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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024047700
(43)【公開日】2024-04-08
(54)【発明の名称】プログラム
(51)【国際特許分類】
   G16H 50/20 20180101AFI20240401BHJP
【FI】
G16H50/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022153341
(22)【出願日】2022-09-27
(71)【出願人】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001988
【氏名又は名称】弁理士法人小林国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】坪田 圭司
(72)【発明者】
【氏名】位田 憲昭
(72)【発明者】
【氏名】井山 勝蔵
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA04
(57)【要約】
【課題】適切な健康診断を行うことができるプログラムを提供する。
【解決手段】本発明の健康診断支援プログラム36は、装着者の生体情報を取得するスマートウォッチ12の中央制御部32に、健康診断に関する健診情報20が記憶された健診情報サーバ14にアクセスして装着者の健康診断実施予定日時を検出する健診情報検出機能と、健康診断実施予定日時までの所定期間についてスマートウォッチ12を介して得られる装着者の生体情報を監視して健康診断の実施に不適格な不適格事項を検出する不適格事項検出機能と、不適格事項が検出された場合にこの旨を報知する健診不適格報知機能と、を実現させる。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装着者の生体情報を取得するウェアラブルデバイスのコンピュータに所定の機能を実現させるためのプログラムであり、
前記所定の機能として、
健康診断に関する健診情報が記憶された健診情報記憶部にアクセスして、前記装着者の健康診断実施予定日時を検出する健診情報検出機能と、
前記健診情報検出機能により検出された健康診断実施予定日時までの所定期間について、前記ウェアラブルデバイスを介して得られる前記装着者の生体情報を監視し、健康診断の実施に不適格な不適格事項を検出する不適格事項検出機能と、
前記不適格事項検出機能により前記不適格事項が検出された場合に、この旨を報知する健診不適格報知機能と、を有する、
プログラム。
【請求項2】
前記健診情報記憶部には、前記健診情報として、前記不適格事項の検出基準が記憶され、
前記検出基準を用いて前記不適格事項が検出される、
請求項1記載のプログラム。
【請求項3】
前記所定の機能として、
前記検出基準を報知する検出基準報知機能、を有する、
請求項2に記載のプログラム。
【請求項4】
前記健診情報記憶部には、前記健診情報として、前記装着者の健康診断における診断項目が記憶され、
前記検出基準は、前記診断項目毎に定められている、
請求項3に記載のプログラム。
【請求項5】
前記不適格事項検出機能は、前記装着者の生体情報が、所定の適格範囲を超えたことを前記不適格事項として検出する、
請求項1-4のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項6】
前記所定の機能として、
前記装着者の行動を検出する行動検出機能、を有し、
前記不適格事項検出機能は、前記行動検出機能により検出された行動のうち、健康診断の実施に不適格な行動である不適格行動を検出する、
請求項1-4のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項7】
前記不適格行動は、許容期間外の飲食である、
請求項6に記載のプログラム。
【請求項8】
前記不適格行動は、許容範囲を超える運動の実施である、
請求項6に記載のプログラム。
【請求項9】
前記不適格行動は、許容範囲を超える医薬品の摂取または投与である、
請求項6に記載のプログラム。
【請求項10】
前記ウェアラブルデバイスは、前記装着者の位置情報を取得し、
前記不適格事項検出機能は、前記装着者の生体情報に加えて、前記ウェアラブルデバイスを介して得られる前記装着者の位置情報を用いて前記不適格行動を検出する、
請求項6に記載のプログラム。
【請求項11】
前記所定の機能として、
前記記憶部に記憶された健康診断実施予定日時を変更する健診日時変更機能、を有する、
請求項1-4のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項12】
