部41のバレル片42を曲げ返したバレル挿通部40dを備えたバスバー20dに被覆電線10を接続している。
【0125】
詳述すると、バレル挿通部40dを有するバスバー20dは、バスバー20と同じ構成の接続部21、中間部22及び導体接続部23を備え、導体接続部23の基端側LBの端部から基端側LBに延びるバレル挿通部40dが設けられている。なお、バレル挿通部40dは、バレル部41で構成している。
【0126】
バレル挿通部40dを構成するバレル部41は、導体接続部23の幅方向Wの中央から基端側LBに延びる底部43と、底部43の幅方向Wの両側から、幅方向Wの外側且つ下側HDに向かう斜め方向に延出された一対のバレル片42とで構成され、バレル片42の変形前では、基端側LBから視てバレル部41は略U字状に形成されている(
図14(a),(b)参照)。
【0127】
このように、バレル片42と底部43とで基端側LBから視て略U字状に形成されたバレル部41は、一対のバレル片42をそれぞれ幅方向Wの内側に向かうとともに、その先端が下側HDに向かうように基端側LBから視て半円状に曲げ返されて、
図11(b)及び
図12に示すように、断面略ハート形状で、所定長さの筒状に形成されている。
【0128】
上述の構成のバスバー20dに被覆電線10を接続した接続金具付電線1dの製造方法について
図14とともに説明する。
まず、
図14(a)に示すように、底部43の幅方向Wの両側から幅方向Wの外側かつ下側HDに延出する一対のバレル片42を備えたバレル部41を有するバスバー20dの基端側LBに被覆電線10を配置する。
【0129】
バレル部41の基端側LBから、被覆電線10をバレル部41の底部43に配置する。このとき、導体露出部分101を導体接続部23において長手方向Lに沿うように配置するとともに、バレル部41の内部に被覆部分102の一部が位置するように配置する(
図14(b)参照)。
【0130】
そして、導体接続部23において長手方向Lに沿うように配置した導体露出部分101の導体11と導体接続部23とを長手方向Lに溶接して溶接部30を形成するとともに、図示省略するカシメ装置でバレル部41をカシメて、つまりバレル部41のバレル片42に曲げ加工を施して、上述の断面のバレル挿通部40dを形成して接続金具付電線1dは完成する(
図14(c)参照)。
【0131】
このように構成した接続金具付電線1dは、上述の接続金具付電線1aが奏する効果と同等の効果を奏する。具体的には、外力F1が、導体接続部23に向かうように導体11に作用させることができる。このため、接続部21に対して接続対象が接続された状態において、導体11とバスバー20との溶接部30の損傷を低減することができる。
【0132】
また、バレル挿通部40dより基端側LBの被覆電線10に外力F1が作用しても、バレル挿通部40dの基端側LBの端部に被覆電線10が当接して、被覆電線10に作用する外力F1を変換し、導体接続部23に導体11を溶接する溶接部30に基端側LBに向かう変換外力F2として作用させることができ、溶接部30は損傷することなく、接続状態を維持することができる(
図13参照)。
【0133】
また、接続金具付電線1dにおけるバレル挿通部40dは、底部43と、底部43から延出されたバレル片42とを有するバレル部41におけるバレル片42を曲げて、所定長さの被覆電線10が挿通される略筒状に形成されているため、所定長さの被覆電線10が略筒状に形成されたバレル挿通部40dを挿通する。そのため、被覆電線10に作用する外力F1を、被覆電線10が挿通する筒状挿通変換部40が変換して溶接部30に対して長手方向Lに沿った変換外力F2に変換し、溶接部30に作用させることができる。
【0134】
