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特開2024-48573電気銅山用載置台、及び、電気銅板の保管方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024048573
(43)【公開日】2024-04-09
(54)【発明の名称】電気銅山用載置台、及び、電気銅板の保管方法
(51)【国際特許分類】
   B65G 57/00 20060101AFI20240402BHJP
   B65D 19/28 20060101ALI20240402BHJP
【FI】
B65G57/00 A
B65D19/28 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022154553
(22)【出願日】2022-09-28
(71)【出願人】
【識別番号】000183303
【氏名又は名称】住友金属鉱山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】青木 英和
【テーマコード(参考)】
3E063
【Fターム(参考)】
3E063AA20
3E063AA25
3E063BA01
3E063BA02
3E063CA09
3E063EE01
3E063FF13
(57)【要約】
【課題】複数のフォークリフトで行われていた電気銅山の荷崩れを防ぐための煩雑な作業を、より効率良く行うことができるようにすること。
【解決手段】複数の電気銅板21が積層されてなる電気銅山を載置するための電気銅山用載置台1であって、矩形状の載置面110を有する載置板11と、載置面110の第1の辺の中央部において載置面110に直交して立設されている柱状部材である第1ストッパー12と、を備える、電気銅山用載置台1を用いる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電気銅板が積層されてなる電気銅山を載置するための電気銅山用載置台であって、
矩形状の載置面を有する載置板と、
前記載置面の第1の辺の中央部において前記載置面に直交して立設されている柱状部材である第1ストッパーと、
を備える、
電気銅山用載置台。
【請求項2】
前記第1の辺と直交する第2の辺の中央部に対して対称な辺上の2か所において前記載置面に直交して立設されている1対の柱状部材である第2ストッパーを備える、
請求項1に記載の電気銅山用載置台。
【請求項3】
前記第2の辺と直交する前記第1の辺又は第3の辺を含む側面に、フォークリフトの一対の爪を挿入可能な爪挿入孔を備える、
請求項2に記載の電気銅山用載置台。
【請求項4】
請求項1に記載の電気銅山用載置台と、一対の爪を有するフォークリフトを用いて行う、電気銅板の保管方法であって、
前記フォークリフトの前記一対の爪を、前記第1の辺に対向する第3の辺の側から電気銅山を形成する前記電気銅板の間に差し込んで一部の前記電気銅板を持ち上げる電気銅板持ち上げ工程と、
前記フォークリフトの前記一対の爪を前記第1ストッパーの両脇を通過させながら下降させることにより、前記電気銅板持ち上げ工程において、前記載置面上に残された前記電気銅板上に、前記電気銅板持ち上げ工程において持ち上げた前記電気銅板を水平方向において回転させた状態で載置し直す、電気銅板積み替え工程と、
を行う、電気銅板の保管方法。
【請求項5】
請求項2又は3に記載の電気銅山用載置台と、一対の爪を有するフォークリフトを用いて行う、電気銅板の保管方法であって、
前記フォークリフトの前記一対の爪を、前記第1の辺に対向する第3の辺の側から電気銅山を形成する前記電気銅板の間に差し込んで一部の前記電気銅板を持ち上げる電気銅板持ち上げ工程と、
前記フォークリフトの前記一対の爪を前記第1ストッパーの両脇を通過させながら下降させることにより、前記電気銅板持ち上げ工程において、前記載置面上に残された前記電気銅板上に、前記電気銅板持ち上げ工程において持ち上げた前記電気銅板を水平方向において回転させた状態で載置し直す、電気銅板積み替え工程と、
前記フォークリフトで、前記電気銅山が載置されている状態の前記電気銅山用載置台の一部を持ち上げて、前記第2の辺が、この辺に対向する第4の辺よりも相対的に低い位置となるように、前記電気銅山用載置台を傾けることによって、前記電気銅板間の隙間に入り込んだ水を排出させる排水工程と、