前記検針日時変更機能は、前記不適格事項が検出された場合に有効化される、
請求項11に記載のプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装着者の生体情報を取得するウェアラブルデバイスのコンピュータに所定の機能を実現させるためのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
装着者の生体情報を取得するウェアラブルデバイスとして、例えば、スマートウォッチが知られている。スマートウォッチでは、装着者の生体情報として、体温、心拍数、血圧、血糖値などを取得できるので、日々の健康管理に有効である(下記特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-003554号公報
【特許文献2】特開2022-037048号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1、2にように、ウェアラブルデバイスで生体情報を測定(収集)することにより日々の健康管理には有効であるが、より健康的な生活をおくるためには、健康診断のように、定期的に医師等による診断を行うことが好ましい。
【0005】
しかしながら、健康診断には、例えば、前日の9時以降は飲食をしてはいけないなどのルールがあり、このようなルールが守られないと、適切な結果が得られないなどの問題がある。このような問題は、従業員に健康診断を受けさせることが事業主に義務付けられていない日本以外の国で顕著となることが予想される。
【0006】
本発明は、上記背景を鑑みてなされたものであり、健康診断に馴染み深い日本だけでなく、健康診断に馴染みの浅い諸外国においても、適切な健康診断を行うことができるプログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のプログラムは、装着者の生体情報を取得するウェアラブルデバイスのコンピュータに所定の機能を実現させるためのプログラムであり、所定の機能として、健康診断に関する健診情報が記憶された健診情報記憶部にアクセスして、装着者の健康診断実施予定日時を検出する健診情報検出機能と、健診情報検出機能により検出された健康診断実施予定日時までの所定期間について、ウェアラブルデバイスを介して得られる装着者の生体情報を監視し、健康診断の実施に不適格な不適格事項を検出する不適格事項検出機能と、不適格事項検出機能により不適格事項が検出された場合に、この旨を報知する健診不適格報知機能と、を有する。
【0008】
健診情報記憶部には、健診情報として、不適格事項の検出基準が記憶され、検出基準を用いて不適格事項が検出される、ことが好ましい。
【0009】
所定の機能として、検出基準を報知する検出基準報知機能、を有する、ことが好ましい。
【0010】
健診情報記憶部には、健診情報として、装着者の健康診断における診断項目が記憶され、検出基準は、診断項目毎に定められている、ことが好ましい。
【0011】
不適格事項検出機能は、装着者の生体情報が、所定の適格範囲を超えたことを不適格事項として検出する、ことが好ましい。
【0012】
所定の機能として、装着者の行動を検出する行動検出機能、を有し、不適格事項検出機能は、行動検出機能により検出された行動のうち、健康診断の実施に不適格な行動である不適格行動を検出する、ことが好ましい。
【0013】
不適格行動は、許容期間外の飲食である、ことが好ましい。
【0014】
不適格行動は、許容範囲を超える運動の実施である、ことが好ましい。
【0015】
不適格行動は、許容範囲を超える医薬品の摂取または投与である、ことが好ましい。
【0016】
ウェアラブルデバイスは、装着者の位置情報を取得し、不適格事項検出機能は、装着者の生体情報に加えて、ウェアラブルデバイスを介して得られる装着者の位置情報を用いて不適格行動を検出する、ことが好ましい。
【0017】
所定の機能として、記憶部に記憶された健康診断実施予定日時を変更する健診日時変更機能、を有する、ことが好ましい。
【0018】
検針日時変更機能は、不適格事項が検出された場合に有効化される、ことが好ましい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、ルールに則り適切な健康診断を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】健康診断支援システムの構成を示す概略図である。
図2】健診スケジュールデータの内容を示す説明図である。
図3】注意事項データの内容を示す説明図である。
図4】スマートウォッチの概略的な構成を示すブロック図である。
図5】不適格事項の検出及び報知の流れを示すフローチャートである。
図6】スマートウォッチの概略的な構成を示すブロック図である。
図7】不適格事項の検出基準の報知の流れを示すフローチャートである。
