(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024046507
(43)【公開日】2024-04-03
(54)【発明の名称】位置検出システム、位置検出サーバ、制御装置、位置検出方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/09 20060101AFI20240327BHJP
G08G 1/04 20060101ALI20240327BHJP
G08G 1/042 20060101ALI20240327BHJP
G08G 1/056 20060101ALI20240327BHJP
G01C 21/34 20060101ALI20240327BHJP
G01C 21/26 20060101ALI20240327BHJP
G05D 1/43 20240101ALI20240327BHJP
【FI】
G08G1/09 C
G08G1/04 A
G08G1/042
G08G1/056
G01C21/34
G01C21/26 P
G01C21/26 A
G05D1/02 H
G05D1/02 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022151941
(22)【出願日】2022-09-22
(71)【出願人】
【識別番号】000125370
【氏名又は名称】学校法人東京理科大学
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中嶋 宇史
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 幹雄
(72)【発明者】
【氏名】酒造 孝
【テーマコード(参考)】
2F129
5H181
5H301
【Fターム(参考)】
2F129AA03
2F129BB03
2F129BB05
2F129BB08
2F129CC15
2F129DD13
2F129DD22
2F129DD24
2F129EE52
2F129FF02
2F129FF20
2F129FF71
2F129HH12
2F129HH20
2F129HH21
5H181AA27
5H181BB04
5H181CC01
5H181CC09
5H181CC17
5H181CC27
5H181FF05
5H181FF10
5H181FF13
5H181FF32
5H301AA01
5H301BB14
5H301CC03
5H301CC06
5H301CC10
5H301DD17
5H301FF11
5H301KK08
5H301KK18
5H301KK19
5H301LL02
5H301LL06
5H301LL07
5H301LL11
5H301LL12
5H301LL17
(57)【要約】
【課題】複数の移動体の各々が、自らの位置データと他の移動体の位置データとに基づいて自らの移動体の移動を制御する。
【解決手段】位置検出システム10は、複数の移動体16A,16B,・・・,16Zの各々に搭載される制御装置160と、位置検出サーバ14と、複数の移動体16A,16B,・・・,16Zの各々が移動する床に設置された複数のセンサ12A,12B,・・・,12Zと、を含む。位置検出サーバ14は、複数のセンサ12A,12B,・・・,12Zの各々によって検出された信号に基づいて、複数の移動体16A,16B,・・・,16Zの各々の位置を検出する。複数の移動体16A,16B,・・・,16Zが備える制御装置160の各々は、複数の移動体16A,16B,・・・,16Zの各々の位置データに基づいて、自らの移動体の移動経路を決定し、自らの移動体に設置されている移動のための駆動装置162を制御する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の移動体の各々に搭載される制御装置と、位置検出サーバと、複数の移動体の各々が移動する床に設置された複数のセンサと、を含む位置検出システムであって、
前記位置検出サーバは、複数のセンサの各々によって検出された信号に基づいて、複数の移動体の各々の位置を検出し、複数の移動体が備える制御装置の各々に対し、複数の移動体の各々の位置データを送信し、
複数の移動体が備える制御装置の各々は、複数の移動体の各々の位置データに基づいて、自らの移動体の移動経路を決定し、自らの移動体に設置されている移動のための駆動装置を制御する、
位置検出システム。
【請求項2】
前記位置検出サーバは、前記移動体が所定動作をした際の前記センサによって検出された信号の時系列を取得し、取得した信号の時系列に基づいて複数の移動体の各々を識別し、前記移動体の位置データと前記移動体の識別情報であるIDデータとの組み合わせを、複数の移動体が備える制御装置の各々に対して送信し、
