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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024047234
(43)【公開日】2024-04-05
(54)【発明の名称】超音波内視鏡
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/12 20060101AFI20240329BHJP
【FI】
A61B8/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022152752
(22)【出願日】2022-09-26
(71)【出願人】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083116
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲三
(74)【代理人】
【識別番号】100170069
【弁理士】
【氏名又は名称】大原 一樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128635
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100140992
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲政
(72)【発明者】
【氏名】小澤 拓敏
【テーマコード(参考)】
4C601
【Fターム(参考)】
4C601BB06
4C601BB24
4C601EE11
4C601FE02
4C601GB05
(57)【要約】
【課題】水滴除去性能を向上できる超音波内視鏡を提供する。
【解決手段】超音波内視鏡は、被検体内に挿入される細長の挿入部の先端部に配置されたラジアル型の超音波トランスデューサを備え、先端部の先端面は、先端面に垂直な方向から見た場合に、先端面の中央側に位置する中央面部と、中央面部の外側に位置する環状の外周面部と、を備え、中央面部には、観察窓、照明窓、鉗子口、及びノズルが設けられ、外周面部は、超音波トランスデューサによって生じる先端面のデッドスペースであり、挿入部の長手軸方向を先端面における高さ方向とした場合、外周面部のうち少なくとも一部の領域は、中央面部とは異なる高さを有する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体内に挿入される細長の挿入部の先端部に配置されたラジアル型の超音波トランスデューサを備える超音波内視鏡であって、
前記先端部の先端面は、前記先端面に垂直な方向から見た場合に、前記先端面の中央側に位置する中央面部と、前記中央面部の外側に位置する環状の外周面部と、を備え、
前記中央面部には、観察窓、照明窓、鉗子口、及びノズルが設けられ、
前記外周面部は、前記超音波トランスデューサによって生じる前記先端面のデッドスペースであり、
前記挿入部の長手軸方向を前記先端面における高さ方向とした場合、
前記外周面部のうち少なくとも一部の領域は、前記中央面部とは異なる高さを有する、
超音波内視鏡。
【請求項2】
前記少なくとも一部の領域は、前記ノズルに隣接したノズル隣接領域を含む、
請求項1に記載の超音波内視鏡。
【請求項3】
前記ノズル隣接領域は、前記中央面部よりも低い高さを有する、
請求項2に記載の超音波内視鏡。
【請求項4】
前記ノズル隣接領域は、前記ノズルの噴出口を延長した位置から、前記ノズルの前記観察窓とは反対側の位置に至る領域を含む、
請求項2又は3に記載の超音波内視鏡。
【請求項5】
前記少なくとも一部の領域は、前記観察窓に隣接した観察窓隣接領域を含む、
請求項1に記載の超音波内視鏡。
【請求項6】
前記観察窓隣接領域は、前記中央面部よりも低い高さを有する、
請求項5に記載の超音波内視鏡。
【請求項7】
前記観察窓隣接領域は、前記中央面部よりも高い高さを有する、
請求項5に記載の超音波内視鏡。
【請求項8】
前記観察窓隣接領域は、前記観察窓に対して前記ノズルとは反対側に位置する、
請求項5から7のいずれか1項に記載の超音波内視鏡。
【請求項9】
前記観察窓隣接領域は、前記ノズルから噴出される液体の噴出範囲を含む領域である、
請求項8に記載の超音波内視鏡。
【請求項10】
前記観察窓隣接領域は、前記ノズルの噴出口の中心を起点として、前記観察窓の外周に接する2本の仮想接線に挟まれる範囲を含む領域である、
請求項8に記載の超音波内視鏡。
【請求項11】
前記少なくとも一部の領域は、前記ノズルに隣接したノズル隣接領域と、前記観察窓に隣接した観察窓隣接領域とを含む、
請求項1に記載の超音波内視鏡。
【請求項12】
前記少なくとも一部の領域は、前記中央面部とは表面濡れ性が異なる、
請求項1から3、5から7のいずれか1項に記載の超音波内視鏡。
【請求項13】
前記外周面部は、外周端部に面取り構造を有する、
請求項1から3、5から7のいずれか1項に記載の超音波内視鏡。
【請求項14】
前記外周面部は、前記中央面部と別部材である先端キャップで構成される、