図8】スマートウォッチの概略的な構成を示すブロック図である。
図9】健康診断実施予定日時の変更の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
[第1実施形態]
図1において、健康診断支援システム10は、健康診断が適切に実行されるように支援するためのものである。健康診断支援システム10は、本発明の健康診断支援プログラム36(図4参照)がインストールされたスマートウォッチ12(ウェアラブルデバイス)と、健診情報サーバ14(健診情報記憶部)と、を備え、これらがインターネットなどのネットワーク16を介して互いに通信可能に接続されている。
【0022】
スマートウォッチ12は、手首に装着される時計型のウェアラブルデバイスである。スマートウォッチ12は、GPS(Global Positioning System)衛星18からの電波を受信して現在位置を検出する位置情報取得機能を有している。
【0023】
また、スマートウォッチ12は、画像センサ、温度センサ、圧力センサ、振動センサ、磁気センサなどの他、血糖値センサ、血圧センサなど生体情報取得用の専用のセンサを備え、これらセンサから得られた情報を用いて、装着者の生体情報(体温、脈拍数、血圧、血糖値など)を取得する生体情報取得機能を有している。
【0024】
スマートウォッチなどのウェアラブルデバイスにより、血糖値を測定する例は下記アドレス1、2に、血圧を測定する例については下記アドレス3に、記載されている。
アドレス1
・Medical DX,“Apple Watchも狙う針を刺さない血糖値測定、その研究結果は?──スマートウォッチと糖尿病治療の新たな関係”,[online],2022年3月29日,Medical DX編集部,[2022年9月20日検索]、インターネット
<URL:https://medicaldx-jp.com/news/330>
アドレス2
・南川明,”採血不要の血糖測定、スマートウオッチで”,[online],2021年9月24日,日本経済新聞,[2022年9月20日検索]、インターネット
<URL:https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC08BUK0Y1A900C2000000/>
アドレス3
・男の隠れ家デジタル 編集部,“スマートウォッチで血圧を「測定」する2つの仕組み”,[online],2022年8月31日,男の隠れ家デジタル,[2022年9月20日検索]、インターネット
<URL:https://otokonokakurega.com/learn/ippin/16656/#%E3%82%B9%E3%83%9E%E3%83%BC%E3%83%88%E3%82%A6%E3%82%A9%E3%83%83%E3%83%81%E3%81%A7%E8%A1%80%E5%9C%A7%E3%82%92-%E6%B8%AC%E5%AE%9A-%E3%81%99%E3%82%8B2%E3%81%A4%E3%81%AE%E4%BB%95%E7%B5%84%E3%81%BF>
【0025】
なお、本実施形態では、ウェアラブルデバイスとしてスマートウォッチに本発明を適用する例で説明を行うが、スマートウォッチ以外のウェアラブルデバイスに本発明を適用してもよい。
【0026】
健診情報サーバ14には、健診情報20が記憶されている。健診情報は、健康診断に関する情報であり、健康診断の実施スケジュールに関する健診スケジュールデータ22と、健康診断を実施するにあたっての注意事項(不適格事項の検出基準)を示す注意事項データ24と、からなる。
【0027】
図2に示すように、健診スケジュールデータ22には、受診者情報、受診日時、受診場所、受診項目、が含まれる。受診者情報は、健康診断の受診者に関する情報であり、受診者の指名、年齢、性別、特記事項(既往症や持病、現在治療中の傷病や処方・投薬されている医薬品など)を示す情報である。受診日時は、健康診断を実施する予定の日時(健康診断実施予定日時)を示す情報である。受診予定場所は、健康診断を実施する予定の場所を示す情報である。受診項目は、健康診断で実施する予定の診断の種類(診断項目)を示す情報である。
【0028】
なお、図2は、健診スケジュールデータ22として、氏名「富士太郎」と氏名「富士花子」の2名の情報が記憶された例を示している。そして、氏名「富士太郎」は、年齢「38歳」、性別「男性」、特記事項「なし」、受診日時「2023年12月25日午前9時」、受診場所「ABC病院」、A~Kの診断項目のうち「A~I」の診断項目について健康診断を実施(受診)する内容となっている。また、氏名「富士花子」は、年齢「34歳」、性別「女性」、特記事項「アレルギー(ハウスダスト)有り」、受診日時「2023年12月25日午後1時」、受診場所「ABC病院」、A~Kの診断項目のうち「A~H」の診断項目について健康診断を実施(受診)する内容となっている。
