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特開2024-46310表示装置用駆動回路、表示装置、道路表示板、表示装置の駆動方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024046310
(43)【公開日】2024-04-03
(54)【発明の名称】表示装置用駆動回路、表示装置、道路表示板、表示装置の駆動方法
(51)【国際特許分類】
   G09G 3/32 20160101AFI20240327BHJP
   G09G 3/20 20060101ALI20240327BHJP
   H01L 33/00 20100101ALI20240327BHJP
【FI】
G09G3/32 A
G09G3/20 631V
G09G3/20 611A
G09G3/20 622G
G09G3/20 622D
G09G3/20 612R
G09G3/20 670E
H01L33/00 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022151621
(22)【出願日】2022-09-22
(71)【出願人】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003225
【氏名又は名称】弁理士法人豊栖特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】東谷 康生
【テーマコード(参考)】
5C080
5C380
5F241
【Fターム(参考)】
5C080AA06
5C080AA07
5C080BB05
5C080CC03
5C080DD18
5C080DD26
5C080EE01
5C080EE17
5C080EE28
5C080EE29
5C080FF01
5C080FF12
5C080GG12
5C080JJ02
5C080JJ03
5C080JJ04
5C080JJ05
5C080KK37
5C080KK38
5C380AA01
5C380AA03
5C380AB05
5C380AB34
5C380AC15
5C380BA02
5C380CB01
5C380CB31
5C380CE01
5C380CE19
5C380CE21
5C380CF01
5C380CF05
5C380CF43
5C380CF46
5C380CF51
5C380CF56
5C380DA02
5C380DA07
5C380DA19
5C380DA41
5C380DA56
5C380GA12
5F241AA24
5F241BB07
5F241BB18
5F241BB32
5F241BC03
5F241BC27
5F241BC47
5F241FF06
(57)【要約】
【課題】駆動時の消費電力を削減する。
【解決手段】表示装置用駆動回路100は、各コモンラインに沿って接続された複数の発光素子をマトリックス状に配置した表示部10を駆動する。駆動回路100は、表示部10を構成する複数の発光素子を駆動するための一以上の素子駆動部20と、一以上の素子駆動部20で各発光素子を点灯させる点灯期間情報を保持するメモリ部41と、メモリ部41に保持された点灯期間情報を各素子駆動部20に出力する素子点灯期間制御部42と、メモリ部41に保持された点灯期間情報に基づいて、各コモンラインを選択するスイッチング部30と、メモリ部41とスイッチング部30の間に介在され、点灯期間情報に応じて各コモンラインをONさせる期間を制御するコモンライン点灯期間制御部43とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
各コモンラインに沿って接続された複数の発光素子をマトリックス状に配置した表示部を駆動するための駆動回路であって、
表示部を構成する前記複数の発光素子を駆動するための一以上の素子駆動部と、
前記一以上の素子駆動部で各発光素子を点灯させる点灯期間情報を保持するメモリ部と、
前記メモリ部に保持された前記点灯期間情報を各素子駆動部に出力する素子点灯期間制御部と、
前記メモリ部に保持された前記点灯期間情報に基づいて、各コモンラインを選択するスイッチング部と、
前記メモリ部と前記スイッチング部の間に介在され、前記点灯期間情報に応じて各コモンラインをONさせる期間を制御するコモンライン点灯期間制御部と、
を備えてなる表示装置用駆動回路。
【請求項2】
請求項1に記載の表示装置用駆動回路であって、
前記コモンライン点灯期間制御部は、各コモンラインに接続された前記複数の発光素子の点灯期間を、該複数の発光素子の中で最大の点灯期間に設定してなる表示装置用駆動回路。
【請求項3】
請求項2に記載の表示装置用駆動回路であって、
前記コモンライン点灯期間制御部は、前記点灯期間情報に基づき、各コモンラインに接続された前記複数の発光素子の内、最大点灯期間を演算可能に構成してなる表示装置用駆動回路。
【請求項4】
請求項3に記載の表示装置用駆動回路であって、
前記点灯期間情報は、階調データを含んでなる表示装置用駆動回路。
【請求項5】
請求項1に記載の表示装置用駆動回路であって、
前記コモンライン点灯期間制御部は、前記コモンラインをONさせる期間を、前記一以上の素子駆動部で前記発光素子を点灯させる点灯期間と一致させてなる表示装置用駆動回路。
【請求項6】
請求項1に記載の表示装置用駆動回路であって、
前記一以上の素子駆動部は、前記コモンラインを切り替えて前記複数の発光素子を点灯するパッシブ駆動を行うものであり、
前記コモンライン点灯期間制御部は、前記一以上の素子駆動部が選択する予定のコモンラインに接続された各発光素子の点灯期間を、前記メモリ部から予め読み出すことで、前記一以上の素子駆動部が当該コモンラインを選択した際、当該コモンラインをONさせる期間を制御してなる表示装置用駆動回路。
【請求項7】
請求項1に記載の表示装置用駆動回路であって、
前記スイッチング部が、
各コモンラインに接続され、当該コモンラインに通電するためのスイッチング素子を備えてなる表示装置用駆動回路。
【請求項8】
請求項7に記載の表示装置用駆動回路であって、さらに、
前記コモンライン点灯期間制御部と前記スイッチング素子の間に、前記スイッチング素子を制御するスイッチング制御部を備えてなる表示装置用駆動回路。
【請求項9】
請求項8に記載の表示装置用駆動回路であって、
前記スイッチング素子が、MOSFETであり、
前記スイッチング制御部が、前記MOSFETのゲート電極に接続されたゲート駆動回路である表示装置用駆動回路。
【請求項10】
請求項7~9のいずれか一項に記載の表示装置用駆動回路であって、
前記スイッチング部が、
各スイッチング素子と接続され、当該スイッチング素子と接続されたコモンラインに接続された前記複数の発光素子の誤点灯を抑制する誤点灯防止回路を備えており、
前記誤点灯防止回路が、一端を接地した充電経路を含んでなる表示装置用駆動回路。
【請求項11】
請求項1に記載の表示装置用駆動回路であって、
前記一以上の素子駆動部が、
第一発光色の発光素子を駆動する第一素子駆動部と、
前記第一発光色と異なる第二発光色の発光素子を駆動する第二素子駆動部と、
を含む表示装置用駆動回路。
【請求項12】
請求項1に記載の表示装置用駆動回路であって、
前記コモンライン点灯期間制御部と、前記メモリ部と、前記素子点灯期間制御部が、制御ICで構成されてなる表示装置用駆動回路。
【請求項13】
各コモンラインに沿って接続された複数の発光素子をマトリックス状に配置した表示部と、
前記複数の発光素子を駆動するための一以上の素子駆動部と、
