(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024048392
(43)【公開日】2024-04-08
(54)【発明の名称】リソグラフィシステムのマスクを認定するための方法および装置
(51)【国際特許分類】
G03F 1/22 20120101AFI20240401BHJP
G03F 1/84 20120101ALI20240401BHJP
【FI】
G03F1/22
G03F1/84
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023164254
(22)【出願日】2023-09-27
(31)【優先権主張番号】10 2022 124 800.3
(32)【優先日】2022-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】503263355
【氏名又は名称】カール・ツァイス・エスエムティー・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(74)【代理人】
【識別番号】100196612
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 慎也
(72)【発明者】
【氏名】アサド ラソール
(72)【発明者】
【氏名】キャロラ ブレイジング-バンガート
(72)【発明者】
【氏名】シュテフェン ヴァイセンベルク
【テーマコード(参考)】
2H195
【Fターム(参考)】
2H195BA10
2H195BD03
2H195CA12
(57)【要約】 (修正有)
【課題】リソグラフィシステムのマスクを認定するための方法および装置を提供する。
【解決手段】マスクを認定するための方法であって、第11の検出(101)が順次行われ、第1の検出(101)と、複数の測定点(22)から複数の基準測定点(24)を決定することであって、基準測定点(24)として決定された測定点(22)における第1の検出(101)からある時間的距離の位置で、それぞれの場合に基準測定点(24)におけるマスクの少なくとも1つの限界寸法(20)の第2の検出(103)と、基準測定点(24)の各々における第1および第2の検出された限界寸法(20)間における偏差を決定することと、決定された偏差に応じて、測定時間期間にわたる補正率の時間的プロファイルを決定することと、補正率の決定された時間的プロファイルを少なくとも1つの限界寸法(20)に適用することとを含む。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リソグラフィシステム(1)のためのマスク(13)を認定するための方法(100)であって、前記マスク(13)は、各測定点(22)における前記マスク(13)の1つまたは複数の限界寸法(20)を検出するための複数の事前に定義された測定点(22)を有し、前記方法(100)は、
- 前記測定点(22)における前記マスク(13)の少なくとも1つの限界寸法(20)の第1の検出(101)であって、前記第1の検出(101)が順次行われ、前記第1の検出(101)の持続時間が測定時間期間を定義する、第1の検出(101)と、
- 前記複数の測定点(22)から複数の基準測定点(24)を決定すること(102)であって、基準測定点(24)の数は測定点(22)の数より少ない、決定すること(102)と、
- 基準測定点(24)として決定された前記測定点(22)における前記第1の検出(101)からある時間的距離の位置で、それぞれの場合に前記基準測定点(24)における前記マスク(13)の前記少なくとも1つの限界寸法(20)の第2の検出(103)と、
- 前記基準測定点(24)の各々における前記第1および前記第2の検出された限界寸法(20)間における偏差(21)を決定すること(104)と、
- 前記決定された偏差(21)に応じて、前記測定時間期間にわたる補正率の時間的プロファイルを決定すること(105)と、
- 前記マスク(13)の補正された限界寸法を得るために、前記補正率の前記決定された時間的プロファイルを前記少なくとも1つの限界寸法(20)に適用すること(106)と
を含む、方法(100)。
【請求項2】
前記複数の基準測定点(24)を決定すること(102)は、前記測定時間期間内の前記測定点(22)の測定時間の時間的分布に依存し、好ましくは、前記基準測定点(24)が、前記測定時間期間内で時間的に均一に分布している測定時間を有する、請求項1に記載の方法(100)。