【0029】
図3に示すように、注意事項データ24は、後述する不適格事項(健診を受けるにあたって不適格な事項)を検出する場合の検出基準となる情報である。注意事項データ24には、全ての診断項目に関係する全般的な注意事項と、診断項目毎の個別の注意事項と、に関する情報が含まれる。全般的な注意事項は、例えば、直近24時間の激しい運動の禁止、前日に十分な睡眠をとること、当日に体調不良でないこと、などである。個別の注意事項は、血液検査を行う場合は直近12時間は飲食を禁止すること、バリウム検査を行う場合は直近12時間は食事を禁止し、かつ、直近36時間は禁酒すること、CT/MRI検査を行う場合は直近1時間の飲食を禁止すること、などである。
【0030】
図4に示すように、スマートウォッチ12には、メモリ30、中央制御部32が設けられている。メモリ30には、スマートウォッチ12の装着者に関する装着者情報34が格納されている。装着者情報は、スマートウォッチ12の装着者が、例えば、「富士太郎」であることを示す情報である。
【0031】
また、メモリ30には、健康診断支援プログラム36が格納されている。中央制御部32は、メモリ30に格納された健康診断支援プログラム36を動作させることにより、健診情報検出部38、行動検出部40、不適格事項検出部42、健診不適格報知部44、として機能する。
【0032】
健診情報検出部38は、スマートウォッチ12のコンピュータ(中央制御部32)に健診情報検出機能を実現させるためのものである。健診情報検出部38は、健診情報サーバ14にアクセスし、装着者情報34と一致する受診者(受診予定者)を検索する。そして、検索した受診者、すなわち、スマートウォッチ12の装着者の健康診断実施予定日時を検出する。
【0033】
行動検出部40は、スマートウォッチ12のコンピュータ(中央制御部32)に行動検出機能を実現させるためのものである。行動検出部40は、スマートウォッチ12の装着者の健康診断実施予定日時までの所定期間(例えば、健康診断実施予定日時の3日前から健康診断実施予定日時までの期間)、スマートウォッチ12を介して得られる装着者の生体情報を監視し、健康診断を受けるにあたっての注意事項として注意事項データ24に記憶された注意事項に違反する可能性のある行動(以下、注意行動)を検出する。注意行動は、例えば、激しい運動や飲食であり、行動検出部40は、装着者の生体情報の変化などから装着者が注意行動を行った場合にこれを検出する。
【0034】
具体的には、心拍数が、予め設定した基準値(例えば、100回/分)を上回った場合や、平常時(例えば、監視を開始してからの平均値)よりも所定割合(例えば、30%)以上となった場合に、激しい運動をしたとし、これを注意行動として検出する。また、血糖値が、予め設定した基準値(例えば、120mg/dL)を上回った場合や、平常時(例えば、監視を開始してからの平均値)よりも所定割合(例えば、30%)以上となった場合に、食事をしたとし、注意行動として検出する。なお、装着者の生体情報に加えて、装着者の位置情報(位置情報の変化)を用いて注意行動を検出してもよい。
【0035】
不適格事項検出部42は、スマートウォッチ12のコンピュータ(中央制御部32)に不適格事項検出機能を実現させるためのものである。不適格事項検出部42は、不適格事項の検出を行う。不適格事項は、健康診断を受けるにあたっての注意事項として注意事項データ24に記憶された注意事項に違反する事項である。
【0036】
不適格事項検出部42は、行動検出部40と同様にスマートウォッチ12の装着者の健康診断実施予定日時までの所定期間、スマートウォッチ12を介して得られる装着者の生体情報を監視し、生体情報が予め設定された所定の適格範囲を超えた場合に、装着者の体調が正常でないとみなし、これを不適格事項として検出する。この場合、例えば、健康診断の当日であるにも関わらず、体調不良であること(体温が高い(高熱である)、心拍が安定していない、など)が不適格事項として検出される。
【0037】
また、不適格事項検出部42は、行動検出部40により注意行動が検出された場合に、この注意行動が不適格事項に該当するか否かを判定し、該当する場合にこの注意行動を不適格事項として検出する。この場合、例えば、健康診断実施予定日時の24時間以内に激しい運動を行った、健康診断で血液検査を受けるにも関わらず健康診断実施予定日時の12時間以内に食事をした、などが不適格事項として検出される。
【0038】
健診不適格報知部44は、スマートウォッチ12のコンピュータ(中央制御部32)に健診不適格報知機能を実現させるためのものである。健診不適格報知部44は、不適格事項が検出された場合に、例えば、スマートウォッチ12の表示部にメッセージを表示する、スマートウォッチ12のスピーカからメッセージを再生するなどにより、不適格事項の検出を装着者に報知する。
