特開 2024-48677 パレットに積載されるドラム缶の滑止構造、および、ドラム缶の積載方法

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】公開特許公報(A)

(11)【公開番号】P2024048677

(43)【公開日】2024-04-09

(54)【発明の名称】パレットに積載されるドラム缶の滑止構造、および、ドラム缶の積載方法

(51)【国際特許分類】

   B65D 19/38 20060101AFI20240402BHJP

【ＦＩ】

B65D19/38 B

【審査請求】未請求

【請求項の数】5

【出願形態】ＯＬ

(21)【出願番号】P 2022154728

(22)【出願日】2022-09-28

(71)【出願人】

【識別番号】000183303

【氏名又は名称】住友金属鉱山株式会社

(74)【代理人】

【識別番号】110000811

【氏名又は名称】弁理士法人貴和特許事務所

(72)【発明者】

【氏名】大野 真武

(72)【発明者】

【氏名】佐々井 茂

(72)【発明者】

【氏名】牧野 大河

【テーマコード（参考）】

3E063

【Ｆターム（参考）】

3E063AA02

3E063BA01

3E063BA05

3E063BA08

3E063CA22

3E063CA30

(57)【要約】

【課題】パレットのデッキ面に積載されたドラム缶が該パレットから滑り落ちることを防止する。
【解決手段】パレット（２）のデッキ面（３）に載置され、該デッキ面（３）側から第１の段ボール（４）、滑り止めシート（５）、養生シート（６）、および、第２の段ボール（７）の順に積層されて構成される滑止構造（１）が提供される。ドラム缶（８）は、該滑止構造（１）の上に積載される。
【選択図】図１

【特許請求の範囲】

【請求項1】

パレットに積載されるドラム缶の滑止構造であって、前記パレットのデッキ面に載置され、該デッキ面側から第１の段ボール、滑り止めシート、養生シート、および、第２の段ボールの順に積層されて構成される、ドラム缶の滑止構造。

【請求項2】

前記養生シートは、前記パレットの縦幅よりも大きい縦幅、および、前記パレットの横幅よりも大きい横幅を有する、請求項１に記載の滑止構造。

【請求項3】

前記養生シートは、透明のナイロンシートからなる、請求項１に記載の滑止構造。

【請求項4】

パレットのデッキ面に、請求項２に記載の滑止構造を載置する工程と、
前記滑止構造の上にドラム缶を積載する工程と、および、
前記養生シートのうち前記ドラム缶の外方に存在する外周部分を捲り上げて、前記ドラム缶の側面に固定する工程と、
を備える、ドラム缶の積載方法。

【請求項5】

前記パレットの前記デッキ面に、複数のドラム缶が積載され、かつ、該複数のドラム缶を結束バンドで相互に固定する工程を備える、請求項４に記載のドラム缶の積載方法。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本開示は、パレットの上面であるデッキ面に積載されるドラム缶、特に内部に酸性液体を含むスラッジが充填されたドラム缶がパレットのデッキ面から滑り落ちることを防止するための滑止構造およびパレットへのドラム缶の積載方法に関する。

【背景技術】

【0002】

銅製錬所の硫酸製造工程には、ＳＯ_２ガスを含む製錬排ガスのダスト洗浄および回収工程がある。この洗浄および回収工程で回収した酸性液体を含むスラッジは、系外に搬出される。この際、スラッジを脱水した後に、脱水後のスラッジをドラム缶に充填し、複数のドラム缶（たとえば、４本のドラム缶）をパレットのデッキ面に積載して、該ドラム缶が積載されたパレットを輸送コンテナにより搬出している。

【0003】

ドラム缶が積載されるパレットのデッキ面は平面により構成されているため、ドラム缶などの積載物が滑りやすくなっている。このため、スラッジを系外へ搬出する過程のうち、フォークリフトによる積載時、輸送コンテナによる輸送中、あるいはフォークリフトによる荷下ろし時において、衝撃などによりパレットからドラム缶が滑り落ちてしまう場合がある。また、この際に、ドラム缶の底部が破損して、該底部から酸性液体で濡れたスラッジが漏れて、輸送コンテナ内外を汚染する場合がある。このように、ドラム缶を用いた酸性液体を含むスラッジの搬出には、安全および環境上のリスクがある。

