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特開2024-45509多孔性シリコン含有複合体、それを利用した炭素複合体、それを含んだ、電極、リチウム電池及び電子素子
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024045509
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】多孔性シリコン含有複合体、それを利用した炭素複合体、それを含んだ、電極、リチウム電池及び電子素子
(51)【国際特許分類】
   C01B 33/02 20060101AFI20240326BHJP
   H01M 4/36 20060101ALI20240326BHJP
   H01M 4/38 20060101ALI20240326BHJP
   H01M 4/134 20100101ALI20240326BHJP
   H01M 4/587 20100101ALI20240326BHJP
   H01M 4/133 20100101ALI20240326BHJP
【FI】
C01B33/02 Z
H01M4/36 A
H01M4/36 C
H01M4/38 Z
H01M4/36 E
H01M4/134
H01M4/587
H01M4/133
【審査請求】有
【請求項の数】39
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024019408
(22)【出願日】2024-02-13
(62)【分割の表示】P 2019194574の分割
【原出願日】2019-10-25
(31)【優先権主張番号】10-2018-0128321
(32)【優先日】2018-10-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】390019839
【氏名又は名称】三星電子株式会社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】129,Samsung-ro,Yeongtong-gu,Suwon-si,Gyeonggi-do,Republic of Korea
(71)【出願人】
【識別番号】590002817
【氏名又は名称】三星エスディアイ株式会社
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG SDI Co., LTD.
【住所又は居所原語表記】150-20 Gongse-ro,Giheung-gu,Yongin-si, Gyeonggi-do, 446-902 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(74)【代理人】
【識別番号】100210480
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 学
(74)【代理人】
【識別番号】100210170
【弁理士】
【氏名又は名称】光末 竜太
(72)【発明者】
【氏名】崔 正鉉
(72)【発明者】
【氏名】孫 寅赫
(72)【発明者】
【氏名】金 美鍾
(72)【発明者】
【氏名】馬 相國
(72)【発明者】
【氏名】李 柱明
(72)【発明者】
【氏名】林 ▲ミン▼愚
(72)【発明者】
【氏名】韓 ▲聖▼洙
(57)【要約】
【課題】多孔性シリコン含有複合体、それを利用した炭素複合体、それを含んだ、電極、リチウム電池及び電子素子を提供する。
【解決手段】多孔性シリコン複合体二次粒子を含む多孔性コアと、多孔性コアの少なくとも一面上の第1グラフェンを含むシェルと、を含む多孔性シリコン含有複合体であり、多孔性シリコン複合体二次粒子は、2以上のシリコン複合体一次粒子の凝集体を含み、前記多孔性シリコン複合体二次粒子は、第1シリコンを含有する第1一次粒子と、構造体を含む第2一次粒子と、前記第1一次粒子と前記第2一次粒子との少なくとも一面上の第2グラフェンと、の凝集体を含有し、前記第1一次粒子と第2一次粒子は、形状(shape)及び酸化度のうちから選択された1以上が異なる多孔性シリコン含有複合体が提示される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多孔性シリコン複合体二次粒子を含む多孔性コアと、前記多孔性コアの少なくとも一面上の第1グラフェンを含むシェルと、を含む多孔性シリコン含有複合体であり、
前記多孔性シリコン複合体二次粒子は、2以上のシリコン複合体一次粒子の凝集体を含み、
前記多孔性シリコン複合体二次粒子は、第1シリコンを含有する第1一次粒子と、構造体を含む第2一次粒子と、前記第1一次粒子と前記第2一次粒子との少なくとも一面上の第2グラフェンと、の凝集体を含有し、
前記第1一次粒子と第2一次粒子は、形状(shape)及び酸化度のうちから選択された1以上が異なる多孔性シリコン含有複合体。
【請求項2】
前記構造体は、第2シリコン、ゲルマニウム(Ge)、スズ(Sn)、アルミニウム(Al)、亜鉛(Zn)、アンチモン(Sb)のうちから選択された1以上、その合金、またはその組み合わせ物を含むことを特徴とする請求項1に記載の多孔性シリコン含有複合体。
【請求項3】
前記構造体は、第2シリコンであることを特徴とする請求項1に記載の多孔性シリコン含有複合体。
【請求項4】
前記第1シリコンは、板状型シリコン、針状型シリコン、キュービック型シリコン、ロッド型シリコンのうちから選択された1以上であることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の多孔性シリコン含有複合体。
【請求項5】
前記構造体は、球形、ナノワイヤ、スフィアのうちから選択された1以上であることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の多孔性シリコン含有複合体。
【請求項6】
前記第1シリコンは、酸素含量が3原子%ないし15原子%であるシリコンであり、
前記第2シリコンは、酸素含量が0.01原子%以上であり、3原子%未満であるシリコンであることを特徴とする請求項3に記載の多孔性シリコン含有複合体。
【請求項7】
前記第1一次粒子と前記第2グラフェンとの間には、シリコンサブオキサイド(SiO)(0<x<2)をさらに含むことを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の多孔性シリコン含有複合体。
【請求項8】
第1一次粒子と第2一次粒子は、互いに異なる形状を有し、
前記多孔性シリコン含有複合体は、ナノチューブ、ナノロッド、ナノリボン、及びその組み合わせ物のうちから選択された1以上の第3一次粒子がさらに含まれることを特徴とする請求項3に記載の多孔性シリコン含有複合体。
【請求項9】
前記構造体は、第1シリコンによって連結され、ネックワークが形成されるか、あるいは該構造体は、第1シリコンに埋め込まれたことを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の多孔性シリコン含有複合体。
【請求項10】
前記第2シリコンの大きさは、第1シリコンの大きさと同一であるか、あるいはそれよりも小さいことを特徴とする請求項3に記載の多孔性シリコン含有複合体。
【請求項11】
前記第1シリコンの大きさ、及び第2シリコンの大きさは、それぞれ平均粒径が10nmないし30μmであり、
前記第1シリコンの大きさは、20ないし180nmであり、
前記第2シリコンの大きさは、100nm以下であることを特徴とする請求項3に記載の多孔性シリコン含有複合体。
【請求項12】
前記第1一次粒子上に、1ないし30層の膜状に第2グラフェンが配置され、
前記第2一次粒子上に、1ないし5層の膜状に第2グラフェンが配置されて、
その上部にフレークタイプの第2グラフェンが配置されたことを特徴とする請求項3に記載の多孔性シリコン含有複合体。
【請求項13】
前記多孔性シリコン含有複合体の比表面積は、0.1ないし100m/gであり、密度は、0.1ないし2.8g/ccであることを特徴とする請求項1から12のいずれか一項に記載の多孔性シリコン含有複合体。
【請求項14】
前記第2グラフェンは、シリコンサブオキサイドの表面上に直接的に配置され、
前記第1グラフェンは、多孔性シリコン複合体二次粒子の表面上に直接的に配置されたことを特徴とする請求項7に記載の多孔性シリコン含有複合体。
【請求項15】
前記シリコンの含量は、多孔性シリコン含有複合体総重量100重量部を基準に、0.1ないし99重量部であることを特徴とする請求項1から14のいずれか一項に記載の多孔性シリコン含有複合体。
【請求項16】
前記多孔性シリコン含有複合体は、二重コア/シェル構造を有することを特徴とする請求項1から15のいずれか一項に記載の多孔性シリコン含有複合体。
【請求項17】
前記第1グラフェンと第2グラフェンとの総含量は、シリコンの総重量100重量部を基準に、0.1ないし2,000重量部であることを特徴とする請求項1から16のいずれか一項に記載の多孔性シリコン含有複合体。
【請求項18】
前記シリコン複合体一次粒子において、第2グラフェンは、シリコンサブオキサイド(SiO)(0<x<2)から10nm以下の距離で配置され、1ないし30層のグラフェン層を含み、前記第2グラフェンの総厚は、0.3ないし1,000nmであり、
前記第2グラフェンは、前記シリコンの主軸に対して、0から90゜の角度に配向されることを特徴とする請求項7に記載の多孔性シリコン含有複合体。
【請求項19】
前記多孔性シリコン複合体二次粒子において、第1グラフェンは、シリコンサブオキサイド(SiO)(0<x<2)から1,000nm以下の距離で配置され、1ないし30層のグラフェン層を含み、前記第1グラフェンの総厚は、0.6ないし50nmであり、
前記第1グラフェンは、前記シリコンの主軸に対して、0から90゜の角度に配向されることを特徴とする請求項7に記載の多孔性シリコン含有複合体。
【請求項20】
前記シリコンサブオキサイド(SiO)(0<x<2)の厚みは、30μm以下であることを特徴とする請求項7に記載の多孔性シリコン含有複合体。
【請求項21】
前記多孔性シリコン複合体二次粒子の平均粒径は、1ないし30μmであり、比表面積は、0.1ないし100m/gであり、密度は、0.1ないし2.57g/ccであることを特徴とする請求項1から20のいずれか一項に記載の多孔性シリコン含有複合体。
【請求項22】
前記多孔性シリコン含有複合体において、酸素含量が酸素、炭素及びシリコン原子の総含量を基準に、0.01ないし15原子%であることを特徴とする請求項1から21のいずれか一項に記載の多孔性シリコン含有複合体。
【請求項23】
前記多孔性シリコン含有複合体の少なくとも一面上に、非晶質炭素を含む炭素系コーティング膜を含むことを特徴とする請求項1から22のいずれか一項に記載の多孔性シリコン含有複合体。
【請求項24】
前記炭素系コーティング膜は、結晶質炭素をさらに含むことを特徴とする請求項23に記載の多孔性シリコン含有複合体。
【請求項25】
前記結晶質炭素は、フラーレン、天然黒鉛、人造黒鉛、グラフェン及びカーボンナノチューブからなる群から選択された1以上であり、
非晶質炭素は、ピッチカーボン、ソフトカーボン、ハードカーボン、メゾ相ピッチ炭化物、焼成されたコークス、及び炭素ファイバからなる群から選択された1以上であることを特徴とする請求項24に記載の多孔性シリコン含有複合体。
【請求項26】
前記炭素系コーティング膜は、非多孔性の連続的なコーティング膜であり、炭素系コーティング膜の厚みは、1ないし5,000nmであることを特徴とする請求項23に記載の多孔性シリコン含有複合体。
【請求項27】
第1一次粒子、前記第1一次粒子と形状及び酸化度のうちから選択された1以上が異なる第2一次粒子を利用し、多孔性シリコン二次粒子を得る段階と、
前記多孔性シリコン二次粒子に炭素供給源ガスを供給し、熱処理する段階と、を含み、多孔性シリコン含有複合体を製造する多孔性シリコン含有複合体の製造方法。
【請求項28】
前記多孔性シリコン二次粒子は、第2一次粒子、第2二次粒子、分散剤、及び溶媒を含む組成物から得られることを特徴とする請求項27に記載の多孔性シリコン含有複合体の製造方法。
【請求項29】
前記溶媒は、アルコール系溶媒であり、
前記組成物から、多孔性シリコン二次粒子を得る段階は、組成物を噴霧乾燥させて実施されることを特徴とする請求項28に記載の多孔性シリコン含有複合体の製造方法。
【請求項30】
前記分散剤は、ステアリン酸、レゾルシノール、ポリビニルアルコール及びカーボンピッチのうちから選択された1以上であることを特徴とする請求項28に記載の多孔性シリコン含有複合体の製造方法。
【請求項31】
前記炭素供給源ガスが、下記化学式1で表示される化合物、下記化学式2で表示される化合物、及び下記化学式3で表示される酸素含有ガスからなる群から選択された1以上を含むことを特徴とする請求項27に記載の多孔性シリコン含有複合体の製造方法:
[化学式1]
(2n+2-a)[OH]
前記化学式1で、nは1ないし20の整数であり、aは0または1であり、
[化学式2]
(2n)
前記化学式2で、nは2ないし6の整数であり、
[化学式3]

前記化学式3で、xは1ないし20の整数であり、yは0または1ないし20の整数であり、zは1または2である。
【請求項32】
前記炭素供給源ガスが、下記化学式3aで表示される第2酸素含有化合物をさらに含み、下記化学式3aで表示される第2酸素含有化合物は、前記化学式3で表示される酸素含有化合物と異なることを特徴とする請求項31に記載の多孔性シリコン含有複合体の製造方法:
[化学式3a]

前記化学式3aで、xは0または1ないし20の整数であり、yは0または1ないし20の整数であり、zは1または2である。
【請求項33】
前記炭素供給源ガスが、メタン、エチレン、プロピレン、アセチレン、メタノール、エタノール及びプロパノールからなる群から選択された1以上を含むことを特徴とする請求項27に記載の多孔性シリコン含有複合体の製造方法。
【請求項34】
前記熱処理が、750ないし1,100℃で実施されることを特徴とする請求項27から33のいずれか一項に記載の多孔性シリコン含有複合体の製造方法。
【請求項35】
前記多孔性シリコン含有複合体、炭素系物質及び溶媒を含む組成物を乾式混合する段階をさらに含み、炭素系コーティング膜が形成された多孔性シリコン含有複合体を得ることを特徴とする請求項27から34のいずれか一項に記載の多孔性シリコン含有複合体の製造方法。
【請求項36】
請求項1ないし26のうちいずれか1項に記載の多孔性シリコン含有複合体と、炭素系材料とを含む炭素複合体。
【請求項37】
電気化学的な活物質、及び請求項1ないし26のうちいずれか1項に記載の多孔性シリコン含有複合体、前記多孔性シリコン含有複合体と炭素系材料とを含む炭素複合体、またはその組み合わせ物を含む電気化学的活物質複合体であり、
前記多孔性シリコン含有複合体、炭素複合体、またはその組み合わせ物が、前記電気化学的な活物質の表面にコーティングされた電気化学的活物質複合体。
【請求項38】
請求項1ないし26のうちいずれか1項に記載の多孔性シリコン含有複合体、または前記多孔性シリコン含有複合体と炭素系材料とを含む炭素複合体を含む電極。
【請求項39】
前記炭素系材料が、グラフェン、黒鉛、フラーレン、黒鉛質炭素、炭素ファイバ及びカーボンナノチューブからなる群から選択された1以上であり、前記炭素系材料の含量は、炭素複合体100重量部を基準に、0.001ないし99.999重量部であることを特徴とする請求項38に記載の電極。
【請求項40】
請求項38または39に記載の電極を含むリチウム電池。
【請求項41】
前記リチウム電池の充放電サイクル100回以下において、多孔性シリコン含有複合体は、第1一次粒子及び第2一次粒子を含み、前記第2一次粒子上に成長されたフレークタイプのグラフェンを有することを特徴とする請求項40に記載のリチウム電池。
【請求項42】
請求項1ないし26のうちいずれか1項に記載の多孔性シリコン含有複合体、または
前記多孔性シリコン含有複合体と炭素系材料とを含む素子であって、
前記素子が、電界放出素子、バイオセンサ、半導体素子または熱電素子であることを特徴とする素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多孔性シリコン含有複合体、それを利用した炭素複合体、それを含んだ、電極、リチウム電池及び電子素子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のリチウムイオン電池用負極活物質中のシリコンは、理論容量が4,200mAh/gと非常に大きく、低廉であり、負極素材として活用しようとする研究が活発に進められている。ところで、シリコンは、放電時、Li4.4Si合金が生成されながら、体積膨脹を伴い、電極内において電気的に孤立する活物質を発生させ、活物質の比表面積増大による電解質分解反応を深化させるというような問題点を抱いている。それを克服するために、シリコンの体積膨脹を低減させ、体積膨脹時、粉砕現象が少ない構造を開発したり、シリコン表面に炭素などからなるコーティング層を形成したりする方法が提案された。
【0003】
ところで、これまで開発されたシリコン材料を利用すれば、体積膨脹低減効果、及び電池の充放電効率において、満足すべきレベルに達することができていないのである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、新規の多孔性シリコン含有複合体を提供することである。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、また、前述の多孔性シリコン含有複合体と炭素系材料とを含む炭素複合体を提供することである。