前記一以上の素子駆動部で各発光素子を点灯させる点灯期間情報を保持するメモリ部と、
前記メモリ部に保持された前記点灯期間情報を各素子駆動部に出力する素子点灯期間制御部と、
前記メモリ部に保持された前記点灯期間情報に基づいて、各コモンラインを選択するスイッチング部と、
前記メモリ部と前記スイッチング部の間に介在され、前記点灯期間情報に応じて各コモンラインをONさせる期間を制御するコモンライン点灯期間制御部と、
を備えてなる表示装置。
【請求項14】
請求項13の表示装置を用いた道路表示板。
【請求項15】
各コモンラインに沿って接続された複数の発光素子をマトリックス状に配置した表示部と、
前記複数の発光素子を駆動するための一以上の素子駆動部と、
前記一以上の素子駆動部で各発光素子を点灯させる点灯期間情報を保持するメモリ部と、
前記メモリ部に保持された前記点灯期間情報を各素子駆動部に出力する素子点灯期間制御部と、
前記メモリ部に保持された前記点灯期間情報に基づいて、各コモンラインを選択するスイッチング部と、
を備える表示装置を駆動する駆動方法であって、
前記メモリ部と前記スイッチング部の間に介在されたコモンライン点灯期間制御部が、前記点灯期間情報に応じて、各コモンラインをONさせる期間を決定する工程と、
前記コモンライン点灯期間制御部で決定された各コモンラインをONさせる期間に従い、前記スイッチング部を駆動して各発光素子を点灯する工程と、
を含む表示装置の駆動方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、表示装置用駆動回路、表示装置、道路表示板、表示装置の駆動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発光ダイオードや有機ELといった半導体発光素子を用いた道路表示板やディスプレイ等の表示装置は、駆動回路により点灯駆動される。一方で、近年の気候変動の懸念やSDGsの高まりなどから、世界的に化石燃料の消費削減が求められており、現状は主に化石燃料で生成される電力エネルギーの削減も求められている。したがって、半導体発光素子の性能の向上による消費電力低減の他に、半導体発光素子を制御する駆動回路や表示装置そのものの駆動電力についても同様に低消費電力化が要求されている。
【0003】
しかしながら、その実現は容易でない。半導体素子を用いた表示装置においては、ダイナミックスキャン点灯のために搭載しているスイッチング回路を駆動させるための待機電流が必要であることが知られている。この待機電流は暗電流と呼ばれ、発光素子を点灯させる以外の電力として供給が必要となる。
【0004】
例えば従来のLEDディスプレイでは、上記のスイッチング回路を含むLEDのアノード側のコモンドライバ回路は、設定された表示可能時間の最大点灯期間に合わせてONしている。一方で、実際に各LEDが点灯する時間については、制御ICからLEDのカソード側に接続されたドライバICに送信されたデータ(階調データ等)によって制御される。この構成ではコモンドライバ回路に流れる暗電流は、最小点灯期間の黒表示状態であっても断続的に流れる。このように、コモンドライバ回路に流れる消費電流は、上記の最大点灯期間に対するどの輝度設定時においても、常時電源からの供給が一定量必要となる。このため、表示装置が、上記の最大点灯期間に対して駆動電流と点灯期間の積が大きくなる高輝度で発光される場合には、暗電流によって消費される電力の割合が全体に対して小さいが、駆動電流と点灯期間の積が小さくなる低輝度になるほど全体の電力に対する暗電流の割合が大きくなるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008-026395号公報
【特許文献2】特開2007-041017号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開示の目的の一つは、駆動時の消費電力を削減した表示装置用駆動回路、表示装置、道路表示板、表示装置の駆動方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一形態に係る表示装置用駆動回路は、各コモンラインに沿って接続された複数の発光素子をマトリックス状に配置した表示部を駆動するための駆動回路であって、表示部を構成する前記複数の発光素子を駆動するための一以上の素子駆動部と、前記一以上の素子駆動部で各発光素子を点灯させる点灯期間情報を保持するメモリ部と、前記メモリ部に保持された前記点灯期間情報を各素子駆動部に出力する素子点灯期間制御部と、前記メモリ部に保持された前記点灯期間情報に基づいて、各コモンラインを選択するスイッチング部と、前記メモリ部と前記スイッチング部の間に介在され、前記点灯期間情報に応じて各コモンラインをONさせる期間を制御するコモンライン点灯期間制御部とを備える。
【0008】
また他の形態に係る表示装置は、各コモンラインに沿って接続された複数の発光素子をマトリックス状に配置した表示部と、前記複数の発光素子を駆動するための一以上の素子駆動部と、前記一以上の素子駆動部で各発光素子を点灯させる点灯期間情報を保持するメモリ部と、前記メモリ部に保持された前記点灯期間情報を各素子駆動部に出力する素子点灯期間制御部と、前記メモリ部に保持された点灯期間情報に基づいて、各コモンラインを選択するスイッチング部と、前記メモリ部と前記スイッチング部の間に介在され、前記点灯期間情報に応じて各コモンラインをONさせる期間を制御するコモンライン点灯期間制御部とを備える。
【0009】
さらに他の形態に係る表示装置の駆動方法は、各コモンラインに沿って接続された複数の発光素子をマトリックス状に配置した表示部と、前記複数の発光素子を駆動するための一以上の素子駆動部と、前記一以上の素子駆動部で各発光素子を点灯させる点灯期間情報を保持するメモリ部と、前記メモリ部に保持された前記点灯期間情報を各素子駆動部に出力する素子点灯期間制御部と、前記メモリ部に保持された点灯期間情報に基づいて、各コモンラインを選択するスイッチング部とを備える表示装置を駆動する駆動方法であって、前記メモリ部と前記スイッチング部の間に介在されたコモンライン点灯期間制御部が、前記点灯期間情報に応じて、各コモンラインをONさせる期間を決定する工程と、前記コモンライン点灯期間制御部で決定された各コモンラインをONさせる期間に従い、前記スイッチング部を駆動して各発光素子を点灯する工程とを含む。
【発明の効果】
【0010】
上記形態に係る表示装置用駆動回路、表示装置、道路表示板、表示装置の駆動方法によれば、従来のようにコモンライン側のON期間を点灯可能な最大期間に固定するのでなく、実際に発光素子を点灯させる素子駆動部の点灯期間に合わせてコモンラインをONさせることで、無駄な発光素子の駆動を抑制できることで電力消費を低減することが可能となる。特に、低輝度での発光時には、暗電流の比率が相対的に高くなることから、暗電流の抑制による電力削減効果が高くなる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本開示の一実施形態に係る表示装置を示すブロック図である。
図2】本開示の一実施形態に係る表示装置を示す回路図である。
図3図2の表示装置を点灯させる点灯パターンを示すタイミングチャートである。
図4】比較例1に係る表示装置を示す回路図である。
図5】比較例2に係る赤色、緑色、青色のLEDを点灯させる表示装置を示す回路図である。
図6図5の緑色、青色のLEDを点灯させる階調毎の平均消費電力を示すグラフである。
図7図5の赤色のLEDを点灯させる階調毎の平均消費電力を示すグラフである。
