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特開2024-48667超音波診断装置および超音波診断装置の制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024048667
(43)【公開日】2024-04-09
(54)【発明の名称】超音波診断装置および超音波診断装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/14 20060101AFI20240402BHJP
【FI】
A61B8/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022154712
(22)【出願日】2022-09-28
(71)【出願人】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100152984
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 秀明
(74)【代理人】
【識別番号】100148080
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 史生
(72)【発明者】
【氏名】野口 雅史
【テーマコード(参考)】
4C601
【Fターム(参考)】
4C601BB03
4C601BB09
4C601BB17
4C601DD01
4C601DD14
4C601DE03
4C601FF03
4C601GA18
4C601GA21
4C601JB49
4C601JC06
4C601JC11
4C601JC16
4C601JC20
4C601JC22
4C601JC26
4C601KK17
4C601KK24
4C601KK30
4C601KK31
4C601LL26
(57)【要約】
【課題】血管における穿刺位置を容易に選択できる超音波診断装置の制御方法および超音波診断装置を提供する。
【解決手段】超音波診断装置は、超音波プローブ(1)の位置を検出するプローブ位置検出部(33)と、超音波画像を取得する画像取得部(31)と、モニタ(23)と、被検体の血管の長軸方向に沿って超音波プローブを走査しながら取得された複数フレームの超音波画像と超音波プローブの位置に基づいて血管の3次元の超音波データを生成する3次元データ生成部(25)と、3次元の超音波データから血管を検出する血管検出部(26)と、検出された血管の深度を検出する深度検出部(27)と、超音波プローブの位置、検出された血管および検出された深度に基づいて血管画像を生成し且つモニタに表示する血管画像生成部(28)を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波プローブと、
前記超音波プローブの位置を検出するプローブ位置検出部と、
前記超音波プローブを用いて被検体の超音波画像を取得する画像取得部と、
モニタと、
前記被検体の血管の長軸方向に沿って前記超音波プローブを走査しながら前記画像取得部により取得された複数フレームの前記超音波画像と前記プローブ位置検出部により検出された前記超音波プローブの位置に基づいて前記血管の3次元の超音波データを生成する3次元データ生成部と、
前記3次元データ生成部により生成された前記3次元の超音波データから血管を検出する血管検出部と、
前記血管検出部により検出された前記血管に基づいて前記被検体の体表から前記血管までの深度を検出する深度検出部と、
前記プローブ位置検出部により検出された前記超音波プローブの位置、前記血管検出部により検出された前記血管および前記深度検出部により検出された前記深度に基づいて前記被検体内における前記血管を描出する血管画像を生成し且つ前記モニタに表示する血管画像生成部と
を備える超音波診断装置。
【請求項2】
走査中の前記超音波プローブと前記被検体とを撮影する光学カメラを備え、
前記血管画像生成部により生成された前記血管画像は、前記光学カメラにより撮影された光学画像に重畳されて前記モニタに表示される請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項3】
前記プローブ位置検出部は、前記光学カメラにより撮影された前記光学画像に基づいて前記超音波プローブの位置を検出する請求項2に記載の超音波診断装置。
【請求項4】
前記血管検出部は、血管壁および血管内腔を検出する請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項5】
前記血管検出部により検出された前記血管壁および前記血管内腔に基づいて前記血管壁の厚さまたは前記血管内腔の径を算出する血管サイズ算出部を備える請求項4に記載の超音波診断装置。
【請求項6】
前記血管サイズ算出部により算出された前記血管壁の厚さまたは前記血管内腔の径の空間的変化率が定められた変化率しきい値を超える箇所を検出して前記モニタに表示する第1の異常個所検出部を備える請求項5に記載の超音波診断装置。
【請求項7】
前記3次元データ生成部は、Bモード画像とドプラ画像を取得し、
前記血管検出部は、前記Bモード画像および前記ドプラ画像に基づいて前記血管内腔を検出する請求項4に記載の超音波診断装置。
【請求項8】
前記血管画像生成部は、前記深度検出部により検出された前記深度に応じて前記血管画像の前記モニタへの表示形態を変更する請求項1~7のいずれか一項に記載の超音波診断装置。
【請求項9】
前記3次元データ生成部により生成された前記3次元の超音波データから前記血管画像に対してユーザにより指定された任意の箇所に対応する3次元超音波画像を生成し且つ前記モニタに表示する3次元画像生成部を備える請求項1~7のいずれか一項に記載の超音波診断装置。
【請求項10】
前記3次元データ生成部により生成された前記3次元の超音波データから前記血管画像に対してユーザにより指定された穿刺箇所において推奨される穿刺方向および体表に対する穿刺角度を含む推奨穿刺進路を算出し且つ前記モニタに表示する推奨穿刺進路算出部を備える請求項1~7のいずれか一項に記載の超音波診断装置。
【請求項11】
前記血管検出部により検出された前記血管が動脈および静脈のいずれであるかを判定する血管判定部を備え、
前記血管画像生成部は、前記血管判定部による判定結果に応じて前記血管の描出形態を変化させた前記血管画像を生成する請求項1~7のいずれか一項に記載の超音波診断装置。
【請求項12】
前記3次元データ生成部により生成された前記3次元の超音波データから神経束を検出して前記モニタに表示する神経束検出部を備える請求項1~7のいずれか一項に記載の超音波診断装置。
【請求項13】
過去の前記血管画像と現在の前記血管画像の位置の対応付けを行う対応付け部と、
前記過去の前記血管画像上の過去の所見箇所に対して前記対応付け部により対応付けされた現在の箇所を前記現在の前記血管画像に重畳して前記モニタに表示する所見箇所表示部と
を備える請求項4に記載の超音波診断装置。
【請求項14】
前記所見箇所表示部により前記モニタに表示され且つユーザにより指定された前記現在の箇所に対応する過去の所見内容および過去の超音波画像を前記モニタに表示する過去画像表示部を備える請求項13に記載の超音波診断装置。
【請求項15】
前記過去の超音波画像に類似する超音波画像を前記現在の検査において取得された複数フレームの前記超音波画像から検索して前記モニタに表示する類似画像表示部を備える請求項14に記載の超音波診断装置。
【請求項16】
前記血管検出部により検出された前記血管内腔に基づいて前記血管内腔の径を算出する血管サイズ算出部と、
前記血管サイズ算出部により検出された前記過去の前記血管画像における前記血管内腔の径と前記現在の前記血管画像における前記血管内腔の径との差分が定められた内腔径しきい値を超える箇所を検出して前記モニタに表示する第2の異常個所検出部と
を備える請求項13に記載の超音波診断装置。
【請求項17】
超音波プローブの位置を検出し、
前記超音波プローブを用いて被検体の超音波画像を取得し、
前記被検体の血管の長軸方向に沿って前記超音波プローブを走査しながら取得された複数フレームの前記超音波画像と検出された前記超音波プローブの位置に基づいて前記血管の3次元の超音波データを生成し、
生成された前記3次元の超音波データから血管を検出し、
検出された前記血管に基づいて前記被検体の体表から前記血管までの深度を検出し、
検出された前記超音波プローブの位置、検出された前記血管および検出された前記深度に基づいて前記被検体内における前記血管を描出する血管画像を生成し且つモニタに表示する
超音波診断装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血管の観察に用いられる超音波診断装置および超音波診断装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、腎臓に代わって被検体の血管中の不要物を人工的に取り除く治療である透析が行われている。透析では高い頻度で被検体の上肢に太い針を穿刺するため、被検体の血管には、狭窄、閉塞または血管走行の蛇行等の様々な変化が生じることが多い。被検体の血管において様々な変化が生じている場合には、血管における穿刺位置を容易に選択できないことがある。そこで、通常、血管の位置および状態を記録した、いわゆるシャントマップを作成し、作成されたシャントマップを確認しながら穿刺が行われることが多い。術者は、シャントマップを手書きにより作成することが多いため、シャントマップにおける精度および情報の網羅性が術者の熟練度に依存し、シャントマップの作成に多大な時間を要していた。
