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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024048037
(43)【公開日】2024-04-08
(54)【発明の名称】ハーネス固定具
(51)【国際特許分類】
   H02G 3/30 20060101AFI20240401BHJP
   H02G 3/32 20060101ALI20240401BHJP
   H02G 3/04 20060101ALI20240401BHJP
   F16B 2/10 20060101ALI20240401BHJP
   F16B 7/22 20060101ALI20240401BHJP
   F16B 7/04 20060101ALI20240401BHJP
   F16L 3/12 20060101ALI20240401BHJP
   F16L 3/123 20060101ALI20240401BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20240401BHJP
【FI】
H02G3/30
H02G3/32
H02G3/04 062
F16B2/10 E
F16B7/22
F16B7/04 301G
F16L3/12 G
F16L3/123
B60R16/02 623C
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022153866
(22)【出願日】2022-09-27
(71)【出願人】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】391045897
【氏名又は名称】古河AS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141656
【弁理士】
【氏名又は名称】大田 英司
(74)【代理人】
【識別番号】100182888
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100196357
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 吉章
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】金次 良高
【テーマコード(参考)】
3H023
3J022
3J039
5G357
5G363
【Fターム(参考)】
3H023AA04
3H023AC08
3H023AC35
3H023AD18
3H023AD22
3H023AD54
3H023AE07
3J022DA11
3J022EA33
3J022EA42
3J022EB14
3J022EC14
3J022EC17
3J022EC22
3J022FA05
3J022FB04
3J022FB07
3J022FB12
3J022GA03
3J022GA16
3J022GB23
3J022GB27
3J039AA04
3J039BB03
3J039CA01
3J039JA11
5G357DA06
5G357DB03
5G357DC12
5G357DD01
5G357DD02
5G357DD05
5G357DD06
5G357DD10
5G363AA16
5G363BA02
5G363BA07
5G363DA13
5G363DA15
5G363DC02
(57)【要約】
【課題】ワイヤーハーネスの保持本数を変更できるハーネス固定具を提供する。
【解決手段】ハーネス固定具1は、長手方向に交差する交差方向に並置された複数の外装付ハーネスWHを保持するとともにシャシフレームCf等に固定できるものであり、外装付ハーネスWHを保持する保持部3,6が設けられた複数の固定具本体を有し、固定具本体は、保持部3に加えてシャシフレームCf等に固定できる固定部4及び隣接する追加固定具本体5との連結に用いられるカセット係止部35が設けられた基本固定具本体2と、保持部6に加えてカセット係止部65及びカセット係止部35に係止可能とするインサート係止部67が設けられた追加固定具本体5とを有し、カセット係止部35,65とインサート係止部67とで構成される係止連結部によって固定具本体同士(基本固定具本体2と追加固定具本体5ならびに追加固定具本体5と追加固定具本体5)を連結する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向に交差する交差方向に並置された複数のワイヤーハーネスを保持するとともに固定対象に固定できるハーネス固定具であって、
前記ワイヤーハーネスを保持する保持部が設けられた複数の固定具本体を有し、
前記固定具本体は、前記保持部に加えて前記固定対象に固定できる固定部及び隣接する前記固定具本体との連結に用いられる一方側係止部が設けられた基本固定具本体と、前記保持部に加えて前記一方側係止部及び隣接する前記固定具本体の前記一方側係止部に係止可能とする他方側係止部が設けられた追加固定具本体とを有し、
前記一方側係止部と前記他方側係止部とで構成される係止連結部によって前記固定具本体同士を連結する
ハーネス固定具。
【請求項2】
前記基本固定具本体は、隣接する前記固定具本体との連結に用いられる一方側掛合部が設けられ、
前記追加固定具本体は、前記一方側掛合部及び隣接する前記固定具本体の前記一方側掛合部に掛合可能とする他方側掛合部が設けられ、
前記一方側掛合部と前記他方側掛合部とで構成される掛合連結部によって前記固定具本体同士を連結する
請求項1に記載のハーネス固定具。
【請求項3】
前記固定具本体は、前記ワイヤーハーネスを収容する受部と当該受部の開口部分を閉じる蓋部とを有し、
前記一方側掛合部が、隣接する一方の前記固定具本体の前記蓋部に設けられており、
前記他方側掛合部が、隣接する他方の前記固定具本体の前記受部又は前記蓋部に設けられた
請求項2に記載のハーネス固定具。
【請求項4】
前記受部に対して前記蓋部を枢動自在に支持する支持部を有し、
前記一方側掛合部が、前記蓋部における前記支持部の側に設けられ、
前記他方側掛合部が、前記蓋部における前記支持部の側の反対側に設けられた
請求項3に記載のハーネス固定具。
【請求項5】
前記一方側掛合部が、凸形部及び凹形部のいずれか一方であり、
前記他方側掛合部が、凸形部及び凹形部のいずれか他方であり、
前記凸形部と前記凹形部が嵌合された状態で連結する
請求項2乃至請求項4のいずれかに記載のハーネス固定具。
【請求項6】
前記保持部には、前記長手方向に沿って延設された部分の内周面に、前記ワイヤーハーネスに外装される外装部材の外周面に形成された凹部又は凸部の少なくとも一方に嵌合する嵌合部が設けられた
請求項1に記載のハーネス固定具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ワイヤーハーネスを保持するとともに固定対象に固定できるハーネス固定具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ワイヤーハーネスを保持するとともに固定対象に固定できるハーネス固定具が公知である(特許文献1参照)。かかるハーネス固定具には、ワイヤーハーネスを保持する保持部と固定対象に固定できる固定部が設けられている。
