(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024048148
(43)【公開日】2024-04-08
(54)【発明の名称】皿うどんの製造方法
(51)【国際特許分類】
A23L 7/109 20160101AFI20240401BHJP
A23L 35/00 20160101ALI20240401BHJP
【FI】
A23L7/109 Z
A23L35/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022154033
(22)【出願日】2022-09-27
(71)【出願人】
【識別番号】301049777
【氏名又は名称】日清製粉株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】弁理士法人アルガ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】秋草 伸吾
(72)【発明者】
【氏名】山田 みのり
(72)【発明者】
【氏名】津田 恭征
(72)【発明者】
【氏名】増田 久美子
【テーマコード(参考)】
4B036
4B046
【Fターム(参考)】
4B036LC01
4B036LC05
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4B046LP80
(57)【要約】
【課題】硬さがあるが軽くバリバリとした食感があり、かつ、餡をかけたときに、軟らかくなりにくくざらつきの少ない食感を有する皿うどんの提供。
【解決手段】コンカナバリンA法で分析された総澱粉中のアミロース含有量が40質量%以上の高アミロース小麦粉を20~100質量%含有する原料粉から製造した麺線を油ちょうすることを含む、皿うどんの製造方法。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンカナバリンA法で分析された総澱粉中のアミロース含有量が40質量%以上の高アミロース小麦粉を20~100質量%含有する原料粉から製造した麺線を油ちょうすることを含む、皿うどんの製造方法。
【請求項2】
前記麺線の太さが生麺の状態で0.5mm~3.0mmである、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記油ちょうされる麺線が生麺である、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記油ちょうされる麺線が茹で又は蒸し麺である、請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記油ちょうした麺線の水分量が10質量%以下である、請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記高アミロース小麦粉がSBEIIaの活性が低い改変小麦由来の小麦粉である、請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記原料粉が油脂を0.5~10質量%含有する、請求項1記載の方法。
【請求項8】
前記油ちょうした麺線を餡とともに提供することを含む、請求項1記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皿うどんの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
皿うどんは、生麺をそのまま、あるいは蒸し又は茹でた後、油ちょうすることで製造される、硬さがあるが軽くバリバリとした食感を有することを特徴とする麺である。皿うどんは、通常、このバリバリとした麺にとろみのある餡をかけて食される。
【0003】
近年、低糖質食品に対する需要が拡大している。特許文献1には、水不溶性食物繊維(IDF)と水溶性高分子食物繊維(HSDF)の総量が5質量%以下であり、水溶性低分子食物繊維(LSDF)の量が25質量%以上である加工澱粉からなる水溶性食物繊維強化剤、これを生麺、乾麺又は即席麺などの麺製品に使用することが記載されている。特許文献2には、粉体組成物100質量部あたり、3~80質量部の難消化性澱粉及び15質量部以下のα化澱粉を含有し、たん白質含量が15質量%以下である、揚げ麺類を製造するための粉体組成物が記載されている。
