(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024048172
(43)【公開日】2024-04-08
(54)【発明の名称】揚げ作業管理装置、フライヤーシステム及び揚げ作業管理装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
A47J 37/12 20060101AFI20240401BHJP
【FI】
A47J37/12 331
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022154065
(22)【出願日】2022-09-27
(71)【出願人】
【識別番号】000227009
【氏名又は名称】日清オイリオグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002583
【氏名又は名称】弁理士法人平田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 裕伴
(72)【発明者】
【氏名】豊島 尊
(72)【発明者】
【氏名】生稲 淳一
【テーマコード(参考)】
4B059
【Fターム(参考)】
4B059AA01
4B059AB02
4B059AD14
4B059AE03
4B059BA02
4B059BB20
4B059BG03
4B059BG08
4B059DA01
4B059DA06
4B059DA09
(57)【要約】
【課題】複数の揚げ物の揚げ作業を同時に行う場合にも、各揚げ物の揚げ状態の管理を、取違えを起こすことがなく容易に行うことができる揚げ作業管理装置、フライヤーシステム及び揚げ作業管理装置の制御方法を提供する。
【解決手段】フライヤーの油槽21内を撮像する撮像カメラ31と、撮像カメラ31による撮像画像を解析して、油槽21のフライ油に浸漬された揚げ物の浸漬位置及び揚げ時間を判定する揚げ物判定部61と、判定した揚げ物の揚げ時間に基づいて、揚げ物の揚げ状態を判定する揚げ状態判定部62と、判定した揚げ物の浸漬位置及び揚げ状態を関連付けて報知する報知部41、64と、を備えた。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フライヤーの油槽内を撮像する撮像部と、
前記撮像部による撮像画像を解析して、前記油槽のフライ油に浸漬された揚げ物の浸漬位置及び揚げ時間を判定する揚げ物判定部と、
判定した前記揚げ物の前記揚げ時間に基づいて、前記揚げ物の揚げ状態を判定する揚げ状態判定部と、
判定した前記揚げ物の前記浸漬位置及び前記揚げ状態を関連付けて報知する報知部と、を備えたことを特徴とする揚げ作業管理装置。
【請求項2】
前記報知部は、ディスプレイに、前記揚げ物の前記浸漬位置及び前記揚げ状態を表示することを特徴とする請求項1に記載の揚げ作業管理装置。
【請求項3】
前記報知部は、前記撮像画像に、前記撮像画像における前記揚げ物の前記浸漬位置を示すイメージ及び前記揚げ状態を重畳した報知画像を表示することを特徴とする請求項2に記載の揚げ作業管理装置。
【請求項4】
前記揚げ物判定部は、前記揚げ物の前記浸漬位置及び前記揚げ時間に加え、前記揚げ物の種類を判定し、
前記報知部は、前記揚げ物の前記浸漬位置及び前記揚げ状態に加え、前記揚げ物の種類を報知することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の揚げ作業管理装置。
【請求項5】
前記揚げ状態判定部は、
前記揚げ物の種類、前記揚げ物の大きさ及び/又は前記フライ油の温度に応じた前記揚げ物の必要揚げ時間と、前記揚げ物判定部によって判定された前記揚げ物の前記揚げ時間と、に基づいて、前記揚げ物の前記揚げ状態を判定することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の揚げ作業管理装置。
【請求項6】
前記揚げ状態は、残り揚げ時間及び/又は前記残り揚げ時間の有無であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の揚げ作業管理装置。
【請求項7】