さらにまた、内部を挿通する被覆電線10を圧着することがないため、被覆電線10を挿通する前に、バレル片42を曲げて略筒状の筒状挿通変換部40を構成することもできる。仮に、被覆電線10を挿通する前に、バレル片42を曲げて略筒状の筒状挿通変換部40を構成する場合、導体接続部23に導体11を接続した後に、バスバー20を変形させることがないため、溶接部30に変形に伴う応力が発生することがなく、導体接続部23と導体11との溶接部30の接続状態を安定させることができる。
【0135】
加えて、導体接続部23に対して導体11を長手方向Lに沿って配置し、長手方向Lに沿って配置した導体11を、導体接続部23に溶接し、バレル片42を曲げて、所定長さの被覆電線10が挿通される略筒状に形成するが、変換外力F2が導体11の溶接部30に加わらないようにバレル部41で被覆電線10をしっかりと圧着する必要がないため、バレル部41におけるバレル片42の曲げ管理がしやすくなり、接続金具付電線1dの製造性を向上することができる。
【0136】
なお、接続金具付電線1dのバレル挿通部40dにおける基端側LBの内面側の角部に面取部40Yを設けてもよい。バレル挿通部40dの基端側LBの内面側の角部に面取部40Yを設けることで、上述の接続金具付電線1aの筒状挿通変換部40に面取部40Yを設けたことによる効果と同じ効果を奏することができる。
【0137】
また、上述の接続金具付電線1dの説明では、接続金具付電線1dにおけるバレル挿通部40dに被覆電線10を挿通したが、
図15乃至
図17に示すように、緩衝材50を装着した被覆部分102をバレル挿通部40dに挿通してもよい。緩衝材50を装着した被覆部分102をバレル挿通部40dに挿通する接続金具付電線1eについて
図15乃至
図17とともに説明する。
【0138】
図15及び
図16は第3実施形態の接続金具付電線1dの変形例である接続金具付電線1eの説明図を示し、
図17は第3実施形態の接続金具付電線1dの変形例である接続金具付電線1eの製造方法についての説明図を示している。
なお、以下の接続金具付電線1eの説明において、上述の実施形態の接続金具付電線1~1dにおける構成と同じ構成については、同じ符号を付してその説明を省略する。
【0139】
接続金具付電線1eは、バレル挿通部40dに挿通する被覆部分102の該当部分に緩衝材50を装着して、バレル挿通部40dに挿通している。
そのため、
図15(b)に示すように、被覆部分102とバレル挿通部40dの内面との間に緩衝材50が介在することとなる。
【0140】
このように構成される接続金具付電線1eは、
図17(a)に示すように、被覆電線10におけるバレル挿通部40dに挿通する部分にあらかじめ緩衝材50を装着し、バスバー20dの基端側LBに配置する。
【0141】
そして、被覆部分102において緩衝材50が装着された部分がバレル部41における底部43に位置するように配置するとともに、導体露出部分101を構成する導体11を導体接続部23において長手方向Lに沿って配置する(
図17(b)参照)。
【0142】
そして、導体接続部23において長手方向Lに沿うように配置した導体露出部分101の導体11と導体接続部23とを長手方向Lに溶接して溶接部30を形成するとともに、図示省略するカシメ装置でバレル部41をカシメて、つまりバレル部41のバレル片42に曲げ加工を施して、上述の断面のバレル挿通部40dを形成して接続金具付電線1eは完成する(
図17(c)参照)。
【0143】
このように構成した接続金具付電線1eは、上述の接続金具付電線1dが奏する効果と同等の効果を奏する。具体的には、外力F1が、導体接続部23に向かうように導体11に作用させることができる。このため、接続部21に対して接続対象が接続された状態において、導体11とバスバー20との溶接部30の損傷を低減することができる。
【0144】
また、バレル挿通部40dより基端側LBの被覆電線10に外力F1が作用しても、バレル挿通部40dの基端側LBの端部に緩衝材50を介して被覆電線10が当接して、被覆電線10に作用する外力F1を変換し、導体接続部23に導体11を溶接する溶接部30に基端側LBに向かう変換外力F2として作用させることができ、溶接部30は損傷することなく、接続状態を維持することができる(
