(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024047489
(43)【公開日】2024-04-05
(54)【発明の名称】送信装置、受信装置及び中継装置
(51)【国際特許分類】
H04L 27/26 20060101AFI20240329BHJP
【FI】
H04L27/26 114
H04L27/26 410
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022153139
(22)【出願日】2022-09-26
(71)【出願人】
【識別番号】000004352
【氏名又は名称】日本放送協会
(71)【出願人】
【識別番号】591053926
【氏名又は名称】一般財団法人NHKエンジニアリングシステム
(74)【代理人】
【識別番号】110001106
【氏名又は名称】弁理士法人キュリーズ
(72)【発明者】
【氏名】竹内 知明
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 恭一
(72)【発明者】
【氏名】岡野 正寛
(72)【発明者】
【氏名】神原 浩平
(72)【発明者】
【氏名】蔀 拓也
(72)【発明者】
【氏名】朝倉 慎悟
(72)【発明者】
【氏名】宮坂 宏明
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 明彦
(72)【発明者】
【氏名】大澤 琴子
(72)【発明者】
【氏名】川島 祥吾
(72)【発明者】
【氏名】平林 祐紀
(72)【発明者】
【氏名】澁谷 一彦
(57)【要約】
【課題】 パイロット信号を利用した干渉波の除去を適切に実現し得る送信装置、受信装置及び中継装置を提供する。
【解決手段】 送信装置は、1以上の階層化データを含む伝送フレームを送信する送信部と、前記送信装置を識別する識別情報に基づいて、前記伝送フレームに挿入されるパイロット信号を生成する生成部と、を備え、前記送信部は、前記送信装置を識別する識別情報を送信する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信装置であって、
1以上の階層化データを含む伝送フレームを送信する送信部と、
前記送信装置を識別する識別情報に基づいて、前記伝送フレームに挿入されるパイロット信号を生成する生成部と、を備え、
前記送信部は、前記送信装置を識別する識別情報を送信する、送信装置。
【請求項2】
前記生成部は、前記送信装置のエリアに隣接する隣接エリアを有する隣接送信装置から送信される隣接パイロット信号と無相関となるように前記パイロット信号を生成する、請求項1に記載の送信装置。
【請求項3】
前記生成部は、前記パイロット信号を生成するための初期値を前記伝送フレーム毎に初期化する、請求項1に記載の送信装置。
【請求項4】
前記生成部は、前記伝送フレームを構成するキャリア単位のクロック及び前記伝送フレームを構成するシンボル単位のクロックの少なくともいずれか1つを用いて前記パイロット信号を生成する、請求項1に記載の送信装置。
【請求項5】
1以上の階層化データを含む伝送フレームを送信装置から受信する受信部と、
前記送信装置を識別する識別情報に基づいて、前記伝送フレームに挿入されるパイロット信号を生成する生成部と、
前記パイロット信号を利用して干渉波の除去を実行する制御部と、を備え、
前記受信部は、送信装置を識別する識別情報を受信する、受信装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記干渉波の除去として、前記パイロット信号を用いてアダプティブアレイに関する重付係数を計算する、請求項5に記載の受信装置。
【請求項7】
前記制御部は、2以上のアンテナの各々に対応する補間処理を実行する前に、前記パイロット信号を用いてアダプティブアレイに関する重付係数を計算し、
前記補間処理は、前記パイロット信号の重付係数に基づいて、前記パイロット信号以外のキャリア及びシンボルの重付係数を補間する処理である、請求項6に記載の受信装置。
【請求項8】
前記制御部は、2以上のアンテナの各々に対応する補間処理を実行した後に、前記パイロット信号を用いてアダプティブアレイに関する重付係数を計算し、
前記補間処理は、前記パイロット信号の受信特性に基づいて、前記パイロット信号以外のキャリア及びシンボルの受信特性を補間する処理である、請求項6に記載の受信装置。
【請求項9】
1以上の階層化データを含む伝送フレームを送信装置から受信する受信部と、
前記送信装置を識別する識別情報に基づいて、前記伝送フレームに挿入されるパイロット信号を生成する生成部と、
前記パイロット信号を利用して干渉波の除去を実行する制御部と、
前記干渉波の除去された前記伝送フレームを受信装置に送信する送信部と、を備え、
前記受信部は、送信装置を識別する識別情報を受信する、中継装置。
【請求項10】
前記制御部は、2以上のアンテナの各々に対応する補間処理を実行する前に、前記干渉波の除去として、前記パイロット信号を用いてアダプティブアレイに関する重付係数を計算し、
前記補間処理は、前記パイロット信号の重付係数に基づいて、前記パイロット信号以外のキャリア及びシンボルの重付係数を補間する処理である、請求項9に記載の中継装置。
【請求項11】
前記制御部は、2以上のアンテナの各々に対応する補間処理を実行した後に、前記パイロット信号を用いてアダプティブアレイに関する重付係数を計算し、
前記補間処理は、前記パイロット信号の受信特性に基づいて、前記干渉波の除去として、前記パイロット信号以外のキャリア及びシンボルの受信特性を補間する処理である、請求項9に記載の中継装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送信装置、受信装置及び中継装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、地上デジタル放送方式として、ISDB-T(Integrated Services Digital Broadcasting-Terrestrial)方式が知られている。さらに、地上デジタル放送の高品質化及び高機能化を目的として、ISDB-T方式の特長を継承した次世代方式(以下、地上放送高度化方式又は高度化方式)の検討が進められている。
【0003】
高度化方式においても、既知のパイロット信号が挿入されたOFDMフレームが送信される。パイロット信号は、受信装置においてチャネル推定を行うために挿入されているものであるが、その他にアダプティブアレイに関する重付係数の計算などの干渉波の除去に利用することもできる(例えば、特許文献1、2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003-174427号公報
【特許文献2】特開2005-295506号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、高度化方式では、1つのシンボルに割り当てるビット数(以下、変調次数)を大きくすることが想定され、干渉波の除去に対する要求レベルがさらに厳しくなることが想定される。
【0006】
このような想定下において、発明者等は、鋭意検討の結果、上述した背景下において、SP信号を利用する干渉波の除去をさらに拡張する必要性を見出した。
