(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024045803
(43)【公開日】2024-04-03
(54)【発明の名称】基板処理装置、基板処理方法、半導体装置の製造方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
C23C 16/44 20060101AFI20240327BHJP
【FI】
C23C16/44 E
【審査請求】有
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022150788
(22)【出願日】2022-09-22
(71)【出願人】
【識別番号】318009126
【氏名又は名称】株式会社KOKUSAI ELECTRIC
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】大橋 直史
(72)【発明者】
【氏名】菊池 俊之
(72)【発明者】
【氏名】山口 英人
(72)【発明者】
【氏名】谷内 正導
【テーマコード(参考)】
4K030
【Fターム(参考)】
4K030EA11
(57)【要約】
【課題】真空ポンプの電力消費量を低減することが可能な技術を提供する。
【解決手段】基板を処理する処理室と、前記処理室に対して複数の排気装置を並列に接続するガスの流路と、前記ガスの流路におけるガスの流通を制御する排気制御部と、前記排気装置の出力を制御する出力制御部と、前記排気制御部と前記出力制御部とを制御可能に構成される制御部と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を処理する処理室と、
前記処理室に対して複数の排気装置を並列に接続するガスの流路と、
前記ガスの流路におけるガスの流通を制御する排気制御部と、
前記排気装置の出力を制御する出力制御部と、
前記排気制御部と前記出力制御部とを制御可能に構成される制御部と、
を備える基板処理装置。
【請求項2】
前記排気制御部は、前記ガスの流路の開度を調整することで前記処理室の圧力を所定の圧力に制御する圧力制御部をさらに備える、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
複数の前記排気装置のうち少なくとも1台は、最大排気量が他の前記排気装置と異なる、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記ガスの流路は、基板を処理する複数の処理室に対して複数の前記排気装置を並列に接続する、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記排気装置の異常を検知する検知部と、
前記検知部が前記排気装置の異常を検知した際に、前記排気制御部と前記出力制御部のうち少なくとも一方を制御可能に構成される緊急制御部と、
をさらに備える、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記処理室にて実行される第1の処理と前記第1の処理の後に前記処理室にて実行される第2の処理との間に、前記排気制御部または前記出力制御部のうち少なくとも一方を制御可能に構成される、請求項1~5のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記第2の処理において前記第1の処理に用いた前記排気装置とは異なる前記排気装置によって前記処理室が排気されるように、前記排気制御部または前記出力制御部の少なくとも一方を制御可能に構成される、請求項6に記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記第1の処理と前記第2の処理における前記処理室から排気される単位時間当たりガス流量が異なるように、前記排気制御部または前記出力制御部のうち少なくとも一方を制御可能に構成される、請求項6に記載の基板処理装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記第1の処理と前記第2の処理において前記処理室に接続される前記排気装置の数が異なるように、前記排気制御部または前記出力制御部のうち少なくとも一方を制御可能に構成される、請求項8に記載の基板処理装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記第1の処理と前記第2の処理において前記処理室に接続される前記排気装置のうち少なくとも1台以上の前記排気装置の最大排気量が異なるように、前記排気制御部または前記出力制御部のうち少なくとも一方を制御可能に構成される、請求項8に記載の基板処理装置。
【請求項11】
前記制御部は、前記第1の処理と前記第2の処理において前記処理室に接続される前記排気装置のうち少なくとも1台以上の前記排気装置における最大出力に対する出力の値である出力率が異なるように、前記排気制御部または前記出力制御部のうち少なくとも一方を制御する、請求項8に記載の基板処理装置。
【請求項12】
前記第1の処理は第1の基板処理であり、前記第2の処理は第2の基板処理である、請求項6に記載の基板処理装置。
【請求項13】
前記第1の処理と前記第2の処理のいずれか一方は基板処理であり、もう一方は前記処理室の洗浄処理である、請求項6に記載の基板処理装置。
【請求項14】
前記第1の処理と前記第2の処理のいずれか一方は基板処理であり、もう一方は待機状態である、請求項6に記載の基板処理装置。
【請求項15】
処理室内で基板を処理する工程と、
前記処理室に対して複数の排気装置を並列に接続するガスの流路における流通と、複数の前記排気装置の出力と、のうち少なくとも一方を制御する工程と、
