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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024047665
(43)【公開日】2024-04-08
(54)【発明の名称】積層体および包装袋
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/32 20060101AFI20240401BHJP
   B65D 65/40 20060101ALI20240401BHJP
   B65D 30/02 20060101ALI20240401BHJP
【FI】
B32B27/32 Z
B65D65/40 D
B65D30/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022153285
(22)【出願日】2022-09-27
(71)【出願人】
【識別番号】000224101
【氏名又は名称】藤森工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100155066
【弁理士】
【氏名又は名称】貞廣 知行
(72)【発明者】
【氏名】桑原 弘嗣
【テーマコード(参考)】
3E064
3E086
4F100
【Fターム(参考)】
3E064AB25
3E064BA24
3E064BA26
3E064BA30
3E064BB03
3E064BC18
3E064EA02
3E064EA06
3E064FA03
3E064GA04
3E064HM01
3E064HN05
3E086AA23
3E086AB01
3E086AD01
3E086BA15
3E086BA33
3E086BB23
3E086BB35
3E086BB51
3E086BB55
3E086BB58
3E086BB62
3E086BB63
3E086CA11
3E086CA28
3E086CA40
4F100AK03A
4F100AK25B
4F100AK63A
4F100AT00
4F100BA02
4F100BA03
4F100CA022
4F100CA02B
4F100CB02C
4F100CB02G
4F100EC182
4F100EC18C
4F100EC18G
4F100EH202
4F100EH20A
4F100EJ383
4F100EJ532
4F100EJ53B
4F100EJ542
4F100EJ54B
4F100GB15
4F100HB31B
4F100HB32B
4F100JK07
(57)【要約】
【課題】リサイクル性に優れ、無溶剤でも安定した印刷層を形成することが可能な積層体および包装袋を提供する。
【解決手段】ポリオレフィン系樹脂から形成されたポリオレフィン系樹脂層11に、UV硬化型インキまたはEB硬化型インキからなる印刷層13を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオレフィン系樹脂から形成されたポリオレフィン系樹脂層に、UV硬化型インキまたはEB硬化型インキからなる印刷層を有することを特徴とする積層体。
【請求項2】
前記積層体が前記ポリオレフィン系樹脂層を2層以上有し、前記積層体の外面または層間に前記印刷層を有することを特徴とする請求項1に記載の積層体。
【請求項3】
前記2層以上のポリオレフィン系樹脂層が、ポリエチレン系樹脂層からなる基材層およびシーラント層を有することを特徴とする請求項2に記載の積層体。
【請求項4】
前記基材層が乳白色に着色されていることを特徴とする請求項3に記載の積層体。
【請求項5】
前記基材層に前記印刷層が設けられ、前記基材層が、融点が130℃以下の直鎖状ポリエチレン樹脂からなる二軸延伸フィルムであることを特徴とする請求項3に記載の積層体。
【請求項6】
前記2層以上のポリオレフィン系樹脂層の間は、印刷層を介することなく、接着層を介して接着されていることを特徴とする請求項2に記載の積層体。
【請求項7】
前記2層以上のポリオレフィン系樹脂層の間が、押出樹脂層、無溶剤型接着剤層、紫外線硬化型接着剤層のいずれかによって接着されていることを特徴とする請求項2に記載の積層体。
【請求項8】
少なくとも1の部材が、請求項1~7のいずれか1項に記載の積層体から形成されていることを特徴とする包装袋。
【請求項9】
