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特開2024-47020基板処理装置、ガスノズル、半導体装置の製造方法、およびプログラム
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  • 特開-基板処理装置、ガスノズル、半導体装置の製造方法、およびプログラム 図1
  • 特開-基板処理装置、ガスノズル、半導体装置の製造方法、およびプログラム 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024047020
(43)【公開日】2024-04-05
(54)【発明の名称】基板処理装置、ガスノズル、半導体装置の製造方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/31 20060101AFI20240329BHJP
   H01L 21/3065 20060101ALI20240329BHJP
   C23C 16/455 20060101ALI20240329BHJP
   C23C 16/44 20060101ALI20240329BHJP
   H01L 21/318 20060101ALN20240329BHJP
【FI】
H01L21/31 C
H01L21/302 101H
C23C16/455
C23C16/44 J
H01L21/318 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022152431
(22)【出願日】2022-09-26
(71)【出願人】
【識別番号】318009126
【氏名又は名称】株式会社KOKUSAI ELECTRIC
(74)【代理人】
【識別番号】100145872
【弁理士】
【氏名又は名称】福岡 昌浩
(74)【代理人】
【識別番号】100091362
【弁理士】
【氏名又は名称】阿仁屋 節雄
(72)【発明者】
【氏名】奥田 和幸
(72)【発明者】
【氏名】今村 友紀
(72)【発明者】
【氏名】野田 孝暁
【テーマコード(参考)】
4K030
5F004
5F045
5F058
【Fターム(参考)】
4K030AA06
4K030AA13
4K030AA16
4K030AA18
4K030BA40
4K030CA04
4K030CA12
4K030DA06
4K030EA06
4K030FA10
4K030GA05
4K030HA01
4K030KA41
4K030LA02
4K030LA15
5F004AA15
5F004BA19
5F004BB13
5F004BB19
5F004BB28
5F004BD04
5F004DA00
5F004DA28
5F004DB07
5F045AA08
5F045AA15
5F045AB33
5F045AC00
5F045AC02
5F045AC03
5F045AC04
5F045AC05
5F045AC07
5F045AC12
5F045AC15
5F045AC16
5F045AC17
5F045AD04
5F045AD05
5F045AD06
5F045AD07
5F045AD08
5F045AD09
5F045AD10
5F045AD11
5F045AE15
5F045AE17
5F045AE19
5F045AE21
5F045AE23
5F045BB15
5F045DP19
5F045DP28
5F045DQ05
5F045EB06
5F045EE13
5F045EE14
5F045EE17
5F045EF03
5F045EF09
5F045EF14
5F045EH12
5F045EK06
5F058BA04
5F058BC08
5F058BD10
5F058BF07
5F058BF24
5F058BF27
5F058BF30
5F058BF37
(57)【要約】
【課題】処理容器内の部材の表面への堆積物の付着を抑制することが可能な技術を提供する。
【解決手段】基板が収容される処理容器と、処理容器内の基板が配列される基板配列領域に向くように開口する第1吐出孔が側面に設けられた第1ノズルと、第1ノズルの側面のうち第1吐出孔の設置範囲とは異なる範囲の面、および第1吐出孔の設置範囲とは異なる面と処理容器の内壁面との間の空間のうち少なくともいずれかに向くように開口する第2吐出孔が側面に設けられた第2ノズルと、第1ノズルを介して処理容器内へ原料ガスを供給するように構成された原料ガス供給系と、第2ノズルを介して処理容器内へ不活性ガスを供給するように構成された不活性ガス供給系と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板が収容される処理容器と、
前記処理容器内の基板が配列される基板配列領域に向くように開口する第1吐出孔が側面に設けられた第1ノズルと、
前記第1ノズルの前記側面のうち前記第1吐出孔の設置範囲とは異なる範囲の面、および前記第1吐出孔の設置範囲とは異なる範囲の面と前記処理容器の内壁面との間の空間のうち少なくともいずれかに向くように開口する第2吐出孔が側面に設けられた第2ノズルと、
前記第1ノズルを介して前記処理容器内へ原料ガスを供給するように構成された原料ガス供給系と、
前記第2ノズルを介して前記処理容器内へ不活性ガスを供給するように構成された不活性ガス供給系と、を備える
基板処理装置。
【請求項2】
前記基板配列領域には、複数の前記基板が、前記基板の表面に対して垂直な方向に所定間隔で配列され、
前記第1ノズルおよび前記第2ノズルのそれぞれは、前記基板の配列方向に沿って設けられ、前記基板の周方向に沿って互いに隣り合う位置に設けられている
請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記第2吐出孔は、前記第1ノズルの前記側面のうち、前記第1ノズルの径方向において前記第1吐出孔の設置範囲とは反対側の側面に向かって前記不活性ガスを吐出するように設けられている請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記第2ノズルは、前記基板配列領域に対向する位置に吐出孔を備えていない請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記第2ノズルは、前記処理容器に対して着脱可能に構成されている請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記原料ガスを前記処理容器内へ供給する間、前記不活性ガスを前記処理容器内へ供給するように、前記原料ガス供給系および前記不活性ガス供給系を制御することが可能なよう構成される制御部をさらに備える請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記基板配列領域には、複数の前記基板が、前記基板の表面に対して垂直な方向に所定間隔で配列され、
前記第2ノズルは、前記基板配列領域の上方空間に向くように開口する上部吐出孔をさらに備える請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記上部吐出孔は、前記第2ノズルの先端に設けられている請求項7に記載の基板処理装置。
【請求項9】
前記上部吐出孔の開口面積は、前記第2吐出孔の開口面積よりも大きい請求項7または8に記載の基板処理装置。
【請求項10】
第3吐出孔が側面に設けられた第3ノズルと、
前記第3ノズルを介して前記処理容器内へ反応ガスを供給するように構成された反応ガス供給系と、
(a)前記処理容器内へ前記原料ガスを供給する処理と、(b)前記処理容器内へ前記反応ガスを供給する処理と、を含むサイクルを所定回数行うことにより前記処理容器内に収容された前記基板上に膜を形成する処理を行い、(a)では、前記第2ノズルから第1流量で前記不活性ガスを供給し、(a)と(b)との間では、前記第2ノズルから前記第1流量よりも大きい第2流量で前記不活性ガスを供給するように、前記原料ガス供給系、前記反応ガス供給系、および前記不活性ガス供給系を制御することが可能なよう構成される制御部と、
をさらに備える請求項7に記載の基板処理装置。
【請求項11】
前記第1ノズルおよび前記第2ノズルのうち一方のノズルへ、第1クリーニングガスを供給するように構成された第1クリーニングガス供給系をさらに備える請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項12】
前記第1ノズルおよび前記第2ノズルのうち前記一方のノズルとは異なる他方のノズルへ、前記第1クリーニングガスと反応する添加ガスを供給するように構成された添加ガス供給系をさらに備える請求項11に記載の基板処理装置。
【請求項13】
前記第1ノズルおよび前記第2ノズルのうち前記一方のノズルとは異なる他方のノズルへ、前記第1クリーニングガスとは組成が異なる第2クリーニングガスを供給するように構成された第2クリーニングガス供給系をさらに備える請求項11に記載の基板処理装置。
【請求項14】
第3吐出孔が側面に設けられた第3ノズルと、
前記第3ノズルを介して前記処理容器内へ反応ガスを供給するように構成された反応ガス供給系と、
前記第1ノズル、前記第2ノズル、および前記第3ノズルのうちいずれか一のノズルへ、第1クリーニングガスを供給するように構成された第1クリーニングガス供給系と、
前記第1ノズル、前記第2ノズル、および前記第3ノズルのうち前記いずれか一のノズルとは異なる他の一のノズルへ、前記第1クリーニングガスと反応する添加ガスを供給するように構成された添加ガス供給系と、
をさらに備える請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項15】
前記基板配列領域に向くように開口する第4吐出孔が側面に設けられた第4ノズルと、
前記第4ノズルの前記側面のうち前記第4吐出孔の設置範囲とは異なる範囲の面、および前記第4吐出孔の設置範囲とは異なる範囲の面と前記処理容器の前記内壁面との間の空間のうち少なくともいずれかに向くように開口する第5吐出孔が側面に設けられた第5ノズルと、を備え、
前記原料ガス供給系は、前記第1ノズルおよび前記第4ノズルを介して前記処理容器内へ前記原料ガスを供給するように構成され、
前記不活性ガス供給系は、前記第2ノズルおよび前記第5ノズルを介して前記処理容器内へ前記不活性ガスを供給するように構成されている
請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項16】
前記基板配列領域に向くように開口する第6吐出孔が側面に設けられた第6ノズルを備え、
前記第2ノズルの前記側面には、前記第6ノズルの前記側面のうち前記第6吐出孔の設置範囲とは異なる範囲の面、および前記第6吐出孔の設置範囲とは異なる範囲の面と前記処理容器の前記内壁面との間の空間のうち少なくともいずれかに向くように開口する第7吐出孔がさらに設けられており、
前記原料ガス供給系は、前記第1ノズルおよび前記第6ノズルを介して前記処理容器内へ前記原料ガスを供給するように構成されている
請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項17】
前記第2ノズルの前記側面には、前記基板配列領域に対向する範囲とは異なる範囲であって、且つ、前記第2吐出孔の設置範囲とは異なる範囲の面に開口された第8吐出孔がさらに設けられている請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項18】
処理容器内の基板が配列される基板配列領域に向くように開口する第1吐出孔が側面に設けられた第1ノズルの前記側面のうち、前記第1吐出孔の設置範囲とは異なる範囲の面、および前記第1吐出孔の設置範囲とは異なる範囲の面と前記処理容器の内壁面との間の空間のうち少なくともいずれかに向くように開口する第2吐出孔が側面に設けられ、
不活性ガスを供給するように構成された不活性ガス供給系に接続されたガスノズル。
【請求項19】
(a)処理容器内の基板が配列される基板配列領域に向くように開口する第1吐出孔が側面に設けられた第1ノズルを介して前記処理容器内へ原料ガスを供給する工程と、
(a’)(a)において、前記第1ノズルとは異なる第2ノズルから、前記第1ノズルの前記側面のうち前記第1吐出孔の設置範囲とは異なる範囲の面、および前記第1吐出孔の設置範囲とは異なる範囲の面と前記処理容器の内壁面との間の空間のうち少なくともいずれかに向かって不活性ガスを供給する工程と、
を有する半導体装置の製造方法。
【請求項20】
