(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024046387
(43)【公開日】2024-04-03
(54)【発明の名称】データ記録装置、データ記録方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G11B 20/10 20060101AFI20240327BHJP
G11B 20/18 20060101ALI20240327BHJP
G11B 20/12 20060101ALI20240327BHJP
G11B 5/09 20060101ALI20240327BHJP
【FI】
G11B20/10 301Z
G11B20/18 532B
G11B20/18 572B
G11B20/18 572G
G11B20/18 512A
G11B20/12 101
G11B20/12
G11B5/09 301Z
G11B5/09 331
G11B5/09 361
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022151745
(22)【出願日】2022-09-22
(71)【出願人】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】近藤 理貴
(72)【発明者】
【氏名】大石 豊
(72)【発明者】
【氏名】増田 優子
(72)【発明者】
【氏名】本多 拓実
(72)【発明者】
【氏名】大塚 美咲
【テーマコード(参考)】
5D044
【Fターム(参考)】
5D044AB01
5D044BC01
5D044CC02
5D044DE68
(57)【要約】
【課題】データ及びパリティが混在した磁気テープに記録されたデータの読み出し効率を高めることができるデータ記録装置、データ記録方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】データ記録装置は、少なくとも1つのプロセッサを有する。プロセッサは、磁気テープの連続した第1の記録領域にデータを記録し、磁気テープの連続した第2の記録領域に、欠損したデータを復元するためのパリティを記録する処理を行う。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのプロセッサを有するデータ記録装置であって、
前記プロセッサは、
磁気テープの連続した第1の記録領域にデータを記録し、
前記磁気テープの連続した第2の記録領域に、欠損したデータを復元するためのパリティを記録する
処理を行うデータ記録装置。
【請求項2】
前記第1の記録領域及び前記第2の記録領域は、前記磁気テープの走行方向において互いに隣接している
請求項1に記載のデータ記録装置。
【請求項3】
前記第1の記録領域が前記磁気テープの走行方向始端側に配置され、前記第2の記録領域が前記磁気テープの走行方向終端側に配置されている
請求項2に記載のデータ記録装置。
【請求項4】
前記第1の記録領域及び前記第2の記録領域は、前記磁気テープの走行方向と交差する幅方向において互いに隣接している
請求項1に記載のデータ記録装置。
【請求項5】
前記第2の記録領域は、前記磁気テープの走行方向と交差する幅方向における両端部に配置され、前記第1の記録領域は、前記磁気テープの前記幅方向における中央部に配置されている
請求項4に記載のデータ記録装置。
【請求項6】
前記第1の記録領域は、前記磁気テープに設けられた第1のパーティションであり、前記第2の記録領域は、前記磁気テープに設けられた第2のパーティションである
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のデータ記録装置。
【請求項7】
磁気テープの連続した第1の記録領域にデータを記録し、
前記磁気テープの連続した第2の記録領域に、欠損したデータを復元するためのパリティを記録する
処理をデータ記録装置が有する少なくとも1つのプロセッサが実行するデータ記録方法。
【請求項8】
磁気テープの連続した第1の記録領域にデータを記録し、
前記磁気テープの連続した第2の記録領域に、欠損したデータを復元するためのパリティを記録する
処理をデータ記録装置が有する少なくとも1つのプロセッサに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の技術は、データ記録装置、データ記録方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
複数のデータからなるデータセットに含まれるデータのうち、欠損が生じた一部のデータを復元するためのパリティの記録媒体への記録に関する技術として、以下の技術が知られている。特許文献1には、情報が記録されるセクタをデータ領域、コントロールデータ領域、およびパリティ領域の3つの論理領域に分割し、情報セクタのデータ領域には情報シンボル、コントロールデータ領域にはセクタのアドレス、パリティ領域にはデータ領域とコントロールデータ領域の各シンボルに対してセクタ内で誤り検出訂正符号化した検査データシンボルをそれぞれ記録することが記載されている。
