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特開2024-45257EUVパターン化可能ハードマスクを形成するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024045257
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】EUVパターン化可能ハードマスクを形成するための方法
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/004 20060101AFI20240326BHJP
   G03F 7/20 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
G03F7/004 531
G03F7/20 503
G03F7/20 521
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024006062
(22)【出願日】2024-01-18
(62)【分割の表示】P 2020562160の分割
【原出願日】2019-05-09
(31)【優先権主張番号】62/670,644
(32)【優先日】2018-05-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/782,578
(32)【優先日】2018-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
(71)【出願人】
【識別番号】592010081
【氏名又は名称】ラム リサーチ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】LAM RESEARCH CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウー・チェンガオ
(72)【発明者】
【氏名】ウエイドマン・ティモシー・ウイリアム
(72)【発明者】
【氏名】ナルディ・カティー
(57)【要約】
【解決手段】半導体基板上にEUVを用いてパターニングされうる薄膜を形成するための方法は、有機金属前駆体の蒸気流を反反応剤蒸気流と混合させて重合有機金属材料を生成することと、半導体基板の表面上に有機金属ポリマ状材料を堆積させることとを含む。混合動作および堆積動作は、化学気相堆積(CVD)、原子層堆積(ALD)、ならびに、CVD要素を含むALD(金属前駆体および反反応剤が時間または空間で分離される不連続なALD的プロセスなど)によって実施されてよい。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の表面上にEUVパターン化可能膜を形成するための方法であって、
有機金属前駆体の蒸気流を反反応剤の蒸気流と混合させて重合有機金属材料を形成することと、
前記基板の前記表面上に前記有機金属材料を堆積させて、前記EUVパターン化可能膜を形成することと、
を含む、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
前記有機金属前駆体は、式:Mabcを有し、Mは、1×107cm2/mol以上の原子吸収断面積を有する金属であり、Rは、Cn2n+1などのアルキルであり、nは≧3であり、Lは、反反応剤と反応する配位子、イオン、または他の部分であり、a≧1であり、b≧1であり、c≧である、方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法であって、
Mは、スズ、ビスマス、アンチモン、およびこれらの組み合わせからなる群より選択され、Rは、i-プロピル、n-プロピル、t-ブチル、i-ブチル、n-ブチル、sec-ブチル、i-ペンチル、n-ペンチル、t-ペンチル、sec-ペンチル、およびこれらの混合物からなる群より選択され、Lは、アミン、アルコキシ、カルボン酸塩、ハロゲン、およびこれらの混合物からなる群より選択される、方法。
【請求項4】
請求項1または請求項3に記載の方法であって、
前記有機金属前駆体は、t-ブチルトリス(ジメチルアミノ)スズ、i-ブチルトリス(ジメチルアミノ)スズ、n-ブチル(トリス)ジメチルアミノスズ、sec-ブチルトリス(ジメチルアミノ)スズ、i-プロピル(トリス)ジメチルアミノスズ、n-プロピル(トリス)ジメチルアミノスズ、および類似アルキル(トリス)(t-ブトキシ)スズ化合物である、方法。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の方法であって、
前記有機金属前駆体は、部分的にフッ素化されている、方法。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の方法であって、
前記反反応剤は、水、過酸化水素、ジヒドロキシアルコールまたはポリヒドロキシアルコール、硫化水素、二硫化水素、トリフルオロアセトアルデヒド一水和物、フッ化ジヒドロキシアルコールまたはフッ化ポリヒドロキシアルコール、およびフッ化グリコールからなる群より選択される、方法。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の方法であって、
前記混合および堆積は、連続化学気相堆積プロセスで実施される、方法。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載の方法であって、
前記半導体基板は、下地トポグラフィフィーチャを備える、方法。
【請求項9】
半導体基板の表面上にリソグラフィマスク前駆体を形成するための方法であって、
有機金属前駆体の蒸気流を反反応剤の蒸気流と混合させて重合有機金属材料を形成することと、
前記半導体基板の前記表面上に前記有機金属材料を堆積させて、EUVパターン化可能膜を形成することと、
任意で前記膜を加熱することと、
前記EUVパターン化可能膜がEUV光に露光されない未露光膜領域も含むように、前記EUVパターン化可能膜の一領域を前記EUV光に露光して露光膜領域を生成することと、
任意で前記EUVパターン化可能膜を加熱して、前記露光領域および前記未露光領域を含むマスク前駆体を形成することと、