【0003】
ところで、自動車等においては、仕様の差異によってワイヤーハーネスの本数が異なる。そのため、ワイヤーハーネスの本数に応じてハーネス固定具を変更することが考えられる。しかし、予め複数のハーネス固定具を用意しておくことは、部品点数の増加につながり、かつ管理が複雑になる。
【0004】
そこで、ワイヤーハーネスの本数が多い仕様に合わせてハーネス固定具を設定しておき、ワイヤーハーネスの本数に関わらず、同じハーネス固定具を利用することが考えられる。しかし、ワイヤーハーネスの本数が多い仕様に合わせて設定されたハーネス固定具は、ワイヤーハーネスの本数が少ない仕様において無駄であり、さらには配索作業等の邪魔になるという問題もあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009-19650号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本願発明は、ワイヤーハーネスの保持本数を変更できるハーネス固定具を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願発明は、長手方向に交差する交差方向に並置された複数のワイヤーハーネスを保持するとともに固定対象に固定できるハーネス固定具であって、前記ワイヤーハーネスを保持する保持部が設けられた複数の固定具本体を有し、前記固定具本体は、前記保持部に加えて前記固定対象に固定できる固定部及び隣接する前記固定具本体との連結に用いられる一方側係止部が設けられた基本固定具本体と、前記保持部に加えて前記一方側係止部及び隣接する前記固定具本体の前記一方側係止部に係止可能とする他方側係止部が設けられた追加固定具本体とを有し、前記一方側係止部と前記他方側係止部とで構成される係止連結部によって前記固定具本体同士を連結することを特徴としている。
【0008】
この発明によれば、ワイヤーハーネスの保持本数を変更できる。
詳述すると、本願発明に係るハーネス固定具は、長手方向に交差する交差方向に並置された複数のワイヤーハーネスを保持するとともに固定対象に固定できるものであり、ワイヤーハーネスを保持する保持部が設けられた複数の固定具本体を有している。固定具本体は、保持部に加えて固定対象に固定できる固定部及び隣接する固定具本体との連結に用いられる一方側係止部が設けられた基本固定具本体と、保持部に加えて一方側係止部及び隣接する固定具本体の一方側係止部に係止可能とする他方側係止部が設けられた追加固定具本体とを有し、一方側係止部と他方側係止部とで構成される係止連結部によって固定具本体同士を連結する。
このような構成によれば、基本固定具本体に対して追加固定具本体を連結することができる。また、基本固定具本体に連結された追加固定具本体に対して別途の追加固定具本体を連結することもできる。そのため、基本固定具本体に追加固定具本体を連結した状態においては、二本のワイヤーハーネスを保持することができる。また、基本固定具本体に連結された追加固定具本体に別途の追加固定具本体を連結した状態においては、三本のワイヤーハーネスを保持することができる。このように、基本固定具本体に加えてワイヤーハーネスの本数から1を引いた数の追加固定具本体を用意し、これらを連結することで、全てのワイヤーハーネスを保持することができる。したがって、本願発明に係るハーネス固定具は、ワイヤーハーネスの保持本数を変更できる。
【0009】
この発明の態様として、前記基本固定具本体は、隣接する前記固定具本体との連結に用いられる一方側掛合部が設けられ、前記追加固定具本体は、前記一方側掛合部及び隣接する前記固定具本体の前記一方側掛合部に掛合可能とする他方側掛合部が設けられ、前記一方側掛合部と前記他方側掛合部とで構成される掛合連結部によって前記固定具本体同士を連結してもよい。
【0010】
この発明により、固定具本体同士が係止連結部だけでなく掛合連結部によっても連結するため、連結部分の剛性を確保することができる。また、固定具本体同士が態様の異なる連結部によって連結されるため、連結部分が意図せずに外れてしまうことを防止できる。さらには、これら固定具本体同士のガタつきを抑えることも可能となる。
【0011】
またこの発明の態様として、前記固定具本体は、前記ワイヤーハーネスを収容する受部と当該受部の開口部分を閉じる蓋部とを有し、前記一方側掛合部が、隣接する一方の前記固定具本体の前記蓋部に設けられており、前記他方側掛合部が、隣接する他方の前記固定具本体の前記受部又は前記蓋部に設けられてもよい。
【0012】
この発明により、一方側掛合部が隣接する一方の固定具本体の蓋部に設けられており、かかる蓋部が閉じた状態における一方側掛合部に対して他方側掛合部が掛合するので、蓋部が意図せずに開いてしまうことを防止できる。つまりは、固定具本体同士を連結すると、蓋部に設けられた一方側掛合部に対して他方側掛合部が掛合するので、蓋部を閉状態で拘束することが可能となる。
【0013】
またこの発明の態様として、前記受部に対して前記蓋部を枢動自在に支持する支持部を有し、前記一方側掛合部が、前記蓋部における前記支持部の側に設けられ、前記他方側掛合部が、前記蓋部における前記支持部の側の反対側に設けられてもよい。
【0014】
この発明により、隣接する一方の固定具本体の蓋部を閉じると、蓋部に設けられた一方側掛合部が所定方向に掛合方向を向けることとなる。そして、隣接する他方の固定具本体の蓋部を閉じると、かかる蓋部に設けられた他方側掛合部が掛合方向に沿って移動して一方側掛合部に互いに掛かり合うこととなる。そのため、係止連結部によって連結された各固定具本体の蓋部を連結順に閉じていくことにより、掛合連結部による連結を完了することができる。したがって、素早く掛合連結部による連結を完了させることができるとともに、蓋部に設けられた一方側掛合部に対して他方側掛合部が掛合するので、蓋部を閉状態で拘束することが可能となる。
【0015】
またこの発明の態様として、前記一方側掛合部が、凸形部及び凹形部のいずれか一方であり、前記他方側掛合部が、凸形部及び凹形部のいずれか他方であり、前記凸形部と前記凹形部が嵌合された状態で連結してもよい。
【0016】
この発明により、凸形部と凹形部が嵌合して連結されるため、簡素な構成でありながら確実に掛合連結部による連結を完了することができる。したがって、素早く、かつ確実に掛合連結部による連結を完了することができる。
【0017】
またこの発明の態様として、前記保持部には、前記長手方向に沿って延設された部分の内周面に、前記ワイヤーハーネスに外装される外装部材の外周面に形成された凹部又は凸部の少なくとも一方に嵌合する嵌合部が設けられてもよい。
【0018】
この発明により、保持部に設けられた嵌合部がワイヤーハーネスに外装された外装部材の凹部又は凸部に嵌合されるため、ワイヤーハーネスが長手方向に押されたり引っ張られたりしても、ワイヤーハーネスの長手方向における保持位置がズレてしまうことを防止できる。
