IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社リコーの特許一覧

特開2024-48255軸支持装置、転写装置及び画像形成装置
<>
  • 特開-軸支持装置、転写装置及び画像形成装置 図1
  • 特開-軸支持装置、転写装置及び画像形成装置 図2
  • 特開-軸支持装置、転写装置及び画像形成装置 図3
  • 特開-軸支持装置、転写装置及び画像形成装置 図4
  • 特開-軸支持装置、転写装置及び画像形成装置 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024048255
(43)【公開日】2024-04-08
(54)【発明の名称】軸支持装置、転写装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/16 20060101AFI20240401BHJP
【FI】
G03G15/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022154188
(22)【出願日】2022-09-27
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100098626
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 壽
(72)【発明者】
【氏名】須賀 智昭
【テーマコード(参考)】
2H200
【Fターム(参考)】
2H200GA12
2H200GA23
2H200GA34
2H200GA47
2H200JA02
2H200JB06
2H200JB10
2H200JC03
2H200LA17
2H200LA23
2H200LA24
(57)【要約】
【課題】軸支持装置では支持する軸の位置精度を向上させることができる軸支持装置を提供する。
【解決手段】軸118の端部が脱着可能な脱着可能状態と前記端部が脱着不能な脱着不能状態とを選択的に取り得る軸支持装置において、端部を脱着可能に保持する保持部300と、端部に保持部300に向けた付勢力を付与して脱着不能状態とし、付勢力を解除して脱着可能状態とする付勢力付与手段200とを設ける。付勢力付与手段200を、他の部材300に当接して付勢力を発揮する姿勢と、付勢力を発揮しない姿勢とを選択的に取る得る可動部材200を用いて構成する。可動部材200の他の部材300との当接部分204を凸形状とした。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸の端部が脱着可能な脱着可能状態と前記端部が脱着不能な脱着不能状態とを選択的に取り得る軸支持装置において、
前記端部を脱着可能に保持する保持部と、前記端部に前記保持部に向けた付勢力を付与して前記脱着不能状態とし、前記付勢力を解除して前記脱着可能状態とする付勢力付与手段とを設け、
前記付勢力付与手段を、他の部材に当接して前記付勢力を発揮する姿勢と、前記付勢力を発揮しない姿勢とを選択的に取る得る可動部材を用いて構成し、
前記可動部材の前記他の部材との当接部分を凸形状としたことを特徴とする軸支持装置。
【請求項2】
請求項1に記載の軸支持装置において、
前記可動部材は、基端部が前記軸に回動可能に取り付けられており、かつ、前記当接部分が前記端部とは反対側から前記保持部に当接する回動位置と、前記当接部分が前記保持部に当接しない回動位置とを選択的に取り得ることを特徴とする軸支持装置。
【請求項3】
請求項2に記載の軸支持装置において、
前記軸は円柱形状であり、
前記保持部は、前記端部の脱着用に一部が開放された中空円筒形状であり、
前記可動部材は、前記中空円筒形状の周壁の外面に前記当接部分を当接させ、前記周壁の内面に保持された前記端部と前記当接部分とで前記周壁を挟持させて前記付勢力を付与することを特徴とする軸支持装置。
【請求項4】
請求項3に記載の軸支持装置において、
前記可動部材は、前記周壁の外面に間隔を置いて対向する対向部における回動方向で互いに異なる二箇所それぞれに、前記当接部分を設けたことを特徴とする軸支持装置。
【請求項5】
請求項4に記載の軸支持装置において、
前記二箇所は、前記可動部材の回動角度で80°~160°の範囲内で互いに異なる箇所であることを特徴とする軸支持装置。
【請求項6】