【請求項3】
前記補正率の時間的プロファイルを決定すること(105)は、前記基準測定点(24)についてそれぞれ決定された前記偏差(21)を通る基準曲線を決定することを含む、請求項1および2のいずれか1項に記載の方法(100)。
【請求項4】
- 前記第2の検出(103)からのある時間的距離の位置において前記基準測定点(24)の少なくとも一部での前記マスク(13)の前記少なくとも1つの限界寸法(20)の第3の検出(303)であって、前記偏差(21)を決定すること(104)は、前記第3の検出された限界寸法(20)にさらに依存している、第3の検出(303)
をさらに含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法(100)。
【請求項5】
前記マスク(13)が少なくとも500の測定点(22)、好ましくは少なくとも700の測定点(22)を有する、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法(100)。
【請求項6】
前記複数の基準測定点(24)が、前記測定点(22)の最大10%、好ましくは最大5%を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法(100)。
【請求項7】
前記第1の検出(101)、前記第2の検出(103)および/または前記第3の検出(303)が、それぞれの場合に、平均値を形成するために、前記少なくとも1つの限界寸法の多重検出を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法(100)。
【請求項8】
前記測定点(22)が、前記マスク(13)の前記認定のために必要とされる前記マスク(13)の全ての限界寸法が検出可能であるように事前に定義される、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法(100)。
【請求項9】
- 基準測定点(24)において決定された前記偏差(21)が事前に定義された閾値を上回っている場合、信号を出力すること(401)
をさらに含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法(100)。
【請求項10】
リソグラフィシステム(1)のためのマスク(13)を認定するための装置(30)であって、前記マスク(13)が、各測定点(22)における前記マスク(13)の1つまたは複数の限界寸法(20)を検出するための複数の事前に定義された測定点(22)を有し、前記装置(30)が、マスク保持部(32)と、撮像ユニット(36)と、処理ユニット(34)と、評価ユニット(38)とを備え、前記評価ユニット(38)が、前記マスク保持部(32)、前記撮像ユニット(36)および前記処理ユニット(34)によって、請求項1~9のいずれかに記載の方法(100)を実行するように構成されている、装置(30)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リソグラフィシステムのマスクを認定(qualify)するための方法、さらに装置に関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロリソグラフィのリソグラフィシステムは、例えば、特に小さい構造を有する、集積回路などの微細構造の部品の作製において使用される。リソグラフィシステムでは、照明装置によって非常に短い波長を有する遠紫外線または極紫外線(DUVまたはEUV放射)で照明されたマスク(「レチクル」とも呼ばれる)の像が、マスク構造をリソグラフィ対象物に転写するために、投影装置によってリソグラフィ対象物上に結像(image)される。
【0003】
高結像品質を達成するために、マスク構造は、既に高い精度を有していなければならない。マスクがそれらの精度要件を満たし、それによって生成されたリソグラフィ対象物も所望の特性および機能を有することを確実にするために、マスクは、リソグラフィシステムでの使用前に実際に望まれる構造からの偏差について、認定方法によってチェックされる。この認定が可能な限り高い正確性を有するために、可能な限り大きい数の測定点において、例えば干渉計による方法によってマスク構造を試験する必要がある。さらに、このマスク構造は、測定パスにおいて確認された結果間の偏差を決定可能にするため、したがってそのために使用された装置による試験の、例えば試験中に発生するドリフト(例えば、温度ドリフトまたはダンパードリフト)を原因とする何らかの影響を適切な修正によって考慮に入れ得るようにするために、数回連続して試験される。そのため、そのような認定方法は、大幅な時間消費に関連する。
