(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024047457
(43)【公開日】2024-04-05
(54)【発明の名称】ガラス振動板、振動子付きガラス振動板及びガラス振動板の製造方法
(51)【国際特許分類】
H04R 7/10 20060101AFI20240329BHJP
B60J 1/00 20060101ALI20240329BHJP
B60J 1/20 20060101ALI20240329BHJP
H04R 7/02 20060101ALI20240329BHJP
H04R 1/00 20060101ALI20240329BHJP
H04R 31/00 20060101ALI20240329BHJP
C03C 27/12 20060101ALI20240329BHJP
【FI】
H04R7/10
B60J1/00 H
B60J1/20 Z
H04R7/02 A
H04R1/00 310F
H04R31/00 A
C03C27/12 N
C03C27/12 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022153087
(22)【出願日】2022-09-26
(71)【出願人】
【識別番号】000000044
【氏名又は名称】AGC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】秋山 順
(72)【発明者】
【氏名】内田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 研人
【テーマコード(参考)】
4G061
5D016
【Fターム(参考)】
4G061AA13
4G061AA25
4G061BA03
4G061CB03
4G061CB07
4G061CB16
4G061CB19
4G061CB20
4G061CD02
4G061CD18
5D016AA01
5D016DA02
5D016EC01
5D016EC21
5D016EC28
5D016JA00
(57)【要約】
【課題】簡易な構造で電子部品を取付可能にするガラス振動板、振動子付きガラス振動板、及びガラス振動板の製造方法を得る。
【解決手段】ガラス振動板11は、ガラス板14と、中間層18を介してガラス板14に積層された板状体16とを備えたガラス板構成体12と、ガラス板構成体12に固定されるマウント部20と、を有し、マウント部20は、ガラス板14と板状体16との間に挟持された挟持部22Aと、挟持部22Aからガラス板構成体12の外側へ延出されて電子部品24が取付けられる露出部23とを備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス板と、中間層を介して前記ガラス板に積層された板状体とを備えたガラス板構成体と、
前記ガラス板構成体に固定されるマウント部と、
を有し、
前記マウント部は、前記ガラス板と前記板状体との間に挟持された被挟持部と、前記被挟持部から前記ガラス板構成体の外側へ延出されて電子部品が取付けられる露出部とを備える、ガラス振動板。
【請求項2】
前記中間層は、第1中間層と第2中間層とが積層して構成される、請求項1に記載のガラス振動板。
【請求項3】
前記被挟持部は、前記第1中間層と前記第2中間層との間に挟持される、請求項2に記載のガラス振動板。
【請求項4】
前記第1中間層と前記第2中間層との間に機能層が設けられ、
前記被挟持部は、前記ガラス板構成体の板厚方向から見て前記機能層と重複しない部分に配置される、請求項3に記載のガラス振動板。
【請求項5】
前記機能層は、前記ガラス板構成体の透過率を変更可能な調光フィルムを含む、請求項4に記載のガラス振動板。
【請求項6】
前記板状体は、樹脂板であり、
前記被挟持部は、前記中間層と前記樹脂板との間に挟持される、請求項1~5の何れか1項に記載のガラス振動板。
【請求項7】
前記板状体は、前記ガラス板と同じ材料の無機ガラスである、請求項1~5の何れか1項に記載のガラス振動板。
【請求項8】
前記露出部は、前記板状体の主面に沿って配置された第1部分を含み、
前記第1部分に前記電子部品が取り付けられる、請求項1~7の何れか1項に記載のガラス振動板。
【請求項9】
前記第1部分と前記板状体との間に第1接着層を有する、請求項8に記載のガラス振動板。
【請求項10】
前記露出部は、前記板状体の端面と対向する第2部分を含む、請求項8又は9に記載のガラス振動板。
【請求項11】
前記第2部分と前記板状体との間に第2接着層を有する、請求項10に記載のガラス振動板。
【請求項12】
前記第1部分と前記第2部分は、一体形成される、請求項10又は11に記載のガラス振動板。
【請求項13】
前記第1部分と前記第2部分とが機械的に固定される、請求項10又は11に記載のガラス振動板。
【請求項14】
前記第1部分と前記第2部分とが留め具によって固定される、請求項13に記載のガラス振動板。
【請求項15】