図16参照)。
【0145】
また、接続金具付電線1eは、バレル部41で構成されたバレル挿通部40dと、バレル挿通部40dに挿通された被覆電線10b(102)との間に緩衝材50が配置されるため、被覆電線10bに作用する外力F1を変換する際やバレル部41のバレル片42に曲げ加工を施してバレル挿通部40dを形成する際に、被覆電線10bが損傷することを防止できる。
【0146】
なお、上述の接続金具付電線1d,1eの製造方法において、導体接続部23において長手方向Lに沿うように配置した導体露出部分101の導体11と導体接続部23とを長手方向Lに溶接して溶接部30を形成するとともに、図示省略するカシメ装置でバレル部41をカシメたが、バレル部41を図示省略するカシメ装置でバレル部41をカシメてから、導体接続部23において長手方向Lに沿うように配置した導体露出部分101の導体11と導体接続部23とを長手方向Lに溶接して溶接部30を形成してもよい。
【0147】
(第4実施形態)
続いて、第4実施形態における接続金具付電線1fについて、
図18乃至
図20を用いて説明する。
【0148】
図18及び
図19は第4実施形態の接続金具付電線1fの説明図を示し、
図20は第4実施形態の接続金具付電線1fの製造方法についての説明図を示ししている。
なお、以下の接続金具付電線1fの説明において、上述の実施形態の接続金具付電線1~1eにおける構成と同じ構成については、同じ符号を付してその説明を省略する。
【0149】
上述の接続金具付電線1~1eの説明では、挿通変換部として、筒状の筒状挿通変換部40に被覆電線10を挿通したが、接続金具付電線1fは、後述するように、枠状に形成された枠状挿通変換部40fに被覆電線10を挿通している。
【0150】
詳述すると、枠状挿通変換部40fを有するバスバー20fにおける接続部21、中間部22及び導体接続部23の構成は上述のバスバー20と同じ構成である。
バスバー20fの導体接続部23の基端側LBの端部から下側HDに延びる枠状挿通変換部40fは、導体接続部23の上面から下側HDに所定間隔を隔てて下側HDに配置され、幅方向Wに延びる離間方向規制部44と、離間方向規制部44の幅方向Wの両側から上側HUに延びる一対の脚部45とで、門型状に形成している。
【0151】
離間方向規制部44と一対の脚部45とで門型状に形成した枠状挿通変換部40fは、導体接続部23の基端側LBの端部から下側HDに向かって突出するように設けられ、離間方向規制部44と一対の脚部45とで囲われる内部開口40Xfに被覆電線10の被覆部分102を挿通可能に構成している。
【0152】
なお、枠状挿通変換部40fは、導体接続部23の基端側LBの端部から基端側LBに向かって一体形成され、下側HDに向かって折り曲げて形成されている。そのため、枠状挿通変換部40fは、長手方向Lの厚みが、バスバー20fの高さ方向Hの厚みと同じで形成されている。
【0153】
このように構成された枠状挿通変換部40fの内部開口40Xfに挿通した被覆電線10は、導体接続部23から下側HDへの移動を離間方向規制部44で規制され、導体接続部23から幅方向Wへの移動を脚部45で規制することができる。
【0154】
このように構成されたバスバー20fに被覆電線10を接続して構成する接続金具付電線1fは、
図20に示す製造方法で製造する。
具体的には、
図20(a)に示すように、枠状挿通変換部40fの基端側LBに被覆電線10を配置する。次に、
図20(b)に示すように、枠状挿通変換部40fに対して基端側LBから被覆電線10を挿入するとともに、導体露出部分101の導体11を導体接続部23において長手方向Lに沿って配置する。
【0155】
そして、導体接続部23において長手方向Lに沿うように配置した導体露出部分101の導体11と導体接続部23とを長手方向Lに溶接して溶接部30を形成して接続金具付電線1fは完成する。