複数の移動体の制御装置の各々は、前記IDデータに基づいて自らの移動体又は他の移動体の位置データを認識し、自らの移動体の前記位置データと他の移動体の位置データとに基づいて、自らの移動体の移動経路を決定し、自らの移動体に設置されている前記駆動装置を制御する、
請求項1に記載の位置検出システム。
【請求項3】
前記位置検出サーバは、複数のセンサの各々によって検出された信号に基づく複数の移動体の位置検出結果と、他の位置検出方法によって検出された複数の移動体の位置検出結果とを統合して、複数の移動体の各々の位置を検出する、
請求項1又は請求項2に記載の位置検出システム。
【請求項4】
前記床は道路、線路、階段、及び公園の地面の何れかである、
請求項1又は請求項2に記載の位置検出システム。
【請求項5】
前記センサは、力、光、電子線、熱、磁気信号、及び電気信号の少なくとも1つを検出するセンサである、
請求項1又は請求項2に記載の位置検出システム。
【請求項6】
前記位置検出サーバは、複数のセンサの各々によって検出された信号の時系列に基づいて、複数の移動体の各々がロボット及び人の何れであるのかを判定し、
複数の移動体が備える制御装置の各々は、前記位置検出サーバによる判定結果に基づいて、自らの移動体の移動経路を決定し、自らの移動体に設置されている移動のための駆動装置を制御する、
請求項1又は請求項2に記載の位置検出システム。
【請求項7】
複数の移動体の各々に搭載される制御装置と、位置検出サーバと、複数の移動体の各々が移動する床に設置された複数のセンサと、を含む位置検出システムが実行する位置検出方法であって、
前記位置検出サーバは、複数のセンサの各々によって検出された信号に基づいて、複数の移動体の各々の位置を検出し、複数の移動体が備える制御装置の各々に対し、複数の移動体の各々の位置データを送信し、
複数の移動体が備える制御装置の各々は、複数の移動体の各々の位置データに基づいて、自らの移動体の移動経路を決定し、自らの移動体に設置されている移動のための駆動装置を制御する、
位置検出方法。
【請求項8】
複数の移動体の各々に搭載される制御装置と、位置検出サーバと、複数の移動体の各々が移動する床に設置された複数のセンサと、を含む位置検出システムにおける位置検出サーバであって、
前記位置検出サーバは、複数のセンサの各々によって検出された信号に基づいて、複数の移動体の各々の位置を検出し、複数の移動体が備える制御装置の各々に対し、複数の移動体の各々の位置データを送信し、
複数の移動体が備える制御装置の各々は、複数の移動体の各々の位置データに基づいて、自らの移動体の移動経路を決定し、自らの移動体に設置されている移動のための駆動装置を制御する、
位置検出サーバ。
【請求項9】
複数の移動体の各々に搭載される制御装置と、位置検出サーバと、複数の移動体の各々が移動する床に設置された複数のセンサと、を含む位置検出システムにおける位置検出サーバを構成するコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
前記位置検出サーバは、複数のセンサの各々によって検出された信号に基づいて、複数の移動体の各々の位置を検出し、複数の移動体が備える制御装置の各々に対し、複数の移動体の各々の位置データを送信し、
複数の移動体が備える制御装置の各々は、複数の移動体の各々の位置データに基づいて、自らの移動体の移動経路を決定し、自らの移動体に設置されている移動のための駆動装置を制御する、
処理をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、位置検出システム、位置検出サーバ、制御装置、位置検出方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プレキャストコンクリート版を敷設した構造で形成された道路において、道路にかかる荷重を利用して路上の物体の位置を検出する物体検出システムが知られている(例えば、特許文献1)。この物体検出システムにおける位置検出装置は、各杭に取り付けられた荷重センサのセンサデータを含むセンサ情報を受信するセンサ情報受信部と、センサ情報に含まれるセンサデータに基づき路上の物体の位置を検出する位置検出部と、を有する。位置検出部は、センサデータから路版の重量を差し引いた道路における荷重値の分布を作成し、荷重値の分布から各路版における重心位置を算出し、算出した各路版の重心位置から物体の重心位置を算出し、その算出結果を路上における物体の位置として検出する。
【0003】