【0007】
そこで、本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、パイロット信号を利用した干渉波の除去を適切に実現し得る送信装置、受信装置及び中継装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
開示の概要は、送信装置であって、1以上の階層化データを含む伝送フレームを送信する送信部と、前記送信装置を識別する識別情報に基づいて、前記伝送フレームに挿入されるパイロット信号を生成する生成部と、を備え、前記送信部は、前記送信装置を識別する識別情報を送信する、送信装置である。
【0009】
開示の概要は、1以上の階層化データを含む伝送フレームを送信装置から受信する受信部と、前記送信装置を識別する識別情報に基づいて、前記伝送フレームに挿入されるパイロット信号を生成する生成部と、前記パイロット信号を利用して干渉波の除去を実行する制御部と、を備え、前記受信部は、送信装置を識別する識別情報を受信する、受信装置である。
【0010】
開示の概要は、1以上の階層化データを含む伝送フレームを送信装置から受信する受信部と、前記送信装置を識別する識別情報に基づいて、前記伝送フレームに挿入されるパイロット信号を生成する生成部と、前記パイロット信号を利用して干渉波の除去を実行する制御部と、前記干渉波の除去された前記伝送フレームを受信装置に送信する送信部と、を備え、前記受信部は、送信装置を識別する識別情報を受信する、中継装置である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、パイロット信号を利用した干渉波の除去を適切に実現し得る送信装置、受信装置及び中継装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、実施形態に係るデジタル無線伝送システム1を示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る送信装置10を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係るSPビット生成部130を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係るSPビット生成部130を示すブロック図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係るSPビットの生成について説明するための図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係るSPビットの生成について説明するための図である。
【
図7】
図7は、実施形態に係る受信装置20を示すブロック図である。
【
図8】
図8は、実施形態に係る受信装置20を示すブロック図である。
【
図9】
図9は、実施形態に係る受信装置20を示すブロック図である。
【
図10】
図10は、実施形態に係る中継装置30を示すブロック図である。
【
図11】
図11は、実施形態に係る中継装置30を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の図面の記載において、同一または類似の部分には、同一または類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なることに留意すべきである。
【0014】
したがって、具体的な寸法などは以下の説明を参酌して判断すべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0015】
[開示の概要]
開示の概要に係る送信装置は、1以上の階層化データを含む伝送フレームを送信する送信部と、前記送信装置を識別する識別情報に基づいて、前記伝送フレームに挿入されるパイロット信号を生成する生成部と、を備え、前記送信部は、前記送信装置を識別する識別情報を送信する。
【0016】
開示の概要に係る受信装置は、1以上の階層化データを含む伝送フレームを送信装置から受信する受信部と、前記送信装置を識別する識別情報に基づいて、前記伝送フレームに挿入されるパイロット信号を生成する生成部と、前記パイロット信号を利用して干渉波の除去を実行する制御部と、を備え、前記受信部は、送信装置を識別する識別情報を受信する。
【0017】
開示の概要に係る中継装置は、1以上の階層化データを含む伝送フレームを送信装置から受信する受信部と、前記送信装置を識別する識別情報に基づいて、前記伝送フレームに挿入されるパイロット信号を生成する生成部と、前記パイロット信号を利用して干渉波の除去を実行する制御部と、前記干渉波の除去された前記伝送フレームを受信装置に送信する送信部と、を備え、前記受信部は、送信装置を識別する識別情報を受信する。
【0018】
開示の概要では、干渉の除去に利用するパイロット信号は、送信装置を識別する識別情報に基づいて生成される。このような構成によれば、送信装置毎に異なるパイロット信号が用いられることによって、パイロット信号を利用した干渉波の除去を適切に実行することができる。
【0019】
[実施形態]
(デジタル無線伝送システム)
以下において、実施形態に係るデジタル無線伝送システムについて説明する。
図1は、実施形態に係るデジタル無線伝送システム1(以下、伝送システム1)を示す図である。
図1に示すように、伝送システム1は、送信装置10、受信装置20及び中継装置30を備える。
【0020】
実施形態において、伝送システム1では、ISDB-T(Integrated Services Digital Broadcasting-Terrestrial)方式の特長を継承した次世代方式(以下、地上放送高度化方式又は高度化方式)が採用される。高度化方式では、チャネルの帯域幅(例えば、6MHz)は、ISDB-Tよりも多い数のセグメント(例えば、35セグメント)に分割される。高度化方式においても、部分受信(例えば、9セグメント)を想定した方式、非部分受信(26セグメント)を想定した方式が採用されている。
【0021】
伝送システム1では、SISO(Single-Input Single-Output)が用いられてもよく、MIMO(Multiple-Input Multiple-Output)が用いられてもよい。伝送システム1では、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)が用いられてもよい。
【0022】
送信装置10は、1以上の階層化データを含む伝送フレーム(以下、OFDMフレーム)を送信してもよい。階層化データは、A階層データ、B階層データ、C階層データを含んでもよい。A階層データは、A0階層データ及びA1階層データを含んでもよい。送信装置10は、基幹局であってもよい。送信装置10Aは、エリア#Aに対応しており、送信装置10Bは、エリア#Bに対応している。エリア#A及びエリア#Bは、互いに隣接する隣接エリアの一例である。エリア#Aは、送信装置10Aから送信される電波の到達範囲であると考えてもよく、エリア#Bは、送信装置10Bから送信される電波の到達範囲であると考えてもよい。エリア#A及びエリア#Bは、放送エリアと称されてもよい。
【0023】
