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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024046828
(43)【公開日】2024-04-05
(54)【発明の名称】歩行器
(51)【国際特許分類】
   A61H 3/04 20060101AFI20240329BHJP
【FI】
A61H3/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022152143
(22)【出願日】2022-09-26
(71)【出願人】
【識別番号】301021533
【氏名又は名称】国立研究開発法人産業技術総合研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000001317
【氏名又は名称】株式会社熊谷組
(74)【代理人】
【識別番号】100141243
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 靖夫
(72)【発明者】
【氏名】藤原 清司
(72)【発明者】
【氏名】比留川 博久
(72)【発明者】
【氏名】久保 隆司
(72)【発明者】
【氏名】小林 英一
【テーマコード(参考)】
4C046
【Fターム(参考)】
4C046AA24
4C046BB07
4C046CC01
4C046DD33
4C046DD34
4C046DD47
(57)【要約】
【課題】歩行器の後側から歩行器操縦位置に移動できるように背中サポートを開閉式に構成して、人が、背中サポートを回転させる操作によって、背中サポートの開閉を実現できるようにした使い勝手の良い歩行器を提供する。
【解決手段】本発明に係る歩行器は、下部構成体2と、支持体3と、上部構成体4とを備え、上部構成体4は、回転連動体67を備え、回転連動体67は、歩行器1の前後方向に延長する回転軸と、回転軸の後端側に設けられた背中サポート7とを備え、回転軸の中心線を回転中心として当該回転軸と背中サポート7とが連動して回転するように構成され、背中サポート7を操作して回転軸を回転させることにより、背中サポートは、少なくとも、歩行器操縦位置への後方入口を閉鎖する閉鎖位置67Yと、後方入口を開放する開放位置67Xとに設定されるように構成されたことを特徴とする。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下部構成体と、下部構成体より上方に延長するように設けられた支持体と、支持体の上部側に設けられた上部構成体とを備え、
下部構成体は、下部ベースと、下部ベースに設けられた移動手段とを備え、
上部構成体は、回転連動体を備え、
回転連動体は、歩行器の前後方向に延長する回転軸と、回転軸の後端側に設けられた背中サポートとを備え、回転軸の中心線を回転中心として当該回転軸と背中サポートとが連動して回転するように構成され、
背中サポートを操作して回転軸を回転させることにより、背中サポートは、少なくとも、歩行器操縦位置への後方入口を閉鎖する閉鎖位置と、歩行器操縦位置への後方入口を開放する開放位置とに設定されるように構成されたことを特徴とする歩行器。
【請求項2】
下部構成体と、下部構成体より上方に延長するように設けられた支持体と、支持体の上部側に設けられた上部構成体とを備え、
下部構成体は、下部ベースと、下部ベースに設けられた移動手段とを備え、
上部構成体は、回転連動体を備え、
回転連動体は、歩行器の前後方向に延長する回転軸と、回転軸の前端側に設けられたハンドルグリップと、回転軸の後端側に設けられた背中サポートとを備え、回転軸の中心線を回転中心として当該回転軸とハンドルグリップと背中サポートとが連動して回転するように構成され、
背中サポート又はハンドルグリップを操作して回転軸を回転させることにより、背中サポートは、少なくとも、歩行器操縦位置への後方入口を閉鎖する閉鎖位置と、歩行器操縦位置への後方入口を開放する開放位置とに設定されるように構成されたことを特徴とする歩行器。
【請求項3】
背中サポートとして、左右の背中サポートを備え、
ハンドルグリップとして、左右のハンドルグリップを備え、
左右の背中サポートは、それぞれ、左右方向に回転可能に設けられて、互いに離れる方向に回転させた位置である開放位置と、互いに近づく方向に回転させた位置である閉鎖位置とに設定可能に構成され、
左右のハンドルグリップは、それぞれ、左右方向に回転可能に設けられて、互いに離れる方向に回転させた位置である非操縦時位置と、互いに近づく方向に回転させた位置である操縦時位置とに設定可能に構成されたことを特徴とする請求項2に記載の歩行器。
【請求項4】
背中サポートの閉鎖位置は、使用者の背中を支えることが可能な位置であるサポート位置であり、背中サポートの開放位置は、使用者の背中を支えることが不可能な位置である非サポート位置であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の歩行器。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上部構成体として、少なくとも背中サポートを備えた歩行器に関する。
【背景技術】
【0002】
