(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024046360
(43)【公開日】2024-04-03
(54)【発明の名称】発光装置
(51)【国際特許分類】
H01L 33/62 20100101AFI20240327BHJP
F21S 2/00 20160101ALI20240327BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20240327BHJP
【FI】
H01L33/62
F21S2/00 100
F21Y115:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】24
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022151689
(22)【出願日】2022-09-22
(71)【出願人】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101683
【弁理士】
【氏名又は名称】奥田 誠司
(74)【代理人】
【識別番号】100155000
【弁理士】
【氏名又は名称】喜多 修市
(74)【代理人】
【識別番号】100184985
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 悠
(74)【代理人】
【識別番号】100202197
【弁理士】
【氏名又は名称】村瀬 成康
(74)【代理人】
【識別番号】100218981
【弁理士】
【氏名又は名称】武田 寛之
(72)【発明者】
【氏名】田村 元帥
(72)【発明者】
【氏名】石川 哲也
【テーマコード(参考)】
5F142
【Fターム(参考)】
5F142AA54
5F142BA03
5F142BA32
5F142CA13
5F142CB22
5F142CD02
5F142CD17
5F142CD18
5F142CD44
5F142CD47
5F142CD49
5F142CE03
5F142CE16
5F142DA12
5F142DA73
5F142FA34
(57)【要約】
【課題】より高い精度で基板上に実装された発光素子を含む発光装置を提供する。
【解決手段】発光装置は、第1配線11を有する基板110と、第1電極21を有する発光素子121と、第1接合部材161とを備える。発光素子は、第1電極の下面21bが第1配線の上面と対向するように基板上に配置され、第1接合部材は、第1電極の下面と、第1配線の上面の少なくとも一部である第1接合領域R1とを接合する。第1配線は、第1接合領域の内側に第1凸部11pを有する。平面視において、第1電極の下面は、第1角部c1を含む外形を有し、第1接合領域は、第1角部と重なる第2角部c2を含む外形を有する。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、前記基材上に配置された第1配線と、を有する基板と、
光取り出し面と、前記光取り出し面と反対側に位置する電極形成面と、前記電極形成面に配置された第1電極と、を有する発光素子であって、前記第1電極の下面が前記第1配線の上面と対向するように前記基板上に配置された発光素子と、
前記第1電極の下面と、前記第1配線の上面の少なくとも一部である第1接合領域と、を接合する第1接合部材と、
を備え、
前記第1配線は、前記第1接合領域の内側に第1凸部を有し、
平面視において、前記第1電極の下面は、第1角部を含む外形を有し、前記第1接合領域は、前記第1角部と重なる第2角部を含む外形を有する、発光装置。
【請求項2】
前記第1電極の下面の外形は、第3角部を含み、
前記第1接合領域の外形は、前記第3角部と重なる第4角部を含み、
前記第2角部は、前記第2角部を始点とし前記第2角部の隣の角部を終点とする第1有向線分、および、前記第2角部を始点とし前記第2角部の隣の他の角部を終点とする第2有向線分によって規定され、
前記第4角部は、前記第4角部を始点とし前記第4角部の隣の角部を終点とする第3有向線分、および、前記第4角部を始点とし前記第4角部の隣の他の角部を終点とする第4有向線分によって規定され、
前記第1有向線分、前記第2有向線分、前記第3有向線分および前記第4有向線分のそれぞれの方向は、互いに異なる、請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記第2角部および前記第4角部の内角は、いずれも、180度未満である、請求項2に記載の発光装置。
【請求項4】
前記第2角部および前記第4角部の内角は、いずれも、180度よりも大きい、請求項2に記載の発光装置。
【請求項5】
前記第1角部の内角は、90度であり、
前記第1有向線分の方向を+X方向、前記第2有向線分の方向を前記+X方向に直交する-Y方向とすると、前記第3有向線分の方向は、-X方向であり、前記第4有向線分の方向は、+Y方向である、請求項2から4のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項6】
平面視において、前記第1接合領域は、矩形であり、
前記第2角部および前記第4角部は、前記矩形の対角に位置する、請求項3に記載の発光装置。
【請求項7】
第2接合部材をさらに備え、
前記基板は、前記第1配線と離隔して配置された第2配線を前記基材上にさらに有し、
前記発光素子は、前記第1電極と離隔して配置された第2電極を前記電極形成面にさらに有し、前記第2電極の下面が前記第2配線の上面と対向するように前記基板上に配置されており、
前記第2接合部材は、前記第2電極の下面と、前記第2配線の上面の少なくとも一部である第2接合領域と、を接合し、
平面視において、前記第2電極の下面は、第3角部を含む外形を有し、前記第2接合領域は、前記第3角部と重なる第4角部を含む外形を有し、
前記第2角部は、前記第2角部を始点とし前記第2角部の隣の角部を終点とする第1有向線分、および、前記第2角部を始点とし前記第2角部の隣の他の角部を終点とする第2有向線分によって規定され、
前記第4角部は、前記第4角部を始点とし前記第4角部の隣の角部を終点とする第3有向線分、および、前記第4角部を始点とし前記第4角部の隣の他の角部を終点とする第4有向線分によって規定され、
前記第1有向線分、前記第2有向線分、前記第3有向線分および前記第4有向線分のそれぞれの方向は、互いに異なる、請求項1に記載の発光装置。
【請求項8】
前記第2角部および前記第4角部の内角は、いずれも、180度未満である、請求項7に記載の発光装置。
【請求項9】
前記第2角部および前記第4角部の内角は、いずれも、180度よりも大きい、請求項7に記載の発光装置。
【請求項10】
前記第1角部の内角は、90度であり、
前記第1有向線分の方向を+X方向、前記第2有向線分の方向を前記+X方向に直交する-Y方向とすると、前記第3有向線分の方向は、-X方向であり、前記第4有向線分の方向は、+Y方向である、請求項7から9のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項11】
平面視において、前記第1接合領域および前記第2接合領域は、いずれも矩形である、請求項8に記載の発光装置。
【請求項12】
前記第1電極の下面の外形は、第3角部を含み、前記第1接合領域の外形は、前記第3角部と重なる第4角部を含み、
前記第2角部は、前記第2角部を始点とし前記第2角部の隣の角部を終点とする第1有向線分、および、前記第2角部を始点とし前記第2角部の隣の他の角部を終点とする第2有向線分によって規定され、前記第4角部は、前記第4角部を始点とし前記第4角部の隣の角部を終点とする第3有向線分、および、前記第4角部を始点とし前記第4角部の隣の他の角部を終点とする第4有向線分によって規定され、
前記第2角部および前記第4角部のうちの一方の内角は、180度未満であり、他方の内角は、180度よりも大きく、
前記第3有向線分の方向は、前記第1有向線分の方向と同じであり、
前記第4有向線分の方向は、前記第2有向線分の方向と同じである、請求項1に記載の発光装置。
【請求項13】
第2接合部材をさらに備え、
前記基板は、前記第1配線と離隔して配置された第2配線を前記基材上にさらに有し、
前記発光素子は、前記第1電極と離隔して配置された第2電極を前記電極形成面にさらに有し、前記第2電極の下面が前記第2配線の上面と対向するように前記基板上に配置されており、
前記第2接合部材は、前記第2電極の下面と、前記第2配線の上面の少なくとも一部である第2接合領域と、を接合し、
平面視において、前記第2電極の下面は、第3角部を含む外形を有し、前記第2接合領域は、前記第3角部と重なる第4角部を含む外形を有し、
前記第2角部は、前記第2角部を始点とし前記第2角部の隣の角部を終点とする第1有向線分、および、前記第2角部を始点とし前記第2角部の隣の他の角部を終点とする第2有向線分によって規定され、
前記第4角部は、前記第4角部を始点とし前記第4角部の隣の角部を終点とする第3有向線分、および、前記第4角部を始点とし前記第4角部の隣の他の角部を終点とする第4有向線分によって規定され、
前記第2角部および前記第4角部のうちの一方の内角は、180度未満であり、他方の内角は、180度よりも大きく、
前記第3有向線分の方向は、前記第1有向線分の方向と同じであり、前記第4有向線分の方向は、前記第2有向線分の方向と同じである、請求項1に記載の発光装置。
【請求項14】
前記第2角部の内角は、90度である、請求項12または13に記載の発光装置。
【請求項15】
平面視において、前記第1接合領域の面積は、前記第1電極の下面の面積の0.8倍以上1.2倍以下である、請求項1から4、6から9、11から13のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項16】
