(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024000454
(43)【公開日】2024-01-05
(54)【発明の名称】吸収性物品
(51)【国際特許分類】
A61F 13/533 20060101AFI20231225BHJP
A61F 13/536 20060101ALI20231225BHJP
A61F 13/47 20060101ALI20231225BHJP
A61F 13/475 20060101ALI20231225BHJP
【FI】
A61F13/533 100
A61F13/536 100
A61F13/47 300
A61F13/475 100
【審査請求】有
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022099232
(22)【出願日】2022-06-20
(71)【出願人】
【識別番号】000115108
【氏名又は名称】ユニ・チャーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003247
【氏名又は名称】弁理士法人小澤知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】森実 夕里子
(72)【発明者】
【氏名】工藤 淳
(72)【発明者】
【氏名】木下 英之
(72)【発明者】
【氏名】西村 規世子
(72)【発明者】
【氏名】市原 遥
【テーマコード(参考)】
3B200
【Fターム(参考)】
3B200AA01
3B200AA03
3B200DA06
3B200DA08
3B200DB05
(57)【要約】
【課題】一対の圧搾溝間の吸収コアを肌面側へ隆起し易く、当該一対の圧搾溝よりも幅方向外側の吸収コアの幅入りを発生し難くできる吸収性物品を提供する。
【解決手段】吸収性物品(1)は、吸収コア(30)と、少なくとも前記吸収コアが前記厚さ方向に圧搾されかつ前記前後方向に延びる圧搾溝(40)と、を有する。前記圧搾溝は、一対の第1圧搾溝(41)と、前記吸収コアが肌面側から非肌面側へ圧搾されかつ前記一対の第1圧搾溝よりも前記吸収性物品の前記幅方向の外側に配置されている一対の第2圧搾溝(42)と、を有する。前記吸収コアは、前記第1圧搾溝の非肌面側に位置する部分である第1吸収コア部(311)と、前記第2圧搾溝の非肌面側に位置する部分である第2吸収コア部(312)と、を有する。前記第1吸収コア部の非肌面(311n)は、前記吸収コアの一部であって前記圧搾溝から前記幅方向に離れた非圧搾部分(35)の非肌面(351n)よりも非肌面側に位置し、かつ前記第2吸収コア部の非肌面(312n)よりも非肌面側に位置する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後方向、幅方向、及び厚さ方向と、
前側域、中央域、及び後側域と、
吸収コアと、
少なくとも前記吸収コアが前記厚さ方向に圧搾されかつ前記前後方向に延びる圧搾溝と、を有し、
前記圧搾溝が少なくとも前記中央域に配置されている吸収性物品であって、
前記圧搾溝は、
前記吸収コアが肌面側から非肌面側へ圧搾されかつ前記吸収コアの前記幅方向の中心を挟むように配置されている一対の第1圧搾溝と、
前記吸収コアが肌面側から非肌面側へ圧搾されかつ前記一対の第1圧搾溝よりも前記吸収性物品の前記幅方向の外側に配置されている一対の第2圧搾溝と、を有し、
前記吸収コアは、
前記第1圧搾溝の非肌面側に位置する部分である第1吸収コア部と、
前記第2圧搾溝の非肌面側に位置する部分である第2吸収コア部と、を有し、
前記第1吸収コア部の非肌面は、前記吸収コアの一部であって前記圧搾溝から前記幅方向に離れた非圧搾部分の非肌面よりも非肌面側に位置し、かつ前記第2吸収コア部の非肌面よりも非肌面側に位置する、吸収性物品。
【請求項2】
前記第1圧搾溝のうち少なくとも前記中央域に配置されている部分は、前記前後方向に沿って直線状に延びている、請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項3】
前記第1圧搾溝は、前記吸収コアの前端縁から後端縁まで連続的又は間欠的に延びている、請求項1又は2に記載の吸収性物品。
【請求項4】
前記第1圧搾溝の底面は、前記非圧搾部分の前記非肌面よりも非肌面側に位置する、請求項1又は2に記載の吸収性物品。
【請求項5】
前記吸収性物品の平面視において、前記第2圧搾溝は、曲線状に延びている、請求項1又は2に記載の吸収性物品。
【請求項6】
前記第2圧搾溝の底面は、前記非圧搾部分の非肌面よりも肌面側に位置する、請求項1又は2に記載の吸収性物品。
【請求項7】
前記吸収性物品の平面視において、前記幅方向に前記吸収コアを4等分した場合に、前記幅方向の外側に位置する一対の外側領域と、前記一対の外側領域の間に位置する内側領域と、が設けられ、
前記中央域は、前記中央域の前記前後方向の中心よりも前側の領域を含む中央前領域を有し、
前記第2圧搾溝のうち少なくとも前記中央前領域と前記幅方向に重なる部分は、前記一対の外側領域のそれぞれに位置する、請求項1又は2に記載の吸収性物品。
【請求項8】
前記吸収性物品の平面視において、前記幅方向に前記吸収コアを4等分した場合に、前記幅方向の外側に位置する一対の外側領域と、前記一対の外側領域の間に位置する内側領域と、が設けられ、
前記第1圧搾溝は、前記内側領域に位置する、請求項1又は2に記載の吸収性物品。
【請求項9】
前記前後方向において、前記第1圧搾溝の長さは、前記第2圧搾溝の長さよりも長い、請求項1又は2に記載の吸収性物品。
【請求項10】
着用者に当接するトップシートを有し、
前記第1圧搾溝では、前記トップシートが非圧搾である、請求項1又は2に記載の吸収性物品。
【請求項11】
前記吸収性物品の前記幅方向及び前記厚さ方向に沿った断面において、前記第1圧搾溝の幅は、前記非圧搾部分の厚さよりも広い、請求項1又は2に記載の吸収性物品。
【請求項12】
前記圧搾溝は、少なくとも前記吸収コアが非肌面側から肌面側へ圧搾されかつ前記幅方向において一対の前記第1圧搾溝の間に配置されている第3圧搾溝を更に有する、請求項1又は2に記載の吸収性物品。
【請求項13】
前記吸収コアは、前記第3圧搾溝の肌面側に位置する部分である第3吸収コア部を更に有し、
前記第3吸収コア部の肌面は、前記非圧搾部分の肌面よりも肌面側に位置する、請求項12に記載の吸収性物品。
【請求項14】
前記第3圧搾溝の底面の深さは、前記第1圧搾溝の底面の深さよりも深い、請求項12に記載の吸収性物品。
【請求項15】
前記中央域は、前記中央域の前記前後方向の中心よりも前側の領域を含む中央前領域を有し、
前記吸収コアは、
少なくとも前記中央前領域に配置されている高坪量領域と、
前記高坪量領域よりも坪量が低く、かつ前記高坪量領域の前記前後方向の外側に配置されている低坪量領域と、を有し、
前記第1圧搾溝は、前記高坪量領域から前記低坪量領域まで延びており、
前記高坪量領域における前記第1圧搾溝の底面の深さは、前記低坪量領域における前記第1圧搾溝の底面の深さよりも深い、請求項1又は2に記載の吸収性物品。
【請求項16】
前記第1圧搾溝を構成する複数の圧搾溝部分と、前記複数の圧搾溝部分の間の1以上の間欠部分と、を有し、
前記前後方向において、前記複数の圧搾溝部分の合計長さは、前記1以上の間欠部分の合計長さよりも長い、請求項1又は2に記載の吸収性物品。
【請求項17】
前記中央域は、前記中央域の前記前後方向の中心よりも前側の領域を含む中央前領域を有し、
前記圧搾溝は、前記幅方向において一対の前記第1圧搾溝の間に配置されている第3圧搾溝を更に有し、
前記中央前領域よりも前記前後方向の外側において、前記第1圧搾溝及び前記第3圧搾溝のそれぞれは、前記前後方向において間欠的に延びており、
前記前後方向において、前記第1圧搾溝を構成する圧搾溝部分間の間欠部分の位置は、前記第3圧搾溝を構成する圧搾溝部分間の間欠部分の位置からずれている、請求項1又は2に記載の吸収性物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸収コアが厚さ方向へ圧搾された圧搾溝を有する吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
吸収コアが厚さ方向へ圧搾され、かつ前後方向に延びる圧搾溝を有する吸収性物品が広く知られている(例えば、特許文献1参照)。具体的には、着用者の排泄口に対向する領域を含む前後方向における中央域では、吸収コアが肌面側から非肌面側へ圧搾されかつ吸収性物品の幅方向の中央を挟むように一対の圧搾溝が設けられている。このような吸収性物品の一対の圧搾溝間の吸収コア(以下、内側吸収コア部と適宜称する)は、例えば吸収性物品が着用者の脚に挟まれて幅方向内側に向かう力を受けた場合に、圧搾溝を基点として変形し、肌面側へ隆起することがある。内側吸収コア部が着用者の排泄口に近づくため、吸収性物品が排泄物を素早く吸収し易くなる。