下部構成体と、下部構成体より上方に延長するように設けられた支持体と、支持体の上部側に設けられた上部構成体とを備え、上部構成体が、肘支持部材(アームレスト)と、ハンドルグリップと、背部当接手段(背中サポート)と、脇支持手段(脇サポート)とを備えた歩行補助装置(歩行器)が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10-216183号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した歩行器では、背部当接手段(背中サポート)が開閉式になっていないために、使用者は、歩行器の前側から後向きになって歩行器操縦位置に移動しなくてはならず、高齢者等が多い歩行器の使用者にとって使い勝手が悪いという課題があった。
本発明は、上述した課題に鑑みて、歩行器の後側から歩行器操縦位置に移動できるように背中サポートを開閉式に構成して、人が、背中サポートを回転させる操作によって、背中サポートの開閉を実現できるようにした使い勝手の良い歩行器を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る歩行器は、下部構成体と、下部構成体より上方に延長するように設けられた支持体と、支持体の上部側に設けられた上部構成体とを備え、下部構成体は、下部ベースと、下部ベースに設けられた移動手段とを備え、上部構成体は、回転連動体を備え、回転連動体は、歩行器の前後方向に延長する回転軸と、回転軸の後端側に設けられた背中サポートとを備え、回転軸の中心線を回転中心として当該回転軸と背中サポートとが連動して回転するように構成され、背中サポートを操作して回転軸を回転させることにより、背中サポートは、少なくとも、歩行器操縦位置への後方入口を閉鎖する閉鎖位置と、歩行器操縦位置への後方入口を開放する開放位置とに設定されるように構成されたことを特徴とする。
本発明に係る歩行器によれば、歩行器の後側から歩行器操縦位置に移動できるように、歩行器操縦位置への後方入口に配置された背中サポートを開閉式に構成したので、人が、背中サポートを回転させる操作によって、背中サポートの開閉を実現できるようになり、使い勝手の良い歩行器を提供できる。
また、本発明に係る歩行器は、下部構成体と、下部構成体より上方に延長するように設けられた支持体と、支持体の上部側に設けられた上部構成体とを備え、下部構成体は、下部ベースと、下部ベースに設けられた移動手段とを備え、上部構成体は、回転連動体を備え、回転連動体は、歩行器の前後方向に延長する回転軸と、回転軸の前端側に設けられたハンドルグリップと、回転軸の後端側に設けられた背中サポートとを備え、回転軸の中心線を回転中心として当該回転軸とハンドルグリップと背中サポートとが連動して回転するように構成され、背中サポート又はハンドルグリップを操作して回転軸を回転させることにより、背中サポートは、少なくとも、歩行器操縦位置への後方入口を閉鎖する閉鎖位置と、歩行器操縦位置への後方入口を開放する開放位置とに設定されるように構成されたことを特徴とする。
本発明に係る歩行器によれば、人が、背中サポート又はハンドルグリップを回転させる操作によって、背中サポートの開閉を実現できるようになり、より使い勝手の良い歩行器を提供できる。
また、背中サポートとして、左右の背中サポートを備え、ハンドルグリップとして、左右のハンドルグリップを備え、左右の背中サポートは、それぞれ、左右方向に回転可能に設けられて、互いに離れる方向に回転させた位置である開放位置と、互いに近づく方向に回転させた位置である閉鎖位置とに設定可能に構成され、左右のハンドルグリップは、それぞれ、左右方向に回転可能に設けられて、互いに離れる方向に回転させた位置である非操縦時位置と、互いに近づく方向に回転させた位置である操縦時位置とに設定可能に構成されたことを特徴とする。
即ち、歩行器の後側から歩行器操縦位置に移動できるように、歩行器操縦位置への後方入口に配置された背中サポートを左右開閉式に構成したので、人が、背中サポート又はハンドルグリップを左右に回転させる操作によって、背中サポートの開閉を実現できるようになり、さらに使い勝手の良い歩行器を提供できる。
また、背中サポートの閉鎖位置は、使用者の背中を支えることが可能な位置であるサポート位置であり、背中サポートの開放位置は、使用者の背中を支えることが不可能な位置である非サポート位置であることを特徴とするので、歩行器操縦位置への後方入口の開閉とともに、背中サポートをサポート状態及び非サポート状態に設定する動作が行われるため、より使い勝手の良い歩行器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】歩行器を左斜め上後方側から見た斜視図。
図2】歩行器を右斜め上前方側から見た斜視図。
図3】回転連動体における回転軸の前側回転支持部の分解斜視図。
図4】回転連動体における回転軸の回転規制部の動作説明図。
図5】回転連動体の動作説明図。
図6】制動機構の構成を示す側面図。
図7】脇サポートの回転支持機構を示す図であって、(a)は斜視図、(b)は分解斜視図。
図8】脇サポートの動作説明図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