【発明の効果】
【0019】
本願発明によれば、ワイヤーハーネスの保持本数を変更できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】ハーネス固定具の斜視図。
図2】基本固定具本体の斜視図。
図3】基本固定具本体の正面図及び平面図。
図4図3におけるA-A断面図及びB-B断面図。
図5図3におけるC-C断面図及びD-D断面図。
図6】受部に対してワイヤーハーネスを嵌め込む状況の説明図。
図7】ワイヤーハーネスを嵌め込んだ受部に対して蓋部を閉じる状況の説明図。
図8】追加固定具本体の斜視図。
図9】追加固定具本体の正面図及び平面図。
図10図9におけるE-E断面図及びF-F断面図。
図11図9におけるG-G断面図。
図12】受部に対してワイヤーハーネスを嵌め込む状況の説明図。
図13】ワイヤーハーネスを嵌め込んだ受部に対して蓋部を閉じる状況の説明図。
図14】基本固定具本体に対して追加固定具本体を連結する状況の説明図。
図15】基本固定具本体に連結された追加固定具本体に対して別途の追加固定具本体を連結する状況の説明図。
図16】ハーネス固定具の平面図。
図17図16におけるI-I断面図。
図18図16におけるJ-J断面図。
図19】シャシフレームに対してハーネス固定具を装着する状況及びコネクタボックスに対してハーネス固定具を装着する状況の説明図。
図20】他の実施形態に係るハーネス固定具の各固定具本体の蓋部を連結順に閉じていく状況の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1はハーネス固定具1の斜視図である。ハーネス固定具1は、二本の外装付ハーネスWHを保持している。これらの外装付ハーネスWHは、ワイヤーハーネスWにコルゲートチューブCを外装したものである。図1においては、外装付ハーネスWHの構造を理解できるよう、コルゲートチューブCの一部を二点鎖線で表している。
【0022】
また、図2は基本固定具本体2の斜視図である。図3は基本固定具本体2の正面図及び平面図であり、図4図3におけるA-A断面図及びB-B断面図であり、図5図3におけるC-C断面図及びD-D断面図である。図6は受部31に対して外装付ハーネスWHを嵌め込む状況の説明図であり、図7は外装付ハーネスWHを嵌め込んだ受部31に対して蓋部32を閉じる状況の説明図である。図7については、開いた状態の蓋部32を二点鎖線で表している。
【0023】
さらに、図8は追加固定具本体5の斜視図である。図9は追加固定具本体5の正面図及び平面図であり、図10図9におけるE-E断面図及びF-F断面図であり、図11図9におけるG-G断面図である。図12は受部61に対して外装付ハーネスWHを嵌め込む状況の説明図であり、図13は外装付ハーネスWHを嵌め込んだ受部61に対して蓋部62を閉じる状況の説明図である。図13については、図7と同様に開いた状態の蓋部62を二点鎖線で表している。
【0024】
加えて、図14は基本固定具本体2に対して追加固定具本体5を連結する状況の説明図であり、図15は基本固定具本体2に連結された追加固定具本体5に対して別途の追加固定具本体5を連結する状況の説明図である。図16はハーネス固定具1の平面図であり、図17図16におけるI-I断面図であり、図18図16におけるJ-J断面図である。そして、図19はシャシフレームCfに対してハーネス固定具1を装着する状況及びコネクタボックスCbに対してハーネス固定具1を装着する状況の説明図である。図19については、固定部4を構成するボルト把持部42やカセット係止部45が見えるように断面図にて表している。
【0025】
なお、本願においては、全ての図面でハーネス固定具1の方向を示している。詳しくは、矢印Fが前方側を示し、矢印Bが後方側を示し、矢印Lが左方側を示し、矢印Rが右方側を示している。そして、矢印Uが上方側を示し、矢印Dが下方側を示している。加えて、本願においては、前後方向をX、左右方向をY、上下方向をZとして説明する。
【0026】
図1に示すように、ハーネス固定具1は、基本固定具本体2に対して追加固定具本体5を連結することができる。また、図15及び図16に示すように、ハーネス固定具1は、基本固定具本体2に連結された追加固定具本体5に対して別途の追加固定具本体5を連結することもできる。このように、ハーネス固定具1は、基本固定具本体2に加えて外装付ハーネスWHの本数から1を引いた数の追加固定具本体5を用意し、これらを連結することで、全ての外装付ハーネスWHを保持することができる。以下に、基本固定具本体2と追加固定具本体5について説明する。
【0027】
図2から図7に示すように、基本固定具本体2は、外装付ハーネスWHを保持する保持部3と、固定対象であるシャシフレームCf等(図19(a)及び図19(b)参照)に固定できる固定部4とを有している。基本固定具本体2は、ポリプロピレン等の樹脂材からなる射出成形品である。
【0028】
保持部3は、略直方体形状に形成された受部31と、その一面に形成された開口を塞ぐ蓋部32を有している。また、保持部3は、受部31に対して蓋部32を枢動自在に支持する支持部33と、受部31に対して蓋部32を閉じた状態で係止する係止部34(図3(b)及び図5(a)参照)とを有している。さらに、保持部3は、追加固定具本体5との連結に用いるカセット係止部35と凹形掛合部36とを有している。
【0029】
受部31は、外装付ハーネスWHの下方側Dの外周面に沿う半円管状の底側板310と、底側板310の前端縁に沿って配置される前側板311と、底側板310の左端縁に沿って配置される左側板312と、底側板310の右端縁に沿って配置される右側板313と、底側板310の後端縁に沿って配置される後側板314とを有している。前側板311と後側板314は、底側板310から上方側U及び下方側Dに向かって延設されており、互いに対して平行とされている。こうして、前側板311の上端部分と後側板314の上端部分の間に開口部分30(図6参照)が形成されている。そして、受部31の内側には、左右方向Yに沿って外装付ハーネスWHが挿通される挿通空間Saが形成されている。
【0030】
また、受部31には、挿通空間Saの中心軸に向かって突出するリブ31rが設けられている。詳しく説明すると、受部31における左方側Lの端部には、挿通空間Saの中心軸に向かって突出する三枚のリブ31rが設けられ、受部31における右方側Rの端部にも、挿通空間Saの中心軸に向かって突出する三枚のリブ31rが設けられている。これらのリブ31rは、左方側Lあるいは右方側Rから視て下方側Dが円弧状につながったU字状とされている。そのため、これらのリブ31rは、上方側Uから嵌め込まれるコルゲートチューブCの凹部に嵌合されることとなる(図6参照)。
【0031】