平面視において、前記第1接合領域と、前記第1電極の下面とは、略同じ形状を有する、請求項1から4、6から9、11から13のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項17】
前記第1接合領域の外縁は、前記第1配線の側面で規定されている、請求項1から4、6から9、11から13のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項18】
前記第1配線は、前記第1接合領域を囲む壁部を含む、請求項1から4、6から9、11から13のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項19】
前記第1凸部の、前記第1接合領域の外縁からの高さは、前記壁部の、前記第1接合領域の外縁からの高さよりも大きい、請求項18に記載の発光装置。
【請求項20】
前記第1配線の上面は、前記第1接合領域を囲む溝部を含む、請求項1から4、6から9、11から13のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項21】
前記第1配線は、第1金属材料を含有する第1層と、前記第1層の上方に配置され、かつ、前記第1金属材料よりも前記第1接合部材に対する濡れ性の高い第2金属材料を含有する第2層と、を含み、
前記溝部の内側面は、前記第2層から前記第1層が露出された部分を含む、請求項20に記載の発光装置。
【請求項22】
前記第1配線における前記第1凸部の厚さは、前記第1配線の下面から前記第1接合領域のうち前記第1凸部を除く部分までの厚さよりも大きい、請求項1から4、6から9、11から13のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項23】
前記第1凸部を通り、かつ、前記基材の上面に垂直な断面において、前記第1凸部から前記第1接合領域の外縁までの距離は、前記第1凸部の幅よりも小さい、請求項1から4、6から9、11から13のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項24】
前記第1接合部材は、半田である、請求項1から4、6から9、11から13のいずれか1項に記載の発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記の特許文献1は、配線としての電極パターンが形成された基板上の発光素子を囲むように、光反射性の枠体を基板上に配置した発光装置を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
配線を有する基板上に発光素子を実装した発光装置においては、基板上の発光素子のアライメント精度に改善の余地がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示のある実施形態による発光装置は、基板と、発光素子と、第1接合部材とを備える。基板は、基材と、前記基材上に配置された第1配線とを有する。発光素子は、光取り出し面と、前記光取り出し面と反対側に位置する電極形成面と、前記電極形成面に配置された第1電極とを有する。発光素子は、前記第1電極の下面が前記第1配線の上面と対向するように前記基板上に配置される。第1接合部材は、前記第1電極の下面と、前記第1配線の上面の少なくとも一部である第1接合領域とを接合する。前記第1配線は、前記第1接合領域の内側に第1凸部を有する。平面視において、前記第1電極の下面は、第1角部を含む外形を有し、前記第1接合領域は、前記第1角部と重なる第2角部を含む外形を有する。
【発明の効果】
【0006】
本開示の実施形態によれば、より高い精度で基板上に実装された発光素子を含む発光装置を提供し得る。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第1の実施形態に係る発光装置を模式的に示す斜視図である。
【
図2】第1の実施形態に係る発光装置を模式的に示す斜視図である。
【
図3】第1の実施形態に係る発光装置を模式的に示す平面図である。
【
図4】
図3のIV-IV線における模式的な断面図である。
【
図5】
図3のV-V線における模式的な断面図である。
【
図6】第1の実施形態に係る発光装置の基板と、第1発光素子および第2発光素子とを示す模式的な分解斜視図である。
【
図7】第1の実施形態に係る発光装置の基材上の配線を示す模式的な平面図である。
【
図8】第1の実施形態に係る発光装置の基材上の配線と、第1発光素子の電極との位置関係を示す模式的な拡大平面図である。
【
図9】第1の実施形態に係る発光装置の、第1発光素子の第1電極および第2電極、ならびに、第1配線の第1接合領域および第2接合領域を模式的に示す分解斜視図である。
【
図10】第1の実施形態に係る発光装置の、第1発光素子の第1電極および第2電極、ならびに、第1配線の第1接合領域および第2接合領域を模式的に示す分解斜視図である。
【
図11】第1接合領域の外形および第1電極の下面の外形の組み合わせに関する他の例を示す模式的な平面図である。
【
図12】第1接合領域の外形および第1電極の下面の外形の組み合わせに関するさらに他の例を示す模式的な平面図である。
【
図13】第1接合領域の外形および第1電極の下面の外形の組み合わせに関するさらに他の例を示す模式的な平面図である。
【
図14】第1接合領域の外形および第1電極の下面の外形の組み合わせに関するさらに他の例を示す模式的な平面図である。
【
図15】第1接合領域の外形および第1電極の下面の外形の組み合わせに関するさらに他の例を示す模式的な平面図である。
【
図16】第1接合領域の外形および第1電極の下面の外形の組み合わせに関するさらに他の例を示す模式的な平面図である。
【
図17】第1接合領域の外形および第1電極の下面の外形の組み合わせに関するさらに他の例を示す模式的な平面図である。
【
図18】第1接合領域の外形および第1電極の下面の外形の組み合わせに関するさらに他の例を示す模式的な平面図である。
【
図19】第1接合領域の外形および第1電極の下面の外形の組み合わせに関するさらに他の例を示す模式的な平面図である。
【
図20】
図9~
図19の各図に示す第1接合領域の外形についての、各角部を指定するラベリングを示す図である。
【
図21】第1接合領域の外形、第1電極の外形、第2接合領域の外形および第2電極の外形の組み合わせに関する例を示す模式的な平面図である。
【
図22】第1接合領域の外形、第1電極の外形、第2接合領域の外形および第2電極の外形の組み合わせに関する他の例を示す模式的な平面図である。
【
図23】第1接合領域の外形、第1電極の外形、第2接合領域の外形および第2電極の外形の組み合わせに関するさらに他の例を示す模式的な平面図である。
【
図24】第1接合領域の外形、第1電極の外形、第2接合領域の外形および第2電極の外形の組み合わせに関するさらに他の例を示す模式的な平面図である。
【
図25】第1接合領域の外形、第1電極の外形、第2接合領域の外形および第2電極の外形の組み合わせに関するさらに他の例を示す模式的な平面図である。
【
図26】第1接合領域の外形、第1電極の外形、第2接合領域の外形および第2電極の外形の組み合わせに関するさらに他の例を示す模式的な平面図である。
【
図27】第1接合領域の外形、第1電極の外形、第2接合領域の外形および第2電極の外形の組み合わせに関するさらに他の例を示す模式的な平面図である。
【
図28】第1接合領域の外形、第1電極の外形、第2接合領域の外形および第2電極の外形の組み合わせに関するさらに他の例を示す模式的な平面図である。
【
図29】第1接合領域の外形、第1電極の外形、第2接合領域の外形および第2電極の外形の組み合わせに関するさらに他の例を示す模式的な平面図である。
【
図30】第1接合領域の外形、第1電極の外形、第2接合領域の外形および第2電極の外形の組み合わせに関するさらに他の例を示す模式的な平面図である。
【
図31】第1接合領域の外形、第1電極の外形、第2接合領域の外形および第2電極の外形の組み合わせに関するさらに他の例を示す模式的な平面図である。
【
図32】第1接合領域の外形、第1電極の外形、第2接合領域の外形および第2電極の外形の組み合わせに関するさらに他の例を示す模式的な平面図である。
【
図33】第1接合領域の外形、第1電極の外形、第2接合領域の外形および第2電極の外形の組み合わせに関するさらに他の例を示す模式的な平面図である。
【
図34】
図21~
図28の各図に示す、第1接合領域および第2接合領域の外形についての、各角部を指定するラベリングを示す図である。
【
図35】
図29~
図33の各図に示す、第1接合領域および第2接合領域の外形についての、各角部を指定するラベリングを示す図である。
【
図36】第2の実施形態に係る発光装置を模式的に示す断面図である。
【
図37】第2の実施形態に係る発光装置の基材上の配線が有する壁部の配置の例を示す模式的な拡大平面図である。
【
図38】第3の実施形態に係る発光装置を模式的に示す断面図である。
【
図39】
図38に示す第1配線の断面の一部を拡大して模式的に示す拡大断面図である。
【
図40】第3の実施形態に係る発光装置の基材上の配線に設けられる溝部の形状の例を示す模式的な平面図である。
【
図41】第3の実施形態に係る発光装置の第1配線のうち第1凸部とその周辺とを示す模式的な拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら、本開示の実施形態を詳細に説明する。以下の実施形態は、例示であり、本開示による発光装置は、以下の実施形態に限られない。例えば、以下の実施形態で示される数値、形状、材料、工程、その工程の順序等は、あくまでも一例であり、技術的に矛盾が生じない限りにおいて種々の改変が可能である。以下に説明する各実施形態は、あくまでも例示であり、技術的に矛盾が生じない限りにおいて種々の組み合わせが可能である。
