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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024047233
(43)【公開日】2024-04-05
(54)【発明の名称】超音波内視鏡
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/12 20060101AFI20240329BHJP
   A61B 1/00 20060101ALI20240329BHJP
【FI】
A61B8/12
A61B1/00 715
A61B1/00 530
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022152751
(22)【出願日】2022-09-26
(71)【出願人】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083116
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲三
(74)【代理人】
【識別番号】100170069
【弁理士】
【氏名又は名称】大原 一樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128635
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100140992
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲政
(72)【発明者】
【氏名】井上 正也
【テーマコード(参考)】
4C161
4C601
【Fターム(参考)】
4C161BB02
4C161CC06
4C161DD03
4C161FF40
4C161FF46
4C161JJ11
4C161LL02
4C161WW16
4C601BB06
4C601BB24
4C601EE16
4C601FE02
4C601GB05
(57)【要約】
【課題】ブラケットに起因するライトガイドファイバの損傷問題を解消することができる超音波内視鏡を提供する。
【解決手段】ベース部材54の内周面54Bに配置された押し当て部130であって、ライトガイドファイバ70の被押し当て部74Dが押し当てられる押し当て面132を有し、押し当て面132に被押し当て部70Eが押し当てられることにより、ライトガイドファイバ70の本体部分70Cを、ケーブル支持部82から長手軸A方向に直交する方向に離間した位置に配置する押し当て部130を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体内に挿入される細長の挿入部の先端部に設けられたラジアル型の超音波トランスデューサと、
前記先端部の先端面に設けられた照明窓と、
前記挿入部の内部に挿通され、照明光を前記照明窓に導くライトガイドファイバと、
前記挿入部の内部に挿通され、前記超音波トランスデューサに接続された超音波ケーブルと、
前記挿入部の内部に配置され、前記超音波ケーブルの先端側部分を支持するブラケット本体部を有するブラケットと、
を備え、
前記挿入部の長手軸方向に直交する面に投影した場合に、前記ライトガイドファイバの先端側部分の少なくとも一部と重複又は隣接する位置に前記超音波ケーブルの先端側部分又は前記ブラケット本体部が配置され、
前記挿入部の内部に配置された押し当て部であって、前記ライトガイドファイバの一部である被押し当て部が押し当てられる押し当て面を有し、前記押し当て面に前記被押し当て部が押し当てられることにより、前記ライトガイドファイバの先端側部分よりも基端側に配置された本体部分を、前記ブラケット本体部から前記長手軸方向に直交する方向に離間した位置に配置する押し当て部を備える、
超音波内視鏡。
【請求項2】
前記長手軸方向に直交する面に投影した場合に、前記ライトガイドファイバの先端側部分と前記超音波ケーブルの先端側部分とは少なくとも一部が互いに重なる位置に配置される、
請求項1に記載の超音波内視鏡。
【請求項3】
外周面と内周面とを有する円筒状のベース部材であって、前記外周面で前記超音波トランスデューサを支持するベース部材を備え、
前記ベース部材は、前記内周面に前記押し当て部を有する、
請求項1又は2に記載の超音波内視鏡。
【請求項4】
前記押し当て面は、前記長手軸方向に対して傾斜したテーパ状である、
請求項3に記載の超音波内視鏡。
【請求項5】
前記ブラケットは、前記押し当て部を有する、
請求項1又は2に記載の超音波内視鏡。
【請求項6】
前記押し当て部は、前記ブラケット本体部の先端側から張り出した張り出し部であり、
前記張り出し部は、前記ブラケット本体部から離れる方向に湾曲又は屈曲した形状を有する、
請求項5に記載の超音波内視鏡。
【請求項7】
前記押し当て面は、前記ライトガイドファイバの前記被押し当て部に向かって凸状のR形状面を有する、
請求項6に記載の超音波内視鏡。
【請求項8】
前記押し当て部は、前記挿入部の先端部の内部に配置される、
請求項3に記載の超音波内視鏡。
【請求項9】
前記押し当て部は、前記挿入部の先端部の内部に配置される、
請求項5に記載の超音波内視鏡。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波内視鏡に係り、特に、挿入部の先端部にラジアル型の超音波トランスデューサが設けられた超音波内視鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、医療現場において、超音波内視鏡が使用される。超音波内視鏡は、被検者の体内に超音波を照射し、その反射波を受信して映像化する超音波トランスデューサを備えている。このような超音波内視鏡として、特許文献1には、挿入部の先端部にラジアル型の超音波トランスデューサが設けられた超音波内視鏡が開示されている。この超音波内視鏡によれば、挿入部の内部において超音波トランスデューサと超音波ケーブルとが電気的に接続されている。