蓋部32は、開口部分30を閉じた状態において、上下方向Zに対して垂直となる枢動板320と、枢動板320の後端縁に沿って配置される後縁板322とを有している。後縁板322は、枢動板320から下方側Dに向かって延設されており、左右方向Yの左端部分及び右端部分に後述する凹形掛合部36が設けられている。そして、かかる凹形掛合部36が樹脂板331を介して後側板314につながっている。そのため、枢動板320の先端部分32tを前側板311の上端部分から離間する方向に枢動させると開口部分30が開くこととなる(図6参照)。反対に、枢動板320の先端部分32tを前側板311の上端部分に近接する方向に枢動させると開口部分30が閉じることとなる(図7参照)。
【0032】
また、蓋部32には、挿通空間Saの中心軸に向かって突出するリブ32rが設けられている。詳しく説明すると、蓋部32における左方側Lの端部には、挿通空間Saの中心軸に向かって突出する三枚のリブ32rが設けられ、蓋部32における右方側Rの端部にも、挿通空間Saの中心軸に向かって突出する三枚のリブ32rが設けられている。これらのリブ32rは、左方側Lあるいは右方側Rから視て上方側Uが円弧状につながった逆U字状とされている。そのため、これらのリブ32rは、受部31に対して蓋部32を閉じた際にコルゲートチューブCの凹部に嵌合されることとなる(図7参照)。
【0033】
支持部33は、受部31に対して蓋部32を枢動自在に支持する。支持部33は、後側板314の上端部分における左右方向Yに沿う一辺と、凹形掛合部36の張出板363の下端縁における左右方向Yに沿う一辺とを樹脂板331でつないだ構成とされている。
【0034】
樹脂板331は、その板厚が後側板314及び張出板363に比べて薄く形成されており、左右方向Yに沿う仮想上の軸を回転軸として回転方向に屈伸(屈曲又は延伸)することが可能である。このため、支持部33は、枢動板320の先端部分32tを前側板311の上端部分から離間する方向に枢動させたり、近接する方向に枢動させたりすることを可能としている(図6及び図7参照)。
【0035】
係止部34は、受部31に対して蓋部32を閉じると互いを係止可能とする。係止部34は、枢動板320の先端部分32tに設けられた係止片341と、前側板311の上端部分に設けられた係止環342との組み合わせで構成されている(図3(b)及び図5(a)参照)。
【0036】
係止片341は、枢動板320の先端部分32tに枢動板320に対して垂直に形成されている。係止片341は、枢動板320が開口部分30を閉じた状態において、前後方向Xに短く左右方向Yに長い矩形断面の板であり、その前面に係止爪34fが形成されている(図3(b)及び図5(a)参照)。
【0037】
係止環342は、前側板311に対して所定の間隔を隔てて平行に配置された張出板343と、前側板311ならびに張出板343に対して垂直、かつ互いに対して所定の間隔を隔てて平行に配置された支持板344とで略角筒状に形成されている(図3(b)及び図5(a)参照)。そして、その内側には上下方向Zに貫通する貫通孔が形成されている。そのため、係止片341を係止環342に挿入することができる。このとき、係止片341の係止爪34fが係止環342を構成する張出板343に引っ掛かることとなる。
【0038】
カセット係止部35は、後側板314の後面における左右方向Yの中央部分に一体的に設けられている。カセット係止部35は、主に係止板351と、一対の案内板352,353とで構成されている(図2(a)及び図3(b)参照)。係止板351は、後側板314との連設部分を除いて後側板314に対して所定の間隔を隔てて平行に配置されている。係止板351における左右方向Yの中央部分は、下端縁から上下方向Zの中途部分まで切り欠かれている。そのため、係止板351には、左方側Lの一部と右方側Rの一部をつなぐ連結部分35cが形成されている。かかる連結部分35cが係止片として機能する。
【0039】
また、案内板352,353は、後側板314から後方側Bに向かって延設されている。案内板352は、係止板351との連設部分を除いて係止板351の左端縁に沿って所定の間隔を隔てて配置されている。案内板353は、係止板351との連設部分を除いて係止板351の右端縁に沿って所定の間隔を隔てて配置されている。そして、これら案内板352,353は、後述するインサート係止部67(図14参照)の左右方向Yの寸法よりも僅かに広い間隔を空けて平行に配置されている。そのため、これら案内板352,353は、インサート係止部67を真っすぐに案内するガイドプレートとして機能する。
【0040】
凹形掛合部36は、後縁板322の後面における左右方向Yの左端部分及び右端部分に一体的に設けられた掛合環362である。掛合環362は、後縁板322に対して所定の間隔を隔てて平行に配置された張出板363と、後縁板322ならびに張出板363に対して垂直、かつ互いに対して所定の間隔を隔てて平行に配置された支持板364とで略角筒状に形成されている(図3(b)及び図5(a)参照)。そして、その内側には上下方向Zに貫通する貫通孔(以降、掛合孔36hとする)が形成されている。そのため、凸形掛合部68の掛合片684を掛合環362(掛合孔36h)に挿入することができる(図14参照)。このとき、掛合片684の掛合爪が掛合環362を構成する張出板363に引っ掛かるとしてもよい。
【0041】
なお、凹形掛合部36は、張出板363の下端縁が樹脂板331を介して後側板314につながっている。すると、樹脂板331が屈曲して蓋部32が閉じられると、凹形掛合部36の掛合環362が上方側Uに開口を向けることとなる。つまりは、蓋部32に設けられた掛合孔36hが上方側Uに開口を向けることとなる。そのため、凸形掛合部68の掛合片684を上方側Uから掛合環362(掛合孔36h)に挿入すれば、蓋部32を閉状態で拘束することが可能となる。加えて、掛合環362を構成する張出板363は、連結された追加固定具本体5の重量等に起因して下方側Dに撓もうとする荷重が掛かるために剛性が求められる。そのため、前述したリブ32rが後縁板322よりも後方側Bに向かって延設され、張出板363の左右方向Yの中央部分につながっている。
【0042】
固定部4は、略直方体形状に形成された受部41を有している。また、固定部4は、例えばシャシフレームCf(図19(a)参照)から突出したスタッドボルトBsを把持可能とするボルト把持部42を有している。さらに、固定部4は、例えばコネクタボックスCb(図19(b)参照)に設けられたインサート係止部Riに係止可能とするカセット係止部45を有している。インサート係止部Riはインサート係止部67と同じものであり、カセット係止部45はカセット係止部35と同じものである。
【0043】
受部41は、上下方向Zに対して垂直となる中間板410と、中間板410の前端縁に沿って配置される前側板411と、中間板410の左端縁に沿って配置される左側板412と、中間板410の右端縁に沿って配置される右側板413とを有している。前側板411は、中間板410から上方側U及び下方側Dに向かって延設されており、前述した前側板311に対して平行とされている。また、左側板412と右側板413も、中間板410から上方側U及び下方側Dに向かって延設されており、互いに対して平行とされている。
【0044】