受信装置20は、1以上の階層化データを含むOFDMフレームを送信装置10から受信する装置である。受信装置20は、受信局と称されてもよい。
【0024】
中継装置30は、1以上の階層化データを含むOFDMフレームを送信装置10から受信装置20に中継する装置である。中継装置30は、中継局と称されてもよい。
【0025】
特に限定されるものではないが、受信装置20又は中継装置30がエリア#A及びエリア#Bの境界(例えば、エリア#A及びエリア#Bの重複エリア)に位置するケースが想定されてもよい。送信装置10A及び送信装置10Bが同一周波数帯域(チャネル)で同一内容を送信するケースが想定されてもよい。受信装置20は、送信装置10Aから送信される送信信号を受信してもよく、送信装置10Bから送信される送信信号を受信してもよい。中継装置30は、送信装置10Aから送信される送信信号を中継してもよく、送信装置10Bから送信される送信信号を中継してもよい。
【0026】
このようなケースにおいて、送信装置10A及び送信装置10Bのいずれか一方から受信する受信信号が希望波であって、送信装置10A及び送信装置10Bのいずれか他方から受信する受信信号が干渉波であると考えてもよい。すなわち、エリア#A及びエリア#Bの境界は、同一チャネル内で干渉が生じる環境(同一チャネル干渉環境)であると考えてもよい。
【0027】
なお、OFDMフレームの送信という観点では、中継装置30は送信装置10と読み替えられてもよい。OFDMフレームの受信という観点では、中継装置30は受信装置20と読み替えられてもよい。
【0028】
(送信装置)
以下において、実施形態に係る送信装置について説明する。
図2は、実施形態に係る送信装置10を示すブロック図である。ここでは、送信装置10が基幹局であるケースについて例示する。
【0029】
図2に示すように、送信装置10は、符号化部110と、変調部112と、TMCC(Transmission and Multiplexing Configuration Control)ビット生成部120と、TMCC変調部120Mと、SP(Scattered Pilot)ビット生成部130と、SP変調部130Mと、挿入部140と、IFFT(Inverse Fast Fourier Transform)部142と、GI(Guard Interval)付加部144と、送信部146と、を有する。
【0030】
符号化部110は、入力ビットの符号化処理を実行する。符号化部110は、BCH符号化処理を実行してもよく、LDPC(Low Density Parity Check)符号化処理を実行してもよい。符号化部110は、入力ビットのインタリーブを実行する。インタリーブは、時間インタリーブ及び周波数インタリーブを含んでもよい。入力ビットは、SPビット及びTMCCビットと区別する観点で、データビットと称されてもよい。
【0031】
変調部112は、符号化部110によって符号化されたデータビットのキャリア変調を実行する。データビットのMCS(Modulation and Coding Scheme)としては、64QAM、256QAM、1024QAM、4096QAMなどが用いられてもよい。変調後のデータビットは、データシンボルと称されてもよい。
【0032】
TMCCビット生成部120は、TMCCビットを生成する。TMCCビットは、複数の階層の各々の伝送パラメータ(変調方式、セグメント数、符号化率等)、伝送フレーム(以下、OFDMフレーム)の同期をとるための同期情報を含む。TMCCビットは、TMCC情報と称されてもよい。
【0033】
実施形態では、TMCCビットは、送信装置10を識別する識別情報を含んでもよい。識別情報は、放送番組番号識別子と称されてもよい。
【0034】
TMCC変調部120Mは、TMCCビット生成部120によって生成されたTMCCビットのキャリア変調を実行する。TMCCビットのMCSとしては、データビットのMCSよりも低いMCSが用いられてもよい。例えば、TMCCビットのMCSとしては、差動変調(例えば、DBPSK; Differential Binary Phase Shift Keying)が用いられてもよい。変調後のTMCCビットは、TMCCシンボルと称されてもよい。
【0035】
SPビット生成部130は、放送番組番号識別子に基づいてSPビットを生成する。SPビット生成部130の詳細については後述する(
図3、
図4を参照)。
【0036】
SP変調部130Mは、SPビット生成部130によって生成されたSPビットのキャリア変調を実行する。SPビットのMCSとしては、データビットのMCSよりも低いMCSが用いられてもよい。例えば、SPビットのMCSとしては、BPSK、QPSK、16QAM、64QAMなどが用いられてもよい。変調後のSPビットは、SPシンボルと称されてもよい。
【0037】
特に限定されるものではないが、SPビット又はSPシンボルは、伝送フレーム(OFDMフレーム)に挿入されるパイロット信号の一例である。SPビット及びSPシンボルはSP信号と総称されてもよい。
【0038】
実施形態では、SPビット生成部130は、送信装置10を識別する識別情報(放送番組番号識別子)に基づいて、伝送フレーム(OFDMフレーム)に挿入されるパイロット信号(SP信号)を生成する生成部を構成する。生成部は、SPビット生成部130に加えて、SP変調部130Mを含んでもよい。
【0039】
ここで、SPビット生成部130は、隣接送信装置から送信される隣接パイロット信号と無相関となるようにパイロット信号を生成してもよい。例えば、送信装置10AのSPビット生成部130は、送信装置10Bから送信される隣接SP信号と無相関となるようにSP信号を生成してもよい。
【0040】
挿入部140は、データシンボルにTMCCシンボル及びSPシンボルを挿入する。具体的には、挿入部140は、キャリア及びシンボルによって定義される空間において、データシンボル、TMCCシンボル及びSPシンボルによって構成されるOFDMフレームを生成する。
【0041】
IFFT部142は、挿入部140から入力されるOFDMフレームにIFFTを適用する。
【0042】
GI付加部144は、IFFT部142から入力されるOFDMフレームにGIを付加する。
【0043】
送信部146は、OFDMフレーム(送信信号)を送信する。例えば、送信部146は、ベースバンド信号のD/A(Digital/Analog)変換部、中間周波数(IF; Intermediate Frequency)を無線周波数(RF; Radio Frequency)に変換する周波数変換部などを含んでもよい。
【0044】
実施形態では、送信部146は、1以上の階層化データを含む伝送フレーム(OFDMフレーム)を送信する送信部を構成する。
【0045】
(SPビット生成部)
以下において、実施形態に係るSPビット生成部について説明する。
図3及び
図4は、実施形態に係るSPビット生成部130の一例である。
【0046】
上述したように、2以上の送信装置10の各々から送信されるSP信号は無相関であってもよい。例えば、SP信号は以下に示す式を満たしてもよい。
【0047】
【0048】
すなわち、同一のシンボル番号及び同一のキャリア番号について、異なる送信装置10の2以上のSPシンボルの積和がゼロとなるように、異なる送信装置10の2以上のSPビットが生成されればよい。