【0003】
また、圧搾溝の吸収コアは、当該圧搾溝の周囲の吸収コアよりも剛性が高い。従って、圧搾溝の吸収コアは、幅方向内側に向かう力を受けても幅方向に圧縮され難くなり、内側吸収コア部の幅入りを抑制できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の吸収性物品では、以下の問題があった。内側吸収コア部は、吸収コアが幅方向内側に向かう力を受けた場合に、肌面側ではなく、非肌面側へ隆起することがあった。この場合には、内側吸収コア部は、着用者の排泄口から遠ざかるため、吸収性物品が排泄物を素早く吸収できないことがあった。
【0006】
また、吸収コアが幅方向内側に向かう力を受けた場合に、変形基点となる圧搾溝よりも幅方向外側の吸収コアの幅入りが発生し易い。という問題があった。
【0007】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、一対の圧搾溝間の吸収コアを肌面側へ隆起し易く、当該一対の圧搾溝よりも幅方向外側の吸収コアの幅入りを発生し難くできる吸収性物品を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一態様に係る吸収性物品は、前後方向、幅方向、及び厚さ方向と、前側域、中央域、及び後側域と、前記前後方向において前記中央域を挟む前後域と、吸収コアと、少なくとも前記吸収コアが前記厚さ方向に圧搾されかつ前記前後方向に延びる圧搾溝と、を有する。前記圧搾溝が少なくとも前記中央域に配置されている。前記圧搾溝は、前記吸収コアが肌面側から非肌面側へ圧搾されかつ前記吸収コアの前記幅方向の中心を挟むように配置されている一対の第1圧搾溝と、前記吸収コアが肌面側から非肌面側へ圧搾されかつ前記一対の第1圧搾溝よりも前記吸収性物品の前記幅方向の外側に配置されている一対の第2圧搾溝と、を有する。前記吸収コアは、前記第1圧搾溝の非肌面側に位置する部分である第1吸収コア部と、前記第2圧搾溝の非肌面側に位置する部分である第2吸収コア部と、を有する。前記第1吸収コア部の非肌面は、前記吸収コアの一部であって前記圧搾溝から前記幅方向に離れた非圧搾部分の非肌面よりも非肌面側に位置し、かつ前記第2吸収コア部の非肌面よりも非肌面側に位置する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施形態に係る吸収性物品の肌面側から見た平面図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る吸収性物品1の非肌面側から見た平面図である。
【
図3】
図3は、
図1に示すA-A線に沿った吸収性物品の概略断面図である。
【
図4】
図4は、
図3においてF4で示される範囲の吸収性物品1の模式的な断面図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る吸収体の肌面側T1から見た平面図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る吸収コアが幅方向内側へ向かう力を受けた場合を説明するための概略断面図である。
【
図7】
図7は、着用者が実施形態に係る吸収性物品を着用する際の吸収コアの動きを説明するための概略図である。
【
図8】
図8は、変更例に係る吸収体30の肌面側T1から見た平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(1)実施形態の概要
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
態様1に係る吸収性物品は、前後方向、幅方向、及び厚さ方向と、前側域、中央域、及び後側域と、前記前後方向において前記中央域を挟む前後域と、吸収コアと、少なくとも前記吸収コアが前記厚さ方向に圧搾されかつ前記前後方向に延びる圧搾溝と、を有する。前記圧搾溝が少なくとも前記中央域に配置されている。前記圧搾溝は、前記吸収コアが肌面側から非肌面側へ圧搾されかつ前記吸収コアの前記幅方向の中心を挟むように配置されている一対の第1圧搾溝と、前記吸収コアが肌面側から非肌面側へ圧搾されかつ前記一対の第1圧搾溝よりも前記吸収性物品の前記幅方向の外側に配置されている一対の第2圧搾溝と、を有する。前記吸収コアは、前記第1圧搾溝の非肌面側に位置する部分である第1吸収コア部と、前記第2圧搾溝の非肌面側に位置する部分である第2吸収コア部と、を有する。前記第1吸収コア部の非肌面は、前記吸収コアの一部であって前記圧搾溝から前記幅方向に離れた非圧搾部分の非肌面よりも非肌面側に位置し、かつ前記第2吸収コア部の非肌面よりも非肌面側に位置する。第1吸収コア部の非肌面が、非圧搾部分の非肌面よりも非肌面側に位置するため、第1吸収コア部の少なくとも一部が一対の第1圧搾溝間の吸収コア(すなわち、内側吸収コア部)の非肌面側に位置する。従って、第1吸収コア部は、幅方向内側へ向かう力を受けて幅方向内側に動く場合に、内側吸収コア部を非肌面側から肌面側へ押し上げ易い。その結果、内側吸収コア部を肌面側へ隆起し易くでき、吸収性物品の幅方向Wの中央を着用者の排泄口にフィットさせることができる。ここで、第1吸収コア部の非肌面が第2吸収コア部の非肌面よりも非肌面側に位置するため、第1吸収コア部の少なくとも一部は、第2吸収コア部と比較して、より非肌面側へ位置する。従って、吸収コアが幅方向内側へ向かう力を受けた場合に、第2吸収コア部と比較して、第1吸収コア部は、幅方向内側の吸収コアをより押し上げ易い。その結果、吸収コアが、第2圧搾溝よりも第1圧搾溝を基点として変形し易くなり、意図した吸収コアの変形を実現できる。また、第1圧搾溝よりも幅方向の外側に第2圧搾溝が配置されている。従って、吸収コアが幅方向内側に向かう力を受けた場合に、第1圧搾溝と第2圧搾溝との間の吸収コアの幅入りを抑制できる。その結果、変形基点となる第1圧搾溝よりも幅方向外側の吸収コアの幅入りを発生し難くでき、排泄物の横漏れを抑制できる。このように、吸収性物品の幅方向中央のフィットと、排泄物の横漏れの抑制とを両立できる。
【0011】
好ましい態様によれば、態様2に係る発明は、態様1に係る発明において、以下の特徴を有してよい。前記第1圧搾溝のうち少なくとも前記中央域に配置されている部分は、前記前後方向に沿って直線状に延びている。少なくとも中央域では第1圧搾溝の幅方向の位置が同じであるため、中央域において、吸収コアが幅方向内側に向かう力を受けた場合に、第1圧搾溝の局所に力が集中するのではなく、第1圧搾溝の全体へ力が加わり易い。その結果、中央域において、広い範囲で内側吸収コア部を肌面側へ隆起し易くでき、意図した吸収コアの変形を実現できる。
【0012】
好ましい態様によれば、態様3に係る発明は、態様1又は2に係る発明において、以下の特徴を有してよい。前記第1圧搾溝は、前記吸収コアの前端縁から後端縁まで連続的又は間欠的に延びている。第1圧搾溝が吸収コアの前端縁から後端縁まで延びていない場合と比較して、吸収コアが幅方向内側に向かう力を受けた場合に、第1吸収コア部が、幅方向内側へ向かう力を受け易くなる。その結果、内側吸収コア部を肌面側へ隆起し易くでき、意図した吸収コアの変形を実現できる。
【0013】
好ましい態様によれば、態様4に係る発明は、態様1から態様3のいずれかに係る発明において、以下の特徴を有してよい。前記第1圧搾溝の底面は、前記非圧搾部分の前記非肌面よりも非肌面側に位置してよい。これにより、第1吸収コア部の全体が非圧搾部分の内側吸収コア部の非肌面側に位置する。従って、第1吸収コア部は、幅方向内側へ向かう力を受けて幅方向内側に動く場合に、内側吸収コア部を非肌面側から肌面側へさらに押し上げ易くなる。その結果、内側吸収コア部を肌面側へ隆起し易くできる。
【0014】
好ましい態様によれば、態様5に係る発明は、態様1から態様4のいずれかに係る発明において、以下の特徴を有してよい。前記吸収性物品の平面視において、前記第2圧搾溝は、曲線状に延びている。これにより、第2圧搾溝が前後方向に沿って直線状に延びている場合と比較して、幅方向において第2圧搾溝の最も内側の内側縁の位置と、最も外端の外側縁の位置との幅方向距離が長くなる。従って、第2圧搾溝の幅方向長さを確保することができ、直線状の第2圧搾溝と比べて幅方向長さの分だけ吸収コアの幅入りを抑制できる。
【0015】