を行う、電気銅板の保管方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気銅山用載置台、及び、電気銅板の保管方法に関する。より詳しくは、本発明は、非鉄金属製錬の電解工程において産出した電気銅板の保管手段である電気銅山用載置台、及び、電気銅板の保管方法に関する。
【背景技術】
【0002】
非鉄金属製錬の電解工程においては、電解液を満たした電解槽中に、アノードとカソードを交互に配置して通電することにより、カソード表面上に高純度の金属を電着させ製品を製造している。製造後の電気銅板は、複数枚(一例として10枚~40枚程度)が、鉛直方向に積み重ねられた状態(以下、この状態の電気銅板の積層体のことを「電気銅山」と称する)で出荷まで電気銅置場で保管される。又、電気銅板は、次工程となる熔解炉等への電気銅の装入作業についても、この「電気銅山」を1荷造り単位として、1山毎に炉内への挿入が行われている。(特許文献1参照)。
【0003】
ここで、「電気銅山」を構成する個々の電気銅板は、通電からカソード引き揚げまでの通電状態により表面にノジュールが発生したり、上下厚みに若干の差が生じることがある。又、意図的に表面に凸部を形成する場合もある(特許文献1参照)。そのため、「電気銅山」を構成する個々の電気銅板は相互に平行な状態を維持することができない場合が多く、その結果、「電気銅山」は鉛直方向に対して傾いた状態となりやすい。このように傾いた状態の「電気銅山」においては、上記の保管期間中、或いは、上述の熔解炉への装入を行うコンベア上等において、荷崩れを起こして電気銅板が崩落するリスクがあった。
【0004】
上記のような「電気銅山」の荷崩れによる電気銅板の崩落を防ぐために、従来においては、一例として、上述の電気銅山の傾きを是正するための作業として、2台のフォークリフトを用いた以下のような作業が行われていた。即ち、この作業は、1台目のフォークリフトで電気銅山を固定しながら、2台目の他のフォークリフトで、電気銅山を構成する上方側の一部の電気銅板を持ち上げ、持ち上げた当該一部の電気銅板の向きを水平方向において回転させた状態で下方側の電気銅板の積層体の上に置き直す作業を繰り返すことによって、電気銅山の傾きを是正する作業である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000-119892号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、従来、複数のフォークリフトで行われていた電気銅山の荷崩れを防ぐための煩雑な作業を、より効率良く行うことができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、電気銅山を載置する載置台として、ストッパーの配置を工夫した専用の電気銅山載置台を用いることによって、電気銅山の荷崩れを防ぐための煩雑な作業を、1台のフォークリフトによって、効率良く行えることに想到し、本発明を完成させるに至った。具体的には、本発明は以下のものを提供する。
【0008】
(1) 複数の電気銅板が積層されてなる電気銅山を載置するための電気銅山用載置台であって、矩形状の載置面を有する載置板と、前記載置面の第1の辺の中央部において前記載置面に直交して立設されている柱状部材である第1ストッパーと、を備える、電気銅山用載置台。
【0009】
(1)の電気銅山用載置台によれば、従来、複数のフォークリフトで行われていた電気銅山の荷崩れを防ぐための煩雑な作業を、1台のフォークリフトによって、効率良く行うことができる。
【0010】
(2) 前記第1の辺と直交する第2の辺の中央部に対して対称な辺上の2か所において前記載置面に直交して立設されている1対の柱状部材である第2ストッパーを備える、(1)に記載の電気銅山用載置台。
【0011】
(2)の電気銅山用載置台によれば、従来、複数のフォークリフトで行われていた電気銅山の荷崩れを防ぐための煩雑な作業を、1台のフォークリフトによって、効率良く行うことができる。そして、更には、電気銅山が降雨等で濡れた場合に、電気銅山を崩すことなく全体を傾けて、積み重ねられた電気銅板間の隙間に入り込んだ水の排水を効率良く安全に行うことができる。
【0012】
