(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024046542
(43)【公開日】2024-04-03
(54)【発明の名称】ズームレンズおよび撮像装置
(51)【国際特許分類】
G02B 15/02 20060101AFI20240327BHJP
G02B 15/20 20060101ALI20240327BHJP
G02B 13/18 20060101ALI20240327BHJP
G02B 15/04 20060101ALI20240327BHJP
G03B 5/00 20210101ALI20240327BHJP
H04N 23/55 20230101ALI20240327BHJP
【FI】
G02B15/02
G02B15/20
G02B13/18
G02B15/04
G03B5/00 J
H04N5/225 400
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022151982
(22)【出願日】2022-09-22
(71)【出願人】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 琢也
(72)【発明者】
【氏名】大田 基在
【テーマコード(参考)】
2H087
2K005
5C122
【Fターム(参考)】
2H087KA01
2H087LA01
2H087LA30
2H087MA18
2H087MA19
2H087NA07
2H087PA15
2H087PA16
2H087PB20
2H087QA01
2H087QA02
2H087QA07
2H087QA17
2H087QA18
2H087QA21
2H087QA25
2H087QA32
2H087QA34
2H087QA37
2H087QA41
2H087QA42
2H087QA45
2H087QA46
2H087RA04
2H087RA05
2H087RA12
2H087RA13
2H087RA32
2H087RA44
2H087SA43
2H087SA47
2H087SA49
2H087SA52
2H087SA55
2H087SA63
2H087SA64
2H087SA65
2H087SA72
2H087SA76
2H087SA84
2H087SB06
2H087SB07
2H087SB17
2H087SB24
2H087SB34
2H087SB41
2K005CA02
2K005CA23
5C122DA02
5C122DA03
5C122DA04
5C122DA11
5C122EA59
5C122FA16
5C122FB02
5C122FB04
5C122FE02
5C122GE05
5C122GE11
5C122HB06
5C122HB09
5C122HB10
(57)【要約】
【課題】レンズ系の一部を交換することにより、長焦点距離化を行いながら、交換に伴う画角の変動を抑制しつつ、イメージサイズの拡大が可能であり、交換前後の状態において諸収差が抑えられて良好な光学性能を有するズームレンズ、およびこのズームレンズを備えた撮像装置を提供する。
【解決手段】ズームレンズは、物体側から順に、合焦部と、変倍部と、開口絞りと、結像部とを備え、結像部の交換可能に設けられた一部を交換することにより、第1の状態と、第2の状態との間で切替え可能である。第1の状態から第2の状態へ切替えることにより結像位置を一定に保ったまま全系の焦点距離が長焦点距離側へ変化する。ズームレンズは予め定められた条件式を満足する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体側から像側へ順に、合焦の際に移動する合焦用レンズ群を含み変倍の際に像面に対して固定されている合焦部と、変倍の際に隣り合う群との間隔が変化する少なくとも2つの変倍用レンズ群を含む変倍部と、開口絞りと、変倍の際に像面に対して固定されている結像部とを備え、
前記結像部の交換可能に設けられた一部を交換することにより、第1の状態と、第2の状態との間で切替え可能であり、
前記第1の状態では、前記結像部は、物体側から像側へ順に、M1レンズ群と、交換可能なM2aレンズ群と、M3レンズ群とからなり、
前記第2の状態では、前記結像部は、物体側から像側へ順に、前記M1レンズ群と、交換可能なM2bレンズ群と、前記M3レンズ群とからなり、
前記第1の状態から前記第2の状態へ切替えることにより結像位置を一定に保ったまま全系の焦点距離が長焦点距離側へ変化し、
前記第1の状態での望遠端における無限遠物体に合焦した状態での全系の焦点距離をfta、
前記第1の状態での望遠端における無限遠物体に合焦した状態での最大半画角をωta、
前記第2の状態での望遠端における無限遠物体に合焦した状態での全系の焦点距離をftb、
前記第2の状態での望遠端における無限遠物体に合焦した状態での最大半画角をωtb、
前記第1の状態での前記結像部の焦点距離をfMa、
前記M2aレンズ群の焦点距離をfM2a、
前記第2の状態での前記結像部の焦点距離をfMb、
前記M2bレンズ群の焦点距離をfM2bとした場合、
1.35<(ftb×tanωtb)/(fta×tanωta)<1.65 (1)
0<|fMa/fM2a|<4 (2)
0<|fMb/fM2b|<7 (3)
で表される条件式(1)、(2)、および(3)を満足するズームレンズ。
【請求項2】
物体側から像側へ順に、合焦の際に移動する合焦用レンズ群を含み変倍の際に像面に対して固定されている合焦部と、変倍の際に隣り合う群との間隔が変化する少なくとも2つの変倍用レンズ群を含む変倍部と、開口絞りと、変倍の際に像面に対して固定されている結像部とを備え、
前記結像部の交換可能に設けられた一部を交換することにより、第1の状態と、第2の状態との間で切替え可能であり、
前記第1の状態では、前記結像部は、物体側から像側へ順に、M1レンズ群と、交換可能なM2aレンズ群と、M3レンズ群とからなり、
前記第2の状態では、前記結像部は、物体側から像側へ順に、前記M1レンズ群と、交換可能なM2bレンズ群と、前記M3レンズ群とからなり、
前記第1の状態から前記第2の状態へ切替えることにより結像位置を一定に保ったまま全系の焦点距離が長焦点距離側へ変化し、
前記第1の状態での前記結像部の焦点距離をfMa、
前記M2aレンズ群の焦点距離をfM2a、
前記第2の状態での前記結像部の焦点距離をfMb、
前記M2bレンズ群の焦点距離をfM2b、
前記第1の状態での望遠端における無限遠物体に合焦した状態での最大半画角をωta、
前記第2の状態での望遠端における無限遠物体に合焦した状態での最大半画角をωtbとした場合、
0<|fMa/fM2a|<4 (2)
0<|fMb/fM2b|<7 (3)
0.875<ωtb/ωta<1.125 (4)
で表される条件式(2)、(3)、および(4)を満足するズームレンズ。
【請求項3】
物体側から像側へ順に、合焦の際に移動する合焦用レンズ群を含み変倍の際に像面に対して固定されている合焦部と、変倍の際に隣り合う群との間隔が変化する少なくとも2つの変倍用レンズ群を含む変倍部と、開口絞りと、変倍の際に像面に対して固定されている結像部とを備え、
前記結像部の交換可能に設けられた一部を交換することにより、第1の状態と、第2の状態との間で切替え可能であり、
前記第1の状態では、前記結像部は、物体側から像側へ順に、M1レンズ群と、交換可能なM2aレンズ群と、M3レンズ群とからなり、
前記第2の状態では、前記結像部は、物体側から像側へ順に、前記M1レンズ群と、交換可能なM2bレンズ群と、前記M3レンズ群とからなり、
前記第1の状態から前記第2の状態へ切替えることにより結像位置を一定に保ったまま全系の焦点距離が長焦点距離側へ変化し、
前記第1の状態での前記結像部の焦点距離をfMa、
前記M2aレンズ群の焦点距離をfM2a、
前記第2の状態での前記結像部の焦点距離をfMb、
前記M2bレンズ群の焦点距離をfM2b、
前記第2の状態での前記M3レンズ群の最も物体側のレンズ面における有効直径をφM3F、
前記第2の状態での前記M3レンズ群の最も像側のレンズ面における有効直径をφM3Rとした場合、
0<|fMa/fM2a|<4 (2)
0<|fMb/fM2b|<7 (3)
0.5<φM3F/φM3R<0.95 (5)
で表される条件式(2)、(3)、および(5)を満足するズームレンズ。
【請求項4】
前記M2aレンズ群の最も物体側のレンズ面における軸上光束の最大直径をφM2aF、
前記M2aレンズ群の最も像側のレンズ面における軸上光束の最大直径をφM2aR、
前記M2bレンズ群の最も物体側のレンズ面における軸上光束の最大直径をφM2bF、
前記M2bレンズ群の最も像側のレンズ面における軸上光束の最大直径をφM2bRとした場合、
0.525<(φM2bR/φM2bF)/(φM2aR/φM2aF)<0.8 (6)
で表される条件式(6)を満足する請求項1から3のいずれか1項に記載のズームレンズ。
【請求項5】
前記M1レンズ群は、像ぶれ補正の際に光軸と交わる方向に移動する防振群を含み、
無限遠物体に合焦した状態での前記防振群の横倍率をβs、
前記第1の状態における無限遠物体に合焦した状態での前記M2aレンズ群と前記M3レンズ群との合成横倍率をβM2a3とした場合、
0.5<|(1-βs)×βM2a3|<2.75 (7)
で表される条件式(7)を満足する請求項1から3のいずれか1項に記載のズームレンズ。
【請求項6】
前記防振群は、前記M1レンズ群内の最も像側に配置され、
前記第1の状態での前記防振群の最も物体側のレンズ面における有効直径をφM1saF、
前記第1の状態での前記M1レンズ群の最も物体側のレンズ面における有効直径をφM1aFとした場合、
0.6<φM1saF/φM1aF<0.875 (8)
で表される条件式(8)を満足する請求項5に記載のズームレンズ。
【請求項7】
前記第2の状態での広角端における無限遠物体に合焦した状態での全系の焦点距離をfwb、
前記第2の状態での広角端における無限遠物体に合焦した状態での像面から近軸射出瞳位置までの光軸上の距離をDexwb、
Dexwbの符号は、像面を基準として像側の距離を正、物体側の距離を負とし、
像面と前記近軸射出瞳位置との間に屈折力を有しない光学部材が配置されている場合は、前記光学部材については空気換算距離を用いてDexwbを計算する場合、
-0.45<fwb/Dexwb<-0.05 (9)
で表される条件式(9)を満足する請求項1から3のいずれか1項に記載のズームレンズ。
【請求項8】
前記M2bレンズ群は2つの接合レンズを含む請求項1から3のいずれか1項に記載のズームレンズ。
【請求項9】
前記2つの接合レンズのうちの1つは3枚接合レンズである請求項8に記載のズームレンズ。
【請求項10】
前記第2の状態での望遠端における無限遠物体に合焦した状態での前記ズームレンズの最も物体側のレンズ面から前記ズームレンズの最も像側のレンズ面までの光軸上の距離と、空気換算距離での全系のバックフォーカスとの和をTLtb、
前記第2の状態での望遠端における無限遠物体に合焦した状態での全系の焦点距離をftb、
前記第2の状態での望遠端における無限遠物体に合焦した状態での最大半画角をωtbとした場合、
30<TLtb/(ftb×tanωtb)<39 (10)
で表される条件式(10)を満足する請求項1から3のいずれか1項に記載のズームレンズ。
【請求項11】
前記合焦部は全体として正の屈折力を有する請求項1から3のいずれか1項に記載のズームレンズ。
【請求項12】
無限遠物体に合焦した状態での前記合焦部の焦点距離をfF、
前記合焦部の最も物体側のレンズである第1レンズの焦点距離をfL1とした場合、
-0.675<fF/fL1<-0.425 (11)
で表される条件式(11)を満足する請求項11に記載のズームレンズ。
【請求項13】
前記合焦部の最も物体側のレンズである第1レンズのd線に対する屈折率をNdL1、
前記第1レンズのd線基準のアッベ数をνdL1、
前記第1レンズのg線とF線間の部分分散比をθgFL1とした場合、
1.72<NdL1<1.92 (12)
34<νdL1<57 (13)
0.55<θgFL1<0.585 (14)
で表される条件式(12)、(13)、および(14)を満足する請求項11に記載のズームレンズ。
【請求項14】
前記変倍部の最も物体側の前記変倍用レンズ群は、負の屈折力を有し、変倍の際に移動するV1レンズ群であり、
無限遠物体に合焦した状態での前記合焦部の焦点距離をfF、
前記V1レンズ群の焦点距離をfV1とした場合、
4<fF/(-fV1)<9 (15)
で表される条件式(15)を満足する請求項1から3のいずれか1項に記載のズームレンズ。
【請求項15】
前記変倍部の最も物体側の前記変倍用レンズ群は、負の屈折力を有し変倍の際に移動するV1レンズ群であり、
望遠端における無限遠物体に合焦した状態での前記V1レンズ群の横倍率をβV1t、
