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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024046833
(43)【公開日】2024-04-05
(54)【発明の名称】歩行器
(51)【国際特許分類】
   A61H 3/04 20060101AFI20240329BHJP
【FI】
A61H3/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022152149
(22)【出願日】2022-09-26
(71)【出願人】
【識別番号】301021533
【氏名又は名称】国立研究開発法人産業技術総合研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000001317
【氏名又は名称】株式会社熊谷組
(74)【代理人】
【識別番号】100141243
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 靖夫
(72)【発明者】
【氏名】藤原 清司
(72)【発明者】
【氏名】比留川 博久
(72)【発明者】
【氏名】久保 隆司
(72)【発明者】
【氏名】小林 英一
【テーマコード(参考)】
4C046
【Fターム(参考)】
4C046AA24
4C046BB07
4C046CC01
4C046DD33
4C046DD34
4C046DD47
(57)【要約】
【課題】機能性、意匠性を向上でき、かつ、軽量化も可能な上部構成体を備えた歩行器を提供する。
【解決手段】本発明に係る歩行器1は、下部構成体2と、支持体3と、上部構成体4とを備え、上部構成体4は、上部ベース4Aと、アームレスト部分5Aと脇サポート部分5Bとを有した複合機能体5と、回転連動体6とを備え、回転連動体6は、歩行器1の前後方向に延長する回転軸60と、回転軸60の後端側に設けられた背中サポート7とを備え、アームレスト部分5Aに、第1の軸受孔50と第2の軸受孔51とを備え、脇サポート部分5Bの回転中心軸となる上部ベース4Aの後端側が複合機能体5の第1の軸受孔50に挿入されて当該複合機能体5が当該回転中心軸を回転中心として回転可能に取付けられ、かつ、回転連動体6の回転軸60が複合機能体5の第2の軸受孔51に回転可能に取付けられたことを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下部構成体と、下部構成体より上方に延長するように設けられた支持体と、支持体の上部側に設けられた上部構成体とを備え、
下部構成体は、下部ベースと、下部ベースに設けられた移動手段とを備え、
上部構成体は、上部ベースと、アームレスト部分と脇サポート部分とを有した複合機能体と、回転連動体とを備え、
回転連動体は、歩行器の前後方向に延長する回転軸と、回転軸の後端側に設けられた背中サポートとを備え、
複合機能体は、アームレスト部分に、脇サポート部分の回転中心軸となる上部ベースの後端側が挿入される第1の軸受孔と、回転連動体の回転軸が回転可能に挿入される第2の軸受孔とを備え、
回転中心軸が複合機能体の第1の軸受孔に挿入されて当該複合機能体が当該回転中心軸を回転中心として回転可能に取付けられ、かつ、回転連動体の回転軸が複合機能体の第2の軸受孔に回転可能に取付けられて背中サポートと回転軸とが連動して回転するように構成されたことを特徴とする歩行器。
【請求項2】
上部ベースは、支持体の上部側から左右方向に延長する上前部と、上前部の左端側から後方に延長するように設けられて左側の回転中心軸として機能する上左部と、上前部の右端側から後方に延長するように設けられて右側の回転中心軸として機能する上右部とを備え、
複合機能体として、左右前後方向に延長するアームレスト部分と当該アームレスト部分の右端側から上方に延長するように設けられた脇サポート部分とを有した左側の複合機能体と、左右前後方向に延長するアームレスト部分と当該アームレスト部分の左端側から上方に延長するように設けられた脇サポート部分とを有した右側の複合機能体とを備え、
回転連動体として、左側の回転連動体と、右側の回転連動体とを備え、
左側の回転中心軸が左側の複合機能体の第1の軸受孔に挿入されて当該左側の複合機能体が当該左側の回転中心軸を回転中心として回転可能に取付けられ、かつ、左側の回転連動体の回転軸が左側の複合機能体の第2の軸受孔に回転可能に取付けられて背中サポートと回転軸とが連動して回転するように構成され、
右側の回転中心軸が右側の複合機能体の第1の軸受孔に挿入されて当該右側の複合機能体が当該右側の回転中心軸を回転中心として回転可能に取付けられ、かつ、右側の回転連動体の回転軸が右側の複合機能体の第2の軸受孔に回転可能に取付けられて背中サポートと回転軸とが連動して回転するように構成されたことを特徴とする請求項1に記載の歩行器。
【請求項3】
回転連動体は、回転軸の前端側にハンドグリップを備え、ハンドルグリップと背中サポートと回転軸とが連動して回転するように構成されたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の歩行器。
【請求項4】
第1の軸受孔は、アームレスト部分における脇サポート部分側において前後方向に延長するように設けられ、