請求項4に記載の軸支持装置において、
前記可動部材は、前記周壁の外面に間隔を置いて対向する対向部における回動方向で前記二箇所の間の箇所に、前記周壁の外面に接触しない状態での先端と前記軸の中心との距離関係が前記当接部分に比べて近い凸形状を有し、前記周壁の外面部には前記近い凸形状の先端が入り込み得る凹部であって、前記近い凸形状の先端が入り込んだ状態で、前記当接部分が前記周壁の外面に当接し得る凹部を有することを特徴とする軸支持装置。
【請求項7】
請求項3に記載の軸支持装置において、
前記可動部材は、前記周壁の外面に間隔を置いて対向する対向部における回動方向で前記当接部分とは異なる箇所に、前記周壁の外面に接触しない状態での先端と前記軸の中心との距離関係が前記当接部分に比べて近い凸形状を有し、
前記周壁の外面部には前記近い凸形状の先端が入り込み得る凹部であって、前記近い凸形状の先端が入り込んだ状態で、前記当接部分が前記周壁の外面に当接し得る凹部を有することを特徴とする軸支持装置。
【請求項8】
軸の端部が脱着可能な脱着可能状態と前記端部が脱着不能な脱着不能状態とを選択的に取り得る軸支持装置において、
前記端部を脱着可能に保持する保持部と、前記端部に前記保持部に向けた付勢力を付与して前記脱着不能状態とし、前記付勢力を解除して前記脱着可能状態とする付勢力付与手段とを設け、
前記付勢力付与手段を、他の部材に当接して前記付勢力を発揮する姿勢と、前記付勢力を発揮しない姿勢とを選択的に取る得る可動部材を用いて構成し、
前記可動部材は、基端部が前記軸に回動可能に取り付けられており、かつ、前記他の部材との当接部分が前記端部とは反対側から前記保持部に当接する回動位置と、前記当接部分が前記保持部に当接しない回動位置とを選択的に取り得ることを特徴とする軸支持装置。
【請求項9】
画像形成装置本体に脱着可能な転写装置において、
画像形成装置本体に対する位置決め用の軸を備え、前記位置決め用の軸の支持に請求項1乃至8の何れか一に記載の軸支持装置を用いたことを特徴とする転写装置。
【請求項10】
転写装置を備えた画像形成装置において、
転写装置として請求項9に記載の転写装置を用いたことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軸支持装置、転写装置及び画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、軸の端部が脱着可能な脱着可能状態と前記端部が脱着不能な脱着不能状態とを選択的に取り得る軸支持装置が知られている。
特許文献1には、係る軸支持装置を備えた画像形成装置が記載されている。この軸支持装置は、回転軸の端部を挿嵌した状態で支持可能な軸受と、この軸受の軸方向の一部が挿嵌可能な軸受設置部とを備える。上記軸受の一方は、上記軸受設置部により回転自在に支持される基部と、該基部に連続して軸受の他方に向け延長されて上記回転軸の半周面を覆うことができる形状の支持面部とを備える。この支持面部が回転する過程で上記回転軸における負荷の作用方向に対応する面に対向して上記回転軸を回転自在に支持する装着状態と上記支持面部が対面しないで上記回転軸が抜去可能な状態に露呈する離脱状態とが選択可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この種の軸支持装置では支持する軸の位置精度の向上が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上述した課題を解決するために、本発明は、軸の端部が脱着可能な脱着可能状態と前記端部が脱着不能な脱着不能状態とを選択的に取り得る軸支持装置において、前記端部を脱着可能に保持する保持部と、前記端部に前記保持部に向けた付勢力を付与して前記脱着不能状態とし、前記付勢力を解除して前記脱着可能状態とする付勢力付与手段とを設け、前記付勢力付与手段を、他の部材に当接して前記付勢力を発揮する姿勢と、前記付勢力を発揮しない姿勢とを選択的に取る得る可動部材を用いて構成し、前記可動部材の前記他の部材との当接部分を凸形状としたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、軸支持装置では支持する軸の位置精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】実施形態に係る画像形成装置の概略構成図。