【0003】
また、特許文献1の超音波内視鏡は、超音波ケーブルの先端側部分を支持する押さえ部材を有している。この押さえ部材は、超音波トランスデューサの基端側に設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2022-124502号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
超音波内視鏡は、挿入部の内部に挿通される内容物として上記の超音波ケーブルの他、ライトガイドファイバ、鉗子チャンネル及び送気送水チャンネル等の複数の内容物を有している。
【0006】
挿入部の小径化を図るために、挿入部の内部に挿通される各内容物の配置位置を決める場合、まず、それらの内容物のなかで一番大きな外径を有する鉗子チャンネルの位置を決定し、その後、残りの空きスペースに超音波ケーブル及びライトガイドファイバ等の内容物を配置するための位置を決定する場合がある。
【0007】
ところで、挿入部の内部スペースは非常に狭いため、内容物同士が挿入部の内部で互いに干渉する場合ある。その場合には、干渉する内容物のうち一方の内容物を他方の内容物に対してオフセット(ずらす)して配置させなければならない。内容物をオフセットさせる構成(以下、オフセット構成と言う。)として、例えば、ライトガイドファイバと超音波ケーブルとが干渉する場合、ライトガイドファイバの一部を、特許文献1に開示された押さえ部材(以下、ブラケットと言う。)の先端に当接させてライトガイドファイバをオフセットすることが考えられる。
【0008】
しかしながら、このようなオフセット構成を採用した場合、ライトガイドファイバの一部がブラケットの先端に擦り付けられるため、ライトガイドファイバが損傷する場合がある。
【0009】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、ブラケットに起因するライトガイドファイバの損傷問題を解消することができる超音波内視鏡を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の超音波内視鏡は、上記の目的を達成するために、被検体内に挿入される細長の挿入部の先端部に設けられたラジアル型の超音波トランスデューサと、先端部の先端面に設けられた照明窓と、挿入部の内部に挿通され、照明光を照明窓に導くライトガイドファイバと、挿入部の内部に挿通され、超音波トランスデューサに接続された超音波ケーブルと、挿入部の内部に配置され、超音波ケーブルの先端側部分を支持するブラケット本体部を有するブラケットと、を備え、挿入部の長手軸方向に直交する面に投影した場合に、ライトガイドファイバの先端側部分の少なくとも一部と重複又は隣接する位置に超音波ケーブルの先端側部分又はブラケット本体部が配置され、挿入部の内部に配置された押し当て部であって、ライトガイドファイバの一部である被押し当て部が押し当てられる押し当て面を有し、押し当て面に被押し当て部が押し当てられることにより、ライトガイドファイバの先端側部分よりも基端側に配置された本体部分を、ブラケット本体部から長手軸方向に直交する方向に離間した位置に配置する押し当て部を備える。
【0011】
本発明の一形態によれば、長手軸方向に直交する面に投影した場合に、ライトガイドファイバの先端側部分と超音波ケーブルの先端側部分とは少なくとも一部が互いに重なる位置に配置されることが好ましい。
【0012】
本発明の一形態によれば、外周面と内周面とを有する円筒状のベース部材であって、外周面で超音波トランスデューサを支持するベース部材を備え、ベース部材は、内周面に押し当て部を有することが好ましい。
【0013】
本発明の一形態によれば、押し当て面は、長手軸方向に対して傾斜したテーパ状であることが好ましい。
【0014】
本発明の一形態によれば、ブラケットは、押し当て部を有することが好ましい。
【0015】
本発明の一形態によれば、押し当て部は、ブラケット本体部の先端側から張り出した張り出し部であり、張り出し部は、ブラケット本体部から離れる方向に湾曲又は屈曲した形状を有することが好ましい。
【0016】
本発明の一形態によれば、押し当て面は、ライトガイドファイバの被押し当て部に向かって凸状のR形状面を有することが好ましい。
【0017】
本発明の一形態によれば、押し当て部は、挿入部の先端部の内部に配置されることが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、ブラケットに起因するライトガイドファイバの損傷問題を解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】超音波内視鏡を用いる超音波検査システムの構成を示した概略構成図である。
図2図1に示した超音波内視鏡の先端部の外観を示した拡大斜視図である。
図3図1に示した超音波内視鏡の先端硬質部の断面図である。
図4】ブラケットの外観を示した全体斜視図である。
図5】挿入部の長手軸方向に直交する面に投影した場合のライトガイドファイバ等の配置位置を示した説明図である。
図6】ライトガイドファイバの先端側部分と本体部分の各領域を説明した図である。
図7】ライトガイドファイバの本体部分の配置位置をずらすためのオフセット構成の一例を示した図である。
図8】第1形態のオフセット構成を分かり易く説明するための説明図である。
図9】第2形態のオフセット構成を分かり易く説明するための説明図である。
図10図9に示したブラケットの外観を示した全体斜視図である。
図11】ベース部材に設けられる押し当て面の変形例を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図面に従って本発明に係る超音波内視鏡の実施形態について説明する。
【0021】
図1は、実施形態の超音波内視鏡12を使用する超音波検査システム10の一例を示した概略構成図である。図2は、図1に示した超音波内視鏡12の先端部の外観を示した拡大斜視図である。