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、また、前記多孔性シリコン含有複合体、または前記多孔性シリコン含有複合体と炭素系材料とを含む炭素複合体を含む電極を含み、寿命、容量及び効率が改善されたリチウム電池を提供することである。
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、また、前記多孔性シリコン含有複合体、または前述の多孔性シリコン含有複合体と炭素系材料とを含む炭素複合体を含む素子を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一側面により、
多孔性シリコン複合体二次粒子を含む多孔性コアと、前記多孔性コアの少なくとも一面上の第1グラフェンを含むシェルと、を含む多孔性シリコン含有複合体であり、
前記多孔性シリコン複合体二次粒子は、2以上のシリコン複合体一次粒子の凝集体を含み、
前記多孔性シリコン複合体二次粒子は、第1シリコンを含有する第1一次粒子と、構造体を含む第2一次粒子と、前記第1一次粒子と前記第2一次粒子との少なくとも一面上の第2グラフェンと、の凝集体を含有し、
前記第1一次粒子と第2一次粒子は、形状(shape)及び酸化度のうちから選択された1以上が異なる多孔性シリコン含有複合体が提供される。
【0009】
前記構造体は、第2シリコン、ゲルマニウム(Ge)、スズ(Sn)、アルミニウム(Al)、亜鉛(Zn)、アンチモン(Sb)のうちから選択された1以上、その合金、またはその組み合わせ物でもある。
【0010】
構造体は、第2シリコンである。
【0011】
第1シリコンは、板状型シリコン、針状型シリコン、キュービック型シリコン、ロッド型シリコンのうちから選択された1以上である。
【0012】
構造体は、球形、ナノワイヤ、スフィアのうちから選択された1以上である。
【0013】
第1シリコンは、酸素含量が3原子%ないし15原子%であるシリコンであり、
第2シリコンは、酸素含量が0.01原子%以上であり、3原子%未満であるシリコンである。
【0014】
第1一次粒子と第2グラフェンとの間には、シリコンサブオキサイド(SiO)(0<x<2)をさらに含む。
【0015】
第1一次粒子と第2一次粒子は、互いに異なる形状を有し、
前記多孔性シリコン含有複合体は、ナノチューブ、ナノロッド、ナノリボン、及びその組み合わせ物のうちから選択された1以上の第3一次粒子がさらに含まれる。
【0016】
第1シリコンは、板状シリコン、針状型シリコン、またはその組み合わせ物であり、
第2シリコンは、球形シリコンである。
【0017】
構造体は、第1シリコンによって連結され、ネックワークが形成されるか、あるいは該構造体は、第1シリコンに埋め込まれている。
【0018】
第2シリコンの大きさは、第1シリコンの大きさと同一であるか、あるいはそれよりも小さい。
【0019】
第1シリコンの大きさ、及び第2シリコンの大きさは、それぞれ平均粒径が10nmないし30μmであり、
第1シリコンの大きさは、20ないし180nmであり、
第2シリコンの大きさは、100nm以下である。
【0020】
多孔性シリコン含有複合体において、第1シリコンと第2シリコンとの混合重量比は、1:99ないし99:1である。
【0021】
第1一次粒子上に、1ないし30層の膜状に第2グラフェンが配置され、
第2一次粒子上に、1ないし5層の膜状に第2グラフェンが配置されて、
その上部にフレークタイプの第2グラフェンが配置されている。
【0022】
多孔性シリコン含有複合体の比表面積は、0.1ないし100m/gであり、密度は、0.1ないし2.8g/ccである。
【0023】
第2グラフェンは、シリコンサブオキサイドの表面上に直接的に配置され、
第1グラフェンは、多孔性シリコン複合体二次粒子の表面上に直接的に配置されている。
【0024】
シリコンの含量は、多孔性シリコン含有複合体総重量100重量部を基準に、0.1ないし99重量部である。
【0025】
多孔性シリコン含有複合体は、二重コア/シェル構造を有する。
【0026】
第1グラフェンと第2グラフェンとの総含量は、シリコンの総重量100重量部を基準に、0.1ないし2,000重量部である。
【0027】
シリコン複合体一次粒子において、第2グラフェンは、シリコンサブオキサイド(SiO)(0<x<2)から10nm以下の距離で配置され、1ないし30層のグラフェン層を含み、第2グラフェンの総厚は、0.3ないし1,000nmであり、
第2グラフェンは、シリコンの主軸に対して、0から90゜の角度に配向されている。
【0028】
多孔性シリコン複合体二次粒子において、第1グラフェンは、シリコンサブオキサイド(SiO)(0<x<2)から1,000nm以下の距離で配置され、1ないし30層のグラフェン層を含み、第1グラフェンの総厚は、0.6ないし50nmであり、
第1グラフェンは、シリコンの主軸に対して、0から90゜の角度に配向されている。
【0029】
シリコンサブオキサイド(SiO)(0<x<2)の厚みは、30μm以下である。
【0030】
多孔性シリコン複合体二次粒子の平均粒径は、1ないし30μmであり、比表面積は、0.1ないし100m/gであり、密度は、0.1ないし2.57g/ccである。
【0031】
多孔性シリコン含有複合体において、酸素含量が酸素、炭素及びシリコン原子の総含量を基準に、0.01ないし15原子%である。
【0032】
多孔性シリコン含有複合体の少なくとも一面上に、非晶質炭素を含む炭素系コーティング膜を含む。
【0033】
炭素系コーティング膜は、結晶質炭素をさらに含む。
【0034】
結晶質炭素は、フラーレン、天然黒鉛、人造黒鉛、グラフェン及びカーボンナノチューブからなる群から選択された1以上であり、
非晶質炭素は、ピッチカーボン、ソフトカーボン、ハードカーボン、メゾ相ピッチ炭化物、焼成されたコークス、及び炭素ファイバからなる群から選択された1以上である。
【0035】
炭素系コーティング膜は、非多孔性の連続的なコーティング膜であり、炭素系コーティング膜の厚みは、1ないし5,000nmである。
【0036】
他の側面により、第1一次粒子、前記第1一次粒子と形状及び酸化度のうちから選択された1以上が異なる第2一次粒子を利用し、多孔性シリコン二次粒子を得る段階と、
前記多孔性シリコン二次粒子に炭素供給源ガスを供給し、熱処理する段階と、を含み、
多孔性シリコン含有複合体を製造する多孔性シリコン含有複合体の製造方法が提供される。
【0037】
多孔性シリコン二次粒子は、第2一次粒子、第2二次粒子、分散剤、及び溶媒を含む組成物から得られる。
【0038】
溶媒は、アルコール系溶媒であり、
組成物から、多孔性シリコン二次粒子を得る段階は、組成物を噴霧乾燥させて実施される。
【0039】
分散剤は、ステアリン酸、レゾルシノール、ポリビニルアルコール及びカーボンピッチのうちから選択された1以上である。
【0040】
炭素供給源ガスが、下記化学式1で表示される化合物、下記化学式2で表示される化合物、及び下記化学式3で表示される酸素含有ガスからなる群から選択された1以上を含む。
[化学式1]
(2n+2-a)[OH]
前記化学式1で、nは1ないし20の整数であり、aは0または1であり、
[化学式2]
(2n)
前記化学式2で、nは2ないし6の整数であり、
[化学式3]

前記化学式3で、xは1ないし20の整数であり、yは0または1ないし20の整数であり、zは1または2である。
【0041】
炭素供給源ガスが、下記化学式3aで表示される第2酸素含有化合物をさらに含み、下記化学式3aで表示される第2酸素含有化合物は、前記化学式3で表示される酸素含有化合物と異なる。
[化学式3a]

前記化学式3aで、xは0または1ないし20の整数であり、yは0または1ないし20の整数であり、zは1または2である。
【0042】
炭素供給源ガスが、メタン、エチレン、プロピレン、アセチレン、メタノール、エタノール及びプロパノールからなる群から選択された1以上を含む。
【0043】
熱処理が、750ないし1,100℃で実施される。
【0044】
多孔性シリコン含有複合体、炭素系物質及び溶媒を含む組成物を乾式混合する段階をさらに含み、炭素系コーティング膜が形成された多孔性シリコン含有複合体を得る。
【0045】
さらに他の側面により、電気化学的な活物質;及び前記多孔性シリコン含有複合体、多孔性シリコン含有複合体と炭素系材料とを含む炭素複合体、またはその組み合わせ物を含む電気化学的活物質複合体であり、
多孔性シリコン含有複合体、炭素複合体、またはその組み合わせ物が、電気化学的活物質の表面にコーティングされた電気化学的活物質複合体が提供される。
【0046】
さらに他の側面により、前述の多孔性シリコン含有複合体と炭素系材料とを含む炭素複合体が提供される。
【0047】
炭素系材料の含量は、炭素複合体100重量部を基準に、0.001ないし99.999重量部である。
【0048】
さらに他の側面により、前述の多孔性シリコン含有複合体と炭素系材料とを含む炭素複合体を含む電極を含むリチウム電池が提供される。
【0049】
炭素系材料が、グラフェン、黒鉛、フラーレン、黒鉛質炭素、炭素ファイバ及びカーボンナノチューブからなる群から選択された1以上であり、炭素系材料の含量は、炭素複合体100重量部を基準に、0.001ないし99.999重量部である。
【0050】
電極において、多孔性シリコン含有複合体の含量は、電極総重量100重量部を基準に、0.001ないし99.999重量部である。
【0051】
さらに他の側面は、前記多孔性シリコン含有複合体と炭素系材料とを含む炭素複合体を含む素子を提供することである。
【0052】
前記素子は、電界放出素子、バイオセンサ、半導体素子または熱電素子である。
【発明の効果】
【0053】
一具現例による多孔性シリコン含有複合体を含んだ電極を利用すれば、容量及び初期効率にすぐれるだけではなく、寿命特性及び高率特性が改善されたリチウム電池を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
図1】一具現例による多孔性シリコン含有複合体の構造を概略的に示した図面である。
図2図1の多孔性シリコン含有複合体のシリコン複合体一次粒子の構成を示した概路図である。
図3A】比較製造例1の多孔性シリコン含有複合体のTEM分析結果を示したイメージである。
図3B】比較製造例1の多孔性シリコン含有複合体のTEM分析結果を示したイメージである。
図3C】比較製造例1の多孔性シリコン含有複合体のTEM分析結果を示したイメージである。
図4A】製造例1の多孔性シリコン含有複合体の表面に係わるTEM分析結果を示したイメージである。
図4B】製造例1の多孔性シリコン含有複合体の表面に係わるTEM分析結果を示したイメージである。
図4C】製造例1の多孔性シリコン含有複合体の表面に係わるTEM分析結果を示したイメージである。
図4D】製造例1の多孔性シリコン含有複合体の表面に係わるTEM分析結果を示したイメージである。
図5】実施例5及び比較例4,5のコインハーフセルにおいて、高率特性変化を示したグラフである。
図6A】実施例1のコインフルセルにおいて、充放電サイクル初期の負極表面状態を示すSEM分析結果を示したイメージである。
図6B】実施例1のコインフルセルにおいて、充放電サイクルを1回遂行した後の、負極表面状態を示すSEM分析結果を示したイメージである。
図6C】実施例1のコインフルセルにおいて、充放電サイクルを20回反復した後の、負極表面状態を示すSEM分析結果を示したイメージである。
図7A】実施例5及び比較例4によって製造されたコインハーフセルの一回目サイクルにおいて、微分充放電特性(dQ/dV)評価結果を示したグラフである。
図7B】実施例5及び比較例5によって製造されたコインハーフセルの一回目サイクルにおいて、微分充放電特性(dQ/dV)評価結果を示したグラフである。
図8】一具現例によるリチウム電池の模式図を示した図面である。
図9】一具現例による熱電モジュールの概路図を示す図面である。
図10】ペルティエ効果による熱電冷却を示す概路図である。
図11】ゼーベック効果による熱電発電を示す概路図である。
図12】一具現例によるバイオセンサの電極構造を示した図面である。
【発明を実施するための形態】
【0055】
添付された図面を参照しながら、以下において、例示的な1以上の多孔性シリコン含有複合体、それを含む電極活物質を含む電極、それを含むリチウム電池、及び前記複合体を利用した素子についてさらに説明する。
【0056】
多孔性シリコン複合体二次粒子を含む多孔性コアと、前記多孔性コアの少なくとも一面上の第1グラフェンを含むシェルと、を含む多孔性シリコン含有複合体であり、前記多孔性シリコン複合体二次粒子は、2以上のシリコン複合体一次粒子の凝集体を含み、
前記多孔性シリコン複合体二次粒子は、第1シリコンを含有する第1一次粒子と、構造体を含む第2一次粒子と、前記第1一次粒子と前記第2一次粒子との少なくとも一面上の第2グラフェンと、の凝集体を含有し、
前記第1一次粒子と第2一次粒子は、形状(shape)及び酸化度のうちから選択された1以上が異なる多孔性シリコン含有複合体が提供される。
【0057】
該多孔性コアは、少なくとも1つの多孔性シリコン複合体二次粒子を含む。
【0058】
前記構造体は、第2シリコン、ゲルマニウム(Ge)、スズ(Sn)、アルミニウム(Al)、亜鉛(Zn)、アンチモン(Sb)のうちから選択された1以上、その合金、またはその組み合わせ物でもある。前記構造体は、例えば、前記第1シリコンと、形状及び酸化度のうちから選択された1以上が異なる第2シリコンでもある。前記第1一次粒子は、例えば、第1シリコンであり、第2一次粒子は、例えば、第2シリコンである。
【0059】
前記第1シリコンのような第1一次粒子は、酸素の含量が3ないし15原子%である酸化度が相対的に高く、前記構造体のような第2一次粒子は、酸素の含量が0.01原子%以上ないし3原子%未満であり、酸化度が、第1一次粒子に比べて相対的に低い。該構造体が第2シリコンである場合、第2シリコンの酸素含量が、0.01原子%以上ないし3原子%未満である、酸化度が相対的に低いシリコンである。第1一次粒子において酸素の含量は、例えば、4ないし8原子%、例えば、3ないし5原子%であり、第2一次粒子において酸素の含量は、0.1ないし2原子%、例えば、1ないし1.5原子%である。ここで、第1一次粒子は、例えば、第1シリコンであり、第2一次粒子は、構造体であり、構造体は、例えば、第2シリコンであってもよい。
【0060】
本明細書において、第1一次粒子の酸化度、及び第2一次粒子の酸化度は、それぞれ第1一次粒子の大きさ、及び第2一次粒子の大きさに反比例の関係がある。
【0061】
前述の第1一次粒子と第2一次粒子の形状は、特別に限定されるものではない。
【0062】
一具現例によれば、前記第1一次粒子は、例えば、板状型シリコン、針状型シリコン、キュービック型シリコン、ロッド型シリコンのうちから選択された1以上の形状を有することができ、前記第2一次粒子は、例えば、球形、ナノワイヤ及びスフィア(sphere)のうち1以上の形状を有することができる。
【0063】
該構造体が第2シリコンである場合、第2シリコンは、球形シリコン、シリコンナノワイヤ、スフィアのうちから選択された1以上の形状を有することができる。
【0064】
一具現例によれば、第1シリコンは、板状型シリコン、針状型シリコン、またはその組み合わせ物であり、第2シリコンは、球形シリコンである。前述の第1シリコンと第2シリコンとの製造方法は、特別に制限されるものではないが、例えば、第1シリコンは、破砕法または粉砕法によって得ることができる。第2シリコンは、気相合成法によって得ることができる。
【0065】
前述の第1シリコンと第2シリコンは、互いに異なる形状を有する。前記シリコン複合体一次粒子は、ナノチューブ、ナノロッド、ウェーハ、ナノリボン、及びその組み合わせ物のうちから選択された1以上の第3一次粒子がさらに含まれてもよい。そして、第2シリコンは、第1シリコンによって連結され、ネックワークが形成されてもよい。前記第3一次粒子は、第3シリコンを含有することができる。
【0066】
一具現例によれば、第1シリコンは、板状型シリコン、針状型シリコン、またはその組み合わせ物であり、第2シリコンは、球形シリコンでもある。第1シリコンは、シリコン原料を破砕して得たシリコンであり、シリコン破砕する過程において、熱及び空気との接触によって酸化度が高い。
【0067】
前記第1シリコンを含んだシリコン複合体一次粒子を具備した多孔性シリコン含有複合体が、さらに高容量化及び長寿命化された活物質特性を有するためには、第1シリコンの大きさを80nm以下のレベルに縮小させることが必要である。しかし、破砕工程の限界上、100nm以下の大きさを有するように粒子サイズを縮小させることは、工程に投入される時間や電力などを増大させ、製造コスト及び製造時間が大きく増大し、粒子サイズを所望通りに縮小させることが実際に容易ではない。そして、破砕工程において伴う第1シリコンの酸化度上昇により、電池の容量、初期効率特性が制限されることになる。そして、第1シリコンは、比表面積が大きく、そのような第1シリコンを含んだ多孔性シリコン含有複合体は、電解液などとの副反応を抑制するのが必要である。
【0068】
それゆえに、本発明者らは、寿命低下なしに、比容量と初期効率とが改善されたリチウム電池を製造するために、第1シリコンを含んだシリコン複合体一次粒子を利用した場合の問題点を改善するために、第1シリコンと異なる酸化度及び/または形状を有する第2シリコンを共に利用する。該第2シリコンは、気相蒸着法によっても製造される。該第2シリコンを利用すれば、数十nmレベルの大きさを有するシリコンを得ることができ、該第2シリコンは、製造過程において、酸化が起こらず、第1シリコンに比べ、酸化度が低い。そのように、第2シリコンは、酸化度は、低いが、高い比表面積を有している。第2シリコンは、製造コストが高い方であるので、商用化の制約になる。そのような第2シリコンを利用して得た多孔性シリコン含有複合体は、第1シリコンを利用して製造された多孔性シリコン含有複合体と比べ、酸化度が低く、比容量にはすぐれるが、高い比表面積及び低い初期効率を有しており、充放電が反復されれば、第2シリコンを含んだ多孔性シリコン含有複合体の劣化が起こるので、電池の初期効率及び寿命特性が満足すべきものではない。