請求項1から3、5から7のいずれか1項に記載の超音波内視鏡。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波内視鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、医療現場において、超音波内視鏡が診断と治療に広く使用されている。このような超音波内視鏡として、ラジアル型の超音波トランスデューサを備える超音波内視鏡が知られている(特許文献1)。
【0003】
特許文献1に示す超音波内視鏡は、先端部の外周面には超音波トランスデューサを備え、さらに、先端部の先端面には観察光学系を備えている。超音波トランスデューサは、被検者の体内に超音波を照射し、その反射波を受信する。その反射波が映像化される。観察光学系は被検者の体内の画像を撮像する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2020/188762号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ラジアル型の超音波内視鏡は観察光学系を備えるので、消化管観察にも使用するニーズが増えている。消化管観察を可能とするためには先端面、特に観察窓の水滴除去性能は重要な観点となっている。
【0006】
しかしながら、ラジアル型の超音波トランスデューサは、先端部の外周面に配置されるので、挿入部の外径が大きくなる。そのため、先端部の先端面において超音波トランスデューサに対応する外周の領域は、デッドスペースとなる。一方、観察光学系を構成する観察窓と照明窓、及び観察窓の付着物を除去するためのノズルなどが、外周の領域を除く先端面の中央の領域に偏って配置される。
【0007】
上記構造のラジアル型の超音波内視鏡は、水滴除去性能に関して、先端面の外径が大きくなるので、先端面に水滴及び汚れが付着しやすくなる。さらに観察窓及びノズルが中央に偏って配置されているので、先端面の外周の領域の水滴及び汚れは除去することが難しくなる。また、先端面の中央の領域の水滴及び汚れはノズルにより除去しても飛びきらず、中央の領域に配置されている観察窓等に戻ってきてしまうという懸念もある。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、水滴除去性能を向上できるラジアル型の超音波内視鏡を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1態様の超音波内視鏡は、被検体内に挿入される細長の挿入部の先端部に配置されたラジアル型の超音波トランスデューサを備え、先端部の先端面は、先端面に垂直な方向から見た場合に、先端面の中央側に位置する中央面部と、中央面部の外側に位置する環状の外周面部と、を備え、中央面部には、観察窓、照明窓、鉗子口、及びノズルが設けられ、外周面部は、超音波トランスデューサによって生じる先端面のデッドスペースであり、挿入部の長手軸方向を先端面における高さ方向とした場合、外周面部のうち少なくとも一部の領域は、中央面部とは異なる高さを有する。
【0010】
第2態様の超音波内視鏡において、少なくとも一部の領域は、ノズルに隣接したノズル隣接領域を含む。
【0011】
第3態様の超音波内視鏡において、ノズル隣接領域は、中央面部よりも低い高さを有する。
【0012】
第4態様の超音波内視鏡において、ノズル隣接領域は、ノズルの噴出口を延長した位置から、ノズルの観察窓とは反対側の位置に至る領域を含む。
【0013】
第5態様の超音波内視鏡において、少なくとも一部の領域は、観察窓に隣接した観察窓隣接領域を含む。
【0014】
第6態様の超音波内視鏡において、観察窓隣接領域は、中央面部よりも低い高さを有する。
【0015】
第7態様の超音波内視鏡において、観察窓隣接領域は、中央面部よりも高い高さを有する。
【0016】
第8態様の超音波内視鏡において、観察窓隣接領域は、観察窓に対してノズルとは反対側に位置する。
【0017】
第9態様の超音波内視鏡において、観察窓隣接領域は、ノズルから噴出される液体の噴出範囲を含む領域である。
【0018】
第10態様の超音波内視鏡において、観察窓隣接領域は、ノズルの噴出口の中心を起点として、観察窓の外周に接する2本の仮想接線に挟まれる範囲を含む領域である。
【0019】
第11態様の超音波内視鏡において、少なくとも一部の領域は、ノズルに隣接したノズル隣接領域と、観察窓に隣接した観察窓隣接領域とを含む。
【0020】
第12態様の超音波内視鏡において、少なくとも一部の領域は、中央面部とは表面濡れ性が異なる。
【0021】
第13態様の超音波内視鏡において、外周面部は、外周端部に面取り構造を有する。
【0022】
第14態様の超音波内視鏡において、外周面部は、中央面部と別部材である先端キャップで構成される。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、水滴除去性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1は、超音波内視鏡を用いる超音波検査システムの構成を示した概略構成図である。
図2図2は、図1に示す超音波内視鏡の先端部の外観を示す拡大図である。
図3図3は、図1に示す超音波内視鏡の先端硬質部の断面図である。
図4図4は、第1実施形態の先端面を垂直な方向から見た拡大平面図である。
図5図5は、図4の5-5線に沿う先端硬質部の部分断面図である。