【発明の概要】
【0004】
したがって、本発明の目的は、上記で言及した問題の背景に対して、時間の少ない消費で実行される可能な限り正確なリソグラフィシステムのマスクの認定を可能にする改良方法および改良装置を提供することである。
【0005】
本発明による解決策は、独立請求項の特徴に存する。独立請求項は、有益な発展に関する。
【0006】
本発明は、リソグラフィシステムのためのマスクを認定するための方法であって、マスクは、各測定点におけるマスクの1つまたは複数の限界寸法を検出するための複数の事前に定義された測定点(predefined measurement points)を有し、方法は、
- 測定点におけるマスクの少なくとも1つの限界寸法の第1の検出であって、第1の検出が順次行われ、第1の検出の持続時間(duration)が測定時間期間(measurement time period)を定義する、第1の検出と、
- 複数の測定点から複数の基準測定点を決定することであって、基準測定点の数は測定点の数より少ない、決定することと、
- 基準測定点として決定された測定点における第1の検出からある時間的距離の位置で、それぞれの場合に基準測定点におけるマスクの少なくとも1つの限界寸法の第2の検出と、
- 基準測定点の各々における第1および第2の検出された限界寸法間における偏差(deviation)を決定することと、
- 決定された偏差に応じて、測定時間期間にわたる補正率(correction factor)の時間的プロファイルを決定することと、
- マスクの補正された限界寸法を得るために、補正率の決定された時間的プロファイルを少なくとも1つの限界寸法に適用することと
を含む、方法を開示する。
【0007】
最初に、本発明と関連して使用されるいくつかの語を以下に説明する。
【0008】
「限界寸法(critical dimension)」は、例えば個別の線の最小線幅、互いに近接した線の最小線幅、および円形エリアの最小サイズなど、マスクの構造の重要な特徴(critical feature)の寸法を指す。限界寸法の均一性は、リソグラフィプロセスの結像品質に、したがってリソグラフィ対象物に転写される構造の品質に、大きな影響を及ぼす。限界寸法は、例えば干渉計による方法によって検出可能である。限界寸法は、例えば、単位[nm]を有する値として表されることが可能である。
【0009】
「測定点(measurement point)」は、検出対象の少なくとも1つの限界寸法が確認可能であるマスクのそのような領域を意味すると理解されるべきである。個別の線の最小線幅が、例えば検出対象であることが意図される場合、測定点は、線幅全体を網羅するような少なくとも範囲を有することが可能である。したがって、互いに近接した線の最小線幅を検出するための測定点はまた、2本の線間の中間領域をさらに網羅することができる。
【0010】
特に、「少なくとも1つの限界寸法の検出」はまた、複数の限界寸法の検出を含み得る。それぞれの場合に、検出対象の限界寸法は、例えば事前に定義された測定点の構成および適合性に依存し得る。例えば、測定点が、マスクの認定のために必要とされるマスクの全ての限界寸法が検出可能であるように事前に定義され得る。
【0011】
本発明による方法は、例えば、EUVリソグラフィシステムのためのマスクのための位置合わせ方法の一部である。
【0012】
本発明は、補正された限界寸法を得るために、マスクの少なくとも1つの限界寸法についての補正率の時間的プロファイルを考慮に入れる、リソグラフィシステムのマスクを認定するための有益な方法を含む。補正率を決定するために、それぞれの場合に、考慮される限界寸法は、それぞれの場合に、第1の時にマスクの全ての測定点において、その後、第2の時に測定点のサブセットを構成する選択された基準測定点のみにおいて順次検出される。それによって検出された限界寸法に基づいて、それらの基準測定点について、第1および第2の検出された限界寸法間の偏差が決定可能であり、第1の検出の測定時間期間にわたる補正率の時間的プロファイルは、そこから確認可能であり、それぞれの場合に、考慮される限界寸法に適用可能である。本発明による方法において、偏差を決定するために必要とされるさらなる検出プロセスにおいて測定点のいくつかのみが考慮される必要があるという事実のおかげで、第2の検出のために必要とされる時間分は、大幅に短くなり得る。その結果、その認定方法のために全体として必要な時間は大幅に減少させることができる。