【0004】
穀物に含まれる澱粉にはアミロースとアミロペクチンが含まれる。アミロースは、消化酵素による消化性が悪く、そのため、ヒトの消化酵素で消化されない難消化性成分、すなわち食物繊維として機能し得、難消化性澱粉に分類される。高アミロース澱粉としては、高アミロース型トウモロコシ由来の高アミロースコーンスターチがよく知られている。また近年、澱粉合成に関連する酵素に変異を有することでアミロース含量を増加させた高アミロース小麦が開発されている(非特許文献1、2)。特許文献3~6には、澱粉分枝酵素SBEIIaの遺伝子の点変異を有し、SBEIIaの活性が低下しており、穀粒に含まれる澱粉のアミロース含有量が高い高アミロース小麦、これを麺類、即席麺、炒麺などの製造に使用することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009-95316号公報
【特許文献2】特開2020-43781号公報
【特許文献3】特表2007-504803号公報
【特許文献4】特表2008-526690号公報
【特許文献5】特表2015-504301号公報
【特許文献6】特表2019-527054号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】J Jpn Assoc Dietary Fiber Res, 2003, 7(1):20-25
【非特許文献2】Trends in Food Science and Technology, 2006, 17:448-456
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来、皿うどんについては、餡をかけた後にもバリバリとした食感を保持したいという要望がある。また、難消化性澱粉を含有する皿うどんは、餡を吸ったときにざらついた食感になるという問題があった。本発明は、硬さがあるが軽くバリバリとした食感があり、餡をかけても軟らかくなりにくく、かつ、食物繊維を豊富に含有していても餡をかけたときにざらついた食感になりにくい皿うどんを提供することに関する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、高アミロース小麦粉を配合した皿うどんが、食物繊維を豊富に含有することができ、硬さがあるが軽くバリバリとした食感があり、かつ、餡をかけたときに、軟らかくなりにくくざらつきの少ない食感を有することを見出した。
【0009】
本発明は、以下を提供する。
〔1〕コンカナバリンA法で分析された総澱粉中のアミロース含有量が40質量%以上の高アミロース小麦粉を20~100質量%含有する原料粉から製造した麺線を油ちょうすることを含む、皿うどんの製造方法。
〔2〕前記麺線の太さが生麺の状態で0.5mm~3.0mmである、〔1〕記載の方法。
〔3〕前記油ちょうされる麺線が生麺である、〔1〕又は〔2〕記載の方法。
〔4〕前記油ちょうされる麺線が茹で又は蒸し麺である、〔1〕又は〔2〕記載の方法。
〔5〕前記油ちょうした麺線の水分量が10質量%以下である、〔1〕~〔4〕のいずれか1項記載の方法。
〔6〕前記高アミロース小麦粉がSBEIIaの活性が低い改変小麦由来の小麦粉である、〔1〕~〔5〕のいずれか1項記載の方法。
〔7〕前記原料粉が油脂を0.5~10質量%含有する、〔1〕~〔6〕のいずれか1項記載の方法。
〔8〕前記油ちょうした麺線を餡とともに提供することを含む、〔1〕~〔7〕のいずれか1項記載の方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明により提供される皿うどんは、硬さがあるが軽くバリバリとした食感があり、かつ、餡をかけたときにも軟らかい食感になりにくい。また本発明により提供される皿うどんは、食物繊維を豊富に含有することができる一方で、従来の難消化性澱粉を含有する皿うどんと比べて、餡を吸ってもざらついた食感になりにくいという利点を有する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、皿うどんの製造方法を提供する。本発明で製造される皿うどんとは、生麺線、あるいは茹で又は蒸し調理された麺線を油ちょうすることで製造される油揚げ麺であって、とろみのある汁(餡など)をかけて食されるための麺である。本発明で製造される皿うどんは、その原料粉中に高アミロース小麦粉を含有することを特徴とする。本発明で使用される高アミロース小麦粉は、アミロース含有量が、好ましくは40質量%以上、より好ましくは43質量%以上である。