広角端における無限遠物体に合焦した状態での前記V1レンズ群の横倍率をβV1wとした場合、
7.5<βV1t/βV1w<12 (16)
で表される条件式(16)を満足する請求項1から3のいずれか1項に記載のズームレンズ。
【請求項16】
前記変倍部は、物体側から像側へ順に、負の屈折力を有し変倍の際に移動するV1レンズ群と、正の屈折力を有し変倍の際に移動するV2レンズ群と、正の屈折力を有し変倍の際に移動するV3レンズ群とからなり、
変倍の際に、前記V1レンズ群と前記V2レンズ群との間隔が変化し、前記V2レンズ群と前記V3レンズ群との間隔が変化する請求項1から3のいずれか1項に記載のズームレンズ。
【請求項17】
前記V1レンズ群の焦点距離をfV1、
望遠端における前記V2レンズ群と前記V3レンズ群との合成焦点距離をfV23tとした場合、
-0.45<fV23t/fV1<-0.225 (17)
で表される条件式(17)を満足する請求項16に記載のズームレンズ。
【請求項18】
前記第1の状態での望遠端における無限遠物体に合焦した状態での開放FナンバーをFnota、
前記第1の状態での望遠端における無限遠物体に合焦した状態での全系の焦点距離をfta、
前記第1の状態での広角端における無限遠物体に合焦した状態での全系の焦点距離をfwaとした場合、
0.11<Fnota/(fta/fwa)<0.15 (18)
で表される条件式(18)を満足する請求項1から3のいずれか1項に記載のズームレンズ。
【請求項19】
前記第2の状態での望遠端における無限遠物体に合焦した状態での前記ズームレンズの最も物体側のレンズ面から前記ズームレンズの最も像側のレンズ面までの光軸上の距離と、空気換算距離での全系のバックフォーカスとの和をTLtb、
前記第2の状態での望遠端における無限遠物体に合焦した状態での全系の焦点距離をftbとした場合、
0.4<TLtb/ftb<0.6 (19)
で表される条件式(19)を満足する請求項1から3のいずれか1項に記載のズームレンズ。
【請求項20】
請求項1から3のいずれか1項に記載のズームレンズを備えた撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の技術は、ズームレンズ、および撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、放送用カメラ等に使用可能なレンズ系として、例えば、下記特許文献1に記載されたものが知られている。特許文献1には、マスターレンズの一部と置換されることにより置換後のレンズ全系の焦点距離をマスターレンズの焦点距離よりも長焦点距離側へ変化させるエクステンダーレンズを備えた光学系が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の光学系では、エクステンダーレンズに置換する前の光学系に比べて置換後の光学系は、画角が小さくなり、イメージサイズは固定とされたものが多かった。しかしながら、撮影中の顕著な画角の変動はユーザによっては違和感を覚える場合があり、特に動画の撮影では強い違和感を覚える場合がある。また、光学系の一部を換えることによって、全系の焦点距離を長くしつつイメージサイズも拡大できれば、より大きなサイズの撮像素子にも対応可能となり、汎用性の高い光学系とすることができる。
【0005】
本開示は、レンズ系の一部を交換することにより、長焦点距離化を行いながら、交換に伴う画角の変動を抑制しつつ、イメージサイズの拡大が可能であり、交換前後の状態において諸収差が抑えられて良好な光学性能を有するズームレンズ、およびこのズームレンズを備えた撮像装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1の態様に係るズームレンズは、物体側から像側へ順に、合焦の際に移動する合焦用レンズ群を含み変倍の際に像面に対して固定されている合焦部と、変倍の際に隣り合う群との間隔が変化する少なくとも2つの変倍用レンズ群を含む変倍部と、開口絞りと、変倍の際に像面に対して固定されている結像部とを備え、結像部の交換可能に設けられた一部を交換することにより、第1の状態と、第2の状態との間で切替え可能であり、第1の状態では、結像部は、物体側から像側へ順に、M1レンズ群と、交換可能なM2aレンズ群と、M3レンズ群とからなり、第2の状態では、結像部は、物体側から像側へ順に、M1レンズ群と、交換可能なM2bレンズ群と、M3レンズ群とからなり、第1の状態から第2の状態へ切替えることにより結像位置を一定に保ったまま全系の焦点距離が長焦点距離側へ変化し、第1の状態での望遠端における無限遠物体に合焦した状態での全系の焦点距離をfta、第1の状態での望遠端における無限遠物体に合焦した状態での最大半画角をωta、第2の状態での望遠端における無限遠物体に合焦した状態での全系の焦点距離をftb、第2の状態での望遠端における無限遠物体に合焦した状態での最大半画角をωtb、第1の状態での結像部の焦点距離をfMa、M2aレンズ群の焦点距離をfM2a、第2の状態での結像部の焦点距離をfMb、M2bレンズ群の焦点距離をfM2bとした場合、
1.35<(ftb×tanωtb)/(fta×tanωta)<1.65 (1)
0<|fMa/fM2a|<4 (2)
0<|fMb/fM2b|<7 (3)
で表される条件式(1)、(2)、および(3)を満足する。
【0007】
本開示の第2の態様に係るズームレンズは、物体側から像側へ順に、合焦の際に移動する合焦用レンズ群を含み変倍の際に像面に対して固定されている合焦部と、変倍の際に隣り合う群との間隔が変化する少なくとも2つの変倍用レンズ群を含む変倍部と、開口絞りと、変倍の際に像面に対して固定されている結像部とを備え、結像部の交換可能に設けられた一部を交換することにより、第1の状態と、第2の状態との間で切替え可能であり、第1の状態では、結像部は、物体側から像側へ順に、M1レンズ群と、交換可能なM2aレンズ群と、M3レンズ群とからなり、第2の状態では、結像部は、物体側から像側へ順に、M1レンズ群と、交換可能なM2bレンズ群と、M3レンズ群とからなり、第1の状態から第2の状態へ切替えることにより結像位置を一定に保ったまま全系の焦点距離が長焦点距離側へ変化し、第1の状態での結像部の焦点距離をfMa、M2aレンズ群の焦点距離をfM2a、第2の状態での結像部の焦点距離をfMb、M2bレンズ群の焦点距離をfM2b、第1の状態での望遠端における無限遠物体に合焦した状態での最大半画角をωta、第2の状態での望遠端における無限遠物体に合焦した状態での最大半画角をωtbとした場合、
0<|fMa/fM2a|<4 (2)
0<|fMb/fM2b|<7 (3)
0.875<ωtb/ωta<1.125 (4)
で表される条件式(2)、(3)、および(4)を満足する。
【0008】
本開示の第3の態様に係るズームレンズは、物体側から像側へ順に、合焦の際に移動する合焦用レンズ群を含み変倍の際に像面に対して固定されている合焦部と、変倍の際に隣り合う群との間隔が変化する少なくとも2つの変倍用レンズ群を含む変倍部と、開口絞りと、変倍の際に像面に対して固定されている結像部とを備え、結像部の交換可能に設けられた一部を交換することにより、第1の状態と、第2の状態との間で切替え可能であり、第1の状態では、結像部は、物体側から像側へ順に、M1レンズ群と、交換可能なM2aレンズ群と、M3レンズ群とからなり、第2の状態では、結像部は、物体側から像側へ順に、M1レンズ群と、交換可能なM2bレンズ群と、M3レンズ群とからなり、第1の状態から第2の状態へ切替えることにより結像位置を一定に保ったまま全系の焦点距離が長焦点距離側へ変化し、第1の状態での結像部の焦点距離をfMa、M2aレンズ群の焦点距離をfM2a、第2の状態での結像部の焦点距離をfMb、M2bレンズ群の焦点距離をfM2b、第2の状態でのM3レンズ群の最も物体側のレンズ面における有効直径をφM3F、第2の状態でのM3レンズ群の最も像側のレンズ面における有効直径をφM3Rとした場合、
0<|fMa/fM2a|<4 (2)
0<|fMb/fM2b|<7 (3)
0.5<φM3F/φM3R<0.95 (5)
で表される条件式(2)、(3)、および(5)を満足する。
以下本項では、上記の第1の態様、第2の態様、および第3の態様に係るズームレンズを総括して上記態様のズームレンズという。
【0009】
M2aレンズ群の最も物体側のレンズ面における軸上光束の最大直径をφM2aF、M2aレンズ群の最も像側のレンズ面における軸上光束の最大直径をφM2aR、M2bレンズ群の最も物体側のレンズ面における軸上光束の最大直径をφM2bF、M2bレンズ群の最も像側のレンズ面における軸上光束の最大直径をφM2bRとした場合、上記態様のズームレンズは、
0.525<(φM2bR/φM2bF)/(φM2aR/φM2aF)<0.8 (6)
で表される条件式(6)を満足することが好ましい。
【0010】
M1レンズ群は、像ぶれ補正の際に光軸と交わる方向に移動する防振群を含み、無限遠物体に合焦した状態での防振群の横倍率をβs、第1の状態における無限遠物体に合焦した状態でのM2aレンズ群とM3レンズ群との合成横倍率をβM2a3とした場合、上記態様のズームレンズは、
0.5<|(1-βs)×βM2a3|<2.75 (7)
で表される条件式(7)を満足することが好ましい。
【0011】
防振群は、M1レンズ群内の最も像側に配置され、第1の状態での防振群の最も物体側のレンズ面における有効直径をφM1saF、第1の状態でのM1レンズ群の最も物体側のレンズ面における有効直径をφM1aFとした場合、上記態様のズームレンズは、
0.6<φM1saF/φM1aF<0.875 (8)
で表される条件式(8)を満足することが好ましい。
【0012】
第2の状態での広角端における無限遠物体に合焦した状態での全系の焦点距離をfwb、第2の状態での広角端における無限遠物体に合焦した状態での像面から近軸射出瞳位置までの光軸上の距離をDexwb、Dexwbの符号は、像面を基準として像側の距離を正、物体側の距離を負とし、像面と近軸射出瞳位置との間に屈折力を有しない光学部材が配置されている場合は、光学部材については空気換算距離を用いてDexwbを計算する場合、上記態様のズームレンズは、
-0.45<fwb/Dexwb<-0.05 (9)
で表される条件式(9)を満足することが好ましい。
【0013】
M2bレンズ群は2つの接合レンズを含むように構成してもよい。その場合、2つの接合レンズのうちの1つは3枚接合レンズであるように構成してもよい。
【0014】
第2の状態での望遠端における無限遠物体に合焦した状態でのズームレンズの最も物体側のレンズ面からズームレンズの最も像側のレンズ面までの光軸上の距離と、空気換算距離での全系のバックフォーカスとの和をTLtb、第2の状態での望遠端における無限遠物体に合焦した状態での全系の焦点距離をftb、第2の状態での望遠端における無限遠物体に合焦した状態での最大半画角をωtbとした場合、上記態様のズームレンズは、
30<TLtb/(ftb×tanωtb)<39 (10)
で表される条件式(10)を満足することが好ましい。
【0015】
合焦部は全体として正の屈折力を有することが好ましい。
【0016】
無限遠物体に合焦した状態での合焦部の焦点距離をfF、合焦部の最も物体側のレンズである第1レンズの焦点距離をfL1とした場合、上記態様のズームレンズは、
-0.675<fF/fL1<-0.425 (11)
で表される条件式(11)を満足することが好ましい。
【0017】
合焦部の最も物体側のレンズである第1レンズのd線に対する屈折率をNdL1、第1レンズのd線基準のアッベ数をνdL1、第1レンズのg線とF線間の部分分散比をθgFL1とした場合、上記態様のズームレンズは、
1.72<NdL1<1.92 (12)
34<νdL1<57 (13)
0.55<θgFL1<0.585 (14)
で表される条件式(12)、(13)、および(14)を満足することが好ましい。
【0018】
変倍部の最も物体側の変倍用レンズ群は、負の屈折力を有し、変倍の際に移動するV1レンズ群であり、無限遠物体に合焦した状態での合焦部の焦点距離をfF、V1レンズ群の焦点距離をfV1とした場合、上記態様のズームレンズは、
4<fF/(-fV1)<9 (15)
で表される条件式(15)を満足することが好ましい。
【0019】
変倍部の最も物体側の変倍用レンズ群は、負の屈折力を有し変倍の際に移動するV1レンズ群であり、望遠端における無限遠物体に合焦した状態でのV1レンズ群の横倍率をβV1t、広角端における無限遠物体に合焦した状態でのV1レンズ群の横倍率をβV1wとした場合、上記態様のズームレンズは、
7.5<βV1t/βV1w<12 (16)
で表される条件式(16)を満足することが好ましい。
【0020】