第2の軸受孔は、アームレスト部分における脇サポート部分側とは反対側において前後方向に延長するように設けられたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の歩行器。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上部構成体として、アームレスト部分と脇サポート部分とを有した複合機能体を備えた歩行器に関する。
【背景技術】
【0002】
下部構成体と、下部構成体より上方に延長するように設けられた支持体と、支持体の上部側に設けられた上部構成体とを備え、下部構成体が車輪等の移動手段を備え、上部構成体が、肘支持部材(アームレスト)、脇支持手段(脇サポート)、背部当接手段(背中サポート)等の構成部品を備えた歩行介助装置(歩行器)が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10-216183号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した歩行器では、上部構成体を構成するアームレスト、脇サポート、背中サポートが、それぞれ、別々に、関連性が無いように設けられているため、上部構成体の機能性、意匠性、軽量化等の面での課題があった。
本発明は、上述した課題に鑑みて、アームレスト、脇サポート、背中サポートを関連付けて構成することにより、機能性、意匠性を向上でき、かつ、軽量化も可能な上部構成体を備えた歩行器を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る歩行器は、下部構成体と、下部構成体より上方に延長するように設けられた支持体と、支持体の上部側に設けられた上部構成体とを備え、下部構成体は、下部ベースと、下部ベースに設けられた移動手段とを備え、上部構成体は、上部ベースと、アームレスト部分と脇サポート部分とを有した複合機能体と、回転連動体とを備え、回転連動体は、歩行器の前後方向に延長する回転軸と、回転軸の後端側に設けられた背中サポートとを備え、複合機能体は、アームレスト部分に、脇サポート部分の回転中心軸となる上部ベースの後端側が挿入される第1の軸受孔と、回転連動体の回転軸が回転可能に挿入される第2の軸受孔とを備え、回転中心軸が複合機能体の第1の軸受孔に挿入されて当該複合機能体が当該回転中心軸を回転中心として回転可能に取付けられ、かつ、回転連動体の回転軸が複合機能体の第2の軸受孔に回転可能に取付けられて背中サポートと回転軸とが連動して回転するように構成されたことを特徴とする。
本発明によれば、背中サポートを有した回転連動体と、アームレスト部分と脇サポート部分とを有した複合機能体とを、関連付けて構成したので、機能性、意匠性を向上でき、かつ、軽量化も可能な上部構成体を備えた歩行器を提供できる。
また、上部ベースは、支持体の上部側から左右方向に延長する上前部と、上前部の左端側から後方に延長するように設けられて左側の回転中心軸として機能する上左部と、上前部の右端側から後方に延長するように設けられて右側の回転中心軸として機能する上右部とを備え、複合機能体として、左右前後方向に延長するアームレスト部分と当該アームレスト部分の右端側から上方に延長するように設けられた脇サポート部分とを有した左側の複合機能体と、左右前後方向に延長するアームレスト部分と当該アームレスト部分の左端側から上方に延長するように設けられた脇サポート部分とを有した右側の複合機能体とを備え、回転連動体として、左側の回転連動体と、右側の回転連動体とを備え、左側の回転中心軸が左側の複合機能体の第1の軸受孔に挿入されて当該左側の複合機能体が当該左側の回転中心軸を回転中心として回転可能に取付けられ、かつ、左側の回転連動体の回転軸が左側の複合機能体の第2の軸受孔に回転可能に取付けられて背中サポートと回転軸とが連動して回転するように構成され、右側の回転中心軸が右側の複合機能体の第1の軸受孔に挿入されて当該右側の複合機能体が当該右側の回転中心軸を回転中心として回転可能に取付けられ、かつ、右側の回転連動体の回転軸が右側の複合機能体の第2の軸受孔に回転可能に取付けられて背中サポートと回転軸とが連動して回転するように構成されたことを特徴とするので、上部構成体の左右の各構成部品が、それぞれ関連付けられて構成されているため、機能性、意匠性を向上でき、かつ、軽量化も可能な上部構成体を備えた歩行器を提供できる。
また、回転連動体は、回転軸の前端側にハンドグリップを備え、ハンドルグリップと背中サポートと回転軸とが連動して回転するように構成されたことを特徴とするので、機能性に優れた歩行器を提供できる。
また、第1の軸受孔は、アームレスト部分における脇サポート部分側において前後方向に延長するように設けられ、第2の軸受孔は、アームレスト部分における脇サポート部分側とは反対側において前後方向に延長するように設けられたことを特徴とするので、複合機能体の回動動作、及び、回転連動体の回動動作を、効率的に行なえる歩行器を実現できるようになった。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】歩行器を後側から見た斜視図。
図2】歩行器を前側から見た斜視図。
図3】歩行器のフレーム(骨格)を示す斜視図。
図4】歩行器の平面図。
図5】複合機能体を示す分解斜視図。