【0003】
特許文献2には、記録対象データと、当該記録対象データに冗長性を持たせるためのパリティデータと、を磁気テープ上の異なるトラックにそれぞれ記録することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭63-298778号公報
【特許文献2】特開2008-217953号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
複数のデータのうち、欠損が生じた一部のデータを復元可能とするためにパリティが生成される。磁気テープには、データとパリティとが混在した状態で記録される。パリティは、欠損したデータを復元する場合に磁気テープから読み出されるが、データの復元以外の目的で磁気テープから読み出すことは通常不要である。データ及びパリティが磁気テープ上において無秩序に配置されていると、データの読み出し時において、読み出し対象の各データの記録位置まで磁気ヘッドが到達するまでの間、磁気ヘッドはパリティ上を通過することになる。この場合、磁気テープにパリティが存在していない場合と比較して、磁気ヘッドが読み出し対象の各データの記録位置に到達するまでの時間が長くなり、データの読み出し効率が低下する。
【0006】
開示の技術は、上記の点に鑑みてなされたものであり、データ及びパリティが混在した磁気テープに記録されたデータの読み出し効率を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
開示の技術に係るデータ記録装置は、少なくとも1つのプロセッサを有する。プロセッサは、磁気テープの連続した第1の記録領域にデータを記録し、磁気テープの連続した第2の記録領域に、欠損したデータを復元するためのパリティを記録する処理を行う。
【0008】
第1の記録領域及び第2の記録領域は、磁気テープの走行方向において互いに隣接していてもよい。第1の記録領域が磁気テープの走行方向始端側に配置され、第2の記録領域が磁気テープの走行方向終端側に配置されていてもよい。
【0009】
第1の記録領域及び第2の記録領域は、磁気テープの走行方向と交差する幅方向において互いに隣接していてもよい。第2の記録領域は、磁気テープの走行方向と交差する幅方向における両端部に配置され、第1の記録領域は、磁気テープの幅方向における中央部に配置されていてもよい。
【0010】
第1の記録領域は、磁気テープに設けられた第1のパーティションであってもよく、第2の記録領域は、磁気テープに設けられた第2のパーティションであってもよい。
【0011】
開示の技術に係るデータ記録方法は、磁気テープの連続した第1の記録領域にデータを記録し、磁気テープの連続した第2の記録領域に、欠損したデータを復元するためのパリティを記録する処理をデータ記録装置が有する少なくとも1つのプロセッサが実行する、というものである。
【0012】
開示の技術に係るプログラムは、磁気テープの連続した第1の記録領域にデータを記録し、磁気テープの連続した第2の記録領域に、欠損したデータを復元するためのパリティを記録する処理をデータ記録装置が有する少なくとも1つのプロセッサに実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0013】
開示の技術によれば、データ及びパリティが混在した磁気テープに記録されたデータの読み出し効率を高めることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】開示の技術の実施形態に係るストレージシステムの構成の一例を示す図である。
【
図2】開示の技術の実施形態に係るサーバが、データを磁気テープに記録する際に実施する処理の一例を示す図である。
【
図3】比較例に係るデータ及びパリティの磁気テープ上の記録形態の一例を示す図である。
【
図4】開示の技術の実施形態に係るテープドライブのハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図5】開示の技術の実施形態に係る磁気テープのフォーマットの一例を示す図である。
【
図6】開示の技術の実施形態に係るテープドライブの機能的な構成の一例を示す機能ブロック図である。
【
図7】開示の技術の実施形態に係るデータ及びパリティの磁気テープ上の配置の一例を示す図である。
【
図8】開示の技術の実施形態に係る制御プログラムを実行することによって実施される処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図9】開示の技術の実施形態に係る磁気ヘッドの移動経路の一例を示す図である。
【
