(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024048046
(43)【公開日】2024-04-08
(54)【発明の名称】基板搬送システム及び画像補正方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/677 20060101AFI20240401BHJP
【FI】
H01L21/68 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022153878
(22)【出願日】2022-09-27
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】垰田 勇
【テーマコード(参考)】
5F131
【Fターム(参考)】
5F131AA02
5F131BA03
5F131BA04
5F131BA15
5F131BA19
5F131BB03
5F131BB23
5F131CA18
5F131DB02
5F131DB52
5F131DB57
5F131DB82
5F131GA14
5F131GA33
5F131HA09
5F131HA12
5F131HA13
5F131KA12
5F131KA47
5F131KA72
5F131KB02
5F131KB52
5F131KB55
(57)【要約】
【課題】高精度に基板を撮像する基板搬送システム及び画像補正方法を提供する。
【解決手段】基板を保持する基板保持部を有する搬送装置と、前記基板の搬送経路に設けられ、搬送される前記基板の裏面及び前記基板保持部を撮像する下側ラインカメラと、前記基板の前記搬送経路に設けられ、搬送される前記基板の表面を撮像する上側ラインカメラと、前記下側ラインカメラで撮像された画像に基づいて裏面画像を生成し、前記上側ラインカメラで撮像された画像に基づいて表面画像を生成する、制御部と、を備える、基板搬送システム。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を保持する基板保持部を有する搬送装置と、
前記基板の搬送経路に設けられ、搬送される前記基板の裏面及び前記基板保持部を撮像する下側ラインカメラと、
前記基板の前記搬送経路に設けられ、搬送される前記基板の表面を撮像する上側ラインカメラと、
前記下側ラインカメラで撮像された画像に基づいて裏面画像を生成し、前記上側ラインカメラで撮像された画像に基づいて表面画像を生成する、制御部と、を備える、
基板搬送システム。
【請求項2】
前記基板保持部は、前記基板の搬送方向に延びる直線部を有し、
前記制御部は、
前記裏面画像から前記基板保持部の前記直線部を検出可能に構成され、
検出した前記裏面画像の前記直線部の形状から前記基板保持部の傾き及び前記基板の搬送軌跡の蛇行量を検出可能に構成される、
請求項1に記載の基板搬送システム。
【請求項3】
前記制御部は、
前記基板保持部の傾き及び前記基板の搬送軌跡の蛇行量に基づいて、前記表面画像を補正することが可能に構成される、
請求項2に記載の基板搬送システム。
【請求項4】
前記制御部は、
前記基板保持部の傾き及び前記基板の搬送軌跡の蛇行量に基づいて、前記裏面画像を補正することが可能に構成される、
請求項2に記載の基板搬送システム。
【請求項5】
前記制御部は、
補正された前記表面画像に基づいて、前記基板の表面に形成された膜の膜厚を検出することが可能に構成される、
請求項3に記載の基板搬送システム。
【請求項6】
前記制御部は、
補正された前記表面画像に基づいて、前記基板の表面に形成された放電痕を検出することが可能に構成される、
請求項3に記載の基板搬送システム。
【請求項7】
前記制御部は、
補正された前記裏面画像に基づいて、前記基板の裏面中央部に形成された放電痕を検出することが可能に構成される、
請求項5に記載の基板搬送システム。
【請求項8】
前記搬送装置は、前記基板保持部の動作を検出する動作検出部を有し、
前記制御部は、
前記動作検出部で検出した前記基板の搬送軌跡の蛇行量と、前記裏面画像から検出した搬送軌跡の蛇行量と、を比較して、傾向が一致するか否かを判定することが可能に構成される、
請求項2乃至請求項7のいずれか1項に記載の基板搬送システム。
【請求項9】
前記下側ラインカメラ及び前記上側ラインカメラは、
前記搬送経路と交差する方向に配列される複数の検出素子を有する、
請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の基板搬送システム。
【請求項10】
前記基板保持部は、
基部と、
前記基部から延出する2つの延出部を有する、
請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の基板搬送システム。
【請求項11】
前記搬送経路は、大気雰囲気に設けられる、