図1図2に示すように、実施形態に係る歩行器1は、下部構成体2と、下部構成体2より上方に延長するように設けられた支持体3と、支持体3の上部側に設けられた上部構成体4と、制動装置5とを備えて構成される。
尚、本明細書においては、上、下、左、右、前、後は、図1図2に示した方向と定義して説明する。
【0008】
下部構成体2は、下部ベース2Aと、下部ベース2Aに設けられた移動手段2Bと、下部ベース2Aに設けられた膝サポート2Cとを備える。
【0009】
下部ベース2Aは、例えば、凹状又はU字状に形成された鋼管等の金属製パイプフレーム等で構成され、凹又はUの上部開放側部分が歩行器1の後方に位置され、凹又はUの下部閉塞部分が歩行器1の前側部分に位置されるように構成される。
換言すれば、下部ベース2Aは、支持体3の下部側から左右方向に延長する前部21と、前部21の左端側から後方に延長する設けられた左部22と、前部21の右端側から後方に延長する設けられた右部23とを備える。尚、前部21は、例えば、前後方向に間隔を隔てて平行に設けられた前後のパイプ21a,21bにより構成される。
【0010】
移動手段2Bは、例えば、下部ベース2Aの左前側に設けられた左前側自在輪24と、下部ベース2Aの右前側に設けられた右前側自在輪25と、下部ベース2Aの左後側に設けられた左後側自在輪26と、下部ベース2Aの右後側に設けられた右後側自在輪27と、下部ベース2Aの左前側と左後側との間の左中央側に設けられた左中央側固定輪28と、下部ベース2Aの右前側と右後側との間の右中央側に設けられた右中央側固定輪29とを備えた構成とした。
尚、自在輪とは、床面等の移動対象面上において車輪の回転中心線と直交する垂直軸を回転中心として車輪が旋回可能に構成されたものであり、例えば、自在キャスターと呼ばれるものである。
また、固定輪とは、床面等の移動対象面上において車輪の回転中心線と直交する垂直軸を回転中心として車輪が旋回できないように構成されたものであり、例えば、固定キャスターと呼ばれるものである。
【0011】
膝サポート2Cは、例えば、膝サポート部材30と、膝サポート部材30を支持するとともに下部ベース2Aの前部21に取付けられたブラケット等の支持部31とを備えて構成される。
膝サポート部材30は、鋼板等の金属板で構成された支持板32と当該支持板32の表面に設けられた衝撃吸収シート等の緩衝部材33とを備えた構成である。
当該膝サポート2Cは、歩行器1を使用中の使用者の膝折れ時において使用者の膝および下腿を保護するとともに、使用者の下部ベース2Aや支持体3への衝突防止効果、及び、使用者の転倒防止効果に付与するものである。
【0012】
支持体3は、下端が、下部ベース2Aの前部21の左右中央位置に例えば取付部材3Cを介して溶接やねじ等の連結手段により連結された支柱により構成される。
当該支持体3は、高さを変更可能なように構成されている。例えば、当該支持体3は、下側内柱3Aと上側外柱3Bとを備えて構成され、上側外柱3Bが上下方向に移動可能でかつ図外のロック部材により所定の高さ位置でロックされるように構成されている。
【0013】
上部構成体4は、上部ベース4Aと、アームレスト4Bと、ハンドルグリップ6と、背中サポート7と、脇サポート8とを備える。
【0014】
上部ベース4Aは、例えば、下部ベース2Aと同様に凹状又はU字状に形成され、凹又はUの上部開放側部分が歩行器1の後方に位置され、凹又はUの下部部分が歩行器1の前方に位置されるように構成される。
上部ベース4Aは、支持体3の上部側から左右方向に延長する前部41と、前部41の左端側から後方に延長する設けられた左部42と、前部41の右端側から後方に延長する設けられた右部43とを備える。
例えば、支持体3の上部の左右に上部ベース4Aの前部41,41がそれぞれ溶接又はねじ等の連結手段により連結されている。
換言すれば、支持体3の上部の左側から左方向に延長する左の前部41と、当該左の前部41の左端側から後方に延長する設けられた左部42とで左側上部ベースが構成されるとともに、支持体3の上部の右側から右方向に延長する右の前部41と、当該右の前部41の右端側から後方に延長する設けられた右部43とで右側上部ベースが構成される。
当該左側上部ベース及び右側上部ベースは、例えば、L字状の鋼管等の金属製パイプフレーム等で構成される。
【0015】
アームレスト4Bは、例えば、上部ベース4A上に載置された状態で当該上部ベース4Aに溶接やねじ等の連結手段により連結された外形凹状又は外形U字状の平板プレート45と、当該平板プレート45の上面に設けられたゴムシート等の緩衝部材46とを備えて構成される。
【0016】
ハンドルグリップ6としては、アームレスト4Bの左前側に位置されるように設けられた左ハンドルグリップ6Lと、アームレスト4Bの右前側に位置されるように設けられた右ハンドルグリップ6Rとを備える。
ハンドルグリップ6は、例えば図3に示すように、鋼管等の金属製パイプ等で構成されたハンドルグリップ主体60と、ハンドルグリップ主体60の周面を覆うように設けられた滑り止めカバー61とを備えて構成される。
【0017】
背中サポート7としては、アームレスト4Bの左後側に位置されるように設けられた左背中サポート7Lと、アームレスト4Bの右後側に位置されるように設けられた右背中サポート7Rとを備える。
背中サポート7は、例えば、使用者の背中に対向する側の表面に緩衝パッド等が設けられた背中サポート部材70と、背中サポート部材70を支持する支持部71とを備えて構成される。