【0009】
図面が示す構成要素の寸法、形状等は、分かりやすさのために誇張されている場合があり、実際の発光装置における寸法、形状および構成要素間の大小関係を反映していない場合がある。また、図面が過度に複雑になることを避けるために、一部の要素の図示を省略して模式的に示すことがある。
【0010】
以下の説明において、実質的に同じ機能を有する構成要素は共通の参照符号で示し、説明を省略することがある。以下の説明では、特定の方向または位置を示す用語(例えば、「上」、「下」、「右」、「左」およびそれらの用語を含む別の用語)を用いる場合がある。しかしながら、それらの用語は、参照した図面における相対的な方向または位置を分かりやすさのために用いているに過ぎない。参照した図面における「上」、「下」等の用語による相対的な方向または位置の関係が同一であれば、本開示以外の図面、実際の製品、製造装置等において、参照した図面と同一の配置でなくてもよい。本開示において「平行」とは、特に他の言及がない限り、2つの直線、辺、面等が0度から±5度程度の範囲にある場合を含む。また、本開示において「垂直」または「直交」とは、特に他の言及がない限り、2つの直線、辺、面等が90度から±5度程度の範囲にある場合を含む。
【0011】
(第1の実施形態)
図1~
図3は、本開示の第1の実施形態による発光装置の外観の一例を示す。
図1~
図3には、説明の便宜のために、互いに直交するX方向、Y方向およびZ方向を示す矢印をあわせて図示している。本開示の他の図面においてもこれらの方向を示す矢印を図示することがある。
【0012】
図1~
図3に示す発光装置100は、基板110と、基板110上の光反射性部材140と、第1透光性部材151と、第2透光性部材152とを有する。第1透光性部材151および第2透光性部材152は、それぞれ、上面51aおよび上面52aを有する。
図3に示すように、この例では、発光装置100の正面100aは、図のY方向と比較してX方向に延長された長方形状を有している。正面100aの長方形状の長辺および短辺は、ここでは、それぞれ、図のX方向およびY方向に平行である。
【0013】
図3に示すように、光反射性部材140は、第1透光性部材151および第2透光性部材152を取り囲む。第1透光性部材151の上面51aおよび第2透光性部材152の上面52aは、光反射性部材140から露出されている。
図3に例示する構成において、第1透光性部材151の上面51aおよび第2透光性部材152の上面52aは、図のY方向と比較してX方向に延長された矩形状を有する。
【0014】
図4および
図5は、発光装置100の断面を模式的に示す。
図4は、
図3のIV-IV断面を模式的に示し、
図5は、
図3のV-V断面を模式的に示す。発光装置100は、基板110上に少なくとも1つの発光素子を有する。
図4に示すように、ここでは、第1発光素子121および第2発光素子122の2つの発光素子が基板110上に配置されている。第1発光素子121および第2発光素子122の典型例は、青色光を出射するLEDである。
【0015】
第1発光素子121は、第1透光性部材151と基板110との間に位置する。第2発光素子122は、第2透光性部材152と基板110との間に位置する。
図4に示す例では、第1透光性部材151と第1発光素子121との間に第1波長変換部材141が配置されている。また、第2透光性部材152と第2発光素子122との間に第2波長変換部材142が配置されている。
【0016】
図4中に拡大して示すように、第1発光素子121は、第1透光性部材151に近い側に位置する光取り出し面121aと、光取り出し面121aとは反対側(すなわち基板110側)に位置する電極形成面121bとを有する。第1発光素子121は、さらに、第1電極21および第2電極22を電極形成面121bに有する。第2電極22は、第1電極21から図のX方向に離隔して電極形成面121bに配置される。これらの電極は、第1発光素子121のアノードおよびカソードとして機能する。
【0017】
同様に、第2発光素子122は、第2透光性部材152に近い側に位置する光取り出し面122aと、光取り出し面122aとは反対側に位置する電極形成面122bとを有する。第2発光素子122の電極形成面122bには、第1電極23および第2電極24が配置されている。第2電極24は、第1電極23に対して図のX方向に離隔している。
【0018】
基板110は、上面10aおよび下面10bを有する基材10と、上面10aに配置された第1配線11および第2配線12とを含んでいる。
図4中に拡大して示すように、第1発光素子121は、第1接合部材161および第2接合部材162により基板110上に実装される。第1接合部材161は、第1発光素子121の第1電極21と基板110の第1配線11との間に位置し、第2接合部材162は、第1発光素子121の第2電極22と基板110の第2配線12との間に位置する。
【0019】
この例では、基板110は、基材10の上面10aに配置された第3配線13および第4配線14をさらに含む。
図4に示すように、第2発光素子122は、第3接合部材163および第4接合部材164により基板110上に実装される。第3接合部材163は、第2発光素子122の第1電極23と基板110の第3配線13との間に位置し、第4接合部材164は、第2発光素子122の第2電極24と基板110の第4配線14との間に位置する。
【0020】
図6は、発光装置100のうち、
図4に示す基板110、第1発光素子121および第2発光素子122を取り出して示す。
図6に分解して模式的に示すように、第1発光素子121は、第1電極21の下面21bが基板110の第1配線11の上面11aに対向し、第2電極22の下面22bが基板110の第2配線12の上面12aに対向するようにして基板110に実装される。同様に、第2発光素子122は、第1電極23の下面23bが基板110の第3配線13の上面13aに対向し、第2電極24の下面24bが基板110の第4配線14の上面14aに対向するようにして基板110に実装される。
【0021】
図7は、基材上の配線の配置の例を示す。
図7に例示する構成において、第1配線11、第2配線12、第3配線13および第4配線14は、図のX方向に直線状に配置されている。第2配線12は、第1配線11からX方向に離隔して配置されることにより第1配線11から電気的に分離され、第4配線14は、第3配線13からX方向に離隔して配置されることにより第3配線13から電気的に分離されている。なお、この例では、第2配線12と第3配線13とは、相対的に幅(図のY方向における幅)の小さな中間部15により互いに電気的に接続されている。
【0022】
基材10の上面10aの法線方向(ここでは図のZ方向)に見たとき、この例では、第1配線11は、X方向に相対的に長い概ね長方形状の基部11bと、基材10の上面10aの外縁に向かって-X方向に延びる延出部11eとを含む。延出部11eは、図のY方向に関し、基部11bと比較して小さな幅を有する。第2配線12および第3配線13は、それぞれ、基部12bおよび基部13bを含む。基部12bおよび基部13bのいずれも、X方向に相対的に長い概ね長方形状を有する。第4配線14は、第1配線11と同様に、X方向に相対的に長い概ね長方形状の基部14bと、基材10の上面10aの外縁に向かって+X方向に延びる延出部14eとを含む。延出部14eのY方向における幅は、基部14bのY方向における幅と比較して小さい。
【0023】
図7中、網掛けの付された領域は、基材10上の配線のうち接合部材(
図4に示す第1接合部材161~第4接合部材164)の位置する領域を模式的に示す。例えば第1配線11に注目すると、この例において第1接合部材161は、概ね長方形状を有する基部11bの上面の全体を覆うように第1配線11上に配置される。以下では、第1配線11の上面11a(基材10から遠い側の面)のうち第1接合部材161に接する領域を「第1接合領域R1」と呼ぶ。第1接合領域R1は、第1接合部材161を基材10の上面10aの法線方向に第1配線11の上面11aに投影した領域であるともいえる。ここでは、第1接合領域R1は、第1配線11の基部11bの平面視形状と同様の概ね長方形状を有している。すなわち、この例において、第1接合領域R1の外縁は、第1配線11の側面11c(
図5参照)で規定されているといえる。第1接合領域R1は、第1電極21の下面21bを図のZ方向に垂直な平面に投影した図形の輪郭とほぼ同様の外形を有していてもよい。
【0024】
同様に、以下では、第2配線12の上面12aのうち第2接合部材162に接する領域を「第2接合領域R2」と呼ぶ。
図7中に網掛けにより模式的に示すように、ここでは、第2接合領域R2も、第2配線12の基部12bの平面視形状と同様の概ね長方形状を有している。第2接合領域R2の外縁は、第2配線12の側面で規定されているといってよい。
【0025】
また、以下では、第3配線13の上面13aのうち第3接合部材163に接する領域を「第3接合領域R3」と呼び、第4配線14の上面14aのうち第4接合部材164に接する領域を「第4接合領域R4」と呼ぶことがある。
図7に示す例において、第3接合領域R3および第4接合領域R4は、第3配線13の基部13bの平面視形状および第4配線14の基部14bの平面視形状とそれぞれ同様の概ね長方形状を有している。
【0026】
第1配線11は、平面視において第1接合領域R1の内側に位置する第1凸部11pを有する。ここで、本明細書における「平面視」とは、図のZ方向に見たとき、換言すれば、基材10の上面10aの法線方向に見たとき、を意味する。第1凸部11pは、第1配線11のうち、基部11bから第1発光素子121に向かって盛り上がった部分である。