ボルト把持部42は、中間板410を上下方向Zに挟み込むようにして取り付けられている。ボルト把持部42は、上端部分が拡径された円筒体420を有している。そして、かかる円筒体420の内部にボルト把持構造421を備えている(図4(b)及び図5(b)参照)。ボルト把持構造は、一対の把持片422,423で構成されており、一方の把持片422が上下方向Zの中央位置から右斜め下方側に向かって延設され、他方の把持片423が上下方向Zの中央位置から左斜め下方側に向かって延設されている。それぞれの把持片422,423には、係止爪42fが形成されている。
【0045】
また、これら把持片422,423は、互いに対象形状とされているものの、スタッドボルトBs(図19(a)参照)のピッチ長さの半分の値だけ上下方向Zに変位している。すなわち、把持片422は、把持片423よりもスタッドボルトBsのピッチ長さの半分の値だけ下方側Dに変位した位置に設けられている。換言すると、把持片423は、把持片422よりもスタッドボルトBsのピッチ長さの半分の値だけ上方側Uに変位した位置に設けられている。そのため、把持片422の係止爪42fと把持片423の係止爪42fがともにスタッドボルトBsの螺旋状に形成されたネジ溝に引っ掛かることとなる。
【0046】
カセット係止部45は、前側板411の前面における左右方向Yの中央部分に一体的に設けられている。カセット係止部45は、主に係止板451と、一対の案内板452,453とで構成されている(図2(b)及び図3(b)参照)。係止板451は、前側板411との連設部分を除いて前側板411に対して所定の間隔を隔てて平行に配置されている。係止板451における左右方向Yの中央部分は、下端縁から上下方向Zの中途部分まで切り欠かれている。そのため、係止板451には、左方側Lの一部と右方側Rの一部をつなぐ連結部分45cが形成されている。かかる連結部分45cが係止片として機能する。
【0047】
また、案内板452,453は、前側板411から前方側Fに向かって延設されている。案内板452は、係止板451との連設部分を除いて係止板451の左端縁に沿って所定の間隔を隔てて配置されている。案内板453は、係止板451との連設部分を除いて係止板451の右端縁に沿って所定の間隔を隔てて配置されている。そして、これら案内板452,433は、後述するインサート係止部Ri(図19(b)参照)の左右方向Yの寸法よりも僅かに広い間隔を空けて平行に配置されている。そのため、これら案内板452,453は、インサート係止部67を真っすぐに案内するガイドプレートとして機能する。
【0048】
なお、前述したように、インサート係止部Riはインサート係止部67と同じものであり、カセット係止部45はカセット係止部35と同じものである。そのため、基本固定具本体2のカセット係止部45に追加固定具本体5のインサート係止部67を連結することも可能である。
【0049】
図8から図13に示すように、追加固定具本体5は、主に外装付ハーネスWHを保持する保持部6で構成されている。追加固定具本体5も、ポリプロピレン等の樹脂材からなる射出成形品である。
【0050】
保持部6は、略直方体形状に形成された受部61と、その一面に形成された開口を塞ぐ蓋部62を有している。また、保持部6は、受部61に対して蓋部62を枢動自在に支持する支持部63と、受部61に対して蓋部62を閉じた状態で係止する係止部64(図9(b)及び図11(a)参照)とを有している。さらに、保持部6は、追加固定具本体5との連結に用いるカセット係止部65と凹形掛合部66とインサート係止部67と凸形掛合部68とを有している。
【0051】
受部61は、外装付ハーネスWHの下方側Dの外周面に沿う半円管状の底側板610と、底側板610の前端縁に沿って配置される前側板611と、底側板610の左端縁に沿って配置される左側板612と、底側板610の右端縁に沿って配置される右側板613と、底側板610の後端縁に沿って配置される後側板614とを有している。前側板611と後側板614は、底側板610から上方側U及び下方側Dに向かって延設されており、互いに対して平行とされている。こうして、前側板611の上端部分と後側板614の上端部分の間に開口部分60(図12参照)が形成されている。そして、受部61の内側には、左右方向Yに沿って外装付ハーネスWHが挿通される挿通空間Sbが形成されている。
【0052】
また、受部61には、挿通空間Sbの中心軸に向かって突出するリブ61rが設けられている。詳しく説明すると、受部61における左方側Lの端部には、挿通空間Sbの中心軸に向かって突出する三枚のリブ61rが設けられ、受部61における右方側Rの端部にも、挿通空間Sbの中心軸に向かって突出する三枚のリブ61rが設けられている。これらのリブ61rは、左方側Lあるいは右方側Rから視て下方側Dが円弧状につながったU字状とされている。そのため、これらのリブ61rは、上方側Uから嵌め込まれるコルゲートチューブCの凹部に嵌合されることとなる(図12参照)。
【0053】
蓋部62は、開口部分60を閉じた状態において、上下方向Zに対して垂直となる枢動板620と、枢動板620の後端縁に沿って配置される後縁板622とを有している。後縁板622は、枢動板620から下方側Dに向かって延設されており、左右方向Yの左端部分及び右端部分に後述する凹形掛合部66が設けられている。そして、かかる凹形掛合部66が樹脂板631を介して後側板614につながっている。そのため、枢動板620の先端部分62tを前側板611の上端部分から離間する方向に枢動させると開口部分60が開くこととなる(図12参照)。反対に、枢動板620の先端部分62tを前側板611の上端部分に近接する方向に枢動させると開口部分60が閉じることとなる(図13参照)。
【0054】
また、蓋部62には、挿通空間Sbの中心軸に向かって突出するリブ62rが設けられている。詳しく説明すると、蓋部62における左方側Lの端部には、挿通空間Sbの中心軸に向かって突出する三枚のリブ62rが設けられ、蓋部62における右方側Rの端部にも、挿通空間Sbの中心軸に向かって突出する三枚のリブ62rが設けられている。これらのリブ62rは、左方側Lあるいは右方側Rから視て上方側Uが円弧状につながった逆U字状とされている。そのため、これらのリブ62rは、受部61に対して蓋部62を閉じた際にコルゲートチューブCの凹部に嵌合されることとなる(図13参照)。
【0055】
支持部63は、受部61に対して蓋部62を枢動自在に支持する。支持部63は、後側板614の上端部分における左右方向Yに沿う一辺と、凹形掛合部66の張出板663の下端縁における左右方向Yに沿う一辺とを樹脂板631でつないだ構成とされている。
【0056】
樹脂板631は、その板厚が後側板614及び張出板663に比べて薄く形成されており、左右方向Yに沿う仮想上の軸を回転軸として回転方向に屈伸(屈曲又は延伸)することが可能である。このため、支持部63は、枢動板620の先端部分62tを前側板611の上端部分から離間する方向に枢動させたり、近接する方向に枢動させたりすることを可能としている(図12及び図13参照)。
【0057】