【0018】
左ハンドルグリップ6Lは、アームレスト4Bの左側の下面に沿って歩行器1の前後方向に延長するように設けられた回転軸4Cの前端側に設けられ、左背中サポート7Lは、当該回転軸4Cの後端側に設けられる。
右ハンドルグリップ6Rは、アームレスト4Bの右側の下面に沿って歩行器1の前後方向に延長するように設けられた回転軸4Cの前端側に設けられ、右背中サポート7Rは、当該回転軸4Cの後端側に設けられる。
即ち、回転軸4Cと左ハンドルグリップ6Lと左背中サポート7Lとで構成される左側回転連動体67Lと、回転軸4Cと右ハンドルグリップ6Rと右背中サポート7Rとで構成される右側回転連動体67Rとを備える。
【0019】
そして、左側回転連動体67Lの回転軸4Cが、前後方向に延長する当該回転軸4Cの中心線を回転中心として回転可能なように、アームレスト4Bの左側の下面に設けられた左側回転支持部68Lに支持される。
同様に、右側回転連動体67Rの回転軸4Cが、前後方向に延長する当該回転軸4Cの中心線を回転中心として回転可能なように、アームレスト4Bの右側の下面に設けられた右側回転支持部68Rに支持される。
【0020】
つまり、歩行器1の前後方向に延長する回転軸4Cと、回転軸4Cの前端側に設けられたハンドルグリップ6と、回転軸4Cの後端側に設けられた背中サポート7とを備え、回転軸4Cの中心線を回転中心として当該回転軸4Cとハンドルグリップ6と背中サポート7とが連動して回転するように構成された回転連動体67としては、左側回転連動体67Lと右側回転連動体67Rとを備え、これら左側回転連動体67Lや右側回転連動体67Rを回転支持する回転支持部68としては、左側回転支持部68Lと右側回転支持部68Rとを備える。
【0021】
回転軸支持部68は、回転連動体67の回転軸4Cの中心線を回転中心として当該回転軸4Cを回転可能に支持する支持部であり、前側回転支持部68Aと、後側回転支持部68Bとを備える。
【0022】
前側回転支持部68Aは、例えば図3に示すように、鋼管等の金属製パイプ等で構成された円筒状の軸受68aと、アームレスト4Bの下面に設けられた軸受68aの被固定部68bと、軸受68aを被固定部68bに固定するためのねじ又は溶接などの固定手段とを備えて構成される。
即ち、前側回転支持部68Aは、円筒状の軸受68aが固定手段により被固定部68bに固定されており、回転軸4Cの前側が軸受68aにより回転可能に支持されている。
後側回転支持部68Bは、例えば図1に示すように、鋼管等の金属製環体等で構成された円環状の軸受68cがねじ又は溶接などの固定手段によりアームレスト4Bの下面(平板プレート45の下面)に固定されて構成され、回転軸4Cの後側が軸受68cにより回転可能に支持されている。
【0023】
例えば図3に示すように、ハンドルグリップ主体60の下端側には、回転軸4Cの前端側との連結部62を備える。
連結部62は、一端閉塞他端開口の円筒状金属パイプ等により構成される。そして、ハンドルグリップ主体60の下端部が、連結部62の一端閉塞側の周面に形成された挿入孔62aに挿入された後に、ねじnや溶接などの固定手段により、ハンドルグリップ主体60と連結部62とが連結固定されている。
また、例えば、円筒状金属パイプ等の後端側を曲げて当該後端側を背中サポート7の支持部71として使用し、かつ、当該円筒状金属パイプ等の前側を回転軸4Cとして使用している。
従って、当該回転軸4Cの前側から、当該回転軸4Cを、後側回転支持部68Bの軸受68c、前側回転支持部68Aの軸受68aに通して、当該回転軸4Cの前端側を連結部62の他端開口62bから連結部62内に挿入した後に、ねじnや溶接などの固定手段により回転軸4Cの前端側と連結部62とが連結固定される。
このように、回転軸4Cが前側回転支持部68Aの軸受68aと後側回転支持部68Bの軸受68cとに回転可能に支持されて、当該回転軸4Cと、当該回転軸4Cの前側に設けられたハンドルグリップ6と、当該回転軸4Cの後側に設けられた背中サポート7とが連動して回転する回転連動体67が構成される。
【0024】
また、前側回転支持部68Aは、回転規制部69を備える。
当該回転規制部69は、軸受68aの後端縁に形成された回転規制溝69aと、回転軸4Cの前側の周面から突出するように設けられて回転規制溝69aに係合する係合突起69bとで構成される。
回転規制溝69aは、例えば図4に示すように、前側回転支持部68Aの軸受68aの後端縁における下部側を円周方向に沿って所定の角度範囲に亘って除去した切り欠き溝により構成される。
そして、当該切り欠き溝の周方向一端側の側壁が一方規制壁69xとして機能するとともに、当該切り欠き溝の周方向他端側の側壁が他方規制壁69yとして機能するように構成される。
即ち、回転軸4Cが一方向に所定の角度だけ回転して係合突起69bが一方規制壁69xに接触した場合に回転軸4Cの回転が止まるとともに、回転軸4Cが他方向に所定の角度だけ回転して係合突起69bが他方規制壁69yに接触した場合に回転軸4Cの回転が止まるように構成されている。
【0025】
例えば、図4(a)に示すように、右側回転連動体67Rの回転軸4Cが矢印aのように右回転して回転軸4Cの係合突起69bが一方規制壁69xに接触した場合には、右ハンドルグリップ6R及び右背中サポート7が開放位置67X(図5(a)参照)に設定される。