【0003】
ここで、術者の熟練度に関わらず血管における穿刺位置を容易に選択できるように、例えば、特許文献1~3に開示されるような、いわゆる超音波診断装置により撮影された被検体の血管の位置を自動的に取得する技術が開発されている。特許文献1~3は、被検体と超音波プローブの光学画像を撮影しながら超音波画像を撮影することにより、被検体における血管の位置を取得する技術を開示している。特許文献1および3は、さらに、被検体を撮影した光学画像上に血管を含む超音波画像を重畳表示する技術を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014-221175号公報
【特許文献2】特開2014-217745号公報
【特許文献3】特開2019-076748号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、透析の治療を受けている被検体の血管では、平面視における位置および形状の変化だけではなく、深さ方向における位置および形状も変化することが多い。特許文献1~3では、血管の深さ方向の位置および形状については考慮されていないため、術者は、これらの技術を用いたとしても血管における穿刺位置を容易に選択できないことがあった。
【0006】
本発明はこのような従来の問題点を解消するためになされたものであり、血管における穿刺位置を容易に選択できる超音波診断装置および超音波診断装置の制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下の構成によれば、上記目的を達成できる。
〔1〕 超音波プローブと、
超音波プローブの位置を検出するプローブ位置検出部と、
超音波プローブを用いて被検体の超音波画像を取得する画像取得部と、
モニタと、
被検体の血管の長軸方向に沿って超音波プローブを走査しながら画像取得部により取得された複数フレームの超音波画像とプローブ位置検出部により検出された超音波プローブの位置に基づいて血管の3次元の超音波データを生成する3次元データ生成部と、
3次元データ生成部により生成された3次元の超音波データから血管を検出する血管検出部と、
血管検出部により検出された血管に基づいて被検体の体表から血管までの深度を検出する深度検出部と、
プローブ位置検出部により検出された超音波プローブの位置、血管検出部により検出された血管および深度検出部により検出された深度に基づいて被検体内における血管を描出する血管画像を生成し且つモニタに表示する血管画像生成部と
を備える超音波診断装置。
〔2〕 走査中の超音波プローブと被検体とを撮影する光学カメラを備え、
血管画像生成部により生成された血管画像は、光学カメラにより撮影された光学画像に重畳されてモニタに表示される〔1〕に記載の超音波診断装置。
〔3〕 プローブ位置検出部は、光学カメラにより撮影された光学画像に基づいて超音波プローブの位置を検出する〔2〕に記載の超音波診断装置。
〔4〕 血管検出部は、血管壁および血管内腔を検出する〔1〕~〔3〕のいずれかに記載の超音波診断装置。
〔5〕 血管検出部により検出された血管壁および血管内腔に基づいて血管壁の厚さまたは血管内腔の径を算出する血管サイズ算出部を備える〔4〕に記載の超音波診断装置。
〔6〕 血管サイズ算出部により算出された血管壁の厚さまたは血管内腔の径の空間的変化率が定められた変化率しきい値を超える箇所を検出してモニタに表示する第1の異常個所検出部を備える〔5〕に記載の超音波診断装置。
〔7〕 3次元データ生成部は、Bモード画像とドプラ画像を取得し、
血管検出部は、Bモード画像およびドプラ画像に基づいて血管内腔を検出する〔4〕~〔6〕のいずれかに記載の超音波診断装置。
〔8〕 血管画像生成部は、深度検出部により検出された深度に応じて血管画像のモニタへの表示形態を変更する〔1〕~〔7〕のいずれかに記載の超音波診断装置。
〔9〕 3次元データ生成部により生成された3次元の超音波データから血管画像に対してユーザにより指定された任意の箇所に対応する3次元超音波画像を生成し且つモニタに表示する3次元画像生成部を備える〔1〕~〔8〕のいずれかに記載の超音波診断装置。
〔10〕 3次元データ生成部により生成された3次元の超音波データから血管画像に対してユーザにより指定された穿刺箇所において推奨される穿刺方向および体表に対する穿刺角度を含む推奨穿刺進路を算出し且つモニタに表示する推奨穿刺進路算出部を備える〔1〕~〔9〕のいずれかに記載の超音波診断装置。
〔11〕 血管検出部により検出された血管が動脈および静脈のいずれであるかを判定する血管判定部を備え、
血管画像生成部は、血管判定部による判定結果に応じて血管の描出形態を変化させた血管画像を生成する〔1〕~〔10〕のいずれかに記載の超音波診断装置。
〔12〕 3次元データ生成部により生成された3次元の超音波データから神経束を検出してモニタに表示する神経束検出部を備える〔1〕~〔11〕のいずれかに記載の超音波診断装置。
〔13〕 過去の血管画像と現在の血管画像の位置の対応付けを行う対応付け部と、
過去の血管画像上の過去の所見箇所に対して対応付け部により対応付けされた現在の箇所を現在の血管画像に重畳してモニタに表示する所見箇所表示部と
を備える〔4〕に記載の超音波診断装置。
〔14〕 所見箇所表示部によりモニタに表示され且つユーザにより指定された現在の箇所に対応する過去の所見内容および過去の超音波画像をモニタに表示する過去画像表示部を備える〔13〕に記載の超音波診断装置。
〔15〕 過去の超音波画像に類似する超音波画像を現在の検査において取得された複数フレームの超音波画像から検索してモニタに表示する類似画像表示部を備える〔14〕に記載の超音波診断装置。
〔16〕 血管検出部により検出された血管内腔に基づいて血管内腔の径を算出する血管サイズ算出部と、
血管サイズ算出部により検出された過去の血管画像における血管内腔の径と現在の血管画像における血管内腔の径との差分が定められた内腔径しきい値を超える箇所を検出してモニタに表示する第2の異常個所検出部と
を備える〔13〕~〔15〕のいずれかに記載の超音波診断装置。
〔17〕 超音波プローブの位置を検出し、
超音波プローブを用いて被検体の超音波画像を取得し、
被検体の血管の長軸方向に沿って超音波プローブを走査しながら取得された複数フレームの超音波画像と検出された超音波プローブの位置に基づいて血管の3次元の超音波データを生成し、
生成された3次元の超音波データから血管を検出し、
検出された血管に基づいて被検体の体表から血管までの深度を検出し、
検出された超音波プローブの位置、検出された血管および検出された深度に基づいて被検体内における血管を描出する血管画像を生成し且つモニタに表示する
超音波診断装置の制御方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、超音波診断装置が、超音波プローブと、超音波プローブの位置を検出するプローブ位置検出部と、超音波プローブを用いて被検体の超音波画像を取得する画像取得部と、モニタと、被検体の血管の長軸方向に沿って超音波プローブを走査しながら画像取得部により取得された複数フレームの超音波画像とプローブ位置検出部により検出された超音波プローブの位置に基づいて血管の3次元の超音波データを生成する3次元データ生成部と、3次元データ生成部により生成された3次元の超音波データから血管を検出する血管検出部と、血管検出部により検出された血管に基づいて被検体の体表から血管までの深度を検出する深度検出部と、プローブ位置検出部により検出された超音波プローブの位置、血管検出部により検出された血管および深度検出部により検出された深度に基づいて被検体内における血管を描出する血管画像を生成し且つモニタに表示する血管画像生成部とを備えるため、ユーザが血管における穿刺位置を容易に選択できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施の形態1に係る超音波診断装置の構成を示すブロック図である。
図2】本発明の実施の形態1における送受信回路の構成を示すブロック図である。
図3】本発明の実施の形態1における画像生成部の構成を示すブロック図である。
図4】3次元の超音波データの生成に用いられる複数フレームの超音波画像を示す図である。
図5】被検体の上肢を撮影した光学画像に重畳された血管画像の例を示す図である。
図6】本発明の実施の形態1に係る超音波診断装置の動作を示すフローチャートである。
図7】実施の形態1の変形例における画像生成部の構成を示すブロック図である。
図8】本発明の実施の形態2に係る超音波診断装置の構成を示すブロック図である。
図9】本発明の実施の形態3に係る超音波診断装置の構成を示すブロック図である。
図10】血管壁の厚さの空間的変化率が変化率しきい値を超える箇所および血管内腔の径の空間変化率が変化率しきい値を超える箇所の表示例を示す図である。
図11】本発明の実施の形態4に係る超音波診断装置の構成を示すブロック図である。
図12】3次元超音波画像の例を示す図である。
