(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024047553
(43)【公開日】2024-04-05
(54)【発明の名称】スリップリングモジュール
(51)【国際特許分類】
H01R 39/08 20060101AFI20240329BHJP
H01R 43/10 20060101ALI20240329BHJP
B22F 5/00 20060101ALI20240329BHJP
B22F 10/16 20210101ALI20240329BHJP
B33Y 10/00 20150101ALI20240329BHJP
B33Y 80/00 20150101ALI20240329BHJP
【FI】
H01R39/08
H01R43/10
B22F5/00 Z
B22F10/16
B33Y10/00
B33Y80/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023131847
(22)【出願日】2023-08-14
(31)【優先権主張番号】22197637
(32)【優先日】2022-09-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】390014281
【氏名又は名称】ドクトル・ヨハネス・ハイデンハイン・ゲゼルシヤフト・ミツト・ベシユレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】DR. JOHANNES HEIDENHAIN GESELLSCHAFT MIT BESCHRANKTER HAFTUNG
(71)【出願人】
【識別番号】516212751
【氏名又は名称】エルテーエヌ・ゼルヴォテヒニク・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】フォルカー・ヴェーバー
(72)【発明者】
【氏名】ギュンター・ショッペル
【テーマコード(参考)】
4K018
5E063
【Fターム(参考)】
4K018AA02
4K018AA03
4K018AB06
4K018AC01
4K018BA01
4K018BA02
4K018HA03
4K018KA32
5E063XA01
5E063XA05
(57)【要約】
【課題】簡単かつ経済的な製造を可能にするとともに、例えば高速データ伝送に関して高品質であるスリップリングモジュールを作成することを目的とする。
【解決手段】本発明は、複数の電導子(1~12)および誘電性の保持体(13)を有するスリップリングモジュールに関する。誘電性の保持体の材料(13)は、セラミック素材を含む。スリップリングモジュールは、積層造形法を用いることで、複数の電導子(1~12)が、それぞれ一体的に形成され、スリップリング(1.1,2.1,3.1,4.1,5.1,6.1,7.1,8.1,9.1,10.1,11.1,12.1)として形成された第一部位(A)を備えているとともに、接続導体(1.2,2.2,3.2,4.2,5.2,6.2,7.2,8.2,9.2,10.2,11.2,12.2)として形成された第二部位(B)をそれぞれ備えているように製造されている。誘電性の保持体(13)は、立設部(13.1)を複数備え、それらの間にボイド(13.2)が存在する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電導子(1~12)および誘電性の保持体(13)を有し、前記誘電性の保持体(13)の材料は、セラミック素材を含むスリップリングモジュールであって、
積層造形法を用い、
- 複数の前記電導子(1~12)は、それぞれ一体的に形成され、スリップリング(1.1,2.1,3.1,4.1,5.1,6.1,7.1,8.1,9.1,10.1,11.1,12.1)として形成された第一部位(A)をそれぞれ備えているとともに、接続導体(1.2,2.2,3.2,4.2,5.2,6.2,7.2,8.2,9.2,10.2,11.2,12.2)として形成された第二部位(B)をそれぞれ備え、
- 前記誘電性の保持体(13)は、立設部(13.1)を複数備え、それらの間にボイド(13.2)が存在する
ように製造されているスリップリングモジュール。
【請求項2】
前記スリップリング(1.1,2.1,3.1,4.1,5.1,6.1,7.1,8.1,9.1,10.1,11.1,12.1)は、外側に位置し周りを一周する外周面(S)を備えている請求項1に記載のスリップリングモジュール。
【請求項3】