少なくとも胴部材が前記積層体から形成されていることを特徴とする請求項8に記載の包装袋。
【請求項10】
折り線を有する底部材が前記積層体から形成されていることを特徴とする請求項8に記載の包装袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層体および包装袋に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、油性インキ、水性インキ等の印刷インキを用いて基材に印刷を施し、着色フィルムからなる熱融着性フィルムを積層して、白ベタ印刷における有機溶剤を低減し得る包装材料が記載されている。
特許文献2には、注出口の基材に、紫外線硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂、熱硬化性樹脂等の硬化性樹脂を塗布または貼着して、補強層を設けた包装袋が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-75351号公報
【特許文献2】特開2004-338753号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
プラスチック製容器包装の使用後の回収に関して、2種以上の樹脂を含む包装袋はリサイクルが難しいため、単一の樹脂を用いるモノマテリアルの容器包装が提唱されている。単一の樹脂として、ポリエチレン系樹脂は安価で加工も容易である。しかし、ポリエチレン系樹脂を用いたフィルムやパウチは、溶剤を吸収したり、乾燥時の熱に影響されたりするため、安定した印刷層の形成に課題がある。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、リサイクル性に優れ、無溶剤でも安定した印刷層を形成することが可能な積層体および包装袋を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本発明は、以下の態様を提供する。
第1の態様は、ポリオレフィン系樹脂から形成されたポリオレフィン系樹脂層に、UV硬化型インキまたはEB硬化型インキからなる印刷層を有することを特徴とする積層体である。
第2の態様は、第1の態様において、前記積層体が前記ポリオレフィン系樹脂層を2層以上有し、前記積層体の外面または層間に前記印刷層を有することを特徴とする積層体である。
【0007】
第3の態様は、第2の態様において、前記2層以上のポリオレフィン系樹脂層が、ポリエチレン系樹脂層からなる基材層およびシーラント層を有することを特徴とする積層体である。
第4の態様は、第3の態様において、前記基材層が乳白色に着色されていることを特徴とする積層体である。
第5の態様は、第3または4の態様において、前記基材層に前記印刷層が設けられ、前記基材層が、融点が130℃以下の直鎖状ポリエチレン樹脂からなる二軸延伸フィルムであることを特徴とする積層体である。
【0008】
第6の態様は、第2~5のいずれか1の態様において、前記2層以上のポリオレフィン系樹脂層の間は、印刷層を介することなく、接着層を介して接着されていることを特徴とする積層体である。
第7の態様は、第2~6のいずれか1の態様において、前記2層以上のポリオレフィン系樹脂層の間が、押出樹脂層、無溶剤型接着剤層、紫外線硬化型接着剤層のいずれかによって接着されている。
【0009】
第8の態様は、少なくとも1の部材が、第1~7のいずれか1の態様の積層体から形成されていることを特徴とする包装袋である。
第9の態様は、第8の態様において、少なくとも胴部材が前記積層体から形成されていることを特徴とする包装袋である。
第10の態様は、第8または第9の態様において、折り線を有する底部材が前記積層体から形成されていることを特徴とする包装袋である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、UV硬化型インキまたはEB硬化型インキからなる印刷層を有することにより、リサイクル性に優れ、無溶剤でも安定した印刷層を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】積層体の一例を示す断面図である。