【0156】
このように構成した接続金具付電線1fは、上述の接続金具付電線1aが奏する効果と同等の効果を奏する。具体的には、外力F1が、導体接続部23に向かうように導体11に作用させることができる。このため、接続部21に対して接続対象が接続された状態において、導体11とバスバー20との溶接部30の損傷を低減することができる。
【0157】
また、枠状挿通変換部40fより基端側LBの被覆電線10に外力F1が作用しても、枠状挿通変換部40fに被覆電線10が当接して、被覆電線10に作用する外力F1を変換し、導体接続部23に導体11を溶接する溶接部30に基端側LBに向かう変換外力F2として作用させることができ、溶接部30は損傷することなく、接続状態を維持することができる。
【0158】
さらにまた、接続金具付電線1fは、導体接続部23は平面状であり、枠状挿通変換部40fは、導体接続部23における基端側LBの端部に設けられ、導体11が接続された平面板状部分から下側HDの被覆電線10の移動を規制する離間方向規制部44と、幅方向Wの被覆電線10の移動を規制する一対の脚部45とで門型状に形成され、平面部分より突出するため、枠状挿通変換部40fに被覆電線10を容易に挿通することができ、枠状挿通変換部40fに挿通した被覆電線10に、上側HU以外の方向に対して作用する力を、離間方向規制部44が溶接部30に対して長手方向Lに沿った変換外力F2に変換することができる。
【0159】
さらにまた、導体接続部23における基端側LBの端部に設けられ、導体11が接続された平面板状部分から下側HDの被覆電線10の移動を規制する離間方向規制部44と、幅方向Wの被覆電線10の移動を規制する一対の脚部45とで門型状に形成され、平面部分より突出する枠状挿通変換部40fに、先端側LFの導体11が露出した被覆電線10を導体接続部23に向かって挿通するとともに、平面上の導体接続部23に対して導体11を長手方向Lに沿って配置し、長手方向Lに沿って配置した導体11を、導体接続部23に溶接するため、接続金具付電線1fの製造性を向上することができる。
【0160】
また、枠状挿通変換部40fに被覆電線10を挿通し、導体11を導体接続部23に溶接して溶接部30を形成して接続金具付電線1fは完成するため、導体11を導体接続部23に溶接した後に、バスバー20を変形させることがないため、導体11と導体接続部23とを接続する溶接部30に変形に伴う応力が発生することがなく、導体接続部23と被覆電線10とを接続する溶接部30の接続状態を安定させることができる。
【0161】
なお、接続金具付電線1fの枠状挿通変換部40fにおける基端側LBの内面側の角部に面取部40Yを設けてもよい。枠状挿通変換部40fの基端側LBの内面側の角部に面取部40Yを設けることで、上述の接続金具付電線1の筒状挿通変換部40に面取部40Yを設けたことによる効果と同じ効果を奏することができる。
【0162】
また、上述の接続金具付電線1fの説明では、接続金具付電線1fにおける枠状挿通変換部40fに被覆電線10を挿通したが、
図21乃至
図23に示すように、緩衝材50を装着した被覆部分102を枠状挿通変換部40fに挿通してもよい。緩衝材50を装着した被覆部分102を枠状挿通変換部40fに挿通する接続金具付電線1gについて
図21乃至
図23とともに説明する。
【0163】
図21及び
図22は第4実施形態の接続金具付電線1fの変形例である接続金具付電線1gの説明図を示し、
図23は第4実施形態の接続金具付電線1fの変形例である接続金具付電線1gの製造方法についての説明図を示している。
なお、以下の接続金具付電線1gの説明において、上述の実施形態の接続金具付電線1~1fにおける構成と同じ構成については、同じ符号を付してその説明を省略する。
【0164】
接続金具付電線1gは、枠状挿通変換部40fに挿通する被覆部分102の該当部分に緩衝材50を装着して、枠状挿通変換部40fに挿通している。
そのため、