図13】本発明の実施の形態5に係る超音波診断装置の構成を示すブロック図である。
図14】推奨穿刺進路の例を示す図である。
図15】本発明の実施の形態6に係る超音波診断装置の構成を示すブロック図である。
図16】静脈と静脈の表示例を示す図である。
図17】本発明の実施の形態7に係る超音波診断装置の構成を示すブロック図である。
図18】神経束の表示例を示す図である。
図19】本発明の実施の形態8に係る超音波診断装置の構成を示すブロック図である。
図20】現在の血管画像に重畳された、過去の所見箇所に対応する現在の箇所と、現在の箇所に対応する過去の所見の表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。
なお、本明細書において、「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
本明細書において、「同一」、「同じ」は、技術分野で一般的に許容される誤差範囲を含むものとする。
【0011】
実施の形態1
図1に本発明の実施の形態1に係る超音波診断装置の構成を示す。超音波診断装置は、超音波プローブ1、超音波プローブ1に接続される装置本体2、および、光学カメラ3を備えている。超音波診断装置は、被検体の血管を観察するために用いられる。
【0012】
超音波プローブ1は、振動子アレイ11を有している。振動子アレイ11に送受信回路12が接続されている。
【0013】
装置本体2は、超音波プローブ1の送受信回路12に接続される画像生成部21を有している。画像生成部21に、表示制御部22およびモニタ23が、順次、接続されている。装置本体2は、光学カメラ3に接続される光学画像解析部24を備えている。画像生成部21および光学画像解析部24に、3次元データ生成部25が接続されている。3次元データ生成部25に、血管検出部26が接続されている。3次元データ生成部25および血管検出部26に、深度検出部27が接続されている。血管検出部26および深度検出部27に、血管画像生成部28が接続されている。光学画像解析部24および血管画像生成部28は、表示制御部22に接続している。また、光学カメラ3、送受信回路12、画像生成部21、表示制御部22、光学画像解析部24、3次元データ生成部25、血管検出部26、深度検出部27および血管画像生成部28に、本体制御部29が接続されている。本体制御部29に入力装置30が接続されている。
【0014】
また、送受信回路12と画像生成部21により、画像取得部31が構成されている。また、画像生成部21、表示制御部22、光学画像解析部24、3次元データ生成部25、血管検出部26、深度検出部27、血管画像生成部28および本体制御部29により、装置本体2用のプロセッサ32が構成されている。また、光学カメラ3と光学画像解析部24により、プローブ位置検出部33が構成されている。
【0015】
超音波プローブ1の振動子アレイ11は、1次元または2次元に配列された複数の超音波振動子を有している。これらの超音波振動子は、それぞれ送受信回路12から供給される駆動信号に従って超音波を送信すると共に、被検体からの超音波エコーを受信して、超音波エコーに基づく信号を出力する。各超音波振動子は、例えば、PZT(Lead Zirconate Titanate:チタン酸ジルコン酸鉛)に代表される圧電セラミック、PVDF(Poly Vinylidene Di Fluoride:ポリフッ化ビニリデン)に代表される高分子圧電素子およびPMN-PT(Lead Magnesium Niobate-Lead Titanate:マグネシウムニオブ酸鉛-チタン酸鉛固溶体)に代表される圧電単結晶等からなる圧電体の両端に電極を形成することにより構成される。
【0016】
送受信回路12は、本体制御部29による制御の下で、振動子アレイ11から超音波を送信し且つ振動子アレイ11により取得された受信信号に基づいて音線信号を生成する。送受信回路12は、図2に示すように、振動子アレイ11に接続されるパルサ41と、振動子アレイ11から順次直列に接続される増幅部42、AD(Analog to Digital)変換部43およびビームフォーマ44を有している。
【0017】
パルサ41は、例えば、複数のパルス発生器を含んでおり、本体制御部29からの制御信号に応じて選択された送信遅延パターンに基づいて、振動子アレイ11の複数の超音波振動子から送信される超音波が超音波ビームを形成するようにそれぞれの駆動信号を、遅延量を調節して複数の超音波振動子に供給する。このように、振動子アレイ11の超音波振動子の電極にパルス状または連続波状の電圧が印加されると、圧電体が伸縮し、それぞれの超音波振動子からパルス状または連続波状の超音波が発生して、それらの超音波の合成波から、超音波ビームが形成される。
【0018】
送信された超音波ビームは、例えば、被検体の部位等の対象において反射され、超音波プローブ1の振動子アレイ11に向かって伝搬する。このように振動子アレイ11に向かって伝搬する超音波エコーは、振動子アレイ11を構成するそれぞれの超音波振動子により受信される。この際に、振動子アレイ11を構成するそれぞれの超音波振動子は、伝搬する超音波エコーを受信することにより伸縮して、電気信号である受信信号を発生させ、これらの受信信号を増幅部42に出力する。
【0019】
増幅部42は、振動子アレイ11を構成するそれぞれの超音波振動子から入力された信号を増幅し、増幅した信号をAD変換部43に送信する。AD変換部43は、増幅部42から送信された信号をデジタルの受信データに変換する。ビームフォーマ44は、AD変換部43から受け取った各受信データに対してそれぞれの遅延を与えて加算することにより、いわゆる受信フォーカス処理を行う。この受信フォーカス処理により、AD変換部43で変換された各受信データが整相加算され且つ超音波エコーの焦点が絞り込まれた音線信号が取得される。
【0020】
画像生成部21は、図3に示すように、信号処理部45、DSC(Digital Scan Converter:デジタルスキャンコンバータ)46および画像処理部47が順次直列に接続された構成を有している。
【0021】
信号処理部45は、送受信回路12から受信した音線信号に対し、本体制御部29により設定される音速値を用いて超音波の反射位置の深度に応じて距離による減衰の補正を施した後、包絡線検波処理を施すことにより、被検体内の組織に関する断層画像情報であるBモード画像信号を生成する。
【0022】
DSC46は、信号処理部45で生成されたBモード画像信号を通常のテレビジョン信号の走査方式に従う画像信号に変換(ラスター変換)する。
画像処理部47は、DSC46から入力されるBモード画像信号に階調処理等の各種の必要な画像処理を施した後、Bモード画像信号を表示制御部22および3次元データ生成部25に送出する。以降は、画像処理部47により画像処理が施されたBモード画像信号を、超音波画像と呼ぶ。
【0023】
表示制御部22は、本体制御部29の制御の下で、画像生成部21により生成された超音波画像等に対して所定の処理を施して、モニタ23に表示する。
モニタ23は、表示制御部22の制御の下で、種々の表示を行う。モニタ23は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display:液晶ディスプレイ)、有機ELディスプレイ(Organic Electroluminescence Display)等のディスプレイ装置を含むことができる。
【0024】
光学カメラ3は、例えばいわゆるCCD(Charge Coupled Device:電荷結合素子)イメージセンサまたはいわゆるCMOS(Complementary Metal-Oxide-Semiconductor:相補型金属酸化膜半導体)イメージセンサ等のイメージセンサを含み、被検体の体表と、被検体の体表上に配置された超音波プローブ1を撮影して光学画像を取得する。光学カメラ3は、取得された光学画像を光学画像解析部24に送出する。
【0025】
光学画像解析部24は、例えば、光学カメラ3により撮影された光学画像を解析することにより、被検体の体表上における超音波プローブ1の位置を検出する。光学画像解析部24は、例えば、超音波プローブ1の位置を検出するためのマーカ、例えば、いわゆるARマーカ(Augmented Reality marker:拡張現実マーカ)等が超音波プローブ1に取り付けられている場合に、マーカを認識することにより超音波プローブ1の位置を検出できる。
【0026】
また、光学画像解析部24は、例えば、超音波プローブ1と被検体の体表を表す複数のテンプレート画像を記憶しており、これらの複数のテンプレート画像を用いたテンプレートマッチングの方法により光学画像内をサーチして超音波プローブ1と被検体の体表を検出し、被検体の体表上における超音波プローブ1の位置を検出することもできる。また、光学画像解析部24は、例えば、一般的な超音波プローブと被検体の体表が写る大量の光学画像を学習した機械学習モデルを有し、この機械学習モデルを用いて被検体の体表上における超音波プローブ1の位置を検出することもできる。
【0027】
