(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024047811
(43)【公開日】2024-04-08
(54)【発明の名称】包装容器の製造方法および製造装置
(51)【国際特許分類】
B31B 70/84 20170101AFI20240401BHJP
B29C 65/02 20060101ALI20240401BHJP
B29C 65/40 20060101ALI20240401BHJP
B31B 155/00 20170101ALN20240401BHJP
B31B 160/20 20170101ALN20240401BHJP
【FI】
B31B70/84
B29C65/02
B29C65/40
B31B155:00
B31B160:20
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022153509
(22)【出願日】2022-09-27
(71)【出願人】
【識別番号】000224101
【氏名又は名称】藤森工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100155066
【弁理士】
【氏名又は名称】貞廣 知行
(72)【発明者】
【氏名】桑原 弘嗣
【テーマコード(参考)】
3E075
4F211
【Fターム(参考)】
3E075AA05
3E075AA09
3E075BA46
3E075CA02
3E075DB13
3E075DB14
3E075DD12
3E075DD42
3E075DD44
3E075DE03
3E075GA05
4F211AA03
4F211AA05
4F211AA07
4F211AA08
4F211AA24
4F211AA29
4F211AD03
4F211AD06
4F211AG01
4F211AH54
4F211TA01
4F211TA04
4F211TC03
(57)【要約】
【課題】包装袋にスパウトを接着するときの生産性を向上することが可能な包装容器の製造方法および製造装置を提供する。
【解決手段】包装フィルム23から形成された包装袋20と、スパウト10とを有する包装容器の製造方法であって、包装フィルム23または包装袋20と、スパウト10とが重なり合う領域のうち少なくとも一方に溶融樹脂30を積層する工程と、溶融樹脂30を介して包装フィルム23または包装袋20にスパウト10を接着する工程と、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
包装フィルムから形成された包装袋と、スパウトとを有する包装容器の製造方法であって、
前記包装フィルムまたは前記包装袋と、前記スパウトとが重なり合う領域のうち少なくとも一方に溶融樹脂を積層する工程と、
前記溶融樹脂を介して前記包装フィルムまたは前記包装袋に前記スパウトを接着する工程と、
を有することを特徴とする包装容器の製造方法。
【請求項2】
前記包装フィルムは、シーラントを有する積層体から形成され、前記スパウトは、前記シーラントより高融点の樹脂から形成され、前記溶融樹脂は、前記スパウトより低融点の樹脂から形成されていることを特徴とする請求項1に記載の包装容器の製造方法。
【請求項3】
前記シーラントはポリエチレン系樹脂から形成され、前記スパウトはポリエチレン系樹脂またはポリプロピレン系樹脂から形成され、前記溶融樹脂はポリエチレン系樹脂から形成されていることを特徴とする請求項2に記載の包装容器の製造方法。
【請求項4】
前記包装フィルムが、複数の樹脂フィルムを含む積層体から形成され、前記積層体に含まれる樹脂フィルムが、ポリプロピレン系樹脂またはポリエチレン系樹脂のみからなることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の包装容器の製造方法。
【請求項5】
前記包装フィルムのうち、前記スパウトと重なり合う領域に前記溶融樹脂を積層する工程の後に、
前記溶融樹脂を介して前記包装フィルムに前記スパウトを接着する工程と、
前記包装フィルムを用いて前記包装袋を形成する工程と、
を有することを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の包装容器の製造方法。
【請求項6】
前記スパウトのうち、前記包装フィルムと重なり合う領域に前記溶融樹脂を積層する工程の後に、
前記溶融樹脂を介して前記包装フィルムに前記スパウトを接着する工程と、
前記包装フィルムを用いて前記包装袋を形成する工程と、
を有することを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の包装容器の製造方法。
【請求項7】
前記包装フィルムを用いて前記包装袋を形成する工程の後に、
前記包装袋のうち、前記スパウトと重なり合う領域に前記溶融樹脂を積層する工程と、
前記溶融樹脂を介して前記包装袋に前記スパウトを接着する工程と、
を有することを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の包装容器の製造方法。
【請求項8】
前記包装フィルムを用いて前記包装袋を形成する工程の後に、
前記スパウトのうち、前記包装袋と重なり合う領域に前記溶融樹脂を積層する工程と、
前記溶融樹脂を介して前記包装袋に前記スパウトを接着する工程と、
を有することを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の包装容器の製造方法。
【請求項9】
包装フィルムから形成された包装袋と、スパウトとを有する包装容器の製造装置であって、
前記包装フィルムまたは前記包装袋と、前記スパウトとが重なり合う領域のうち少なくとも一方に溶融樹脂を積層するノズルと、
