(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024049207
(43)【公開日】2024-04-09
(54)【発明の名称】発光装置の製造方法及び発光装置
(51)【国際特許分類】
H01L 33/54 20100101AFI20240402BHJP
H01L 33/56 20100101ALI20240402BHJP
H01L 33/60 20100101ALI20240402BHJP
H01L 23/29 20060101ALI20240402BHJP
【FI】
H01L33/54
H01L33/56
H01L33/60
H01L23/30 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022155531
(22)【出願日】2022-09-28
(71)【出願人】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】西森 健博
【テーマコード(参考)】
4M109
5F142
【Fターム(参考)】
4M109AA02
4M109BA03
4M109CA10
4M109EA15
4M109GA01
5F142AA12
5F142BA24
5F142CA02
5F142CB14
5F142CB22
5F142CC26
5F142CE02
5F142CE03
5F142CE06
5F142CE08
5F142CG03
5F142CG05
5F142CG26
5F142CG42
5F142CG43
5F142DA02
5F142DA12
5F142DA64
5F142DB17
5F142FA01
5F142FA14
5F142FA18
5F142FA21
5F142FA42
5F142FA48
5F142FA50
(57)【要約】
【課題】点灯時と非点灯時とのコントラスト比を高めた発光装置の製造方法及び発光装置を提供する。
【解決手段】発光装置の製造方法は、発光素子20と、発光素子20が配置された底部100と、底部100上かつ発光素子20の側面から離隔して発光素子20を囲む第1壁300と、を有する中間体を準備する工程と、第1壁300の高さを越える高さであり、第1壁300の上面及び発光素子20を覆う透光性部材500を配置する工程と、第1壁300の上面の少なくとも一部を露出させるように、透光性部材500の一部を除去して、第1溝を形成する工程と、第1溝に第1樹脂410を配置し、第2壁400を形成する工程と、平面視で第2壁400を第1溝に沿って切断し、個片化を行う工程と、を含む。
【選択図】
図7H
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光素子と、前記発光素子が配置された底部と、前記底部上に配置されかつ前記発光素子の側面から離隔して前記発光素子を囲む第1壁と、を有する中間体を準備する工程と、
前記第1壁の高さを越える高さであり、前記第1壁の上面及び前記発光素子を覆う透光性部材を配置する工程と、
前記第1壁の上面の少なくとも一部を露出させるように、前記透光性部材の一部を除去して、第1溝を形成する工程と、
前記第1溝に第1樹脂を配置し、第2壁を形成する工程と、
前記第1溝内の前記第2壁を、前記第1溝の伸びる方向に切断し、個片化を行う工程と、を含む発光装置の製造方法。
【請求項2】
前記第2壁を形成する工程は、
前記第1溝にさらに第2樹脂を配置する工程と、
前記第1溝よりも狭い幅で前記第1溝の伸びる方向に前記第2樹脂の一部を除去して、前記第1壁の上面を露出させ第2溝を形成する工程と、
前記第2溝に前記第1樹脂を配置する工程と、を含む請求項1に記載の発光装置の製造方法。
【請求項3】
前記第2壁を形成する工程において、前記第2樹脂は、光反射性樹脂である、請求項2に記載の発光装置の製造方法。
【請求項4】
前記第2壁を形成する工程は、さらに前記透光性部材の上面にも前記第1樹脂を配置し、
前記第2壁を形成する工程の後に、前記第1樹脂を除去し、前記透光性部材の上面を露出させる、請求項1に記載の発光装置の製造方法。
【請求項5】
前記透光性部材を配置する工程の後に、
前記透光性部材上に第1着色樹脂を配置する工程と、
前記第1着色樹脂の一部を除去して、前記透光性部材の一部を露出させる工程と、
前記一部を露出させた前記透光性部材上に第2着色樹脂を配置する工程と、
前記第1着色樹脂の他の一部を除去して、前記透光性部材の他の一部を露出させる工程と、