図6図6は、第1実施形態の変形例2の先端硬質部の部分断面図である。
図7図7は、図4の7-7線に沿う先端硬質部の部分断面図である。
図8図8は、第2実施形態の先端面を垂直な方向から見た拡大平面図である。
図9図9は、図8の9-9線に沿う先端硬質部の部分断面図である。
図10図10は、第2実施形態の変形例2の先端硬質部の部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、添付図面に従って本発明に係る超音波内視鏡の実施形態について説明する。
【0026】
図1は、実施形態の超音波内視鏡12を使用する超音波検査システム10の一例を示した概略構成図である。図2は、図1に示した超音波内視鏡12の先端部の外観を示した拡大図である。図3は、先端硬質部40の断面図である。
【0027】
〔超音波検査システムについて〕
図1に示すように、超音波検査システム10は、超音波内視鏡12と、超音波画像を生成する超音波用プロセッサ装置14と、内視鏡画像を生成する内視鏡用プロセッサ装置16と、体腔内を照明する照明光を超音波内視鏡12に供給する光源装置18と、超音波画像及び内視鏡画像を表示するモニタ20とを備える。また、超音波検査システム10は、洗浄水等を貯留する送水タンク21aと、体腔内の吸引物を吸引する吸引ポンプ21bとを備える。
【0028】
超音波用プロセッサ装置14は、超音波内視鏡12の超音波観察部36に超音波を発生させるための超音波信号を生成して供給する。また、超音波用プロセッサ装置14は、超音波が放射された観察対象部位から反射されたエコー信号を超音波観察部36で受信して取得し、取得したエコー信号に対して各種の信号処理を施して超音波画像を生成する。
【0029】
内視鏡用プロセッサ装置16は、超音波内視鏡12の内視鏡観察部38において光源装置18からの照明光に照明された観察対象部位から取得された画像信号を受信する。そして、取得した画像信号に対して各種の信号処理及び画像処理を施して、内視鏡画像を生成する。
【0030】
本例では、超音波用プロセッサ装置14及び内視鏡用プロセッサ装置16が、別々に設けられた2台の装置(コンピュータ)によって構成されている。但し、これに限定されるものではなく、1台の装置によって超音波用プロセッサ装置14及び内視鏡用プロセッサ装置16の双方が構成されてもよい。
【0031】
光源装置18は、赤光、緑光及び青光等の3原色光からなる白色光又は特定波長光等の照明光を発生させる。照明光は、超音波内視鏡12内を伝搬し、内視鏡観察部38から出射して体腔内の観察対象部位を照明する。
【0032】
モニタ20は、超音波用プロセッサ装置14及び内視鏡用プロセッサ装置16によって生成された各映像信号を受けて超音波画像及び内視鏡画像を表示する。これらの超音波画像及び内視鏡画像の表示は、いずれか一方のみの画像を適宜切り替えてモニタ20に表示したり両方の画像を同時に表示したりすることも可能である。
【0033】
本例では、1台のモニタ20に超音波画像及び内視鏡画像を表示するが、超音波画像表示用のモニタと、内視鏡画像表示用のモニタとが別々に設けられてもよい。また、モニタ20以外の表示形態、例えば、術者が携帯する端末のディスプレイに表示する形態にて超音波画像及び内視鏡画像を表示してもよい。
【0034】
〔超音波内視鏡について〕
図1に示すように、超音波内視鏡12は、被検体内に挿入される細長の挿入部22と、挿入部22の基端部に連設され、術者が操作を行うための操作部24と、操作部24に一端が接続されたユニバーサルコード26とを有する。
【0035】
操作部24には、送水タンク21aからの送気送水管路(不図示)を開閉する送気送水ボタン28aと、吸引ポンプ21bからの吸引管路(不図示)を開閉する吸引ボタン28bとが並設される。また、操作部24には、一対のアングルノブ29と処置具挿入口30とが設けられる。
【0036】
ユニバーサルコード26の他端部には、超音波用プロセッサ装置14に接続される超音波用のコネクタ32aと、内視鏡用プロセッサ装置16に接続される内視鏡用のコネクタ32bと、光源装置18に接続される光源用のコネクタ32cとが設けられる。超音波内視鏡12は、これらのコネクタ32a、32b及び32cを介してそれぞれ超音波用プロセッサ装置14、内視鏡用プロセッサ装置16及び光源装置18に着脱自在に接続される。また、コネクタ32cには、送水タンク21aに接続される送気送水用チューブ34aと、吸引ポンプ21bに接続される吸引用チューブ34bとが設けられている。
【0037】
挿入部22は、先端側から順に、内視鏡観察部38と超音波観察部36とを有する先端硬質部40と、先端硬質部40の基端側に連結された湾曲部42と、湾曲部42の基端側と操作部24の先端側との間を連結する軟性部44とを有する。先端硬質部40、湾曲部42及び軟性部44は、挿入部22の長手軸Ax方向に沿って設けられている。
【0038】
次に、図2及び図3を参照して先端硬質部40の構成と、挿入部22の内部に挿通される複数の内容物について説明する。図2に示すように、内視鏡観察部38が、先端硬質部40の先端面51に設けられている。内視鏡観察部38が内視鏡画像を取得する。先端硬質部40は、本発明の挿入部の先端部の一例である。超音波観察部36が、先端硬質部40において、先端面51より基端側の位置に設けられている。先端面51は、先端硬質部40において湾曲部42と連結される側と反対側の部分である。