を有する基板処理方法。
【請求項16】
請求項15に記載の基板処理方法を用いた半導体装置の製造方法。
【請求項17】
処理室内で基板を処理する手順と、
前記処理室に対して複数の排気装置を並列に接続するガスの流路における流通と、複数の前記排気装置の出力と、のうち少なくとも一方を制御する手順と、
を含む手順をコンピュータによって基板処理装置に実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板処理装置、基板処理方法、半導体装置の製造方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造装置等の基板処理装置においては、基板を処理する処理室ごとに真空ポンプが接続され、真空ポンプによって処理室の排気が行われる場合がある(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、真空ポンプによる電力消費量を低減することが可能な技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様によれば、
基板を処理する処理室と、
前記処理室に対して複数の排気装置を並列に接続するガスの流路と、
前記ガスの流路におけるガスの流通を制御する排気制御部と、
前記排気装置の出力を制御する出力制御部と、
前記排気制御部と前記出力制御部とを制御可能に構成される制御部と、
を有する技術が提供される。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、真空ポンプの電力消費量を削減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本開示の一実施形態にかかる基板処理装置の概略構成図である。
【
図2】
図1に示す基板処理装置のガス供給系およびガス排気系の概略構成図である。
【
図3】
図1に示す基板処理装置で実施される基板処理工程を示すフローチャートである。
【
図4A】
図2に示すガス排気系において、4つのプロセスチャンバに対して3つの真空ポンプが接続される接続例を示す図である。
【
図4B】比較例における基板処理装置のガス排気系の概略構成図である。
【
図5A】
図2に示すガス排気系において、4つのプロセスチャンバに対して2つの真空ポンプが接続される接続例を示す図である。
【
図5B】
図5Aに示すガス排気系の状態において、真空ポンプに異常が検出された場合にガスの流路の切り替えが行われたときのガス排気系の状態を示す図である。
【
図5C】
図5Bに示すガス排気系の状態において、ガスの流路の切り替えおよび真空ポンプの出力変更が行われたときのガス排気系の状態を示す図である。
【
図6A】
図2に示すガス排気系において、4つのプロセスチャンバに対して3つの真空ポンプが接続される接続例を示す図である。
【
図6B】
図6Aに示すガス排気系の状態において、真空ポンプに異常が検出された場合に真空ポンプの出力変更が行われたときのガス排気系の状態を示す図である。
【
図7A】
図2に示すガス排気系において、4つのプロセスチャンバに対して3つの真空ポンプが接続される接続例を示す図である。
【
図7B】
図7Aに示すガス排気系の状態に対してガスの流路の切り替えが行われたときのガス排気系の状態を示す図である。
【
図8A】
図2に示すガス排気系において、4つのプロセスチャンバに対して4つの真空ポンプが接続される接続例を示す図である。
【
図8B】
図8Aに示すガス排気系の状態に対してガスの流路の切り替えおよび真空ポンプの出力変更が行われときのガス排気系の状態を示す図である。
【
図9A】
図2に示すガス排気系において、4つのプロセスチャンバに対して3つの真空ポンプが接続される接続例を示す図である。
【
図9B】
図9Aに示すガス排気系の状態に対してガスの流路の切り替えおよび真空ポンプの出力変更が行われたときのガス排気系の状態を示す図である。
【
図10A】
図2に示すガス排気系において、4つのプロセスチャンバに対して4つの真空ポンプが接続される接続例を示す図である。
【
図10B】
図10Aに示すガス排気系の状態に対して真空ポンプの出力変更が行われたときのガス排気系の状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示の一態様について、主に
図1~
図4A、
図5A~
図10Bを参照しつつ説明する。全図面中、同一または対応する構成については、同一または対応する参照符号を付し、重複する説明を省略する。なお、以下の説明において用いられる図面は、いずれも模式的なものであり、図面に示される、各要素の寸法の関係、各要素の比率等は、現実のものとは必ずしも一致していない。また、複数の図面の相互間においても、各要素の寸法の関係、各要素の比率等は必ずしも一致していない。明細書中に特段の断りが無い限り、各要素は1つに限定されず、複数存在してもよい。
【0009】
(1)基板処理装置の構成
本実施形態における基板処理装置1は、半導体装置の製造工程で用いられるもので、処理対象となる基板を1枚ずつ処理する枚葉式の処理ユニットを複数有するクラスタ型の装置として構成される。処理対象となる基板としては、例えば、半導体集積回路装置等の半導体デバイスが作り込まれる半導体ウエハ基板(以下、単に「ウエハ」という。)が挙げられる。
【0010】
図1に示すように、基板処理装置1には、搬送室としての真空気密可能な真空搬送室(トランスファチャンバ)TMと、予備室としてのバキュームロックチャンバ(ロードロック室)VL1,VL2と、ウエハWを処理する処理室としてのプロセスチャンバ(プロセスモジュール)CH1~CH4と、が設けられている。バキュームロックチャンバVL1,VL2、プロセスチャンバCH1~CH4は、真空搬送室TMの外周に沿ってクラスタ状に配置されている。以下、プロセスチャンバCH1~CH4を特に区別する必要のない場合は、単に「プロセスチャンバCH」と記載する。