前記他の一部を露出させた前記透光性部材上に第3着色樹脂を配置する工程と、を有する、請求項1に記載の発光装置の製造方法。
【請求項6】
前記第2着色樹脂を配置する工程は、さらに前記第1着色樹脂上にも前記第2着色樹脂を配置し、
前記第3着色樹脂を配置する工程は、さらに前記第2着色樹脂上にも前記第3着色樹脂を配置し、
前記第1溝を形成する工程は、前記透光性部材上の、前記第1着色樹脂と前記第2着色樹脂と前記第3着色樹脂とを除去して前記第1壁の上面を露出させる、請求項5に記載の発光装置の製造方法。
【請求項7】
前記第2壁を形成する工程において、前記第1着色樹脂と前記第2着色樹脂と前記第3着色樹脂との上面にも前記第1樹脂を配置し、前記第2壁を形成する工程の後に前記第1着色樹脂と前記第2着色樹脂と前記第3着色樹脂との上面を露出させる、請求項5に記載の発光装置の製造方法。
【請求項8】
前記透光性部材を配置する工程は、
前記発光素子を覆う第1層を形成する工程と、前記第1層上に配置される第2層を形成する工程と、を有し、
前記第2層を形成する工程において、前記第1層と前記第2層とは、大気圧プラズマ接合によって固定する請求項1に記載の発光装置の製造方法。
【請求項9】
前記第2層を形成する工程は、
前記大気圧プラズマ接合を行う前に、活性化層を前記第1層上に形成する請求項8に記載の発光装置の製造方法。
【請求項10】
前記第2壁を形成する工程において、前記第1樹脂は、遮光性を有する樹脂である、請求項1に記載の発光装置の製造方法。
【請求項11】
前記個片化を行う工程によって、前記第1壁と前記第2壁とからなる側壁を有し、前記第1壁及び前記第2壁と、前記底部と、によって画定される凹部に前記透光性部材が配置されている発光装置を製造する、請求項1乃至請求項10の何れか一項に記載の発光装置の製造方法。
【請求項12】
第1壁を有する基台と、
前記基台上に配置され、平面視において前記第1壁に囲まれる発光素子と、
遮光部及び前記遮光部よりも光反射率が高い光反射部をそれぞれ前記第1壁の上面に配置する第2壁と、
前記基台及び前記第2壁によって画定される凹部に配置される透光性部材と、を備え、
前記遮光部と前記光反射部は、ともに樹脂を含み、
前記第2壁の外側面と前記第1壁の外側面とは連続して形成されており、
前記光反射部は、前記第2壁の内側面の一部を構成し、
前記遮光部は、前記第2壁の外側面と、前記第2壁の上面と、を構成している発光装置。
【請求項13】
前記凹部の内側面は、前記第1壁と、前記光反射部と、前記遮光部と、からなり、
前記凹部の内側面において、前記光反射部は、前記遮光部と前記第1壁との間に位置している、請求項12に記載の発光装置。
【請求項14】
前記光反射部は、白色であり、前記遮光部は、黒色である、請求項12に記載の発光装置。
【請求項15】
前記透光性部材は、前記発光素子を覆う下部及び前記下部上に位置する上部からなり、
前記下部は、前記基台によって画定される部分に配置され、
前記上部は、前記下部の上面及び前記第2壁によって画定される部分に配置されている請求項12に記載の発光装置。
【請求項16】
前記上部と前記下部との間は、界面を有し、
平面視において、前記上部は、3つの領域に分割され、
前記3つの領域は互いに異なる色度を有する、請求項15に記載の発光装置。
【請求項17】
前記遮光部と、前記光反射部と、前記透光性部材と、は、母材が同じである請求項12乃至請求項16の何れか一項に記載の発光装置。
【請求項18】
前記第1壁の外側面と前記第2壁の外側面とは、面一である、請求項12に記載の発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、発光装置の製造方法及び発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、LEDチップが配置される板状基部と、この板状基部から、LEDチップの全周囲を取り囲む内周面を有するように立ち上がった壁部と、を備える成形体と、成形体に取り付けられた第1及び第2のリードと、を備えるパッケージが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示に係る実施形態は、点灯時と非点灯時とのコントラスト比を高めた発光装置の製造方法及び発光装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に開示される発光装置の製造方法は、発光素子と、前記発光素子が配置された底部と、前記底部上に配置されかつ前記発光素子の側面から離隔して前記発光素子を囲む第1壁と、を有する中間体を準備する工程と、前記第1壁の高さを越える高さであり、前記第1壁の上面及び前記発光素子を覆う透光性部材を配置する工程と、前記第1壁の上面の少なくとも一部を露出させるように、前記透光性部材の一部を除去して、第1溝を形成する工程と、前記第1溝に第1樹脂を配置し、第2壁を形成する工程と、前記第1溝内の前記第2壁を、前記第1溝の伸びる方向に切断し、個片化を行う工程と、を含む。
