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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024048528
(43)【公開日】2024-04-09
(54)【発明の名称】二酸化炭素利用システム
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/62 20060101AFI20240402BHJP
   C25B 15/08 20060101ALI20240402BHJP
   C25B 1/23 20210101ALI20240402BHJP
   C25B 1/04 20210101ALI20240402BHJP
   C25B 9/00 20210101ALI20240402BHJP
【FI】
B01D53/62 ZAB
C25B15/08 302
C25B1/23
C25B1/04
C25B9/00 A
C25B9/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022154488
(22)【出願日】2022-09-28
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 2022年度JPECフォーラムにおける発表資料(公開日:令和4年4月25日)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)2020年度、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合機構「カーボンリサイクル・次世代火力発電等技術開発/CO2排出削減・有効利用実用化技術開発/次世代FT反応と液体合成燃料一貫製造プロセスに関する研究開発」委託研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】000183646
【氏名又は名称】出光興産株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002620
【氏名又は名称】弁理士法人大谷特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジア チンシン
【テーマコード(参考)】
4D002
4K021
【Fターム(参考)】
4D002AA09
4D002AC07
4D002AC10
4D002BA06
4D002BA08
4D002HA03
4D002HA08
4K021AA01
4K021AB25
4K021BA02
4K021BA17
4K021DC01
4K021DC03
(57)【要約】
【課題】従来排気されて大気に放出されていたFCC排ガスに含まれる二酸化炭素を再利用し、製油所設備全体のエネルギー効率を向上する、二酸化炭素利用システムを提供する。
【解決手段】流動接触分解装置と、二酸化炭素電解装置と、を備え、前記流動接触分解装置における触媒再生塔から排出される排出ガスを、前記二酸化炭素電解装置に供給するための二酸化炭素供給配管1を有し、又はさらに二酸化炭素分離回収装置を備え、前記流動接触分解装置における触媒再生塔から排出される排出ガスを、前記二酸化炭素分離回収装置に供給するための二酸化炭素供給配管2、及び前記二酸化炭素分離回収装置で回収した二酸化炭素を、前記二酸化炭素電解装置に供給するための二酸化炭素供給配管3を有し、前記二酸化炭素供給配管1若しくは3から供給された二酸化炭素を原料として前記二酸化炭素電解装置で少なくとも一酸化炭素と酸素を生成させる、二酸化炭素利用システムである。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流動接触分解装置と、
二酸化炭素電解装置と、
を備え、
前記流動接触分解装置における触媒再生塔から排出される排出ガスを、前記二酸化炭素電解装置に供給するための二酸化炭素供給配管1を有し、
前記二酸化炭素供給配管1から供給された二酸化炭素を原料として前記二酸化炭素電解装置で少なくとも一酸化炭素と酸素を生成させる、
二酸化炭素利用システム。
【請求項2】
さらに二酸化炭素分離回収装置を備え、
前記流動接触分解装置における触媒再生塔から排出される排出ガスを、前記二酸化炭素分離回収装置に供給するための二酸化炭素供給配管2、及び
前記二酸化炭素分離回収装置で回収した二酸化炭素を、前記二酸化炭素電解装置に供給するための二酸化炭素供給配管3、
を有する、請求項1に記載の二酸化炭素利用システム。
【請求項3】
流動接触分解装置と、
二酸化炭素電解装置と、
二酸化炭素分離回収装置と、
を備え、
前記流動接触分解装置における触媒再生塔から排出される排出ガスを、前記二酸化炭素分離回収装置に供給するための二酸化炭素供給配管2、及び
