IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 住友精化株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-乳化組成物 図1
  • 特開-乳化組成物 図2
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024045232
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】乳化組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/81 20060101AFI20240326BHJP
   A61Q 1/04 20060101ALI20240326BHJP
   A61Q 19/10 20060101ALI20240326BHJP
   A61K 8/31 20060101ALI20240326BHJP
   A61K 8/60 20060101ALI20240326BHJP
   C09K 23/52 20220101ALI20240326BHJP
【FI】
A61K8/81
A61Q1/04
A61Q19/10
A61K8/31
A61K8/60
C09K23/52
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【公開請求】
(21)【出願番号】P 2024004167
(22)【出願日】2024-01-15
(71)【出願人】
【識別番号】000195661
【氏名又は名称】住友精化株式会社
(72)【発明者】
【氏名】木下 帆乃華
(72)【発明者】
【氏名】田中 聡美
(57)【要約】      (修正有)
【課題】油性成分量が高濃度で配合されていても経時安定性に優れ、且つ良好な粘度を示す乳化組成物を提供する。
【解決手段】(a)(メタ)アクリル酸を構成単位とする重合体、(b)油性成分、(c)界面活性剤、及び(d)水を含有する組成物であって、(a)の重合体が、以下の条件下で測定した周波数分散1rad/sでの貯蔵弾性率(G’)が10Pa以下である、重合体であり、(b)の油性成分の含有量が乳化組成物の全量に基づいて60~85質量%である、乳化組成物。
[測定条件:上記(a)重合体を中和水溶液の全量に基づいて0.5質量%含有するpH6.5~7.5の中和水溶液につき、液温25℃、レオメーターの周波数を1Hzに設定したひずみ分散におけるひずみが0.1%又は1%の条件下で、角周波数0.1rad/sから300rad/sに変化させて得られた周波数分散に基づき、角周波数1rad/sでの貯蔵弾性率(G’)を求める。]
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)(メタ)アクリル酸を構成単位とする重合体、
(b)油性成分、
(c)界面活性剤、及び
(d)水
を含有する組成物であって、
前記(a)の重合体が、
以下の条件下で測定した周波数分散1rad/sでの貯蔵弾性率(G’)が10Pa以下である、
重合体であり、
前記(b)の油性成分の含有量が乳化組成物の全量に基づいて60~85質量%である。
乳化組成物。
[測定条件:上記(a)重合体を中和水溶液の全量に基づいて0.5質量%含有するpH6.5~7.5の中和水溶液につき、液温25℃、レオメーターの周波数を1Hzに設定したひずみ分散におけるひずみが0.1%又は1%の条件下で、角周波数0.1rad/sから300rad/sに変化させて得られた周波数分散に基づき、角周波数1rad/sでの貯蔵弾性率(G’)を求める。]
【請求項2】
前記組成物の25℃における粘度が1000~150000mPa・sであり、乳化組成物の作成から30日経過後に乳化状態を維持している、請求項1記載の乳化組成物。
【請求項3】
請求項1または2に記載の乳化組成物を含有するリップクリーム
【請求項4】
請求項1または2に記載の乳化組成物を含有するクレンジングオイル
【請求項5】
請求項1または2に記載の乳化組成物を含有するワックスシート
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は(メタ)アクリル酸を構成単位とする重合体、高濃度の油性成分、界面活性剤、及び水を含有する組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
(メタ)アクリル酸を構成単位とする重合体、及び油性成分を含有する乳化組成物はリップクリームやクレンジングオイルなどの化粧品、ワックスシートなどのハウスホールド製品に幅広く使用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-88882号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
乳化組成物中の油性成分が高濃度になると乳化不良となって、乳化状態を保てなくなり、乳化組成物作製から時間が経過するにしたがって油相と水相に分離してしまうという問題があった為、更なる改良が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、例えば以下の項に記載の主題を包含する。
項1.
(a)(メタ)アクリル酸を構成単位とする重合体、
(b)油性成分、
(c)界面活性剤、及び
(d)水
を含有する組成物であって、
前記(a)の重合体が、
以下の条件下で測定した周波数分散1rad/sでの貯蔵弾性率(G’)が10Pa以下である、
重合体であり、
前記(b)の油性成分の含有量が乳化組成物の全量に基づいて60~85質量%である。
乳化組成物。
[測定条件:上記(a)重合体を中和水溶液の全量に基づいて0.5質量%含有するpH6.5~7.5の中和水溶液につき、液温25℃、レオメーターの周波数を1Hzに設定したひずみ分散におけるひずみが0.1%又は1%の条件下で、角周波数0.1rad/sから300rad/sに変化させて得られた周波数分散に基づき、角周波数1rad/sでの貯蔵弾性率(G’)を求める。]
項2.