【0013】
一実施形態において、複数の基準測定点を決定することは、測定時間期間内の測定点の測定時間の時間的分布に依存している。好ましくは、基準測定点として決定される測定点の測定時間(measurement times)は、測定時間期間内で時間的に均一に分布しているように、互いに同一な時間的距離にある。これは、複数の測定点にわたって均一に分布するようにして第1および第2の検出された限界寸法間の偏差を決定可能にし、それによって補正率の時間的プロファイルを特に正確に決定可能にする。
【0014】
好ましくは、補正率の時間的プロファイルを決定することは、基準測定点についてそれぞれ決定された偏差を通る基準曲線を決定することを含む。このように、基準測定点として決定されていない測定点についても、考慮されている限界寸法の偏差が十分に正確に推定可能であり、これは、補正率の時間的プロファイルをより高い精度をもって決定可能にする。
【0015】
一例として、上記方法は、第2の検出からのある時間的距離の位置において基準測定点の少なくとも一部でのマスクの少なくとも1つの限界寸法の第3の検出であって、偏差を決定することは、さらに検出された限界寸法にさらに依存している、第3の検出をさらに含む。一例として、平均値は、第2の検出および第3の検出中に確認された、それぞれ検出された限界寸法の値から形成され、第1の検出された限界寸法と第2および第3の検出された限界寸法の平均値との間の偏差が決定される。第3の検出によって、さらに偏差を決定する際の第3の検出された限界寸法を考慮に入れることによって、補正率の時間的プロファイルがさらに正確に決定可能である。
【0016】
有益なことに、マスクは、少なくとも500の測定点、好ましくは少なくとも700の測定点を有する。代替的または追加的に、複数の基準測定点が、測定点の最大10%、好ましくは最大5%を含む。これらの数の測定点および基準測定点を用いて、方法は、十分に正確にリソグラフィシステムのマスクを認定するための特に効率的な可能性をなす。
【0017】
特に、第1の検出、第2の検出および/または第3の検出が、それぞれの場合に、少なくとも1つの限界寸法の多重検出(multiple detection)を含むことができる。それぞれの場合に検出される限界寸法は、それぞれの場合に多重検出された限界寸法にわたる平均化によって、ここで得られ得る。
【0018】
一実施形態によれば、方法は、基準測定点において決定された偏差が事前に定義された閾値を上回っている場合、信号を出力することをさらに含む。一例として、依然として許容可能な偏差についての閾値が、限界寸法、好ましくは、それぞれの場合に、全ての検出可能な限界寸法について事前に定義される。それぞれの場合に、1つの基準測定点について、または最小個数の基準測定点について、考慮される限界寸法の偏差を決定することが、事前に定義された閾値を上回る値を生じさせた場合、信号が適切なユーザインターフェースにて出力され得る。この信号は、音響信号、例えば警告音、または視覚信号、例えばディスプレイ上のメッセージであり得る。方法が実行されている間の、例えば環境条件の誤った設定など、リソグラフィシステムのマスクを認定するための方法を実行するために使用される装置の潜在的な動作不良、または装置の撮像ユニットの誤った設定は、上記のようにして信号通知されることが可能である。
【0019】
本発明は、リソグラフィシステムのためのマスクを認定するための装置であって、マスクが、各測定点におけるマスクの1つまたは複数の限界寸法を検出するための複数の事前に定義された測定点を有し、装置が、マスク保持部(mask holder)と、撮像ユニット(image capture unit)と、処理ユニット(processing unit)と、評価ユニットとを備え、評価ユニットが、マスク保持部、撮像ユニットおよび処理ユニットによって、本発明による上記方法を実行するように構成されている、装置をさらに開示する。
【0020】
本発明による装置は、例えば、EUVリソグラフィシステムのためのマスクを位置合わせするための、対応して構成されているマスク計測装置である。
【0021】
本装置のさらなる有益な発展のより詳細な説明のために、上述した方法の発展について言及する。同様に、方法は、装置と関連して説明されたさらなる特徴によって発展可能である。
【0022】