また、自動車を中心とする交通環境に関する情報の収集や配信を行うセンサネットワークシステムが知られている(例えば、特許文献2)。このセンサネットワークシステムは、センサネットワークと、データベースなどを備えるコンピュータである障害対処サーバ装置とからなり、センサネットワークは、道路に配設された多数のセンサ装置と、センサ装置からの情報を中継するために用いられる路側装置と、車両に搭載されてセンサ装置と通信可能な車載装置とから構築されている。センサ装置が障害の発生を検出したら、センサネットワークを利用して車載装置にその旨が通知される。
【0004】
また、移動体の動線を検出する精度を向上できる移動体動線検出システムが知られている(例えば、特許文献3)。この移動体動線検出システムは、移動体の通行領域に並べて敷設された複数のセンサユニットを備え、通行領域における移動体の動線を検出する。
【0005】
また、道路に設置される複数の信号機を制御する制御サーバであって、道路において複数の信号機のそれぞれに対応する停止位置に設置された圧力センサが出力する、道路を通行する車両から受けた圧力値を含む圧力情報を取得し、取得した圧力情報に基づいて、道路を通行する車両による急ブレーキ動作を示す急ブレーキ情報を取得し、急ブレーキ情報に基づいて、複数の信号機を制御する技術が知られている(例えば、特許文献4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2021-174101号公報
【特許文献2】特開2004-220197号公報
【特許文献3】特開2021-33763号公報
【特許文献4】特開2018-73029号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、移動体は自律的に動作することが好ましい。上記特許文献1~4では、道路又は床面に複数のセンサが設置され、それらのセンサによって得られたセンサデータに基づいて移動体の位置が検知されるものの、移動体の移動を自律的に制御する点については開示されていない。
【0008】
本発明は、上記の事情を鑑みてなされたもので、複数の移動体の各々が、自らの位置データと他の移動体の位置データとに基づいて、自らの移動体の移動を制御することができる位置検出システム、位置検出サーバ、位置検出方法、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために本発明に係る位置検出システムは、複数の移動体の各々に搭載される制御装置と、位置検出サーバと、複数の移動体の各々が移動する床に設置された複数のセンサと、を含む位置検出システムであって、前記位置検出サーバは、複数のセンサの各々によって検出された信号に基づいて、複数の移動体の各々の位置を検出し、複数の移動体が備える制御装置の各々に対し、複数の移動体の各々の位置データを送信し、複数の移動体が備える制御装置の各々は、複数の移動体の各々の位置データに基づいて、自らの移動体の移動経路を決定し、自らの移動体に設置されている移動のための駆動装置を制御する、位置検出システムである。
【0010】
また、前記位置検出サーバは、前記移動体が所定動作をした際の前記センサによって検出された信号の時系列を取得し、取得した信号の時系列に基づいて複数の移動体の各々を識別し、前記移動体の位置データと前記移動体の識別情報であるIDデータとの組み合わせを、複数の移動体が備える制御装置の各々に対して送信し、複数の移動体の制御装置の各々は、前記IDデータに基づいて自らの移動体又は他の移動体の位置データを認識し、自らの移動体の前記位置データと他の移動体の位置データとに基づいて、自らの移動体の移動経路を決定し、自らの移動体に設置されている前記駆動装置を制御するようにすることができる。
【0011】
また、前記位置検出サーバは、複数のセンサの各々によって検出された信号に基づく複数の移動体の位置検出結果と、他の位置検出方法によって検出された複数の移動体の位置検出結果とを統合して、複数の移動体の各々の位置を検出するようにすることができる。
【0012】
また、前記床は道路、線路、階段、及び公園の地面の何れかであるようにすることができる。
【0013】
また、前記位置検出サーバは、複数のセンサの各々によって検出された信号の時系列に基づいて、複数の移動体の各々がロボット及び人の何れであるのかを判定し、複数の移動体が備える制御装置の各々は、前記位置検出サーバによる判定結果に基づいて、自らの移動体の移動経路を決定し、自らの移動体に設置されている移動のための駆動装置を制御するようにすることができる。
【0014】
また、前記信号は、力、光、電子線、熱、磁気信号、及び電気信号の少なくとも1つであるようにすることができる。
【0015】