前記組成物の25℃における粘度が1000~150000mPa・sであり、乳化組成物の作成から30日経過後に乳化状態を維持している、項1記載の乳化組成物。
項3.
項1又は2に記載の乳化組成物を含有するリップクリーム
項4.
項1又は2に記載の乳化組成物を含有するクレンジングオイル
項5.
項1又は2に記載の乳化組成物を含有するワックスシート
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、油性成分量が高濃度で配合されていても経時安定性に優れ、且つ良好な粘度を示す乳化組成物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】重合体((a)成分)を中和水溶液の全量に基づいて0.5質量%含有するpH6.5~7.5の中和水溶液につき、液温25℃、レオメーターの周波数を1Hzに設定したひずみ分散を示す。横軸はひずみの割合、縦軸は貯蔵弾性率(G’)である。なお、当該図は、重合体((a)成分)の周波数分散1rad/sのG’値(貯蔵弾性率)を測定する際の条件として、ひずみ値として0.1%又は1%のいずれを用いるかを決定するための概要を示す図である(実施例とは関係が無い概念図である。)。1Hzにおけるひずみ分散測定において得られた線形領域の範囲にひずみ1%を含んでいれば1%、ひずみ0.1%を含んでおり1%は含んでいなければ0.1%、を選択することを示す。
図2】重合体((a)成分)を中和水溶液の全量に基づいて0.5質量%含有するpH6.5~7.5の中和水溶液につき、液温25℃、レオメーターの周波数を1Hzに設定したひずみ分散におけるひずみが0.1%又は1%の条件下で、角周波数0.1rad/sから300rad/sに変化させて得られた周波数分散を示す。横軸は角周波数、縦軸は貯蔵弾性率(G’)である。なお、当該図は、実施例とは関係が無い概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は(メタ)アクリル酸を構成単位とする重合体(a)、60~85質量%の油性成分(b)、界面活性剤(c)、及び水(d)を含有する組成物である。
【0009】
なお、本明細書において、「(メタ)アクリル」とは、アクリル及び/又はメタクリルを意味する。(メタ)アクリル酸として、アクリル酸及びメタクリル酸のいずれか一方を単独で、又はこれらの双方を組み合わせて用いることができる。
【0010】
(a)重合体は、(メタ)アクリル酸を構成単位とする重合体であって前記貯蔵弾性率(G’)が10Pa以下である重合体であり、通常は(メタ)アクリル酸系重合体である。
【0011】
(a)重合体の当該貯蔵弾性率(G’)は、以下の手順で決定される。
1)<測定用の中和水溶液の調整>
重合体濃度が中和水溶液の全量に基づいて0.5質量%となるように(a)重合体を水に分散させ、攪拌下に、これにアルカリ水溶液を加え、pH6.5~7.5となるように調整しながら、(a)重合体を溶解し、中和水溶液を得る。
2)<ひずみ分散によるひずみの決定>
上記1)で調整した中和水溶液の液温を25℃に、またレオメーター〔例えばTA Instruments社製(型番:AR-2000ex)〕の周波数を1Hzに設定した後、ひずみを加えながら、貯蔵弾性率(G’)を測定し、貯蔵弾性率(G’)が低下してきたことが認められた時点で測定を終了する(図1に示すようなグラフが得られる)。
得られたひずみ分散グラフから、貯蔵弾性率(G’)がひずみ1%まで一定値を保っており、10%まで一定値を保てない場合、ひずみを1%とし、貯蔵弾性率(G’)がひずみ0.1%まで一定値を保っており、1%まで一定値を保てない場合、ひずみを0.1%とする。
3)<周波数分散による貯蔵弾性率の決定>
上記1)で調整した中和水溶液の液温25℃、上記の基準で決定したひずみ(0.1又は1%)の条件下で、角周波数を0.1rad/sから300rad/sに変化させる(図2に示すようなグラフが得られる)。
その測定値から、角周波数:1rad/sの貯蔵弾性率(G’)を採用する。
【0012】
当該貯蔵弾性率(G’)は、10Pa以下が好ましい。より好ましくは5Pa以下が好ましく、1Pa以下であることがさらに好ましい。下限値は、0.01Pa以上であることが好ましい。
【0013】