変倍部は、物体側から像側へ順に、負の屈折力を有し変倍の際に移動するV1レンズ群と、正の屈折力を有し変倍の際に移動するV2レンズ群と、正の屈折力を有し変倍の際に移動するV3レンズ群とからなり、変倍の際に、V1レンズ群とV2レンズ群との間隔が変化し、V2レンズ群とV3レンズ群との間隔が変化するように構成してもよい。
【0021】
V1レンズ群の焦点距離をfV1、望遠端におけるV2レンズ群とV3レンズ群との合成焦点距離をfV23tとした場合、上記態様のズームレンズは、
-0.45<fV23t/fV1<-0.225 (17)
で表される条件式(17)を満足することが好ましい。
【0022】
第1の状態での望遠端における無限遠物体に合焦した状態での開放FナンバーをFnota、第1の状態での望遠端における無限遠物体に合焦した状態での全系の焦点距離をfta、第1の状態での広角端における無限遠物体に合焦した状態での全系の焦点距離をfwaとした場合、上記態様のズームレンズは、
0.11<Fnota/(fta/fwa)<0.15 (18)
で表される条件式(18)を満足することが好ましい。
【0023】
第2の状態での望遠端における無限遠物体に合焦した状態でのズームレンズの最も物体側のレンズ面からズームレンズの最も像側のレンズ面までの光軸上の距離と、空気換算距離での全系のバックフォーカスとの和をTLtb、第2の状態での望遠端における無限遠物体に合焦した状態での全系の焦点距離をftbとした場合、上記態様のズームレンズは、
0.4<TLtb/ftb<0.6 (19)
で表される条件式(19)を満足することが好ましい。
【0024】
本開示の別の態様に係る撮像装置は、本開示の上記態様のズームレンズを備えている。
【0025】
なお、本明細書の「~からなり」、「~からなる」は、挙げられた構成要素以外に、実質的に屈折力を有さないレンズ、並びに、絞り、フィルタ、およびカバーガラス等のレンズ以外の光学要素、並びに、レンズフランジ、レンズバレル、撮像素子、および手振れ補正機構等の機構部分、等が含まれていてもよいことを意図する。
【0026】
本明細書の「正の屈折力を有する~群」および「~群は正の屈折力を有する」は、群全体として正の屈折力を有することを意味する。同様に「負の屈折力を有する~群」および「~群は負の屈折力を有する」は、群全体として負の屈折力を有することを意味する。また、本明細書の「~レンズ群」は、複数のレンズからなる構成に限らず、1枚のみのレンズからなる構成としてもよい。
【0027】
複合非球面レンズ(球面レンズと、その球面レンズ上に形成された非球面形状の膜とが一体的に構成されて、全体として1つの非球面レンズとして機能するレンズ)は、接合レンズとは見なさず、1枚のレンズとして扱う。非球面を含むレンズに関する屈折力の符号、および面形状は、特に断りが無い限り、近軸領域のものを用いる。
【0028】
本明細書において、「全系」は、ズームレンズを意味する。条件式で用いている「焦点距離」は、近軸焦点距離である。条件式で用いている「光軸上の距離」は、特に断りが無い限り、幾何学的距離である。条件式で用いている値は、特に断りがない限り、無限遠物体に合焦した状態においてd線を基準とした場合の値である。
【0029】
本明細書に記載の「d線」、「C線」、「F線」、および「g線」は輝線である。d線の波長は587.56nm(ナノメートル)、C線の波長は656.27nm(ナノメートル)、F線の波長は486.13nm(ナノメートル)、g線の波長は435.84nm(ナノメートル)として扱う。
【発明の効果】
【0030】
本開示によれば、レンズ系の一部を交換することにより、長焦点距離化を行いながら、交換に伴う画角の変動を抑制しつつ、イメージサイズの拡大が可能であり、交換前後の状態において諸収差が抑えられて良好な光学性能を有するズームレンズ、およびこのズームレンズを備えた撮像装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】一実施形態に係るズームレンズの構成および移動軌跡を示す図である。
【
図2】実施例1aのズームレンズの各変倍状態における構成と光束を示す図である。
【
図3】実施例1aのズームレンズの結像部の構成と光束を示す図である。
【
図4】実施例1bのズームレンズの各変倍状態における構成と光束を示す図である。
【
図5】実施例1bのズームレンズの結像部の構成と光束を示す図である。
【
図7】実施例1aのズームレンズの各収差図である。
【
図8】実施例1bのズームレンズの各収差図である。
【
図9】実施例2aのズームレンズの構成および移動軌跡を示す図である。
【
図10】実施例2bのズームレンズの構成および移動軌跡を示す図である。
【
図11】実施例2aのズームレンズの各収差図である。
【
図12】実施例2bのズームレンズの各収差図である。
【
図13】実施例3aのズームレンズの構成および移動軌跡を示す図である。
【
図14】実施例3bのズームレンズの構成および移動軌跡を示す図である。
【
図15】実施例3aのズームレンズの各収差図である。
【
図16】実施例3bのズームレンズの各収差図である。
【
図17】実施例4aのズームレンズの構成および移動軌跡を示す図である。
【
図18】実施例4bのズームレンズの構成および移動軌跡を示す図である。
【
図19】実施例4aのズームレンズの各収差図である。
【
図20】実施例4bのズームレンズの各収差図である。
【
図21】実施例5aのズームレンズの構成および移動軌跡を示す図である。
【
図22】実施例5bのズームレンズの構成および移動軌跡を示す図である。
【
図23】実施例5aのズームレンズの各収差図である。
【
図24】実施例5bのズームレンズの各収差図である。
【
図25】実施例6aのズームレンズの構成および移動軌跡を示す図である。
【
図26】実施例6bのズームレンズの構成および移動軌跡を示す図である。
【
図27】実施例6aのズームレンズの各収差図である。
【
図28】実施例6bのズームレンズの各収差図である。
【
図29】本開示の一実施形態に係る撮像装置の概略的な構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、図面を参照しながら本開示の実施形態について説明する。
【0033】
図1に、本開示の一実施形態に係るズームレンズの構成の断面図および移動軌跡を示す。
図1では、無限遠物体に合焦している状態を示し、左側が物体側、右側が像側である。本開示のズームレンズは、その一部が交換可能であり、この交換により、第1の状態と、第2の状態との間で切替え可能である。
図1のズームレンズの第1の状態は後述の実施例1aに対応し、
図1のズームレンズの第2の状態は後述の実施例1bに対応する。
【0034】
第1の状態において、本開示のズームレンズは、光軸Zに沿って物体側から像側へ順に、合焦部Fと、変倍部Vと、開口絞りStと、結像部Maとを備える。
【0035】
合焦部Fは、合焦の際に移動する合焦用レンズ群を含み、変倍の際に像面Simに対して固定されている。合焦部Fが変倍の際に固定されていることによって、変倍の際のレンズ系全長を不変にすることができる。これによって、変倍の際のレンズ系の重心の変動を小さくすることができるので、撮影の際の利便性を高めることができる。変倍部Vは、変倍の際に隣り合う群との間隔が変化する少なくとも2つの変倍用レンズ群を含む。結像部Maは、変倍の際に像面Simに対して固定されている。
【0036】
結像部Maは、物体側から像側へ順に、M1レンズ群M1と、M2aレンズ群M2aと、M3レンズ群M3とからなる。M2aレンズ群M2aは、光路中に挿脱可能であり、交換可能である。
【0037】
第2の状態において、本開示のズームレンズは、光軸Zに沿って物体側から像側へ順に、合焦部Fと、変倍部Vと、開口絞りStと、結像部Mbとを備える。結像部Mbは、変倍の際に像面Simに対して固定されている。
【0038】
結像部Mbは、物体側から像側へ順に、M1レンズ群M1と、M2bレンズ群M2bと、M3レンズ群M3とからなる。第2の状態における、合焦部F、変倍部V、開口絞りSt、M1レンズ群M1、およびM3レンズ群M3はそれぞれ、第1の状態におけるものと共通である。M2bレンズ群M2bは、光路中に挿脱可能であり、M2aレンズ群M2aと交換可能である。
【0039】
本開示のズームレンズは、M2aレンズ群M2aとM2bレンズ群M2bとを交換することにより、第1の状態と、第2の状態との間で切替え可能である。第1の状態から第2の状態へ切替えることにより結像位置を一定に保ったまま全系の焦点距離が長焦点距離側へ変化する。なお、上記の「結像位置を一定に保ったまま」は完全に一致する場合に限らず多少の誤差を許容する。許容誤差は例えば、許容錯乱円径をδとし、第2の状態における全系のFナンバーをAFNとした場合、±(δ×AFN)とすることができる。
【0040】
図2に、
図1のズームレンズの第1の状態での各変倍状態における構成と光束を示す。
図2では、「Wide」と付した上段に広角端状態を示し、「Middle」と付した中段に中間焦点距離端状態を示し、「Tele」と付した下段に望遠端状態を示す。
図2では、光束として、軸上光束、および最大像高IHaの光束を示す。
【0041】
図3に、
図2のズームレンズの広角端における開口絞りStおよび結像部Maの拡大図を示す。
図3では、光束として、軸上光束12、および最大像高IHaの光束を示す。一例として、
図3の結像部Maの各レンズ群は以下のように構成されている。M1レンズ群M1は、物体側から像側へ順に、レンズL11~L14の4枚のレンズからなる。M2aレンズ群M2aは、物体側から像側へ順に、レンズL21a~L27aの7枚のレンズからなる。M3レンズ群M3は、物体側から像側へ順に、レンズL31~L36の6枚のレンズからなる。
【0042】
図4に、
図1のズームレンズの第2の状態での各変倍状態における構成と光束を示す。
図4では、「Wide」と付した上段に広角端状態を示し、「Middle」と付した中段に中間焦点距離端状態を示し、「Tele」と付した下段に望遠端状態を示す。
図4では、光束として、軸上光束、および最大像高IHbの光束を示す。
【0043】
図5に、
図4のズームレンズの広角端における開口絞りStおよび結像部Mbの拡大図を示す。
図5では、光束として、軸上光束12、および最大像高IHbの光束を示す。
図5のM1レンズ群M1およびM3レンズ群M3は、
図3のものと共通である。
図5のM2bレンズ群M2bは、
図3のM2aレンズ群M2aと異なる。一例として、
図5のM2bレンズ群M2bは、物体側から像側へ順に、レンズL21b~L27bの7枚のレンズからなる。
【0044】
図5のM2bレンズ群M2bは接合レンズを含んでいる。M2bレンズ群M2bが接合レンズを含むことによって、広角側の軸上色収差の補正に有利となり、また、同じレンズ総数で接合レンズにしない場合に比べて光の反射面を減らすことができるため迷光の低減に有利となる。
【0045】
M1レンズ群M1は、像ぶれ補正の際に光軸Zと交わる方向に移動する防振群M1sを含むことが好ましい。その場合、防振群M1sは、M1レンズ群M1内の最も像側に配置されることが好ましい。防振群M1sがM1レンズ群M1内の最も像側に位置することによって、防振群M1sへ入射する光線の光軸Zに対する角度を減じることができるため、小型化に有利となる。一例として、
図3および
図5の例では、防振群M1sは、レンズL13およびレンズL14からなる。
図1の防振群M1sの上の上下方向の矢印は、防振群M1sが像ぶれ補正の際に光軸Zと交わる方向に移動することを示す。
図1の例では、像ぶれ補正の際、防振群M1s以外の群および開口絞りStは像面Simに対して固定されている。
【0046】
合焦部Fは全体として正の屈折力を有することが好ましい。最も物体側の群を正の屈折力を有する群とすることによって、レンズ系全長の短縮が可能となるため、小型化に有利となる。
【0047】
図1の例の合焦部Fは、一例として、物体側から像側へ順に、F1レンズ群F1と、F2レンズ群F2と、F3レンズ群F3とからなる。
図1のF2レンズ群F2およびF3レンズ群F3は合焦用レンズ群であり、
図1の例ではフローティングフォーカス方式を採用している。
図1の例では、合焦の際、F1レンズ群F1は像面Simに対して固定され、F2レンズ群F2とF3レンズ群F3とは相互間隔を変化させて光軸Zに沿って移動する。
図1のF2レンズ群F2およびF3レンズ群F3の下の左右方向の両矢印は、これらのレンズ群が合焦の際に光軸Zに沿って移動することを示す。
図1の例では、合焦の際、上記2つの合焦用レンズ群以外の群および開口絞りStは像面Simに対して固定されている。
【0048】
合焦部Fの最も物体側のレンズである第1レンズは負レンズであり、合焦部Fの物体側から2番目のレンズである第2レンズは正レンズであるように構成してもよい。このようにした場合は、色収差の補正に有利となる。