【0022】
〔超音波検査システムについて〕
図1に示すように、超音波検査システム10は、超音波内視鏡12と、超音波画像を生成する超音波用プロセッサ装置14と、内視鏡画像を生成する内視鏡用プロセッサ装置16と、体腔内を照明する照明光を超音波内視鏡12に供給する光源装置18と、超音波画像及び内視鏡画像を表示するモニタ20とを備える。また、超音波検査システム10は、洗浄水等を貯留する送水タンク21aと、体腔内の吸引物を吸引する吸引ポンプ21bとを備える。
【0023】
超音波用プロセッサ装置14は、超音波内視鏡12の超音波観察部36に超音波を発生させるための超音波信号を生成して供給する。また、超音波用プロセッサ装置14は、超音波が放射された観察対象部位から反射されたエコー信号を超音波観察部36で受信して取得し、取得したエコー信号に対して各種の信号処理を施して超音波画像を生成する。
【0024】
内視鏡用プロセッサ装置16は、超音波内視鏡12の内視鏡観察部38において光源装置18からの照明光に照明された観察対象部位から取得された画像信号を受信する。そして、取得した画像信号に対して各種の信号処理及び画像処理を施して、内視鏡画像を生成する。
【0025】
本例では、超音波用プロセッサ装置14及び内視鏡用プロセッサ装置16が、別々に設けられた2台の装置(コンピュータ)によって構成されている。但し、これに限定されるものではなく、1台の装置によって超音波用プロセッサ装置14及び内視鏡用プロセッサ装置16の双方が構成されてもよい。
【0026】
光源装置18は、赤光、緑光及び青光等の3原色光からなる白色光又は特定波長光等の照明光を発生させる。照明光は、超音波内視鏡12内を伝搬し、内視鏡観察部38から出射して体腔内の観察対象部位を照明する。
【0027】
モニタ20は、超音波用プロセッサ装置14及び内視鏡用プロセッサ装置16によって生成された各映像信号を受けて超音波画像及び内視鏡画像を表示する。これらの超音波画像及び内視鏡画像の表示は、いずれか一方のみの画像を適宜切り替えてモニタ20に表示したり両方の画像を同時に表示したりすることも可能である。
【0028】
本例では、1台のモニタ20に超音波画像及び内視鏡画像を表示するが、超音波画像表示用のモニタと、内視鏡画像表示用のモニタとが別々に設けられてもよい。また、モニタ20以外の表示形態、例えば、術者が携帯する端末のディスプレイに表示する形態にて超音波画像及び内視鏡画像を表示してもよい。
【0029】
〔超音波内視鏡について〕
図1に示すように、超音波内視鏡12は、被検体内に挿入される細長の挿入部22と、挿入部22の基端部に連設され、術者が操作を行うための操作部24と、操作部24に一端が接続されたユニバーサルコード26とを有する。
【0030】
操作部24には、送水タンク21aからの送気送水管路(不図示)を開閉する送気送水ボタン28aと、吸引ポンプ21bからの吸引管路(不図示)を開閉する吸引ボタン28bとが並設される。また、操作部24には、一対のアングルノブ29と処置具挿入口30とが設けられる。
【0031】
ユニバーサルコード26の他端部には、超音波用プロセッサ装置14に接続される超音波用のコネクタ32aと、内視鏡用プロセッサ装置16に接続される内視鏡用のコネクタ32bと、光源装置18に接続される光源用のコネクタ32cとが設けられる。超音波内視鏡12は、これらのコネクタ32a、32b及び32cを介してそれぞれ超音波用プロセッサ装置14、内視鏡用プロセッサ装置16及び光源装置18に着脱自在に接続される。また、コネクタ32cには、送水タンク21aに接続される送気送水用チューブ34aと、吸引ポンプ21bに接続される吸引用チューブ34bとが設けられている。
【0032】
挿入部22は、先端側から順に、内視鏡観察部38と超音波観察部36とを有する先端硬質部40(図2参照)と、先端硬質部40の基端側に連結された湾曲部42と、湾曲部42の基端側と操作部24の先端側との間を連結する軟性部44とを有する。先端硬質部40、湾曲部42及び軟性部44は、挿入部22の長手軸A方向に沿って設けられている。湾曲部42は、複数の湾曲駒43(図3参照)を連結してなり、湾曲自在に構成される。軟性部44は、細長、且つ長尺で可撓性を有する。
【0033】
湾曲部42は、操作部24に設けられた一対のアングルノブ29を回動操作することにより、遠隔的に湾曲操作される。これにより、先端硬質部40を所望の方向に向けることができる。
【0034】
図3は、先端硬質部40の断面図である。図3には、湾曲部42を構成する複数の湾曲駒43と、先端側が湾曲部42に連結されて基端側が一対のアングルノブ29(図1参照)に連結される複数本(図3では2本)の湾曲操作ワイヤ45が示されている。
【0035】
次に、図2及び図3を参照して先端硬質部40の構成と、挿入部22の内部に挿通される複数の内容物について説明する。図2に示すように、先端硬質部40には、先端側に内視鏡画像を取得するための内視鏡観察部38と、基端側に超音波画像を取得するためのラジアル型の超音波観察部36とが設けられている。先端硬質部40は、本発明の挿入部の先端部の一例である。
【0036】
先端硬質部40は、内視鏡観察部38の先端側部分に被せられるキャップ状の先端部品50と、超音波観察部36の基端側に配置される基端側リング(バルーンリングとも言う。)52と、を有する。先端部品50及び基端側リング52は、硬質樹脂等の絶縁部材からなり、外装部材となる。
【0037】
図3に示すように、先端部品50の基端側には円筒状のベース部材54(シールドリングとも言う。)が連結される。ベース部材54の外周面には、超音波観察部36を構成する超音波トランスデューサ46が配置される。ベース部材54は、超音波トランスデューサ46を支持する機能の他、超音波トランスデューサ46の超音波振動子48から放射される電磁波をシールドする機能も有している。また、ベース部材54の内側にはライトガイドファイバ70が配置される。
【0038】