前記中間層は、ポリビニルブチラール系樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体系樹脂、ウレタン系樹脂又はシリコーン系樹脂の樹脂膜で形成されている、請求項1~14の何れか1項に記載のガラス振動板。
【請求項16】
前記被挟持部は、板状の部材で形成される、請求項1~15の何れか1項に記載のガラス振動板。
【請求項17】
請求項1~16の何れか1項に記載のガラス振動板と、
前記マウント部に取付けられて前記ガラス板構成体を振動させる振動子と、
を有する、振動子付きガラス振動板。
【請求項18】
ガラス板と板状体の間に第1中間層、被挟持部、及び第2中間層をこの順に積層した積層体を準備し、
高温高圧条件下にて前記積層体に熱を加えて前記ガラス板、前記第1中間層、前記第2中間層及び前記被挟持部を接着し、
前記被挟持部から露出した部分に、電子部品が取付けられマウント部を構成する第1部分を固定する、
ガラス振動板の製造方法。
【請求項19】
前記被挟持部と前記被挟持部から突出された突出部とを有する板部と、前記板状体の端面と対向して配置され前記マウント部を構成する第2部分を有し、
前記突出部及び前記板状体の主面と対向する前記第1部分と、前記第2部分を固定する、請求項18に記載のガラス振動板の製造方法。
【請求項20】
前記第1中間層と前記第2中間層との間に、前記積層体の積層方向から見て前記被挟持部と重複しない部分に機能層を配置する、請求項18又は19に記載のガラス振動板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラス振動板、振動子付きガラス振動板及びガラス振動板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ガラス板を振動させることでスピーカとして機能させる技術が検討されている。特許文献1には、ガラス板上にモールディングによってソール及びベースが固定された構造が開示されており、ベースに取付部を介して振動子(エキサイタ)が取付けられている。特許文献2には、ガラス板に貫通孔を形成し、貫通孔にベースの下部を挿入し、ベースの上部に振動子が取付けられた構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2021/229179号公報
【特許文献2】国際公開第2021/229180号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1及び特許文献2に開示された、ガラス板へのベース等の取付け構造では、その構造が複雑であるため、簡易な構造で振動子などの電子部品を取付可能にするには改善の余地があった。
【0005】
本発明は、簡易な構造で電子部品を取付可能にするガラス振動板、振動子付きガラス振動板、及びガラス振動板の製造方法を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るガラス振動板は、ガラス板と、中間層を介して前記ガラス板に積層された板状体とを備えたガラス板構成体と、前記ガラス板構成体に固定されるマウント部と、を有し、前記マウント部は、前記ガラス板と前記板状体との間に挟持された被挟持部と、前記被挟持部から前記ガラス板構成体の外側へ延出されて電子部品が取付けられる露出部とを備える。
【0007】
本発明に係る振動子付きガラス振動板は、ガラス振動板と、前記マウント部に取付けられて前記ガラス板構成体を振動させる振動子と、を有する。
【0008】
本発明に係るガラス振動板の製造方法は、ガラス板と板状体の間に第1中間層、被挟持部、及び第2中間層をこの順に積層した積層体を準備し、高温高圧条件下にて前記積層体に熱を加えて前記ガラス板、前記第1中間層、前記第2中間層及び前記被挟持部を接着し、前記被挟持部から露出した部分に、電子部品が取付けられマウント部を構成する第1部分を固定する。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係るガラス振動板、振動子付きガラス振動及び板ガラス振動板の製造方法では、簡易な構造で電子部品を取付けられる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態に係るガラス振動板の斜視図であり、振動子の取付前の状態を示す図である。
【
図2】実施形態に係る振動子付きガラス振動板を側方から見た断面図である。
【
図3】変形例1に係るガラス振動板の斜視図であり、振動子の取付前の状態を示す図である。
【
図4】変形例2に係る振動子付きガラス振動板を側方から見た断面図である。
【
図5】変形例3に係る振動子付きガラス振動板を側方から見た断面図であり、第2部分取付前の状態を示す図である。
【
図6】
図5の状態から第2部分が取付けられた状態を示す図である。
【
図7】マウント部の断面を拡大した拡大断面図の一例である。
【
図8】マウント部の断面を拡大した拡大断面図の他の例である。
【
図9】変形例4に係るガラス振動板の斜視図であり、振動子の取付前の状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施形態に係る振動子付きガラス振動板10及びガラス振動板11について、図面を参照して説明する。