【0011】
真空搬送室TMは、真空状態などの大気圧未満の圧力(負圧)に耐えることができるロードロックチャンバ構造に構成されている。なお、本開示の一実施形態においては、真空搬送室TMの筐体は、平面視が例えば八角形の箱形状に形成されている。
【0012】
真空搬送室TM内には、搬送機構としての真空搬送ロボットVRが設けられている。真空搬送ロボットVRは、アームに設けられた基板載置部にウエハWを載せて、バキュームロックチャンバVL1,VL2と、プロセスチャンバCHとの間で、相互にウエハWの搬送を行なう。なお、真空搬送ロボットVRは、エレベータEVによって、真空搬送室TMの機密性を維持しつつ昇降できるようになっている。
【0013】
プロセスチャンバCHは、ウエハWに対し、例えば、酸化膜、窒化膜、あるいは金属膜等の薄膜を形成する成膜処理を行う。
【0014】
プロセスチャンバCH1~CH4は、それぞれゲートバルブG1~G4を介して真空搬送室TMと連通可能に構成されている。例えば、プロセスチャンバCH1でウエハWを処理する場合、プロセスチャンバCH1内を真空搬送室TM内と同等の雰囲気にしてからゲートバルブG1を開けてプロセスチャンバCH1内にウエハWを搬送した後、ゲートバルブG1を閉じる。そしてプロセスチャンバCH1内で所定の処理を行った後、プロセスチャンバCH1内の雰囲気を真空搬送室TM内と同等の雰囲気に戻してから、ゲートバルブG1を開けて、プロセスチャンバCH1内のウエハWを搬出した後、ゲートバルブG1を閉じる。プロセスチャンバCH2~CH4についてもゲートバルブG1と同様にゲートバルブG2~G4の開閉動作を行うことでウエハWの処理雰囲気を形成することが可能になっている。
【0015】
バキュームロックチャンバVL1,VL2は、真空搬送室TM内へウエハWを搬入する予備室として、もしくは真空搬送室TM内からウエハWを搬出する予備室として機能する。バキュームロックチャンバVL1,VL2の内部には、基板の搬入搬出用にウエハWを一時的に支持するバッファステージST1,ST2が、それぞれ設けられている。又、図示されていないが、バキュームロックチャンバVL1,VL2には、ウエハWを冷却する冷却機能が設けられている。なお、バキュームロックチャンバVL1,VL2とは別に、冷却用のチャンバを設けてもよい。
【0016】
バキュームロックチャンバVL1,VL2は、それぞれゲートバルブG5,G6を介して真空搬送室TMと連通可能に構成されており、また、それぞれゲートバルブG7,G8を介して後述する大気搬送室LMと連通可能に構成されている。真空搬送室TMの真空状態および大気搬送室LMの大気圧状態を保持するため、バキュームロックチャンバVL1,VL2に設けられているゲートバルブG5とG7のいずれか一方、ゲートバルブG6とG8のいずれか一方は必ず閉じられていて、同時に開けられることはない。例えば、真空搬送室TM側のゲートバルブG5を開ける場合、必ず反対側のゲートバルブG7を閉じた状態にして、バキュームロックチャンバVL1内の雰囲気を真空にする。なお、本明細書でいう「真空」とは工業的真空をいう。また大気搬送室LM側のゲートバルブG7を開ける場合、必ず反対側のゲートバルブG5を閉じた状態にして、バキュームロックチャンバVL1内の雰囲気を大気雰囲気にする。したがって、ゲートバルブG5,G6を閉じたまま、ゲートバルブG7,G8を開けることにより、真空搬送室TM内の真空気密を保持したまま、バキュームロックチャンバVL1,VL2と大気搬送室LMとの間でウエハWの搬送を行うことが可能になっている。
【0017】
また、バキュームロックチャンバVL1、VL2は、真空状態などの大気圧未満の負圧に耐えることができるロードロックチャンバ構造として構成されており、その内部をそれぞれ真空排気することが可能になっている。したがって、ゲートバルブG7,G8を閉じてバキュームロックチャンバVL1,VL2の内部を真空排気した後で、ゲートバルブG7,G8を開けることにより、真空搬送室TM内の真空状態を保持したまま、バキュームロックチャンバVL1,VL2と真空搬送室TMとの間で、ウエハWの搬送を行うことが可能になっている。
【0018】
基板処理装置1には、さらに、バキュームロックチャンバVL1,VL2に接続された大気搬送室LMと、この大気搬送室LMに接続された基板収容部としてのロードポートLP1~LP3と、が設けられる。ロードポートLP1~LP3上には、基板収納容器としてのポッドPD1~PD3が載置されるようになっている。ポッドPD1~PD3内には、ウエハWをそれぞれ収納する収納部としてのスロットが複数設けられている。以下、ロードポートLP1~LP3を特に区別する必要のない場合は、単に「ロードポートLP」と記載する。また、ポッドPD1~PD3を特に区別する必要のない場合は、単に「ポッドPD」と記載する。
【0019】
大気搬送室LM内には、大気搬送機構としての1台の大気搬送ロボットARが設けられている。大気搬送ロボットARは、バキュームロックチャンバVL1,VL2とロードポートLP上に載置されたポッドPDとの間で、ウエハWの搬送を相互に行なうようになっている。大気搬送ロボットARも、真空搬送ロボットVRと同様に基板載置部であるアームを有する。
【0020】
なお、大気搬送室LM内には、基板位置の補正装置として、ウエハWの結晶方位の位置合わせ等を行うオリフラ(Orientation Flat)合わせ装置OFAが設けられている。もしくは、オリフラ合わせ装置OFAの代わりにウエハWの結晶方位の位置合わせ等をウエハWに形成されたノッチで行う、ノッチ合わせ装置が設けられている。