また、図4(b)に示すように、右側回転連動体67Rの回転軸4Cが矢印bのように左回転して回転軸4Cの係合突起69bが他方規制壁69yに接触した場合には、右ハンドルグリップ6R及び右背中サポート7が閉鎖位置67Y(図5(b)参照)に設定される。
尚、図4(a),(b)は、図2に示す右側回転連動体67RのA断面相当図である。
【0026】
つまり、図5(a)に示すように、人が、左側回転連動体67Lを左回転させるとともに、右側回転連動体67Rを右回転させることで、背中サポート7L,7R、及び、ハンドルグリップ6L,6Rは、互いに離れる方向に回転させた位置である開放位置67Xに設定される。
さらに、図5(b)に示すように、人が、左側回転連動体67Lを右回転させるとともに、右側回転連動体67Rを左回転させることで、背中サポート7L,7R、及び、ハンドルグリップ6L,6Rは、互いに近づく方向に回転させた位置である閉鎖位置67Yに設定される。
ここで、背中サポートの閉鎖位置67Yは、歩行器操縦位置H(図2参照)への後方入口を閉鎖する位置であるとともに、使用者の背中を支えることが可能な位置であるサポート位置に設定され、背中サポートの開放位置67Xは、歩行器操縦位置Hへの後方入口を開放する位置であるとともに、使用者の背中を支えることが不可能な位置である非サポート位置に設定されるように構成されている。
また、ハンドルグリップ6の閉鎖位置67Yは、使用者が歩行器1を操縦する際の操縦時位置に設定され、ハンドルグリップ6の開放位置67Xは、使用者が歩行器1を操縦する際の非操縦時位置に設定されるように構成されている。
【0027】
即ち、人が、回転連動体67の背中サポート7又はハンドルグリップ6を操作して回転軸4Cを回転させることにより、背中サポート7は、少なくとも、歩行器操縦位置Hへの後方入口を閉鎖する閉鎖位置67Yと、歩行器操縦位置Hへの後方入口を開放する開放位置67Xとに設定されるように構成されている。
換言すれば、人が、回転連動体67の背中サポート7又はハンドルグリップ6を操作して回転軸4Cを回転させることにより、背中サポート7は、少なくとも、使用者の背中を支えることが可能な位置であるサポート位置、又は、使用者の背中を支えることが不可能な位置である非サポート位置に設定されるように構成されている。
【0028】
尚、回転軸4Cと軸受(軸受68a,68cのうちの少なくとも一方)との間に摩擦抵抗部材を設けて、回転軸4Cの回転動作に抵抗を与えるとともに、ハンドルグリップ6及び背中サポート7が、開放位置67X、又は、閉鎖位置67Yに設定された場合に当該位置から回転しにくいように構成されることが好ましい。
あるいは、回転軸4C周りに設けられた偏心カムと、アームレスト4Bの下面に設けられて当該偏心カムの偏心周面に押圧される受圧面とを備え、ハンドルグリップ6及び背中サポート7が閉鎖位置67Yに設定された場合に、偏心カムの偏心周面と受圧面との摩擦によって、閉鎖位置67Yにて摩擦ロックが掛るように構成してもよい。
【0029】
以上説明したような構成の回転連動体67を備えたことにより、次のような効果が得られる。
回転連動体67のハンドルグリップ6又は背中サポート7を操作して回転連動体67を回転させることにより、歩行器操縦位置Hへの後方入口の開閉を実現できるようになる。
例えば、使用者が背中サポート7を操作して回転連動体67を回転させることにより、背中サポート7が開放位置67Xに設定されて、歩行器操縦位置Hへの後方入口が開放されるので、使用者が当該後方入口から歩行器1の歩行器操縦位置Hに移動できるようになる。
さらに、歩行器操縦位置Hに到達した使用者が歩行器操縦位置Hにおいてハンドルグリップ6を握って回転連動体67を回転させることにより、背中サポート7が閉鎖位置67Yに設定されるので、背中サポート7がサポート位置に設定されて、歩行器操縦位置Hへの後方入口が閉鎖される。この状態で、使用者は、閉鎖位置67Yである操縦時位置に設定されたハンドルグリップ6を握って歩行器1を操縦できるようになる。
そして、使用者が操縦時において体勢を崩して転倒しそうになった場合には、サポート位置に設定された背中サポート7によって、使用者の転倒抑制効果が発揮されるので、使用者の転倒防止効果が得られるようになる。
【0030】
制動装置5は、移動手段2Bの制動機構5Aと、制動機構5Aと背中サポート7とに連結された連結部材5Bとを備える。
そして、背中サポート7の位置変更操作により連結部材5Bを介して制動機構5Aが作動又は解除されるように構成されている。
即ち、背中サポート7が開放位置67X(非サポート位置)に設定された場合に制動機構5Aが作動して固定輪28,29にブレーキが掛かり、かつ、背中サポート7が閉鎖位置67Y(サポート位置)に設定された場合に制動機構5Aが解除されて固定輪28,29が転動可能となるように構成されている。
【0031】
例えば、回転連動体67の背中サポート7、ハンドルグリップ6、回転軸4Cのいずれかと固定輪28,29の制動機構5Aとが連結部材5Bにより連結され、回転軸4Cを回転中心として背中サポート7又はハンドルグリップ6が回転して、背中サポート7が開放位置67X(非サポート位置)に設定された場合には、制動機構5Aが固定輪28,29にブレーキを掛ける制動動作を行うとともに、背中サポート7が閉鎖位置67Y(サポート位置)に位置された場合には、制動機構5Aが固定輪28,29にブレーキを掛ける動作を解除するように構成されている。