前記電導子(1~12)の材料は、銅または銀を含む請求項1または2に記載のスリップリングモジュール。
【請求項4】
前記接続導体(1.2,2.2,3.2,4.2,5.2,6.2,7.2,8.2,9.2,10.2,11.2,12.2)は、前記誘電性の保持体(13)の立設部(13.1)によって取り囲まれている請求項1から3のいずれかに記載のスリップリングモジュール。
【請求項5】
前記誘電性の保持体(13)の前記立設部(13.1)は、これらの立設部が、前記スリップリングモジュールの断面において、一周する閉じた形状を有するように形成されていることで、一つの立設部(13.1)が、内側に位置する一つのボイド(13.2)を画成するようになっている請求項1から4のいずれかに記載のスリップリングモジュール。
【請求項6】
前記立設部(13.1)は、当該立設部が、多角形、特に規則的な多角形の形状を有するような形態とされている請求項5に記載のスリップリングモジュール。
【請求項7】
前記スリップリングモジュールの断面において、二つの接続導体(1.2,2.2,3.2,4.2,5.2,6.2,7.2,8.2,9.2,10.2,11.2,12.2)の間に一つのボイド(13.2)が配置されている請求項1から6のいずれかに記載のスリップリングモジュール。
【請求項8】
スリップリング(1.1,2.1,3.1,4.1,5.1,6.1,7.1,8.1,9.1,10.1,11.1,12.1)として形成された二つの第一部位(A)の間に一つのボイド(13.2)が配置されている請求項1から7のいずれかに記載のスリップリングモジュール。
【請求項9】
前記誘電性の保持体(13)の材料は、ガラスセラミック素材を含む請求項1から8のいずれかに記載のスリップリングモジュール。
【請求項10】
請求項1から9のいずれかに記載のスリップリングモジュールであって、複数の前記電導子(1~12)の少なくとも一つ並びに前記誘電性の保持体(13)が一つの同じ断面内に配置されている形態とされたスリップリングモジュール。
【請求項11】
複数の前記電導子(1~12)並びに前記誘電性の保持体(13)は、一緒にして同時に焼結されたものである請求項1から10のいずれかに記載のスリップリングモジュール。
【請求項12】
請求項1から11のいずれかに記載のスリップリングモジュールであって、同様にして積層造形法の過程で製造されたベアリングシートとして機能する部材(14,15)をさらに備えたスリップリングモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1に記載のスリップリングモジュールに関する。
【0002】
スリップリングユニットは、通常、多くはロータとして機能するスリップリングモジュールと、そのときにステータとして働くさらに他のアセンブリを有している。ステータは、少なくとも一つのブラシユニットを有することが多い一方、ロータ若しくはスリップリングモジュールは、大半が一連のスリップリングを備えている。動作中、ブラシユニットのブラシは、多くの場合、回転するスリップリングの外周側に摺接している。この種のスリップリングユニットは、固定的な電気ユニットから回転する電気ユニットへ或いはその逆方向に電気信号や電力を伝達するために、多くの技術分野において使用される。
【背景技術】
【0003】
公知文献の特許文献1には、先ず積層造形による製造方法により導電性の要素を同じ材料からなるスリーブとともに製造するスリップリングモジュールの製造方法が開示されている。このスリーブ内に電気絶縁材料が付与され、その後、これが熱的に硬化させられる。次に、スリーブが少なくとも部分的に取り除かれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、簡単かつ経済的な製造を可能にするとともに、例えば高速データ伝送に関して高品質であるスリップリングモジュールを作成することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は、本発明により、請求項1の特徴部により解決される。
【0007】
それによれば、スリップリングモジュールは、複数の電導子と、その電導子が中に埋め込まれている誘電性の一つの保持体を有している。誘電性の保持体の材料は、セラミック素材、特に無機材料を含む。スリップリングモジュールは、積層造形法を用いて、複数の電導子がそれぞれ一体的に形成されるように製造されている。電導子は、スリップリングとして形成された第一部位をそれぞれ備えているとともに、接続導体として形成された第二部位をそれぞれ備えている。誘電性の保持体は、立設部を複数備え、それらの間にボイドが存在する。