【0012】
小麦粉のアミロース含有量とは、該小麦粉に含まれる総澱粉中のアミロース含有量をいう。本明細書における小麦粉のアミロース含有量は、コンカナバリンA(ConA)法により分析された値として定義され、例えば、該小麦粉をMegazyme社のアミロース/アミロペクチン分析キット(AMYLOSE/AMYLOPECTIN ASSAY KIT)で分析することで測定することができる。従来一般的なアミロース含有量の分析方法としては、(1) アミロースのヨウ素に対する結合能の高さを利用した方法(ヨウ素親和力測定法;例えば電流滴定法、比色定量法、AACC61-03法など)、(2) アミロペクチンとConAが特異的に結合することを利用した方法(ConA法)が知られている。しかし(1)を利用した方法ではアミロース量がより高く算出される傾向がある。例えば、非特許文献1や非特許文献2に記載されるSGP-1遺伝子の機能欠失型変異(null変異)を有する高アミロース小麦粉のアミロース含有量は、ヨウ素親和力測定法では37質量%程度であるが、ConA法では31質量%程度である。なお、従来一般的な小麦粉のアミロース含有量は、ヨウ素親和力測定法では32質量%未満、ConA法では28質量%未満である。
【0013】
本発明において使用され得る高アミロース小麦粉の例としては、澱粉分枝酵素SBEIIaの活性が低い改変小麦由来の小麦粉が挙げられる。そのような改変小麦由来の小麦粉の例としては、特許文献3~6に記載される、SBEIIaの遺伝子の変異を有し、SBEIIaの活性が低下している高アミロース小麦由来の小麦粉が挙げられる。より具体的な例としては、穀粒中のSBEIIaタンパク質の量又は活性が野生型小麦穀粒中の量又は活性の2%よりも低い高アミロース小麦由来の小麦粉、1つ以上、例えば1つ又は2つのSBEIIa遺伝子のnull変異を有する高アミロース小麦由来の小麦粉、などが挙げられる。
【0014】
本発明で使用される高アミロース小麦粉は、前述した高アミロース小麦の穀粒を通常の手順で製粉することによって製造することができる。例えば、本発明で使用される高アミロース小麦粉は、該高アミロース小麦の穀粒の胚乳画分のみを実質的に含む小麦粉であってもよく、又は、該高アミロース小麦の穀粒の胚乳画分に加えてさらに胚芽やふすま画分を含む小麦粉(例えば全粒粉)であってもよい。
【0015】
本発明で使用される高アミロース小麦粉は、灰分が、好ましくは1.0質量%以下、より好ましくは0.2~0.8質量%である。本明細書における小麦粉の灰分は、直接灰化法(ISS Standard Methods No.104/1)に従って測定した値をいう。
【0016】
本発明において、前述した高アミロース小麦粉は、皿うどん用の原料粉に使用される。すなわち、該高アミロース小麦粉を含有する原料粉を用いて皿うどんが製造される。原料粉に高アミロース小麦粉を配合することにより、得られる皿うどん用麺線の食感が向上するだけでなく、麺線の油ちょう中に火ぶくれが起きにくくなり麺線の外観が向上する。なお、火ぶくれのある麺線は、餡をかけた後の硬さの低下やへたりが早くなるので、火ぶくれの少ない麺線は食感の点でも向上する。皿うどん用麺線の外観及び食感向上の観点からは、当該原料粉は、該高アミロース小麦粉を、全質量中に、好ましくは20~100質量%、より好ましくは30~90質量%、さらに好ましくは40~80質量%含有する。
【0017】