図2に戻り、内視鏡観察部38は、先端部品50の先端面51に開口された処置具導出口60、観察窓62、照明窓64及び洗浄ノズル66等を含んでいる。照明窓64は、観察窓62を挟んで2つ設けられている。
【0039】
処置具導出口60には、鉗子チャンネル(不図示)の先端側が接続される。鉗子チャンネルは、図1に示した挿入部22の内部に挿通され、鉗子チャンネルの基端側が操作部24の処置具挿入口30に接続される。鉗子等の処置具が処置具挿入口30から鉗子チャンネルに挿入されて図2の処置具導出口60から導出される。これにより、処置具によって被検体の処置が行われる。上記の鉗子チャンネルは、挿入部22の内部に挿通される複数の内容物のうちの一つである。
【0040】
図2に示す観察窓62には、観察系ユニット(不図示)が接続される。観察系ユニットは、対物レンズ、プリズム、撮像素子、基板及びケーブル等を含んでいる。
【0041】
観察窓62から入射した観察対象部位からの反射光は、対物レンズによって取り込まれる。取り込まれた反射光は、プリズムにより光路が直角に折り曲げられて、撮像素子の撮像面に結像される。撮像素子は、撮像面に結像された観察対象部位の反射光を光電変換して、画像信号を出力する。撮像素子としては、CCD(Charge Coupled Device:電荷結合素子)及びCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor:相補形金属酸化膜半導体)等を挙げることができる。
【0042】
撮像素子は基板に搭載される。基板には撮像素子と電気的に接続される回路パターンが形成されている。回路パターンは端部に複数の電極を備え、この複数の電極に複数の信号線がそれぞれ接続される。信号線は、複数の信号線を含むシールドケーブルの状態で図1に示した湾曲部42から軟性部44を介して操作部24に挿通される。そして、複数の信号線は、操作部24からユニバーサルコード26に挿通されて、内視鏡用のコネクタ32bに接続される。内視鏡用のコネクタ32bは、内視鏡用プロセッサ装置16に接続される。上記のシールドケーブルは、挿入部22の内部に挿通される複数の内容物のうちの一つである。
【0043】
図2に示す照明窓64には、図3に示すライトガイドファイバ70の先端(出射端)71が接続される。本例のライトガイドファイバ70は、ファイバ本体72と、ファイバ本体72を被覆するチューブ74と、チューブ74の先端に接続された接続管76とを含むものであり、接続管76の先端76Aが照明窓64に接続されている。ライトガイドファイバ70は、図1に示した挿入部22から操作部24に延設され、操作部24からユニバーサルコード26内に挿通されて、ライトガイドファイバ70の基端(入射端)が光源用のコネクタ32cに接続される。光源用のコネクタ32cは、光源装置18に接続される。光源装置18で発せられた照明光は、ライトガイドファイバ70を伝搬して図2の照明窓64から被観察部位に照射される。ライトガイドファイバ70は、2つの照明窓64、64に対応して2本設けられている。上記のライトガイドファイバ70は、挿入部22の内部に挿通される複数の内容物のうちの一つであり、本発明のライトガイドファイバの一例である。
【0044】
図2に示す洗浄ノズル66には、送気送水チャンネル(不図示)の先端が接続される。送気送水チャンネルは、図1に示した挿入部22から操作部24に延設され、操作部24からユニバーサルコード26内に挿通される。そして、送気送水チャンネルの基端が、光源用のコネクタ32cに接続され、送気送水用チューブ34aを介して送水タンク21aに接続される。洗浄ノズル66は、観察窓62及び照明窓64の表面を洗浄するために、送水タンク21aから送気送水チャンネルを経て供給された空気又は洗浄水を観察窓62及び照明窓64に向けて噴出する。上記の送気送水チャンネルは、挿入部22の内部に挿通される複数の内容物のうちの一つである。
【0045】
図2に示す超音波観察部36は、超音波トランスデューサ46により構成される。超音波トランスデューサ46は、ラジアル型の超音波トランスデューサとして構成され、図3に示したベース部材54の外周面の円周方向に複数の超音波振動子48を配列することにより構成される。
【0046】
図2に示すように、超音波トランスデューサ46は、円筒状に配列された複数、例えば48~192個の直方体形状の超音波振動子48からなる複数チャンネル(CH)のアレイである。超音波トランスデューサ46では、複数の超音波振動子48が、一例として、図示例のように周方向に所定のピッチで配列されることにより構成される。このように、超音波トランスデューサ46を構成する各超音波振動子48は、先端硬質部40の中心軸(挿入部22の長手軸A)を中心とする円周上に等間隔で配列されている。更に、各超音波振動子48は、超音波用プロセッサ装置14(図1参照)から入力される駆動信号に基づいて順次駆動される。これによって、超音波振動子48が配列された範囲を走査範囲としてラジアル電子走査が行われる。
【0047】
また、超音波トランスデューサ46は、図3に示すように、複数の超音波振動子48に対応する複数の個別電極100及び複数の超音波振動子48に共通の共通電極102を備える電極部104と、複数の個別電極100がそれぞれ接続されるフレキシブルプリント基板106と、複数の超音波振動子48を外周面で支持するベース部材54と、を含んでいる。
【0048】
更に、超音波トランスデューサ46は、超音波振動子48の外周面側に積層された音響整合層108と、音響整合層108の外周面側に積層された音響レンズ110と、超音波振動子48の内周面側に積層されたバッキング材層112と、を有する。よって、超音波トランスデューサ46は、音響レンズ110、音響整合層108、超音波振動子48及びバッキング材層112の積層体からなる。この積層体は、ベース部材54の外周面に嵌合等の方法で支持される。
【0049】
音響整合層108は、人体等の被検体と超音波振動子48との間の音響インピーダンス整合をとるためのものである。
【0050】