図2】二次転写装置の支持構造の概略構成図。
図3】実施形態に係る軸支持装置の説明図。
図4】軸部材を支持させる手順の説明図。
図5】軸対向部の回動の様子の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明に係る実施形態について図面を用いて説明する。図1は実施形態に係る画像形成装置としての電子写真方式のカラープリンタ(以下、「プリンタ」という)の概略構成図である。このプリンタ100は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)のトナー像を形成するための四つの画像形成ユニット1Y、1M、1C、1Kを備えている。また、中間転写装置としての転写ユニット30、二次転写装置40、被搬送物としての記録材Pを収納するカセット60、定着装置90なども備えている。
【0008】
画像形成部となる四つの画像形成ユニット1Y、1M、1C、1Kは、粉体の現像剤として、互いに異なる色のY、M、C、Kのトナーを用いる。それ以外は同様の構成になっている。画像形成ユニット1Y、1M、1C、1Kは、像担持体たるドラム状の感光体2Y、2M、2C、2K、ドラムクリーニング装置3Y、3M、3C、3K、除電装置、帯電装置6Y、6M、6C、6K、現像装置8Y、8M、8C、8K等を備えている。
【0009】
感光体2Y、2M、2C、2Kの表面は、帯電装置6Y、6M、6C、6Kで一様帯電される。次に、画像形成ユニット1Y、1M、1C、1Kの上方に配設された光書込ユニット101から発せられるレーザー光などの露光光によって光走査されて各色用の静電潜像が形成される。この静電潜像は、各色のトナーを有する現像装置8Y、8M、8C、8Kによって現像されて各色の像としてのトナー像Tになる。感光体2にはトナー像が形成される。感光体2Y、2M、2C、2Kのトナー像Tは、無端状のベルト部材からなる中間転写ベルト31のおもて面上に一次転写されて担持される。
【0010】
画像形成ユニット1Y、1M、1C、1Kの下方には、中間転写ベルト31を張架しながら図中時計回り方向に無端移動(回転走行)せしめる中間転写装置である転写ユニット30が配設されている。本実施形態では、中間転写ベルト31の表面移動方向をベルト移動方向aとする。
【0011】
転写ユニット30は、中間転写ベルト31の他に、駆動ローラ32、二次転写裏面ローラ33、クリーニングバックアップローラ34、四つの一次転写ローラ35Y、35M、35C、35K、転写前ローラ37などを備えている。中間転写ベルト31は、駆動ローラ32、二次転写裏面ローラ33、クリーニングバックアップローラ34、一次転写ローラ35Y、35M、35C、35K及び転写前ローラ37に巻き掛けられて支持され張架されている。そして、駆動モータなどの駆動手段によって図中時計回り方向に回転駆動される駆動ローラ32の回転力により、同方向に無端移動して搬送される。
【0012】
中間転写ベルト31のループ外側の下方には、ベルト部材であり転写ベルトである二次転写ベルト102を備えた二次転写装置40が配置されている。二次転写ベルト102は、二次転写ローラ41を含む複数の張架ローラに巻き掛けられている。
【0013】
二次転写装置40の下方には、記録材Pを複数枚重ねた束の状態で収容可能な収容部となるカセット60が配設されている。このカセット60は、束の一番上の記録材Pにローラ60aを当接させており、これを所定のタイミングで回転駆動させることで、記録材Pをカセット60から二次転写ニップN2に向かう搬送路65に向けて送り出す。搬送路65に送り出された記録材Pは、レジストローラ対61によって二次転写ニップN2内で中間転写ベルト31のおもて面上のトナー像に同期するタイミングで二次転写ニップN2に送り出される。
【0014】
中間転写ベルト31のおもて面のトナー像は、二次転写電界やニップ圧の作用によって二次転写ニップN2で記録材P上に一括二次転写され、記録材Pの白色と相まってフルカラートナー像となる。
【0015】