【0049】
上述した背景を踏まえて、SPビット生成部130のオプションとしては、以下に示すオプションが考えられる。
【0050】
オプション1Txでは、
図3に示すように、SPビット生成部130は、キャリア初期設定部131Aと、キャリアシーケンス生成部132Aと、を有してもよい。
【0051】
キャリア初期設定部131Aは、放送番組番号識別子に基づいて、SPビットの初期値を設定する。SPビットは、擬似ランダムバイナリシーケンス(以下、PRBS)と称されてもよい。すなわち、キャリア初期設定部131Aは、放送番組番号識別子に基づいて、PRBSの初期値を設定する。例えば、キャリア初期設定部131Aは、放送番組番号識別子に基づいて、線形帰還シフトレジスタ(LFSR)の各々のタップ値(0又は1)を出力する。
【0052】
キャリアシーケンス生成部132Aは、フレームリセット信号及びPRBSの初期値に基づいてPRBSを生成する。フレームリセット信号は、OFDMフレームの先頭位置を示す信号である。具体的には、キャリアシーケンス生成部132Aは、フレームリセット信号が入力された場合に、LFSRの各々のタップ値にPRBSの初期値を入力する。キャリアシーケンス生成部132Aは、フレームリセット信号が入力されない場合に、キャリアクロックに従ってLFSRの各々のタップ値をシフトする。
【0053】
例えば、
図5に示すように、キャリアシーケンス生成部132Aは、15ビットのシフトレジスタ及び排他的論理和部を有してもよい。キャリアシーケンス生成部132Aによって生成されるビットの周期は、最大キャリア数よりも大きいことが望ましい。例えば、FFTサイズが32kであるケースを想定すると、キャリアシーケンス生成部132Aは、g(x)=x
15+x
14+1の生成多項式を用いてビットを生成してもよい。このような生成多項式を用いれば、ビットの周期が32765ビットとなるため、FFTサイズが32kであるケースの最大キャリア数よりもビットの周期が大きくなる。
【0054】
上述したように、オプション1Txでは、SPビット生成部130は、SP信号を生成するための初期値をOFDMフレーム毎に初期化する。SPビット生成部130は、OFDMフレームを構成するキャリア単位のクロック(キャリアクロック)を用いてSP信号を生成する。
【0055】
オプション2Txでは、
図4に示すように、SPビット生成部130は、キャリア初期設定部131Bと、キャリアシーケンス生成部132Bと、シンボル初期設定部133Bと、シンボルシーケンス生成部134Bと、排他的論理和部135Bと、を有する。
【0056】
キャリア初期設定部131Bは、放送番組番号識別子に基づいて、SPビットの初期値を設定する。すなわち、キャリア初期設定部131Bは、放送番組番号識別子に基づいて、PRBSの初期値を設定する。例えば、キャリア初期設定部131Bは、放送番組番号識別子に基づいて、線形帰還シフトレジスタ(LFSR)の各々のタップ値(0又は1)を出力する。
【0057】
キャリアシーケンス生成部132Bは、シンボルリセット信号及びPRBSの初期値に基づいてPRBSを生成する。シンボルリセット信号は、各キャリアのシンボルの先頭位置を示す信号である。具体的には、キャリアシーケンス生成部132Bは、シンボルリセット信号が入力された場合に、LFSRの各々のタップ値にPRBSの初期値を入力する。キャリアシーケンス生成部132Bは、シンボルリセット信号が入力されない場合に、キャリアクロックに従ってLFSRの各々のタップ値をシフトする。
【0058】
例えば、
図5に示すように、キャリアシーケンス生成部132Bは、15ビットのシフトレジスタ及び排他的論理和部を有してもよい。キャリアシーケンス生成部132Bによって生成されるビットの周期は、最大キャリア数よりも大きいことが望ましい。例えば、FFTサイズが32kであるケースを想定すると、キャリアシーケンス生成部132Bは、g(x)=x
15+x
14+1の生成多項式を用いてビットを生成してもよい。このような生成多項式を用いれば、ビットの周期が32765ビットとなるため、FFTサイズが32kであるケースの最大キャリア数よりもビットの周期が大きくなる。
【0059】
シンボル初期設定部133Bは、放送番組番号識別子に基づいて、SPビットの初期値を設定する。すなわち、シンボル初期設定部133Bは、放送番組番号識別子に基づいて、PRBSの初期値を設定する。例えば、シンボル初期設定部133Bは、放送番組番号識別子に基づいて、線形帰還シフトレジスタ(LFSR)の各々のタップ値(0又は1)を出力する。
【0060】
シンボルシーケンス生成部134Bは、シンボルリセット信号及びPRBSの初期値に基づいてPRBSを生成する。フレームリセット信号は、OFDMフレームの先頭位置を示す信号である。具体的には、シンボルシーケンス生成部134Bは、フレームリセット信号が入力された場合に、LFSRの各々のタップ値にPRBSの初期値を入力する。シンボルシーケンス生成部134Bは、フレームリセット信号が入力されない場合に、シンボルクロックに従ってLFSRの各々のタップ値をシフトする。
【0061】
例えば、
図6に示すように、シンボルシーケンス生成部134Bは、9ビットのシフトレジスタ及び排他的論理和部を有してもよい。シンボルシーケンス生成部134Bによって生成されるビットの周期は、最大シンボル数よりも大きいことが望ましい。例えば、シンボルシーケンス生成部134Bは、g(x)=x
9+x
5+1の生成多項式を用いてビットを生成してもよい。このような生成多項式を用いれば、ビットの周期が511ビットとなるため、OFDMフレームにおける最大シンボル数が511以下であれば、最大シンボル数よりもビットの周期が大きくなる。
【0062】
排他的論理和部135Bは、キャリアシーケンス生成部132Bから入力されるビット及びシンボルシーケンス生成部134Bから入力されるビットの排他的論理和を出力する。
【0063】
上述したように、オプション2Txでは、SPビット生成部130(キャリアシーケンス生成部132B)は、SP信号を生成するための初期値をキャリア毎に初期化する。SPビット生成部130(キャリアシーケンス生成部132B)は、OFDMフレームを構成するキャリア単位のクロック(キャリアクロック)を用いてSP信号を生成する。同様に、SPビット生成部130(シンボルシーケンス生成部134B)は、SP信号を生成するための初期値をOFDMフレーム毎に初期化する。SPビット生成部130(シンボルシーケンス生成部134B)は、OFDMフレームを構成するシンボル単位のクロック(シンボルクロック)を用いてSP信号を生成する。
【0064】
ここで、オプション2Txは、シンボル方向及びキャリア方向のビット列が別々に生成される点でオプション1Txと異なる。オプション2Txでは、シンボル方向のビット列及びキャリア方向のビット列を別々に保持することが可能であるのに対して、オプション1Txでは、OFDMフレームの全体についてビット列を保持する必要がある。
【0065】
(受信装置)
以下において、実施形態に係る受信装置について説明する。
図7~
図9は、実施形態に係る受信装置20を示す図である。受信装置20の構成としては以下に示すオプションが考えられる。
【0066】
オプション1Rxでは、