図7に示す例において、第1凸部11pは、基部11b上に位置し、図のX方向に長い長方形状を有する。
【0027】
第1接合領域R1は、少なくとも、基部11bの上面と、第1凸部11pの上面とを含む。第1凸部11pが例えば四角錐台形状を有している場合には、第1接合領域R1は、基部11bの上面および第1凸部11pの上面に加えて、第1凸部11pの側面もその一部に含み得る。
【0028】
ここでは、第2配線12も同様に、長方形状の第2凸部12pを基部12b上に有する。第2凸部12pは、平面視において第2接合領域R2の内側に位置する。さらにこの例では、第3配線13および第4配線14も、長方形状の第3凸部13pおよび第4凸部14pをそれぞれ有している。第3凸部13pは、第3配線13の基部13b上であって第3接合領域R3の内側に位置する。第4凸部14pは、第4配線14の基部14b上であって第4接合領域R4の内側に位置する。
【0029】
図8は、基材上の配線と、第1発光素子の電極との間の配置の例を模式的に示す。
図8では、基材10の上面10aに平行な平面に第1発光素子121の第1電極21の下面21bおよび第2電極22の下面22bを投影した図形を二点鎖線により描いている。すなわち、
図8は、平面視における、基材10上の第1配線11および第2配線12と、第1発光素子121の第1電極21および第2電極22との間の重なりの様子を模式的に表している。なお、
図8では、第1配線11の第1接合領域R1および第2配線12の第2接合領域R2を網掛けにより示している。
【0030】
図8に例示するように、本実施形態では、第1電極21の下面21bは、平面視において概ね長方形状を有し、その外形は、第1角部としての角部c1を含む。また、ここでは、平面視において、第1配線11の第1接合領域R1の外形は、第1配線11の基部11bの外形と概ね一致した長方形状を有している。第1接合領域R1の外形は、第2角部としての角部c2を含む。
【0031】
図8に例示する構成において、第1接合領域R1の外形は、概ね長方形状であり、角部c2は、長方形状の4つの角部のうちの1つである。他方、この例では、第1電極21の下面21bは、角が丸められた長方形の一辺に窪みを設けたような外形を有している。本明細書における「角部」は、配線または電極の外形において2つの辺が接続される部分だけでなく、配線または電極の外形において屈曲している部分をも包含するように解釈される。本明細書における「角部」には、
図8に示す例の角部c1のように、2つの辺が接続される部分に丸みが形成されているような形状を有する部分も含まれる。基材10上の配線の接合領域(例えば第1接合領域R1)の外形、あるいは、発光素子の電極の下面(例えば下面21b)の外形のうち、注目した角部が、2つの辺(直線に限定されず少なくとも一方が曲線であり得る)の接続部分として形成される形状である場合、「角部」を「頂点」と読み替えてもよい。
【0032】
図8中に拡大して模式的に示すように、本実施形態において、第1接合領域R1の角部c2は、平面視において第1電極21の下面21bの角部c1と重なりを有する。ただし、
図8等の図面上では、分かりやすさのために、角部c1の位置と、角部c2の位置とをわずかにずらして第1電極21および第1接合領域R1の外形を描いている。
【0033】
後述するように、第1接合部材161は、例えば半田であり、リフローの工程(reflow soldering process)を経ることにより、第1電極21の下面21bと、第1配線11の上面11aの一部である第1接合領域R1とを互いに接合する。このとき、第1接合部材161中の材料の溶融により、表面張力を利用して、第1発光素子121を基板110の上方の所定の位置に実装することができる。このような、溶融した材料の表面張力を利用した位置合わせは、セルフアラインメントと呼ばれる。
【0034】
本発明者は、第1電極21の下面21bおよび第1配線11の第1接合領域R1が、それぞれ、角部c1および角部c2を含むような外形を有するようにし、平面視においてこれらの角部が重なるようにすることにより、セルフアラインメントの効果をより強力に発揮させ得ることを見出した。より強力なセルフアラインメントの効果の発揮は、より高い精度での基板110への第1発光素子121の実装を可能にする。
【0035】
さらに、本開示の典型的な実施形態では、第1接合部材161によって第1発光素子121の第1電極21に電気的および機械的に結合される第1配線11が第1接合領域R1の内側に第1凸部11pを有している。第1接合領域R1の内側に第1凸部11pを配置することにより、セルフアラインメントの効果を発揮させながら、第1接合部材161の量を低減し得る。第1接合部材161の量の低減は、製造コストの低減に貢献する。また、後述するように、第1接合領域R1の内側に第1凸部11pを配置することにより、第1接合部材161を介した接合により第1発光素子121にかかる応力を緩和し得る。すなわち、発光装置100の信頼性向上の効果も期待できる。
【0036】
第1配線11の第1凸部11pの数は、2以上であってもよい。第2配線12も同様に、2以上の第2凸部12pを有していてもよい。同様に、第3配線13が2以上の第3凸部13pを有していてもよいし、第4配線14が2以上の第4凸部14pを有していてもよい。
【0037】
図8に例示する構成において、第1電極21の下面21bの外形は、第3角部としての角部c3をさらに含んでいる。また、第1接合領域R1の外形は、第4角部としての角部c4をさらに含んでいる。
図8中に拡大して模式的に示すように、この例において、第1接合領域R1の外形の角部c4は、第1電極21の下面21bの外形の角部c3と平面視において重なっている。
【0038】
平面視において第1電極21の下面21bの第1角部に重なる第2角部を第1接合領域R1の外形に含ませることに加えて、第1電極21の下面21bの第3角部に重なる第4角部を第1接合領域R1の外形に含ませることにより、さらに強力なセルフアラインメントの効果を期待できる。以下、各角部の有利な形状をより詳細に説明する。
【0039】
図9および
図10は、
図1に示す発光装置100から第1発光素子の第1電極21と、第1配線11の第1接合領域R1とを取り出してこれらの例示的な形状および配置関係を模式的に示す。
図9に太い実線の矢印で示すように、第1接合領域R1の角部c2は、角部c2を始点とする2つの有向線分すなわち第1有向線分DS1および第2有向線分DS2により規定される。第1有向線分DS1は、角部c2から、第1接合領域R1の外形のうち角部c2の隣の角部d1に延びる。第2有向線分DS2は、角部c2から、第1接合領域R1の外形のうち角部c2の隣の他の角部d2に延びる。
図7および
図8から理解されるように、ここでは、平面視において第1接合領域R1は、矩形である。第1有向線分DS1と第2有向線分DS2とがなす角によって規定される、角部c2の内角θ2は、90度である。
【0040】
図10を参照する。
図10に太い実線の矢印で示すように、第1接合領域R1の角部c4は、それぞれが角部c4を始点とする第3有向線分DS3および第4有向線分DS4により規定される。第3有向線分DS3は、角部c4から、第1接合領域R1の外形のうち角部c4の隣の角部(ここでは角部d2)に延びる。
図10に示す例では、第4有向線分DS4の終点は、上述の角部d1である。
【0041】
セルフアラインメントの効果を有効に発揮させる観点からは、第1有向線分DS1~第4有向線分DS4の4つのそれぞれの方向が、
図9および
図10に示す例のように互いに異なっていると有益である。
図9および
図10に示す例では、第1有向線分DS1の方向を+X方向、第2有向線分DS2の方向を、第1有向線分DS1の方向に直交する-Y方向としたとき、第3有向線分DS3の方向は、-X方向であり、第4有向線分DS4の方向は、+Y方向となっている。
【0042】
ここでは、第1接合領域R1の角部c2および角部c4は、第1接合領域R1の長方形状の対角に位置している。角部c2および角部c4を矩形状の対角に配置することにより、セルフアラインメントの効果をより効果的に発揮させることが可能になる。
【0043】
図11~
図19は、第1接合領域の平面視形状および第1電極の平面視形状の組み合わせに関する他の例を示す。
図11~
図19では、図のZ方向に見たときの第1接合領域R1の例示的な外形と、第1電極21の下面21bの例示的な外形とを模式的に示している。ただし、理解の容易のために、これらの図では、第1電極21の位置を第1接合領域R1の位置からずらしてこれらの外形を描いている。
【0044】
図12~
図14に例示するように、平面視における第1接合領域R1の外形は、長方形に代表される矩形状に限定されず、凹多角形等であってもよい。平面視において、第1接合領域R1の外形および第1電極21の下面21bの外形は、
図12に示す例のように合同または相似であってもよいし、あるいは、互いに異なっていてもかまわない。
【0045】
平面視における第1接合領域R1の面積は、第1電極21の下面21bの面積と同じであってもよいし、異なっていてもよい。平面視における第1接合領域R1の面積は、第1電極21の下面21bの面積の例えば0.8倍以上1.2倍以下の範囲である。
【0046】
角部c2の内角θ2も、90度に限定されず、0度超180度未満の任意の角度であり得る。
図15および
図16に示す、第1接合領域R1の外形は、内角θ2を0度超90度未満とした例である。このとき、第3有向線分DS3と第4有向線分DS4とがなす角によって規定される、角部c4の内角θ4も、0度超180度未満の任意の角度であってよい。
図15および