【0049】
図1の例の変倍部Vは、一例として、物体側から像側へ順に、負の屈折力を有し変倍の際に移動するV1レンズ群V1と、正の屈折力を有し変倍の際に移動するV2レンズ群V2と、正の屈折力を有し変倍の際に移動するV3レンズ群V3とからなる。変倍の際、V1レンズ群V1とV2レンズ群V2との間隔が変化し、V2レンズ群V2とV3レンズ群V3との間隔が変化する。このような構成によれば、負の屈折力を有するV1レンズ群V1によって主な変倍を行い、V2レンズ群V2およびV3レンズ群V3の2つの群によって変倍に伴う像面位置の変動を補正することができる。上記2つの群は、相対的に移動するフローティング方式を採ることができるため、変倍の際の像面湾曲の変動の補正とともに、変倍の際の球面収差の変動を良好に補正することが可能となる。
【0050】
図1の例のV1レンズ群V1と、V2レンズ群V2と、V3レンズ群V3とは、変倍用レンズ群である。
図1では、これら3つのレンズ群の下にそれぞれ、広角端から望遠端へ変倍する際の各レンズ群の移動軌跡を模式的に矢印で示している。
図1の例では、変倍の際、上記3つの変倍用レンズ群以外の群および開口絞りStは像面Simに対して固定されている。
【0051】
次に、本開示のズームレンズの条件式に関する好ましい構成について述べる。以下の条件式に関する説明では、冗長な説明を避けるため、定義が同じものには同じ記号を用いて記号の重複説明を一部省略する。また、以下では、冗長な説明を避けるため「本開示のズームレンズ」を単に「ズームレンズ」ともいう。
【0052】
ズームレンズは下記条件式(1)を満足することが好ましい。ここでは、第1の状態での望遠端における無限遠物体に合焦した状態での全系の焦点距離をftaとしている。第1の状態での望遠端における無限遠物体に合焦した状態での最大半画角をωtaとしている。第2の状態での望遠端における無限遠物体に合焦した状態での全系の焦点距離をftbとしている。第2の状態での望遠端における無限遠物体に合焦した状態での最大半画角をωtbとしている。tanは正接である。一例として、
図2に上記の最大半画角ωtaを示し、
図4に上記の最大半画角ωtbを示す。本開示のズームレンズは、第1の状態から第2の状態へ切替えることにより全系の焦点距離が長焦点距離側へ変化するため、ftb>ftaである。また、本開示のようなレンズ系においては、その焦点距離をf、最大半画角をωとした場合、概略的な像高をf×tanωで表すことができる。これらのことから、条件式(1)の下限以下とならないようにすることによって、第1の状態と比べて第2の状態において、画角の変動を抑制しつつ、イメージサイズを拡大することができる。一例として、
図2および
図3に第1の状態における最大像高IHaを示し、
図4および
図5に第2の状態における最大像高IHbを示す。最大像高IHbは最大像高IHaより大きい。条件式(1)の上限以上とならないようにすることによって、第1の状態における諸収差および第2の状態における諸収差を同時に抑制することが容易となる。より良好な特性を得るためには、ズームレンズは下記条件式(1-1)を満足することがより好ましく、下記条件式(1-2)を満足することがさらにより好ましく、下記条件式(1-3)を満足することがさらにより一層好ましい。
1.35<(ftb×tanωtb)/(fta×tanωta)<1.65 (1)
1.375<(ftb×tanωtb)/(fta×tanωta)<1.6 (1-1)
1.4<(ftb×tanωtb)/(fta×tanωta)<1.55 (1-2)
1.425<(ftb×tanωtb)/(fta×tanωta)<1.5 (1-3)
【0053】
ズームレンズは下記条件式(2)および(3)を同時に満足することが好ましい。ここでは、第1の状態での結像部Maの焦点距離をfMaとしている。M2aレンズ群M2aの焦点距離をfM2aとしている。第2の状態での結像部Mbの焦点距離をfMbとしている。M2bレンズ群M2bの焦点距離をfM2bとしている。条件式(2)および(3)を同時に満足することによって、第1の状態における諸収差および第2の状態における諸収差を同時に抑制することが容易となる。より良好な特性を得るためには、ズームレンズは条件式(2)および(3)を同時に満足した上で、下記条件式(2-1)、(2-2)、(2-3)、(3-1)、(3-2)、および(3-3)の少なくとも1つを満足することが好ましい。
0<|fMa/fM2a|<4 (2)
0.025<|fMa/fM2a|<3.5 (2-1)
0.05<|fMa/fM2a|<3 (2-2)
0.075<|fMa/fM2a|<2.5 (2-3)
0<|fMb/fM2b|<7 (3)
0.05<|fMb/fM2b|<6.5 (3-1)
0.1<|fMb/fM2b|<6 (3-2)
0.15<|fMb/fM2b|<5.5 (3-3)
【0054】
ズームレンズは下記条件式(4)を満足することが好ましい。条件式(4)の対応値が下限以下とならないようにすることによって、第2の状態において、第1の状態での画角と同程度の画角を得ることができる。条件式(1)の説明で述べたように、本開示のようなレンズ系においては、その焦点距離をf、最大半画角をωとした場合、概略的な像高をf×tanωで表すことができる。従って、条件式(4)の対応値が下限以下とならないようにすることによって、第1の状態と比べて第2の状態において、同程度の画角を確保しつつ、イメージサイズを拡大することができる。また、条件式(4)の対応値が上限以上とならないようにすることによって、第1の状態における諸収差および第2の状態における諸収差を同時に抑制することが容易となる。より良好な特性を得るためには、ズームレンズは下記条件式(4-1)を満足することがより好ましく、下記条件式(4-2)を満足することがさらにより好ましく、下記条件式(4-3)を満足することがさらにより一層好ましい。
0.875<ωtb/ωta<1.125 (4)
0.9<ωtb/ωta<1.1 (4-1)
0.925<ωtb/ωta<1.075 (4-2)
0.95<ωtb/ωta<1.05 (4-3)
【0055】
ズームレンズは下記条件式(5)を満足することが好ましい。ここでは、第2の状態でのM3レンズ群M3の最も物体側のレンズ面における有効直径をφM3Fとしている。第2の状態でのM3レンズ群M3の最も像側のレンズ面における有効直径をφM3Rとしている。条件式(5)の対応値が下限以下とならないようにすることによって、軸外主光線の像面Simへの入射角を減じることが容易となるため、周辺光量の確保に有利となる。条件式(5)の対応値が上限以上とならないようにすることによって、バックフォーカスの長大化を抑制できるためレンズ系全長の短縮が容易となる。これによって、第1の状態と比べて第2の状態において、画角の変動を抑制しつつ、イメージサイズを拡大し、かつ、小型化を図ることが容易となる。より良好な特性を得るためには、ズームレンズは下記条件式(5-1)を満足することがより好ましく、下記条件式(5-2)を満足することがさらにより好ましく、下記条件式(5-3)を満足することがさらにより一層好ましい。
0.5<φM3F/φM3R<0.95 (5)
0.525<φM3F/φM3R<0.925 (5-1)
0.55<φM3F/φM3R<0.9 (5-2)
0.575<φM3F/φM3R<0.85 (5-3)
【0056】
なお、本明細書においては、レンズ面に物体側から入射し、像側に射出される光線のうち、最も外側を通る光線とそのレンズ面との交点から光軸Zまでの距離の2倍を、そのレンズ面の「有効直径」とする。ここでいう「外側」とは、光軸Zを中心にした径方向外側、すなわち、光軸Zから離れる側である。また、「最も外側を通る光線」は、変倍全域を考慮して決定される。
【0057】
説明用の図として
図6に有効直径EDの一例を示す。
図6では、左側が物体側、右側が像側である。
図6には、レンズLxを通る軸上光束12および軸外光束14を示す。
図6の例では、軸外光束14の上側光線である光線141が、最も外側を通る光線である。よって、
図6の例ではレンズLxの物体側の面と光線141との交点から光軸Zまでの距離の2倍が、レンズLxの物体側の面の有効直径EDとなる。なお、
図6では軸外光束14の上側光線が最も外側を通る光線であるが、いずれの光線が最も外側を通る光線になるかは光学系により異なる。
【0058】
ズームレンズは下記条件式(6)を満足することが好ましい。ここでは、M2aレンズ群M2aの最も物体側のレンズ面における軸上光束の最大直径をφM2aFとしている。M2aレンズ群M2aの最も像側のレンズ面における軸上光束の最大直径をφM2aRとしている。M2bレンズ群M2bの最も物体側のレンズ面における軸上光束の最大直径をφM2bFとしている。M2bレンズ群M2bの最も像側のレンズ面における軸上光束の最大直径をφM2bRとしている。なお、上記の「軸上光束の最大直径」は、変倍全域における軸上光束の最大直径を意味する。条件式(6)を満足することによって、第1の状態における諸収差および第2の状態における諸収差を同時に抑制することが容易となる。より良好な特性を得るためには、ズームレンズは下記条件式(6-1)を満足することがより好ましく、下記条件式(6-2)を満足することがさらにより好ましく、下記条件式(6-3)を満足することがさらにより一層好ましい。
0.525<(φM2bR/φM2bF)/(φM2aR/φM2aF)<0.8 (6)
0.55<(φM2bR/φM2bF)/(φM2aR/φM2aF)<0.775 (6-1)
0.575<(φM2bR/φM2bF)/(φM2aR/φM2aF)<0.75 (6-2)
0.6<(φM2bR/φM2bF)/(φM2aR/φM2aF)<0.725 (6-3)
【0059】
ズームレンズは防振群M1sを含む構成において、下記条件式(7)を満足することが好ましい。ここでは、無限遠物体に合焦した状態での防振群M1sの横倍率をβsとしている。第1の状態における無限遠物体に合焦した状態でのM2aレンズ群M2aとM3レンズ群M3との合成横倍率をβM2a3としている。条件式(7)の対応値が下限以下とならないようにすることによって、像ぶれ補正の際の防振群M1sの移動量を抑制できるため、小型化に有利となる。条件式(7)の対応値が上限以上とならないようにすることによって、像ぶれ補正の際の防振群M1sの移動量に対する補正量が大きくなり過ぎないため、制御が容易となる。より良好な特性を得るためには、ズームレンズは下記条件式(7-1)を満足することがより好ましく、下記条件式(7-2)を満足することがさらにより好ましく、下記条件式(7-3)を満足することがさらにより一層好ましい。
0.5<|(1-βs)×βM2a3|<2.75 (7)
0.55<|(1-βs)×βM2a3|<2.25 (7-1)
0.6<|(1-βs)×βM2a3|<1.75 (7-2)
0.65<|(1-βs)×βM2a3|<1.25 (7-3)
【0060】
防振群M1sがM1レンズ群M1内の最も像側に配置されている構成において、ズームレンズは下記条件式(8)を満足することが好ましい。ここでは、第1の状態での防振群M1sの最も物体側のレンズ面における有効直径をφM1saFとしている。第1の状態でのM1レンズ群M1の最も物体側のレンズ面における有効直径をφM1aFとしている。条件式(8)の対応値が下限以下とならないようにすることによって、防振群M1sへ入射する光線の光軸Zに対する角度を小さくすることが容易となるため、防振群M1sの小型化に有利となる。条件式(8)の対応値が上限以上とならないようにすることによって、防振群M1sへ入射する光線の光軸Zに対する角度が大きくなり過ぎないため、諸収差の補正に有利となる。より良好な特性を得るためには、ズームレンズは下記条件式(8-1)を満足することがより好ましく、下記条件式(8-2)を満足することがさらにより好ましく、下記条件式(8-3)を満足することがさらにより一層好ましい。
0.6<φM1saF/φM1aF<0.875 (8)
0.625<φM1saF/φM1aF<0.85 (8-1)
0.65<φM1saF/φM1aF<0.825 (8-2)
0.675<φM1saF/φM1aF<0.8 (8-3)
【0061】
ズームレンズは下記条件式(9)を満足することが好ましい。ここでは、第2の状態での広角端における無限遠物体に合焦した状態での全系の焦点距離をfwbとしている。第2の状態での広角端における無限遠物体に合焦した状態での像面Simから近軸射出瞳位置Pexwbまでの光軸上の距離をDexwbとしている。Dexwbの符号は、像面Simを基準として、基準より像側の距離を正、基準より物体側の距離を負としている。また、像面Simと近軸射出瞳位置Pexwbとの間に屈折力を有しない光学部材が配置されている場合は、この光学部材については空気換算距離を用いてDexwbを計算する。一例として、