(a)重合体としては、当該貯蔵弾性率(G’)が上記範囲を好ましく達成し得るという観点からは、具体的には(メタ)アクリル酸架橋重合体、及び(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリル酸アルキルエステルの架橋共重合体が好ましい。特に断らない限り、当該重合体は、当該重合体が有するカルボキシル基が中和されていない化合物(未中和化合物)、または、当該重合体が有するカルボキシル基の一部、もしくは、全てが中和されている化合物(中和化合物)も包含する。このような重合体としては、例えば、住友精化株式会社製の商品名AQUPEC SER W-300Cを使用することができる。なお、当該貯蔵弾性率(G’)は、架橋剤の添加量を変化させることで調整することができ、特に、架橋剤の添加量を一定量以下とすることで低いG’を達成し得る。
【0014】
(b)油性成分としては、肌への質感、馴染み、外観、滑り性等を考慮して、天然系オイル、シリコーン系オイル、エステル油が挙げられる。
前記天然系オイルとしては、流動パラフィン等のパラフィン系炭化水素、オリーブ油、マカデミアナッツ油、ヒマシ油、ホホバ油、オレンジラフィー油、ミツロウ、ラノリン、ミネラルオイル、スクワランが挙げられる。
また、前記シリコーン系オイルとしては、変性シリコーンオイルが挙げられる。具体的にはメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、環状メチルシロキサン、シリコーンポリエーテルコポリマーが挙げられる。
また、前記エステル油としては、各種脂肪酸エステルが挙げられる。具体的にはオレイン酸、エルカ酸、ミリスチン酸、リシノレイン酸の各脂肪酸等のオクチルドデシルエステルが挙げられる。
これらの油性成分は、それぞれ1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0015】
(b)油性成分の含有量は、乳化組成物の全量に基づいて60~85質量%が好ましく、62~85質量%であることがより好ましく、65~85質量%であることが特に好ましい。
【0016】
(c)界面活性剤としてはノニオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤が挙げられる。特に、アルキルグリコシド、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビトール脂肪酸エステル、変性ポリエチレンワックス、変性ポリプロピレンワックス、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド、セルロースエーテル(ヒドロキシエチルセルロース、エチルセルロース等)、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、及びポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩から選ばれる1種又は2種以上の界面活性剤が好ましく用いられる。(c)界面活性剤は、それぞれ1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0017】
(c)界面活性剤の含有量は、乳化組成物の全量に基づいて0.1~3.0質量%であることが好ましく、0.3~2.0質量%であることがより好ましく、0.5~1.5質量%であることが特に好ましい。
【0018】
本発明にかかる乳化組成物は、必要に応じ、ミネラル、他の増粘剤、アルコール類、pH調整剤、保湿剤、塩類、キレート剤、防腐剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、色素および香料等を配合することができる。
【0019】
本発明にかかる乳化組成物の製造方法としては、(a)重合体、(b)油性成分、(c)界面活性剤、(d)水、および必要に応じて各種添加剤を、乳化機等を用いて均一に乳化する方法が挙げられる。
【0020】
前記乳化機としては、均一に乳化する観点から、例えば、ホモミキサー、ホモジナイザー等が挙げられる。ホモミキサーとしては、例えば、特殊機化工業株式会社製のTKH OMOMIXERMARKII、SILVERSON社製のハイシアーミキサー、IKA社製のホモミキサー等が挙げられる。
【0021】
本発明の乳化組成物の粘度は、25℃において、1000~150000mPa・sであることが好ましく、1500~140000mPa・sであることがさらに好ましく、2000~130000mPa・sであることが特に好ましい。
【0022】
本発明にかかる乳化組成物は、その乳化粒子径が10μm以下であることが好ましく、7μm以下であることがより好ましく、4μm以下であることがさらに好ましい。