上述した実施形態および構成は、一例に過ぎないとして理解されるべきであり、本発明を限定することは決して意図されない。
【0023】
本発明は、添付図面を参照して、有益な実施形態に基づいて一例として以下でさらに詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】リソグラフィシステムの例示的な一実施形態の概略図を示す。
【
図2】例示的な一実施形態による本発明による方法の概略的なフロー図を示す。
【
図3】例示的な一実施形態による、複数の測定点および基準測定点においてそれぞれの場合に検出される限界寸法の図を示す。
【
図4】例示的な一実施形態による、複数の基準測定点について決定された限界寸法の偏差の図を示す。
【
図5】例示的な一実施形態により決定された限界寸法の偏差の空間的分布の図を示す。
【
図6】例示的な一実施形態による本発明による装置の概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1は、リソグラフィシステムの例示的な一実施形態として、EUVリソグラフィシステム1を概略的に示す。EUVリソグラフィシステム1は、照明装置10と、投影装置11とを備える。対象物場内の物体平面12において配置されたマスク13が、照明装置10を用いて照明される。
【0026】
照明装置10は、EUV範囲、すなわち、特に5nm~100nmの波長を有する電磁放射を射出する照明放射源14を備える。照明放射源14から発せられた照明放射は、最初に、集光装置15によって中間焦点面16内に集束される。
【0027】
照明装置10は、偏向ミラー17を備えており、偏向ミラー17によって、照明放射源14によって射出された照明放射が第1のファセットミラー18上に偏向される。第2のファセットミラー19は、第1のファセットミラー18の下流に配設される。第1のファセットミラー18および第2のファセットミラー19は各々が、それぞれの場合に、互いに垂直に延びる2本の軸を中心として個別にピボット回転可能である複数のマイクロミラーを備える。第1のファセットミラー18の個別のファセットは、第2のファセットミラー19を用いてマスク13内に結像される。
【0028】
投影装置11を用いて、マスク13は、複数のミラー8を介して、像面9に配置されたウェハの感光層上に結像される。照明放射が反射されるEUVリソグラフィシステム1の様々なミラーは、EUVミラーとして具現化される。EUVミラーは、高反射性のコーティング、例えば多層コーティングの形態、特に、モリブデンおよびケイ素の層を交互に有する多層コーティングの形態で設けられる。本発明による方法は、マスク13の品質がリソグラフィシステム1で使用されるのに十分であるかどうかを確認するために、そのようなマスク13の認定に関する。
【0029】
図2は、リソグラフィシステム1のためのマスク13を認定するための本発明による方法100の例示的な一実施形態の概略的なフロー図を示す。マスク13は、マスク13の各測定点22における1つまたは複数の限界寸法20を検出するための複数の事前に定義された測定点22を有する。
【0030】
ステップ101は、測定点22におけるマスク13の少なくとも1つの限界寸法20の第1の検出を実行することを含む。これは、干渉計による方法によって順次行われる。第1の検出101の持続時間は、測定時間期間を定義する。
【0031】
図3において、ステップ101における測定点22についてのそれぞれの場合に検出される限界寸法20は、47.6nm~48.4nmの値でプロットされる。測定点22の数は786である。第1の検出101の持続時間は、7時間である。
【0032】
ステップ102において、複数の基準測定点24は、複数の測定点22のうちから決定される。この場合、基準測定点24の数は測定点22の数よりも少なく、本実施例では30であり、したがって測定点22の数の5%未満である。複数の測定点22のうちから決定された基準測定点24が、
図3に同様に示される。
【0033】
本実施例において、決定するステップ102は、測定時間期間内の測定点22の測定時間の時間的分布に依存している。このように、基準測定点24は、第1の検出101の持続時間内のそれぞれの測定時間を考慮に入れることによって、測定点22のうちから決定することができる。説明した実施例では、基準測定点24として決定される測定点22の測定時間が互いに同一な時間的距離にあり、したがって、測定時間期間内で時間的に均一に分布しているように、基準測定点24が決定される。