つまり、回転連動体67の回転操作によって、固定輪28,29の制動機構5Aの作動及び解除を実現できるように構成されている。
【0032】
制動機構5Aは、例えば、固定輪(車輪)28の周面に接触して固定輪28の回転を停止させるストッパー50を備えた機構である。
連結部材5Bは、例えば、ブレーキワイヤー55である。
【0033】
制動機構5Aは、例えば図6に示すように、固定輪28を構成する固定キャスターのフォーク28Aに設けられた中心軸28Bを回転中心として回転可能に設けられたストッパー50と、ストッパー50に設けられたインナー連結部51と、固定輪28のフォーク28Aに取付けられたアウターチューブ連結板52と、インナー連結部51とアウターチューブ連結板52との間に介在するように設けられた復元手段としての圧縮コイルばね53とを備えた構成である。
【0034】
ブレーキワイヤー55のインナーワイヤー56の一端が背中サポート7の支持部71に設けられた連結部71a(図1参照)に連結されて、ブレーキワイヤー55のアウターチューブ57の一端がアームレスト4Bの後端側に設けられたステー47に連結される。
また、インナーワイヤー56の他端側が圧縮コイルばね53の中空部を通過してインナー連結部51にねじ51a等で連結されて、アウターチューブ57の他端がアウターチューブ連結板52に連結されたことにより、制動装置5が構成される。
【0035】
以上のように構成された制動装置5によれば、背中サポート7を図5(b)の閉鎖位置67Y(サポート位置)から図5(a)の開放位置67X(非サポート位置)になるように回転させた場合、インナーワイヤー56が牽引されて圧縮コイルばね53が縮むことにより、ストッパー50が、中心軸28Bを回転中心として回転して、固定輪28の周面28aに接触することで、固定輪28の回転を停止する制動動作状態になる。
また、背中サポートを図5(a)の開放位置67X(非サポート位置)から図5(b)の閉鎖位置67Y(サポート位置)になるように回転させた場合、圧縮コイルばね53が復元し、ストッパー50が固定輪28の周面28aから離れて元の位置に戻るため、固定輪28の回転を許容する制動解除状態になり、移動手段2Bの車輪が転がって移動できるようになる。
【0036】
このように、背中サポート7の位置変更操作により制動動作及び制動解除を行う制動装置5を備えたので、以下のような効果が得られる。
背中サポート7又はハンドルグリップ6の回転操作によって、制動装置5の作動及び解除を実現できる。
また、背中サポート7が開放位置67X(非サポート位置)に位置している場合には、制動装置5が作動するので、安全性を確保できる。
また、背中サポート7が閉鎖位置67Y(サポート位置)に位置している場合には、制動装置5が非作動状態となるので、歩行器1を移動できる。
【0037】
即ち、使用者が例えばベッド上などに端座した状態から歩行器1へ移動する場合には、端座状態で背中サポート7を操作して背中サポート7を開放位置67X(非サポート位置)に設定することにより、制動装置5による制動(ブレーキ)が作動するので、使用者は端座状態から歩行器操縦位置Hへと安全に移動できるようになる。
また、使用者が例えば端座状態で背中サポート7を操作して背中サポート7を閉鎖位置67Y(サポート位置)に設定することにより、制動装置5による制動(ブレーキ)が解除されるので、歩行器1の移動が可能となり、例えば、使用者は端座状態のまま歩行器1を所定の設置位置(例えばベッド横など)に移動させることができるようになる。
【0038】
また、ハンドルグリップ6の回転操作によって、背中サポート7の位置設定とブレーキの作動及び非作動とを同時に実現できるようになる。
例えば使用者が端座状態から歩行器1の歩行器操縦位置Hへ移動した後、ハンドルグリップ6を回転操作して閉鎖位置67Y(操縦時位置)に設定することで、背中サポート7も閉鎖位置67Y(サポート位置)に設定されて、制動装置5による制動が解除されるので、ハンドルグリップ6を操縦して歩行器1での移動が可能となる。
また、使用者が歩行器1から降りる(離脱する)場合には、ハンドルグリップ6を回転操作して開放位置67X(非操縦時位置)に設定することで、背中サポート7も開放位置67X(非サポート位置)に設定されて、制動装置5による制動が作動し、かつ、歩行器操縦位置Hへの後方入口が開放されるので、使用者は歩行器1から安全に降りる(離脱する)ことができるようになる。
【0039】
図1図2に示すように、脇サポート8としては、アームレスト4Bの左内側より立ち上がるように設けられた左脇サポート8Lと、アームレスト4Bの右内側より立ち上がるように設けられた右脇サポート8Rとを備える。
脇サポート8は、脇サポート部材80と、脇サポート部材80を支持する支持部材81と、支持部材81を回転可能に支持する回転支持部82(図7(a)参照)とを備え、脇サポート部材80が支持部材81の上端側に設けられて構成される。
脇サポート部材80は、例えば、歩行器1の前後方向に延長する円筒パイプ等の芯材と、当該芯材の円周面を覆うように設けられた緩衝カバーとを備える。