(a)処理容器内の基板が配列される基板配列領域に向くように開口する第1吐出孔が側面に設けられた第1ノズルを介して前記処理容器内へ原料ガスを供給する手順と、
(a’)(a)において、前記第1ノズルとは異なる第2ノズルから、前記第1ノズルの前記側面のうち前記第1吐出孔の設置範囲とは異なる範囲の面、および前記第1吐出孔の設置範囲とは異なる範囲の面と前記処理容器の内壁面との間の空間のうち少なくともいずれかに向かって不活性ガスを供給する手順と、
をコンピュータにより基板処理装置に実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板処理装置、ガスノズル、半導体装置の製造方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製造工程の一工程として、処理容器内の基板を処理する工程、例えば、処理容器内に収容された基板にガスを供給して、基板上に膜を形成する工程が行われる場合がある(例えば特許文献1等参照)。このとき、処理容器内の部材の表面、例えば、原料等を供給するノズルの外側表面に堆積物が付着すると、その堆積物に起因して異物(パーティクル)が発生することがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-225655号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、処理容器内の部材の表面への堆積物の付着を抑制することが可能な技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様によれば、
基板が収容される処理容器と、
前記処理容器内の基板が配列される基板配列領域に向くように開口する第1吐出孔が側面に設けられた第1ノズルと、
前記第1ノズルの前記側面のうち前記第1吐出孔の設置範囲とは異なる範囲の面、および前記第1吐出孔の設置範囲とは異なる範囲の面と前記処理容器の内壁面との間の空間のうち少なくともいずれかに向くように開口する第2吐出孔が側面に設けられた第2ノズルと、
前記第1ノズルを介して前記処理容器内へ原料ガスを供給するように構成された原料ガス供給系と、
前記第2ノズルを介して前記処理容器内へ不活性ガスを供給するように構成された不活性ガス供給系と、を備える技術が提供される。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、処理容器内の部材の表面への堆積物の付着を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、本開示の一態様で好適に用いられる基板処理装置の縦型処理炉の概略構成図であり、処理炉202部分を縦断面図で示す図である。
図2図2は、本開示の一態様で好適に用いられる基板処理装置の縦型処理炉の概略構成図であり、処理炉202部分を図1のA-A線断面図で示す図である。
図3図3は、本開示の一態様で好適に用いられる基板処理装置のコントローラ121の概略構成図であり、コントローラ121の制御系をブロック図で示す図である。
図4図4は、本開示の一態様における処理シーケンスを示す図である。
図5図5は、本開示の一態様におけるクリーニングシーケンスを示す図である。
図6図6は、本開示の一態様で好適に用いられる基板処理装置の縦型処理炉の断面構成図の変形例を示す図である。
図7図7は、本開示の一態様で好適に用いられる基板処理装置の縦型処理炉の断面構成図の他の変形例を示す図である。
図8図8は、本開示の一態様で好適に用いられる基板処理装置の縦型処理炉の断面構成図のさらに他の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<本開示の一態様>
以下、本開示の一態様について、主に、図1図5を参照しつつ説明する。なお、以下の説明において用いられる図面は、いずれも模式的なものであり、図面に示される、各要素の寸法の関係、各要素の比率等は、現実のものとは必ずしも一致していない。また、複数の図面の相互間においても、各要素の寸法の関係、各要素の比率等は必ずしも一致していない。
【0009】
(1)基板処理装置の構成
図1に示すように、処理炉202は温度調整器(加熱部)としてのヒータ207を有する。ヒータ207は円筒形状であり、保持板に支持されることにより垂直に据え付けられている。ヒータ207は、ガスを熱で活性化(励起)させる活性化機構(励起部)としても機能する。
【0010】
ヒータ207の内側には、ヒータ207と同心円状に処理容器を構成する反応管203が配設されている。反応管203は、例えば石英(SiO)または炭化シリコン(SiC)等の耐熱性材料により構成され、上端が閉塞し下端が開口した円筒形状に形成されている。反応管203の下方には、反応管203と同心円状に、マニホールド209が配設されている。反応管203の筒中空部には処理室201が形成される。処理室201は、基板としてのウエハ200を、ウエハ200の表面に対して垂直な方向に所定間隔で複数枚配列して配置(収容)することが可能に構成されている。この処理室201内でウエハ200に対する処理が行われる。反応管203の天井部(上端部)は、ドーム形状に形成されている。
【0011】
処理室201内には、第1~第3供給部としてのノズル249a,249b,249cが、反応管203の下部を貫通するようにそれぞれ設けられている。ノズル249bは、反応管203に対して着脱可能に設けられている。ノズル249a~249cを、それぞれ第1~第3ノズルとも称する。ノズル249a~249cは、例えば石英またはSiC等の耐熱性材料により構成されている。ノズル249a~249cには、ガス供給管232a~232cがそれぞれ接続されている。ノズル249a~249cはそれぞれ異なるノズルである。
【0012】
なお、反応管203の下方に、反応管203を支持する金属製のマニホールドを設け、各ノズルを、この金属製のマニホールドの側壁を貫通するように設けるようにしてもよい。この場合、この金属製のマニホールドに、さらに後述する排気管231を設けるようにしてもよい。なお、この場合であっても、排気管231を金属製のマニホールドではなく、反応管203の下部に設けるようにしてもよい。このように、処理炉202の炉口部を金属製とし、この金属製の炉口部にノズル等を取り付けるようにしてもよい。
【0013】
ガス供給管232a~232cには、ガス流の上流側から順に、流量制御器(流量制御部)であるマスフローコントローラ(MFC)241a~241cおよび開閉弁であるバルブ243a~243cがそれぞれ設けられている。ガス供給管232aのバルブ243aよりも下流側には、ガス供給管232dが接続されている。ガス供給管232aにおけるガス供給管232dとの接続箇所よりも下流側には、ガス供給管232fが接続されている。ガス供給管232bのバルブ243bよりも下流側には、ガス供給管232eが接続されている。ガス供給管232cのバルブ243cよりも下流側には、ガス供給管232gが接続されている。ガス供給管232d~232gには、ガス流の上流側から順に、MFC241d~241gおよびバルブ243d~243gがそれぞれ設けられている。ガス供給管232a~232gは、例えば、SUS等の金属材料により構成されている。
【0014】
図2に示すように、ノズル249a~249cは、反応管203の内壁とウエハ200との間における平面視において円環状の空間に、反応管203の内壁の下部より上部に沿って、ウエハ200の配列方向上方に向かって立ち上がるようにそれぞれ設けられている。すなわち、ノズル249a~249cは、ウエハ200が配列されるウエハ配列領域の側方の、ウエハ配列領域を水平に取り囲む領域に、ウエハ配列領域のウエハ配列方向に沿ってそれぞれ設けられている。
【0015】
ノズル249aの側面には、ガスを吐出させる(供給する)第1吐出孔(第1供給口)がウエハ配列領域のウエハ配列方向に沿って設けられている。第1吐出孔は、複数のガス吐出孔250aを含んだ形状となっている。ガス吐出孔250aは、ウエハ配列方向における一端側から他端側にわたり複数設けられている。ガス吐出孔250aは、反応管203の中心を向くように、すなわち、ウエハ配列領域に向くように開口しており、ウエハ200に向けてガスを供給することが可能となっている。複数のガス吐出孔250aのそれぞれは、例えば円形や楕円形の穴により構成されている。ガス吐出孔の形状については、後述する第2吐出孔~第8吐出孔、上部吐出孔についても同様である。
【0016】
ノズル249bの側面には、ガスを吐出させる第2吐出孔(第2供給口)がウエハ配列領域のウエハ配列方向に沿って設けられている。第2吐出孔は、複数のガス吐出孔250b1を含んだ形状となっている。ガス吐出孔250b1は、ウエハ配列方向における一端側から他端側にわたり複数設けられている。図2に示すように、ガス吐出孔250b1は、(i)ノズル249aの側面のうちガス吐出孔250aの設置範囲とは異なる範囲の面(すなわち、ノズル249aの処理室201内に対して露出している外表面のうち、ノズル249aの周方向においてガス吐出孔250aが設けられた面とは異なる面、以下、単に「ガス吐出孔非設置面」とも称する)、および(ii)ノズル249aのガス吐出孔非設置面と反応管203の内壁面との間の空間(隙間)、のうち少なくともいずれかに向くように開口している。例えば、ガス吐出孔250b1は、ノズル249aの側面のうち、ノズル249aの径方向においてガス吐出孔250aの設置範囲とは反対側の側面(以下、ノズル249aの裏面とも称する)に向くように開口しており、ノズル249aの裏面側に向かってガスを吐出させることが可能となっている。なお、ガス吐出孔250b1は、ウエハ配列領域に対向する位置には設けられていない。すなわち、ノズル249bは、ウエハ配列領域に向かって開口するガス吐出孔を備えておらず、ウエハ配列領域に向けてガスを供給しないように構成されている。
【0017】
ノズル249bの先端(上端部)には、上部吐出孔(上部供給口)としてのガス吐出孔250b2が設けられている。上述のように、反応管203の天井部はドーム状に形成されている。複数枚のウエハ200が反応管203内に垂直方向に配列して配置された状態において、反応管203の天井部の内壁と複数枚のウエハ200のうち上端部に配置されたウエハ200とで挟まれる部分の反応管203内の空間(以下、上部ドーム空間とも称する)が形成されている。ガス吐出孔250b2は、ウエハ配列領域の上方空間、すなわち、上部ドーム空間に向くように開口しており、上部ドーム空間に向かって効率的にガスを吐出させることが可能となっている。ガス吐出孔250b2の開口面積は、ガス吐出孔250b1のそれぞれの開口面積よりも大きくなっている。
【0018】
ノズル249cの側面には、ガスを吐出させる第3吐出孔(第3供給口)がウエハ配列方向に沿って設けられている。第3吐出孔は、複数のガス吐出孔250cを含んだ形状となっている。ガス吐出孔250cは、ウエハ配列領域のウエハ配列方向における一端側から他端側にわたり複数設けられている。図2に示すように、ガス吐出孔250cは、後述するバッファ室237の中心に向くように開口している。
【0019】
ノズル249a,249bは、図2に示すように、ウエハ配列領域に配列されるウエハ200の周方向に沿って互いに隣り合う位置にそれぞれ設けられている。具体的には、ノズル249a,249bは、平面視において、ウエハ200の中心とノズル249aの中心とを結ぶ直線(第1直線)と、ウエハ200の中心とノズル249bの中心とを結ぶ直線(第2直線)と、が作る中心角θ(ノズル249a,249bの各中心を両端とする弧に対する中心角θ)が、鋭角、例えば10~30°、好ましくは10~20°の範囲内の角度となるような位置に、それぞれ配置されている。
【0020】
ノズル249cは、ガス分散空間であるバッファ室237内に設けられている。バッファ室237は、反応管203の内壁とウエハ200との間における円環状の空間に、また、反応管203内壁の下部より上部にわたる部分に、ウエハ200の配列方向に沿って設けられている。すなわち、バッファ室237は、ウエハ配列領域の側方の、ウエハ配列領域を水平に取り囲む領域に、ウエハ配列領域に沿うように設けられている。バッファ室237のウエハ200と隣接する壁の端部には、ガスを吐出させるガス吐出孔238が設けられている。ガス吐出孔238は、ウエハ配列領域を向くように開口しており、ウエハ200に向けてガスを吐出させることが可能となっている。ガス吐出孔238は、ウエハ配列領域のウエハ配列方向における一端側から他端側にわたり複数設けられている。
【0021】