【0023】
本発明の乳化組成物は、クレンジングクリーム、クレンジングジェルおよびリップクリーム等の化粧品に適用することが可能である。
【0024】
また本発明の乳化組成物は、ワックスシート等のハウスホールド製品に適用することが可能である。
【0025】
本発明には、本明細書に記載される組み合わせ可能な各特性のあらゆる組み合わせからなる主題が全て包含される。
【実施例0026】
以下、例を示して本発明の実施形態をより具体的に説明するが、本発明の実施形態は下記の例に限定されるものではない。
【0027】
各実施例、比較例で使用した重合体についての貯蔵弾性率(G’)は、次のようにして測定した。
[貯蔵弾性率(G’)の測定方法]
1)<測定用の中和水溶液の調整>
容量500mLのビーカーにイオン交換水288.8gを入れ、これをφ(直径)7cmの4枚パドルを有する撹拌機を用いて500rpmで攪拌しているところに各ポリマー1.5gを投入した。60分攪拌後、6%水酸化ナトリウム水溶液9.7gを加えてpH6.5~7.5に調整し、さらに300rpmで15分攪拌し、各ポリマーの0.5質量%中和水溶液を調製した。なお、pHは、25℃においてpHメーター(株式堀場製作所社製、型番:D-51)を用いて測定した。
2)<ひずみ分散によるひずみの決定>
上記1)で得られた中和水溶液の液温を25℃とし、レオメーター〔TA Instruments社製(型番:AR-2000ex)〕の周波数を1Hzに設定し、ひずみを増加させながら、貯蔵弾性率(G’)を測定し、貯蔵弾性率(G’)の低下が認められた時点で測定を終了した。得られたひずみ分散グラフから、貯蔵弾性率(G’)がひずみ1%まで一定値を保っており、10%まで一定値を保てない場合、下記3)における測定条件のひずみを1%と決定し、貯蔵弾性率(G’)がひずみ0.1%まで一定値を保っており、1%まで一定値を保っていない場合、下記3)における測定条件のひずみを0.1%と決定した。
3)<周波数分散による貯蔵弾性率(G’)の決定>
上記1)で得られた中和水溶液の液温を25℃とし、レオメーター(TA Instruments社製(型番:AR-2000ex))を用いて、ひずみを上記2)で決定した0.1%又は1%の条件で、角周波数を0.1rad/sから300rad/sに変化させた。その測定値から、角周波数:1rad/sの貯蔵弾性率(G’)を採用した。後掲の表1において、貯蔵弾性率(G’)の単位はPaである。
【0028】
乳化組成物の調製及び評価
[実施例1]
(1)容量200mlのビーカーにイオン交換水99.00g、貯蔵弾性率(G’)が0.042Paである(メタ)アクリル酸を構成単位とする重合体1.00gを量り取り、これをφ5cmの4枚パドルを有する撹拌機を用いて800rpmで1時間攪拌することで重合体の1%水溶液を得た。
(2)容量300mlのビーカーにイオン交換水11.96g、前記重合体の1%水溶液25g、ラウリルグルコシド40%水溶液2.5gを量り取り、これをφ5cmの4枚パドルを有する撹拌機を用いて800rpmで5分攪拌した(この組成物を水相組成物とする)。
(3)80℃に恒温した水相組成物に、別途80℃に恒温したスクワラン60gを添加し、ホモミキサーを用いて5000rpmで5分攪拌し、乳化組成物を得た。乳化組成物に18%NaOH水溶液0.54gを添加し、ハンドミキサーで3分攪拌し、最終乳化組成物を得た。
【0029】
[実施例2]
実施例1(2)における、イオン交換水の量を1.96gに変更し、実施例1(3)におけるスクワランの量を70gに変更したこと以外は、実施例1と同様の操作方法により最終乳化組成物を得た。
【0030】
[実施例3]
(1)容量200mlのビーカーにイオン交換水98.50g、貯蔵弾性率(G’)が0.042Paである(メタ)アクリル酸を構成単位とする重合体1.50gを量り取り、これをφ5cmの4枚パドルを有する撹拌機を用いて800rpmで1時間攪拌することで重合体の1.5%水溶液を得た。
(2)容量300mlのビーカーにイオン交換水0.36g、前記重合体の1.5%水溶液16.6g、ラウリルグルコシド40%水溶液2.5gを量り取り、これをφ5cmの4枚パドルを有する撹拌機を用いて800rpmで5分攪拌した(この組成物を水相組成物とする)。
(3)80℃に恒温した水相組成物に、別途80℃に恒温したスクワラン80gを添加し、ホモミキサーを用いて5000rpmで5分攪拌し、乳化組成物を得た。乳化組成物に18%NaOH水溶液0.54gを添加し、ハンドミキサーで3分攪拌し、最終乳化組成物を得た。