【0021】
上記した各構成は、制御部であるコントローラCNTに接続される。コントローラCNTは、演算部91および記憶部92を少なくとも有する。コントローラCNTには、ユーザ(操作者)による操作を入力する操作部(入力部)100が接続される。操作部100は、ディスプレイなどの表示部とキーボードの組み合わせ、あるいはタッチスクリーンなどを有する。操作部100は、基板処理装置1を動作させるための操作者からの各種指示を入力してコントローラCNTに出力すると共に、コントローラCNTから出力された基板処理装置1の情報(例えば、動作情報や異常情報など)を表示する。これにより、プロセスレシピの変更が可能である。
【0022】
また、コントローラCNTには、上記した各構成の他、
図2に示すガス供給系GS1~GS4、排気制御部94、出力制御部95、検知部96および緊急制御部97が接続される。コントローラCNTは、操作部100から入力された操作者の指示や上位コントローラ(図示せず)の指示に応じて記憶部92からプログラムやレシピを呼び出し、その内容に応じて各構成の動作を制御することで、ウエハWに対して所望の処理を実行する。
【0023】
なお、コントローラCNTは、専用のコンピュータとして構成してもよいし、汎用のコンピュータとして構成してもよい。例えば、上述のプログラムを格納した外部記憶装置(例えば、磁気テープ、フレキシブルディスクやハードディスク等の磁気ディスク、CDやDVD等の光ディスク、またはMO等の光磁気ディスク、USBメモリやメモリカード等の半導体メモリ)93を用意し、外部記憶装置93を用いて汎用のコンピュータにプログラムをインストールすることにより、コントローラCNTを構成することもできる。
【0024】
また、コンピュータにプログラムを供給するための手段は、外部記憶装置93を介して供給する場合に限らない。例えば、インターネットや専用回線等の通信手段を用い、外部記憶装置93を介さずにプログラムを供給するようにしてもよい。なお、記憶部92や外部記憶装置93は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体として構成される。以下、これらを総称して、単に記録媒体ともいう。なお、本明細書において記録媒体という言葉を用いた場合は、記憶部92単体のみを含む場合、外部記憶装置93単体のみを含む場合、または、それの両方を含む場合がある。
【0025】
次に、基板処理装置1のガス供給系およびガス排気系について説明する。
図2に示すように、プロセスチャンバCH1~CH4には、それぞれ、ガス供給系GS1~GS4が接続される。以下、ガス供給系GS1~GS4を特に区別する必要のない場合は、単に「ガス供給系GS」と記載する。
【0026】
ガス供給系GSは、処理ガスの供給をON/OFFするバルブ(弁体)および処理ガスの流量を制御するマスフローコントローラ(MFC)などから構成され、ウエハWの処理およびプロセスチャンバCHのクリーニング処理に必要なガスをプロセスチャンバCHに供給する。処理ガスの供給源をガス供給系に含めてもよい。ここで、ウエハWの処理とは、例えば、上記した成膜処理である。ガス供給系GSは、例えば、原料ガス、反応ガスおよび不活性ガスの供給と流量を制御するバルブおよびMFCとを少なくとも有する。原料ガスの供給源、反応ガスの供給源および不活性ガスの供給源をガス供給系に含めてもよい。さらに、ガス供給系GSは、プロセスチャンバCHのクリーニング処理に必要な構成として、クリーニングガスの供給と流量を制御するバルブおよびMFCとを少なくとも有する。クリーニングガスの供給源をガス供給系に含めてもよい。なお、本明細書において、成膜処理またはクリーニング処理に用いるガスを総称して「処理ガス」と呼ぶことがある。
【0027】
また、プロセスチャンバCH1~CH4には、ガス排気系GEが接続される。
【0028】
ガス排気系GEは、プロセスチャンバCH1~CH4のそれぞれに接続された排気路211~214、排気路211~214のそれぞれに設けられたAPC(Auto Pressure Controller)バルブ221~224およびバルブ(弁体)231~234を有する。APCバルブ221~224、バルブ231~234は、それぞれ排気路211~214にその上流側から順に配置される。
【0029】
ガス排気系GEは、さらに、排気路211~214をバルブ231~234の上流側で接続する接続路251~253を有する。すなわち、排気路211と排気路212は接続路251によって接続され、排気路212と排気路213は接続路252によって接続され、排気路213と排気路214は、接続路253によって接続される。
【0030】
具体的には、排気路211と排気路212は、バルブ231,232の上流側であってAPCバルブ221,222の下流側において、接続路251によって接続される。また、排気路212と排気路213は、バルブ232,233の上流側であってAPCバルブ222,223の下流側において、接続路252によって接続される。また、排気路213と排気路214は、バルブ233,234の上流側であってAPCバルブ223,224の下流側において、接続路253によって接続される。
【0031】
また、接続路251~253には、それぞれ、バルブ261~263が設けられる。APCバルブ221~224、バルブ231~234およびバルブ261~263は、排気制御部94に接続される。主に、排気路211~214、接続路251~253から、ガスの流路が構成される。なお、APC221~224やバルブ231~234、261~263をガスの流路に含めてもよい。