を含む、方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法であって、
前記マスク前駆体の前記露光領域は、不溶性であり、前記マスク前駆体の前記未露光領域は、選択された溶剤において溶性である、方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法であって、さらに、
前記溶剤を用いて前記マスク前駆体の前記未露光領域を除去することを含む、方法。
【請求項12】
請求項9または請求項10に記載の方法であって、
前記マスク前駆体の前記露光領域は、反応性表面部分を含む、方法。
【請求項13】
請求項12に記載の方法であって、さらに、
前記露光領域の前記表面上に副材料を選択的に堆積させることを含み、
溶解性コントラストまたはエッチング選択性は、前記露光領域と前記未露光領域との間で増加する、方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法であって、
前記副材料の前記堆積は、原子層堆積プロセスを用いて実施される、方法。
【請求項15】
請求項9または請求項14に記載の方法であって、さらに、
前記露光後に前記EUVパターン化可能膜を乾式現像することを含む、方法。
【請求項16】
請求項9~15のいずれか1項に記載の方法であって、
前記有機金属前駆体は、式:Mabcを有し、Mは、1×107cm2/mol以上の原子吸収断面積を有する金属であり、Rは、Cn2n+1などのアルキルであり、nは≧3であり、Lは、反反応剤と反応する配位子、イオン、または他の部分であり、a≧1であり、b≧1であり、c≧1である、方法。
【請求項17】
請求項16に記載の方法であって、
Mは、スズ、ビスマス、アンチモン、およびこれらの組み合わせからなる群より選択され、Rは、i-プロピル、n-プロピル、t-ブチル、i-ブチル、n-ブチル、sec-ブチル、i-ペンチル、n-ペンチル、t-ペンチル、sec-ペンチル、およびこれらの混合物からなる群より選択され、Lは、アミン、アルコキシ、カルボン酸塩、ハロゲン、およびこれらの混合物からなる群より選択される、方法。
【請求項18】
請求項9~17のいずれか1項に記載の方法であって、
前記有機金属前駆体は、t-ブチルトリス(ジメチルアミノ)スズ、i-ブチルトリス(ジメチルアミノ)スズ、n-ブチル(トリス)ジメチルアミノスズ、sec-ブチルトリス(ジメチルアミノ)スズ、i-プロピル(トリス)ジメチルアミノスズ、n-プロピル(トリス)ジメチルアミノスズ、および類似アルキル(トリス)(t-ブトキシ)スズ化合物である、方法。
【請求項19】
半導体基板の表面上にリソグラフィマスク前駆体を形成するための方法であって、
(a)有機金属前駆体の蒸気流を反反応剤の蒸気流と混合させて重合有機金属材料を形成することであって、
(i)前記有機金属前駆体は、式:Mabcを有し、Mは、1×107cm2/mol以上の原子吸収断面積を有する金属であり、Rは、Cn2n+1などのアルキルであり、nは≧3であり、Lは、反反応剤と反応する配位子、イオン、または他の部分であり、a≧1であり、b≧1であり、c≧1であり、
(ii)前記反反応剤は、水、過酸化物(例えば、過酸化水素)、ジヒドロキシアルコールまたはポリヒドロキシアルコール、フッ化ジヒドロキシアルコールまたはフッ化ポリヒドロキシアルコール、フッ化グリコール、およびこれらの混合物からなる群より選択されることと、
(b)前記基板の前記表面上に前記有機金属材料を堆積させて、EUVパターン化可能膜を形成することと、
(c)任意で前記膜を加熱することと、
(d)前記EUVパターン化可能膜がEUV光に露光されない未露光膜領域も含むように、前記EUVパターン化可能膜の一領域を前記EUV光に露光して露光膜領域を形成することと、
(e)前記EUVパターン化可能膜を乾式湿現像することと、
を含む、方法。
【請求項20】
請求項9~19のいずれか1項に記載の方法であって、
前記有機金属前駆体は、部分的にフッ素化されている、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2018年12月20日出願の米国仮出願第62/782,578号、および2018年5月11日出願の米国仮出願第62/670,644号の利益を主張する。上記出願の全ての開示は、参照として本明細書に援用される。
【0002】
本技術は、半導体製造で用いるためのリソグラフィマスクを形成するためのシステムおよび方法に関する。特に、本技術は、半導体デバイスの製造で用いられる基板上にパターン化可能ハードマスクを形成するための方法、装置、および構成を提供する。
【背景技術】
【0003】
本明細書に記載の背景技術の説明は、本開示の内容を一般的に提示するためである。現在名前が挙げられている発明者の発明は、本背景技術欄、および出願時の先行技術に該当しない説明の態様において記載される範囲で、本技術に対する先行技術として明示的にも黙示的にも認められない。
【0004】
集積回路などの半導体デバイスの製造は、フォトリソグラフィを含むマルチステッププロセスである。一般に、このプロセスは、ウエハ上への材料の堆積、および、半導体デバイスの構造的特徴(例えば、コンタクト、ビア、インタコネクト、トランジスタ、および回路)を形成するためのリソグラフィ技術による材料のパターニングを含む。当技術分野で周知の一般的なフォトリソグラフィプロセスの工程は、基板の準備、例えばスピンコーティングによるフォトレジストの塗布、所望のパターンでのフォトレジストの露光、フォトレジストの露光領域の現像液における多少の溶解化、フォトレジストの露光領域または未露光領域を除去するための現像液の塗布による現像、エッチングまたは材料堆積などによってフォトレジストが除去された基板領域上にフィーチャを形成するための後続処理、を含む。
【0005】
半導体デザインの進化は、半導体基板材上にこれまでにないほど微細なフィーチャを形成する必要性を作り出し、それを形成する能力によって進んできた。この技術の進歩は、「ムーアの法則」において、高密度集積回路におけるトランジスタの密度が2年ごとに2倍になると特徴付けられてきた。実際に、チップのデザインおよび製造は、現在のマイクロプロセッサが1つのチップ上に何十億ものトランジスタおよび他の回路フィーチャを備えるように進歩してきた。かかるチップ上の個々のフィーチャは、約22ナノメータ(nm)以下であり、場合によっては10nm未満でありうる。