【0006】
また、実施形態に開示される発光装置は、第1壁を有する基台と、前記基台上に配置され、平面視において前記第1壁に囲まれる発光素子と、遮光部及び前記遮光部よりも光反射率が高い光反射部をそれぞれ前記第1壁の上面に配置する第2壁と、前記基台及び前記第2壁によって画定される凹部に配置される透光性部材と、を備え、前記遮光部と前記光反射部は、ともに樹脂を含み、前記第2壁の外側面と前記第1壁の外側面とは連続して形成されており、前記光反射部は、前記第2壁の内側面の一部を構成し、前記遮光部は、前記第2壁の外側面と、前記第2壁の上面と、を構成している。
【発明の効果】
【0007】
本開示の実施形態によれば、点灯時と非点灯時とのコントラスト比を高めた発光装置の製造方法及び発光装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1A】第1実施形態に係る発光装置の概略を例示する斜視図である。
【
図1B】第1実施形態に係る発光装置の概略を例示する平面図である。
【
図1C】
図1BのIC-IC線における概略を例示する断面図である。
【
図2A】第2壁の変形例に係る発光装置の概略を例示する断面図である。
【
図2B】第2壁のほかの第2変形例に係る発光装置の概略を例示する断面図である。
【
図3A】透光性部材の変形例に係る発光装置の概略を例示する断面図である。
【
図3B】透光性部材の変形例に係る発光装置の概略を例示する断面図である。
【
図4A】第2実施形態に係る発光装置の概略を例示する平面図である。
【
図4B】
図4AのIVB-IVB線における概略を例示する断面図である。
【
図5】発光装置の製造方法を例示するフローチャートである。
【
図6A】実施形態に係る製造方法における中間体の概略を例示する平面図である。
【
図6B】
図6Aに示すVIB-VIB線における概略を例示する断面図である。
【
図7A】第1実施形態に係る発光装置の製造方法を例示する概略断面図である。
【
図7B】第1実施形態に係る発光装置の製造方法を例示する概略断面図である。
【
図7C】第1実施形態に係る発光装置の製造方法を例示する概略断面図である。
【
図7D】第1実施形態に係る発光装置の製造方法を例示する概略断面図である。
【
図7E】第1実施形態に係る発光装置の製造方法を例示する概略断面図である。
【
図7F】第1実施形態に係る発光装置の製造方法を例示する概略断面図である。
【
図7G】第1実施形態に係る発光装置の製造方法を例示する概略断面図である。
【
図7H】第1実施形態に係る発光装置の製造方法を例示する概略断面図である。
【
図7I】第1実施形態に係る発光装置の製造方法を例示する概略断面図である。
【
図8】発光装置の製造方法を例示するフローチャートである。
【
図9A】第2実施形態に係る発光装置の製造方法を例示する概略断面図である。
【
図9B】第2実施形態に係る発光装置の製造方法を例示する概略断面図である。
【
図9C】第2実施形態に係る発光装置の製造方法を例示する概略断面図である。
【
図9D】第2実施形態に係る発光装置の製造方法を例示する概略断面図である。
【
図9E】第2実施形態に係る発光装置の製造方法を例示する概略断面図である。
【
図9F】第2実施形態に係る発光装置の製造方法を例示する概略断面図である。
【
図9G】第2実施形態に係る発光装置の製造方法を例示する概略断面図である。
【
図9H】第2実施形態に係る発光装置の製造方法を例示する概略断面図である。
【
図9I】第2実施形態に係る発光装置の製造方法を例示する概略断面図である。
【
図9J】第2実施形態に係る発光装置の製造方法を例示する概略断面図である。
【
図9K】第2実施形態に係る発光装置の製造方法を例示する概略断面図である。
【
図9L】第2実施形態に係る発光装置の製造方法を例示する概略断面図である。
【
図9M】第2実施形態に係る発光装置の製造方法を例示する概略断面図である。
【
図10A】第2壁の第2変形例に係る発光装置の製造方法を例示する概略断面図である。
【