図21(b)に示すように、被覆部分102と枠状挿通変換部40fの内面との間に緩衝材50が介在することとなる。
【0165】
このように構成される接続金具付電線1gは、
図23(a)に示すように、被覆電線10における枠状挿通変換部40fに挿通する部分にあらかじめ緩衝材50を装着し、バスバー20fの基端側LBに配置する。
【0166】
そして、被覆部分102において緩衝材50が装着された部分が枠状挿通変換部40fにおける内部開口40Xfに挿通するとともに、導体露出部分101を構成する導体11を導体接続部23において長手方向Lに沿って配置する(
図23(b)参照)。
【0167】
そして、導体接続部23において長手方向Lに沿うように配置した導体露出部分101の導体11と導体接続部23とを長手方向Lに溶接して溶接部30を形成して接続金具付電線1gは完成する(
図23(c)参照)。
【0168】
このように構成した接続金具付電線1gは、上述の接続金具付電線1fが奏する効果と同等の効果を奏する。具体的には、外力F1が、導体接続部23に向かうように導体11に作用させることができる。このため、接続部21に対して接続対象が接続された状態において、導体11とバスバー20との溶接部30の損傷を低減することができる。
【0169】
また、枠状挿通変換部40fより基端側LBの被覆電線10に外力F1以外の力が作用しても、枠状挿通変換部40fに緩衝材50を介して被覆電線10が当接して、被覆電線10に作用する力を変換し、導体接続部23に導体11を溶接する溶接部30に基端側LBに向かう変換外力F2として作用させることができ、溶接部30は損傷することなく、接続状態を維持することができる(
図22参照)。
【0170】
また、接続金具付電線1gは、枠状挿通変換部40fと、枠状挿通変換部40fに挿通された被覆電線10との間に緩衝材50が配置されているため、被覆電線10に作用する外力F1を変換する際に、緩衝材50を介して枠状挿通変換部40fに当接し、被覆電線10が損傷することを防止できる。
【0171】
なお、上述の枠状挿通変換部40fは、導体接続部23の下面から下側HDに所定間隔を隔てた離間方向規制部44と、離間方向規制部44の幅方向Wの両側から下側HDに延びる脚部一対の脚部45とで、門型状に形成したが、
図17(d)に示すように、離間方向規制部44と一対の脚部45とが連続して円弧状に形成されてもよい。このように形成した円弧状の脚部45であっても、門型状の脚部45と同様の効果を奏することができる。
【0172】
(第5実施形態)
さらに、第5実施形態における接続金具付電線1hについて、
図24乃至
図26を用いて説明する。
【0173】
図24及び
図25は第5実施形態の接続金具付電線1hの説明図を示し、
図26は第5実施形態の接続金具付電線1hの製造方法についての説明図を示している。
なお、以下の接続金具付電線1hの説明において、上述の実施形態の接続金具付電線1~1eにおける構成と同じ構成については、同じ符号を付してその説明を省略する。
【0174】
上述の接続金具付電線1fの説明では、挿通変換部として、門型状の枠状挿通変換部40fの内部開口40Xfに被覆電線10を挿通したが、接続金具付電線1hは、後述するように、枠状に形成された枠状挿通変換部40hを挿通変換部として備えている。
詳述すると、枠状挿通変換部40hを有するバスバー20hにおける接続部21、中間部22及び導体接続部23の構成は上述のバスバー20と同じ構成である。
【0175】
導体接続部23の基端側LBの端部から下側HDに突出する枠状挿通変換部40fを有するバスバー20fと異なり、接続金具付電線1hのバスバー20hは、幅方向Wに延びる離間方向規制部47と、離間方向規制部47の幅方向Wの両側から上側HUに延びる一対の脚部48とで構成する門型部分46が導体接続部23の基端側LBの端部から所定間隔を隔てて配置され、脚部48の上側HUの端部と導体接続部23の基端側LBの端部とを一対の連結部49とで連結して構成している。また、連結部49によって導体接続部23の基端側LBの端部と連結された門型部分46が先端側LFに向かって傾斜する前傾姿勢となっている。