【0006】
かかる微細フィーチャを有するデバイスの製造における1つの課題は、十分な解像度を有するフォトリソグラフィマスクを確実に、かつ再現性よく形成する能力である。現在のフォトリソグラフィプロセスは、通常、フォトレジストを露光するのに193nmの紫外(UV)光を用いる。その光が、半導体基板上に形成されるべき所望のフィーチャサイズより著しく大きい波長を有するという事実は、特有の問題を引き起こす。光の波長より小さいフィーチャサイズを実現することは、マルチパターニングなどの複雑な高解像度化技術の使用が必要である。よって、10nmから15nm(例えば、13.5nm)の波長を有する極紫外放射線(EUV)などのより短い波長光を用いるフォトリソグラフィ技術の開発は、意義深い重要性と、大変な研究努力とがある。
【0007】
しかし、EUVフォトリソグラフィプロセスは、パターニング中の低電力出力および光損失を含む課題を提示しうる。193nmのUVリソグラフィで用いられるものに類似する、従来の有機化学増幅型レジスト(CAR)は、特に、EUV領域で低吸着係数を有し、光活性化化学種の拡散のぼやけ又はラインエッジの粗さが発生する可能性があるため、EUVリソグラフィで用いられるときに潜在的な欠点を有する。さらに、下地デバイス層をパターニングするのに必要なエッチング耐性を提供するために、従来のCAR材にパターニングされた微細フィーチャは、パターン崩壊リスクのある高アスペクト比を引き起こしうる。従って、薄い厚さ、より優れた吸光度、およびより優れたエッチング耐性という特性を有する改良されたEUVフォトレジスト材料の必要性が残る。
【発明の概要】
【0008】
本技術は、基板(特に、半導体基板)上にEUVを用いてパターニングされうる薄膜を形成するための方法を提供する。かかる方法は、重合有機金属材料が気相で生成され、基板上に堆積されるものを含む。具体的には、半導体基板の表面上にEUVパターン化可能薄膜を形成する方法は、有機金属前駆体の蒸気流を反反応剤の蒸気流と混合させて重合有機金属材料を生成することと、半導体基板の表面上に有機金属ポリマ状材料を堆積させることとを含む。いくつかの実施形態では、1つ以上の有機金属前駆体が蒸気流に含まれる。いくつかの実施形態では、1つ以上の反反応剤が蒸気流に含まれる。いくつかの実施形態では、混合動作および堆積動作は、連続化学気相堆積(CVD)、原子層堆積(ALD)プロセス、または、CVD要素を含むALD(金属前駆体および反反応剤が時間もしくは空間で分離される不連続なALD的プロセスなど)において実施される。本技術は、半導体材料の表面上にパターンを形成するための方法も提供し、この方法は、通常、比較的高真空下でEUV光のパターン形成ビームを用いて、本技術に従って形成されたEUVパターン化可能薄膜の一領域を露光することと、次に真空からウエハを取り出すことと、外気で露光後焼成を実施することとを含む。露光は、膜がEUV光に露光されていない1つ以上の未露光領域を含むように1つ以上の露光領域をもたらす。被覆基板のさらなる処理は、露光領域および未露光領域における化学的相違および物理的相違を利用してよい。
【0009】
本技術のさらなる適用範囲は、発明を実施する形態、特許請求の範囲、および図面から明らかになるだろう。発明を実施する形態および特定の例は、説明の目的のみを意図し、本技術の範囲を限定する意図はない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本技術は、発明を実施する形態および添付の図面からより深く理解されるだろう。
図1】本技術の例示的な化学反応スキーム。
図2】本技術の膜の堆積および処理の例示的なプロセスの態様を示すフローチャート。
図3】本技術に従ってEUV確定パターンを形成するための例示的プロセス。
図4】本技術に従ってパターンを形成するための別の例示的プロセス。
図5a】本技術の方法を用いて形成されたパターンフィーチャを有する、例1に従って形成された例示的基板の走査電子顕微鏡画像。
図5b】本技術の方法を用いて形成されたパターンフィーチャを有する、例1に従って形成された例示的基板の走査電子顕微鏡画像。
図5c】本技術の方法を用いて形成されたパターンフィーチャを有する、例1に従って形成された例示的基板の走査電子顕微鏡画像。
図6a】本技術の方法を用いて形成されたパターンフィーチャを有する、例2に従って形成された例示的基板の走査電子顕微鏡画像。
図6b】本技術の方法を用いて形成されたパターンフィーチャを有する、例2に従って形成された例示的基板の走査電子顕微鏡画像。
図7a】本技術の方法を用いて形成されたパターンフィーチャを有する、例2に従って形成されたさらなる例示的基板の走査電子顕微鏡画像。
図7b】本技術の方法を用いて形成されたパターンフィーチャを有する、例2に従って形成されたさらなる例示的基板の走査電子顕微鏡画像。
図8】本技術の方法を用いて形成されたパターンフィーチャを有する、例3に従って形成された下地フィーチャを有する例示的基板の走査電子顕微鏡画像。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下の技術の説明は、1つ以上の発明の主題、製造、および使用の本質における単なる例示であり、本願、または本願の優先権を主張して出願されうる他の出願、またはそれらから発行される特許において請求される特定の発明の範囲、適用、または使用を限定する意図はない。本技術の理解を助ける用語および表現についての非限定的議論は、この発明を実施するための形態の最後に提供される。
【0012】
上記のように、本技術は、半導体基板上にEUVを用いてパターニングされうる重合薄膜を形成するための方法を提供する。かかる方法は、重合有機金属材料が気相で生成され、基板上に堆積されるものを含む。
【0013】