図2】包装袋の一例を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、好適な実施形態に基づいて、本発明を説明する。実施形態の積層体は、ポリオレフィン系樹脂から形成されたポリオレフィン系樹脂層に、硬化型インキからなる印刷層を有する。硬化型インキは、UV硬化型インキまたはEB硬化型インキである。
【0013】
実施形態の積層体は、ポリオレフィン系樹脂を主体とするポリオレフィン系樹脂層から形成されている。このため、実施形態の積層体を用いて、モノマテリアルの容器包装を実現することができる。ポリオレフィン系樹脂としては、オレフィンを主体とする重合体であれば、特に限定されないが、例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂等が挙げられる。
【0014】
図1に、実施形態の積層体10を示す。積層体10は、ポリオレフィン系樹脂層からなる基材層11およびシーラント層12と、硬化型インキからなる印刷層13とを有する。図示例の印刷層13は、積層体10の外面に形成されているが、積層体10の層間等に印刷層13が形成されてもよい。ポリオレフィン系樹脂層は少なくとも1層以上であり、2層以上でもよく、具体的には、後述する基材層11、シーラント層12等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0015】
UV硬化型インキは、印刷後にUV(紫外線)で硬化されるインキであり、EB硬化型インキは、印刷後にEB(電子線)で硬化されるインキである。一般的には、着色料と重合性化合物(モノマー、オリゴマー)とを含む。さらに必要に応じて、樹脂(ポリマー)等をインキに添加することができる。硬化型インキは、硬化により、ポリオレフィン系樹脂等の熱可塑性樹脂よりも硬質の皮膜を形成することができる。
【0016】
硬化型インキからなる印刷層13をポリオレフィン系樹脂層に積層することにより、無溶剤で印刷し、加熱乾燥を省略して、溶剤や熱の影響を抑制することができる。これにより、ポリエチレン系樹脂等の耐溶剤性や耐熱性に劣るポリオレフィン系樹脂を印刷基材に用いても、残留溶剤や印刷基材の制約を抑制することができる。積層体10が、ポリオレフィン系樹脂層として、ポリエチレン系樹脂層からなる基材層11およびシーラント層12を有してもよい。基材層11の外面または内面、シーラント層12の外面に印刷層13を設けてもよい。単層のポリオレフィン系樹脂フィルムに印刷層13を設けてもよい。
【0017】
硬化型インキに使用される重合性化合物としては、紫外線または電子線が照射されると重合して印刷層13を硬化させることが可能な化合物であればよい。電子線のエネルギーが高いため、EB硬化の場合は、UV硬化の光開始剤、熱硬化の熱開始剤のような反応開始剤が不要である。UV硬化の場合は、必要に応じて、光開始剤を添加してもよい。
【0018】
重合性化合物は、1分子に1つの重合性官能基を有する単官能モノマーでもよく、1分子に2つ以上の重合性官能基を有する多官能モノマーでもよく、これらを適宜の割合で配合してもよい。重合性官能基としては、ビニル基、アリル基、(メタ)アクリレート基等の不飽和官能基が挙げられる。(メタ)アクリレートは、アクリレートまたはメタクリレートの総称である。硬化型インキが2種以上の重合性化合物を含有してもよい。
【0019】
硬化型インキに使用される単官能モノマーとしては、N-アクリロイルモルホリン等のアクリルアミド化合物、N-ビニルカプロラクタム等のN-ビニル化合物、単官能(メタ)アクリレート等が挙げられる。単官能(メタ)アクリレートとしては、アルキル(メタ)アクリレート等の非環式(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等の芳香族(メタ)アクリレート、シクロアルキル(メタ)アクリレート等の単環式(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等の多環式(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリレート、アルコキシアルキル(メタ)アクリレート等のエーテル基含有(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0020】