図8図4の要部拡大図である。
図9図4の表示装置を点灯させる点灯パターンを示すタイミングチャートである。
図10】変形例に係る表示装置を示す回路図である。
図11】誤点灯防止回路を備える表示装置の一例を示す回路図である。
図12】誤点灯防止回路の一例を示す回路図である。
図13】誤点灯防止回路の他の例を示す回路図である。
図14】実施例1及び比較例3に係る表示装置で緑、青色LEDを点灯させた階調毎の平均消費電力を示すグラフである。
図15図14のXVで示す領域の拡大図である。
図16図14のXVIで示す領域の拡大図である。
図17】実施例1及び比較例3に係る表示装置で赤色LEDを点灯させた階調毎の平均消費電力を示すグラフである。
図18図17のXVIIIで示す領域の拡大図である。
図19図17のXIXで示す領域の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面に基づいて本開示をさらに詳細に説明する。なお、以下の説明では、必要に応じて特定の方向や位置を示す用語(例えば、「上」、「下」、及びそれらの用語を含む別の用語)を用いるが、それらの用語の使用は図面を参照した発明の理解を容易にするためであって、それらの用語の意味によって本開示の技術的範囲が制限されるものではない。また、複数の図面に表れる同一符号の部分は同一もしくは同等の部分又は部材を示す。
【0013】
さらに以下に示す実施形態は、本開示の技術思想の具体例を示すものであって、本開示を以下に限定するものではない。また、以下に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、特定的な記載がない限り、本開示の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、例示することを意図したものである。また、一の実施の形態、実施例において説明する内容は、他の実施の形態、実施例にも適用可能である。また、図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため、誇張していることがある。
[実施形態1]
【0014】
本開示に係る表示装置は、道路表示板や鉄道表示板など、文字列や図形などを表示させる表示板等の表示画面を備える機器に好適に利用できる。一例として、道路表示板に適用する例を、図1図2に基づいて説明する。
(表示装置1000)
【0015】
実施形態1に係る表示装置1000のブロック図を図1に、回路図の一例を図2に、それぞれ示す。これらの図に示す表示装置1000は、表示部10と、駆動回路100を備える。
(表示部10)
【0016】
表示部10は表示画面を構成し、各コモンラインに沿って接続された複数の発光素子1をマトリックス状に配置している。このような表示部10には、画素位置に発光素子1を配置したドットマトリックスディスプレイが利用できる。発光素子1には、LEDやOLED、LD等の半導体発光素子を利用できる。図2の例では、発光素子1にLEDを使用し、各LEDのアノード端子を共通のコモンラインCOM1、COM2、...、COMn-2、COMn-1、COMn(図において縦方向)に接続するアノードコモン接続としている。
(表示装置用駆動回路100)
【0017】
駆動回路100は、表示装置1000の表示部10を駆動する。本開示では、駆動回路100を表示装置用駆動回路100と呼ぶことがある。この表示装置用駆動回路100は、一以上の素子駆動部20と、スイッチング部30と、メモリ部41と、素子点灯期間制御部42と、コモンライン点灯期間制御部43を備える。
(素子駆動部20)
【0018】
一以上の素子駆動部20は、表示部10を構成する複数の発光素子1を駆動する。このような素子駆動部20は、セグメントドライバ、信号ドライバ、シンクドライバ、定電流ドライバ、ドライバIC等と呼ばれる。図1図2では一の素子駆動部20を図示しているが、例えば後述する図10の発光装置1000’に示すように、各画素に配置する発光素子1として赤、緑、青色の発光素子1R、1G、1Bを用いてフルカラー発光可能な表示部10を構成する場合、赤色発光素子1Rを接続した赤色用素子駆動部20R、緑色発光素子1Gを接続した緑色用素子駆動部20G、青色発光素子1Bを接続した青色用素子駆動部20Bの3つが使用される。また、赤色と青色等、任意の2色の発光素子を用いてもよい。一方で光量を稼ぐ等の目的で、特定の色の発光素子、例えば赤色発光素子1Rを各画素に2個用いてもよい。このように素子駆動部20は、表示部10の各画素を構成する発光素子の数に応じて用意される。
【0019】
各素子駆動部20は、表示部10を構成する複数のLEDのカソード端子を接続したソースライン(図2において横方向)を、個別に接続する出力端子を備える。各出力端子は、ソースラインに定電流源と後述するスイッチング素子31を直列に接続して接地している。これにより、各LEDにシンク電流を供給できる。このような素子駆動部20は、好適には、定電流のシンク電流で各LEDを個別に駆動するマルチチャンネルの定電流ドライバや、LEDドライバIC等と呼ばれる素子を利用できる。ここでは単にドライバICと呼ぶ。
(スイッチング部30)
【0020】
スイッチング部30は表示部10と接続され、表示部10を構成する各発光素子1を、コモンラインを切り替えて選択し、点灯させるための部材である。このスイッチング部30は、ダイナミックスキャン方式で発光素子1のアノード端子と接続されたコモンラインを選択するよう制御される。このようなスイッチング部30は、アドレス選択回路、コモンライン選択回路、コモンラインスキャン回路、コモンドライバ等とも呼ばれる。図2等のスイッチング部30は、スイッチング素子31と、スイッチング制御部32を備える。
(スイッチング素子31)
【0021】
スイッチング素子31は、表示部10のコモンライン毎に設けられる。図2においては、説明のためコモンラインCOMnに接続されたもののみを図示しているが、実際には各コモンライン毎にそれぞれスイッチング素子31を接続している。各スイッチング素子31は、メモリ部41に保持された点灯期間情報に基づいて、点灯対象のLEDのコモンラインを選択する。すなわち、点灯対象のコモンラインに接続されたスイッチング素子31がONとなるように、制御IC40によって制御される。このスイッチング素子31は、FET等の半導体素子で構成できる。図2の例ではpチャンネルのパワーMOSFETをスイッチング素子31に用いている。
(スイッチング制御部32)
【0022】
スイッチング制御部32は、スイッチング素子31のON/OFFを制御する。具体的にスイッチング制御部32は、各コモンラインをONさせる期間を制御する。例えばスイッチング制御部32として、スイッチング素子31であるMOSFETのゲート電極に接続されたゲート駆動回路を利用できる。図2では、このようなスイッチング制御部32としてバイポーラトランジスタを用いている。
(制御IC40)
【0023】
制御IC40は、素子駆動部20やスイッチング部30と接続され、これらを制御するコントローラである。表示部10に送る信号を、タイミングに応じて各画素に書き込めるよう、素子駆動部20及びスイッチング部30を制御する信号を発生する。このような制御IC40は、主にカウンタ回路で構成できる。制御IC40は外部の制御機器と接続されて、制御機器からの入力信号の水平同期信号と垂直同期信号を受信し、各信号の周波数や解像度を識別し、駆動用のドットクロックや素子駆動部20とスイッチング部30の開始タイミング、停止タイミング、交流駆動切り替えタイミングなど各種の制御を行う。
【0024】