3次元データ生成部25は、被検体の血管の長軸方向すなわち血管の走行方向に沿って超音波プローブ1を走査しながら画像取得部31により取得された、血管の短軸像を含む複数フレームの超音波画像と、プローブ位置検出部33により検出された超音波プローブ1の位置に基づいて血管の3次元の超音波データを生成する。ここで、血管の短軸像とは、血管の長軸方向に垂直な断層面のことをいう。
【0028】
この際に、3次元データ生成部25は、例えば図4に示すように、血管Bが写る複数フレームの超音波画像Uをプローブ位置検出部33により検出された超音波プローブ1の位置に基づいて長軸方向Dに沿って並べることにより、3次元の超音波データを生成できる。3次元データ生成部25は、複数フレームの超音波画像Uを解析することにより、長軸方向Dにおける複数フレームの超音波画像U間のデータを推定して補間し、血管Bおよび血管Bの周辺の組織が長軸方向Dにおいて、より滑らかに連続した3次元データを生成することもできる。
【0029】
血管検出部26は、3次元データ生成部25により生成された3次元の超音波データを解析することにより、3次元の超音波データから血管Bを検出する。血管検出部26は、例えば、3次元の超音波データの、長軸方向Dに垂直な断面に対してテンプレートマッチングの方法により血管Bの断面を検出し、その検出結果の集合により3次元の血管Bを検出できる。また、血管検出部26は、大量の3次元の超音波データと、それらの3次元の超音波データ内に存在する3次元の血管Bを学習した機械学習モデルを用いて3次元の超音波データから3次元の血管Bを検出することもできる。また、血管検出部26は、血管壁または血管内腔を検出することにより、血管Bを検出できる。ここで、血管内腔とは、血管壁の内側に存在する空間領域のことをいう。
【0030】
深度検出部27は、血管検出部26により検出された血管Bに基づいて、検出された血管Bの全長に亘って、被検体の体表から血管Bまでの深度を検出する。深度検出部27は、3次元の超音波データにおいて、検出された血管Bの全長に亘って、深さ方向における超音波データの上端部すなわち体表と血管内腔の中心との間の距離、または、深さ方向における超音波データの上端部すなわち体表と血管壁との間の最短距離を計測することにより、被検体の体表から血管Bまでの深度を検出できる。
【0031】
血管画像生成部28は、プローブ位置検出部33により検出された超音波プローブ1の位置、血管検出部26により検出された3次元の血管Bおよび深度検出部27により検出された血管Bの深度に基づいて、例えば図5に示すように、被検体内における血管Bを描出する血管画像Cを生成し、血管画像Cを、光学カメラ3により撮影された光学画像Qに写る被検体の体表Aに重畳してモニタ23に表示する。図5には、光学画像Qに写る被検体の上肢の体表Aに血管画像Cが重畳される例が示されている。
【0032】
血管画像Cは、光学画像Qにより表される平面に沿った、すなわち、平面視における血管Bの位置および形状の他に、例えば色の濃淡、彩度、透明度、明度、色または輪郭線の表示形態等によって血管Bの深さを表す等、血管Bの深度に応じて表示形態を変更することができる。例えば、色の濃淡によって血管Bの深さを表す場合に、血管画像Cの色が濃い箇所ほど血管Bの位置が深いことを表し、血管画像Cの色が薄い箇所ほど血管Bの位置が浅いことを表すことができる。ユーザは、モニタ23に写る血管画像Cを確認することにより、血管Bの位置、形状および深さを容易に把握して、透析の処置等の際の穿刺位置を容易に選択できる。
【0033】
本体制御部29は、予め記録されたプログラム等に従って装置本体2の各部および超音波プローブ1を制御する。
入力装置30は、検査者による入力操作を受け付け、入力された情報を本体制御部29に送出する。入力装置30は、例えば、キーボード、マウス、トラックボール、タッチパッドおよびタッチパネル等の検査者が入力操作を行うための装置等により構成される。
【0034】
なお、画像生成部21、表示制御部22、光学画像解析部24、3次元データ生成部25、血管検出部26、深度検出部27、血管画像生成部28および本体制御部29を有するプロセッサ32は、CPU(Central Processing Unit:中央処理装置)、および、CPUに各種の処理を行わせるための制御プログラムから構成されるが、FPGA(Field Programmable Gate Array:フィードプログラマブルゲートアレイ)、DSP(Digital Signal Processor:デジタルシグナルプロセッサ)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit:アプリケーションスペシフィックインテグレイテッドサーキット)、GPU(Graphics Processing Unit:グラフィックスプロセッシングユニット)、または、その他のIC(Integrated Circuit:集積回路)を用いて構成されてもよく、もしくはそれらを組み合わせて構成されてもよい。
【0035】
また、プロセッサ32の画像生成部21、表示制御部22、光学画像解析部24、3次元データ生成部25、血管検出部26、深度検出部27、血管画像生成部28および本体制御部29は、部分的にあるいは全体的に1つのCPU等に統合させて構成されることもできる。
【0036】
次に、図6のフローチャートを用いて実施の形態1に係る超音波診断装置の動作の例を説明する。
【0037】
まず、ステップS1において、本体制御部29は、超音波診断装置の各部を制御して、超音波プローブ1の走査を開始する。この際に、本体制御部29は、例えば、入力装置30を介してユーザにより、超音波プローブ1の走査を開始する指示が入力されたことをトリガとして、超音波プローブ1の走査を開始できる。これ以降、ユーザは、超音波プローブ1を被検体の血管Bの短軸像を撮影するように、超音波プローブ1を被検体の体表Aに接触させた状態で血管Bの長軸方向Dに沿って移動させながら超音波プローブ1の走査を行う。
【0038】
次に、ステップS2において、プローブ位置検出部33は、超音波プローブ1の位置を検出する。この際に、プローブ位置検出部33の光学カメラ3が、被検体の体表Aおよび超音波プローブ1を撮影して光学画像Qを取得し、光学画像解析部24が、光学画像Qを解析することにより、被検体の体表A上における超音波プローブ1の位置を検出する。光学画像解析部24は、超音波プローブ1の位置を検出するためのマーカが超音波プローブ1に取り付けられている場合に、マーカを認識することにより超音波プローブ1の位置を検出できる。また、光学画像解析部24は、テンプレートマッチングの方法または機械学習モデルを用いた方法により超音波プローブ1の位置を検出することもできる。
【0039】
ステップS3において、画像取得部31は、超音波画像Uを取得する。この際に、超音波プローブ1の振動子アレイ11により被検体内に超音波ビームが送信され且つ被検体内から超音波エコーが受信され、受信信号が生成される。画像取得部31の送受信回路12は、受信信号に対して、本体制御部29の制御の下でいわゆる受信フォーカス処理を行って音線信号を生成する。送受信回路12により生成された音線信号は、画像生成部21に送出される。画像生成部21は、送受信回路12から送出された音線信号を用いて超音波画像Uを生成する。
【0040】
ここで、ステップS2とステップS3の処理は、ほぼ同時に行われるため、ステップS2で検出された超音波プローブ1の位置と、ステップS3で超音波画像Uが取得された際の超音波プローブ1の位置は、互いに同一とみなすことができる。
【0041】
ステップS4において、本体制御部29は、超音波プローブ1の走査を終了するか否かを判定する。本体制御部29は、例えば、入力装置30を介してユーザにより、超音波プローブ1の走査を終了する指示が入力された場合に、超音波プローブ1の走査を終了すると判定できる。本体制御部29は、例えば、入力装置30を介してユーザにより、超音波プローブ1の走査を終了する指示が入力されない場合に、超音波プローブ1の走査を続行すると判定できる。
【0042】
ステップS4において超音波プローブ1の走査を続行すると判定された場合にステップS2に戻り、超音波プローブ1の位置が新たに検出される。続くステップS3において超音波画像Uが新たに取得され、ステップS4に進む。このように、ステップS4で超音波プローブ1の走査を続行すると判定される限り、ステップS2~ステップS4の処理が繰り返される。ステップS4において超音波プローブ1の走査を終了すると判定された場合に、ステップS5に進む。
【0043】
ステップS5において、3次元データ生成部25は、ステップS2~ステップS4の繰り返しにおいて検出された超音波プローブ1の位置と、ステップS2~ステップS4の繰り返しにおいて取得された連続する複数フレームの超音波画像Uに基づいて、血管Bの3次元の超音波データを生成する。3次元データ生成部25は、例えば図4に示すように、ステップS2で検出された超音波プローブ1の位置に基づいて、ステップS3で取得された複数フレームの超音波画像Uを長軸方向Dに沿って並べることにより、3次元の超音波データを生成できる。
【0044】
ステップS6において、血管検出部26は、ステップS5で生成された3次元の超音波データを解析することにより、3次元の超音波データから血管Bを検出する。血管検出部26は、例えば、3次元の超音波データの、長軸方向Dに垂直な断面に対してテンプレートマッチングの方法により血管Bの断面を検出し、その検出結果の集合により3次元の血管Bを検出できる。また、血管検出部26は、機械学習モデルを用いた方法により3次元の血管Bを検出することもできる。この際に、血管検出部26は、血管壁または血管内腔を検出することにより、血管Bを検出できる。