また、本発明に係る位置検出方法は、複数の移動体の各々に搭載される制御装置と、位置検出サーバと、複数の移動体の各々が移動する床に設置された複数のセンサと、を含む位置検出システムが実行する位置検出方法であって、前記位置検出サーバは、複数のセンサの各々によって検出された信号に基づいて、複数の移動体の各々の位置を検出し、複数の移動体が備える制御装置の各々に対し、複数の移動体の各々の位置データを送信し、複数の移動体が備える制御装置の各々は、複数の移動体の各々の位置データに基づいて、自らの移動体の移動経路を決定し、自らの移動体に設置されている移動のための駆動装置を制御する、位置検出方法である。
【0016】
また、本発明に係る位置検出サーバは、複数の移動体の各々に搭載される制御装置と、位置検出サーバと、複数の移動体の各々が移動する床に設置された複数のセンサと、を含む位置検出システムにおける位置検出サーバであって、前記位置検出サーバは、複数のセンサの各々によって検出された信号に基づいて、複数の移動体の各々の位置を検出し、複数の移動体が備える制御装置の各々に対し、複数の移動体の各々の位置データを送信し、複数の移動体が備える制御装置の各々は、複数の移動体の各々の位置データに基づいて、自らの移動体の移動経路を決定し、自らの移動体に設置されている移動のための駆動装置を制御する、位置検出サーバである。
【0017】
また、本発明に係るプログラムは、複数の移動体の各々に搭載される制御装置と、位置検出サーバと、複数の移動体の各々が移動する床に設置された複数のセンサと、を含む位置検出システムにおける位置検出サーバを構成するコンピュータに実行させるためのプログラムであって、前記位置検出サーバは、複数のセンサの各々によって検出された信号に基づいて、複数の移動体の各々の位置を検出し、複数の移動体が備える制御装置の各々に対し、複数の移動体の各々の位置データを送信し、複数の移動体が備える制御装置の各々は、複数の移動体の各々の位置データに基づいて、自らの移動体の移動経路を決定し、自らの移動体に設置されている移動のための駆動装置を制御する、処理をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0018】
以上説明したように、本発明によれば、複数の移動体の各々が、自らの位置データと他の移動体の位置データとに基づいて、自らの移動体の移動を制御することができる、という効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】実施形態の位置検出システムの概略構成の一例を示す図である。
【
図2】実施形態の位置検出システムの利用態様を表す図である。
【
図3】センサ、位置検出サーバ、又は制御装置を構成するコンピュータのハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図4】実施形態の位置検出システムにおいて実行されるシーケンスである。
【
図5】移動体の所定動作を説明するための図である。
【
図6】ロボットである移動体が移動した際にセンサによって検知された信号の時系列と、人である移動体が移動した際にセンサによって検知された信号の時系列との例を示す図である。
【
図8】複数の移動体の各々のIDデータと位置データとの組み合わせの一例を示す図である。
【
図9】本実施形態の位置検出システムの実施例を示す図である。
【
図10】本実施形態の位置検出システムの実施例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0021】
<実施形態>
図1は、実施形態の位置検出システム10の構成例を示すブロック図である。実施形態の位置検出システム10は、複数のセンサ12A,12B,・・・,12Zと、位置検出サーバ14と、複数の移動体16A,16B,・・・,16Zとを含む。複数のセンサ12A,12B,・・・,12Zと、位置検出サーバ14と、複数の移動体16A,16B,・・・,16Zとは、インターネット等の通信手段18によって通信可能に接続されている。なお、以下では、複数のセンサ12A,12B,・・・,12Zのうちの任意のセンサを指し示す場合には、単にセンサ12とも称する。また、以下では、複数の移動体16A,16B,・・・,16Zのうちの任意の移動体を指し示す場合には、単に移動体16とも称する。
【0022】
複数のセンサ12A,12B,・・・,12Zの各々は、圧電素子によって構成され、加圧されるとその圧力に応じた電気信号を出力する。
【0023】
位置検出サーバ14は、
図1に示されているように、サーバ制御部140と、サーバ記憶部142とを備えている。
【0024】
複数の移動体16A,16B,・・・,16Zのうちのロボットの各々は、
図1に示されているように、制御装置160と、駆動装置162とを備えている。駆動装置162は、ロボットを移動させるための手段であり、例えばモータである。
【0025】