本発明の皿うどん用の原料粉は、前述した高アミロース小麦粉以外の他の穀粉類、又は澱粉類を含有していてもよい。当該他の穀粉類の例としては、前述した高アミロース小麦粉以外の小麦粉(典型的にはアミロース含有量が28質量%未満の小麦粉)、ライ麦粉、大麦粉、コーンフラワー、米粉、そば粉などが挙げられ、これらのいずれか1種又は2種以上を使用することができる。好ましくは、該他の穀粉類は該高アミロース小麦粉以外の小麦粉であり、その例としては、強力粉、準強力粉、中力粉、薄力粉、デュラム粉、全粒粉などから選択される1種又は2種以上が挙げられる。該澱粉類としては、例えば、タピオカ澱粉、馬鈴薯澱粉、コーンスターチ、ワキシーコーンスターチ、ハイアミローススターチ、小麦澱粉、米澱粉等の澱粉、及びこれらにα化、アセチル化、エーテル化、エステル化、酸化処理、架橋処理等の処理を施した加工澱粉が挙げられる。上記に挙げた他の穀粉類及び澱粉類は、いずれか1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0018】
前記原料粉は、前記高アミロース小麦粉、他の穀粉類及び澱粉類以外に、他の材料を含有することができる。当該他の材料としては、麺類の製造に通常使用され得るもの、例えば、蛋白質、糖類、食塩や粉末醤油等の調味料、油脂、乳化剤、かんすい、増粘剤、膨張剤、などが挙げられ、これらのいずれか1種又は2種以上を適宜使用することができる。蛋白質としては、グルテン、大豆蛋白、卵白粉、全卵粉、乳蛋白などが挙げられ、これらのいずれか1種又は2種以上を使用することができる。好ましくは、該原料粉は油脂を含有する。油脂を使用することで、皿うどんの色が良好になる。該油脂としては粉末油脂などを使用できる。該原料粉における該油脂の含有量は、全量中、0.5~10質量%が好ましく、1~5質量%がより好ましい。該原料粉における、該高アミロース小麦粉以外の他の穀粉類、澱粉類、及び他の材料の含有量は、製造する皿うどんに所望される性質に応じて適宜変更することができ、それらの合計で、該原料粉の全質量中80質量%以下であればよく、好ましくは10~70質量%、より好ましくは20~60質量%である。
【0019】
前記高アミロース小麦粉を含む原料粉から、本発明の皿うどんが製造される。本発明で提供される皿うどんは、前記高アミロース小麦粉を含む原料粉を用いる以外は、通常の手順に従って製造することができる。具体的には、該原料粉と練水とを混捏して生地を調製する。このとき、前記高アミロース小麦粉と、必要に応じて使用される他の穀粉類、澱粉類及び他の材料は、練水に対して一度に又は任意の順序で混合することができる。例えば、前記高アミロース小麦粉と、他の穀粉類、澱粉類又は他の材料とを予め混合して粉体組成物を調製し、これに練水を加えて生地を調製してもよく、又は、練水に対して前記高アミロース小麦粉、及び必要に応じて他の穀粉類、澱粉類又は他の材料を任意の順序で添加して生地を調製してもよい。練水としては、水、塩水、ガス含有水(炭酸水等)、かん水などを使用することができる。該生地原料に対する練水の量は、適宜調整すればよいが、原料粉100質量部に対して、好ましくは20~67質量部、より好ましくは25~57質量部である。
【0020】
次いで、調製した生地を成形して生麺線を製造する。麺生地の成形の方法は、圧延、複合や切出し等の工程を含むロール製麺、押出し製麺、それらの組み合わせなど、特に限定されない。製造する生麺線の形状はとくに限定されないが、好ましくは、生麺の状態での太さが0.5mm~3.0mmである。例えば、製造する皿うどんが細麺タイプであれば、該生麺線の太さは0.5~1.5mmが好ましく、0.7~1.1mmがより好ましく、太麺タイプであれば、該生麺線の太さは2.0~3.0mmが好ましい。餡をかけたときに麺が軟らかくなりにくいという本発明の利点を考慮すると、本発明の皿うどんは、好ましくは細麺タイプであり、より好ましくは生麺の状態での太さが0.6~1.1mmである。本明細書における麺線の太さとは、麺線断面の中心を通過する差し渡し長のうち、最も短い長さをいい、つまり、断面が四角の麺であれば麺幅、麺厚のうちのより短い方の長さをいい、断面が円状の麺であれば、その直径又は短径をいう。
【0021】
得られた生麺線から皿うどん用の麺線を製造する。具体的には、該生麺線を、そのまま、あるいは茹で又は蒸した後、油ちょうすることで皿うどんを製造することができる。例えば、麺線を1~数食分まとめて麺塊に成形し、これを油でディープフライすればよい。製造された皿うどんは、該油ちょう後の麺線を、茹で又は蒸したり、湯煎したりせずに、好適には通常の皿うどんと同様に餡などのとろみのある汁をかけて、喫食される。本発明で皿うどんを製造する際には、油ちょうした麺線のみが提供されてもよいが、油ちょうした麺線を該餡や汁とともに提供してもよい。あるいは、油ちょうした麺線を、該餡や汁の素(例えば、粉末状、濃縮液体状又はゲル状のもの)とともに提供してもよい。該餡や汁には、適宜、調味料、薬味、及び野菜、肉、魚介等の具材などが含まれていてもよい。