係止部64は、受部61に対して蓋部62を閉じると互いを係止可能とする。係止部64は、枢動板620の先端部分62tに設けられた係止片641と、前側板611の上端部分に設けられた係止環642との組み合わせで構成されている(図9(b)及び図11(a)参照)。
【0058】
係止片641は、枢動板620の先端部分62tに枢動板620に対して垂直に形成されている。係止片641は、枢動板620が開口部分60を閉じた状態において、前後方向Xに短く左右方向Yに長い矩形断面の板であり、その前面に係止爪64fが形成されている(図9(b)及び図11(a)参照)。
【0059】
係止環642は、前側板611に対して所定の間隔を隔てて平行に配置された張出板643と、前側板611ならびに張出板643に対して垂直、かつ互いに対して所定の間隔を隔てて平行に配置された支持板644とで略角筒状に形成されている(図9(b)及び図11(a)参照)。そして、その内側には上下方向Zに貫通する貫通孔が形成されている。そのため、係止片641を係止環642に挿入することができる。このとき、係止片641の係止爪64fが係止環642を構成する張出板643に引っ掛かることとなる。
【0060】
カセット係止部65は、後側板614の後面における左右方向Yの中央部分に一体的に設けられている。カセット係止部65は、主に係止板651と、一対の案内板652,653とで構成されている(図8(a)及び図9(b)参照)。係止板651は、後側板614との連設部分を除いて後側板614に対して所定の間隔を隔てて平行に配置されている。係止板651における左右方向Yの中央部分は、下端縁から上下方向Zの中途部分まで切り欠かれている。そのため、係止板651には、左方側Lの一部と右方側Rの一部をつなぐ連結部分65cが形成されている。かかる連結部分65cが係止片として機能する。
【0061】
また、案内板652,653は、後側板614から後方側Bに向かって延設されている。案内板652は、係止板651との連設部分を除いて係止板651の左端縁に沿って所定の間隔を隔てて配置されている。案内板653は、係止板651との連設部分を除いて係止板651の右端縁に沿って所定の間隔を隔てて配置されている。そして、これら案内板652,653は、後述するインサート係止部67(図15参照)の左右方向Yの寸法よりも僅かに広い間隔を空けて平行に配置されている。そのため、これら案内板652,653は、インサート係止部67を真っすぐに案内するガイドプレートとして機能する。
【0062】
凹形掛合部66は、後縁板622の後面における左右方向Yの左端部分及び右端部分に一体的に設けられた掛合環662である。掛合環662は、後縁板622に対して所定の間隔を隔てて平行に配置された張出板663と、後縁板622ならびに張出板663に対して垂直、かつ互いに対して所定の間隔を隔てて平行に配置された支持板664とで略角筒状に形成されている(図9(b)及び図11(a)参照)。そして、その内側には上下方向Zに貫通する貫通孔(以降、掛合孔66hとする)が形成されている。そのため、凸形掛合部68の掛合片684を掛合環662(掛合孔66h)に挿入することができる(図15参照)。このとき、掛合片684の掛合爪が掛合環662を構成する張出板663に引っ掛かるとしてもよい。
【0063】
なお、凹形掛合部66は、張出板663の下端縁が樹脂板331を介して後側板614につながっている。すると、樹脂板631が屈曲して蓋部62が閉じられると、凹形掛合部66の掛合環662が上方側Uに開口を向けることとなる。つまりは、蓋部62に設けられた掛合孔66hが上方側Uに開口を向けることとなる。そのため、凸形掛合部68の掛合片684を上方側Uから掛合環662(掛合孔66h)に挿入すれば、蓋部62を閉状態で拘束することが可能となる。加えて、掛合環662を構成する張出板663は、連結された追加固定具本体5の重量等に起因して下方側Dに撓もうとする荷重が掛かるために剛性が求められる。そのため、前述したリブ62rが後縁板622よりも後方側Bに向かって延設され、張出板663の左右方向Yの中央部分につながっている。
【0064】
インサート係止部67は、前側板611の前面における左右方向Yの中央部分に一体的に設けられている。インサート係止部67は、主に係止板671と、一対の案内板672,673とで構成されている(図8(b)及び図9(b)参照)。係止板671は、左右方向Yの中央部分において下方側Dに延設された部位であり、前側板611に対して所定の間隔を隔てて平行に配置されている。そして、かかる係止板671の後面に係止爪67fが形成されている(図10(b)参照)。
【0065】
また、案内板672,673は、前側板611から前方側Fに向かって延設されている。案内板672は、係止板671との連設部分を除いて係止板671の左端縁に沿って所定の間隔を隔てて配置されている。案内板673は、係止板671との連設部分を除いて係止板671の右端縁に沿って所定の間隔を隔てて配置されている。そして、これら案内板672,673は、前述したカセット係止部35,65(図14及び図15参照)の左右方向Yの寸法よりも僅かに狭い間隔を空けて平行に配置されている。そのため、これら案内板672,673は、カセット係止部35を真っすぐに案内するガイドプレートとして機能する。
【0066】
凸形掛合部68は、前側板611の前面における左右方向Yの左端部分及び右端部分に一体的に設けられた掛合腕である。掛合腕は、前側板611に対して所定の間隔を隔てて垂直に配置された延出板682と、前側板611ならびに延出板682に対して垂直、かつ互いに対して所定の間隔を隔てて平行に配置された支持板683と、延出板682の前端縁に沿って下方側Dに向かって突出する掛合片684とで略鉤形状に形成されている(図9(a)及び図11(a)参照)。延出板682は、前述した係止環642の張出板643と一体的に形成されており、支持板683は、支持板644と一体的に形成されている。
【0067】
また、掛合片684は、枢動板620が開口部分60を閉じた状態において、前後方向Xに短く左右方向Yに長い矩形断面の板状に形成されている。そして、その左右方向Yの横幅は、前述した掛合孔36h,66hの左右方向Yの隙間にほぼ等しいものとされている。そのため、かかる掛合片684を掛合孔36h,66hに挿入すれば、ガタつくことなく嵌合されることとなる(図14及び図15参照)。このとき、掛合片684の掛合爪が掛合環362、662を構成する張出板363,663に引っ掛かるとしてもよい。掛合片684は、掛合孔36h,66hに挿入しやすいよう、先端側に向かって先細りとなっている。
【0068】
ところで、図14に示すように、本ハーネス固定具1は、基本固定具本体2に対して追加固定具本体5を連結することができる。すなわち、基本固定具本体2のカセット係止部35に対して追加固定具本体5のインサート係止部67を上方側Uから嵌め込むことにより、これらを連結することができる。このとき、係止板351における左方側Lの一部と右方側Rの一部をつなぐ連結部分35cに係止板671の係止爪67fが引っ掛かることとなる(図17参照)。同時に、凹形掛合部36である掛合環362に凸形掛合部68を構成する掛合片684が挿入されることとなる。つまりは、掛合孔36hに掛合片684が挿入されることとなる(図18参照)。このように、本実施形態に係るハーネス固定具1は、カセット係止部35とインサート係止部67とで係止連結部を構成している。また、凹形掛合部36と凸形掛合部68とで掛合連結部を構成している。