基板は、フォトリソグラフィ処理、特に、集積回路および他の半導体デバイスの製造に適した任意の材料構成を含んでよい。いくつかの実施形態では、基板は、シリコンウエハである。基板は、不規則な表面トポグラフィを有する、フィーチャ(「下地フィーチャ」)が形成されたシリコンウエハであってよい(本明細書において、「表面」とは、本技術の膜が堆積される表面、または処理中にEUVに露光される表面である)。かかる下地フィーチャは、本技術の方法が実施されるより前の処理の間に材料が(例えば、エッチングによって)除去された領域、または材料が(例えば、堆積によって)追加された領域を含んでよい。かかる事前処理は、2つ以上の層のフィーチャが基板上に形成される反復プロセスにおける本技術の方法または他の処理方法を含んでよい。本技術の機構、機能、または実用性を制限することなく、いくつかの実施形態では、本技術の方法は、スピンキャスティング法を用いて基板の表面上にフォトリソグラフィ膜が堆積される、当技術分野で周知の方法に対して利点があるとされる。かかる利点は、下地フィーチャの「充填」または平坦化なしのかかるフィーチャへの本技術の膜の共形性、および、様々な材料の表面上に膜を堆積させる能力による。本技術の膜が堆積された下地フィーチャを有する例示的基板は、以下の例3でさらに参照される図8に示されている。
【0014】
重合薄膜
本技術は、EUV感光薄膜が基板上に堆積される方法を提供する。かかる膜は、後続のEUVリソグラフィおよび処理のためのレジストとして動作可能である。かかるEUV感光膜は、EUVに露光されると、低密度のM-OHに富む物質の金属原子に結合した嵩高いペンダント置換基の損失などの変化が起き、より高密度のM-O-M結合金属酸化物材料への架橋を可能にする。EUVパターニングによって、未露光領域に対して変化した物理的特性または化学的特性を有する膜領域が生成される。これらの特性は、未露光領域もしくは露光領域を溶解するため、または露光領域もしくは未露光領域に材料を選択的に堆積させるためなどの後続の処理で利用されてよい。いくつかの実施形態では、かかる後続処理が実施される条件下で、未露光膜は疎水性表面を有し、露光膜は親水性表面を有する(露光領域および未露光領域の親水性特性は相関関係にあるとされる)。例えば、材料の除去は、膜の化学組成、密度、および架橋における相違を利用することによって実施されてよい。除去は、以下にさらに説明されるウェット処理またはドライ処理によって行われてよい。
【0015】
様々な実施形態では、薄膜は、SnOxまたは他の金属酸化物部分を含む有機金属材料である。有機金属化合物は、有機金属前駆体の反反応剤との気相反応において生成されてよい。様々な実施形態では、有機金属化合物は、嵩高いアルキル基またはフルオロアルキルを有する有機金属前駆体と反反応剤との特定の組み合わせを混合させ、混合物を気相で重合させて、基板上に堆積する低密度のEUV感光材料を生成することによって形成される。
【0016】
様々な実施形態では、有機金属前駆体は、気相反応に耐えうる少なくとも1つのアルキル基を各金属原子に備えるが、金属原子に配位した他の配位子またはイオンは、反反応剤に置き換えられうる。有機金属前駆体は、式:Mabc(式1)(Mは、高EUV吸収断面積を有する金属、Rは、Cn2n+1(n≧3が好ましい)などのアルキル、Lは、反反応剤に反応性を有する配位子、イオン、または他の部分、a≧1、b≧1、c≧1)を有する。
【0017】
様々な実施形態では、Mは、1×107cm2/mol以上の原子吸収断面積を有する。例えば、Mは、スズ、ビスマス、アンチモン、およびこれらの組み合わせからなる群より選択されてよい。いくつかの実施形態では、Mはスズである。Rは、フッ素化されてよい(例えば、式:Cnx(2n+1)を有する)。様々な実施形態では、Rは、少なくとも1つのベータ水素またはベータフッ素を有する。例えば、Rは、i-プロピル、n-プロピル、t-ブチル、i-ブチル、n-ブチル、sec-ブチル、n-ペンチル、i-ペンチル、t-ペンチル、sec-ペンチル、およびこれらの組み合わせからなる群より選択されてよい。Lは、アミン(ジアルキルアミノ、モノアルキルアミノなど)、アルコキシ、カルボン酸、ハロゲン、およびこれらの組み合わせからなる群より選択された部分などのM-OH部分を生成するために、反反応剤によって容易に置き換えられる任意の部分であってよい。
【0018】
有機金属前駆体は、様々な候補有機金属前駆体のいずれかであってよい。例えば、Mがスズの場合、かかる前駆体は、t-ブチルトリス(ジメチルアミノ)スズ、i-ブチルトリス(ジメチルアミノ)スズ、n-ブチルトリス(ジメチルアミノ)スズ、sec-ブチルトリス(ジメチルアミノ)スズ、i-プロピル(トリス)ジメチルアミノスズ、n-プロピルトリス(ジメチルアミノ)スズ、および類似アルキル(トリス)(t-ブトキシ)スズ化合物(t-ブチルトリス(t-ブトキシ)スズなど)を含む。いくつかの実施形態では、有機金属前駆体は、部分的にフッ素化されている。
【0019】
反反応剤は、化学結合によって少なくとも2つの金属原子を結合させるために、反応性部分配位子またはイオン(例えば、上記式1のL)を置換する能力を有することが好ましい。反反応剤は、水、過酸化物(例えば、過酸化水素)、ジヒドロキシアルコールまたはポリヒドロキシアルコール、フッ化ジヒドロキシアルコールまたはフッ化ポリヒドロキシアルコール、フッ化グリコール、およびハイドロキシル部分の他の源を含みうる。様々な実施形態では、反反応剤は、隣接する金属原子の間に酸素架橋を形成することによって有機金属前駆体と反応する。他の潜在的な反反応剤は、硫黄架橋によって金属原子を架橋しうる硫化水素および二硫化水素を含む。重合有機金属材料が生成される例示的プロセスは、図1に示されている。
【0020】
薄膜は、膜の化学的特性または物理的特性を変更する(例えば、EUVに対する膜の感度を変更する、またはエッチング耐性を増加させる)ため、有機金属前駆体および反反応剤に加えて任意の材料を含んでよい。かかる任意の材料は、例えば、基板上への堆積より前、成膜後、またはその両方における気相形成中のドーピングによって導入されてよい。いくつかの実施形態では、いくつかのSn-L結合をSn-Hに置換するために穏やかなリモートH2プラズマが導入されてよく、それによりEUV下でのレジストの反応性が増加しうる。
【0021】
成膜
本技術の膜の堆積および処理のための例示的プロセスは、図2に示されている。いくつかの実施形態では、方法は、基板への膜の接着を向上させるための事前処理1を含む。EUV膜は、次に基板上に堆積2されてよい。