【0034】
基準測定点24において、マスク13の少なくとも1つの限界寸法20の第2の検出103は、それぞれの場合に、基準測定点24として決定された測定点22における第1の検出101からのある時間的距離の位置において行われる。これらの第2の検出された限界寸法20の値はまた、
図3の個別の基準測定点24についてプロットされる。第2の検出103の持続時間は、20分間であり、したがって、第1の検出101の持続時間よりも大幅に短い。
【0035】
ステップ104は、基準測定点24の各々における第1および第2の検出された限界寸法20間における偏差21を決定することを含む。このため、基準測定点24として決定された各測定点22について、その測定点22において、ステップ101で以前に検出された限界寸法20の値からの第2の検出された限界寸法20の値の偏差21が決定される。図示されている実施例では、偏差21は、基準測定点24として決定された測定点22において検出された第1の限界寸法20の値を、この基準測定点24で検出された第2の限界寸法20の値から差し引くことによって決定される。
【0036】
したがって、第1および第2の検出された限界寸法20間の決定された偏差21が
図4に示されており、ステップ104で決定された、第1および第2の検出された限界寸法20間の偏差21の値は、それぞれの場合に、(複数の測定点22のうちの)基準測定点24についてプロットされる。本実施例では、図示されている偏差21は、-0.03nm~0.15nmの範囲からの値を想定している。
【0037】
ステップ105は、第1および第2の検出された限界寸法20間の、ステップ104で決定された偏差21に依存する測定時間期間にわたる補正率の時間プロファイルを決定することを含む。
【0038】
提示されている実施例では、補正率の時間的プロファイルを決定するステップ105は、それぞれの場合に考慮される限界寸法20の、基準測定点24について決定された偏差21を通る基準曲線を決定することを含む。基準曲線を決定するために、n次数多項式によってステップ104で基準測定点24について決定された偏差21上を通る曲線が提供され得る。
【0039】
測定点22における第1の検出101は、第1の検出101の持続時間、本実施例では7時間によって定義される測定時間期間において順次実行されているので、偏差21の時間的プロファイルは、基準測定点24において決定された偏差21のプロファイルから確認可能である。その後、この時間プロファイルにおいて決定された偏差21における変化に基づいて、補正率の時間的プロファイルを決定することが可能である。
【0040】
説明した実施例において、マスク13の考慮された限界寸法20についての補正率およびその時間的プロファイルがリソグラフィシステム1で使用されるマスク13の位置合わせのための方法で考慮に入れられるようにして、ステップ106において、補正率の決定された時間的プロファイルが少なくとも1つの限界寸法20に適用される。したがって、マスク13の位置合わせは、上記のように補正されたマスク13の限界寸法に応じて行われ得る。
【0041】
さらに、方法100は、さらなるステップ303として、基準測定点24または基準測定点24のうちの少なくともいくつかにおけるマスク13の少なくとも1つの限界寸法20の第3の検出をさらに含み得、第3の検出は、第2の検出103からのある時間的距離の位置で行われる。したがって、少なくとも1つの限界寸法20の偏差21を決定するステップ104は、ステップ303において追加で検出された少なくとも1つの限界寸法20に応じたやり方で追加で行われ得る。
【0042】
ステップ103で検出された限界寸法と同様に、基準測定点24として決定された各測定点22におけるステップ303で追加検出された限界寸法についても、この測定点22で検出された(ステップ101)第1の限界寸法20と第3の検出された(ステップ303)限界寸法20との間の偏差21を決定可能である。これらの追加で決定された偏差21は、基準測定点24にわたるプロファイル304として
図4に同様に図示されている。
【0043】
基準測定点24の各々においてそれぞれ決定された少なくとも1つの限界寸法20の偏差21を考慮に入れて、平均化が実行可能であり、それぞれの場合に考慮された限界寸法20の平均化された偏差21が基準測定点24の各々について決定可能である。基準測定点24にわたるそのような平均化された偏差21のプロファイル306も