【0031】
[実施例4]
スクワランをオリーブ油に変更したこと以外は実施例2と同様の操作方法により最終乳化組成物を得た。
【0032】
[比較例1]
(1)容量200mlのビーカーにイオン交換水96.00g、貯蔵弾性率(G’)が0.042Paである(メタ)アクリル酸を構成単位とする重合体4.00gを量り取り、これをφ5cmの4枚パドルを有する撹拌機を用いて800rpmで1時間攪拌することで重合体の4%水溶液を得た。
(2)容量300mlのビーカーにイオン交換水0.71g、前記重合体の4%水溶液6.25g、ラウリルグルコシド40%水溶液2.5gを量り取り、これをφ5cmの4枚パドルを有する撹拌機を用いて800rpmで5分攪拌した(この組成物を水相組成物とする)。
(3)80℃に恒温した水相組成物に、別途80℃に恒温したスクワラン90gを添加し、ホモミキサーを用いて5000rpmで5分攪拌し、乳化組成物を得た。乳化組成物に18%NaOH水溶液0.54gを添加し、ハンドミキサーで3分攪拌し、最終乳化組成物を得た。
【0033】
[比較例2]
(1)容量200mlのビーカーにイオン交換水99.00g、貯蔵弾性率(G’)が0.042Paである(メタ)アクリル酸を構成単位とする重合体1.00gを量り取り、これをφ5cmの4枚パドルを有する撹拌機を用いて800rpmで1時間攪拌することで重合体の1%水溶液を得た。
(2)容量300mlのビーカーにイオン交換水4.46g、前記重合体の1%水溶液25gを量り取り、これをφ5cmの4枚パドルを有する撹拌機を用いて800rpmで5分攪拌した(この組成物を水相組成物とする)。
(3)80℃に恒温した水相組成物に、別途80℃に恒温したオリーブ油70gを添加し、ホモミキサーを用いて5000rpmで5分攪拌し、乳化組成物を得た。乳化組成物に18%NaOH水溶液0.54gを添加し、ハンドミキサーで3分攪拌し、最終乳化組成物を得た。
【0034】
[比較例3]
重合体として貯蔵弾性率(G’)が210.5Paである(メタ)アクリル酸を構成単位とする重合体を使用したこと以外は実施例2と同様の操作方法により乳化組成物を得た。
【0035】
[比較例4]
重合体として貯蔵弾性率(G’)が56.9Paである(メタ)アクリル酸を構成単位とする重合体を使用したこと以外は実施例2と同様の操作方法により乳化組成物を得た。
【0036】
[比較例5]
重合体として貯蔵弾性率(G’)が39.21Paである(メタ)アクリル酸を構成単位とする重合体を使用したこと以外は実施例2と同様の操作方法により乳化組成物を得た。
【0037】
[経時安定性]
得られた乳化組成物を50℃に設定したアステック社製のCO2インキュベーター(型番:APC-30D)中で保存し、相分離の有無を確認した。乳化組成物の調製後すぐに分離が確認された場合は乳化不可とした。
【0038】
[粘度の測定]
調製したサンプルをBrookField社製の粘度計(型番:DV1MRVTJ0)を用い、回転速度を毎分20回転として、1分後の25℃における粘度を測定した。測定に使用したローターは、2,000mPa・s未満の場合はローターNo.3、2,000mPa・s以上5,000mPa・s未満の場合はローターNo.4、5,000mPa・s以上15,000mPa・s未満の場合はローターNo.5、15,000mPa・s以上40,000mPa・s未満の場合はローターNo.6、40,000mPa・s以上の場合はローターNo.7である。
【0039】
[粒子径]
乳化組成物の粒子径を、株式会社島津製作所製のレーザ回折式粒子径分布測定装置(型番:SALD-2300 フローセル使用)を用いて測定した。より具体的には、100ml容のプラスチックビーカーに純水50g、及び乳化組成物0.1~0.5gを加え、薬さじを使用して手攪拌で混ぜ合わせた。その後、アズワン株式会社製の超音波洗浄機(型番:Vs-100)を用い、5分間超音波照射してから、前記レーザ回折式粒子径分布測定装置にて、メジアン粒子径を測定した。







【0040】
なお、上記表に記載される物性(重合体の貯蔵弾性率(G’))は、上述した測定方法により、各実施例組成物及び各比較例組成物に用いられた各重合体について貯蔵弾性率(G’)を測定した結果を示す(各実施例組成物及び各比較例組成物について貯蔵弾性率を測定した結果ではない)。このため、実施例1~4、比較例1、2では用いた重合体が同じことから、当該物性も同じ値となる。
図1
図2