【0008】
一体的な電導子の部位のうち、電気信号または電力を本来の滑り接触部位若しくはスリップリングに(或いはスリップリングから出て行くように)導く役割を担う部位を接続導体として定義することができる。接続導体は、それ自体が、或いはそれらを囲む立設部とのつながりで剛性を有して若しくは堅固に形成されている。従来のスリップリングモジュールでは、電気接続のこの機能は、多くは可撓性の撚り線で実現される。
【0009】
有利にも、誘電性の保持体の全質量におけるセラミック素材の割合は、少なくとも80%、特には少なくとも90%、有利には少なくとも95%である。
【0010】
スリップリングモジュールを製造するための積層造形法は、3Dプリンティング法、特に、マルチマテリアル3Dプリンティング法とも呼ばれることがある。
【0011】
スリップリングモジュールは、円筒形のスリップリングユニットの部品であることもあり、そのユニットでは、ステータ部材が外周側でスリップリングモジュールのスリップリングと滑り接触している。スリップリングはこのとき、特に外側に位置して軸線周りを一周する外周面を備えている。
【0012】
代替的に、スリップリングモジュールは、フラットスリップリングユニット(Tellerschleifringeinheit)用に構成されていてもよく、そのユニットでは、ステータ部材が端面側でスリップリングと滑り接触している。
【0013】
スリップリングは、スリップリングが積層造形法により製造された後、選択的に、特に貴金属でさらにコーティングされてもよい。
【0014】
スリップリングモジュールは、特に、電力および/または電気信号を伝達するのに、つまり、情報を伝達するのに、非常に適している。スリップリングモジュールにより、特に、比較的簡単な方法で、高周波信号を伝送することができる。
【0015】
ボイドという用語は、閉鎖型または開放型のボイドを意味すると解することができる。さらに、立設部は、例えば壁部として平坦にまたは棒状に形成されていてもよい。特に、立設部は、ここでは剛性のある形成物とされている。
【0016】
本発明のさらなる実施態様において、電導子の材料は銀を含む。有利には、導電性の部材の全質量における銀の割合は、有利には少なくとも80%、特に少なくとも90%、有利には少なくとも95%である。或いは、電導子の材料は、銅も含んでよい。有利には、導電性の部材の全質量における銅の割合は、少なくとも80%、特に少なくとも90%、有利には少なくとも95%である。
【0017】
有利には、スリップリングモジュールの断面において、接続導体は、誘電性の保持体の立設部によって取り囲まれている。従って、誘電性の保持体のボイドは、電導子の素材により充填されている。
【0018】
誘電性の保持体の立設部は、これらの立設部が、スリップリングモジュールの断面において、一周する閉じた形状を有するように形成されていることが有利である。この構成では、一つの立設部が、内側に位置する一つのボイドを画成している。従って、保持体は、特に規則的な多角形の形状を有していてもよい。例えば、保持体は、ハニカム形に配置された立設部を有することができ、その結果、立設部が、基本面として六角形を持つプリズム形状のボイドを画成することになる。立設部は、これらの立設部が、円形の断面を有するような形態とされていてもよい。代替的に、保持体は、開放型および/または閉鎖型の細孔を有する多孔質体として形成されていてもよい。
【0019】
本発明のさらに他の態様において、スリップリングモジュールは、少なくとも二つの接続導体を備え、スリップリングモジュールの断面において、少なくとも二つの接続導体の間に一つのボイドが配置されている。
【0020】
有利には、スリップリングとして形成された二つの第一部位の間に一つのボイドが配置されている。
【0021】
ここで、二つの接続導体の間または二つのスリップリングの間には、それぞれ一つの立設部が配置されていてもよく、それにより、二つの接続導体または二つのスリップリングが、それらの間に位置して関与するボイドに直に隣接しないようになっている。
【0022】
誘電性の保持体の材料は、ガラスセラミック素材を含むことが有利である。従って、セラミック素材という用語は、ガラスセラミックのグループに属する素材、特に、多結晶相とガラス相からなる素材も意味すると解すべきである。例えば、誘電性の保持体の材料には、酸化アルミニウム、酸化ケイ素または窒化ケイ素が含まれ得る。
【0023】