図1の例では、メモリ部41と、素子点灯期間制御部42と、コモンライン点灯期間制御部43は、制御IC40に組み込まれている。ただし、これらメモリ部41と、素子点灯期間制御部42と、コモンライン点灯期間制御部43を、別個の部材で構成してもよい。また制御IC40は、素子駆動部20やスイッチング部30のように、表示部10の画素を構成する発光素子1毎に設ける他、共通の制御ICで複数の素子駆動部やスイッチング部を駆動するように構成してもよい。
(メモリ部41)
【0025】
メモリ部41は、一以上の素子駆動部20で各発光素子1を点灯させる点灯期間情報を保持するための部材である。メモリ部41は、外部の制御機器と接続されており、点灯期間情報を書き換える。このようなメモリ部41には、E2PROM等が利用できる。なお図1の例では、メモリ部41を制御IC40に組み込んでいるが、この態様に限られず、例えばメモリ部を外付けの部材としたり、他の部材、例えば素子駆動部などにメモリ部を組み込んでもよい。
(点灯期間情報)
【0026】
点灯期間情報は、各発光素子1を点灯させるタイミング及び点灯させる期間を含む。また点灯期間情報に階調データを含めることもできる。これにより、表示部10の発光輝度や明るさ、調光などの制御が可能となる。
(素子点灯期間制御部42)
【0027】
素子点灯期間制御部42は、各素子駆動部20を制御し、各発光素子1の点灯/非点灯を指示すると共に、点灯期間を制御する。ここでは素子点灯期間制御部42は、メモリ部41に保持された点灯期間情報を各素子駆動部20に出力する。
【0028】
図3のタイミングチャートに、各コモンラインに接続された発光素子1の点灯期間を示す。この図において、ドライバICのON期間を、素子点灯期間制御部42で制御している。すなわち各発光素子1を点灯駆動させるため、コモンラインを通電させるコモンラインON期間をコモンライン点灯期間制御部43で制御し、一方でソースラインを通電させるソースラインON期間を、素子点灯期間制御部42で制御している。
【0029】
このような構成としたことで、従来のようにコモンライン側のON期間を点灯可能な最大期間に固定するのでなく、実際に発光素子1を点灯させる素子駆動部20の点灯期間に合わせてコモンラインをONさせることで、無駄な発光素子1の駆動を止めて電力消費を低減することが可能となる。特に、低輝度での発光時には、暗電流の比率が相対的に高くなることから、暗電流を抑制して電力削減効果が高くなる(詳細は後述)。
(コモンライン点灯期間制御部43)
【0030】
コモンライン点灯期間制御部43は、各コモンラインに接続されたスイッチング素子31を制御し、当該コモンラインに接続された発光素子1の点灯すなわちON/OFFを制御する。さらにコモンライン点灯期間制御部43は、コモンラインに接続された発光素子1をONさせる点灯期間を制御する。コモンライン点灯期間制御部43は、メモリ部41とスイッチング素子31の間に介在される。
【0031】
また図2の例では、スイッチング制御部32は、コモンライン点灯期間制御部43とスイッチング素子31の間に介在される。このスイッチング制御部32は、コモンライン点灯期間制御部43により、点灯期間情報に応じて各コモンラインをONさせる期間を制御する。具体的にはコモンライン点灯期間制御部43は、コモンラインをONさせる期間を、一以上の素子駆動部20で発光素子1を点灯させる点灯期間と一致させることができる。すなわちコモンライン毎に、ソースラインに接続する期間に合わせるよう、コモンラインを接続する通電期間を調整する。これにより、点灯しない期間はコモンラインに通電されなくなるので、無駄な電力消費を低減した効率のよい点灯制御を得ることができる。
【0032】
なお図2の例では、制御IC40はスイッチング制御部32を介してスイッチング素子31のON/OFFを制御しているが、この構成に限らず、例えば制御IC40で直接、スイッチング素子31のON/OFFを制御するように構成してもよい。この場合は、スイッチング制御部32を省略できる。
【0033】
素子駆動部20は、コモンラインを切り替えて複数の発光素子1を点灯するパッシブ駆動を行うことができる。またコモンライン点灯期間制御部43は、素子駆動部20が選択する予定のコモンラインに接続された各発光素子1の点灯期間を、メモリ部41から予め読み出すことで、一以上の素子駆動部20が当該コモンラインを選択した際、当該コモンラインをONさせる期間を制御する。このような先読みの制御によって、各発光素子1の点灯期間をスムーズに制御できる。なお、メモリ部からのデータの先読みは必須でなく、他の点灯データ等を先に読み出しても良い。以下、図4図9に基づいて詳述する。これらの図において、図4は比較例1に係る表示装置を示す回路図、図5は比較例2に係る赤色、緑色、青色のLEDを点灯させる表示装置を示す回路図、図6図5の緑色、青色のLEDを点灯させる階調毎の平均消費電力を示すグラフ、図7図5の赤色のLEDを点灯させる階調毎の平均消費電力を示すグラフ、図8図5の要部拡大図、図9図4の表示装置を点灯させる点灯パターンを示すタイミングチャートを、それぞれ示している。
[比較例1、2]
【0034】
図4に示す比較例に係る表示装置4000は、表示部4010と駆動回路4100を備える。駆動回路4100は、ドライバIC4020と、メモリ部4041と、素子点灯期間制御部4042と、コモンドライバ4030と、制御IC4040を備える。コモンドライバ4030は、スイッチング素子4031と、スイッチング制御部4032を備える。ただし、図2等と異なり、コモンライン点灯期間制御部を備えていない。
【0035】
表示部4010を構成するLED等の発光素子1は、コモンラインとソースラインで碁盤目状に接続されている。碁盤目状の交点が、表示部4010の画素に相当する。コモンドライバ4030とドライバIC4020により、コモンラインとソースラインを切り替えて点灯すべきLEDを選択し、パッシブ方式でダイナミックスキャン点灯される。
【0036】
また表示部4010は、異なる発光色に変化させるよう、画素毎に異なる発光色のLEDを配置してもよい。図5の例では、表示部10R、10Gの画素毎に赤色LED1R、緑色LED1G、青色LED1Bを配置したフルカラー表示可能な表示装置5000を示している。この図において、各発光色のLEDの駆動制御を判り易く示すため、上段に赤色LED1Rの駆動回路100Rを、下段に緑色LED1Gと青色LED1Bの駆動回路100G、100Bを、分けて示している。一般に、赤色LED1Rは2V前後で、緑色LED1Gと青色LED1Bは3.5V前後で、それぞれ点灯されるため、順方向電圧の近似した緑色LED1Gと青色LED1Bはまとめて示している。なお実際には、表示部10は画素毎に赤色LED1R、緑色LED1G、青色LED1Bを近接して配置している。また図5の例では、共通の制御IC5040で第一スイッチング部30Rと、第二スイッチング部30Gと、第三スイッチング部30Bを制御する。
【0037】
図5の表示装置5000の、緑色LED1Gと青色LED1Bの階調毎の平均消費電力Vcc1を図6に、同じく赤色LED1Rの階調毎の平均消費電力Vcc2を図7に、それぞれ示す。各図において、階調設定1近傍の平均消費電力を拡大して示している。これらの図に示すように、比較例に係る表示装置においては、LEDを点灯させていない状態でも、消費電力が発生していることが判る(図6に示す緑色LED1Gと青色LED1Bでは約0.09VA、図7に示す赤色LED1Rでは約0.05VA)。これは暗電流と呼ばれる待機電流に因る主にコモンドライバ4030による消費電力であり、どの輝度設定時においても一定量存在する。
