(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024048036
(43)【公開日】2024-04-08
(54)【発明の名称】ハーネス固定具
(51)【国際特許分類】
H02G 3/30 20060101AFI20240401BHJP
H02G 3/32 20060101ALI20240401BHJP
H02G 3/04 20060101ALI20240401BHJP
F16B 2/10 20060101ALI20240401BHJP
F16B 7/04 20060101ALI20240401BHJP
F16L 3/12 20060101ALI20240401BHJP
F16L 3/123 20060101ALI20240401BHJP
B60R 16/02 20060101ALI20240401BHJP
【FI】
H02G3/30
H02G3/32
H02G3/04 062
F16B2/10 E
F16B7/04 301G
F16L3/12 G
F16L3/123
B60R16/02 623C
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022153865
(22)【出願日】2022-09-27
(71)【出願人】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】391045897
【氏名又は名称】古河AS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141656
【弁理士】
【氏名又は名称】大田 英司
(74)【代理人】
【識別番号】100182888
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100196357
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 吉章
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】金次 良高
【テーマコード(参考)】
3H023
3J022
3J039
5G357
5G363
【Fターム(参考)】
3H023AA04
3H023AC08
3H023AC35
3H023AD18
3H023AD22
3H023AD54
3H023AE07
3J022DA11
3J022EA33
3J022EA41
3J022EB14
3J022EC14
3J022EC17
3J022EC22
3J022FA05
3J022FB04
3J022FB07
3J022FB12
3J022GA03
3J022GA16
3J022GB23
3J022GB27
3J039AA04
3J039BB01
3J039CA01
5G357DA06
5G357DB03
5G357DC12
5G357DD01
5G357DD02
5G357DD05
5G357DD06
5G357DD10
5G363AA16
5G363BA02
5G363BA07
5G363DA13
5G363DA15
5G363DC02
(57)【要約】
【課題】ワイヤーハーネスの保持本数を変更できるハーネス固定具を提供する。
【解決手段】本実施形態に係るハーネス固定具1は、長手方向(左右方向Y)に交差する交差方向(前後方向X)に並置された複数の外装付ハーネスWHを保持するとともにシャシフレームCf等に固定できるものであって、外装付ハーネスWHを保持する保持部3,6が設けられた複数の固定具本体を有し、固定具本体は、保持部3に加えてシャシフレームCf等に固定できる固定部4が設けられた基本固定具本体2と、保持部6に加えて基本固定具本体2の保持部3あるいは追加固定具本体5の保持部6を保持することによって連結する保持連結部7が設けられた追加固定具本体5とを有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向に交差する交差方向に並置された複数のワイヤーハーネスを保持するとともに固定対象に固定できるハーネス固定具であって、
前記ワイヤーハーネスを保持する保持部が設けられた複数の固定具本体を有し、
前記固定具本体は、前記保持部に加えて固定対象に固定できる固定部が設けられた基本固定具本体と、前記保持部に加えて前記固定具本体の少なくとも一部を保持することによって連結する保持連結部が設けられた追加固定具本体とを有する
ハーネス固定具。
【請求項2】
前記保持連結部は、他の前記固定具本体の前記保持部を収容する収容空間が形成された収容連結部である
請求項1に記載のハーネス固定具。
【請求項3】
前記保持部の外形が断面多角状に形成され、
前記収容連結部の内形が断面多角状に形成され、
前記保持部の外側面と前記収容連結部の内側面とが少なくとも二面以上で接する
請求項2に記載のハーネス固定具。
【請求項4】
前記保持部には、前記長手方向に沿って延設された部分に、前記ワイヤーハーネスに外装される外装部材の外周面に形成された凹部又は凸部の少なくとも一方に嵌合する嵌合部が設けられた
請求項1に記載のハーネス固定具。
【請求項5】
前記収容連結部には、収容された前記保持部よりも前記長手方向に沿って延設された部分に、前記ワイヤーハーネスに外装される前記外装部材の外周面に形成された凹部又は凸部の少なくとも一方に嵌合する嵌合部が設けられた
請求項2に記載のハーネス固定具。
【請求項6】
前記追加固定具本体において、
前記保持部は、前記ワイヤーハーネスを保持する第一受部と当該第一受部の開口部分を閉じる第一蓋部を有し、
前記収容連結部は、他の前記固定具本体の前記保持部を収容する第二受部と当該第二受部の開口部分を閉じる第二蓋部を有し、
前記第一蓋部及び前記第二蓋部が連設されて連設蓋部を構成した
請求項2に記載のハーネス固定具。
【請求項7】
前記第一受部及び前記第二受部の少なくとも一方に対して前記連設蓋部を枢動自在に支持する支持部が設けられた
請求項6に記載のハーネス固定具。
【請求項8】
前記第一受部及び前記第二受部の少なくとも一方に対して前記連設蓋部を閉じた状態で係止する係止部が設けられた
請求項6に記載のハーネス固定具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ワイヤーハーネスを保持するとともに固定対象に固定できるハーネス固定具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ワイヤーハーネスを保持するとともに固定対象に固定できるハーネス固定具が公知である(特許文献1参照)。かかるハーネス固定具には、ワイヤーハーネスを保持する保持部と固定対象に固定できる固定部が設けられている。