硬化型インキに使用される多官能モノマーとしては、ジビニルエーテル化合物、アリルエーテル化合物、多官能(メタ)アクリレート等が挙げられる。多官能(メタ)アクリレートとしては、アルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールテトラ(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0021】
硬化型インキに使用される着色料としては、有機顔料、無機顔料、カーボン顔料、染料等が挙げられる。硬化型インキが2種以上の着色料を含有してもよい。耐久性等の観点から、フタロシアニン系顔料、キナクリドン系顔料、金属レーキ顔料、ローダミン系顔料、アゾ系顔料、カーボンブラック、酸化チタン等の顔料が好ましい。
【0022】
硬化型インキに使用される樹脂としては、特に限定されないが、(メタ)アクリレート等の重合性化合物との溶解性に優れる樹脂が好ましい。硬化型インキに使用される樹脂の具体例としては、例えば、アクリル樹脂、アルキド樹脂、飽和ポリエステル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、マレイン酸系樹脂、ポリアミド樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0023】
硬化型インキには、所望の添加剤を配合してもよい。硬化型インキの添加剤としては、重合禁止剤、分散剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、有機溶剤、シリコーン等が挙げられる。硬化型インキは、無溶剤で印刷が可能であり、揮発性有機化合物(VOC)を使用せず、ポリオレフィン系樹脂への残留溶剤をなくすことができる。
【0024】
印刷層13は、グラビア印刷、凸版印刷、オフセット印刷、スクリーン印刷、インクジェット等の印刷方式で硬化型インキをベタ状またはパターン状に印刷した後、硬化させることにより、形成することができる。印刷層13の厚さは、特に限定されないが、0.5~10μm程度が挙げられる。
【0025】
UV硬化型インキのUV硬化工程は、メタルハライドランプ、発光ダイオード等の光源を用いて、紫外線を印刷基材上のインキ塗膜に向けて照射して実施される。EB硬化型インキのEB硬化工程は、例えば10~100kV程度の電圧で電子を加速して生じるビームを、印刷基材上のインキ塗膜に向けて照射して実施される。EB硬化の場合は、酸素(O)による重合阻害やオゾン(O)の発生を抑制するため、窒素(N)等の不活性ガス雰囲気または真空で減圧された雰囲気で電子線を照射することが好ましい。硬化型インキの硬化は短時間で済み、生産性に優れる。
【0026】
印刷層13は、ポリオレフィン系樹脂層の全面に形成してもよく、ポリオレフィン系樹脂層の面内の一部に形成してもよい。2層以上の印刷層13を重ね合わせてもよい。複数の印刷層13が同種の硬化型インキから形成されてもよく、異種の硬化型インキを組み合わせてもよい。印刷層13の上に透明な保護コート層(トップコート)を設けてもよいが、保護コート層を省略することで、異種材料の割合を低減することができる。
【0027】
印刷層13を形成した基材層11に更に機能性等を持たせるために、乾燥を必要とする印刷を行ってもよい。硬化型インキからなる印刷層13の硬化により、基材層11の耐熱性が向上する。このため、基材層11上に乾燥を必要とする印刷を行っても、乾燥時の熱に耐えることができる。乾燥を必要とする印刷には、水性インキ、油性インキ等の溶剤型インキを用いることができる。乾燥を必要とする印刷を行う面は、基材層11の内面でもよく、外面でもよく、両面でもよい。
【0028】
積層体10の基材層11は、延伸されたポリオレフィン系樹脂層でもよく、無延伸のポリオレフィン系樹脂層でもよく、より具体的には、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)等のポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂等が挙げられる。基材層11が、1種のポリオレフィン系樹脂から形成されてもよく、2種以上のポリオレフィン系樹脂を含有してもよい。
【0029】
基材層11が1層でもよく、2層以上でもよい。基材層11が2層以上である場合は、それぞれの樹脂が同一でもよく、異種の樹脂でもよい。例えば、ポリエチレン系樹脂の中でも、密度、延伸方向、添加剤等が異なる樹脂層を用いて異なる基材層11を形成し、積層体10に積層してもよい。基材層11の厚さは、特に限定されないが、例えば、10~50μm程度が挙げられる。