(3) 前記第2の辺と直交する前記第1の辺又は第3の辺を含む側面に、フォークリフトの一対の爪を挿入可能な爪挿入孔を備える、(2)に記載の電気銅山用載置台。
【0013】
(3)の電気銅山用載置台によれば、フォークリフトの一対の爪を爪挿入孔に挿入した状態で作業することにより、電気銅山用載置台を必要に応じて持ち上げて移動させる作業や、或いは、上述の排水作業の際に電気銅山全体を傾ける作業を、より安全に、且つ、効率良く行うことができる。
【0014】
(4) (1)に記載の電気銅山用載置台と、一対の爪を有するフォークリフトを用いて行う、電気銅板の保管方法であって、前記フォークリフトの前記一対の爪を、前記第1の辺に対向する第3の辺の側から電気銅山を形成する前記電気銅板間の隙間に差し込んで一部の前記電気銅板を持ち上げる電気銅板持ち上げ工程と、前記フォークリフトの前記一対の爪を前記第1ストッパーの両脇を通過させながら下降させることにより、前記電気銅板持ち上げ工程において、前記載置面上に残された前記電気銅板上に、前記電気銅板持ち上げ工程において持ち上げた前記電気銅板の向きを水平方向において回転させた状態で載置し直す、電気銅板積み替え工程と、を行う、電気銅板の保管方法。
【0015】
(4)の電気銅板の保管方法によれば、従来、複数のフォークリフトで行われていた電気銅山の荷崩れを防ぐための煩雑な作業を、1台のフォークリフトによって、効率良く行うことができる。
【0016】
(5) (2)又は(3)に記載の電気銅山用載置台と、一対の爪を有するフォークリフトを用いて行う、電気銅板の保管方法であって、前記フォークリフトの前記一対の爪を、前記第1の辺に対向する第3の辺の側から電気銅山を形成する前記電気銅板の間に差し込んで一部の前記電気銅板を持ち上げる電気銅板持ち上げ工程と、前記フォークリフトの前記一対の爪を前記第1ストッパーの両脇を通過させながら下降させることにより、前記電気銅板持ち上げ工程において、前記載置面上に残された前記電気銅板上に、前記電気銅板持ち上げ工程において持ち上げた前記電気銅板を水平方向において回転させた状態で載置し直す、電気銅板積み替え工程と、前記フォークリフトで、前記電気銅山が載置されている状態の前記電気銅山用載置台の一部を持ち上げて、前記第2の辺が、この辺に対向する第4の辺よりも相対的に低い位置となるように、前記電気銅山用載置台を傾けることによって、前記電気銅板間の隙間に入り込んだ水を排出させる排水工程と、を行う、電気銅板の保管方法。
【0017】
(5)の電気銅板の保管方法によれば、従来、複数のフォークリフトで行われていた電気銅山の荷崩れを防ぐための煩雑な作業を、1台のフォークリフトによって、効率良く行うことができる。そして、更には、電気銅山が降雨等で濡れた場合に、電気銅山を崩すことなく全体を傾けて、積み重ねられた電気銅板間の隙間に入り込んだ水の排水を効率良く安全に行うことができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、従来、複数のフォークリフトで行われていた電気銅山の荷崩れを防ぐための煩雑な作業を、より効率良く行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の電気銅山用載置台の斜視図である。
図2】本発明の電気銅山用載置台の平面図である。
図3図1の電気銅山用載置台に電気銅山が載置されている状態を示す斜視図である。
図4】本発明の電気銅板の保管方法における電気銅板持ち上げ工程の実施態様を模式的に示す図面である。
図5】本発明の電気銅板の保管方法における電気銅板積み替え工程の実施態様を模式的に示す図面である。
図6】本発明の電気銅板の保管方法における排水工程の実施態様を模式的に示す図面(平面図)である。
図7】本発明の電気銅板の保管方法における排水工程の実施態様を模式的に示す図面(正面図、フォークリフトの図示は割愛)である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の電気銅山用載置台及びそれを用いて行う電気銅板の保管方法の好ましい実施形態について説明する。但し、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
【0021】
<電気銅山用載置台>