好ましい態様によれば、態様6に係る発明は、態様1から態様5のいずれかに係る発明において、以下の特徴を有してよい。前記第2圧搾溝の底面は、前記非圧搾部分の非肌面よりも肌面側に位置してよい。これにより、第2吸収コア部の少なくとも一部は、非圧搾部分よりも肌面側に位置する。ここで、第1吸収コア部の非肌面が、第2吸収コア部の非肌面よりも非肌面側に位置するため、第2吸収コア部が幅方向内側へ向かう力を受けた場合に、第1圧搾溝と第2圧搾溝との間の吸収コアを肌面側から非肌面側へ向かう方向へ移動させ易くなる。その結果、第1吸収コア部が肌面側から非肌面側へ向かう方向の力を受け易くなり、吸収コアが、第2圧搾溝よりも、第1圧搾溝を基点として変形し易くなり、意図した吸収コアの変形を実現できる。
【0016】
好ましい態様によれば、態様7に係る発明は、態様1から態様6のいずれかに係る発明において、以下の特徴を有してよい。前記吸収性物品の平面視において、前記幅方向に前記吸収コアを4等分した場合に、前記幅方向の外側に位置する一対の外側領域と、前記一対の外側領域の間に位置する内側領域と、が設けられる。前記中央域は、前記中央域の前記前後方向の中心よりも前側の領域を含む中央前領域を有する。前記第2圧搾溝のうち少なくとも前記中央前領域と前記幅方向に重なる部分は、前記一対の外側領域のそれぞれに位置する。第2圧搾溝のうち外側領域に配置された部分によって、外側領域で吸収コアの幅入りの発生を抑制できる。外側領域は内側領域よりも幅方向外側に位置するため、変形基点となる第1圧搾溝よりも幅方向外側の吸収コアの幅入りを発生し難くできる。中央前領域の幅方向外側において排泄物の吸収面積を広く確保できる。
【0017】
好ましい態様によれば、態様8に係る発明は、態様1から態様7のいずれかに係る発明において、以下の特徴を有してよい。前記吸収性物品の平面視において、前記幅方向に前記吸収コアを4等分した場合に、前記幅方向の外側に位置する一対の外側領域と、前記一対の外側領域の間に位置する内側領域と、が設けられる。前記第1圧搾溝は、前記内側領域に位置する。内側領域は、幅方向に4等分された吸収コアの2つ分に対応する。第1圧搾溝が内側領域に位置するため、第1圧搾溝間の吸収コアである内側吸収コア部の幅は、吸収コアの幅の半分未満である。従って、内側吸収コア部の幅が吸収コアの幅の半分以上である場合と比較すると、肌面側へ隆起する内側吸収コア部を小さくでき、第1圧搾溝を基点とした吸収コアが変形する範囲が大きくならない。吸収コアの過剰な変形を防止でき、着用者に違和感を与え難くすることができる。また、内側吸収コア部が小さいため、着用者の股下へ入り込み易くなる。その結果、内側吸収コア部を着用者の排泄口により近づけることができる。さらに、変形基点となる第1圧搾溝よりも幅方向外側の領域を広く確保することができる。その結果、排泄物の横漏れを抑制できる。
【0018】
好ましい態様によれば、態様9に係る発明は、態様1から態様8のいずれかに係る発明において、以下の特徴を有してよい。前記前後方向において、前記第1圧搾溝の長さは、前記第2圧搾溝の長さよりも長い。前後方向において、第2圧搾溝に比べて、第1圧搾溝が広い範囲で配置される。また、第1圧搾溝のうち第2圧搾溝が幅方向の外側にない部分は、幅方向内側へ向かう力を受け易くなる。これにより、広い範囲で内側吸収コア部を肌面側へ隆起し易くでき、意図した吸収コアの変形を実現できる。
【0019】
好ましい態様によれば、態様10に係る発明は、態様1から態様9のいずれかに係る発明において、以下の特徴を有してよい。吸収性物品は、着用者に当接するトップシートを有する。前記第1圧搾溝では、前記トップシートが非圧搾である。第1吸収コア部の非肌面が非圧搾部分の非肌面よりも非肌面側に位置するように第1圧搾溝を形成する場合、そうでない場合と比較すると、強く圧搾する必要がある。しかし、第1圧搾溝を形成する際に、トップシートが圧搾されないため、トップシートが破れる虞がない。その結果、内側吸収コア部が肌面側へ隆起することでトップシートが排泄口に接触しても、第1圧搾溝の形成に起因したトップシートの破れが存在せず、着用者に違和感を与え難くすることができる。
【0020】
好ましい態様によれば、態様11に係る発明は、態様1から態様10のいずれかに係る発明において、以下の特徴を有してよい。前記吸収性物品の前記幅方向及び前記厚さ方向に沿った断面において、前記第1圧搾溝の幅は、前記非圧搾部分の厚さよりも広い。幅方向において第1圧搾溝に隣接する吸収コア部分の厚さは、非圧搾部分の厚さと同じ又は薄いため、吸収コアが第1圧搾溝を基点として変形する際に、幅方向において第1圧搾溝の一方側の隣接する吸収コア部分と第1圧搾溝の他方側の隣接する吸収コア部分とが当たらずに、吸収コアの変形が阻害され難くすることができる。その結果、内側吸収コア部を肌面側へ隆起し易くでき、意図した吸収コアの変形を実現できる。
【0021】
好ましい態様によれば、態様12に係る発明は、態様1から態様11のいずれかに係る発明において、以下の特徴を有してよい。前記圧搾溝は、少なくとも前記吸収コアが非肌面側から肌面側へ圧搾されかつ前記幅方向において一対の前記第1圧搾溝の間に配置されている第3圧搾溝を更に有する。これにより、第3圧搾溝の非肌面側に位置する部分である(以下、第3吸収コア部と適宜称する)が、幅方向内側へ向かう力を受けた場合に、非圧搾部分よりも肌面側の方へ動き易く、第3圧搾溝を頂点として内側吸収コア部を肌面側へ隆起し易くできる。その結果、内側吸収コア部を排泄口にフィットさせ易くなる。
【0022】
好ましい態様によれば、態様13に係る発明は、態様1から態様12のいずれかに係る発明において、以下の特徴を有してよい。前記吸収コアは、前記第3圧搾溝の肌面側に位置する部分である第3吸収コア部を更に有する。前記第3吸収コア部の肌面は、前記吸収コアの一部であって前記幅方向において前記非圧搾部分の肌面よりも肌面側に位置する。これにより、第3吸収コア部のうち第3吸収コア部に隣接する部分の肌面よりも肌面側に位置する部分は、当該隣接する部分から非肌面側から肌面側へ押し上げる方向の力を受けるため、第3吸収コア部が肌面側へ動き易くなる。これにより、第3圧搾溝を頂点として内側吸収コア部を肌面側へ隆起し易くでき、意図した吸収コアの変形を実現できる。
【0023】
好ましい態様によれば、態様14に係る発明は、態様1から態様13のいずれかに係る発明において、以下の特徴を有してよい。前記第3圧搾溝の底面の深さは、前記第1圧搾溝の底面の深さよりも深い。これにより、第1圧搾溝よりも第3圧搾溝において吸収コアがさらに変形し易くなる。その結果、第3圧搾溝を頂点として内側吸収コア部を肌面側へ隆起し易くでき、内側吸収コア部を排泄口にフィットさせ易くなる。
【0024】
好ましい態様によれば、態様15に係る発明は、態様1から態様14のいずれかに係る発明において、以下の特徴を有してよい。前記中央域は、前記中央域の前記前後方向の中心よりも前側の領域を含む中央前領域を有する。前記吸収コアは、少なくとも前記中央前領域に配置されている高坪量領域と、前記高坪量領域よりも坪量が低く、かつ前記高坪量領域の前記前後方向の外側に配置されている低坪量領域と、を有する。前記第1圧搾溝は、前記高坪量領域から前記低坪量領域まで延びている。前記高坪量領域における前記第1圧搾溝の底面の深さは、前記低坪量領域における前記第1圧搾溝の底面の深さよりも深い。これにより、高坪量領域では、第1圧搾溝の底面が相対的に深いため内側吸収コア部を肌面側へ隆起し易くしつつも、低坪量領域では第1圧搾溝の底面が相対的に浅いため内側吸収コア部を高坪量領域よりも隆起し難くできる。その結果、低坪量領域では、内側吸収コア部を局所的に当たり難くでき、着用者に違和感を与え難くすることができる。
【0025】
好ましい態様によれば、態様16に係る発明は、態様1から態様15のいずれかに係る発明において、以下の特徴を有してよい。吸収性物品は、前記第1圧搾溝を構成する複数の圧搾溝部分と、前記複数の圧搾溝部分の間の1以上の間欠部分と、を有してよい。前記前後方向において、前記複数の圧搾溝部分の合計長さは、前記1以上の間欠部分の合計長さよりも長い。前後方向において着用者の身体に沿って吸収コアが曲がり易くしつつも、第1圧搾溝を基点とした吸収コアの変形し易さを確保することができ、意図した吸収コアの変形を実現できる。
【0026】