前記撮像部による前記撮像画像、前記揚げ物判定部による判定情報、前記揚げ状態判定部による判定情報のうちの1又は2以上を、情報端末に送信する送信部を、更に備えたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の揚げ作業管理装置。
【請求項8】
油槽を備えたフライヤーと、
前記油槽を用いた揚げ作業を管理する揚げ作業管理装置と、を備え、
前記揚げ作業管理装置は、
前記油槽内を撮像する撮像部と、
前記撮像部による撮像結果を解析して、前記油槽のフライ油に浸漬された揚げ物の浸漬位置及び揚げ時間を判定する揚げ物判定部と、
判定した前記揚げ物の前記揚げ時間に基づいて、前記揚げ物の揚げ状態を判定する揚げ状態判定部と、
判定した前記揚げ物の前記浸漬位置及び前記揚げ状態を関連付けて報知する報知部と、を有することを特徴とするフライヤーシステム。
【請求項9】
フライヤーの油槽内を撮像する撮像部を備えた揚げ作業管理装置の制御方法であって、
前記撮像部による撮像画像を解析して、前記油槽のフライ油に浸漬された揚げ物の浸漬位置及び揚げ時間を判定する揚げ物判定工程と、
判定した前記揚げ物の前記揚げ時間に基づいて、前記揚げ物の揚げ状態を判定する揚げ状態判定工程と、
判定した前記揚げ物の前記浸漬位置及び前記揚げ状態を関連付けて報知する報知工程と、を実行することを特徴とする揚げ作業管理装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、揚げ作業管理装置、フライヤーシステム及び揚げ作業管理装置の制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、フライヤーとして、同時に4種類の揚げ物に対し揚げ時間タイマーを働かせることができるタイマー機能を備えたものがある(特許文献1参照)。このフライヤーは、油槽と、油槽の内部に油没した加熱用ヒータと、タイマー操作を行う操作パネルと、お知らせ機能を成す複数の表示器及びお知らせブザーと、を備えている。このフライヤーでは、操作パネルによるタイマー操作によって、4つのタイマー値を設定することができ、各タイマー値の時間に達すると、各タイマー値に対応する表示器を点滅させると同時にお知らせブザーが報知動作する。このように、4種類の揚げ物に対し揚げ時間タイマーを働かせる構成によって、同時に異なる揚げ物を揚げる作業を行った場合でも揚げ物毎の揚げ完了タイミングをそれぞれ知らせることができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来のフライヤーでは、油槽に浸漬している複数の揚げ物と、複数の表示器との対応関係を、作業者が認識しておく必要があり、揚げ物の取違えが起きやすいという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、複数の揚げ物の揚げ作業を同時に行う場合にも、各揚げ物の揚げ状態の管理を、取違えを起こすことがなく容易に行うことができる揚げ作業管理装置、フライヤーシステム及び揚げ作業管理装置の制御方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記目的を達成するため、フライヤーの油槽内を撮像する撮像部と、前記撮像部による撮像画像を解析して、前記油槽のフライ油に浸漬された揚げ物の浸漬位置及び揚げ時間を判定する揚げ物判定部と、判定した前記揚げ物の前記揚げ時間に基づいて、前記揚げ物の揚げ状態を判定する揚げ状態判定部と、判定した前記揚げ物の前記浸漬位置及び前記揚げ状態を関連付けて報知する報知部と、を備えたことを特徴とする揚げ作業管理装置を提供する。
【0007】
また、本発明は、上記目的を達成するため、油槽を備えたフライヤーと、前記油槽を用いた揚げ作業を管理する揚げ作業管理装置と、を備え、前記揚げ作業管理装置は、前記油槽内を撮像する撮像部と、前記撮像部による撮像結果を解析して、前記油槽のフライ油に浸漬された揚げ物の浸漬位置及び揚げ時間を判定する揚げ物判定部と、判定した前記揚げ物の前記揚げ時間に基づいて、前記揚げ物の揚げ状態を判定する揚げ状態判定部と、判定した前記揚げ物の前記浸漬位置及び前記揚げ状態を関連付けて報知する報知部と、を有することを特徴とするフライヤーシステムを提供する。
【0008】