【0003】
ところで、自動車等においては、仕様の差異によってワイヤーハーネスの本数が異なる。そのため、ワイヤーハーネスの本数に応じてハーネス固定具を変更することが考えられる。しかし、予め複数のハーネス固定具を用意しておくことは、部品点数の増加につながり、かつ管理が複雑になる。
【0004】
そこで、ワイヤーハーネスの本数が多い仕様に合わせてハーネス固定具を設定しておき、ワイヤーハーネスの本数に関わらず、同じハーネス固定具を利用することが考えられる。しかし、ワイヤーハーネスの本数が多い仕様に合わせて設定されたハーネス固定具は、ワイヤーハーネスの本数が少ない仕様において無駄であり、さらには配索作業等の邪魔になるという問題もあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本願発明は、ワイヤーハーネスの保持本数を変更できるハーネス固定具を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願発明は、長手方向に交差する交差方向に並置された複数のワイヤーハーネスを保持するとともに固定対象に固定できるハーネス固定具であって、前記ワイヤーハーネスを保持する保持部が設けられた複数の固定具本体を有し、前記固定具本体は、前記保持部に加えて前記固定対象に固定できる固定部が設けられた基本固定具本体と、前記保持部に加えて他の前記固定具本体の少なくとも一部を保持することによって連結する保持連結部が設けられた追加固定具本体とを有することを特徴としている。
【0008】
この発明によれば、ワイヤーハーネスの保持本数を変更できる。
詳述すると、本願発明に係るハーネス固定具は、長手方向に交差する交差方向に並置された複数のワイヤーハーネスを保持するとともに固定対象に固定できるものであり、ワイヤーハーネスを保持する保持部が設けられた複数の固定具本体を有している。固定具本体は、保持部に加えて固定対象に固定できる固定部が設けられた基本固定具本体と、保持部に加えて固定具本体の少なくとも一部を保持することによって連結する保持連結部が設けられた追加固定具本体とを有する。
このような構成によれば、基本固定具本体に対して追加固定具本体を連結することができる。また、基本固定具本体に連結された追加固定具本体に対して別途の追加固定具本体を連結することもできる。そのため、基本固定具本体に追加固定具本体を連結した状態においては、二本のワイヤーハーネスを保持することができる。また、基本固定具本体に連結された追加固定具本体に別途の追加固定具本体を連結した状態においては、三本のワイヤーハーネスを保持することができる。このように、基本固定具本体に加えてワイヤーハーネスの本数から1を引いた数の追加固定具本体を用意し、これらを連結することで、全てのワイヤーハーネスを保持することができる。したがって、本願発明に係るハーネス固定具は、ワイヤーハーネスの保持本数を変更できる。
【0009】
この発明の態様として、前記保持連結部は、他の前記固定具本体の前記保持部を収容する収容空間が形成された収容連結部であってもよい。
なお、本発明における保持部を収容するとは、保持部の全部を収容することに限定しない。すなわち、保持部の全部あるいは一部を収容すればよいものとする。
【0010】
この発明により、固定具本体の保持部を追加固定具本体の収容連結部が収容することによって連結されるため、各固定具本体から突出した連結部分を介して連結されるハーネス固定具に比べ、ハーネス固定具の小型化を実現できる。
【0011】
またこの発明の態様として、前記保持部の外形が断面多角状に形成され、前記収容連結部の内形が断面多角状に形成され、前記保持部の外側面と前記収容連結部の内側面とが少なくとも二面以上で当接してもよい。
なお、本発明における当接とは、面同士が接触する、いわゆる面接触だけでなく、面に対して線で接触する線接触や点で接触する点接触であってもよいものとする。
【0012】
この発明により、保持部の外側面と収容連結部の内側面とが少なくとも二面以上で当接するため、かかる連結部分を中心として追加固定具本体が回転しない。そのため、追加固定具本体の重量やワイヤーハーネスの重量によってハーネス固定具が撓んでしまうことを防止できる。
【0013】
またこの発明の態様として、前記保持部には、前記長手方向に沿って延設された部分に、前記ワイヤーハーネスに外装される外装部材の外周面に形成された凹部又は凸部の少なくとも一方に嵌合する嵌合部が設けられてもよい。
【0014】
この発明により、保持部に設けられた嵌合部がワイヤーハーネスに外装された外装部材の凹部又は凸部に嵌合されるため、ワイヤーハーネスが長手方向に押されたり引っ張られたりしても、ワイヤーハーネスの長手方向における保持位置がズレてしまうことを防止できる。
【0015】
またこの発明の態様として、前記収容連結部には、収容された前記保持部よりも前記長手方向に沿って延設された部分に、前記ワイヤーハーネスに外装される外装部材の外周面に形成された凹部又は凸部の少なくとも一方に嵌合する嵌合部が設けられてもよい。
【0016】
この発明により、収容連結部に設けられた嵌合部がワイヤーハーネスに外装された外装部材の凹部又は凸部に嵌合されるため、ワイヤーハーネスが長手方向に押されたり引っ張られたりしても、ワイヤーハーネスの長手方向における保持位置がズレてしまうことを防止できる。
【0017】
またこの発明の態様として、前記追加固定具本体において、前記保持部は、前記ワイヤーハーネスを保持する第一受部と当該第一受部の開口部分を閉じる第一蓋部を有し、前記収容連結部は、他の前記固定具本体の前記保持部を収容する第二受部と当該第二受部の開口部分を閉じる第二蓋部を有し、前記第一蓋部及び前記第二蓋部が連設されて連設蓋部を構成してもよい。
【0018】
この発明により、連設蓋部を操作することで、各受部の開口部分を同時に開くことが可能となる。反対に、各受部の開口部分を同時に閉じることも可能となる。そのため、各受部に対してワイヤーハーネスや他の固定具本体の保持部を嵌め込む作業が容易となる。また、ワイヤーハーネスを嵌め込む方向と他の固定具本体の保持部を嵌め込む方向が同じになるため、これらの嵌め込み作業が容易となる。
【0019】
またこの発明の態様として、前記第一受部及び前記第二受部の少なくとも一方に対して前記連設蓋部を枢動自在に支持する支持部が設けられてもよい。