ガス供給管232aからは、原料が、MFC241a、バルブ243a、ノズル249aを介して処理室201内へ供給される。原料は、成膜剤の1つとして用いられる。
【0022】
ガス供給管232cからは、反応体が、MFC241c、バルブ243c、ノズル249cを介して処理室201内へ供給される。反応体は、成膜剤の1つとして用いられる。
【0023】
ガス供給管232dからは、第1クリーニングガスが、MFC241d、バルブ243d、ノズル249aを介して処理室201内へ供給される。第1クリーニングガスは、クリーニング剤の1つとして用いられる。
【0024】
ガス供給管232eからは、クリーニングガスと反応する添加ガスが、MFC241e、バルブ243e、ノズル249bを介して処理室201内へ供給される。添加ガスは、それ単体ではクリーニング作用を奏しないが、第1クリーニングガスと反応することで所定の活性種を生成し、第1クリーニングガスのクリーニング作用を向上させるように作用する。添加ガスは、クリーニング剤の1つとして用いられる。
【0025】
ガス供給管232b,232f,232gからは、不活性ガスが、MFC241b,241f,241g、バルブ243b,243f,243g、ノズル249a~249cを介して処理室201内へ供給される。不活性ガスは、パージガス、キャリアガス、希釈ガス等として作用する。
【0026】
主に、ガス供給管232a、MFC241a、バルブ243aにより、原料供給系(原料ガス供給系)が構成される。主に、ガス供給管232c、バルブ243cにより、反応体供給系(反応ガス供給系)が構成される。主に、ガス供給管232d、バルブ243dにより、第1クリーニングガス供給系が構成される。主に、ガス供給管232e、バルブ243eにより、添加ガス供給系が構成される。主に、ガス供給管232b,232f,232g、バルブ243b,243f,243gにより、不活性ガス供給系が構成される。原料供給系および反応体供給系のそれぞれ或いは全てを成膜剤供給系とも称する。第1クリーニングガス供給系および添加ガス供給系のそれぞれ或いは全てをクリーニング剤供給系とも称する。
【0027】
上述の各種供給系のうち、いずれか、或いは、全ての供給系は、バルブ243a~243gやMFC241a~241g等が集積されてなる集積型供給システム248として構成されていてもよい。集積型供給システム248は、ガス供給管232a~232gのそれぞれに対して接続され、ガス供給管232a~232g内への各種物質(各種ガス)の供給動作、すなわち、バルブ243a~243gの開閉動作やMFC241a~241gによる流量調整動作等が、後述するコントローラ121によって制御されるように構成されている。集積型供給システム248は、一体型、或いは、分割型の集積ユニットとして構成されており、ガス供給管232a~232g等に対して集積ユニット単位で着脱を行うことができ、集積型供給システム248のメンテナンス、交換、増設等を、集積ユニット単位で行うことが可能なように構成されている。
【0028】
図2に示すように、バッファ室237内には、導電体により構成され、細長い構造を有する2本の棒状電極269,270が、反応管203の内壁の下部より上部に沿って、ウエハ200の配列方向上方に向かって立ち上がるようにそれぞれ設けられている。棒状電極269,270は、ノズル249cと平行にそれぞれ設けられている。棒状電極269,270は、上部より下部にわたって電極保護管275により覆われることでそれぞれ保護されている。棒状電極269,270のいずれか一方は、整合器272を介して高周波電源273に接続されており、他方は、基準電位であるアースに接続されている。ここでは、棒状電極269が整合器272を介して高周波電源273に接続されており、棒状電極270が基準電位であるアースに接続されている。整合器272を介して高周波電源273から棒状電極269,270間に高周波(RF)電力を印加することで、棒状電極269,270間のプラズマ生成領域224にプラズマが生成される。
【0029】
電極保護管275は、棒状電極269,270のそれぞれをバッファ室237内の雰囲気と隔離した状態でバッファ室237内へ挿入できる構造となっている。電極保護管275の内部の酸素(O)濃度が外気(大気)のO濃度と同程度であると、電極保護管275内へそれぞれ挿入された棒状電極269,270は、ヒータ207による熱で酸化されてしまう。このため、電極保護管275の内部に不活性ガスを充填しておくか、不活性ガスパージ機構を用いて電極保護管275の内部を不活性ガスでパージすることで、電極保護管275の内部のO濃度を低減させ、棒状電極269,270の酸化を防止することができる。
【0030】
主に、棒状電極269,270、電極保護管275により、ガスをプラズマ状態に励起(活性化)させるプラズマ励起部(活性化機構)が構成される。整合器272、高周波電源273をプラズマ励起部に含めて考えてもよい。また、バッファ室237を励起部に含めて考えてもよい。
【0031】
反応管203の側壁下方には、処理室201内の雰囲気を排気する排気口231aが設けられている。排気口231aは、反応管203の側壁の下部より上部に沿って、すなわち、ウエハ配列領域に沿って設けられていてもよい。排気口231aには排気管231が接続されている。排気管231には、処理室201内の圧力を検出する圧力検出器(圧力検出部)としての圧力センサ245および圧力調整器(圧力調整部)としてのAPC(Auto Pressure Controller)バルブ244を介して、真空排気装置としての真空ポンプ246が接続されている。APCバルブ244は、真空ポンプ246を作動させた状態で弁を開閉することで、処理室201内の真空排気および真空排気停止を行うことができ、更に、真空ポンプ246を作動させた状態で、圧力センサ245により検出された圧力情報に基づいて弁開度を調節することで、処理室201内の圧力を調整することができるように構成されている。主に、排気管231、APCバルブ244、圧力センサ245により、排気系が構成される。真空ポンプ246を排気系に含めて考えてもよい。
【0032】
反応管203の下方には、反応管203の下端開口を気密に閉塞可能な炉口蓋体としてのシールキャップ219が設けられている。シールキャップ219は、例えばSUS等の金属材料により構成され、円盤状に形成されている。シールキャップ219の上面には、反応管203の下端と当接するシール部材としてのOリング220が設けられている。シールキャップ219の下方には、後述するボート217を回転させる回転機構267が設置されている。回転機構267の回転軸255は、シールキャップ219を貫通してボート217に接続されている。回転機構267は、ボート217を回転させることでウエハ200を回転させるように構成されている。シールキャップ219は、反応管203の外部に設置された昇降機構としてのボートエレベータ115によって垂直方向に昇降されるように構成されている。ボートエレベータ115は、シールキャップ219を昇降させることで、ウエハ200を処理室201内外に搬入および搬出(搬送)する搬送装置(搬送機構)として構成されている。
【0033】
基板支持具としてのボート217は、複数枚、例えば25~200枚のウエハ200を、水平姿勢で、かつ、互いに中心を揃えた状態で垂直方向に整列させて多段に支持するように、すなわち、間隔を空けて配列させるように構成されている。ボート217は、例えば石英やSiC等の耐熱性材料により構成される。ボート217の下部には、例えば石英やSiC等の耐熱性材料により構成される断熱板218が多段に支持されている。
【0034】
反応管203内には、温度検出器としての温度センサ263が設置されている。温度センサ263により検出された温度情報に基づきヒータ207への通電具合を調整することで、処理室201内の温度が所望の温度分布となる。温度センサ263は、反応管203の内壁に沿って設けられている。
【0035】
図3に示すように、制御部(制御手段)であるコントローラ121は、CPU(Central Processing Unit)121a、RAM(Random Access Memory)121b、記憶装置121c、I/Oポート121dを備えたコンピュータとして構成されている。RAM121b、記憶装置121c、I/Oポート121dは、内部バス121eを介して、CPU121aとデータ交換可能なように構成されている。コントローラ121には、例えばタッチパネル等として構成された入出力装置122が接続されている。また、コントローラ121には、外部記憶装置123を接続することが可能となっている。
【0036】
記憶装置121cは、例えばフラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)等で構成されている。記憶装置121c内には、基板処理装置の動作を制御する制御プログラムや、後述する基板処理の手順や条件等が記載されたプロセスレシピ等が、読み出し可能に記録され、格納されている。プロセスレシピは、後述する基板処理における各手順をコントローラ121によって、基板処理装置に実行させ、所定の結果を得ることができるように組み合わされたものであり、プログラムとして機能する。以下、プロセスレシピや制御プログラム等を総称して、単に、プログラムともいう。また、プロセスレシピを、単に、レシピともいう。本明細書においてプログラムという言葉を用いた場合は、レシピ単体のみを含む場合、制御プログラム単体のみを含む場合、または、それらの両方を含む場合がある。RAM121bは、CPU121aによって読み出されたプログラムやデータ等が一時的に保持されるメモリ領域(ワークエリア)として構成されている。
【0037】
I/Oポート121dは、上述のMFC241a~241g、バルブ243a~243g、圧力センサ245、APCバルブ244、真空ポンプ246、温度センサ263、ヒータ207、回転機構267、ボートエレベータ115等に接続されている。
【0038】
CPU121aは、記憶装置121cから制御プログラムを読み出して実行すると共に、入出力装置122からの操作コマンドの入力等に応じて記憶装置121cからレシピを読み出すことが可能なように構成されている。CPU121aは、読み出したレシピの内容に沿うように、MFC241a~241gによる各種物質(各種ガス)の流量調整動作、バルブ243a~243gの開閉動作、APCバルブ244の開閉動作および圧力センサ245に基づくAPCバルブ244による圧力調整動作、真空ポンプ246の起動および停止、温度センサ263に基づくヒータ207の温度調整動作、回転機構267によるボート217の回転および回転速度調節動作、ボートエレベータ115によるボート217の昇降動作等を制御することが可能なように構成されている。
【0039】
コントローラ121は、外部記憶装置123に記録され、格納された上述のプログラムを、コンピュータにインストールすることにより構成することができる。外部記憶装置123は、例えば、HDD等の磁気ディスク、CD等の光ディスク、MO等の光磁気ディスク、USBメモリやSSD等の半導体メモリ等を含む。記憶装置121cや外部記憶装置123は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体として構成されている。以下、これらを総称して、単に、記録媒体ともいう。本明細書において記録媒体という言葉を用いた場合は、記憶装置121c単体のみを含む場合、外部記憶装置123単体のみを含む場合、または、それらの両方を含む場合がある。なお、コンピュータへのプログラムの提供は、外部記憶装置123を用いず、インターネットや専用回線等の通信手段を用いて行ってもよい。
【0040】
(2)基板処理工程
上述の基板処理装置を用い、半導体装置の製造工程の一工程として、基板を処理する方法、すなわち、基板としてのウエハ200上に膜を形成する処理シーケンスの例について、主に、図4を用いて説明する。以下の説明において、基板処理装置を構成する各部の動作はコントローラ121により制御される。
【0041】
図4に示す本態様における処理シーケンスでは、
(a)処理容器内のウエハ200に対して原料を供給するステップ(原料供給ステップ)と、
(b)処理容器内のウエハ200に対して反応体を供給するステップ(反応体供給ステップ)と、
を非同時に行うサイクルを所定回数(n回、nは1以上の整数)行うことで、ウエハ200上に膜を形成するステップを有し、
(a)において、原料を供給するノズル249aとは異なるノズル249bから、(i)ノズル249aの側面のうちガス吐出孔250aの設置範囲とは異なる範囲の面、および(ii)ガス吐出孔250aの設置範囲とは異なる範囲の面と反応管203の内壁面との間の空間、のうち少なくともいずれかに向かって不活性ガスを供給する。