図7に示すように、受信装置20は、受信部210と、FFT(Fast Fourier Transform)部212と、TMCC復調部214と、SP抽出部216と、SPビット生成部230と、SP変調部230Mと、チャネル推定部240と、補間部250と、等化部260と、キャリア復調部262と、誤り訂正復号部264と、を有する。
【0067】
受信部210は、送信装置10から送信されるOFDMフレーム(送信信号)を受信する。例えば、受信部210は、希望信号を受信するためのチューナ(バンドパスフィルタ)、RF信号をIF信号に変換する周波数変換部、IF信号のA/D(Analog/Digital)変換部などを含む。
【0068】
FFT部212は、受信部210から入力されるOFDMフレームにFFTを適用する。
【0069】
TMCC復調部214は、FFT部212から入力されるOFDMフレームからTMCC信号を抽出し、抽出されたTMCC信号の復調及び復号を実行する。
【0070】
SP抽出部216は、FFT部212から入力されるOFDMフレームからSP信号(SPシンボル)を抽出する。
【0071】
SPビット生成部230は、TMCCビットに含まれる放送番組識別子に基づいてSPビットを生成する。SPビットの生成方法は、送信装置10と同様である。すなわち、SPビット生成部130がオプション1Tx(
図3)の構成である場合には、SPビット生成部230もオプション1Tx(
図3)と同様の構成を有する。SPビット生成部130がオプション2Tx(
図4)の構成である場合には、SPビット生成部230もオプション2Tx(
図4)と同様の構成を有する。
【0072】
SP変調部230Mは、SPビット生成部230によって生成されたSPビットのキャリア変調を実行する。
【0073】
チャネル推定部240は、SP抽出部216から入力されるSPシンボルとSP変調部230Mから入力されるSPシンボルとの誤差に基づいて、SPシンボルのチャネル応答を計算する。チャネル応答は、SP抽出部216から入力されるSPシンボルをSP変調部230Mから入力されるSPシンボルで除算した値である。
【0074】
補間部250は、SPシンボルのチャネル応答に基づいて、SP信号以外のキャリア及びシンボル(すなわち、データシンボル)の受信特性(チャネル応答)を補間する。このような処理は、補間処理と称されてもよい。
【0075】
等化部260は、補間部250から入力されるチャネル応答に基づいて、FFT部212から入力されるデータキャリアシンボルの等化処理を実行する。
【0076】
キャリア復調部262は、等化部260から入力されるデータキャリアシンボルのキャリア復調を実行する。
【0077】
誤り訂正復号部264は、データビットのデインタリーブを実行する。デインタリーブは、時間デインタリーブ及び周波数デインタリーブを含んでもよい。誤り訂正復号部264は、キャリア復調部262から入力されるデータビットの復号処理を実行する。誤り訂正復号部264は、BCH復号処理を実行してもよく、LDPC復号処理を実行してもよい。
【0078】
オプション1Rxでは、受信部210は、1以上の階層化データを含む伝送フレーム(OFDMフレーム)を送信装置10から受信する受信部を構成する。SPビット生成部230は、送信装置10を識別する識別情報(放送番組番号識別子)に基づいて、伝送フレーム(OFDMフレーム)に挿入されるパイロット信号(SP信号)を生成する生成部を構成する。生成部は、SPビット生成部230に加えて、SP変調部230Mを含んでもよい。チャネル推定部240、補間部250及び等化部260は、パイロット信号(SP信号)を利用して干渉波の除去を実行する制御部を構成する。
【0079】
オプション2Rxでは、アダプティブアレイが適用されるケースについて説明する。オプション2Rxでは、
図8に示すように、受信装置20は、受信部210Aと、受信部210Bと、FFT部212Aと、FFT部212Bと、TMCC復調部214と、SP抽出部216Aと、SP抽出部216Bと、SPビット生成部230と、SP変調部230Mと、補間部250Aと、補間部250Bと、合成部270と、SP抽出部272と、最適化部274と、キャリア復調部262と、誤り訂正復号部264と、を有する。
【0080】
オプション2Rxでは、オプション1Rxと比べると、チャネル推定部240及び等化部260が設けられておらず、合成部270、SP抽出部272及び最適化部274が設けられている。なお、キャリア復調部262及び誤り訂正復号部264は、オプション1Rxと同様であるため、その説明については省略する。
【0081】
受信部210Aは、受信部210と同様の構成を有しており、系統AのOFDMフレームを受信する。受信部210Bは、受信部210と同様の構成を有しており、系統BのOFDMフレームを受信する。
【0082】
FFT部212Aは、FFT部212と同様の構成を有しており、系統AについてFFTを適用する。FFT部212Bは、FFT部212と同様の構成を有しており、系統BについてFFTを適用する。
【0083】
TMCC復調部214は、合成部270から入力されるOFDMフレームからTMCC信号を抽出し、抽出されたTMCC信号の復調及び復号を実行する。
【0084】
SP抽出部216Aは、SP抽出部216と同様の構成を有しており、FFT部212Aから入力されるOFDMフレームからSP信号(SPシンボル)を抽出する。SP抽出部216Bは、SP抽出部216と同様の構成を有しており、FFT部212Bから入力されるOFDMフレームからSP信号(SPシンボル)を抽出する。
【0085】
SPビット生成部230は、オプション1Rxと同様に、TMCCビットに含まれる放送番組識別子に基づいてSPビットを生成する。
【0086】
SP変調部230Mは、オプション1Rxと同様に、SPビット生成部230によって生成されたSPビットのキャリア変調を実行する。
【0087】
補間部250Aは、系統Aについて、最適化部274から入力されるアダプティブアレイに関する重付係数に基づいて、SP信号以外のキャリア及びシンボル(すなわち、データシンボル)の重付係数を補間する。補間部250Bは、系統Bについて、最適化部274から入力されるアダプティブアレイに関する重付係数に基づいて、SP信号以外のキャリア及びシンボル(すなわち、データシンボル)の重付係数を補間する。このような処理は、補間処理と称されてもよい。
【0088】
合成部270は、補間部250A及び補間部250Bから入力される重付係数に基づいて、系統AのOFDMフレーム及び系統BのOFDMフレームを合成する。
【0089】
SP抽出部272は、合成部270から入力されるOFDMフレームからSP信号(SPシンボル)を抽出する。SP抽出部272は、合成後のOFDMフレームからSP信号を抽出する点で、各系統のSP信号を抽出するSP抽出部216A及びSP抽出部216Bと異なる。
【0090】
最適化部274は、SP抽出部272から入力されるSPシンボルとSP変調部230Mから入力されるSPシンボルとの誤差に基づいて、系統A及び系統Bの各々についてアダプティブアレイに関する重付係数を計算する。具体的には、最適化部274は、SP抽出部216A及びSP抽出部216Bから入力されSP信号に基づいて、誤差を最小化するように系統A及び系統Bの各々の重付係数を計算する。
【0091】