また、本発明は、上記目的を達成するため、フライヤーの油槽内を撮像する撮像部を備えた揚げ作業管理装置の制御方法であって、前記撮像部による撮像画像を解析して、前記油槽のフライ油に浸漬された揚げ物の浸漬位置及び揚げ時間を判定する揚げ物判定工程と、判定した前記揚げ物の前記揚げ時間に基づいて、前記揚げ物の揚げ状態を判定する揚げ状態判定工程と、判定した前記揚げ物の前記浸漬位置及び前記揚げ状態を関連付けて報知する報知工程と、を実行することを特徴とする揚げ作業管理装置の制御方法を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る揚げ作業管理装置、フライヤーシステム及び揚げ作業管理装置の制御方法は、複数の揚げ物の揚げ作業を同時に行う場合にも、各揚げ物の揚げ状態の管理を、取違えを起こすことがなく容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態に係るフライヤーシステムの構成例を示したシステム構成図である。
【
図2】揚げ作業管理装置の制御構成を示した制御ブロック図である。
【
図3】(a)は、揚げ物管理データベースを示した図であり、(b)は、揚げ物情報データベースを示した図である。
【
図5】揚げ作業管理動作の前半部を示したフローチャートである。
【
図6】揚げ作業管理動作の後半部を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明の一実施形態に係る揚げ作業管理装置、これを備えたフライヤーシステム及び揚げ作業管理装置の制御方法について説明する。このフライヤーシステムは、フライヤーによって揚げ物の揚げ作業を行う調理システムである。特に、本フライヤーシステムは、複数の揚げ物を同時に調理する場合にも、各揚げ物の揚げ状態を容易に管理することができる揚げ作業管理装置を採用したものである。なお、本実施形態では、揚げ物として、例えば、コロッケ、メンチカツ、とんかつ、天ぷら、から揚げ、素揚げ等を調理することを想定し、フライヤーシステムは、例えば、揚げ物専門店やコンビニ、ファーストフード店等に設置されるものを想定している。
【0012】
(フライヤーシステムの構成)
図1に示すように、フライヤーシステム1は、揚げ物の揚げ作業を行うための調理装置であるフライヤー11と、撮像カメラ31及び表示端末32から成る揚げ作業管理装置12と、を備えている。
【0013】
フライヤー11は、フライ油を貯留すると共に揚げ作業を行う油槽21と、油槽21に貯留されたフライ油を加熱するヒータ22と、油槽21に貯留されたフライ油の温度を検出する温度センサ23と、を備えている。
【0014】
油槽21は、図外のハウジング又は設置台の上部に配設され、揚げ作業を行うためのフライ油を貯留する。フライヤー11の作業者(オペレータ)が、ヒータ22によって加熱されたフライ油に、揚げ物を投入し浸漬させることで、揚げ物を調理する。本実施形態では、複数の揚げ物を同時に調理することを想定しており、油槽21として、複数の揚げ物を同時に調理可能な大きさのものを用いる。以下、このフライ油に揚げ物を浸漬させることで揚げ物を調理する作業を「揚げ作業」と呼称する。また、以下、油槽21に貯留されたフライ油に揚げ物を浸漬させることを、単に、「油槽21に揚げ物を浸漬させる」と表現する。
【0015】
ヒータ22は、温度センサ23による検出結果に基づき、油槽21に貯留されたフライ油の温度が、設定温度となるようにフライ油を加熱する。なお、ヒータ22は、油槽21内に設置してもよいし、油槽21の外壁中又は外壁に設置されていてもよい。また、ヒータ22に代えて、例えば、ガスバーナー、電磁誘導加熱等の他の加熱手段を用いる構成であってもよい。
【0016】
揚げ作業管理装置12は、油槽21を用いた揚げ作業を管理するものであり、油槽21内を撮像する撮像カメラ31と、撮像カメラ31に接続されると共に作業者に油槽21内の揚げ物の情報を報知する表示端末32と、を備えている。撮像カメラ31と表示端末32との接続は、有線接続であってもよいし、無線接続であってもよい。なお、撮像カメラ31は、撮像部の一例である。
【0017】
撮像カメラ31は、例えば、CCDカメラやCMOSカメラ等で構成されており、油槽21の斜め上方から、油槽21内を撮像する。すなわち、撮像カメラ31は、油槽21の斜め上方から油槽21内を撮像することで、油槽21に貯留されたフライ油の油面全域と、フライ油内の揚げ物とを撮像する。撮像カメラ31は、フライヤー11の稼働中、油槽21内を連続的に撮像し、撮像画像G1(