【0030】
基材層11が、乳白色等に着色されてもよい。基材層11が乳白色に着色されていることにより、隠蔽性を向上することができる。着色した基材層11の外面に印刷層13を設けてもよく、着色した基材層11の外側に、印刷層13を設けた他の基材層11をラミネートしてもよい。
【0031】
基材層11に印刷層13が設けられる場合、基材層11が、融点が130℃以下の直鎖状ポリエチレン樹脂からなる二軸延伸フィルムであってもよい。直鎖状ポリエチレン樹脂の具体例としては、LLDPEが挙げられる。より高融点のポリエチレン系樹脂を基材層11としてもよいが、より低融点のポリエチレン系樹脂を基材層11としても、無溶剤で印刷層13を形成することができる。
【0032】
積層体10のシーラント層12は、シーラント樹脂から形成することが好ましい。シーラント樹脂としては、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)等の相対的に密度が低いポリエチレン系樹脂、あるいは無延伸のポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂等が挙げられる。シーラント層12が、1種のポリオレフィン系樹脂から形成されてもよく、2種以上のポリオレフィン系樹脂を含有してもよい。
【0033】
シーラント層12の厚さは、特に限定されないが、例えば、50~180μm程度が挙げられる。シーラント層12が単層のシーラントフィルムであってもよく、多層のシーラントフィルムでもよい。多層のシーラントフィルムは、共押出法、押出ラミネート法、サンドイッチラミネート法、熱ラミネート法等により、フィルム状のシーラント樹脂を2層以上積層して形成することができる。
【0034】
基材層11とシーラント層12との間は、接着層14を介在させて接合してもよい。基材層11を2層以上積層する場合も、層間を接着層14でラミネートすることができる。
【0035】
接着層14は、接着剤から形成されてもよく、アンカーコート剤から形成されてもよい。接着層14を形成する材料としては、特に限定されないが、ウレタン系化合物、エポキシ系化合物、イソシアネート系化合物、ポリエチレンイミン、チタンアルコキシド等の有機チタン化合物等が挙げられる。接着層14の厚さは、例えば、0.1~10μm程度、1~6μm程度、3~4μm程度が挙げられる。
【0036】
基材層11とシーラント層12との間など、2層以上のポリオレフィン系樹脂層11,12の間が、印刷層13を介することなく、接着層14を介して接着されてもよい。これにより、接着層14を介してポリオレフィン系樹脂層11,12を接着する際、印刷層13による段差が生じにくいため、接着強度を安定化することができる。
【0037】
積層体10の層間を接着するため、基材層11とシーラント層12との層間など、2層以上のポリオレフィン系樹脂層の間が、押出樹脂層、無溶剤型接着剤層、紫外線硬化型接着剤層のいずれかによって接着されてもよい。溶剤型接着剤層を用いる場合と比べて、ポリオレフィン系樹脂層に対する溶剤の影響や、乾燥による熱の影響を抑制することができる。
【0038】
押出樹脂層として、ポリオレフィン系樹脂の押出樹脂層を積層してもよい。押出樹脂層を用いる層間では、接着層14を省略することができる。積層体10は、基材層11、シーラント層12、押出樹脂層以外にも、ポリエチレン系樹脂層、ポリプロピレン系樹脂層等のポリオレフィン系樹脂層を有することができる。押出樹脂層のラミネートに際し、樹脂フィルムまたは溶融状態の押出樹脂に対して、コロナ処理、プラズマ処理、オゾン処理等の表面処理を施してもよい。
【0039】
押出樹脂層を用いてポリオレフィン系樹脂層の間を接着する場合は、押出樹脂層に用いる樹脂の融点が、ポリオレフィン系樹脂層に用いる樹脂の融点と同程度またはそれ以下であることが好ましい。例えば、ポリエチレン系樹脂層の間を接着する押出樹脂層には、ポリエチレン系樹脂層を用いることが好ましく、ポリプロピレン系樹脂層の間を接着する押出樹脂層には、ポリプロピレン系樹脂層を用いることが好ましい。
【0040】
無溶剤型接着剤層としては、アクリル系接着剤、ポリ酢酸ビニル系接着剤、ポリアミド系接着剤、ポリエーテル系接着剤、ポリエステル系接着剤、エポキシ系接着剤、ウレタン系接着剤、シリコーン系接着剤、シアノアクリレート系接着剤などの無溶剤型接着剤を用いた接着層14が挙げられる。