図2は、実施形態の位置検出システム10の利用態様を表す図である。
図2に示されるように、実施形態の位置検出システム10は、床面に設置された複数のセンサ12A,12B,・・・,12Zと、位置検出サーバ14と、複数の移動体16A,16B,・・・,16Zとを備えている。
図2においては、床面の一部に複数のセンサ12A,12B,・・・,12Zが設置されていることが図示されているが、床面を構成する複数の四角部分の四隅にはセンサ12が設置されている。
【0026】
図2に示されている例では、配膳ロボットである移動体16Aと、人である移動体16Xとが図示されている。
図2では、1台のロボットのみが図示されているが、実際には、より多くのロボットが存在している。
【0027】
実施形態の位置検出システム10では、複数のセンサ12A,12B,・・・,12Zの各々によって検知された信号が位置検出サーバ14へ送信され、位置検出サーバ14が複数の信号に基づいて複数の移動体16A,16B,・・・,16Zの位置を特定する。なお、位置検出サーバ14は、複数の移動体16A,16B,・・・,16Zの各々の位置を特定する際に、それら移動体を識別する。
【0028】
例えば、位置検出サーバ14は、複数の信号に基づいて、その移動体が人であるのかロボットであるのかを識別する。また、例えば、位置検出サーバ14は、複数の移動体16A,16B,・・・,16Zの各々について、その移動体がロボットである場合には、そのロボットがどのような種別のロボットであるのか(例えば、配膳ロボットなのか他の種類のサービスロボットなのか)を識別する。
【0029】
そして、位置検出サーバ14は、複数の移動体16A,16B,・・・,16Zの各々に対して、複数の移動体16A,16B,・・・,16Zの各々の位置と種別を表すIDデータとを送信する。そして、複数の移動体16A,16B,・・・,16Zの各々の制御装置160は、位置検出サーバ14から送信された、自らの位置と他の移動体の位置とに基づいて、駆動装置162を駆動させ、自らの移動を制御する。例えば、移動体16の制御装置160は、他の移動体と接触をしないように自らの移動を制御する。以下、具体的に説明する。
【0030】
図3は、センサ12、位置検出サーバ14、又は制御装置160を構成するコンピュータのハードウェア構成を示すブロック図である。
図3に示されるように、コンピュータは、CPU(Central Processing Unit)81、ROM(Read Only Memory)82、RAM(Random Access Memory)83、ストレージ84、入力部85、表示部86及び通信インタフェース(I/F)87を有する。各構成は、バス89を介して相互に通信可能に接続されている。
【0031】
CPU81は、中央演算処理ユニットであり、各種プログラムを実行したり、各部を制御したりする。すなわち、CPU81は、ROM82又はストレージ84からプログラムを読み出し、RAM83を作業領域としてプログラムを実行する。CPU81は、ROM82又はストレージ84に記憶されているプログラムに従って、上記各構成の制御及び各種の演算処理を行う。本実施形態では、ROM82又はストレージ84には、入力装置より入力された情報を処理する各種プログラムが格納されている。
【0032】
ROM82は、各種プログラム及び各種データを格納する。RAM83は、作業領域として一時的にプログラム又はデータを記憶する。ストレージ84は、HDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)等により構成され、オペレーティングシステムを含む各種プログラム、及び各種データを格納する。
【0033】
入力部85は、マウス等のポインティングデバイス、及びキーボードを含み、各種の入力を行うために使用される。
【0034】
表示部86は、例えば、液晶ディスプレイであり、各種の情報を表示する。表示部86は、タッチパネル方式を採用して、入力部85として機能しても良い。
【0035】
通信I/F87は、入力装置等の他の機器と通信するためのインタフェースであり、例えば、イーサネット(登録商標)、FDDI、Wi-Fi(登録商標)等の規格が用いられる。
【0036】
<位置検出システム10の作用>
実施形態の位置検出システム10の作用について説明する。位置検出システム10の各装置のCPU81がROM82又はストレージ84からプログラムを読み出して、RAM83に展開して実行することにより、
図4に示されるシーケンスが実行される。
【0037】
まず、ステップS200において、複数の移動体16A,16B,・・・,16Zのうちの一部の移動体16の制御装置160が、自らの駆動装置162に対して所定動作を指示する制御信号を出力する。これにより、移動体16の制御装置160は、自らが所定動作をするように駆動装置162を制御する。