また、図1に示すように、支持部材81は、脇サポート部材80の前端を支持する前側支持部材81Fと、脇サポート部材80の後端を支持する後側支持部材81Rと、前側支持部材81Fと後側支持部材81Rとに亘って設けられて前端が前側支持部材81Fに連結されて後端が後側支持部材81Rに連結された補強部材81Sとを備えて構成される。
また、回転支持部82は、前側回転支持部82Fと、後側回転支持部82Rとを備える。
そして、前側支持部材81Fの下端側が前側回転支持部82Fを介して回転可能に取り付けられ、かつ、後側支持部材81Rの下端側が後側回転支持部82Rを介して回転可能に取付けられている。
つまり、脇サポート8は、図7(a)に示すように、歩行器1の前後方向に延長する回転支持部82の中心線(後述する回転中心軸84の中心線)を回転中心として左右方向に回転可能に構成されている。
【0040】
前側支持部材81F及び後側支持部材81Rは、例えば図7(b),図8に示すように、上下方向に延長する上下板部81aと上下板部81aの下端より横方向に延長する横板部81bとを有したL字状板により構成される。
即ち、図8(a)に示すように、脇サポート部材80の中心線80aの位置と脇サポート8の回転中心線8aの位置とが左右方向に寸法aだけずれている。
つまり、左脇サポート8Lの回転中心線8aと右脇サポート8Rの回転中心線8aとの間の水平方向離間距離をb、左脇サポート8Lのサポート部材80の中心線80aと右脇サポート8Rのサポート部材80の中心線80aとの間の水平方向離間距離をcと定義した場合、b>cに設定されている。
【0041】
前側支持部材81F及び後側支持部材81RをL字状板により構成したので、以下のような効果が得られる。
(1)L字状板の横板部81bをアームレスト4Bの下面45aよりも下方に位置させることができるようになって、回転支持部82をアームレスト4Bの下面45aに設けることができるようになったので、上下板部81aの長さを長く設定できるようになり、図8(b)に示すように、脇サポート8の回転半径(脇サポート8の回転中心線8aの位置と脇サポート部材80の中心線80aの位置との間の直線距離)rを大きくできる。
従って、脇サポート部材80が回転した場合の脇サポート部材80の移動距離L1を大きくできるため、使用者が体勢を崩した場合に使用者の脇下胴部を挟み込みやすい構成の脇サポート8を実現できるようになり、使用者の転倒防止効果に優れた歩行器1となる。
(2)脇サポート部材80の中心線80aの位置と脇サポート8の回転中心線8aの位置とが同一垂直線上に位置しないため、脇サポート8が回転しやすくなる。
つまり、左脇サポート8Lと右脇サポート8Rとの間で歩行器1を操縦する使用者から見て、左右の脇サポート8L,8Rの回転中心線8a,8aの位置が、左右の脇サポート部材80,80の中心線80a,80aの位置よりも外側に位置されるので、使用者が体勢を崩して左右の脇サポート部材80,80に使用者の脇が接触することにより、使用者の荷重が上方から左右の脇サポート部材80,80に加わった場合に、左右の脇サポート8L,8Rが互いに近づく方向(即ち、歩行器1の内側(使用者側))に回転しやすくなる。
従って、使用者が体勢を崩した場合に脇サポート8の回転が滞ることなく使用者の脇下胴部を挟み込みやすい構成の脇サポート8を実現できるようになり、使用者の転倒防止効果に優れた歩行器1となる。
【0042】
回転支持部82は、例えば図7図8に示すように、アームレスト4Bの平板プレート45の下面45aに固定手段を介して取付けられた支持部材取付部83と、例えば図7(b)に示すように、2段径軸部材により構成された回転中心軸84と、復帰手段としてのトーションコイルばね85と、規制手段86とを備える。
即ち、アームレスト4Bの下面45aに、支持部材81の下端側を前後方向に延長する中心線(回転中心軸84の中心線)を回転中心として回転可能に支持する回転支持部82を備えている。
【0043】
規制手段86は、例えば、上下板部81aの下端側に形成された上下方向に長い長孔86aと、支持部材取付部83より突出するように設けられて当該長孔86a内に挿入された係合軸86bとを備えて構成される。
回転中心軸84は、小径軸部84aが、支持部材81の横板部81bの先端側に形成された貫通孔84c、及び、トーションコイルばね85のコイル孔に通される。そして、ねじ84が、支持部材取付部83に形成された貫通孔84dを通過して小径軸部84aの先端面側に形成されたねじ孔84fに締結されることにより、支持部材81(前側支持部材81F、又は、後側支持部材81R)を回転可能に支持する回転中心軸84が、支持部材取付部83に固定される。つまり、支持部材81の横板部81bとトーションコイルばね85とが支持部材取付部83と回転中心軸84の大径軸部84bとで挟み込まれた状態に構成される。
また、トーションコイルばね85の一端85aが図外の固定手段により支持部材取付部83に固定され、かつ、トーションコイルばね85の他端85bが図外の固定手段によりに横板部81bに固定され、さらに、係合軸86bが長孔86a内に挿入されて規制手段86が構成される。
以上のように、脇サポート8の支持部材81を回転可能に支持する回転中心軸84と、左右の脇サポート部材80,80が互いに近づく方向への左右の脇サポート8L,8Rの所定量以上の回転を規制する規制手段86と、脇サポート部材80への荷重が除去された場合に、脇サポート8を初期状態に復帰させるトーションコイルばね85等の復帰手段とを備えた回転支持部82が構成される。