【0069】
また、図15に示すように、本ハーネス固定具1は、追加固定具本体5に対して別途の追加固定具本体5を連結することができる。すなわち、追加固定具本体5のカセット係止部65に対して別途の追加固定具本体5のインサート係止部67を上方側Uから嵌め込むことにより、これらを連結することができる。このとき、係止板651における左方側Lの一部と右方側Rの一部をつなぐ連結部分65cに係止板671の係止爪67fが引っ掛かることとなる(図17参照)。同時に、凹形掛合部66である掛合環662に凸形掛合部68を構成する掛合片684が挿入されることとなる。つまりは、掛合孔66hに掛合片684が挿入されることとなる(図18参照)。このように、本実施形態に係るハーネス固定具1は、カセット係止部65とインサート係止部67とで係止連結部を構成している。また、凹形掛合部66と凸形掛合部68とで掛合連結部を構成している。
【0070】
なお、図19(a)に示すように、ハーネス固定具1は、固定部4にボルト把持部42が設けられており、かかるボルト把持部42によってスタッドボルトBsを把持することができる。本実施形態に係るハーネス固定具1は、シャシフレームCfから突出したスタッドボルトBsに対して下方側Dからボルト把持部42を嵌め合わせることで、取り付けられる。
【0071】
加えて、図19(b)に示すように、ハーネス固定具1は、固定部4にカセット係止部45が設けられており、かかるカセット係止部45によってインサート係止部Riと係止させることもできる。本実施形態に係るハーネス固定具1は、コネクタボックスCbに設けられたインサート係止部67に対して下方側Dからカセット係止部45を嵌め合わせることで、取り付けられる。
【0072】
以上のように、本実施形態に係るハーネス固定具1は、長手方向(左右方向Y)に交差する交差方向(左右方向Y)に並置された複数の外装付ハーネスWHを保持するとともにシャシフレームCf等に固定できるものであり、外装付ハーネスWHを保持する保持部3,6が設けられた複数の固定具本体を有し、固定具本体は、保持部3に加えてシャシフレームCf等に固定できる固定部4及び隣接する追加固定具本体5との連結に用いられるカセット係止部35が設けられた基本固定具本体2と、保持部6に加えてカセット係止部65及びカセット係止部35に係止可能とするインサート係止部67が設けられた追加固定具本体5とを有し、カセット係止部35,65とインサート係止部67とで構成される係止連結部によって固定具本体同士(基本固定具本体2と追加固定具本体5ならびに追加固定具本体5と追加固定具本体5)を連結することを特徴としている。
【0073】
このようなハーネス固定具1によれば、外装付ハーネスWHの保持本数を変更できる。
詳述すると、本願発明に係るハーネス固定具1は、長手方向(左右方向Y)に交差する交差方向(左右方向Y)に並置された複数の外装付ハーネスWHを保持するとともにシャシフレームCf等に固定できるものであり、外装付ハーネスWHを保持する保持部3,6が設けられた複数の固定具本体を有している。固定具本体は、保持部3に加えてシャシフレームCf等に固定できる固定部4及び隣接する追加固定具本体5との連結に用いられるカセット係止部35が設けられた基本固定具本体2と、保持部6に加えてカセット係止部65及び隣接する基本固定具本体2のカセット係止部35あるいは追加固定具本体5のカセット係止部65に係止可能とするインサート係止部67が設けられた追加固定具本体5とを有し、カセット係止部35,65とインサート係止部67とで構成される係止連結部によって固定具本体同士(基本固定具本体2と追加固定具本体5ならびに追加固定具本体5と追加固定具本体5)を連結する。
このような構成によれば、基本固定具本体2に対して追加固定具本体5を連結することができる。また、基本固定具本体2に連結された追加固定具本体5に対して別途の追加固定具本体5を連結することもできる。そのため、基本固定具本体2に追加固定具本体5を連結した状態においては、二本の外装付ハーネスWHを保持することができる。また、基本固定具本体2に連結された追加固定具本体5に別途の追加固定具本体5を連結した状態においては、三本の外装付ハーネスWHを保持することができる。このように、基本固定具本体2に加えて外装付ハーネスWHの本数から1を引いた数の追加固定具本体5を用意し、これらを連結することで、全ての外装付ハーネスWHを保持することができる。したがって、本願発明に係るハーネス固定具1は、外装付ハーネスWHの保持本数を変更できる。
【0074】
また、本実施形態に係るハーネス固定具1において、基本固定具本体2は、隣接する追加固定具本体5との連結に用いられる凹形掛合部36が設けられ、追加固定具本体5は、凹形掛合部66及び隣接する基本固定具本体2の凹形掛合部36あるいは追加固定具本体5の凹形掛合部66に係止可能とする凸形掛合部68が設けられ、凹形掛合部36,66と凸形掛合部68とで構成される掛合連結部によって固定具本体同士(基本固定具本体2と追加固定具本体5ならびに追加固定具本体5と追加固定具本体5)同士を連結している。
【0075】
このようなハーネス固定具1によれば、固定具本体同士(基本固定具本体2と追加固定具本体5ならびに追加固定具本体5と追加固定具本体5)が係止連結部だけでなく掛合連結部によっても連結するため、連結部分の剛性を確保することができる。また、固定具本体同士(基本固定具本体2と追加固定具本体5ならびに追加固定具本体5と追加固定具本体5)が態様の異なる連結部(係止連結部及び掛合連結部)で連結されるため、連結部分が意図せずに外れてしまうことを防止できる。さらには、これら固定具本体同士(基本固定具本体2と追加固定具本体5ならびに追加固定具本体5と追加固定具本体5)のガタつきを抑えることも可能となる。
【0076】
また、本実施形態に係るハーネス固定具1において、固定具本体(基本固定具本体2及び追加固定具本体5)は、外装付ハーネスWHを収容する受部31,61と受部31,61の開口部分30,60を閉じる蓋部32,62とを有し、凹形掛合部36,66が、隣接する一方の固定具本体(基本固定具本体2又は追加固定具本体5)の蓋部32,62に設けられており、凸形掛合部68が、隣接する他方の追加固定具本体5の受部61に設けられている。
【0077】
このようなハーネス固定具1によれば、凹形掛合部36,66が隣接する一方の固定具本体(基本固定具本体2又は追加固定具本体5)の蓋部32,62に設けられており、かかる蓋部32,62が閉じた状態における凹形掛合部36,66に対して凸形掛合部68が掛合するので、蓋部32,62が意図せずに開いてしまうことを防止できる。つまりは、固定具本体同士(基本固定具本体2と追加固定具本体5ならびに追加固定具本体5と追加固定具本体5)同士を連結すると、蓋部32,62に設けられた凹形掛合部36,66に対して凸形掛合部68が掛合するので、蓋部32,62を閉状態で拘束することが可能となる。