スリップリングモジュールは、特に、複数の電導子の少なくとも一つ並びに誘電性の保持体が、スリップリングモジュールの一つの同じ断面内に配置された形態とされている。この構造は、積層造形の製造方法によって製造され、この方法では、スリップリングモジュールの一つの層若しくは一つの断面の中に、二つの異なる素材、すなわち、電導子のための素材と誘電性の保持体のための素材がプリンティングされる。有利には、複数の電導子並びに誘電性の保持体は、一緒にして同時に焼結される。このためには、電導子のための素材が銀を含み、誘電性の保持体のための素材がガラスセラミックを含むと有利である。この組み合わせの場合、構成要素に損傷を与えないと思われる適切な焼結温度を設定することができる。
【0024】
スリップリングモジュールは、同様にして積層造形法の過程で製造されたベアリングシートとして機能する部材をさらに備えていることが有利である。プロセスを簡素化するために、部材の素材を電導子の素材と同じ素材にしてもよい。この部材は、保持体と一緒にして同時に焼結してもよい。
【0025】
本発明の有利な形態は、従属請求項に記載されている。
【0026】
本発明によるスリップリングモジュールのさらなる詳細および長所は、添付の図面に基づく例示的な実施形態の以下の説明から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】スリップリングモジュールの縦断面図である。
【
図2】スリップリングモジュールのD-D線断面図である。
【
図3】スリップリングモジュールのE-E線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1には、積層造形法により製造されたスリップリングモジュールが縦断面で示されている。この積層造形法若しくは3Dプリンティング法を用いることで、X軸に垂直な平面(断面)内にそれぞれ広がる層が、例えば
図1において下から上へと順番に造形される。ここで、一つの層では、互いに二つの材料を組み合わせることができるので、一つの同じ層に、導電性材料と非導電性材料が積層造形により処理されていくことができる。提示の実施例では、積層造形法において、二つの光重合性材料、すなわち、銀含有材料とガラスセラミック含有材料が使用される。こうして、この方法を用いることにより、積層造形の製造技術の用語によれば、グリーン体と呼ばれる躯体が次第に造形される。
【0029】
その後、このグリーン体は、いわゆる脱バインダ処理のために焼結炉若しくは焼成炉内に入れられる。温度が高まると、有機樹脂成分若しくはバインダは分解し、材料は一緒に同時に焼結される。
【0030】
この種の方法を用いて製造されたスリップリングモジュールは、電導子1~12並びに誘電性の保持体13を備え、電導子1~12は、保持体13内に埋め込まれている。加えて、積層造形法を用いて、ベアリングシートとして機能する二つの部材14,15が作製され、これらが、保持体13にしっかりと着造されている。電導子1~12の材料は、主な成分として銀を含み、誘電性の保持体の材料13は、ガラスセラミック素材を含む。
【0031】
電導子1~12は、それぞれ一体的に形成されている。これらは、後に予定している動作では各々スリップリング1.1,2.1,3.1,4.1,5.1,6.1,7.1,8.1,9.1,10.1,11.1,12.1として形成されている第一部位Aを部分的にそれぞれ備えている。スリップリング1.1,2.1,3.1,4.1,5.1,6.1,7.1,8.1,9.1,10.1,11.1,12.1は、提示の実施例では、X軸の周りを一周する、外側に位置する外周面Sを持つ円筒形の形状を有している。さらに、電導子1~12は、それぞれが、接続導体1.2,2.2,3.2,4.2,5.2,6.2,7.2,8.2,9.2,10.2,11.2,12.2(
図3)として形成され且つそれぞれ少なくとも部分的にX軸に平行に延びた第二部位Bを備えている。
【0032】
誘電性の保持体13は、中実には形成されておらず、複数の立設部13.1を備えて、それらの間にはボイド13.2が存在する。提示の実施例では、立設部13.1は、方向成分を概ねX軸に平行にして延びている。特に、ここでは壁部とも称することのできる立設部13.1は、X軸に平行に配向した方向に沿って、その寸法が最長となる。
図2および
図3によれば、立設部13.1は、これら立設部が、スリップリングモジュールの断面(例えばD-D線断面またはE-E線断面)内では、一周する閉じた形を有することで、立設部13.1が、内側に位置するボイド13.2を画成するように形成されている。提示の実施例では、立設部13.1は、これら立設部が、断面内では、規則的な六角形の形をなす、つまりハニカム状に形成されるような形態とされている。対応のハニカムはここでは、誘電性の保持体13を貫通しており、軸方向に開放されている。