【0022】
様々な実施形態では、EUVパターン化可能膜は、当技術分野で周知の気相堆積装置およびプロセスを用いて基板上に成膜される。かかるプロセスでは、重合有機金属材料は、基板の表面上に気相でまたはin-situで生成される。適したプロセスは、例えば、化学気相堆積(CVD)、原子層堆積(ALD)、およびCVD要素を含むALD(金属前駆体および反反応剤が時間または空間で分離される不連続なALD的プロセスなど)を含む。
【0023】
一般に、方法は、有機金属前駆体の蒸気流を反反応剤の蒸気流と混合させて重合有機金属材料を生成することと、半導体基板の表面上に有機金属材料を堆積させることとを含む。当業者に理解されるように、プロセスの混合態様および堆積態様は、実質的に連続的なプロセスにおいて同時であってよい。
【0024】
例示的な連続CVDプロセスでは、有機金属前駆体および反反応剤源の2つ以上のガス流は、別々の流入口でCVD装置の堆積チャンバに導入され、そこで気相で混合および反応して凝集高分子材料を(例えば、金属-酸素-金属結合の形成によって)生成する。これらの流れは、例えば、別々の注入口またはデュアルプレナムシャワーヘッドを用いて導入されてよい。装置は、有機金属前駆体流および反反応剤流がチャンバ内で混合されるように構成されるため、有機金属前駆体および反反応剤が反応して重合有機金属材料が生成されうる。本技術の機構、機能、または実用性を制限することなく、かかる気相反応による生成物は、金属原子が反反応剤によって架橋されるにつれて分子量が重くなり、次に基板上に凝結される、または堆積されるとされている。様々な実施形態では、嵩高いアルキル基の立体障害性は、高密度に詰め込まれたネットワークの形成を防ぎ、多孔質の低密度膜を形成する。
【0025】
CVDプロセスは、一般に、10ミリトルから10トルなどの低圧で実行される。いくつかの実施形態では、このプロセスは、0.5トルから2トルで実行される。基板の温度は、反応剤流の温度以下であることが好ましい。例えば、基板の温度は、0℃から250℃、または大気温度(例えば、23℃)から150℃であってよい。様々なプロセスでは、基板上への重合有機金属材料の堆積は、表面温度に反比例する速度で起こる。
【0026】
基板の表面上に形成されたEUVパターン化可能膜の厚さは、表面特性、使用材料、および処理条件によって異なってよい。様々な実施形態では、膜厚は、0.5nmから100nmの範囲であってよく、EUVパターニングの条件下でEUV光のほとんどを吸収するのに十分な厚さであることが好ましい。例えば、レジスト膜の全吸収は、レジスト膜底部のレジスト材が十分露光されるように30%以下(例えば、10%以下または5%以下)であってよい。いくつかの実施形態では、膜厚は、10nmから20nmである。本技術の機構、機能、または実用性を制限することなく、当技術分野のウェットスピンコーティングプロセスと異なり、本技術のプロセスは、基板の表面接着特性に対する制限がほとんどないため、様々な基板に適用されうるとされる。また、上述のように、堆積膜は、表面フィーチャに密接に共形しうるため、下地フィーチャを「充填する」または平坦化することなく基板(かかるフィーチャを有する基板など)の上にマスクを形成することにおいて利益をもたらす。
【0027】
EUVパターニング
本技術は、堆積膜の一領域をEUV光に露光することによって膜がパターニングされる方法も提供する。図2をさらに参照すると、パターニング4は、膜の任意の露光後焼成3に続いてよい。かかるパターニングでは、EUV光は、被覆基板の1つ以上の領域に集光される。EUVへの露光は、通常、膜がEUV光に露光されない1つ以上の領域を含むように実施される。結果として生じた膜は、複数の露光領域および未露光領域を含んでよく、膜および基板の後続処理において基板への材料の追加または基板からの材料の除去によって形成される半導体デバイスのトランジスタまたは他のフィーチャの形成と一致するパターンを形成する。本明細書で有効なEUV装置および撮像方法は、当技術分野で周知の方法を含む。
【0028】
具体的には、上述のように、膜の領域は、未露光領域に対して物理的特性または化学的特性を変更したEUVパターニングによって形成される。例えば、露光領域では、ベータ水素化物の除去によって金属-炭素結合開裂が起こり、ハードマスク用のネガ型レジストまたはテンプレートとして化学的コントラストを形成するのに用いられうる、金属-酸素架橋によって水酸化物および架橋金属酸化物部分に変換されうる、反応性の接触可能な金属水素化物の官能性が残される。一般に、アルキル基におけるより多くのベータ-Hは、より高感光な膜をもたらす。露光に続いて、膜は、金属酸化物膜のさらなる架橋をもたらすために焼成されてよい。この化学反応は、図1図3、および図4に示されている。露光領域と未露光領域との間の特性の相違は、未露光領域を溶解する、または露光領域に材料を堆積させるなどのために、後続処理で利用されてよい。
【0029】
かかる方法は、異なる方法でパターニングするために用いられうる。図2をさらに参照すると、いくつかの実施形態では、露光後焼成5は、ネガ型レジスト方法において膜中のアルキル基の除去を促しうる。かかるネガ型レジスト方法は、図3に示されている。本技術の機構、機能、または実用性を制限することなく、例えば、10mJ/cm2から100mJ/cm2の量でのEUV露光は、立体障害を緩和し、低密度膜が崩壊する空間を提供してよい。また、ベータ-水素化物の除去反応で生成された反応性金属-H結合は、膜中のヒドロキシルなどの隣接する活性基と反応しうることで、さらなる架橋および高密度化をもたらし、露光領域と未露光領域との間に化学的コントラストを作り出す。
【0030】
この材料コントラストは、その後、図2に示されるように後続処理で用いられうる。かかる処理6は、湿式現像、乾式現像、または領域選択ALDを含んでよい。例えば、湿式現像プロセスまたは乾式現像プロセスは、未露光領域を除去し、露光領域を残してよい。
【0031】