図16は、内角θ4を0度超90度未満とした例である。
【0047】
図17は、内角θ2を90度超180度未満とした形状の例を示している。
図18は、内角θ2および内角θ4の両方を90度超180度未満とした形状の例を示している。あるいは、これら内角θ2および内角θ4の一方または両方は、180度超360度未満の任意の角度であってもよい。
【0048】
図19に示す例のように、第1接合領域R1の角部c2および角部c4のうちの一方の内角を180度未満とし、他方の内角を180度よりも大きくしてもよい。この例では、角部c2の内角θ2は、90度であり、角部c4の内角θ4は、270度である。
図19に例示する構成において、第3有向線分DS3の方向は、第1有向線分DS1の方向と同じであり、第4有向線分DS4の方向は、第2有向線分DS2の方向と同じである。
【0049】
第1接合領域R1の外形は、一般に、3以上の角部を含む。
図14と
図19との比較からわかるように、第1接合領域R1の外形に含まれる複数の角部のうち、第1電極21の下面21bの角部c1と重なるべき角部c2および第1電極21の下面21bの角部c3と重なるべき角部c4の選び方は、一意ではない。
【0050】
例えば、
図9、
図10および
図13に示す、第1接合領域R1の外形について、
図20に示すように、第1接合領域R1の外形の各角部を時計回りにN1、N2、N3、N4とラベリングしたとする。また、このとき、セルフアラインメントの利用に効果的な角部c2および角部c4の組み合わせを(Ni,Nj)のように表現したとする(iおよびjは、それぞれ独立に整数1~4のいずれかを示す)。例えば(N1,N3)は、
図20においてN1の位置にある角部を第2角部に選び、N3の位置にある角部を第4角部に選んだときの、角部c2および角部c4の選び方を表す。
【0051】
以下は、
図9~
図19の各図に示す第1接合領域R1の外形についての、セルフアラインメントの効果の発揮に有利な組み合わせの例を示す。
図9、
図10、
図13に示す外形:(N1,N3)、(N2,N4)
図15に示す外形:(N1,N3)
図17に示す外形:(N1,N3)
図11、
図12に示す外形:(N1,N5)
図16に示す外形:(N2,N4)
図18に示す外形:(N2,N5)、(N3,N6)
図14、
図19に示す外形:(N1,N7)、(N1,N8)
【0052】
第2電極22の下面22bの外形と、第2接合領域R2の外形との間に、第1電極21の下面21bの外形における第1角部および第1接合領域R1の外形における第2角部と同様の、平面視において互いに重なる位置への角部の配置を適用してもよい。これにより、第2電極22と第2接合領域R2との間にもセルフアラインメントの効果を発揮させ、より精度よく第1配線11および第2配線12上に第1発光素子121を配置し得る。これに加えて、第1電極21の下面21bの外形における第3角部および第1接合領域R1の外形における第4角部と同様に、平面視において互いに重なる角部のさらなる組を第2電極22の下面22bの外形と、第2接合領域R2の外形との間に設けてもよい。第2電極22の下面22bの外形と、第2接合領域R2の外形との間に、平面視において互いに重なる角部の組を複数設けることによって、より強力なセルフアラインメントの発揮を期待できる。
【0053】
以下に説明するように、第1電極21の下面21bの外形と、第1接合領域R1の外形との間に平面視において互いに重なる角部の組を設けることに加えて、第2電極22の下面22bの外形と、第2接合領域R2の外形との間に平面視において互いに重なる角部の組を設けてもよい。
【0054】
図21~
図32は、第1接合領域の平面視形状、第1電極の平面視形状、第2接合領域の平面視形状および第2電極の平面視形状の組み合わせに関する例を示す。
図11~
図19と同様に、
図21~
図32では、第1電極21および第2電極22の位置をそれぞれ第1接合領域R1および第2接合領域R2の位置からずらしてこれらの外形を描いている。
【0055】
図21は、第1接合領域R1の外形および第1電極21の下面21bの外形、ならびに、第2接合領域R2の外形および第2電極22の下面22bの外形をいずれも図のX方向に長い矩形とした例である。
図21は、平面視における第1接合領域R1の形状と、第1電極21の下面21bの形状とを同じとし、第2接合領域R2の形状と、第2電極22の下面22bの形状とを同じとした例である。
【0056】
図21に例示する構成において、第1接合領域R1の外形は、平面視において第1電極21の下面21bの角部c1に重なる、第2角部としての角部c2を含んでいる。
図11~
図19を参照しながら説明した例と同様に、
図21に示す第1接合領域R1の角部c2は、角部c2を始点とし角部c2の隣の角部を終点とする第1有向線分DS1と、角部c2を始点とし角部c2の隣の他の角部を終点とする第2有向線分DS2とによって規定される。
【0057】
図21に示す例では、さらに、第2電極22の下面22bの外形は、角部c3を含んでおり、第2接合領域R2の外形は、平面視において角部c3に重なる、第4角部としての角部c4を含んでいる。
図21に模式的に示すように、第2接合領域R2の角部c4は、角部c4を始点とし角部c4の隣の角部を終点とする第3有向線分DS3と、角部c4を始点とし角部c4の隣の他の角部を終点とする第4有向線分DS4とによって規定される。この例において、角部c2の内角θ2および角部c4の内角θ4の大きさは、いずれも90度である。
【0058】
図22は、第1接合領域R1の面積を第1電極21の下面21bの面積よりも大きくし、かつ、第2接合領域R2の面積を第2電極22の下面22bの面積よりも大きくした構成の例である。
図21および
図22に示すように、典型的には、これら第1有向線分DS1、第2有向線分DS2、第3有向線分DS3および第4有向線分DS4のそれぞれの方向は、互いに異なる。
【0059】
他方、
図23は、第1接合領域R1の面積を第1電極21の下面21bの面積よりも小さくし、かつ、第2接合領域R2の面積を第2電極22の下面22bの面積よりも小さくした構成の例である。
図23に示す例では、第1有向線分DS1の方向は、+X方向であり、第2有向線分DS2の方向は、-Y方向である。第3有向線分DS3の方向は、-X方向であり、第4有向線分DS4の方向は、+Y方向である。この例では、第2接合領域R2の外形の角部のうち、第2角部としての角部c2から最も離れた位置にある1つを第4角部としての角部c4としている。第2角部と第4角部との間の距離をなるべく大きくすることは、第1接合領域R1および第2接合領域R2を比較的小さくした構成においてセルフアラインメントの効果を有利に発揮させる観点からは有益である。
【0060】
図24に示す例では、第1接合領域R1および第2接合領域R2のY方向における幅が、それぞれ、第1電極21および第2電極22のY方向における幅の半分程度とされている。さらに、
図24中に実線の矢印Ar1で示すように、第1接合領域R1は、角部c2が第1電極21の角部c1に重なるように、第2接合領域R2の位置に対して+Y方向にオフセットされている。なお、
図25および
図26に例示するように、本開示の実施形態において、第1電極21の下面21bの外形および第2電極22の下面22bの外形が第1接合領域R1の外形および第2接合領域R2の外形にそれぞれ合同または相似であることは、必須ではない。
【0061】
図27は、第2角部としての角部c2および第4角部としての角部c4の内角をいずれも90度よりも大きくした例である。
図28に例示するように、第2角部としての角部c2および第4角部としての角部c4の内角をいずれも180度よりも大きくしてもよい。
【0062】
これとは逆に、第2角部としての角部c2の内角および第4角部としての角部c4の内角の一方または両方を180度未満としてもよい。
図29に示す例および
図30に示す例は、いずれも、第2角部としての角部c2および第4角部としての角部c4の内角の両方を90度未満とした構成である。
図31に例示するように、角部c2および角部c4のうちの一方の内角を180度未満とし、他方の内角を180度よりも大きくしてもよい。
図31に示す例では、角部c2の内角θ2は、90度であり、他方、角部c4の内角θ4は、270度である。この例において、第3有向線分DS3の方向は、第1有向線分DS1の方向と同じであり、第4有向線分DS4の方向は、第2有向線分DS2の方向と同じである。
【0063】
図32は、第1電極21の下面21bの外形の一部を櫛歯状とした例を示す。第1電極21の下面21bの外形と第2電極22の下面22bの外形とを互いに異ならせることは、第1電極21および第2電極22のいずれが正極(または負極)であるかの識別を容易にする。
図33に示すように、第1電極21と第2電極22との間で電極面積を異ならせてもよい。
図33では、第1電極21は、第2電極22を取り囲む形状とされ、第1電極21が比較的大きな面積のランドを2つ含むことに対応して、第1接合領域R1は、領域R11および領域R12の2つの部分を含んでいる。
【0064】
第2接合領域R2の外形に第4角部としての角部c4を含ませることにより、第1発光素子121の第1電極21および第2電極22の両方に対してセルフアラインメントの効果を発現させ得る。よって、より高い精度で第1発光素子121を基板110上に実装しやすい。
【0065】
第1接合領域R1の外形に含まれる複数の角部のうち第2角部としての角部c2の位置、および、第2接合領域R2の外形に含まれる複数の角部のうち第4角部としての角部c4の位置は、
図21~
図33に示した例に限定されない。第2角部としての角部c2の位置および第4角部としての角部c4の位置の選択には、ある程度の任意性がある。
【0066】
図21~
図33の各図に示す、第1接合領域R1および第2接合領域R2の外形について、