【0038】
図5に、所定動作を説明するための図を示す。
図5は、複数のセンサ12A,12B,・・・,12Zが設置された床面を上空から見た図である。
図5に示されているように、例えば、移動体16Aが上下方向への移動を繰り返すような動作M1をした場合、その動作M1に応じた電気信号が周辺のセンサ12(
図5では単なる黒丸によって図示)によって検知される。また、
図5に示されているように、例えば、移動体16Bが回転するような動作M2をした場合、その動作M2に応じた電気信号が周辺のセンサ12によって検知される。
【0039】
後述するように、位置検出サーバ14は、これらの動作に応じてセンサ12によって検知された信号に基づいて、それらの移動体16を識別する。なお、所定動作としては、床に対して所定の振動を与えるような動作も考えられる。
【0040】
また、
図6に、ロボットである移動体16が移動した際にセンサ12によって検知された信号の時系列(
図6の左側)と、人である移動体16が移動した際にセンサ12によって検知された信号の時系列(
図6の右側)との例を示す。
図6のグラフの横軸tは時刻を表し、縦軸Vsは電圧値を示す。また、
図6の実線はあるセンサ12によって検知された信号の時系列を表し、破線は別のセンサ12によって検知された信号の時系列を表す。
図6に示されるように、ロボットの移動によって検知された信号の時系列と、人の移動によって検知された信号の時系列とは異なるものとなる。人とロボットでは、いわゆる歩行間隔に相当する振動の間隔が異なるため、センサ12によって検知された信号の時系列を利用することが極めて有効となる。なお、センサ12によって検知される圧力値(移動体16の重量に相当)及び移動体16の移動速度のみを利用したとしても、人とロボットとが同程度である場合に識別が困難となる。
【0041】
このため、後述するように、位置検出サーバ14のサーバ制御部140は、これらの信号の時系列に基づいて、移動体16がロボットであるのか人であるのかを識別する。なお、移動体16を識別する際には、センサ12によって検知された圧力値(移動体16の重量に相当)と移動体の移動速度の情報も取り入れるようにしてもよい。
【0042】
ステップS202において、複数のセンサ12A,12B,・・・,12Zの各々は、ステップS200での移動体16の所定動作に応じて検知された信号を位置検出サーバ14へ送信する。
【0043】
ステップS204において、位置検出サーバ14のサーバ制御部140は、移動体16が所定動作をした際のセンサ12によって検出された信号を受信し、サーバ記憶部142へ一旦格納する。
【0044】
ステップS206において、位置検出サーバ14のサーバ制御部140は、サーバ記憶部142に格納されている信号の時系列に基づいて、複数の移動体の各々を識別する。具体的には、位置検出サーバ14は、所定動作に応じて検知された信号の時系列に応じて、複数の移動体の各々を識別すると共に、その位置を特定する。
【0045】
なお、例えば、位置検出サーバ14のサーバ制御部140は、特許第7091587号又は特開2021-033763に開示されている方法を用いて、複数の移動体の各々の位置を特定する。
【0046】
また、位置検出サーバ14のサーバ制御部140は、複数の移動体の各々を識別する際には、例えば、
図7に示されるような学習済みモデルを利用して、複数の移動体16A,16B,・・・,16Zの各々を識別する。
【0047】
図7に示される学習済みモデルは、学習用の信号の時系列データと学習用の移動体の種別を表す教師データとの組み合わせに基づき予め機械学習されたモデルであり、例えば、学習済みのニューラルネットワークモデルである。
【0048】
位置検出サーバ14のサーバ制御部140は、移動体の位置を特定した後に、その位置に対応する箇所において取得された信号の時系列を学習済みモデルへ入力することにより、その移動体の種別を識別する。これにより、例えば、その移動体16が人であるのか、配膳ロボットであるのか、他のサービスロボットであるのかが識別される。
【0049】
ステップS208において、位置検出サーバ14のサーバ制御部140は、複数の移動体16A,16B,・・・,16Zが備える制御装置160の各々に対し、複数の移動体16A,16B,・・・,16Z各々の位置データと複数の移動体の各々の識別情報であるIDデータとを送信する。
【0050】
図8に、複数の移動体の各々のIDデータと位置データとの組み合わせの一例を示す。位置検出サーバ14は、複数の移動体16A,16B,・・・,16Zが備える制御装置160の各々に対して、
図8に示されているようなデータを送信する。
【0051】