二次転写ニップN2よりも記録材搬送方向bの下流側には、定着装置90が配設されている。定着装置90は、定着ベルト94の支持ローラとして、加熱ローラ91、定着ローラ93、支持ローラ96、テンション部材でもあるテンションローラ95を備えている。定着装置90は、定着ベルト94を挟んで定着ローラ93に当接する加圧ローラ92も備えている。トナー像が転写された記録材Pは定着装置90に送り込まれ、定着ローラ93と加圧ローラ92とが接触する定着ニップに挟まれる。定着装置90は、ニップ部の加圧と熱源を内部に備えた加熱ローラ91から定着ベルト94によって熱を記録材Pに伝え、フルカラートナー像中のトナーを軟化させて定着する。定着後の記録材Pは、定着装置90内から排出されて機外へと排出される。
【0016】
図1において、二次転写装置40は、二次転写ベルト102をベルト内周面側で支える5本の張架ローラを有している。5本の張架ローラは、具体的には、二次転写ローラ41、分離ローラ42、従動ローラ43、駆動ローラ44及び寄り止めローラ45である。二次転写ベルト406を外周面から加圧するテンションローラ46も有している。二次転写装置40は、装置本体に対して装置手前側(X方向)に引き出し可能な支持筐体である引き出し筐体113に支持されている。図1はプリンタの概略構成を正面から見た図であり、図に示すX、Y及びZ方向は次のとおりである。X方向はプリンタ前後で手前側方向、Y方向はプリンタ左右の右側方向、Z方向は鉛直上方向である。
【0017】
図2は、二次転写装置40の支持構造の概略構成図である。図2に示すX、Y及びZ方向は、図1におけると同じである。左右中央の図は二次転写装置40をプリンタ左側から見た図、左側の図はプリンタ後側から見た図、右側の図はプリンタ前側から見た図である。二次転写装置40は、二次転写ベルト102を張架する複数の張架ローラを支持するローラ支持部材としての一対のローラ支持板103を有している。
【0018】
中間転写ベルト31と二次転写ニップN2(図1参照)を形成する二次転写ローラ41は、固定軸である二次転写ローラ軸107の周りに回転自由である。二次転写ローラ軸107は、回転アーム108、109に接触面110、111で接しており、回転アーム108、109からの押圧力によって中間転写ベルト31に押圧されている。接触面110、111は二次転写ローラ41と中間転写ベルト31を挟んで二次転写ローラ41と対向する二次転写裏面ローラ33の中心同士を結ぶベクトルと概ね垂直を成すようにしている。接触面110、111は二次転写装置40の位置決めにあたっての基準平面として機能する。
【0019】
回転アーム108、109は引き出し筐体113と一体の回転中心軸部材116、117によって中心軸周りで回転自由に支持される。回転アーム108、109と引き出し筐体113との間のスプリング114、115は回転アーム108、109を回動付勢する。回転アーム108、109は、接触面110、111を介して二次転写装置40を中間転写ベルト31に押圧する。前側の回転アーム108の回転中心軸部材116の軸支持部は、二次転写装置40の軸部材118と同一中心となるように回転アーム108の回転中心軸部材116を勘合支持している。この嵌合支持は、上下左右を位置決め(YZ平面内での位置決め)に関する主基準となる。二次転写装置40の軸部材118はローラ支持板103に両端部が支持された非回転軸であり、ローラ支持板103の間では図1に示す従動ローラ43を回転自在に支持する。
【0020】
後述する本発明の実施形態に係る軸支持装置は、二次転写装置40の前側の軸部材118を支持するものである。この前側の軸部材118を支持する図2の回転中心軸部材116の嵌合部分の形状は上下左右を位置決める機能を模式的に示すに過ぎず、具体的な形状については後述する。
【0021】
後側の回転アーム109の回転中心軸部材117の軸支持部は二次転写装置40の姿勢を拘束しないように溝形状としており、溝形状は二次転写ローラ41の中心と同心の2つのR形状で形成した溝形状となっている。姿勢を拘束しない溝形状は、これに限らず上方が開口した上下に延びる溝形状などでもよい。このような溝形状は、上下左右を完全に位置決めすることはなく、例えば左右あるいは斜め方向などの部分的な位置決めであり、位置決めの従基準である。二次転写装置40は、接触面110、111及び回転中心軸部材116、117によって所定の姿勢になるように位置決めされる。
【0022】
二次転写装置40は、引き出し筐体113をプリンタ100前側板部に形成された開口からX方向に引き出した状態で、引き出し筐体113に対してZ方向(鉛直方向)に着脱可能である。この着脱にあって二次転写装置40の少なくもと主基準となる軸部材118の拘束を解除する必要がある。すなわち、軸部材118の端部は、拘束を解除して脱着可能な脱着可能状態と上下左右に拘束して脱着不能な脱着不能状態とを選択的に取り得る軸支持装置で支持する必要がある。