図34および
図35に示すように、第1接合領域R1および第2接合領域R2の外形の各角部をN1、N2、N3、・・・とラベリングしたとする。以下は、第1接合領域R1および第2接合領域R2の外形についての、セルフアラインメントの効果の発揮に有利な組み合わせの例を示す。
図21、22に示す外形:(N3,N5)、(N2,N8)、(N1,N7)、(N4,N6)
図23、24に示す外形:(N1,N7)、(N4,N6)
図25に示す外形:(N3,N4)、(N2,N6)
図26に示す外形:(N1,N11)、(N6,N10)
図27に示す外形:(N2,N8)
図28に示す外形:(N3,N8)、(N1,N8)、(N3,N10)
図29に示す外形:(N4,N6)
図30に示す外形:(N2,N4)
図31に示す外形:(N1,N20)
図32に示す外形:(N1,N7)
図33に示す外形:(N1,N11)、(N2,N12)
【0067】
(第2の実施形態)
図36は、本開示の第2の実施形態による発光装置の例示的な断面を模式的に示す。
図36に示す断面は、
図5に示す例と同様に、発光装置をYZ面に平行に切断したときの断面に相当する。
【0068】
図1~
図5を参照しながら説明した発光装置100と比較して、
図36に示す発光装置100Aは、基板110に代えて、基材10をその一部に含む基板110Aを有する。基板110Aは、第1配線11に代えて、第1配線11Aを基材10の上面10aに有する。
【0069】
図36中に拡大して示すように、第1配線11Aは、基部11bおよび基部11b上の第1凸部11pに加えて、第1接合領域R1の外側に位置する壁部11wをさらに含んでいる。
図36に示す例において、壁部11wの上面11waは、第1凸部11pの上面11paよりも低い位置にある。換言すれば、
図36に示す例において、第1接合領域R1の外縁の位置を基準としたとき、第1凸部11pの高さHp(基部11bの上面11baから第1凸部11pの上面11paまでのZ方向における距離といってもよい)は、壁部11wの高さHwよりも大きい。壁部11wの高さHwよりも第1凸部11pの高さHpを大きくすることにより、セルフアラインメントの効果を得ながら、第1電極21と第1配線11Aとの間に位置する第1接合部材161の体積を低減することが可能になる。すなわち、製造コスト低減の効果が得られる。
【0070】
図36に模式的に示すように、第1接合部材161は、壁部11wの上面11wa上には位置しない。すなわち、壁部11wは、リフロー等の工程において第1接合部材161を第1接合領域R1上に留める機能を有し、したがって、壁部11wの配置により、第1接合領域R1の平面視形状を画定させることが可能である。
【0071】
図37は、第1配線の壁部の配置の例を示す。
図37は、基材10の上面10aの法線方向に見たときの、上面10a上の配線の配置および形状を模式的に示しており、ここでは、上面10a上には、第1配線11Aに加えて、壁部12wを有する第2配線12Aが配置されている。
【0072】
図37では、第1接合領域R1および第2接合領域R2の範囲を網掛けにより示している。
図37に例示する構成において、第1配線11Aの壁部11wは、平面視において第1接合領域R1を取り囲んでいる。換言すれば、第1配線11Aの壁部11wは、第1配線11Aの上面に含まれる第1接合領域R1の範囲を規定している。この例では、第1接合領域R1は、第1凸部11pの上面11paと、基部11bの上面11baとを合わせた領域である。同様に、この例では、第2配線12Aの壁部12wは、平面視において第2接合領域R2を取り囲むようにして第2配線12Aに設けられている。
【0073】
第1配線11Aに壁部11wを設けることにより、例えばリフローにより溶融された半田を壁部11wで取り囲まれた領域に留めることができ、効果的にセルフアラインメントの効果を発揮させ得る。なお、壁部11wの形状は、第1接合領域R1を連続的に取り囲む形状に限定されず、溶融された半田に対してダムの機能を果たすことができれば、切れ目を有する形状等であってもよい。
【0074】
図36および
図37に示す例では、図のY方向に関し、第1凸部11pから第1接合領域R1の外縁までの距離W2は、第1凸部11pの幅W1よりも小さくされている。基材10の上面10aに垂直な断面において、距離W2を第1凸部11pの幅W1よりも小さくすることにより、第1接合領域R1に占める第1凸部11pの割合を増大でき、第1接合部材161を介した接合により第1発光素子121にかかる応力を緩和し得る。
【0075】
距離W2は、例えば30μm程度であり得る。図のY方向だけでなく、図のX方向についても同様の関係が成立していてもよい。あるいは、これとは逆に、図のX方向および図のY方向の一方または両方において、W2>W1の関係が成立してもよい。距離W2を幅W1よりも大きくすることにより、第1接合領域R1に占める、基部11bの上面11baの割合を増大でき、セルフアラインメントの効果をより効果的に発現させ得る。第2凸部12pから第2接合領域R2の外縁までの距離と第2凸部12pの幅との間に、第1凸部11pから第1接合領域R1の外縁までの距離と第1凸部11pの幅との間と同様の関係が成立していてもよい。
【0076】
(第3の実施形態)
図38は、本開示の第3の実施形態による発光装置の例示的な断面を模式的に示す。
図38に示す断面は、
図5、
図36に示す例と同様に、発光装置をYZ面に平行に切断したときの断面に相当する。
【0077】
図36を参照しながら説明した発光装置100Aと比較して、
図38に示す発光装置100Bは、第1配線11Aを有する基板110Aに代えて、第1配線11Bを有する基板110Bを含んでいる。第1配線11Bは、基部11dおよび基部11d上の第1凸部11pを含む一方で、第1配線11Aの壁部11wに相当する構造を有しない。
図38中に拡大して示すように、第1配線11Bの基部11dは、その上面11daに溝部11gを有する。
【0078】
図39は、
図38に示す第1配線の断面の一部を拡大して模式的に示す。
図39に示す例において、第1配線11Bは、第1層1dと、第1配線11Bの最表面に位置する第2層2dとを含んでいる。第1層1dおよび第2層2dは、それぞれ、第1金属材料および第2金属材料を含有する。第2金属材料としては、第1金属材料よりも第1接合部材に対する濡れ性の高い材料が用いられる。第1接合部材161の材料が例えばAu-Sn系半田である場合、第1金属材料としてCuを選択し、第2金属材料としてAuを選択することができる。
【0079】
図39に示すように、溝部11gは、第2層2dから第1層1dの内部に達し得る。
図39に示す例において、溝部11gは、V溝であり、互いに対向する2つの内側面11gsを有する。溝部11gの内部に注目すると、各内側面11gsの一部に、第1層1dを構成する第1金属材料が現れている。すなわち、内側面11gsのそれぞれは、第2層2dから第1層1dが露出された部分を含んでいる。
【0080】
上述したように、本実施形態では、第2層2dを構成する第2金属材料として、第1接合部材161に対して第1金属材料よりも高い濡れ性を示す材料を選択する。第1層1dおよび第2層2dを含む積層構造を基材10の上面10aに配置した後に、積層構造に溝部11gを設けることにより、溝部11gの内部において第1層1dの一部を露出させることができる。その後、第2層2d上に第1接合部材161の材料を配置してリフロー等によりこの材料を溶融させると、第1金属材料と第2金属材料の間の濡れ性の違いを利用して、溶融した材料を第2層2d上に留めることが可能である。言い換えれば、第1配線11Bの基部11dの表面に現れた溝部11gの開口の位置で第1接合領域R1の範囲を画定させ得る。
【0081】
図40は、溝部の形状の例を示す。
図40に示す例では、第1配線11Bに加えて、上面12daに溝部12gが設けられた基部12dを含む第2配線12Bも基材10の上面10a上に配置されている。
【0082】
上述の
図37と同様に、
図40では、第1接合領域R1および第2接合領域R2の範囲を網掛けにより示している。ここでは、第1配線11Bの溝部11gおよび第2配線12Bの溝部12gは、それぞれ、第1凸部11pおよび第2凸部12pを取り囲む形状を有する。
図40に示す例において、第1接合領域R1は、平面視において溝部11gに囲まれた領域であり、第2接合領域R2は、平面視において溝部12gに囲まれた領域である。
【0083】
第1配線11Bに溝部11gを設けることにより、第1配線11Aに壁部11wを設けた構成と同様に、例えばリフローにより溶融された半田を溝部11gで取り囲まれた領域に留め得る。すなわち、溶融された半田が流れる範囲を画定でき、効果的にセルフアラインメントの効果を発揮させ得る。溝部11gの形状は、溶融された半田を所期の範囲に留めることが可能な限りにおいて、第1接合領域R1を連続的に取り囲む形状に限定されず、互いに分離された複数の部分を含んでいてもよい。
【0084】
図39に示す例では、第1配線11Bは、第1層1dおよび第2層2dに加えて、これらの層の間に位置する中間層3dをさらに含んでいる。中間層3dは、例えば第3金属材料としてのNiを含有し、第1凸部11pをエッチングによって形成する場合には、中間層3dをエッチャントに対するバリア層として機能させ得る。なお、例えばめっきにより基部11b上に第1凸部11pを形成する場合には、中間層3dとしてのNi層は、省略され得る。
【0085】
図41は、第1配線のうち第1凸部およびその周辺の断面を拡大して模式的に示す。
図41に例示する構成において、第1凸部11pは、第1配線11Bの基部11dの上面11daよりも上にある部分であるといえる。なお、この例では、第1凸部11pの最表面には、第1接合部材161に対する濡れ性が相対的に高い第2金属材料を含有する第2層2dが位置している。