【0045】
ステップS7において、深度検出部27は、ステップS6で検出された3次元の血管Bに基づいて、検出された血管Bの全長に亘って、被検体の体表Aから血管Bまでの深度を検出する。深度検出部27は、3次元の超音波データにおいて、検出された血管Bの全長に亘って、深さ方向における超音波データの上端部すなわち体表Aと血管内腔の中心との間の距離、または、深さ方向における超音波データの上端部すなわち体表Aと血管壁との間の最短距離を計測することにより、被検体の体表Aから血管Bまでの深度を検出できる。
【0046】
ステップS8において、血管画像生成部28は、ステップS2で検出された超音波プローブ1の位置、ステップS6で検出された3次元の血管BおよびステップS7で検出された血管Bの深度に基づいて、例えば図5に示すように、被検体内における血管Bを描出する血管画像Cを生成する。血管画像Cは、光学画像Qにより表される平面に沿った、すなわち、平面視における血管Bの位置および形状の他に、例えば色の濃淡によって血管Bの深さを表すことができる。例えば、血管画像Cの色が濃い箇所ほど血管Bの位置が深いことを表し、血管画像Cの色が薄い箇所ほど血管Bの位置が浅いことを表すことができる。
【0047】
ステップS9において、光学カメラ3は、本体制御部29の制御の下で、被検体の体表Aを撮影した光学画像Qを取得する。
【0048】
ステップS10において、血管画像生成部28は、ステップS8で生成された血管画像Cを、例えば図5に示すように、ステップS9で取得された光学画像Qに撮影された被検体の体表Aに重畳してモニタ23に表示する。この際に、血管画像生成部28は、例えば、ステップS2で撮影された光学画像Qに写る被検体の体表Aと、ステップS9で撮影された光学画像Qに写る被検体の体表Aに対して位置合わせを行うことができる。
【0049】
ユーザは、このようにしてモニタ23に表示された血管画像Cを確認することにより、被検体内における血管Bの位置、形状および深さを容易に把握して、透析の処置等の際の穿刺位置を容易に選択できる。
【0050】
ステップS10の処理が完了すると、図6に示すフローチャートに従う超音波診断装置の動作が完了する。
【0051】
以上から、本発明の実施の形態1の超音波診断装置によれば、3次元データ生成部25が、被検体の血管Bの長軸方向Dに沿って超音波プローブ1を走査しながら画像取得部31により取得された複数フレームの超音波画像Uとプローブ位置検出部33により検出された超音波プローブ1の位置に基づいて血管Bの3次元の超音波データを生成し、血管検出部26が、3次元データ生成部25により生成された3次元の超音波データから血管Bを検出し、深度検出部27が、血管検出部26により検出された3次元の血管Bに基づいて被検体の体表Aから血管Bまでの深度を検出し、血管画像生成部28が、プローブ位置検出部33により検出された超音波プローブ1の位置、血管検出部26により検出された3次元の血管Bおよび深度検出部27により検出された深度に基づいて被検体内における血管Bを描出する血管画像Cを生成し且つモニタ23に表示するため、ユーザは、血管画像Cを確認することにより、被検体内における血管Bの位置、形状および深さを容易に把握して、透析の処置等の際の穿刺位置を容易に選択できる。
【0052】
なお、送受信回路12が超音波プローブ1に備えられることが説明されているが、送受信回路12は装置本体2に備えられていてもよい。
また、画像生成部21が装置本体2に備えられることが説明されているが、画像生成部21は超音波プローブ1に備えられていてもよい。
【0053】
また、装置本体2は、いわゆる据え置き型でもよく、持ち運びが容易な携帯型でもよく、例えばスマートフォンまたはタブレット型のコンピュータにより構成される、いわゆるハンドヘルド型でもよい。このように、装置本体2を構成する機器の種類は特に限定されない。
【0054】
また、画像生成部21がBモード画像を超音波画像Uとして生成することが説明されているが、さらに、いわゆるドプラ画像を生成することもできる。この場合に、装置本体2は、例えば図7に示す構成を有する画像生成部21Aを備えることができる。
【0055】
画像生成部21Aは、送受信回路12に接続される信号処理部45および直交検波部51を備えている。図3に示される画像生成部21と同様に、信号処理部45に、DSC46および画像処理部47が順次接続されている。また、直交検波部51にハイパスフィルタ52、高速フーリエ変換部53およびドプラ画像生成部54が順次接続されている。また、直交検波部51およびハイパスフィルタ52に、複素データメモリ55が接続されている。
【0056】
直交検波部51は、送受信回路12で生成された音線信号に参照周波数のキャリア信号を混合することで、音線信号を直交検波して複素データに変換する。
ハイパスフィルタ52は、いわゆるウォールフィルタ(Wall Filter)として機能するもので、直交検波部51で生成された複素データから被検体の体内組織の運動に由来する周波数成分を除去する。
【0057】
高速フーリエ変換部53は、複数のサンプル点の複素データをフーリエ変換することにより周波数解析して血流速度を求め、スペクトル信号を生成する。
ドプラ画像生成部54は、高速フーリエ変換部53で生成されたスペクトル信号を時間軸上に揃えつつ各周波数成分の大きさを輝度で表すことによりドプラ画像を生成する。ドプラ画像は、横軸に時間軸を示し、縦軸にドプラシフト周波数すなわち流速を示し、波形の輝度が各周波数成分におけるパワーを表すものである。
複素データメモリ55は、直交検波部51で音線信号から変換された複素データを保存する。
【0058】
ドプラ画像は、血流が存在する箇所を画像化したものであるため、例えば、血管壁が肥厚している場合、血管B内にプラークが生じて血管Bが狭窄している場合等でも、血管Bの短軸像において、血管内腔を明確に画像化できる。
【0059】
3次元データ生成部25は、画像生成部21Aによって生成されたBモード画像とドプラ画像を取得し、それぞれ連続する複数フレームのBモード画像とドプラ画像に基づいて3次元の超音波データを生成できる。
【0060】
血管検出部26は、Bモード画像とドプラ画像に基づいて3次元の超音波データから血管内腔を検出できる。ドプラ画像により血管内腔が明確に画像化されるため、血管検出部26は、Bモード画像のみに基づいて血管内腔を検出するよりも、Bモード画像とドプラ画像の双方に基づいて血管内腔を検出することにより、血管内腔の検出精度を向上できる。
【0061】
深度検出部27は、血管検出部26がBモード画像とドプラ画像の双方に基づいて血管内腔を検出することにより、深さ方向における被検体の体表Aから血管内腔の中心までの距離を血管Bの深さとして検出する場合に、血管Bの深度の検出精度を向上できる。
【0062】
実施の形態2
実施の形態1では、光学画像Qに基づいて超音波プローブ1の位置を検出することが説明されているが、超音波プローブ1の検出方法は、これに限定されない。
【0063】
図8に、実施の形態2の超音波診断装置の構成を示す。実施の形態2の超音波診断装置は、装置本体2の代わりに装置本体2Bを備え、光学カメラ3の代わりに超音波プローブ1に取り付けられた位置センサ33Bを有する。この位置センサ33Bにより実施の形態2におけるプローブ位置検出部が構成される。
【0064】
装置本体2Bは、図1に示す実施の形態1における装置本体2において、光学画像解析部24が取り除かれ、本体制御部29の代わりに本体制御部29Bを備えている。装置本体2Bにおいて、3次元データ生成部25および血管画像生成部28は、位置センサ33Bに接続している。また、画像生成部21、表示制御部22、3次元データ生成部25、血管検出部26、深度検出部27、血管画像生成部28および本体制御部29Bにより、装置本体2B用のプロセッサ32Bが構成されている。
【0065】
超音波プローブ1に取り付けられた位置センサ33Bは、超音波プローブ1の位置を検出するセンサである。位置センサ33Bは、例えば、定められた位置を基準として、基準の位置からの相対的な座標を超音波プローブ1の位置として検出できる。位置センサ33Bとしては、例えば、いわゆる磁気センサ、加速度センサ、ジャイロセンサ、GPS(Global Positioning System:全地球測位システム)センサまたは地磁気センサ等を用いることができる。位置センサ33Bにより検出された超音波プローブ1の位置の情報は、3次元データ生成部25および血管画像生成部28に送信される。
【0066】
3次元データ生成部25は、被検体の血管Bの長軸方向Dに沿って超音波プローブ1を走査しながら画像取得部31により取得された、血管Bの短軸像を含む複数フレームの超音波画像Uと、位置センサ33Bにより検出された超音波プローブ1の位置に基づいて血管Bの3次元の超音波データを生成する。
【0067】
血管画像生成部28は、位置センサ33Bにより検出された超音波プローブ1の位置、血管検出部26により検出された3次元の血管Bおよび深度検出部27により検出された血管Bの深度に基づいて、例えば図5に示すように、被検体内における血管Bを描出する血管画像Cを生成し、血管画像Cを、光学カメラ3により撮影された光学画像Qに写る被検体の体表Aに重畳してモニタ23に表示する。