【0023】
図3は、実施形態に係る軸支持装置の説明図である。上述のように、二次転写装置40の前側の軸部材118を支持するものである。図3(a)は、前側の回転アーム108を貫通してベルト側に突出した回転中心軸部材116の軸支持部近傍の斜視図である。この軸支持装置は、軸部材118の端部を脱着可能に保持する保持部として中空円筒を180°の範囲で切断し上方に開口を向けた半円中空円筒形状の保持部300を備えている。図示の例では前側の回転アーム108を貫通してベルト側に至る回転中心軸部材116の部分に保持部300を延設している。保持部300の内面301は保持面になり、保持部300の外周面302は周方向ほぼ中央の箇所に軸線方向に延在する凹部303を有する。
【0024】
また、この軸支持装置は、軸部材118の端部に保持部300の内面301に向けた付勢力を付与して軸を脱着不能状態とし、また、付勢力を解除して脱着可能状態とする付勢力付与手段として、固定部材200を有する。この固定部材200は、軸部材118に回転自在に取り付けられ回動可能な可動部材である。軸部材118の軸端側から見た斜視図である図3(b)に示すように、軸部材118に回動自在に取り付けられた円柱状の基端部201と、基端部201から延設された180°の角度範囲に存在する半円中空円筒形状の軸対向部202とを有する。この軸対向部202は回動によって開口の向く姿勢が変化する。
【0025】
軸対向部202は基端部201から突出した円柱状の軸端部に間隔を置いて対向する。軸対向部202は、内周面に中央突条203と一対の側方突条204とを有する。中央突条203は内周面における回動方向のほぼ中央に軸線方向に延びる。側方突条204は内周面における回動方向で中央突条203を挟む位置で軸線方向に延びる。固定部材200は、基端部201と軸対向部202の外周部に、円柱形状周面から部分的に突出した形状の操作部205を有する。操作部205は操作しやすい形状であれば、突出形状に限らず凹形状でもよい。
【0026】
図4は軸部材118を支持させる手順の説明図である。図4は軸部材118の軸線に沿う鉛直面による断面を示す。左図、左右中央図、右図と手順が進む。まず、固定部材200は軸対向部202の開口が真下を向く姿勢で、基端部201から突出する軸端部が保持部300の内面301の上方になるように位置させる。そして、軸部材118を降下させて軸端部を保持部300の内面301に載置する(左右中央図)。この状態で固定部材200の操作部205に操作し、図中矢印Aで示すように固定部材200を180度回転させ、軸対向部202の内周面を保持部300の外周面302に対向させる。
【0027】
図5図4の左右中央図から右図に至る過程での軸対向部202の回動の様子の説明図である。左図が図4の左右中央図におけるXX線断面図、右図が図4の右図におけるYY線断面図である。中央突条203と側方突条204とは、突条の先端と軸対向部の半円中空円筒の円弧中心との距離(以下、円弧中心からの半径距離という。)が異なる。具体的には、中央突条203の方が、側方突条204よりも円弧中心からの半径距離が短い。一対の側方突条204は互いに円弧中心からの半径距離が等しい。
【0028】
図5の左図の状態から左右中央図、右図と順に次のように変化する。左図の状態から固定部材200を回転させると、固定部材の軸対向部202は、保持部300の半円の円筒形状の外周面302を沿うように移動する。固定部材200の回転途中では、円弧中心からの半径距離が短い中央突条203が、保持部300の円筒形状外面を摩擦摺動し、半径距離が長い側方突条204は保持部300の外周面302に触れることはない(左右中央図)。中央突条203が保持部300の円筒形状外面に接触し、側方突条204が外周面302から離間するように軸対向部202が変形する。
【0029】
固定部材200の回転が進み、固定部材200の半径距離が短い中央突条203が保持部300の外周面302の凹部303に入ると、固定部材200の弾性力によって半径距離の長い側方突条204が、保持部300の外周面302に接触する(右図)。この状態で、二次転写装置の軸部材118と固定部材200の側方突条204とで、保持部300の中空円筒形状の周壁部を挟んで隙間なく固定する。これにより、軸部材118の位置精度を確保する。