前記溶融樹脂を介して前記包装フィルムまたは前記包装袋に前記スパウトを接着する金型と、
を有することを特徴とする包装容器の製造装置。
【請求項10】
前記包装フィルムを用いて前記包装袋を形成する製袋機を備え、前記ノズルおよび前記金型が前記製袋機のオンラインに設けられていることを特徴とする請求項9に記載の包装容器の製造装置。
【請求項11】
前記製袋機は、前記包装フィルムを溶着して包装袋を形成するシール手段を有することを特徴とする請求項10に記載の包装容器の製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装容器の製造方法および製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の包装袋として、二つ折りにされた底部材が一対の胴部材の間に配置された自立性を有するスタンディングパウチが使用されている。特許文献1の段落0010には、ポリエチレン(PE)等のシーラントを最内層とし、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ナイロン(Ny)、ポリプロピレン(PP)等の延伸フィルムを基材としたラミネートフィルムを用いることが記載されている。
【0003】
また、特許文献1の段落0011には、スパウトは少なくとも表面に前記シーラントと溶着可能な熱可塑性樹脂層を有することや、スパウトの材質にポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ナイロン(Ny)等を使用できることが記載されている。
【0004】
また、特許文献2の段落0083~0087には、流路を有する筒状の第1成形体の外周面に、第2成形体が形成されるように、二色成形の注出口を成形することが記載されている。また、第2成形体がポリエチレン系樹脂などのポリオレフィン樹脂から形成されると、注出口を包装袋と接合しやすくなり、取扱性や耐久性にも優れることが示唆されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006-7630号公報
【特許文献2】特開2018-188189号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の包装袋に使用される複合フィルムは、内面に熱接着性樹脂(シーラント)層、外面には、シーラントよりも耐熱性の高い基材が積層されている。複合フィルムを熱接着する際には、シーラントを溶融させて複合フィルムの内面が接合される。しかし、異種の樹脂を含む包装袋は、プラスチック製容器包装としてのリサイクルが難しいという問題がある。
【0007】
近年、リサイクルを容易にするため、単一または同種の樹脂を用いるモノマテリアルの容器包装が提唱されている。例えば、二軸延伸ポリプロピレン(BO-PP)を基材とすることは、特許文献1にも記載されている。しかし、モノマテリアルの包装袋において、スパウトを接着するには、生産性が低下するおそれがある。
【0008】
従来技術に示唆されているように、シーラントと溶着可能な熱可塑性樹脂層をスパウトの表面に積層するため、二色成形を用いることも考えられる。しかし、スパウトの成形にコストがかかり、生産性が低いという問題がある。
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、包装袋にスパウトを接着するときの生産性を向上することが可能な包装容器の製造方法および製造装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、下記の態様を含む。
本発明の第1の態様は、包装フィルムから形成された包装袋と、スパウトとを有する包装容器の製造方法であって、前記包装フィルムまたは前記包装袋と、前記スパウトとが重なり合う領域のうち少なくとも一方に溶融樹脂を積層する工程と、前記溶融樹脂を介して前記包装フィルムまたは前記包装袋に前記スパウトを接着する工程と、を有することを特徴とする包装容器の製造方法である。
【0011】
本発明の第2の態様は、前記包装フィルムは、シーラントを有する積層体から形成され、前記スパウトは、前記シーラントより高融点の樹脂から形成され、前記溶融樹脂は、前記スパウトより低融点の樹脂から形成されていることを特徴とする第1の態様の包装容器の製造方法である。
本発明の第3の態様は、前記シーラントはポリエチレン系樹脂から形成され、前記スパウトはポリエチレン系樹脂またはポリプロピレン系樹脂から形成され、前記溶融樹脂はポリエチレン系樹脂から形成されていることを特徴とする第2の態様の包装容器の製造方法である。
本発明の第4の態様は、前記包装フィルムが、複数の樹脂フィルムを含む積層体から形成され、前記積層体に含まれる樹脂フィルムが、ポリプロピレン系樹脂またはポリエチレン系樹脂のみからなることを特徴とする第1~3のいずれか1の態様の包装容器の製造方法である。
【0012】
本発明の第5の態様は、前記包装フィルムのうち、前記スパウトと重なり合う領域に前記溶融樹脂を積層する工程の後に、前記溶融樹脂を介して前記包装フィルムに前記スパウトを接着する工程と、前記包装フィルムを用いて前記包装袋を形成する工程と、を有することを特徴とする第1~4のいずれか1の態様の包装容器の製造方法である。
本発明の第6の態様は、前記スパウトのうち、前記包装フィルムと重なり合う領域に前記溶融樹脂を積層する工程の後に、前記溶融樹脂を介して前記包装フィルムに前記スパウトを接着する工程と、前記包装フィルムを用いて前記包装袋を形成する工程と、を有することを特徴とする第1~4のいずれか1の態様の包装容器の製造方法である。
【0013】