【0042】
なお、図4に示す処理シーケンスでは、(a)において、ノズル249aから処理容器内のウエハ200に対して原料を供給し、ノズル249aとは異なるノズル249bから、(i)ノズル249aの側面のうちガス吐出孔250aの設置範囲とは異なる範囲の面、および(ii)ノズル249aのガス吐出孔250aの設置範囲とは異なる範囲の面と反応管203の内壁面との間の空間、のうち少なくともいずれかに向かって不活性ガスを供給する例を示している。
【0043】
また、図4では、ノズル249a~249cを、便宜上、それぞれ、R1~R3と表している。各ノズルの表記は、後述するクリーニングシーケンスを示す図5においても同様である。
【0044】
本明細書では、このような処理シーケンス(ガス供給シーケンス)を、便宜上、以下のように示すこともある。以下の他の態様や変形例等の説明においても、同様の表記を用いる。
【0045】
(R1:原料→R3:プラズマ励起反応体)×n
【0046】
図4に示す処理シーケンスでは、(a)、(b)をこの順に行うサイクルを所定の回数(n回)実行する例を示している。この場合、nは1以上の整数となる。図4では、さらに、(a)を行った後、(b)を行う前に、ウエハ200が存在する空間(処理容器内)を不活性ガスでパージする例を示している。また、サイクルを複数回行う場合に、(b)を行った後、(a)を行う前に、処理容器内を不活性ガスでパージするようにしてもよい。これらのうち少なくともいずれかにより、処理容器内での各ガスの混合、それによる意図しない反応、パーティクルの発生等を抑制することが可能となる。
【0047】
本明細書において用いる「ウエハ」という用語は、ウエハそのものを意味する場合や、ウエハとその表面に形成された所定の層や膜との積層体を意味する場合がある。本明細書において用いる「ウエハの表面」という言葉は、ウエハそのものの表面を意味する場合や、ウエハ上に形成された所定の層等の表面を意味する場合がある。本明細書において「ウエハ上に所定の層を形成する」と記載した場合は、ウエハそのものの表面上に所定の層を直接形成することを意味する場合や、ウエハ上に形成されている層等の上に所定の層を形成することを意味する場合がある。本明細書において「基板」という言葉を用いた場合も、「ウエハ」という言葉を用いた場合と同義である。
【0048】
本明細書において用いる「剤」という用語は、ガス状物質および液体状物質のうち少なくともいずれかを含む。液体状物質はミスト状物質を含む。すなわち、成膜剤(原料、反応体)は、ガス状物質を含んでいてもよく、ミスト状物質等の液体状物質を含んでいてもよく、それらの両方を含んでいてもよい。
【0049】
本明細書において用いる「層」という用語は、連続層および不連続層のうち少なくともいずれかを含む。後述する各ステップにおいて形成される層は、連続層を含んでいてもよく、不連続層を含んでいてもよく、それらの両方を含んでいてもよい。
【0050】
(ウエハチャージおよびボートロード)
複数枚のウエハ200がボート217に装填(ウエハチャージ)されると、図1に示すように、複数枚のウエハ200を支持したボート217は、ボートエレベータ115によって持ち上げられて処理室201内へ搬入(ボートロード)される。この状態で、シールキャップ219は、Oリング220を介して反応管の下端をシールした状態となる。このようにして、ウエハ200は、処理室201内に準備されることとなる。
【0051】
(圧力調整および温度調整)
ボートロードが終了した後、処理室201内、すなわち、ウエハ200が存在する空間が所望の圧力(真空度)となるように、真空ポンプ246によって真空排気(減圧排気)される。この際、処理室201内の圧力は圧力センサ245で測定され、この測定された圧力情報に基づきAPCバルブ244がフィードバック制御される。また、処理室201内のウエハ200が所望の処理温度となるように、ヒータ207によって加熱される。この際、処理室201内が所望の温度分布となるように、温度センサ263が検出した温度情報に基づきヒータ207への通電具合がフィードバック制御される(温度調整)。また、回転機構267によるウエハ200の回転を開始する。処理室201内の排気、ウエハ200の加熱および回転は、いずれも、少なくともウエハ200に対する処理が終了するまでの間は継続して行われる。
【0052】
(成膜ステップ)
その後、次の原料供給ステップ、反応体供給ステップを順次実施する。
【0053】
〔原料供給ステップ〕
本ステップでは、ウエハ200に対して、成膜剤として、原料(原料ガス)を供給する。
【0054】
具体的には、バルブ243aを開き、ガス供給管232a内へ原料を流す(ステップA)。原料は、MFC241aにより流量調整され、ノズル249aの側面に設けられた複数のガス吐出孔250aのそれぞれを介して処理室201内へ供給されて、排気口231aより排気される。このとき、ウエハ200の側方から、ウエハ200に対して原料が供給される(原料供給)。
【0055】
また、処理室201内へ原料を供給する間(ステップAの実施中)、バルブ243bを開き、ガス供給管232b内へ第1流量で不活性ガスを流す(ステップA’)。不活性ガスは、MFC241bにより流量調整され、ノズル249bの側面に設けられた複数のガス吐出孔250b1のそれぞれと、ノズル249bの先端に設けられたガス吐出孔250b2と、を介して処理室201内へ供給されて、排気口231aより排気される。
【0056】
また、ステップAの実施中、バルブ243f,243gを開き、ノズル249a,249cの側面に設けられた複数のガス吐出孔250a,250cのそれぞれを介して処理室201内へ不活性ガスを供給するようにしてもよい。
【0057】
原料供給ステップにて原料を供給する際における処理条件としては、
処理温度:0~700℃、好ましくは室温(25℃)~550℃、より好ましくは40~500℃
処理圧力:1~2666Pa、好ましくは665~1333Pa
原料供給流量:1~6000sccm、好ましくは2000~3000sccm
不活性ガス供給流量(ガス供給管232b、第1流量):300~8000sccm
不活性ガス供給流量(ガス供給管232a,232c毎):0~10000sccm
各ガス供給時間:1~10秒、好ましくは1~3秒
が例示される。
【0058】
なお、本明細書における「0~700℃」のような数値範囲の表記は、下限値および上限値がその範囲に含まれることを意味する。よって、例えば、「0~700℃」とは「0℃以上700℃以下」を意味する。他の数値範囲についても同様である。また、本明細書における処理温度とはウエハ200の温度または処理室201内の温度のことを意味し、処理圧力とは処理室201内の圧力のことを意味する。また、処理時間とは、その処理を継続する時間を意味する。また、供給流量に0sccmが含まれる場合、0sccmとは、その物質(ガス)を供給しないケースを意味する。これらは、以下の説明においても同様である。
【0059】
上述の処理条件下でウエハ200に対して原料として、例えば、クロロシラン系ガスを供給することにより、下地としてのウエハ200の最表面上に、Clを含むSi含有層が形成される。Clを含むSi含有層は、ウエハ200の最表面への、クロロシラン系ガスの分子の物理吸着や化学吸着、クロロシラン系ガスの一部が分解した物質の分子の物理吸着や化学吸着、クロロシラン系ガスの熱分解によるSiの堆積等により形成される。Clを含むSi含有層は、クロロシラン系ガスの分子やクロロシラン系ガスの一部が分解した物質の分子の吸着層(物理吸着層や化学吸着層)であってもよく、Clを含むSiの堆積層であってもよい。本明細書では、Clを含むSi含有層を、単に、Si含有層とも称する。なお、上述の処理条件下では、ウエハ200の最表面上へのクロロシラン系ガスの分子やクロロシラン系ガスの一部が分解した物質の分子の物理吸着や化学吸着が支配的に(優先的に)生じ、クロロシラン系ガスの熱分解によるSiの堆積は僅かに生じるか、あるいは、殆ど生じないこととなる。すなわち、上述の処理条件下では、Si含有層は、クロロシラン系ガスの分子やクロロシラン系ガスの一部が分解した物質の分子の吸着層(物理吸着層や化学吸着層)を圧倒的に多く含むこととなり、Clを含むSiの堆積層を僅かに含むか、もしくは、殆ど含まないこととなる。
【0060】
原料供給ステップでは、ノズル249aから処理室201内へ原料を供給する間、(i)ノズル249aの側面のうちガス吐出孔250aの設置範囲とは異なる範囲の面、および(ii)ノズル249aのガス吐出孔250aの設置範囲とは異なる範囲の面と反応管203の内壁面との間の空間のうち少なくともいずれかに向かって開口するガス吐出孔250b1を備えたノズル249bを用いて、処理室201内へ不活性ガスを吐出させている。すなわち、ステップAと並行してステップA’を実施している。これにより、ステップAの実施中に、ノズル249aの側面(例えば、ノズル249aの側面うちガス吐出孔250aの設置範囲以外の面)を、不活性ガスでパージすることができる。その結果、ノズル249aの側面(外側表面)に原料や原料が分解した物質等(以下、総称して単に「原料由来物質」と称することがある)が付着することを抑制できる。また、ノズル249aの側面への原料等の物質の付着を抑制することで、後述する反応体供給ステップにおいて、ノズル249aの側面に付着した原料由来物質と反応体とが反応することを抑制することが可能となる。これにより、原料由来物質と反応体とが反応することにより生じる物質が、ノズル249aの側面に付着することを抑制することが可能となる。すなわち、原料由来物質、および原料等の物質と反応体とが反応することにより生じる物質がノズル249aの側面に付着して、そこに堆積物が形成されることを抑制することが可能となる。その結果、堆積物に起因するパーティクルの発生等を抑制することが可能となり、最終的にウエハ200上に形成される膜質の低下等を抑制することが可能となる。
【0061】
また、ノズル249a,249bを、ウエハ200の周方向に沿って互いに隣り合う位置にそれぞれ設けている。これにより、ノズル249b(ノズル249bが備えるガス吐出孔250b1)から吐出させた不活性ガスで、ノズル249aの側面を確実にパージすることができる。この点は、後述する反応体供給ステップにおいても同様である。
【0062】
また、ステップA’では、ウエハ配列方向における一端側から他端側にわたり設けられた複数のガス吐出孔250b1を備えたノズル249bを用いて、処理室201内へ不活性ガスを吐出させている。これにより、ウエハ配列方向における一端側から他端側にわたりノズル249aの側面をパージすることができる。この点は、後述する反応体供給ステップにおいても同様である。
【0063】
また、ステップA’では、ノズル249aの裏面に向くように開口するガス吐出孔250b1を備えたノズル249bを用いて、処理室201内へ不活性ガスを吐出させている。これにより、ステップAの実施中に、原料が滞留しやすいノズル249aの裏面およびノズル249aの裏面と反応管203の内壁面との間の空間(以下、これらを総称して「ノズル249aの裏面側」とも称する)を、不活性ガスでパージすることができ、ノズル249aの裏面側に原料が滞留することを抑制することが可能となる。その結果、ノズル249aの側面に原料由来物質が付着することを確実に抑制できる。この点は、後述する反応体供給ステップにおいても同様である。
【0064】
また、ステップA’では、ウエハ配列領域に向かって開口するガス吐出孔を備えないノズル249bを用いて、処理室201内へ不活性ガスを吐出させている。これにより、ノズル249bからウエハ配列領域に向かって不活性ガスが供給されることを抑制することができる。その結果、ステップAとステップA’とを並行して実施する場合であっても、ノズル249aから供給された原料の処理室201内における希釈化を抑制することが可能となる。このような原料の希釈化を抑制することにより、原料供給ステップにおいてノズル249bから供給される不活性ガスが、ウエハ200上に形成される層の形成レートや、ウエハ200上に最終的に形成される膜の厚さや品質等に影響を及ぼすことを抑制することができる。この点は、後述する反応体供給ステップにおいても同様である。
【0065】
また、ステップA’では、ガス吐出孔250b2を備えたノズル249bを用いて、処理室201内へ不活性ガスを吐出させている。これにより、ステップAの実施中に、原料が滞留しやすい処理室201内のウエハ配列領域の上方空間(上部ドーム空間)を、不活性ガスで効率的にパージすることができる。その結果、反応管203の内壁面、特に、反応管203の天井部の内壁面に原料由来物質が付着することを抑制できる。