【0038】
この結果、表示装置5000を高輝度で点灯させている場合、例えば日中では、その割合が全体の消費電力に対して小さいので目立たない。しかしながら、低輝度になるほど、例えば夜間の点灯では、全体の電力に対する暗電流の比率が大きくなる。
【0039】
一方で近年では、消費電力の削減が強く要求されている。特に気候変動に対する懸念から、2021年4月米政府の主導により開催された気候変動に関する首脳会議では、日本は13年度比で46%減、米国は05年比50~52%減らすと表明しており、化石燃料の消費を抑制してCO2排出量を低減すべく、様々な分野で消費電力削減が求められている。例えば道路情報表示板の分野では、国交省規格は正面輝度(白色点灯時)は、昼間時4300cd/m2、夜間時230cd/m2(白色点灯時)が必要とされている。この内、昼間の消費電力削減については、全体の低消費電力化等により比較的達成し易いものの、夜間の消費電力の削減比率を上げることは、元々の消費電力量自体が低いため、容易でない。
【0040】
そこで本発明者は鋭意研究の結果、暗電流の低減によって低消費電力化を図れると考え、特に輝度が低い夜間時の動作においては、暗電流の抑制で電力消費削減比率を向上できるとの考えに至り、本実施形態に係る表示装置の点灯駆動方式を成すに至った。以下、詳述する。
【0041】
図4の要部拡大図である図8に示すように、既存の駆動回路ではコモンラインを切り替えるスイッチング素子4031にMOSFETを使用している。ここでMOSFETのゲート・ドレイン間の寄生容量をCgd、ゲート・ソース間の寄生容量をCgsとすると、MOSFETのゲート入力容量Cissは、Cgd+Cgsとなる。そして、コモンラインをMOSFETで切り替えるスイッチングの際には、このMOSFETゲート入力容量Cissを充放電する必要があり、この充放電時間がスイッチング速度に影響を与える。このスイッチング速度は、ゲート・ソース間の抵抗値R1の大きさに依存する。すなわち抵抗値R1が大きくなると、暗電流は減るがスイッチング速度が遅くなる。その一方で抵抗値R1が小さくなると、暗電流は大きくなるがスイッチング速度が速くなるというトレードオフの関係にある。したがって、暗電流を低減して消費電力を抑制しようとすると、スイッチング速度の低下を招くことから、好ましくない。
【0042】
一方で、図4の表示装置4000において、各発光素子1を点灯制御するタイミングチャートを、図9に示す。この図に示すように、従来は表示部4010を消灯して黒表示としたり、あるいは低輝度表示とする場合であっても、各コモンドライバ4030は高輝度表示時(最大点灯時)でのON期間(図9においてAで示す)でON動作し、ダイナミック点灯を行うため時分割でそれぞれのコモンラインのONを行っていた(図9においてB、C、D、E等で示す期間)。
【0043】
なお各コモンラインを切り替える遷移時には消灯期間を設けているが、これはMOSFETのスイッチングに必要な期間となる。消灯期間が長いと、最大点灯期間を短くすることとなり、点灯率(単位時間あたりの点灯期間)が低くなり、その分、電流設定を高くする必要があった。
【0044】
このように従来のLEDディスプレイでは、LEDのアノード側を切り替えるコモンドライバ4030では、表示可能な最大の点灯期間に合わせてONしていた。一方、実際に各LEDが点灯する時間については、制御IC4040からLEDのカソード側に接続されたドライバIC4020に送信されたデータ(階調データ等)によってのみ制御されていた。この構成では、アノード側のコモンドライバ4030で消費される暗電流は、黒表示状態や低輝度表示状態であっても、最大点灯期間で流れ続けることになる。
【0045】
そこで本実施形態1に係る表示装置1000においては、図3のタイミングチャートに示すように、コモンライン側の切り換えを行うスイッチング部30を、実際に発光素子1を点灯する点灯期間に合わせてONさせるように制御する。このため、図2等に示したとおり、制御IC40にコモンライン点灯期間制御部43を追加している。これによって、各コモンラインに接続された各LEDの点灯期間は、その中の最大の点灯期間にすることができる。この構成によって、各コモンライン内で必要な時間の分だけ暗電流が流れるようになる。この結果、暗電流の占める割合が大きくなる低輝度時において、低消費電力への効果が非常に大きくなる利点が得られる。
【0046】
このような制御を行うため、制御IC40側では、予め点灯期間が分かるデータ、すなわち点灯期間情報をメモリ部41に記憶しておく。点灯期間情報には、階調データ、点灯制御クロックの分周機能など、点灯期間の制御に関するすべてのデータが含まれる。さらに、この点灯期間情報に基づいて、各コモンラインに接続されたLEDの最大点灯期間を予め算出しておく。この演算は、制御IC40の、例えばコモンライン点灯期間制御部43で行うことができる。また、最大点灯期間の演算を行うために専用のASICなどを用いてもよい。
[変形例]
【0047】
上述の通り、素子駆動部20は発光色の異なる発光素子1毎に、複数用意してもよい。例えば素子駆動部20として、第一発光素子1R用の第一素子駆動部20Rと、第二発光素子1G用の第二素子駆動部20Gを、個別に準備してもよいし、さらに加えて第三発光素子1B用の第三素子駆動部20Bを用意してもよい。このような例を、図10に変形例に係る表示装置1000’としてを示す。この図において、上述した図1図2に示す表示装置1000と同じ部材については、同一の符号を付して詳細説明を省略する。図10に示す表示装置1000’は、表示部10’と、駆動回路100’を備える。表示部10’は、第一発光色の第一発光素子1Rと、この第一発光色とは異なる第二発光色の第二発光素子1Gと、これら第一発光色、第二発光色と異なる第三発光色の第三発光素子1Bを含む。図10においては、説明のため、第一発光素子1Rで構成された表示部10Rと、第二発光素子1Gで構成された表示部10Gと、第三発光素子1Bで構成された表示部10Bとを分けて示しているが、実際には表示部10’を構成する画素毎に、第一発光素子1Rと第二発光素子1Gと第三発光素子1Bをそれぞれ隣接させて配置している。
【0048】
駆動回路100’は、第一素子駆動部20Rと、第一スイッチング部30Rと、第二素子駆動部20Gと、第二スイッチング部30Gと、第三素子駆動部20Bと、第三スイッチング部30Bと、制御IC40’を備える。
【0049】
第一素子駆動部20Rと第一スイッチング部30Rは、第一発光素子1Rを駆動する。具体的には、第一素子駆動部20Rがソースラインに、第一スイッチング部30Rがコモンラインに、それぞれ接続される。これら第一素子駆動部20Rと第一スイッチング部30Rは、制御IC40’の第一素子点灯期間制御部42R、第一コモンライン点灯期間制御部43Rで制御される。
【0050】
一方、第二素子駆動部20Gと第二スイッチング部30Gは、第二発光素子1Gを駆動する。具体的には、第二素子駆動部20Gがソースラインに、第二スイッチング部30Gがコモンラインに、それぞれ接続される。これら第二素子駆動部20Gと第二スイッチング部30Gも、制御IC40’の第二素子点灯期間制御部42G、第二コモンライン点灯期間制御部43Gで制御される。
【0051】
さらに一方で、第三素子駆動部20Bと第三スイッチング部30Bは、第三発光素子1Bを駆動する。具体的には、第三素子駆動部20Bがソースラインに、第三スイッチング部30Bがコモンラインに、それぞれ接続される。これら第三素子駆動部20Bと第三スイッチング部30Bも、制御IC40’の第三素子点灯期間制御部42B、第三コモンライン点灯期間制御部43Bで制御される。このように制御IC40’は、メモリ部41’に保持された点灯期間情報に基づいて、第一発光素子1Rと第二発光素子1Gと第三発光素子1Bの点灯を制御する。