【0012】
図1は、ガラス振動板11の斜視図であり、(不図示の)振動子24取付前の状態を示す図である。本実施形態のガラス振動板11は、車両用窓ガラスに用いられるものであり、車内側から車外側へ向かう方向がZ軸の正方向である。また、X軸とY軸とで規定される平面は、ガラス振動板11の主面と平行な面である。
図2は、ガラス振動板11に振動子24が取付けられた振動子付きガラス振動板10を側方から見た断面図である。
図1及び
図2に示すように、本実施形態の振動子付きガラス振動板10は、ガラス振動板11と振動子24とを含んで構成されている。また、本実施形態のガラス振動板11は、ガラス板構成体12、マウント部22及び接続部28を含んで構成されている。なお、ガラス板構成体12を振動させる振動子24は、電子部品の一例であり、振動子24の他にセンサ類及びディスプレイ等を用いてもよい。以降、とくに断わりがない場合、電子部品は、振動子24として説明する。
【0013】
(ガラス板構成体12)
ガラス板構成体12は、第1ガラス板14と、中間層18を介して第1ガラス板14に積層された第2ガラス板16とを含んで構成された合わせガラスである。言い換えると、ガラス板構成体12は、第1ガラス板14と第2ガラス板16との間に中間層18が挟持された構造である。第1ガラス板14及び第2ガラス板16は、透明又は半透明の無機ガラスによって形成されている。無機ガラスとしては、例えば、ソーダライムガラス、アルミノシリケートガラス、ホウ珪酸ガラス、無アルカリガラス、石英ガラスが挙げられ、第1ガラス板14と第2ガラス板16は同じ材料の無機ガラスが好ましく用いられる。
【0014】
なお、これに限定されず、第1ガラス板14及び第2ガラス板16の少なくとも一方は、有機ガラスによって形成されてもよく、後述するマウント部22側の第2ガラス板のみ有機ガラスとしてもよい。有機ガラスとしては、例えば、PMMA(polymethyl methacrylate)系樹脂、PC(polycarbonate)系樹脂、PS(polystyrene)系樹脂、PET(polyethyleneterephthalate)系樹脂、PVC(polyvinyl chloride)系樹脂、セルロース系樹脂が挙げられる。さらに、第2ガラス板16は、ガラス以外の材料で形成された板状体でもよい。例えば、第2ガラス板16として、アクリル板などの透明樹脂材料で形成された樹脂板を用いてもよい。また、第2ガラス板16として、ガラス繊維や炭素繊維を含む繊維強化プラスチックなどを用いてもよい。つまり、ガラス板構成体12は、無機ガラス(単に「ガラス板」)からなる第1ガラス板14と、無機ガラス又は有機ガラスからなる板状体である第2ガラス板16との組み合わせを含む。
【0015】
また、ガラス板構成体12の厚さは、1.0[mm]以上が好ましく、2.0[mm]以上がより好ましく、3.0[mm]以上がさらに好ましい。これにより、ガラス板構成体12を必要十分な強度を確保できる。また、第1ガラス板14及び第2ガラス板16の厚さはそれぞれ、5.0[mm]以下が好ましく、3.0[mm]以下がより好ましく、2.0[mm]以下がさらに好ましい。さらに、第1ガラス板14及び第2ガラス板16の厚さはそれぞれ、0.1[mm]以上が好ましく、0.5[mm]以上がより好ましく、1.0[mm]以上がさらに好ましい。なお、第1ガラス板14と第2ガラス板16の厚さは、同じでもよく異なってもよい。
【0016】
(中間層18)
中間層18は、第1中間層18Aと第2中間層18Bとを含み、これらが積層して構成されている。
図2に示すように、第1ガラス板14の車外側の主面を第1主面14A、車内側の主面を第2主面14Bとし、第2ガラス板16の車外側の主面を第3主面16A、車内側の主面を第4主面16Bとするとき、第1中間層18Aは、第1ガラス板14の第2主面14Bに設けられており、第2中間層18Bは、第2ガラス板16の第3主面16Aに設けられている。また、第1中間層18A及び第2中間層18Bはそれぞれ、透明のポリビニルブチラール(PVB)系、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)系、シリコーン(PDMS)系、ポリウレタン系、フッ素系、ポリエチレンテレフタレート系、ポリカーボネート系の樹脂膜から選ばれる少なくとも1つによって形成されている。第1中間層18A及び第2中間層18Bの厚さは、例えば、各々、1.0[nm]以上1.0[mm]以下で設定できるが、0.01[mm]以上1.0[mm]以下でもよく、0.10[mm]以上0.9[mm]以下でもよく、0.20[mm]以上0.80[mm]以下でもよく、0.30[mm]以上0.50[mm]以下でもよい。
【0017】
なお、第1中間層18Aと第2中間層18Bとは、同じ材料でもよく、異なる材料でもよいが、熱膨張係数差が小さく、熱による歪の発生が抑制できることから同じ材料が好ましい。とくに、第1中間層18A及び第2中間層18Bは、上記材料のうち、PVB又はEVAを好ましく使用できる。また、第1中間層18Aと第2中間層18Bとは、同じ厚さでもよく、異なる厚さでもよいが、とくに同じ厚さで同じ材料を用いると、管理面で優位性があって生産性が向上するので好ましい。