【0039】
先端硬質部40は、先端側部分に被せられる環状の先端キャップ50と、超音波観察部36の基端側に配置される基端側リング52(バルーンリングとも言う。)と、を有する。先端キャップ50及び基端側リング52は、硬質樹脂等の絶縁部材からなり、外装部材となる。後述するが、先端キャップ50は、本発明の外周面部を構成する部材の一例である。
【0040】
先端硬質部40は先端面51の中央側に位置する中央面部54を備える。内視鏡観察部38を構成する観察窓62及び照明窓64は中央面部54に配置される。先端面51には、さらに、鉗子口60及び観察窓62の付着物を除去するためのノズル66が配置される(図4参照)。
【0041】
図3に示すように、先端硬質部40は、観察窓62の後方(基端側)に、例えば、レンズ群86と、プリズム88と、撮像素子90と、基板92と、複数の信号線94とが配置された観察ユニットを備える。
【0042】
観察窓62から入射した観察対象部位の反射光は、レンズ群86によって取り込まれる。取り込まれた反射光は、プリズム88により光路が直角に折り曲げられて、撮像素子90の撮像面に結像される。撮像素子90は、観察窓62、レンズ群86及びプリズム88を透過して撮像面に結像された観察対象部位の反射光を光電変換して、画像信号を出力する。撮像素子90としては、CCD(Charge Coupled Device:電荷結合素子)及びCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor:相補形金属酸化膜半導体)などを挙げることができる。
【0043】
撮像素子90は基板92に搭載される。基板92には撮像素子90と電気的に接続される回路パターンが形成されている。回路パターンは端部に複数の電極を備え、この複数の電極に複数の信号線94がそれぞれ接続される。複数の信号線94は束ねられ、シールドケーブルの状態で図1に示した湾曲部42から軟性部44を介して操作部24に挿通される。そして、複数の信号線94は、操作部24からユニバーサルコード26に挿通されて、内視鏡用のコネクタ32bに接続される。
【0044】
先端面51の中央面部54に配置された鉗子口60は、鉗子チューブ84の出口に相当する。鉗子チューブ84は挿入部22の基端側に延在し、操作部24の処置具挿入口30に連通するように延びる。鉗子などの処置具が操作部24の処置具挿入口30から鉗子チューブ84に挿入され、鉗子口60から突出される。処置具により被検体の処置が行われる。すなわち、鉗子口60は処置具導出口として機能する。
【0045】
鉗子チューブ84は負圧源(不図示)と接続されている。吸引ボタン28bが押下操作されると、エアが負圧源により鉗子チューブ84を経て鉗子口60から吸引される。これにより、鉗子口60から鉗子チューブ84を介して、例えば洗浄水及び被検体内の残渣(血液等)の体液が吸引される。すなわち、鉗子口60は吸引口として機能する。
【0046】
照明窓64(図4参照)には、ライトガイド70の出射端が接続される。ライトガイド70は、挿入部22から操作部24まで延設される。ライトガイド70の入射端は、ユニバーサルコード26を介して接続された光源装置18に接続される。ライトガイド70は、挿入部22の基端側に向かって延出され、操作部24からユニバーサルコード26内に挿通されて、最終的には光源用のコネクタ32cに接続される。光源用のコネクタ32cは、光源装置18に接続される(図1参照)。光源装置18で発せられた照明光は、ライトガイド70を伝って照明窓64から被観察部位に照射される。
【0047】
ノズル66には、送気送水チャネル68が接続されている。送気送水チャネル68は、挿入部22の基端側に向かって延出され、操作部24からユニバーサルコード26内に挿通される。さらに、送気送水チャネル68は、光源用のコネクタ32cに接続され、送気送水用チューブ34aを介して送水タンク21aに接続される。ノズル66は、観察窓62及び照明窓64の表面を洗浄するために、送水タンク21aから超音波内視鏡12内の送気送水チャネル68を経て、エア、又は洗浄水を観察窓62及び照明窓64に向けて噴出する。
【0048】
また、図3に示すように、先端キャップ50の基端側には円筒状のベース部材53(シールドリングとも言う。)が配置される。ベース部材53の外周面には、超音波観察部36を構成する超音波トランスデューサ46が配置される。ベース部材53は、超音波トランスデューサ46を支持する機能の他、超音波トランスデューサ46の超音波振動子48から放射される電磁波をシールドする機能も有している。
【0049】
図2に示す超音波観察部36は、超音波トランスデューサ46により構成される。超音波トランスデューサ46は、ラジアル型の超音波トランスデューサとして構成され、図3に示したベース部材53の外周面の円周方向に複数の超音波振動子48を配列することにより構成される。
【0050】