前記二酸化炭素分離回収装置で回収した二酸化炭素を、前記二酸化炭素電解装置に供給するための二酸化炭素供給配管3、
を有し、
前記二酸化炭素供給配管3から供給された二酸化炭素を原料として前記二酸化炭素電解装置で少なくとも一酸化炭素と酸素を生成させる、
二酸化炭素利用システム。
【請求項4】
さらに、前記二酸化炭素電解装置で生成した酸素を、前記触媒再生塔における触媒再生用気体として供給するための酸素供給配管1を有する請求項1~3のいずれか1項に記載の二酸化炭素利用システム。
【請求項5】
前記二酸化炭素電解装置で生成する一酸化炭素を、フィッシャートロプシュ反応装置に供給する請求項1~4のいずれか1項に記載の二酸化炭素利用システム。
【請求項6】
さらに水電解装置を備え、
前記水電解装置で生成する酸素を、前記触媒再生塔おける触媒再生用気体として供給するための酸素供給配管2を有する請求項1~5のいずれか1項に記載の二酸化炭素利用システム。
【請求項7】
前記水電解装置で生成する水素を、フィッシャートロプシュ反応装置に供給する請求項6に記載の二酸化炭素利用システム。
【請求項8】
前記二酸化炭素電解装置で生成する一酸化炭素と、前記水電解装置で生成する水素と、を混合して合成ガスを調製する請求項6又は7に記載の二酸化炭素利用システム。
【請求項9】
前記合成ガスを、フィッシャートロプシュ反応装置に供給する請求項8に記載の二酸化炭素利用システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の技術は、二酸化炭素利用システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、わが国におけるエネルギー供給は化石燃料に依存する状況が継続しているが、再生可能エネルギーへの転換による化石燃料依存からの脱却を図ると同時に、化石燃料の使用により排出される二酸化炭素の低減を図ることが喫緊の課題となっている。
【0003】
二酸化炭素の低減を図る技術として、例えば特許文献1には、燃焼装置を含む設備で発生した排ガスから二酸化炭素を回収する二酸化炭素利用システムとして、排ガスに含まれる二酸化炭素に由来する炭酸イオンをカソードからアノードに移動させることで発電する燃料電池を有するシステムが提案されている。また、特許文献2には、工場排出ガス、火力発電から排出されるガスに含まれる二酸化炭素を還元して一酸化炭素を生成する電解装置と、水を電解して水素を生成する電解装置とを備え、一酸化炭素及び水素を含む合成ガスを製造する装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2018/074443号パンフレット
【特許文献2】特開2022-040803号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、例えば製油所では、化石燃料の燃焼排ガスの他、種々の排出ガスが排出されており、当該排出ガスに含まれる二酸化炭素の排出量も無視できない状況にある。製油所から排出される二酸化炭素を含む排出ガスとしては、流動接触分解装置における触媒再生塔から排出される排出ガスが代表的に挙げられる。流動接触分解装置で使用される触媒は、触媒再生塔において空気を用いて、その表面に付着するコーク(炭化水素)を燃焼させて再生される。そして、触媒の再生に用いられた空気は、触媒再生塔の塔頂より大気に排出されることとなる。よって、触媒再生塔から排出される排出ガスには、空気に含まれる二酸化炭素に加えて、触媒の表面に付着したコーク(炭化水素)の燃焼により生成する二酸化炭素が含まれているため、二酸化炭素の排出量を低減する必要が生じている。
【0006】
このように、化石燃料の使用により排出される二酸化炭素の低減だけでなく、従前当たり前のように排出していた排ガスに含まれる二酸化炭素の回収及び再利用、また当該排出量の削減が、重要な課題となっている。
【0007】
上記特許文献1及び2に開示される二酸化炭素の低減を図る技術は、火力発電装置、ガスタービン等から排出される燃焼排ガスからの二酸化炭素の回収を対象とし、燃焼排ガスから回収した二酸化炭素を再利用することに着目している。しかし、検討対象は火力発電装置、ガスタービン等から排出される燃焼排ガスに限られており、製油所の石油精製プロセスから排出されるガスに含まれる二酸化炭素への適用は検討されていない。
さらに、特許文献2に開示される技術は二酸化炭素の電解装置により二酸化炭素を還元し得られた一酸化炭素を有効活用とするものであるが、副生する酸素についての有効活用には着目されていない。そのため、システム全体としてのエネルギー効率の向上を図る、更なる余地がある。
【0008】