【0033】
図から明らかなように、スリップリングモジュールの断面では、接続導体1.2,2.2,3.2,4.2,5.2,6.2,7.2,8.2,9.2,10.2,11.2,12.2は、特に、接続導体1.2,2.2,3.2,4.2,5.2,6.2,7.2,8.2,9.2,10.2,11.2,12.2がX軸に平行に延びる部位Bにおいて、誘電性の保持体13の立設部13.1により取り囲まれている。従って、電導子1~12並びに誘電性の保持体13は、スリップリングモジュールの一つの同じ断面の中に配置されている。
【0034】
スリップリングモジュールは、スリップリングモジュールの断面内、例えばE-E線断面またはD-D線断面内では、二つの接続導体1.2,2.2,3.2,4.2,5.2,6.2,7.2,8.2,9.2,10.2,11.2,12.2の間に一つ又は複数のボイド13.2が配置されているような形態とされている。同様に、スリップリング1.1,2.1,3.1,4.1,5.1,6.1,7.1,8.1,9.1,10.1,11.1,12.1として形成された第一部位Aの間には、一つ又は複数のボイド13.2が配置され、本例では軸方向に隣り合うスリップリング1.1,2.1,3.1,4.1,5.1,6.1,7.1,8.1,9.1,10.1,11.1,12.1の間に位置するように配置されている。
【0035】
スリップリングモジュールは、電流および/または電気信号、特に高周波信号を伝送する役割を担う。この目的のために、スリップリング1.1,2.1,3.1,4.1,5.1,6.1,7.1,8.1,9.1,10.1,11.1,12.1として形成された第一部位Aの外周面Sにブラシがあてがわれる。意図したところによれば、このブラシが、スリップリングモジュールの回転運動中、周りを一周する外周面Sに摺接し続ける。
【0036】
適切なランニング特性を保証できるように、スリップリングユニットには、X軸に一致する回転軸を持つ不図示の転がり軸受が取り付けられている。図には、転がり軸受の内輪用のベアリングシートとして機能することになる両部材14,15だけが看取できる。これらの部材14,15もまた、積層造形法において製造される。部材14,15は、回転しないようにして保持体13に接続されている。例えば、3Dプリンティングは、保持体13と部材14,15の間が確動式に結合するように実行することができる。簡単にするために、部材14,15用の材料として、電導子1~12用のものと同じ材料を使用することができる。
【0037】
こうして、スリップリングモジュールは、スリップリングユニット内部のロータと呼べる一方、ブラシは、ステータに対して設けることができる。電流および/または信号は、接続導体1.2,2.2,3.2,4.2,5.2,6.2,7.2,8.2,9.2,10.2,11.2,12.2を介して、ロータ側で取り出し若しくは導入することができる。
【0038】
特に、保持体13の、そのボイド13.2を備えた特別な形態により、スリップリングモジュールを通じて、例えばイーサネット接続、Sercosデータ接続またはその他のリアルタイムデータ接続のために高いデータレートの信号を伝送することができる。この特性は、立設部13.1とボイド13.2とからなる構造体により、絶縁体として保持体13ができあがり、それが、電導子1~12の間、特に隣り合う電導子の間のカップリングの度合若しくはクロストークを格段に低下させることから最終的に導かれる。
【0039】
さらに、スリップリングモジュールは、積層造形法の可能性により、半径方向に寸法が比較的小さなスリップリング1.1,2.1,3.1,4.1,5.1,6.1,7.1,8.1,9.1,10.1,11.1,12.1を備えている。この構造により、伝送路中の電気容量が比較的小さくなるという効果がもたらされ、その結果、これによりさらに高周波信号も良好に伝送できるようになり、これが、伝送可能な帯域幅を拡げることに寄与する。
【0040】
さらに、従来のスリップリングモジュールに比べると接続導体1.2,2.2,3.2,4.2,5.2,6.2,7.2,8.2,9.2,10.2,11.2,12.2が正確に規定どおりに導入されるので、常に再現可能な幾何学的位置関係が作り出される。さらに、この構造は、一つの型番シリーズ内において高データレートの伝送時の信頼性の向上に再現可能に寄与する。
【外国語明細書】