本発明の第7の態様は、前記包装フィルムを用いて前記包装袋を形成する工程の後に、前記包装袋のうち、前記スパウトと重なり合う領域に前記溶融樹脂を積層する工程と、前記溶融樹脂を介して前記包装袋に前記スパウトを接着する工程と、を有することを特徴とする第1~4のいずれか1の態様の包装容器の製造方法である。
本発明の第8の態様は、前記包装フィルムを用いて前記包装袋を形成する工程の後に、前記スパウトのうち、前記包装袋と重なり合う領域に前記溶融樹脂を積層する工程と、前記溶融樹脂を介して前記包装袋に前記スパウトを接着する工程と、を有することを特徴とする第1~4のいずれか1の態様の包装容器の製造方法である。
【0014】
本発明の第9の態様は、包装フィルムから形成された包装袋と、スパウトとを有する包装容器の製造装置であって、前記包装フィルムまたは前記包装袋と、前記スパウトとが重なり合う領域のうち少なくとも一方に溶融樹脂を積層するノズルと、前記溶融樹脂を介して前記包装フィルムまたは前記包装袋に前記スパウトを接着する金型と、を有することを特徴とする包装容器の製造装置である。
【0015】
本発明の第10の態様は、前記包装フィルムを用いて前記包装袋を形成する製袋機を備え、前記ノズルおよび前記金型が前記製袋機のオンラインに設けられていることを特徴とする第9の態様の包装容器の製造装置である。
本発明の第11の態様は、前記製袋機は、前記包装フィルムを溶着して包装袋を形成するシール手段を有することを特徴とする第10の態様の包装容器の製造装置である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、包装袋にスパウトを接着するときの生産性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】実施形態によるスパウトと包装袋との接着部を例示する断面図である。
【
図3】溶融樹脂を有する包装フィルムにスパウトを接着する工程の説明図である。
【
図4】包装フィルムに溶融樹脂を積層する工程の説明図である。
【
図5】溶融樹脂を有するスパウトを包装フィルムに接着する工程の説明図である。
【
図6】包装フィルムにスパウトを接着する工程の説明図である。
【
図10】溶融樹脂を有する包装袋にスパウトを接着する工程の説明図である。
【
図11】溶融樹脂を有するスパウトを包装袋に接着する工程の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、好適な実施形態に基づいて、本発明を説明する。
【0019】
<スパウト10と包装袋20との接着部>
図1に、実施形態によるスパウト10と包装袋20との接着部を例示する。
図2は、
図1のII-II線に沿う断面図である。スパウト10と包装袋20とが重なり合う領域に配置されている溶融樹脂30を介して、スパウト10と包装袋20とが接着されている。図示例の接着部は、スパウト10と包装袋20とを有する包装容器に用いられる。
【0020】
図示例のスパウト10は、先端に注出口14を有する筒部11と、包装袋20と重なり合う領域を有する基部12とを有する。筒部11は、基部12から突出している。スパウト10の内部には、包装袋20に収容される内容物(図示せず)を注出可能な流路13が形成されている。流路13は、包装袋20の内部を注出口14と連通させている。
【0021】
包装袋20の内容物は、特に限定されないが、液体、粉体、粒体等の流動性を有することが好ましい。内容物が液体を含む場合は、溶液、分散液、乳濁液、懸濁液などの混合物であってもよい。
【0022】
筒部11の形状は特に限定されないが、例えば円筒状、楕円筒状、角筒状などであってもよい。基部12は筒部11より大きい断面形状を有してもよく、基部12が筒部11と同一の断面形状を有してもよい。基部12の断面形状は特に限定されないが、流路13の長さ方向に直交する面上において、例えば円形状、楕円形状、舟形状などが挙げられる。ここで、舟形状は、例えば
図2に示すように、長軸2方向が略三角形状に突出し、短軸2方向は略円弧状に湾曲した形状である。
【0023】
スパウト10の内部に形成される流路13の断面形状は、特に限定されないが、長さ方向と直交する面上において、例えば円形状、楕円形状、多角形状等が挙げられる。流路13の内面は、筒部11の外面と同心状であってもよい。流路13の長さ方向の形状は、特に限定されないが、直線状、曲線状、湾曲状、屈曲状などであってもよい。特に図示しないが、同一の流路13から分岐して2以上の注出口14が開口してもよい。
【0024】
包装袋20は、シーラント21を有する包装フィルム23から形成してもよい。複数の包装フィルム23を重ね合わせて包装袋20を形成するときに、シーラント21同士を対向して接着することができる。シーラント21は、溶着可能な樹脂から形成されることが好ましい。溶着可能な樹脂としては、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂などのポリオレフィン系樹脂が挙げられ、例えば、ポリエチレン系樹脂が好ましい。
【0025】
シーラント21を形成する材料の具体例としては、例えば、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)等が挙げられる。シーラント21を形成する材料が、1種のポリエチレン系樹脂でもよく、2種以上のポリエチレン系樹脂のブレンドでもよい。シーラント21の厚さは、特に限定されないが、例えば、60~180μm程度が挙げられる。
【0026】
包装フィルム23は、シーラント21とは異なるフィルムとして、少なくとも1層の基材22を有してもよい。基材22の材質は特に限定されず、樹脂、紙、セロファン、金属箔等が挙げられる。基材22の樹脂としては、特に限定されないが、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂などのポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリエステル系樹脂、ナイロンなどのポリアミド樹脂等が挙げられる。基材22は、シーラント21を溶着する温度条件で溶融しない、耐熱性を有することが好ましい。