図2に示すように、超音波トランスデューサ46は、円筒状に配列された複数、例えば48~192個の直方体形状の超音波振動子48からなる複数チャンネル(CH)のアレイである。超音波トランスデューサ46では、複数の超音波振動子48が、一例として、図示例のように周方向に所定のピッチで配列されることにより構成される。このように、超音波トランスデューサ46を構成する各超音波振動子48は、先端硬質部40の中心軸(挿入部22の長手軸Ax)を中心とする円周上に等間隔で配列されている。更に、各超音波振動子48は、超音波用プロセッサ装置14(図1参照)から入力される駆動信号に基づいて順次駆動される。これによって、超音波振動子48が配列された範囲を走査範囲としてラジアル電子走査が行われる。
【0051】
また、超音波トランスデューサ46は、複数の超音波振動子48に対応する複数の個別電極及び複数の超音波振動子48に共通の共通電極を備える。超音波トランスデューサ46は、これらの共通電極と複数の個別電極とがそれぞれ接続されるフレキシブルプリント基板73を備える。
【0052】
更に、超音波トランスデューサ46は、超音波振動子48の外周面側に積層された音響整合層(不図示)と、外周面側に積層された音響レンズ49と、超音波振動子48の内周面側に積層されたバッキング材層(不図示)と、を有する。
【0053】
図3に示すように、バッキング材層(不図示)の基端側の側面に取り付けられるフレキシブルプリント基板73は、一方端で超音波振動子48の数の個別電極と電気的に接続され、他方で、超音波ケーブル72の複数の信号線74と配線接続される。超音波ケーブル72はブラケット80により、先端硬質部40の内部で保持される。信号線74は例えば同軸ケーブルで構成されてもよい。
【0054】
図2に示す先端硬質部40には、超音波観察部36を覆う超音波伝達媒体(例えば、水、オイル等)を内部に注入したバルーン(不図示)が着脱自在に装着されていてもよい。
【0055】
図3に示すように、ラジアル型の超音波トランスデューサ46を備える超音波内視鏡12は、先端硬質部40の外周面に超音波トランスデューサ46を配置されている。
【0056】
図3に示すように、超音波トランスデューサ46の配置されている部分は、長手軸Ax方向の先端側では、先端面51における外周面部56を構成する。この外周面部56は、超音波内視鏡12の機能部を構成する観察窓62、照明窓64、ノズル66及び鉗子口60を配置できないので、先端面51においてデッドスペースとなる。そのため、観察窓62、照明窓64、ノズル66及び鉗子口60は、外周面部56を除く先端面51の中央側の中央面部54に偏って設けられることになる。
【0057】
そこで、発明者は、鋭意検討した結果、先端面51においてデッドスペースとなる外周面部56を利用することで、水滴除去性能を向上できる超音波内視鏡12を発明するに至った。
【0058】
[第1実施形態]
本発明の特徴的部分である先端硬質部40の先端面51の構成について説明する。
【0059】
図4は、先端面51に垂直な方向から見た先端硬質部40の先端面51の拡大平面図である。図5図4の5-5線に沿う断面図である。
【0060】
図4に示すように、先端面51は、中央面部54と、外周面部56と、を含んでいる。中央面部54は先端面51において中央側に位置し、外周面部56は先端面51において、中央面部54の外側に位置し、且つ中央面部54を囲う環状の形状を有している。すなわち、中央面部54は、外周面部56との相対的な比較において、先端面51の中央側に位置している。
【0061】
中央面部54は、平面視において、長手軸Axとの交差位置を中心とする略円形状の平坦面を基調にした構造からなる。中央面部54には、鉗子口60、観察窓62、照明窓64及びノズル66が設けられる。中央面部54は、鉗子口60、観察窓62、照明窓64及びノズル66の全てを含み、長手軸Axを中心とする略円形状の領域である。略円形状は円、楕円形状又は長円等の形状を含む。
【0062】
中央面部54は、例えば、ステンレス等の金属材から構成される。中央面部54には複数の貫通孔が形成され、鉗子口60、観察窓62、照明窓64及びノズル66が貫通孔により保持される。外周面部56は中央面部54と別部材の樹脂製の先端キャップ50で構成される。ただし、中央面部54と外周面部56の素材は特に限定されない。
【0063】
中央面部54には、内視鏡観察部38を構成する観察窓62及び2つの照明窓64が配置されている。2つの照明窓64は観察窓62を両側から挟む位置に、隣接して配置されている。既述したように観察窓62は被観察部位の内視鏡画像を取得し、照明窓64は被観察部位に照明光を照射する。
【0064】
中央面部54には、鉗子口60が、観察窓62から距離を置いて配置されている。鉗子口60は、中央面部54において最も面積の大きい領域であり、観察窓62より長手軸Axに近い位置に配置されている。既述したように、鉗子口60は処置具導出口及び吸引口として機能する。
【0065】
中央面部54には、ノズル66が、鉗子口60と、一方の照明窓64との間の位置に配置されている。ノズル66は噴出口66Aを備え、噴出口66Aは観察窓62の側に向けられている。ノズル66の噴出口66Aは、観察窓62の表面及びその周辺部(観察窓62等)に、流体(液体または気体)を噴出し、観察窓62に付着した汚れを吹き飛ばして除去している。
【0066】