本開示の技術は、このような実情に鑑みてなされたものであり、従来排気されて大気に放出されていたFCC排ガスに含まれる二酸化炭素を再利用し、製油所設備全体のエネルギー効率を向上する、二酸化炭素利用システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の技術は、上記課題を解決するため、以下の二酸化炭素利用システムを提供する。
1.流動接触分解装置と、
二酸化炭素電解装置と、
を備え、
前記流動接触分解装置における触媒再生塔から排出される排出ガスを、前記二酸化炭素電解装置に供給するための二酸化炭素供給配管1を有し、
前記二酸化炭素供給配管1から供給された二酸化炭素を原料として前記二酸化炭素電解装置で少なくとも一酸化炭素と酸素を生成させる、
二酸化炭素利用システム。
2.さらに二酸化炭素分離回収装置を備え、
前記流動接触分解装置における触媒再生塔から排出される排出ガスを、前記二酸化炭素分離回収装置に供給するための二酸化炭素供給配管2、及び
前記二酸化炭素分離回収装置で回収した二酸化炭素を、前記二酸化炭素電解装置に供給するための二酸化炭素供給配管3、
を有する、上記1に記載の二酸化炭素利用システム。
【0010】
3.流動接触分解装置と、
二酸化炭素電解装置と、
二酸化炭素分離回収装置と、
を備え、
前記流動接触分解装置における触媒再生塔から排出される排出ガスを、前記二酸化炭素分離回収装置に供給するための二酸化炭素供給配管2、及び
前記二酸化炭素分離回収装置で回収した二酸化炭素を、前記二酸化炭素電解装置に供給するための二酸化炭素供給配管3、
を有し、
前記二酸化炭素供給配管3から供給された二酸化炭素を原料として前記二酸化炭素電解装置で少なくとも一酸化炭素と酸素を生成させる、
二酸化炭素利用システム。
【0011】
4.さらに、前記二酸化炭素電解装置で生成した酸素を、前記触媒再生塔における触媒再生用気体として供給するための酸素供給配管1を有する上記1~3のいずれか1に記載の二酸化炭素利用システム。
5.前記二酸化炭素電解装置で生成する一酸化炭素を、フィッシャートロプシュ反応装置に供給する上記1~4のいずれか1に記載の二酸化炭素利用システム。
6.さらに水電解装置を備え、
前記水電解装置で生成する酸素を、前記触媒再生塔おける触媒再生用気体として供給するための酸素供給配管2を有する上記1~5のいずれか1に記載の二酸化炭素利用システム。
7.前記水電解装置で生成する水素を、フィッシャートロプシュ反応装置に供給する上記6に記載の二酸化炭素利用システム。
8.前記二酸化炭素電解装置で生成する一酸化炭素と、前記水電解装置で生成する水素と、を混合して合成ガスを調製する上記6又は7に記載の二酸化炭素利用システム。
9.前記合成ガスを、フィッシャートロプシュ反応装置に供給する上記8に記載の二酸化炭素利用システム。
【発明の効果】
【0012】
本開示の技術によれば、従来排気されて大気に放出されていたFCC排ガスに含まれる二酸化炭素を再利用し、製油所設備全体のエネルギー効率を向上する、二酸化炭素利用システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本実施形態の二酸化炭素利用システムの一例を示すフロー図である。
図2】本実施形態の二酸化炭素利用システムの一例を示すフロー図である。
図3】本実施形態の二酸化炭素利用システムの好ましい一例を示すフロー図である。
図4】本実施形態で用いられる二酸化炭素電解装置の好ましい一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本開示の技術の実施形態(以下、「本実施形態」と称することがある。)について説明する。なお、本明細書において、「以上」、「以下」、「~」の数値範囲に係る上限及び下限の数値は任意に組合せできる数値であり、また実施例の数値を上限及び下限の数値として用いることもできる。
【0015】
〔二酸化炭素利用システム〕
本実施形態の二酸化炭素利用システムの概要について、図1及び2を用いて説明する。図1及び2は、本実施形態の二酸化炭素利用システムの好ましい一例を示すフロー図である。
【0016】
図1に示される二酸化炭素利用システムは、流動接触分解装置と、二酸化炭素電解装置と、を備えており、流動接触分解装置における触媒再生塔から排出される排出ガスを、二酸化炭素電解装置に供給するための二酸化炭素供給配管1を有しており、前記二酸化炭素供給配管1から供給された二酸化炭素を原料として二酸化炭素電解装置で少なくとも一酸化炭素と酸素を生成させるものである。
【0017】
また、図2に示される二酸化炭素利用システムは、流動接触分解装置と、二酸化炭素電解装置と、二酸化炭素分離回収装置と、を備えており、前記流動接触分解装置における触媒再生塔から排出される排出ガスを、前記二酸化炭素分離回収装置に供給するための二酸化炭素供給配管2及び前記二酸化炭素分離回収装置で回収した二酸化炭素を、前記二酸化炭素電解装置に供給をするための二酸化炭素供給配管3を有しており、前記二酸化炭素供給配管1から供給された二酸化炭素を原料として前記二酸化炭素電解装置で少なくとも一酸化炭素と酸素を生成させるものである。