【0027】
基材22をポリオレフィン系樹脂から形成する場合の材料の具体例としては、例えば、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレン(PP)等が挙げられる。基材22は、延伸樹脂フィルムを含んでもよい。基材22の厚さは、特に限定されないが、例えば、各層厚または総厚として、10~50μm程度が挙げられる。
【0028】
包装フィルム23は、例えば、単層の樹脂フィルム等でもよいが、シーラント21を有する積層体でもよく、シーラント21や基材22など、複数の樹脂フィルムを含む積層体でもよい。モノマテリアルの包装袋20を形成するには、包装フィルム23に含まれる樹脂フィルムが、ポリオレフィン系樹脂のみであることが好ましく、ポリプロピレン系樹脂またはポリエチレン系樹脂のみであることがより好ましい。
【0029】
包装フィルム23を形成する複数の樹脂フィルムは、ドライラミネート等により、接着層を介して積層してもよく、共押出、熱ラミネート等により、接着層を省略しながら積層してもよい。各樹脂フィルムの少なくとも片面には、印刷層、蒸着層等を形成してもよい。
【0030】
スパウト10は、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂などのポリオレフィン系樹脂から形成されることが好ましい。スパウト10の形成方法は特に限定されないが、射出成形、押出成形などが挙げられる。二色成形でスパウト10を形成することも可能であるが、コスト面では単一の樹脂を用いてスパウト10を形成することが好ましい。
【0031】
スパウト10をシーラント21より低融点の樹脂から形成すると、包装フィルム23をスパウト10に溶着する際にスパウト10の表面が柔らかくなって、スパウト10の機能を損なうおそれがある。このため、スパウト10は、シーラント21より高融点の樹脂から形成されることが好ましい。例えば、スパウト10が高密度ポリエチレン(HDPE)や中密度ポリエチレン(MDPE)などのポリエチレン系樹脂やポリプロピレン系樹脂の成形体であってもよい。
【0032】
溶融樹脂30は、生産性の観点から、スパウト10と包装袋20との接着を短時間で完了させる材料を用いることが好ましく、例えばシーラント樹脂、低融点樹脂等が挙げられる。溶融樹脂30の厚さは、特に限定されないが、例えば、1~100μm程度が挙げられる。
【0033】
溶融樹脂30の具体例としては、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂などのポリオレフィン系樹脂が挙げられる。溶融樹脂30は、スパウト10より低融点の樹脂から形成されることが好ましく、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)や直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)などのポリエチレン系樹脂が好ましい。
【0034】
溶融樹脂30に用いられる樹脂と、シーラント21に用いられる樹脂との融点差が小さいことが好ましい。例えば、±20℃以下が好ましく、±10℃以下がより好ましい。親和性の観点からは、溶融樹脂30とシーラント21との両方にポリエチレン系樹脂を用いることが好ましい。
【0035】
スパウト10を包装袋20に溶着させる場合は、溶融または軟化した樹脂が冷却して固化することで、接着が安定化するため、比較的短時間で接着を完了させることができる。スパウト10を溶着した箇所に冷却用の金型等を接触させて、余剰の熱を吸収させてもよい。
【0036】
溶融樹脂30は、加熱溶融で接着させるホットメルト接着剤でもよい。溶融樹脂30は、液状化した溶融樹脂の状態で、スパウト10と包装袋20との間の接着箇所に供給して、形成される溶融樹脂フィルムであってもよい。
【0037】
<溶融樹脂を介して包装フィルムとスパウトとを接着する工程>
図3には、包装袋20を形成する前に予め、スパウト10と重なり合う領域に、溶融樹脂30が積層されている包装フィルム23を用いて、スパウト10を接着する工程の一例を示す。溶融樹脂30は、包装フィルム23のシーラント21上に積層される。例えば、液状の溶融樹脂30を包装フィルム23の片面で所定の領域に塗布して、溶融樹脂フィルムを形成することも可能である。
【0038】
包装フィルム23に溶融樹脂30を積層する工程においては、
図4に示すように、ノズル33から溶融樹脂30を吐出して、包装フィルム23のうち、スパウト10と重なり合う領域に溶融樹脂30を積層してもよい。包装フィルム23に溶融樹脂30を積層する工程は、溶融樹脂30を介して包装フィルム23にスパウト10を接着する工程の直前に実施することが好ましい。ここで「直前」とは、溶融樹脂30が高温のままでスパウト10と接着される範囲内の時間差を意味する。
【0039】
溶融樹脂30を有する包装フィルム23を用いて包装袋20を形成する工程においては、予め溶融樹脂30が積層されている包装フィルム23を2枚重ね合わせて、その間にスパウト10の基部12を配置してもよい。溶融樹脂30の位置をスパウト10の基部12に合わせて接着し、それ以外の箇所では、包装フィルム23のシーラント21同士を向かい合わせて接着することにより、
図1および
図2に示す包装袋20を製造することができる。
【0040】