しかしながら、図4に示すように、先端面51は、中央面部54の外側に、超音波トランスデューサ46によって生じるデッドスペースである外周面部56を有している。そのため、水滴又は汚れ(水滴等)がノズル66からの流体で飛びきらず、外周面部56に付着したままになる。この場合、外周面部56に付着した水滴等が観察窓62等に戻りやすくなる。また、外周面部56に付着した水滴等がノズル66から送気した際に巻き込まれて観察窓62等に流れ込んで戻りやすくなる。これらの現象は水滴除去性能を低下させる結果となる。
【0067】
そこで、発明者は、外周面部56のうち少なくとも一部の領域が、観察窓62等の水滴除去性能の低下に影響を与える可能性が高くなることに着目し、外周面部56のうち少なくとも一部の領域を、中央面部54とは異なる高さとすることで水滴除去効果を促進させることができることを見出した。なお、本明細書においては、挿入部22の長手軸Ax方向を先端面51の高さ方向と定義する。例えば、中央面部54を基準とした場合、中央面部54よりも基端側に位置する場合には、中央面部54よりも低い高さといい、中央面部54よりも先端側に位置する場合には、中央面部54よりも高い高さという。また、中央面部54の基準は、中央面部54において、鉗子口60、観察窓62、照明窓64及びノズル66に設けられてない領域とする。
【0068】
次に、外周面部56のうち少なくとも一部の領域であるノズル隣接領域56Aと観察窓隣接領域56Bについて説明する。なお、図4においては、理解を容易にするため、外周面部56におけるノズル隣接領域56Aと観察窓隣接領域56Bの色を変更している。
【0069】
<ノズル隣接領域>
図4に示すように、外周面部56は、ノズル66に隣接したノズル隣接領域56Aを含んでいる。
【0070】
実施形態のノズル隣接領域56Aは、矢印で示す領域Aを少なくとも含んでいる。領域Aは、例えば、ノズル66の噴出口66Aを幅方向に鉗子口60とは反対側に延長した位置(仮想直線L1)から、ノズル66の観察窓62とは反対側の位置(仮想直線L2)に至る領域を含んでいる。ノズル隣接領域56Aは、領域Aよりも大きくてもよい。仮想直線L2は、観察窓62の中心と、ノズル66の噴出口66Aの中心とを結ぶ直線で、観察窓62と反対側に延長した直線である。噴出口66Aの中心とは、平面視で噴出口66Aの長さの半分となる位置である。
【0071】
ところで、外周面部56のノズル66に隣接する領域に残った水滴等は、ノズル66から送気した際に巻き込まれやすくなり、観察窓62等に戻りやすくなる。
【0072】
そこで、ノズル隣接領域56Aは、図5に示すように、中央面部54よりもH1だけ高さが低い。ノズル隣接領域56Aは、本発明の外周面部のうち少なくとも一部の領域の一例に相当する。ノズル隣接領域56AがH1だけ高さが低いので、水滴等はノズル隣接領域56Aから液流方向FL1に流れ落ちやすくなり(図4及び図5)、その結果、水滴等はノズル66から送気した際にエアに巻き込まれにくくなり、水滴等を観察窓62に戻りにくくできる。
【0073】
<観察窓隣接領域>
図4に示すように、外周面部56は、観察窓62に隣接した観察窓隣接領域56Bを含んでいる。
【0074】
実施形態の観察窓隣接領域56Bは、観察窓62に対してノズル66とは反対側に位置している。観察窓隣接領域56Bは矢印で示す領域Bを少なくとも含んでおり、領域Bは、例えば、ノズル66から噴出される液体の噴出範囲を含む領域である。領域Bは、好ましくは、噴出口66Aの中心を起点として、観察窓62の外周に接する2本の仮想接線L3及びL4の間の範囲である。観察窓隣接領域56Bは領域Bよりも大きくてもよい。
【0075】
ところで、外周面部56の観察窓62に隣接する領域に残った水滴等は、観察窓62等に戻りやすくなる。そこで、観察窓隣接領域56Bは、図5に示すように、中央面部54よりもH2だけ高さが低い。観察窓隣接領域56Bは、本発明の外周面部のうち少なくとも一部の領域の一例である。観察窓隣接領域56BがH2だけ高さが低いので、水滴等は観察窓隣接領域56Bから液流方向FL2に流れ落ちやすくなり(図4及び図5)、その結果、水滴等を観察窓62等に戻りにくくできる。
【0076】
第1実施形態は、先端面51の外周面部56が、中央面部54より低い高さを有するノズル隣接領域56A及び観察窓隣接領域56Bを備えるので、水滴等が観察窓62等に戻りにくくなり、観察窓62等に対する水滴除去性能を向上できる。また、第1実施形態は、デッドスペースとなる外周面部56を有効に利用することができる。
【0077】
<好ましい変形例1>
外周面部56がノズル隣接領域56A及び観察窓隣接領域56Bを備える場合を説明したが、第1実施形態の好ましい変形例1を説明する。好ましい変形例1では、ノズル隣接領域56A及び観察窓隣接領域56Bに、水滴等が残りにくい特性、例えば、表面濡れ性、又は面取り構造を付与する。
【0078】
<表面濡れ性>
中央面部54の表面濡れ性と、ノズル隣接領域56A及び観察窓隣接領域56Bの表面濡れ性とが異なることが好ましい。表面濡れ性は液体の固体に対する液体の付着しやすさである。
【0079】
例えば、中央面部54の表面濡れ性を親水性とし、ノズル隣接領域56A及び観察窓隣接領域56Bの表面濡れ性を疎水性とすることができる。この場合、水滴等は中央面部54に寄り易くなり、中央面部54の水滴等は鉗子口60から吸引しやすくなる。その結果、水滴等が、観察窓62等からより確実に除去される。
【0080】