図4に広角端における無限遠物体に合焦した状態での近軸射出瞳位置Pexwbおよび上記距離Dexwbを示す。条件式(9)の対応値が下限以下とならないようにすることによって、軸外主光線の像面Simへの入射角を減じることが容易となるため、周辺光量の確保に有利となる。条件式(9)の対応値が上限以上とならないようにすることによって、レンズ系全長を短縮することが容易となるため、小型化に有利となる。より良好な特性を得るためには、ズームレンズは下記条件式(9-1)を満足することがより好ましく、下記条件式(9-2)を満足することがさらにより好ましく、下記条件式(9-3)を満足することがさらにより一層好ましい。
-0.45<fwb/Dexwb<-0.05 (9)
-0.425<fwb/Dexwb<-0.075 (9-1)
-0.4<fwb/Dexwb<-0.1 (9-2)
-0.375<fwb/Dexwb<-0.125 (9-3)
【0062】
ズームレンズは下記条件式(10)を満足することが好ましい。ここでは、第2の状態での望遠端における無限遠物体に合焦した状態でのズームレンズの最も物体側のレンズ面からズームレンズの最も像側のレンズ面までの光軸上の距離と、空気換算距離での全系のバックフォーカスとの和をTLtbとしている。TLtbは、第2の状態での望遠端における無限遠物体に合焦した状態でのレンズ系全長である。一例として、
図4に上記のレンズ系全長TLtbを示す。tanは正接である。条件式(10)の対応値が下限以下とならないようにすることによって、望遠端において、軸上光束を像面Simに向かって緩やかに収束させることが可能となるため、軸上光束を収束させる際に発生する軸上色収差の抑制が容易となる。条件式(10)の対応値が上限以上とならないようにすることによって、望遠端におけるレンズ系全長の短縮が容易となる。より良好な特性を得るためには、ズームレンズは下記条件式(10-1)を満足することがより好ましく、下記条件式(10-2)を満足することがさらにより好ましく、下記条件式(10-3)を満足することがさらにより一層好ましい。
30<TLtb/(ftb×tanωtb)<39 (10)
31<TLtb/(ftb×tanωtb)<38 (10-1)
32<TLtb/(ftb×tanωtb)<37 (10-2)
33<TLtb/(ftb×tanωtb)<36 (10-3)
【0063】
合焦部Fが全体として正の屈折力を有する構成において、ズームレンズは下記条件式(11)を満足することが好ましい。ここでは、無限遠物体に合焦した状態での合焦部Fの焦点距離をfFとしている。合焦部Fの最も物体側のレンズを第1レンズとし、この第1レンズの焦点距離をfL1としている。条件式(11)の対応値が下限以下とならないようにすることによって、第1レンズの屈折力が強くなり過ぎないため、望遠端の高次収差の抑制が容易となる。または、合焦部Fの屈折力が弱くなり過ぎないため、合焦部Fの小型化が容易となる。なお、本明細書において、収差に関する「高次」は5次以上を意味する。条件式(11)の対応値が上限以上とならないようにすることによって、合焦部Fの屈折力が強くなり過ぎないため、変倍部Vの屈折力も強くなり過ぎることがないので、変倍の際の収差変動の抑制が容易となる。より良好な特性を得るためには、ズームレンズは下記条件式(11-1)を満足することがより好ましく、下記条件式(11-2)を満足することがさらにより好ましく、下記条件式(11-3)を満足することがさらにより一層好ましい。
-0.675<fF/fL1<-0.425 (11)
-0.65<fF/fL1<-0.45 (11-1)
-0.625<fF/fL1<-0.475 (11-2)
-0.6<fF/fL1<-0.5 (11-3)
【0064】
第1レンズのd線に対する屈折率をNdL1とした場合、ズームレンズは下記条件式(12)を満足することが好ましい。条件式(12)の対応値が下限以下とならないようにすることによって、第1レンズの曲率半径の絶対値が小さくなり過ぎないため、望遠端の高次の球面収差の増大を抑制でき、これによって、高性能化に有利となる。または、合焦部Fの小型化が容易となる。条件式(12)の上限については、一般に、光学材料は、屈折率が高くなると、比重が大きくなるとともにアッベ数が小さくなることから、条件式(12)の対応値が上限以上とならないようにすることによって、レンズ径が大きい第1レンズの重量の増大を抑制できるため、軽量化が容易となる。また、広角端の倍率色収差の補正が容易となる。より良好な特性を得るためには、ズームレンズは下記条件式(12-1)を満足することがより好ましく、下記条件式(12-2)を満足することがさらにより好ましく、下記条件式(12-3)を満足することがさらにより一層好ましい。
1.72<NdL1<1.92 (12)
1.74<NdL1<1.89 (12-1)
1.78<NdL1<1.86 (12-2)
1.8<NdL1<1.84 (12-3)
【0065】
第1レンズのd線基準のアッベ数をνdL1とした場合、ズームレンズは下記条件式(13)を満足することが好ましい。条件式(13)の対応値が下限以下とならないようにすることによって、望遠端の軸上色収差が補正過剰になることを抑制できる。条件式(13)の対応値が上限以上とならないようにすることによって、望遠端の軸上色収差が補正不足になることを抑制できる。より良好な特性を得るためには、ズームレンズは下記条件式(13-1)を満足することがより好ましく、下記条件式(13-2)を満足することがさらにより好ましく、下記条件式(13-3)を満足することがさらにより一層好ましい。
34<νdL1<57 (13)
35.5<νdL1<55 (13-1)
37<νdL1<49 (13-2)
39<νdL1<47 (13-3)
【0066】
第1レンズのg線とF線間の部分分散比をθgFL1とした場合、ズームレンズは下記条件式(14)を満足することが好ましい。条件式(14)の対応値が下限以下とならないようにすることによって、d線基準のアッベ数が小さな材料を選択することが容易となるため、望遠端の1次の軸上色収差の抑制に有利となる。条件式(14)の対応値が上限以上とならないようにすることによって、望遠端の2次の軸上色収差の抑制に有利となる。より良好な特性を得るためには、ズームレンズは下記条件式(14-1)を満足することがより好ましく、下記条件式(14-2)を満足することがさらにより好ましい。
0.55<θgFL1<0.585 (14)
0.555<θgFL1<0.58 (14-1)
0.56<θgFL1<0.575 (14-2)
【0067】
ズームレンズは下記条件式(12)、(13)、および(14)を同時に満足することが好ましい。ズームレンズは下記条件式(12)、(13)、および(14)を同時に満足した上で、条件式(12-1)、(12-2)、(12-3)、(13-1)、(13-2)、(13-3)、(14-1)、および(14-2)の少なくとも1つを満足することがより好ましい。
【0068】
変倍部Vの最も物体側の変倍用レンズ群であるV1レンズ群V1が、負の屈折力を有し、変倍の際に移動する構成において、ズームレンズは下記条件式(15)を満足することが好ましい。ここでは、無限遠物体に合焦した状態での合焦部Fの焦点距離をfFとしている。V1レンズ群V1の焦点距離をfV1としている。条件式(15)の対応値が下限以下とならないようにすることによって、V1レンズ群V1の屈折力が弱くなり過ぎないため、変倍の際のV1レンズ群V1の移動量を抑制することが容易になる。条件式(15)の対応値が上限以上とならないようにすることによって、合焦部Fの屈折力が弱くなり過ぎないため、合焦部Fの大型化を抑制することが容易になる。より良好な特性を得るためには、ズームレンズは下記条件式(15-1)を満足することがより好ましく、下記条件式(15-2)を満足することがさらにより好ましく、下記条件式(15-3)を満足することがさらにより一層好ましい。
4<fF/(-fV1)<9 (15)
4.5<fF/(-fV1)<8.5 (15-1)
5<fF/(-fV1)<8 (15-2)
5.5<fF/(-fV1)<7.5 (15-3)
【0069】
変倍部Vの最も物体側の変倍用レンズ群であるV1レンズ群V1が、負の屈折力を有し、変倍の際に移動する構成において、ズームレンズは下記条件式(16)を満足することが好ましい。ここでは、望遠端における無限遠物体に合焦した状態でのV1レンズ群V1の横倍率をβV1tとしている。広角端における無限遠物体に合焦した状態でのV1レンズ群V1の横倍率をβV1wとしている。条件式(16)の対応値が下限以下とならないようにすることによって、高変倍比化に有利となる。条件式(16)の対応値が上限以上とならないようにすることによって、変倍の際の収差変動の抑制に有利となる。より良好な特性を得るためには、ズームレンズは下記条件式(16-1)を満足することがより好ましく、下記条件式(16-2)を満足することがさらにより好ましく、下記条件式(16-3)を満足することがさらにより一層好ましい。
7.5<βV1t/βV1w<12 (16)
8<βV1t/βV1w<11.5 (16-1)
8.5<βV1t/βV1w<11 (16-2)
9<βV1t/βV1w<10.5 (16-3)
【0070】
変倍部Vが、物体側から像側へ順に、負の屈折力を有するV1レンズ群V1と、正の屈折力を有するV2レンズ群V2と、正の屈折力を有するV3レンズ群V3とからなり、変倍の際に、V1レンズ群V1、V2レンズ群V2、およびV3レンズ群V3が隣り合う群との間隔を変化させて移動する構成において、ズームレンズは下記条件式(17)を満足することが好ましい。ここでは、V1レンズ群V1の焦点距離をfV1としている。望遠端におけるV2レンズ群V2とV3レンズ群V3との合成焦点距離をfV23tとしている。条件式(17)の対応値が下限以下とならないようにすることによって、V1レンズ群V1の屈折力が強くなり過ぎないため、変倍の際の球面収差等の諸収差の変動の抑制に有利となる。条件式(17)の対応値が上限以上とならないようにすることによって、V2レンズ群V2とV3レンズ群V3との合成屈折力が強くなり過ぎないため、望遠端での球面収差の抑制に有利となる。より良好な特性を得るためには、ズームレンズは下記条件式(17-1)を満足することがより好ましく、下記条件式(17-2)を満足することがさらにより好ましく、下記条件式(17-3)を満足することがさらにより一層好ましい。
-0.45<fV23t/fV1<-0.225 (17)
-0.425<fV23t/fV1<-0.25 (17-1)
-0.4<fV23t/fV1<-0.275 (17-2)
-0.375<fV23t/fV1<-0.3 (17-3)
【0071】
ズームレンズは下記条件式(18)を満足することが好ましい。ここでは、第1の状態での望遠端における無限遠物体に合焦した状態での開放FナンバーをFnotaとしている。第1の状態での広角端における無限遠物体に合焦した状態での全系の焦点距離をfwaとしている。条件式(18)の対応値が下限以下とならないようにすることによって、レンズ系全体の小型化に有利となる。または、特に望遠端において諸収差を抑制することが容易となる。条件式(18)の対応値が上限以上とならないようにすることによって、望遠端において十分明るい像を得ることが容易となる。より良好な特性を得るためには、ズームレンズは下記条件式(18-1)を満足することがより好ましく、下記条件式(18-2)を満足することがさらにより好ましく、下記条件式(18-3)を満足することがさらにより一層好ましい。
0.11<Fnota/(fta/fwa)<0.15 (18)
0.115<Fnota/(fta/fwa)<0.145 (18-1)
0.12<Fnota/(fta/fwa)<0.14 (18-2)
0.125<Fnota/(fta/fwa)<0.135 (18-3)
【0072】
ズームレンズは下記条件式(19)を満足することが好ましい。条件式(19)の対応値が下限以下とならないようにすることによって、望遠端における諸収差の抑制が容易となる。条件式(19)の対応値が上限以上とならないようにすることによって、望遠端におけるレンズ系全長の短縮が容易となる。より良好な特性を得るためには、ズームレンズは下記条件式(19-1)を満足することがより好ましく、下記条件式(19-2)を満足することがさらにより好ましく、下記条件式(19-3)を満足することがさらにより一層好ましい。
0.4<TLtb/ftb<0.6 (19)
0.425<TLtb/ftb<0.575 (19-1)
0.45<TLtb/ftb<0.55 (19-2)
0.45<TLtb/ftb<0.525 (19-3)
【0073】
なお、
図1に示した例は一例であり、本開示の技術の主旨を逸脱しない範囲内において種々の変形が可能である。例えば、合焦部Fに含まれる合焦用レンズ群の数、変倍部Vに含まれる変倍用レンズ群の数、および各レンズ群に含まれるレンズの数は、