【0039】
以下、健康診断支援プログラム36の処理の流れについて、図5を用いて説明を行う。図5に示すように、健康診断支援プログラム36が実行されると、スマートウォッチ12の装着者の健康診断実行予定日時が検出され、健康診断実行予定日時の所定期間前から健康診断実行予定日時までの期間、装着者の生体情報の監視が開始される。そして、監視の結果、不適格事項が検出されると、この旨が報知される。このように、本発明によれば、健康診断の実施に不適格な事項を検出して報知するので、装着者は、健診時に医師などに事情を説明して健診を延期するなどの対応を行うことができ、適切な健康診断を行うことができる。
【0040】
なお、不適格事項が検出されたことを、スマートウォッチ12の装着者に報知する構成を例に説明をしたが、本発明はこれに限定されない。不適格事項が検出されたことを、健康診断を行う医療機関や医療機関のスタッフ(医療機関の端末や医療機関のスタッフの端末)に対して報知する構成としてもよい。
【0041】
また、医薬品によっては、生体情報を監視することで、摂取(投与)の有無や摂取量(投与量)を推定可能な場合がある。例えば、血圧値を経時的に監視することで、血圧を下げるアムロジピンなどの降圧薬の摂取や、血糖値を経時的に監視することで、血糖値を下げるビグアナイド薬やスルホニル尿素薬などの摂取を推定可能である。さらに、健康診断の診断項目によっては、特定の医薬品の摂取(投与)や摂取量(投与量)が制限されているものもある。このような項目の診断を健康診断で実施する場合、生体情報に基づいて特定の医薬品の摂取の有無や摂取量を検出し、注意事項に違反した場合にこれを不適格事項として検出してもよい。
【0042】
なお、血圧を下げる医薬品については、下記アドレス4、5に、血糖値を下げる医薬品については、下記アドレス6に記載されている。
アドレス4
服部泰輔,” アムロジピン(高血圧の薬)の解説”,[online],2021年10月18日,アスクレピオス診療院,[2022年9月20日検索]、インターネット
<URL:https://asklepios-clinic.jp/blog/2021/10/18/amlodipine/>
アドレス5
心臓クリニック藤沢六会,” 降圧薬の選び方 1 ARB、ACE、Ca拮抗薬”,[online],2021年11月29日,心臓クリニック藤沢六会,[2022年9月20日検索]、インターネット
<URL:https://heartmutsuai.clinic/blog/?p=208>
アドレス6
国立国際医療研究センター 糖尿病情報センター,” 血糖値を下げる飲み薬”,[online],2022年01月24日,国立国際医療研究センター 糖尿病情報センター,[2022年 9月20日検索]、インターネット
<URL:http://dmic.ncgm.go.jp/general/about-dm/100/020/02.html>
【0043】
なお、本実施形態では、健康診断支援プログラム36をメモリ30に格納する例で説明をしたが、本発明はこれに限定されない。健康診断プログラム36を、スマートウォッチ12とは別体に設けられ、スマートウォッチ12と通信可能な格納部(例えば、健診情報サーバ14など)に格納してもよい。この場合、スマートウォッチ12(中央制御部32)が格納部にアクセスし、健康診断プログラムを動作(読み出し、実行)させればよい。
【0044】
また、本実施形態では、スマートウォッチ12(中央制御部32)が、健康診断支援プログラム36を動作させ、健診情報検出部38、行動検出部40、不適格事項検出部42、健診不適格報知部44、として機能するが、本発明はこれに限定されない。スマートウォッチ12とは別体に、スマートウォッチ12と通信可能なプロセッサ装置を設け、このプロセッサ装置が、健康診断支援プログラム36を動作させ、健診情報検出部38、行動検出部40、不適格事項検出部42、健診不適格報知部44、として機能する構成としてもよい。
【0045】
[第2実施形態]
上記第1実施形態は、不適格事項を検出した場合にこの旨を報知する構成であるが、第2実施形態では、これに加えて、予め不適格事項の検出基準をスマートウォッチ12の装着者に報知する構成としている。なお、第2実施形態以降の説明においては、前述した実施形態と同様の構成については同様の符号を付して説明を省略している。
【0046】
図6に示すように、第2実施形態では、メモリ30に格納された健康診断支援プログラム36を動作させることにより、中央制御部32が、前述した各部に加え、検出基準報知部50、としても機能する。検出基準報知部50は、スマートウォッチ12のコンピュータ(中央制御部32)に検出基準報知機能を実現させるためのものである。
【0047】