図4に示されている。それに応じて、補正率の時間的プロファイルを決定するステップ105は、上記のようにして決定された平均化偏差21に応じて実行可能である。
【0044】
方法100は、基準測定点24について決定された偏差21が事前に定義された閾値を上回っている場合、信号を出力するステップ401をさらに提供する。この場合、利用可能なユーザインターフェースに応じて、警告音が出力され、および/または対応する警告メッセージが表示される。
【0045】
図5は、それぞれの場合にx方向およびy方向に140mmだけ延在するマスク13のエリアにわたる空間分布において事前に定義された閾値を上回る第1および第2の検出された限界寸法20間の、例示的な一実施形態により決定された偏差21の図を示す。x軸およびy軸は、マスク13のエリア上の測定点22および基準測定点24のそれぞれの座標を示す。黒で強調された領域において、それぞれの場合に決定された偏差21は、閾値を上回っている。
【0046】
測定点22における限界寸法20の第1の検出101は、線ごとに行われ、左下から右上まで進む。左下におけるマスク13の領域において、基準測定点24のより大きい領域が存在し、その場合、マスク13のエリアのさらなる領域と比較すると、決定された偏差21は、閾値を上回っている。偏差21が検出101の終了に向かうよりも検出101の開始時の方が大きく、これは時間的プロファイルにおける偏差21の減少によって反映されることが導出可能である。したがって、ステップ105において、補正率およびその時間的プロファイルはまた、決定され、リソグラフィプロセスの持続時間の増加に伴ってその影響が減少するようにして、考慮される限界寸法20に適用される。
【0047】
図6は、リソグラフィシステム1のためのマスク13を認定するための装置30を示しており、マスク13は、各測定点22におけるマスク13の1つまたは複数の限界寸法20を検出するための複数の事前に定義された測定点22を有する。装置30は、マスク保持部32と、処理ユニット34と、撮像ユニット36と、評価ユニット38とを備えており、評価ユニット38は、マスク保持部32、処理ユニット34および撮像ユニット36に動作接続されている。評価ユニット38は、マスク保持部32、撮像ユニット36および処理ユニット34によって、上記で説明した方法100を実行するように構成されている。
【0048】
この場合、マスク保持部32は、撮像ユニット36が測定点22においてマスク保持部32によって保持されたマスク13の少なくとも1つの限界寸法20の第1の検出101を実行できるように制御される。その後、撮像ユニット36は、そのような第1の検出101を実行し、第1の検出101は順次行われ、第1の検出101の持続時間は、測定時間期間を定義する。
【0049】
さらに、処理ユニット34は、複数の測定点22から複数の基準測定点24を決定し(ステップ102)、基準測定点24の数は測定点22の数より少ない。
【0050】
続いて、撮像ユニット36は、基準測定点24として決定された測定点22における第1の検出101からある時間的距離の位置で、それぞれの場合に基準測定点24においてマスク13の少なくとも1つの限界寸法20の第2の検出103を実行し、その目的のため、マスク13は、マスク保持部32によってそれに応じたように位置付けられる。
【0051】
処理ユニット34は、基準測定点24の各々における第1および第2の検出された限界寸法20間の偏差21を決定し(ステップ104)、決定された偏差21に応じて、測定時間期間にわたる補正率の時間的プロファイルを決定する(ステップ105)。その後、評価ユニット38は、処理ユニット34によってマスク13の補正された限界寸法を得るために、補正率の決定された時間的プロファイルを少なくとも1つの限界寸法20に適用するステップ106を実行する。
【0052】
本明細書に記載の本発明の実施形態、ならびにそれに関連してそれぞれ言及された任意選択的な特徴および特性はまた、相互の全組合せにおいて開示されているとして理解されるべきである。特に、本件において、実施形態に含まれる特徴の記載も、逆に明確に説明されていない限り、その特徴がその実施形態の機能のために必須または不可欠であるように理解されるべきではない。
【符号の説明】
【0053】
1 リソグラフィシステム
10 照明装置
13 マスク
14 照明放射源
15 集光装置
16 中間焦点面
20 限界寸法
21 偏差
22 測定点
24 基準測定点
30 装置
32 マスク保持部
34 処理ユニット
36 撮像ユニット
38 評価ユニット
【手続補正書】