湿式現像プロセスでは、露光領域における化学変化は、より大きい分子量を有するより多くの架橋材料の形成をもたらし、選択有機溶剤における溶解度の著しい減少をもたらす。非架橋領域は、適した有機溶剤(イソプロピルアルコール、n-ブチルアセテート、または2-ヘプタノンなど)を用いて除去されてよい。乾式成膜の予想外の利点は、膜が完全に溶性ということである。本技術の機構、機能、または実用性を制限することなく、この利点は、堆積中に起こる気相重合/凝結に関係してよく、選択された溶剤に容易に溶ける環状オリゴマを生成する可能性がある。
【0032】
選択的ドライエッチングは、組成、架橋の程度、および膜密度に関する相違を利用することによって実施されてもよい。本技術のいくつかの実施形態では、本技術の膜は、基板上に気相堆積される。膜は、次にEUV露光によって直接パターニングされ、パターンは、金属酸化物含有マスクを形成するために乾式方法を用いて現像される。かかるプロセスで有効な方法および装置は、2018年12月20日出願の、Volosskiyらによる米国特許出願第62/782,578号(参照として本明細書に援用される)に記載されている。
【0033】
かかる乾式現像プロセスは、BCl3(三塩化ホウ素)または他のルイス酸などの乾式現像化学物質を流しながら、穏やかなプラズマ(高圧、低電力)または熱処理を用いて行われうる。いくつかの実施形態では、BCl3は、未露光材料を迅速に除去して、従来のエッチングプロセスなどのプラズマ系エッチングプロセスによって下地層に転写されうる露光膜のパターンを残すことができる。
【0034】
プラズマプロセスは、当技術分野で周知の装置および技術を用いる、トランス結合型プラズマ(TCP)、誘電結合型プラズマ(ICP)、または容量結合型プラズマ(CCP)を含む。例えば、プロセスは、>5mT(例えば、>15mT)の圧力で、<1000W(例えば、<500W)の電力レベルで実施されてよい。温度は、100標準立方センチメートル/分(sccm)から1000sccm(例えば、1秒から3000秒(例えば、10~600秒)間に約500sccm)の流量で、0℃から300℃(例えば30℃から120℃)であってよい。
【0035】
熱現像プロセスでは、基板は、真空チャンバ(例えば、オーブン)で乾式現像化学物質(例えば、ルイス酸)に曝される。適したチャンバは、真空ライン、乾式現像化学物質ガス(例えば、Bl3)ライン、および温度制御用のヒータを含みうる。いくつかの実施形態では、チャンバ内部は、有機ポリマ被覆または無機被覆など耐食性被膜が施されうる。かかる被膜の1つは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)(例えば、テフロン1M)である。かかる材料は、本技術の熱処理においてプラズマ曝露による除去のリスクなしに用いられうる。
【0036】
様々な実施形態では、本技術の方法は、蒸着、(EUV)リソグラフィ光パターニング、および乾式現像による膜形成の全ての乾式工程を組み合わせる。かかるプロセスでは、基板は、EUVスキャナの光パターニングに続いて、乾式現像/エッチングチャンバに直接進んでよい。かかるプロセスは、湿式現像に関する材料および製造コストを回避しうる。あるいは、より高密度のSnO的ネットワークを形成するために露光領域がさらなる架橋を施される露光後焼成工程は、現像チャンバまたは他のチャンバで実行されてよい。
【0037】
本技術の機構、機能、または実用性を制限することなく、本技術の乾式プロセスは、当技術分野で周知の湿式現像プロセスに対して様々な利益をもたらす可能性がある。例えば、本明細書に記載の乾式蒸着技術は、スピンコーティング技術を用いて塗布されるより薄く、より欠陥のない膜を堆積させるのに用いられることができ、堆積膜の正確な厚さは、単に堆積工程または堆積シーケンスの長さを伸縮させることによって変更および制御されうる。従って、乾式プロセスは、より多くの可同調性を提供し、さらなる限界寸法(CD)制御およびスカム除去を提供してよい。乾式現像は、性能を向上させ(例えば、湿式現像における表面張力による線崩壊を防ぐ)、例えば、湿式現像トラックを回避することによってスループットを増加させうる。他の利点は、有機溶剤現像液の不要化、接着感度問題の低減、および溶解性に基づく制限の無制限化を含んでよい。
【0038】
EUVパターニングされた薄膜は、図4に示されるように、ハードマスクの領域選択的堆積のためのテンプレートとして用いられることもできる。いくつかの実施形態では、堆積した有機金属ポリマ膜からの表面アルキル基の除去は、基板の表面に塗布される副材料(金属酸化物前駆体など)との結合のために用いられうる反応性表面部分の領域を有するパターンを形成しうる。かかるパターンは、親水性の水素化物または水酸化物露光面、および、疎水性の嵩高いアルキル基被覆された未露光領域を含んでよい。かかるプロセスは、比較的低量のEUV光(例えば、1mJ/cm2から40mJ/cm2)を用いる。これにより、原子層堆積(ALD)および無電界堆積(ELD)などの表面駆動プロセスによる副材料の選択的堆積が可能になる。
【0039】
例えば、ALDによるハードマスクの形成は、前駆体が吸着できる水酸基などの核生成サイトが必要な表面駆動プロセスである。未露光領域では、表面は、ALDに対して不活性であり、水酸基を立体的にブロックするように機能する嵩高いアルキル基によって終端される。一方、露光領域は、ALDプロセスの核生成サイトとして機能しうる活性水素化物および/またはヒドロキシル官能価によって被覆される。表面反応性の相違は、露光領域にエッチング耐性材料を選択的に堆積させるのに用いられ、潜在的なドライエッチング/乾式現像用のハードマスクを形成しうる。この適用のためには、EUV露光下で表面アルキル基のみが除去される必要がある。ALDの所望膜厚は、0.5nm~30nmであってよい。ALD前駆体は、露光レジストに拡散し、露光領域内で核生成してもよい。ALDは、金属膜または金属酸化物膜であってよく、ALD堆積温度は、30℃~500℃(例えば、30℃~210℃)であってよい。0.5nm~40nmのレジスト膜厚が認められるだろう。いくつかの実施形態では、ALD膜の膨張を防ぐのにレジスト膜の崩壊が用いられうるため、より厚い膜はいくらかの利益をもたらす。パターンを下地層に転写するために、プラズマエッチングプロセスが用いられてよい。例えば、Sn系CVDレジスト膜については、H2またはH2/CH4プラズマが用いられて、未露光レジスト材料が除去される。
【0040】