【0018】
本実施形態のガラス板構成体12は、車両に取付けられる窓ガラスである。例えば、ガラス板構成体12は、ウィンドシールド、サイドガラス、リアガラス、リアクォーターガラス、フロントベンチガラス及びルーフガラスなどに用いられる。なお、ガラス板構成体12は、車両用開口部以外に建築用開口部の用途にも使用できる。また、ガラス板構成体12は、3枚以上のガラス板によって隣り合うガラス板の間に、各々中間層18を挟持する構成でもよい。この場合、3枚以上のガラス板のうち、少なくとも隣り合う2枚のガラス板に挟持される少なくとも1つの中間層18が、第1中間層18A及び第2中間層18Bを含めばよい。
【0019】
(マウント部20)
図2に示すように、マウント部20は、第1ガラス板14と第2ガラス板16との間に挟持された被挟持部22Aと、被挟持部22Aからガラス板構成体12の外側へ延出されて電子部品が取付けられる露出部23とを備えている。
【0020】
被挟持部22Aは、板状の部材で形成されており、例えば、板部22の一部を構成して、第1中間層18Aと第2中間層18Bとの間に挟持されている。例えば、板部22は、ガラス板構成体12の板厚方向から見て略矩形の薄板状に形成されているが、略矩形状に限らず任意の外縁形状を有してもよい。例えば、被挟持部22Aは、中間層18の内部に向かって櫛状の外縁形状を有してもよい。板部22の厚さは、軽量性の観点から5.0[mm]以下が好ましく、1.0[mm]以下がより好ましく、0.5[mm]以下がさらに好ましい。一方、振動子24から発生する振動の伝達性の観点から、板部22の厚さは、0.01[mm]以上が好ましく、0.05[mm]以上がより好ましく、0.1[mm]以上が特に好ましい。なお、板部22における、被挟持部22Aの厚さは、中間層18の厚さよりも薄い方が、ガラス板構成体12の歪を抑制できるため好ましく、被挟持部22Aの厚さは、第1中間層18A及び第2中間層18Bのいずれか一方の厚さよりも薄い方が好ましく、両方の厚さよりも薄い方がより好ましい。また、板部22は、金属で形成されているが、樹脂で形成されてもよい。板部22が樹脂で形成される場合、繊維強化プラスチックなどの強度が高い樹脂で形成されると好ましい。なお、板部22は、一定の厚さに限らず、例えば、被挟持部22Aにおいてガラス板構成体12の端部から奥行き方向(
図1におけるY軸の負方向)に厚さが漸増する部分を有してもよく、厚さが漸減する部分を有してもよい。
【0021】
露出部23は、被挟持部22Aから突出された突出部22Bと、第1部分26と、第2部分28とを含んで構成されている。
図2において、板部22の一部である突出部22Bは、被挟持部22Aと同じ厚さで一体に形成されており、ガラス板構成体12の板厚方向と直交する方向でガラス板構成体12の外縁(端面)よりも外側に突出されている。ただし、板部22に含まれる突出部22Bの厚さは、被挟持部22Aの厚さよりも厚くてもよく、板部22は、例えば、被挟持部22Aと突出部22Bとの間に段差を有してもよい。さらに、板部22において、突出部22Bの厚さが被挟持部22Aの厚さより厚い場合、突出部22Bが後述する第2部分28を含んでもよい。
【0022】
第1部分26は、第2ガラス16の第4主面16Bに沿って、第4主面に対向される部分を有して配置されており、第1部分26と第2ガラス板16の第4主面16Bとの間には第1接着層30が設けられている。
【0023】
第1部分26は、ガラス板構成体12の板厚方向から見て、例えば、略円形状に形成されており、第1部分に振動子24が取付けられる。具体的には、第1部分26における第2ガラス板16とは反対側の面には、振動子24を機械的に締結するための接続部26Aが形成されている。
図2において、接続部26Aは、振動子24が安定して取付けられるネジ孔が例示でき、この場合、振動子24側の雄ネジ部25が螺合される形状を有する。
【0024】
第2部分28は、第1部分26のY軸の正方向の端部から第2ガラス板16の端面に沿って延出されており、第2ガラス板16の端面と対向している。第2部分28の一端部は第1部分26に接続されており、第2部分28の他端部は板部22の突出部22Bに留め具の一例であるボルト50によって締結される。なお、第2部分28は、第1部分26と一体形成されてもよく、その場合、ガラス板構成体12の側面視において、略L字形状を有する。このように、第1部分26と第2部分28が一体形成される場合、第1部分26と第2部分28は、同一材料でもよく、異なる材料でもよい。
【0025】
突出部22Bと第2部分28とは、例えば、ねじ、ピン、キー、リベット及びクリップの少なくとも1つを用いて第2部分28を突出部22Bに機械的に締結してもよい。また、接着剤や粘着テープなどの接着材料を用いて第2部分28を突出部22Bに固定してもよく、接着材料と機械的な締結を併用して固定してもよい。
【0026】