【0030】
以上のように固定部材200の弾性力によって軸部材118と固定部材200の側方突条204とで保持部300の中空円筒形状の周壁部を挟んで隙間なく固定する。この固定状態では、固定部材200の弾性力によって側方突条204が保持部300の外周面302に接触するとともに、固定部材200の基端部201を介して軸部材118に対し、保持部300の内面301に向けての付勢力を付与する。この結果、保持部300からの軸部材118の脱着が不能な状態になる。一方、図5の左図の状態になる固定部材200の回動姿勢では、固定部材200が軸部材118に対してこのような付勢力を発揮せず、軸部材118の脱着が可能である。よって、固定部材200は、軸部材118の端部に保持部300に向けた付勢力を付与して脱着不能状態とし、付勢力を解除して脱着可能状態とする付勢力付与手段を構成する可動部材と言える。
【0031】
可動部材として固定部材200が付勢力を発揮するに当たって当接する「他の部材」には保持部300が相当する。この保持部300の具体的には外周面302に当接する「当接部分」には、側方突条204が相当する。
【0032】
なお、図5の左図の状態から左右中央図の状態に至る前に、回動方向で下流側の側方突条204のみが保持部300の外周面302に接触する時期があるが、この時期は短時間であり、付勢力も比較的小さくので、摩耗の心配が少ない。付勢力が比較的小さいのは、図5の右図の状態とは異なり、一対の側方突条204による一対の接触点で軸部材118の中心を囲むことがないためである。
【0033】
また、図2において、回転アーム108、109で上方に押し上げて二次転写ローラ軸107を上方に変位させるには、ローラ支持板103が二次転写装置の軸部材118の中心回りで回動できる必要がある。このためには、軸部材118とローラ支持板103の間、軸部材118と回転中心軸部材116、117との間、回転中心軸部材116、117と回転アーム108との間の少なくとも一つ以上が摺動可能である。たとえば、回転中心軸部材117と軸部材118の間、及び、回転中心軸部材116の保持部300と軸部材118の間が摺動可能である。固定部材200による嵌め合いはこのような摺動が可能な程度の付勢力に設定できる。
【0034】
以上、本発明の好ましい実施の形態について説明したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、上述の説明で特に限定していない限り、特許請求の範囲に記載された本発明の趣旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
例えば、本発明の軸支持装置は、転写装置ではなく、画像形成装置の他の軸支持装置に適用したり、画像形成装置以外の軸支持装置に適用したりできる。
本発明の実施の形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施の形態に記載されたものに限定されるものではない。
【0035】
以上に説明したものは一例であり、本発明は、次の態様毎に特有の効果を奏する。
(態様1)
軸部材118などの軸の端部が脱着可能な脱着可能状態と前記端部が脱着不能な脱着不能状態とを選択的に取り得る軸支持装置において、前記端部を脱着可能に保持する保持部300などの保持部と、前記端部に前記保持部に向けた付勢力を付与して前記脱着不能状態とし、前記付勢力を解除して前記脱着可能状態とする固定部材200などの付勢力付与手段とを設ける。前記付勢力付与手段を、保持部300などの他の部材に当接して前記付勢力を発揮する姿勢と、前記付勢力を発揮しない姿勢とを選択的に取る得る固定部材200などの可動部材を用いて構成する。前記可動部材の前記他の部材との、側方突条204などの当接部分を凸形状としたことを特徴とする。
【0036】
特許文献1に記載の従来装置では、回転軸の半周面を覆うことができる形状の支持面部で回転軸の半周面を覆うことで装着状態とするものであり、支持面部と回転軸との間に隙間が生じ可能性がある。これでは装着状態における軸の位置精度が悪い。これに対し、態様1によれば、実施形態で説明したように、付勢力付与手段により軸の端部に保持部に向けた付勢力を付与するので、軸の位置精度を悪化させる隙間の発生を防止できる。しかも、付勢力を発揮させるにあたって他の部材に当接する可動部材の当接部分を凸形状としたので、加工精度の要求範囲を限定的に高精度化でき軸の位置精度を悪化させることを回避できる。