図6】左右の複合機能体間の間隔調節を説明する斜視図。
図7】左右の背中サポートの開放位置及び閉鎖位置を説明する正面図。
図8】左右の背中サポートの開放位置及び閉鎖位置を説明する斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
図1に示すように、実施形態に係る歩行器1は、下部構成体2と、下部構成体2より上方に延長するように設けられた支持体3と、支持体3の上部側に設けられた上部構成体4とを備えて構成される。
尚、本明細書においては、上、下、左、右、前、後は、図1図2に示した方向と定義して説明する。
【0008】
下部構成体2は、下部ベース2Aと、移動手段2Bと、膝サポート2Cと、脛サポート2Dとを備える。
【0009】
下部ベース2Aは、例えば、凹状に構成され、凹の上部開放側部分が歩行器1の後方に位置され、凹の下部閉塞部分が歩行器1の前側部分に位置されるように構成される。
下部ベース2Aは、例えば、凹状に形成された金属製のパイプ等で構成された下部ベースフレーム2F(図3参照)と、下部ベースフレーム2Fの外周面を覆うように設けられた被覆材としてのカバー用スポンジチューブ2T等とにより構成されるか、あるいは、下部ベースフレーム2Fそのもので構成されていてもよい。
尚、下部ベースフレーム2Fは、例えば、複数のパイプを繋ぎ合わせて形成されるか、あるいは、パイプを折曲げて形成される。
換言すれば、下部ベース2Aは、支持体3の下部側より左右方向に延長する下前部21と、下前部21の左端側から後方に延長するように設けられた下左部22と、下前部21の右端側から後方に延長するように設けられた下右部23とを備える。
そして、下前部21の下部ベースフレーム2Fが支持体3の下部側に形成された軸受孔3C(図3参照)を左右に貫通して左右方向に延長するように設けられていることで、支持体3が当該下前部21の下部ベースフレーム2Fを中心軸として後方に回転可能に構成されている。
【0010】
移動手段2Bは、例えば、下部ベース2Aの下部ベースフレーム2Fの左前側に設けられた左前側自在輪24と、下部ベースフレーム2Fの右前側に設けられた右前側自在輪25と、下部ベースフレーム2Fの左後側に設けられた左後側自在輪26と、下部ベースフレーム2Fの右後側に設けられた右後側自在輪27と、下部ベースフレーム2Fの左前側と左後側との間の左中央側に設けられた左中央側固定輪28と、下部ベースフレーム2Fの右前側と右後側との間の右中央側に設けられた右中央側固定輪29とを備えた構成とした。
尚、自在輪とは、床面等の移動対象面上において車輪の回転中心線と直交する垂直軸を回転中心として車輪が旋回可能に構成されたものであり、例えば、自在キャスターと呼ばれるものである。
また、固定輪とは、移動対象面上において車輪の回転中心線と直交する垂直軸を回転中心として車輪が旋回できないように構成されたものであり、例えば、固定キャスターと呼ばれるものである。
尚、各輪24,25,26,27,28,29は、具体的には図3に示すように、下部ベースフレーム2Fの下面に設けられた取付部材2BFを介して下部ベースフレーム2Fに取付けられている。
【0011】
移動手段2Bを構成する各車輪の径の大きさの関係は、例えば、左前側自在輪24=右前側自在輪25<左中央側固定輪28=右中央側固定輪29<左後側自在輪26=右後側自在輪27のように設定されている。
これにより、下部ベース2Aの下左部22及び下右部23は、前方から後方に向けて下方に傾斜して延長するように構成される。
【0012】
膝サポート2Cは、例えば、左膝サポート2CLと右膝サポート2CRとで構成され、左膝サポート2CL及び右膝サポート2CRは、それぞれ、支持体3の下部に支持支柱35を介して連結された膝サポート部材取付部30(図3参照)と、当該膝サポート部材取付部30に取付けられた膝サポート部材31とを備えて構成される。
膝サポート部材31は、例えば円柱状のスポンジ部材等の緩衝材により構成される。
そして、支持支柱35の上端から左右方向に延長するように設けられた左右の膝サポート部材取付部30,30にそれぞれ膝サポート部材31が装着されて、左膝サポート2CLと右膝サポート2CRとが構成される。
当該膝サポート2Cは、歩行器1を使用中の使用者の膝折れ時において使用者の膝および下腿を保護するとともに、使用者の下部ベース2Aや支持体3への衝突防止効果、及び、使用者の転倒防止効果に付与するものである。
【0013】
脛サポート2Dは、例えば、左脛サポート2DLと右脛サポート2DRとで構成され、左脛サポート2DL及び右脛サポート2DRは、それぞれ、下部ベース2Aの下部ベースフレーム2Fに連結された脛サポート部材取付部32と、当該脛サポート部材取付部32に着脱自在に取付けられた脛サポート部材33とを備えて構成される。
脛サポート部材取付部32は、図3に示すように、下前部21の下部ベースフレーム2Fよりも後方に位置されて下前部21の下部ベースフレーム2Fと平行で左右上下方向に延長する板面を有した垂直板により形成される。
左の脛サポート部材取付部32は、一端が下左部21の下部ベースフレーム2Fに溶接等で連結され、他端が支持片36を介して下前部21の下部ベースフレーム2F(下側内柱3Aの左側面の近傍位置)に連結されて構成される。