この発明により、少なくとも一方の受部と連設蓋部がつながったままで連設蓋部を開いたり閉じたりすることができる。そのため、各受部に対してワイヤーハーネスや他の固定具本体の保持部を嵌め込む作業等において、少なくとも一方の受部と連設蓋部が分離してしまうことを防止できる。また、部品点数を減少させることも可能となる。
【0020】
またこの発明の態様として、前記第一受部及び前記第二受部の少なくとも一方に対して前記連設蓋部を閉じた状態で係止する係止部が設けられてもよい。
この発明により、少なくとも一方の受部に対して連設蓋部を閉じるだけで連設蓋部を係止することができる。そのため、各受部に対してワイヤーハーネスや他の固定具本体の保持部を嵌め込む作業等において、素早く連設蓋部を閉じた状態にして保持できる。また、係止を解除したり再び係止させたりすることも可能となる。
【発明の効果】
【0021】
本願発明によれば、ワイヤーハーネスの保持本数を変更できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図4】
図3におけるA-A断面図及びB-B断面図。
【
図5】
図3におけるC-C断面図及びD-D断面図。
【
図6】受部に対してワイヤーハーネスを嵌め込む状況の説明図。
【
図7】ワイヤーハーネスを嵌め込んだ受部に対して蓋部を閉じる状況の説明図。
【
図10】
図9におけるE-E断面図及びF-F断面図。
【
図11】
図9におけるG-G断面図及びH-H断面図。
【
図12】一方の受部に対してワイヤーハーネスを嵌め込む状況の説明図。
【
図13】他方の受部に対してワイヤーハーネスを保持した状態の保持部を嵌め込む状況の説明図。
【
図14】ワイヤーハーネスならびに保持部を嵌め込んだ各受部に対して連設蓋部を閉じる状況の説明図。
【
図15】基本固定具本体に対して追加固定具本体を連結したハーネス固定具の平面図。
【
図18】基本固定具本体に連結された追加固定具本体に対してさらに別途の追加固定具本体を連結する状況の説明図。
【
図19】基本固定具本体に連結された追加固定具本体に対してさらに別途の追加固定具本体を連結したハーネス固定具の平面図。
【
図20】シャシフレームに対してハーネス固定具を装着する状況及びコネクタボックスに対してハーネス固定具を装着する状況の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1はハーネス固定具1の斜視図である。ハーネス固定具1は、二本の外装付ハーネスWHを保持している。これらの外装付ハーネスWHは、ワイヤーハーネスWにコルゲートチューブCを外装したものである。
図1においては、外装付ハーネスWHの構造を理解できるよう、コルゲートチューブCの一部を二点鎖線で表している。
【0024】
また、
図2は基本固定具本体2の斜視図である。
図3は基本固定具本体2の正面図及び平面図であり、
図4は
図3におけるA-A断面図及びB-B断面図であり、
図5は
図3におけるC-C断面図及びD-D断面図である。
図6は受部31に対して外装付ハーネスWHを嵌め込む状況の説明図であり、
図7は外装付ハーネスWHを嵌め込んだ受部31に対して蓋部32を閉じる状況の説明図である。
図7については、開いた状態の蓋部32を二点鎖線で表している。
【0025】
さらに、
図8は追加固定具本体5の斜視図である。
図9は追加固定具本体5の正面図及び平面図であり、
図10は
図9におけるE-E断面図及びF-F断面図であり、
図11は
図9におけるG-G断面図及びH-H断面図である。
図12は一方の受部61に対して外装付ハーネスWHを嵌め込む状況の説明図であり、
図13は他方の受部71に対して外装付ハーネスWHを保持した状態の保持部3を嵌め込む状況の説明図であり、
図14は外装付ハーネスWHならびに保持部3を嵌め込んだ各受部61,71に対して連設蓋部82を閉じる状況の説明図である。
図14については、開いた状態の連設蓋部82を二点鎖線で表している。
【0026】
加えて、
図15は基本固定具本体2に対して追加固定具本体5を連結したハーネス固定具1の平面図である。
図16は
図15におけるI-I断面図及びJ-J断面図であり、
図17は
図15におけるK-K断面図である。
図18は基本固定具本体2に連結された追加固定具本体5に対してさらに別途の追加固定具本体5を連結する状況の説明図であり、
図19は基本固定具本体2に連結された追加固定具本体5に対してさらに別途の追加固定具本体5を連結したハーネス固定具1の平面図である。そして、
図20はシャシフレームCfに対してハーネス固定具1を装着する状況及びコネクタボックスCbに対してハーネス固定具1を装着する状況の説明図である。
図20については、固定部4を構成するボルト把持部42やカセット係合部43が見えるよう、固定部4のみを断面図にて表している。
【0027】
なお、本願においては、全ての図面でハーネス固定具1の方向を示している。詳しくは、矢印Fが前方側を示し、矢印Bが後方側を示し、矢印Lが左方側を示し、矢印Rが右方側を示している。そして、矢印Uが上方側を示し、矢印Dが下方側を示している。加えて、本願においては、前後方向をX、左右方向をY、上下方向をZとして説明する。
【0028】
図1に示すように、ハーネス固定具1は、基本固定具本体2に対して追加固定具本体5を連結することができる。また、
図18及び
図19に示すように、ハーネス固定具1は、基本固定具本体2に連結された追加固定具本体5に対して別途の追加固定具本体5を連結することもできる。このように、ハーネス固定具1は、基本固定具本体2に加えて外装付ハーネスWHの本数から1を引いた数の追加固定具本体5を用意し、これらを連結することで、全ての外装付ハーネスWHを保持することができる。以下に、基本固定具本体2と追加固定具本体5について説明する。
【0029】
図2から
図7に示すように、基本固定具本体2は、外装付ハーネスWHを保持する保持部3と、固定対象であるシャシフレームCf等(
図20(a)及び
図20(b)参照)に固定できる固定部4とを有している。基本固定具本体2は、ポリプロピレン等の樹脂材からなる射出成形品である。
【0030】
保持部3は、略直方体形状に形成された受部31と、その一面に形成された開口を塞ぐ蓋部32を有している。また、保持部3は、受部31に対して蓋部32を枢動自在に支持する支持部33と、受部31に対して蓋部32を閉じた状態で係止する係止部34(
図3(b)及び
図5(a)参照)とを有している。