本発明の電気銅山用載置台は、複数の電気銅板が積層されてなる積層体である「電気銅山」を載置して、一時的に保管するために用いる専用台である。尚、一般的な銅製錬工場においては、一例として、1日当たり数百枚から数千枚の電気銅板が精製され、これらを10枚から40枚程度ずつ積み重ねた「電気銅山」が搬出される。そして、個々の「電気銅山」が、その後の工程での取扱い単位(山)となる。
【0022】
図1に示す電気銅山用載置台1は、本発明の電気銅山用載置台の好ましい実施形態の一例である。同図に示す通り、電気銅山用載置台1は、矩形状の載置面110を有する載置板11と、載置面110の4辺のうちの任意の1辺である第1の辺111の中央部において載置面110に直交して立設されている柱状部材である第1ストッパー12と、を少なくとも備えるものとする。第1ストッパー12は、少なくとも載置面110の中心に向けられている側の面が平面状である四角柱形状等の柱状の金属部材であることが好ましく、その高さは一例として400mm~600mm程度である。
【0023】
電気銅山用載置台1を、上記態様で設置されている1本の第1ストッパー12を有するものとすることによって、電気銅山から上方側の一部の電気銅板21を持ちあげる工程(「電気銅板持ち上げ工程」)と、載置面110上に残された電気銅板21上に上記工程(「電気銅板持ち上げ工程」)において持ち上げた電気銅板21を、水平方向を入れ替えて載置し直す工程(「電気銅板積み替え工程」)とを、1台のフォークリフトによって行うことができるようになる(図4、5参照)。これら各工程を順次行う、本発明の電気銅板の保管方法の実施態様の詳細については後述する。
【0024】
又、電気銅山用載置台1は、更に、第1の辺111と直交する第2の辺112の中央部に対して対称な辺上の2か所において、載置面110に直交して立設されている1対の柱状部材である第2ストッパー13A、13Bを備えるものであることがより好ましい。第2ストッパー13A、13Bも、第1ストッパー12と同様に、少なくとも載置面110の中心に向けられている側の面が平面状である四角柱形状等の柱状の金属部材であることが好ましく、その高さは一例として400mm~600mm程度である。
【0025】
電気銅山用載置台1を、上記態様で設置されている2本の第2ストッパー13A、13Bを有するものとすることによって、上述の通り、「電気銅板持ち上げ工程」及び「電気銅板積み替え工程」を、1台のフォークリフトによって、行うことができるようになることに加えて、更に、当該1台のフォークリフトで、電気銅板21間の隙間に入り込んだ水を排出させる工程(「排水工程」)も効率良く安全に行うこともできるようになる(図6及び図7参照)。「排水工程」も含めたこれらの各工程を順次行う、本発明の電気銅板の保管方法の実施態様の詳細についても後述する。
【0026】
第1ストッパー12、第2ストッパー13A、13B(以下、「各ストッパー12、13」とも言う)は、金属部材であればよく、鋼製であることがより好ましい。又、「各ストッパー12、13」の載置面110への固定は溶接によることが好ましく、載置面110より下方に、ほぞ構造、又は、ねじ込みにより、挿し込まれた状態で接合されていることがより好ましい。「各ストッパー12、13」を、このように固定することにより、フォークリフト3で搬入される電気銅を破損させることなく安定的に受け止めて、速やかに搬入を行うことができる。
【0027】
又、通常、電気銅山2は1トン以上5トン以下の大きな重量を有するが、上述の「排水工程」を行う場合等、電気銅山用載置台1を傾斜させる際に、「各ストッパー12、13」のうちの何れかのストッパーに電気銅山2の上記の大重量が集中しても、上記態様で固定されている「各ストッパー12、13」は、破損することはない。又、特に載置面110と「各ストッパー12、13」の境界部分に力が集中しても、これらの「各ストッパー12、13」が載置面110から外れたり、変形したりすることもない。このように、電気銅山用載置台1においては、第1ストッパー12、第2ストッパー13A、13Bによって、本発明に係る「電気銅板の保管方法」の実施時にも安全に大重量の電気銅山2の荷重を安全に支持することができる。
【0028】
尚、電気銅板は、束ねてバンドで固定されてから運ばれる場合は、電気銅山2から最も飛び出している電気銅板のみが電気銅山2の奥へと押し込まれるが、「各ストッパー12、13」によって、上記態様で積載されている電気銅山2を構成する個々の電気銅板の位置を整えることもできる。