【0037】
ここで、固定部材200などの可動部材は摺動性の高い樹脂部材とすることが好ましい。回動作業を容易できるからである。保持部300などの保持部は金属部材とすることが好ましい。軸の固定強度を得るとともに、固定部材の摺動による摩耗を防止できるからである。
【0038】
(態様2)
(態様1)に記載の軸支持装置において、固定部材200などの可動部材は、基端部201などの基端部が軸部材118などの軸に回動可能に取り付けられており、かつ、側方突条204などの当接部分が端部とは反対側から保持部300などの保持部に当接する回動位置と、側方突条204などの当接部分が保持部300などの保持部に当接しない回動位置とを選択的に取り得ることを特徴とする。これによれば、特許文献1のように支持面部を回転自在にするために支持面部と一体の基部を回転自在に支持する部分を軸受設置部に設けるのとは異なり、可動部材を支持対象の軸そのものに回動可能に取り付けるという簡易な構成にできる。
【0039】
(態様3)
(態様2)に記載の軸支持装置において、軸部材118などの軸は円柱形状であり、保持部300などの保持部は、軸の端部の脱着用に一部が開放された中空円筒形状であり、固定部材200などの可動部材は、中空円筒形状の周壁の外面に側方突条204などの当接部分を当接させ、内面301など周壁の内面に保持された軸の端部と側方突条204などの当接部分とで保持部300の周壁を挟持させて付勢力を付与することを特徴とする。これによれば、軸の端部が円柱形状であり、かつ、保持部が中空円筒形状であるため、内面の保持面や側方突条204などの当接部分が当接する外面など円形というよう形状精度が出しやすい形状なる。よって、製造コストの上昇を招くことなく、軸の位置精度を確保できる。
【0040】
(態様4)
(態様3)に記載の軸支持装置において、固定部材200などの可動部材は、保持部300などの周壁の外面に間隔を置いて対向する軸対向部202などの対向部における回動方向で互いに異なる二箇所それぞれに、側方突条204などの当接部分を設けたことを特徴とする。これによれば、側方突条204などの凸状の当接部分による押圧固定を安定させることができる。
【0041】
(態様5)
(態様4)に記載の軸支持装置において、側方突条204などの当接部分を設ける二箇所は、固定部材200などの可動部材の回動角度で80°~160°の範囲内で互いに異なる箇所であることを特徴とする。この角度範囲であれば、側方突条204などの凸状の当接部分による押圧固定をより安定させることができる。
【0042】
(態様6)
(態様4)に記載の軸支持装置において、固定部材200などの可動部材は、保持部300などの保持部の周壁外面に間隔を置いて対向する対向部における回動方向で前記二箇所の間の箇所に、周壁の外面に接触しない状態での先端と前記軸の中心との距離関係が側方突条204などの当接部分に比べて近い中央突条203などの凸形状を有する。また、周壁の外面部には中央突条203などの凸形状の先端が入り込み得る凹部303などの凹部であって、中央突条203などの凸形状の先端が入り込んだ状態で、側方突条204などの当接部分が保持部300などの保持部の周壁外面に当接し得る凹部を有することを特徴とする。
【0043】
これによれば、側方突条204などの当接部分に比べて近い凸形状が保持部300などの保持部の周壁外面に接触している状態では、側方突条204などの当接部分を周壁外面から離間させることができる。よって、回動中の側方突条204などの当接部分の摺擦による摩耗を抑制できる。また、中央突条203などの凸形状が、軸対向部202などの対向部における回動方向で互いに異なる二箇所それぞれに設けた側方突条204などの当接部分の間の箇所に存在するので、二箇所に設けた側方突条204などの当接部分を、互いに同程度だけ、周壁外面から離間させることができる。さらに、装着状態において中央突条203などの凸形状が、摺動面である外周面302など周壁外面に設けられた凹部303などの凹部にはまることで、作業者へ感触の変化を関知させることができ、装着状態を感じさせることができる。
【0044】
(態様7)