【0031】
受部31は、上下方向Zに対して垂直となる上側板310と、上側板310の前端縁に沿って配置される前側板311と、上側板310の後端縁に沿って配置される後側板312とを有している。前側板311と後側板312は、上側板310から下方側Dに向かって延設されており、互いに対して平行とされている。こうして、前側板311の下端部分と後側板312の下端部分の間に開口部分30(
図6参照)が形成されている。そして、受部31の内側には、左右方向Yに沿って外装付ハーネスWHが挿通される挿通空間Saが形成されている。
【0032】
また、受部31には、挿通空間Saの中心軸に向かって突出するリブ31rが設けられている。詳しく説明すると、受部31における左方側Lの端部には、挿通空間Saの中心軸に向かって突出する三枚のリブ31rが設けられ、受部31における右方側Rの端部にも、挿通空間Saの中心軸に向かって突出する三枚のリブ31rが設けられている。これらのリブ31rは、左方側Lあるいは右方側Rから視て上方側Uが円弧状につながった逆U字状とされている。そのため、これらのリブ31rは、下方側Dから嵌め込まれるコルゲートチューブCの凹部に嵌合されることとなる(
図6及び
図16(b)参照)。
【0033】
蓋部32は、開口部分30を閉じた状態において、上下方向Zに対して垂直となる枢動板320と、枢動板320の後端縁に沿って配置される後縁板322とを有している。後縁板322は、枢動板320から上方側Uに向かって延設されており、後述する樹脂板331を介して後側板312につながっている。そのため、枢動板320の先端部分32tを前側板311の下端部分から離間する方向に枢動させると開口部分30が開くこととなる(
図6参照)。反対に、枢動板320の先端部分32tを前側板311の下端部分に近接する方向に枢動させると開口部分30が閉じることとなる(
図7参照)。
【0034】
また、蓋部32には、挿通空間Saの中心軸に向かって突出するリブ32rが設けられている。詳しく説明すると、蓋部32における左方側Lの端部には、挿通空間Saの中心軸に向かって突出する三枚のリブ32rが設けられ、蓋部32における右方側Rの端部にも、挿通空間Saの中心軸に向かって突出する三枚のリブ32rが設けられている。これらのリブ32rは、左方側Lあるいは右方側Rから視て下方側Dが円弧状につながったU字状とされている。そのため、これらのリブ32rは、受部31に対して蓋部32を閉じた際にコルゲートチューブCの凹部に嵌合されることとなる(
図7及び
図16(b)参照)。
【0035】
支持部33は、受部31に対して蓋部32を枢動自在に支持する。支持部33は、後側板312の下端部分における左右方向Yに沿う一辺と、後縁板322の上端縁における左右方向Yに沿う一辺とを樹脂板331でつないだ構成とされている。
【0036】
樹脂板331は、その板厚が後側板312及び後縁板322に比べて薄く形成されており、左右方向Yに沿う仮想上の軸を回転軸として回転方向に屈伸(屈曲又は延伸)することが可能である。このため、支持部33は、枢動板320の先端部分32tを前側板311の下端部分から離間する方向に枢動させたり、近接する方向に枢動させたりすることを可能としている。
【0037】
係止部34は、受部31に対して蓋部32を閉じると互いを係止可能とする。係止部34は、枢動板320の先端部分32tに設けられた係止片341と、前側板311の下端部分に設けられた係止環342との組み合わせで構成されている。
【0038】
係止片341は、枢動板320の先端部分32tに枢動板320に対して垂直に形成されている。係止片341は、枢動板320が開口部分30を閉じた状態において、前後方向Xに短く左右方向Yに長い矩形断面の板であり、その前面に係止爪34fが形成されている(
図3(b)及び
図5(a)参照)。
【0039】
係止環342は、前側板311に対して所定の間隔を隔てて平行に配置された横板34hと、前側板311に対して垂直、かつ互いに対して所定の間隔を隔てて平行に配置された一対の支持板34sとで略角筒状に形成されている(
図3(b)及び
図5(a)参照)。そして、その内側には上下方向Zに貫通する貫通孔が形成されている。そのため、係止片341が係止環342に挿入されると、係止片341の係止爪34fが係止環342を構成する横板34hに引っ掛かることとなる。
【0040】
固定部4は、主に略直方体形状に形成された受部41で構成されている。また、固定部4は、例えばシャシフレームCf(
図20(a)参照)から突出したスタッドボルトBを把持可能とするボルト把持部42と、例えばコネクタボックスCb(
図20(b)参照)に設けられたロックプレートPに係合可能とするカセット係合部43とを有している。
【0041】
受部41は、上下方向Zに対して垂直となる中間板410と、中間板410の前端縁に沿って配置される前側板411と、中間板410の左端縁に沿って配置される左側板412と、中間板410の右端縁に沿って配置される右側板413とを有している。前側板411は、中間板410から上方側U及び下方側Dに向かって延設されており、前述した前側板311に対して平行とされている。また、左側板412と右側板413も、中間板410から上方側U及び下方側Dに向かって延設されており、互いに対して平行とされている。
【0042】
ボルト把持部42は、中間板410を挟み込むようにして取り付けられている。ボルト把持部42は、上端部分が拡径された円筒体420を有している。そして、かかる円筒体420の内部にボルト把持構造421を備えている(
図4(b)及び
図5(b)参照)。ボルト把持構造は、一対の把持片422,423で構成されており、一方の把持片422が上下方向Zの中央位置から右斜め下方側に向かって延設され、他方の把持片423が上下方向Zの中央位置から左斜め下方側に向かって延設されている。それぞれの把持片422,423には、係止爪42fが形成されている。
【0043】
また、これら把持片422,423は、互いに対象形状とされているものの、スタッドボルトB(
図20(a)参照)のピッチ長さの半分の値だけ上下方向Zに変位している。すなわち、把持片422は、把持片423よりもスタッドボルトBのピッチ長さの半分の値だけ下方側Dに変位した位置に設けられている。換言すると、把持片423は、把持片422よりもスタッドボルトBのピッチ長さの半分の値だけ上方側Uに変位した位置に設けられている。そのため、把持片422の係止爪42fと把持片423の係止爪42fがともにスタッドボルトBの螺旋状に形成されたネジ溝に引っ掛かることとなる。