図10】開示の技術の他の実施形態に係る磁気テープのフォーマットの一例を示す図である。
【
図11】開示の技術の他の実施形態に係るデータ及びパリティの磁気テープ上の配置の一例を示す図である。
【
図12】開示の技術の他の実施形態に係る磁気テープのフォーマットの一栄を示す図である。
【
図13】開示の技術の他の実施形態に係るデータ及びパリティの磁気テープ上の配置の一例を示す図である。
【
図14】開示の技術の他の実施形態に係る磁気テープのフォーマットの一例を示す図である。
【
図15】開示の技術の他の実施形態に係るデータ及びパリティの磁気テープ上の配置の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、開示の技術の実施形態の一例を、図面を参照しつつ説明する。なお、各図面において同一または等価な構成要素及び部分には同一の参照符号を付与し、重複する説明は省略する。
【0016】
図1は、開示の技術の実施形態に係るストレージシステム1の構成の一例を示す図である。ストレージシステム1は、ネットワークを介してストレージシステム1に接続されるユーザ端末等の外部装置(図示せず)から保存要求があったデータを保存し、外部装置からデータの読み出し要求があった場合、要求されたデータを読み出して外部装置に送信する。ストレージシステム1は、データをオブジェクトの単位で扱うオブジェクトストレージシステムであってもよい。
【0017】
ストレージシステム1は、サーバ10及びテープライブラリ20を含む。テープライブラリ20は、複数のスロット(図示せず)及び複数のテープドライブ40を備え、各スロットには磁気テープ30が格納される。ユーザ端末等の外部装置から保存要求があったデータは、磁気テープ30に記録される。テープドライブ40は、サーバ10からの指示に基づいて、テープドライブ40に装填された磁気テープ30へのデータの記録(書き込み)及び磁気テープ30からのデータの読み出しを行う。磁気テープ30の例としては、LTO(Linear Tape-Open)テープが挙げられる。磁気テープ30に対してデータの記録又は読み出しを行う場合、対象の磁気テープ30がスロットから取り出され、所定のテープドライブ40に装填される。テープドライブ40に装填された磁気テープ30に対するデータの記録又は読み出しが完了すると、磁気テープ30は、テープドライブ40から取り出され、所定のスロットに格納される。テープドライブ40は、開示の技術における「データ記録装置」の一例である。サーバ10は、磁気テープ30に対するデータの記録及び読み出しを制御するコンピュータである。
【0018】
図2は、サーバ10が、ユーザ端末等の外部装置(図示せず)から保存要求があったデータを磁気テープ30に記録する際に実施する処理の一例を示す図である。サーバ10は、磁気テープ30に記録されるデータ50の少なくとも一部が、何らかの理由によって欠損した場合に、欠損した一部のデータ50を復元可能とするためのパリティ70を生成する。サーバ10は、2つ以上の所定数のデータ50によって編成されるデータセット60に基づいて、少なくとも1つのパリティ70を生成する。パリティ70は、例えば、イレージャーコーディング等の冗長符号化技術を用いて、データセット60に含まれる複数のデータ50の各々を数学的に処理することによって生成される。なお、本明細書において、データ50は、データ本体部分を意味し、冗長符号部分であるパリティ70を含まない概念である。また、本明細書においてデータ50及びパリティ70の双方を含む概念として「データ」という用語を用いる場合がある。
【0019】
サーバ10は、データセット60に含まれる複数のデータ50の各々及びデータセット60に基づいて生成されたパリティ70を、それぞれ別々の磁気テープ30に記録する制御を行う。これにより、磁気テープ30の破損又は紛失等に伴うデータ50の欠損に対して対応することが可能となる。サーバ10は、複数のデータセット60について同様の記録制御を行う。サーバ10は、あるデータセット60と他のデータセット60について、同じの複数の磁気テープ30にデータ50及びパリティ70を記録する。
図2には、同じの4本の磁気テープ30に2つのデータセット60に関するデータ50及びパリティ70が記録される場合が例示されている。この場合、第1のデータセット60に含まれるデータ50が記録された磁気テープ30に、第2のデータセット60に基づいて生成されたパリティ70が記録され得る。すなわち、各磁気テープ30には、データ50及びパリティ70が混在した状態で記録され得る。なお、
図2に示す態様とは異なり、あるデータセット60に含まれる複数のデータ50と、そのデータセット60に基づいて生成されたパリティ70とが、同一の磁気テープ30に記録される場合もある。この場合においても磁気テープ30にデータ50及びパリティ70が混在することとなる。
【0020】
図3は、比較例に係るデータ50及びパリティ70の磁気テープ30上の配置の一例を示す図である。