本技術の実施形態は、以下の非限定的な例によってさらに説明される。
【0041】
例1
EUVパターン化可能膜は、t-ブチルトリス(ジメチルアミノ)スズを有機金属前駆体として、水蒸気を反反応剤として用いて、3つのシリコンウエハ基板上にCVDプロセスを用いて堆積される。基板および堆積チャンバ壁は、約70℃の温度で維持される。このプロセスは、約2トルの圧力で実行される。
【0042】
有機金属前駆体は、約200標準立方センチメートル/分の流量のアルゴンキャリアガスを用いて、バブラを通じて堆積チャンバに導入される。反反応剤は、約50mg/分で蒸発器を用いて配送された水である。前駆体は、2つの別々の注入口を通じて堆積チャンバに導入され、次に基板上方の空間で混合される。
【0043】
以下にさらに説明されるように、約40nmの厚さを有する重合有機金属膜が基板の表面上に堆積される。基板は、次に150℃で2分間焼成され、2-ヘプタノンで約15秒間現像され、続いて同じ溶剤を用いて15秒間洗浄される。図5a、図5b、および図5cは、現像後の基板の走査電子顕微鏡画像である。
【0044】
具体的には、2枚の基板は、ローレンスバークレー国立研究所(LBNL)における小面積露光装置3(MET3)で、約72mJ/cm2の露光のEUVを用いてパターニングされて、それぞれ32nmおよび80nmのハーフピッチで膜の表面上に1:1のラインスペースフィーチャが画定される。結果として生じた基板の画像は、それぞれ図5aおよび図5bに示されている。3枚目の基板は、約60mJ/cm2の露光のEUVを用いてパターニングされて、膜の表面上に34nmのコンタクトビアが画定される。結果として生じた基板の画像は、図5cに示されている。
【0045】
例2
EUVパターン化可能膜は、イソプロピルトリス(ジメチルアミノ)スズを有機金属前駆体として、水蒸気を反反応剤として用いて、2枚のシリコンウエハ基板上にCVDプロセスを用いて堆積される。2枚目のシリコンウエハは、50nmの非晶質炭素下地層を有する。基板および堆積チャンバ壁は、約70℃の温度で維持される。このプロセスは、約2トルの圧力で実行される。
【0046】
有機金属前駆体は、約25標準立方センチメートル/分の流量のアルゴンキャリアガスを用いて、バブラを通じて堆積チャンバに導入される。反反応剤は、約50mg/分で蒸発器を用いて配送される。両方の前駆体は、デュアルプレナムシャワーヘッドの2セットの別々の流路を通じて堆積チャンバに導入され、次に基板上方の空間で混合される。シャワーヘッドの温度は、85℃に設定される。
【0047】
両方のウエハ上で約20nmの厚さを有する重合有機金属膜が基板の表面に堆積される。第1のウエハは、ポールシェラー研究所(PSI)におけるEUV干渉リソグラフィ(EUV-IL)ツールで、約75mJ/cm2~80mJ/cm2の露光のEUVを用いてパターニングされて、膜の表面上に26nmおよび24nmのピッチで1:1のライン/スペースフィーチャが画定される。非晶質炭素下地層を有する第2のウエハは、ローレンスバークレー国立研究所(LBNL)における小面積露光装置3(MET3)で、約64mJ/cm2の露光のEUVを用いてパターニングされて、膜の表面上に36nmピッチで1:1のライン/スペースフィーチャが画定される。両方の基板は、次に180℃で約2分間焼成され、2-ヘプタノンで約15秒間現像され、続いて同じ溶剤を用いて15秒間洗浄される。第2のシリコンウエハ上の湿式現像パターンは、次にヘリウム/酸素プラズマプロセスを用いて50nmの炭素下地層に転写される。図6aおよび図6bは、現像後の第1の基板の走査電子顕微鏡画像である。図6aは、76mJ/cm2で露光された26nmピッチのフィーチャを有する基板を示し、図6bは、79mJ/cm2で露光された24nmピッチのフィーチャを有する基板を示す。図7aおよび図7bは、現像後(図7a)およびパターン転写後(図7b)の第2の基板の走査電子顕微鏡画像である。
【0048】
例3
EUVパターン化可能膜は、イソプロピルトリス(ジメチルアミノ)スズを有機金属前駆体として、水蒸気を反反応剤として用いて、シリコンウエハ基板上にCVDプロセスを用いて堆積される。シリコンウエハは、堆積より前に形成された50nmの深さのライン/スペーストポグラフィを有する。堆積条件は、例2で述べられたプロセスと同じである。
【0049】
約10nmの厚さを有する重合有機金属膜が基板の表面上に堆積され、シリコンウエハ上のトポグラフィを被覆する。既存のトポグラフィを有するウエハは、ポールシェラー研究所(PSI)におけるEUV干渉リソグラフィ(EUV-IL)ツールで、約70mJ/cm2の露光のEUVを用いてパターニングされて、32nm、28nm、および26nmの3つの異なるピッチで1:1のライン/スペースフィーチャが画定される。基板は、次に190℃で約2分間焼成され、2-ヘプタノンで約15秒間現像され、続いて同じ溶剤を用いて15秒間洗浄される。図8a、図8b、および図8cは、現像後の32nmのピッチ(図8a)、28nmのピッチ(図8b)、および26nmのピッチ(図8c)でシリコントポグラフィの上に印刷されたレジストライン/スペースパターンの走査電子顕微鏡画像である。
【0050】
用語についての非限定的議論
前述の説明は、本質的に単なる例示であり、本技術、その適用、または使用を限定する意図はない。広義の技術は、様々な形態で実施されうる。よって、本技術は特定の例を含むが、図面、明細書、および以下の特許請求の範囲を考察すると他の変更点が明らかになるため、本技術の真の範囲は、それほど限定されるべきでない。
【0051】
本明細書に記載の表題(「背景技術」や「発明の概要」など)および副題は、本技術内の題目の一般的な編成のみを意図し、本技術またはその態様の範囲を限定する意図はない。具体的には、「背景技術」に開示の主題は、新規の技術を含んでよく、先行技術の記載を構成しなくてよい。「発明の概要」に開示の主題は、本技術またはその実施形態の全範囲の包括的または完全な技術ではない。特定の実用性を有するとする本明細書欄内の題材についての分類または議論は、利便性のためであり、題材が所定の構成で用いられるときに、題材が本明細書のその分類に従って必然的にまたは単独で機能しなければならないと推定されるべきでない。
【0052】