図1の例と異なる数にしてもよい。
【0074】
例えば、変倍部Vは、物体側から像側へ順に、負の屈折力を有するレンズ群と、負の屈折力を有するレンズ群と、正の屈折力を有するレンズ群と、正の屈折力を有するレンズ群とからなり、変倍の際に、これら4つのレンズ群は、隣り合う群との間隔を変化させて移動するように構成してもよい。もしくは、変倍部Vは、物体側から像側へ順に、負の屈折力を有するレンズ群と、正の屈折力を有するレンズ群と、正の屈折力を有するレンズ群と、正の屈折力を有するレンズ群とからなり、変倍の際に、これら4つのレンズ群は、隣り合う群との間隔を変化させて移動するように構成してもよい。変倍部Vが上記のような4つのレンズ群からなるように構成することによって、光学性能の向上に有利となる。
【0075】
M2bレンズ群M2bは2つの接合レンズを含むように構成してもよい。このようにした場合は、広角側の軸上色収差の補正に有利となり、また、同じレンズ総数で接合レンズにしない場合に比べて光の反射面を減らすことができるため迷光の低減に有利となる。M2bレンズ群M2bが2つの接合レンズを含む場合、これら2つの接合レンズのうちの1つは3枚接合レンズであるように構成してもよい。このようにした場合は、広角側の軸上色収差の補正により有利となり、また、レンズ総数が同じで接合レンズにしない場合に比べて光の反射面を減らすことができるため迷光の低減により有利となる。
【0076】
上述した好ましい構成および可能な構成は、任意の組合せが可能であり、要求される仕様に応じて適宜選択的に採用されることが好ましい。なお、本開示のズームレンズが満足することが好ましい条件式は、式の形式で記載された条件式に限定されず、好ましい、より好ましい、さらにより好ましい、および、さらにより一層好ましいとされた条件式の中から下限と上限とを任意に組み合わせて得られる全ての条件式を含む。
【0077】
例えば、本開示のズームレンズの好ましい第1の態様は、物体側から像側へ順に、合焦の際に移動する合焦用レンズ群を含み変倍の際に像面Simに対して固定されている合焦部Fと、変倍の際に隣り合う群との間隔が変化する少なくとも2つの変倍用レンズ群を含む変倍部Vと、開口絞りStと、変倍の際に像面Simに対して固定されている結像部とを備え、結像部の交換可能に設けられた一部を交換することにより、第1の状態と、第2の状態との間で切替え可能であり、第1の状態では、結像部Maは、物体側から像側へ順に、M1レンズ群M1と、交換可能なM2aレンズ群M2aと、M3レンズ群M3とからなり、第2の状態では、結像部Mbは、物体側から像側へ順に、M1レンズ群M1と、交換可能なM2bレンズ群M2bと、M3レンズ群M3とからなり、第1の状態から第2の状態へ切替えることにより結像位置を一定に保ったまま全系の焦点距離が長焦点距離側へ変化し、上記条件式(1)、(2)、および(3)を満足する。
【0078】
本開示のズームレンズの好ましい第2の態様は、物体側から像側へ順に、合焦の際に移動する合焦用レンズ群を含み変倍の際に像面Simに対して固定されている合焦部Fと、変倍の際に隣り合う群との間隔が変化する少なくとも2つの変倍用レンズ群を含む変倍部Vと、開口絞りStと、変倍の際に像面Simに対して固定されている結像部とを備え、結像部の交換可能に設けられた一部を交換することにより、第1の状態と、第2の状態との間で切替え可能であり、第1の状態では、結像部Maは、物体側から像側へ順に、M1レンズ群M1と、交換可能なM2aレンズ群M2aと、M3レンズ群M3とからなり、第2の状態では、結像部Mbは、物体側から像側へ順に、M1レンズ群M1と、交換可能なM2bレンズ群M2bと、M3レンズ群M3とからなり、第1の状態から第2の状態へ切替えることにより結像位置を一定に保ったまま全系の焦点距離が長焦点距離側へ変化し、上記条件式(2)、(3)、および(4)を満足する。
【0079】
本開示のズームレンズの好ましい第3の態様は、物体側から像側へ順に、合焦の際に移動する合焦用レンズ群を含み変倍の際に像面Simに対して固定されている合焦部Fと、変倍の際に隣り合う群との間隔が変化する少なくとも2つの変倍用レンズ群を含む変倍部Vと、開口絞りStと、変倍の際に像面Simに対して固定されている結像部とを備え、結像部の交換可能に設けられた一部を交換することにより、第1の状態と、第2の状態との間で切替え可能であり、第1の状態では、結像部Maは、物体側から像側へ順に、M1レンズ群M1と、交換可能なM2aレンズ群M2aと、M3レンズ群M3とからなり、第2の状態では、結像部Mbは、物体側から像側へ順に、M1レンズ群M1と、交換可能なM2bレンズ群M2bと、M3レンズ群M3とからなり、第1の状態から第2の状態へ切替えることにより結像位置を一定に保ったまま全系の焦点距離が長焦点距離側へ変化し、上記条件式(2)、(3)、および(5)を満足する。
【0080】
次に、本開示のズームレンズの実施例について図面を参照して説明する。なお、各実施例の断面図のレンズに付された参照符号は、参照符号の桁数の増大に伴う説明および図面の煩雑化を避けるため、実施例ごとに独立して用いている。従って、異なる実施例の図面において共通の参照符号が付されていても、必ずしも共通の構成ではない。
【0081】
以下では、実施例1のズームレンズの第1の状態および第2の状態をそれぞれ、実施例1aのズームレンズおよび実施例1bのズームレンズとしている。他の実施例についても同様である。実施例2のズームレンズの第1の状態および第2の状態をそれぞれ、実施例2aのズームレンズおよび実施例2bのズームレンズとしている。実施例3のズームレンズの第1の状態および第2の状態をそれぞれ、実施例3aのズームレンズおよび実施例3bのズームレンズとしている。実施例4のズームレンズの第1の状態および第2の状態をそれぞれ、実施例4aのズームレンズおよび実施例4bのズームレンズとしている。実施例5のズームレンズの第1の状態および第2の状態をそれぞれ、実施例5aのズームレンズおよび実施例5bのズームレンズとしている。実施例6のズームレンズの第1の状態および第2の状態をそれぞれ、実施例6aのズームレンズおよび実施例6bのズームレンズとしている。
【0082】
[実施例1a]
実施例1aのズームレンズの構成と移動軌跡は
図1~
図3に示しており、その図示方法と構成は上述したとおりであるので、ここでは重複説明を一部省略する。実施例1aのズームレンズは、物体側から像側へ順に、合焦部Fと、変倍部Vと、開口絞りStと、結像部Maとからなる。合焦部Fは、物体側から像側へ順に、F1レンズ群F1と、F2レンズ群F2と、F3レンズ群F3とからなる。変倍部Vは、物体側から像側へ順に、負の屈折力を有するV1レンズ群V1と、正の屈折力を有するV2レンズ群V2と、正の屈折力を有するV3レンズ群V3とからなる。結像部Maは、物体側から像側へ順に、M1レンズ群M1と、M2aレンズ群M2aと、M3レンズ群M3とからなる。M1レンズ群M1は、最も像側に防振群M1sを含む。M2aレンズ群M2aは、実施例1bのM2bレンズ群M2bと交換可能である。
【0083】
実施例1aのズームレンズについて、基本レンズデータを表1-1および表1-2に、諸元および可変面間隔を表2に、非球面係数を表3に示す。ここでは、1つの表の長大化を避けるため基本レンズデータを表1-1および表1-2の2つの表に分けて示している。表1-1には合焦部F、変倍部V、および開口絞りStを示す。表1-2には結像部Maを示す。
【0084】
基本レンズデータの表は以下のように記載されている。Snの列には最も物体側の面を第1面とし像側に向かうに従い1つずつ番号を増加させた場合の面番号を示す。Rの列には各面の曲率半径を示す。Dの列には各面とその像側に隣接する面との光軸上の面間隔を示す。Ndの列には各構成要素のd線に対する屈折率を示す。νdの列には各構成要素のd線基準のアッベ数を示す。θgFの列には各構成要素のg線とF線間の部分分散比を示す。EDの列には各面の有効直径を示す。MDAの列には上記条件式(6)で用いているレンズ面の軸上光束の最大直径を示す。
【0085】
基本レンズデータの表では、物体側に凸形状を向けた面の曲率半径の符号を正、像側に凸形状を向けた面の曲率半径の符号を負としている。表1-2の面間隔の列の最下欄の値は表中の最も像側の面と像面Simとの間隔である。変倍の際の可変面間隔についてはDD[ ]という記号を用い、[ ]の中にこの間隔の物体側の面番号を付して面間隔の列に記入している。表1-1では、合焦部F、変倍部V、および開口絞りStそれぞれに対応する面番号の左側に「F」、「V」、および「St」と記した欄を付している。表1-2では、M1レンズ群M1、M2aレンズ群M2a、およびM3レンズ群M3それぞれに対応する面番号の左側に「M1」、「M2a」、および「M3」と記した欄を付している。表1-2の第36面から第39面が防振群M1sに対応する。
【0086】
表2に、変倍比Zr、焦点距離f、バックフォーカスBf、開放FナンバーFNo.、最大全画角2ω、および変倍の際の可変面間隔をd線基準で示す。変倍比はズーム倍率と同義である。2ωの欄の[°]は単位が度であることを示す。表2では、「Wide」と付した列に広角端状態の各値を示し、「Middle」と付した列に中間焦点距離状態の各値を示し、「Tele」と付した列に望遠端状態の各値を示す。
【0087】
基本レンズデータでは、非球面の面番号には*印を付しており、非球面の曲率半径の欄には近軸曲率半径の値を記載している。表3において、Snの行には非球面の面番号を示し、KAおよびAmの行には各非球面についての非球面係数の数値を示す。なお、Amのmは3以上の整数であり、面により異なる。例えば実施例1aの第11面ではm=3、4、5、・・・、16である。表3の非球面係数の数値の「E±n」(n:整数)は「×10±n」を意味する。KAおよびAmは下式で表される非球面式における非球面係数である。
Zd=C×h2/{1+(1-KA×C2×h2)1/2}+ΣAm×hm
ただし、
Zd:非球面深さ(高さhの非球面上の点から、非球面頂点が接する光軸Zに垂直な平面に下ろした垂線の長さ)
h:高さ(光軸Zからレンズ面までの距離)
C:近軸曲率半径の逆数
KA、Am:非球面係数
であり、非球面式のΣはmに関する総和を意味する。
【0088】
各表のデータにおいて、角度の単位としては度を用い、長さの単位としてはミリメートルを用いているが、光学系は比例拡大又は比例縮小しても使用可能なため他の適当な単位を用いることもできる。また、以下に示す各表では予め定められた桁でまるめた数値を記載している。
【0089】
【0090】
【0091】
【0092】
【0093】
図7に、実施例1aのズームレンズの無限遠物体に合焦した状態の各収差図を示す。
図7では左から順に、球面収差、非点収差、歪曲収差、および倍率色収差を示す。
図7では「Wide」と付した上段に広角端状態の収差を示し、「Middle」と付した中段に中間焦点距離状態の収差を示し、「Tele」と付した下段に望遠端状態の収差を示す。球面収差図では、d線、C線、およびF線における収差をそれぞれ実線、長破線、および短破線で示す。非点収差図では、サジタル方向のd線における収差を実線で示し、タンジェンシャル方向のd線における収差を短破線で示す。歪曲収差図ではd線における収差を実線で示す。倍率色収差図では、C線、およびF線における収差をそれぞれ長破線、および短破線で示す。球面収差図ではFNo.=の後に開放Fナンバーの値を示す。その他の収差図ではω=の後に最大半画角の値を示す。
【0094】
上記の実施例1aに関する各データの記号、意味、記載方法、および図示方法は、特に断りが無い限り以下の実施例においても基本的に同様であるので、以下では重複説明を省略する。
【0095】
[実施例1b]
実施例1bのズームレンズの構成と移動軌跡は
図1、
図4、および
図5に示しており、その図示方法と構成は上述したとおりであるので、ここでは重複説明を一部省略する。実施例1bのズームレンズは、実施例1aのズームレンズのM2aレンズ群M2aを、実施例1bのM2bレンズ群M2bに交換したものである。実施例1bのズームレンズの合焦部F、変倍部V、開口絞りSt、M1レンズ群M1、およびM3レンズ群M3は、実施例1aのズームレンズのものと共通である。
【0096】
実施例1bのズームレンズについて、基本レンズデータを表4-1および表4-2に、諸元および可変面間隔を表5に、非球面係数を表6に、各収差図を
図8に示す。
【0097】
【0098】
【0099】
【0100】
【0101】
[実施例2a]
実施例2aのズームレンズの構成および移動軌跡を