【0052】
なお図10の表示装置1000’は、共通の制御IC40’で第一発光素子1Rと第二発光素子1Gと第三発光素子1Bを駆動する構成としているが、本開示はこの構成に限られず、例えば第一発光素子の点灯駆動を制御する第一制御ICと、第二発光素子の点灯駆動を制御する第二制御ICと、第三発光素子の点灯駆動を制御する第三制御ICとを個別に用意してもよい。逆に、第一素子駆動部と第二素子駆動部と第三素子駆動部を、共通の素子駆動部に統合してもよい。
【0053】
さらに図2等の例では、ソースラインを切り替える素子駆動部20と、コモンラインを切り替えるスイッチング部30とを、別部材で構成しているが、このような構成に限らず、例えば素子駆動部とスイッチング部を一部材で構成してもよい。同様に、制御ICを構成するメモリ部41や素子点灯期間制御部42、コモンライン点灯期間制御部43についても、これら素子駆動部やスイッチング部に統合することもできる。
(誤点灯防止回路50)
【0054】
また表示装置や駆動回路は、誤点灯防止回路50を含めることができる。誤点灯防止回路50は、複数の発光素子の誤点灯を抑制するための回路である。具体的には、誤点灯防止回路50は、寄生容量に溜まった電荷が放電されることで生じる意図しないLEDの誤点灯、あるいは疑似点灯やゴーストなどと呼ばれる現象を抑制すべく、LEDの寄生容量を放電する。誤点灯防止回路50は、例えばスイッチング部30に組み込まれて、スイッチング素子31と接続することができる。
【0055】
誤点灯防止回路50の一例を、図11及び図12に示す。図11に示す表示装置11000は、誤点灯防止回路50Aを備えている。この表示装置11000は、道路情報表示板やLEDディスプレイとすることができる。表示装置11000は、表示部10と駆動回路100を備える。表示部10は、複数の発光素子をm行n列のマトリクス状に配列し、その各列に配置された各発光素子1のカソード端子をそれぞれ、各列ごとに設けられたソースラインに接続し、かつ各行に配置された各発光素子1のアノード端子をそれぞれ、各行ごとに設けられたコモンラインに接続している。
【0056】
発光素子1は発光ダイオード又はレーザダイオードである。駆動回路100は、ソースラインに接続された複数の発光素子1と、入力される点灯制御信号によって、駆動状態と非駆動状態が制御される。その各駆動状態において入力される表示データに基いて、各コモンラインを通電制御する。
【0057】
この駆動回路100は、誤点灯防止回路50Aを備える。誤点灯防止回路50Aは、各発光素子1のアノード端子および駆動回路100に接続し駆動状態から非駆動状態に移行する際に発光素子1のアノード端子側に発生する残留電荷を非駆動状態において充電用素子51に充電する充電経路52と、この充電経路52に接続し残留電荷を駆動状態において充電用素子51から接地端に放電する放電経路53とを有する。放電経路53は、充電経路52に接続し駆動回路100を経由して接地端に至る経路である。
【0058】
また駆動回路100はさらに、スイッチング部30と、メモリ部41を備える。スイッチング部30は、コモンラインにそれぞれ対応して接続されたm個のスイッチング部30を含む。スイッチング部30は、駆動状態において入力されるアドレス信号で指定されたコモンラインを定電流源と接続する。
【0059】
メモリ部41は、順次入力される表示データのn個の階調データをそれぞれ記憶する。図11の例では、メモリ部41は、素子駆動部20に含まれる。素子駆動部20は、発光素子1の駆動状態において、各メモリ部41に記憶された階調データに応じた階調幅で対応するソースラインを通電状態とする。
【0060】
充電経路52は、一端が各発光素子1のアノード端子側に接続し、他端が接地された充電用素子51を含む経路である。充電経路52は、少なくとも一つの抵抗器を備えてもよい。
【0061】
また放電経路53は、整流器を備えてもよい。整流器は、アノード端子を充電用素子51あるいは充電経路52に接続し、カソード端子を接地端方向に接続できる。
【0062】
さらに充電用素子51は、コンデンサとすることができる。さらにまた整流器は、ダイオードとすることができる。
【0063】
また、このような誤点灯防止回路50Aを用いた誤点灯を防止する表示装置11000の駆動方法は、まず点灯状態と非点灯状態を制御する点灯制御信号によって、駆動状態と非駆動状態を制御する。また、駆動状態において入力される表示データに基いて各コモンラインの一端及び各ソースラインの一端を通電制御する。さらに、各発光素子1のアノード端子および駆動回路100に接続した充電経路52によって、駆動状態から非駆動状態に移行する際に発光素子1のアノード端子側に発生する残留電荷を非駆動状態において充電用素子51に充電する。そして、充電経路52に接続し接地端に至る放電経路53によって、残留電荷を駆動状態において充電用素子51から放電する。
【0064】
誤点灯防止回路は、上記の例に限らず、他の既知の構成を適宜採用できる。例えば、素子駆動部20に誤点灯防止回路50を内蔵させてもよい。一例として、図13に示す表示装置12000は、素子駆動部20に誤点灯防止回路50Bを組み込んでいる。表示部10の各ソースラインには、それぞれプレチャージFET56が接続される。プレチャージFET56は、図13の例では素子駆動部20の出力端子と、定電流源22やスイッチ21の間に接続される。各ソースラインは、スイッチ21と定電流源22と直列に接続して接地されている。このプレチャージFET56は、発光素子1の誤点灯を防止する。誤点灯の現象は、発光素子1を介して素子駆動部20の出力端子や、この出力端子に接続されるプリント基板配線の寄生容量への充電電流である。図13においては、このような寄生容量を仮想的にCP0、CP1、CP2で示している。
【0065】
表示部10や駆動回路100を構成するユニットによっては、ユニット全体の点灯期間を調整する面輝度情報を有してもよい。メモリ部41にこのような面輝度情報を持たせることもできる。ここでは一例として、階調データに応じて各LEDの点灯期間を決定し、面輝度データに応じて、ユニット全体の点灯期間を決定し、最終的に階調データx面輝度データで、実際の各LEDの点灯期間を決定できる。このように面輝度データと階調データに応じて、実際の各LEDの点灯期間を決定できる。このように、ユニット側で面輝度情報を提供する機能を有している場合は、この機能を利用することで本実施形態のシンクドライバの点灯期間に合わせてコモンラインをONさせ、消費電力低減を実現できる。
[表示装置の駆動方法]
【0066】
次に、表示装置の駆動方法の一例を、図2に基づいて説明する。この表示装置1000は、表示部10と、素子駆動部20と、スイッチング部30と、メモリ部41と、素子点灯期間制御部42を備える。表示部10は、各コモンラインに沿って接続された複数の発光素子をマトリックス状に配置している。メモリ部41は、一以上の素子駆動部20で各発光素子を点灯させる点灯期間情報を保持する。素子駆動部20は、複数の発光素子を駆動する。素子点灯期間制御部42は、メモリ部41に保持された点灯期間情報を各素子駆動部20に出力する。スイッチング部30は、メモリ部41に保持された点灯期間情報に基づいて、各コモンラインを選択する。
【0067】