図5には、包装袋20を形成する前に予め、包装フィルム23と重なり合う領域に、溶融樹脂30が積層されているスパウト10を用いて、スパウト10を接着する工程の一例を示す。スパウト10のうち、包装フィルム23と重なり合う領域に溶融樹脂30が積層される。
【0041】
図示例では、スパウト10の基部12の上に溶融樹脂30が積層されている。スパウト10の筒部11は、包装袋20と重なり合う領域ではないため、筒部11上に溶融樹脂30を積層する必要はない。特に図示しないが、筒部11の外周面の少なくとも一部に溶融樹脂30が積層されても構わない。
【0042】
筒部11と基部12との間に段差があり、基部12の外周面のみが包装袋20と重なり合う場合は、基部12の外周面のみに溶融樹脂30を積層してもよい。例えば
図2に示すように、基部12の断面形状が舟形状の場合は、短軸2方向の両側で湾曲面に溶融樹脂30を積層することが好ましい。長軸の両端部では溶融樹脂30を省略してもよい。
【0043】
スパウト10に溶融樹脂30を積層する方法および装置は特に限定されないが、例えば
図4に示すノズル33を、包装フィルム23に向ける代わりに、スパウト10に向けて溶融樹脂30を吐出すればよい。スパウト10に溶融樹脂30を積層する工程は、溶融樹脂30を介して包装フィルム23にスパウト10を接着する工程の直前に実施することが好ましい。ここで「直前」とは、溶融樹脂30が高温のままでスパウト10と接着される範囲内の時間差を意味する。
【0044】
包装フィルム23を用いて包装袋20を形成する工程においては、予め溶融樹脂30が積層されているスパウト10を、包装フィルム23を2枚重ね合わせた間に配置してもよい。溶融樹脂30を介してスパウト10を包装フィルム23に接着し、それ以外の箇所では、包装フィルム23のシーラント21同士を向かい合わせて接着することにより、
図1および
図2に示す包装袋20を製造することができる。
【0045】
特に図示しないが、スパウト10側と包装フィルム23側との双方に溶融樹脂30を積層して重ね合わせてもよい。具体的には、スパウト10の少なくとも基部12に溶融樹脂30を積層するとともに、包装フィルム23の少なくとも基部12と重なり合う領域にも溶融樹脂30を形成することができる。
【0046】
溶融樹脂30を有する包装フィルム23をスパウト10に貼り合わせる場合や、溶融樹脂30をスパウト10に積層する場合には、融点の高いスパウト10の基部12側を加熱溶融させてもよい。溶融樹脂30と、スパウト10の基部12とを接触させる前に、溶融樹脂30と、スパウト10の基部12との温度差を小さくしてもよい。
【0047】
スパウト10または包装フィルム23に溶融樹脂30を積層する塗布パターンは、所定の領域で全域に塗布部が連続するベタ状でもよく、縞状、波線状、点状等の部分的なパターンでもよい。部分的なパターンで溶融樹脂30を塗布する場合は、複数の形状や間隔などが規則的でもよく、溶融樹脂30が不規則に分布してもよい。
【0048】
包装フィルム23にスパウト10を接着する工程においては、
図6に示すように、スパウト10の基部12の形状に合わせた凹部41を有する金型40を用い、包装フィルム23の間にスパウト10の基部12を挟み込んで加熱してもよい。溶融樹脂30がスパウト10と包装フィルム23との間に介在していることにより、スパウト10を包装フィルム23に溶着するときの生産性を向上することができる。
【0049】
包装フィルム23の間にスパウト10を挟み込んで加熱するとき、スパウト10または包装フィルム23に塗布した溶融樹脂30が流動してもよい。例えば部分的なパターンで塗布した溶融樹脂30の分布が広がって、スパウト10と包装フィルム23とが重なり合う領域の全体にわたってもよい。また、溶融樹脂30の厚さが、スパウト10または包装フィルム23に塗布した段階で略均等であってもよく、金型40に挟まれている間に溶融樹脂30の厚さが均等化されてもよい。
【0050】
<包装袋の具体例>
包装袋20の具体例としては、特に限定されないが、三方シール袋、四方シール袋、ピロー袋、平袋、ガセット袋、スタンディングパウチ等が挙げられる。
図7~8に、スタンディングパウチの包装袋20を用いた包装容器31,32の具体例を示す。包装容器31,32に使用される包装袋20は、胴部材24が一対の包装フィルム23からなり、その間に底部材26を挟み込んで形成されている。
【0051】
底部材26は、2つ折りにして胴部材24の下部に配置されている。底部材26より上側では、左右に側シール部25が形成されて、前後の胴部材24が互いに接合されている。底部材26と胴部材24は底シール部27により接合されている。2つ折りにした底部材26の片側は前側の胴部材24と接合され、底部材26のもう片側は後側の胴部材24と接合されている。底部材26を広げると、包装袋20を自立させることができる。
【0052】
胴部材24の上部には、上シール部28が形成されている。上シール部28の一部分では溶融樹脂30を介してスパウト10が接着されており、スパウト10以外の箇所では上シール部28を介して前後の胴部材24が接合されている。
【0053】
図7に示すように、第1例の包装容器31の場合は、左右の側シール部25の間を接続した上シール部28の中央部にスパウト10が上向きに接着され、包装袋20の内部が密閉されている。スパウト10を通して内容物を包装袋20に充填してから、キャップ等の蓋(図示せず)を用いてスパウト10を閉鎖することにより、包装袋20を密封することができる。
【0054】
図8に示すように、第2例の包装容器32の場合は、左右の側シール部25のうち一方に接して胴部材24の上部に未シール部からなる開口部29が形成されている。上シール部28の一部は斜めに形成され、スパウト10が斜めに接着されている。開口部29を有する包装袋20の場合、スパウト10を開封することなく、開口部29から内容物を包装袋20に充填することができる。また、内容物を充填した後の包装袋20は、開口部29の未シール部を接合することにより、包装袋20を密封することができる。