好ましい態様によれば、態様17に係る発明は、態様1から態様16のいずれかに係る発明において、以下の特徴を有してよい。前記中央域は、前記中央域の前記前後方向の中心よりも前側の領域を含む中央前領域を有する。前記圧搾溝は、前記幅方向において一対の前記第1圧搾溝の間に配置されている第3圧搾溝を更に有する。前記中央前領域よりも前記前後方向の外側において、前記第1圧搾溝及び前記第3圧搾溝のそれぞれは、前記前後方向において間欠的に延びている。前記前後方向において、前記第1圧搾溝を構成する圧搾溝部分間の間欠部分の位置は、前記第3圧搾溝を構成する圧搾溝部分間の間欠部分の位置からずれている。前後方向において第1圧搾溝を構成する圧搾溝部分間の間欠部分(以下、第1間欠部分と適宜称する)及び第3圧搾溝を構成する圧搾溝部分間の間欠部分(以下、第3間欠部分と適宜称する)の剛性は低いため、第1間欠部分が第3間欠部分よりも前側に位置する場合には、中央前領域よりも後方において、第1間欠部分と第3間欠部分とを通る線(すなわち、前後方向の前側に向かうにつれて幅方向の外側へ向かう線)に沿って吸収コアが曲がり易くなる。その結果、吸収コアが臀部に沿って曲がり易くなり、着用者の後方への排泄物の漏れをさらに抑制できる。また、第1間欠部分が第3間欠部分よりも後側に位置する場合には、中央前領域よりも前方において、第1間欠部分と第3間欠部分とを通る線(すなわち、前後方向の前側に向かうにつれて幅方向の内側へ向かう線)に沿って吸収コアが曲がり易くなる。その結果、吸収コアが腹部に沿って曲がり易くなり、着用者の前方への排泄物の漏れをさらに抑制できる。
【0027】
(2)吸収性物品の概要
以下、図面を参照して、実施形態に係る吸収性物品1について説明する。なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な寸法等は、以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれ得る。吸収性物品1は、生理用ナプキン、パンティライナー、失禁パッド、糞便パッドのような吸収性物品であってよい。吸収性物品は、下着のような着用物品の内側に取り付けられて使用される物品であってよい。実施の形態の吸収性物品1は、昼用の生理用ナプキンである。なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なる場合があることに留意すべきである。したがって、具体的な寸法等は、以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれる場合がある。
【0028】
図1は、吸収性物品1の肌面側T1から見た平面図である。
図2は、吸収性物品1の非肌面側T2から見た平面図である。
図3は、
図1に示すA-A線に沿った概略断面図である。ここで、「肌面側」は、使用中に着用者の肌に面する側に相当する。「非肌面側」は、使用中に着用者の肌とは反対に向けられる側に相当する。吸収性物品1は、互いに直交する前後方向L、幅方向W、及び厚さ方向Tを有する。吸収性物品1の前後方向Lにおいて、着用者の下腹部に当接する側を「前側」といい、着用者の臀部に当接する側を「後側」という。
【0029】
吸収性物品1は、前側域、中央域、及び後側域を有する。中央域S2は、前側域S1と後側域S3との間に配置されている。中央域S2は、着用者の排泄口、例えば膣口に対向する領域を含む領域であってよい。吸収性物品1が着用物品に装着されたときに、中央域S2は着用物品の股下に配置され、着用者の両脚の間に配置される領域であってよい。中央域S2は、吸収性物品1が後述するウイング7を有する場合、ウイング7の最も前側の前端縁(具体的には、前側の付け根)から最も後側の後端縁(具体的には、後側の付け根)までの領域であってもよい。中央域S2は、吸収性物品1がウイング7を有さない場合であって、製造後の吸収性物品1が前後方向Lに3つ折り又は4つ折りされた状態である場合、前から1つ目の折り目と2つ目の折り目の間の領域であってよい。中央域S2は、それ以外の状態であって、吸収性物品1がウイング7を有さない場合、吸収性物品1を前後方向Lに3等分したうちの中央の領域であってよい。前側域S1は、中央域S2よりも前側に位置する。前側域S1の前端縁は、吸収性物品1の前端縁を規定する。後側域S3は、中央域S2よりも後方に位置する。後側域S3の後端縁は、吸収性物品1の後端縁を規定する。
【0030】
吸収性物品1は、吸収コア31、トップシート10及びバックシート20を少なくとも有する。吸収性物品1は、縦長の形状である。トップシート10は、吸収コア31よりも肌面側T1に配置され、着用者に当接するシートである。トップシート10は、吸収コア31の幅方向Wの中央を覆うセンターシート11と、センターシート11よりも幅方向Wの外側に配置され、後述するウイング7に少なくとも配置されるサイドシート12と、を有してよい。サイドシート12は、センターシート11よりも幅方向Wに配置された部分を有していればよく、センターシート11の外側部と重なってよい。サイドシート12は、吸収コア31よりも幅方向Wの外側に配置される部分を有しており、本実施の形態では、吸収コア31と幅方向Wに離間している。センターシート11は、不織布、織布、有孔プラスチックシート、メッシュシート等、液体を透過する構造を有する任意のシート状の材料から構成される。サイドシート12は、疎水性を有してよい。サイドシート12の資材は、センターシート11と同様であってよい。センターシート11とサイドシート12は、シート接合部によって接合されてよい。シート接合部は、センターシート11とサイドシート12を圧搾した圧搾部によって構成されてよく、吸収性物品1の肌面側T1から視認可能に構成されてよい。シート接合部は、点状の圧搾部の集合体によって構成されてよく、より詳細には、点状の圧搾部が菱形に配置され、当該菱形が前後方向Lに並んだ集合体によって構成されてよい。シート接合部は、前後方向Lに延びてよい。
【0031】
バックシート20は、吸収コア31及び繊維シート50よりも非肌面側T2に配置され、着用物品に当接するシートである。バックシート20は、液不透過性のシートである。バックシート20は、例えば、非通気性の樹脂フィルムなどを用いることができる。
【0032】
吸収コア31は、吸収体30を構成する。吸収コア31は、液体を吸収する吸収材料によって構成されてよい。吸収コア31を構成する吸収材料は、例えば、親水性繊維、パルプ及び高吸水性高分子(SAP)から形成できる。吸収体30は、吸収コア31を覆うコアラップシート32を有してよい。コアラップシート32は、例えば不織布やティッシュから構成することができる。変更例として、吸収コア31は、コアラップシート32によって覆われていなくてもよい。
【0033】
吸収性物品1は、ウイング7を有する。ウイング7は、着用時に着用物品の非肌面側T2に向けてウイング折り目FLを基点に折り返される。ウイング7には、少なくともトップシート10とバックシート20が配置されてよい。ウイング折り目FLは、ウイング7の付け根によって規定されており、幅方向Wの内側に窪んだ2つの部分のうち、前側に位置する部分と後側に位置する部分とを繋ぐラインである。ウイング7は、ウイング折り目FLを基点に、使用前にトップシート10側に折り畳まれており、使用時に着用物品の非肌面側T2に折り返されていてもよい。ウイング7には、トップシート10とバックシート20の間に配置された補強シート15が配置されてよい。なお、本明細書において、「前後方向Lに沿って」という用語は、前後方向Lに対して45°未満の角度を持った方向を意味し、「幅方向Wに沿って」という用語は、幅方向Wに対して45°未満の角度を持った方向を意味する。
【0034】
図2等に示すように、吸収性物品1は、吸収性物品1を下着等の着用物品に止着するための粘着部を有する。粘着部は、バックシート20の非肌面側T2に設けられ、吸収性物品1を下着等の着用物品に止着するための止着手段が設けられた領域である。粘着部は、少なくとも吸収コア31と重なる領域を着用物品に止着するための本体粘着部61を有する。本体粘着部61は、吸収性物品1の厚さ方向Tにおいて、吸収コア31と重なる領域に設けられている。粘着部は、ウイング7を着用物品に止着するためのウイング粘着部62を有してよい。ウイング粘着部62は、ウイング7の非肌面に付されており、着用時にウイング7が着用物品の非肌面側T2に折り返された状態で、着用物品の非肌面に止着する。
【0035】
(3)吸収体及び圧搾溝の詳細
実施形態に係る吸収体30及び圧搾溝40の詳細について説明する。
図4は、
図3においてF4で示される範囲の吸収性物品1の模式的な断面図である。なお、
図4において、トップシート10及びバックシート20は、吸収体30の形状に沿うように接合されている。
図5は、吸収体30の肌面側T1から見た平面図である。なお、
図5では、後述する第1圧搾溝41、第2圧搾溝42、及び第3圧搾溝43を図示しており、吸収体30の他の圧搾箇所の図示を省略している。
図6は、吸収コア31が幅方向内側へ向かう力を受けた場合を説明するための概略断面図である。
図7は、着用者WAが吸収性物品1を着用する際の吸収コア31の動きを説明するための概略図である。吸収コア31Aは、吸収性物品1が着用物品(不図示)に取り付けられた際の吸収コア31の状態の一例を示し、吸収コア31Bは、着用物品に取り付けられた吸収性物品1を股下側へ少し引き上げられた吸収コア31の状態の一例を示し、吸収コア31Cは、着用物品に取り付けられた吸収性物品1を股下側へ更に引き上げられて股下の直下に位置する吸収コア31の状態の一例を示す。