【0068】
以上から、位置センサ33Bにより超音波プローブ1の位置を検出する場合でも、光学画像Qに基づいて超音波プローブ1の位置を検出する場合と同様に、血管画像生成部28が、位置センサ33Bにより検出された超音波プローブ1の位置、血管検出部26により検出された3次元の血管Bおよび深度検出部27により検出された深度に基づいて被検体内における血管Bを描出する血管画像Cを生成し且つモニタ23に表示するため、ユーザは、血管画像Cを確認することにより、被検体内における血管Bの位置、形状および深さを容易に把握して、透析の処置等の際の穿刺位置を容易に選択できる。
【0069】
実施の形態3
例えば、透析の治療を受けている被検体は、高い頻度で血管Bに太い針を穿刺することが多いため、血管壁の肥厚および血管Bの狭窄等の異常が生じやすい。そのため、被検体の血管Bに針を穿刺する際には、このような異常個所を避けることが望ましい。そこで、本発明の超音波診断装置は、ユーザが異常個所を穿刺しないように、異常個所を自動的に検出することもできる。
【0070】
図9に、実施の形態3の超音波診断装置の構成を示す。実施の形態3の超音波診断装置は、図1に示す実施の形態1の超音波診断装置において、装置本体2の代わりに装置本体2Cを備えている。
【0071】
装置本体2Cは、実施の形態1における装置本体2において、本体制御部29の代わりに本体制御部29Cを備え、血管サイズ算出部61および異常個所検出部62(第1の異常個所検出部)をさらに備えている。装置本体2Cにおいて、血管検出部26および本体制御部29Cに血管サイズ算出部61が接続されている。血管サイズ算出部61に異常個所検出部62が接続されている。異常個所検出部62は、表示制御部22に接続している。また、画像生成部21、表示制御部22、光学画像解析部24、3次元データ生成部25、血管検出部26、深度検出部27、血管画像生成部28、本体制御部29C、血管サイズ算出部61および異常個所検出部62により、装置本体2C用のプロセッサ32Cが構成されている。
【0072】
血管サイズ算出部61は、血管検出部26により検出された血管壁および血管内腔に基づいて、血管検出部26により検出された血管Bの全長に亘って、血管壁の厚さまたは血管内腔の径を算出する。血管サイズ算出部61は、例えば、長軸方向Dに垂直な平面内における3次元の血管Bの血管壁および血管内腔を計測することにより、血管検出部26により検出された血管Bの全長に亘って、血管壁の厚さまたは血管内腔の径を算出できる。
【0073】
異常個所検出部62は、血管壁の厚さの長軸方向Dにおける空間的変化率および血管内腔の径の長軸方向Dにおける空間的変化率に対して定められた変化率しきい値を有し、血管サイズ算出部61により算出された血管壁の厚さまたは血管内腔の径の空間的変化率が変化率しきい値を超える箇所を検出する。
【0074】
異常個所検出部62は、長軸方向Dにおける血管Bの位置と、その位置における血管壁の厚さとの関係において、血管壁の厚さを長軸方向Dにおける血管Bの位置で微分することにより血管壁の厚さの長軸方向Dにおける空間的変化率を算出できる。また、異常個所検出部62は、長軸方向Dにおける血管Bの位置と、その位置における血管内腔の径との関係において、血管内腔の径を長軸方向Dにおける血管Bの位置で微分することにより血管内腔の長軸方向Dにおける空間的変化率を算出できる。
【0075】
ここで、被検体の血管Bにおいて、血管壁の肥厚および狭窄等の異常が生じている場合には、血管壁の厚さまたは血管内腔の径の空間的変化率が急激に大きくなる。そのため、これらの空間的変化率が変化率しきい値を超える箇所は、血管壁の肥厚および狭窄等の異常が生じている異常個所であるとみなすことができる。
【0076】
異常個所検出部62は、血管サイズ算出部61により算出された血管壁の厚さまたは血管内腔の径の空間的変化率が変化率しきい値を超える箇所を、例えば図10に示すように、異常個所としてモニタ23に表示する。図10には、「狭窄 長さ○○mm」という、血管Bに狭窄が生じている箇所とその長さを示すメッセージE1と、「壁肥厚 厚さ○○mm」という、血管壁が肥厚している箇所とその厚さを示すメッセージE2を、光学画像Qに重畳して表示する例が示されている。ユーザは、異常個所の表示を確認することにより、針の穿刺を避けるべき血管Bの位置を容易に把握して、適切な位置に針を穿刺することができる。
【0077】
以上から、実施の形態3の超音波診断装置によれば、血管サイズ算出部61が、血管検出部26により検出された血管Bの全長に亘って血管壁の厚さまたは血管内腔の径を算出し、異常個所検出部62が、血管サイズ算出部61により算出された血管壁の厚さまたは血管内腔の径の空間的変化率が変化率しきい値を超える箇所を検出してモニタ23に表示するため、ユーザは、針の穿刺を避けるべき血管Bの位置を容易に把握して、血管Bにおいて針を穿刺する適切な位置を容易に選択できる。
【0078】
なお、実施の形態3の超音波診断装置は、実施の形態1の超音波診断装置に対して血管サイズ算出部61と異常個所検出部62を追加した構成を有しているが、実施の形態2の超音波診断装置に対して血管サイズ算出部61と異常個所検出部62を追加した構成を有していてもよい。この場合でも、ユーザは、異常個所の表示を確認することにより、針の穿刺を避けるべき血管Bの位置を容易に把握して、適切な位置に針を穿刺することができる。
【0079】
実施の形態4
本発明の超音波診断装置は、ユーザが針を穿刺する適切な位置を容易に判断できるように、血管Bの3次元画像をモニタ23に表示することもできる。
【0080】
図11に、実施の形態4の超音波診断装置の構成を示す。実施の形態4の超音波診断装置は、図1に示す実施の形態1の超音波診断装置において、装置本体2の代わりに装置本体2Dを備えている。装置本体2Dは、実施の形態1における装置本体2において、本体制御部29の代わりに本体制御部29Dを備え、3次元画像生成部63をさらに備えている。
【0081】
装置本体2Dにおいて、3次元データ生成部25、血管画像生成部28および本体制御部29Dに、3次元画像生成部63が接続されている。3次元画像生成部63は、表示制御部22に接続している。また、画像生成部21、表示制御部22、光学画像解析部24、3次元データ生成部25、血管検出部26、深度検出部27、血管画像生成部28、本体制御部29Dおよび3次元画像生成部63により、装置本体2D用のプロセッサ32Dが構成されている。
【0082】
3次元画像生成部63は、3次元データ生成部25により生成された3次元の超音波データから、血管画像Cに対して、入力装置30を介してユーザにより指定された任意の箇所に対応する、図12に示すような3次元超音波画像Jを生成し且つモニタ23に表示する。この際に、3次元画像生成部63は、ユーザが体表Aからの血管Bの深度の変化を把握しやすいように、体表Aが平坦になるように血管Bの3次元超音波画像Jを再構成できる。
【0083】
3次元画像生成部63は、入力装置30を介してユーザにより指定された視点または回転角度に従う回転位置により、血管Bの3次元超音波画像Jをモニタ23に表示することもできる。
【0084】
以上から、実施の形態4の超音波診断装置によれば、3次元画像生成部63が、血管画像Cに対して、入力装置30を介してユーザにより指定された任意の箇所に対応する、図12に示すような3次元超音波画像Jを生成し且つモニタ23に表示するため、ユーザは、血管Bの形状および深さを詳細に把握して、針を穿刺する際の適切な位置を容易に選択できる。
【0085】
なお、3次元画像生成部63は、血管Bを複数の方向から見た血管Bの2次元画像を3次元の超音波データから再構成し、血管Bの3次元超音波画像Jと一緒にモニタ23に表示することもできる。これにより、ユーザは、血管Bの形状および深さをさらに詳細に把握して、針を穿刺する際の適切な位置を容易に選択できる。
【0086】
また、実施の形態4の超音波診断装置は、実施の形態1の超音波診断装置に対して3次元画像生成部63を追加した構成を有しているが、実施の形態2および3の超音波診断装置に対して3次元画像生成部63を追加した構成を有していてもよい。この場合でも、ユーザは、血管Bの形状および深さを詳細に把握して、針を穿刺する際の適切な位置を容易に選択できる。
【0087】
実施の形態5
ユーザの熟練度によっては、血管Bにおいて針の穿刺に適した位置が把握できでも、針の穿刺方向および穿刺角度を容易に決定できない場合がある。そこで、本発明の超音波診断装置は、推奨される針の穿刺方向および穿刺角度を自動的に算出することもできる。
【0088】
図13に、実施の形態5の超音波診断装置の構成を示す。実施の形態5の超音波診断装置は、図1に示す実施の形態1の超音波診断装置において、装置本体2の代わりに装置本体2Eを備えている。装置本体2Eは、実施の形態1における装置本体2において、本体制御部29の代わりに本体制御部29Eを備え、推奨穿刺進路算出部64をさらに備えている。
【0089】