【0032】
APC221~224は、それぞれ開度調整可能な弁体を有し、排気制御部94の圧力制御部94aからの指示に応じて排気路211~214のコンダクタンスを調整し、排気流量を調整することによってプロセスチャンバCH1~CH4内の圧力を制御する。
【0033】
排気路211~214におけるバルブ231~234の下流側に排気装置としての真空ポンプVP1~VP4が配置される。ここで、ガスの流路は、プロセスチャンバ(処理室)CHに対して複数の真空ポンプ(排気装置)VPを並列に接続している。真空ポンプVP1~VP4のそれぞれにセンサSN1~SN4が取り付けられている。真空ポンプVP1~VP4をガス排気系GEに含めてもよい。以下、真空ポンプVP1~VP4を特に区別する必要のない場合は、単に「真空ポンプVP」と記載する。センサSN1~SN4を特に区別する必要のない場合は、単に「センサSN」と記載する。
【0034】
真空ポンプVPは、ポンプを駆動するモータを含み、出力制御部95によりモータの回転速度(回転数)が制御される。真空ポンプVPの最大排気量はすべて同じであってもよいし、真空ポンプVPのうち少なくとも1台は、最大排気量が他の真空ポンプと異なるようにしてもよい。真空ポンプVPは、出力制御部95からの指示に応じてプロセスチャンバCH内の雰囲気を排気する。
【0035】
センサSNは、真空ポンプVPの故障等の異常を検知する。ここで、真空ポンプVPの異常とは、例えば、ただちに排気能力に影響を与えるものではないが、動作を継続した場合に排気能力に影響が出る(ウエハ処理に影響が出る)可能性のあるものを意味する。真空ポンプVPの異常は真空ポンプVPの回転数、消費電力、温度、真空ポンプVP近傍の排気路211~214の圧力、あるいはそれらの組み合わせなどにより検知される。すなわち、センサSNは、それらのパラメータを検知するセンサであり、その検知結果を検知部96に出力する。なお、検知部96は、例えば、定常状態に比して回転数が低下した場合、消費電力が上昇した場合、温度が上昇した場合、排気路211~214の圧力が上昇した場合に、異常と判断し、緊急制御部97に通知する。
【0036】
バルブ261~264の開閉により、プロセスチャンバCHと並列に接続される排気管真空ポンプVPを制御することが可能である。また、バルブ231~234を開弁すると共に、バルブ261~263を開弁することにより、プロセスチャンバCHは、全ての真空ポンプVPに連通され得る。また、プロセスチャンバCHに連通する真空ポンプVPの数はバルブ231~234のうち開弁されるバルブによって変更可能である。なお、真空ポンプVPに連通するプロセスチャンバCHの数はAPCバルブ221~224のうち開弁されるバルブによって変更可能である。すなわち、1つのプロセスチャンバCHのみに複数の真空ポンプVPを連通することが可能である。
【0037】
排気制御部94は、バルブ231~234およびバルブ261~263の開閉を制御して、排気路211~214、接続路251~253における、ガスの流通を制御する。なお、排気制御部94にバルブ231~234およびバルブ261~263が含まれてもよい。排気制御部94は圧力制御部94aを備え、圧力制御部94aはAPCバルブ221~224を制御し、処理室201の圧力を制御する。圧力制御部94aにAPCバルブ221~224が含まれてもよい。
【0038】
出力制御部95は、真空ポンプVPの出力(出力率)を制御する。ここで、出力率は、例えば、真空ポンプVPにおける(運転回転数/最大回転数)の値、または真空ポンプVPにおける、(運転時消費電力/最大消費電力)の値である。
【0039】
(2)基板処理工程
続いて、本実施形態にかかる基板処理装置1により実施される基板処理工程の一例について
図3を参照して説明する。以下の処理は、コントローラCNTによって基板処理装置1の各構成の動作を制御することによって行われる。
【0040】
(S11:大気搬送室へ移送)
まず、ロードポートLPに載置されたポッドPDから大気搬送ロボットARにより大気搬送室LM内にウエハWを移送する。このとき、大気搬送室LMには、その内部が略大気圧になるようにクリーンエアが供給される。大気搬送室LM内では、ウエハWをオリフラ合わせ装置OFA上の基板位置P2に載置し、結晶方位の位置合わせ等が実施される。
【0041】
(S12:バキュームロックチャンバへ移送)
続いて、大気搬送ロボットARにより、基板位置P2に載置されているウエハWをピックアップし、バキュームロックチャンバVL1内に移送してバッファステージST1の基板位置P3にウエハWを載置する。このとき、ゲートバルブG6,G7は予め開かれているものとする。また、ゲートバルブG5,G8は閉じられており、真空搬送室TM、プロセスチャンバCH、バキュームロックチャンバVL2内は予め真空排気されているものとする。
【0042】
(S13:プロセスチャンバへ移送)
次いで、ゲートバルブG7を閉じ、バキュームロックチャンバVL1内部を真空排気する。バキュームロックチャンバVL1が所定の圧力まで減圧したら、ゲートバルブG7を閉じたままゲートバルブG5を開ける。そして、真空搬送ロボットVRにより、基板位置P3に載置されているウエハWをピックアップし、プロセスチャンバCHに移送し、その内部の基板位置P4~P7の何れか1つの基板位置に載置する。
【0043】
(S14:成膜処理)
プロセスチャンバCHにウエハWが搬入されると、当該プロセスチャンバCH内に処理ガスを供給し、ウエハWに対して成膜処理を実施する。ここでは、金属薄膜(窒化膜、金属窒化膜)として、例えば窒化チタン(TiN)が形成される。ここで、TiNの成膜方法について概説する。
【0044】