【0066】
さらに、ステップA’では、ガス吐出孔250b1のそれぞれの開口面積よりも大きい開口面積を有するガス吐出孔250b2を備えたノズル249bを用いて、処理室201内へ不活性ガスを吐出させている。これにより、処理室201内の上部ドーム空間を、不活性ガスでより効率的にパージすることができる。その結果、反応管203の内壁面、特に、反応管203の天井部の内壁面に原料由来物質が付着することを確実に抑制できる。この点は、後述する反応体供給ステップにおいても同様である。
【0067】
このとき、ガス吐出孔250b2の直径は、例えば1.5mm以上3.2mm以下とする。これにより、処理室201内の上部ドーム空間を、不活性ガスでより効率的にパージすることができる。ガス吐出孔250b2の直径が1.5mm未満である場合、処理室201内の上部ドーム空間を、不活性ガスで効率的にパージすることが難しいことがある。ガス吐出孔250b2の直径が3.2mmを超えると、ガス吐出孔250b2から吐出させた不活性ガスにより、処理室201内、特に、ウエハ配列方向の上部において、原料が局所的に希釈され、ウエハ面間の均一性(膜厚均一性、膜質均一性等)が低下することがある。
【0068】
Si含有層が形成された後、バルブ243aを閉じ、処理室201内への原料の供給を停止する。そして、処理室201内を真空排気し、処理室201内に残留するガス状物質等を処理室201内から排除する。このとき、バルブ243b,243f,243gを開き、処理室201内へ不活性ガスを供給する。ノズル249a~249cより供給される不活性ガスは、パージガスとして作用し、これにより、処理室201内がパージされる(パージ)。
【0069】
パージにおいてガス供給管232b内へ流す不活性ガスの流量(第2流量)は、ステップA’においてガス供給管232b内へ流す不活性ガスの流量(第1流量)よりも大きな流量とする。すなわち、パージにおいてノズル249bより供給する不活性ガスの流量(第2流量)は、ステップA’においてノズル249bより供給する不活性ガスの流量(第1流量)よりも大きな流量とする。
【0070】
ノズル249bより供給する不活性ガスの流量をこのように設定することにより、処理室201内の上部ドーム空間を、不活性ガス、特にガス吐出孔250b2から吐出させた不活性ガスで効率的にパージすることができる。これにより、処理室201内、特に上部ドーム空間に残留する原料に起因する成膜への影響を抑制することが可能となる。例えば、上部ドーム空間に残留する原料と後述する反応体供給ステップで処理室201内へ供給される反応体との混合や、それによる意図しない反応(例えば、気相反応やプラズマ気相反応)、パーティクルの発生等を抑制することが可能となる。その結果、ウエハ面間における均一性の低下を抑制することが可能となる。この点は、後述する反応体供給ステップにおけるパージも同様である。
【0071】
パージにおける処理条件としては、
処理圧力:1~20Pa
不活性ガス供給流量(ノズル249b、第2流量):1~10slm
不活性ガス供給流量(ノズル249a,249c毎):1~10slm
不活性ガス供給時間:1~200秒、好ましくは1~40秒
が例示される。なお、本ステップにてパージを行う際における処理温度は、原料を供給する際における処理温度と同様の温度とすることが好ましい。
【0072】
原料としては、例えば、ウエハ200上に形成される膜を構成する主元素としてのシリコン(Si)を含むシラン系ガスを用いることができる。シラン系ガスとしては、例えば、ハロゲン及びSiを含むガス、すなわち、ハロシラン系ガスを用いることができる。ハロゲンには、塩素(Cl)、フッ素(F)、臭素(Br)、ヨウ素(I)等が含まれる。ハロシラン系ガスとしては、例えば、Cl及びSiを含む上述のクロロシラン系ガスを用いることができる。
【0073】
原料としては、例えば、モノクロロシラン(SiHCl)ガス、ジクロロシラン(SiHCl)ガス、トリクロロシラン(SiHCl)ガス、テトラクロロシラン(SiCl)ガス、ヘキサクロロジシランガス(SiCl)ガス、オクタクロロトリシラン(SiCl)ガス等のクロロシラン系ガスを用いることができる。原料としては、これらのうち1以上を用いることができる。
【0074】
原料としては、クロロシラン系ガスの他、例えば、テトラフルオロシラン(SiF)ガス、ジフルオロシラン(SiH)ガス等のフルオロシラン系ガスや、テトラブロモシラン(SiBr)ガス、ジブロモシラン(SiHBr)ガス等のブロモシラン系ガスや、テトラヨードシラン(SiI)ガス、ジヨードシラン(SiH)ガス等のヨードシラン系ガスを用いることもできる。原料としては、これらのうち1以上を用いることができる。
【0075】
原料としては、これらの他、例えば、アミノ基及びSiを含むガス、すなわち、アミノシラン系ガスを用いることもできる。アミノ基とは、アンモニア、第一級アミン又は第二級アミンから水素(H)を除去した1価の官能基のことであり、-NH,-NHR,-NRのように表すことができる。なお、Rはアルキル基を示し、-NRの2つのRは、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0076】
原料としては、例えば、テトラキス(ジメチルアミノ)シラン(Si[N(CH)ガス、トリス(ジメチルアミノ)シラン(Si[N(CHH)ガス、ビス(ジエチルアミノ)シラン(Si[N(C)ガス、ビス(ターシャリーブチルアミノ)シラン(SiH[NH(C)])ガス、(ジイソプロピルアミノ)シラン(SiH[N(C])ガス等のアミノシラン系ガスを用いることもできる。原料としては、これらのうち1以上を用いることができる。
【0077】
不活性ガスとしては、窒素(N)ガスや、アルゴン(Ar)ガス、ヘリウム(He)ガス、ネオン(Ne)ガス、キセノン(Xe)ガス等の希ガスを用いることができる。不活性ガスとしては、これらのうち1以上を用いることができる。この点は、後述する各ステップにおいても同様である。
【0078】
〔反応体供給ステップ〕
原料供給ステップが終了した後、ウエハ200、すなわち、ウエハ200上に形成されたSi含有層に対して、成膜剤として、反応体(反応ガス)を供給する。ここでは、反応体(反応ガス)として、窒素を含有する窒化剤(窒化ガス)を用いる例について説明する。
【0079】
具体的には、バルブ243cを開き、ガス供給管232c内へ窒化剤を流す(ステップB)。窒化剤は、MFC241cにより流量調整され、ノズル249cの側面に設けられた複数のガス吐出孔250cのそれぞれを介してバッファ室237内へ供給される。このとき、棒状電極269,270間にRF電力を印加することで、バッファ室237内へ供給された窒化剤をプラズマ励起させることができ、窒化剤をプラズマ励起させることで発生させた活性種Yが、ガス吐出孔238から処理室201内へ供給されて、排気口231aより排気される。このとき、ウエハ200の側方から、ウエハ200に対して活性種Yを含む窒化剤が供給される(反応体供給)。
【0080】
また、処理室201内へ反応体を供給する間(ステップBの実施中)、バルブ243bを開き、ガス供給管232b内へ第3流量で不活性ガスを流すようにしてもよい(ステップB’)。このとき、原料がノズル249aから供給されないステップBでは、第3流量を第1流量よりも小さな流量とすることが好ましい。不活性ガスは、MFC241bにより流量調整され、ノズル249bの側面に設けられた複数のガス吐出孔250b1のそれぞれと、ノズル249bの先端に設けられたガス吐出孔250b2と、を介して処理室201内へ供給されて、排気口231aより排気される。
【0081】
また、ステップBの実施中、バルブ243f,243gを開き、ノズル249a,249cの側面に設けられた複数のガス吐出孔250a,250cのそれぞれを介して処理室201内へ不活性ガスを供給するようにしてもよい。
【0082】
反応体供給ステップにて窒化剤を供給する際における処理条件としては、
処理温度:0~700℃、好ましくは室温(25℃)~550℃、より好ましくは40~500℃
処理圧力:1~500Pa
窒化剤供給流量:100~10000sccm、好ましくは1000~2000sccm
不活性ガス供給流量(ガス供給管232b、第3流量):300~8000sccm
不活性ガス供給流量(ガス供給管232a,232c毎):0~10000sccm
各ガス供給時間:1~180秒、好ましくは1~60秒
RF電力:100~1000W
RF周波数:13.56MHzまたは27MHz
が例示される。
【0083】
上述の処理条件下でウエハ200に対して窒化剤をプラズマ励起させて供給することにより、ウエハ200上に形成されたSi含有層の少なくとも一部が窒化(改質)される。結果として、下地としてのウエハ200の最表面上に、SiおよびNを含む層として、シリコン窒化層(SiN層)が形成される。SiN層を形成する際、Si含有層に含まれていたCl等の不純物は、プラズマ励起された窒化剤によるSi含有層の改質反応の過程において、少なくともClを含むガス状物質を構成し、処理室201内から排出される。これにより、SiN層は、原料供給ステップで形成されたSi含有層に比べて、Cl等の不純物が少ない層となる。
【0084】
反応体供給ステップでは、ノズル249cを介して処理室201内へ反応体を供給する間、ガス吐出孔250b1,250b2を備えたノズル249bを用いて、処理室201内へ不活性ガスを吐出させている。すなわち、ステップBと並行してステップB’を実施している。これにより、ステップBの実施中に、ノズル249aの裏面側(例えば、ノズル249aのうちガス吐出孔250aの設置範囲以外の面)と、処理室201内の上部ドーム空間とを、不活性ガスでパージすることができる。その結果、原料供給ステップにおいて、ノズル249aの側面および反応管203の天井部の内壁面の少なくともいずれかに原料由来物質が付着した場合であっても、反応体供給ステップにおいて、ノズル249aの側面および反応管203の天井部の内壁面の少なくともいずれかに付着した原料由来物質と、反応体と、が反応することを抑制することが可能となる。このような反応を抑制することにより、原料由来物質と反応体とが反応することにより生じる物質が、ノズル249aの側面および反応管203の天井部の内壁面の少なくともいずれかに付着することを確実に抑制することが可能となり、パーティクルの発生等を確実に抑制することが可能となる。
【0085】
SiN層が形成された後、バルブ243cを閉じ、処理室201内への窒化剤の供給を停止する。そして、上述の原料供給ステップにおけるパージと同様の処理手順、処理条件により、処理室201内に残留するガス状物質等を処理室201内から排除する(パージ)。このとき、原料供給ステップにおけるパージと同様に、パージにおいてガス供給管232b内へ流す不活性ガスの流量(第2流量)は、ステップB’においてガス供給管232b内へ流す不活性ガスの流量(第3流量)よりも大きな流量とすることが好ましい。
【0086】
反応体、すなわち、窒化剤としては、例えば、窒素(N)及びH含有ガスを用いることができる。N及びH含有ガスは、N含有ガスでもあり、H含有ガスでもある。窒化剤は、N-H結合を有することが好ましい。
【0087】
窒化剤としては、例えば、アンモニア(NH)ガス、ジアゼン(N)ガス、ヒドラジン(N)ガス、Nガス等の窒化水素系ガスを用いることができる。窒化剤としては、これらのうち1以上を用いることができる。
【0088】
窒化剤としては、これらの他、例えば、窒素(N)、炭素(C)及びH含有ガスを用いることもできる。N,C及びH含有ガスとしては、例えば、アミン系ガスや有機ヒドラジン系ガスを用いることができる。N,C及びH含有ガスは、N含有ガスでもあり、C含有ガスでもあり、H含有ガスでもあり、N及びC含有ガスでもある。
【0089】
窒化剤としては、例えば、モノエチルアミン(CNH)ガス、ジエチルアミン((CNH)ガス、トリエチルアミン((CN)ガス等のエチルアミン系ガスや、モノメチルアミン(CHNH)ガス、ジメチルアミン((CHNH)ガス、トリメチルアミン((CHN)ガス等のメチルアミン系ガスや、モノメチルヒドラジン((CH)HN)ガス、ジメチルヒドラジン((CH)ガス、トリメチルヒドラジン((CH(CH)H)ガス等の有機ヒドラジン系ガス等を用いることができる。窒化剤としては、これらのうち1以上を用いることができる。
【0090】
[所定回数実施]