【0022】
本発明で製造された皿うどんは、油ちょうにより水分量が低いため、常温流通、常温保存が可能である。該油ちょう後の麺線の水分量は、好ましくは10質量%以下であり、より好ましくは8%以下である。麺線の水分量が10%を超えると、バリバリした食感に劣る可能性があるほか、日持ちが悪くなる恐れがある。あるいは、該皿うどんが、油ちょうした麺線を餡や汁又はそれらの素とともに提供されるものである場合には、適宜冷蔵又は冷凍保存することが可能である。
【実施例0023】
以下、実施例を挙げて、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例にのみ限定されるものではない。
【0024】
材料
・高アミロース小麦粉(HAW):SBEIIa変異遺伝子を有する、SBEIIaの発現量の低い小麦穀粒から得られた小麦粉。アミロース含有量47.4質量%(総澱粉中)、灰分0.57質量%
・小麦粉:きたほなみ由来小麦粉。アミロース含有量21.6質量%(総澱粉中)、灰分0.35質量%
・ハイアミロースコーンスターチ:アミロース含有量86.5質量%(総澱粉中)。
・リン酸架橋タピオカ澱粉:パインスターチRT(松谷化学工業(株))。
アミロース含量はアミロース/アミロペクチン分析キット(Megazyme社)により測定した。
【0025】
試験例1
表1記載の原料粉100質量部に粉末油脂3質量部を添加し、これにかんすい1質量部を添加した水27~40質量部を混合し、ミキシングして生地を調製した。該生地を製麺ロールで圧延及び複合して麺帯を作製し、切り刃(#28角)で切り出して生麺線(幅約1.1mm、厚さ約0.7mm)を製造した。別途、同様の手順で麺帯の厚さを変えた生麺線(幅約1.1mm、厚さ約1.1mm)を製造した。なお、高アミロース小麦粉を使用した麺(製造例1~4)は、二次加工性に問題はなかったが、難消化性澱粉(ハイアミロースコーンスターチ、リン酸架橋タピオカ澱粉)を使用した麺(比較例2~5)は、二次加工性がやや劣っていた。
【0026】
得られた生麺線を蒸し器で1分間蒸し、次いで170℃の油で45秒間油ちょうして皿うどんを製造した(水分量約3質量%)。製造した皿うどんをポリエチレン袋で包装し、3日間常温(約20℃)で保存した。
【0027】
製造直後の皿うどんの火ぶくれを訓練されたパネラー10名により下記基準で評価し、最も人数の多かった評価を採用した。また、保存後の皿うどんに片栗粉でとろみ付けした餡をかけ、直ちに同じ10名のパネラーにより麺の食感を下記基準で評価し、10名の評価の平均点を求めた。餡をかけてから5分後に、麺のへたり、ざらつきを同じ10名のパネラーにより評価し、10名の評価の平均点を求めた。
<評価基準>
(火ぶくれ)
5点:火ぶくれがない、又は非常に少ない
4点:火ぶくれが少ない
3点:火ぶくれが問題ない程度である
2点:火ぶくれがやや多い
1点:火ぶくれが多い
(食感)
5点:皿うどんらしいバリバリとした硬さがあり非常に良好である
4点:皿うどんらしいバリバリとした硬さが感じられ良好である。
3点:皿うどんらしいバリバリとした硬さがやや感じられやや良好である
2点:皿うどんとして硬さがやや足りないか、やや硬すぎる
1点:皿うどんとして硬さが足りない、又は硬すぎる
(へたり)
5点:麺のへたりが遅い
4点:麺のへたりがやや遅い
3点:麺のへたりが普通である
2点:麺のへたりがやや早い
1点:麺のへたりが早い
(ざらつき)
5点:麺のざらつきが殆どない
4点:麺のざらつきがわずかである
3点:麺のざらつきが少ない
2点:麺のざらつきを感じる
1点:麺のざらつきを強く感じる
【0028】
結果を表1に示す。高アミロース小麦粉を配合した皿うどんは、食感に硬さがあり、火ぶくれがないだけでなく、餡をかけた後にも、へたりやざらつきの少ない良好な食感を有していた。このような高アミロース小麦粉を配合した皿うどんの優れた性質は、生麺を蒸し調理せずに油調して製造された場合にも同様に保たれていた。
【0029】