図3に示す例において、データ50及びパリティ70が、磁気テープ30上に無秩序に配置されている。パリティ70は、欠損したデータを復元する場合に磁気テープ30から読み出されるが、データの復元以外の目的で磁気テープ30から読み出すことは通常不要である。データ50及びパリティ70が磁気テープ30上において無秩序に配置されていると、データ50の読み出し時において、読み出し対象の各データ50の記録位置まで磁気ヘッドが到達するまでの間、磁気ヘッドはパリティ70上を通過することになる。この場合、磁気テープ30にパリティ70が存在していない場合と比較して、磁気ヘッドが読み出し対象の各データ50の記録位置に到達するまでの時間が長くなり、データ50の読み出し効率が低下する。本実施形態に係るテープドライブ40は、以下に説明するように、データ50及びパリティ70が混在した磁気テープ30に記録されたデータ50の読み出し効率を高めることを可能とするものである。
【0021】
図4は、開示の技術の実施形態に係るテープドライブ40のハードウェア構成の一例を示す図である。テープドライブ40は、磁気テープ30に対して記録再生を行う磁気ヘッド41と、磁気テープ30に対する記録再生制御を行う制御部42とを備える。制御部42は、PLD(Programmable Logic Device)等のプロセッサ43と、ファームウェアとしての制御プログラム45を記憶した不揮発性のメモリ44とを含む。テープドライブ40には、磁気テープ30が収容されたテープカートリッジ31が装填される。
【0022】
図5は、本実施形態に係る磁気テープ30のフォーマットの一例を示す図である。磁気テープ30のユーザデータの記録領域80は、第1のパーティション81及び第2のパーティション82に分割されている。第1のパーティション81は、磁気テープ30の走行方向における位置A1から位置A2までの連続した領域であり、第2のパーティション82は、磁気テープ30の走行方向における位置A2から位置A3までの連続した領域である。すなわち、第1のパーティション81及び第2のパーティション82は、磁気テープ30の走行方向(以下テープ走行方向という)において互いに隣接している。第1のパーティション81は、テープ走行方向始端側(BOT(Beginning Of Tape)側)に配置され、第2のパーティション82は、テープ走行方向終端側(EOT(End Of Tape)側)に配置されている。第1のパーティション81及び第2のパーティション82は、それぞれ複数のラップ85を有する。各ラップ85は、磁気テープ30の走行方向に沿った帯状の記録領域である。複数のラップ85は、順方向ラップ及び逆方向ラップを含み得る。なお、第1のパーティション81は、開示の技術における「第1の記録領域」の一例である。第2のパーティション82は、開示の技術における「第2の記録領域」の一例である。
【0023】
図6は、磁気テープ30にデータの記録を行う場合におけるテープドライブ40の機能的な構成の一例を示す機能ブロック図である。テープドライブ40は、プロセッサ43が制御プログラム45を実行することにより、取得部101、判定部102及び記録処理部103として機能する。
【0024】
取得部101は、サーバ10から供給される記録対象のデータ50及びパリティ70を取得する。サーバ10からは記録対象のデータ50及びパリティ70が逐次供給される。取得部101は、取得したデータ50及びパリティ70をメモリ44に蓄積してもよい。すなわち、メモリ44は、記録対象のデータ50及びパリティ70を蓄積するバッファメモリとして機能する。
【0025】
判定部102は、取得部101によって取得されたデータが、データ50(データ本体部分)であるかパリティ70(冗長符号部分)であるかを判定する。判定部102は、例えばデータ50及びパリティ70にそれぞれ付随する属性情報(メタデータ)に基づいて上記の判定を行ってもよい。属性情報(メタデータ)には、当該データが、データ50(データ本体部分)であるのかパリティ70(冗長符号部分)であるのかを示す情報が含まれている。
【0026】
記録処理部103は、判定部102によってデータ本体部分であると判定されたデータ50を磁気テープ30の第1のパーティション81に記録する。一方、記録処理部103は、判定部102によって冗長符号部分であると判定されたパリティ70を、磁気テープ30の第2のパーティション82に記録する。なお、記録対象のデータ50及びパリティ70をメモリ44に蓄積しておき、データ50の記録位置が、第1のパーティション81と第2のパーティション82の境界である位置A2付近に到達するタイミングで、複数のパリティ70をまとめて第2のパーティション82に記録してもよい。これにより、磁気ヘッド41の移動距離を抑制することができるので、データ50及びパリティ70の記録効率を高めることができる。
【0027】