上述の原料供給ステップ、反応体供給ステップを非同時に、すなわち、同期させることなく交互に行うサイクルを所定回数(n回、nは1以上の整数)行うことにより、ウエハ200上に、膜として、例えば、所定厚さのシリコン窒化膜(SiN膜)を形成することができる。上述のサイクルは、複数回繰り返すことが好ましい。すなわち、1サイクルあたりに形成されるSiN層の厚さを所望の膜厚よりも薄くし、SiN層を積層することで形成されるSiN膜の厚さが所望の厚さになるまで、上述のサイクルを複数回繰り返すことが好ましい。なお、窒化剤として、N,C及びH含有ガスを用いる場合、反応体供給ステップにおいて、例えば、シリコン炭窒化層(SiCN層)を形成することもでき、上述のサイクルを所定回数行うことで、ウエハ200の表面上に、膜として、例えば、シリコン炭窒化膜(SiCN膜)を形成することもできる。
【0091】
(アフターパージおよび大気圧復帰)
ウエハ200上に所望厚さのSiN膜を形成した後、ノズル249a~249cのそれぞれからパージガスとしての不活性ガスを処理室201内へ供給し、排気口231aより排気する。これにより、処理室201内がパージされ、処理室201内に残留するガスや反応副生成物等が処理室201内から除去される(アフターパージ)。その後、処理室201内の雰囲気が不活性ガスに置換され(不活性ガス置換)、処理室201内の圧力が常圧に復帰される(大気圧復帰)。
【0092】
(ボートアンロードおよびウエハディスチャージ)
その後、ボートエレベータ115によりシールキャップ219が下降され、反応管203の下端が開口される。そして、処理済のウエハ200が、ボート217に支持された状態でマニホールド209の下端から反応管203の外部に搬出(ボートアンロード)される。処理済のウエハ200は、反応管203の外部に搬出された後、ボート217より取り出される(ウエハディスチャージ)。
【0093】
(3)クリーニング処理工程
上述の基板処理、すなわち、ウエハ200への処理を行うと、原料由来物質、原料由来物質と反応体とが反応することで生じる物質(例えば、SiN膜等のシリコン窒化物)等を含む堆積物が、処理容器内の部材の表面、例えば、反応管203の内壁面、ノズル249a~249cの側面(外側表面)、ボート217の表面等に付着する。そこで、上述の基板処理装置を用い、半導体装置の製造工程の一工程として、ウエハ200への上述の処理を所定回数(1回以上)実施した後、処理容器内に付着した上述の堆積物(以下、単に「堆積物」と称することがある)を除去するクリーニング処理を行う。以下、ウエハ200への処理を行った後の処理容器内をクリーニングするシーケンス例について、主に図5を用いて説明する。以下の説明においても、基板処理装置を構成する各部の動作はコントローラ121により制御される。
【0094】
図5に示す本態様におけるクリーニングシーケンスでは、
上述の基板処理を行った後の処理容器内へ、ノズル249aおよびノズル249bのうち一方のノズルより、第1クリーニングガスを供給し、ノズル249aおよびノズル249bのうち一方のノズルとは異なる他方のノズルより、第1クリーニングガスと反応する添加ガスを供給することで、処理容器内に付着した堆積物を除去するステップ(クリーニングステップ)を行う。
【0095】
図5に示すクリーニングシーケンスでは、一方のノズルとしてノズル249aを用いて、処理室201内へ第1クリーニングガスを供給し、他方のノズルとしてノズル249bを用いて、処理室201内へ添加ガスを供給する例を示している。
【0096】
本明細書では、上述のクリーニングシーケンスを、便宜上、以下のように示すこともある。以下の他の態様や変形例等の説明においても、同様の表記を用いる。
【0097】
(R1:第1クリーニングガス+R2:添加ガス)
【0098】
なお、以下に示すクリーニングシーケンスのように、一方のノズルとしてノズル249bを用いて、処理室201内へ第1クリーニングガスを供給し、他方のノズルとしてノズル249aを用いて、処理室201内へ添加ガスを供給するようにしてもよい。
【0099】
(R1:添加ガス+R2:第1クリーニングガス)
【0100】
(ボートロード)
表面に堆積物が付着している空のボート217、すなわち、ウエハ200を保持していないボート217が、ボートエレベータ115によって持ち上げられて、表面に堆積物が付着している処理容器内、すなわち、処理室201内に搬入される。この状態で、シールキャップ219は、Oリング220を介して反応管203の下端をシールした状態となる。
【0101】
(圧力調整および温度調整)
ボートロードが終了した後、処理室201内が所望の圧力(真空度)となるように、真空ポンプ246によって真空排気(減圧排気)される。この際、処理室201内の圧力は圧力センサ245で測定され、この測定された圧力情報に基づきAPCバルブ244がフィードバック制御される(圧力調整)。また、処理室201内が所望の処理温度となるように、ヒータ207によって加熱される。この際、処理室201内が所望の温度分布となるように、温度センサ263が検出した温度情報に基づきヒータ207への通電具合がフィードバック制御される(温度調整)。また、回転機構267によるボート217の回転を開始する。処理室201内の排気、処理室201内の加熱、ボート217の回転は、いずれも、少なくともクリーニング処理が終了するまでの間は継続して行われる。なお、ボート217は回転させなくてもよい。
【0102】
(クリーニングステップ)
その後、次のクリーニングステップを実施する。
【0103】
本ステップでは、処理容器内の排気を停止した状態、すなわち、排気系を閉塞した状態で、処理容器内へ、第1クリーニングガスと添加ガスとを供給する。
【0104】
具体的には、APCバルブ244を全閉(フルクローズ)とし、排気系による処理室201内の排気を停止した状態で、バルブ243d,243eを開き、ガス供給管232d内へ第1クリーニングガスを、ガス供給管232e内へ添加ガスを、それぞれ流す。第1クリーニングガスは、MFC241dにより流量調整され、ガス供給管232a、ノズル249aの側面に設けられた複数のガス吐出孔250aのそれぞれを介して処理室201内へ供給される(第1クリーニングガス供給)。添加ガスは、MFC241eにより流量調整され、ガス供給管232b、ノズル249bの側面に設けられた複数のガス吐出孔250b1のそれぞれと、ノズル249bの先端に設けられたガス吐出孔250b2と、を介して処理室201内へ供給される(添加ガス供給)。このとき、バルブ243b,243f,243gを開き、ノズル249a~249cのそれぞれを介して処理室201内へ不活性ガスを供給するようにしてもよい。
【0105】
クリーニングステップにて第1クリーニングガス、添加ガスを供給する際における処理条件としては、
第1クリーニングガス供給流量:0.5~10slm
添加ガス供給流量:0.5~5slm
第1クリーニングガス/添加ガス流量比:0.5~2
不活性ガス供給流量(ガス供給管毎):0.01~0.5slm、好ましくは0.01~0.1slm
各ガス供給時間:1~100秒、好ましくは5~60秒
処理温度:400℃未満、好ましくは200~350℃
が例示される。
【0106】
排気系を閉塞した状態で、処理室201内へ第1クリーニングガス、添加ガス等を供給することで、処理室201内の圧力が上昇し始める。ガスの供給を継続することで最終的に到達する処理室201内の圧力(到達圧力)は、例えば、1330~53320Pa、好ましくは9000~15000Paの範囲内の圧力とする。
【0107】
処理室201内の圧力が所定の圧力まで上昇したら、処理容器内の排気を停止した状態で、処理容器内への第1クリーニングガスと添加ガスとの供給を停止して、処理容器内へ第1クリーニングガスと添加ガスとを封じ込めた状態を維持する。具体的には、APCバルブ244を全閉とした状態で、バルブ243d,243eを閉じ、処理室201内への第1クリーニングガス、添加ガスの供給をそれぞれ停止し、この状態を所定時間維持する。このとき同時にバルブ243b,243f,243gを開き、ガス供給管232b,232f,232g内へ不活性ガスを供給する。不活性ガスは、MFC241b,241f,241gにより流量調整され、ノズル249a~249cを介して処理室201内へ供給される。ノズル249a~249cより供給する不活性ガスの流量は、例えば、同一流量とする。
【0108】
クリーニングステップにて、第1クリーニングガス、添加ガスを封じ込める際における処理条件としては、
不活性ガス供給流量(各ガス供給管):0.01~0.5slm、好ましくは0.01~0.1slm
封じ込め時間:10~200秒、好ましくは50~120秒
が例示される。他の処理条件は、処理室201内への不活性ガスの供給により、処理室201内の圧力が僅かに上昇し続けることを除き、第1クリーニングガス、添加ガスを供給する際における処理条件と同様な処理条件とする。
【0109】
上述の処理手順、処理条件下で、第1クリーニングガスとして例えばフッ素系ガスを供給し、添加ガスとして例えば酸化窒素系ガスを供給することにより、第1クリーニングガスおよび添加ガスを処理室201内で混合させて反応させることが可能となる。この反応により、処理室201内で、例えば、フッ素ラジカル(F)やフッ化ニトロシル(FNO)等の活性種(以下、これらを総称してFNO等とも称する)を生成することが可能となる。その結果、処理室201内には、フッ素系ガスにFNO等が添加されてなる混合ガスが存在することとなる。フッ素系ガスにFNO等が添加されてなる混合ガスは、処理室201内の部材、例えば、反応管203の内壁、ノズル249a~249cの側面、ボート217の表面等に接触する。このとき、熱化学反応(エッチング反応)により、処理室201内の部材に付着していた堆積物を除去することが可能となる。FNO等は、フッ素系ガスによるエッチング反応を促進させ、堆積物のエッチングレートを増大させるように、すなわち、エッチングをアシストするように作用する。
【0110】
クリーニングステップでは、(i)ノズル249aの側面のうちガス吐出孔250aの設置範囲とは異なる範囲の面、および(ii)ノズル249aのガス吐出孔250aの設置範囲とは異なる範囲の面と反応管203の内壁面との間の空間、のうち少なくともいずれかに向かって開口するガス吐出孔250b1を備えたノズル249bを用いて、処理室201内へ添加ガスを供給している。これにより、FNO等を、ノズル249aの近傍で優先的に生成することができる。その結果、ノズル249aの近傍(特に裏面側)でエッチングレートを高めることができ、エッチング効率を向上させることが可能となる。ノズル249aの近傍(特に裏面側)でエッチングレートを高めることで、ノズル249aの側面に付着していた堆積物を効率的に除去することが可能となる。
【0111】
また、ノズル249a,249bを、ウエハ200の周方向に沿って互いに隣り合う位置にそれぞれ設けている。これにより、FNO等を、ノズル249aの近傍で優先的にかつ確実に生成することができる。
【0112】
また、クリーニングステップでは、ウエハ配列方向における一端側から他端側にわたり設けられた複数のガス吐出孔250b1を備えたノズル249bを用いて、処理室201内へ添加ガスを供給している。これにより、FNO等を、ウエハ配列方向における一端側から他端側にわたりノズル249aの近傍で優先的に生成することができる。
【0113】
また、クリーニングステップでは、ノズル249aの裏面に向くように開口するガス吐出孔250b1を備えたノズル249bを用いて、処理室201内へ添加ガスを供給している。これにより、FNO等を、ノズル249aの裏面側で優先的に生成することができる。したがって、原料や反応体が溜まりやすく、堆積物が付着しやすいノズル249aの裏面側で、エッチングレートを高めることが可能となる。
【0114】
また、クリーニングステップでは、ガス吐出孔250b2を備えたノズル249bを用いて、処理室201内へ添加ガスを供給している。これにより、FNO等を、処理室201内の上部ドーム空間で優先的に生成することができる。したがって、原料や反応体が滞留しやすく、堆積物が付着しやすい上部ドーム空間で、エッチングレートを高めることができ、エッチング効率を向上させることが可能となる。その結果、反応管203の天井部の内壁面に付着していた堆積物を効率的に除去することが可能となる。
【0115】
なお、添加ガスを供給するノズル249bは、第1クリーニングガスを供給するノズル249aよりもエッチングダメージを受けやすい。このため、クリーニングステップでは、原料を供給するノズル249aとは異なるノズル249bを用いて、処理室201内へ添加ガスを供給している。また、添加ガスを供給するノズル249bは、反応管203に対して着脱可能に設けられている。これらにより、ノズル249bがエッチングダメージを受けた場合であっても、ノズル249aを使用する基板処理に影響を与える可能性を低減できる。例えば、ノズル249b内への第1クリーニングガスの侵入又は供給により、ノズル249bがエッチングダメージを受けた場合であっても、ノズル249bの交換を容易に行うことが可能となる。