装置本体2Eにおいて、3次元データ生成部25および本体制御部29Eに推奨穿刺進路算出部64が接続されている。推奨穿刺進路算出部64は、表示制御部22に接続されている。また、画像生成部21、表示制御部22、光学画像解析部24、3次元データ生成部25、血管検出部26、深度検出部27、血管画像生成部28、本体制御部29Eおよび推奨穿刺進路算出部64により、装置本体2E用のプロセッサ32Eが構成されている。
【0090】
推奨穿刺進路算出部64は、3次元データ生成部25により生成された3次元の超音波データから、血管画像Cに対して入力装置30を介してユーザにより指定された穿刺箇所において、例えば図14に示すように、推奨される穿刺方向および体表Aに対する穿刺角度を含む推奨穿刺進路を算出し且つモニタ23に表示する。図14の例では、推奨穿刺進路として、推奨される穿刺方向を示す矢印Pと、体表Aに対して推奨される穿刺角度の範囲を示す「穿刺角度○°~○°」というメッセージE3が示されている。
【0091】
この際に、推奨穿刺進路算出部64は、例えば、3次元の超音波データから、被検体の体表Aを上から見た視点における血管Bの走行方向および血管壁の肥厚および血管Bの狭窄等の異常個所の位置を検出し、血管画像Cに対して入力装置30を介してユーザにより指定された穿刺箇所における血管Bの走行方向に対して平行で且つ進行方向に血管壁の肥厚および血管Bの狭窄等の異常個所が存在しないような方向を推奨される穿刺方向として算出できる。
【0092】
また、推奨穿刺進路算出部64は、例えば、3次元の超音波データから、血管画像Cに対して入力装置30を介してユーザにより指定された穿刺箇所における血管Bの長軸像を再構成し、長軸像における血管Bの走行方向に対して一定の角度範囲を推奨される穿刺角度として算出できる。
【0093】
以上から、実施の形態5の超音波診断装置によれば、推奨穿刺進路算出部64が、血管画像Cに対して入力装置30を介してユーザにより指定された穿刺箇所において、例えば図14に示すように、推奨される穿刺方向および体表Aに対する穿刺角度を含む推奨穿刺進路を算出し且つモニタ23に表示するため、ユーザは、推奨穿刺進路を確認することにより、決定した穿刺位置に対する適切な穿刺方向および穿刺角度を容易に把握できる。
【0094】
なお、実施の形態5の超音波診断装置は、実施の形態1の超音波診断装置に対して推奨穿刺進路算出部64を追加した構成を有しているが、実施の形態2~4の超音波診断装置に対して推奨穿刺進路算出部64を追加した構成を有していてもよい。この場合でも、ユーザは、推奨穿刺進路を確認することにより、決定した穿刺位置に対する適切な穿刺方向および穿刺角度を容易に把握できる。
【0095】
実施の形態6
被検体内において、静脈の近傍に動脈が位置していることがある。そこで、本発明の超音波診断装置は、ユーザが針を穿刺する際に動脈を容易に避けられるように、例えば、静脈と動脈を互いに異なる表示形態により表示することもできる。
【0096】
図15に実施の形態6の超音波診断装置の構成を示す。実施の形態6の超音波診断装置は、図1に示す実施の形態1の超音波診断装置において、装置本体2の代わりに装置本体2Fを備えている。装置本体2Fは、実施の形態1における装置本体2において、本体制御部29の代わりに本体制御部29Fを備え、血管判定部65をさらに備えている。
【0097】
装置本体2Fにおいて、血管検出部26および本体制御部29Fに血管判定部65が接続されている。血管判定部65は、血管画像生成部28に接続している。また、画像生成部21、表示制御部22、光学画像解析部24、3次元データ生成部25、血管検出部26、深度検出部27、血管画像生成部28、本体制御部29Fおよび血管判定部65により、装置本体2F用のプロセッサ32Fが構成されている。
【0098】
血管判定部65は、血管検出部26により検出された血管Bが動脈および静脈のいずれであるかを判定する。通常、動脈は心臓の拍動により血管径が経時的に変動するため、血管判定部65は、例えば、連続する複数フレームの超音波画像Uに基づいて血管径が経時的に変動している血管Bを動脈と判定し、血管径が経時的に変動していない血管Bを静脈と判定できる。血管判定部65は、例えば、動脈を撮影した大量の超音波画像Uと静脈を撮影した大量の超音波画像Uを学習した機械学習モデルを用いて動脈と静脈を判定することもできる。
【0099】
血管画像生成部28は、血管判定部65による判定結果に応じて、血管Bの描出形態を変化させた血管画像Cを生成できる。この際に、血管画像生成部28は、例えば図16に示すように、動脈B1と静脈B2を互いに異なる色により描出した血管画像Cを生成できる。血管画像生成部28は、例えば、動脈B1と静脈B2の透明度、明度または輪郭線の態様を変化させることもできる。
【0100】
以上から、実施の形態6の超音波診断装置によれば、血管判定部65が、血管検出部26により検出された血管Bが動脈B1および静脈B2のいずれであるかを判定し、血管画像生成部28が、血管判定部65による判定結果に応じて、血管Bの描出形態を変化させた血管画像Cを生成するため、ユーザは、モニタ23の表示を確認することにより、動脈B1と静脈B2の位置を容易に把握して、血管Bにおける適切な穿刺位置を容易に選択できる。
【0101】
なお、実施の形態6の超音波診断装置は、実施の形態1の超音波診断装置に対して血管判定部65を追加した構成を有しているが、実施の形態2~5の超音波診断装置に対して血管判定部65を追加した構成を有していてもよい。この場合でも、ユーザは、モニタ23の表示を確認することにより、動脈B1と静脈B2の位置を容易に把握して、血管Bにおける適切な穿刺位置を容易に選択できる。
【0102】
実施の形態7
被検体内において、血管Bの近傍に神経束が位置していることがある。そこで、本発明の超音波診断装置は、神経束に針が到達するリスクを軽減できるように、例えば、血管Bの近傍に位置する神経束を表示することもできる。
【0103】
図17に、実施の形態7の超音波診断装置の構成を示す。実施の形態7の超音波診断装置は、図1に示す実施の形態1の超音波診断装置において、装置本体2の代わりに装置本体2Gを備えている。装置本体2Gは、実施の形態1における装置本体2において、本体制御部29の代わりに本体制御部29Gを備え、神経束検出部66をさらに備えている。
【0104】
装置本体2Gにおいて、3次元データ生成部25および本体制御部29Gに神経束検出部66が接続されている。神経束検出部66は、表示制御部22に接続されている。また、画像生成部21、表示制御部22、光学画像解析部24、3次元データ生成部25、血管検出部26、深度検出部27、血管画像生成部28、本体制御部29Gおよび神経束検出部66により、装置本体2G用のプロセッサ32Gが構成されている。
【0105】
神経束検出部66は、3次元データ生成部25により生成された3次元の超音波データから神経束を検出して、例えば図18に示すように、血管画像Cと一緒に光学画像Qに重畳するように、神経束Nをモニタ23に表示する。神経束検出部66は、例えば、神経束Nを表す複数のテンプレート画像を記憶しており、これらの複数のテンプレート画像を用いたテンプレートマッチングの方法により、3次元の超音波データの断面をサーチして神経束Nを検出できる。神経束検出部66は、例えば、神経束Nを含む大量の3次元の超音波データを学習した機械学習モデルを用いて神経束Nを検出することもできる。
【0106】
以上から、実施の形態7の超音波診断装置によれば、神経束検出部66が、3次元データ生成部25により生成された3次元の超音波データから神経束Nを検出して、神経束Nをモニタ23に表示するため、ユーザは、血管Bの近傍に位置する神経束Nの位置を容易に把握して、神経束Nを避けるように、血管Bにおける適切な穿刺位置を選択できる。
【0107】
なお、実施の形態7の超音波診断装置は、実施の形態1の超音波診断装置に対して神経束検出部66を追加した構成を有しているが、実施の形態2~6の超音波診断装置に対して神経束検出部66を追加した構成を有していてもよい。この場合でも、ユーザは、血管Bの近傍に位置する神経束Nの位置を容易に把握して、神経束Nを避けるように、血管Bにおける適切な穿刺位置を選択できる。
【0108】
実施の形態8
本発明の超音波診断装置は、ユーザが被検体の血管Bの異常個所を容易に把握できるように、例えば、過去の検査における血管Bの観察結果と、現在の検査における血管Bの観察結果を自動的に比較できる。
【0109】
図19に、実施の形態8の超音波診断装置の構成を示す。実施の形態8の超音波診断装置は、実施の形態1の超音波診断装置において、装置本体2の代わりに装置本体2Hを備えている。装置本体2Hは、実施の形態1における装置本体2において、本体制御部29の代わりに本体制御部29Hを備え、データメモリ67、血管サイズ算出部68、異常個所検出部69(第2の異常個所検出部)、対応付け部70、所見箇所表示部71、過去画像表示部72および類似画像表示部73をさらに備えている。
【0110】
装置本体2Hにおいて、画像生成部21、血管画像生成部28および本体制御部29Hにデータメモリ67が接続されている。血管検出部26および本体制御部29Hに血管サイズ算出部68が接続されている。血管サイズ算出部68はデータメモリ67に接続している。データメモリ67、血管サイズ算出部68および本体制御部29Hに異常個所検出部69が接続されている。異常個所検出部69は表示制御部22に接続している。血管画像生成部28、データメモリ67および本体制御部29Hに対応付け部70が接続されている。対応付け部70および本体制御部29Hに所見箇所表示部71が接続されている。所見箇所表示部71は表示制御部22に接続している。データメモリ67、所見箇所表示部71および本体制御部29Hに過去画像表示部72が接続されている。過去画像表示部72は表示制御部22に接続している。画像生成部21、データメモリ67および本体制御部29Hに類似画像表示部73が接続されている。類似画像表示部73は表示制御部22に接続している。