【0044】
尚、通常使用時(初期状態)においては、図8(a)に示すように、使用者の脇が左右の脇サポート部材80,80に接触していない状態で使用される。
そして、例えば、使用者が体勢を崩して、使用者の脇が脇サポート部材80に接触して使用者からの荷重が脇サポート部材80に加わった場合に、図8(b)に示すように、左右の脇サポート部材80,80が互いに近づく方向へ回転して使用者の脇下胴部を左右から挟むように動作する。左右の脇サポート8L,8Rの所定の角度以上の回転は規制手段86により規制される。
そして、脇サポート部材80への使用者からの荷重が除かれた場合には、トーションコイルばね(復帰手段)85のばね力によって、図8(a)に示す初期状態に戻るように構成されている。
【0045】
尚、左右の脇サポート8L,8Rの回転が規制手段86により規制された状態での左右の脇サポート部材80,80間の距離dは、例えば、平均的な体格の使用者を想定して当該使用者の脇下胴部を挟み込むことができる程度の寸法に設定される。
【0046】
以上説明したような左右の脇サポート8L,8Rを備えた構成としたので、使用者の体勢が崩れて使用者の脇下が左右の脇サポート部材80,80に接触して使用者からの荷重が左右の脇サポート8L,8Rに加わった場合に、左右の脇サポート8L,8Rが使用者の脇下胴部を左右から挟むように動作するので、使用者の下方への落下を抑制できるようなり、使用者の転倒防止効果が得られるようになる。
【0047】
即ち、実施形態に係る歩行器1の上部構成体4は、上部ベース4Aと、アームレスト4Bと、回転連動体67(左側回転連動体67L及び右側回転連動体67R)と、回転軸支持部68(左側回転支持部68L及び右側回転支持部68R)と、脇サポート8(左脇サポート8L及び右脇サポート8R)とを備える。
【0048】
実施形態に係る歩行器1によれば、回転連動体67を備え、回転連動体67の背中サポート7又はハンドルグリップ6を操作して回転軸4Cを回転させることにより、背中サポート7は、少なくとも、歩行器操縦位置Hへの後方入口を閉鎖する閉鎖位置67Yと、歩行器操縦位置Hへの後方入口を開放する開放位置67Xとに設定されるように構成されたので、人が、背中サポート7又はハンドルグリップ6を回転させる操作によって、背中サポート7の開閉を実現できるようになり、歩行器1の後側から歩行器操縦位置Hに移動できるように構成された、使い勝手の良い歩行器1を提供できるようになった。
また、歩行器操縦位置Hへの後方入口に配置された左右開閉式の背中サポート7,7を備えた構成としたので、人が、背中サポート7,7又はハンドルグリップ6,6を左右に回転させる操作によって、背中サポート7,7の開閉を実現できるようになり、さらに使い勝手の良い歩行器1を提供できる。
また、背中サポート7の閉鎖位置67Yは、使用者の背中を支えることが可能な位置であるサポート位置に設定し、背中サポート7の開放位置67Xは、使用者の背中を支えることが不可能な位置である非サポート位置に設定したので、歩行器操縦位置Hへの後方入口の開閉とともに、背中サポート7をサポート状態及び非サポート状態に設定する動作が行われるため、より使い勝手の良い歩行器1を提供できる。
【0049】
尚、上記では、回転連動体67として、左側回転連動体67Lと右側回転連動体67Rとを備えた構成のものを例示したが、左側回転連動体67L又は右側回転連動体67Rのいずれか一方のみを備えた構成であっても構わない。
当該構成であっても、人が、背中サポート7又はハンドルグリップ6を回転させる操作によって、背中サポート7の開閉を実現できるようになり、歩行器1の後側から歩行器操縦位置Hに移動できるように構成された、使い勝手の良い歩行器1を提供できる。
【0050】
また、上記では、回転連動体67として、歩行器1の前後方向に延長する回転軸4Cと、回転軸4Cの前端側に設けられたハンドルグリップ6と、回転軸4Cの後端側に設けられた背中サポート7とを備え、回転軸4Cの中心線を回転中心として当該回転軸4Cとハンドルグリップ6と背中サポート7とが連動して回転するように構成されたものを例示したが、回転連動体は、ハンドルグリップ6を備えない構成であってもよい。
即ち、回転連動体は、歩行器1の前後方向に延長する回転軸4Cと、回転軸4Cの後端側に設けられた背中サポート7とを備え、回転軸4Cの中心線を回転中心として当該回転軸4Cと背中サポート7とが連動して回転するように構成されたものであってもよい。
尚、この場合、ハンドルグリップは、例えば、上部ベース4Aやアームレスト4Bに固定状態に設けるようにすればよい。
当該構成であっても、人が、背中サポート7を回転させる操作によって、背中サポート7の開閉を実現できるようになり、歩行器1の後側から歩行器操縦位置Hに移動できるように構成された、使い勝手の良い歩行器1を提供できる。
【符号の説明】
【0051】
1 歩行器、2 下部構成体、2A 下部ベース、2B 移動手段、3 支持体、
4 上部構成体、4C 回転軸、6 ハンドルグリップ、7 背中サポート、
67 回転連動体、67X 開放位置、67Y 閉鎖位置、H 歩行器操縦位置。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8