マウント部20の第1部分26の厚さは、薄いほどガラス振動板11及び振動子付きガラス振動板10を低背化ができる点で好ましく、50[mm]以下が好ましく、30[mm]以下がより好ましく、20[mm]以下がさらに好ましく、10[mm]以下が特に好ましく、5[mm]以下が最も好ましい。なお、第1部分26は、ガラス板構成体12の板厚方向から見て、外縁が円形以外の形状でもよく、例えば、矩形状及び多角形状(凸多角形を含む)、一部に曲線を有する外縁形状に形成されてもよい。
【0027】
また、本実施形態の第1部分26及び第2部分28は金属で形成されてもよく、主に金属で一部をプラスチックなどの樹脂で形成されてもよく、樹脂で形成されてもよい。例えば、第1部分26において少なくとも接続部26Aの周辺がヘリサート挿入等により、ステンレスなどの金属で形成され、他の部分以外がアルミニウムなどの軟質金属やプラスチックなどの樹脂で形成されてもよい。
【0028】
第1接着層30及び第2接着層32は、アクリル系、シリコーン系、ウレタン系、エポキシ系、フェノール系、エポキシシリコーン系などの材料が好ましい。これら接着層の材料としては、熱硬化性、湿気硬化性、二液混合硬化性、紫外線硬化性、可視光線硬化性、嫌気性硬化性などの接着剤が使用できる。第1接着層30及び第2接着層32は、中間層18と同じ材料でもよいが、異なる材料であれば、接着性等に優れた適切な材料を選択し得る。
【0029】
とくに、第2接着層32が樹脂材料である場合、ガラス板構成体12におけるマウント部20のうち、第2部分28を介して振動子24からの振動を円滑にガラス板構成体12へ伝達でき、音響効果を高められる。
【0030】
第1接着層30及び第2接着層32の厚さは、1.0[μm]~3.0[mm]であり、この範囲であれば、ガラス板構成体12におけるマウント部20の取付け箇所を十分に保護しつつ、振動子24からの振動を円滑にガラス板構成体12へ伝達でき、さらに、ガラス板構成体12へのマウント部20(とくに第2部分28)を強固に固定できる。
【0031】
なお、ガラス板構成体12とマウント部20との材料の線膨張差の観点から、第1接着層30は、薄すぎると好ましくない。このため、第1接着層30の厚さは、10[μm]以上が好ましく、50[μm]以上がより好ましい。また、第1接着層30の厚さは、振動子24からの振動伝達性の観点から、2.0[mm]以下が好ましく、1.0[mm]以下がより好ましい。
【0032】
また、第1接着層30及び第2接着層32は、ヤング率が1×104[Pa]~1×109[Pa]であればよい。この場合、ガラス板構成体12におけるマウント部20の取付け箇所が十分に保護できるとともに、振動子24からの振動を円滑にガラス板構成体12へ伝達でき、さらに、ガラス板構成体12へのマウント部20(とくに第2部分28)を強固に固定できる。第1接着層30及び第2接着層32のヤング率は、5×104[Pa]以上が好ましく、5×105[Pa]以上がより好ましい。また、第1接着層30及び第2接着層32のヤング率は、5×109[Pa]以下が好ましく、1×109[Pa]以上がより好ましい。
【0033】
第1接着層30及び第2接着層32は、上記の接着剤の他、粘着剤や粘着テープでもよい。粘着テープとしては、アクリル系、シリコーン系、ウレタン系、エポキシシリコーン系等の樹脂が使用できる。
【0034】
図2において、第1部分26に取付けられた振動子24は、振動子24の中央部に雄ネジ部25が突出している。そして、振動子24側の雄ネジ部25が第1部分26の接続部26Aと螺合した状態で、振動子24と第1部分26と面接触している。これにより、振動子24から発生した振動が第1部分26を介してガラス板構成体12へ効果的に伝達される。
【0035】
なお、本実施形態では、第1部分26の接続部26Aに振動子24側の雄ネジ部25が螺合することで振動子24が取付けられたが、これに限定されない。例えば、接続部26Aが、振動子24側に突起して雄ネジ部を有して、振動子24に雌ネジを有して、これらが螺合した状態で、振動子24と第1部分26と面接触させてもよい。さらに、ねじ、ピン、キー、リベット及びクリップの少なくとも1つを用いて第1部分26と振動子24とが機械的に締結されてもよい。また、第1部分26及び振動子24の少なくとも一方に爪部を設け、爪部によって係止することで第1部分26と振動子24とが固定されてもよい。さらに、接着剤や粘着テープなどの接着材料を用いて第1部分26と振動子24とが固定されてもよく、ボルト及びネジなどの固定具と接着材料とを組み合わせて固定されてもよい。また、振動子24と第1部分26とは、ガラス板構成体12の板厚方向から見て同径に形成したが、これに限定されず、振動子24が第1部分26よりも大径に形成されてもよく、振動子24が第1部分26よりも小径に形成されてもよい。
【0036】
振動子24は、図示しない電源に接続されており、入力される電気信号に応じてガラス板構成体12を振動させる。本実施形態の振動子24は一例として、コイル部と磁気回路とを含んだボイスコイルモータとされており、コイル部及び磁気回路の一方がマウント部20の第1部分26に固定され、他方が第1部分26に対して相対移動可能に配置されている。そして、コイル部に電流を流すことで、コイル部と磁気回路との相互作用によって振動が発生し、第1部分26及び接着層30を介してガラス板構成体12を振動させる。なお、振動子24は、ボイスコイルモータに限定されず、ガラス板構成体12へ所望の振動を伝達可能なアクチュエータであれば、ピエゾ方式等、ボイスコイルモータ以外のアクチュエータを採用し得る。