図4参照)として、油槽21内の映像(動画像)を得る。以下、撮像カメラ31による撮像画像G1は、この映像を指すものである。なお、本実施形態では、撮像カメラ31が、油槽21の斜め上方から油槽21内を撮像する構成であるが、撮像カメラ31が、油槽21の上方から油槽21内を撮像する構成であってもよく、その場合、油槽21の直上から油槽21内を撮像する構成であってもよい。
【0018】
図1及び
図2に示すように、表示端末32は、フライヤー11の作業者に対し情報を報知するディスプレイ41及びブザー42と、各種データベースを記憶する記憶部43と、ディスプレイ41及びブザー42を制御する制御部44と、を有している。ディスプレイ41は、液晶パネル等で構成されており、表示端末32は、フライヤー11の作業者からディスプレイ41が視認できる位置に配置されている。すなわち、油槽21を用いた揚げ作業を行う作業者から、ディスプレイ41に表示された情報が視認でき、当該作業者がディスプレイ41に表示された情報を見ながら、揚げ作業を行うことができるようになっている。
【0019】
記憶部43は、例えば、フラッシュROM等で構成されている。また、
図2に示すように、記憶部43は、揚げ作業の管理に用いられる揚げ物管理データベース51及び揚げ物情報データベース52を有している。
【0020】
図3(a)に示すように、揚げ物管理データベース51は、油槽21に浸漬されている揚げ物の種類、浸漬位置、揚げ時間、残り揚げ時間及び次の処理を、揚げ物番号に関連付けて記憶する。詳細は後述するが、当該揚げ物管理データベース51に、油槽21に浸漬されている各揚げ物の上記各情報を登録(記録)し、また揚げ物管理データベース51の当該各情報を随時更新することで、油槽21に浸漬されている各揚げ物の揚げ作業が管理される。なお、「(揚げ物の)浸漬位置」とは、油槽21内における揚げ物が浸漬されている位置であり、「(揚げ物の)揚げ時間」は、揚げ物を油槽21に浸漬させた経過時間であり、「(揚げ物の)残り揚げ時間」は、必要揚げ時間(揚げ物に必要な浸漬時間)から揚げ時間を差し引いた残りの必要揚げ時間であり、「(揚げ物の)次の処理」は、必要揚げ時間が経過した後に行う処理である。なお、「揚げ物の揚げ時間」及び「揚げ物の残り揚げ時間」は、揚げ物の揚げ状態の一例である。
【0021】
図3(b)に示すように、揚げ物情報データベース52は、揚げ物の種類に対し、必要揚げ時間及び次の処理を関連付けて記憶するデータベースである。すなわち、揚げ物情報データベース52は、予め揚げ物の種類毎に設定された必要揚げ時間及び次の処理を、データベース化したものである。詳細は後述するが、揚げ物情報データベース52は、油槽21に浸漬された各揚げ物の揚げ状態及び次の処理の判定に用いられる。なお、同図に示すように、反転(裏返し)が必要な揚げ物については、反転前のものと、反転後のものとで、別の種類の揚げ物として扱うことが好ましい。
【0022】
図2に示すように、制御部44は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等で構成されている。また、制御部44は、所定のプログラムを実行することで、揚げ物判定部61、揚げ状態判定部62、次処理判定部63、表示制御部64及びブザー制御部65として機能する。なお、報知部は、ディスプレイ41及び表示制御部64によって構成されている。すなわち、ディスプレイ41及び表示制御部64は、報知部の一例である。
【0023】
揚げ物判定部61は、撮像カメラ31による撮像画像G1を解析して、油槽21に浸漬された各揚げ物を認識し、揚げ物番号を付番して揚げ物管理データベース51に登録する。そして、揚げ物判定部61は、撮像画像G1を解析して、油槽21に浸漬された各揚げ物の種類、浸漬位置及び揚げ時間を判定し、揚げ物番号に関連付けて揚げ物管理データベース51に記録する。具体的には、揚げ物判定部61は、例えば、撮像画像G1における油槽21に浸漬する直前の揚げ物の画像から揚げ物の形状や大きさ、色、衣の有無等の情報を取得し、当該揚げ物の形状や大きさ、色、衣の有無等の情報に基づいて、当該揚げ物の種類を判定する。また、揚げ物判定部61は、例えば、撮像画像G1から、油槽21に浸漬された揚げ物の位置、フライ油表面の色や揚げ物から出た泡の位置等の情報を取得し、これに基づいて、当該揚げ物の浸漬位置を判定する。また、揚げ物判定部61は、例えば、撮像画像G1における揚げ物投入時の画像から得られた揚げ物を浸漬した時刻と現在の時刻とに基づいて、当該揚げ物の揚げ時間を判定する。