【0004】

これに対して、特開２００１－１３０５７１号公報には、デッキ面に、ドラム缶の底部から突出するリブが嵌合する溝が形成されているパレットが開示されている。また、特開２００９－１９６６６３号公報には、デッキ面のうちのそれぞれのドラム缶が積載される区画に、該区画の略中心を中心としドラム缶の半径と同じ半径の仮想円を描き、上記仮想円の、デッキ部の隅部を介して隣り合う区画の二辺のそれぞれの略１／２の位置と対応する位置にそれぞれ仮想円を跨いで仮想円の内側と外側とに延びる外側の滑り止め材が設けられているパレットが開示されている。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0005】

【特許文献1】特開２００１－１３０５７１号公報

【特許文献2】特開２００９－１９６６６３号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0006】

特開２００１－１３０５７１号公報および特開２００９－１９６６６３号公報の技術では、ドラム缶がパレットのデッキ面から滑り落ちることをある程度有効に防止できると考えられる。しかしながら、このようなパレット側にドラム缶の滑り止め構造を設けようとすると、パレットに加工を施す手間がかかるという問題が生ずる。また、加工後のパレットと他のパレットの混在を防止するため、加工後のパレット用のパレット置き場を別途用意して分別保管するとともに、加工後のパレットをダスト洗浄および回収工程まで返送する必要が生じる。また、パレット側にドラム缶の滑止構造を設ける技術は、パレットのデッキ面の所定の位置へドラム缶を置く必要があることから、位置合わせの手間がかかるという問題もある。さらに、スラッジの搬出には使い捨てができるように安価な再生ドラム缶も使用されるが、これらの再生ドラム缶の底面が楕円形などに変形している場合があり、パレット側のドラム缶の滑止構造は、このような底面が変形した再生ドラム缶には適用できなくなるという問題もある。

【0007】

本開示は、デッキ面が平面である汎用型のパレットを用いつつ、酸性液体を含むスラッジを搬出する過程において、衝撃などによりパレットのデッキ面からドラム缶が滑り落ちてしまうことを防止できる、ドラム缶の滑止構造を提供することを目的とする。

【0008】

また、本開示は、万が一、搬送時や輸送時の衝撃などによりドラム缶がパレットのデッキ面から滑り落ちて、該ドラム缶の底部が破損し、該底部から酸性液体で濡れたスラッジが漏洩して、輸送コンテナ内外を汚染してしまうことを有効に抑制できる手段を提供することを目的とする。

【課題を解決するための手段】

【0009】

本開示の一態様に係る、パレットのデッキ面に積載されるドラム缶の滑止構造は、該パレットの前記デッキ面に載置される。該滑止構造は、前記デッキ面側から第１の段ボール、滑り止めシート、養生シート、および、第２の段ボールの順に積層されて構成されることを特徴とする。

【0010】

前記養生シートは、前記デッキ面の縦幅よりも大きい縦幅、および、前記デッキ面の横幅よりも大きい横幅を有することが好ましい。すなわち、該養生シートは、前記第２の段ボールの上に積載されるドラム缶の外方に、捲り上げられて該ドラム缶の側面に固定される外周部分を有する。この場合、前記第１の段ボール、前記滑り止めシート、および、前記第２の段ボールは、前記デッキ面の縦幅および横幅と同じもしくはわずかに小さい縦幅および横幅を有することが好ましい。

【0011】

前記養生シートは、透明のナイロンシートからなることが好ましい。

【0012】

本開示の一態様のドラム缶の積載方法は、
パレットのデッキ面に、本開示の一態様に係る滑止構造を載置する工程と、
前記滑止構造の上にドラム缶を積載する工程と、および、
前記養生シートのうち前記ドラム缶の外方に存在する部分を捲り上げて、前記ドラム缶の側面に固定する工程と、
を備えることを特徴とする。

【0013】

前記ドラム缶の積載方法において、前記パレットの前記デッキ面に、複数のドラム缶が積載される場合には、該複数のドラム缶を結束バンドで相互に固定する工程を備えることが好ましい。

【0014】

本開示の滑止構造および積載方法は、上述した各態様の構成を、矛盾が生じない範囲で適宜組み合わせて実施することができる。

【発明の効果】

【0015】

本開示の一態様に係るドラム缶の滑止構造を適用することにより、デッキ面が平面である汎用型のパレットを用いた場合でも、酸性液体を含むスラッジを搬出する過程において、搬送時や輸送時の衝撃などによりパレットのデッキ面からドラム缶が滑り落ちてしまうことを有効に防止することができる。