【提出日】2023-12-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リソグラフィシステム(1)のためのマスク(13)を認定するための方法(100)であって、前記マスク(13)は、各測定点(22)における前記マスク(13)の1つまたは複数の限界寸法(20)を検出するための複数の事前に定義された測定点(22)を有し、前記方法(100)は、
- 前記測定点(22)における前記マスク(13)の少なくとも1つの限界寸法(20)の第1の検出(101)であって、前記第1の検出(101)が順次行われ、前記第1の検出(101)の持続時間が測定時間期間を定義する、第1の検出(101)と、
- 前記複数の測定点(22)から複数の基準測定点(24)を決定すること(102)であって、基準測定点(24)の数は測定点(22)の数より少ない、決定すること(102)と、
- 基準測定点(24)として決定された前記測定点(22)における前記第1の検出(101)からある時間的距離の位置で、それぞれの場合に前記基準測定点(24)における前記マスク(13)の前記少なくとも1つの限界寸法(20)の第2の検出(103)と、
- 前記基準測定点(24)の各々における前記第1および前記第2の検出された限界寸法(20)間における偏差(21)を決定すること(104)と、
- 前記決定された偏差(21)に応じて、前記測定時間期間にわたる補正率の時間的プロファイルを決定すること(105)と、
- 前記マスク(13)の補正された限界寸法を得るために、前記補正率の前記決定された時間的プロファイルを前記少なくとも1つの限界寸法(20)に適用すること(106)と
を含む、方法(100)。
【請求項2】
前記複数の基準測定点(24)を決定すること(102)は、前記測定時間期間内の前記測定点(22)の測定時間の時間的分布に依存し、好ましくは、前記基準測定点(24)が、前記測定時間期間内で時間的に均一に分布している測定時間を有する、請求項1に記載の方法(100)。
【請求項3】
前記補正率の時間的プロファイルを決定すること(105)は、前記基準測定点(24)についてそれぞれ決定された前記偏差(21)を通る基準曲線を決定することを含む、請求項1または請求項2に記載の方法(100)。
【請求項4】
- 前記第2の検出(103)からのある時間的距離の位置において前記基準測定点(24)の少なくとも一部での前記マスク(13)の前記少なくとも1つの限界寸法(20)の第3の検出(303)であって、前記偏差(21)を決定すること(104)は、前記第3の検出された限界寸法(20)にさらに依存している、第3の検出(303)
をさらに含む、請求項1または請求項2に記載の方法(100)。
【請求項5】
前記マスク(13)が少なくとも500の測定点(22)、好ましくは少なくとも700の測定点(22)を有する、請求項1または請求項2に記載の方法(100)。
【請求項6】
前記複数の基準測定点(24)が、前記測定点(22)の最大10%、好ましくは最大5%を含む、請求項1または請求項2に記載の方法(100)。
【請求項7】
前記第1の検出(101)、前記第2の検出(103)および/または前記第3の検出(303)が、それぞれの場合に、平均値を形成するために、前記少なくとも1つの限界寸法の多重検出を含む、請求項1または請求項2に記載の方法(100)。
【請求項8】
前記測定点(22)が、前記マスク(13)の前記認定のために必要とされる前記マスク(13)の全ての限界寸法が検出可能であるように事前に定義される、請求項1または請求項2に記載の方法(100)。
【請求項9】
- 基準測定点(24)において決定された前記偏差(21)が事前に定義された閾値を上回っている場合、信号を出力すること(401)
をさらに含む、請求項1または請求項2に記載の方法(100)。
【請求項10】
リソグラフィシステム(1)のためのマスク(13)を認定するための装置(30)であって、前記マスク(13)が、各測定点(22)における前記マスク(13)の1つまたは複数の限界寸法(20)を検出するための複数の事前に定義された測定点(22)を有し、前記装置(30)が、マスク保持部(32)と、撮像ユニット(36)と、処理ユニット(34)と、評価ユニット(38)とを備え、前記評価ユニット(38)が、前記マスク保持部(32)、前記撮像ユニット(36)および前記処理ユニット(34)によって、請求項1または請求項2に記載の方法(100)を実行するように構成されている、装置(30)。
【外国語明細書】