【0024】
揚げ状態判定部62は、揚げ物判定部61によって判定した各揚げ物の種類及び揚げ時間と、揚げ物情報データベース52と、に基づいて、油槽21に浸漬されている各揚げ物の揚げ状態を判定し、揚げ物番号に関連付けて揚げ物管理データベース51に記録する。具体的には、揚げ状態判定部62は、揚げ物管理データベース51に記録された各揚げ物の種類及び揚げ時間を取得し、揚げ物情報データベース52から各揚げ物の種類に対応した必要揚げ時間を取得する。そして、必要揚げ時間から揚げ時間を差し引いて、各揚げ物の残り揚げ時間を算出する。
【0025】
次処理判定部63は、揚げ物判定部61によって判定された各揚げ物の種類と、揚げ物情報データベース52とに基づいて、油槽21に浸漬されている各揚げ物の次の処理を判定し、揚げ物番号に関連付けて揚げ物管理データベース51に記録する。具体的には、揚げ物管理データベース51に記録された各揚げ物の種類を取得し、揚げ物情報データベース52から各揚げ物の種類に対応した次の処理を取得する。
【0026】
表示制御部64は、油槽21に浸漬されている各揚げ物の種類、浸漬位置及び残り揚げ時間を関連付けて報知する報知画像G(
図4参照)をディスプレイ41に表示する。具体的には、表示制御部64は、揚げ物管理データベース51から、油槽21に浸漬されている各揚げ物の種類、浸漬位置、残り揚げ時間を取得する。そして、
図4に示すように、撮像カメラ31によって撮像されたリアルタイムの撮像画像G1に、取得した各揚げ物の浸漬位置を示す枠イメージG2と、各揚げ物の種類及び残り揚げ時間のテキストとを重畳した報知画像Gを作成し、この報知画像Gをディスプレイ41に表示する。すなわち、撮像画像G1上の各揚げ物の位置に、枠イメージG2と、当該各揚げ物の種類及び残り揚げ時間と、を表示する。これによって、油槽21のフライ油に浸漬されている複数の揚げ物それぞれについて、浸漬位置と、種類と、残り揚げ時間とを関連付けてディスプレイ41に表示し報知する。このように、各揚げ物について、浸漬位置及び残り揚げ時間を関連付けて報知することで、揚げ物と残り揚げ時間(タイマー機能)との対応関係を作業者に認識させることができる。
【0027】
なお、
図4に示すように、残り揚げ時間が0(ゼロ)以下の場合、残り揚げ時間の表示を必要揚げ時間が経過したことを示す表示に置換することが好ましく、例えば、残り揚げ時間のテキストを「完了」や「終了」等のテキストに置換することが好ましい。また、同図に示すように、次の処理のテキストについては、次の処理が「なし」である場合、表示を省略することが好ましい。また、枠イメージG2及びテキストの色は、例えば、残り揚げ時間に応じて変化させる構成であってもよいし、揚げ物の種類や次の処理に応じて変える構成であってもよい。また、枠イメージG2やテキストの大きさも同様、残り揚げ時間、揚げ物の種類及び/又は次の処理に応じて変える構成であってもよい。
【0028】
ブザー制御部65は、油槽21に浸漬されている各揚げ物の必要揚げ時間が経過したとき、ブザー42によってブザー音を出力する。具体的には、ブザー制御部65は、揚げ物管理データベース51を参照し、油槽21に浸漬されている揚げ物に、残り揚げ時間が0(ゼロ)以下のものがある場合、ブザー42によってブザー音を出力する。
【0029】
(揚げ作業管理動作)
ここで
図5及び
図6を参照して、制御部44による揚げ作業管理動作について説明する。この揚げ作業管理動作は、フライヤー11が起動している状態において、一定時間毎(例えば、1秒毎)に行われる動作であり、撮像カメラ31による撮像画像G1に基づいて、油槽21に浸漬されている各揚げ物の情報を判定し、判定した情報をフライヤー11の作業者に報知する動作である。なお、揚げ作業管理動作は、揚げ作業管理装置12の制御方法の一例である。
【0030】