図7は、本実施形態に係るテープドライブ40によって記録されたデータ50及びパリティ70の磁気テープ30上の配置の一例を示す図である。磁気テープ30の第1のパーティション81にはデータ50が記録される一方、パリティ70は記録されない。磁気テープ30の第2のパーティション82にはパリティ70が記録される一方、データ50は記録されない。
【0028】
図8は、テープドライブ40のプロセッサ43が、制御プログラム45を実行することによって実施される処理の流れの一例を示すフローチャートである。制御プログラム45は、例えば、サーバ10からデータの記録指示が送信された場合に実行される。なお、テープドライブ40には、十分な空き容量を有する磁気テープ30が装填されているものとする。
【0029】
ステップS1において取得部101は、サーバ10から供給される記録対象のデータ50及びパリティ70を取得する。ステップS2において、判定部102は、ステップS1において取得されたデータが、データ50(データ本体部分)であるかパリティ70(冗長符号部分)であるかを判定する。判定部102は、例えばデータ50及びパリティ70にそれぞれ付随する属性情報(メタデータ)に基づいて上記の判定を行ってもよい。ステップS3において、記録処理部103は、ステップS2において、データ本体部分であると判定されたデータ50を、磁気テープ30の第1のパーティション81に記録する。ステップS4において、記録処理部103は、ステップS2において冗長符号部分であると判定されたパリティ70を磁気テープ30の第2のパーティション82に記録する。
【0030】
図9は、第1のパーティション81に記録されたデータ50のうち、特定のデータ50について読み出しを行う場合における磁気ヘッド41の移動経路の一例を示す図である。テープドライブ40は、サーバ10によって読み出し対象のデータ50が指定されると、所定の順序導出アルゴリズムを用いて、読み出し対象の各データ50の読み出し順序を導出する。順序導出アルゴリズムを用いて導出される読み出し順序は、例えば、読み出し対象の各データ50を読み出す際の磁気ヘッド41の移動距離が最短となる順序である。
【0031】
本実施形態に係るテープドライブ40によれば、第1のパーティション81には、データ50が記録される一方、パリティ70は記録されないので、データ50の読み出し時における磁気ヘッド41の移動経路は、第1のパーティション81内に限定される。また、データ50の読み出しを行っている間、磁気ヘッド41はパリティ70上を通過することはない。したがって、磁気テープ30にデータ50及びパリティ70が無秩序に配置されている場合と比較して、磁気ヘッド41が読み出し対象の各データ50の記録位置に到達するまでの時間を短くすることができる。また、磁気テープ30の走行方向始端側に配置された第1のパーティション81にデータ50を記録することで、磁気テープ30をテープドライブ40に装填してから最初に読み出すデータ50の記録位置に到達するまでの時間を短くすることができる。すなわち、磁気テープ30をテープドライブ40に装填してからデータ50の読み出しが開始されるまでの時間を短くすることができる。
【0032】
以上のように、開示の技術の実施形態に係るテープドライブ40は、磁気テープ30の連続した第1の記録領域にデータ50を記録し、磁気テープ30の連続した第2の記録領域に、欠損したデータを復元するためのパリティ70を記録する処理を行う。本実施形態において、第1の記録領域及び第2の記録領域は、磁気テープ30の走行方向において互いに隣接している。本実施形態において、第1の記録領域は、磁気テープ30に設けられた第1のパーティション81であり、第2の記録領域は、磁気テープ30に設けられた第2のパーティション82である。本実施形態に係るテープドライブ40によれば、上記したように、データ50及びパリティ70が混在した磁気テープ30に記録されたデータ50の読み出し効率を高めることが可能となる。
【0033】
[第2の実施形態]
図10は、開示の技術の第2の実施形態に係る磁気テープ30のフォーマットの一例を示す図である。磁気テープ30のユーザデータの記録領域80は、第1のパーティション81及び第2のパーティション82に分割されている。本実施形態において、第1のパーティション81及び第2のパーティションは、磁気テープ30の走行方向と交差する幅方向(以下、テープ幅方向という)において互いに隣接している。第1のパーティション81及び第2のパーティション82は、それぞれ複数のラップ85を有する。各ラップ85は、磁気テープ30の走行方向に沿った帯状の記録領域である。複数のラップ85は、順方向ラップ及び逆方向ラップを含み得る。
【0034】
図11は、テープドライブ40によって記録されたデータ50及びパリティ70の、