【0036】
図4及び
図6に示すように、吸収コア31は、第1吸収コア部311、第2吸収コア部312、及び第3吸収コア部313を有する。第1吸収コア部311は、後述する第1圧搾溝41の非肌面側T2に位置する部分である。第1吸収コア部311は、第1圧搾溝41から厚さ方向Tに重なっている部分である。第1吸収コア部311は、少なくとも第1圧搾溝41の底面41bと厚さ方向Tに重なっている。第1吸収コア部311は、例えば第1圧搾溝41の側部が厚さ方向Tに対して傾斜している場合、第1圧搾溝41の側部と厚さ方向Tに重なっている。
【0037】
第2吸収コア部312は、後述する第2圧搾溝42の非肌面側T2に位置する部分である。第2吸収コア部312は、第2圧搾溝42から厚さ方向Tに重なっている部分である。第2吸収コア部312は、少なくとも第2圧搾溝42の底面42bと厚さ方向Tに重なっている。第2吸収コア部312は、例えば第2圧搾溝42の側部が厚さ方向Tに対して傾斜している場合、第2圧搾溝42の側部と厚さ方向Tに重なっている。
【0038】
第3吸収コア部313は、後述する第3圧搾溝43の肌面側T1に位置する部分である。第3吸収コア部313は、第3圧搾溝43から厚さ方向Tに重なっている部分である。第3吸収コア部313は、少なくとも第3圧搾溝43の底面43bと厚さ方向Tに重なっている。第3吸収コア部313は、例えば第3圧搾溝43の側部が厚さ方向Tに対して傾斜している場合、第3圧搾溝43の側部と厚さ方向Tに重なっている。
【0039】
また、吸収コア31は、吸収コア31の一部であって圧搾溝40から幅方向Wに離れた非圧搾部分35を有する。非圧搾部分35は、吸収コア31のうち圧搾されていない部分により構成されている。なお、圧搾溝40を形成する際に、幅方向Wにおける圧搾溝40の側壁を構成する側部(特に、圧搾溝40の底面側の側部)も圧搾の影響を受けて当該側部の厚みが変化するため、非圧搾部分35は、圧搾溝40から幅方向Wから少なくとも3mm以上離れた部分により構成される。
【0040】
図1及び
図5に示すように、吸収コア31は、少なくとも後述する中央前領域に配置されている高坪量領域HWRと、高坪量領域HWRよりも坪量が低くかつ高坪量領域HWRの前後方向Lの外側に配置されている低坪量領域LWRと、を有してよい。高坪量領域HWRは、中央域S2に配置されていてよい。高坪量領域HWRは、幅方向Wにおいて一対の第1圧搾溝41に挟まれている領域であってよい。低坪量領域LWRは、前側域S1と後側域S3とに配置されていてよい。低坪量領域LWRは、幅方向Wにおいて一対の第1圧搾溝41よりも外側の領域であってよい。従って、高坪量領域HWRは、幅方向Wにおいて低坪量領域LWRに挟まれていてもよい。
【0041】
中央域S2は、中央域S2の前後方向Lの中心よりも前側の領域を含む中央前領域を有してよい。中央前領域は、中央域S2を前後方向Lに3分割したうちの前から1つ目と2つ目との領域により構成されてよい。中央前領域は、吸収コア31を幅方向Wに3分割したうちの中央の領域により構成されてよい。中央前領域は、着用者の膣口に対向する領域であってよい。高坪量領域HWRは、少なくとも中央前領域に配置されていてよい。
【0042】
図1、4、5に示すように、吸収性物品1は、圧搾溝40を有する。圧搾溝40は、少なくとも吸収コア31が厚さ方向Tへ圧搾されかつ前後方向Lに延びる。圧搾溝40は、少なくとも中央域S2に配置されている。実施形態では、圧搾溝40は、一対の第1圧搾溝41、一対の第2圧搾溝42、及び第3圧搾溝43を有する。
【0043】
一対の第1圧搾溝41は、少なくとも吸収コア31が肌面側T1から非肌面側T2へ圧搾されかつ吸収コア31の幅方向Wの中心を挟むように配置されている。一対の第2圧搾溝42は、少なくとも吸収コア31が肌面側T1から非肌面側T2へ圧搾されかつ一対の第1圧搾溝41よりも吸収性物品1の幅方向の外側に配置されている。第3圧搾溝43は、少なくとも吸収コア31が肌面側T1から非肌面側T2へ圧搾されかつ幅方向Wにおいて一対の第1圧搾溝41の間に配置されている。
【0044】
図4及び
図6に示すように、第1吸収コア部311の非肌面311nは、非圧搾部分35の非肌面35nよりも非肌面側T2に位置し、かつ第2吸収コア部312の非肌面312nよりも非肌面側T2に位置する。従って、第1吸収コア部311が一対の第1圧搾溝41間の吸収コア31である内側吸収コア部IACの非肌面側T2に位置する。なお、第1吸収コア部311の非肌面311nは、少なくとも幅方向Wにおいて一方の非圧搾部分35の非肌面35nよりも非肌面側T2に位置すればよい。同様に、第1吸収コア部311の非肌面311nは、幅方向Wの外側の第2吸収コア部312の非肌面312nよりも非肌面側T2に位置すればよい。
【0045】
なお、例えば、以下の方法によって、各非肌面の位置を比較することができる。サンプルとなる吸収性物品1を液体窒素に含浸させて凍結させた後、剃刀で当該吸収性物品1を厚さ方向T及び幅方向Wに沿った断面が得られるようにカットし、吸収性物品1の平面視において、断面を得る。次いで、当該サンプルを常温に戻し、電子顕微鏡(例えば、キーエンス社VE7800)を用いて、50倍の倍率の断面画像を得る。そして当該断面画像において、第1吸収コア部311の非肌面311n、非圧搾部分35の非肌面35n、及び第2吸収コア部312の非肌面312nの位置を目視により評価する。なお、第1吸収コア部311の非肌面311nと比較される非圧搾部分35の非肌面35nは、例えば第1圧搾溝41から幅方向Wから3mm以上10mm以下の範囲に位置する部分であって圧搾されていない部分の非肌面35nであってよい。第2吸収コア部312の非肌面312nと比較される非圧搾部分35の非肌面35nは、例えば第2圧搾溝42から幅方向Wから3mm以上10mm以下の範囲に位置する部分であって圧搾されていない部分の非肌面35nであってよい。
【0046】
図6Aに示すように、吸収コア31が幅方向内側へ向かう力Fを受けるケースを想定する。
図6Bに示すように、第1吸収コア部311は、幅方向外側の非圧搾部分35よりも非肌面側T2に位置するため、幅方向内側の成分と非肌面側T2方向の成分とを有する力f1を非圧搾部分35から受ける。これにより、第1吸収コア部311は、非肌面側T2方向へ動かされながら、幅方向内側に動かされる。次に、第1吸収コア部311は、幅方向内側の非圧搾部分35へ力f2を与える。具体的には、第1吸収コア部311は、幅方向内側の非圧搾部分35の非肌面35nよりも非肌面側T2に位置するため、当該非圧搾部分35に対して、幅方向内側の成分と肌面側T1方向の成分とを有する力f2を与える。従って、
図6Cに示すように、第1吸収コア部311は、幅方向内側の非圧搾部分35、すなわち、内側吸収コア部IACを非肌面側T2から肌面側T1へ押し上げ易い(
図7における吸収コア31A及び吸収コア31B参照)。その結果、
図7に示すように、内側吸収コア部IACを肌面側T1へ隆起し易くでき、吸収性物品1の幅方向Wの中央を着用者WAの排泄口Eにフィットさせることができる(
図7における吸収コア31C参照)。
【0047】
ここで、第1吸収コア部311の非肌面311nが第2吸収コア部312の非肌面312nよりも非肌面側T2に位置するため、第1吸収コア部311の少なくとも一部(具体的には、第1吸収コア部311のうち非肌面312nよりも非肌面側T2に位置する部分)は、第2吸収コア部312と比較して、より非肌面側T2へ位置する。従って、吸収コア31が幅方向内側へ向かう力Fを受けた場合に、第2吸収コア部312と比較して、第1吸収コア部311は、幅方向内側の吸収コア31をより押し上げ易い。その結果、吸収コア31が、第2圧搾溝42よりも第1圧搾溝41を基点として変形し易くなり、意図した吸収コア31の変形を実現できる。
【0048】
また、第1圧搾溝41よりも幅方向Wの外側に第2圧搾溝42が配置されている。従って、吸収コア31が幅方向内側に向かう力Fを受けた場合に、第1圧搾溝41と第2圧搾溝42との間の吸収コア31の幅入りを抑制できる。その結果、変形基点となる第1圧搾溝41よりも幅方向外側の吸収コア31の幅入りを発生し難くでき、排泄物の横漏れを抑制できる。このように、吸収性物品1の幅方向中央のフィットと、排泄物の横漏れの抑制とを両立できる。
【0049】
図5に示すように、第1圧搾溝41は、前後方向Lに沿って直線状に延びてよい。第1圧搾溝41のうち少なくとも中央域S2に配置されている部分は、前後方向Lに沿って直線状に延びてよい。これにより、少なくとも中央域S2では第1圧搾溝41の幅方向Wの位置が同じであるため、中央域S2において、吸収コア31が幅方向内側に向かう力Fを受けた場合に、第1圧搾溝41の局所に力が集中するのではなく、第1圧搾溝41の全体へ力が加わり易い。その結果、中央域S2において、広い範囲で内側吸収コア部IACを肌面側T1へ隆起し易くでき、意図した吸収コア31の変形を実現できる。