また、右の脛サポート部材取付部32は、一端が下右部21の下部ベースフレーム2Fに溶接等で連結され、他端が支持片36を介して下前部21の下部ベースフレーム2F(下側内柱3Aの右側面の近傍位置)に連結されて構成される。
脛サポート部材33は、例えば円柱状のスポンジ等の緩衝材により構成される。当該脛サポート部材33には、例えば円柱状のスポンジ部材の周面から円柱の中心方向に延長してかつ円柱の両方の端面に到達する着脱用スリット37が形成されている(図1図2参照)。
そして、左右の脛サポート部材取付部32,32にそれぞれ脛サポート部材33が着脱自在に装着されて、左脛サポート2DLと右脛サポート2DRとが構成される。
つまり、脛サポート部材取付部32が、脛サポート部材33の着脱用スリット37に挿入されるように、脛サポート部材33を脛サポート部材取付部32に取付ける。
当該脛サポート2Dは、歩行器1を使用中の使用者が体勢を崩した場合などに使用者の脛が下部ベース2Aや支持体3への衝突するような事態を防止するために設けられたものである。
【0014】
支持体3は、下前部21の下部ベースフレーム2Fを回転中心軸として、後方に倒伏可能なように、当該下部ベースフレーム2Fに軸受孔3Cを介して回転可能に支持されている。
尚、歩行器1は、図1図2に示すような、歩行器1を使用する際の形態(使用時形態)と、歩行器1を折り畳んだ形態(折り畳み形態)(図示せず)とに、形態変更可能に構成されている。
そして、支持体3は、歩行器1の使用時形態においては、例えば、下前部21の下部ベースフレーム2Fから、若干後方に傾斜して上方に立ち上がった状態に維持されるように、図外のロック機構によりロックされる。
また、支持体3は、図外のロック機構によるロックが解除された場合に、後方に倒伏して折り畳み形態となるように構成されている。この場合、折り畳み形態に設定された支持体3を折り畳み形態の状態に維持するロック機構を備えていても良いし、当該ロック機構を備えていなくてもよい。
また、当該支持体3は、高さを変更可能なように構成されている。例えば、当該支持体3は、下側内柱3Aと上側外柱3Bとを備えて構成され、上側外柱3Bが上下方向に移動可能で、かつ、図外のロック機構により所定の高さ位置でロックされるように構成されている。
例えば、支持体3は、内部に、上側外柱3Bの昇降機構として機能するガススプリングが設置された構成となっている。
当該ガススプリングとしては、ロック機構付きのガススプリングが用いられ、支持体3は、上側外柱3Bの上部側に設けられたレバースイッチ3S(図2参照)を操作することでガススプリングのロック機構が解除されて上側外柱3Bが昇降可能なように構成されている。
【0015】
上部構成体4は、上部ベース4Aと、胸部サポート4Bと、複合機能体5と、回転連動体6とを備える。
【0016】
上部ベース4Aは、例えば、下部ベース2Aと同様に、凹状に構成され、凹の上部開放側部分が歩行器1の後方に位置され、凹の下部閉塞部分が歩行器1の前側部分に位置されるように構成される。
上部ベース4Aは、例えば、凹状に形成された金属製のパイプ等で構成された上部ベースフレーム4F(図3参照)と、上部ベースフレーム4Fの外周面を覆うように設けられた被覆材としてのカバー用スポンジチューブ4T等とにより構成されるか、あるいは、下部ベースフレーム4Fそのもので構成されていてもよい。
尚、上部ベースフレーム4Fは、例えば、複数のパイプを繋ぎ合わせて形成されるか、あるいは、パイプを折曲げて形成される。
換言すれば、上部ベース4Aは、支持体3の上部側より左右方向に延長する上前部41と、上前部41の左端側から後方に延長するように設けられた上左部42と、上前部41の右端側から後方に延長するように設けられた上右部43とを備える。
そして、上前部41の上部ベースフレーム4Fが支持体3の上部側に形成された軸受孔3D(図3参照)を左右に貫通して左右方向に延長するように設けられていることで、上部ベース4Aが支持体3の上部側に形成された軸受孔3Dに回転可能に支持された構成となっている。
尚、上部構成体4は、支持体3の上端部に形成された軸受孔3Dに回転可能に支持された上部ベース4Aの上前部41の上部ベースフレーム4Fを回転軸として回転して、支持体3の左右の側方位置まで移動可能に構成されている。
例えば、図外のロック機構により使用時形態において水平状態又はほぼ水平状態の位置に固定される上部ベース4Aは、当該ロック機構を解除することによって、上前部41の上部ベースフレーム4Fを回転軸(回転中心)として回転して、上左部42及び上右部43が、支持体3の側方位置まで移動可能なように構成されている。
【0017】
胸部サポート4Bは、例えば、左胸部サポート4BLと右胸部サポート4BRとで構成され、左胸部サポート4BL及び右胸部サポート4BRは、それぞれ、胸部サポート部材取付部として機能する上前部41の上部ベースフレーム4Fと、当該上前部41の上部ベースフレーム4Fに取付けられた胸部サポート部材40とを備えて構成される。
胸部サポート部材40は、例えば円柱状のスポンジ部材等の緩衝材により構成される。
そして、上側外柱3Bの上端側から左右方向に延長するように設けられた左右の上部ベースフレーム4Fにそれぞれ胸部サポート部材40が装着されて、左胸部サポート4BLと右胸部サポート4BRとが構成される。
当該胸部サポート4Bは、歩行器1を使用中の使用者が体勢を崩した場合などに使用者の胸が上部ベース4Aの上前部41に衝突するような事態を防止するために設けられたものである。