図10に例示するフォーマットを有する磁気テープ30上の配置の一例を示す図である。磁気テープ30の第1のパーティション81にはデータ50が記録される一方、パリティ70は記録されない。磁気テープ30の第2のパーティション82にはパリティ70が記録される一方、データ50は記録されない。本実施形態に係るデータ50及びパリティ70の配置によれば、第1の実施形態と同様、データ50の読み出し効率を高めることが可能となる。
【0035】
ここで、第1のパーティション81にデータ50を記録し、続いて第2のパーティション82にパリティ70を記録する場合を考える。パリティ70は、第2のパーティション82に記録済みのパリティ70の末尾に続けて記録される。第1のパーティション81内におけるある位置がデータ50の記録位置となる確率は、第1のパーティション内において均一であるとする。また、第2のパーティション82内におけるある位置が、新たに記録しようとするパリティ70の記録開始位置となる確率は、第2のパーティション82内において均一であるとする。この場合において、第1のパーティション81に記録されたデータ50の記録位置から、新たに記録しようとするパリティ70の記録開始位置までの距離の期待値Eを算出した。
【0036】
第2の実施形態に係る記録形態(
図11参照)を適用する場合における期待値Eは、33.33である。一方、第1の実施形態に係る記録形態(
図7参照)を適用する場合における期待値Eは50である。なお、第1のパーティション81及び第2のパーティション82を含むユーザデータの記録領域80のテープ走行方向における距離を100とした。第2の実施形態に係る記録形態を適用することで、第1の実施形態に係る記録形態を適用する場合と比較して、データ50及びパリティ70の記録時における磁気ヘッド41の移動距離を短くすることができ、データ50及びパリティ70の記録効率を高めることができる。
【0037】
[第3の実施形態]
図12は、開示の技術の第3の実施形態に係る磁気テープ30のフォーマットの一例を示す図である。磁気テープ30のユーザデータの記録領域80は、第1のパーティション81及び第2のパーティション82に分割されている。本実施形態において、第2のパーティション82はテープ幅方向における両端部に配置され、第1のパーティション81はテープ幅方向における中央部に配置されている。
【0038】
図13は、テープドライブ40によって記録されたデータ50及びパリティ70の、
図12に例示するフォーマットを有する磁気テープ30上の配置の一例を示す図である。磁気テープ30の第1のパーティション81にはデータ50が記録される一方、パリティ70は記録されない。磁気テープ30の第2のパーティション82にはパリティ70が記録される一方、データ50は記録されない。本実施形態に係るデータ50及びパリティ70の記録形態によれば、第1の実施形態と同様、データ50の読み出し効率を高めることが可能となる。
【0039】
また、テープ幅方向における両端部であるテープエッジは、テープ幅方向の中央部と比較して物理的なダメージを受けやすい領域である。テープエッジの近傍に配置される第2のパーティション82にパリティ70を記録し、テープ幅方向の中央部に配置される第1のパーティション81にデータ50を記録することで、データ50が欠損するリスクを抑制することが可能となる。
【0040】
[第4の実施形態]
図14は、開示の技術の第4の実施形態に係る磁気テープ30のフォーマットの一例を示す図である。磁気テープ30のユーザデータの記録領域80は、パーティション分割されていない。
【0041】
図15は、テープドライブ40によって記録されたデータ50及びパリティ70の、
図14に例示するフォーマットを有する磁気テープ30上の記録形態の一例を示す図である。テープ走行方向始端側の連続した領域(第1の記録領域)には、データ50が記録される一方、パリティ70は記録されない。テープ走行方向終端側の連続した領域(第2の記録領域)には、パリティ70が記録される一方、データ50は記録されない。
【0042】
本実施形態においては、データ50が記録される第1の記録領域と、パリティ70が記録される第2の記録領域との境界が予め定められるものではないが、
図15に例示するように、データ50及びパリティ70が、それぞれ磁気テープ30上においてまとまった状態で記録されることで、第1の実施形態と同様、データ50の読み出し効率を高めることが可能となる。
【0043】
なお、上記の各実施形態においては、テープドライブ40が有するプロセッサ43が、制御プログラム45に従って
図8に示す処理を実施する場合を例示したが、この処理をサーバ10が有するプロセッサ(図示せず)が行ってもよい。
【0044】
上記の各実施形態において、例えば、取得部101、判定部102及び記録処理部103といった各種の処理を実行する処理部(processing unit)のハードウェア的な構造としては、次に示す各種のプロセッサ(processor)を用いることができる。上記各種のプロセッサには、ソフトウェア(プログラム)を実行して各種の処理部として機能する汎用的なプロセッサであるCPUに加えて、FPGA等の製造後に回路構成を変更可能なプロセッサであるプログラマブルロジックデバイス(Programmable Logic Device:PLD)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路等が含まれる。