まずコモンライン点灯期間制御部43が、メモリ部41を先読みし、点灯期間情報に応じて、各コモンラインをONさせる期間を決定する。次にコモンライン点灯期間制御部43で決定された各コモンラインをONさせる期間に従い、スイッチング部30を駆動して各発光素子を点灯する。これにより、従来のようにコモンライン側のON期間を点灯可能な最大期間に固定するのでなく、実際に発光素子を点灯させる素子駆動部20の点灯期間に合わせてコモンラインをONさせることで、無駄な発光素子の駆動を抑制できることで電力消費を低減することが可能となる。特に、低輝度での発光時には、暗電流の比率が相対的に高くなることから、暗電流を抑制して電力削減効果が高くなる。
[実施例1、比較例3]
【0068】
次に、実施例1、比較例3に係る表示装置用駆動回路及び表示装置を実際に準備して消費電力を測定し、その効果を確認した。ここでは、実施例1、比較例3共、日亜化学工業株式会社製の表示装置用駆動回路であるLEDユニット型番NLU2F872D8(Lot番号:21BZN、Serial番号:0004)を用いた。なお、実施例1、比較例3共、表示部の各画素に赤色LED、緑色LED、青色LEDを用いたフルカラー表示可能なディスプレイとした。
【0069】
まず、外部の制御機器から、LEDユニットに表示データである点灯期間情報を入力した。入力された点灯期間情報データは、LEDユニット内のメモリ部41に格納させた。次に、格納された表示データを、ドライバICである素子駆動部に転送した。さらに表示データに基づいて、各コモンライン毎の最大点灯期間を、外部の制御機器にて算出した。そして算出した最大点灯期間に合わせて、最低限必要なコモンドライバのON時間を設定し、この設定に基づいてLEDユニットを駆動させ、消費電力を測定した。消費電力の測定には、いずれも株式会社テクトロニクス&フルーク社のオシロスコープDPO3054、電流プローブTCP312、電流プローブ用増幅器TCPA300を用いて、周辺温度25℃、印加電圧は表示ユニット仕様typ条件、1点灯周期:258μS、RGB各階調:色度座標(x,y)=(0.3,0.3)上にて各輝度を可変になるように調整して全LEDを点灯し、このときの表示ユニット入力部の1点灯周期(任意の1走査ライン点灯時)の平均電流と平均電圧を測定、その積によって、平均電力[VA]とした。。なおこの実験に際しては効果の確認のため、予め外部の制御機器から、各コモンラインの点灯期間を設定可能なように制御ICを設計したが、実際の表示装置等においては、入力された階調データなど、点灯期間にまつわるすべてのデータを元に、コモンライン点灯期間制御部43で算出、制御できるので、外部の制御機器から制御可能な機能を追加することは必ずしも必要でない。
【0070】
この実験の結果を、以下の表1~表3、及び図14図19に示す。これらの図において、表1は緑色LED及び青色LEDの階調毎の平均電力[VA]、表2は赤色LEDの階調毎の平均電力[VA]、表3は赤色、緑色LED、青色LEDのすべてのLEDの階調毎の平均電力[VA]を、それぞれ示している。なお各表において、階調設定1は消灯状態を示している。また階調設定1.6は夜間に点灯させるための夜間規格であり、階調設定14.5は昼間に点灯させる昼間規格を、それぞれ示している。
【0071】
また図14は実施例1及び比較例3に係る表示装置で緑、青色LEDを点灯させた階調毎の平均消費電力を示すグラフ、図15図14のXVで示す領域の拡大図、図17は実施例1及び比較例3に係る表示装置で赤色LEDを点灯させた階調毎の平均消費電力を示すグラフ、図18図17のXVIIIで示す領域の拡大図、図19図17のXIXで示す領域の拡大図を、それぞれ示している。
【0072】
【表1】
【0073】
【表2】
【0074】
【表3】
【0075】
これら図14図19及び表1~3に示すとおり、緑色LED及び青色LED、赤色LEDを合わせて、0.13[VA]程度の低減となった。また緑色LED及び青色LED、赤色LEDのいずれも、実施例1では比較例3よりも平均電力が低くなっており、特に階調設定が低いほど平均電力の低減率が高くなり、夜間の点灯時など、階調の低い低輝度における節電効果が高いことが確認された。また、正面輝度230cd/m2付近の暗電流による影響は、ほぼ除去可能という結果が示された。さらに、電力消費削減比率は、比較例3に対して実施例1では40%減となった。
【0076】
コモンライン点灯期間制御部43は、各コモンラインに接続された複数の発光素子の点灯期間を、複数の発光素子の中で最大の点灯期間に設定している。具体的には、コモンライン点灯期間制御部43をメモリ部41と接続し、メモリ部41を先読みすることで、コモンライン毎に、一番点灯期間が長い点灯期間を決定し、この時間に合わせて各コモンラインをONさせる期間を決定する。このような構成とすることで、各コモンライン内で必要な時間の分だけ暗電流が流れるようになるので、特に暗電流の占める割合が大きくなる低輝度時で低消費電力への効果が大きくなる利点が得られる。
【0077】
なお、点灯期間が最大点灯期間となる場合も想定される。すなわち、コモンラインを走査する走査ライン毎に点灯期間が異なる場合で、発光素子を点灯可能な最大の点灯期間で、発光素子を点灯する場合も起こり得る。この場合は、コモンライン点灯期間制御部43は結果的に、点灯期間の制御を行わない状態となる。
【0078】
またコモンライン点灯期間制御部43は、メモリ部41の先読みを必須としない。例えばコモンライン点灯期間制御部43が、点灯期間情報に基づき、各コモンラインに接続された複数の発光素子の内、最大点灯期間を演算可能としてもよい。すなわち、コモンライン毎に異なる点灯期間の内で、一番点灯期間が長い点灯期間を演算によりコモンライン毎に決定することで、メモリ部41を直接先読みしなくとも、各コモンラインをONさせる期間を設定できる。
【0079】
以上の例では複数の発光素子すなわちLEDの接続方式としてアノードコモン接続の例を説明したが、本開示はこの構成に限られず、カソードコモン接続に対しても同様に適用できることはいうまでもない。
【0080】
本開示は、以下のような態様で実施することもできる。
【0081】
[項1]
各コモンラインに沿って接続された複数の発光素子をマトリックス状に配置した表示部を駆動するための駆動回路であって、
表示部を構成する前記複数の発光素子を駆動するための一以上の素子駆動部と、
前記一以上の素子駆動部で各発光素子を点灯させる点灯期間情報を保持するメモリ部と、
前記メモリ部に保持された前記点灯期間情報を各素子駆動部に出力する素子点灯期間制御部と、
前記メモリ部に保持された点灯期間情報に基づいて、各コモンラインを選択するスイッチング部と、
前記メモリ部と前記スイッチング部の間に介在され、前記点灯期間情報に応じて各コモンラインをONさせる期間を制御するコモンライン点灯期間制御部と、
を備えてなる表示装置用駆動回路。
上記構成により、従来のようにコモンライン側のON期間を点灯可能な最大期間に固定するのでなく、実際に発光素子を点灯させる素子駆動部の点灯期間に合わせてコモンラインをONさせることで、無駄な発光素子の駆動を止めて電力消費を低減することが可能となる。特に、低輝度での発光時には、暗電流の比率が相対的に高くなることから、暗電流を抑制して電力削減効果が高くなる。
【0082】
[項2]
項1に記載の表示装置用駆動回路であって、
前記コモンライン点灯期間制御部は、各コモンラインに接続された前記複数の発光素子の点灯期間を、該複数の発光素子の中で最大の点灯期間に設定してなる表示装置用駆動回路。
上記構成により、各コモンライン内で必要な時間の分だけ暗電流が流れるようになるので、特に暗電流の占める割合が大きくなる低輝度時で低消費電力への効果が大きくなる利点が得られる。