【0018】
複合機能体5は、アームレスト部分5Aと脇サポート部分5Bとを備えて、アームレスト及び脇サポートとして機能するように構成されたものである。
【0019】
アームレスト部分5Aは、例えば、左右前後方向に延長する板状部分により構成され、当該アームレスト部分5Aには、脇サポート部分5Bの回転中心軸となる上左部42の上部ベースフレーム4Fの後端側や上右部43の上部ベースフレーム4Fの後端側が挿入される第1の軸受孔50と、回転連動体6の回転軸60が回転可能に挿入される第2の軸受孔51とを備える。
【0020】
脇サポート部分5Bは、例えば、アームレスト部分5Aの右端縁又は左端縁から上方に立ち上がるように延長する板状部分と、当該板状部材の上端部に設けられた脇サポート部材設置部52(図3参照)に設置された脇サポート部材53(図5参照)とを備えて構成される。
脇サポート部材53は、例えば前後方向に延長する断面楕円形状のようなスポンジ部材等の緩衝材により構成される。
【0021】
尚、複合機能体5としては、左側の複合機能体5Lと右側の複合機能体5Rとを備える。
左側の複合機能体5Lは、左右前後方向に延長するアームレスト部分5Aと当該アームレスト部分5Aの右端側から上方に延長するように設けられた脇サポート部分5Bとを有した構成である。
右側の複合機能体5Rは、左右前後方向に延長するアームレスト部分5Aと当該アームレスト部分5Aの左端側から上方に延長するように設けられた脇サポート部分5Bとを有した構成である。
【0022】
左側の複合機能体5L及び右側の複合機能体5Rは、例えば、アルミニウム等の金属、又は、樹脂等により形成された、軽量でかつ剛性の高いアームレスト部分5Aの板状部分と脇サポート部分5Bの板状部分とを有した主要構成部5Fを備えた構成である。軽量でかつ剛性の高いアームレスト部分5Aの板状部分と脇サポート部分5Bの板状部分とを有した主要構成部5Fは、例えば、中空部を備えた一体成形品、又は、中空部が形成された組立体等により構成される。
そして、左側の複合機能体5L又は右側の複合機能体5Rは、例えば図5に示すように、主要構成部5Fの上端部に設けられた脇サポート部材設置部52に脇サポート部材53が設置された後、これら主要構成部5F及び脇サポート部材53の前端面及び後端面を除いた周面がカバー用スポンジ5t等の緩衝材で覆われた構成となっている。
さらに、これら主要構成部5F及び脇サポート部材53の前端面が前端面カバーとしてのカバー用スポンジ5f等の緩衝材で覆われ、かつ、これら主要構成部5F及び脇サポート部材53の後端面が後端面カバーとしてのカバー用スポンジ5r等の緩衝材で覆われて構成される。
尚、カバー用スポンジ5fには、第1の軸受孔50に連通する連通孔5i及び第2の軸受孔51に連通する連通孔5hが形成されており、カバー用スポンジ5rには、第2の軸受孔51に連通する連通孔5hが形成されている。
以上のように構成された複合機能体5は、軽量でかつ剛性の高い主要構成部5Fを備えた構成としたので、歩行器1の軽量化に貢献できる。
また、使用者の脇下が接触する部分は、緩衝材(カバー用スポンジ5t及び脇サポート部材53)により構成されているので、使用者が転倒しそうになった際に、使用者の脇下への衝撃を緩和できるようになる。
また、主要構成部5Fの周囲が緩衝材(カバー用スポンジ5t,5f,5r)で覆われているため、使用者が歩行する際の、前腕及び上腕における肌触り、胴部への感触に優れ、かつ、意匠性の高い複合機能体5を得ることができる。
【0023】
上左部42の上部ベースフレーム4Fの後端側が左側の複合機能体5Lの第1の軸受孔50に挿入されて、左側の複合機能体5Lが、当該第1の軸受孔50に挿入された上左部42の上部ベースフレーム4Fの後端側を回転中心軸として回転可能に構成される。
同様にして、上右部43の上部ベースフレーム4Fの後端側が右側の複合機能体5Rの第1の軸受孔50に挿入されて、右側の複合機能体5Rが、当該第1の軸受孔50に挿入された上右部43の上部ベースフレーム4Fの後端側を回転中心軸として回転可能に構成される。
つまり、左側の複合機能体5Lが、第1の軸受孔50を介して上左部42の上部ベースフレーム4Fの後端側に回転可能に支持され、同様に、右側の複合機能体5Rが、第1の軸受孔50を介して上右部43の上部ベースフレーム4Fの後端側に回転可能に支持された構成となっている。
【0024】
回転連動体6は、歩行器1の前後方向に延長する回転軸60と、回転軸60の後端側に設けられた背中サポート7と、回転軸60の前端側に設けられたハンドルグリップ8とを有し、回転軸60が複合機能体5の第2の軸受孔51に回転可能に取付けられたことによって、背中サポート7とハンドルグリップ8と回転軸60とが連動して回転するように構成される。
【0025】
尚、回転連動体6は、回転軸60と回転軸60の後端側に設けられる背中サポート7の支持部70と回転軸60の前端側に設けられるハンドルグリップ8とを形成する金属製のパイプ等により構成されたベースフレーム6Fと、ベースフレーム6Fの後端側に設けられた背中サポート部材71とを備えて構成される。
尚、ベースフレーム6Fは、例えば、複数のパイプを繋ぎ合わせて形成されるか、あるいは、パイプを折曲げて形成される。
また、ベースフレーム6Fの露出部分は、カバー用スポンジチューブ6T等の緩衝材により覆われた構成としてもよいし、露出状態のままであってもよい。