【0018】
図1及び2に示される二酸化炭素利用システムは、二酸化炭素分離回収装置を有するか否かの点で異なるが、流動接触分解装置と二酸化炭素電解装置とを備える点、また流動接触分解装置における触媒再生塔から排出される排出ガスに含まれる二酸化炭素を、二酸化炭素電解装置で一酸化炭素及び酸素を生成する点で共通するものである。そして、このようなシステムを有することで、流動接触分解装置から排出される排出ガスに含まれる二酸化炭素を、二酸化炭素電解装置において一酸化炭素とすることができ、一酸化炭素は例えばフィッシャートロプシュ反応装置において原料として有効活用が可能となる。
【0019】
また、二酸化炭素電解装置では、酸素も生成するため、これを例えば流動接触分解装置における触媒再生塔に、触媒再生用気体として供給することができる。触媒再生用気体としては、通常空気を用いているが、その一部として副生された酸素を用いることで、触媒再生用気体として供給する空気量を低減する、すなわち触媒再生用気体として供給される空気(特にこれに含まれる窒素)の供給量を低減することができ、これによって窒素の顕熱に必要な分のエネルギーを削減することができる。また、窒素分が相対的に少なく、触媒再生後の触媒再生用気体中の二酸化炭素濃度が向上するため、二酸化炭素電解装置における二酸化炭素の一酸化炭素への還元が容易になる。
【0020】
このように、本実施形態の二酸化炭素利用システムは、流動接触分解装置と、二酸化炭素電解装置と、を備えるシステムとすることで、二酸化炭素を一酸化炭素として有効活用するだけでなく、触媒再生用気体の必要量を低減することで、触媒再生用気体の供給に係る動力、当該気体に含有される窒素によって生じるエネルギー損失を低減できるため、製油所設備全体のエネルギー効率を向上することが可能となる。また、二酸化炭素電解装置における二酸化炭素の一酸化炭素への還元が容易となり、一酸化炭素の収率が向上することから、製油所設備全体のエネルギー効率が更に向上する。このように、流動接触分解装置と、二酸化炭素電解装置と、を備えるシステムとすることで、製油所設備全体のエネルギー効率は相乗的に向上させることが可能となる。
【0021】
また、図2に示される二酸化炭素利用システムは、図2に示されるシステムと比べると、さらに二酸化炭素分離回収装置を備えている。そして、流動接触分解装置における触媒再生塔から排出される排出ガスを、二酸化炭素分離回収装置に供給する二酸化炭素供給配管2、二酸化炭素分離回収装置で回収した二酸化炭素を、二酸化炭素電解装置に供給するための二酸化炭素供給配管3も有している。
【0022】
二酸化炭素分離回収装置を備えることで、流動接触分解装置から排出される排ガスから二酸化炭素を分離回収することができるので、二酸化炭素濃度の高い気体を二酸化炭素電解装置に供給することができる。そのため、二酸化炭素電解装置における二酸化炭素の一酸化炭素への還元が容易となり、一酸化炭素の収率が向上することから、製油所設備全体のエネルギー効率を更に向上させることができる。また、既述のように、二酸化炭素電解装置で生成する酸素を、触媒再生用気体として用いることで、触媒再生後の触媒再生用気体中の二酸化炭素濃度が向上するため、二酸化炭素分離回収装置における二酸化炭素の分離回収の負荷を抑えることができる。
【0023】
図1に示される二酸化炭素利用システムとするか、図2に示される二酸化炭素利用システムにするかは、流動接触分解装置から排出される排ガスに含まれる二酸化炭素の含有量等に応じて適宜選択すればよい。また、当該排ガスに含まれる二酸化炭素の含有量が変動しやすい場合には、図3に示されるように、図1及び図2のシステムのどちらにも対応できるようなシステムとしてもよい。図1及び図2のシステムのいずれかを選択できる場合は、いずれか一方を採用することが費用面から有利である。
【0024】
図3に示される二酸化炭素利用システムは、図1及び図2のシステムに加えて、さらに水電解装置を備えている。そして、水電解装置で生成する酸素を、前記触媒再生塔おける触媒再生用気体として供給するための酸素供給配管2を有している。図3に示されるシステムは、図面の都合上、図1及び図2のシステムの両方を備えるものとなっているが、既述のようにいずれか一方を有していれば足りるものである。
【0025】
水電解装置を備えることで、水電解装置から生成する酸素は流動接触分解装置における触媒再生塔に、触媒再生用気体として供給することができる。そのため、既述の二酸化炭素電解装置から生成する酸素と同様に、触媒再生用気体の排出量を低減することができるので、触媒再生用気体に含有される窒素によって生じるエネルギー損失を低減することができる。また、触媒再生後の触媒再生用気体中の二酸化炭素濃度が向上するため、二酸化炭素電解装置における二酸化炭素の一酸化炭素への還元が容易になり、二酸化炭素分離回収装置を備える場合は、当該回収装置における負荷を低減することが可能となる。