TiNの成膜処理は、例えば次の4つの工程を順次実行することによって行う。先ず、金属原料としてのチタン(Ti)含有ガスを供給する。Ti含有ガスの流量は、マスフローコントローラを制御することにより、例えば0.1~1000sccmの範囲内の流量とする。また、プロセスチャンバCH内の圧力は、後述する真空ポンプVPにより、例えば10~1500Paの範囲内の圧力とする。また、Ti含有ガスの供給時間は、例えば0.01秒~300秒間の範囲内の時間とする。また、ウエハWの温度(処理温度)は、温度調整器を制御することにより、例えば350~400℃の範囲内の温度に調整される。Ti含有ガスの供給により、ウエハW上には、Ti含有層が形成される。なお、本明細書における「10~1500Pa」のような数値範囲の表記は、下限値および上限値がその範囲に含まれることを意味する。よって、例えば、「10~1500Pa」とは「10Pa以上1500Pa以下」を意味する。他の数値範囲についても同様である。
【0045】
次いで、プロセスチャンバCH内へのTi含有ガスの供給を停止すると共に、真空ポンプVPによりプロセスチャンバCH内を真空排気し、プロセスチャンバCH内に残留する未反応もしくはTi含有層形成に寄与した後のTi含有ガスを除去する。なお、このとき、不活性ガスを供給することで、Ti含有ガスの除去効果を高めるようにしてもよい。不活性ガスとしては、アルゴン(Ar)ガス、ヘリウム(He)ガス、ネオン(Ne)ガス、キセノン(Xe)ガス等の希ガス、窒素(N2)ガスを用いることができる。この点は、後述する各ステップにおいても同様である。
【0046】
次いで、プロセスチャンバCH内に反応ガスとしての窒素(N)含有ガス(窒化源、窒化剤)を供給する。N含有ガスの流量は、マスフローコントローラを制御することにより、例えば10~3000sccmの範囲内の流量とする。また、プロセスチャンバCH内の圧力は、排気ポンプにより、例えば10~1500Paの範囲内の圧力とする。また、N含有ガスの供給時間は、例えば0.01秒~300秒間の範囲内の時間とする。また、ウエハWの温度(処理温度)は、温度調整器を制御することにより、例えば350~400℃の範囲内の温度に調整される。このN含有ガスは、上述したTi含有層の少なくとも一部と反応する。これによりTi含有層が窒化され、TiNが形成される。
【0047】
次いで、プロセスチャンバCH内へのN含有ガスの供給を停止すると共に、真空ポンプVPによりプロセスチャンバCH内を真空排気し、プロセスチャンバCH内に残留する未反応もしくはTi含有層の窒化に寄与した後のN含有ガスを除去する。なお、このとき、不活性ガスを供給することで、N含有ガスの除去効果を高めるようにしてもよい。
【0048】
上記した4つの工程を所定サイクル繰り返して、例えば、所望の膜厚のTiN薄膜を形成することにより、成膜処理が完了する。
【0049】
(S15:バキュームロックチャンバへ移送)
ウエハWへの成膜処理が完了すると、ゲートバルブG6を開け、真空搬送ロボットVRにより、基板位置P4~P7の何れかに載置されている処理済のウエハWをピックアップし、バキュームロックチャンバVL2内に移送してバッファステージST2上の基板位置P10へウエハWを載置する。
【0050】
(S16:ポッドへ格納)
次いで、ゲートバルブG6を閉め、バキュームロックチャンバVL2内にクリーンガスを供給してバキュームロックチャンバVL2内を略大気圧に戻す。このとき図示しない冷却機構によりウエハWを冷却してもよい。そして、ゲートバルブG8を開け、大気搬送ロボットARにより、基板位置P10に載置されているウエハWをピックアップし、ロードポートLPに載置されたポッドPDの空きスロットに格納する。
【0051】
(S17:実施回数確認)
次いで、同一のプロセスチャンバCHで成膜処理を所定回数実施したか否か判断する。
【0052】
(S18:クリーニング処理)
成膜処理を所定回数実施した場合は当該プロセスチャンバCHのクリーニング処理を実施し、プロセスチャンバCH内に付着した膜や副生成物を除去する。その後、S11以降の処理を継続する。一方、成膜処理を所定回数実施していない場合は、クリーニング処理をスキップしてS11以降の処理を継続する。
【0053】
ここで、Ti含有ガスとしては、例えば、四塩化チタニウム(TiCl4)ガス、四フッ化チタニウム(TiF4)ガスなどを用いることができる。また、N含有ガスとしては、例えば、窒素(N2)ガス、亜酸化窒素(N2O)ガスや、ジアゼン(N2H2)ガス、ヒドラジン(N2H4)ガス、N3H8ガス等のN-H結合を含むガスを用いることができる。
【0054】
(3)ガス排気系の制御
ガス排気系GEのガスの流路(排気経路)の切り替えおよび真空ポンプVPの最大排気量や出力変更の幾つかの例(接続例)について
図4A、
図4Bを用いて説明する。
【0055】
プロセスチャンバCHに対する真空ポンプVPの接続構成の例として、
図4Bのように、1つのプロセスチャンバCHに対して1つの真空ポンプVPが接続される構成を、本開示の構成との比較例として示す。
【0056】
図4Bにおいて、プロセスチャンバCH1は、APCバルブ221およびバルブ231を介して排気路211により真空ポンプVP1と連通する。プロセスチャンバCH2は、APCバルブ222およびバルブ232を介して排気路212により真空ポンプVP2と連通する。プロセスチャンバCH3は、APCバルブ223およびバルブ233を介して排気路213により真空ポンプVP3と連通する。プロセスチャンバCH4は、APCバルブ224およびバルブ234を介して排気路214により真空ポンプVP4と連通する。
【0057】