オプション2Rxでは、受信部210A及び受信部210Bは、1以上の階層化データを含む伝送フレーム(OFDMフレーム)を送信装置10から受信する受信部を構成する。SPビット生成部230は、送信装置10を識別する識別情報(放送番組番号識別子)に基づいて、伝送フレーム(OFDMフレーム)に挿入されるパイロット信号(SP信号)を生成する生成部を構成する。生成部は、SPビット生成部230に加えて、SP変調部230Mを含んでもよい。補間部250A、補間部250B、合成部270及び最適化部274は、パイロット信号(SP信号)を利用して干渉波の除去を実行する制御部を構成する。
【0092】
ここで、オプション2Rxでは、最適化部274は、補間部250A及び補間部250Bによって補間処理が実行される前において、アダプティブアレイに関する重付係数を計算する。
【0093】
オプション3Rxでは、アダプティブアレイが適用されるケースについて説明する。オプション3Rxでは、
図9に示すように、受信装置20は、受信部210Aと、受信部210Bと、FFT部212Aと、FFT部212Bと、TMCC復調部214と、SP抽出部216Aと、SP抽出部216Bと、SPビット生成部230と、SP変調部230Mと、チャネル推定部240Aと、チャネル推定部240Bと、補間部250Aと、補間部250Bと、合成部270と、最適化部274と、無歪み応答生成部276と、キャリア復調部262と、誤り訂正復号部264と、を有する。
【0094】
オプション3Rxでは、オプション1Rxと比べると、等化部260が設けられておらず、合成部270、最適化部274及び無歪み応答生成部276が設けられている。なお、キャリア復調部262及び誤り訂正復号部264は、オプション1Rxと同様であるため、その説明については省略する。
【0095】
受信部210Aは、受信部210と同様の構成を有しており、系統AのOFDMフレームを受信する。受信部210Bは、受信部210と同様の構成を有しており、系統BのOFDMフレームを受信する。
【0096】
FFT部212Aは、FFT部212と同様の構成を有しており、系統AについてFFTを適用する。FFT部212Bは、FFT部212と同様の構成を有しており、系統BについてFFTを適用する。
【0097】
TMCC復調部214は、合成部270から入力されるOFDMフレームからTMCC信号を抽出し、抽出されたTMCC信号の復調及び復号を実行する。
【0098】
SP抽出部216Aは、SP抽出部216と同様の構成を有しており、FFT部212Aから入力されるOFDMフレームからSP信号(SPシンボル)を抽出する。SP抽出部216Bは、SP抽出部216と同様の構成を有しており、FFT部212Bから入力されるOFDMフレームからSP信号(SPシンボル)を抽出する。
【0099】
SPビット生成部230は、オプション1Rxと同様に、TMCCビットに含まれる放送番組識別子に基づいてSPビットを生成する。
【0100】
SP変調部230Mは、オプション1Rxと同様に、SPビット生成部230によって生成されたSPビットのキャリア変調を実行する。
【0101】
チャネル推定部240Aは、チャネル推定部240と同様の構成を有しており、系統AについてSPシンボルのチャネル応答を計算する。チャネル推定部240Bは、チャネル推定部240と同様の構成を有しており、系統BについてSPシンボルのチャネル応答を計算する。
【0102】
補間部250Aは、補間部250と同様の構成を有しており、系統Aについてデータシンボルの受信特性(チャネル応答)を補間する。補間部250Bは、補間部250と同様の構成を有しており、系統Bについてデータシンボルの受信特性(チャネル応答)を補間する。このような処理は、補間処理と称されてもよい。
【0103】
合成部270は、最適化部274から入力される重付係数に基づいて、系統AのOFDMフレーム及び系統BのOFDMフレームを合成する。
【0104】
最適化部274は、無歪み応答生成部276から入力される無歪み応答と合成部270から入力されるOFDMフレームとの誤差に基づいて、系統A及び系統Bの各々についてアダプティブアレイに関する重付係数を計算する。具体的には、最適化部274は、補間部250A及び補間部250Bから入力されるチャネル応答に基づいて、誤差を最小化するように系統A及び系統Bの各々の重付係数を計算する。誤差は、キャリア毎の誤差である。
【0105】
無歪み応答生成部276は、無歪み応答(すなわち、1)を出力する。
【0106】
オプション3Rxでは、受信部210A及び受信部210Bは、1以上の階層化データを含む伝送フレーム(OFDMフレーム)を送信装置10から受信する受信部を構成する。SPビット生成部230は、送信装置10を識別する識別情報(放送番組番号識別子)に基づいて、伝送フレーム(OFDMフレーム)に挿入されるパイロット信号(SP信号)を生成する生成部を構成する。生成部は、SPビット生成部230に加えて、SP変調部230Mを含んでもよい。チャネル推定部240A、チャネル推定部240B、補間部250A、補間部250B、合成部270、最適化部274及び無歪み応答生成部276は、パイロット信号(SP信号)を利用して干渉波の除去を実行する制御部を構成する。
【0107】
ここで、オプション2Rxでは、最適化部274は、補間部250A及び補間部250Bによって補間処理が実行された後において、アダプティブアレイに関する重付係数を計算する。
【0108】
(中継装置)
以下において、実施形態に係る中継装置について説明する。
図10~
図11は、実施形態に係る中継装置30を示す図である。中継装置30の構成としては以下に示すオプションが考えられる。
【0109】
オプション1Reでは、アダプティブアレイが適用されるケースについて説明する。オプション1Reでは、
図10に示すように、中継装置30は、受信部310Aと、受信部310Bと、FFT部312Aと、FFT部312Bと、TMCC復調部314と、SP抽出部316Aと、SP抽出部316Bと、SPビット生成部330と、SP変調部330Mと、補間部350Aと、補間部350Bと、合成部370と、SP抽出部372と、最適化部374と、シンボル判定部362と、送信部364と、を有する。
【0110】
オプション1Reでは、OFDMフレームを受信する構成としては、上述したオプション2Rxと同様の構成を有する。すなわち、受信部310A、受信部310B、FFT部312A、FFT部312B、TMCC復調部314、SP抽出部316A、SP抽出部316B、SPビット生成部330、SP変調部330M、補間部350A、補間部350B、合成部370、SP抽出部372及び最適化部374は、受信部210A、受信部210B、FFT部212A、FFT部212B、TMCC復調部214、SP抽出部216A、SP抽出部216B、SPビット生成部230、SP変調部230M、補間部250A、補間部250B、合成部270、SP抽出部272及び最適化部274と同様の構成を有する。従って、これらの構成の説明については省略する。
【0111】
オプション1Reでは、オプション2Rxと比べると、キャリア復調部262及び誤り訂正復号部264に代えて、シンボル判定部362及び送信部364を有する。
【0112】
シンボル判定部362は、合成部370から入力されるOFDMフレームにおけるデータシンボルについてシンボル判定を実行する。