また、水電解装置を備えることで、水電解装置から生成する水素は、上記二酸化炭素電解装置で生成する一酸化炭素と同様に、例えばフィッシャートロプシュ反応装置において原料として有効活用が可能となる。
【0026】
また、流動接触分解装置は、COボイラーを備えていてもよい(図示せず)。触媒再生塔の塔頂より排出される排ガスには一酸化炭素を含む場合がある。この場合、COボイラーを備えることで、触媒再生塔の塔頂より排出される排ガスに含まれる一酸化炭素を燃焼させて熱回収することができる。
COボイラーを備える場合、触媒再生塔の塔頂より排出される排ガスは、COボイラーを経由して二酸化炭素電解装置に供給される。本実施形態の二酸化炭素利用システムにおいて、二酸化炭素供給配管1は、COボイラーを備えない場合は、触媒再生塔から二酸化炭素電解装置までの配管とし、COボイラーを備える場合はCOボイラーから二酸化炭素電解装置までの配管とする。
【0027】
本実施形態の二酸化炭素利用システムを構成する各装置について、説明する。
【0028】
(流動接触分解装置)
本実施形態の回収システムは、流動接触分解装置を備える。
流動接触分解装置は、例えば重油直接脱硫装置、重油間接脱硫装置等において水素化脱硫処理した脱硫重油留分等の重油留分を、流動接触分解触媒を用いて分解を行い、分解ガソリン留分等の有用な留分に転化する装置である。本実施形態の回収システムにおいて、流動接触分解装置としては、製油所において通常流動接触分解装置として採用される構成を有する装置であれば、特に制限なく採用することができる。
【0029】
流動接触分解装置は、大きく分けて重油留分と流動接触分解触媒とを接触させて重油留分を分解ガソリン留分等の有用な留分に転化させる反応塔と、反応塔で使用された流動接触分解触媒の表面に付着するコーク(炭化水素)を触媒再生用気体(通常、空気である。)を用いて燃焼して除去することで、流動接触分解触媒を再生する触媒再生塔と、を備える装置である。
また、反応塔と触媒再生塔とは、反応塔で使用された使用済みの触媒を触媒再生塔に移送するためのスペント触媒トランスファーライン、触媒再生塔で再生された触媒を反応塔に供給するための再生触媒トランスファーラインにより連結されており、触媒の循環が行われている。
【0030】
触媒再生塔において、触媒再生用気体として通常用いられる空気は、エアブロアにより触媒再生塔に供給され、触媒再生塔内で使用済みの触媒の表面に付着するコーク(炭化水素)の燃焼による再生に用いられ、コーク(炭化水素)の燃焼により生じる二酸化炭素を伴いながら、触媒再生塔の塔頂より排ガスとして排出される。
【0031】
既述のように、本実施形態の二酸化炭素利用システムにおいて、流動接触分解装置はCOボイラーを備える場合があり、この場合、二酸化炭素電解装置にCOボイラーで燃焼させた後の(COボイラーを通過させた後の)触媒再生塔の塔頂より排出される排ガスが供給される。よって、本実施形態の二酸化炭素利用システムで二酸化炭素電解装置に供給される触媒再生塔の塔頂より排出される排ガスは、触媒再生塔の塔頂より排出される排ガスのままである場合もあるし、当該排ガスをCOボイラーで燃焼させた後の(COボイラーを通過させた後の)排ガスである場合もある。
【0032】
二酸化炭素電解装置で生成する酸素は、酸素供給配管1を経由して、触媒再生用気体として供給することが好ましい。酸素は、エアブロアの上流、下流のいずれに供給してもよい、すなわち、酸素供給配管1は、触媒再生用気体の配管における、エアブロアの上流、下流のいずれに接続してもよく、圧力バランス等を考慮して適宜決定すればよく、エアブロアの下流に接続すると、エアブロアの動力を低減することができるので、エネルギー効率の向上の点で好ましい。
また、後述する水電解装置で生成する酸素は、酸素供給配管2を経由して触媒再生用気体として供給され、エアブロアの上流、下流のいずれに供給してもよく、上記二酸化炭素電解装置で生成する酸素と同様である。
【0033】
(二酸化炭素電解装置)
本実施形態の回収システムは、二酸化炭素電解装置を備える。
二酸化炭素電解装置は、上記流動接触分解装置の触媒再生塔から排出される排ガスに含まれる二酸化炭素を電解し、還元することで一酸化炭素及び酸素等を生成させる装置である。流動接触分解装置における触媒再生塔から排出される排出ガスは、二酸化炭素電解装置に供給するための二酸化炭素供給配管1を経由して、二酸化炭素電解装置に供給される。
【0034】
本実施形態の回収システムにおいて、二酸化炭素電解装置としては、通常二酸化炭素電解装置として採用される構成を有する装置であれば、特に制限なく採用することができる。また、製油所設備内に二酸化炭素電解装置が備えられている場合には、当該既設の二酸化炭素電解装置を用いることも可能である。