【0029】
尚、電気銅山用載置台1の載置面110には、図1、2に示すように、載置面110条の電気銅山2の下部に、フォークリフトの爪を容易に挿入することができるようにするための空隙を確保するために同一の高さの4つ以上の任意の高さのスペーサー115を設けておくことができる。この場合は、各スペーサー115の上面に電気銅山2が載置される。
【0030】
図3は、電気銅山用載置台1の載置面110(スペーサー115)上に電気銅山が載置されている状態を示している。この状態において、「電気銅山」を構成する個々の電気銅板は、通常、厚みに一定以上のバラツキがあったり、或いは、各面に凸部が形成されている。従って、電気銅山2においては、個々の電気銅板21の間に、それらの厚みや表面形状のバラツキに起因する隙間(図示は省略)が形成されていることが一般的である。
【0031】
又、電気銅山用載置台1は、図1、3、6及び7の各図に示す通り、第2の辺112と直交する、第1の辺又は第3の辺を含む2つの側面のうち、少なくとも何れか一つの面に、フォークリフトの一対の爪を挿入可能な爪挿入孔116を備えるものとすることがより好ましい。爪挿入孔116を備える電気銅山用載置台1と、フォークリフトとを用いて行うことができる本発明の電気銅板の保管方法の実施態様の詳細については後述する。
【0032】
<電気銅板の保管方法>
本発明の電気銅板の保管方法は、電気銅山用載置台1と、フォークリフト3と、を用いて、以下に詳細を説明する各工程、即ち、「電気銅板持ち上げ工程」、「電気銅板積み替え工程」を必須の工程として順次行うことによって、個々の電気銅板21の表面形状等のバラツキに起因して発生する載置台上での電気銅山の傾きを是正する、電気銅板の保管方法である。
【0033】
又、本発明の「電気銅板の保管方法」は、より好ましくは、更に、「排水工程」を行うことによって、電気銅山2が降雨等で濡れた場合に、電気銅山2を崩すことなく全体を傾けて、積み重ねられた電気銅板21間の隙間に入り込んだ水の排水を行う、電気銅板の保管方法である。
【0034】
そして、本発明の「電気銅板の保管方法」は、上記何れの実施態様についても、上記において詳細を説明した電気銅山用載置台1等、本発明の電気銅山用載置台を用いることによって、1台のフォークリフトによって行うことができる。尚、フォークリフトとしては、特に限定なく平行な2本の爪からなる一対の爪31を有する一般的なフォークリフトを特段の限定なく用いることができる。
【0035】
但し、フォークリフトの一対の爪を挿入可能な爪挿入孔116を備える電気銅山用載置台1を用いる場合には、本発明の「電気銅板の保管方法」を行うためのフォークリフトとして、一対の爪を任意の角度で回転させることにより、リフトアップした作業対象物を任意の角度で傾斜させることができる「爪回転型のフォークリフト」を用いることが好ましい。これにより、詳しくは、後段において述べる通り、特には、上述の「排水工程」を安全、且つ、効率良く行うことができる。
【0036】
[電気銅板持ち上げ工程]
「電気銅板持ち上げ工程」は、フォークリフト3の一対の爪31を、第1の辺111に対向する第3の辺113の側から電気銅山を形成する個々の電気銅板21の間に差し込んで一部の電気銅板21を持ち上げる工程である。
【0037】
図4に示す通り、この工程の実施時には、フォークリフト3の一対の爪31は、第3の辺113から第1の辺111に向かって、第3の辺113の側から電気銅板21間の任意の隙間に差し込まれる。この時、個々の電気銅板は第3の辺113から第1の辺111に向かって押されることになる。しかし、電気銅山用載置台1においては、第1の辺111の中央部において載置面110に直交して立設されている柱状部材である第1ストッパー12が存在し、これにより、この方向に向けて電気銅板21の位置がずれることが防止されるため、本発明においては、1台のフォークリフトによって、効率良く安全に「電気銅板持ち上げ工程」を行うことができる。
【0038】
[電気銅板積み替え工程]
「電気銅板積み替え工程」は、フォークリフト3の一対の爪31を第1ストッパー12の両脇を通過させながら下降させることにより、「電気銅板持ち上げ工程」において、載置面110上に残された電気銅板21上に、「電気銅板持ち上げ工程」において持ち上げた電気銅板21を水平方向において回転させた状態で載置し直す工程である。