【0016】

また、本開示の一態様に係るドラム缶の滑止構造を用いた、本開示の一態様に係るドラム缶の積載方法を適用することにより、万が一、搬送時や輸送時の衝撃などによりドラム缶がパレットのデッキ面から滑り落ちて、ドラム缶の底部が破損し、酸性液体で濡れたスラッジが漏洩した場合でも、滑止構造を構成する養生シートにより、スラッジが輸送コンテナの内外を汚染してしまうことを有効に抑制できる。

【0017】

このように、本開示の技術は、酸性液体を含むスラッジを搬出する過程において、安全および環境上のリスクを著しく低減することが可能となるため、その工業的価値は極めて大きい。

【図面の簡単な説明】

【0018】

【図1】図１は、本開示の一実施態様の一例に係るドラム缶の滑止構造を、パレットおよびドラム缶とともに概念的に示す斜視図である。

【図2】図２は、図１と同様の構成を水平方向から見た正面図である。

【図3】図３は、図１の状態から、ドラム缶の滑止構造を構成する養生シートの外周部分を捲り上げてドラム缶の側面に固定した状態を示す、図１と同様の斜視図である。

【図4】図４は、図３と同様の構成を水平方向から見た正面図である。

【発明を実施するための形態】

【0019】

以下、本開示の一実施形態の一例に係るドラム缶の滑止構造および該滑止構造を用いたドラム缶の積載方法について説明するが、本開示の内容は、これらの内容に限定されることはなく、必要に応じて、適宜、その改良および変更を行うことが可能であり、これらの改良例および変更例も本開示の内容に含まれる。

【0020】

＜ドラム缶の滑止構造＞
図１～図４は、本例のドラム缶の滑止構造およびドラム缶の積載方法を概略的に示した斜視図および正面図である。本例のドラム缶の滑止構造（１）は、パレット（２）のデッキ面（３）に載置される。滑止構造（１）は、デッキ面（３）側から第１の段ボール（４）、滑り止めシート（５）、養生シート（６）、および、第２の段ボール（７）の順に積層されて構成されることができる。

【0021】

本例で用いられるドラム缶（８）の種類は任意であるが、通常、この分野で汎用される、たとえば２００Ｌのドラム缶を挙げることができる。また、スラッジの搬出工程では、スラッジにより容器が傷むことから、スラッジの搬出用容器としては使い捨てができることが好ましく、金属製で相応の強度があり、かつ、流通量が多く安価に入手可能な再生ドラム缶が多く使用されている。本例で用いられるドラム缶（８）には、このような再生ドラム缶も含まれる。

【0022】

また、本例で用いられるパレット（２）の種類も任意であり、金属製、合成樹脂製、木製のパレットを使用することができる。本例では、デッキ面が平面である汎用型のパレットを用いることができるが、デッキ面に滑り止め構造が設けられたパレットにも本開示の技術を適用することは可能である。通常、パレット（２）のデッキ面（３）には、たとえば、合計４本のドラム缶（８）を積載することが可能である。ただし、パレット（２）のデッキ面（３）の大きさとドラム缶（８）の大きさによっては、４本を超える本数のドラム缶（８）を積載することも可能であり、また、デッキ面（３）に余裕がある場合でも、１本、２本、または３本のドラム缶（８）のみを積載しても差し支えない。

【0023】

第１の段ボール（４）および第２の段ボール（７）は、ドラム缶を積載する際に、滑り止めシート（５）および養生シート（６）の破損を防止する機能を有する。より具体的には、第１の段ボール（４）は、パレット（２）表面に存在する凹凸やささくれ、あるいは、パレット（２）に乗った汚れや砂利が、滑り止めシート（５）や養生シート（６）に食い込むことを防止する機能を有する。また、第２の段ボール（７）は、ドラム缶の底部の周囲にあるリブが食い込むことを許容して、ドラム缶（８）を所定位置に保持する機能を有する。第１の段ボール（４）および第２の段ボール（７）には、汎用されている段ボールシートを適用することが可能である。