【0176】
このように構成されたバスバー20hに被覆電線10を接続して構成する接続金具付電線1hは、
図26に示す製造方法で製造する。
具体的には、
図26(a)に示すように、枠状挿通変換部40hの基端側LBに被覆電線10を配置する。そして、
図26(b)に示すように、枠状挿通変換部40hに対して基端側LBから被覆電線10を挿入するとともに、導体露出部分101の導体11を導体接続部23において長手方向Lに沿って配置する(
図26(b)参照)。
【0177】
そして、導体接続部23において長手方向Lに沿うように配置した導体露出部分101の導体11と導体接続部23とを長手方向Lに溶接して溶接部30を形成し(
図26(c)参照)、門型部分46の下側HDが先端側LFとなるように傾斜させて接続金具付電線1hは完成する。
【0178】
このように接続金具付電線1hは、上述の接続金具付電線1fが奏する効果と同等の効果を奏する。具体的には、外力F1が、導体接続部23に向かうように導体11に作用させることができる。このため、接続部21に対して接続対象が接続された状態において、導体11とバスバー20との溶接部30の損傷を低減することができる。
【0179】
また、接続金具付電線1hにおいて、枠状挿通変換部40hは、導体接続部23の端部から所定間隔を隔てて配置され、脚部48のそれぞれと導体接続部23の端部とを連結する連結部49が設けられるとともに、導体接続部23が配置された側に向かって傾斜する傾斜姿勢である。
【0180】
これにより、連結部49で導体接続部23の端部と連結された枠状体が、導体接続部23が配置された側に向かって傾斜する傾斜姿勢であるため、導体接続部23から延出する被覆電線10に、下側HDへの力が作用した場合であっても、被覆電線10が連結部49から離間することを防止できとともに、離間方向規制部44が溶接部30に対して長手方向Lに沿った変換外力F2に変換することができる。このため、導体接続部23と導体11との溶接部30に作用する力の影響を低下させることができる。
【0181】
なお、枠状挿通変換部40fを構成する門型部分46は、導体接続部23の基端側LBの端部から離間させて配置するとともに、門型部分46の脚部48を連結部49で導体接続部23と連結しているため、被覆電線10に生じる曲げが緩やかになり、被覆電線10にかかる負荷を軽減することができる。
【0182】
この発明の構成と、上述の実施形態との対応において、
この発明の導体は、導体11に対応し、
以下同様に、
絶縁被覆は、絶縁被覆12に対応し、
被覆電線は、被覆電線10,10bに対応し、
接続金具は、バスバー20,20d,20fに対応し、
接続部は、接続部21に対応し、
導体接続部は、導体接続部23に対応し、
所定方向は、長手方向Lに対応し、
被覆電線が延出する方向は、長手方向Lに対応し、
外力は、外力F1に対応し、
外力の作用方向する方向は、上側HUに対応し、
接続箇所は、溶接部30に対応し、
接続金具付電線は、接続金具付電線1,1a,1b,1c,1d,1e,1f,1g,1hに対応し、
交差方向の外力は、外力F1に対応し、
引っ張り力は、変換外力F2に対応し、
変換部は、筒状挿通変換部40,傾斜挿通変換部40b,バレル挿通部40d,枠状挿通変換部40f,枠状挿通変換部40hに対応し、
挿通変換部は、筒状挿通変換部40,傾斜挿通変換部40b,バレル挿通部40d,枠状挿通変換部40f,枠状挿通変換部40hに対応し、
底部は、底部43に対応し、
バレル片は、バレル片42に対応し、
バレル部は、バレル部41に対応し、
離間する方向は、下側HDに対応し、
離間規制部は、離間方向規制部44,37に対応し、
離間する方向に対して交差方向は、幅方向Wに対応し、
脚部は、脚部45,38に対応し、
枠状は、門型状に対応し、