【0044】
カセット係合部43は、前側板411の前面における左右方向Yの中央部分に一体的に設けられている。カセット係合部43は、主に係合板431と、一対の案内板432,433とで構成されている(
図2(b)及び
図3(b)参照)。係合板431は、前側板411との連設部分を除いて前側板411に対して所定の間隔を隔てて平行に配置されている。係合板431における左右方向Yの中央部分は、上端縁から上下方向Zの中途部分まで切り欠かれている。そのため、係合板431には、左方側Lの一部と右方側Rの一部をつなぐ連結部分43cが形成されている。かかる連結部分43cが係止片として機能する。
【0045】
また、案内板432,433は、前側板411から前方側Fに向かって延設されている。案内板432は、係合板431との連設部分を除いて係合板431の左端縁に沿って所定の間隔を隔てて配置されている。案内板433は、係合板431との連設部分を除いて係合板431の右端縁に沿って所定の間隔を隔てて配置されている。そして、これら案内板432,433は、相手側となるロックプレートP(
図20(b)参照)の左右方向Yの寸法よりも僅かに広い間隔を空けて平行に配置されている。そのため、これら案内板432,433は、ロックプレートPを真っすぐに案内するガイドプレートとして機能する。
【0046】
図8から
図14に示すように、追加固定具本体5は、外装付ハーネスWHを保持する保持部6と、基本固定具本体2の一部を保持することによって連結する保持連結部7とを有している。保持連結部7は、基本固定具本体2の一部である保持部3を収容することによって連結するため、以降において収容連結部7として説明する。追加固定具本体5も、ポリプロピレン等の樹脂材からなる射出成形品である。
【0047】
保持部6は、前述した保持部3と同じ大きさ及び形状とされている。保持部6は、略直方体形状に形成された受部61と、その一面に形成された開口を塞ぐ蓋部62を有している。受部61は、後述する受部71の後方側Bに連設されて連設受部81を構成し、蓋部62は、後述する蓋部72の後方側Bに連設されて連設蓋部82を構成している。また、保持部6は、連設受部81に対して連設蓋部82を枢動自在に支持する支持部83を有している。連設蓋部82ならびに支持部83については、後に詳しく説明する。
【0048】
受部61は、上下方向Zに対して垂直となる上側板610と、上側板610の前端縁に沿って配置される前側板611と、上側板610の後端縁に沿って配置される後側板612とを有している。前側板611と後側板612は、上側板610から下方側Dに向かって延設されており、互いに対して平行とされている。こうして、前側板611の下端部分と後側板612の下端部分の間に開口部分60(
図12参照)が形成されている。そして、受部61の内側には、左右方向Yに沿って外装付ハーネスWHが挿通される挿通空間Sbが形成されている。
【0049】
また、受部61には、挿通空間Sbの中心軸に向かって突出するリブ61rが設けられている。詳しく説明すると、受部61における左方側Lの端部には、挿通空間Sbの中心軸に向かって突出する三枚のリブ61rが設けられ、受部61における右方側Rの端部にも、挿通空間Sbの中心軸に向かって突出する三枚のリブ61rが設けられている。これらのリブ61rは、左方側Lあるいは右方側Rから視て上方側Uが円弧状につながった逆U字状とされている。そのため、これらのリブ61rは、下方側Dから嵌め込まれるコルゲートチューブCの凹部に嵌合されることとなる(
図12及び
図16(a)参照)。
【0050】
収容連結部7は、前述した保持部3,6よりも大きな形状とされている。収容連結部7は、略直方体形状に形成された受部71と、その一面に形成された開口を塞ぐ蓋部72を有している。受部71は、前述した受部61の前方側Fに連設されて連設受部81を構成し、蓋部72は、前述した蓋部62の前方側Fに連設されて連設蓋部82を構成している。また、収容連結部7は、連設受部81に対して連設蓋部82を閉じた状態で係止する係止部84を有している。連設蓋部82ならびに係止部84については、後に詳しく説明する。
【0051】
受部71は、上下方向Zに対して垂直となる上側板710と、上側板710の前端縁に沿って配置される前側板711と、上側板710の後端縁に沿って配置される後側板712とを有している。前側板711と後側板712は、上側板710から下方側Dに向かって延設されており、互いに対して平行とされている。こうして、前側板711の下端部分と後側板712の下端部分の間に開口部分70(
図13参照)が形成されている。そして、受部71の内側には、基本固定具本体2の一部である保持部3を収容する収容空間Scが形成されている。収容空間Scは、外装付ハーネスWHが挿通される挿通空間Scでもある。前側板711における左右方向Yの中央部分には、基本固定具本体2の固定部4が嵌め込まれる開口部分80が形成されている。
【0052】
また、受部71には、挿通空間Scの中心軸に向かって突出するリブ71rが設けられている。詳しく説明すると、受部71における左方側Lの端部であって、収容された保持部3よりも左方側Lに延設された部分には、挿通空間Scの中心軸に向かって突出する三枚のリブ71rが設けられ、受部71における右方側Rの端部であって、収容された保持部3よりも右方側Rに延設された部分にも、挿通空間Scの中心軸に向かって突出する三枚のリブ71rが設けられている。これらのリブ71rは、左方側Lあるいは右方側Rから視て上方側Uが円弧状につながった逆U字状とされている。そのため、これらのリブ71rは、下方側Dから嵌め込まれるコルゲートチューブCの凹部に嵌合されることとなる(
図13及び
図16(b)参照)。
【0053】
連設蓋部82は、開口部分60及び開口部分70を閉じた状態において、上下方向Zに対して垂直となる枢動板820と、枢動板820の後端縁に沿って配置される後縁板822とを有している。後縁板822は、枢動板820から上方側Uに向かって延設されており、後述する樹脂板831を介して後側板612につながっている。そのため、枢動板820の先端部分82tを前側板711の下端部分から離間する方向に枢動させると開口部分60及び開口部分70が同時に開くこととなる(
図12及び
図13参照)。反対に、枢動板820の先端部分82tを前側板711の下端部分に近接する方向に枢動させると開口部分60及び開口部分70が同時に閉じることとなる(
図14参照)。
【0054】