請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の基板搬送システム。
【請求項12】
基板を保持し、前記基板の搬送方向に延びる直線部を含む基板保持部を有する搬送装置と、前記基板の搬送経路に設けられ、搬送される前記基板の裏面及び前記基板保持部を撮像する下側ラインカメラと、前記基板の前記搬送経路に設けられ、搬送される前記基板の表面を撮像する上側ラインカメラと、を備える基板搬送システムによって撮像される画像の画像補正方法であって、
前記基板を搬送して前記基板の表面を前記上側ラインカメラで表面画像を撮像し、前記基板の裏面及び前記基板保持部を前記下側ラインカメラで裏面画像を撮像する工程と、
前記裏面画像から前記基板保持部の前記直線部を検出する工程と、
検出した前記裏面画像の前記直線部の形状から前記基板保持部の傾き及び前記基板の搬送軌跡の蛇行量を検出する工程と、
前記基板保持部の傾き及び前記基板の搬送軌跡の蛇行量から前記表面画像を補正する工程と、を有する、
画像補正方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板搬送システム及び画像補正方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、基板の下面を撮像するためのラインカメラを備える基板検査装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一の側面では、本開示は、高精度に基板を撮像する基板搬送システム及び画像補正方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、一の態様によれば、基板を保持する基板保持部を有する搬送装置と、前記基板の搬送経路に設けられ、搬送される前記基板の裏面及び前記基板保持部を撮像する下側ラインカメラと、前記基板の前記搬送経路に設けられ、搬送される前記基板の表面を撮像する上側ラインカメラと、前記下側ラインカメラで撮像された画像に基づいて裏面画像を生成し、前記上側ラインカメラで撮像された画像に基づいて表面画像を生成する、制御部と、を備える、基板搬送システムが提供される。
【発明の効果】
【0006】
一の側面によれば、本開示は、高精度に基板を撮像する基板搬送システム及び画像補正方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】一実施形態に係る基板搬送システム100の構成を示す概略図の一例。
【
図3】アライナモジュールを上方からみた模式図の一例。
【
図4】アライナモジュールを上方からみた模式図の一例。
【
図5】基板の撮像処理を説明するフローチャートの一例。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本開示を実施するための形態について説明する。各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
【0009】
<基板搬送システム100>
一実施形態に係る基板搬送システム100の全体構成の一例について、
図1を用いて説明する。
図1は、一実施形態に係る基板搬送システム100の構成を示す概略図の一例である。
【0010】
図1に示す基板搬送システム100は、クラスタ構造(マルチチャンバタイプ)のシステムである。基板搬送システム100は、複数の処理室110、真空搬送室120、ロードロック室130、大気搬送室140、ロードポート160、アライナモジュール170及び制御装置180を備えている。また、基板搬送システム100は、ゲートバルブ200A、ゲートバルブ200B及びドアバルブ200Cを備えている。
【0011】
処理室110は、ゲートバルブ200Aを介して、真空搬送室120と連結される。処理室110と真空搬送室120とは、ゲートバルブ200Aの開閉により連通する。
【0012】
処理室110は、基板Wを載置する載置部(図示せず)を有する。処理室110は、その内部が所定の真空雰囲気に減圧されている。処理室110は、その内部にて載置部に載置された基板Wに所望の処理(例えば、エッチング処理、成膜処理、クリーニング処理、アッシング処理等)を施す。なお、処理室110は、例えば、処理室110内にプラズマを生成して基板Wに所望の処理を施す処理室であってもよい。また、処理室110は、例えば、基板Wを所望の温度に加熱して、基板Wに所望の処理を施す処理室であってもよい。
【0013】
真空搬送室120は、ゲートバルブ200A,200Bを介して、複数の室(処理室110、ロードロック室130)と連結される。
【0014】
真空搬送室120は、その内部が所定の真空雰囲気に減圧されている。また、真空搬送室120は、基板Wを搬送する真空搬送装置(図示せず)を有する。真空搬送装置は、ゲートバルブ200Aの開閉に応じて、処理室110と真空搬送室120との間で基板Wの搬入及び搬出を行う。また、真空搬送装置は、ゲートバルブ200Bの開閉に応じて、ロードロック室130と真空搬送室120との間で基板Wの搬入及び搬出を行う。なお、真空搬送装置の動作、ゲートバルブ200A,200Bの開閉は、制御装置180によって制御される。