【0078】
また、本実施形態に係るハーネス固定具1において、凹形掛合部36,66が、掛合孔36h,66hであり、凸形掛合部68が、掛合片684であり、掛合孔36h,66hと掛合片684が嵌合された状態で連結してもよい。
【0079】
このようなハーネス固定具1によれば、凹形掛合部36,66の掛合孔36h,66hと凸形掛合部68の掛合片684が嵌合して連結されるため、簡素な構成でありながら確実に掛合連結部による連結を完了することができる。したがって、素早く、かつ確実に掛合連結部による連結を完了することができる。
【0080】
また、本実施形態に係るハーネス固定具1において、保持部3,6には、長手方向(左右方向Y)に沿って延設された部分の内周面に、外装付ハーネスWHに外装されるコルゲートチューブCの外周面に形成された凹部に嵌合するリブ31r,32r,61r,62rが設けられている。
【0081】
このようなハーネス固定具1によれば、保持部3,6に設けられたリブ31r,32r,61r,62rが外装付ハーネスWHに外装されたコルゲートチューブCの凹部に嵌合されるため、外装付ハーネスWHが長手方向(左右方向Y)に押されたり引っ張られたりしても、外装付ハーネスWHの長手方向(左右方向Y)における保持位置がズレてしまうことを防止できる。
【0082】
この発明の構成と前述の実施形態との対応において、
ハーネス固定具はハーネス固定具1に対応し、
基本固定具本体は基本固定具本体2に対応し、
保持部は保持部3に対応し、
固定部は固定部4に対応し、
追加固定具本体は追加固定具本体5に対応し、
保持部は保持部6に対応し、
受部は受部31,61に対応し、
蓋部は蓋部32,62に対応し、
支持部は支持部33,63に対応し、
一方側係止部はカセット係止部35,65に対応し、
一方側掛合部は凹形掛合部36,66に対応し、
他方側係止部はインサート係止部67に対応し、
他方側掛合部は凸形掛合部68に対応し、
掛合孔は掛合環362、662に対応し、
凸形部は掛合片684に対応し、
凹形部は掛合孔36h,66hに対応し、
嵌合部はリブ31r,32r、61r,62rに対応し、
ワイヤーハーネスはワイヤーハーネスWに対応し、
外装部材はコルゲートチューブCに対応し、
固定対象はシャシフレームCfに対応するも、
この発明は、前述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施形態を得ることができる。
【0083】
例えば本実施形態に係るハーネス固定具1においては、凸形掛合部68が受部61に設けられている。しかし、図20に示すように、凸形掛合部68が蓋部62に設けられてもよい。すなわち、蓋部62を構成する枢動板620の左右方向Yの左端部分及び右端部分が支持部63から離間する方向に延出されており、かかる延出板682の先端縁に沿って垂直に掛合片684が設けられていてもよい。
【0084】
詳しく説明すると、別実施形態に係るハーネス固定具1においては、受部31,61に対して蓋部32,62を枢動自在に支持する支持部33,63を有し、凹形掛合部36,66が、蓋部32,62における支持部33,63の側(後方側B)に設けられ、凸形掛合部68が、蓋部62における支持部63の側の反対側に設けられてもよい。
【0085】
このようなハーネス固定具1によれば、隣接する一方の固定具本体(基本固定具本体2又は追加固定具本体5)の蓋部32,62を閉じると、蓋部32,62に設けられた凹形掛合部36,66が上方側Uに掛合孔36h,66hを向けることとなる。そして、隣接する他方の追加固定具本体5の蓋部62を閉じると、かかる蓋部62に設けられた凸形掛合部68が下方側Dに向かって移動して掛合片684が掛合孔36h,66hに挿入されることとなる。そのため、係止連結部によって連結された各固定具本体(基本固定具本体2及び追加固定具本体5)の蓋部32,62を連結順に閉じていくことにより、簡素な構成でありながら確実に掛合連結部による連結を完了することができる。したがって、素早く掛合連結部による連結を完了させることができるとともに、蓋部32,62に設けられた凹形掛合部36,66に対して凸形掛合部68が掛合するので、蓋部32,62を閉状態で拘束することが可能となる。
【0086】
また、本実施形態に係るハーネス固定具1は、保持部3の内側面にリブ31r,32rが設けられており、かかるリブ31r,32rがコルゲートチューブCの外周面に形成された凹部に嵌合する。しかし、保持部3の内側面にスリットが設けられており、かかるスリットがコルゲートチューブCの外周面に形成された凸部に嵌合するとしてもよい。もちろん保持部3の内側面にリブとスリットの両方が設けられており、これらがコルゲートチューブCの外周面に形成された凹部や凸部に嵌合するとしてもよい。
【0087】
これは、保持部6においても同様である。すなわち、保持部6の内側面にスリットが設けられており、かかるスリットがコルゲートチューブCの外周面に形成された凸部に嵌合するとしてもよい。もちろん保持部6の内側面にリブとスリットの両方が設けられており、これらがコルゲートチューブCの外周面に形成された凹部や凸部に嵌合するとしてもよい。
【0088】
さらに、本実施形態に係るハーネス固定具1は、ワイヤーハーネスWの外装部材としてコルゲートチューブCが用いられている。しかし、外装部材としてビニルチューブ等の軟質管やアルミチューブ等の硬質管が用いられていてもよい。また、ハーネス固定具1を境界として長手方向(左右方向Y)の一方側と他方側で外装部材の種類を変えてもよい。あるいは一のワイヤーハーネスWの外装部材と他のワイヤーハーネスWの外装部材の種類を変えてもよい。
【0089】
加えて、本実施形態に係るハーネス固定具1は、基本固定具本体2が固定部4を有している。しかし、固定部4を有さない構成であってもよい。このようにしても、外装付ハーネスWHを保持して纏める機能を発揮できる。また、本実施形態に係るハーネス固定具1は、固定部4がボルト把持部42とカセット係止部45を有している。しかし、ボルト把持部42とカセット係止部45のいずれか一方のみを有してもよい。あるいは他の固定構造を有してもよい。
【符号の説明】
【0090】
1…ハーネス固定具
2…基本固定具本体
3…保持部
4…固定部
5…追加固定具本体
6…保持部
31…受部
32…蓋部
33…支持部
35…カセット係止部
36…凹形掛合部
61…受部
62…蓋部
63…支持部
65…カセット係止部
66…凹形掛合部
67…インサート係止部
68…凸形掛合部
362…掛合環
662…掛合環
684…掛合片
36h…掛合孔
66h…掛合孔
31r…リブ
32r…リブ
61r…リブ
62r…リブ
W…ワイヤーハーネス
C…コルゲートチューブ
Cf…シャシフレーム
図1
図2
図3
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図5
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図20