ステップS210において、位置検出サーバ14のサーバ制御部140は、ステップS208で位置検出サーバ14から送信されたデータを受信する。
【0052】
ステップS212において、複数の移動体16A,16B,・・・,16Zが備える制御装置160の各々は、複数の移動体16A,16B,・・・,16Zの各々の位置データに基づいて、自らの移動体の移動経路を決定し、自らの移動体に設置されている移動のための駆動装置162を制御する。
【0053】
図8に示されるように、複数の移動体16A,16B,・・・,16Zが備える制御装置160の各々が受信するデータは、自らの移動体の位置データとIDデータ及び他の移動体の位置データとIDデータである。この場合、例えば、ある移動体16Aの制御装置160は、所定動作M1を実行したため、自らのIDデータは「00001_M1」であると認識し、自らの位置は(X1,Y1)であると認識する。一方、ある移動体16Aの制御装置160は、「00002_M2」は他の移動体16Bであると認識し、(X2,Y2)は他の移動体16Bの位置であると認識する。これにより、ある移動体16Aの制御装置160は、自らの位置と他の移動体16Bの位置とに応じて移動経路を決定する。
【0054】
以上説明したように、実施形態に係る位置検出システムは、複数の移動体の各々に搭載される制御装置と、位置検出サーバと、複数の移動体の各々が移動する床に設置された複数のセンサと、を含む。位置検出サーバは、複数のセンサの各々によって検出された信号に基づいて、複数の移動体の各々の位置を検出し、複数の移動体が備える制御装置の各々に対し、複数の移動体の各々の位置データを送信する。複数の移動体が備える制御装置の各々は、複数の移動体の各々の位置データに基づいて、自らの移動体の移動経路を決定し、自らの移動体に設置されている移動のための駆動装置を制御する。これにより、複数の移動体の各々は、自らの位置データと他の移動体の位置データとに基づいて自らの移動体の移動を制御することができる。
【0055】
また、位置検出サーバは、移動体が所定動作をした際のセンサによって検出された信号の時系列を取得し、取得した信号の時系列に基づいて複数の移動体の各々を識別し、移動体の位置データと移動体の識別情報であるIDデータとの組み合わせを、複数の移動体が備える制御装置の各々に対して送信する。そして、複数の移動体の制御装置の各々は、IDデータに基づいて自らの移動体又は他の移動体の位置データを認識し、自らの移動体の位置データと他の移動体の位置データとに基づいて、自らの移動体の移動経路を決定し、自らの移動体に設置されている駆動装置を制御する。これにより、例えば、移動体は、他の移動体と接触を避けるような移動経路を走行することができる。また、例えば、移動体は、他の移動体との間の距離が所定距離以上となるように走行することもできる。
【0056】
また、位置検出サーバは、複数のセンサの各々によって検出された信号の時系列に基づいて、複数の移動体の各々がロボット及び人の何れであるのかを判定する。そして、複数の移動体が備える制御装置の各々は、位置検出サーバによる判定結果に基づいて、自らの移動体の移動経路を決定し、自らの移動体に設置されている移動のための駆動装置を制御する。これにより、移動体は、人との接触を避けるような移動経路を走行することができる。また、移動体は、例えば、人の付近(例えば、人との間の距離が所定距離未満の場合)を走行する際には、走行速度を低下させるなどの走行をすることができる。
【0057】
また、従来では、複数の移動体の個々に対して位置を特定するための手段(例えば、GPS:Global Positioning System等)を設置する必要があったのに対し、本実施形態によれば、床面へのセンサを設置することにより、複数かつ異なる移動体が同時かつ効率的に動作することができるプラットフォームを構築することができる。
【0058】
また、複数の移動体による隊列走行又は役割分担が従来以上に容易となる、という効果も得られる。例えば、センサの設置場所を、屋内、屋外、又は階段などシームレスに形成することで従来にはない移動体のサービスが可能となる。
【0059】
また、人とロボットが混在した中で、ロボットである移動体の最適経路を事前に予測することが可能となる。
【0060】
[実施例]
次に実施例について説明する。
図9及び
図10は、本実施形態の位置検出システム10の実施例を示す図である。
図9及び
図10における左側の図は、床面を上空から見た図をソフトウェアによって作成したものである。
図9及び
図10における左側の図の四角は、センサが設置されている床面パネルに相当する。また、
図9及び
図10における左側の図に示されている軌跡のような線は、ロボット又は人が移動した軌跡であり、