【0086】
本開示の典型的な実施形態では、第1凸部11pの厚さは、第1配線の下面から第1接合領域R1のうち第1凸部11pを除く部分までの厚さよりも大きい。
図41に示す例でいえば、基部11dの上面11daから第1凸部11pの上面11paまでのZ方向における距離をT1、基材10の上面10aに対向する、基部11dの下面11dbから、基部11dの上面11daまでのZ方向における距離をT2としたとき、T1>T2の関係が成立し得る。例えば、距離T1は、30μm程度、距離T2は、20μm程度であり得る。
【0087】
第1配線全体の厚さに占める第1凸部11pの厚さを相対的に大きくすることにより、セルフアラインメントの効果を得ながら、第1発光素子121の実装に要求される第1接合部材161の量を低減可能である。すなわち、発光装置の製造コストを低減し得る。
【0088】
以下、
図1~
図5に示す発光装置100を主に例にとり、発光装置中の各部材の詳細を説明する。
【0089】
(基板110)
基板110は、発光素子が載置される部材である。基板110は、少なくとも、基材10と、基材10の上面10aに配置され、発光素子と電気的に接続される上面配線を有する。発光装置100における上面配線は、例えば、第1発光素子121が配置される第1配線11および第2配線12と、第2発光素子122が配置される第3配線13および第4配線14とを含む。また、基板110は、基材10の下面10bに下面配線を有し得る。下面配線は、ビアホールを介して上面配線に電気的に接続される。
【0090】
基材10の材料の例は、樹脂セラミックスおよびガラス等の絶縁性部材である。基材10は、繊維強化樹脂から構成されていてもよい。基材10の材料に用いる樹脂の例は、エポキシ、ガラスエポキシ、ビスマレイミドトリアジン(BT)、ポリイミド等である。セラミックスとしては、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化ジルコニウム、窒化ジルコニウム、酸化チタンもしくは窒化チタン、または、これらの混合物等を用いることができる。
【0091】
上面配線および下面配線は、例えば、銅、鉄、ニッケル、タングステン、クロム、アルミニウム、銀、金、チタン、パラジウムもしくはロジウム、または、これらの合金から構成することができる。上面配線および下面配線は、これらの金属または合金を含む単層構造であってもよいし多層構造を有していてもよい。
【0092】
(発光素子111、112)
発光素子は、例えば窒化物半導体から構成され、電流の投入により発光する半導体素子である。発光素子として、例えばLEDチップを用いることができる。
【0093】
平面視における発光素子の形状は、矩形、特に正方形あるいは一方向に長い長方形であることが好ましい。ただし、平面視における発光素子の形状は、これらに限定されずその他の形状であってもよい。発光素子の側面は、発光素子の上面に対して垂直であってもよいし、発光素子の内側または外側に向かって傾斜していてもよい。
【0094】
発光素子は、上面とは反対側に位置する電極形成面である下面に電極を有する。上述の実施形態において、発光装置100は、第1発光素子121と、第2発光素子122とを含んでおり、第1発光素子121の電極形成面121bに第1電極21と第2電極22とが配置され、第2発光素子122の電極形成面122bに第1電極23と第2電極24とが配置されている。これらの電極は、例えば、金、銀、錫、白金、ロジウム、チタン、アルミニウム、タングステン、パラジウムもしくはニッケル、または、これらの合金等から構成することができる。
【0095】
(接合部材161~164)
接合部材は、発光素子の電極と上面配線とを電気的に接続する部材である。例えば、発光装置100における接合部材は、第1配線11上に配置される第1接合部材161と、第2配線上に配置される第2接合部材162と、第3配線上に配置される第3接合部材163と、第4配線上に配置される第4接合部材164とを含む。これら接合部材の材料としては、例えば、金、銀または銅等のバンプ、銀、金、銅、プラチナ、アルミニウム、パラジウム等の金属粉末と樹脂バインダとを含む金属ペースト、錫-ビスマス系、錫-銅系、錫-銀系または金-錫系等の半田、および、低融点金属等のろう材のうちのいずれか1つを適用できる。
【0096】
(光反射性部材140)
光反射性部材140は、少なくとも発光素子からの光を反射する部材である。光取り出し効率の観点から、光反射性部材140は、発光素子の発光ピーク波長に関し、70%以上の光反射率を有することが好ましい。発光素子の発光ピーク波長における光反射率が80%以上であるとより好ましく、90%以上であるとよりいっそう好ましい。
【0097】
光反射性部材140は、白色であることが好ましい。光反射性部材140の母材は、白色顔料を含有していてもよい。光反射性部材140の母材には樹脂を適用できる。例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂もしくはアクリル樹脂、または、これらの変性樹脂を光反射性部材140の母材に適用できる。白色顔料としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、チタン酸バリウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化ケイ素のうちの1種を単独で、または、これらのうちの2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0098】
(波長変換部材141、142)
波長変換部材は、発光素子の上方に配置され、発光素子が発する一次光の少なくとも一部を吸収して、一次光とは異なる波長の二次光を発する部材である。上述の実施形態において、発光装置100は、第1発光素子121の上方に位置する第1波長変換部材141と、第2発光素子122の上方に位置する第2波長変換部材142とを含んでいる。
【0099】
これら波長変換部材は、少なくとも、母材と、母材中に含有される波長変換物質とから構成される。波長変換部材の母材としては、発光素子から発せられる光に対して透光性を有する材料を用いることができる。例えば、透光性部材の母材として、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂もしくはアクリル樹脂、または、これらの変性樹脂を用いることができる。ガラスを透光性部材の母材として用いることもできる。波長変換部材は、これらの母材のうちの1種を単層で、または、これらの母材のうちの2種以上を積層して用いることができる。
【0100】
波長変換部材の母材に含有される波長変換物質の例は、イットリウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(例えば、(Y,Gd)3(Al,Ga)5O12:Ce)、ルテチウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(例えば、Lu3(Al,Ga)5O12:Ce)、テルビウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(例えば、Tb3(Al,Ga)5O12:Ce)、CCA系蛍光体(例えば、Ca10(PO4)6Cl2:Eu)、SAE系蛍光体(例えば、Sr4Al14O25:Eu)、クロロシリケート系蛍光体(例えば、Ca8MgSi4O16Cl2:Eu)、シリケート系蛍光体(例えば、(Ba,Sr,Ca,Mg)2SiO4:Eu)、酸窒化物系蛍光体、LSN系蛍光体(例えば、(La,Y)3Si6N11:Ce)、BSESN系蛍光体(例えば、(Ba,Sr)2Si5N8:Eu)、SLA系蛍光体(例えば、SrLiAl3N4:Eu)、窒化物系蛍光体、もしくは、フッ化物系蛍光体、または、量子ドット等である。波長変換物質に適用可能な量子ドットの例は、ペロブスカイト構造を有する量子ドット(例えば、(Cs,FA,MA)(Pb,Sn)(F,Cl,Br,I)3、ここで、FAとMAはホルムアミジニウムとメチルアンモニウムをそれぞれ表す。)、II-VI族量子ドット(例えば、CdSe)、III-V族量子ドット(例えば、InP)、および、カルコパイライト構造を有する量子ドット(例えば、(Ag,Cu)(In,Ga)(S,Se)2)等である。なお、酸窒化物系蛍光体としては、βサイアロン系蛍光体(例えば、(Si,Al)3(O,N)4:Eu)若しくはαサイアロン系蛍光体(例えば、Ca(Si,Al)12(O,N)16:Eu)等を用いることができる。窒化物系蛍光体としては、CASN系蛍光体(例えば、CaAlSiN3:Eu)若しくはSCASN系蛍光体(例えば、(Sr,Ca)AlSiN3:Eu)等を用いることができる。フッ化物系蛍光体としては、KSF系蛍光体(例えば、K2SiF6:Mn)、KSAF系蛍光体(例えば、K2(Si1-xAlx)F6-x:Mn、ここで、xは0<x<1を満たす。)若しくはMGF系蛍光体(例えば、3.5MgO・0.5MgF2・GeO2:Mn)等を用いることができる。
【0101】
(透光性部材151、152)
透光性部材は、波長変換部材上に配置され、波長変換部材を保護する部材である。上述の実施形態において、発光装置100は、第1波長変換部材141上の第1透光性部材151と、第2波長変換部材142上の第2透光性部材152とを含んでいる。透光性部材の母材には、少なくとも、上述の波長変換部材の母材に適用可能な材料を適宜選択することができる。透光性部材の母材は、各種のフィラーを含有することができる。フィラーの材料として、例えば、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛等を用いることができる。これらのうちの1種を単独で、あるいは、これらのうちの2種以上を組み合わせてフィラーとして用いてもよい。