(態様3)に記載の軸支持装置において、固定部材200などの可動部材は、保持部300などの保持部の周壁外面に間隔を置いて対向する対向部における回動方向で側方突条204などの当接部分とは異なる箇所に、周壁の外面に接触しない状態での先端と軸の中心との距離関係が側方突条204などの当接部分に比べて近い、中央突条203などの凸形状を有する。また、前記周壁の外面部には中央突条203などの凸形状の先端が入り込み得る凹部303などの凹部であって、中央突条203などの凸形状の先端が入り込んだ状態で、側方突条204などの当接部分が保持部300などの保持部の周壁外面に当接し得る凹部を有することを特徴とする。これによれば、(態様6)につき上述したように、回動中の側方突条204などの当接部分の摺擦による摩耗を抑制できる。また、凹部にはまるときの作業者の感触の変化により装着状態を感じさせることができる。
【0045】
(態様8)
軸部材118などの軸の端部が脱着可能な脱着可能状態と前記端部が脱着不能な脱着不能状態とを選択的に取り得る軸支持装置において、前記端部を脱着可能に保持する保持部300などの保持部と、前記端部に前記保持部に向けた付勢力を付与して前記脱着不能状態とし、前記付勢力を解除して前記脱着可能状態とする固定部材200などの付勢力付与手段とを設ける。前記付勢力付与手段を、保持部300などの他の部材に当接して前記付勢力を発揮する姿勢と、前記付勢力を発揮しない姿勢とを選択的に取る得る固定部材200などの可動部材を用いて構成する。固定部材200などの可動部材は、基端部201などの基端部が軸部材118などの軸に回動可能に取り付けられており、かつ、保持部300などの他の部材との側方突条204などの当接部分が、軸端部とは反対側から保持部300などの保持部に当接する回動位置と、側方突条204などの当接部分が保持部300などの保持部に当接しない回動位置とを選択的に取り得ることを特徴とする。これによれば、(態様2)で上述したように、可動部材を支持対象の軸そのものに回動可能に取り付けるという簡易な構成にできる。
【0046】
(態様9)
画像形成装置本体に脱着可能な転写装置において、画像形成装置本体に対する位置決め用の軸を備え、前記位置決め用の軸の支持に(態様1乃至8の何れか一)に記載の軸支持装置を用いたことを特徴とする。これによれば、転写装置の固定位置決め精度が高く、取り外し性も良好な転写装置を提供できる。
【0047】
(態様10)
転写装置を備えた画像形成装置において、転写装置として(態様9)に記載の転写装置を用いたことを特徴とする。これによれば、画像形成装置において転写性能が安定した高品質な画像と、転写装置の取り外し性の向上を両立することができる。
【符号の説明】
【0048】
1 :画像形成ユニット
2 :感光体
3 :ドラムクリーニング装置
6 :帯電装置
8 :現像装置
30 :転写ユニット
31 :中間転写ベルト
32 :駆動ローラ
33 :二次転写裏面ローラ
34 :クリーニングバックアップローラ
35 :一次転写ローラ
37 :転写前ローラ
40 :二次転写装置
41 :二次転写ローラ
42 :分離ローラ
43 :従動ローラ
44 :駆動ローラ
45 :止めローラ
46 :テンションローラ
60 :カセット
60a :ローラ
61 :レジストローラ対
65 :搬送路
90 :定着装置
91 :加熱ローラ
92 :加圧ローラ
93 :定着ローラ
94 :定着ベルト
95 :テンションローラ
96 :支持ローラ
100 :プリンタ
101 :光書込ユニット
102 :二次転写ベルト
103 :ローラ支持板
107 :二次転写ローラ軸
108 :回転アーム
109 :回転アーム
110 :接触面
111 :接触面
113 :引き出し筐体
114 :スプリング
115 :スプリング
116 :回転中心軸部材
117 :回転中心軸部材
118 :軸部材
200 :固定部材
201 :基端部
202 :軸対向部
203 :中央突条
204 :側方突条
205 :操作部
300 :保持部
301 :内面
302 :外周面
303 :凹部
406 :二次転写ベルト
A :矢印
N2 :二次転写ニップ
P :記録材
T :トナー像
a :ベルト移動方向
b :記録材搬送方向
【先行技術文献】
【特許文献】
【0049】
【特許文献1】特開2001-271826号公報
図1
図2
図3
図4
図5