【0035】
二酸化炭素電解装置としては、例えば二酸化炭素の還元触媒層を有するカソード、前記カソードと一対の電極を構成するアノード、前記カソードと前記アノードとの間に接触して存在する電解質層、及び前記カソードと前記アノードとの間に電圧を印加する電圧印加部を備える装置を用いるとよい。
【0036】
本実施形態の回収システムにおける、二酸化炭素電解装置の好ましい一態様について、図4を用いて説明する。図4に示される二酸化炭素電解装置は、電極を構成するカソード(陰極)200、カソード200と一対の電極を構成するアノード(陽極)400、カソード200とアノード400との間に接触して存在する電解質層300、カソード200とアノード400との間に電圧を印加する電圧印加部700を備えている。カソード200は、ガス拡散層210と触媒221を含む触媒層220とを有し、電圧印加部により、カソード200とアノード400との間に電圧を印加するカソード集電板(陰極集電板)100及びアノード集電板(陽極集電板)500を有し、また電解液600を有することも示されている。
【0037】
二酸化炭素の還元による一酸化炭素の生成は、カソード(陰極)において行われる。カソード(陰極)における二酸化炭素の還元反応は、電解質層の種類によって異なり、電解質層に陽イオン交換樹脂を用いる場合は、下記反応式(1)による還元反応となり、電解質層に陰イオン交換樹脂を用いる場合は、下記反応式(2)による還元反応となる。
【0038】
CO+2H+2e→CO+HO (1)
O+CO+2e→CO+2OH (2)
【0039】
また、アノード(陽極)では、酸化反応が生じ、酸素が生成する。アノードにおける酸化反応も、電解質層の種類によって異なり、電解質層に陽イオン交換樹脂を用いる場合は、下記反応式(3)による酸化反応となり、電解質層に陰イオン交換樹脂を用いる場合は、下記反応式(4)による酸化反応となる。このように、酸素はアノード(陽極)において生成する。
【0040】
2HO→O+4H+4e (3)
4OH→O+2HO+4e (4)
【0041】
本実施形態の回収システムで用いられる二酸化炭素電解装置において、上記カソード(陰極)、アノード(陽極)、電解質層等を形成する材料、構成等については、特に制限はなく、公知の装置から適宜選択して採用すればよい。また、電圧印加部の構成も、特に制限はなく、公知の装置から適宜選択して採用すればよい。以下、カソード(陰極)、アノード(陽極)、電解質層等を形成する材料についての好ましい一例について説明するが、これに限られるものではないことは、いうまでもないことである。
【0042】
二酸化炭素電解装置におけるカソード(陰極)としては、例えば二酸化炭素の還元反応を促進する触媒を含む触媒層と、ガス拡散層とを有するものが用いられる。
触媒層における触媒としては、二酸化炭素の還元反応を促進する触媒であれば特に制限はなく、例えば金、銀、銅、ニッケル、鉄、コバルト、亜鉛、クロム、パラジウム、スズ、マンガン、アルミニウム、インジウム、ビスマス、モリブデン及び窒化炭素等から選ばれる少なくとも一種の無機微粒子;銅、ニッケル、鉄、コバルト、亜鉛、マンガン、モリブデン及びアルミニウムから選ばれる少なくとも一種の金属又は当該金属のイオンに配位子が配位した金属錯体;等を触媒種とし、例えばカーボンブラック(ファーネスブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック等)、活性炭、黒鉛、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、ナノポーラスカーボン等のガス拡散層として用いることができる導電性炭素材料を担体とする触媒が代表的に好ましく挙げられる。
触媒層は、これらの触媒を含み、さらに結着樹脂として陽イオン交換樹脂、陰イオン交換樹脂等の導電性高分子電解質である、アイオノマーを含む層であることが好ましい。
【0043】
またガス拡散層としては、カーボン紙若しくは不織布、又は金属メッシュを含む。例えば、グラファイトカーボン、ガラス状カーボン、チタン、SUS鋼等から選択して採用するとよい。
【0044】
アノード(陽極)としては、例えばIr、IrO、Ru、RuO、Co、CoOx、Cu、CuOx、Fe、FeOx、FeOOH、FeMn、Ni、NiOx、NiOOH、NiCo、NiCe、NiC、NiFe、NiCeCoCe、NiLa、NiMoFe、NiSn、NiZn、SUS、Au、Pt等の電極材料により構成される、ガス拡散層を含むガス拡散電極が好ましく用いられる。
【0045】
電解質層としては、例えば上記触媒層に用いられ得る結着樹脂として説明した陽イオン交換樹脂、陰イオン交換樹脂等の導電性高分子電解質である、アイオノマーを固体電解質として有し、これにより構成される高分子膜が好ましく用いられる。