【0050】
また、第1圧搾溝41は、吸収コア31の前端縁から後端縁まで連続的又は間欠的に延びてよい。実施形態では、第1圧搾溝41は、吸収コア31の前端縁から後端縁まで連続的に延びている。第1圧搾溝41が吸収コア31の前端縁から後端縁まで延びていない場合と比較して、吸収コア31が幅方向内側に向かう力Fを受けた場合に、第1吸収コア部311が、幅方向内側へ向かう力Fを受け易くなる。その結果、内側吸収コア部IACを肌面側T1へ隆起し易くでき、意図した吸収コア31の変形を実現できる。
【0051】
第1圧搾溝41は、高坪量領域HWRから低坪量領域LWRまで延びていてよい。実施形態では、第1圧搾溝41は、高坪量領域HWRから前側域S1の低坪量領域LWRまで延びている。また、第1圧搾溝41は、高坪量領域HWRから後側域S3の低坪量領域LWRまで延びている。なお、第1圧搾溝41を形成するために吸収コア31を圧搾する際に、第1圧搾溝41を前後方向Lに連続的に設けることで、第1圧搾溝41が高坪量領域HWRから後側域S3の低坪量領域LWRまで延びるように設けることができる。吸収コア31が圧搾され続けるため、吸収コア31の位置が安定して第1圧搾溝41を安定的に設けることができ、品質の低下を抑制できる。
【0052】
前後方向Lにおいて、第1圧搾溝41の長さは、ウイング7の長さよりも長くてよい。また、前後方向Lにおいて、第1圧搾溝41の長さは、第2圧搾溝42の長さよりも長くてよい。前後方向Lにおいて、第2圧搾溝42に比べて、第1圧搾溝41が広い範囲で配置される。また、第1圧搾溝41のうち第2圧搾溝42が幅方向Wの外側にない部分は、幅方向内側へ向かう力Fをより受け易くなる。従って、広い範囲で内側吸収コア部IACを肌面側T1へ隆起し易くでき、意図した吸収コア31の変形を実現できる。
【0053】
第1圧搾溝41は、厚さ方向Tにおいて本体粘着部61と重なってよい。第1吸収コア部311の非肌面側T2に位置する本体粘着部61によって、第1吸収コア部311が非肌面側T2へ動き難くなるので、その分だけ内側吸収コア部IACを肌面側T1へ隆起し易くできる。
【0054】
図5に示すように、吸収性物品1の平面視において、幅方向Wに吸収コア31を4等分した場合に、幅方向Wの外側に位置する一対の外側領域ORと、一対の外側領域ORの間に位置する内側領域IRと、が設けられてよい。ここで、第1圧搾溝41は、内側領域IRに位置してよい。内側領域IRは、幅方向Wに4等分された吸収コア31の2つ分に対応する。第1圧搾溝41が内側領域IRに位置するため、第1圧搾溝41間の吸収コア31である内側吸収コア部IACの幅は、吸収コア31の幅の半分未満である。従って、内側吸収コア部IACの幅が吸収コア31の幅の半分以上である場合と比較すると、肌面側T1へ隆起する内側吸収コア部IACを小さくでき、第1圧搾溝41を基点とした吸収コア31が変形する範囲が大きくならない。吸収コア31の過剰な変形を防止でき、着用者に違和感を与え難くすることができる。また、内側吸収コア部IACが小さいため、着用者の股下へ入り込み易くなる。その結果、内側吸収コア部IACを着用者の排泄口により近づけることができる。さらに、変形基点となる第1圧搾溝41よりも幅方向外側の領域を広く確保することができる。その結果、排泄物の横漏れを抑制できる。
【0055】
図4に示すように、吸収性物品1の幅方向W及び厚さ方向Tに沿った断面において、第1圧搾溝41の幅W1は、非圧搾部分35の厚さT5よりも広くてよい。これにより、吸収コア31が第1圧搾溝41を基点として変形する際に、幅方向Wにおいて第1圧搾溝41の一方側の吸収コア部分と第1圧搾溝41の他方側の吸収コア部分とが当たらずに、吸収コア31の変形が阻害され難くすることができる。その結果、内側吸収コア部IACを肌面側T1へ隆起し易くでき、意図した吸収コア31の変形を実現できる。
【0056】
実施形態では、第1圧搾溝41の底面41bは、コアラップシート32により構成されている。第1圧搾溝41の底面41bは、吸収コア31により構成されていてもよい。なお、第1圧搾溝41では、トップシート10が非圧搾である。従って、トップシート10が圧搾されていないため、第1圧搾溝41の底面41bは、トップシート10により構成されない。トップシート10の非圧搾部分の剛性は、圧搾されている部分の剛性と比較すると低いため、第1圧搾溝41上のトップシート10が排泄口(例えば、膣口)に触れたとしても、着用者に違和感を与え難くすることができる。
【0057】
高坪量領域HWRにおける第1圧搾溝41の底面41bの深さD1は、低坪量領域LWRにおける第1圧搾溝41の底面41bの深さD1よりも深くてよい。これにより、中央前領域に配置されている高坪量領域HWRでは、第1圧搾溝41の底面41bが相対的に深いため内側吸収コア部IACを肌面側へ隆起し易くしつつも、低坪量領域LWRでは第1圧搾溝41の底面41bが相対的に浅いため内側吸収コア部IACを高坪量領域HWRよりも隆起し難くできる。その結果、高坪量領域HWR以外の領域では、内側吸収コア部IACを局所的に当たり難くでき、着用者に違和感を与え難くすることができる。なお、第1圧搾溝41の底面41bの深さD1は、
図4に示すように、第1圧搾溝41の開口縁から底面41b(実施形態では、吸収コア31の肌面側T1のコアラップシート32の肌面)までの厚さ方向Tの距離である。
【0058】
なお、幅方向Wにおいて、高坪量領域HWRと低坪量領域LWRとの境界に第1圧搾溝41が配置されていてよい。一般的に、高坪量領域HWRの吸収コア31の方が低坪量領域LWRの吸収コア31よりも剛性が高いため、第1圧搾溝41を境界として剛性差が生じ、第1圧搾溝41を基点として変形し易くできる。
【0059】
第1圧搾溝41の底面41bは、非圧搾部分35の非肌面35nよりも非肌面側T2に位置してよい。これにより、第1吸収コア部311の全体が非圧搾部分35の内側吸収コア部IACの非肌面側T2に位置する。従って、第1吸収コア部311は、幅方向内側へ向かう力Fを受けて幅方向内側に動く場合に、内側吸収コア部IACを非肌面側T2から肌面側T1へさらに押し上げ易くなる。その結果、内側吸収コア部IACを肌面側T1へ隆起し易くできる。なお、第1圧搾溝41の底面41bは、厚さ方向Tに非圧搾部分35の非肌面35nに接するコアラップシート32部分の非肌面よりも非肌面側T2に位置してよい。
【0060】
図5に示すように、第2圧搾溝42は、複数の点状の圧搾部の集合体によって構成されてもよい。具体的には、第2圧搾溝42は、複数の点状の圧搾部どうしが隣接して(例えば、3mm以内)に配置されていてよい。これにより、吸収性物品1の平面視において、肌面側から非肌面側へ凹んでいる部分が、第2圧搾溝42として前後方向Lに線状に延びていてよい。変更例として第2圧搾溝42は、連続的に延びる圧搾部によって構成されてもよい。具体的には、第2圧搾溝42は、前後方向Lに延びている連続的に圧搾されている部分によって構成されてもよい。
【0061】
吸収性物品1の平面視において、第2圧搾溝42は、曲線状に延びてよい。これにより、第2圧搾溝42が前後方向Lに沿って直線状に延びている場合と比較して、幅方向Wにおいて第2圧搾溝42の最も内側の内側縁の位置と、最も外端の外側縁の位置との幅方向距離が長くなる。従って、第2圧搾溝42の幅方向長さを確保することができ、直線状の第2圧搾溝42と比べて幅方向長さの分だけ吸収コア31の幅入りを抑制できる。なお、実施形態では、吸収性物品1の平面視において、第2圧搾溝42は、環状である。従って、一対の第2圧搾溝42の前端部どうしがつながっており、一対の第2圧搾溝42の後端部どうしが繋がっている。一対の第2圧搾溝42のそれぞれは、円弧状である。変更例として第2圧搾溝42は、直線状であってもよい。
【0062】
なお、吸収性物品1の平面視において、前後方向Lの中央側で第1圧搾溝41と第2圧搾溝42との幅方向Wの距離が相対的に遠く、前後方向Lの外側で第1圧搾溝41と第2圧搾溝42との幅方向Wの距離が相対的に近くなっている。前後方向Lの中央側は、幅方向Wの内側に向かう力が強いため、吸収コア31が幅入りし易いものの、変形基点となる第1圧搾溝41よりもさらに遠い位置で吸収コア31の幅入りを抑制できる。なお、中央域S2において、環状の第2圧搾溝42の内側に一対の第1圧搾溝41が配置されることで、一対の第1圧搾溝41よりも幅方向Wの外側に第2圧搾溝42が配置されている。
【0063】