また、中央面部54の表面濡れ性を疎水性とし、ノズル隣接領域56A及び観察窓隣接領域56Bの表面濡れ性を親水性とすることができる。この場合、中央面部54から水滴を落としやすくすることができる。水滴等が、観察窓62等に残りにくくできる。
【0081】
表面濡れ性は、中央面部54、ノズル隣接領域56A及び観察窓隣接領域56Bの表面物性を変更することで、変更することができる。表面物性を変更する方法として、素材の変更、表面粗さの変更、又は表面コート膜の変更などの手法を例示できる。なお、表面濡れ性は、対水接触角などにより疎水性及び親水性を判断できる。
【0082】
<面取り構造>
ノズル隣接領域56A及び観察窓隣接領域56Bの外周端部に面取り構造を設けることが好ましい。図6は、図5と同様の位置における先端硬質部40の部分断面図である。
【0083】
図6に示すように、ノズル隣接領域56Aには面取り構造56A1が設けられている。面取り構造56A1を設けることにより、水滴等がノズル隣接領域56Aから落ちやすくなる。同様に、面取り構造56B1を設けることにより、水滴等が観察窓隣接領域56Bから落ちやすくなる。面取り構造56A1及び56B1は、外周面部56の外周端部において、先端側から基端側に向うに従い拡径する傾斜面で構成される。傾斜面は曲面だけでなく平面であってもよい。
【0084】
面取り構造と表面濡れ性とを組み合わせることで、水滴等をノズル隣接領域56A及び観察窓隣接領域56Bからより落ちやすくできる。
【0085】
<好ましい変形例2>
外周面部56がノズル隣接領域56A及び観察窓隣接領域56Bを備える場合を説明したが、さらに、外周面部56のノズル隣接領域56A及び観察窓隣接領域56B以外の領域を中央面部54よりも高い高さにすることで、観察窓62を保護することが可能となる。
【0086】
図4に示すように、外周面部56は、ノズル隣接領域56A及び観察窓隣接領域56B以外に2つの外周面部構成領域56Cを備えている。2つの外周面部構成領域56Cは、それぞれノズル隣接領域56Aと観察窓隣接領域56Bとの間に位置している。
【0087】
図7に示すように、外周面部構成領域56Cは、中央面部54よりもH3だけ高さが高い。ここで、図4に示すように、ノズル66の先端と、2つの外周面部構成領域56Cとを頂点とに接する平面を仮想平面S1とする。この場合、図4及び図7に示すように、観察窓62が仮想平面S1の中に配置され、且つ仮想平面S1が観察窓62より先端側に位置している。仮想平面S1がこれらの条件を満たす場合、ノズル66と2つの観察窓隣接領域56Bとにより、壁や床等が観察窓62に接触することを防止することができる。
【0088】
2つの外周面部構成領域56Cは中央面部54よりもH3だけ高さが高いので、本発明の外周面部のうち少なくとも一部の領域に相当する。第1実施形態の好ましい変形例2は、デッドスペースとなる外周面部56を観察窓62の保護のために有効に利用することができる。
【0089】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態について説明する。上述した第1実施形態では、外周面部56が、中央面部54よりも低い高さを有するノズル隣接領域56Aと観察窓隣接領域56Bとを備えるのに対し、第2実施形態では、外周面部56が中央面部54よりも低い高さを有するノズル隣接領域56Aと、中央面部54よりも高い高さを有する観察窓隣接領域56Dを備える。以下、第1実施形態と共通する点については説明を省略し、第1実施形態と異なる点について説明する。
【0090】
図8は、第2実施形態の先端面に垂直な方向から見た先端面の拡大図である。図9は、図8の8-8線に沿う先端硬質部の部分断面図である。
【0091】
図8に示すように、先端面51は、中央面部54と外周面部56とを備える。中央面部54には、鉗子口60、観察窓62、照明窓64及びノズル66が設けられる。外周面部56は中央面部54より低い高さを有するノズル隣接領域56Aを含んでいる。これらの点に関し、第2実施形態は第1実施形態と共通する。
【0092】
<観察窓隣接領域>
図8に示すように、外周面部56は、観察窓62に隣接した観察窓隣接領域56Dを含んでいる。
【0093】
実施形態の観察窓隣接領域56Dは、観察窓62に対してノズル66とは反対側に位置している。観察窓隣接領域56Dは矢印で示す領域Dを少なくとも含んでいる。領域Dは、例えば、ノズル66から噴出される液体の噴出範囲を含む領域である。領域Dは、好ましくは、噴出口66Aの中心を起点として、観察窓62の外周に接する2本の仮想接線L3及びL4の間の範囲である。領域Dは第1実施形態の領域Bと基本的に同じであるのに対し、第2実施形態の観察窓隣接領域56Dは、図9に示すように、中央面部54よりもH4だけ高さが高い。観察窓隣接領域56Dは、本発明の外周面部のうち少なくとも一部の領域の一例である。観察窓隣接領域56DがH4だけ高さが高いので、観察窓隣接領域56Dが中央面部54に対して高さ方向に突出する段差となる。この段差がノズル66から噴出される液体の壁となるので、流体に吹き飛ばされた水滴等は観察窓隣接領域56Dに当たる。そして、水滴等は液流方向FL3に示すように観察窓隣接領域56Dを伝って鉗子口60に誘導される。その結果、水滴等が鉗子口60からより確実に吸引される。また、水滴等が観察窓隣接領域56Dに残りにくくなる。
【0094】