【0069】
それゆえに、一具現例による多孔性シリコン含有複合体の製造時、前述の第1シリコンと第2シリコンとを共に使用することで、大きさを所望通りに小さくすることができ、比表面積特性にすぐれ、比容量、初期効率及び容量特性が改善された物質を提供する。
【0070】
第1シリコンと第2シリコンとの混合重量比は、1:99ないし99:1であり、例えば、10:90ないし90:10、例えば、90:10ないし50:50である。
【0071】
該シリコンは、前述のように、2種のシリコンを共に利用することができ、または3個以上の複数個のシリコンを利用することができる。このとき、複数個のシリコンは、酸化度及び/または形状が異なる。
【0072】
一具現例による多孔性シリコン含有複合体には、例えば、ナノチューブ、ナノロッド、ナノリボン、及びその組み合わせ物のうちから選択された1以上の第3シリコンがさらに含まれてもよい。
【0073】
前述のシリコンと第2グラフェンとの間には、シリコンサブオキサイド(SiO)(0<x<2)がさらに含まれてもよい。
【0074】
前記シリコンサブオキサイドは、膜(film)及びマトリックス(matrix)のうちから選択された1以上の状態で存在することができ、前述の第1グラフェン及び第2グラフェンは、それぞれ膜、粒子、マトリックスのうちから選択された1以上の状態で存在することができる。
【0075】
第1グラフェンと第2グラフェンは、互いに同一でもある。
【0076】
本明細書において、用語「シリコンサブオキサイド」は、SiO(0<x<2)で示される単一組成を有することができる。または、該シリコンサブオキサイドは、例えば、Si、SiOのうちから選択された1以上を含み、平均組成が、SiO(0<x<2)で示される場合を指すことができる。そして、該シリコンサブオキサイドは、例えば、SiOを示すか、あるいはそれを含んでもよい。
【0077】
一具現例による多孔性シリコン含有複合体において、シリコンの総含量、すなわち、第1シリコンと第2シリコンとの総含量は、多孔性シリコン含有複合体総重量100重量部を基準にし、0.01ないし99重量部、例えば、0.01ないし40重量部である。シリコンの総含量が前記範囲であるとき、該多孔性シリコン含有複合体を利用したリチウム電池の比容量、初期効率及び寿命の特性にすぐれる。
【0078】
一具現例によれば、該多孔性シリコン含有複合体の少なくとも一面には、炭素系コーティング膜が形成されてもよい。
【0079】
前述の多孔性シリコン含有複合体及び炭素系コーティング膜の密度は、それぞれ多孔性シリコン含有複合体及び炭素系コーティング膜の気孔度などを測定して評価することができる。該多孔性シリコン含有複合体の密度は、炭素系コーティング膜の密度と比較し、同一であるか、あるいは低くもある。
【0080】
一具現例による多孔性シリコン含有複合体は、第1シリコンのみを含んだ多孔性シリコン含有複合体と比較し、孔隙または気孔度が低下し、密度が上昇する。そのような多孔性シリコン含有複合体の気孔度は、60%以下、例えば、30ないし60%であるか、あるいは非多孔性構造を有することができる。本明細書において、「非多孔性構造」は、気孔度が10%以下、例えば、5%以下、例えば、0.01ないし5%、または0%である場合を示す。該気孔度は、Hg気孔度測定法(Hg porosimetry)によって測定する。
【0081】
第2シリコンの大きさは、第1シリコンの大きさと同一であるか、あるいはそれよりも小さい。前記第1シリコンの大きさ、及び第2シリコンの大きさは、それぞれ平均粒径が10nmないし30μmであり、前記第1シリコンの大きさは、例えば、20ないし180nm、例えば、60ないし150nmであり、前記第2シリコンの大きさは、100nm以下、例えば、30ないし100nmである。
【0082】
第1シリコンは、針状型粒子タイプでもある。このとき、該針状型シリコン粒子の長さは、約100ないし160nm、例えば、108ないし125nmであり、厚みは、約10ないし100nm、例えば、20ないし50nm、具体的には、40nmである。
【0083】
第1シリコン及び第2シリコンの大きさは、第1シリコン及び第2シリコンが球形粒子である場合には、平均粒径であり、比球形粒子、例えば、板状粒子または針状型粒子である場合には、長軸長、長さまたは厚みを意味する。
【0084】
前記第1シリコン上に、1ないし30層の膜状に、第2グラフェン(第2グラフェンA)が配置され、前記第2シリコン上に、1ないし5層の膜状に、第2グラフェン(第2グラフェンB)が配置される。前述の第2グラフェン(第2グラフェンA)及び第2グラフェン(第2グラフェンB)の上部に、フレークタイプの第2グラフェンが配置されたフレークタイプを有する。そのように、第1シリコンと第2シリコンは、その形状及び/または酸化度が異なり、その上部に配置される第2グラフェンのタイプが異なる。
【0085】
該第1グラフェン及び該第2グラフェンは、複数個の炭素原子が互いに共有結合で連結され、多環芳香族分子を形成したものであり、前記共有結合で連結された炭素原子は、基本反復単位として、6員環を形成するが、5員環及び/または7員環をさらに含むことも可能である。その結果、前記第1グラフェン及び第2グラフェンは、互いに共有結合された炭素原子(通常、sp結合)の単一層と見えることになる。前記グラフェンは、単一層によってもなるが、それらが何層か互いに積層され、複数層を形成することも可能であり、例えば、1層ないし100層、2層ないし100層、あるいは3層ないし50層の層数を有することができる。
【0086】
該第1グラフェン及び該第2グラフェンは、ナノシート、膜(または、フィルム)、ナノグラフェンナノシート、フレークなどの構造を有することができる。用語「ナノシート」は、シリコンサブオキサイド上に、不規則的な状態に形成された場合を示し、「膜」は、シリコンサブオキサイド上部に、連続して均一に形成されたフィルム形態を言う。
【0087】
図1は、一具現例による多孔性シリコン含有複合体を示したものであり、前記多孔性シリコン含有複合体は、例えば、クラスタ形態を有することができる。本明細書において、用語「クラスタ」は、少なくとも1以上の一次粒子の凝集体を言い、実質的には、「二次粒子」と同一意味にも解釈される。
【0088】
それを参照すれば、多孔性シリコン含有複合体10は、多孔性シリコン複合体二次粒子を含むコア1と、前記コア1の上部に配置された第2グラフェン10bを含むシェル2と、を含む。
【0089】
該多孔性シリコン複合体二次粒子は、2以上のシリコン複合体一次粒子の凝集体を含み、前記シリコン複合体一次粒子は、第1シリコン11と、第2シリコン12と、前記第1シリコン11及び第2シリコン12の上に配置された第2グラフェン10bを含む。該シリコン複合体一次粒子において、第2グラフェンが、シリコンサブオキサイド表面にシェル2を形成し、該シリコン複合体二次粒子において、第1グラフェン10aが、コア1の上部にシェル2を形成し、多孔性シリコン含有複合体10は、二重コア/シェル構造を有する。そのような二重コア/シェル構造を有することになれば、体積膨脹が抑制され、電解質との副反応が低減される。
【0090】
第1シリコン11と第2シリコン12は、ネックワークを形成するか、あるいは構造体である第2シリコンは、第1シリコンに埋め込まれる(embedded)。そのような構造を有することにより、該多孔性シリコン含有複合体の物性が改善され、孔隙が低減され、密度が上昇する。
【0091】
前述の第1シリコン11上部及び第2シリコン12上部には、シリコンサブオキサイド(SiO)(0<x<2)がさらに配置されてもよい。前記シリコンサブオキサイド(SiO)(0<x<2)上部には、第2グラフェン10bが配置されてもよい。
【0092】
図2は、図1の多孔性シリコン含有複合体を構成するシリコン複合体一次粒子の構造の一部を示した概路図である。
【0093】
第1一次粒子である第1シリコン21は、鱗状及び針状型の形状を有しており、その上部には、第2グラフェン20bが配置されている。図2から分かるように、第2グラフェン20bは、第1シリコン21上部に配置されている。そして、第2一次粒子である第2シリコン22上部には、第2グラフェンが、1層は、膜タイプに配置されており、その上部に第2グラフェンがフレークタイプに配置されている。そのように、第2グラフェン20bは、第1シリコン21上部に、膜タイプに配置された第2グラフェンと、前記膜タイプに配置された第2グラフェン上部に、フレークタイプに配置された第2グラフェンと、を含む。第1シリコン21及び第2シリコン22の上部には、シリコンサブオキサイドがさらに配置されてもよい。
【0094】
第1シリコン21と第2シリコン22は、図2に図示されているように、共に含有されており、第2シリコン22が、第1シリコン21間に存在する構造を有するようになり、第1シリコンのみを含んだ多孔性シリコン含有複合体と比較し、比表面積が低減され、電解液との副反応面積が縮小され、粒子間結合強度が増大する効果を得ることができる。その結果、電池の初期効率及び充放電耐久性が向上する。また、第1シリコン21及び第2シリコン22を含んだ多孔性シリコン含有複合体のシリコン粒子間密度及びスライディングネックワーク(sliding network)が向上し、体積膨脹が低減される。そして、第1シリコン21は、第2シリコン22上部に形成された表面に、フレーク形状を有する第2グラフェン20bを介して連結され、伝導性ネックワークが強化されるように形成する。その結果、そのような多孔性シリコン含有複合体を利用すれば、率特性が改善されたリチウム電池を製造することができる。
【0095】
コア1の第2グラフェン10bは、シェル2の第1グラフェン10aと比較し、層数が同一であっても、異なっていてもよい。
【0096】
一具現例によれば、シェル2の第1グラフェン10aは、前記コア1内の第2グラフェン10bに比べ、密度が高い。一具現例によれば、前記コア内での第2グラフェン10b層数は、1ないし30層、例えば、5ないし15層、具体的には、10層であり、前記シェル2での第1グラフェン10aの層数は、1ないし50層、例えば、20ないし30層である。
【0097】
一具現例によれば、コア1に比べ、密度が高い外郭層が存在することができる。そのような外郭層の厚みは、制限されるものではないが、例えば、20ないし60nmでもある。
【0098】
コア1及びシェル2は、グラファイトをさらに含んでもよい。
【0099】
前述の多孔性シリコン複合体二次粒子と多孔性シリコン含有複合体との直径比は、1:1ないし1:30、例えば、1:1ないし1:25、具体的には、1:21である。多孔性シリコン複合体二次粒子及び多孔性シリコン含有複合体の直径比は、該多孔性シリコン複合体二次粒子及び該多孔性シリコン含有複合体が、いずれも球形の形状を有するとき、サイズ比を示す。もし当該の多孔性シリコン複合体二次粒子及び多孔性シリコン含有複合体が非球形である場合には、長軸長の比でもある。
【0100】
他の一具現例によれば、該多孔性シリコン含有複合体において、コアの直径は、3ないし10μmであり、シェルの厚みは、10ないし5,000nm(0.01ないし5μm)、例えば、10ないし1,000nmである。該多孔性シリコン複合体二次粒子を含むコアの直径と、シェルの厚みは、1:0.001ないし1:1.67、例えば、1:0.01、1:1.67、1:0.0033、または1:0.5である。
【0101】
該多孔性シリコン含有複合体において、第1グラフェンと第2グラフェンとの総含量は、シリコン100重量部を基準にし、0.1ないし2,000重量部、例えば、0.1ないし300重量部、例えば、0.1ないし90重量部、具体的には、5ないし30重量部でもある。当該の第1グラフェンと第2グラフェンとの総含量が前記範囲であるとき、多孔性シリコン含有複合体のシリコンの体積抑制効果にすぐれ、伝導度特性にすぐれる。
【0102】
前記複合体一次粒子において、第2グラフェンは、シリコンサブオキサイド(SiO)(0<x<2)の表面から、10nm以下の距離にあり、少なくとも1層のグラフェン層、例えば、1ないし30層のグラフェン層を含み、前記第2グラフェンの総厚は、0.3ないし50nm、例えば、0.6ないし50nm、例えば、1ないし30nmであり、前記第2グラフェンは、前記シリコンの主軸に対して、0から90゜の角度に配向される。
【0103】
前記多孔性シリコン含有複合体において、第1グラフェンは、多孔性シリコン複合体二次粒子のシリコンサブオキサイド(SiO)(0<x<2)の表面から、1,000nm以下の距離、例えば、500nm以下の距離、例えば、10nm以下の距離、例えば、1nm以下の距離、例えば、0.00001ないし1nmの距離にあり、少なくとも1層のグラフェン層、例えば、1ないし30層のグラフェン層を含み、前記第1グラフェンの総厚は、0.6ないし50nm、例えば、1ないし50nmであり、前記第1グラフェンは、前記シリコンの主軸に対して、0から90゜の角度に配向される。
【0104】
第1シリコンと第2シリコンとの上部に配置されるシリコンサブオキサイド(SiO)(0<x<2)の厚みは、30μm以下、例えば、1μm以下、例えば、0.1ないし10nmである。
【0105】
前記多孔性シリコン複合体二次粒子の平均粒径(D50)は、200nmないし50μm、例えば、1ないし30μm、例えば、2ないし25μm、例えば、3ないし20μm、例えば、1ないし15μm、具体的には、7ないし11μmである。前記多孔性シリコン複合体二次粒子の粒径(D10)は、0.001ないし10μm、例えば、0.005μmないし5μm、例えば、0.01ないし1μmである。そして、該多孔性シリコン複合体二次粒子の粒径(D90)は、10ないし60μm、例えば、12ないし28μm、例えば、14ないし26μmである。本明細書において、「平均粒径(average particle diameter)」またはD50は、粒径が最小である粒子から最大である粒子順に累積した分布曲線(distribution curve)で粒子の50%に該当する粒径(D50)を意味する。ここで、累積された粒子(accumulated particles)の総数は、100%である。平均粒子サイズは、当業者に知られた方法によって測定可能である。例えば、平均粒子サイズは、粒子サイズ分析器、TEMまたはSEMイメージを用いて測定可能である。平均粒子サイズを測定する他の方法として、動的光散乱(dynamic light scattering)を用いた測定装置を用いる方法がある。この方法によって、所定のサイズ範囲を有する粒子の数を数え、それにより平均粒径が計算されうる。
【0106】
そして、該多孔性シリコン複合体二次粒子の比表面積は、0.1ないし100m/g、例えば、1ないし30m/g、例えば、1ないし10m/g、例えば、1ないし5m/gである。そして、該多孔性シリコン複合体二次粒子の密度は、0.1ないし2.8g/cc、例えば、0.1ないし2.57g/cc、例えば、0.5ないし2g/cc、例えば、1.1ないし1.2g/cc、例えば、1.18g/ccである。
【0107】
該多孔性シリコン含有複合体の少なくとも一表面には、炭素系コーティング膜がさらに含まれてもよい。そのように、炭素系コーティング膜がさらに形成されれば、初期効率は低下すれるが、寿命特性が改善されたリチウム電池を製造することができる。該炭素系コーティング膜は、非晶質炭素を含み、充放電時、リチウム移動が有利である。該炭素系コーティング膜は、多孔性シリコン含有複合体の表面を全体的にまたは部分的にカバーすることができる。該炭素系コーティング膜のカバー率は、例えば、多孔性シリコン含有複合体の表面積を基準にし、10ないし99%、例えば、20ないし95%、例えば、40ないし90%である。
【0108】
前記多孔性シリコン含有複合体の直径と、炭素系コーティング膜の厚みとの比は、1:0.0001ないし1:50、例えば、1:1ないし1:40、具体的には、1:0.0001~1:1である。
【0109】
該炭素系コーティング膜の厚みは、1ないし5,000nm、例えば、10ないし2,000nmである。
【0110】
該炭素系コーティング膜は、炭素系材料を含む。該炭素系材料は、グラフェン、非晶質カーボン、カーボンナノチューブ、ピッチカーボン、フラーレン、炭素ファイバのうちから選択された1以上を使用する。
【0111】
該炭素系コーティング膜は、非晶質炭素と結晶質炭素とを含む単層構造でもある。該炭素系コーティング膜は、非晶質炭素を含む第1炭素系コーティング膜、及び結晶質炭素を含む第2炭素系コーティング膜を含む2層膜構造を有することができる。
【0112】
該多孔性シリコン含有複合体上部に、非晶質炭素を含む第1炭素系コーティング膜、及び結晶質炭素を含む第2炭素系コーティング膜が順次に積層されるか、あるいは多孔性シリコン含有複合体上部に、結晶質炭素を含む第2炭素系コーティング膜、及び非晶質炭素を含む第1炭素系コーティング膜が順次に積層された構造でもある。
【0113】
該多孔性シリコン含有複合体の粒度分布特性が狭い。例えば、該多孔性シリコン含有複合体のD50は、1ないし30μmであり、D10は、0.001ないし10μmであり、D90は、10ないし60μmである。該多孔性シリコン含有複合体は、二次粒子と見られる。
【0114】