【0041】
紫外線硬化型接着剤層としては、光重合性化合物、光開始剤、光増感剤等を含有する紫外線硬化型接着剤を用いた接着層14が挙げられる。光重合性化合物としては、アクリレート類やビニルエーテル類などの光ラジカル重合性化合物、エポキシ化合物やオキセタン化合物などの光カチオン重合性化合物が挙げられる。
【0042】
積層体10が基材層11、シーラント層12、押出樹脂層などに複数のポリオレフィン系樹脂層を有する場合は、ポリオレフィン系樹脂層の全てがポリエチレン系樹脂層であってもよく、ポリオレフィン系樹脂層の全てがポリプロピレン系樹脂層であってもよい。同一の積層体10において、ポリオレフィン系樹脂の主成分モノマーが異なる2種以上のポリオレフィン系樹脂層が混在して積層されてもよい。
【0043】
ここで、ポリオレフィン系樹脂における主成分モノマーとしては、当該樹脂中で最も重量割合が多いモノマーである。例えば、ポリエチレン系樹脂の主成分モノマーはエチレンであり、ポリプロピレン系樹脂の主成分モノマーはプロピレンである。ホモポリマーの場合は、当該モノマーが主成分モノマーとなる。また、ポリオレフィン系樹脂層における主成分樹脂としては、当該樹脂層中で最も重量割合が多い樹脂である。
【0044】
ポリエチレン系樹脂層において、ポリエチレン系樹脂の割合は50重量%以上が好ましく、80~100重量%でもよい。ポリエチレン系樹脂は、エチレンの単独重合体(ホモポリマー)でもよく、エチレンを主体とする共重合体(コポリマー)でもよい。エチレン以外のモノマー(コモノマー)としては、1-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテン等のα-オレフィン、ノルボルネン等の環状オレフィン、酢酸ビニル、塩化ビニル、アクリル酸等のビニル系モノマー等の1種または2種以上が挙げられる。ポリエチレン系樹脂が、酢酸ビニル等のエステル基を有するモノマーを共重合している場合は、エステル基の一部がケン化されて、ビニルアルコールを含む共重合体となっていてもよい。
【0045】
ポリエチレン系樹脂の構成モノマーにおけるエチレンの割合は、50重量%以上が好ましく、例えば、80~100重量%でもよい。ポリエチレン系樹脂に使用されるエチレンまたはコモノマーは、石油等の化石資源に由来する化合物でもよく、植物等のバイオマスに由来する化合物でもよい。ポリエチレン系樹脂層に含まれる樹脂が、ポリエチレン系樹脂のみでもよく、他の樹脂成分を含有してもよい。ポリエチレン系樹脂は、1種でも、2種以上のブレンドでもよく、リサイクルポリエチレンを含んでもよい。
【0046】
ポリプロピレン系樹脂層において、ポリプロピレン系樹脂の割合は50重量%以上が好ましく、80~100重量%でもよい。ポリプロピレン系樹脂としては、プロピレンの単独重合体(ホモPP)でもよく、プロピレン-エチレン共重合体等におけるランダム共重合体(ランダムPP)またはブロック共重合体(ブロックPP)でもよい。プロピレン以外のモノマー(コモノマー)としては、エチレン、1-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテン等のα-オレフィン、酢酸ビニル、塩化ビニル、アクリル酸等のビニル系モノマー等が挙げられる。ポリプロピレン系樹脂のコモノマーは、1種でも、2種以上でもよい。
【0047】
ポリプロピレン系樹脂の構成モノマーにおけるプロピレンの割合は、50重量%以上が好ましく、例えば、80~100重量%でもよい。ポリプロピレン系樹脂に使用されるプロピレンまたはコモノマーは、石油等の化石資源に由来する化合物でもよく、植物等のバイオマスに由来する化合物でもよい。ポリプロピレン系樹脂層に含まれる樹脂が、ポリプロピレン系樹脂のみでもよく、他の樹脂成分を含有してもよい。ポリプロピレン系樹脂は、1種でも、2種以上のブレンドでもよく、リサイクルポリプロピレンを含んでもよい。
【0048】
基材層11、シーラント層12等のポリオレフィン系樹脂層に含まれる樹脂が、ポリオレフィン系樹脂のみ、ポリエチレン系樹脂のみ、あるいは、ポリプロピレン系樹脂のみでもよく、他の樹脂成分を含有してもよく、樹脂以外の添加剤を含有してもよい。添加剤としては、特に限定されないが、例えば、酸化防止剤、滑剤、アンチブロッキング剤、難燃剤、紫外線吸収剤、光安定剤、帯電防止剤、着色剤、架橋剤等が挙げられる。添加剤は、樹脂に相溶する成分でもよく、樹脂に相溶しない成分でもよい。