【0116】
また、クリーニングステップでは、原料を供給するノズル249aを用いて、処理室201内へ第1クリーニングガスを供給している。これにより、ノズル249a内に付着した原料由来物質や、ノズル249a内への反応体の侵入等によりノズル249aの内壁面に形成された堆積物を除去することが可能となる。
【0117】
第1クリーニングガスとしては、例えば、ハロゲンを含有するガスを用いることができる。ハロゲンを含有するガスとしては、例えば、フッ素系ガスを用いることができる。フッ素系ガスとしては、例えば、フッ素(F)ガス、三フッ化塩素(ClF)ガス、一フッ化塩素(ClF)ガス、三フッ化窒素(NF)ガスを用いることができる。第1クリーニングガスとしては、これらのうち1以上を用いることができる。
【0118】
添加ガスとしては、例えば、酸化窒素系ガスを用いることができる。酸化窒素系ガスとしては、例えば、一酸化窒素(NO)ガス、亜酸化窒素(NO)ガスを用いることができる。添加ガスとしては、これらのうち1以上を用いることができる。
【0119】
添加ガスとしては、酸化窒素系ガスの他、例えば、水素(H)ガス、酸素(O)ガス、イソプロピルアルコール((CHCHOH)ガス、メタノール(CHOH)ガス、水蒸気(HOガス)を用いることができる。添加ガスとしては、これらのうち1以上を用いることができる。
【0120】
(アフターパージおよび大気圧復帰)
処理容器内のクリーニングが完了したら、APCバルブ244を開け、ノズル249a~249cのそれぞれから不活性ガスを処理室201内へ供給し、排気口231aより排気する。これにより、処理室201内がパージされ、クリーニング後に処理室201内に残留するガスや副生成物等が処理室201内から除去される(アフターパージ)。その後、処理室201内の雰囲気が不活性ガスに置換され(不活性ガス置換)、処理室201内の圧力が常圧に復帰される(大気圧復帰)。
【0121】
(ボートアンロード)
その後、ボートエレベータ115によりシールキャップ219が下降され、反応管203の下端が開口される。そして、空のボート217が、反応管203の下端から反応管203の外部へ搬出される(ボートアンロード)。これら一連の工程が終了すると、上述の基板処理が再開される。
【0122】
(4)本態様による効果
本態様によれば、以下に示す1つ又は複数の効果が得られる。
【0123】
(a)原料供給ステップにおいて、ノズル249aから処理室201内へ原料を供給する間(ステップAの実施中)、(i)ノズル249aの側面のうちガス吐出孔250aの設置範囲とは異なる範囲の面、および(ii)ノズル249aのガス吐出孔250aの設置範囲とは異なる範囲の面と反応管203の内壁面との間の空間、のうち少なくともいずれかに向かって開口するガス吐出孔250b1を備えたノズル249bを用いて、処理室201内へ不活性ガスを吐出させている。これにより、原料供給時に、ノズル249aの側面(例えば、ノズル249aの側面のうちガス吐出孔250aの設置範囲以外の面)を、不活性ガスでパージすることができる。その結果、ノズル249aの側面に原料由来物質が付着することを抑制することが可能となる。また、ノズル249aの側面への原料由来物質の付着を抑制することで、反応体供給ステップにおいて、ノズル249aの側面に付着した原料由来物質と反応体とが反応することを抑制することが可能となる。これにより、原料由来物質や、原料由来物質と反応体との反応物等を含む堆積物が、ノズル249aの側面に付着することを抑制することが可能となる。その結果、パーティクルの発生等を抑制することが可能となり、最終的にウエハ200上に形成される膜質の低下等を抑制することが可能となる。
【0124】
また、反応体供給ステップにおいて、ノズル249cを介して処理室201内へ反応体を供給する間(ステップBの実施中)、上述のガス吐出孔250b1を備えたノズル249bを用いて、処理室201内へ不活性ガスを吐出させている。これにより、反応体供給時に、ノズル249aの側面を、不活性ガスでパージすることができる。その結果、原料供給ステップにおいて、ノズル249aの側面に原料由来物質が付着した場合であっても、反応体供給ステップにおいて、ノズル249aの側面に付着した原料由来物質と反応体とが反応することを抑制することが可能となる。このような反応を抑制することにより、原料由来物質と反応体との反応物が、ノズル249aの側面に付着することを確実に抑制することが可能となり、パーティクルの発生等を確実に抑制することが可能となる。
【0125】
また、クリーニングステップにおいて、上述のガス吐出孔250b1を備えたノズル249bを用いて、処理室201内へ添加ガスを供給している。これにより、FNO等を、ノズル249aの近傍で優先的に生成することができる。したがって、ノズル249aの近傍でエッチングレートを高めることができ、エッチング効率を向上させることが可能となる。その結果、ノズル249aの側面に付着した堆積物を効率的に除去することが可能となる。
【0126】
(b)原料供給ステップにおいて、原料供給時に、ノズル249aの裏面に向くように開口するガス吐出孔250b1を備えたノズル249bを用いて、処理室201内へ不活性ガスを吐出させている。これにより、原料供給時に、原料が滞留しやすいノズル249aの裏面側を不活性ガスでパージすることができる。その結果、ノズル249aの裏面側に、原料が滞留することを抑制することが可能となる。ノズル249aの裏面側での原料の滞留を抑制することにより、ノズル249aの裏面側に原料が付着することを確実に抑制することが可能となり、結果、ノズル249aの側面に、原料と反応体とを含む物質が付着することを確実に抑制することが可能となる。
【0127】
また、クリーニングステップにおいて、ノズル249aの裏面に向くように開口するガス吐出孔250b1を備えたノズル249bを用いて、処理室201内へ添加ガスを供給している。これにより、FNO等を、ノズル249aの裏面側で優先的に生成することができる。したがって、原料や反応体が溜まりやすく、堆積物が付着しやすいノズル249aの裏面側で、エッチングレートを高めることが可能となる。その結果、ノズル249aの側面に付着した堆積物をより効率的に除去することが可能となる。
【0128】
(c)原料供給ステップにおいて、ガス吐出孔250b2を備えたノズル249bを用いて、処理室201内へ不活性ガスを吐出させている。これにより、原料供給時に、原料が滞留しやすい処理室201内の上部ドーム空間を、不活性ガスで効率的にパージすることができる。その結果、反応管203の天井部の内壁面に原料が付着することを抑制できる。
【0129】
クリーニングステップにおいて、ガス吐出孔250b2を備えたノズル249bを用いて、処理室201内へ添加ガスを供給している。これにより、FNO等を、処理室201内の上部ドーム空間で優先的に生成することができる。したがって、原料や反応体が滞留しやすく、堆積物が付着しやすい上部ドーム空間で、エッチングレートを高めることができ、エッチング効率を向上させることが可能となる。その結果、反応管203の天井部の内壁面に付着していた堆積物を効率的に除去することが可能となる。
【0130】
(d)原料供給ステップにおいて、ウエハ配列領域に向かって開口するガス吐出孔を備えないノズル249bを用いて、処理室201内へ不活性ガスを吐出させている。これにより、原料供給時に、ノズル249aから供給された原料の処理室201内における希釈化を抑制することが可能となる。その結果、ノズル249bから供給される不活性ガスが、原料供給ステップにおいてウエハ200上に形成される層の形成レートや、ウエハ200上に最終的に形成される膜の厚さや品質等に影響を及ぼすことを抑制することができる。
【0131】
(e)原料供給ステップにおいて、パージを行う際にガス供給管232b内へ流す不活性ガスの流量(第2流量)を、原料を供給する際(ステップA’の実施中)にガス供給管232b内へ流す不活性ガスの流量(第1流量)よりも大きな流量としている。これにより、処理室201内の上部ドーム空間を効率的にパージすることができる。その結果、処理室201内の上部ドーム空間に残留する原料に起因する成膜への影響を抑制することが可能となる。
【0132】
(f)上述の効果は、成膜ステップにおいて、ウエハ200に対して原料と反応体とを同時に供給する同時供給法を用いる場合においても、同様に得ることができる。また、上述の効果は、クリーニングステップにおいて、第1クリーニングガスと添加ガスとを非同時に交互に供給する交互供給法を用いる場合においても、同様に得ることができる。
【0133】
(g)上述の効果は、上述の各種原料、各種反応体、各種不活性ガス、各種第1クリーニングガス、各種添加ガスから、所定の物質(ガス状物質、液体状物質)を任意に選択して用いる場合においても、同様に得ることができる。
【0134】
(5)変形例
本態様における基板処理シーケンスは、以下に示す変形例のように変更することができる。これらの変形例は、任意に組み合わせることができる。特に説明がない限り、各変形例の各ステップにおける処理手順、処理条件は、上述の基板処理シーケンスの各ステップにおける処理手順、処理条件と同様とすることができる。
【0135】
(変形例1)
以下に示すクリーニングシーケンスのように、クリーニングステップでは、ノズル249aおよびノズル249bのうちの一方のノズルへ、第1クリーニングガスを供給し、ノズル249aおよびノズル249bのうち一方のノズルとは異なる他方のノズルへ、第1クリーニングガスとは組成が異なる(例えば分子構造が異なる)第2クリーニングガスを供給してもよい。
【0136】
(R1:第1クリーニングガス+R2:第2クリーニングガス)
(R1:第2クリーニングガス+R2:第1クリーニングガス)
【0137】
ノズル249aから第2クリーニングガスを供給する場合、主に、ガス供給管232d、MFC241d、バルブ243dにより第2クリーニングガス供給系を構成することができる。ノズル249bから第2クリーニングガスを供給する場合、主に、ガス供給管232e、MFC241e、バルブ243eにより第2クリーニングガス供給系を構成することができる。
【0138】
第2クリーニングガスとしては、例えば、HおよびFを含むガス(Hを含むフッ素系ガス)を用いることができる。HおよびFを含むガスとしては、例えば、フッ化水素(HF)ガスを用いることができる。
【0139】
第1クリーニングガス、第2クリーニングガスを供給する際の処理手順、処理条件は、上述の態様の第1クリーニングガスを供給する際の処理手順、処理条件と同様とすることができる。
【0140】
本変形例においても、上述の態様と同様の効果が得られる。すなわち、ノズル249bを用いて、処理室201内へ第1クリーニングガス又は第2クリーニングガスを供給することで、ノズル249aの側面に付着した堆積物を効率的に除去することが可能となる。また、本変形例においては、さらに、クリーニングステップにおいて、異なる複数種(例えば2種)のクリーニングガスを用いている。これにより、処理容器内の部材の表面に付着した堆積物をより効率的に除去することが可能となる。
【0141】
(変形例2)
以下に示すクリーニングシーケンスのように、クリーニングステップでは、ノズル249aおよびノズル249bのうち一方のノズルであるノズル249bへ、第1クリーニングガス又は第2クリーニングガスを供給するとともに、一方のノズル249bとは異なる他方のノズルであるノズル249aから処理室201内へ不活性ガスを供給してもよい。第1クリーニングガス又は第2クリーニングガスを供給する際の処理手順、処理条件は、上述の態様のクリーニングステップにおいて第1クリーニングガスを供給する際のそれと同様とすることができる。
【0142】
(R1:不活性ガス+R2:第1クリーニングガス)
(R1:不活性ガス+R2:第2クリーニングガス)
【0143】
本変形例においても、上述の態様と同様の効果が得られる。すなわち、ノズル249bを用いて、処理室201内へ第1クリーニングガス又は第2クリーニングガスを供給することで、ノズル249aの側面に付着した堆積物を効率的に除去することが可能となる。
【0144】
(変形例3)