そのように、一具現例による多孔性シリコン含有複合体は、粒度分布が狭い。それに比べ、従来のシリコン複合体一次粒子から得られたシリコン複合体二次粒子は、二次粒子の大きさ分布が不規則であり、最適のセル性能を示す負極活物質の粒子サイズに制御し難い。該多孔性シリコン含有複合体における酸素含量は、多孔性シリコン含有複合体における酸素、炭素及びシリコン原子の総含量を基準にし、0.01ないし15原子%、例えば、3.5ないし5原子%、具体的には、3.5ないし3.8原子%である。そのように、酸素含量が、従来のシリコン系物質に比べて小さい理由は、多孔性シリコン含有複合体の製造時、ステアリン酸のような分散剤を利用することにより、シリコンの酸化が抑制されたためである。そのような酸素含量が最小化されることにより、シリコン容量が極大化され、初期効率が改善される。
【0115】
一具現例による二重コア/シェル構造を有する多孔性シリコン含有複合体は、均一な充放電ネックワークを形成することにより、充放電時、シリコンの体積膨脹、及び収縮による破砕現象を減らすことができ、多孔性シリコン含有複合体表面に、安定したSEI(solid electrolyte interface)形成を介し、充放電時、耐久性が改善された負極を製造することができる。
【0116】
一具現例による多孔性シリコン含有複合体を負極活物質として含んだ負極の作用原理について説明する。
【0117】
該多孔性シリコン含有複合体を含んだ負極活物質層が、負極集電体である銅集電体上部に配置されている。該多孔性シリコン含有複合体は、BET比表面積が小さく、電解質浸透が防止され、電解質との副反応面積が縮小され、電解質との副反応が効果的に抑制されることにより、充放電後にも、活物質の脱離、及び電極膨脹が抑制される。その結果、該多孔性シリコン含有複合体を含んだ負極を採用したリチウム電池は、初期効率及び充放電耐久性が向上する。そして、多孔性シリコン含有複合体内の第1一次粒子である第1シリコン及び第2一次粒子である第2シリコンがグラフェンを通じて連結されており、スライディングネックワークがさらに望ましく形成されている。その結果、体積膨脹抑制効果が向上する。
【0118】
グラフェンは、従来のシリコン粒子で起こる粒子の破砕及び粉砕を抑制する役割を行う。グラフェンスライディング層(sliding layer)は、シリコン粒子の分解(disintegration)を防ぐクランピング層の役割を行う。そして、リチウムイオンとSiとの合金化反応(alloying reaction)が進められ、比容量に非常にすぐれ、粒子間に、連続的な導電性経路を提供する。
【0119】
該シリコン粒子がスウェリングされれば、グラフェン層が互いにスライディングし、脱リチウム化工程(delitihiation)中には、弛緩された位置(relaxed position)にスライドして戻る。そのような動きは、ファンデルワールス力が、層間の摩擦力に比べて大きいためである。
【0120】
前述のグラフェン層のクランピング効果は、リチウム化/脱リチウム化サイクルを反復して実施した後にも、グラフェン層がそのまま維持されることを介して、グラフェン層は、シリコン粒子の分解を防ぐクランピング層の役割を遂行するということを確認することができる。
【0121】
一具現例による多孔性シリコン含有複合体は、容量が、600ないし2,000mAh/ccと、非常にすぐれた容量特性を有する。
【0122】
第2グラフェンは、第1シリコンまたは第2シリコンの表面を全体的または部分的にカバーすることができる。当該第1シリコンと第2シリコンとの上部に、シリコンサブオキサイドが配置された場合、第2グラフェンは、シリコンサブオキサイドの表面を全体的または部分的にカバーすることができる。例えば、第2グラフェンの第1シリコン、第2シリコンまたはシリコンサブオキサイドのカバー率は、それぞれ第1シリコン、第2シリコンまたはシリコンサブオキサイドの表面積を基準にし、10ないし99%、例えば、20ないし95%、例えば、40ないし90%である。
【0123】
また、第1グラフェンは、多孔性シリコン複合体二次粒子の表面を、全体的または部分的にカバーすることができる。例えば、第1グラフェンのカバー率は、多孔性シリコン複合体二次粒子の表面積を基準にし、10ないし99%、例えば、20ないし95%、例えば、40ないし90%である。
【0124】
一具現例による多孔性シリコン含有複合体構造体は、非球形形態を有することができ、その球形化度は、例えば、0.9以下、例えば、0.7ないし0.9、例えば、0.85ないし0.9である。
【0125】
本明細書において、球形度(circularity)は、下記数式1によって決定され、Aは、面積であり、Pは、境界線である。
【数1】
【0126】
第1グラフェン及び第2グラフェンは、フレーク形状を有する炭素系物質であるならば、いずれも使用可能である。該炭素系物質の例としては、グラフェン、グラファイト、炭素ファイバ、黒鉛質炭素(graphitic carbon)またはグラフェンオキサイドを有することができる。
【0127】
当該第1グラフェン及び第2グラフェンは、ナノシート、膜(または、フィルム)、グラフェンナノシート、フレークなどの構造を有することができる。用語「ナノシート」は、第1シリコン、第2シリコンまたはシリコンサブオキサイドの上に、不規則的な状態で形成された場合を示し、「膜」は、第1シリコン、第2シリコン、シリコンサブオキサイドの上部に連続して均一に形成されたフィルム形態を言う。
【0128】
前記炭素系コーティング膜において非晶質炭素は、ピッチカーボン、ソフトカーボン、ハードカーボン、メゾ相ピッチ炭化物、焼成されたコークス及び炭素ファイバからなる群から選択された1以上である。前記炭素系コーティング膜は、非多孔性の連続的なコーティング膜であり、炭素系コーティング膜の厚みは、例えば、1ないし5,000nmである。
【0129】
該炭素系コーティング膜は、結晶質炭素をさらに含んでもよい。そのように、結晶質炭素をさらに含むならば、該多孔性シリコン含有複合体の体積膨脹に対する緩衝役割を円滑に遂行することができる。
【0130】
前記結晶質炭素は、天然黒鉛、人造黒鉛、グラフェン、フラーレン及びカーボンナノチューブからなる群から選択された1以上である。
【0131】
前記多孔性シリコン含有複合体において、第1グラフェンと第2グラフェンとの総炭素(第1炭素)と、炭素系コーティング膜の炭素(第2炭素)との混合比は、30:1ないし1:3の重量比、例えば、20:1ないし1:1の重量比、具体的には、10:1ないし1:0.9の重量比である。該第1炭素は、第1グラフェンと第2グラフェンとの炭素の合計を言う。第1炭素と第2炭素とが前述の範囲であるとき、放電容量にすぐれ、容量維持率が改善されたリチウム電池を製造することができる。
【0132】
前述の第1炭素と第2炭素との混合比は、熱重量分析を介して確認することができる。該第1炭素は、700ないし750℃の領域で示されるピークと係わり、該第2炭素は、600℃ないし650℃で示されるピークと係わる。
【0133】
該熱重量分析は、例えば、昇温速度が約10℃/minであり、空気雰囲気において、25℃ないし1,000℃範囲で実施する。
【0134】
一具現例によれば、該第1炭素は、結晶質炭素であり、該第2炭素は、非晶質炭素である。
【0135】
前述の第1グラフェンと第2グラフェンとの総重量と、第1炭素と第2炭素との総重量との混合比は、1:1.03ないし1:10、例えば1:1.03ないし1:4である。
【0136】
一具現例の一多孔性シリコン含有複合体において、該多孔性シリコン複合体二次粒子サイズは、3ないし10μmであり、第1グラフェン及び第2グラフェンの大きさは、それぞれ10ないし100nmでもある。ここで、その大きさは、直径または長軸長を意味する。第1グラフェン及び第2グラフェンは、球形を有するとき、用語「大きさ」は、直径を意味する。第1グラフェン及び第2グラフェンが非球形であるとき、用語「大きさ」は、長軸長を示す。
【0137】
他の一具現例によれば、該多孔性シリコン含有複合体において、該多孔性シリコン複合体二次粒子の直径は、3ないし10μmであり、シェルの厚みは、10ないし5,000nm(0.01ないし5μm)、例えば、10ないし1,000nmである。該多孔性シリコン含有複合体二次粒子を含むコアの直径と、炭素系コーティング膜の厚みとの比は、1:0.001ないし1:1.67、例えば、1:0.01、1:1.67、1:0.0033、または1:0.5である。
【0138】
該多孔性シリコン含有複合体において、第1グラフェンと第2グラフェンとの総含量は、シリコン100重量部を基準にし、0.1ないし2,000重量部、例えば、0.1ないし1,000重量部、例えば、0.1ないし500重量部、例えば、0.1ないし300重量部、例えば、0.1ないし90重量部、具体的には、5ないし30重量部でもある。ここで、シリコンは、第1シリコンと第2シリコンとをいずれも含んだものである。当該の第1グラフェンと第2グラフェンとの含量が前述の範囲であるとき、第1シリコン及び第2シリコンの体積抑制効果にすぐれ、伝導度特性にすぐれる。
【0139】
当該第1グラフェン及び第2グラフェンは、例えば、グラフェンフレークでもある。
【0140】
一具現例による多孔性シリコン複合体において、第1グラフェンは、グラフェンフレークでもある。該第1グラフェンは、シリコンサブオキサイド(SiO)(0<x<2)から、1,000nm以下の距離、例えば、500nm以下の距離、例えば、100nm以下の距離、例えば、50nm以下の距離、例えば、10nm以下の距離、例えば、1nm以下、例えば、0.00001ないし1nmほど離隔され、少なくとも1層のグラフェン層、例えば、1層ないし30層のグラフェン層を含み、前記第1グラフェンの総厚は、0.6ないし50nm、例えば、1ないし50nmであり、前記第1グラフェンは、前記シリコンの主軸(major axis)(例えば、Y軸)に対し、0から90゜の角度、例えば、10ないし80゜、例えば、20から70゜の角度に配向される。
【0141】
前記シリコン複合体一次粒子において、第2グラフェンがグラフェンフレークであり、前記第2グラフェンは、シリコンサブオキサイド(SiO)(0<x<2)から、10nm以下、例えば、5nm以下、例えば、3nm以下、例えば、1nm以下の距離ほど離隔され、グラフェン層を含み、前記第2グラフェンの総厚は1,000nm以下、例えば、0.3ないし1,000nm、例えば、0.3ないし50nm、例えば、0.6ないし50nm、例えば、1ないし30nmであり、前記第2グラフェンは、前記シリコンの主軸(例えば、Y軸)に対し、0から90゜の角度、例えば、10ないし80゜、例えば、20から70゜の角度に配向される多孔性シリコン含有複合体が提供される。本明細書において、主軸はY軸を意味する。
【0142】
シリコンサブオキサイド(SiO)(0<x<2)の厚みは、30μm以下、例えば、10μm以下、例えば、1ないし100nm、例えば、5ないし50nm、例えば、10nmである。該シリコンサブオキサイドは、シリコンの表面を全体的または部分的にカバーすることができる。該シリコンサブオキサイドのカバー率は、例えば、シリコンの表面積を基準にし、10ないし99%、例えば、20ないし95%、例えば、30ないし93%、例えば、40ないし90%である。
【0143】
以下、一具現例による多孔性シリコン含有複合体の製造方法について述べる。まず、シリコン、及びシリコン上に形成されたシリコンサブオキサイド(SiO)(0<x<2)を含む構造体を破砕し、破砕された第1シリコンを一次粒子状態として得る。当該第1一次粒子である第1シリコン、第2一次粒子である第2シリコン、分散剤及び溶媒を混合し、組成物を得る。前記組成物から、多孔性シリコン複合体二次粒子を得る。該多孔性シリコン複合体二次粒子において気孔度は、例えば、0.1ないし50%、例えば、1ないし40%、例えば、5ないし30%であり、気孔サイズは、10ないし500nm、例えば、20nmないし200nm、例えば、30nmないし300nmである。
【0144】
前述の組成物から、多孔性シリコン複合体二次粒子を製造する方法は、共沈法、噴霧乾燥法、固相法などを利用し、多様に利用され、一具現例によれば、噴霧乾燥法を利用することができる。該噴霧乾燥法によって粒子を製造する場合、粒子径は、噴霧形式、加圧気体流供給速度、組成物供給速度、乾燥温度などを選定して制御することができる。
【0145】
噴霧乾燥時、雰囲気温度が、常温(25℃)ないし500℃、例えば、50ないし300℃、例えば、50ないし250℃、例えば、70ないし200℃の温度で実施する。該噴霧乾燥時、粒子の出口部分での水分結露による粒子固着・閉塞などの問題が発生する可能性をあらかじめ予防しながら、前述の温度範囲で実施するとき、シリコン複合体二次粒子の気孔度が適切となる。
【0146】
前記噴霧乾燥時、前記噴霧乾燥の噴霧圧力は、1~5barでもある。
【0147】
噴霧乾燥前に、出発原料を粉砕するような手段により、可能な限り表面積を大きく増大させる。そのために、破砕されたシリコン一次粒子を出発物質として利用する。
【0148】
例えば、噴霧乾燥を利用する場合、球形の多孔性シリコン複合体二次粒子を得ることができる。該多孔性シリコン複合体二次粒子の表面には、ステアリン酸のような分散剤が一部存在する。
【0149】
その後、前記多孔性シリコン複合体二次粒子に炭素供給源ガスを供給し、熱処理する段階を含み、該多孔性シリコン複合体二次粒子の上部にグラフェンが配置され、多孔性シリコン含有複合体を製造することができる。
【0150】
該多孔性シリコン含有複合体からなるコアと、その上部に、炭素系コーティング膜とが形成され、多孔性シリコン含有複合体が得られる。
【0151】
炭素供給源ガスは、まず、多孔性シリコン二次粒子の気孔を充填した後、グラフェンが多孔性シリコン複合体二次粒子の外部に成長することができる。
【0152】
前記溶媒としては、アルコール系溶媒を利用する。該アルコール系溶媒は、例えば、エタノール、メタノール、イソプロピルアルコールなどを挙げることができる。そのようなアルコール系溶媒を使用して熱処理する段階を経れば、溶媒の除去と共に、分散剤が除去され、多孔性シリコン含有複合体に残留する含量が最小化される。その結果、酸素含量が最小化された多孔性シリコン含有複合体を得ることができる。
【0153】
前記分散剤は、シリコン一次粒子を均一に分散させる役割を行う。該分散剤は、非制限的な例として、ステアリン酸、レゾルシノール、ポリビニルアルコール及びカーボンピッチ(pitch)のうちから選択された1以上である。該分散剤の含量は、組成物総重量を基準にし、1ないし15重量部、例えば、5ないし10重量部である。該分散剤の含量が前述の範囲であるとき、シリコンとグラフェンとが凝集されることなしに、均一に分散される。
【0154】
炭素供給源ガスは、下記化学式1で表示される化合物、下記化学式2で表示される化合物、及び下記化学式3で表示される第1酸素含有化合物からなる群から選択された1以上である。
[化学式1]
(2n+2-a)[OH]
前記化学式1で、nは、1ないし20の整数、例えば、2ないし18、または4ないし16の整数であり、aは、0または1であり、
[化学式2]
(2n)
前記化学式2で、nは、2ないし6の整数であり、
[化学式3]

前記化学式3で、xは、1ないし20の整数であり、例えば、2ないし18、または4ないし16の整数であり、yは、0または1ないし20の整数、または2ないし18の整数であり、zは、1または2である。
【0155】
前記炭素供給源ガスは、例えば、メタン、エチレン、プロピレン、メタノール、エタノール、プロパノール及びアセチレンからなる群から選択された1以上である。
【0156】
前記熱処理は、750ないし1,100℃、例えば、700ないし1,000℃で実施される。そのような熱処理温度で実施されるとき、グラフェンが、コア、シェル及び/またはコアとシェルとのいずれにおいても高密度に形成される。
【0157】
該グラフェンが、カーボンナノチューブフレーク、炭素ファイバフレーク、黒鉛質炭素フレークまたはグラフェンオキサイドフレークである場合、一般的な方法によっても製造される。
【0158】
前記多孔性シリコン含有複合体、炭素系物質及び溶媒を含む組成物を乾式混合する段階をさらに含み、炭素系コーティング膜が形成された多孔性シリコン含有複合体を得ることができる。前記炭素系物質の含量は、当該の多孔性シリコン含有複合体と炭素系物質との総含量100重量部を基準にし、0.001ないし99重量部である。
【0159】
該シリコン複合体一次粒子において、第1一次粒子である第1シリコン及び第2一次粒子である第2シリコン上部にシリコンサブオキサイド(SiO)(0<x<2)が配置される場合、該物質は、シリコン酸化物(SiO)と比較し、酸素が欠乏した不安定な物質であり、炭素供給源ガスのような他の反応性物質と反応し、安定した物質を形成しようとする傾向を有している。そのような点を活用し、シリコンサブオキサイド(SiO)(0<x<2)膜を、グラフェンを形成するシード層物質として利用する。
【0160】
シリコン上部に形成されたシリコンサブオキサイド(SiO)(0<x<2)膜の厚みは、グラフェンの形態、構造などに非常に重要な影響を及ぼす。
【0161】
シリコンサブオキサイド(SiO)(0<x<2)膜の厚みは、グラフェン形成時に利用される製造工程、例えば、グラフェン形成に必要な炭素供給源ガスの組成などを利用して変化させることができる。そのようなシリコンサブオキサイド(SiO)(0<x<2)膜の厚みは、300μm以下でもある。
【0162】
一具現例によれば、シリコンサブオキサイド(SiO)(0<x<2)膜の厚みは、10nm以下、0.1nmないし10nm、具体的には、0.1nmないし5nmである。そのような厚み範囲を有するシリコンサブオキサイド(SiO)(0<x<2)膜を有するシリコン複合体一次粒子を含んだ多孔性シリコン含有複合体を利用すれば、リチウム電池の容量特性にすぐれることになる。