【0102】
本開示によると、以下の発光装置が提供される。
【0103】
[項1]
基材と、前記基材上に配置された第1配線と、を有する基板と、
光取り出し面と、前記光取り出し面と反対側に位置する電極形成面と、前記電極形成面に配置された第1電極と、を有する発光素子であって、前記第1電極の下面が前記第1配線の上面と対向するように前記基板上に配置された発光素子と、
前記第1電極の下面と、前記第1配線の上面の少なくとも一部である第1接合領域と、を接合する第1接合部材と、
を備え、
前記第1配線は、前記第1接合領域の内側に第1凸部を有し、
平面視において、前記第1電極の下面は、第1角部を含む外形を有し、前記第1接合領域は、前記第1角部と重なる第2角部を含む外形を有する、発光装置。
【0104】
[項2]
前記第1電極の下面の外形は、第3角部を含み、
前記第1接合領域の外形は、前記第3角部と重なる第4角部を含み、
前記第2角部は、前記第2角部を始点とし前記第2角部の隣の角部を終点とする第1有向線分、および、前記第2角部を始点とし前記第2角部の隣の他の角部を終点とする第2有向線分によって規定され、
前記第4角部は、前記第4角部を始点とし前記第4角部の隣の角部を終点とする第3有向線分、および、前記第4角部を始点とし前記第4角部の隣の他の角部を終点とする第4有向線分によって規定され、
前記第1有向線分、前記第2有向線分、前記第3有向線分および前記第4有向線分のそれぞれの方向は、互いに異なる、項1に記載の発光装置。
【0105】
[項3]
前記第2角部および前記第4角部の内角は、いずれも、180度未満である、項2に記載の発光装置。
【0106】
[項4]
前記第2角部および前記第4角部の内角は、いずれも、180度よりも大きい、項2に記載の発光装置。
【0107】
[項5]
前記第1角部の内角は、90度であり、
前記第1有向線分の方向を+X方向、前記第2有向線分の方向を前記+X方向に直交する-Y方向とすると、前記第3有向線分の方向は、-X方向であり、前記第4有向線分の方向は、+Y方向である、項2から4のいずれか1項に記載の発光装置。
【0108】
[項6]
平面視において、前記第1接合領域は、矩形であり、
前記第2角部および前記第4角部は、前記矩形の対角に位置する、項3に記載の発光装置。
【0109】
[項7]
第2接合部材をさらに備え、
前記基板は、前記第1配線と離隔して配置された第2配線を前記基材上にさらに有し、
前記発光素子は、前記第1電極と離隔して配置された第2電極を前記電極形成面にさらに有し、前記第2電極の下面が前記第2配線の上面と対向するように前記基板上に配置されており、
前記第2接合部材は、前記第2電極の下面と、前記第2配線の上面の少なくとも一部である第2接合領域と、を接合し、
平面視において、前記第2電極の下面は、第3角部を含む外形を有し、前記第2接合領域は、前記第3角部と重なる第4角部を含む外形を有し、
前記第2角部は、前記第2角部を始点とし前記第2角部の隣の角部を終点とする第1有向線分、および、前記第2角部を始点とし前記第2角部の隣の他の角部を終点とする第2有向線分によって規定され、
前記第4角部は、前記第4角部を始点とし前記第4角部の隣の角部を終点とする第3有向線分、および、前記第4角部を始点とし前記第4角部の隣の他の角部を終点とする第4有向線分によって規定され、
前記第1有向線分、前記第2有向線分、前記第3有向線分および前記第4有向線分のそれぞれの方向は、互いに異なる、項1に記載の発光装置。
【0110】
[項8]
前記第2角部および前記第4角部の内角は、いずれも、180度未満である、項7に記載の発光装置。
【0111】
[項9]
前記第2角部および前記第4角部の内角は、いずれも、180度よりも大きい、項7に記載の発光装置。
【0112】
[項10]
前記第1角部の内角は、90度であり、
前記第1有向線分の方向を+X方向、前記第2有向線分の方向を前記+X方向に直交する-Y方向とすると、前記第3有向線分の方向は、-X方向であり、前記第4有向線分の方向は、+Y方向である、項7から9のいずれか1項に記載の発光装置。
【0113】
[項11]
平面視において、前記第1接合領域および前記第2接合領域は、いずれも矩形である、項8に記載の発光装置。
【0114】
[項12]
前記第1電極の下面の外形は、第3角部を含み、前記第1接合領域の外形は、前記第3角部と重なる第4角部を含み、
前記第2角部は、前記第2角部を始点とし前記第2角部の隣の角部を終点とする第1有向線分、および、前記第2角部を始点とし前記第2角部の隣の他の角部を終点とする第2有向線分によって規定され、前記第4角部は、前記第4角部を始点とし前記第4角部の隣の角部を終点とする第3有向線分、および、前記第4角部を始点とし前記第4角部の隣の他の角部を終点とする第4有向線分によって規定され、
前記第2角部および前記第4角部のうちの一方の内角は、180度未満であり、他方の内角は、180度よりも大きく、
前記第3有向線分の方向は、前記第1有向線分の方向と同じであり、
前記第4有向線分の方向は、前記第2有向線分の方向と同じである、項1に記載の発光装置。
【0115】
[項13]
第2接合部材をさらに備え、
前記基板は、前記第1配線と離隔して配置された第2配線を前記基材上にさらに有し、
前記発光素子は、前記第1電極と離隔して配置された第2電極を前記電極形成面にさらに有し、前記第2電極の下面が前記第2配線の上面と対向するように前記基板上に配置されており、
前記第2接合部材は、前記第2電極の下面と、前記第2配線の上面の少なくとも一部である第2接合領域と、を接合し、
平面視において、前記第2電極の下面は、第3角部を含む外形を有し、前記第2接合領域は、前記第3角部と重なる第4角部を含む外形を有し、
前記第2角部は、前記第2角部を始点とし前記第2角部の隣の角部を終点とする第1有向線分、および、前記第2角部を始点とし前記第2角部の隣の他の角部を終点とする第2有向線分によって規定され、
前記第4角部は、前記第4角部を始点とし前記第4角部の隣の角部を終点とする第3有向線分、および、前記第4角部を始点とし前記第4角部の隣の他の角部を終点とする第4有向線分によって規定され、
前記第2角部および前記第4角部のうちの一方の内角は、180度未満であり、他方の内角は、180度よりも大きく、
前記第3有向線分の方向は、前記第1有向線分の方向と同じであり、前記第4有向線分の方向は、前記第2有向線分の方向と同じである、項1に記載の発光装置。
【0116】
[項14]
前記第2角部の内角は、90度である、項12または13に記載の発光装置。
【0117】
[項15]
平面視において、前記第1接合領域の面積は、前記第1電極の下面の面積の0.8倍以上1.2倍以下である、項1から14のいずれか1項に記載の発光装置。
【0118】
[項16]
平面視において、前記第1接合領域と、前記第1電極の下面とは、略同じ形状を有する、項1から15のいずれか1項に記載の発光装置。
【0119】
[項17]
前記第1接合領域の外縁は、前記第1配線の側面で規定されている、項1から16のいずれか1項に記載の発光装置。
【0120】
[項18]
前記第1配線は、前記第1接合領域を囲む壁部を含む、項1から16のいずれか1項に記載の発光装置。
【0121】
[項19]
前記第1凸部の、前記第1接合領域の外縁からの高さは、前記壁部の、前記第1接合領域の外縁からの高さよりも大きい、項18に記載の発光装置。
【0122】
[項20]
前記第1配線の上面は、前記第1接合領域を囲む溝部を含む、項1から16のいずれか1項に記載の発光装置。
【0123】
[項21]
前記第1配線は、第1金属材料を含有する第1層と、前記第1層の上方に配置され、かつ、前記第1金属材料よりも前記第1接合部材に対する濡れ性の高い第2金属材料を含有する第2層と、を含み、
前記溝部の内側面は、前記第2層から前記第1層が露出された部分を含む、項20に記載の発光装置。
【0124】
[項22]
前記第1配線における前記第1凸部の厚さは、前記第1配線の下面から前記第1接合領域のうち前記第1凸部を除く部分までの厚さよりも大きい、項1から21のいずれか1項に記載の発光装置。
【0125】
[項23]
前記第1凸部を通り、かつ、前記基材の上面に垂直な断面において、前記第1凸部から前記第1接合領域の外縁までの距離は、前記第1凸部の幅よりも小さい、項1から22のいずれか1項に記載の発光装置。
【0126】
[項24]
前記第1接合部材は、半田である、項1から23のいずれか1項に記載の発光装置。
【産業上の利用可能性】
【0127】
本開示の実施形態は、各種照明用光源、車載用光源、ディスプレイ用光源等に有用である。特に、液晶表示装置に向けられたバックライトユニットに有利に適用できる。
【符号の説明】
【0128】
10…基材、11、11A、11B…第1配線、11g…第1配線の溝部、11p…第1配線の第1凸部、11w…第1配線の壁部、12、12A、12B…第2配線、12g…第2配線の溝部、12p…第2配線の第2凸部、12w…第2配線の壁部、13…第3配線、13p…第3配線の第3凸部、14…第4配線、14p…第4配線の第4凸部、21…第1電極、22…第2電極、100、100A、100B…発光装置、110、110A、110B…基板、121…第1発光素子、122…第2発光素子、140…光反射性部材、141…第1波長変換部材、142…第2波長変換部材、151…第1透光性部材、152…第2透光性部材、161…第1接合部材、162…第2接合部材、DS1…第1有向線分、DS2…第2有向線分、DS3…第3有向線分、DS4…第4有向線分、R1…第1接合領域、R2…第2接合領域、R3…第3接合領域、R4…第4接合領域、c1~c4、d1、d2…角部