【0045】
1つの処理部は、これらの各種のプロセッサのうちの1つで構成されてもよいし、同種又は異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGAの組み合わせや、CPUとFPGAとの組み合わせ)で構成されてもよい。また、複数の処理部を1つのプロセッサで構成してもよい。
【0046】
複数の処理部を1つのプロセッサで構成する例としては、第1に、クライアント及びサーバ等のコンピュータに代表されるように、1つ以上のCPUとソフトウェアの組み合わせで1つのプロセッサを構成し、このプロセッサが複数の処理部として機能する形態がある。第2に、システムオンチップ(System on Chip:SoC)等に代表されるように、複数の処理部を含むシステム全体の機能を1つのIC(Integrated Circuit)チップで実現するプロセッサを使用する形態がある。このように、各種の処理部は、ハードウェア的な構造として、上記各種のプロセッサの1つ以上を用いて構成される。
【0047】
更に、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造としては、より具体的には、半導体素子などの回路素子を組み合わせた電気回路(circuitry)を用いることができる。
【0048】
また、上記実施形態では、制御プログラム45がメモリ44に予め記憶(インストール)されている態様を説明したが、これに限定されない。制御プログラム45は、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disc Read Only Memory)、及びUSB(Universal Serial Bus)メモリ等の記録媒体に記録された形態で提供されてもよい。また、制御プログラム45は、ネットワークを介して外部装置からダウンロードされる形態としてもよい。
【0049】
以上の第1乃至第4の実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1)
少なくとも1つのプロセッサを有するデータ記録装置であって、
前記プロセッサは、
磁気テープの連続した第1の記録領域にデータを記録し、
前記磁気テープの連続した第2の記録領域に、欠損したデータを復元するためのパリティを記録する
処理を行うデータ記録装置。
【0050】
(付記2)
前記第1の記録領域及び前記第2の記録領域は、前記磁気テープの走行方向において互いに隣接している
付記1に記載のデータ記録装置。
【0051】
(付記3)
前記第1の記録領域が前記磁気テープの走行方向始端側に配置され、前記第2の記録領域が前記磁気テープの走行方向終端側に配置されている
付記1又は付記2に記載のデータ記録装置。
【0052】
(付記4)
前記第1の記録領域及び前記第2の記録領域は、前記磁気テープの走行方向と交差する幅方向において互いに隣接している
付記1に記載のデータ記録装置。
【0053】
(付記5)
前記第2の記録領域は、前記磁気テープの走行方向と交差する幅方向における両端部に配置され、前記第1の記録領域は、前記磁気テープの幅方向における中央部に配置されている
付記1又は付記4に記載のデータ記録装置。
【0054】
(付記6)
前記第1の記録領域は、前記磁気テープに設けられた第1のパーティションであり、前記第2の記録領域は、前記磁気テープに設けられた第2のパーティションである
付記1から付記5のいずれか1つに記載のデータ記録装置。
【0055】
(付記7)
磁気テープの連続した第1の記録領域にデータを記録し、
前記磁気テープの連続した第2の記録領域に、欠損したデータを復元するためのパリティを記録する
処理をデータ記録装置が有する少なくとも1つのプロセッサが実行するデータ記録方法。
【0056】
(付記8)
磁気テープの連続した第1の記録領域にデータを記録し、
前記磁気テープの連続した第2の記録領域に、欠損したデータを復元するためのパリティを記録する
処理をデータ記録装置が有する少なくとも1つのプロセッサに実行させるためのプログラム。
【符号の説明】
【0057】
1 ストレージシステム
10 サーバ
20 テープライブラリ
30 磁気テープ
31 テープカートリッジ
40 テープドライブ
41 磁気ヘッド
42 制御部
43 プロセッサ
44 メモリ
45 制御プログラム
50 データ
60 データセット
70 パリティ
80 記録領域
81 第1のパーティション
82 第2のパーティション
85 ラップ
101 取得部
102 判定部
103 記録処理部