また、連設蓋部82には、かかる連設蓋部82の後方側Bの一部である蓋部62に、挿通空間Sbの中心軸に向かって突出するリブ62rが設けられている。詳しく説明すると、蓋部62における左方側Lの端部には、挿通空間Sbの中心軸に向かって突出する三枚のリブ62rが設けられ、蓋部62における右方側Rの端部にも、挿通空間Sbの中心軸に向かって突出する三枚のリブ62rが設けられている。これらのリブ62rは、左方側Lあるいは右方側Rから視て下方側Dが円弧状につながったU字状とされている。そのため、これらのリブ62rは、連設受部81に対して連設蓋部82を閉じた際にコルゲートチューブCの凹部に嵌合されることとなる(
図14及び
図16(a)参照)。
【0055】
さらに、連設蓋部82には、かかる連設蓋部82の前方側Fの一部である蓋部72に、挿通空間Scの中心軸に向かって突出するリブ72rが設けられている。詳しく説明すると、蓋部72における左方側Lの端部であって、収容された保持部3よりも左方側Lに延設された部分には、挿通空間Scの中心軸に向かって突出する三枚のリブ72rが設けられ、蓋部72における右方側Rの端部であって、収容された保持部3よりも右方側Rに延設された部分にも、挿通空間Scの中心軸に向かって突出する三枚のリブ72rが設けられている。これらのリブ72rは、左方側Lあるいは右方側Rから視て下方側Dが円弧状につながったU字状とされている。そのため、これらのリブ72rは、連設受部81に対して連設蓋部82を閉じた際にコルゲートチューブCの凹部に嵌合されることとなる(
図14及び
図16(b)参照)。
【0056】
支持部83は、連設受部81に対して連設蓋部82を枢動自在に支持する。支持部83は、後側板612の下端部分における左右方向Yに沿う一辺と、後縁板822の上端縁における左右方向Yに沿う一辺とを樹脂板831でつないだ構成とされている。
【0057】
樹脂板831は、その板厚が後側板612及び後縁板822に比べて薄く形成されており、左右方向Yに沿う仮想上の軸を回転軸として回転方向に屈伸(屈曲又は延伸)することが可能である。このため、支持部83は、枢動板820の先端部分82tを前側板711の下端部分から離間する方向に枢動させたり、近接する方向に枢動させたりすることを可能としている。
【0058】
係止部84は、連設受部81に対して連設蓋部82を閉じると互いを係止可能とする。係止部84は、枢動板820の先端部分82tに設けられた係止片841と、前側板711の下端部分に設けられた係止環842との組み合わせで構成されている。
【0059】
係止片841は、枢動板820の先端部分82tに枢動板820に対して垂直に形成されている。係止片841は、枢動板820が開口部分60及び開口部分70を閉じた状態において、前後方向Xに短く左右方向Yに長い矩形断面の板であり、その前面に係止爪84fが形成されている(
図9(b)及び
図11(a)参照)。
【0060】
係止環842は、前側板711に対して所定の間隔を隔てて平行に配置された横板84hと、前側板711に対して垂直、かつ互いに対して所定の間隔を隔てて平行に配置された一対の支持板(後述する補強板713)とで略角筒状に形成されている(
図9(b)及び
図11(a)参照)。そして、その内側には上下方向Zに貫通する貫通孔が形成されている。そのため、係止片841が係止環842に挿入されると、係止片841の係止爪84fが係止環842を構成する横板84hに引っ掛かることとなる。
【0061】
ところで、連設受部81を構成する受部61と受部71は、前後方向Xに延設された連結板811,812を介してつながっている。連結板811は、受部61と受部71における左方側Lの端部よりも左右方向Yの中央側に偏位した位置に配置されており、連結板812は、受部61と受部71における右方側Rの端部よりも左右方向Yの中央側に偏位した位置に設けられている。そのため、受部61と受部71の間には、上方側Uから視て左右方向Yの中央側に向かって窪んだ隙間空間Sdが形成されている(
図9(b)及び
図15及び
図19参照)。
【0062】
また、収容連結部7を構成する受部71の前側板711には、前方側Fに向かって突出する補強板713が設けられている。詳しく説明すると、前側板711における左方側Lの端部には、前方側Fに向かって突出する二枚の補強板713が設けられ、前側板711における右方側Rの端部にも、前方側Fに向かって突出する二枚の補強板713が設けられている。これらの補強板713は、上下方向Zに沿って前側板711の上端部分から下端部分まで形成されている。そのため、基本固定具本体2に連結された追加固定具本体5に対してさらに別途の追加固定具本体5を連結した状態においては、前述した隙間空間Sdの内側に補強板713が配置されることとなる(
図19参照)。
【0063】
この点、補強板713の高さ(前後方向Xの長さ)を適宜に設定することで、かかる補強板713の先端縁が後側板712に線接触するとしてもよい。このようにすれば、追加固定具本体5の重量や外装付ハーネスWHの重量によってハーネス固定具1が撓んでしまうことを抑制できる。また、前側板711に設けられた四枚の補強板713のうち、左右方向Yの中央側に設けられた一対の補強板713の位置を適宜に設定することで、これらの補強板713が連結板811,812に当接し、さらには連結板811,812を挟み込んでもよい。このようにしても、追加固定具本体5の重量や外装付ハーネスWHの重量によってハーネス固定具1が撓んでしまうことを抑制できる。
【0064】
このように、追加固定具本体5は、基本固定具本体2の一部である保持部3を収容する収容連結部7を有している。そのため、基本固定具本体2に対して追加固定具本体5を連結することができる(
図13から
図15参照)。この場合、ハーネス固定具1は、二本の外装付ハーネスWHを保持することができる。
【0065】
また、基本固定具本体2の一部である保持部3と追加固定具本体5の一部である保持部6は、同じ大きさ及び形状であるため、収容連結部7は、保持部6を収容することもできる。そのため、追加固定具本体5に対して別途の追加固定具本体5を連結することができる(
図18及び
図19参照)。この場合、ハーネス固定具1は、三本の外装付ハーネスWHを保持することができる。そして、ハーネス固定具1は、さらに別途の追加固定具本体5を連結することで、三本以上の外装付ハーネスWHでも保持することもできる。
【0066】