【0055】
包装袋20の寸法は、特に限定されるものではないが、例えば詰め替え容器の用途では、上下方向の高さが100~500mm程度、左右方向の幅が70~300mm程度、充填量としては100cm3~5000cm3程度が挙げられる。内容物の状態としては、液体、粉体、粒体等の流体、あるいは物品等の固形物が挙げられる。内容物の種類としては、特に限定されないが、洗剤、薬剤、化粧品、医薬品、飲料、調味料、インキ、塗料、燃料等が挙げられる。
【0056】
<製袋機の具体例>
包装袋20を製造する製袋機の一例を
図9に示す。この製袋機50は、胴部材24となる包装フィルム23が巻回された原反リール51と、底部材26が巻回されたリール52と、包装フィルム23および底部材26を搬送する搬送ローラ53(搬送手段)とを有する。原反リール51に巻回された包装フィルム23は、図示しないカッターにより、その長手方向に沿って帯状をなす同一幅の2枚の包装フィルム23に切断され、シーラント21を有する内面同士が対向するように配置される。
【0057】
包装フィルム23の間に底部材26が挿入された後、搬送ローラ53により、包装フィルム23および底部材26は、長手方向に沿って、
図9の左側に搬送される。図示例の製袋機50では、搬送手段として搬送ローラを用いたが、これに代えて、フィルムの幅方向に複数の挟持部材を配置した挟持バーを上下に対で配置し、これらの挟持バーでフィルムを挟持して下流方向にフィルムを移動させる搬送手段も採用が可能である。
【0058】
包装フィルム23の間には、溶融樹脂30およびスパウト10が供給される。そのため、製袋機50は、包装フィルム23のスパウト10が接着される領域に、溶融樹脂30を供給する溶融樹脂供給手段54と、包装フィルム23の間にスパウト10を供給するスパウト供給手段55とを備える。溶融樹脂供給手段54およびスパウト供給手段55の位置では、上下の包装フィルム23の間を離しておくことができる。
【0059】
溶融樹脂供給手段54において、溶融樹脂30を吐出するノズル33が、製袋機50のオンラインに設置されている。図示例の製袋機50は、
図3に示すように、溶融樹脂30を有する包装フィルム23にスパウト10を接着する場合の配置を示す。
図5に示すように、溶融樹脂30を有するスパウト10を包装フィルム23に接着する場合は、スパウト供給手段55に対する溶融樹脂供給手段54の配置を変更してもよい。
【0060】
製袋機50上でスパウト10に溶融樹脂30を塗布するには、スパウト供給手段55から供給される途中のスパウト10に対して、溶融樹脂供給手段54から溶融樹脂30を供給してもよい。スパウト10が包装フィルム23の間に挿入された後で溶融樹脂30を塗布することも可能である。
【0061】
スパウト供給手段55から供給されたスパウト10に溶融樹脂30を塗布する工程は、スパウト10が包装フィルム23の間に挿入される前に実施してもよい。特に図示しないが、スパウト10に溶融樹脂30を塗布した後で、スパウト供給手段55とは別に、スパウト10を包装フィルム23の間に挿入するスパウト挿入手段(図示せず)を設置してもよい。
【0062】
治具等(図示せず)を用いて、溶融樹脂30を有するスパウト10を支持するには、溶融樹脂30が積層されていない領域でスパウト10を保持してもよい。例えば、基部12に溶融樹脂30を有するスパウト10を移動させるとき、溶融樹脂30を有しない筒部11を保持することで、スパウト10の姿勢を維持してもよい。
【0063】
特に図示しないが、製袋機50上でスパウト10および包装フィルム23の双方に溶融樹脂30を塗布することも可能である。この場合、スパウト10に対する溶融樹脂供給手段54と、包装フィルム23に対する溶融樹脂供給手段54とが、別々に設置されてもよい。スパウト10に対するノズル33と、包装フィルム23に対するノズル33を別々にしながら、各ノズル33に溶融樹脂30を供給する溶融樹脂供給手段54を共通化することも可能である。
【0064】
上下の包装フィルム23にシール部が形成されていない状態では、上下の包装フィルム23の間隔を容易に調整することができる。このため、包装フィルム23とスパウト10とが重なり合う領域のうち少なくとも一方に溶融樹脂30を積層した後、溶融樹脂30を介して包装フィルム23にスパウト10を接着する際に、溶融樹脂30およびスパウト10の供給が容易になる。
【0065】
さらに、製袋機50は、スパウト10を包装フィルム23に接着するスパウト接着手段56と、包装フィルム23を溶着して包装袋20を形成するシール手段(図示例では底シール手段57および胴シール手段58)と、溶着により形成された包装袋20を、搬送方向に直交する幅方向に切断するギロチンカッター59とを備えている。
【0066】
スパウト接着手段56においてスパウト10を接着する金型40が、製袋機50のオンラインに設置されている。金型40は、スパウト10の接着と同時に、平板部42を用いてスパウト10の範囲外の胴部材24をシールすることで、上シール部28の少なくとも一部を形成してもよい。スパウト接着手段56は、スパウト10および包装フィルム23を挟み込んで加熱する加熱金型に加えて、加熱により溶着されたスパウト10および包装フィルム23を挟み込んで冷却する冷却金型を備えてもよい。
【0067】
底シール手段57は、包装フィルム23を底部材26とシールして底シール部27を形成する。胴シール手段58は、包装フィルム23同士をその搬送方向に直交する幅方向にシールして側シール部25を形成する。胴シール手段58は、上シール部28の少なくとも一部を形成してもよい。これらのシール手段57,58は、包装フィルム23を挟み込んで加熱する加熱金型に加えて、加熱により溶着された包装フィルム23を挟み込んで冷却する冷却金型を備えてもよい。