また、第2圧搾溝42のうち少なくとも中央前領域と幅方向Wに重なる部分は、一対の外側領域ORのそれぞれに位置してよい。すなわち、第2圧搾溝42は、外側領域ORでは、中央前領域よりも幅方向Wの外側に位置してよい。第2圧搾溝42のうち外側領域ORに配置された部分によって、外側領域ORで吸収コア31の幅入りの発生を抑制できる。外側領域ORは内側領域IRよりも幅方向外側に位置するため、変形基点となる第1圧搾溝41よりも幅方向外側の吸収コア31の幅入りを発生し難くできる。排泄物が漏れ易い中央前領域の幅方向外側において排泄物の吸収面積を広く確保できる。なお、中央前領域よりも前後方向Lの外側では、第2圧搾溝42は、外側領域ORに配置されていてもよいし、内側領域IRに配置されていてもよい。
【0064】
図4に示すように、実施形態では、第2圧搾溝42の底面42bは、トップシート10により構成されている。なお、第2圧搾溝42の底面42bは、圧搾によりトップシート10が破れることで吸収コア31又はコアラップシート32により構成されていてもよい。
図4に示すように、第2圧搾溝42の底面42bは、非圧搾部分35の非肌面35nよりも肌面側T1に位置してよい。これにより、第2吸収コア部312の少なくとも一部は、非圧搾部分35よりも肌面側T1に位置する。ここで、上述の通り、第1吸収コア部311の非肌面311nが、第2吸収コア部312の非肌面32nよりも非肌面側T2に位置するため、第2吸収コア部312が幅方向内側へ向かう力Fを受けた場合に、第1圧搾溝41と第2圧搾溝42との間の吸収コア31を肌面側T1から非肌面側T2へ向かう方向へ移動させ易くなる。その結果、第1吸収コア部311が肌面側T1から非肌面側T2へ向かう方向の力f1を受け易くなり、吸収コア31が、第2圧搾溝42よりも、第1圧搾溝41を基点として変形し易くなり、意図した吸収コア31の変形を実現できる。
【0065】
第3圧搾溝43は、実施形態では、少なくとも吸収コア31が非肌面側T2から肌面側T1へ圧搾されている。また、第3圧搾溝43は、幅方向Wにおいて一対の第1圧搾溝41の間に配置されている。これにより、第3吸収コア部313が、幅方向内側へ向かう力を受けた場合に、非圧搾部分35よりも肌面側T1の方へ動き易く、第3圧搾溝43を頂点として内側吸収コア部IACを肌面側T1へ隆起し易くできる(
図7参照)。その結果、内側吸収コア部IACを排泄口Eにフィットさせ易くなる。
【0066】
図4に示すように、第3吸収コア部313の肌面313sは、非圧搾部分35の肌面35sよりも肌面側T1に位置してよい。これにより、第3吸収コア部313のうち非圧搾部分35の肌面35sよりも肌面側T1に位置する部分は、第3吸収コア部313に隣接する非圧搾部分35から非肌面側T2から肌面側T1へ押し上げる方向の力を受けるため、第3吸収コア部313が肌面側T1へ動き易くなる。これにより、第3圧搾溝43を頂点として内側吸収コア部IACを肌面側T1へ隆起し易くでき、意図した吸収コア31の変形を実現できる。なお、第3吸収コア部313の肌面313sと非圧搾部分35の肌面35sとの位置関係は、上述と同様に、電子顕微鏡(例えば、キーエンス社VE7800)を用いて、目視により評価できる。なお、非圧搾部分35の非肌面35nは、第3圧搾溝から幅方向Wから少なくとも3mm以上10mm以下の範囲に位置する部分であって圧搾されていない部分の非肌面35nである。
【0067】
図4に示すように、第3圧搾溝43の底面43bの深さD3は、第1圧搾溝41の底面41bの深さD1よりも深くてよい。これにより、第1圧搾溝41よりも第3圧搾溝43において吸収コア31がさらに変形し易くなる。その結果、第3圧搾溝43を頂点として内側吸収コア部IACを肌面側T1へ隆起し易くでき、内側吸収コア部IACを排泄口Eにフィットさせ易くなる。なお、第3圧搾溝43の底面43bの深さD3は、
図4に示すように、第3圧搾溝43の開口縁から底面43b(実施形態では、吸収コア31の非肌面側T2のコアラップシート32の非肌面)までの厚さ方向Tの距離である。
【0068】
第3圧搾溝43は、厚さ方向Tにおいて本体粘着部61と重ならなくてよい。これにより、第3吸収コア部313が肌面側T1へ動くことを本体粘着部61によって阻害されず、第3吸収コア部313が肌面側T1へ動き易くなる。その結果、第3圧搾溝43を頂点として内側吸収コア部IACを肌面側T1へ隆起し易くできる。
【0069】
図4に示すように、実施形態では、第1圧搾溝41及び第3圧搾溝43では、吸収コア31とコアラップシート32とが圧搾されている。第1圧搾溝41及び第3圧搾溝43では、トップシート10が圧搾されていない。従って、第1圧搾溝41及び第3圧搾溝43では、トップシート10が圧搾されずに少なくとも吸収コア31が圧搾されている。第1吸収コア部311の非肌面311nが非圧搾部分35の非肌面35nよりも非肌面側T2に位置するように第1圧搾溝41を形成する場合、そうでない場合と比較すると、強く圧搾する必要がある。しかし、第1圧搾溝41を形成する際に、トップシート10が圧搾されないため、トップシート10が破れる虞がない。その結果、内側吸収コア部IACが肌面側T1へ隆起することでトップシート10が排泄口Eに接触しても、第1圧搾溝41の形成に起因したトップシート10の破れが存在せず、着用者に違和感を与え難くすることができる。また、使用者がトップシート10を視認した際に、吸収性物品1が不良品と思わず、吸収性物品1の品質の低下を抑制できる。
【0070】
一方で、第2圧搾溝42では、吸収コア31とコアラップシート32とに加えて、トップシート10が圧搾されている。第1圧搾溝41及び第3圧搾溝43では、トップシート10と共に吸収コア31が圧搾されている。
【0071】
幅方向Wにおけるトップシート10の引張強度は、10N/25mm以下であってよい。トップシート10の引張強度を低くすることで、トップシート10の柔らかさを確保することができる。その結果、内側吸収コア部IACが肌面側T1へ隆起することで、トップシート10が排泄口Eに接触しても、着用者に違和感を与え難くすることができる。
【0072】
引張強度は、以下の方法にて測定することができる。例えば、トップシート10を吸収性物品1から取り外す。トップシート10の前後方向Lの長さ25mmとなるようにトップシート10を切り出す。引張試験機(オートグラフAGS-1kNG:島津製作所株式会社製)に切り出したトップシート10をセットして、100mmのチャック間距離となるように設定する。切り出したトップシート10の幅方向Wの一方側を固定した状態で、トップシート10の幅方向Wの他方側へ引っ張る。引張速度は、100mm/分である。トップシート10が破断した際の、引張力の最大値を引張強度として測定する。5つの試料で同様の測定を行い、それらの平均値を引張強度(N/25mm)とする。長さ25mm分のトップシート10の引張強度を評価している。トップシート10の長さとして25mmを基準としているので、単位の分母が25mmとなっている。
【0073】
第2圧搾溝42の幅は、第1圧搾溝41の幅よりも広くてよい。また、第2圧搾溝42の幅は、第3圧搾溝43の幅よりも広くてよい。これにより、第2圧搾溝42の幅が広い分だけ吸収コアの幅入りを抑制できる。なお、圧搾溝40の幅は、吸収性物品1の平面視において、圧搾溝40が延びる延在方向に対して直行する方向の圧搾溝40の一方の側壁から他方の側壁までの距離である。なお、第1圧搾溝41の幅は、第3圧搾溝43の幅よりも広くてよい。これにより、第3圧搾溝43と比較して、第1圧搾溝41において吸収コア31どうしが当たり難くなる。第1圧搾溝41において、吸収コア31の変形が阻害され難くでき、内側吸収コア部IACを肌面側T1へ隆起し易くできる。また、第3圧搾溝43の幅は、第1圧搾溝41の幅よりも広くてよい。これにより、第1圧搾溝41と比較して、第3圧搾溝43において吸収コア31どうしが当たり難くなる。吸収コア31の変形が阻害され難くでき、第3圧搾溝43を頂点として内側吸収コア部を肌面側へ隆起し易くできる。
【0074】
第1吸収コア部311は、前後方向Lにおいて、相対的に剛性が高い部分と相対的に剛性が低い部分と交互に配置されていてよい。これにより、剛性が低い部分を基点として前後方向Lに吸収コア折れ曲がり易くなるため、前後方向Lにおいて着用者の身体に吸収性物品1を沿い易くすることができる。なお、第3吸収コア部313の剛性も、第1吸収コア部311と同様であってよい。
【0075】
なお、
図1に示すように、吸収性物品1では、圧搾溝40以外の位置が圧搾されていてもよい。例えば、吸収性物品1の平面視において、環状の第2圧搾溝42の内側に点状に圧搾されていてもよい。また、第2圧搾溝42よりも前後方向Lの外側に点状の圧搾部がライン上に複数配置されていてよい。これらの圧搾部は、第2圧搾溝42と同様に、吸収コア31とコアラップシート32とに加えて、トップシート10が圧搾されている。