図10B】第2壁の第2変形例に係る発光装置の製造方法を例示する概略断面図である。
【
図11A】透光性部材を配置する工程の変形例において第1層を形成した状態の概略を例示する断面図である。
【
図11B】透光性部材を配置する工程の変形例において活性化層を形成した状態の概略を例示する断面図である。
【
図11C】透光性部材を配置する工程の変形例においてプラズマが照射される状態の概略を例示する断面図である。
【
図11D】透光性部材を配置する工程の変形例において第2層を形成した状態の概略を例示する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示に係る実施形態について図面を参照しながら説明する。ただし、以下に説明する実施形態は、本開示に係る技術的思想を具体化するためのものであって、特定的な記載がない限り、発明を以下のものに限定しない。一つの実施形態において説明する内容は、他の実施形態及び変形例にも適用可能である。また、図面は実施形態を概略的に示すものであり、説明を明確にするため、各部材のスケールや間隔、位置関係等を誇張し、あるいは、部材の一部の図示を省略している場合がある。各図において示す方向は、構成要素間の相対的な位置を示し、絶対的な位置を示すことを意図したものではない。なお、同一の名称、符号については、原則として、同一もしくは同質の部材を示しており、詳細説明を適宜省略する。また、実施形態について、「覆う」とは直接接する場合に限らず、間接的に、例えば他の部材を介して覆う場合も含む。なお、本願明細書において、「垂直」は、厳密な垂直だけではなく、例えば製造工程におけるばらつきなどを含むものであり、実質的に垂直であれば良い。ここでの実質的に垂直とは、例えば、5°程度の角度のずれは許容されるものとする。
【0010】
[第1実施形態に係る発光装置]
第1実施形態に係る発光装置1について、
図1Aから
図1Cを参照しながら説明する。
図1Aは、発光装置1の概略を例示する斜視図である。
図1Bは、発光装置1の概略を例示する平面図である。
図1Cは、
図1BのIC-IC線における概略を例示する断面図である。
【0011】
図1Aから
図1Cには、参考のために、互いに直交するx方向、y方向およびz方向を示す矢印があわせて示されている。これらの矢印は、本開示の他の図面においても、これらの方向を示す矢印として、図示することがある。
【0012】
以下、特に断りのない場合、「上下方向」は、z方向に沿った方向を指し、断面視は、x方向およびz方向を含むxz面の断面を指し、平面視は、x方向およびy方向を含むxy面を+z方向から見る場合を指す。また、「幅」は、xz面の断面におけるx方向の長さを指し、「高さ」は、xz面の断面におけるz方向の長さを指す。
【0013】
発光装置1は、第1壁30を有する基台15と、基台15上に配置され、平面視において第1壁30に囲まれる発光素子20と、遮光部41及び遮光部41よりも光反射率が高い光反射部42をそれぞれ第1壁30の上面に配置する第2壁40と、基台15及び第2壁40によって画定される凹部60に配置される透光性部材50と、を備えている。そして、遮光部41と光反射部42は、ともに樹脂を含み、第2壁40の外側面と第1壁30の外側面とは連続して形成されており、光反射部42は、第2壁40の内側面の一部を構成し、遮光部41は、第2壁40の外側面と、第2壁40の上面と、を構成している。以下、発光装置1の各構成について説明する。
【0014】
(基台)
基台15は、発光素子20を配置する部材である。基台15は、底部10と第1壁30とを有している。底部10と第1壁30とは、一体であってもよいし、別体であってもよい。平面視において、基台15は、例えば、四角形である。なお、基台15の平面形状は、円形、楕円形、六角形等の多角形又はこれら多角形の角部を丸めた形状であってもよい。断面視において、基台15は、底部10を底面とし、第1壁30を側面とする、凹形状を有している。
【0015】
底部10は、発光素子20が配置される配置面を有している。配置面は、底部10の上面に位置している。
【0016】
第1壁30は、底部10上に配置される部材である。第1壁30は、底部10の上面の周縁部に配置されている。平面視において、第1壁30は、発光素子20の側面から離隔して発光素子20を囲んでいる。