【0083】
[項3]
項1又は2に記載の表示装置用駆動回路であって、
前記コモンライン点灯期間制御部は、前記点灯期間情報に基づき、各コモンラインに接続された前記複数の発光素子の内、最大点灯期間を演算可能に構成してなる表示装置用駆動回路。
【0084】
[項4]
項1~3のいずれか一項に記載の表示装置用駆動回路であって、
前記点灯期間情報は、階調データを含んでなる表示装置用駆動回路。
【0085】
[項5]
項1~4のいずれか一項に記載の表示装置用駆動回路であって、
前記コモンライン点灯期間制御部は、前記コモンラインをONさせる期間を、前記一以上の素子駆動部で前記発光素子を点灯させる点灯期間と一致させてなる表示装置用駆動回路。
【0086】
[項6]
項1~5のいずれか一項に記載の表示装置用駆動回路であって、
前記一以上の素子駆動部は、前記コモンラインを切り替えて前記複数の発光素子を点灯するパッシブ駆動を行うものであり、
前記コモンライン点灯期間制御部は、前記一以上の素子駆動部が選択する予定のコモンラインに接続された各発光素子の点灯期間を、前記メモリ部から読み出すことで、前記一以上の素子駆動部が当該コモンラインを選択した際、当該コモンラインをONさせる期間を制御してなる表示装置用駆動回路。
【0087】
[項7]
項1~6のいずれか一項に記載の表示装置用駆動回路であって、
前記スイッチング部が、
各コモンラインに接続され、当該コモンラインに通電するためのスイッチング素子を備えてなる表示装置用駆動回路。
【0088】
[項8]
項7に記載の表示装置用駆動回路であって、さらに、
前記コモンライン点灯期間制御部と前記スイッチング素子の間に、前記スイッチング素子を制御するスイッチング制御部を備えてなる表示装置用駆動回路。
【0089】
[項9]
項8に記載の表示装置用駆動回路であって、
前記スイッチング素子が、MOSFETであり、
前記スイッチング制御部が、前記MOSFETのゲート電極に接続されたゲート駆動回路である表示装置用駆動回路。
【0090】
[項10]
項7~9のいずれか一項に記載の表示装置用駆動回路であって、
前記スイッチング部が、
各スイッチング素子と接続され、当該スイッチング素子と接続されたコモンラインに接続された前記複数の発光素子の誤点灯を抑制する誤点灯防止回路を備えており、
前記誤点灯防止回路が、一端を接地した充電経路を含んでなる表示装置用駆動回路。
【0091】
[項11]
項1~10のいずれか一項に記載の表示装置用駆動回路であって、
前記一以上の素子駆動部が、
第一発光色の発光素子を駆動する第一素子駆動部と、
前記第一発光色と異なる第二発光色の発光素子を駆動する第二素子駆動部と、
を含む表示装置用駆動回路。
【0092】
[項12]
項1~11のいずれか一項に記載の表示装置用駆動回路であって、
前記コモンライン点灯期間制御部と、前記メモリ部と、前記素子点灯期間制御部が、制御ICで構成されてなる表示装置用駆動回路。
【0093】
[項13]
各コモンラインに沿って接続された複数の発光素子をマトリックス状に配置した表示部と、
前記複数の発光素子を駆動するための一以上の素子駆動部と、
前記一以上の素子駆動部で各発光素子を点灯させる点灯期間情報を保持するメモリ部と、
前記メモリ部に保持された前記点灯期間情報を各素子駆動部に出力する素子点灯期間制御部と、
前記メモリ部に保持された前記点灯期間情報に基づいて、各コモンラインを選択するスイッチング部と、
前記メモリ部と前記スイッチング部の間に介在され、前記点灯期間情報に応じて各コモンラインをONさせる期間を制御するコモンライン点灯期間制御部と、
を備えてなる表示装置。
上記構成により、従来のようにコモンライン側のON期間を点灯可能な最大期間に固定するのでなく、実際に発光素子を点灯させる素子駆動部の点灯期間に合わせてコモンラインをONさせることで、無駄な発光素子の駆動を止めて電力消費を低減することが可能となる。特に、低輝度での発光時には、暗電流の比率が相対的に高くなることから、暗電流を抑制して電力削減効果が高くなる。
【0094】
[項14]
項13の表示装置を用いた道路表示板。
【0095】
[項15]
各コモンラインに沿って接続された複数の発光素子をマトリックス状に配置した表示部と、
前記複数の発光素子を駆動するための一以上の素子駆動部と、
前記一以上の素子駆動部で各発光素子を点灯させる点灯期間情報を保持するメモリ部と、
前記メモリ部に保持された前記点灯期間情報を各素子駆動部に出力する素子点灯期間制御部と、
前記メモリ部に保持された前記点灯期間情報に基づいて、各コモンラインを選択するスイッチング部と、
を備える表示装置を駆動する駆動方法であって、
前記メモリ部と前記スイッチング部の間に介在されたコモンライン点灯期間制御部が、前記点灯期間情報に応じて、各コモンラインをONさせる期間を決定する工程と、
前記コモンライン点灯期間制御部で決定された各コモンラインをONさせる期間に従い、前記スイッチング部を駆動して各発光素子を点灯する工程と、
を含む表示装置の駆動方法。
これにより、従来のようにコモンライン側のON期間を点灯可能な最大期間に固定するのでなく、実際に発光素子を点灯させる素子駆動部の点灯期間に合わせてコモンラインをONさせることで、無駄な発光素子の駆動を止めて電力消費を低減することが可能となる。特に、低輝度での発光時には、暗電流の比率が相対的に高くなることから、暗電流を抑制して電力削減効果が高くなる。
【産業上の利用可能性】
【0096】
本開示の表示装置用駆動回路、表示装置、道路表示板、表示装置の駆動方法は、画素で構成された表示装置に組み込んで利用できる。例えば、高速道路や一般道路に設置される道路表示板や、鉄道の駅や飛行機の空港、バスのバス停などで使用される表示板、ディスプレイにおけるデータ転送遮断に適用できる。
【符号の説明】
【0097】
1000、1000’、4000、5000、11000、12000…表示装置
100…駆動回路
100R…赤色LEDの駆動回路;100G…緑色LEDの駆動回路;100B…青色LEDの駆動回路
1…発光素子;1R…第一発光素子(赤色発光素子;赤色LED);1G…第二発光素子(緑色発光素子;緑色LED);1B…第三発光素子(青色発光素子;青色LED)
10、10’、10R、10G、10B…表示部
20…素子駆動部;20R…赤色用素子駆動部(第一素子駆動部);20G…緑色用素子駆動部(第二素子駆動部);20B…青色用素子駆動部(第三素子駆動部)
21…スイッチ
22…定電流源
30…スイッチング部;30R…第一スイッチング部;30G…第二スイッチング部;30B…第三スイッチング部
31…スイッチング素子
32…スイッチング制御部
40、40’…制御IC
41、41’…メモリ部
42…素子点灯期間制御部;42R…第一素子点灯期間制御部;42G…第二素子点灯期間制御部;42B…第三素子点灯期間制御部
43…コモンライン点灯期間制御部:43R…第一コモンライン点灯期間制御部;43G…第二コモンライン点灯期間制御部;43B…第三コモンライン点灯期間制御部
50、50A、50B…誤点灯防止回路
51…充電用素子
52…充電経路
53…放電経路
56…プレチャージFET
4100…駆動回路
4020…ドライバIC
4041…メモリ部
4042…素子点灯期間制御部
4030…コモンドライバ
4031…スイッチング素子
4032…スイッチング制御部
4040…制御IC
4050…誤点灯防止回路
5040…制御IC
CP0、CP1、CP2…寄生容量
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