【0113】
送信部364は、シンボル判定部362から入力されるOFDMフレームについてIFFTを適用する。送信部364は、IFFT後のOFDMフレームにGIを付加する。送信部364は、ベースバンド信号のD/A(Digital/Analog)変換部、中間周波数(IF; Intermediate Frequency)を無線周波数(RF; Radio Frequency)に変換する周波数変換部などを含んでもよい。
【0114】
オプション1Reでは、受信部310A及び受信部310Bは、1以上の階層化データを含む伝送フレーム(OFDMフレーム)を送信装置10から受信する受信部を構成する。SPビット生成部330は、送信装置10を識別する識別情報(放送番組番号識別子)に基づいて、伝送フレーム(OFDMフレーム)に挿入されるパイロット信号(SP信号)を生成する生成部を構成する。生成部は、SPビット生成部330に加えて、SP変調部330Mを含んでもよい。補間部350A、補間部350B、合成部370及び最適化部374は、パイロット信号(SP信号)を利用して干渉波の除去を実行する制御部を構成する。送信部364は、干渉波の除去された伝送フレーム(OFDMフレーム)を受信装置20に送信する送信部を構成する。
【0115】
オプション2Reでは、アダプティブアレイが適用されるケースについて説明する。オプション2Reでは、
図11に示すように、中継装置30は、受信部310Aと、受信部310Bと、FFT部312Aと、FFT部312Bと、TMCC復調部314と、SP抽出部316Aと、SP抽出部316Bと、SPビット生成部330と、SP変調部330Mと、チャネル推定部340Aと、チャネル推定部340Bと、補間部350Aと、補間部350Bと、合成部370と、最適化部374と、無歪み応答生成部376と、シンボル判定部362と、送信部364と、を有する。
【0116】
オプション2Reでは、OFDMフレームを受信する構成としては、上述したオプション3Rxと同様の構成を有する。すなわち、受信部310A、受信部310B、FFT部312A、FFT部312B、TMCC復調部314、SP抽出部316A、SP抽出部316B、SPビット生成部330、SP変調部330M、チャネル推定部340A、チャネル推定部340B、補間部350A、補間部350B、合成部370、最適化部374及び無歪み応答生成部376は、受信部210A、受信部210B、FFT部212A、FFT部212B、TMCC復調部214、SP抽出部216A、SP抽出部216B、SPビット生成部230、SP変調部230M、チャネル推定部240A、チャネル推定部240B、補間部250A、補間部250B、合成部270、最適化部274及び無歪み応答生成部276と同様の構成を有する。従って、これらの構成の説明については省略する。
【0117】
オプション2Reでは、オプション3Rxと比べると、キャリア復調部262及び誤り訂正復号部264に代えて、シンボル判定部362及び送信部364を有する。
【0118】
シンボル判定部362は、合成部370から入力されるOFDMフレームにおけるデータシンボルについてシンボル判定を実行する。
【0119】
送信部364は、シンボル判定部362から入力されるOFDMフレームについてIFFTを適用する。送信部364は、IFFT後のOFDMフレームにGIを付加する。送信部364は、ベースバンド信号のD/A(Digital/Analog)変換部、中間周波数(IF; Intermediate Frequency)を無線周波数(RF; Radio Frequency)に変換する周波数変換部などを含んでもよい。
【0120】
オプション2Reでは、受信部310A及び受信部310Bは、1以上の階層化データを含む伝送フレーム(OFDMフレーム)を送信装置10から受信する受信部を構成する。SPビット生成部330は、送信装置10を識別する識別情報(放送番組番号識別子)に基づいて、伝送フレーム(OFDMフレーム)に挿入されるパイロット信号(SP信号)を生成する生成部を構成する。生成部は、SPビット生成部330に加えて、SP変調部330Mを含んでもよい。チャネル推定部340A、チャネル推定部340B、補間部350A、補間部350B、合成部370、最適化部374及び無歪み応答生成部376は、パイロット信号(SP信号)を利用して干渉波の除去を実行する制御部を構成する。送信部364は、干渉波の除去された伝送フレーム(OFDMフレーム)を受信装置20に送信する送信部を構成する。
【0121】
(作用及び効果)
実施形態では、干渉の除去に利用するSP信号は、送信装置10を識別する放送番組番号識別子に基づいて生成される。このような構成によれば、送信装置10毎に異なるSP信号が用いられることによって、SP信号を利用する干渉波の除去を適切に実行することができる。
【0122】
[実験結果]
以下において実験結果について説明する。実験では、OFDMフレームを構成する1つのキャリアに着目して、同一チャネル干渉環境における干渉波の除去についてシミュレーションを行った。シミュレーションの条件は以下に示す通りである。
【0123】
希望波の到来角度…0度
干渉波の到来角度…20度
アレーアンテナ…0.5波長間隔で配置
希望波と干渉波との受信電力比(D/U)…10dB
希望波と雑音の電力比(C/N)…40dB
キャリア変調…256QAM
符号化率…12/16
コンスタレーション…不均一
SP配置…4シンボルに1つの割合
希望波と干渉波とのタイミング差…GI長以内
【0124】
このようなシミュレーションの条件下において、実施例では、2つの送信装置10について異なるSP信号を用いて、比較例では、2つの送信装置10について同じSP信号を用いた。
【0125】
第1に、最適化部(最適化部274)における重付係数の収束特性について説明する。
図12に示すように、比較例では、重付係数の計算の繰り返し回数が増えても、SP信号の誤差(MSE(Mean Squared Error)が収束しなかった。一方で、実施例では、重付係数の計算の繰り返し回数が増えるに従って、SP信号の誤差(MSE)が収束した。
【0126】
第2に、IQ平面上におけるシンボルのコンスタレーションについて説明する。
図13に示すように、比較例では、干渉波の影響によりコンスタレーションは散らばりが大きく、送信時の信号点の弁別がしにくかった。一方で、実施例では、干渉波が除去されているため希望波への影響が小さく、コンスタレーションにおける規定の信号点からの散らばりが小さく、送信時の信号点の弁別がしやすかった。
【0127】
第3に、ビームパターンについて説明する。
図14に示すように、比較例では、干渉波の到来角度に対してヌルが形成されなかった。一方で、干渉波の到来角度に対してヌルが形成された。
【0128】
上述したように、2つの送信装置10について異なるSP信号を用いる実施例では、2つの送信装置10について同じSP信号を用いる比較例と比べて、SP信号を利用する干渉波の除去を適切に実行することができることが確認された。
【0129】
[その他の実施形態]
本発明は上述した開示によって説明したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、この発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0130】