図5に示すように、揚げ作業管理動作では、制御部44は、まず、揚げ物登録動作(S1~S8)を行う。すなわち、揚げ物判定部61によって、撮像カメラ31による撮像画像G1を解析し、油槽21に新たな揚げ物が浸漬された否かを判定する(S1)。判定の結果、油槽21に新たな揚げ物が浸漬されている場合(S1:Yes)、浸漬された新たな揚げ物に揚げ物番号を付番する(S2)と共に、撮像画像G1を解析して、当該新たな揚げ物の種類、浸漬位置及び揚げ時間を判定する(S3)(揚げ物判定工程)。そして、判定した揚げ物の種類、浸漬位置及び揚げ時間を、付番した揚げ物番号に関連付けて揚げ物管理データベース51に記録する(S4)。
【0031】
揚げ物の種類、浸漬位置及び揚げ時間を揚げ物管理データベース51に記録したら、揚げ状態判定部62によって、新たな揚げ物の残り揚げ時間を判定する(S5)(揚げ状態判定工程)。すなわち、揚げ物情報データベース52から、新たな揚げ物の種類に対応する必要揚げ時間を抽出し、抽出した必要揚げ時間から新たな揚げ物の揚げ時間を差し引いて、新たな揚げ物の残り揚げ時間を判定する。その後、判定した新たな揚げ物の残り揚げ時間を、付番した揚げ物番号に関連付けて揚げ物管理データベース51に記録する(S6)。
【0032】
揚げ物の残り揚げ時間を揚げ物管理データベース51に記録したら、次処理判定部63によって、新たな揚げ物の次の処理を判定する(S7)。すなわち、揚げ物情報データベース52から、新たな揚げ物の種類に対応する次の処理を抽出して判定結果とする。その後、判定した新たな揚げ物の次の処理を、付番した揚げ物番号に関連付けて揚げ物管理データベース51に記録する(S8)。これにより、揚げ物登録動作を終了する。
【0033】
揚げ物登録動作を終了したら、
図6に示すように、揚げ物削除動作(S9~S10)を行う。すなわち、撮像カメラ31による撮像結果を解析して、油槽21から取り出された揚げ物が有るか否かを判定し(S9)、油槽21から取り出された揚げ物が有る場合(S9:Yes)、油槽21から取り出された揚げ物の情報を揚げ物管理データベース51から削除する(S10)。
【0034】
揚げ物削除動作を終了したら、揚げ物更新動作(S11~S14)を行う。すなわち、まず、揚げ物判定部61によって、撮像カメラ31による撮像画像G1を解析して、油槽21に浸漬されている各揚げ物の浸漬位置及び揚げ時間を判定する(S11)(揚げ物判定工程)。揚げ物の浸漬位置が移動している場合、撮像画像G1に基づき浸漬位置を追跡して判定する。その後、判定した各揚げ物の浸漬位置及び揚げ時間を、揚げ物番号に関連付けて揚げ物管理データベース51に記録して、各揚げ物の浸漬位置及び揚げ時間を更新する(S12)。
【0035】
各揚げ物の浸漬位置及び揚げ時間を揚げ物管理データベース51に記録したら、揚げ状態判定部62によって、各揚げ物の残り揚げ時間を判定する(S13)(揚げ状態判定工程)。すなわち、揚げ物情報データベース52から、各揚げ物の種類に対応する必要揚げ時間を抽出し、抽出した各揚げ物の必要揚げ時間から各揚げ物の揚げ時間を差し引いて、各揚げ物の残り揚げ時間を判定する。その後、判定した各揚げ物の残り揚げ時間を、揚げ物番号に関連付けて揚げ物管理データベース51に記録して、各揚げ物の残り揚げ時間を更新する(S14)。これにより、揚げ物更新動作を終了する。
【0036】
揚げ物更新動作を終了したら、表示制御部64によって、揚げ物管理データベース51に記録された各揚げ物の浸漬位置、残り揚げ時間及び次の処理に基づいて、報知画像Gを表示する(S15)(報知工程)。すなわち、揚げ物管理データベース51から各揚げ物の浸漬位置、残り揚げ時間及び次の処理を抽出し、抽出した各揚げ物の浸漬位置を示す枠イメージG2と、抽出した各揚げ物の残り揚げ時間及び次の処理のテキストとを撮像画像G1に重畳して報知画像Gを作成し、作成した報知画像Gをディスプレイ41に表示する。これによって、判定した各揚げ物の浸漬位置と、残り揚げ時間と、次の処理とを関連付けて報知する。
【0037】
その後、ブザー制御部65により、揚げ物管理データベース51を参照して、油槽21に浸漬されている揚げ物に、残り揚げ時間が0以下の揚げ物が有るか否かを判定し(S16)、残り揚げ時間が0以下の揚げ物がある場合(S16:Yes)、ブザー音を出力する(S17)。これにより、本揚げ作業管理動作を終了する。