図7に示すように、検出基準報知部50は、健康診断実行予定日時の所定期間前となると、健診情報サーバ14にアクセスして注意事項データ24、すなわち、不適格事項の検出基準を読み出し、例えば、スマートウォッチ12の表示部にメッセージを表示する、スマートウォッチ12のスピーカからメッセージを再生するなどにより、スマートウォッチ12の装着者に検出基準を報知する。このように、第2実施形態では、不適格事項の検出基準を報知することで、どのような点に注意して健康診断に望めばよいのかが明確となり、不適格事項が検出されないように行動することができるので、適切な健康診断を行うことができる。
【0048】
[第3実施形態]
第3実施形態は、健診情報サーバ14に記憶された健康診断実施予定日時の変更を可能とした構成である。図8に示すように、第3実施形態では、メモリ30に格納された健康診断支援プログラム36を動作させることにより、中央制御部32が、前述した各部に加え、健診日時変更部60としても機能する。健診日時変更部60は、スマートウォッチ12のコンピュータ(中央制御部32)に健康日時変更機能を実現させるためのものである。
【0049】
図9に示すように、健診日時変更部60は、スマートウォッチ12の装着者が健康診断実施予定日時の変更を選択した場合に、健康診断実施予定日時を変更する処理を開始する。健康診断実施予定日時の変更は、スマートウォッチ12を操作して任意のタイミングで行うことができる。また、不適格事項が検出されたことを契機に、健康診断日時変更機能を有効化して、健康診断実施予定日時の変更が可能となる構成としてもよい。
【0050】
健康診断実施予定日時の変更が選択されると、健診日時変更部60は、健康診断を実施する医療機関などの予約システムにアクセスして新たな予定日時の候補を抽出し、抽出した候補をスマートウォッチ12の表示部に表示するなどして報知し、装着者にいずれの候補とするかを選択させる。そして、候補が選択されると、現在の健康診断の予約を取り消して、選択された新たな予定日時で健康診断の予約を行う。また、この新たな予約に伴って健診情報サーバ14に記憶された健康診断実施予定日時を変更(更新)する。
【0051】
上記実施形態において、健診情報検出部38、行動検出部40、不適格事項検出部42、健診不適格報知部44、検出基準報知部50、健診日時変更部60などの各種の処理を実行する処理部(processing unit)のハードウェア的な構造は、次に示すような各種のプロセッサ(processor)である。各種のプロセッサには、ソフトウエア(プログラム)を実行して各種の処理部として機能する汎用的なプロセッサであるCPU(Central Processing Unit)、FPGA (Field Programmable Gate Array) などの製造後に回路構成を変更可能なプロセッサであるプログラマブルロジックデバイス(Programmable Logic Device:PLD)、各種の処理を実行するために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路などが含まれる。
【0052】
1つの処理部は、これら各種のプロセッサのうちの1つで構成されてもよいし、同種または異種の2つ以上のプロセッサの組み合せ(例えば、複数のFPGAや、CPUとFPGAの組み合わせ)で構成されてもよい。また、複数の処理部を1つのプロセッサで構成してもよい。複数の処理部を1つのプロセッサで構成する例としては、第1に、クライアントやサーバなどのコンピュータに代表されるように、1つ以上のCPUとソフトウエアの組み合わせで1つのプロセッサを構成し、このプロセッサが複数の処理部として機能する形態がある。第2に、システムオンチップ(System On Chip:SoC)などに代表されるように、複数の処理部を含むシステム全体の機能を1つのIC(Integrated Circuit)チップで実現するプロセッサを使用する形態がある。このように、各種の処理部は、ハードウェア的な構造として、上記各種のプロセッサを1つ以上用いて構成される。
【0053】
さらに、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造は、より具体的には、半導体素子などの回路素子を組み合わせた形態の電気回路(circuitry)である。
【符号の説明】
【0054】
10 健康診断支援システム
12 スマートウォッチ
14 健診情報サーバ(健診情報記憶部)
16 ネットワーク
18 GPS衛星
20 健診情報
22 健診スケジュールデータ
24 注意事項データ
30 メモリ
32 中央制御部
34 装着者情報
36 健康診断支援プログラム
38 健診情報検出部
40 行動検出部
42 不適格事項検出部
44 健診不適格報知部
50 検出基準報知部
60 健診日時変更部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9