【0046】
電解液としては、例えば、炭酸塩水溶液、炭酸水素塩水溶液、硫酸塩水溶液、ホウ酸塩水溶液、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム水溶液、塩化ナトリウム水溶液等のpH5以上の水溶液が好ましく用いられる。
【0047】
カソード集電板(陰極集電板)を構成する金属材料としては、例えば銅、ニッケル、ステンレス鋼、ニッケルメッキ鋼、真鍮等が挙げられ、形状としては、例えば金属箔、金属板、金属薄膜、エキスパンドメタル、パンチングメタル、発泡メタル等が挙げられる。
また、アノード集電板(陽極集電板)を構成する金属材料としては、例えばチタン、銅、ニッケル、ステンレス鋼、ニッケルメッキ鋼、真鍮等が挙げられる。
【0048】
このように、二酸化炭素電解装置においては、電解質層において用いる材料によって進行する反応はかわり得るが、主にカソード(陰極)では一酸化炭素が生成し、アノード(陽極)では酸素が生成する。そして、二酸化炭素電解装置で生成する一酸化炭素は、例えばフィッシャートロプシュ反応装置に供給することで、有効利用が可能となる。一酸化炭素の用途については、フィッシャートロプシュ反応装置の原料に限られず、例えばガスタービンの燃料ガス等、他の用途にも有効利用が可能である。
また、二酸化炭素電解装置で生成する酸素は、例えば製鉄、非鉄金属の精錬における酸素富化用の酸素、化学分野における酸化反応の酸化剤等として用いることができる。本実施形態のシステムにおいては、酸素供給配管1を設けて、流動接触分解装置の触媒再生用気体として利用することが好ましい。
【0049】
(二酸化炭素分離回収装置)
図2で示される本実施形態の回収システムは、二酸化炭素分離回収装置を備える。二酸化炭素分離回収装置は、ガス中に含まれる二酸化炭素を分離回収する装置であり、製油所設備内に通常備えられていることから、既設の二酸化炭素分離回収装置を用いてもよいし、本実施形態の回収システムのために新設した二酸化炭素分離回収装置を用いてもよい。
【0050】
本実施形態の回収システムにおいて、二酸化炭素分離回収装置の方式については特に制限はなく、例えばモノエタノールアミン、ヒンダードアミン等の活性アミン、アンモニア水、炭酸カリ水溶液等の二酸化炭素を化学的に吸収する化合物を用いた化学吸収法;N-メチルピロリドン、ポリエチレングリコールのジメチルエーテル溶液、ポリプロピレンカーボネート等の二酸化炭素を吸収し得る物理吸収液に、高圧下で二酸化炭素を吸収させて分離する物理吸収法;二酸化炭素を選択的に透過させる透過膜を用いて分離する膜分離法;二酸化炭素を極低温化で液化して、沸点の違いを用いて分離する深冷分離法;等の各種分離回収方法を採用することが可能である。
【0051】
製油所設備においては、上記化学吸収法、物理吸収法による二酸化炭素分離回収装置が備えられている場合が多く、信頼性の高い方法である。よって、本実施形態の回収システムの信頼性を考慮すると、これら化学吸収法、物理吸収法等の汎用の方法による二酸化炭素分離回収装置を用いればよい。製油所設備における既設の二酸化炭素分離回収装置が使用可能である場合は、既述のように本実施形態の回収システムにおいて利用すればよいし、本回収システムのために新設する場合は、これらの汎用の方法による二酸化炭素分離回収装置を用いるとよい。
【0052】
また、図1で示される本実施形態の回収システムは、さらに二酸化炭素分離回収装置を備えてもよい(図3参照)。この場合、流動接触分解装置から排出される排ガスは全量を二酸化炭素分離回収装置に供給し、二酸化炭素分離回収装置で生成する二酸化炭素を二酸化炭素電解装置に供給してもよいし、その一部を直接二酸化炭素電解装置に供給し、残りを二酸化炭素分離回収装置に供給してもよい。
流動接触分解装置から排出される排ガス中の二酸化炭素の濃度、排ガス量等を考慮し、また二酸化炭素分離回収装置として既設の装置を用いる場合は、当該既設の装置の運転負荷等も考慮し、二酸化炭素供給配管1及び二酸化炭素供給配管2に排ガスを振り分けて調整することができる。
【0053】
(水電解装置)
本実施形態の回収システムは、水電解装置を備えていてもよい。水電解装置は、水を電解することで酸素及び水素を生成させる装置である。
【0054】
本実施形態の回収システムにおいて、水電解装置としては、通常水の電解装置として採用される構成を有する装置であれば、特に制限なく採用することができる。また、製油所設備内に水電解装置が備えられている場合には、当該既設の水電解装置を用いることも可能である。
【0055】
水電解装置としては、例えばカソード、前記カソードと一対の電極を構成するアノード、前記カソードと前記アノードとの間に接触して存在する電解質層、及び前記カソードと前記アノードとの間に電圧を印加する電圧印加部を備える装置を用いるとよい。すなわち、カソード、電解質層、アノード、カソード及びアノードとの間に電圧を印加する電圧印加部を有するという構成は、上記二酸化炭素電解装置と同じである。