【0037】
なお、マウント部20は、ガラス板構成体12が車体に取付けられた状態において、車体や車両の内装に覆われる位置に取付けられるのが好ましい。例えば、ガラス板構成体12が昇降可能なサイドガラスである場合、マウント部20をサイドガラスの全閉時であっても車体に覆われる位置である、ベルトラインより下方の領域に取付けられるのが好ましい。この場合、サイドガラスの全閉時に振動子24が乗員から見えず、意匠性を確保できる。さらに、ガラス板構成体12が車両の固定窓に適用される場合、マウント部20は、車内の内装部に覆われて露出しない位置や、ガラス板構成体12の周辺に配置される黒色セラミックス等の遮光層によって可視光を遮蔽する領域内に配置されるとよい。遮光層は、ガラス板構成体12の第4主面16B及び第2主面14Bの少なくとも一方に設けられるとよい。
【0038】
(ガラス振動板11の製造方法)
図1及び
図2を参照してガラス振動板11の製造方法の一例を説明する。製造方法は、準備工程、積層工程及び接着工程を含んでいる。準備工程では、ガラス振動板11を構成する第1ガラス板14、第2ガラス板16、第1中間層18A、第2中間層18B及びマウント部20を準備する。本実施形態では、第1部分26と第2部分28とが一体に形成されているため、マウント部20として、板部22と、第1部分26及び第2部分28が一体に形成された部品とを準備する。
【0039】
積層工程では、第1ガラス板14と第2ガラス板16との間に第1中間層18A、板部22、及び第2中間層18Bをこの順に積層し、板部22の一部である被挟持部22Aを積層させ、板部の他部である突出部22Bを中間層18からはみ出すようにして、
図1の状態とする。
【0040】
以上のように各部品を積層した状態で、ゴム袋などの袋に入れて減圧して第1ガラス板14、第2ガラス板16、中間層18及びマウント部20を密着させる。なお、減圧以外の方法で密着してもよく、ローラの間を通して各部品を密着してもよい。
【0041】
接着工程では、各部品が積層された状態において、高温高圧条件下にて中間層18に熱を加える。本実施形態では、予備接着工程として、ゴム袋内の温度を70℃~140℃とし、絶対圧力0.01MPa~0.1MPaで所定時間熱圧着する。本接着工程では、ゴム袋内の温度を120℃~145℃とし、絶対圧力0.5MPa~1.4MPaで制御して所定時間熱圧着する。これにより、第1中間層18A及び第2中間層18Bが硬化して第1ガラス板14、第2ガラス板16及び板部22が固定される。なお、接着工程における圧力及び温度の条件は、例えば、特開2002-326847号公報、国際公開第2016/158695号、及び国際公開第2012/023616号に記載された条件を採用し得る。
【0042】
接着工程の後、第2ガラス板16の第4主面16Bに第1接着層30を介して第1部分26を固定し、第2ガラス板16の端面に第2接着層32を介して第2部分28を固定する。さらに、板部22と第2部分とを機械的に固定または接着剤により強固に固定することで、ガラス振動板11が得られる。ガラス振動板11製造後、マウント部20の第1部分26に振動子24を取付けることで、振動子付きガラス振動板10が製造される。なお、第2接着層32は任意に設けられ、第2接着層32を有しない場合、間隙を有して第2ガラス板16の端面と第2部分28とが接触しないように配置するとよい。また、例えば、第2部分28と第2ガラス板16の端面との間には、第2部分28よりも柔らかく接着性を有しない樹脂が挟持されてもよい。第2部分28が第2ガラス板16の端面と直接触れない構成とすることで、第2ガラス板16の端面から発生するクラックを抑制できる。
【0043】
本実施形態では、第1中間層18Aと第2中間層18Bとの間に板部22を挟持させ、板部22の突出部22Bに第1部分26及び第2部分28を固定してマウント部20を形成したことで、マウント部20とガラス板構成体12とを強固に固定でき、マウント部20の脱落を効果的に抑制できる。
【0044】
(変形例1)
図3は、変形例1に係るガラス振動板11の斜視図である。