【0111】
また、画像生成部21、表示制御部22、光学画像解析部24、3次元データ生成部25、血管検出部26、深度検出部27、血管画像生成部28、本体制御部29H、血管サイズ算出部68、異常個所検出部69、対応付け部70、所見箇所表示部71、過去画像表示部72および類似画像表示部73により、装置本体2H用のプロセッサ32Hが構成されている。
【0112】
血管サイズ算出部68は、実施の形態3における血管サイズ算出部61と同様にして、血管検出部26により検出された血管壁および血管内腔に基づいて、血管検出部26により検出された血管Bの全長に亘って、血管壁の厚さまたは血管内腔の径を算出する。
【0113】
データメモリ67は、画像生成部21により生成された超音波画像U、血管サイズ算出部68により算出された血管壁の厚さまたは血管内腔の径、血管画像生成部28により生成された血管画像C、入力装置30を介してユーザにより血管画像Cに関連付けて入力された血管Bにおける所見箇所、および、その所見箇所に関する所見を、それぞれ関連付けて保存する。データメモリ67には、過去の超音波画像U、過去の血管画像C、被検体の血管Bにおける過去の所見箇所、その所見箇所に関する所見内容も保存されている。
【0114】
データメモリ67としては、例えば、フラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive:ハードディスクドライブ)、SSD(Solid State Drive:ソリッドステートドライブ)、FD(Flexible Disk:フレキシブルディスク)、MOディスク(Magneto-Optical disk:光磁気ディスク)、MT(Magnetic Tape:磁気テープ)、RAM(Random Access Memory:ランダムアクセスメモリ)、CD(Compact Disc:コンパクトディスク)、DVD(Digital Versatile Disc:デジタルバーサタイルディスク)、SDカード(Secure Digital card:セキュアデジタルカード)、または、USBメモリ(Universal Serial Bus memory:ユニバーサルシリアルバスメモリ)等の記録メディア等を用いることができる。
【0115】
異常個所検出部69は、過去の血管画像Cにおける血管内腔の径すなわちデータメモリ67において過去の血管画像Cに関連付けて保存された血管内腔の径と、現在の血管画像Cにおける血管内腔の径すなわち血管サイズ算出部68により算出され且つ現在の血管画像Cに関連付けられる血管内腔の径との差分に対する定められた内腔径しきい値を有し、これらの差分が内腔径しきい値を超える箇所を検出する。
【0116】
ここで、被検体の血管Bにおいて、血管壁の肥厚および狭窄等の異常が生じると、血管内腔の径の変化が生じる。そのため、血管Bの同一の位置における、過去の血管内腔の径と現在の血管内腔の差分が内腔径しきい値を超える箇所は、血管壁の肥厚および狭窄等の異常が生じている異常個所であるとみなすことができる。
【0117】
異常個所検出部69は、過去の血管画像Cにおける血管内腔の径と現在の血管画像Cにおける血管内腔の径との差分が内腔径しきい値を超える箇所を、例えば図20に示すように異常個所Kとして強調してモニタ23に表示できる。ユーザは、モニタ23に表示された異常個所Kの位置を確認することにより、異常個所Kを避けて適切な穿刺位置を選択できる。
【0118】
対応付け部70は、データメモリ67において保存された過去の血管画像Cの位置と、血管画像生成部28により生成された現在の血管画像Cの位置との対応付けを行う。この際に、対応付け部70は、過去の血管画像Cと一緒に、過去の血管画像Cに関連付けてデータメモリ67に保存された過去の所見箇所と所見内容を、現在の血管画像Cに対応付ける。
【0119】
所見箇所表示部71は、例えば図20に示すように、過去の血管画像C上の過去の所見箇所に対して、対応付け部70により対応付けされた現在の箇所を、現在の血管画像Cに重畳してモニタ23に表示する。図20の例では、「1」~「5」の所見箇所が現在の血管画像Cに重畳して表示されている。
【0120】
ユーザは、このようにしてモニタ23に表示された過去の所見箇所を確認することにより、適切な穿刺位置を容易に選択できる。
【0121】
過去画像表示部72は、所見箇所表示部71によりモニタ23に表示され且つ入力装置30を介してユーザにより指定された現在の箇所に対応する過去の所見内容および過去の超音波画像Uをモニタ23に表示する。過去画像表示部72は、例えば図20に示すように、ユーザにより指定された、所見箇所「1」~「5」のいずれかに対応する所見内容を、メッセージE4によりモニタ23に表示できる。
【0122】
過去画像表示部72は、データメモリ67を参照することにより、ユーザにより指定された現在の箇所に対応する過去の超音波画像Uをモニタ23に表示できるが、例えば、3次元データ生成部25により生成された3次元の超音波データに基づいて再構成された血管Bの長軸像等を表す超音波画像Uがデータメモリ67に保存されている場合には、その再構築された超音波画像Uをモニタ23に表示することもできる。
【0123】
ユーザは、過去画像表示部72によりモニタ23に表示された過去の所見内容および過去の超音波画像Uを確認することで、被検体の血管Bの状態をより詳細に把握して、適切な穿刺位置を選択できる。
【0124】
類似画像表示部73は、データメモリ67を参照することにより、過去画像表示部72により表示された過去の超音波画像Uに類似する超音波画像Uを、現在の検査において取得された複数フレームの超音波画像Uから検索してモニタ23に表示する。ユーザは、過去画像表示部72により表示された過去の超音波画像Uと類似画像表示部73により表示された現在の超音波画像Uを確認することにより、過去の所見箇所の経時的な変化を、適切な穿刺位置を選択する際の参考にすることができる。
【0125】
以上から、実施の形態8の超音波診断装置によれば、異常個所検出部69、所見箇所表示部71、過去画像表示部72および類似画像表示部73により、過去の検査における血管Bの観察結果と現在の検査における血管Bの観察結果が自動的に比較され、その結果がモニタ23に表示されるため、ユーザは、モニタ23に表示された比較結果を確認することにより、適切な穿刺位置を容易に選択できる。
【0126】
なお、実施の形態8の超音波診断装置は、実施の形態1の超音波診断装置に対してデータメモリ67、血管サイズ算出部68、異常個所検出部69、対応付け部70、所見箇所表示部71、過去画像表示部72および類似画像表示部73を追加した構成を有しているが、実施の形態2および4~7の超音波診断装置に対してデータメモリ67、血管サイズ算出部68、異常個所検出部69、対応付け部70、所見箇所表示部71、過去画像表示部72および類似画像表示部73を追加した構成を有することもでき、実施の形態3の超音波診断装置に対して、データメモリ67、対応付け部70、所見箇所表示部71、過去画像表示部72および類似画像表示部73を追加した構成を有することもできる。これらの場合でも、ユーザは、モニタ23に表示された比較結果を確認することにより、適切な穿刺位置を容易に選択できる。
【符号の説明】
【0127】
1 超音波プローブ、2,2B,2C,2D,2E,2F,2G,2H 装置本体、3 光学カメラ、11 振動子アレイ、12 送受信回路、21 画像生成部、22 表示制御部、23 モニタ、24 光学画像解析部、25 3次元データ生成部、26 血管検出部、27 深度検出部、28 血管画像生成部、29,29B,29C,29D,29E,29F,29G,29H 本体制御部、30 入力装置、31 画像取得部、32,32B,32C,32D,32E,32F,32G,32H プロセッサ、33 プローブ位置検出部、33B 位置センサ、41 パルサ、42 増幅部、43 AD変換部、44 ビームフォーマ、45 信号処理部、46 DSC、47 画像処理部、51 直交検波部、52 ハイパスフィルタ、53 高速フーリエ変換部、54 ドプラ画像生成部、55 複素データメモリ、61,68 血管サイズ算出部、62,69 異常個所検出部、63 3次元画像生成部、64 推奨穿刺進路算出部、65 血管判定部、66 神経束検出部、67 データメモリ、70 対応付け部、71 所見箇所表示部、72 過去画像表示部、73 類似画像表示部、A 体表、B 血管、B1 動脈、B2 静脈、C 血管画像、D 長軸方向、E1,E2,E3,E4 メッセージ、J 3次元画像、K 異常個所、N 神経束、P 矢印、Q 光学画像、U 超音波画像。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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