【0056】
水電解装置の形式としては、アルカリ形水電解、固体高分子形水電解、また高温水蒸気電解(固体酸化物形水蒸気電解)等の形式から適宜選択して採用することができる。
【0057】
例えば、カソード(陰極)は、ガス拡散層を含むガス拡散電極、例えばNi-YSZ(ニッケルと、イットリア安定化ジルコニアと、の混合物)、Ni-CeSmO(ニッケルと、Sm添加のCeOと、の混合物)等の多孔性導電性電極、アノード(陽極)は、La-Sr-Mn(LSM)複合酸化物等による多孔性伝導性電極等が用いられる。
電解質としては、例えば酸化物イオンを伝導する、イットリウム、カルシウム、スカンジウム等を添加した酸化ジルコニウム(YSZ(イットリア安定化ジルコニア)、CSZ、ScSZ)等の酸化物イオン伝導性を有する固体酸化物電解質、また水素イオン伝導性を有するイットリウム添加ジルコン酸バリウム等も好ましく挙げられる。
【0058】
水電解装置において、カソード(陰極)における反応は、電解質層の種類によって異なり、電解質層に水素イオン伝導性を有する電解質を用いる場合は、下記反応式(5)による還元反応、電解質層に酸化物イオン伝導性を有する電解質を用いる場合は、下記反応式(6)による還元反応となる。
【0059】
4H+4e→2H (5)
2HO+4e→2H+2O2- (6)
【0060】
水電解装置において、アノード(陽極)における反応は、電解質層の種類によって異なり、電解質層に水素イオン伝導性を有する電解質を用いる場合は、下記反応式(7)による酸化反応、電解質層に酸化物イオン伝導性を有する電解質を用いる場合は、下記反応式(8)による酸化反応となる。
【0061】
2HO→O+4H+4e (7)
2O2-→O+4e (8)
【0062】
このように、水電解装置においては、電解質層において用いる材料によって進行する反応はかわり得るが、カソード(陰極)では水素が生成し、アノード(陽極)では酸素が生成する。そして、水電解装置で生成する酸素は、上記の二酸化炭素電解装置で生成する酸素と同様に、各種用途において用いることができ、本実施形態のシステムにおいては、酸素供給配管2を設けて、流動接触分解装置の触媒再生用気体として利用することが好ましい。また、電解装置で生成する水素は、例えばフィッシャートロプシュ反応装置に供給することで、有効利用が可能となる。水素の用途については、フィッシャートロプシュ反応装置の原料に限られず、例えばガスタービンの燃料ガス等、他の用途にも有効利用が可能である。
【0063】
本実施形態の二酸化炭素利用システムは、水電解装置を備える場合は、二酸化炭素電解装置で生成する一酸化炭素と、水電解装置で生成する水素と、はいずれもフィッシャートロプシュ反応装置の原料、また他の用途において有効活用が可能である。二酸化炭素電解装置で生成する一酸化炭素と、水電解装置で生成する水素とを、混合して合成ガスを調製することもできるし、一酸化炭素及び水素を各々所望の用途に供給してもよい。
また、二酸化炭素電解装置で生成する一酸化炭素と、水電解装置で生成する水素とを、混合して合成ガスとし、フィッシャートロプシュ反応装置に原料ガスとして供給することもできる。
【実施例0064】
次に実施例により、本開示の技術を具体的に説明するが、本開示の技術は、これらの例によってなんら制限されるものではない。
【0065】
(実施例)
流動接触分解装置における触媒再生塔において触媒再生用に使用する空気の供給量を31.2質量部/日(窒素ガスとして24質量部/日)として運転していたところ、触媒再生塔から排出される排出ガスの流量10質量部/日(二酸化炭素として)を、当該排出ガスを二酸化炭素電解装置に供給した。二酸化炭素電解装置から生成する酸素ガスは3.6質量部/日となり、生成した3.6質量部/日の酸素ガスを、流動接触分解装置の触媒再生用気体の一部として用いたところ、31.2質量部/日供給していた触媒再生用の空気の供給量を、15.6質量部/日(窒素ガスとして12質量部/日)と、50%削減することが可能となった。
以上の結果、二酸化炭素を有効利用することができるだけでなく、窒素の顕熱に必要な分のエネルギーを半減することができ、さらに触媒再生用のエアブロアの動力を半減できるため、従来排気されて大気に放出されていたFCC排ガスに含まれる二酸化炭素を再利用し、製油所設備全体のエネルギー効率を向上できることが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本実施形態の二酸化炭素利用システムは、従来排気されて大気に放出されていたFCC排ガスに含まれる二酸化炭素を再利用し、製油所設備全体のエネルギー効率を向上するものである。よって、既設の製油所設備に増設する形で利用することが好適である。
図1
図2
図3
図4