方法内の1つ以上の工程は、本技術の原理を変更することなく異なる順序で(または、同時に)実行されてよいことを理解されたい。さらに、各実施形態は特定の特徴を有すると上述されているが、本技術の実施形態に関して記載されたそれらの1つ以上の特徴は、他の実施形態において、および/または、他の実施形態の特徴と組み合わせて(その組み合わせが明記されていなくても)実施されうる。つまり、記載の実施形態は、相互に排他的でなく、1つ以上の実施形態の互いの並べ替えは、本技術の範囲内に留まる。例えば、A、B、C、D、もしくはE、またはこれらの組み合わせでありうる要素は、いくつかの実施形態では、A、B、C、またはこれらの組み合わせと定義されてもよい。
【0053】
本明細書で用いられる、A、B、およびCのうちの少なくとも1つという表現は、非排他的論理ORを用いる論理(A OR B OR C)を意味すると解釈されるべきであり、「Aのうちの少なくとも1つ、Bのうちの少なくとも1つ、およびCのうちの少なくとも1つ」を意味すると解釈されるべきでない。
【0054】
本明細書で用いられる「好む」または「好ましい」という単語は、特定の状況下で特定の利益を提供する本技術の実施形態を意味する。しかし、同じまたは他の状況下で他の実施形態が好まれてもよい。さらに、1つ以上の好ましい実施形態の記載は、他の実施形態が有益でないことを意味せず、他の実施形態を本技術の範囲から排除する意図はない。
【0055】
本明細書で用いられる「含む」という単語およびその変異形は、リスト内の項目の記載が、本技術の材料、構成、装置、および方法において同様に有益でありうる他の類似項目を除外しないように、非限定的であることを意図する。同様に、「~しうる」および「~してよい」という用語、ならびにその変異形は、実施形態が特定の要素または特徴を含みうる、または含んでよいという記載がそれらの要素または特徴を含まない本技術の他の実施形態を排除しないように、非限定的であることを意図する。
【0056】
「備える」という無制限の用語は、含む、備える、または有するなどの非制限的な用語の同義語として、本明細書では本技術の実施形態を説明し主張するために用いられ、実施形態は、その代わりに「~からなる」または「~を主体とする」などのより限定的な用語を用いて説明されてよい。よって、材料、構成、またはプロセス工程を記載する特定の実施形態について、本技術は、追加の材料、構成、またはプロセスが本願に明記されていないとしても、かかる追加の材料、構成、もしくはプロセスを除く(~からなる向け)材料、構成、もしくはプロセス、および、実施形態の重要な特性に影響を与える追加の材料、構成、もしくはプロセスを除く(~を主体とする向け)材料、構成、もしくはプロセスからなる、またはかかる材料、構成、もしくはプロセスを主体とする実施形態も特に含む。例えば、要素A、要素B、および要素Cを記載する構成またはプロセスの記載は、当技術に記載されうる要素Dを除く(本明細書で要素Dが排除されると明記されていなくても)A、B、およびCからなる、ならびにA、B、およびCを主体とする実施形態を特に想定している。さらに、本明細書で用いられる、記載の材料または部品「を主体とする」という用語は、記載の材料または部品「からなる」実施形態を想定している。
【0057】
本明細書で用いられる不定冠詞「a」および「an」は、「少なくとも1つ」の項目が存在することを示し、可能であれば、複数の項目が存在してよい。
【0058】
本明細書に記載の数値は、「約」という単語を用いて修正されるか否かに関わらず、おおよその数値と理解され、おおよそ記載の値であると解釈されるべきである。よって、例えば、パラメータが「X」の値を有するという記載は、パラメータが「約X」の値を有してよいことを意味すると解釈されるべきである。値に適用されたときの「約」は、計算または測定がその値におけるわずかな不正解(その値における正確さにある程度近い、その値にほぼまたは適度に近い、ほとんどその値)を可能にすることを示す。何らかの理由で、「約」によって提供された不正解が当技術分野において通常の意味で理解されない場合は、本明細書で用いられる「約」は、計算または測定が適用される材料、装置、または他の対象を製造する、測定する、または使用する一般的な方法から生じる変形を示す。
【0059】
本明細書に記載されるように、範囲は、特定されない限りエンドポイントを含み、全ての異なる値のテクノロジおよび全範囲内でさらに分割された範囲を含む。よって、例えば、「AからB」または「約Aから約B」の範囲は、AおよびBを含む。さらに、「約Aから約B」という表現は、A弱およびB強であってよいAおよびBの値の変形を含み、「約A、AからB、および約B」と読み取られてよい。特定のパラメータ(温度、分子量、重量パーセントなど)の値の技術および範囲は、本明細書で有効な他の値および他の値の範囲を除外しない。
【0060】
既定パラメータの2つ以上の特定の例示的値は、パラメータについて請求されうる値の範囲のエンドポイントを定義してよいことも想定される。例えば、本明細書においてパラメータXが値Aを有すると例示され、値Zも有すると例示された場合、パラメータXは、約Aから約Zの範囲の値を有してよいと想定される。同様に、パラメータ値の2つ以上の範囲のテクノロジは(かかる範囲がネスト化される、重複する、または別々であるか否かに関わらず)、開示の範囲のエンドポイントを用いて請求されうる値の範囲の全ての可能な組み合わせを含む。例えば、パラメータXが本明細書で1~10、または2~9、または3~8の範囲の値を有すると例示された場合、パラメータXは、1~9、1~8、1~3、1~2、2~10、2~8、2~3、3~10、および3~9を含む他の範囲の値を有してもよいと想定される。
図1
図2
図3
図4
図5a
図5b
図5c
図6a
図6b
図7a
図7b
図8
【手続補正書】
【提出日】2024-02-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の表面上にEUVパターン化可能膜を形成するための方法であって、
有機金属前駆体の蒸気流を反反応剤の蒸気流と混合させて重合有機金属材料を形成することと、
前記基板の前記表面上に前記有機金属材料を堆積させて、前記EUVパターン化可能膜を形成することと、
を含む、方法。
【外国語明細書】