枠状体は、枠状挿通変換部40f,門型部分46に対応し、
連結部は、連結部49に対応し、
緩衝材は、緩衝材50に対応するが、この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施形態を得ることができる。
【0183】
例えば、導体接続部23に対して導体11を長手方向Lに沿って配置したが、幅方向Wや斜め方向に沿って配置してもよい。
また、上述のバスバー20,20d,20f,20hは、接続部21、中間部22及び導体接続部23をこの順で配置し階段状に形成したが、例えば、正極あるいは負極を構成する電極端子で構成し、ケースに対して複数配置して電池モジュールを構成してもよい。その場合、導体接続部23に対してふたつの接続部21及び中間部22が設けられ、二股状のバスバーを構成してもよい。さらには、板状のバスバー20,20d,20f,20hではなく、接続端子に挿通変換部40,40d,40f,40hを備え、被覆電線10,10bを接続してもよい。
【0184】
また、導体接続部23に対して導体11を溶接して溶接部30を形成して接続したが、導電性接着剤による接着、あるいはカシメなどによって、導電可能に導体接続部23に対して導体11を一体化してもよい。
【0185】
上述の挿通変換部40,40d,40f,40hは、導体接続部23から延出する被覆電線10,10bを挿通させるように、断面方向の全周を囲うように形成したが、例えば、導体接続部23の基端側LBの端部において、下側HDに延伸する支柱と、支柱の先端から幅方向Wに延びる離間規制部とで長手方向Lから視て逆L字型やT字型で形成し、支柱、離間規制部及び導体接続部23で略囲まれる空間に被覆電線10,10bを挿通してもよい。
【0186】
また、上述の挿通変換部40,40dは、長手方向Lに直交する断面が、円形でなく、楕円形、多角形の閉鎖断面、挿通する被覆電線10,10bが通過できない開口を有するC型、U型、角形U状などの開放断面で形成してもよい。
【0187】
また上述のバレル部41で構成するバレル挿通部40dは、曲げ返されたバレル片42の端部同士が略当接する略閉鎖断面で構成されたが、バレル片42の端部同士が挿通する被覆電線10,10bが通過できない隙間を設けて曲げ返された開放断面で構成してもよい。
上述の傾斜挿通変換部40bは、平面状の導体接続部23に対して基端側LBに向かって上側HUに傾斜させたが、挿通変換部40,40dを幅方向Wや斜め方向に傾斜させてもよい。
【0188】
上述の導体11が接続された平面板状部分から下側HDの被覆電線10,10bの移動を規制する離間方向規制部44,47と、幅方向Wの被覆電線10,10bの移動を規制する一対の脚部45,48とで枠状挿通変換部40f及び枠状挿通変換部40hを門型状に形成したが、離間方向規制部44,47と脚部45,48とでU字状、H字状など、あるいは半円状、半楕円状などに形成してもよい。さらには、互いに向かって傾斜する一対の脚部45,48の交差部分を離間方向規制部44,47とする略三角形状に形成してもよい。
【0189】
また、接続金具付電線1hにおいて、一対の連結部49が、門型部分46を構成する一対の脚部48のそれぞれを導体接続部23の基端側LBの端部と連結したが、導体接続部23の幅方向Wの中央から延びる1本の連結部49で一対の脚部48を連結してもよい。
【符号の説明】
【0190】
1,1a,1b,1c,1d,1e,1f,1g,1h…接続金具付電線
10,10b…被覆電線
11…導体
12…絶縁被覆
20,20d,20f…バスバー
21…接続部
23…導体接続部
30…溶接部30
40…筒状挿通変換部
40b…傾斜挿通変換部
40d…バレル挿通部40
40f…枠状挿通変換部40
41…バレル部
42…バレル片
43…底部
44,47…離間方向規制部
45,48…脚部
46…門型部分
49…連結部
50…緩衝材
F1…外力
F2…変換外力
L…長手方向
HU…上側
HD…下側
W…幅方向