成膜プロセス中の真空ポンプVPの出力(回転数)を低下させると、副生成物などが真空ポンプVPに堆積(デポ)してしまう場合がある。このため、真空ポンプVPの出力を下げて運用すると、真空ポンプVPの出力を下げると真空ポンプVPのメンテナンス頻度が増加してしまう。比較例では、プロセスチャンバCH内において大きな排気量が不要なプロセスを行う場合であっても、大容量の真空ポンプVPを高出力で稼働させ、APCバルブ221~224による排気経路の開度調整などでプロセスチャンバCHからの余剰な排気を制限する。すなわち、比較例では、真空ポンプVPにより電力が余剰に消費されている。
【0058】
図4Aに示すガス排気系の接続例は、3つの真空ポンプにより4つのプロセスチャンバを排気する例である。排気制御部94は、バルブ231を閉弁すると共に、バルブ232~234を開弁する。これにより、プロセスチャンバCH1~CH4は、真空ポンプVP2~VP4と連通する。ここで、真空ポンプVP1~VP4の最大排気量はすべて同じである(相対値=100)。出力制御部95は、プロセスチャンバCHに連通しない真空ポンプVP1の回転数を落とし、例えば出力率を20%に設定してアイドリング運転とする。真空ポンプVP1をアイドリング運転させることにより、真空ポンプVP1を出力率0%(完全停止)にした場合よりも、短時間で出力率を上昇させることができる。出力制御部95は、プロセスチャンバCHと連通する真空ポンプVP2~VP4の出力率を、例えば100%に設定して最大出力で運転する。
【0059】
この例おいて、比較例よりも少ない排気量でプロセスチャンバCHを排気しているが、真空ポンプVP2~VP4の出力率は100%であるため、真空ポンプVPへのデポは促進されない。従って、真空ポンプのメンテナンス頻度を増加させることなく、真空ポンプVPによる消費電力の削減が可能である。
【0060】
[真空ポンプ異常時の制御]
真空ポンプに異常が発生した場合に、ガスの流路の切り替えおよび真空ポンプの出力変更の少なくとも一方の制御によって基板処理の継続が可能になる。この制御例について
図5A、
図5B、
図5C、
図6Aおよび
図6Bを参照して説明する。
【0061】
なお、真空ポンプ異常時の制御は、ガスの流路制御と真空ポンプの出力制御の両方を行ってもよいし、ガスの流路制御と真空ポンプの出力制御を別のステップに分けて行ってもよい。以下、幾つかの制御例を説明する。
【0062】
図5Aに示すガス排気系の状態において、検知部96が真空ポンプVP3の異常を検知した場合における制御例を説明する。
【0063】
緊急制御部97は、
図5Aに示すガス排気系の状態から、真空ポンプVP3の出力を維持させつつ、バルブ234を開弁して真空ポンプVP4への流路を接続された、
図5Bのような状態になるように、排気制御部94を制御する。
【0064】
その後、検知部96が真空ポンプVP3の更なる異常を検知した場合などには、緊急制御部97は、排気系が
図5Cに示すような状態となるように、排気制御部と出力制御部を制御するようにしてもよい。具体的には、排気制御部94を制御して、バルブ233の閉弁による真空ポンプVP3への流路を遮断してもよく、出力制御部95を制御して、真空ポンプVP4の出力率を20%から80%に上昇させると共に、真空ポンプVP3の出力率を80%から20%に低下させる、または稼働を停止させてもよい。
【0065】
なお、例では、検知部96が真空ポンプVP3の異常を検知した際、排気系の状態を
図5Aから
図5Bに、その後に
図5Bから
図5Cに変化させたが、これに限定されない。排気系の状態を
図5Aから
図5Cに変化させてもよい。
【0066】
このような制御により、真空ポンプVP3の更なる異常に備えつつ、真空ポンプVP3の運転を継続させて状態の変化を観察することができる。また、プロセスチャンバCHで行われている処理の進行を待ってから排気系を制御することが可能になる。
【0067】
次に、
図6Aに示すガス排気系の状態において、検知部96が真空ポンプVP3の異常を検知した場合における制御例を説明する。
【0068】
緊急制御部97は、
図6Aに示すガス排気系の状態を、
図6Bに示すように、出力制御部95を制御して、真空ポンプVP3の出力率を80%から20%に低下させつつ、真空ポンプVP2の出力率を80%から100%に上昇させる。このような制御により、真空ポンプVP3の更なる異常に備えつつ、プロセスチャンバCHの排気量を変化させずに、異常が検知された真空ポンプの出力を下げることができる。また、プロセスチャンバCHで行われている処理の進行を待ってから排気系を制御することが可能になる。
【0069】
[プロセスチャンバにおける処理内容による制御]
プロセスチャンバCHにおいて実行される処理内容による、ガスの流路の切り替えおよびポンプの出力変更の少なくとも一方の制御例について、
図7A、
図7B、
図8A、
図8B、
図9A、
図9B、
図10Aおよび
図10Bを参照して説明する。
【0070】
コントローラCNTは、プロセスチャンバCHにて実行される第1の処理と第1の処理の後に同じプロセスチャンバCHにて実行される第2の処理との間に、排気制御部94または出力制御部95のうち少なくとも一方を制御してもよい。
【0071】
コントローラCNTは、第1の処理と第2の処理の間に排気制御部94および出力制御部95を制御することにより、プロセスチャンバCHを排気する真空ポンプVPの少なくとも一部を別の真空ポンプVPで排気させるようにしてもよい。言い換えると、第2の処理において第1の処理に用いた真空ポンプとは異なる真空ポンプによって、プロセスチャンバCHを排気するようにしてもよい。
【0072】
例えば、第1の処理と第2の処理の間に排気制御部94を制御し、
図7Aに示す排気系における真空ポンプVP1,VP2の運転状態から