【0068】
スパウト接着手段56およびシール手段57,58において、スパウト10および/または包装袋20のシールに必要な金型を設置する個数、すなわちシール工程を行う回数は、適宜設定することができる。スパウト10のシール回数を上シール部28のシール回数より多くしてもよい。スパウト接着手段56は、スパウト10をシールする凹部41と上シール部28をシールする平板部42を備える金型40に加えて、平板部42を備えずに凹部41だけでスパウト10をシールする金型を併用してもよい。
【0069】
図示例の製袋機50は、スパウト10または包装フィルム23に溶融樹脂30を塗布するノズル33と、スパウト10を包装フィルム23に接着する金型40とを、オンラインに備えている。これにより、溶融樹脂30を介したスパウト10の接着を容易に実施することができる。
【0070】
包装フィルム23および底部材26を製袋機50に供給する工程は、従来と同様に実施することができる。また、包装フィルム23にスパウト10を接着した後の工程も、従来と同様に実施することができる。溶融樹脂30を介して包装フィルム23にスパウト10を接着する工程は、製袋機50に溶融樹脂供給手段54を追加するともに、必要に応じて、スパウト供給手段55の位置や構成等を変更してもよい。
【0071】
溶融樹脂30を包装フィルム23に塗布する場合は、従来と同じスパウト供給手段55を使用することも容易であり、スパウト供給手段55の変更を要する場合も、変更を少なくすることができる。
【0072】
図示例の製袋機50は、底部材26を有する包装袋20を製造する場合を例示しているが、底部材26を有しない包装袋20の製造にも、同様の装置を用いることができる。包装袋20が底部材26を有しない場合は、製袋機50から底部材26が巻回されたリール52を省略することができる。この場合は、原反リール51から供給された包装フィルム23が上下の2枚に切断された後、長手方向に沿って搬送される。
【0073】
底部材26を省略した場合の製袋機50において、底シール手段57は、上下の包装フィルム23をシールすることで、底部材26を含まない底シール部27を胴部材24に形成する。底シール手段57は、包装容器31,32と同様な円弧状の底シール部27を形成する構成に限らず、胴部材24の下端部に沿って、略等しい幅に底シール部27を形成してもよい。
【0074】
<溶融樹脂を介して包装袋とスパウトとを接着する工程>
図10に、溶融樹脂30を有する包装袋20にスパウト10を接着する工程の一例を示す。包装袋20を形成した後に、包装袋20のうち、スパウト10と重なり合う領域に溶融樹脂30を積層することで、溶融樹脂30を介して包装袋20にスパウト10を接着することができる。
【0075】
包装袋20に溶融樹脂30を塗布する工程は、上述したように、溶融樹脂30を吐出するノズル33を用いて行うことができる。図示例の包装袋20の場合は、胴部材24の上部に未シール部からなる開口部29が形成されている。例えば、開口部29の内部にノズル33を挿入すること等により、包装袋20のうち、スパウト10と重なり合う領域に溶融樹脂30を積層することができる。開口部29の未シール部を接合することにより、包装袋20にスパウト10を接着すると同時に、
図7に示す包装容器31と同様に、上シール部28を形成して、包装袋20を密封することができる。
【0076】
図11に、溶融樹脂30を有するスパウト10を包装袋20に接着する工程の一例を示す。包装袋20を形成した後に、スパウト10のうち、包装袋20と重なり合う領域に溶融樹脂30を積層することで、溶融樹脂30を介して包装袋20にスパウト10を接着することができる。
【0077】
スパウト10に溶融樹脂30を塗布する工程は、製袋後か製袋前かを問わず、上述したのと同様に実施することができる。溶融樹脂30を塗布したスパウト10を開口部29に挿入した後、開口部29の未シール部を接合することにより、包装袋20にスパウト10を接着すると同時に、
図7に示す包装容器31と同様に、上シール部28を形成して、包装袋20を密封することができる。
【0078】
特に図示しないが、スパウト10側と包装袋20側との双方に溶融樹脂30を積層して重ね合わせてもよい。具体的には、スパウト10の少なくとも基部12に溶融樹脂30を積層するとともに、包装袋20の少なくとも基部12と重なり合う領域にも溶融樹脂30を形成することができる。
【0079】
包装フィルム23を用いてスパウト10を有しない包装袋20を製造する場合の製袋機50としては、溶融樹脂供給手段54、スパウト供給手段55、スパウト接着手段56を有しない装置を用いることができる。これにより、
図11に示すように、スパウト10を有しない包装袋20が製造される。さらに、包装袋20に溶融樹脂30を塗布することにより、
図10に示すように、溶融樹脂30を有する包装袋20が製造される。
【0080】
図示例の溶融樹脂30を有する包装袋20は、
図7に示す第1例の包装容器31に対応した形状を例示しているが、
図8に示す第2例の包装容器32を製造することも可能である。例えば、胴部材24に左右の側シール部25と底シール部27を有し、上シール部28の位置が未シールになっている状態の包装袋20を形成した後、包装袋20にスパウト10を接着すると同時に、開口部29が未シールのまま、上シール部28を形成することができる。
【0081】
スパウト10または包装袋20に溶融樹脂30を塗布するノズル33と、スパウト10を包装袋20に接着する金型40は、製袋機50のオフラインに備えることができる。これにより、溶融樹脂30を介したスパウト10の接着を、包装袋20の形成とは別にして実施することができる。
【0082】