回転軸60は、少なくとも、第2の軸受孔51に挿入される部分が、金属製のパイプ等で構成される。
また、背中サポート7は、例えば、使用者の背中に対向可能に設けられた背中サポート部材71と、背中サポート部材71を支持する支持部70とを備えて構成される。
背中サポート部材71は、支持部71の後端側に取付けられた円柱状のスポンジ部材等の緩衝材により構成され、回転軸60の後端より延長するように設けられた支持部70は、少なくとも背中サポート部材71が取付けられる後端側が金属製のパイプ等で構成される。
また、ハンドルグリップ8は、金属製のパイプ等で構成されたグリップ主体80と、グリップ主体80の周囲を覆うカバー用スポンジチューブ6T等の緩衝材とを備えた構成とすることが好ましい。
【0026】
尚、回転連動体6としては、左側の回転連動体6Lと右側の回転連動体6Rとを備える。
即ち、左側の回転連動体6Lは、回転軸60と、回転軸60の後端側に設けられた左側の背中サポート7Lと、回転軸60の前端側に設けられた左側のハンドルグリップ8Lとを有し、回転軸60が左側の複合機能体5Lの第2の軸受孔51に回転可能に挿入されたことにより、左側の背中サポート7Lと左側のハンドルグリップ8Lと回転軸60とが連動して回転するように構成されている。
同様に、右側の回転連動体6Rは、回転軸60と、回転軸60の後端側に設けられた右側の背中サポート7Rと、回転軸60の前端側に設けられた右側のハンドルグリップ8Rとを有し、回転軸60が右側の複合機能体5Rの第2の軸受孔51に回転可能に挿入されたことにより、右側の背中サポート7Rと右側のハンドルグリップ8Rと回転軸60とが連動して回転するように構成されている。
【0027】
上部ベース4Aと複合機能体5と回転連動体6との関係は以下のとおりである。
即ち、複合機能体5の回転中心軸として機能する上左部42の上部ベースフレーム4Fの後端側や上右部43の上部ベースフレーム4Fの後端側が、複合機能体5の第1の軸受孔50に挿入されたことによって、当該複合機能体5が当該回転中心軸を回転中心として回転可能に取付けられ、かつ、回転連動体6の回転軸60が複合機能体5の第2の軸受孔51に回転可能に取付けられた構成となっている。
【0028】
具体的には、上部ベース4Aにおける上左部42の上部ベースフレーム4Fの後端側を左側の複合機能体5Lの回転中心軸として機能させるため、当該上左部42の上部ベースフレーム4Fの後端側が左側の複合機能体5Lの第1の軸受孔50に挿入されたことで、当該左側の複合機能体5Lが当該上左部42の上部ベースフレーム4Fの後端側により形成された回転中心軸を回転中心として回転可能に取付けられ、かつ、左側の回転連動体6Lの回転軸60が左側の複合機能体5Lの第2の軸受孔51に回転可能に取付けられた構成となっている。
同様に、上部ベース4Aにおける上右部43の上部ベースフレーム4Fの後端側を右側の複合機能体5Rの回転中心軸として機能させるため、当該上右部43の上部ベースフレーム4Fの後端側が右側の複合機能体5Rの第1の軸受孔50に挿入されたことで、当該右側の複合機能体5Rが当該上右部43の上部ベースフレーム4Fの後端側により形成された回転中心軸を回転中心として回転可能に取付けられ、かつ、右側の回転連動体6Rの回転軸60が右側の複合機能体5Rの第2の軸受孔51に回転可能に取付けられた構成となっている。
即ち、回転連動体6L,6Rが回動しても複合機能体5L,5Rは回動しないが、複合機能体5L,5Rを回動させた場合には回転連動体6L,6Rも連動するように構成されている。
このように、背中サポート7を有した回転連動体6と、アームレスト部分5Aと脇サポート部分5Bとを有した複合機能体5とが、関連付けられて構成されたので、機能性、意匠性を向上でき、かつ、軽量化も可能な上部構成体4を備えた歩行器1を提供できるようになった。
また、回転連動体6Rの背中サポート7Rと回転連動体6Lの背中サポート7Lとを回転させる操作によって、背中サポート7L,7Rの開閉を実現できるようになるとともに、複合機能体5L,5Rを回動させることで、複合機能体5L,5R間である身幅を、使用者に合わせて設定する作業を容易に行えるようになる。
即ち、歩行器操縦位置Hへの開閉出入口となる背中サポート7L,7Rの開閉調節作業を容易に行えるとともに、使用者に体格に合わせた複合機能体5L,5R間の身幅調節作業を容易に行える構成を備えた、機能性、意匠性に優れ、軽量、かつ、コンパクトな歩行器1を得ることができるようになった。
【0029】
また、複合機能体5は、図5に示すように、複合機能体5の骨格を構成するL字状板材に形成された主要構成部5Fを備え、当該主要構成部5Fは、L字の横板部分により形成されたアームレスト部分5Aと、L字の縦板部分により形成された脇サポート部分5Bとを備える。
そして、アームレスト部分5Aの脇サポート部分5B側に設けられた第1の軸受孔50に、上左部42や上右部43の上部ベースフレーム4Fを構成するパイプ等を挿入することにより、当該上部ベースフレーム4Fを、アームレスト及び脇サポートとして機能する複合機能体5の回転中心軸として利用した構成としたものである。
さらに、アームレスト部分5Aの先端側(アームレスト部分5Aの左右方向の延長端側、換言すれば、アームレスト部分5Aの脇サポート部分5B側とは反対側)に設けられた第2の軸受孔51を、回転連動体6の回転軸60を回転可能に支持する軸受として利用した構成としたものである。