以下に示すクリーニングシーケンスのように、クリーニングステップでは、ノズル249a~249cのうちいずれか一のノズルへ、第1クリーニングガス又は第2クリーニングガスを供給し、ノズル249a~249cのうちいずれか一のノズルとは異なる他の一のノズルへ、添加ガス又は第2クリーニングガスを供給するようにしてもよい。第1クリーニングガス又は第2クリーニングガスを供給する際の処理手順、処理条件は、上述の態様のクリーニングステップにおいて第1クリーニングガスを供給する際のそれと同様とすることができる。また、添加ガス、不活性ガスを供給する際の処理手順、処理条件は、上述の態様のクリーニングステップにおけるそれらと同様とすることができる。
【0145】
(R1:不活性ガス+R2:第1クリーニングガス+R3:添加ガス)
(R1:不活性ガス+R2:第2クリーニングガス+R3:添加ガス)
(R1:不活性ガス+R2:添加ガス+R3:第1クリーニングガス)
(R1:不活性ガス+R2:添加ガス+R3:第2クリーニングガス)
【0146】
本変形例においても、上述の態様と同様の効果が得られる。すなわち、ノズル249bを用いて、処理室201内へ第1クリーニングガス、第2クリーニングガス、および添加ガスのうちいずれかを供給することで、FNO等を、ノズル249aの近傍で優先的に生成することができる。これにより、ノズル249aの側面に付着した堆積物を効率的に除去することが可能となる。
【0147】
さらにまた、以下に示すクリーニングシーケンスのように変更してもよい。
【0148】
(R1:第1クリーニングガス+R2:不活性ガス+R3:添加ガス)
(R1:第2クリーニングガス+R2:不活性ガス+R3:添加ガス)
【0149】
(変形例4)
例えば、図6に示すように、処理室201内には、第1~第3供給部に加えて、第4、第5供給部としてのノズル249d,249eがそれぞれ設けられていてもよい。ノズル249d,249eを、それぞれ第4、第5ノズルとも称する。
【0150】
ノズル249dの側面には、ガスを吐出させる第4吐出孔が設けられている。第4吐出孔の構成は、上述のノズル249aの側面に設けられたガス吐出孔250aの構成と同様とすることができる。
【0151】
ノズル249eは、反応管203に対して着脱可能に設けられている。ノズル249eの側面には、ガスを吐出させる第5吐出孔が設けられている。第5吐出孔は、(i)ノズル249dの側面のうち第4吐出孔の設置範囲とは異なる範囲の面、および(ii)ノズル249dの第4吐出孔の設置範囲とは異なる範囲の面と反応管203の内壁面との間の空間、のうち少なくともいずれかに向くように開口している。その他の構成は、上述のノズル249bの構成と同様とすることができる。
【0152】
本変形例では、原料供給系は、ノズル249a,249dを介して処理室201内へ原料を供給するように構成されており、不活性ガス供給系は、ノズル249b,249eを介して処理室201内へ不活性ガスを供給するように構成されている。また、第1クリーニングガス供給系は、ノズル249a,249dを介して処理室201内へ第1クリーニングガスを供給するように構成されており、添加ガス供給系は、ノズル249b,249eを介して処理室201内へ添加ガスを供給するように構成されている。
【0153】
本変形例においても、上述の態様や変形例と同様の効果が得られる。すなわち、原料供給時や反応体供給時に、ノズル249b,249eから不活性ガスを吐出させることで、ノズル249a,249dの側面(例えば、ノズル249a,249dの側面のうち第1吐出孔の設置範囲以外の面および第4吐出孔の設置範囲以外の面)を、不活性ガスでパージすることができる。また、クリーニング時に、ノズル249b,249eから処理室201内へ添加ガスを供給することで、ノズル249a,249dの近傍でエッチングレートを高めることができ、エッチング効率を向上させることが可能となる。
【0154】
なお、ノズル249b,249eから、第1クリーニングガス又は第2クリーニングガスを供給するように構成されていてもよい。
【0155】
(変形例5)
例えば、図7に示すように、処理室201内には、第1~第3供給部に加えて、第6供給部としてのノズル249fが設けられていてもよい。ノズル249fを、第6ノズルとも称する。ノズル249fの側面には、ガスを吐出させる第6吐出孔が設けられている。第6吐出孔の構成は、上述のノズル249aの側面に設けられたガス吐出孔250aの構成と同様とすることができる。
【0156】
本変形例では、ノズル249bの側面には、第2吐出孔に加えて、第7吐出孔がさらに設けられている。第7吐出孔は、(i)ノズル249fの側面のうち第6吐出孔の設置範囲とは異なる範囲の面、および(ii)ノズル249fの第6吐出孔の設置範囲とは異なる範囲の面と反応管203の内壁面との間の空間、のうち少なくともいずれかに向くように開口している。第7吐出孔の他の構成は、上述のノズル249bの側面に設けられた第2吐出孔(ガス吐出孔250b1)の構成と同様とすることができる。
【0157】
また、本変形例では、原料供給系は、ノズル249a,249fを介して処理室201内へ原料を供給するように構成されている。また、第1クリーニングガス供給系は、ノズル249a,249fを介して処理室201内へ第1クリーニングガスを供給するように構成されている。
【0158】
本変形例においても、上述の態様や変形例と同様の効果が得られる。すなわち、原料供給時や反応体供給時に、ノズル249bの第2吐出孔および第7吐出孔から不活性ガスを吐出させることで、ノズル249a,249fの側面(例えば、ノズル249a,249fの側面のうち第1吐出孔の設置範囲以外の面および第6吐出孔の設置範囲以外の面)を、不活性ガスでパージすることができる。また、クリーニング時に、ノズル249bの第2吐出孔、第7吐出孔から、第1クリーニングガス、第2クリーニングガス、又は添加ガスを供給することで、ノズル249a,249fの近傍でエッチングレートを高めることができ、エッチング効率を向上させることが可能となる。
【0159】
(変形例6)
例えば、図8に示すように、ノズル249bの側面には、第2吐出孔に加えて、第8吐出孔がさらに設けられていてもよい。第8吐出孔は、ノズル249bの側面において、ウエハ配列領域に対向する位置とは異なる範囲であって、且つ第2吐出孔の設置範囲とは異なる範囲の面に開口されている。より好ましくは、第8吐出孔は、ノズル249aの側面のうち第1吐出孔の設置範囲とは異なる範囲の面、および第1吐出孔の設置範囲とは異なる範囲の面と反応管203の内壁面との間の空間のいずれにも向かないように開口している。例えば、第8吐出孔は、図8に示すように、ノズル249bの周方向においてガス吐出孔250b1とは略反対側の側面に設けられ、反応管203の内壁面に向くように開口しており、反応管203の内壁面に向かってガスを吐出させることが可能となっている。第8吐出孔の他の構成は、上述のノズル249bの側面に設けられた第2吐出孔の構成と同様とすることができる。
【0160】
本変形例においても、上述の態様と同様の効果が得られる。さらに、本変形例では、原料供給時における反応管203の内壁面への原料由来物質の付着を抑制することができ、反応管203の内壁面に原料由来物質と反応体とが反応することにより生じる物質が付着することを抑制することが可能となる。また、本変形例では、クリーニング時に、反応管203の内壁面の近傍でエッチングレートを高めることができ、反応管203の内壁面に付着した堆積物を効率的に除去することが可能となる。
【0161】
<本開示の他の態様>
以上、本開示の態様を具体的に説明した。しかしながら、本開示は上述の態様に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0162】
例えば、本開示は、基板上に、主元素として、シリコン(Si)、ゲルマニウム(Ge)等の半導体元素や、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)タンタル(Ta)、アルミニウム(Al)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、ルテニウム(Ru)等の金属元素を含有する膜を形成する場合においても、適用することができる。成膜剤を供給する際の処理手順、処理条件は、上述の態様の各ステップにおけるそれらと同様とすることができる。これらの場合においても、上述の態様と同様の効果が得られる。
【0163】
また例えば、本開示は、基板上に、酸素(O)、炭素(C)、窒素(N)、硼素(B)などの元素を含有する膜を形成する場合においても、適用することができる。例えば、本開示は、反応体として、上述の窒素含有ガス、HOガス、過酸化水素(H)ガス、水素(H)ガス+酸素(O)ガス、オゾン(O)ガス等の酸素含有ガス、エチレン(C)ガス、アセチレン(C)ガス、プロピレン(C)ガス等の炭素含有ガス、トリエチルアミン((CN)ガス、トリメチルアミン((CHN、)ガス等の窒素および炭素含有ガス、ジボラン(B)ガス、トリクロロボラン(BCl)ガス等の硼素含有ガスを用い、上述の処理シーケンスにより、基板上に、シリコン酸化膜(SiO膜)、シリコン酸炭化膜(SiOC膜)、シリコン酸炭窒化膜(SiOCN膜)、シリコン炭窒化膜(SiCN膜)、シリコン硼窒化膜(SiBN膜)、シリコン硼炭窒化膜(SiBCN膜)等を形成する場合においても、適用することができる。成膜剤を供給する際の処理手順、処理条件は、上述の態様の各ステップにおけるそれらと同様とすることができる。これらの場合においても、上述の態様と同様の効果が得られる。
【0164】
なお、本明細書において「Hガス+Oガス」のような2つのガスの併記記載は、HガスとOガスとの混合ガスを意味する。混合ガスを供給する場合は、2つのガスを供給管内で混合(プリミックス)させた後に、処理室201内へ供給するようにしてもよく、2つのガスを異なる供給管より別々に処理室201内へ供給し、処理室201内で混合(ポストミックス)させるようにしてもよい。
【0165】
各処理に用いられるレシピは、処理内容に応じて個別に用意し、電気通信回線や外部記憶装置123を介して記憶装置121c内に記録し、格納しておくことが好ましい。そして、各処理を開始する際、CPU121aが、記憶装置121c内に記録され、格納された複数のレシピの中から、処理内容に応じて適正なレシピを適宜選択することが好ましい。これにより、1台の基板処理装置で様々な膜種、組成比、膜質、膜厚の膜を、再現性よく形成することができるようになる。また、オペレータの負担を低減でき、操作ミスを回避しつつ、各処理を迅速に開始できるようになる。
【0166】
上述のレシピは、新たに作成する場合に限らず、例えば、基板処理装置に既にインストールされていた既存のレシピを変更することで用意するようにしてもよい。レシピを変更する場合は、変更後のレシピを、電気通信回線や当該レシピを記録した記録媒体を介して、基板処理装置にインストールするようにしてもよい。また、既存の基板処理装置が備える入出力装置122を操作し、基板処理装置に既にインストールされていた既存のレシピを直接変更するようにしてもよい。
【0167】
上述の態様では、第1吐出孔~第8吐出孔がそれぞれ複数の吐出孔を含むように構成されている例について説明した。本開示は上述の態様に限定されず、例えば、第1吐出孔~第8吐出孔の少なくともいずれか一つが、ノズルの側面にノズルの延伸方向(すなわち基板の配列方向)に延びるように設けられた1または複数のスリット状の穴を含むように構成されていてもよい。
【0168】
上述の態様では、一度に複数枚の基板を処理するバッチ式の基板処理装置を用いて膜を形成する例について説明した。本開示は上述の態様に限定されず、例えば、一度に1枚または数枚の基板を処理する枚葉式の基板処理装置を用いて膜を形成する場合にも、好適に適用することができる。また、上述の態様では、ホットウォール型の処理炉を有する基板処理装置を用いて膜を形成する例について説明した。本開示は上述の態様に限定されず、コールドウォール型の処理炉を有する基板処理装置を用いて膜を形成する場合にも、好適に適用することができる。
【0169】
これらの基板処理装置を用いる場合においても、上述の態様や変形例と同様な処理手順、処理条件にて各処理を行うことができ、上述の態様や変形例と同様の効果が得られる。
【0170】
上述の態様や変形例は、適宜組み合わせて用いることができる。このときの処理手順、処理条件は、例えば、上述の態様や変形例の処理手順、処理条件と同様とすることができる。
【符号の説明】
【0171】
200 ウエハ(基板)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8