図9に示す。実施例2aのズームレンズは、物体側から像側へ順に、合焦部Fと、変倍部Vと、開口絞りStと、結像部Maとからなる。合焦部Fは、物体側から像側へ順に、F1レンズ群F1と、F2レンズ群F2と、F3レンズ群F3とからなる。合焦の際、F1レンズ群F1は像面Simに対して固定され、F2レンズ群F2と、F3レンズ群F3とは相互間隔を変化させて光軸Zに沿って移動する。変倍部Vは、物体側から像側へ順に、負の屈折力を有するV1レンズ群V1と、正の屈折力を有するV2レンズ群V2と、正の屈折力を有するV3レンズ群V3とからなる。変倍の際、V1レンズ群V1とV2レンズ群V2とV3レンズ群V3とは隣り合う群との間隔を変化させて光軸Zに沿って移動する。結像部Maは、物体側から像側へ順に、M1レンズ群M1と、M2aレンズ群M2aと、M3レンズ群M3とからなる。M1レンズ群M1は、最も像側に防振群M1sを含む。M2aレンズ群M2aは、実施例2bのM2bレンズ群M2bと交換可能である。
【0102】
実施例2aのズームレンズについて、基本レンズデータを表7-1および表7-2に、諸元および可変面間隔を表8に、非球面係数を表9に、各収差図を
図11に示す。表7-2の第36面から第39面が防振群M1sに対応する。
【0103】
【0104】
【0105】
【0106】
【0107】
[実施例2b]
実施例2bのズームレンズの構成および移動軌跡を
図10に示す。実施例2bのズームレンズは、実施例2aのズームレンズのM2aレンズ群M2aを、実施例2bのM2bレンズ群M2bに交換したものである。実施例2bのズームレンズの合焦部F、変倍部V、開口絞りSt、M1レンズ群M1、およびM3レンズ群M3は、実施例2aのズームレンズのものと共通である。
【0108】
実施例2bのズームレンズについて、基本レンズデータを表10-1および表10-2に、諸元と可変面間隔を表11に、非球面係数を表12に、各収差図を
図12に示す。
【0109】
【0110】
【0111】
【0112】
【0113】
[実施例3a]
実施例3aのズームレンズの構成および移動軌跡を
図13に示す。実施例3aのズームレンズは、物体側から像側へ順に、合焦部Fと、変倍部Vと、開口絞りStと、結像部Maとからなる。合焦部Fは、物体側から像側へ順に、F1レンズ群F1と、F2レンズ群F2と、F3レンズ群F3とからなる。合焦の際、F1レンズ群F1は像面Simに対して固定され、F2レンズ群F2と、F3レンズ群F3とは相互間隔を変化させて光軸Zに沿って移動する。変倍部Vは、物体側から像側へ順に、負の屈折力を有するV1レンズ群V1と、正の屈折力を有するV2レンズ群V2と、正の屈折力を有するV3レンズ群V3とからなる。変倍の際、V1レンズ群V1とV2レンズ群V2とV3レンズ群V3とは隣り合う群との間隔を変化させて光軸Zに沿って移動する。結像部Maは、物体側から像側へ順に、M1レンズ群M1と、M2aレンズ群M2aと、M3レンズ群M3とからなる。M1レンズ群M1は、最も像側に防振群M1sを含む。M2aレンズ群M2aは、実施例3bのM2bレンズ群M2bと交換可能である。
【0114】
実施例3aのズームレンズについて、基本レンズデータを表13-1および表13-2に、諸元および可変面間隔を表14に、非球面係数を表15に、各収差図を
図15に示す。表13-2の第39面から第43面が防振群M1sに対応する。
【0115】
【0116】
【0117】
【0118】
【0119】
[実施例3b]
実施例3bのズームレンズの構成および移動軌跡を
図14に示す。実施例3bのズームレンズは、実施例3aのズームレンズのM2aレンズ群M2aを、実施例3bのM2bレンズ群M2bに交換したものである。実施例3bのズームレンズの合焦部F、変倍部V、開口絞りSt、M1レンズ群M1、およびM3レンズ群M3は、実施例3aのズームレンズのものと共通である。
【0120】
実施例3bのズームレンズについて、基本レンズデータを表16-1および表16-2に、諸元および可変面間隔を表17に、非球面係数を表18に、各収差図を
図16に示す。
【0121】
【0122】
【0123】
【0124】
【0125】
[実施例4a]
実施例4aのズームレンズの構成および移動軌跡を
図17に示す。実施例4aのズームレンズは、物体側から像側へ順に、合焦部Fと、変倍部Vと、開口絞りStと、結像部Maとからなる。合焦部Fは、物体側から像側へ順に、F1レンズ群F1と、F2レンズ群F2と、F3レンズ群F3とからなる。合焦の際、F1レンズ群F1は像面Simに対して固定され、F2レンズ群F2と、F3レンズ群F3とは相互間隔を変化させて光軸Zに沿って移動する。変倍部Vは、物体側から像側へ順に、負の屈折力を有するV1レンズ群V1と、正の屈折力を有するV2レンズ群V2と、正の屈折力を有するV3レンズ群V3とからなる。変倍の際、V1レンズ群V1とV2レンズ群V2とV3レンズ群V3とは隣り合う群との間隔を変化させて光軸Zに沿って移動する。結像部Maは、物体側から像側へ順に、M1レンズ群M1と、M2aレンズ群M2aと、M3レンズ群M3とからなる。M1レンズ群M1は、最も像側に防振群M1sを含む。M2aレンズ群M2aは、実施例4bのM2bレンズ群M2bと交換可能である。
【0126】
実施例4aのズームレンズについて、基本レンズデータを表19-1および表19-2に、諸元および可変面間隔を表20に、非球面係数を表21に、各収差図を
図19に示す。表19-2の第43面から第47面が防振群M1sに対応する。
【0127】
【0128】
【0129】
【0130】
【0131】
[実施例4b]
実施例4bのズームレンズの構成および移動軌跡を
図18に示す。実施例4bのズームレンズは、実施例4aのズームレンズのM2aレンズ群M2aを、実施例4bのM2bレンズ群M2bに交換したものである。実施例4bのズームレンズの合焦部F、変倍部V、開口絞りSt、M1レンズ群M1、およびM3レンズ群M3は、実施例4aのズームレンズのものと共通である。
【0132】
実施例4bのズームレンズについて、基本レンズデータを表22-1および表22-2に、諸元および可変面間隔を表23に、非球面係数を表24に、各収差図を
図20に示す。
【0133】
【0134】
【0135】
【0136】
【0137】
[実施例5a]
実施例5aのズームレンズの構成および移動軌跡を
図21に示す。実施例5aのズームレンズは、物体側から像側へ順に、合焦部Fと、変倍部Vと、開口絞りStと、結像部Maとからなる。合焦部Fは、物体側から像側へ順に、F1レンズ群F1と、F2レンズ群F2と、F3レンズ群F3とからなる。合焦の際、F1レンズ群F1は像面Simに対して固定され、F2レンズ群F2と、F3レンズ群F3とは相互間隔を変化させて光軸Zに沿って移動する。変倍部Vは、物体側から像側へ順に、負の屈折力を有するV1レンズ群V1と、正の屈折力を有するV2レンズ群V2と、正の屈折力を有するV3レンズ群V3とからなる。変倍の際、V1レンズ群V1とV2レンズ群V2とV3レンズ群V3とは隣り合う群との間隔を変化させて光軸Zに沿って移動する。結像部Maは、物体側から像側へ順に、M1レンズ群M1と、M2aレンズ群M2aと、M3レンズ群M3とからなる。M1レンズ群M1は、最も像側に防振群M1sを含む。M2aレンズ群M2aは、実施例5bのM2bレンズ群M2bと交換可能である。
【0138】
実施例5aのズームレンズについて、基本レンズデータを表25-1および表25-2に、諸元および可変面間隔を表26に、非球面係数を表27に、各収差図を
図23に示す。表25-2の第41面から第45面が防振群M1sに対応する。
【0139】
【0140】
【0141】
【0142】
【0143】
[実施例5b]
実施例5bのズームレンズの構成および移動軌跡を
図22に示す。実施例5bのズームレンズは、実施例5aのズームレンズのM2aレンズ群M2aを、実施例5bのM2bレンズ群M2bに交換したものである。実施例5bのズームレンズの合焦部F、変倍部V、開口絞りSt、M1レンズ群M1、およびM3レンズ群M3は、実施例5aのズームレンズのものと共通である。
【0144】
実施例5bのズームレンズについて、基本レンズデータを表28-1および表28-2に、諸元および可変面間隔を表29に、非球面係数を表30に、各収差図を
図24に示す。
【0145】
【0146】
【0147】
【0148】
【0149】
[実施例6a]
実施例6aのズームレンズの構成および移動軌跡を
図25に示す。実施例5aのズームレンズは、物体側から像側へ順に、合焦部Fと、変倍部Vと、開口絞りStと、結像部Maとからなる。合焦部Fは、物体側から像側へ順に、F1レンズ群F1と、F2レンズ群F2と、F3レンズ群F3とからなる。合焦の際、F1レンズ群F1は像面Simに対して固定され、F2レンズ群F2と、F3レンズ群F3とは相互間隔を変化させて光軸Zに沿って移動する。変倍部Vは、物体側から像側へ順に、負の屈折力を有するV1レンズ群V1と、正の屈折力を有するV2レンズ群V2と、正の屈折力を有するV3レンズ群V3とからなる。変倍の際、V1レンズ群V1とV2レンズ群V2とV3レンズ群V3とは隣り合う群との間隔を変化させて光軸Zに沿って移動する。結像部Maは、物体側から像側へ順に、M1レンズ群M1と、M2aレンズ群M2aと、M3レンズ群M3とからなる。M1レンズ群M1は、最も像側に防振群M1sを含む。M2aレンズ群M2aは、実施例6bのM2bレンズ群M2bと交換可能である。
【0150】
実施例6aのズームレンズについて、基本レンズデータを表31-1および表31-2に、諸元および可変面間隔を表32に、非球面係数を表33に、各収差図を
図27に示す。表31-2の第36面から第39面が防振群M1sに対応する。
【0151】
【0152】
【0153】
【0154】
【0155】
[実施例6b]
実施例6bのズームレンズの構成および移動軌跡を
図26に示す。実施例6bのズームレンズは、実施例6aのズームレンズのM2aレンズ群M2aを、実施例6bのM2bレンズ群M2bに交換したものである。実施例6bのズームレンズの合焦部F、変倍部V、開口絞りSt、M1レンズ群M1、およびM3レンズ群M3は、実施例6aのズームレンズのものと共通である。
【0156】
実施例6bのズームレンズについて、基本レンズデータを表34-1および表34-2に、諸元および可変面間隔を表35に、非球面係数を表36に、各収差図を
図28に示す。
【0157】
【0158】
【0159】
【0160】
【0161】
表37に、実施例1~6のズームレンズの条件式(1)~(19)の対応値を示す。表37に示す実施例の対応値を条件式の上限又は下限として用いて、条件式の好ましい範囲を設定してもよい。
【0162】
【0163】
以上説明したデータからわかるように、実施例1~6のズームレンズでは、レンズ系の一部を交換することにより、長焦点距離化を行いながら、交換の前後で同程度の画角を確保しつつ、イメージサイズが拡大されている。また、実施例1~6のズームレンズは、交換前後の状態において諸収差が抑えられて良好な光学性能を有している。
【0164】
次に、本開示の実施形態に係る撮像装置について説明する。
図29に、本開示の実施形態の撮像装置の一例として、本開示の実施形態に係るズームレンズを用いた撮像装置10の概略構成図を示す。撮像装置10としては、例えば、放送用カメラ、映画撮影用カメラ、ビデオカメラ、デジタルカメラ、および監視用カメラ等を挙げることができる。
【0165】
撮像装置10は、本開示の一実施形態に係るズームレンズ1aと、ズームレンズ1aの像側に配置された光学部材2と、光学部材2の像側に配置された撮像素子3とを備えている。光学部材2は、例えばフィルタ、カバーガラス、および/又はプリズム等の屈折力を有しない部材である。ズームレンズ1aは、合焦部F、変倍部V、開口絞りSt、結像部Maを備える。結像部Maは、M1レンズ群M1と、M2aレンズ群M2aと、M3レンズ群M3とからなる。M1レンズ群M1は、内部に防振群を含む。M2aレンズ群M2aをM2bレンズ群M2bに交換することによって、結像位置を一定に保ったまま、全系の焦点距離が長焦点距離側へ変化する。なお、
図29では、合焦部F、変倍部V、結像部Ma、結像部Ma内の各レンズ群、およびM2bレンズ群M2bは概略的に図示されている。
【0166】
撮像素子3は、ズームレンズ1aによって形成された光学像を電気信号に変換する。撮像素子3は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)又はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等を用いることができる。なお、
図29では1つの撮像素子3のみ図示しているが、撮像装置10は3つの撮像素子を有するいわゆる3板方式の撮像装置であってもよい。
【0167】
また、撮像装置10は、撮像素子3からの出力信号を演算処理する信号処理部4と、ズームレンズ1aの変倍を制御する変倍制御部5と、ズームレンズ1aの合焦を制御するフォーカス制御部6と、ズームレンズ1aの像ぶれ補正を制御する防振制御部7とを備えている。変倍制御部5により、変倍部Vの制御、およびM2aレンズ群M2aとM2bレンズ群M2bとの交換が行われる。