図9に示されている軌跡は人が移動した場合の軌跡であり、
図10に示されている軌跡はロボットが移動した場合の軌跡である。
図9及び
図10における右側の図には、ロボット又は人の位置(図では「result」と表記)とその種別の判定結果(図では「predict」と表記され、人を模擬したマーク及びロボットを模擬したマークによって結果が表されている)が示されている。
図9及び
図10における右側の図に示されているように、移動体の種別は正しく判定されており、位置も適切に特定されていることがわかる。
【0061】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内で様々な変形や応用が可能である。
【0062】
上記実施形態では、センサ12によって検知された信号に基づいて移動体16の位置を特定する場合を例に説明したがこれに限定されるものではない。例えば、位置検出サーバ14は、複数のセンサ12A,12B,・・・,12Zの各々によって検出された信号に基づく複数の移動体16A,16B,・・・,16Zの位置検出結果と、他の位置検出方法によって検出された複数の移動体16A,16B,・・・,16Zの位置検出結果とを統合して、複数の移動体16A,16B,・・・,16Zの各々の位置を検出するようにしてもよい。具体的には、他の位置検出方法としては、例えば、GPS(Global Positioning System)、Wi-Fi測位、ビーコン測位、超広帯域無線測位UWB(Ultra Wide Band)、地磁気測位、音波測位、LiDAR(Light Detection And Ranging)、及び歩行者自立航法測位PDR(Pedestrian Dead Reckoning)等が挙げられる。例えば、他の位置検出方法としてGPSを利用する場合、GPSによって特定された移動体16の位置検出結果(Xg,Yg)と、上記実施形態によって検知された移動体16の位置検出結果(Xi,Yi)とを統合することにより、移動体16の位置を特定する。例えば、位置検出結果(Xg,Yg)と位置検出結果(Xi,Yi)との中間の位置を移動体16の位置として特定したり、位置検出結果(Xg,Yg)と位置検出結果(Xi,Yi)との重み付け和によって得られる位置を移動体16の位置として特定することができる。
【0063】
また、従来の位置検出方法における問題点としては、例えば、GPSによる位置検出では遮蔽物によって位置測位の精度が変化するという点があった。これに対し、本実施形態によれば、床に設置されたセンサによって移動体の位置を直接計測するため、遮蔽物の影響はないという利点がある。また、従来の位置検出方法では、その測定環境によって最適な手法が異なるという点もあった。これに対し、本実施携帯によれば、床に設置されたセンサは屋内と屋外とにおいて移動体の位置データを連続した特定することが可能であり、床面にセンサが設置されていれさえすれば、その測定環境は問われないという利点がある。また、移動体の位置と人の位置の両方を同時に計測するためには、人がセンサを帯同させる必要があった。これに対し、本実施形態によれば、床にセンサを設置さえすれば、人がセンサを持たずに人の位置を計測することが可能となる。
【0064】
また、上記実施形態では、センサが圧電素子によって構成されている場合を例に説明したがこれに限定されるものではない。特許第7091587号にも開示されているように、センサは、力、光、電子線、熱、磁気信号、及び電気信号の少なくとも1つを検出するセンサであってもよい。
【0065】
また、上記実施形態では、移動体16の所定動作として
図5に示されている動作を例に説明したが、これに限定されるものではない。例えば、センサ12が光センサである場合には、所定の光を床面に対して出力するような動作であってもよい。
【0066】
なお、上記実施形態では、床がパネルによって構成されている場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。例えば、床は道路、線路、階段、及び公園の地面の何れかであってもよい。
【0067】
また、床面にセンサ12を設置する際には、その間隔が等間隔になるようにしてもよい。これにより、検知される信号の精度を高めることができる。
【0068】
また、本願明細書中において、プログラムが予めインストールされている実施形態として説明したが、当該プログラムを、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して提供することも可能である。
【符号の説明】
【0069】
10 位置検出システム
12 センサ
14 位置検出サーバ
16 移動体
140 サーバ制御部
142 サーバ記憶部
160 制御装置
162 駆動装置