図1Bに示す例において、矩形環状の第1壁30は、発光素子20の4辺を囲んでいる。基台15は、第1壁30によって画定される開口を有している。開口の平面形状は、例えば、四角形である。なお、開口の平面形状は、円形、楕円形、六角形等の多角形又はこれら多角形の角部を丸めた形状であってもよい。また、平面視において、第1壁30の上面における内側面と外側面との間隔は、角部を除き略一定である。
【0017】
第1壁30の断面形状は、一方の底角を略直角、他方の底角を鋭角とする台形状である。また、断面視において、第1壁30の内側面は、底部10から発光装置1の光取出面側(
図1Cの+z方向)に向かう方向に広がる傾斜面を有していることが好ましい。第1壁30の内側面は、底部10から上方に向かうほど平面視における凹形状の内周が大きくなるように傾斜している。これにより、第1壁30が光反射性を有する場合に、発光素子20の側面からの光を光取出し面である上面側に反射しやすくなり、発光装置1の光取出しを向上させることができる。また、断面視において、第1壁30の外側面は、底部10に対し垂直な面を有する。
【0018】
第1壁30の上面の位置は、発光素子20の上面の位置よりも高くすることが好ましい。発光装置1において、第1壁30の上面の位置は、ワイヤ13の最も高い部分よりも高くすることがより好ましい。第1壁30の上面の位置は、発光素子20の上面の位置から0.2mm以上高くすることがさらに好ましい。第1壁30の上面は平坦でもよいし、高さが異なる部分を有していてもよい。第1壁30の上面に高さが異なる部分を有する場合は、最も高くなる高さにおいて、発光素子20の上面より高くなっていればよい。
【0019】
第1壁30は、光反射性を有することが好ましい。第1壁30は、発光素子20が発する光の発光ピーク波長に対する光反射率を60%以上有することが好ましく、70%以上有することがより好ましく、80%以上有することがさらに好ましい。これにより、第1壁30によって、発光素子20から側方に出射される光を反射することができる。そのため、発光装置1の光取出しを向上させることができる。また、第1壁30の側面から外部への光漏れを低減することができる。第1壁30は、例えば、白色である。
【0020】
なお、第1壁30は、光吸収性を有していてもよい。第1壁30は、例えば黒色や灰色であってもよい。
【0021】
発光装置1において、基台15は、例えば、リード11と樹脂部14とを有する。樹脂部14は、リード11の一部を埋設することで、リード11を固定し支持している。リード11は、発光素子20の一対の素子電極の負極又は正極と電気的に接続して発光素子20へ通電することができる。
【0022】
第1壁30は、樹脂部14の一部である。第1壁30は、リード11の上面より上方に位置する樹脂部14である。
【0023】
底部10は、リード11と樹脂部14の一部とによって形成されている。底部10の配置面は、樹脂部14の一部から露出するリード11の一部である。なお、配置面は、樹脂部14の一部及びリード11の一部で構成されていてもよく、樹脂部14の一部のみであってもよい。
【0024】
平面視において、底部10の樹脂部14は、発光素子20が配置されているリード11と、発光素子20と電気的に接続されているワイヤ13が接続されているリード11と、の間に配置されている。これにより、樹脂部14は、離隔しているリード11間を電気的に絶縁している。リード11は、1対のみ配置されていてもよいし、2対以上配置されていてもよい。発光装置1は、3対のリード11を有している。発光素子20は、1つのリード11上に配置されている。なお、複数の発光素子20を配置する場合は、複数のリード11上に1つずつ配置されていてもよい。
【0025】
発光装置1の下面の一部は、リード11によって構成されていてよい。これにより、発光装置1の発する熱を、リード11から発光装置1を実装した外部の実装基板へ伝えやすくなり、発光装置1の放熱性を良くすることができる。また、第1壁30の側面において、リード11の一部は露出していてよい。底部10の下面において、リード11の一部は露出していてよい。底部10の下面において露出したリード11の一部は、外部接続端子とすることができる。
【0026】
樹脂部14は、例えば母材とする樹脂に光拡散材を含有させたものである。樹脂部14は、発光素子20が発する光の発光ピーク波長に対する光反射率を60%以上有することが好ましく、90%以上がより好ましい。樹脂部14における光反射率は、光拡散材の種類や含有量によって適宜調整することができる。また、光拡散材を含有させることで、樹脂部14の粘度を調整することができる。
【0027】