【0163】
一具現例により、シリコンのシリコンサブオキサイド(SiO)(0<x<2)膜上部にグラフェンを形成する過程は、触媒を利用しない気相炭素沈積反応を利用する。
【0164】
前述の気相炭素沈積反応によれば、シリコンサブオキサイド(SiO)に被覆されたシリコン上にグラフェンを直接成長させ、シリコンとグラフェンとの密着度が高い。
【0165】
他の一具現例によれば、Si層上部に、SiO層が存在せずとも、炭素混合ガスと酸素混合ガスとを反応させる過程を経れば、酸素含有混合ガスの反応により、シリコン層上部に、SiOx層を先に形成し、その上に炭素混合ガスが反応しながら、グラフェンを形成することができる。
【0166】
第1シリコンまたは第2シリコンと、第2グラフェンとの密着度は、シリコンサブオキサイド(SiO)と第2グラフェンとの距離を、電子走査顕微鏡を介して評価することができる。該第2グラフェンは、シリコンサブオキサイドから、10nm以下の距離ほど離隔される。他の一具現例によれば、該第2グラフェンは、シリコンサブオキサイドから、1nm以下、例えば、0.005ないし1nm距離ほど離隔される。そして、該第2グラフェンは、前記シリコンの主軸に対し、0から90゜の角度、例えば、10ないし80゜の間または20から70゜の角度に配向される。少なくとも1ないし30層、例えば、2ないし25層、例えば、4ないし20層のグラフェン層を含み、前記第2グラフェンの総厚は、0.6ないし12nm、例えば、1ないし10nm、または2ないし8nmである。そして、該第2グラフェンは、前記シリコンの主軸に対し、0から90゜の角度に配向される。本明細書において、主軸は、Y軸を意味する。
【0167】
一具現例による多孔性シリコン含有複合体は、金属酸化物または金属フッ化物をさらに含んでもよい。そのように、金属酸化物をさらに含めば、副反応抑制によるSEI層形成を防止する利点がある。
【0168】
前記金属酸化物は、酸化マグネシウム、酸化マンガン、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化タンタル、酸化スズ及び酸化ハフニウムからなる群から選択された1以上を含む。金属フッ化物は、例えばフルオロ化アルミニウム(AlF3)が挙げられる。
【0169】
他の側面により、前述の多孔性シリコン含有複合体と炭素系材料とを含む炭素複合体を提供する。
【0170】
該炭素複合体において、多孔性シリコン含有複合体の含量は、例えば、炭素複合体総重量100重量部を基準にし、0.001ないし99.999重量部、例えば、1ないし95重量部、例えば、3ないし85重量部、例えば、5ないし70重量部、例えば、5ないし50重量部である。
【0171】
前述の炭素複合体は、多孔性シリコン含有複合体と比較し、初期効率、比容量特性にすぐれ、律速性能及び耐久性がさらに向上する。
【0172】
前記炭素系材料は、例えば、グラフェン、黒鉛、フラーレン、炭素ファイバ及びカーボンナノチューブのうちから選択された1以上を使用する。そして、該炭素系材料の含量は、炭素複合体100重量部を基準にし、0.001ないし99.999重量部である。該炭素系材料の含量は、例えば、10ないし97重量部、例えば、50ないし97重量部である。該炭素複合体において、炭素系材料の含量が前述の範囲であるとき、容量及び伝導度にすぐれる炭素複合体を得ることができる。
【0173】
前記炭素複合体は、例えば、黒鉛、及び前記黒鉛上部に形成された多孔性シリコン含有複合体を含んでもよい。
【0174】
前記黒鉛としては、例えば、SFG6黒鉛を利用し、例えば、平均粒径が約6μmである。前記炭素複合体を利用して電極を形成する場合、電極において炭素複合体の含量は、例えば、電極総重量100重量部を基準にし、0.001ないし99.999重量部、例えば、1ないし95重量部、例えば、50ないし90重量部、例えば、68ないし87重量部であり、バインダの含量は、例えば、13ないし32重量部である。前記炭素複合体において黒鉛含量は、例えば、炭素複合体100重量部を基準にし、1ないし99重量部である。
【0175】
前記バインダとしては、例えば、リチウムが置換されたポリアクリレートを使用する。
【0176】
前記化学式1で表示される化合物、及び化学式2で表示される化合物は、メタン、エチレン、プロピレン、メタノール、エタノール、プロパノールからなる群から選択された1以上である。
【0177】
化学式3で表示される第1酸素含有化合物は、例えば、二酸化炭素(CO)、一酸化炭素(CO)、水蒸気(HO)、またはその混合物を含む。
【0178】
該炭素供給源ガス以外に、窒素、ヘリウム及びアルゴンからなる群から選択された1以上の不活性気体をさらに含んでもよい。
【0179】
前記第1酸素含有化合物は、一酸化炭素、二酸化炭素、水蒸気からなる群から選択された一つ以上でもある。
【0180】
該炭素供給源ガスとして、第1酸素含有化合物を使用する場合、シリコンサブオキサイド膜の厚みを、自然酸化膜であるシリコン酸化膜の厚みと比して、厚く形成することができる。例えば、シリコンサブオキサイド膜の厚みを、10nm以下、例えば、0.5ないし5nmに制御することができる。そのような厚み範囲を有するシリコンサブオキサイド膜を利用すれば、グラフェンの形態と厚みとを調節することができる。それについてさらに具体的に説明すれば、シリコンサブオキサイド膜の厚みを、前述の厚み範囲で、自然酸化膜の場合より厚く形成すれば、その上部に形成されたグラフェンナノシートよりは、それより緻密な構造を有するグラフェン層を得ることができる。ここで、該グラフェン層は、例えば、5ないし10層構造を有する。
【0181】
前記炭素供給源ガスが水蒸気を含む場合、結果として得た多孔性シリコン含有複合体は、さらに高い伝導度を示すことができる。特定理論に拘束させるものではないが、水蒸気存在下で、前記気体混合物間の反応により、シリコンサブオキサイドに被覆されたシリコン上に、高結晶性の炭素が堆積されるために、さらに少量の炭素がコーティングされる場合にも、高い伝導度を示すことができると見られる。前記炭素供給源ガス内の水蒸気の含量は、制限されるものでなく、例えば、炭素供給源ガス全体100体積%を基準にし、0.01ないし10体積%を使用する。
【0182】
前記炭素供給源ガスは、例えば、メタン、メタンと不活性ガスとを含む混合ガス、酸素含有化合物、またはメタンと酸素含有化合物とを含む混合ガスでもある。
【0183】
一具現例による炭素供給源ガスは、CH:CO混合ガスまたはCH:CO:HO混合ガスでもある。
【0184】
CH:CO混合ガスは、約1:0.20~0.50のモル比でも提供され、具体的には、約1:0.25~0.45のモル比でも提供され、さらに具体的には、約1:0.30~0.40のモル比でも提供される。
【0185】
CH:CO:HO混合ガスは、約1:0.20~0.50:0.01~1.45のモル比でも提供され、具体的には、約1:0.25~0.45:0.10~1.35のモル比でも提供され、さらに具体的には、約1:0.30~0.40:0.50~1.0のモル比でも提供される。
【0186】
他の一具現例による炭素供給源ガスは、一酸化炭素(CO)または二酸化炭素(CO)でもある。
【0187】
さらに他の一具現例による炭素供給源ガスは、CHとNとの混合ガスである。
【0188】
CH:N混合ガスは、約1:0.20~0.50のモル比でも提供され、具体的には、約1:0.25~0.45のモル比でも提供され、さらに具体的には、約1:0.30~0.40のモル比でも提供される。一具現例による炭素供給源ガスは、窒素のような不活性ガスを含まない。
【0189】
前記熱処理は、750ないし1,100℃、例えば、800ないし1,000℃でも実施される。
【0190】
該熱処理段階において、圧力は制限されるものでなく、熱処理温度、ガス混合物の組成、及び所望の炭素コーティングの量などを考慮して選択することができる。熱処理時の圧力は、流入するガス混合物の量と、流出するガス混合物の量とを調整して制御することができる。例えば、熱処理時の圧力は、1atm以上、例えば、2atm以上、3atm以上、4atm以上、5atm以上でもあるが、それらに制限されるものではない。
【0191】
該熱処理時間は、特別に制限されるものでなく、熱処理温度、熱処理時の圧力、ガス混合物の組成、及び所望の炭素コーティング量によって適切に調節することができる。例えば、前記反応時間は、10分ないし100時間、具体的には、30分ないし90時間、さらに具体的には、50分ないし40時間でもあるが、それらに制限されるものではない。特定理論に拘束させるものではないが、時間が長くなるほど、沈積されるグラフェン(炭素)量が多くなり、それにより、複合体の電気的物性を向上させることができる。ただし、そのような傾向が、時間に必ずしも正比例するものではない。例えば、所定時間経過後には、それ以上グラフェン沈積が起きなかったり、沈積率が低くなったりする。
【0192】
前述の多孔性シリコン含有複合体の製造方法は、前述の炭素供給源ガスの気相反応を介し、比較的低い温度でも、シリコンサブオキサイド(SiO)に被覆されたシリコン上のグラフェンに、均一なコーティングを提供することができる。そして、シリコンサブオキサイド(SiO)膜に被覆されたシリコン上に形成されたグラフェンの脱離反応が実質的に起こらない。前記シリコンサブオキサイド膜の厚みを制御すれば、グラフェンの脱離反応をさらに一層抑制することができる。そのように、グラフェンの脱離反応を効率的に抑制することができるシリコンサブオキサイド膜の厚みは、10nm以下、0.1ないし10nm、具体的には、0.1ないし5nmである。
【0193】
また、気相反応を介し、シリコン上にグラフェンをコーティングするので、高い結晶性を有するコーティング膜を形成することができ、そのような多孔性シリコン含有複合体を負極活物質として利用した場合、構造変化なしに、負極活物質の伝導度を高めることができる。一具現例による多孔性シリコン含有複合体を利用した炭素複合体の製造過程は、次の通りである。
【0194】
一具現例による多孔性シリコン含有複合体と炭素系材料とを混合し、それを熱処理する。
【0195】
前記熱処理は、750ないし1,100℃、例えば、700ないし1,000℃で実施する。該熱処理温度が前述の範囲であるとき、容量特性にすぐれる炭素複合体を得ることができる。
【0196】
さらに他の側面により、電気化学的な活物質、及び前述の多孔性シリコン含有複合体、前記多孔性シリコン含有複合体と炭素系材料とを含む炭素複合体、またはその組み合わせ物を含む電気化学的活物質複合体であり、前記多孔性シリコン含有複合体、炭素複合体、またはその組み合わせ物が、前記電気化学的活物質の表面にコーティングされた電気化学的活物質複合体が提供される。
【0197】
該電気化学的活物質は、電池で一般的に使用される正極活物質または負極活物質であるならば、いずれも使用可能である。
【0198】
一具現例による多孔性シリコン含有複合体または炭素複合体は、電池、ディスプレイ用発光体、熱電素子、バイオセンサなどにも有用に使用される。
【0199】
さらに他の側面によれば、前述の多孔性シリコン含有複合体または炭素複合体を含んだ電極が提供される。前記電極は、リチウム電池用電極でもある。
【0200】
前記電極は、負極でもある。
【0201】
前記多孔性シリコン含有複合体または炭素複合体は、電極活物質、例えば、負極活物質としても使用される。そのように、該負極活物質として使用する場合、シリコンの体積膨脹が低減され、粉砕が減ることになる。そして、伝導度が向上し、高率特性が改善される。また、シリコンサブオキサイドが被覆されたシリコン上に、グラフェンを最小限の量でコーティングすることができ、体積当たりエネルギー密度が向上した負極活物質を得ることができる。前記多孔性シリコン含有複合体、あるいは前記多孔性シリコン含有複合体と炭素系材料とを含む炭素複合体を含む電極を含むリチウム電池を提供する。
【0202】
前記負極は、次のような方法によっても製造される。
【0203】
前記負極は、例えば、負極活物質である多孔性シリコン含有複合体または炭素複合体、導電剤、及び結着剤を含む負極活物質組成物が、一定形状に成形されるか、あるいは前述の負極活物質組成物が、銅箔(copper foil)のような集電体に塗布される方法によっても製造される。前記組成物において、導電剤は、使用しなくともよい。
【0204】
また、前記集電体なしに、前記負極活物質組成物がセパレータ上に、フィルム状にも形成される。
【0205】
具体的には、前述の負極活物質、導電剤、結合剤及び溶媒が混合された負極活物質組成物が準備される。前記負極活物質組成物が金属集電体上に直接コーティングされ、負極板が製造される。他の実施形態では、前記負極活物質組成物が別途の支持体上にキャスティングされた後、前記支持体から剥離されたフィルムが、金属集電体上にラミネーションされて負極板が製造される。前記負極は、前述のところで列挙された形態に限定されるものではなく、前述の形態以外の形態でもある。
【0206】
前記負極活物質組成物は、前述の負極活物質以外に、他の炭素系負極活物質を追加して含んでもよい。例えば、前記炭素系負極活物質は、例えば、天然黒鉛、人造黒鉛、膨脹黒鉛、グラフェン、カーボンブラック、フラーレンスート(fullerene soot)、炭素ナノチューブ、黒鉛質炭素及び炭素ファイバからなる群から選択された1以上でもあるが、必ずしもそれらに限定されるものではなく、当該技術分野で使用されるものであるならば、いずれも可能である。
【0207】
また、前記導電剤としては、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、天然黒鉛、人造黒鉛、カーボンブラック、炭素ファイバ、銅・ニッケル・アルミニウム・銀などの金属粉末・金属纎維などを使用することができ、また、ポリフェニレン誘導体のような導電性材料を、1種または1種以上を混合して使用することができるが、それらに限定されるものではなく、当該技術分野で導電剤として使用されるものであるならば、いずれも使用される。
【0208】
前記結合剤としては、フッ化ビニリデン/ヘキサフルオロプロピレンコポリマー、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリアクリロニトリル、ポリメチルメタクリレート、ポリテトラフルオロエチレン及びその混合物、スチレンブタジエンゴム系ポリマー、ポリアクリル酸、ポリアミドイミド、ポリイミドなどが使用されるが、それらに限定されるものではなく、当該技術分野で結合剤として使用されるものであるならば、いずれも使用される。
【0209】
前記溶媒としては、N-メチルピロリドン、アセトンまたは水などが使用されるが、それらに限定されるものではなく、当該技術分野で使用されるものであるならば、いずれも使用される。
【0210】
前述の負極活物質、導電剤、結合剤及び溶媒の含量は、リチウム電池で一般的に使用されるレベルである。リチウム電池の用途及び構成により、前述の結合剤及び溶媒のうち1以上が省略されてもよい。
【0211】
さらに他の具現例によるリチウム電池は、前記負極を採用する。前記リチウム電池は、次のような方法によっても製造される。
【0212】
まず、前記負極製造方法によって負極が準備される。
【0213】
次に、正極活物質、導電剤、結合剤及び溶媒が混合された正極活物質組成物が準備される。前記正極活物質組成物が金属集電体上に直接コーティングされて乾燥され、正極板が製造される。他の実施形態では、前記正極活物質組成物が、別途の支持体上にキャスティングされた後、前記支持体から剥離されたフィルムが金属集電体上にラミネーションされ、正極板が製造される。
【0214】
前記正極活物質として、リチウムコバルト酸化物、リチウムニッケルコバルトマンガン酸化物、リチウムニッケルコバルトアルミニウム酸化物、リチウム鉄リン酸化物及びリチウムマンガン酸化物からなる群から選択された1以上を含んでもよいが、必ずしもそれらに限定されるものではなく、当該技術分野で利用可能な全ての正極活物質が使用されてもよい。
【0215】
例えば、前記正極活物質は、リチウム含有金属酸化物として、当業界で一般的に使用されるものであるならば、制限なしにいずれも使用される。例えば、コバルト、マンガン、ニッケル、及びそれらの組み合わせのうちから選択される金属と、リチウムとの複合酸化物のうち1種以上のものを使用することができ、その具体的な例としては、Li1-bB’(前記式で、0.90≦a≦1及び0≦b≦0.5である);Li1-bB’2-c(前記式で、0.90≦a≦1、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05である);LiE2-bB’4-c(前記式で、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05である);LiNi1-b-cCoB’α(前記式で、0.90≦a≦1、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05、0<α≦2である);LiNi1-b-cCoB’2-αF’α(前記式で、0.90≦a≦1、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05、0<α<2である);LiNi1-b-cCoB’2-αF’(前記式で、0.90≦a≦1、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05、0<α<2である);LiNi1-b-cMnB’α(前記式で、0.90≦a≦1、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05、0<α≦2である);LiNi1-b-cMnB’2-αF’α(前記式で、0.90≦a≦1、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05、0<α<2である);LiNi1-b-cMnB’2-αF’(前記式で、0.90≦a≦1、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05、0<α<2である);LiNi(前記式で、0.90≦a≦1、0≦b≦0.9、0≦c≦0.5、0.001≦d≦0.1である);LiNiCoMn(前記式で、0.90≦a≦1、0≦b≦0.9、0≦c≦0.5、0≦d≦0.5、0.001≦e≦0.1である);LiNiG(前記式で、0.90≦a≦1、0.001≦b≦0.1である);LiCoG(前記式で、0.90≦a≦1、0.001≦b≦0.1である);LiMnG(前記式で、0.90≦a≦1、0.001≦b≦0.1である);LiMn(前記式で、0.90≦a≦1、0.001≦b≦0.1である);QO;QS;LiQS;V;LiV;LiI’O;LiNiVO;Li3-f(PO(0≦f≦2);Li3-fFe(PO(0≦f≦2);LiFePOの化学式のうちいずれか一つによって表現される化合物を使用することができる。