【0049】
ポリオレフィン系樹脂の少なくとも一部が、リサイクルされたポリオレフィン系樹脂を含んでもよい。ポリオレフィン系樹脂のリサイクル方法は、特に限定されないが、使用済みの樹脂をモノマー等に分解してから再度重合させたケミカルリサイクルでもよく、使用済みの樹脂をポリマーのまま、粉砕、選別等の工程を経て再生したメカニカルリサイクルでもよい。リサイクルされた樹脂と新品の樹脂とを混合して使用してもよい。
【0050】
上述の実施形態の積層体10の全重量に対し、特定樹脂の合計が90重量%以上であり、特定樹脂以外の材料の合計が10重量%以下であることが好ましく、特定樹脂の合計が95重量%以上であり、特定樹脂以外の材料の合計が5重量%以下であることがより好ましい。これにより、積層体10に硬化型インキ、接着剤等が使用されていても、特定樹脂のモノマテリアル材料を実現することができる。特定樹脂としては、例えば、ポリオレフィン系樹脂、ポリエチレン系樹脂またはポリプロピレン系樹脂のいずれかが挙げられる。積層体10が、特定樹脂に該当する樹脂を2種以上使用してもよい。
【0051】
上述の実施形態の積層体10は、ポリエチレン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂を主体とした積層フィルム状であり、種々の用途に用いることができる。積層フィルムを形成する方法は、特に限定されないが、ドライラミネート、押出ラミネート、熱ラミネート、共押出、コーティング等が挙げられる。各層を積層するために、それぞれ異なる方法を用いてもよい。シーラント層を向かい合わせて、融着により積層体を接合することができる。
【0052】
実施形態の積層体10は、包装袋等の包装体の作製に用いることができる。包装体の少なくとも1の部材が、積層体10から形成されていればよく、他の部材が例えば印刷層13を有しないフィルムでもよい。包装体の用途は、使い捨て用、詰め替え用、貯蔵用、物品等の収納用など、特に限定されないが、液体を内封する用途に好適であり、内容物を消費する際に使用される本体容器に対して、1回または複数回、内容物を詰め替える用途には特に好適である。この場合、本体容器を長期間の使用に耐久可能にして、詰め替え容器の包装を簡易にすることができる。また、内容物を使い終えた後の詰め替え容器を処分する際、リサイクルが容易になる。
【0053】
包装体としては、パウチ、バッグなどの包装袋、チューブ、コンテナ、スリーブ包装、ストリップ包装、蓋材等が挙げられる。包装袋の具体例としては、三方シール袋、四方シール袋、ピロー袋、ガセット袋、スタンディングパウチ等が挙げられる。積層体が柔軟な積層フィルムである場合は、軟包装の包装体を形成することができる。
【0054】
図2に、スタンディングパウチとなる包装袋の一例を示す。この包装袋100は、一対の胴部材101と、折り線103により二つ折りにした底部材102とから形成されている。胴部材101は、前後に1枚ずつ配置されている。前後の胴部材101の平面形状が同一でもよい。底部材102は、折り線103により外面が対向するように折り込まれている。折り線103より上側では、左右に胴シール部104が形成されて、前後の胴部材101の内面が互いに接合されている。
【0055】
底部材102は、折り線103を上側にして、前後の胴部材101の間に挟み込まれている。折り線103より下側では、底部材102の内面が胴部材101の内面に接合された底シール部105が形成されている。底シール部105は、底部材102の折り線103で区画される領域を、それぞれ前後方向で同じ側の胴部材101と接合している。折り線103に対して底部材102を広げて、包装袋100を自立させることができる。
【0056】
包装袋100が胴部材101と底部材102とを有する場合は、実施形態の積層体10を胴部材101と底部材102のいずれか一方に使用してもよく、両方に使用してもよい。硬化型インキを用いた印刷層13を有する積層体10を胴部材101または底部材102に用いて、包装袋100の表面に図柄、文字等を含む画像を表示することができる。
【0057】