即ち、第1の軸受孔50は、アームレスト部分5Aにおける脇サポート部分5B側において前後方向に延長するように設けられ、かつ、第2の軸受孔51は、アームレスト部分5Aにおける脇サポート部分5B側とは反対側において前後方向に延長するように設けられた構成の複合機能体5とした。
従って、当該構成の複合機能体5によれば、歩行器操縦位置H(図2図4参照)において歩行器1を操縦する使用者側に脇サポート部分5Bを配置して、かつ、アームレスト部分5Aを歩行器操縦位置Hから見て脇サポート部分5Bよりも外側に配置したことにより、複合機能体5の回動動作に連動して、回転連動体6も回動動作を行うため、連動の元である複合機能体5を、使用者の胴幅に合わせて調節するだけで、回転連動体6の左右の幅が、自ずと適切な大きさに調節される歩行器1を実現できるようになった。
例えば、胴幅寸法が小さい使用者の場合には、図6(a)に示すように、左右の複合機能体5L,5R間の間隔を、胴幅寸法が小さい使用者に対応した間隔aに設定できる。
また、胴幅寸法が平均的な使用者の場合には、図6(b)に示すように、左右の複合機能体5L,5R間の間隔を、胴幅寸法が平均的な使用者に対応した間隔bに設定できる。
また、胴幅寸法が大きい使用者の場合には、図6(c)に示すように、左右の複合機能体5L,5R間の間隔を、胴幅寸法が大きい使用者に対応した間隔cに設定できる。
【0030】
即ち、実施形態では、主要構成部5Fにおけるアームレスト部分5Aの内側(中空部)において当該アームレスト部分5Aの前端から後方に向けて延長するように形成されて回転中心軸(上左部42の上部ベースフレーム4Fや上右部43の上部ベースフレーム4F)が設置される第1の軸受孔50と、主要構成部5Fにおけるアームレスト部分5Aの内側(中空部)において当該アームレスト部分5Aの前端と後端とに貫通するように形成されて回転軸60を回転可能に支持する第2の軸受孔51とが、複合機能体5のアームレスト部分5Aに設けられた構成としている。
従って、アームレスト及び脇サポートとして機能する複合機能体5の回転中心軸を支持する軸受構成部と、回転連動体6の回転軸60を回転可能に支持する軸受構成部とを、それぞれ別々の場所に設けるような構成と比べて、部品点数を削減できて、構成を簡単にできるとともに、機能性、意匠性に優れ、軽量、かつ、コンパクトな歩行器1を実現できるようになった。
【0031】
実施形態に係る歩行器1によれば、背中サポート7を有した回転連動体6と、アームレスト部分5Aと脇サポート部分5Bとを有した複合機能体5とを、関連付けて構成したので、上部構成体4の機能性、及び、意匠性の向上や、軽量化を図れるようになった。
即ち、機能性、意匠性を向上でき、かつ、軽量化も可能な上部構成体4を備えた歩行器1を提供できるようになった。
【0032】
尚、回転連動体6のベースフレーム6Fは、歩行器1の使用時形態において、背中サポート7の支持部70、及び、ハンドルグリップ8のグリップ主体80が、回転軸60の位置よりも上方に位置されるように、複合機能体5に取付けられている。
【0033】
そして、歩行器1の使用時形態において、人が、左側の回転連動体6Lを左回転させるとともに、右側回転連動体6Rを右回転させることで、背中サポート7L,7R、及び、ハンドルグリップ8L,8Rは、図7(a),図8(a)に示すように、互いに離れる方向に回転させた位置である開放位置に設定される。即ち、使用者が歩行器操縦位置Hに対して出入り可能な状態に設定される。
同様に、歩行器1の使用時形態において、人が、左側回転連動体6Lを右回転させるとともに、右側回転連動体6Rを左回転させることで、背中サポート7L,7R、及び、ハンドルグリップ8L,8Rは、図7(b),図8(b)に示すように、互いに近づく方向に回転させた位置である閉鎖位置に設定される。即ち、使用者が歩行器操縦位置Hに対して出入り不可能な状態に設定される。
ここで、背中サポート7L,7Rの閉鎖位置は、歩行器操縦位置Hへの後方入口を閉鎖する位置であるとともに、使用者の背中を支えることが可能な位置であるサポート位置に設定され、背中サポート7L,7Rの開放位置は、歩行器操縦位置Hへの後方入口を開放する位置であるとともに、使用者の背中を支えることが不可能な位置である非サポート位置に設定されるように構成されている。
また、ハンドルグリップ8L,8Rの閉鎖位置は、使用者が歩行器1を操縦する際の操縦時位置に設定され、ハンドルグリップ8L,8Rの開放位置は、使用者が歩行器1を操縦する際の非操縦時位置に設定されるように構成されている。
【0034】
即ち、人が、回転連動体6L,6Rの背中サポート7L,7R又はハンドルグリップ8L,8Rを操作して回転軸60,60を回転させることにより、背中サポート7L,7R7は、少なくとも、歩行器操縦位置Hへの後方入口を閉鎖する閉鎖位置と、歩行器操縦位置Hへの後方入口を開放する開放位置とに設定されるように構成されている。
換言すれば、人が、回転連動体6L,6Rの背中サポート7L,7R又はハンドルグリップ8L,8Rを操作して回転軸60,60を回転させることにより、背中サポート7L,7R7は、少なくとも、使用者の背中を支えることが可能な位置であるサポート位置、又は、使用者の背中を支えることが不可能な位置である非サポート位置に設定されるように構成されている。