【0216】
前記化学式において、Aは、Ni、Co、Mn、またはそれらの組み合わせであり、B’は、Al、Ni、Co、Mn、Cr、Fe、Mg、Sr、V、希土類元素、またはそれらの組み合わせであり、Dは、O、F、S、P、またはそれらの組み合わせであり、Eは、Co、Mn、またはそれらの組み合わせであり、F’は、F、S、P、またはそれらの組み合わせであり、Gは、Al、Cr、Mn、Fe、Mg、La、Ce、Sr、V、またはそれらの組み合わせであり、Qは、Ti、Mo、Mn、またはそれらの組み合わせであり、I’は、Cr、V、Fe、Sc、Y、またはそれらの組み合わせであり、Jは,V、Cr、Mn、Co、Ni、Cu、またはそれらの組み合わせである。
【0217】
ここで、該化合物表面にコーティング層を有するものも使用することができ、または、前記化合物と、コーティング層を有する化合物とを混合して使用することもできるということは言うまでもない。該コーティング層は、コーティング元素のオキシド、コーティング元素のヒドロキシド、コーティング元素のオキシヒドロキシド、コーティング元素のオキシカーボネート、またはコーティング元素のヒドロキシカーボネートのコーティング元素化合物を含んでもよい。それらコーティング層をなす化合物は、非晶質または結晶質でもある。前記コーティング層に含まれるコーティング元素としては、Mg、Al、Co、K、Na、Ca、Si、Ti、V、Sn、Ge、Ga、B、As、Zr、またはそれらの混合物を使用することができる。該コーティング層形成工程は、前記化合物にそのような元素を使用し、正極活物質の物性に悪影響を与えない方法(例えば、スプレーコーティング法、浸漬法など)によってコーティングすることができれば、いかなるコーティング方法を使用してもよく、それについては、当該分野の当業者に周知されている内容であるので、詳細な説明は、省略する。
【0218】
該正極活物質は、例えば、LiNiO、LiCoO、LiMn2x(x=1または2)、LiNi1-xMn(0<x<1)、LiNi1-x-yCoMn(0≦x≦0.5、0≦y≦0.5)、LiFeO、V、TiS、MoSなどが使用されてもよい。
【0219】
該正極活物質組成物において、導電剤、結合剤及び溶媒は、前記負極活物質組成物の場合と同一のものを使用することができる。一方、前述の正極活物質組成物及び/または負極活物質組成物に可塑剤をさらに付加し、電極内部に気孔を形成することも可能である。
【0220】
前述の正極活物質、導電剤、結合剤及び溶媒の含量は、リチウム電池で一般的に使用するレベルである。該リチウム電池の用途及び構成により、前述の導電剤、結合剤及び溶媒のうち1以上が省略されてもよい。
【0221】
次に、前述の正極と負極との間に挿入されるセパレータが準備される。前記セパレータは、リチウム電池で一般的に使用されるものであるならば、いずれも使用される。電解質のイオン移動に対して低抵抗でありながら、電解液保持能にすぐれるものが使用される。例えば、ガラスファイバ、ポリエステル、テフロン(登録商標)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、またはそれらの組み合わせ物のうちから選択されたものであり、不織布形態であってもよく、織布形態であってもよい。例えば、該リチウムイオン電池には、ポリエチレン、ポリプロピレンのような巻き取り可能なセパレータが使用され、リチウムイオンポリマー電池には、有機電解液含浸能にすぐれるセパレータが使用される。例えば、前記セパレータは、下記方法によっても製造される。
【0222】
高分子樹脂、充填剤及び溶媒を混合し、セパレータ組成物が準備される。前記セパレータ組成物が、電極上部に直接コーティングされて乾燥され、セパレータが形成される。または、前記セパレータ組成物が支持体上にキャスティングされて乾燥された後、前記支持体から剥離させたセパレータフィルムが電極上部にラミネーションされ、セパレータが形成されてもよい。
【0223】
前記セパレータ製造に使用される高分子樹脂は、特別に限定されるものではなく、電極板の結合剤に使用される物質であるならば、いずれも使用される。例えば、フッ化ビニリデン/ヘキサフルオロプロピレンコポリマー、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリアクリロニトリル、ポリメチルメタクリレート、またはそれらの混合物などが使用される。
【0224】
前記セパレータは、膜の性能を向上させるために、セラミック成分を含んでもよい。例えば、セパレータに酸化物をコーティングしたり、セパレータ製造時、セラミック粒子を含ませたりして製造することができる。
【0225】
次に、電解質が準備される。
【0226】
例えば、前記電解質は、有機電解液でもある。また、前記電解質は、固体でもある。例えば、ボロン酸化物、リチウムオキシナイトライドなどでもあるが、それらに限定されるものではなく、当該技術分野で固体電解質として使用されるものであるならば、いずれも使用可能である。前記固体電解質は、スパッタリングなどの方法により、前記負極上にも形成される。
【0227】
例えば、有機電解液が準備される。該有機電解液は、有機溶媒にリチウム塩が溶解されても製造される。
【0228】
前記有機溶媒は、当該技術分野において、有機溶媒として使用されるものであるならば、いずれも使用される。例えば、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、エチルプロピルカーボネート、メチルイソプロピルカーボネート、ジプロピルカーボネート、ジブチルカーボネート、フルオロエチレンカーボネート、ベンゾニトリル、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、γ-ブチロラクトン、ジオキソラン、4-メチルジオキソラン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ジオキサン、1,2-ジメトキシエタン、ソルホラン、ジクロロエタン、クロロベンゼン、ニトロベンゼン、ジエチレングリコール、ジメチルエーテル、またはそれらの混合物などである。
【0229】
前記リチウム塩も、当該技術分野において、リチウム塩として使用されるものであるならば、いずれも使用される。例えば、LiPF、LiBF、LiSbF、LiAsF、LiClO、LiCFSO、Li(CFSON、Li(FSON、LiCSO、LiAlO、LiAlCl、LiN(C2x+1SO)(C2y+1SO)(ただし、x、yは、自然数である)、LiCl、LiI、またはそれらの混合物などである。
【0230】
図8から分かるように、前記リチウム電池121は、正極123、負極122及びセパレータ124を含む。前述の正極123、負極122及びセパレータ124が巻き取られたり、折り畳まれたりして、電池ケース125に収容される。続いて、前記電池ケース125に有機電解液が注入され、キャップ(cap)アセンブリ126によって密封され、リチウム電池121が完成される。前記電池ケースは、円筒状、角形、薄膜型などでもある。例えば、前記リチウム電池は、薄膜型電池でもある。前記リチウム電池は、リチウムイオン電池でもある。
【0231】
前述の正極と負極との間にセパレータが配置され、電池構造体が形成される。前記電池構造体がバイセル構造に積層された後、有機電解液に含浸され、得られた結果物がパウチに収容されて密封されれば、リチウムイオンポリマー電池が完成される。
【0232】
また、前記電池構造体は、複数層積層されて電池パックを形成し、そのような電池パックが高容量及び高出力が要求される全ての機器に使用される。例えば、ノート型パソコン、スマートフォン、電気車両(EV:electric vehicle)などにも使用される。
【0233】
前記リチウム電池の充放電サイクル100回以下において、多孔性シリコン含有複合体は、第1シリコン及び第2シリコンを含み、前記第2シリコン上に成長されたフレークタイプのグラフェンを有する。
【0234】
前記リチウム電池は、高率特性及び寿命特性にすぐれるので、電気車両(EV)に適する。例えば、プラグインハイブリッド車(PHEV:plug-in hybrid electric vehicle)などのハイブリッド車両に適する。
【0235】
さらに他の側面は、前記多孔性シリコン含有複合体、または前記多孔性シリコン含有複合体と炭素系材料とを含む炭素複合体を含む素子を提供することである。
【0236】
該素子が、電界放出素子、バイオセンサ、半導体素子または熱電素子である。
【0237】
該電界放出素子は、電子の移動を利用する装置である。通常の電界放出素子は、少なくとも還元極と、エミッタチップと、該還元極から離隔された酸化極とを含む(それぞれの内容については、本出願で援用される米国特許第7,009,331号明細書、同第6,976,897号明細書、同第6,911,767号明細書及び米国特許出願第2006/0066217号を参照)。当該の還元極と酸化極との間に電圧が印加され、電子をエミッタチップから放出させる。電子は、還元極から酸化極の方向に進む。本装置は、以下に制限されるものではないが、超音波真空管装置(例えば、X線チューブ、)、電力増幅器、イオンガン、高エネルギーアクセラレータ、自由電子レーザ及び電子顕微鏡、特に、平板ディスプレイのような多様な用途にも使用される。該平板ディスプレイは、従来の陰極管代替用としても使用される。従って、それら平板ディスプレイは、テレビ及びコンピュータモニタに適用される
【0238】
前記エミッタチップとして、一具現例による複合体、またはそれを利用した炭素複合体が利用されてもよい。
【0239】
従来のエミッタチップは、モリブデンのような金属や、シリコンのような半導体によって製造される。金属エミッタチップ利用に係わる関心事項のうち一つは、放出に要求される制御電圧が、例えば、およそ100V程度と比較的高いということである。また、それらエミッタチップが均一性を有さないことにより、ピクセル間の電流密度が不均一になることである。
【0240】
前述の多孔性シリコン含有複合体または炭素複合体を利用したエミッタチップを利用すれば、電界放出特性にすぐれる。
【0241】
前述の多孔性シリコン含有複合体または炭素複合体は、電子発光素子の製造に利用可能である。
【0242】
さらに他の側面によれば、前記多孔性シリコン含有複合体、または前記多孔性シリコン含有複合体と炭素系材料とを含む炭素複合体を含む熱電材料と、それを含む熱電素子とが提供される。
【0243】
前記熱電材料は、優秀な電気的特性により、熱電性能が向上する。そのような熱電材料は、熱電素子、熱電モジュールまたは熱電装置にも有用に使用される。
【0244】
一具現例による多孔性シリコン含有複合体または炭素複合体は、グラフェンを含んでおり、グラフェンの特性を熱電材料に適用する場合、高い電気伝導度と低い熱伝導度とを具現することになるので、熱電材料の性能を改善することになる。
【0245】
一具現例を有する多孔性シリコン含有複合体または炭素複合体は、金属性質を有するグラフェンと、半導体性質を有するシリコンとの界面での結晶性及び電子構造が変化し、ゼーベック係数が増大し、電荷粒子の伝送が加速化され、電気伝導度及び電荷移動度の上昇を誘導することができる。また、前記グラフェンとシリコンとの界面でのフォノン散乱が増大し、熱伝導度の制御が可能になる。
【0246】
前述のように、多孔性シリコン含有複合体または炭素複合体は、熱電材料として有用に使用される。従って、前記熱電材料を、切断加工などの方法によって成形し、熱電素子を製造することができる。前記熱電素子は、p型熱電素子でもある。そのような熱電素子は、前記熱電材料を、所定形状、例えば、直方体の形状に形成したものを意味する。
【0247】
一方、前記熱電素子は、電極と結合され、電流印加によって冷却効果を示すことができ、温度差により、発電効果を示すことができる成分でもある。
【0248】
図9は、前記熱電素子を採用した熱電モジュールの一具現例を示す。図9に図示されているように、上部絶縁基板211及び下部絶縁基板221には、上部電極212(第1電極)及び下部電極222(第2電極)がパターン化されて形成されており、前述の上部電極212と下部電極222を、p型熱電成分215及びn型熱電成分216が相互接触している。それら電極212,222は、リード電極224により、熱電素子の外部と連結される。前記p型熱電成分215として、前述の熱電素子を使用することができる。前記n型熱電成分216としては、当業界に公知されているものであるならば、制限なしに使用することができる。
【0249】
前記絶縁基板211,221として、ガリウムヒ素(GaAs)、サファイア、シリコン、パイレックス(登録商標)、石英基板などを利用することができる。前記電極212,222の材質は、銅、アルミニウム、ニッケル、金、チタンなど多様に選択され、その大きさも、多様に選択される。それら電極212,222がパターニングされる方法は、従来公知のパターニング方法を制限なしに使用することができ、例えば、リフトオフ半導体工程、蒸着方法、フォトリソグラフィ法などを使用することができる。
【0250】
熱電モジュールの一具現例において、図10及び図11に図示されているように、前記第1電極及び第2電極のうち一つは、熱供給源に露出されている。熱電素子の一具現例において、前述の第1電極及び第2電極のうち一つは、電力供給源に電気的に連結されるか、あるいは熱電モジュールの外部、例えば、電力を消費したり保存したりする電気素子(例えば、電池)に電気的に連結される。
【0251】
前記熱電モジュールの一具現例として、前記第1電極及び第2電極のうち一つは、電力供給源に電気的に連結される。
【0252】
さらに他の側面によれば、一具現例による多孔性シリコン含有複合体、または前記多孔性シリコン含有複合体と炭素系材料とを含む炭素複合体を含むバイオセンサが提供される。
【0253】
一具現例による多孔性シリコン含有複合体または炭素複合体は、バイオセンサ用電極の形成に利用可能である。
【0254】
図12は、一具現例によるバイオセンサの電極構造を示した断面図である。
【0255】
それを参照すれば、一具現例によるバイオセンサ電極300は、基板310、前記基板310上に形成される多孔性シリコン含有複合体または炭素複合体を含む第1層320、及び前記第1層320上に形成される第2層330を具備する。前記第2層330には、バイオ物質340が多様な方式で担持されるか、あるいは固定される。
【0256】
基板310は、その上部にグラフェンが蒸着または形成される全種の板を意味するものであり、具体的には、ガラス、プラスチック、金属、セラミック及びシリコンからなるグループからも選択されるが、基板の種類は、その上部にグラフェンが蒸着または形成される限り、特別に制限されるものではないということに留意する。
【0257】
バイオ物質340として、酵素、アプタマー、タンパク質、核酸、微生物、細胞、脂質、ホルモン、DNA、PNA、RNA、及びその混合物によって構成された群から選択されるバイオ物質が使用され、本明細書において言及されていない多様なバイオ物質が使用されるということに留意する。
【0258】
図12を参照すれば、バイオ物質340として、特定酵素が使用され、第2層330は、そのような特定酵素が担持されたり固定されたりする膜が使用されるバイオセンサ用電極を開示する。一方、図12においては、特定酵素が膜内部に担持されたり固定されたりするように図示されているが、特定酵素の位置は、それらに制限されるものではなく、一部または全部が膜上部に突出されてもいるということに留意する。そのような構成による場合、酵素は、基質特異性にすぐれ、混合物内においても、特定分子とのみ選択的に反応する特性を有するために、特定酵素に反応する分析物質(例えば、血糖など)を選択的に感知することができる。
【0259】
さらに他の側面によれば、前記多孔性シリコン含有複合体、または前記多孔性シリコン含有複合体と炭素系材料とを含む炭素複合体を含む半導体素子が提供される。
【0260】
前記多孔性シリコン含有複合体または炭素複合体は、半導体素子の電極として利用可能である。
【0261】
さらに他の側面によれば、前記多孔性シリコン含有複合体、または前記多孔性シリコン含有複合体と炭素系材料とを含む炭素複合体を含む熱電材料と、それを含む熱電素子とが提供される。
【0262】
該熱電材料の性能は、無次元性能指数(dimensionless figure of merit)と通称される下記数式2のZT値を使用する。
[数式2]
ZT=(SσT)/k
前記数式2で、ZTは、figure of merit、Sはゼーベック係数、σは電気伝導度、Tは絶対温度、κは熱伝導度を示す。
【0263】