【0015】
ロードロック室130は、真空搬送室120と大気搬送室140との間に設けられている。即ち、ロードロック室130は、ゲートバルブ200Bを介して、真空搬送室120と連結される。また、ロードロック室130は、ドアバルブ200Cを介して、大気搬送室140と連結される。
【0016】
ロードロック室130は、基板Wを載置する載置部(図示せず)を有する。ロードロック室130は、その内部が大気雰囲気と真空雰囲気とを切り替えることができるように構成されている。ロードロック室130と真空雰囲気の真空搬送室120とは、ゲートバルブ200Bの開閉により連通する。ロードロック室130と大気雰囲気の大気搬送室140とは、ドアバルブ200Cの開閉により連通する。なお、ロードロック室130内の真空雰囲気または大気雰囲気の切り替えは、制御装置180によって制御される。
【0017】
大気搬送室140は、その内部が大気雰囲気となっており、例えば清浄空気のダウンフローが形成されている。また、大気搬送室140は、基板Wを搬送する大気搬送装置150を有する。大気搬送装置150は、ドアバルブ200Cの開閉に応じて、ロードロック室130と大気搬送室140との間で基板Wの搬入及び搬出を行う。また、大気搬送装置150は、大気搬送室140とロードポート160に取り付けられたキャリアとの間で基板Wの搬入及び搬出を行う。また、大気搬送装置150は、大気搬送室140とアライナモジュール170との間で基板Wの搬入及び搬出を行う。なお、大気搬送装置150の動作、ドアバルブ200Cの開閉は、制御装置180によって制御される。
【0018】
大気搬送装置150は、基板Wを保持するフォーク(ピック、エンドエフェクタ、基板保持部とも称する。)151と、アーム152,153と、を含む多関節ロボット(スカラロボット)を有する。フォーク151は、基部151aと、基部151aから延出する延出部151bと、を有する。
【0019】
延出部151bは、並行して複数(
図1等の例では2本)設けられている。また、延出部151bは、フォーク151に支持される基板Wの中心から離れた位置に配置されている。これにより、フォーク151は、基板Wの中央部を避けて基板Wを支持するように形成されている。また、
図1に示すフォーク151は、搬送方向に延びる2本の延出部151bを有する。2本の延出部151bのうち一方の延出部151bは、基板Wの中央部の側のエッジに直線部151b1(
図3,4等参照)を有する。2本の延出部151bのうち他方の延出部151bは、基板Wの中央部の側のエッジに直線部151b2(
図3,4等参照)を有する。
【0020】
基部151aは、アーム152の一端に回転可能に支持される。アーム152の他端は、アーム153の一端に回転可能に支持される。アーム152の他端は、基台154に回転可能に支持される。基台154は、多関節ロボットを昇降する昇降機構を有する。これにより、多関節ロボットは、基板Wを保持するフォーク151の水平方向の位置、フォーク151の向き及びフォーク151の高さ方向の位置を制御することができる。大気搬送装置150は、フォーク151の動作を検出するセンサ(動作検出部)155を有する。センサ155は、例えば多関節ロボットの各関節の角度を検出する。センサ155は、例えば関節を駆動するモータに設けられるエンコーダであってよい。これにより、制御装置180は、センサ155で検出した各関節の角度に基づいて、フォーク151の動作を算出することができる。換言すれば、制御装置180は、センサ155で検出した各関節の角度に基づいて、多関節ロボットによって搬送される基板Wの基準位置(例えば、基板Wの中心位置)を算出することができる。また、制御装置180は、センサ155で検出した各関節の角度に基づいて、多関節ロボットによって搬送される基板Wの基準位置の搬送軌跡を算出することができる。
【0021】
また、大気搬送室140の壁面には、ロードポート160が設けられている。ロードポート160は、基板Wが収容されたキャリア又は空のキャリアが取り付けられる。キャリアとしては、例えば、FOUP(Front Opening Unified Pod)等を用いることができる。
【0022】
また、大気搬送室140の他の壁面には、アライナモジュール170が設けられている。なお、アライナモジュール170については、
図2から
図4を用いて後述する。
【0023】
大気搬送装置150は、ロードポート160に取り付けられたキャリアに収容された基板Wを取り出して、アライナモジュール170のペデスタル173に載置することができる。また、大気搬送装置150は、アライナモジュール170のペデスタル173に載置された基板Wを取り出して、ロードロック室130の載置部に載置することができる。また、大気搬送装置150は、ロードロック室130の載置部に載置された基板Wを取り出して、ロードポート160に取り付けられたキャリアに収容することができる。