上述した開示において、SP信号を利用する干渉波の除去は、SP信号を用いたチャネル推定を含んでもよく、SP信号のチャネル応答に基づいたデータシンボルのチャネル応答の補間を含んでもよく、アダプティブアレイに関する重付係数の計算を含んでもよい。
【0131】
上述した開示では、パイロット信号としてSP信号を例示した。しかしながら、上述した開示はこれに限定されるものではない。パイロット信号は、CP(Continual Pilot)信号を含んでもよい。
【0132】
上述した開示では特に触れていないが、高度化方式では、STBC(Space Time Block Coding)が用いられてもよく、SFBC(Space Frequency Block Coding)が用いられてもよく、SDM(Space Division Multiplexing)が用いられてもよい。
【0133】
上述した開示では特に触れていないが、送信装置10、受信装置20及び中継装置30が行う各処理をコンピュータに実行させるプログラムが提供されてもよい。また、プログラムは、コンピュータ読取り可能媒体に記録されていてもよい。コンピュータ読取り可能媒体を用いれば、コンピュータにプログラムをインストールすることが可能である。ここで、プログラムが記録されたコンピュータ読取り可能媒体は、非一過性の記録媒体であってもよい。非一過性の記録媒体は、特に限定されるものではないが、例えば、CD-ROMやDVD-ROM等の記録媒体であってもよい。
【0134】
或いは、送信装置10、受信装置20及び中継装置30が行う各処理を実行するためのプログラムを記憶するメモリ及びメモリに記憶されたプログラムを実行するプロセッサによって構成されるチップが提供されてもよい。
【0135】
[付記]
上述した開示は、以下に示すように表現されてもよい。
【0136】
第1の特徴は、送信装置であって、1以上の階層化データを含む伝送フレームを送信する送信部と、前記送信装置を識別する識別情報に基づいて、前記伝送フレームに挿入されるパイロット信号を生成する生成部と、を備え、前記送信部は、前記送信装置を識別する識別情報を送信する、送信装置である。
【0137】
第2の特徴は、第1の特徴において、前記生成部は、前記送信装置のエリアに隣接する隣接エリアを有する隣接送信装置から送信される隣接パイロット信号と無相関となるように前記パイロット信号を生成する、送信装置である。
【0138】
第3の特徴は、第1の特徴又は第2の特徴において、前記生成部は、前記パイロット信号を生成するための初期値を前記伝送フレーム毎に初期化する、送信装置である。
【0139】
第4の特徴は、第1の特徴乃至第3の特徴のいずれか1つにおいて、前記生成部は、前記伝送フレームを構成するキャリア単位のクロック及び前記伝送フレームを構成するシンボル単位のクロックの少なくともいずれか1つを用いて前記パイロット信号を生成する、送信装置である。
【0140】
第5の特徴は、1以上の階層化データを含む伝送フレームを送信装置から受信する受信部と、前記送信装置を識別する識別情報に基づいて、前記伝送フレームに挿入されるパイロット信号を生成する生成部と、前記パイロット信号を利用して干渉波の除去を実行する制御部と、を備え、前記受信部は、送信装置を識別する識別情報を受信する、受信装置である。
【0141】
第6の特徴は、第5の特徴において、前記制御部は、前記干渉波の除去として、前記パイロット信号を用いてアダプティブアレイに関する重付係数を計算する、受信装置である。
【0142】
第7の特徴は、第6の特徴においいて、前記制御部は、2以上のアンテナの各々に対応する補間処理を実行する前に、前記パイロット信号を用いてアダプティブアレイに関する重付係数を計算し、前記補間処理は、前記パイロット信号の重付係数に基づいて、前記パイロット信号以外のキャリア及びシンボルの重付係数を補間する処理である、受信装置である。
【0143】
第8の特徴は、第6の特徴において、前記制御部は、2以上のアンテナの各々に対応する補間処理を実行した後に、前記パイロット信号を用いてアダプティブアレイに関する重付係数を計算し、前記補間処理は、前記パイロット信号の受信特性に基づいて、前記パイロット信号以外のキャリア及びシンボルの受信特性を補間する処理である、受信装置である。
【0144】
第9の特徴は、1以上の階層化データを含む伝送フレームを送信装置から受信する受信部と、前記送信装置を識別する識別情報に基づいて、前記伝送フレームに挿入されるパイロット信号を生成する生成部と、前記パイロット信号を利用して干渉波の除去を実行する制御部と、前記干渉波の除去された前記伝送フレームを受信装置に送信する送信部と、を備え、前記受信部は、送信装置を識別する識別情報を受信する、中継装置である。
【0145】
第10の特徴は、第9の特徴において、前記制御部は、2以上のアンテナの各々に対応する補間処理を実行する前に、前記干渉波の除去として、前記パイロット信号を用いてアダプティブアレイに関する重付係数を計算し、前記補間処理は、前記パイロット信号の重付係数に基づいて、前記パイロット信号以外のキャリア及びシンボルの重付係数を補間する処理である、中継装置である。
【0146】
第11の特徴は、第9の特徴において、前記制御部は、2以上のアンテナの各々に対応する補間処理を実行した後に、前記パイロット信号を用いてアダプティブアレイに関する重付係数を計算し、前記補間処理は、前記パイロット信号の受信特性に基づいて、前記干渉波の除去として、前記パイロット信号以外のキャリア及びシンボルの受信特性を補間する処理である、中継装置である。
【符号の説明】
【0147】
1:デジタル無線伝送システム、10:送信装置、10A:送信装置、10B:送信装置、20:受信装置、30:中継装置、110:符号化部、112:変調部、120:TMCCビット生成部、120M:TMCC変調部、130:SPビット生成部、130M:SP変調部、131A:キャリア初期設定部、131B:キャリア初期設定部、132A:キャリアシーケンス生成部、132B:キャリアシーケンス生成部、133B:シンボル初期設定部、134B:シンボルシーケンス生成部、135B:排他的論理和部、140:挿入部、142:IFFT部、144:GI付加部、146:送信部、210:受信部、210A:受信部、210B:受信部、212:FFT部、212A:FFT部、212B:FFT部、214:TMCC復調部、216:SP抽出部、216A:SP抽出部、216B:SP抽出部、230:SPビット生成部、230M:SP変調部、240:チャネル推定部、240A:チャネル推定部、240B:チャネル推定部、250:補間部、250A:補間部、250B:補間部、260:等化部、262:キャリア復調部、264:誤り訂正復号部、270:合成部、272:SP抽出部、274:最適化部、276:無歪み応答生成部、310A:受信部、310B:受信部、312A:FFT部、312B:FFT部、314:TMCC復調部、316A:SP抽出部、316B:SP抽出部、330:SPビット生成部、330M:SP変調部、340A:チャネル推定部、340B:チャネル推定部、350A:補間部、350B:補間部、362:シンボル判定部、364:送信部、370:合成部、372:SP抽出部、374:最適化部、376:無歪み応答生成部