図3に示すように、本変形例では、第1中間層18Aと第2中間層18Bとの間に機能層40が設けられている。機能層40としては、ガラス板構成体12の透過率を変更可能な調光フィルムを採用し得る。調光フィルムは印加電圧に応じて透過状態が変化する調光機能を有する。透過状態は、例えば可視光線透過率やヘーズで表せる。調光フィルムは、懸濁粒子デバイス(SPD:Suspended Particle Device)、高分子分散型液晶(PDLC:Polymer Dispersed Liquid Crystal)、高分子ネットワーク型液晶(PNLC:Polymer Network Liquid Crystal)、ゲストホスト型液晶(GHLC:Guest-Host Liquid Crystal)、TN(Twisted Nematic)型液晶、PC(Phase Change)型液晶、STN(Super Twisted Nematic)型液晶、ECB(Electrically Controlled Birefringence)型液晶、OCB(Optically Compensated Bend)型液晶、IPS(In-Place Switching)型液晶、VA(Vertical Alignment)型液晶、FFS(Fringe Field Switching)型液晶、FPA(Field-induced Photo-reactive Alignment)型液晶、エレクトロクロミック素子、エレクトロキネティック素子、有機EL(Electro-Luminescence)素子、無機EL素子等が使用可能である。
【0045】
また、機能層40は、調光フィルム以外に、透明スクリーンフィルム、透明ディスプレイフィルム、P偏光反射フィルム、電熱層、赤外線カットフィルム、紫外線カットフィルム等でもよい。透明スクリーンフィルムは、外部光源から投射された映像を結像して視認可能にするフィルムである。透明ディスプレイフィルムは、発光ダイオード(LED)や有機発光ダイオード(OLED)等が搭載され、通電して発光することで映像を表示可能な透明フィルムである。P偏光反射フィルムは、合わせガラスに封入された状態において、外部光源からの入射角がブリュースター角でのP偏光の反射率が5%以上となるフィルムである。電熱層は、通電により熱を発する層である。
【0046】
図3に示すように、機能層40には、切欠部40Aが形成されてもよく、この場合、切欠部40Aに板部22の被挟持部22Aが配置されている。言い換えれば、被挟持部22Aは、ガラス板構成体12の板厚方向から見て機能層40と重複しない部分に配置される。なお、板部22(被挟持部22)は、機能層40と接触しないように配置されると、マウント部20と接する板部22から機能層40に不要な振動が伝達しないので好ましい。
【0047】
機能層40の厚さは、特に限定されないが、50[μm]~0.5[mm]の範囲が例示でき、0.1[mm]~0.4[mm]の範囲でもよい。また、中間層18と機能層40の厚さの和は、2.0[mm]以下が好ましく、1.6[mm]以下がより好ましく、1.3[mm]以下がさらに好ましい。機能層40が調光フィルムである場合、調光フィルムは、一対の対向する樹脂基板の間に光学異方性を有する分子層を有し、厚さは50[μm]~500[μm]の範囲でもよく、100[μm]~250[μm]の範囲でもよい。樹脂基板は、透明性を有し、例えば、ポロエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、またはシクロオレフィンポリマー(COP)が挙げられる。樹脂基板の厚さは、5[μm]~500[μm]の範囲であり、10[μm]~200[μm]の範囲が好ましく、50[μm]~150[μm]の範囲がより好ましい。また、被挟持部22Aの厚さは、機能層40の厚さと略同じでも異なってもよいが、これらの厚さが略同一であれば、中間層18の厚さの変化を低減できるため好ましい。
【0048】
本変形例の積層工程では、第1ガラス板14と第2ガラス板16との間に第1中間層18A、機能層40と板部22、及び第2中間層18Bをこの順に積層する。なお、板部22の一部である被挟持部22Aを積層させ、板部の他部である突出部22Bを中間層18からはみ出すようにする。
【0049】
(変形例2)
図4は、変形例2に係る振動子付きガラス振動板10を側方から見た断面図である。
図4に示すように、本変形例では、第2ガラス板として樹脂板42(上述の有機ガラス)が配置されている。このため、ガラス板構成体12は、第1ガラス板14と樹脂板42との間に中間層18が挟持された構造である。樹脂板42の車外側の主面を第3主面42Aとし、車内側の主面を第4主面42Bとすると、中間層18は、第1ガラス板14の第2主面14Bと樹脂板42の第3主面42Aとの間に挟持されている。
【0050】
樹脂板42の厚さは、5.0[mm]以下が好ましく、3.0[mm]以下がより好ましく、2.0[mm]以下がさらに好ましい。また、樹脂板42の厚さは、0.1[mm]以上が好ましく、0.5[mm]以上がより好ましく、1.0[mm]以上がさらに好ましい。
【0051】
板部22の被挟持部22Aは、中間層18と樹脂板42との間に挟持される。このため、本変形例では、中間層18は一層でも形成できる。
【0052】
本変形例では、中間層18を一層とすることで、中間層18を二層とする場合と比較して製造工数を削減できる。しかし、前述の変形例1のように、ガラス板構成体12が機能層40を含む場合、中間層18は、少なくとも二層(第1中間層18A及び第2中間層18B)有してもよい。この場合、機能層40は、第1中間層18Aと第2中間層18Bの間に挟持され、被挟持部22Aは、第2中間層18Bと樹脂板42の間に挟持される。
【0053】
(変形例3)