【0038】
(実施形態の作用及び効果)
以上、上記実施形態の構成によれば、撮像カメラ31による撮像画像G1によって、油槽21に浸漬されている各揚げ物の浸漬位置及び残り揚げ時間を判定し、判定した各揚げ物の浸漬位置と残り揚げ時間(揚げ状態)とを関連付けて報知する構成であるため、複数の揚げ物の揚げ作業を同時に行う場合にも、各揚げ物の残り揚げ時間の管理を、取違えを起こすことがなく容易に行うことができる。また、タイマー装置を用いる場合とは異なり、同時に揚げ作業を行う揚げ物の数が制限されず、多くの揚げ物を同時に調理することができる。
【0039】
また、各揚げ物の浸漬位置及び残り揚げ時間(揚げ状態)をディスプレイ41に表示する構成であるため、各揚げ物の浸漬位置及び残り揚げ時間を容易に把握することができる。
【0040】
また、撮像画像G1に、撮像画像G1における各揚げ物の浸漬位置を示す枠イメージG2を重畳した報知画像Gを表示することで、各揚げ物の浸漬位置をより容易かつ直観的に把握することができる。
【0041】
また、撮像画像G1によって揚げ物の種類を判定し、各揚げ物の浸漬位置及び残り揚げ時間と一緒に、各揚げ物の種類を報知することで、複数の種類の揚げ物を同時に調理する場合にも、揚げ作業の管理を容易に行うことができる。
【0042】
(その他の実施形態について)
以上、本発明の実施形態を説明したが、上記した実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変形して実施することが可能である。
【0043】
例えば、上記実施形態においては、揚げ状態判定部62が、揚げ物の種類に対応した必要揚げ時間を取得し、当該必要揚げ時間に基づいて揚げ物の残り揚げ時間を判定する構成であったが、揚げ物の種類に加え、又は、揚げ物の種類に代えて、揚げ物の大きさやフライ油の温度(温度センサ23の検出結果)に対応した必要揚げ時間を取得する構成であってもよい。例えば、必要揚げ時間を、揚げ物の大きさやフライ油の温度に応じて補正する構成であってもよいし、揚げ物の種類、揚げ物の大きさ及び/又はフライ油の温度に対応した必要揚げ時間を揚げ物情報データベース52に記憶しておき、これに基づいて必要揚げ時間を判定する構成であってもよい。すなわち、揚げ状態判定部62が、揚げ物の種類、揚げ物の大きさ及び/又はフライ油の温度に応じた揚げ物の必要揚げ時間と、揚げ物判定部61によって判定された揚げ物の揚げ時間と、に基づいて、揚げ物の残り揚げ時間を判定する構成であればよく、上記実施形態の構成に限るものではない。
【0044】
また、フライヤー11で調理する揚げ物の種類が一種類の場合、揚げ物の種類の判定及び報知を省略し、所定の必要揚げ時間を用いる構成であってもよい。
【0045】
また、上記実施形態においては、揚げ状態判定部62が、揚げ物の揚げ状態として、揚げ物の残り揚げ時間を判定し、表示制御部64が、残り揚げ時間を報知する構成であったが、揚げ状態判定部62が、揚げ物の揚げ状態として、揚げ物における残り揚げ時間の有無を判定し、表示制御部64が、残り揚げ時間の有無を報知する構成であってもよい。例えば、残り揚げ時間が無いとの情報のみを判定し報知する構成であってもよい。また、表示制御部64が、揚げ物の揚げ状態として、揚げ物の揚げ時間を報知する構成であってもよい。
【0046】
また、上記実施形態においては、表示端末32が、記憶部43、揚げ物判定部61、揚げ状態判定部62及び制御部44を有する構成であったが、記憶部43、揚げ物判定部61及び揚げ状態判定部62は、表示端末32とは別のサーバ又は別の端末が有していてもよく、その場合、別のサーバ又は別の端末の表示制御部64、ブザー制御部65の指令に基づき表示端末32のディスプレイ41の表示あるいはブザー42での報知を行う構成でもよい。
【0047】
また、上記実施形態においては、撮像カメラ31による撮像画像G1に、枠イメージG2及びテキストを重畳して報知画像Gを作成する構成であったが、これに限るものではない。例えば、報知画像Gが、撮像画像G1に代えて、油槽21の上面図の画像に、枠イメージG2及びテキストを重畳したものであってもよい。
【0048】