音響レンズ110は、超音波振動子48から発せられる超音波を観察対象部位に向けて収束させるためのものである。音響レンズ110は、例えば、シリコン系樹脂(ミラブル型シリコンゴム又は液状シリコンゴム等)、ブタジエン系樹脂、又はポリウレタン系樹脂等からなる。また、音響レンズ110には、超音波の透過率を高めるために、必要に応じて酸化チタン、アルミナ又はシリカ等の粉末が混合される。
【0051】
バッキング材層112の基端側の側面には、フレキシブルプリント基板106が取り付けられる。このフレキシブルプリント基板106は、一方端側が電極部104の複数の個別電極100と電気的に接続され、他方端側が複数の信号線122と接続される。複数の信号線122は、先端硬質部40の内部で超音波ケーブル120に収容され、この収容状態で図1に示した湾曲部42から軟性部44を介して操作部24に挿通される。そして、信号線122は、操作部24からユニバーサルコード26に挿通されて、超音波用のコネクタ32aに接続される。超音波用のコネクタ32aは、超音波用プロセッサ装置14に接続される。超音波ケーブル120は、1本で構成されていてもよいが、本例では2本で構成されている。超音波ケーブル120は、挿入部22の内部に挿通される複数の内容物のうちの一つであり、本発明の超音波ケーブルの一例である。
【0052】
図2に示す先端硬質部40には、超音波観察部36を覆う超音波伝達媒体(例えば、水、オイル等)を内部に注入したバルーン(不図示)が着脱自在に装着されていてもよい。超音波及びエコー信号は空気中で減衰する。そのため、上記のバルーンに超音波伝達媒体を注入してバルーンを膨張させ、観察対象部位に当接させることにより、超音波観察部36の超音波トランスデューサ46と観察対象部位との間から空気を排除して、超音波及びエコー信号の減衰を防止することができる。この構成を採用した場合には、超音波伝達媒体を注入するための媒体注入用チューブが挿入部22の内部に挿通配置される。この場合、上記の媒体注入用チューブは、挿入部22の内部に挿通される複数の内容物のうちの一つである。
【0053】
〔ブラケットについて〕
図3には、超音波ケーブル120の先端側部分120Aを支持するためのブラケット80が示されている。ブラケット80は、一例として先端硬質部40の内部に設けられており、具体的には先端硬質部40を構成する基端側リング52の内周面に取り付けられている。このブラケット80によって、超音波ケーブル120の先端側部分120Aが先端硬質部40に安定的に支持される。なお、基端側リング52に対するブラケット80の取り付け手段としては、接着剤、ビス又はネジ等の締結部材、又は嵌合構造等を例示することができる。
【0054】
図4は、ブラケット80の外観を示した全体斜視図である。また、図4には、2本のライトガイドファイバ70と、2本の超音波ケーブル120とがそれぞれ二点鎖線で示されている。図4に示すように、本例のブラケット80は、2つのケーブル支持部82と、連結部84とを有している。
【0055】
連結部84は、軸Bを有する略半円筒体形状に構成されている。連結部84は、軸Bが長手軸Aと平行になるように先端硬質部40の内部に配置される。連結部84を構成する壁部86の内側には、内容物を挿通するための溝88が壁部86によって画定されている。この溝88には、例えば撮像素子用のシールドケーブルが挿通される。
【0056】
ケーブル支持部82、82は、2本の超音波ケーブル120、120の先端側部分120A、120A(図3参照)を支持する部分であり、連結部84と一体に構成される。また、ケーブル支持部82、82は、連結部84の両側面から軸Bに直交するC方向に互いに離れる方向に突設されている。更に、ケーブル支持部82、82は、超音波ケーブル120、120を支持する支持面90、90が超音波ケーブル120の外周面に沿った円弧状に構成されている。これにより、2本の超音波ケーブル120、120は、円弧状に構成されたケーブル支持部82、82に支持された状態でブラケット80により先端硬質部40に安定的に支持される。ブラケット80は、本発明のブラケットの一例であり、ケーブル支持部82は、本発明のブラケット本体部の一例である。また、ケーブル支持部82に支持される超音波ケーブル120の先端側部分120Aが、本発明の超音波ケーブルの先端側部分に相当する。
【0057】
ここで、図1に示す超音波内視鏡12は、超音波ケーブル120(図3参照)を有している分だけ、他の内視鏡(例えば大腸鏡)に比べて内容物が多く、挿入部22が大径化の傾向にある。一方、図2に示す先端硬質部40の先端面51には、挿入部22の小径化を図るために処置具導出口60、観察窓62、照明窓64及び洗浄ノズル66がそれぞれ適切な位置に配置されている。しかしながら、このような配置位置のままで複数の内容物を挿入部22に配置しようとすると、以下の問題が生じる。
【0058】
図5は、挿入部22の長手軸A方向に直交する面に投影した場合における、ライトガイドファイバ70の先端側部分70Aと、超音波ケーブル120の先端側部分120Aと、ケーブル支持部82、82のそれぞれ配置位置を示した説明図である。
【0059】
図5では、ライトガイドファイバ70の先端側部分70Aの少なくとも一部70Bと重複する位置に、超音波ケーブル120の先端側部分120Aとケーブル支持部82の各々の一部が配置されていることが示されている。つまり、長手軸A方向に直交する面に投影した場合に、ライトガイドファイバ70の先端側部分70Aと超音波ケーブル120の先端側部分120Aとは少なくとも一部が互いに重なる位置に配置されている。このような配置構成を採用した場合、以下の理由によりライトガイドファイバ70が損傷する場合がある。
【0060】