また、基本固定具本体2の保持部3及び追加固定具本体5の保持部6は、その外形が断面四角状に形成されている。すなわち、左右方向Yに対して垂直となる断面形状が四角状に形成されている。他方で、追加固定具本体5の収容連結部7は、その内形が断面四角状に形成されている。すなわち、左右方向Yに対して垂直となる断面形状が四角状に形成されている。そのため、保持部3,6が収容連結部7に収容された状態においては、その四面が当接した状態となる。
【0067】
具体的に説明すると、保持部3が収容連結部7に収容された状態においては、保持部3の上側板310と前側板311と後側板312と枢動板320が収容連結部7の上側板710と前側板711と後側板712と枢動板820に接した状態となる。また、保持部6が収容連結部7に収容された状態においては、保持部6の上側板610と前側板611と後側板612と枢動板820が収容連結部7の上側板710と前側板711と後側板712と枢動板820に接した状態となる。
【0068】
なお、
図20(a)に示すように、ハーネス固定具1は、固定部4にボルト把持部42が設けられており、かかるボルト把持部42によってスタッドボルトBを把持することができる。本実施形態に係るハーネス固定具1は、シャシフレームCfから突出したスタッドボルトBに対して下方側Dからボルト把持部42を嵌め合わせることで、取り付けられる。
【0069】
加えて、
図20(b)に示すように、ハーネス固定具1は、固定部4にカセット係合部43が設けられており、かかるカセット係合部43によってロックプレートPと係合させることもできる。本実施形態に係るハーネス固定具1は、コネクタボックスCbに設けられたロックプレートPに対して上方側Uからカセット係合部43を嵌め合わせることで、取り付けられる。
【0070】
以上のように、本実施形態に係るハーネス固定具1は、長手方向(左右方向Y)に交差する交差方向(前後方向X)に並置された複数の外装付ハーネスWHを保持するとともにシャシフレームCf等に固定できるものであって、外装付ハーネスWHを保持する保持部3,6が設けられた複数の固定具本体を有し、固定具本体は、保持部3に加えてシャシフレームCf等に固定できる固定部4が設けられた基本固定具本体2と、保持部6に加えて基本固定具本体2の保持部3あるいは追加固定具本体5の保持部6を保持することによって連結する保持連結部7が設けられた追加固定具本体5とを有する。
【0071】
このようなハーネス固定具1によれば、外装付ハーネスWHの保持本数を変更できる。
詳述すると、本願発明に係るハーネス固定具1は、長手方向(左右方向Y)に交差する交差方向(前後方向X)に並置された複数の外装付ハーネスWHを保持するとともにシャシフレームCf等に固定できるものであって、外装付ハーネスWHを保持する保持部3,6が設けられた複数の固定具本体を有している。固定具本体は、保持部3に加えてシャシフレームCf等に固定できる固定部4が設けられた基本固定具本体2と、保持部6に加えて基本固定具本体2の保持部3あるいは追加固定具本体5の保持部6を保持することによって連結する保持連結部7が設けられた追加固定具本体5とを有する。
このような構成によれば、基本固定具本体2に対して追加固定具本体5を連結することができる。また、基本固定具本体2に連結された追加固定具本体5に対して別途の追加固定具本体5を連結することもできる。そのため、基本固定具本体2に追加固定具本体5を連結した状態においては、二本の外装付ハーネスWHを保持することができる。また、基本固定具本体2に連結された追加固定具本体5に別途の追加固定具本体5を連結した状態においては、三本の外装付ハーネスWHを保持することができる。このように、基本固定具本体2に加えて外装付ハーネスWHの本数から1を引いた数の追加固定具本体5を用意し、これらを連結することで、全ての外装付ハーネスWHを保持することができる。したがって、本願発明に係るハーネス固定具1は、外装付ハーネスWHの保持本数を変更できる。
【0072】
また、本実施形態に係るハーネス固定具1において、保持連結部7は、基本固定具本体2の保持部3あるいは追加固定具本体5の保持部6を収容する収容空間Scが形成された収容連結部7である。収容連結部7は、保持部3,6の全部を収容するように構成されている。
【0073】
このようなハーネス固定具1によれば、基本固定具本体2の保持部3あるいは追加固定具本体5の保持部6を追加固定具本体5の収容連結部7が収容することによって連結されるため、各固定具本体2,5から突出した連結部分を介して連結されるハーネス固定具に比べ、ハーネス固定具1の小型化を実現できる。
【0074】
また、本実施形態に係るハーネス固定具1においては、保持部3,6の外形が断面四角状に形成され、収容連結部7の内形が断面四角状に形成され、保持部3,6の外側面と収容連結部7の内側面とが少なくとも二面以上で当接する。
【0075】
このようなハーネス固定具1によれば、保持部3,6の外側面と収容連結部7の内側面とが少なくとも二面以上で当接するため、かかる連結部分を中心として追加固定具本体5が回転しない。そのため、追加固定具本体5の重量や外装付ハーネスWHの重量によってハーネス固定具1が撓んでしまうことを防止できる。
【0076】
また、本実施形態に係るハーネス固定具1において、保持部3,6には、長手方向(左右方向Y)に沿って延設された部分に、外装付ハーネスWHに外装されるコルゲートチューブCの外周面に形成された凹部に嵌合するリブ31r,32r,61r,62rが設けられている。
【0077】
このようなハーネス固定具1によれば、保持部3,6に設けられたリブ31r,32r,61r,62rがワイヤーハーネスWに外装されたコルゲートチューブCの凹部に嵌合されるため、外装付ハーネスWHが長手方向(左右方向Y)に押されたり引っ張られたりしても、外装付ハーネスWHの長手方向(左右方向Y)における保持位置がズレてしまうことを防止できる。
【0078】
また、本実施形態に係るハーネス固定具1において、収容連結部7には、収容された保持部3,6よりも長手方向(左右方向Y)に沿って延設された部分に、ワイヤーハーネスWに外装されるコルゲートチューブCの外周面に形成された凹部に嵌合するリブ71r,72rが設けられている。
【0079】
このようなハーネス固定具1によれば、収容連結部7に設けられたリブ71r,72rがワイヤーハーネスWに外装されたコルゲートチューブCの凹部に嵌合されるため、外装付ハーネスWHが長手方向(左右方向Y)に押されたり引っ張られたりしても、外装付ハーネスWHの長手方向(左右方向Y)における保持位置がズレてしまうことを防止できる。