【0039】
図5に示す通り、この工程の実施時には、「電気銅板持ち上げ工程」において持ち上げた電気銅板21(積み替え対象の電気銅板)を、先ずは、第1ストッパー12の上面よりも高い位置において、第1の辺111の側から第3の辺に向けて移動させることによって、載置面110上の空間にまで移動させる。そして、その後に、フォークリフト3の一対の爪31を第1ストッパー12の両脇を通過させながら下降させることにより、載置面110上の空間にある電気銅板21(積み替え対象の電気銅板)を、水平方向において180°回転させた状態(図4図5の電気銅板の●の位置を参照)で、載置面110上に残された電気銅板21上に載置し直す。電気銅山用載置台1においては、第1ストッパー12が第1の辺111の中央部に配置されているので、フォークリフト3の一対の爪31を第1ストッパー12の両脇を通過させながら下降させることができる。これにより、本発明においては、1台のフォークリフトによって、効率良く「電気銅板積み替え工程」を行うことができる。
【0040】
[排水工程]
「排水工程」は、フォークリフト3で、電気銅山2が載置されている状態の電気銅山用載置台1の一部を持ち上げて、第2の辺112が、この辺に対向する第4の辺114よりも相対的に低い位置となるように、電気銅山用載置台1を傾けることによって、電気銅板21間の隙間に入り込んだ水を排出させる工程である。ここで、電気銅山の多くは、屋外で屋根がない場所に保管されているため、重ねられた電気銅板21の隙間に水が入り込むことを防止するために大型シートによる養生を行う必要がある。複数枚重ねた電気銅板21の隙間に水が含まれた状態で、熔解処理が行われると、溶解炉内で水蒸気爆発を誘発し、最悪の場合溶解炉の破損となる。濡れてしまった電気銅山の表面は比較的早く乾燥するが、重ね合わせた電気銅板21間の隙間に侵入した水については乾燥させるまでに時間が掛かるため、この水の排水作業は極めて重要な作業である。
【0041】
この工程の実施時には、一例として、図7に示すように、電気銅山2を載置した電気銅山用載置台1の底面の一部、具体的には、第4の辺114の側をフォークリフト3の一対の爪31によって持ち上げることによって、第2の辺112が、第4の辺114よりも相対的に低い位置となるように、電気銅山用載置台1を傾ける。電気銅山用載置台1においては、第2ストッパー13A、13Bが第2の辺112の中央部に対して対称な辺上の2か所において載置面110に直交して立設されているため、上記態様で載置面110が傾いている状態において、第2の辺112の側で電気銅板21を第2ストッパー13A、13Bによって安定的に支持することができる。これにより、本発明においては、1台のフォークリフトによって、効率良く安全に「排水工程」を行うことができる。
【0042】
又、この「排水工程」は、電気銅山用載置台1としてフォークリフトの一対の爪を挿入可能な爪挿入孔116を備える電気銅山用載置台を用い、尚且つ、上述した「爪回転型のフォークリフト」を用いることによって、より、安全、且つ、効率良く行うことがでる。この場合、具体的には、図6に示すように、「爪回転型のフォークリフト」であるフォークリフト3の一対の爪31を、電気銅山用載置台1の爪挿入孔116に挿入して、電気銅山用載置台1とフォークリフト3の一対の爪31とを安定的に係合させた状態で、電気銅山用載置台1を、地面から500mm~600mm程度の高さまでリフトアップし、その状態で、一対の爪31を適切な角度及び回転方向で回転させることによって、図7に示すように、第2の辺112が、第4の辺114よりも相対的に低い位置となるように電気銅山用載置台1を傾ける作業を安全、且つ、効率良く行うことができる。
【符号の説明】
【0043】
1 電気銅山用載置台
11 載置板
110 載置面
12 第1ストッパー
13A、13B 第2ストッパー
111 第1の辺
112 第2の辺
113 第3の辺
114 第4の辺
115 スペーサー
116 爪挿入孔
2 電気銅山
21 電気銅板
3 フォークリフト
31 一対の爪
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7