すなわち、挿入部22の内部スペースにおいて、各内容物の配置位置を決める際に、まず、それらの内容物のなかで一番大きな外径を有する鉗子チャンネルの位置を決定し、その後、残りの空きスペースに超音波ケーブル120及びライトガイドファイバ70等の内容物を配置するための位置を決定する場合がある。この場合、超音波ケーブル120については、超音波トランスデューサ46が先端硬質部40の外周面に配置されていることから、超音波トランスデューサ46との接続を容易にするために、先端硬質部40の内周面に近接した位置に配置される。そして、ライトガイドファイバ70については、配光を考慮して超音波ケーブル120の配置位置よりも先端硬質部40の中心軸(長手軸A)側に寄った位置に配置される。
【0061】
上記のような配置構成を採用すると、図5に示したような配置構成となる。この場合、後述するライトガイドファイバ70の本体部分70C(図6参照。ライトガイドファイバ70の先端側部分70Aよりも基端側に配置された部分。)の配設位置をオフセットさせる必要がある。なお、ライトガイドファイバ70の先端側部分70Aの少なくとも一部と重複する位置に、超音波ケーブル120の先端側部分120Aの一部のみが配置された場合でも、ケーブル支持部82の一部のみが配置された場合でもライトガイドファイバ70の本体部分70Cをオフセットさせる必要がある。
【0062】
図6は、ライトガイドファイバ70の先端側部分70Aと本体部分70Cの各領域を説明した図である。本明細書では、図6に示すように、ブラケット80のケーブル支持部82の先端82Aを基準として、先端82Aから先端側(図6の左側)に配置されるライトガイドファイバ70の一部を先端側部分70Aと称し、先端82Aから基端側(図6の右側)に配置されるライトガイドファイバ70の一部を本体部分70Cと称する。
【0063】
図7には、ライトガイドファイバ70の本体部分70Cの配置位置をオフセットするためのオフセット構成の一例が示されている。図7に示すオフセット構成は、後述する第1乃至第2形態のオフセット構成に対する比較例である。
【0064】
図7のオフセット構成によれば、ライトガイドファイバ70の先端側部分70Aを大きな曲率で湾曲させて、ライトガイドファイバ70の先端側部分70Aと本体部分70Cとの中間部分70Dを、ブラケット80のケーブル支持部(ブラケット本体部)82の先端82Aに当接させることにより本体部分70Cの配設位置をオフセットしている。なお、上記の「先端82A」とは、ケーブル支持部82の厳密な先端82Aに限定されず、先端82Aからケーブル支持部82の長さ方向(長手軸A方向)にある程度離れた位置までの領域を含むものである。
【0065】
しかしながら、図7に示したオフセット構成を採用した場合、ライトガイドファイバ70の一部である中間部分70Dがケーブル支持部82の先端82Aに擦り付けられるため、上述の通りライトガイドファイバ70が損傷する場合がある。
【0066】
そこで、実施形態の超音波内視鏡12では、ブラケット80に起因するライトガイドファイバ70の損傷問題を解消するために、以下に説明する第1乃至第2形態のオフセット構成を採用している。
【0067】
まず、オフセット構成の詳細を説明する前にオフセット構成の概略について説明する。オフセット構成は、挿入部22の内部に配置される押し当て部を備えており、押し当て部は、ライトガイドファイバ70の一部である被押し当て部が押し当てられる押し当て面を有している。そして、押し当て部の押し当て面にライトガイドファイバ70の被押し当て部が押し当てられることにより、ライトガイドファイバ70の本体部分70Cが、ケーブル支持部82から長手軸A方向に直交する方向に離間した位置に配置される。このようなオフセット構成によれば、ブラケット80に起因するライトガイドファイバ70の損傷問題を解消することができる。以下、第1形態のオフセット構成について詳しく説明する。
【0068】
〔第1形態のオフセット構成について〕
図3に示すように、第1形態のオフセット構成は、ベース部材54が上記の押し当て部を有するものである。図3によれば、上記の押し当て部に相当する押し当て部130がベース部材54の内周面54B(図8参照)に設けられている。
【0069】
図8は、第1形態のオフセット構成を詳しく説明するために、図3の先端硬質部40を構成する複数の部材からベース部材54と、ライトガイドファイバ70と、超音波ケーブル120を抽出した説明図である。図8に示すように、ベース部材54は、外周面54Aと内周面54Bと有する円筒状に構成されており、外周面54Aで超音波トランスデューサ46(図3参照)を支持し、内周面54Bに押し当て部130を有している。ベース部材54は、本発明のベース部材の一例である。
【0070】
押し当て部130には、ライトガイドファイバ70の一部である被押し当て部70Eが押し当てられる押し当て面132を有している。押し当て面132は、一例として、長手軸A方向に対して傾斜したテーパ状に形成されている。具体的に説明すると、押し当て面132は、ベース部材54の先端54Cから基端54D側に寄った中途位置54Eを起点として、中途位置54Eから基端54Dに向かうに従って長手軸A方向に直交する方向(図8のD方向)に傾斜したテーパ状に形成されている。また、テーパ状の押し当て面132の長手軸Aに対する傾斜角度θは、一例として、押し当て面132の斜面に沿った押し当て面132の延長線(図8の仮想線)Eをベース部材54の基端側に延ばした場合に、延長線Eがケーブル支持部82の先端82Aに対してD方向に離間した位置を通過する角度に設定されている。
【0071】
押し当て面132に押し当てられる上記の被押し当て部70Eは、先端硬質部40から湾曲部42に向けたライトガイドファイバ70の挿入組立時に押し当て面132に押し当てられる。その結果、ライトガイドファイバ70は、被押し当て部70Eがテーパ状の押し当て面132に沿って小さな曲率で緩やかに湾曲されていき、そして、ライトガイドファイバ70の本体部分70Cがケーブル支持部82に対して長手軸A方向に直交する方向(以下、D方向とも言う。)に離間した位置に配置される。その結果、第1形態のオフセット構成を採用することにより、ブラケット80に起因するライトガイドファイバ70の損傷問題を解消することができる。押し当て部130は、本発明の押し当て部の一例であり、押し当て面132は、本発明の押し当て面の一例である。また、ライトガイドファイバ70の被押し当て部70Eは、本発明の被押し当て部の一例である。