第2実施形態は、先端面51の外周面部56が、中央面部54より低い高さを有するノズル隣接領域56A及び中央面部54より高い高さを有する観察窓隣接領域56Dを備えるので、水滴等が観察窓62等に戻りにくくなり、また水滴等が鉗子口60からより確実に吸引されるので水滴除去性能を向上できる。また、第2実施形態は、デッドスペースとなる外周面部56を有効に利用することができる。
【0095】
<好ましい変形例1>
外周面部56がノズル隣接領域56A及び観察窓隣接領域56Dを備える場合を説明したが、第2実施形態の好ましい変形例1を説明する。第1実施形態と同様に、第2実施形態の好ましい変形例1では、ノズル隣接領域56A及び観察窓隣接領域56Dに水滴等が残りにくい特性、表面濡れ性及び面取り構造を付与することができる。
【0096】
表面濡れ性に関して、中央面部54の表面濡れ性と、ノズル隣接領域56A及び観察窓隣接領域56Dの表面濡れ性とが異なることが好ましい。第1実施形態と同様に、中央面部54の表面濡れ性を親水性とし、ノズル隣接領域56A及び観察窓隣接領域56Dの表面濡れ性を疎水性とできる。また、中央面部54の表面濡れ性を疎水性とし、ノズル隣接領域56A及び観察窓隣接領域56Dの表面濡れ性を親水性とできる。第2実施形態でも第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0097】
面取り構造に関して、図10に示すように、ノズル隣接領域56A及び観察窓隣接領域56Dの外周端部にそれぞれ、面取り構造56A1及び面取り構造56D1を備えている。面取り構造56A1及び面取り構造56D1を備えることにより、第2実施形態でも第1実施形態と同様に水滴等がノズル隣接領域56A及び観察窓隣接領域56Dから落ちやすくなる。図10は、図9と同様の位置における先端硬質部40の部分断面図である。
【0098】
<好ましい変形例2>
外周面部56がノズル隣接領域56A及び観察窓隣接領域56Dを備える場合を説明したが、さらに、外周面部56のノズル隣接領域56A及び観察窓隣接領域56Dを利用することで観察窓62を保護することが可能となる。
【0099】
図9に示すように、観察窓隣接領域56Dは中央面部54よりもH4だけ高さが高い。ここで、図8に示すように、ノズル66の先端と、観察窓隣接領域56Dの任意の2点を頂点とに接する平面を仮想平面S2とする。この場合、図8及び図9に示すように、観察窓62が仮想平面S2の中に配置され、且つ仮想平面S2が観察窓62より先端側に位置している。仮想平面S2がこれらの条件を満たす場合、ノズル66と観察窓隣接領域56Dとにより、壁や床等が観察窓62に接触することを防止することができる。
【0100】
第2実施形態の好ましい変形例2は、デッドスペースとなる外周面部56を観察窓62の保護のために有効に利用することができる。
【0101】
図8に示すように、外周面部56は、ノズル隣接領域56A及び観察窓隣接領域56D以外に2つの外周面部構成領域56Eを備えている。2つの外周面部構成領域56Eのそれぞれは、ノズル隣接領域56Aと観察窓隣接領域56Bとの間に位置している。2つの外周面部構成領域56Eは中央面部54と同じ高さを有している。
【0102】
以上、第1実施形態では外周面部56がノズル隣接領域56A及び観察窓隣接領域56Bを備え、第2実施形態では外周面部56がノズル隣接領域56A及び観察窓隣接領域56Dを備える場合を例示した。しかしながら、これらに限定されることなく、いずれか一方のみを外周面部56に設けてもよい。また、本発明は、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、いくつかの改良又は変形を行ってもよい。
【符号の説明】
【0103】
10 超音波検査システム
12 超音波内視鏡
14 超音波用プロセッサ装置
16 内視鏡用プロセッサ装置
18 光源装置
20 モニタ
21a 送水タンク
21b 吸引ポンプ
22 挿入部
24 操作部
26 ユニバーサルコード
28a 送気送水ボタン
28b 吸引ボタン
29 アングルノブ
30 処置具挿入口
32a コネクタ
32b コネクタ
32c コネクタ
34a 送気送水用チューブ
34b 吸引用チューブ
36 超音波観察部
38 内視鏡観察部
40 先端硬質部
42 湾曲部
44 軟性部
46 超音波トランスデューサ
48 超音波振動子
49 音響レンズ
50 先端キャップ
51 先端面
52 基端側リング
53 ベース部材
54 中央面部
56 外周面部
56A ノズル隣接領域
56A1 面取り構造
56B 観察窓隣接領域
56B1 面取り構造
56C 外周面部構成領域
56D 観察窓隣接領域
56D1 面取り構造
56E 外周面部構成領域
60 鉗子口
62 観察窓
64 照明窓
66 ノズル
66A 噴出口
68 送気送水チャネル
70 ライトガイド
72 超音波ケーブル
73 フレキシブルプリント基板
74 信号線
80 ブラケット
84 鉗子チューブ
86 レンズ群
88 プリズム
90 撮像素子
92 基板
94 信号線
Ax 長手軸
FL1 液流方向
FL2 液流方向
FL3 液流方向
L1 仮想直線
L2 仮想直線
L3 仮想接線
L4 仮想接線
S1 仮想平面
S2 仮想平面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10