前記数式2に示されているように、熱電材料のZT値を増大させるためには、ゼーベック係数及び電気伝導度、すなわち、パワーファクター(Sσ)を増大させ、熱伝導度は低減させなければならない。
【0264】
以下の実施例及び比較例を介して、さらに詳細に説明する。ただし、実施例は、例示するためのものであり、それらだけで本発明の範囲が限定されるものではない。
【0265】
予備製造例1:第1シリコンの製造
針状型シリコン(第1一次粒子である第1シリコン)を湿式ビードミルを利用して粉砕し、シリコンサブオキサイド(SiO)(0<x<2)膜(厚み:約0.1ないし10nm)が表面に形成された長さ(D90)が約150nm、厚みが約40nmである板状及び針状型のシリコン(第1シリコン)を得た。前記湿式ビードミルの撹拌速度は、約10m/sであり、撹拌時間は、約10時間である。
【0266】
製造例1
9:1混合重量比の予備製造例1によって得た第1シリコンおよび気相合成で得た50nmの平均直径を有する球形シリコン(第2一次粒子である第2シリコン、NanoAmor社)からなるシリコン25重量部を、ステアリン酸10重量部及びイソプロピルアルコール65重量部と混合し、組成物を噴霧乾燥させ、それをさらに乾燥させて、4.5μmの平均粒径を有する多孔性シリコン複合体二次粒子を得た。第2シリコンの表面には、シリコンサブオキサイド(SiO)(0<x<2)膜(厚み:約0.1ないし10nm)が表面に形成されている。
【0267】
該噴霧乾燥は、噴霧乾燥器(モデル:MMSD(Micro Mist Spray Dryers)、Fujisaki electric)を利用した。N条件下で、噴霧ノズルサイズと圧力とを調節し、パウダー噴射雰囲気温度(約200℃)を調節し、イソプロピルアルコールを乾燥させることにより、多孔性シリコン二次粒子を製造した。
【0268】
前記多孔性シリコン二次粒子を反応器内に配置させた。前記反応器内を窒素ガスでパージした後、反応器内に、反応ガスとしてメタン(CH)を流し、反応器内に前記ガスからなる雰囲気を造成した。反応器内において、ガス流によって発生した圧力は、1atmである。前記ガス雰囲気下で、反応器内部温度を1,000℃(昇温速度:約23℃/min)まで上げ、前記ガスを反応器内に連続的に流しながら、前記温度で1時間維持し、熱処理を遂行した。続けて、前記結果物を3時間ほど放置した。その後、前記ガスの供給を中断して、反応器を室温(25℃)まで冷却し、反応器内を窒素でパージし、多孔性シリコン含有複合体を得た。
【0269】
前記多孔性シリコン含有複合体において、第1グラフェンと第2グラフェンとの含量は、多孔性シリコン含有複合体総重量100重量部を基準にし、約25重量部である。
【0270】
製造例2
第1シリコンと第2シリコンとの混合重量比が8:2であるということを除いては、製造例1と同一方法によって実施した。
【0271】
製造例3,4
第1シリコンと第2シリコンとして、下記表1に示された大きさを有するものをそれぞれ利用したことを除いては、製造例1と同一に実施し、多孔性シリコン含有複合体を得た。
【0272】
【表1】
【0273】
表1において、第1シリコンの大きさは、第1シリコンの平均長を示し、第2シリコンの大きさは、第2シリコンの平均径を示す。
【0274】
比較製造例1
シリコンとして、第1シリコンのみを利用したことを除いては、製造例1と同一方法によって実施し、多孔性シリコン含有複合体を得た。
【0275】
比較製造例2
比較製造例1によって得た多孔性シリコン含有複合体と、比較製造例3によって得た多孔性シリコン含有複合体とを80:20重量比で混合し、多孔性シリコン含有複合体混合物を得た。
【0276】
比較製造例3
気相合成で得た50nmの平均直径を有する球形シリコン(第2シリコン、NanoAmor社)からなるシリコン25重量部を、ステアリン酸10重量部及びイソプロピルアルコール65重量部と混合し、組成物を噴霧乾燥させ、それをさらに乾燥させて、約4.5μmの平均粒径を有する多孔性シリコン複合体粒子を得た。球形シリコンの表面には、シリコンサブオキサイド(SiO)(0<x<2)膜(厚み:約0.1nm)が表面に形成されている。
【0277】
該噴霧乾燥は、噴霧乾燥器(モデル:MMSD(Micro Mist Spray Dryers)、Fujisaki electric)を利用した。N条件下で、噴霧ノズルサイズと圧力とを調節し、パウダー噴射雰囲気温度(約200℃)を調節し、イソプロピルアルコールを乾燥させることにより、多孔性シリコン二次粒子を製造した。
【0278】
前記多孔性シリコン二次粒子を反応器内に配置させた。前記反応器内を窒素ガスデパージした後、反応器内に、反応ガスとして、メタン(CH)を流し、反応器内に前記ガスからなる雰囲気を造成した。反応器内において、ガス流によって発生した圧力は、1atmである。前記ガス雰囲気下で、反応器内部温度を1,000℃(昇温速度:約23℃/min)まで上げ、前記ガスを反応器内に連続的に流しながら、前記温度で1時間維持し、熱処理を遂行した。続けて、前記結果物を3時間位放置した。その後、前記ガスの供給を中断し、反応器を室温(25℃)まで冷却し、反応器内を窒素でパージし、多孔性シリコン含有複合体を得た。
【0279】
実施例1:負極及びフルセルの製造
製造例1によって製造された多孔性シリコン含有複合体、グラファイト、リチウムポリアクリレート(Li-PAA)、及び溶媒である脱イオン水(DI water)を混合し、スラリーを製造した。前記スラリーにおいて、製造例1によって製造された多孔性シリコン含有複合体とグラファイトとの混合物と、リチウムポリアクリレートとの固形分混合比は、95:5重量比である。製造例1によって製造された多孔性シリコン含有複合体と、グラファイトとの混合物において、多孔性シリコン含有複合体とグラファイトとの重量比は、15:85であった。
【0280】
前記スラリーを銅ホイル(Cu foil)に塗布した後、ドクターブレードを使用し、塗布厚が40μmになるように製膜した後、120℃で2時間真空乾燥させ、それを圧延して負極を製造した。
【0281】
正極は、LiNi0.6Co0.2Mn0.2、LiNi0.6Co0.2Al0.2、デンカブラック(Denka Black)、バインダであるポリフッ化ビニリデン(PVdF)、及び溶媒であるN-メチルピロリドン(NMP)を混合し、スラリーを製造した。該スラリーにおいて、LiNi0.6Co0.2Mn0.2、LiNi0.6Co0.2Al0.2、デンカブラック(Denka Black)及びバインダであるPVdFの混合重量比は、75:9:3:3であった。
【0282】
前記スラリーをアルミニウムホイルに塗布した後、ドクターブレードを使用し、塗布厚が40μmになるように製膜した後、120℃で2時間真空乾燥させ、それを圧延し、正極を製造した。
【0283】
前述の負極と正極とを利用し、コインフルセルを製造した。
【0284】
セパレータとしては、ポリプロピレン膜(Cellgard 3510)を使用し、電解質としては、1.3M LiPF(EC:DEC:FEC(50:25:25体積比)の溶媒内)を使用した。ECは、エチレンカーボネート、DECは、ジエチルカーボネート、FECは、フルオロエチレンカーボネートをそれぞれ示す。
【0285】
実施例2~4:負極及びフルセルの製造
製造例1による多孔性シリコン含有複合体の代わりに、製造例2~4による多孔性シリコン含有複合体を利用したことを除いては、実施例1と同一方法によって実施し、負極及びフルセルを製造した。
【0286】
実施例5:負極及びコインハーフセルの製造
製造例1によって製造された多孔性シリコン含有複合体、グラファイト、リチウムポリアクリレート(Li-PAA)、及び溶媒である脱イオン水を混合し、スラリーを製造した。前記スラリーにおいて、製造例1によって製造された多孔性シリコン含有複合体およびグラファイトの混合物と、リチウムポリアクリレートとの固形分混合比は、95:5重量比であった。製造例1によって製造された多孔性シリコン含有複合体と、グラファイトとの混合物において、多孔性シリコン含有複合体とグラファイトとの重量比は、15:85であった。
【0287】
前記スラリーを銅ホイルに塗布した後、ドクターブレードを使用し、塗布厚が40μmになるように製膜した後、120℃で2時間真空乾燥させ、それを圧延し、負極を製造した。
【0288】
前記負極と、対極としてのリチウムメタルとを利用し、コインハーフセルを製造した。
【0289】
セパレータとしては、ポリプロピレン膜(Cellgard 3510)を使用し、電解質としては、1.3MLiPF(EC(エチレンカーボネート):DEC(ジエチルカーボネート):FEC(フルオロエチレンカーボネート)(2:6:2体積比)の溶媒内)を使用した。
【0290】
実施例6ないし8:負極及びコインハーフセルの製造
製造例1による多孔性シリコン含有複合体の代わりに、製造例2~4による多孔性シリコン含有複合体を利用したことを除いては、実施例5と同一方法によって実施し、負極及びコインハーフセルを製造した。
【0291】
比較例1:負極及びフルセルの製造
製造例1によって製造された多孔性シリコン含有複合体の代わりに、比較製造例1によって製造された多孔性シリコン含有複合体を使用したことを除いては、実施例1と同一方法によって実施し、負極及びフルセルを製造した。
【0292】
比較例2,3:負極及びフルセルの製造
製造例1によって製造された多孔性シリコン含有複合体の代わりに、比較製造例2及び3によって製造された物質をそれぞれ使用したことを除いては、実施例1と同一方法によって実施し、負極及びフルセルを製造した。
【0293】
比較例4~6:負極及びコインハーフセルの製造
製造例1によって製造された多孔性シリコン含有複合体の代わりに、比較製造例1ないし3によって製造された物質をそれぞれ使用したことを除いては、実施例5と同一方法によって実施し、負極及びコインハーフセルを製造した。
【0294】
評価例1:酸素含量
製造例1,2によって製造された多孔性シリコン含有複合体、並びに比較製造例1及び2によって製造された物質に対し、XPS(X-ray photoelectron spectroscopy)分析を実施し、酸素及び炭素の含量を分析し、その分析結果を下記表2に示した。
【0295】
XPS分析は、Quantum 2000(Physical Electronics Inc.)(加速電圧:0.5~15kV、300W、エネルギー分解能:約1.0eV、sputter rate:0.1nm/min)を利用した。
【0296】
【表2】
【0297】
前記表2において、酸素含量は、O1sピークに該当する酸素含量を定めて示したものである。
【0298】
表2を参照すれば、製造例1及び2の多孔性シリコン含有複合体は、比較製造例1の場合と比較し、酸化度が低くなった。そして、比較製造例3の多孔性シリコン含有複合体は、シリコンから気相合成で得た球形シリコンを使用して製造され、酸素含量が少なく、酸化度が最も低く示された。
【0299】
評価例2:比表面積及び密度
製造例1及び2、比較製造例1及び3によって得た多孔性シリコン含有複合体の比表面積及び密度を測定し、下記表3に記述した。比表面積は、B.E.T.法を利用して評価し、密度は各サンプルをプレスする前に、envelope pycnometer装備を利用して測定した。
【0300】
【表3】
【0301】
表3を参照すれば、比較製造例3の気相シリコンを利用して製造された多孔性シリコン含有複合体は、比表面積が非常に大きい。
【0302】
それに比べ、製造例1及び2の多孔性シリコン含有複合体は、比較製造例3の場合と比較し、比表面積が大きく低減し、多孔性シリコン含有複合体と電解質との副反応を抑制することができる。
【0303】
また、製造例1及び2の多孔性シリコン含有複合体は、比較製造例1の場合と比較し、密度が上昇した結果を示した。それにより、製造例1及び2の多孔性シリコン含有複合体の粒子強度向上が期待される。
【0304】
評価例3:透過電子顕微鏡分析
製造例1及び比較製造例1によって得た多孔性シリコン含有複合体を、透過電子顕微鏡を利用し、分析した。前記TEM分析時、分析器として、FEI社のTitan cubed G260-300を利用した。
【0305】
製造例1の多孔性シリコン含有複合体の表面に係わるTEM分析結果は、図4Aないし図4Dに示し、比較製造例1の多孔性シリコン含有複合体のTEM分析結果を、図3Aないし図3Cに示した。
【0306】
図4A及び図4Bを参照すれば、製造例1によって得た多孔性シリコン含有複合体は、球形の第2シリコンと、針状及び板状型の形状を有する第1シリコンとを有しており、比較製造例1の場合(図3B)と比較し、気孔度が減って電子伝導度が改善されるということが分かった。
【0307】
そして、第1シリコンと第2シリコンは、第2グラフェンを介し、図4Dから分かるように、ネットワークを形成し、第2シリコンが第1シリコンに埋め込まれている構造を有する。比較製造例1の多孔性シリコン含有複合体は、図3Bに示されているように、電子経路が断絶された領域が観察され、図3Cに示されているように、鱗状及び針状型の形状を有する1種のシリコンだけが観察された。
【0308】
図4Cから分かるように、第2グラフェンとシリコンサブオキサイドとの密着度が1nm以下と非常に近く、第1シリコン上部に配置された第2グラフェンは、膜形態を有し、第2シリコン上部に配置された第2グラフェンは、1層の膜形態を有し、その上部にフレークタイプに成長されたということを確認することができた。
【0309】
評価例4:ラマン分析
製造例1、並びに比較製造例1及び3の多孔性シリコン含有複合体に係わるラマン分析を実施した。該ラマン分析は、Raman 2010 Spectra(NT-MDT Development Co.)(laser system:473nm、633nm、785nm、Lowest Raman shift:~50cm-1、空間解像度(spatial resolution):約500nm)を利用して実施した。
【0310】
前記ラマン分析結果に基に、Gピーク強度に対するDピーク強度の比を測定し、下記表5に示した。
【0311】
グラフェンは、ラマン分析スペクトルにおいて、1,350cm-1、1,580cm-1,2,700cm-1でピークを示すが、該ピークは、グラフェンの厚み、結晶性及び電荷ドーピング状態に係わる情報を与える。1,580cm-1で示されるピークは、Gモードというピークであり、それは、炭素・炭素結合のストレッチングに該当する振動モードに起因し、Gモードのエネルギーは、グラフェンにドーピングされた余剰電荷の密度によって決定される。そして、2,700cm-1で示されるピークは、2D-モードというピークであり、グラフェン厚を評価するときに有用である。前記1,350cm-1において出るピークは、Dモードというピークであり、SP結晶構造に欠陥があるときに示されるピークである。そして、前記D/G強度比は、グラフェン結晶の無秩序度に係わる情報を与える。
【0312】
【表4】
【0313】
評価例5:コインフルセルの充放電特性
実施例1、実施例2、及び比較例1ないし3によって製造されたコインフルセルを利用し、それぞれのコインフルセルについて、下記方法によって充放電特性評価を実施し、100回サイクルを反復して実施した。
【0314】
充放電条件(charge:1.0C/cut-off:4.2V-0.01C、discharge:1.0C/cut-off:2.5V)
【0315】
コインフルセルに対し、25℃で、0.1C rateの電流で、電圧が4.2V(対Li)に至るまで定電流充電し、続けて、定電圧モードで4.2Vを維持しながら、0.01C rateの電流でカットオフ(cut-off)した。続けて、放電時、電圧が2.5V(対Li)に至るまで0.1C rateの定電流で放電した(1回目サイクル、化成(formation)サイクル)。
【0316】
1回目サイクルを経たコインフルセルに対し、25℃で0.2C rateの電流で、電圧が4.2V(対Li)に至るまで定電流充電し、続けて、定電圧モードで4.2Vを維持しながら、0.01C rateの電流でカットオフした。続けて、放電時、電圧が2.5V(対Li)に至るまで0.2C rateの定電流で放電した(2回目サイクル、化成サイクル)。
【0317】
2回目サイクルを経たリチウム電池に対し、25℃で1.0C rateの電流で、電圧が4.2V(対Li)に至るまで定電流充電し、続けて、定電圧モードで4.2Vを維持しながら、0.01C rateの電流でカットオフした。続けて、放電時、電圧が2.5V(対Li)に至るまで1.0C rateの定電流で放電した(3回目サイクル)。そのようなサイクルを103回サイクルまで、同一条件で反復した(100回反復)。
【0318】
前述の全ての充放電サイクルにおいて、1つの充電/放電サイクル後、10分間の休止時間を置いた。
【0319】
前記充放電実験結果の一部を、下記表5に示した。表5において、充放電効率は、コインフルセルの最初のサイクルの0.1C条件に関するものであり、比容量(specific capacity)は、コインフルセルの0.1C充放電後、約0.2C放電容量である。106回目サイクルでの容量維持率は、下記数式3で定義される。
[数式3]
容量維持率[%]=[104回目サイクルでの放電容量/3回目サイクルでの放電容量]×100
【0320】
【表5】
【0321】
表5を参照すれば、実施例1及び2のコインフルセルは、比較例1ないし3のコインフルセルと比較し、寿命特性は同等であるか、あるいは改善されながら、初期効率が改善された。そして、実施例2のコインフルセルは、比較例1の場合と比較し、寿命特性は、低いものの、初期効率と充放電効率とがさらに改善された結果を示し、実際適用がさらに有利であるという結果を示した。
【0322】
評価例6:コインハーフセルの充放電特性