【0072】
以上の如く、第1形態のオフセット構成によれば、ベース部材54の内周面54Bに配置された押し当て部130であって、ライトガイドファイバ70の被押し当て部74Dが押し当てられる押し当て面132を有し、押し当て面132に被押し当て部70Eが押し当てられることにより、ライトガイドファイバ70の本体部分70Cを、ケーブル支持部82から長手軸A方向に直交するD方向に離間した位置に配置する押し当て部130を備えたので、ブラケット80に起因するライトガイドファイバ70の損傷問題を解消することができる。
【0073】
〔他の効果について〕
図8に示した第1形態のオフセット構成を採用した場合、例えば、図7に示した比較例のオフセット構成を採用した場合よりもライトガイドファイバ70に生じる応力を軽減することができる。
【0074】
すなわち、図7に示した比較例のオフセット構成では、ライトガイドファイバ70の一部(ブラケット80に対して先端側に配置された部分)がブラケット80の先端側で大きな曲率で急峻に湾曲されるため、ライトガイドファイバ70に過大な応力が発生する場合がある。これに対し、図8に示した第1形態のオフセット構成では、ライトガイドファイバ70の一部である被押し当て部70Eは、先端硬質部40の内部において、小さい曲率で緩やかに湾曲されるので、ライトガイドファイバ70に生じる上記の応力を軽減することができる。
【0075】
また、図8に示した第1形態のオフセット構成を採用した場合、例えば、図7に示した比較例のオフセット構成を採用した場合よりも先端硬質部40の長手軸A方向の長さ(以下、先端部硬性長と言う。)を短くすることができる。以下、詳しく説明する。
【0076】
図1に示した超音波内視鏡12は、通常の内視鏡(例えば大腸鏡)と比較して、超音波観察部36が存在する関係で先端部硬性長が長くなる。先端部硬性長が長くなるに従って、挿入部22を被検体内に挿入する際の運動性能(旋回性能)が低下する傾向にあることから、先端部硬性長はなるべく短い方がよい。
【0077】
先端部硬性長は、図3に示した基端側リング52(バルーンリング)の長手軸A方向の長さによって決められる。また、基端側リング52の上記の長さは、長手軸A方向におけるブラケット80の配置位置によって決められる。つまり、ブラケット80をできるだけ先端硬質部40の先端面51に近い側に配置させれば、基端側リング52の上記の長さを短くすることができ、その結果、先端部硬性長を短くすることができる。
【0078】
ここで、図7に示した比較例のオフセット構成を採用した場合、ブラケット80を先端面51に近づけようとすると、ライトガイドファイバ70のうち既に湾曲している一部(ブラケット80に対して先端側に配置された部分)を更に大きな曲率で湾曲させてしまうため、ライトガイドファイバ70に屈曲ダメージを与えてしまう。このため、ブラケット80を先端面51に近づけて配置することができず、その結果、先端部硬性長を短くすることができない。
【0079】
これに対し、図8に示した第1形態のオフセット構成を採用した場合、ライトガイドファイバ70の本体部分70Cが、ブラケット80から長手軸A方向に直交するD方向に離間した位置に配置されているので、ブラケット80がライトガイドファイバ70に当接する直前位置までブラケット80を先端側に配置することができる。つまり、ライトガイドファイバ70に屈曲ダメージを与えることなくブラケット80を先端面51に近づいた位置に配置することができる。その結果、先端部硬性長を短くすることができる。
【0080】
〔第2形態のオフセット構成について〕
次に、第2形態のオフセット構成について説明する。図9は、第2形態のオフセット構成の要部を示した説明図である。図9では、第2形態のオフセット構成を分かり易く説明するために、先端硬質部40(図1参照)を構成する複数の部材からベース部材54、ライトガイドファイバ70、ブラケット80及び超音波ケーブル120を抽出して示している。なお、第2形態のオフセット構成では、ベース部材54は押し当て部を有しておらず、ベース部材54は、外周面54Aと内周面54Bとを有する円筒状に構成されたものとして示されている。
【0081】
図10は、第2形態のオフセット構成に適用されるブラケット80の全体斜視図である。図10に示すブラケット80は、図4に示したブラケット80とは形状が若干異なるものである。但し、双方とも2つのケーブル支持部82(ブラケット本体)と連結部84とをそれぞれ有している。よって、図10に示すブラケット80を説明するに際し、図4に示したブラケット80と同一の部材については同一の符号を付し、形状が異なる部分については新たな符号を付して説明する。
【0082】
図9及び図10に示すように、第2形態のオフセット構成は、ブラケット80が押し当て部140を有している。この押し当て部140は、第1形態のオフセット構成の押し当て部130と同様に先端硬質部40の内部に配置される。
【0083】
図10に示すように、押し当て部140は、ケーブル支持部82の二点鎖線で示す先端82Aから張り出した張り出し部142として構成されており、本例の張り出し部142は、ケーブル支持部82から離れる方向に湾曲した形状を有している。
【0084】
具体的に説明すると、張り出し部142は、ケーブル支持部82の先端82Aから長手軸Aと略平行に延出された延出部144と、延出部144の先端144AからD方向に湾曲された第1曲面部146と、第1曲面部146の先端146Aから基端側に湾曲された第2曲面部148と、を有している。この第2曲面部148のD方向側の面が押し当て面150として形成されている。このような構成により、本例の張り出し部142は、ケーブル支持部82からD方向に離れる方向に湾曲した形状に構成されている。なお、本例では、張り出し部142の形状について、ケーブル支持部82から離れる方向に湾曲した形状を例示したが、これに限定されるものではなく、ケーブル支持部82から離れる方向に屈曲した形状であってもよい。具体的には、上記の第1曲面部146に代えて、延出部144の先端144AからD方向に屈曲した第1屈曲面部を採用し、上記の第2曲面部148に代えて、第1曲面部146の先端146Aから基端側に屈曲した第2屈曲面部を採用した形状であってもよい。