【0024】

滑り止めシート（５）は、第１の段ボール（４）と養生シート（６）との間の摩擦を大きくして、衝撃によりドラム缶（８）が、パレット（２）のデッキ面（３）から滑り落ちることを防止する機能を有する。滑り止めシート（５）は、たとえば、天然ゴム、合成ゴム（クロロプレンゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム）、シリコーンゴム、各種フッ素ゴムなどの弾性に優れる材料のほか、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリエステルおよびレーヨンの混紡、セルロース繊維およびポリエステルの混紡のいずれかにより構成される不織布シートなどにより構成することができる。また、滑り止めシート（５）として、該不織布シートを基材として、片面もしくは両面に滑り止め加工やシリコーンなどからなる滑り止め用の皮膜が形成されている滑り止めシートを用いることも可能である。

【0025】

養生シート（６）は、パレット（２）を保護する機能を有する。具体的には、ドラム缶（８）内にあるスラッジから染み出した酸性液体によりドラム缶（８）が腐食したり、あるいは、スラッジによりドラム缶（８）が摩耗したりすることにより、ドラム缶（８）の底部や側面、特に底面に小穴が生じる場合がある。この場合、かかるドラム缶（８）の底部や側面に生じた小穴から酸性液体が染み出すことがある。さらに、搬送工程における衝撃などにより、これらの小穴に起因して、より大きな隙間がドラム缶（８）の底部や側面に生じて、酸性液体で濡れたスラッジ自体が漏洩する場合もある。一般的なパレットは、フォークリフトの爪入れや木質の細孔などの、大小さまざまな凹凸が多く存在するため、スラッジや酸性液体が付着した場合には、その復旧に多大な手間がかかることとなる。これに対して、養生シート（６）として、スラッジや酸性液体の浸透を防ぐ耐酸性の材料を用いることで、スラッジや酸性液体が付着した場合でも、これらを養生シート（６）から洗い流すだけですむ。したがって、養生シート（６）の形状としては、薄型軽量で平らに構成されていることが好ましく、このような形状を有する養生シート（６）では、持ち上げて任意の場所で付着物を洗い流すことが可能である。

【0026】

養生シート（６）としては、たとえば、ナイロン製、ポリエチレン製、ポリ塩化ビニル製などの養生シート、あるいは、ターポリンのような丈夫な複合材により構成された養生シートを適用することが可能である。ドラム缶（８）の底部からのスラッジの漏洩を確認する際の視認性を向上させる観点からは、養生シート（６）は透明であることが好ましい。また、養生シート（６）からのスラッジ漏洩の防止の観点からは、耐薬品性に優れたナイロン製の養生シートを適用することが好ましい。

【0027】

本例では、養生シート（６）は、パレット（２）のデッキ面（３）の縦幅よりも大きい縦幅、および、パレット（２）のデッキ面（３）の横幅よりも大きい横幅を有する。これにより、ドラム缶（８）をパレット（２）のデッキ面（３）に積載した後、図３および図４に示すように、養生シート（６）のうちドラム缶（８）の外方に存在する部分、すなわち該養生シート（６）の外周部分を捲り上げて、ドラム缶（８）の側面に固定することが可能となる。かかる構成により、スラッジがドラム缶（８）の側面から外方に向かって漏洩した場合でも、スラッジが養生シート（６）からさらに漏洩することを有効に抑制することが可能となる。また、付着物が養生シート（６）の表面または裏面にある場合に、その付着場所に応じて、その発生源が当該パレット（２）上にあるかどうかを絞り込むことができる利点もある。なお、養生シート（６）の大きさは、捲り上げた場合に、ドラム缶（８）の高さの少なくとも１／１０を包囲できる程度であることが好ましく、ドラム缶（８）の高さの１／５～１／２程度を包囲できることがより好ましく、ドラム缶の高さの１／４～１／３程度を包囲できることがさらに好ましい。あるいは、パレット（２）のデッキ面（３）の縦幅および横幅との比較では、該デッキ面（３）の縦幅および横幅のそれぞれ１．２倍～２．０倍程度の縦幅および横幅であることが好ましく、それぞれ１．３倍～１．５倍程度の縦幅および横幅であることがより好ましい。

【0028】

養生シート（６）は、薄手である方が捲り上げやすい点で望ましいが、漏洩防止強化の観点からは、二重化することが好ましい。また、その際には、養生シート（６）は、２枚の養生シートとその間に挿入された別の滑り止めシートとにより構成されることがより好ましい。