図7Bに示す排気系における真空ポンプVP1,VP2の運転状態に変更してもよい。この場合、一部の真空ポンプVPがプロセスチャンバCHを行わなくても、全てのプロセスチャンバCHの排気を継続できる。従って、生産性を下げることなく真空ポンプVPのメンテナンス頻度を減少さることができる。
【0073】
コントローラCNTは、第1の処理と第2の処理の間に排気制御部94および出力制御部95を制御することにより、第1の処理と第2の処理におけるプロセスチャンバCHから排気される単位時間当たりのガス流量が異なるようにしてもよい。
【0074】
例えば、
図8Aの排気系の状態を、排気制御部94および出力制御部95を制御して
図8Bのような状態にして、ガス流量を変化させてもよい。つまり、ガス流量は、排気を行う真空ポンプVPの台数を変更することで変更してもよい。この場合、
図8Bにおいて、プロセスチャンバCHは
図8Aよりも少ない排気量で排気されているが、真空ポンプVP2~VP4の出力率は80%であるため、真空ポンプVPへのデポは促進されにくい。従って、真空ポンプのメンテナンス頻度を増加させることなく、真空ポンプVPによる消費電力の削減が可能である。
【0075】
また、例えば、
図9Aの排気系の状態を、排気制御部94および出力制御部95によって、バルブ231,234の開閉と真空ポンプVP1,VP4の出力率を制御することで、
図9Bのような状態にして、ガス流量を変化させてもよい。つまり、ガス流量は、最大排気量が異なる真空ポンプVPがプロセスチャンバCHに接続されるようにすることで変更してもよい。この場合、
図9Bにおいて、プロセスチャンバCHは
図9Aよりも少ない排気量で排気されているが、真空ポンプVP2~VP4の出力率は100%であるため、真空ポンプVPへのデポは促進されにくい。従って、真空ポンプのメンテナンス頻度を増加させることなく、真空ポンプVPによる消費電力の削減が可能である。
【0076】
また、例えば、
図10Aの排気系の状態を、出力制御部95によって、真空ポンプVP1~VP4の出力率を制御することで、
図10Bのような状態にして、ガス流量を変化させてもよい。つまり、ガス流量は、排気を行う真空ポンプVPの出力率によって変更してもよい。この場合、
図10Bにおいて、プロセスチャンバCHは
図10Aよりも少ない排気量で排気されているが、真空ポンプVP1~VP4の出力率は90%であるため、真空ポンプVPへのデポは促進されにくい。従って、真空ポンプのメンテナンス頻度を増加させることなく、真空ポンプVPによる消費電力の削減が可能である。
【0077】
ここで、第1の処理は第1の基板処理であり、第2の処理は第2の基板処理である、としてもよい。第1の基板処理および第2の基板処理は、例えば、成膜処理およびアニール処理であってもよい。また、同じ種類の膜を形成するプロセスであって、基板に設けられた凹部のアスペクト比が異なる処理であってもよい。
【0078】
また、第1の処理と第2の処理のいずれか一方は基板処理であり、もう一方はプロセスチャンバCHの洗浄処理(クリーニング処理)であってもよい。プロセスチャンバCHのクリーニング処理時は、基板処理時に比べて必要な排気量が少ないため、真空ポンプVPの選択や出力変更によって消費電量を最小化することが可能になる。
【0079】
また、第1の処理と第2の処理のいずれか一方は基板処理であり、もう一方は待機状態であってもよい。プロセスチャンバCH内に基板がない状態では、基板処理時に比べて必要な排気量が少なくデポも起こりにくいため、真空ポンプVPの選択や出力変更によって消費電量を最小化することが可能になる。
【0080】
また、第1の処理と第2の処理とは同じ処理であってもよい。
【0081】
以上、本開示の態様を具体的に説明したが、本開示が上述の態様に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能である。また、上述の態様や変形例は、適宜組み合わせて用いることができる。このときの処理手順、処理条件は、例えば、上述の態様や変形例の処理手順、処理条件と同様とすることができる。
【0082】
上述の態様では、基板処理工程として、主に、基板の表面上に薄膜を形成する場合を例に挙げたが、本開示がこれに限定されることはない。すなわち、本開示は、上述の態様で例に挙げた薄膜形成の他に、上述の態様で例示した薄膜以外の成膜処理にも適用できる。また、基板処理の具体的内容は不問であり、成膜処理だけでなく、熱処理(アニール処理)、プラズマ処理、拡散処理、酸化処理、窒化処理、リソグラフィ処理、イオン打ち込み後のキャリア活性化や平坦化のためのリフロー処理等の他の基板処理を行う場合にも適用できる。
【0083】
また、上述の態様では、一度に1枚の基板を処理する枚葉式の基板処理装置を用いて膜を形成する例について説明した。本開示は上述の態様に限定されず、例えば、一度に数枚の基板を処理する枚葉式の基板処理装置を用いて膜を形成する場合や一度に複数枚の基板を処理するバッチ式の基板処理装置を用いて膜を形成する場合にも、好適に適用することができる。また、上述の態様では、コールドウォール型の処理炉を有する基板処理装置を用いて膜を形成する例について説明した。本開示は上述の態様に限定されず、ホットウォール型の処理炉を有する基板処理装置を用いて膜を形成する場合にも、好適に適用することができる。
【0084】
これらの基板処理装置を用いる場合においても、上述の態様と同様な処理手順、処理条件にて各処理を行うことができ、上述の態様と同様の効果が得られる。
【符号の説明】
【0085】
1・・・基板処理装置
94・・・排気制御部
95・・・出力制御部
CH,CH1~CH4・・・プロセスチャンバ(処理室)
211~214、251~253・・・ガスの流路
CNT・・・コントローラ(制御部)