【0076】
第1圧搾溝41は、互いに対向する凸部と凹部とにより構成される圧搾形成部により圧搾されることで形成されてもよい。例えば、互いに対向する一対のローラのうち一方のローラに第1圧搾溝41を形成するための凸部と第3圧搾溝43を形成するための凹部とが設けられていてよい。他方のローラに第1圧搾溝41を形成するための凹部と第3圧搾溝43を形成するための凸部とが設けられていてよい。第1圧搾溝41を形成するための凸部と凹部とが互いに対向し、第3圧搾溝43を形成するための凸部と凹部とが互いに対向している。このような一対のローラによって吸収体30となる吸収体30の基材が圧搾されることで第1圧搾溝41及び第3圧搾溝43が形成されてよい。
【0077】
第1圧搾溝41及び第3圧搾溝43が形成された吸収体30の基材に対して、トップシート10が配置されて、凸部と平坦面とにより構成される圧搾形成部により圧搾されることで第2圧搾溝42が形成されてもよい。その後、通常の吸収性物品の製造方法と同様にして、吸収性物品1が製造されてよい。
【0078】
なお、例えば第1圧搾溝41が凸部と平坦面とにより形成される場合、厚さ方向Tにおいて、第1吸収コア部311の非肌面311nは、非圧搾部分35の非肌面35nとは同じ位置に存在する。
【0079】
(4)変更例に係る吸収体
変更例に係る吸収体30について説明する。上述の実施形態との相違点を主として説明する。
図8は、変更例に係る吸収体30の肌面側T1から見た平面図である。
図8では、第1圧搾溝41及び第3圧搾溝43を図示しており、第2圧搾溝42が図示されていない。
【0080】
図8に示すように、吸収体30(吸収性物品1)では、第1圧搾溝41が前後方向Lに間欠的に延びている。これにより、前後方向Lにおいて第1圧搾溝41の間(後述する第1間欠部分41i)の剛性が低くなるため、前後方向Lの第1圧搾溝41の間で吸収コア31が前後方向Lに曲がり易くなる。その結果、前後方向Lにおいて着用者の身体に沿って吸収コア31が曲がり易く、吸収コア31が着用者の身体にフィットし易くできる。
【0081】
第3圧搾溝43も、第1圧搾溝41と同様に、前後方向Lに間欠的に延びている。従って、第1圧搾溝41と同様に、前後方向Lにおいて着用者の身体に沿って吸収コア31が曲がり易く、吸収コア31が着用者の身体にフィットし易くできる。
【0082】
第1圧搾溝41及び第3圧搾溝43のそれぞれは、中央前領域よりも前後方向Lの外側において、前後方向Lにおいて間欠的に延びてよい。変更例では、第1圧搾溝41は、中央前領域と幅方向W(又は厚さ方向T)に重なる領域には、配置されていない。一方で、第3圧搾溝43は、中央前領域と幅方向W(又は厚さ方向T)に重なる領域に配置されている。また、第1圧搾溝41は、高坪量領域HWRと厚さ方向Tに重ならない位置にのみ配置されていてもよい。一方で、第1圧搾溝41は、高坪量領域HWRと厚さ方向Tに重なる位置に配置されていてもよい。なお、変更例では、高坪量領域HWR以外の領域は、低坪量領域LWRである。
【0083】
また、吸収性物品1(吸収体30)は、第1圧搾溝41を構成する複数の圧搾溝部分(以下、第1圧搾溝部分41pと称する)と、複数の第1圧搾溝部分41pの間の1以上の間欠部分(以下、第1間欠部分41iと称する)とを有してよい。前後方向Lにおいて、複数の第1圧搾溝部分41pの合計長さは、1以上の第1間欠部分41iの合計長さよりも長くてよい。これにより、前後方向Lにおいて着用者の身体に沿って吸収コア31が曲がり易くしつつも、第1圧搾溝41を基点とした吸収コア31の変形し易さを確保することができ、意図した吸収コア31の変形を実現できる。なお、1以上の第1間欠部分41iの合計長さには、1つの第1圧搾溝部分41pの前後方向Lの長さよりも長い第1間欠部分41iの長さは含めなくてよい。例えば、1以上の第1間欠部分41iの合計長さに、高坪量領域HWRと厚さ方向Tに重なる第1間欠部分41iの長さを含めなくてもよい。
【0084】
また、吸収性物品1(吸収体30)は、第3圧搾溝43を構成する複数の圧搾溝部分(以下、第3圧搾溝部分43pと称する)と、複数の第3圧搾溝部分43pの間の1以上の間欠部分(以下、第3間欠部分43iと称する)とを有してよい。前後方向Lにおいて、複数の第3圧搾溝部分43pの合計長さは、1以上の第3間欠部分43iの合計長さよりも長くてよい。
【0085】
前後方向Lにおいて、第1間欠部分41iの位置は、第3間欠部分43iの位置からずれていてよい。従って、第1間欠部分41iと第3間欠部分43iとは、幅方向Wにおいて重ならなくてもよいし、第1間欠部分41iの一部のみが第3間欠部分43iと幅方向Wにおいて重なっていてもよい。
【0086】
本変更例では、第1間欠部分41iは、第3間欠部分43iよりも前側に位置している。ここで、第1間欠部分41iの剛性は第1圧搾溝41の剛性よりも低く、第3間欠部分43iの剛性は第3圧搾溝43の剛性よりも低い。従って、中央前領域よりも後方において、第1間欠部分41iと第3間欠部分43iとを通る線(すなわち、前後方向Lの前側に向かうにつれて幅方向Wの外側へ向かう線L13)に沿って吸収コア31が曲がり易くなる。その結果、吸収コア31が臀部に沿って曲がり易くなり、着用者の後方への排泄物の漏れをさらに抑制できる。
【0087】
他の変更例において、第1間欠部分41iは、第3間欠部分43iよりも後側に位置してもよい。この場合、中央前領域よりも前方において、第1間欠部分41iと第3間欠部分43iとを通る線(すなわち、前後方向の前側に向かうにつれて幅方向の内側へ向かう線)に沿って吸収コア31が曲がり易くなる。その結果、吸収コア31が腹部に沿って曲がり易くなり、着用者の前方への排泄物の漏れをさらに抑制できる。
【0088】
第1間欠部分41iの前後方向Lの長さは、第2間欠部分42iの前後方向Lの長さよりも長くてよい。これにより、第2圧搾溝42よりも第1圧搾溝41において幅方向Wの内側に向かう力を受け易くなり、第1圧搾溝41を基点として変形し易くなる。また、第3間欠部分43iの前後方向Lの長さは、第2間欠部分42iの前後方向Lの長さよりも長くてよい。これにより、第2圧搾溝42よりも第3圧搾溝43において幅方向Wの内側に向かう力を受け易くなり、第3圧搾溝43を基点として変形し易くなる。
【0089】
なお、複数の第1間欠部分41iが存在する場合、第1間欠部分41iと第3間欠部分43iとの前後方向Lの位置関係は、当該第3間欠部分43iに最も近い第1間欠部分41iが対象となる。同様に、複数の第3間欠部分43iが存在する場合、第1間欠部分41iと第3間欠部分43iとの前後方向Lの位置関係は、当該第1間欠部分41iに最も近い第3間欠部分43iが対象となる。
【0090】
(5)その他実施形態
上述の実施形態では、第1吸収コア部311の非肌面311nは、非圧搾部分35の非肌面35nよりも非肌面側T2に位置し、かつ第2吸収コア部312の非肌面312nよりも非肌面側T2に位置していた。しかしながら、第1吸収コア部311の一部の非肌面311nは、例えば製造誤差等により、非圧搾部分35の非肌面35nよりも肌面側T1に位置することがあってもよいし、第2吸収コア部312の非肌面312nよりも肌面側T1に位置することがあってもよい。
【0091】
上述の実施形態では、第2圧搾溝42では、吸収コア31とコアラップシート32とトップシート10が圧搾されていたが、これに限られない。第2圧搾溝42では、例えば、吸収コア31とコアラップシート32とのみが圧搾されていてもよい。第3圧搾溝43では、例えば、吸収コア31のみが圧搾されていてもよいし、吸収コア31とコアラップシート32に加えて、吸収体30よりも非肌面側T2に配置されるシートが圧搾されていてもよいし、トップシート10と吸収体30との間に配置されるシート(例えば、トップシート10と吸収体30との間に配置される中間シート)が圧搾されていてもよい。
【0092】
以上、上述の実施形態を用いて本発明について詳細に説明したが、当業者にとっては、本発明が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本発明は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。したがって、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
【符号の説明】
【0093】
1 :吸収性物品
10 :トップシート
31 :吸収コア
32 :コアラップシート
35 :非圧搾部分
40 :圧搾溝
41 :第1圧搾溝
42 :第2圧搾溝
43 :第3圧搾溝
311 :第1吸収コア部
312 :第2吸収コア部
S1 :前側域
S2 :中央域
S3 :後側域
L :前後方向
T :厚さ方向
W :幅方向