胴部材101の胴シール部104または底シール部105を形成する領域の外面に硬化型インキを用いて印刷層13を形成した後、胴部材101を外面の側から加熱して、胴シール部104または底シール部105を形成してもよい。これにより、シールバー等の熱シール部材に対する胴部材101の貼り付きを抑制することができる。
【0058】
包装袋100は、充填口、注出口等を有してもよい。例えば、包装袋100の上部で前後の胴部材101の間が開口されて、内容物の充填または注出に用いることができる。内容物の充填後に胴部材101の間を接合して、包装袋100を密封してもよい。包装袋100を開封する際には、胴部材101の間が接合されていた箇所を容易に引き裂くことができる。特に図示しないが、注出口が包装袋100の上部または隅部で細く突出する形状に形成されてもよい。注出口はフィルム成形でもスパウトタイプでもよい。
【0059】
包装体の寸法は、特に限定されるものではないが、例えば詰め替え容器の用途では、上下方向の高さが100~500mm程度、左右方向の幅が70~300mm程度、充填量としては100cm~5000cm程度が挙げられる。内容物の状態としては、特に限定されないが、液体、粉体、粒体等の流体、あるいは物品等の固形物が挙げられる。内容物の種類としては、特に限定されないが、洗剤、薬剤、化粧品、医薬品、飲料、調味料、インキ、塗料、燃料等が挙げられる。
【0060】
包装体は、実施形態の積層体10のみから形成してもよく、ラベル、タグ、ストロー、外箱等の付属部材と組み合わせてもよい。リサイクルの観点では、付属部材を包装体から分離できることが好ましい。包装体の開封を容易にするため、開封部の周囲には、ミシン目、ノッチ、ハーフカット溝などの易開封手段を形成してもよい。
【0061】
実施形態の積層体10または包装袋100を使用した後にリサイクルする方法は、特に限定されないが、回収時の状態等に応じて、適宜選択することができる。実施形態の積層体10は、ポリオレフィン系樹脂の割合を高くすることができるので、上述したケミカルリサイクル、メカニカルリサイクルのいずれも可能である。実施形態の積層体10または包装袋100のリサイクルにより、積層体10または包装袋100など、同種の製品に再生することも可能である。リサイクルして得られた材料を、塗料、成形品、炭化水素油等の製品に利用してもよい。
【0062】
以上、本発明を好適な実施形態に基づいて説明してきたが、本発明は上述の実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。改変としては、構成要素の追加、置換、省略、その他の変更が挙げられる。
【実施例0063】
以下、実施例として、より具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
【0064】
実施例1ではEB硬化型インキを用いたEBオフセット印刷、実施例2ではUV硬化型インキを用いたUV印刷、比較例1では油性インキを用いた油性グラビア印刷、比較例2では水性インキを用いた水性フレキソ印刷を用いて、印刷基材に印刷層を形成した。
【0065】
残留溶剤試験では、印刷基材に一軸延伸HDPEを用いた。ガスクロマトグラフィーを用いて、印刷後の印刷基材に有機溶剤が検出されるかを確認し、残留溶剤が検出されない場合を良(○)、残留溶剤が検出された場合を不良(×)と評価した。
【0066】
印刷試験(多色刷り、ピッチ)では、印刷基材は、一軸延伸HDPE、無延伸HDPE、二軸延伸LLDPEの3とおりとした。印刷基材をロールtoロールで搬送しながら、所定のピッチで多色刷りの印刷層を形成した。ピッチが正確な場合を良(○)、ピッチがやや不正確な場合をやや不良(△)、ピッチがより不正確な場合を不良(×)と評価した。
【0067】
【表1】
【0068】
表1に示すように、比較例1では油性インキを用いたため、残留溶剤が検出された。比較例1~2は、加熱乾燥の影響で多色刷り印刷の結果が悪くなった。実施例1~2では、インキの乾燥が必要ないため、弾性率が高い一軸延伸HDPEに限らず、無延伸HDPEや二軸延伸LLDPEを印刷基材に用いても、ピッチを正確に再現することができた。
【符号の説明】
【0069】
10…積層体、11…基材層(ポリオレフィン系樹脂層)、12…シーラント層(ポリオレフィン系樹脂層)、13…印刷層、14…接着層、100…包装袋、101…胴部材、102…底部材、103…折り線、104…胴シール部、105…底シール部。
図1
図2