【0024】
制御装置180は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)及びHDD(Hard Disk Drive)を有する。制御装置180は、HDDに限らずSSD(Solid State Drive)等の他の記憶領域を有してもよい。HDD、RAM等の記憶領域には、プロセスの手順、プロセスの条件、搬送条件が設定されたレシピが格納されている。
【0025】
CPUは、レシピに従って各処理室110における基板Wの処理を制御し、基板Wの搬送を制御する。HDDやRAMには、各処理室110における基板Wの処理や基板Wの搬送を実行するためのプログラムが記憶されてもよい。プログラムは、記憶媒体に格納して提供されてもよいし、ネットワークを通じて外部装置から提供されてもよい。
【0026】
<アライナモジュール170>
次に、アライナモジュール170の構成について、
図2及び
図4を用いて説明する。
図2は、アライナモジュール170の断面模式図の一例である。
図3及び
図4は、アライナモジュール170を上方からみた模式図の一例である。
図3は、搬送される基板Wが下側ラインカメラ171及び上側ラインカメラ172の間に侵入を開始した状態を示す。
図4は、基板Wを更に搬送して、ペデスタル173の位置まで搬送した状態を示す。なお、
図3及び
図4では、基板Wよりも上方に配置される上側ラインカメラ172及びアライメントセンサ174の図示を省略している。
【0027】
アライナモジュール170には、下側ラインカメラ171と、上側ラインカメラ172と、回転可能なペデスタル173と、アライメントセンサ174と、ベースプレート175と、を有する。
【0028】
下側ラインカメラ171及び上側ラインカメラ172は、大気搬送室140からアライナモジュール170のペデスタル173に基板Wを搬送する搬送経路に設けられる。下側ラインカメラ171及び上側ラインカメラ172は、基板Wを搬送する搬送方向(フォーク151の進行方向)に対して、交差(例えば、直交)する幅方向に複数配列された撮像素子と、光源と、を有する。搬送経路に沿って基板Wが搬送されることにより、下側ラインカメラ171は、搬送される基板Wの裏面及びフォーク151の裏面を撮像する。また、搬送経路に沿って基板Wが搬送されることにより、上側ラインカメラ172は、搬送される基板Wの表面を撮像する。
【0029】
基板Wの基準位置(中心位置)の搬送軌跡300の一例を
図4に示す。基板Wが搬送軌跡300に沿って搬送されることにより、基板W及びフォーク151が下側ラインカメラ171及び上側ラインカメラ172の間を通過して、撮像範囲400で示す範囲が撮像される。
【0030】
ペデスタル173は、ベースプレート175上に設けられ、基板Wを載置可能に設けられ、載置された基板Wを回転可能に設けられている。アライメントセンサ174は、基板Wの外周端を検出する。ここで、基板Wの外周には、結晶方位を示すノッチが形成されている。アライナモジュール170は、ペデスタル173に載置された基板Wを1回転させ、アライメントセンサ174で基板Wの外周端を検出することにより、基板Wのノッチの位置を検出することができる。また、アライナモジュール170は、検出したノッチの位置が所定の方向に配置されるようにペデスタル173に載置された基板Wを回転させることにより、基板Wのノッチの位置を調整することができる。
【0031】
<基板Wの撮像処理>
次に、基板Wの撮像処理について、
図5から
図9を用いて説明する。
図5は、基板Wの撮像処理を説明するフローチャートの一例である。
【0032】
ステップS101において、制御装置180は、大気搬送装置150を制御してフォーク151に保持された基板Wをアライナモジュール170のペデスタル173に搬送する。また、制御装置180は、下側ラインカメラ171及び上側ラインカメラ172を制御して、搬送される基板W及びフォーク151の画像を撮像する。制御装置180は、下側ラインカメラ171で撮像された画像に基づいて裏面画像を生成する。また、制御装置180は、上側ラインカメラ172で撮像された画像に基づいて表面画像を生成する。また、制御装置180は、基板Wを搬送中にセンサ155で検出したフォーク151の動作に基づいて、基板Wの基準位置(中心位置)の搬送軌跡(蛇行データ)を検出する。
【0033】
ステップS102において、制御装置180は、下側ラインカメラ171で撮像された裏面画像に基づいて、画像処理によってフォーク151の直線部151b1,151b2を検出する。ここでは、制御装置180は、例えば裏面画像を2値化してフォーク151のエッジを検出する等の画像処理によって、フォーク151の形状を検出する。そして、検出したフォーク151の形状から、制御装置180は、直線部151b1,151b2に該当する部分を検出(抽出)する。