つまり、ハンドルグリップ8と背中サポート7と回転軸60とが連動して回転するように構成されて、機能性に優れるとともに、歩行器操縦位置Hへの開閉出入口となる背中サポート7L,7Rの開閉調節作業を容易に行える回転連動体6L,6Rを有した歩行器1を提供できるようになった。
【0035】
尚、回転軸60と軸受孔51との間に摩擦抵抗部材、例えばプランジャとノッチ(図示せず)を設けて、回転軸60の回転動作に抵抗を与えるとともに、ハンドルグリップ8及び背中サポート7が、開放位置、又は、閉鎖位置に設定された場合に当該位置から回転しにくいように構成されることが好ましい。
【0036】
以上説明した構成の回転連動体6を備えたことにより、次のような効果が得られる。
回転連動体6のハンドルグリップ8又は背中サポート7を操作して回転連動体6を回転させることにより、歩行器操縦位置Hへの後方入口の開閉を実現できるようになる。
例えば、使用者が背中サポート7を操作して回転連動体6を回転させることにより、背中サポート7が開放位置に設定されて、歩行器操縦位置Hへの後方入口が開放されるので、使用者が当該後方入口から歩行器1の歩行器操縦位置Hに移動できるようになる。
さらに、歩行器操縦位置Hに到達した使用者が歩行器操縦位置Hにおいてハンドルグリップ8を握って回転連動体6を回転させることにより、背中サポート7が閉鎖位置に設定されるので、背中サポート7がサポート位置に設定されて、歩行器操縦位置Hへの後方入口が閉鎖される。この状態で、使用者は、閉鎖位置である操縦時位置に設定されたハンドルグリップ8を握って歩行器1を操縦できるようになる。
そして、使用者が操縦時において体勢を崩して後方へ転倒しそうになった場合には、サポート位置に設定された背中サポート7によって、使用者の背中が支持されるため、使用者の転倒防止効果が得られるようになる。
【0037】
また、複合機能体5(左側の複合機能体5L,右側の複合機能体5R)は、左右方向に所定の回動範囲内で回動可能に構成されている。
この場合、複合機能体5の回動支持部は、互いに近づく回転方向に付勢するばねなどの付勢手段を備えた構成とすることにより、左側の複合機能体5L及び右側の複合機能体5Rが、使用者の体形に対応して、自ずと互いに近づく方向に、無段階に、左側の複合機能体5Lと右側の複合機能体5Rとの間の間隔を調整できるようになる。
この場合、例えば、トーションコイルばねの一端を第2の軸受孔50の内面に固定しておいて、複合機能体5の回転中心軸を、第1の軸受孔50に通すとともに、トーションコイルばねのコイル孔に通して、トーションコイルばねの他端を回転中心軸に固定した構成とすればよい。
また、ロックピンなどの固定手段での複合機能体5L及び右側の複合機能体5Rの位置を多段階で固定できるように構成することで、左側の複合機能体5Lと右側の複合機能体5Rとの間の間隔を調整できるようにしてもよい。
このように、左側の複合機能体5Lと右側の複合機能体5Rとの間の間隔を調整できるため、様々な体形の使用者にも対応できる歩行器1を提供できるようになった。
【0038】
尚、実施形態では、回転連動体6として、歩行器1の前後方向に延長する回転軸60と、回転軸60の前端側に設けられたハンドルグリップ8と、回転軸60の後端側に設けられた背中サポート7とを備え、回転軸60の中心線を回転中心として当該回転軸60とハンドルグリップ8と背中サポート7とが連動して回転するように構成されたものを例示したが、回転連動体は、ハンドルグリップ8を備えない構成であってもよい。
即ち、回転連動体は、歩行器1の前後方向に延長する回転軸60と、回転60の後端側に設けられた背中サポート7とを備え、回転軸60の中心線を回転中心として当該回転軸60と背中サポート7とが連動して回転するように構成されたものであってもよい。
尚、この場合、ハンドルグリップは、例えば、上部ベース4Aに固定状態に設けるようにすればよい。即ち、本発明では、回転連動体にハンドルグリップを設ける構成は必須構成ではない。
当該構成であっても、人が、背中サポート7を回転させる操作によって、背中サポート7の開閉を実現できるようになり、歩行器1の後側から歩行器操縦位置Hに移動できるように構成された、使い勝手の良い歩行器を提供できる。
この場合、例えば、付添人がいる場合には、使用者が歩行器操縦位置Hに移動したことを確認した後に、付添人が背中サポート7を閉じるようにすることで、使用者がより安全に歩行器を使用できるようになる。
また、ハンドルグリップが上部ベース4Aに固定された構成であっても、例えば、歩行器の前側に背中サポート7を開閉するための図外の開閉レバーや電動装置等を備えた構成とすれば、使用者自身が歩行器操縦位置Hに移動した後に背中サポート7を閉じることが可能となる。
【符号の説明】
【0039】
1 歩行器、2 下部構成体、2A 下部ベース、2B 移動手段、3 支持体、
4 上部構成体、4A 上部ベース、5 複合機能体、5A アームレスト部分、
5B 脇サポート部分、6 回転連動体、7 背中サポート、8 ハンドルグリップ、
41 上前部、42 上左部(左側の回転中心軸)、
43 上右部(右側の回転中心軸)、50 第1の軸受孔、51 第2の軸受孔、
60 回転連動体の回転軸。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8