図5は、変形例3に係る振動子付きガラス振動板10を側方から見た断面図であり、第2部分28の取付前の状態を示す図である。
図6は、
図5の状態から第2部分28が取付けられた状態を示す図である。
【0054】
図5に示すように、本変形例のガラス振動板11の製造方法では、積層工程で第1ガラス板14と第2ガラス板16との間に第1中間層18A、板部22、及び第2中間層18Bをこの順に積層する。突出部22Bは、被挟持部22Aと同じ厚さで一体に形成されており、ガラス板構成体12の板厚方向と直交する方向でガラス板構成体12の外縁(端面)よりも外側に突出されている。
【0055】
接着工程では、高温高圧条件下にて各部品が積層された積層体に熱を加えて第1ガラス板14、第2ガラス板16、第1中間層18A、第2中間層18B及び被挟持部22Aを熱圧着する。接着工程の後に、第2ガラス板16の第4主面16Bに接着層46(第1接着層46)を介して第1部分26を固定する。さらに、第1部分26に振動子24を取付けることで、
図5の状態となる。
【0056】
図6に示すように、マウント部形成工程では、突出部22Bと第1部分26との間に第2部分28を機械的に固定することでマウント部20を形成する。具体的には、突出部22Bと第2部分28とが留め具の一例であるボルト50によって締結される。また、第1部分26と第2部分28とが留め具の一例であるボルト52によって締結される。第2部分28と第2ガラス板16の端面との間には、隙間が設けられており、第2ガラス板16の端面と第2部分28とが接触しないように配置されている。なお、本変形例においても、上記隙間を埋めるように(不図示)の樹脂材料が配置されてもよく、接着材(第2接着層に相当)が配置されてもよい。さらに、該接着材は、第1接着層46と同材料でもよいし、異なる材料でもよい。
【0057】
本変形例では、マウント部20の一部を機械的に固定することで、マウント部20の脱落を効果的に抑制できる。なお、ボルト50及びボルト52を用いずに、木組みのようにスライドさせて嵌め合わせることで第2部分28を固定してもよい。例えば、
図7及び
図8に図示された構造で両者を固定してもよい。
図7は、マウント部20の断面を拡大した拡大断面図の一例であり、
図8は、マウント部20の断面を拡大した拡大断面図の他の例である。
図7に示す例では、突出部22B側に断面略台形状の凸部22Cを形成し、第1部分26側に凸部22Cと対応する形状の凹部28Aが形成される。なお、突出部22B側に凹部28Aを形成し、第1部分26側に凸部22Cを形成してもよい。そして、凸部22Cと凹部28Aとをスライドさせて嵌合することで木組みのように両者が固定され、凸部22C及び凹部28Aにより、第2部分28を構成してもよい。さらに、凸部22Cと凹部28Aの境界は、第2部分28において任意の位置に設定できる。例えば、突出部22Bと第2部分28が一体化した側面視L字状を有して、とくに第4主面16Bと平行なY軸の正方向近傍に、凸部22Cと凹部28Aの境界を有してもよい。
【0058】
図8に示す例では、突出部22B側に断面略T字状の凸部22Cが形成されており、第1部分26側に凸部22Cと対応する形状の凹部28Aが形成される。そして、凸部22Cと凹部28Aとをスライドさせて嵌合することで木組みのように両者が固定され、凸部22C及び凹部28Aにより、第2部分28を構成してもよい。なお、凸部22Cと凹部28Aとの間に接着剤を介在させてもよく、接着剤が無くてもよい。
【0059】
(変形例4)
図9は、変形例4に係るガラス振動板11の斜視図であり、振動子の取付前の状態を示す図である。
図9に示すように、本変形例では、機能層40のY軸方向の長さが変形例1よりも短くなっており、機能層40の外縁と中間層18の外縁との間の領域に、板部22の被挟持部22Aが配置されている。本変形例においても、板部22は、機能層40と接触しないように配置するとよい。
【0060】
ガラス板構成体12の板厚方向から見た被挟持部22Aの面積は、マウント部20を固定するために必要な程度確保できればよく、例えば、機能層40の外縁と中間層18の外縁の距離が短い場合でも、被挟持部22Aが、中間層18の外縁方向に沿った幅を広くすることで、被挟持部22Aの面積を広くできる。
【0061】
以上、実施形態及び変形例に係る振動子付きガラス振動板10とガラス振動板11について説明したが、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。例えば、接着層を介して第1部分26に振動子24を取付けてもよく、電気剥離性接着層を用いてもよい。この場合、第1部分26にネジ孔を形成せずに済む。また、電気剥離性接着層に電圧を印加するだけで容易に振動子24を取外せる。
【符号の説明】
【0062】
10 振動子付きガラス振動板
11 ガラス振動板
12 ガラス板構成体
14 第1ガラス板(ガラス板)
16 第2ガラス板(板状体)
18 中間層
18A 第1中間層
18B 第2中間層
20 マウント部
22 板部
22A 被挟持部
23 露出部
24 振動子(電子部品)
26 第1部分
28 第2部分
40 機能層
42 樹脂板
52 ボルト(留め具)