また、上記実施形態においては、揚げ物の浸漬位置を示すイメージとして、枠イメージG2を用いる構成であったが、これに限るものではない。例えば、揚げ物の浸漬位置を示すイメージとして、揚げ物の浸漬位置を指し示す矢印イメージ、あるいは丸や星印等の記号のイメージを用いる構成であってもよい。かかる場合、当該イメージの側の位置に、揚げ物の種類、残り揚げ時間及び次の処理のテキストを配置する。すなわち、当該イメージに関連付けて、揚げ物の種類、残り揚げ時間及び次の処理のテキストを表示する。
【0049】
また、上記実施形態においては、ディスプレイ41の表示によって、揚げ物の浸漬位置及び揚げ状態を報知する構成であったが、スポットライトや音声出力によって、揚げ物の浸漬位置及び揚げ状態を報知する構成であってもよい。例えば、油槽21に浸漬されたいずれかの揚げ物の残り揚げ時間が0以下になったとき、スポットライトによって、残り揚げ時間が0以下になった揚げ物を照らす構成であってもよいし、油槽21に浸漬されたいずれかの揚げ物の残り揚げ時間が0以下になったとき、残り揚げ時間が0以下になった揚げ物の浸漬位置を音声出力で報知する構成であってもよい。
【0050】
また、上記実施形態においては、油槽21に浸漬されている揚げ物に残り揚げ時間が0以下のものがあることを、ブザー42によるブザー音の出力によって報知する構成であったが、残り揚げ時間が0以下のものがあることを、音声出力で報知する構成であってもよいし、残り揚げ時間が0以下のものがあることを、振動で報知する構成であってもよい。また、残り揚げ時間が0以下のものがあることを、ライトの点灯で報知する構成であってもよい。また、残り揚げ時間が0以下のものがある場合の報知を省略してもよい。
【0051】
また、上記実施形態において、揚げ作業管理装置12が、撮像カメラ31による撮像画像G1、揚げ物判定部61による判定情報、揚げ状態判定部62による判定情報のうちの1又は2以上を、情報端末(外部情報端末)に送信する送信部を、更に備える構成であってもよい。かかる場合、フライヤー11から離れた位置にある情報端末に、上記情報を送信することで、フライヤー11から離れた位置で、上記情報を確認することができる。また、複数のフライヤーシステム1から、上記情報を管理サーバに送信し、管理サーバ側で、複数のフライヤーシステム1から送信された情報を分析することで、最適な調理スケジュールの作成や最適な必要揚げ時間の設定等を行うことができる。
【0052】
また、上記実施形態においては、各揚げ物を個別に管理する構成であったが、複数個の揚げ物から成るロット単位で揚げ物を管理する構成であってもよい。すなわち、ロット単位で、揚げ物の浸漬位置、揚げ時間、残り揚げ時間(揚げ状態)及び次の処理を判定し、ロット単位で、揚げ物の浸漬位置、残り揚げ時間(揚げ状態)及び次の処理を報知する構成であってもよい。
【0053】
また、上記実施形態においては、フライヤー11が、油槽21を1つのみ備える構成であったが、これに限るものではない。すなわち、フライヤー11が、油槽21を複数備える構成であってもよい。かかる場合、複数の油槽21内をそれぞれ撮像する複数の撮像カメラ31を備える構成であってもよいし、複数の油槽21内を一体として撮像する単一の撮像カメラ31を備える構成であってもよい。
【0054】
また、上記実施形態においては、制御部44、揚げ物判定部61、揚げ状態判定部62、次処理判定部63、表示制御部64及びブザー制御部65が、フライヤーシステム1に備えられた構成であったが、これらの全部又は一部が、フライヤーシステム1の外部に備えられた構成であってもよい。これら制御部44、揚げ物判定部61、揚げ状態判定部62、次処理判定部63、表示制御部64及びブザー制御部65の全部又は一部が外部に備えられた構成の場合、これら制御部44、揚げ物判定部61、揚げ状態判定部62、次処理判定部63、表示制御部64及びブザー制御部65の全部又は一部が、複数のフライヤーシステム1に接続され、複数のフライヤーシステム1を制御することもできる。その場合、複数のフライヤーシステム1の状態を比較し、異常が見いだされた場合、警報を出すことができる。
【符号の説明】
【0055】
1:フライヤーシステム、 11:フライヤー、 12:揚げ作業管理装置、 21:油槽、 31:撮像カメラ、 41:ディスプレイ、 61:揚げ物判定部、 62:揚げ状態判定部、 64:表示制御部、 G:報知画像、 G1:撮像画像、 G2:枠イメージ