実施例5、並びに比較例4及び5によって製造されたコインハーフセルを利用し、それぞれのコインハーフセルについて、下記方法により、充放電特性評価を実施し、100回サイクルを反復して実施した。
【0323】
コインハーフセルに対し、25℃で0.1C rateの電流で、電圧が0.01V(対Li)に至るまで定電流充電し、続けて、定電圧モードで0.01Vを維持しながら、0.01C rateの電流でカットオフした。続けて、放電時、電圧が1.5V(対Li)に至るまで0.1C rateの定電流で放電した(化成サイクル)。
【0324】
化成を経たコインハーフセルに対し、25℃で0.1C rateの電流で、電圧が0.01V(vs.Li)に至るまで定電圧モードで充電し、続けて、定電圧モードで0.01Vを維持しながら、0.01C rateの電流でカットオフした。続けて、放電時、電圧が1.5V(対Li)に至るまで0.2C rateの定電流で放電した(1回目サイクル)。
【0325】
1回目サイクルを経たコインハーフセルに対し、25℃で0.2C rateの電流で、電圧が0.01V(対Li)に至るまで定電流充電した。続けて、放電時、電圧が1.5V(対Li)に至るまで0.2C rateの定電流で放電した(2回目サイクル)。
【0326】
2回目サイクルを経たコインハーフセルに対し、25℃で0.5C rateの電流で、電圧が0.01V(対Li)に至るまで定電流充電した。続けて、放電時、電圧が1.5V(対Li)に至るまで0.5C rateの定電流で放電した(3回目サイクル)。
【0327】
3回目サイクルを経たコインハーフセルに対し、25℃で1C rateの電流で、電圧が0.01V(対Li)に至るまで定電流充電した。続けて、放電時、電圧が1.5V(対Li)に至るまで1C rateの定電流で放電した(4回目サイクル)。
【0328】
前述の全ての充放電サイクルにおいて、1つの充電/放電サイクル後、10分間の休止時間を置いた。
【0329】
高率特性は、下記数式4によって定義される。
[数式4]
高率特性[%]=[4回目サイクルでの放電容量(1C rate)/1回目サイクルでの放電容量(0.1C rate)]×100
【0330】
前記充放電特性評価結果の一部は、下記表6及び図5に示された通りである。図5は、高率特性を示したものである。
【0331】
【表6】
【0332】
表6を参照すれば、実施例5のコインハーフセルは、比較例4及び5のコインハーフセルと比較し、高率特性が改善された。
【0333】
評価例7:充放電サイクル後の電子走査顕微鏡分析
実施例1によって製造されたコインフルセルに対する充放電特性評価は、評価例5と同じ方法で実施され、充放電する前、1回サイクルの後、及び20回のサイクルを反復して実施した後の負極における、負極活物質の表面と断面とをそれぞれ電子走査顕微鏡を利用して調べた。分析結果を、図6Aないし図6Cに示した。図6Aは、充放電初期状態の負極活物質に係わるものであり、図6Bは、1回目サイクル経過後の負極活物質の状態に係わるものであり、図6Cは、20回目サイクル経過後の負極活物質の状態を示したものである。
【0334】
それらを参照すれば、充放電100サイクル未満である場合には、二次粒子は、第1一次粒子である針状及び板状型の第1シリコンと、第2一次粒子である球形の第2シリコンとからなる異形のシリコン含有構造を維持するということが分かった。そのように、充放電後、構造的に安定した負極活物質を利用すれば、低膨脹であって耐久性にすぐれる電池を製造することができる。
【0335】
評価例8:充放電テスト
実施例5、並びに比較例4及び5によって製造されたコインハーフセルを利用し、それぞれのコインハーフセルについて、下記方法によって充放電特性評価を実施した。
【0336】
充放電条件(charge:1.0C/cut-off:0.01V-0.01C、discharge:1.0C/cut-off:1.5V)
【0337】
前記コインハーフセルの最初サイクルにおいて、リチウム-シリコン反応電位差を示す微分充放電特性(dQ/dV)を評価し、その結果を、図7A及び図7Bに示した。図7Aは、実施例5及び比較例4によって製造されたコインハーフセルの1回目サイクルにおける微分充放電特性(dQ/dV)評価結果を示したものである。そして、図7Bは、実施例5及び比較例5によって製造されたコインハーフセルの1回目サイクルにおける微分充放電特性(dQ/dV)評価結果を示したものである。
【0338】
それらを参照すれば、比較例4及び5のコインハーフセルは、実施例5のコインハーフセルと比較し、放電ピークがシフトされるということが分かった。そのような結果から、比較例4及び5のコインハーフセルにおいては、構造変異が起こるということが分かった。
【0339】
それに比べ、実施例5によって製造されたコインハーフセルに係わる一次サイクルdQ/dVの酸化還元曲線を参照すれば、0.2ないし0.8V範囲で滑らかな(smooth)酸化還元ピークを示している。
【0340】
以上、図面及び実施例を参照し、一具現例について説明したが、それらは、例示的なものに過ぎず、当該技術分野において当業者であるならば、それらから多様な変形、及び均等な他の具現例が可能であるという点を理解することができるであろう。従って、本発明の保護範囲は、特許請求の範囲によって決められるものである。
【産業上の利用可能性】
【0341】
本発明の、多孔性シリコン含有複合体、それを利用した炭素複合体、それを含んだ、電極、リチウム電池及び電子素子は、例えば、バイオセンサ関連の技術分野に効果的に適用可能である。
【符号の説明】
【0342】
1 コア
2 シェル
10 多孔性シリコン含有複合体
10a,20a 第1グラフェン
10b,20b 第2グラフェン
11,21 第1シリコン
12,22 第2シリコン
121 リチウム電池
122 負極
123 正極
124 セパレータ
125 電池ケース
126 キャップアセンブリ
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図4C
図4D
図5
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図8
図9
図10
図11
図12
【手続補正書】
【提出日】2024-03-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多孔性シリコン複合体二次粒子を含む多孔性コアと、前記多孔性コアの少なくとも一面上の第1グラフェンを含むシェルと、を含む多孔性シリコン含有複合体であり、
前記多孔性シリコン複合体二次粒子は、2以上のシリコン複合体一次粒子の凝集体を含み、
前記多孔性シリコン複合体二次粒子は、第1シリコンを含有する第1一次粒子と、構造体を含む第2一次粒子と、前記第1一次粒子と前記第2一次粒子との少なくとも一面上の第2グラフェンと、の凝集体を含有し、
前記第1一次粒子と第2一次粒子は、形状(shape)及び酸化度のうちから選択された1以上が異なり、
前記構造体は、第2シリコンであり、
前記第1シリコンは、酸素含量が3原子%ないし15原子%であるシリコンであり、
前記第2シリコンは、酸素含量が0.01原子%以上であり、3原子%未満であるシリコンであることを特徴とする多孔性シリコン含有複合体。
【請求項2】
前記第1シリコンは、板状型シリコン、針状型シリコン、キュービック型シリコン、ロッド型シリコンのうちから選択された1以上であることを特徴とする請求項に記載の多孔性シリコン含有複合体。
【請求項3】
前記構造体は、球形、ナノワイヤ、スフィアのうちから選択された1以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の多孔性シリコン含有複合体。
【請求項4】
前記第1一次粒子と前記第2グラフェンとの間には、シリコンサブオキサイド(SiO)(0<x<2)をさらに含むことを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載の多孔性シリコン含有複合体。
【請求項5】
第1一次粒子と第2一次粒子は、互いに異なる形状を有し、
前記多孔性シリコン含有複合体は、ナノチューブ、ナノロッド、ナノリボン、及びその組み合わせ物のうちから選択された1以上の第3一次粒子がさらに含まれることを特徴とする請求項に記載の多孔性シリコン含有複合体。
【請求項6】
前記構造体は、第1シリコンによって連結され、ネックワークが形成されるか、あるいは該構造体は、第1シリコンに埋め込まれたことを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載の多孔性シリコン含有複合体。
【請求項7】
前記第2シリコンの大きさは、第1シリコンの大きさと同一であるか、あるいはそれよりも小さいことを特徴とする請求項に記載の多孔性シリコン含有複合体。
【請求項8】
前記第1シリコンの大きさ、及び第2シリコンの大きさは、それぞれ平均粒径が10nmないし30μmであり、
前記第1シリコンの大きさは、20ないし180nmであり、
前記第2シリコンの大きさは、100nm以下であることを特徴とする請求項に記載の多孔性シリコン含有複合体。
【請求項9】
前記第1一次粒子上に、1ないし30層の膜状に第2グラフェンが配置され、
前記第2一次粒子上に、1ないし5層の膜状に第2グラフェンが配置されて、
その上部にフレークタイプの第2グラフェンが配置されたことを特徴とする請求項に記載の多孔性シリコン含有複合体。
【請求項10】
前記多孔性シリコン含有複合体の比表面積は、0.1ないし100m/gであり、密度は、0.1ないし2.8g/ccであることを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載の多孔性シリコン含有複合体。
【請求項11】
前記第2グラフェンは、シリコンサブオキサイドの表面上に直接的に配置され、
前記第1グラフェンは、多孔性シリコン複合体二次粒子の表面上に直接的に配置されたことを特徴とする請求項に記載の多孔性シリコン含有複合体。
【請求項12】
前記多孔性シリコン含有複合体におけるシリコンの含量は、多孔性シリコン含有複合体総重量100重量部を基準に、0.1ないし99重量部であることを特徴とする請求項1から11のいずれか一項に記載の多孔性シリコン含有複合体。
【請求項13】
前記多孔性シリコン含有複合体は、二重コア/シェル構造を有することを特徴とする請求項1から12のいずれか一項に記載の多孔性シリコン含有複合体。
【請求項14】
前記第1グラフェンと第2グラフェンとの総含量は、シリコンの総重量100重量部を基準に、0.1ないし2,000重量部であることを特徴とする請求項1から13のいずれか一項に記載の多孔性シリコン含有複合体。
【請求項15】
前記シリコン複合体一次粒子において、第2グラフェンは、シリコンサブオキサイド(SiO)(0<x<2)から10nm以下の距離で配置され、1ないし30層のグラフェン層を含み、前記第2グラフェンの総厚は、0.3ないし1,000nmであり、
前記第2グラフェンは、シリコンの主軸に対して、0から90゜の角度に配向されることを特徴とする請求項に記載の多孔性シリコン含有複合体。
【請求項16】
前記多孔性シリコン複合体二次粒子において、第1グラフェンは、シリコンサブオキサイド(SiO)(0<x<2)から1,000nm以下の距離で配置され、1ないし30層のグラフェン層を含み、前記第1グラフェンの総厚は、0.6ないし50nmであり、
前記第1グラフェンは、シリコンの主軸に対して、0から90゜の角度に配向されることを特徴とする請求項に記載の多孔性シリコン含有複合体。
【請求項17】
前記シリコンサブオキサイド(SiO)(0<x<2)の厚みは、30μm以下であることを特徴とする請求項に記載の多孔性シリコン含有複合体。
【請求項18】
前記多孔性シリコン複合体二次粒子の平均粒径は、1ないし30μmであり、比表面積は、0.1ないし100m/gであり、密度は、0.1ないし2.57g/ccであることを特徴とする請求項1から17のいずれか一項に記載の多孔性シリコン含有複合体。
【請求項19】
前記多孔性シリコン含有複合体において、酸素含量が酸素、炭素及びシリコン原子の総含量を基準に、0.01ないし15原子%であることを特徴とする請求項1から18のいずれか一項に記載の多孔性シリコン含有複合体。
【請求項20】
前記多孔性シリコン含有複合体の少なくとも一面上に、非晶質炭素を含む炭素系コーティング膜を含むことを特徴とする請求項1から19のいずれか一項に記載の多孔性シリコン含有複合体。
【請求項21】
前記炭素系コーティング膜は、結晶質炭素をさらに含むことを特徴とする請求項20に記載の多孔性シリコン含有複合体。
【請求項22】
前記結晶質炭素は、フラーレン、天然黒鉛、人造黒鉛、グラフェン及びカーボンナノチューブからなる群から選択された1以上であり、
非晶質炭素は、ピッチカーボン、ソフトカーボン、ハードカーボン、メゾ相ピッチ炭化物、焼成されたコークス、及び炭素ファイバからなる群から選択された1以上であることを特徴とする請求項21に記載の多孔性シリコン含有複合体。
【請求項23】
前記炭素系コーティング膜は、非多孔性の連続的なコーティング膜であり、炭素系コーティング膜の厚みは、1ないし5,000nmであることを特徴とする請求項20に記載の多孔性シリコン含有複合体。
【請求項24】
請求項1~23のいずれか一項に記載の多孔性シリコン含有複合体を製造する多孔性シリコン含有複合体の製造方法であって、
第1一次粒子、前記第1一次粒子と形状及び酸化度のうちから選択された1以上が異なる第2一次粒子を利用し、多孔性シリコン二次粒子を得る段階と、
前記多孔性シリコン二次粒子に炭素供給源ガスを供給し、熱処理する段階と、を含む、多孔性シリコン含有複合体の製造方法。
【請求項25】
前記多孔性シリコン二次粒子は、第一次粒子、第2次粒子、分散剤、及び溶媒を含む組成物から得られることを特徴とする請求項24に記載の多孔性シリコン含有複合体の製造方法。
【請求項26】
前記溶媒は、アルコール系溶媒であり、
前記組成物から、多孔性シリコン二次粒子を得る段階は、組成物を噴霧乾燥させて実施されることを特徴とする請求項25に記載の多孔性シリコン含有複合体の製造方法。
【請求項27】
前記分散剤は、ステアリン酸、レゾルシノール、ポリビニルアルコール及びカーボンピッチのうちから選択された1以上であることを特徴とする請求項25に記載の多孔性シリコン含有複合体の製造方法。
【請求項28】
前記炭素供給源ガスが、下記化学式1で表示される化合物、下記化学式2で表示される化合物、及び下記化学式3で表示される酸素含有ガスからなる群から選択された1以上を含むことを特徴とする請求項24に記載の多孔性シリコン含有複合体の製造方法:
[化学式1]
(2n+2-a)[OH]
前記化学式1で、nは1ないし20の整数であり、aは0または1であり、
[化学式2]
(2n)
前記化学式2で、nは2ないし6の整数であり、
[化学式3]

前記化学式3で、xは1ないし20の整数であり、yは0または1ないし20の整数であり、zは1または2である。
【請求項29】
前記炭素供給源ガスが、下記化学式3aで表示される第2酸素含有化合物をさらに含み、下記化学式3aで表示される第2酸素含有化合物は、前記化学式3で表示される酸素含有化合物と異なることを特徴とする請求項28に記載の多孔性シリコン含有複合体の製造方法:
[化学式3a]

前記化学式3aで、xは0または1ないし20の整数であり、yは0または1ないし20の整数であり、zは1または2である。
【請求項30】
前記炭素供給源ガスが、メタン、エチレン、プロピレン、アセチレン、メタノール、エタノール及びプロパノールからなる群から選択された1以上を含むことを特徴とする請求項24に記載の多孔性シリコン含有複合体の製造方法。
【請求項31】
前記熱処理が、750ないし1,100℃で実施されることを特徴とする請求項24から30のいずれか一項に記載の多孔性シリコン含有複合体の製造方法。
【請求項32】
前記多孔性シリコン含有複合体、炭素系物質及び溶媒を含む組成物を乾式混合する段階をさらに含み、炭素系コーティング膜が形成された多孔性シリコン含有複合体を得ることを特徴とする請求項24から31のいずれか一項に記載の多孔性シリコン含有複合体の製造方法。
【請求項33】
請求項1ないし23のうちいずれか1項に記載の多孔性シリコン含有複合体と、炭素系材料とを含む炭素複合体。
【請求項34】
電気化学的な活物質、及び請求項1ないし23のうちいずれか1項に記載の多孔性シリコン含有複合体、前記多孔性シリコン含有複合体と炭素系材料とを含む炭素複合体、またはその組み合わせ物を含む電気化学的活物質複合体であり、
前記多孔性シリコン含有複合体、炭素複合体、またはその組み合わせ物が、前記電気化学的な活物質の表面にコーティングされた電気化学的活物質複合体。
【請求項35】
請求項1ないし23のうちいずれか1項に記載の多孔性シリコン含有複合体、または前記多孔性シリコン含有複合体と炭素系材料とを含む炭素複合体を含む電極。
【請求項36】
前記炭素系材料が、グラフェン、黒鉛、フラーレン、黒鉛質炭素、炭素ファイバ及びカーボンナノチューブからなる群から選択された1以上であり、前記炭素系材料の含量は、炭素複合体100重量部を基準に、0.001ないし99.999重量部であることを特徴とする請求項35に記載の電極。
【請求項37】
請求項35または36に記載の電極を含むリチウム電池。
【請求項38】
前記リチウム電池の充放電サイクル100回以下において、多孔性シリコン含有複合体は、第1一次粒子及び第2一次粒子を含み、前記第2一次粒子上に成長されたフレークタイプのグラフェンを有することを特徴とする請求項37に記載のリチウム電池。
【請求項39】
請求項1ないし23のうちいずれか1項に記載の多孔性シリコン含有複合体、または
前記多孔性シリコン含有複合体と炭素系材料とを含む素子であって、
前記素子が、電界放出素子、バイオセンサ、半導体素子または熱電素子であることを特徴とする素子。