図6は、直線部151b1,151b2を検出した裏面画像の一例である。ここで、大気搬送装置150によって基板Wを搬送する際、多関節ロボットの撓みやガタつき等に起因して基板Wの搬送軌跡が蛇行し、下側ラインカメラ171及び上側ラインカメラ172で撮像した画像にブレが生じる。このため、裏面画像から検出される直線部151b1,151b2は、蛇行した形状が検出される。
【0034】
ステップS103において、制御装置180は、検出したフォーク151の直線部151b1,151b2の形状から、画像処理によってフォーク151の傾き及び搬送軌跡の蛇行量を検出する。ここでは、制御装置180は、例えば蛇行する直線部151b1,151b2に直線をフィッティングし、そのフィッティングされた直線の傾きから、フォーク151の傾きを検出する。また、制御装置180は、例えば直線部151b1,151b2の蛇行量から、搬送軌跡の蛇行量を検出する。このように、ステップS101において撮像した裏面画像から、ステップS102及びステップS103に示す処理によって蛇行する搬送軌跡(蛇行データ)を検出する。
【0035】
ステップS104において、制御装置180は、ステップS103において裏面画像から検出した蛇行データと、ステップS101においてセンサ155で検出した蛇行データとを比較し、傾向が一致するか否かを判定する。傾向が一致する場合(S104・YES)、制御装置180の処理はステップS105に進む。傾向が一致しない場合(S104・NO)、制御装置180の処理はステップS102に戻り画像処理(S102,S103)をやり直す。
【0036】
ステップS105において、制御装置180は、ステップS103で検出したフォーク151の傾き及び搬送軌跡の蛇行量(蛇行データ)に基づいて、画像処理によって裏面画像を補正する。
【0037】
図7は、補正前の画像の一例を示す模式図である。補正前の裏面画像(ステップS101で撮像された画像)は、下側ラインカメラ171で撮像された幅方向(
図7では左右方向)の画像701,702,703,・・・を基板Wの搬送方向(フォーク151の進行方向、
図7では上方向)に配列して形成される。
【0038】
図8は、補正後の画像の一例を示す模式図である。制御装置180は、ステップS103で検出した搬送軌跡310の左右方向のブレに応じて、画像701の左右方向の中心位置を調整する。また、制御装置180は、ステップS103で検出した搬送軌跡310の搬送方向の移動距離に応じて、画像701の上下方向の中心位置を調整する。以下、画像702,703,・・・についても同様に左右方向及び上下方向の配置を調整する。
【0039】
図9は、補正後の裏面画像の一例である。
図9に示すように、フォーク151の直線部151b1,151b2が直線かつ垂直となるように補正される。
【0040】
ステップS106において、制御装置180は、ステップS103で検出したフォーク151の傾き及び搬送軌跡の蛇行量(蛇行データ)に基づいて、画像処理によって表面画像を補正する。
【0041】
ステップS107において、制御装置180は、ステップS106で補正された表面画像から、基板Wの表面に形成された薄膜の膜厚、基板Wの表面に形成された異常痕を検出する。
【0042】
ここで、前工程の基板処理において、基板Wの表面には薄膜が形成されている。薄膜の上面で反射した反射光と薄膜の下面で反射した反射光とが干渉することにより、薄膜の膜厚に応じて色が変化する。予め膜厚が既知の基板Wを大気搬送装置150でアライナモジュール170に搬送して上側ラインカメラ172で撮像することにより、制御装置180は、色(例えばRGB値)と膜厚とを対応付けした情報を記憶している。制御装置180は、補正された表面画像の色(例えばRGB値)と、色と膜厚とを対応付けした情報と、に基づいて、膜厚を検出する。また、制御装置180は、補正された表面画像の色の変化に基づいて、膜厚分布を検出する。
【0043】
また、基板Wの全面を撮像するカメラで基板Wを撮像した場合、基板Wの中央部と外周部とで光量の差が生じる。このため、色(例えばRGB値)による膜厚の検出が困難となる。これに対し、上側ラインカメラ172で基板Wを撮像することにより、基板Wの中央部と外周部とで光量の差が生じない。このため、好適に膜厚を検出することができる。
【0044】
また、前工程の基板処理において異常放電が生じていた場合、基板Wの表面に放電痕が形成される。制御装置180は、補正された表面画像を用いることにより、放電痕の形状を精度よく検出することができ、放電痕の検出精度を向上させることができる。
【0045】
ステップS108において、制御装置180は、ステップS105で補正された裏面画像から、基板Wの裏面中央部に形成された異常痕を検出する。
【0046】