また、特に図示しないが、包装袋20を形成した後に、溶融樹脂30を用いてスパウト10を接着する場合に、溶融樹脂供給手段54、スパウト供給手段55、スパウト接着手段56を、製袋機50のオンラインに設置することも可能である。
【0083】
例えば、胴シール手段58とギロチンカッター59との間に、溶融樹脂供給手段54、スパウト供給手段55、スパウト接着手段56を設置してもよい。この場合は、製袋機50上の包装フィルム23に底シール部27および胴シール部25を形成した状態において、治具等(図示せず)を用いて包装袋20の開口部29を広げることにより、溶融樹脂30およびスパウト10の供給を容易にしてもよい。
【0084】
<スパウトおよび包装袋の材料>
スパウト10および/または包装袋20に用いられるポリエチレン系樹脂は、エチレンの単独重合体(ホモポリマー)でもよく、エチレンを主体とする共重合体(コポリマー)でもよい。エチレン以外のモノマー(コモノマー)としては、1-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテン等のα-オレフィン、ノルボルネン等の環状オレフィン、酢酸ビニル、塩化ビニル、アクリル酸等のビニル系モノマー等の1種または2種以上が挙げられる。ポリエチレン系樹脂が、酢酸ビニル等のエステル基を有するモノマーを共重合している場合は、エステル基の一部がケン化されて、ビニルアルコールを含む共重合体となっていてもよい。
【0085】
前記ポリエチレン系樹脂の構成モノマーにおけるエチレンの割合は、50重量%以上が好ましく、例えば、80~100重量%でもよい。エチレンまたはコモノマーは、石油等の化石資源に由来する化合物でもよく、植物等のバイオマスに由来する化合物でもよい。ポリエチレン系樹脂層に含まれる樹脂が、ポリエチレン系樹脂のみでもよい。ポリエチレン系樹脂の少なくとも一部が、リサイクルされたポリエチレン系樹脂を含んでもよい。
【0086】
スパウト10および/または包装袋20に用いられるポリプロピレン系樹脂は、プロピレンの単独重合体(ホモPP)でもよく、プロピレン-エチレン共重合体等におけるランダム共重合体(ランダムPP)またはブロック共重合体(ブロックPP)でもよい。プロピレン以外のモノマー(コモノマー)としては、エチレン、1-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテン等のα-オレフィン、酢酸ビニル、塩化ビニル、アクリル酸等のビニル系モノマー等の1種または2種以上が挙げられる。ポリプロピレン系樹脂にコモノマーを用いる場合は、コモノマーが1種でも、2種以上でもよい。
【0087】
前記ポリプロピレン系樹脂の構成モノマーにおけるプロピレンの割合は、50重量%以上が好ましく、例えば、80~100重量%でもよい。プロピレンまたはコモノマーは、石油等の化石資源に由来する化合物でもよく、植物等のバイオマスに由来する化合物でもよい。ポリプロピレン系樹脂層に含まれる樹脂が、ポリプロピレン系樹脂のみでもよい。ポリプロピレン系樹脂の少なくとも一部が、リサイクルされたポリプロピレン系樹脂を含んでもよい。
【0088】
スパウト10および/または包装袋20に用いられるポリオレフィン系樹脂(ポリプロピレン系樹脂またはポリエチレン系樹脂)は、適宜の範囲で他の樹脂および/または添加剤を含有してもよい。添加剤としては、特に限定されないが、例えば、酸化防止剤、滑剤、アンチブロッキング剤、難燃剤、紫外線吸収剤、光安定剤、帯電防止剤、着色剤、架橋剤等が挙げられる。添加剤は、樹脂に相溶する成分でもよく、樹脂に相溶しない成分でもよい。
【0089】
包装袋20がポリオレフィン系樹脂(ポリプロピレン系樹脂またはポリエチレン系樹脂)によるモノマテリアルの容器包装とする場合、包装フィルム23の全重量に対し、ポリオレフィン系樹脂の合計が80重量%以上であり、ポリオレフィン系樹脂以外の材料の合計が20重量%以下であることが好ましく、ポリオレフィン系樹脂の合計が90重量%以上であり、ポリオレフィン系樹脂以外の材料の合計が10重量%以下であることがより好ましい。これにより、包装フィルム23に他の樹脂、添加剤、接着剤等が使用されていても、ポリオレフィン系樹脂のモノマテリアル材料を実現することができる。
【0090】
スパウト10および包装袋20を備える包装容器31,32によるモノマテリアルの容器包装とする場合、スパウト10および包装袋20を合計した包装容器31,32の全重量に対し、ポリオレフィン系樹脂の合計が80重量%以上であり、ポリオレフィン系樹脂以外の材料の合計が20重量%以下であることが好ましく、ポリオレフィン系樹脂の合計が90重量%以上であり、ポリオレフィン系樹脂以外の材料の合計が10重量%以下であることがより好ましい。これにより、スパウト10と包装袋20とを分離しなくても、全体がモノマテリアルの包装容器31,32を実現することができる。
【0091】
以上、本発明を好適な実施形態に基づいて説明してきたが、本発明は上述の実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。改変としては、構成要素の追加、置換、省略、その他の変更が挙げられる。
【符号の説明】
【0092】
10…スパウト、11…筒部、12…基部、13…流路、14…注出口、20…包装袋、21…シーラント、22…基材、23…包装フィルム、24…胴部材、25…側シール部、26…底部材、27…底シール部、28…上シール部、29…開口部、30…溶融樹脂、31,32…包装容器、33…ノズル、40…金型、41…凹部、42…平板部、50…製袋機、51…原反リール、52…リール、53…搬送ローラ、54…溶融樹脂供給手段、55…スパウト供給手段、56…スパウト接着手段、57…底シール手段、58…胴シール手段、59…ギロチンカッター。