【0085】
図9に示すように、押し当て面150は、ライトガイドファイバ70の被押し当て部70Eに向かって凸状のR形状面を有している。なお、上記の「凸状」とは、厳密な凸状の場合のみでなく、本実施形態における作用効果を奏する範囲内で概ね凸状の場合も含まれるものである。
【0086】
ライトガイドファイバ70の被押し当て部70Eは、図1に示す先端硬質部40から湾曲部42に向けたライトガイドファイバ70の挿入組立時に、図9に示した押し当て面150に押し当てられる。その結果、ライトガイドファイバ70の一部である被押し当て部70Eは、ベース部材54の内部において小さな曲率で緩やかに湾曲されていき、そして、ライトガイドファイバ70の本体部分70Cがケーブル支持部82から長手軸A方向に直交するD方向に離間した位置に配置される。その結果、第2形態のオフセット構成を採用することにより、ブラケット80に起因するライトガイドファイバ70の損傷問題を解消することができる。押し当て部140は、本発明の押し当て部の一例であり、押し当て面150は、本発明の押し当て面の一例である。
【0087】
以上の如く、第2形態のオフセット構成によれば、ブラケット80が有する押し当て部140であって、ライトガイドファイバ70の被押し当て部74Eが押し当てられる押し当て面150を有し、押し当て面150に被押し当て部70Eが押し当てられることにより、ライトガイドファイバ70の本体部分70Cを、ケーブル支持部82から長手軸A方向に直交するD方向に離間した位置に配置する押し当て部140を備えたので、ブラケット80に起因するライトガイドファイバ70の損傷問題を解消することができる。
【0088】
また、図9に示した第2形態のオフセット構成を採用することにより、ライトガイドファイバ70の一部である被押し当て部70Eは、先端硬質部40の内部において、小さい曲率で緩やかに湾曲されるので、第1形態のオフセット構成と同様に、この点でもライトガイドファイバ70の損傷問題を解消することができる。
【0089】
次に、本発明に関する幾つかの変形例について説明する。
【0090】
本例では、ベース部材54及びブラケット80に押し当て部130、140を設けた構成について説明したが、これに限定されるものではなく、ベース部材54及びブラケット80以外の部材(例えば、基端側リング52)に押し当て部を設けた構成を採用してもよい。
【0091】
本例では、先端硬質部40の内部に押し当て部130、140を配置した構成について説明したが、これに限定されるものではなく、先端硬質部40以外の部材(例えば、湾曲部42)の内部に押し当て部を配置した構成を採用してもよい。但し、先端硬質部40の内部に押し当て部130、140を配置する構成を採用することにより、組立時において、先端硬質部40から湾曲部42に入る前にライトガイドファイバ70と超音波ケーブル120とを互いに異なる位置に配置させることができる。その結果、湾曲部42の湾曲による相互の干渉を軽減することができる。したがって、押し当て部は先端硬質部40の内部に配置されることが好ましい。
【0092】
本例では、第1形態のオフセット構成の押し当て面132の形状として、長手軸A方向に傾斜したテーパ状の形状を有するものを説明したが、この形状に限定されるものではない。例えば、図11の説明図で示すように、ベース部材54の内周面54Bに設けられる押し当て部130の押し当て面132Aが、ライトガイドファイバ70の被押し当て部70Eに向かって凸状の円弧形状面を有するものであってもよい。
【0093】
以上、実施形態に係る超音波内視鏡について説明したが、本発明は、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、いくつかの改良又は変形を行ってもよい。
【符号の説明】
【0094】
10 超音波検査システム
12 超音波内視鏡
14 超音波用プロセッサ装置
16 内視鏡用プロセッサ装置
18 光源装置
20 モニタ
21a 送水タンク
21b 吸引ポンプ
22 挿入部
24 操作部
26 ユニバーサルコード
28a 送気送水ボタン
28b 吸引ボタン
29 アングルノブ
30 処置具挿入口
32a コネクタ
32b コネクタ
32c コネクタ
34a 送気送水用チューブ
34b 吸引用チューブ
36 超音波観察部
38 内視鏡観察部
40 先端硬質部
42 湾曲部
43 湾曲駒
44 軟性部
45 湾曲操作ワイヤ
46 超音波トランスデューサ
48 超音波振動子
50 先端部品
51 先端面
52 基端側リング
54 ベース部材
54A 外周面
54B 内周面
54C 先端
54D 基端
54E 中途位置
60 処置具導出口
62 観察窓
64 照明窓
66 洗浄ノズル
70 ライトガイドファイバ
71 先端
70A 先端側部分
70B 先端側部分の少なくとも一部
70C 本体部分
70D 中間部分
70E 被押し当て部
72 ファイバ本体
74 チューブ
76 接続管
76A 先端
80 ブラケット
82 ケーブル支持部
82A 先端
84 連結部
86 壁部
88 溝
90 支持面
100 個別電極
102 共通電極
104 電極部
106 フレキシブルプリント基板
108 音響整合層
110 音響レンズ
112 バッキング材層
122 信号線
120 超音波ケーブル
120A 先端側部分
130 押し当て部
132 押し当て面
132A 押し当て面
140 押し当て部
142 張り出し部
144 延出部
144A 先端
146 第1曲面部
146A 先端
148 第2曲面部
150 押し当て面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11