ここで、前工程の基板処理において、基板Wは例えば円環状のシールバンドを有する静電チャックに吸着される。このため、静電チャックに吸着された基板Wは、外周部で静電チャックのシールバンドと密着する。一方、基板Wの中央部は、静電チャックから浮き上がるおそれがある。基板Wの中央部が静電チャックから浮き上がることにより、基板Wの裏面と静電チャックとの間で異常放電が生じるおそれがある。これに対し、制御装置180は、補正された裏面画像を用いて基板Wの裏面中央部に形成された異常痕を好適に検出することができる。
【0047】
以上のように、一実施形態に係る基板搬送システムによれば、画像を補正して基板Wを高精度に撮像することができる。これにより、基板Wの表面に形成された膜の膜厚を精度よく検出することができる。また、基板Wの表面に形成された放電痕を精度よく検出することができる。また、基板Wの裏面中央部に形成された放電痕を精度よく検出することができる。
【0048】
また、下側ラインカメラ171及び上側ラインカメラ172は、基板Wの搬送経路に設けられる。これにより、基板搬送システムのスループットの低下を防止することができる。また、下側ラインカメラ171及び上側ラインカメラ172を基板Wの搬送経路に設けることにより、基板搬送システム100のフットプリントの増加を防止することができる。
【0049】
また、基板Wに異常(例えば、放電痕の発生、膜厚分布異常等)が生じていた場合、基板Wを次の工程に流さない等の処理を行うことができる。例えば、FOUPから取り出した基板Wをアライナモジュール170に搬送する際に
図5に示すフローに従って、基板Wに異常を判定する。正常な基板Wである場合、ノッチの位置を合わせた後、ロードロック室130に搬送する。その後基板Wは処理室110で基板処理が施される。一方、異常が生じた基板Wである場合、ロードロック室130に搬送せず、FOUPに戻すようにしてもよい。
【0050】
また、FOUPから取り出されアライナモジュール170に搬送される基板W(処理室110で処理が施される前の基板W)について、基板Wの表面画像及び裏面画像を撮像する場合を例に説明したが、これに限られるものではない。処理室110で基板処理が施された後に基板Wについて、ロードロック室130からFOUPに搬送する間にアライナモジュール170を経由して基板Wの表面画像及び裏面画像を撮像してもよい。
【0051】
また、補正された表面画像に基づいて、基板Wの外周に形成されたノッチ等の切り欠きの位置を検出してもよい。これにより、ペデスタル173に基板Wを載置する前に切り欠きの位置を検出することができる。よって、アライナモジュール170における基板Wの向きを合わせるのに要する時間を短くすることができる。よって、基板搬送システムのスループットを向上させることができる。また、アライメントセンサ174を省略することができる。
【0052】
また、下側ラインカメラ171及び上側ラインカメラ172は、アライナモジュール170に設けられる、具体的には、アライナモジュール170のペデスタル173へと基板Wを搬送する搬送経路に設けられるものとして説明したがこれに限られるものではない。下側ラインカメラ171及び上側ラインカメラ172は、他の基板Wの搬送経路に設けられていてもよい。また、下側ラインカメラ171及び上側ラインカメラ172は、大気雰囲気の搬送経路に設けられることが好ましい。これにより、下側ラインカメラ171及び上側ラインカメラ172の設置を容易とすることができる。
【0053】
なお、下側ラインカメラ171及び上側ラインカメラ172は、真空雰囲気の搬送経路に設けられる構成であってもよい。例えば、第1の処理室と連結する第1の真空搬送室と、第2の処理室と連結する第2の真空搬送室と、第1の真空搬送室と第2の真空搬送室とを連結するパスモジュールと、を有する基板搬送システムであって、下側ラインカメラ171及び上側ラインカメラ172はパスモジュールに設けられる構成であってもよい。これにより、第1の処理室において基板Wに第1の処理を施し、第2の処理室において基板Wに第2の処理を施す構成において、第1の処理後の基板Wの画像を高精度に撮像することができる。
【0054】
以上、基板搬送システム100について説明したが、本開示は上記実施形態等に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本開示の要旨の範囲内において、種々の変形、改良が可能である。
【符号の説明】
【0055】
100 基板搬送システム
140 大気搬送室
150 大気搬送装置(搬送装置)
151 フォーク(基板保持部)
151a 基部
151b 延出部
151b1,151b2 直線部
152,153 アーム
154 基台
155 センサ(動作検出部)
160 ロードポート
170 アライナモジュール
171 下側ラインカメラ
172 上側ラインカメラ
173 ペデスタル
174 アライメントセンサ
175 ベースプレート
180 制御装置
300 搬送軌跡
400 撮像範囲
W 基板