【0168】
以上、実施形態および実施例を挙げて本開示の技術を説明したが、本開示の技術は上記実施形態および実施例に限定されず、種々の変形が可能である。例えば、各レンズの曲率半径、面間隔、屈折率、アッベ数、および非球面係数等は、上記各数値実施例で示した値に限定されず、他の値をとり得る。
【0169】
以上の実施形態および実施例に関し、さらに以下の付記項を開示する。
[付記項1]
物体側から像側へ順に、合焦の際に移動する合焦用レンズ群を含み変倍の際に像面に対して固定されている合焦部と、変倍の際に隣り合う群との間隔が変化する少なくとも2つの変倍用レンズ群を含む変倍部と、開口絞りと、変倍の際に像面に対して固定されている結像部とを備え、
前記結像部の交換可能に設けられた一部を交換することにより、第1の状態と、第2の状態との間で切替え可能であり、
前記第1の状態では、前記結像部は、物体側から像側へ順に、M1レンズ群と、交換可能なM2aレンズ群と、M3レンズ群とからなり、
前記第2の状態では、前記結像部は、物体側から像側へ順に、前記M1レンズ群と、交換可能なM2bレンズ群と、前記M3レンズ群とからなり、
前記第1の状態から前記第2の状態へ切替えることにより結像位置を一定に保ったまま全系の焦点距離が長焦点距離側へ変化し、
前記第1の状態での望遠端における無限遠物体に合焦した状態での全系の焦点距離をfta、
前記第1の状態での望遠端における無限遠物体に合焦した状態での最大半画角をωta、
前記第2の状態での望遠端における無限遠物体に合焦した状態での全系の焦点距離をftb、
前記第2の状態での望遠端における無限遠物体に合焦した状態での最大半画角をωtb、
前記第1の状態での前記結像部の焦点距離をfMa、
前記M2aレンズ群の焦点距離をfM2a、
前記第2の状態での前記結像部の焦点距離をfMb、
前記M2bレンズ群の焦点距離をfM2bとした場合、
1.35<(ftb×tanωtb)/(fta×tanωta)<1.65 (1)
0<|fMa/fM2a|<4 (2)
0<|fMb/fM2b|<7 (3)
で表される条件式(1)、(2)、および(3)を満足するズームレンズ。
[付記項2]
物体側から像側へ順に、合焦の際に移動する合焦用レンズ群を含み変倍の際に像面に対して固定されている合焦部と、変倍の際に隣り合う群との間隔が変化する少なくとも2つの変倍用レンズ群を含む変倍部と、開口絞りと、変倍の際に像面に対して固定されている結像部とを備え、
前記結像部の交換可能に設けられた一部を交換することにより、第1の状態と、第2の状態との間で切替え可能であり、
前記第1の状態では、前記結像部は、物体側から像側へ順に、M1レンズ群と、交換可能なM2aレンズ群と、M3レンズ群とからなり、
前記第2の状態では、前記結像部は、物体側から像側へ順に、前記M1レンズ群と、交換可能なM2bレンズ群と、前記M3レンズ群とからなり、
前記第1の状態から前記第2の状態へ切替えることにより結像位置を一定に保ったまま全系の焦点距離が長焦点距離側へ変化し、
前記第1の状態での前記結像部の焦点距離をfMa、
前記M2aレンズ群の焦点距離をfM2a、
前記第2の状態での前記結像部の焦点距離をfMb、
前記M2bレンズ群の焦点距離をfM2b、
前記第1の状態での望遠端における無限遠物体に合焦した状態での最大半画角をωta、
前記第2の状態での望遠端における無限遠物体に合焦した状態での最大半画角をωtbとした場合、
0<|fMa/fM2a|<4 (2)
0<|fMb/fM2b|<7 (3)
0.875<ωtb/ωta<1.125 (4)
で表される条件式(2)、(3)、および(4)を満足するズームレンズ。
[付記項3]
物体側から像側へ順に、合焦の際に移動する合焦用レンズ群を含み変倍の際に像面に対して固定されている合焦部と、変倍の際に隣り合う群との間隔が変化する少なくとも2つの変倍用レンズ群を含む変倍部と、開口絞りと、変倍の際に像面に対して固定されている結像部とを備え、
前記結像部の交換可能に設けられた一部を交換することにより、第1の状態と、第2の状態との間で切替え可能であり、
前記第1の状態では、前記結像部は、物体側から像側へ順に、M1レンズ群と、交換可能なM2aレンズ群と、M3レンズ群とからなり、
前記第2の状態では、前記結像部は、物体側から像側へ順に、前記M1レンズ群と、交換可能なM2bレンズ群と、前記M3レンズ群とからなり、
前記第1の状態から前記第2の状態へ切替えることにより結像位置を一定に保ったまま全系の焦点距離が長焦点距離側へ変化し、
前記第1の状態での前記結像部の焦点距離をfMa、
前記M2aレンズ群の焦点距離をfM2a、
前記第2の状態での前記結像部の焦点距離をfMb、
前記M2bレンズ群の焦点距離をfM2b、
前記第2の状態での前記M3レンズ群の最も物体側のレンズ面における有効直径をφM3F、
前記第2の状態での前記M3レンズ群の最も像側のレンズ面における有効直径をφM3Rとした場合、
0<|fMa/fM2a|<4 (2)
0<|fMb/fM2b|<7 (3)
0.5<φM3F/φM3R<0.95 (5)
で表される条件式(2)、(3)、および(5)を満足するズームレンズ。
[付記項4]
前記M2aレンズ群の最も物体側のレンズ面における軸上光束の最大直径をφM2aF、
前記M2aレンズ群の最も像側のレンズ面における軸上光束の最大直径をφM2aR、
前記M2bレンズ群の最も物体側のレンズ面における軸上光束の最大直径をφM2bF、
前記M2bレンズ群の最も像側のレンズ面における軸上光束の最大直径をφM2bRとした場合、
0.525<(φM2bR/φM2bF)/(φM2aR/φM2aF)<0.8 (6)
で表される条件式(6)を満足する付記項1から3のいずれか1項に記載のズームレンズ。
[付記項5]
前記M1レンズ群は、像ぶれ補正の際に光軸と交わる方向に移動する防振群を含み、
無限遠物体に合焦した状態での前記防振群の横倍率をβs、
前記第1の状態における無限遠物体に合焦した状態での前記M2aレンズ群と前記M3レンズ群との合成横倍率をβM2a3とした場合、
0.5<|(1-βs)×βM2a3|<2.75 (7)
で表される条件式(7)を満足する付記項1から4のいずれか1項に記載のズームレンズ。
[付記項6]
前記防振群は、前記M1レンズ群内の最も像側に配置され、
前記第1の状態での前記防振群の最も物体側のレンズ面における有効直径をφM1saF、
前記第1の状態での前記M1レンズ群の最も物体側のレンズ面における有効直径をφM1aFとした場合、
0.6<φM1saF/φM1aF<0.875 (8)
で表される条件式(8)を満足する付記項5に記載のズームレンズ。
[付記項7]
前記第2の状態での広角端における無限遠物体に合焦した状態での全系の焦点距離をfwb、
前記第2の状態での広角端における無限遠物体に合焦した状態での像面から近軸射出瞳位置までの光軸上の距離をDexwb、
Dexwbの符号は、像面を基準として像側の距離を正、物体側の距離を負とし、
像面と前記近軸射出瞳位置との間に屈折力を有しない光学部材が配置されている場合は、前記光学部材については空気換算距離を用いてDexwbを計算する場合、
-0.45<fwb/Dexwb<-0.05 (9)
で表される条件式(9)を満足する付記項1から6のいずれか1項に記載のズームレンズ。
[付記項8]
前記M2bレンズ群は2つの接合レンズを含む付記項1から7のいずれか1項に記載のズームレンズ。
[付記項9]
前記2つの接合レンズのうちの1つは3枚接合レンズである付記項8に記載のズームレンズ。
[付記項10]
前記第2の状態での望遠端における無限遠物体に合焦した状態での前記ズームレンズの最も物体側のレンズ面から前記ズームレンズの最も像側のレンズ面までの光軸上の距離と、空気換算距離での全系のバックフォーカスとの和をTLtb、
前記第2の状態での望遠端における無限遠物体に合焦した状態での全系の焦点距離をftb、
前記第2の状態での望遠端における無限遠物体に合焦した状態での最大半画角をωtbとした場合、
30<TLtb/(ftb×tanωtb)<39 (10)
で表される条件式(10)を満足する付記項1から9のいずれか1項に記載のズームレンズ。
[付記項11]
前記合焦部は全体として正の屈折力を有する付記項1から10のいずれか1項に記載のズームレンズ。
[付記項12]
無限遠物体に合焦した状態での前記合焦部の焦点距離をfF、
前記合焦部の最も物体側のレンズである第1レンズの焦点距離をfL1とした場合、
-0.675<fF/fL1<-0.425 (11)
で表される条件式(11)を満足する付記項11に記載のズームレンズ。
[付記項13]
前記合焦部の最も物体側のレンズである第1レンズのd線に対する屈折率をNdL1、
前記第1レンズのd線基準のアッベ数をνdL1、
前記第1レンズのg線とF線間の部分分散比をθgFL1とした場合、
1.72<NdL1<1.92 (12)
34<νdL1<57 (13)
0.55<θgFL1<0.585 (14)
で表される条件式(12)、(13)、および(14)を満足する付記項11又は12に記載のズームレンズ。
[付記項14]
前記変倍部の最も物体側の前記変倍用レンズ群は、負の屈折力を有し、変倍の際に移動するV1レンズ群であり、
無限遠物体に合焦した状態での前記合焦部の焦点距離をfF、
前記V1レンズ群の焦点距離をfV1とした場合、
4<fF/(-fV1)<9 (15)
で表される条件式(15)を満足する付記項1から13のいずれか1項に記載のズームレンズ。
[付記項15]
前記変倍部の最も物体側の前記変倍用レンズ群は、負の屈折力を有し変倍の際に移動するV1レンズ群であり、
望遠端における無限遠物体に合焦した状態での前記V1レンズ群の横倍率をβV1t、
広角端における無限遠物体に合焦した状態での前記V1レンズ群の横倍率をβV1wとした場合、
7.5<βV1t/βV1w<12 (16)
で表される条件式(16)を満足する付記項1から14のいずれか1項に記載のズームレンズ。
[付記項16]
前記変倍部は、物体側から像側へ順に、負の屈折力を有し変倍の際に移動するV1レンズ群と、正の屈折力を有し変倍の際に移動するV2レンズ群と、正の屈折力を有し変倍の際に移動するV3レンズ群とからなり、
変倍の際に、前記V1レンズ群と前記V2レンズ群との間隔が変化し、前記V2レンズ群と前記V3レンズ群との間隔が変化する付記項1から15のいずれか1項に記載のズームレンズ。
[付記項17]
前記V1レンズ群の焦点距離をfV1、
望遠端における前記V2レンズ群と前記V3レンズ群との合成焦点距離をfV23tとした場合、
-0.45<fV23t/fV1<-0.225 (17)
で表される条件式(17)を満足する付記項16に記載のズームレンズ。
[付記項18]
前記第1の状態での望遠端における無限遠物体に合焦した状態での開放FナンバーをFnota、
前記第1の状態での望遠端における無限遠物体に合焦した状態での全系の焦点距離をfta、
前記第1の状態での広角端における無限遠物体に合焦した状態での全系の焦点距離をfwaとした場合、
0.11<Fnota/(fta/fwa)<0.15 (18)
で表される条件式(18)を満足する付記項1から17のいずれか1項に記載のズームレンズ。
[付記項19]
前記第2の状態での望遠端における無限遠物体に合焦した状態での前記ズームレンズの最も物体側のレンズ面から前記ズームレンズの最も像側のレンズ面までの光軸上の距離と、空気換算距離での全系のバックフォーカスとの和をTLtb、
前記第2の状態での望遠端における無限遠物体に合焦した状態での全系の焦点距離をftbとした場合、
0.4<TLtb/ftb<0.6 (19)
で表される条件式(19)を満足する付記項1から18のいずれか1項に記載のズームレンズ。
[付記項20]
付記項1から19のいずれか1項に記載のズームレンズを備えた撮像装置。
【符号の説明】
【0170】
1a ズームレンズ
2 光学部材
3 撮像素子
4 信号処理部
5 変倍制御部
6 フォーカス制御部
7 防振制御部
10 撮像装置
12 軸上光束
14 軸外光束
141 光線
ED 有効直径
Dexwb 距離
F 合焦部
F1 F1レンズ群
F2 F2レンズ群
F3 F3レンズ群
IHa 最大像高
IHb 最大像高
L11~L14、L21a~L27a、L21b~L27b、L31~L36 レンズ
Lx レンズ
Ma 結像部
Mb 結像部
M1 M1レンズ群
M1s 防振群
M2a M2aレンズ群
M2b M2bレンズ群
M3 M3レンズ群
Pexwb 近軸射出瞳位置
Sim 像面
St 開口絞り
TLtb レンズ系全長
V 変倍部
V1 V1レンズ群
V2 V2レンズ群
V3 V3レンズ群
Z 光軸
ωta 最大半画角
ωtb 最大半画角