【0029】

なお、第１の段ボール（４）、滑り止めシート（５）、および、第２の段ボール（７）の縦幅および横幅は、任意であるが、パレット（２）のデッキ面（３）の縦幅および横幅と同じもしくはわずかに小さい縦幅および横幅であることが好ましい。ただし、デッキ面（３）の縦幅および横幅より小さい場合でも、滑止構造（１）の上に積載されるドラム缶（８）の全体（複数本のドラム缶（８）が積載される場合には、すべてのドラム缶（８））が、その上に載置される大きさであることが好ましい。

【0030】

＜ドラム缶の積載構造＞
本例のドラム缶の積載方法においては、まず、パレット（２）のデッキ面（３）に、第１の段ボール（４）、滑り止めシート（５）、養生シート（６）、第２の段ボール（７）の順に積層することより、パレット（２）のデッキ面（３）の上に滑止構造（１）を載置および構成する。

【0031】

次に、ドラムリフトなどの搬送機器を用いて、酸性液体を含むスラッジが充填されたドラム缶（本例では、４本のドラム缶）を、パレット（２）のデッキ面（３）に載置された滑止構造（１）の上に積載する。

【0032】

さらに、滑止構造（１）の養生シート（６）のうちの載置されたドラム缶（８）の外方に存在する部分を捲り上げて、任意の固定用テープ（９）などを用いて、養生シート（６）の捲り上げられた部分をドラム缶（８）の側面に固定する。すなわち、養生シート（６）のうちのドラム缶（８）の下に敷かれた部分（底部）と、ドラム缶（８）の側面に固定された部分（周壁部）とからなるエンクロージャを構成する。これにより、ドラム缶（８）の底部からスラッジが漏洩した際に、該スラッジを該エンクロージャの内側に保持することが可能となる。

【0033】

本例では、複数のドラム缶（８）がパレット（２）のデッキ面（３）に積載されているため、輸送時にドラム缶（８）が転倒することを防止する観点から、結束バンド（１０）を用いて、ドラム缶（８）同士を相互に固定する。

【0034】

最後に、梱包用塩化ビニルシートまたは梱包用ポリエチレンシート（図示せず）を、パレット（２）とドラム缶（８）とを包囲するように巻いて、パレット（２）に対してドラム缶（８）を固定する。

【0035】

このようにドラム缶（８）が載置されたパレット（２）を、フォークリフトなどの搬送機器によって、輸送コンテナ内に積載する。また、搬送先においても、同様に、フォークリフトなどの搬送機によって、輸送コンテナからパレット（２）を荷下ろし、その後、梱包を除去することができる。

【実施例0036】

パレットとして、木製パレット（１１５０ｍｍ×１１５０ｍｍ×１５０ｍｍ）を用いた。

【0037】

滑止構造として、第１の段ボール（１１００ｍｍ×１１００ｍｍ）、ポリエチレン製の滑り止めシート（１１００ｍｍ×１１００ｍｍ）、ナイロン製の透明な養生シート（１８００ｍｍ×１８００ｍｍ）、第２の段ボール（１１００ｍｍ×１１００ｍｍ）を用いた。

【0038】

パレットのデッキ面に、第１の段ボール、滑り止めシート、養生シート、および、第２の段ボールを順次載置して、滑止構造をデッキ面の上に構成した。

【0039】

酸性液体を含むスラッジが充填された２００Ｌのドラム缶を４本、ドラムリフトを用いて、滑止構造の上に順次積載した。その後、結束バンドで、ドラム缶同士を固定し、最後に、梱包用塩化ビニルシートをパレットとドラム缶に対して巻き付けた。

【0040】

ドラム缶が積載されたパレットをフォークリフトで輸送コンテナに積載し、搬送を行い、搬送先においてフォークリフトで荷下ろしを行うことを複数回行ったが、いずれの過程においても、ドラム缶が滑り落ちることはなかった。

【符号の説明】

【0041】

１ 滑止構造
２ パレット
３ デッキ面
４ 第１の段ボール
５ 滑り止めシート
６ 養生シート
７ 第２の段ボール
８ ドラム缶
９ 固定用テープ
１０ 結束バンド

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】