【0080】
また、本実施形態に係るハーネス固定具1においては、追加固定具本体5において、保持部6は、外装付ハーネスWHを保持する受部61と受部61の開口部分60を閉じる蓋部62を有し、収容連結部7は、基本固定具本体2の保持部3あるいは追加固定具本体5の保持部6を収容する受部71と受部71の開口部分70を閉じる蓋部72を有し、蓋部62及び蓋部72が連設されて連設蓋部82を構成している。
【0081】
このようなハーネス固定具1によれば、連設蓋部82を操作することで、各受部61,71の開口部分60,70を同時に開くことが可能となる。反対に、各受部61,71の開口部分60,70を同時に閉じることも可能となる。そのため、各受部61,71に対して外装付ハーネスWHや基本固定具本体2の保持部3あるいは追加固定具本体5の保持部6を嵌め込む作業が容易となる。また、外装付ハーネスWHを嵌め込む方向と基本固定具本体2の保持部3あるいは追加固定具本体5の保持部6を嵌め込む方向が同じとなるため、これらの嵌め込み作業が容易となる。
【0082】
また、本実施形態に係るハーネス固定具1においては、連設受部81に対して連設蓋部82を枢動自在に支持する支持部83が設けられている。
このようなハーネス固定具1によれば、連設受部81と連設蓋部82がつながったままで連設蓋部82を開いたり閉じたりすることができる。そのため、連設受部81に対して外装付ハーネスWHや基本固定具本体2の保持部3あるいは追加固定具本体5の保持部6を嵌め込む作業等において、連設受部81と連設蓋部82が分離してしまうことを防止できる。また、部品点数を減少させることも可能となる。
【0083】
また、本実施形態に係るハーネス固定具1においては、連設受部81に対して連設蓋部82を閉じた状態で係止する係止部84が設けられている。
このようなハーネス固定具1によれば、連設受部81に対して連設蓋部82を閉じるだけで連設蓋部82を係止することができる。そのため、連設受部81に対して外装付ハーネスWHや基本固定具本体2の保持部3あるいは追加固定具本体5の保持部6を嵌め込む作業等において、素早く連設蓋部82を閉じた状態にして保持できる。また、係止を解除したり再び係止させたりすることも可能となる。
【0084】
この発明の構成と前述の実施形態との対応において、
ハーネス固定具はハーネス固定具1に対応し、
基本固定具本体は基本固定具本体2に対応し、
保持部は保持部3に対応し、
固定部は固定部4に対応し、
追加固定具本体は追加固定具本体5に対応し、
保持部は保持部6に対応し、
保持連結部は保持連結部7に対応し、
収容連結部は収容連結部7に対応し、
第一受部は受部61に対応し、
第一蓋部は蓋部62に対応し、
第二受部は受部71に対応し、
第二蓋部は蓋部72に対応し、
連設受部は連設受部81に対応し、
連設蓋部は連設蓋部82に対応し、
嵌合部はリブ31r,32r、61r,62r、71r,72rに対応し、
ワイヤーハーネスはワイヤーハーネスWに対応し、
外装部材はコルゲートチューブCに対応し、
固定対象はシャシフレームCfに対応し、
収容空間は収容空間Scに対応するも、
この発明は、前述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施形態を得ることができる。
【0085】
例えば本実施形態に係るハーネス固定具1は、保持部3の内側面にリブ31r,32rが設けられており、かかるリブ31r,32rがコルゲートチューブCの外周面に形成された凹部に嵌合する。しかし、保持部3の内側面にスリットが設けられており、かかるスリットがコルゲートチューブCの外周面に形成された凸部に嵌合するとしてもよい。もちろん保持部3の内側面にリブとスリットの両方が設けられており、これらがコルゲートチューブCの外周面に形成された凹部や凸部に嵌合するとしてもよい。
【0086】
これは、保持部6においても同様である。すなわち、保持部6の内側面にスリットが設けられており、かかるスリットがコルゲートチューブCの外周面に形成された凸部に嵌合するとしてもよい。もちろん保持部6の内側面にリブとスリットの両方が設けられており、これらがコルゲートチューブCの外周面に形成された凹部や凸部に嵌合するとしてもよい。
【0087】
また、収容連結部7においても同様である。すなわち、収容連結部7の内側面にスリットが設けられており、かかるスリットがコルゲートチューブCの外周面に形成された凸部に嵌合するとしてもよい。もちろん保持部6の内側面にリブとスリットの両方が設けられており、これらがコルゲートチューブCの外周面に形成された凹部や凸部に嵌合するとしてもよい。
【0088】
さらに、本実施形態に係るハーネス固定具1は、収容連結部7の端部が収容された保持部3よりも左右方向Yに延設されており、両側の端部にリブ71r,72rが設けられている。しかし、保持部3よりも左方側Lに延設され、左方側Lの端部にのみリブ71r,72rが設けられていてもよい。あるいは収容された保持部3よりも右方側Rに延設され、右方側Rの端部にのみリブ71r,72rが設けられていてもよい。
【0089】
加えて、本実施形態に係るハーネス固定具1は、ワイヤーハーネスWの外装部材としてコルゲートチューブCが用いられている。しかし、外装部材としてビニルチューブ等の軟質管やアルミチューブ等の硬質管が用いられていてもよい。また、ハーネス固定具1を境界として長手方向(左右方向Y)の一方側と他方側で外装部材の種類を変えてもよい。あるいは一のワイヤーハーネスWの外装部材と他のワイヤーハーネスWの外装部材の種類を変えてもよい。
【0090】
加えて、本実施形態に係るハーネス固定具1は、基本固定具本体2が固定部4を有している。しかし、固定部4を有さない構成であってもよい。このようにしても、外装付ハーネスWHを保持して纏める機能を発揮できる。また、本実施形態に係るハーネス固定具1は、固定部4がボルト把持部42とカセット係合部43を有している。しかし、ボルト把持部42とカセット係合部43のいずれか一方のみを有してもよい。あるいは他の固定構造を有してもよい。
【符号の説明】
【0091】
1…ハーネス固定具
2…基本固定具本体
3…保持部
4…固定部
5…追加固定具本体
6…保持部
7…保持連結部
7…収容連結部
61…受部
62…蓋部
71…受部
72…蓋部
81…連設受部
82…連設蓋部
31r…リブ
32r…リブ
61r…リブ
62r…リブ
71r…リブ
72r…リブ
W…ワイヤーハーネス
C…コルゲートチューブ
Cf…シャシフレーム
Sc…収容空間