樹脂部14の母材とする樹脂は、例えばエポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂、アクリレート樹脂、ウレタン樹脂等の熱硬化性樹脂を用いることができる。また、樹脂部14の母材とする樹脂は、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、環状ポリオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエステル樹脂等の熱可塑性樹脂を用いてもよい。光拡散材としては、例えば酸化チタン、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化亜鉛又はガラス等を用いることができる。樹脂部14は、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂を母材とする樹脂に、光拡散材として二酸化ケイ素を含有させたものを用いることが好ましい。これにより、発光素子20との線膨張係数の差を小さくすることができる。
【0028】
リード11の材料として、例えば、銅、鉄、ニッケル、タングステン、クロム、アルミニウム、チタン、パラジウム、ロジウム、銀、白金、金などの金属又はこれらの合金を用いることができる。リード11は、単層であってもよいし、積層構造であってもよい。リード11は、安価で放熱性が高い銅を用いることが好ましい。また、リード11の一部又は全面に、単層又は積層構造のめっきが施されていてもよい。めっきは、反射率向上を目的に、銀、アルミニウム、銅及び金などを用いてよい。なお、銀を含む金属層がリード11の最表面である場合は、銀を含む金属層の表面に酸化ケイ素等の保護層を配置することが好ましい。これにより、大気中の硫黄成分等によって、銀を含む金属層を変色しにくくすることができる。
【0029】
(発光素子)
発光素子20は、基台15上に配置されている。発光素子20は、電圧を印加することで自ら発光する半導体素子であり、窒化物半導体等から構成される公知の半導体素子を適用できる。
【0030】
発光素子20は、少なくとも半導体構造体を含み、正負一対の素子電極を有する。半導体構造体は、n側半導体層と、p側半導体層と、n側半導体層とp側半導体層とに挟まれた活性層とを含む。活性層は、単一量子井戸(SQW)構造としてもよいし、複数の井戸層を含む多重量子井戸(MQW)構造としてもよい。半導体構造体は、窒化物半導体からなる複数の半導体層を含む。窒化物半導体は、InxAlyGa1-x-yN(0≦x、0≦y、x+y≦1)からなる化学式において組成比x及びyをそれぞれの範囲内で変化させた全ての組成の半導体を含む。活性層の発光ピーク波長は、目的に応じて適宜選択することができる。活性層は、例えば可視光または紫外光を発光可能に構成されている。
【0031】
半導体構造体は、n側半導体層と、活性層と、p側半導体層とを含む発光部を複数含んでいてもよい。半導体構造体が複数の発光部を含む場合、それぞれの発光部において、発光ピーク波長が異なる井戸層を含んでいてもよいし、発光ピーク波長が同じ井戸層を含んでいてもよい。なお、発光ピーク波長が同じとは、数nm程度のばらつきがある場合も含む。複数の発光部の発光ピーク波長の組み合わせは、適宜選択することができる。例えば、半導体構造体が2つの発光部を含む場合、それぞれの発光部が発する光の組み合わせとして、青色光と青色光、緑色光と緑色光、赤色光と赤色光、紫外光と紫外光、青色光と緑色光、青色光と赤色光、または、緑色光と赤色光などの組み合わせが挙げられる。例えば、半導体構造体が3つの発光部を含む場合、それぞれの発光部が発する光の組み合わせとして、青色光、緑色光、及び赤色光とする組み合わせが挙げられる。各発光部は、他の井戸層と発光ピーク波長が異なる井戸層を1以上含んでいてもよい。
【0032】
基台15上に配置される発光素子20は、1個でもよく複数でもよい。発光素子20を複数配置する場合、発光素子20の発光ピーク波長、または、発光色は同じであってもよい。発光素子20の発光ピーク波長、または、発光色は異なっていてもよい。発光装置1は、一例として、青色光を発する発光素子21、緑色光を発する発光素子22及び赤色光を発する発光素子23を備えている。なお、発光素子21、22、23を区別せず、又はまとめて発光素子20として説明する場合がある。
【0033】
発光素子20は、一対の素子電極を同一面に有していてもよい。また、発光素子20は、一対の素子電極を対向する面に有していてもよい。例えば、発光装置1において、発光素子21、22は、上面に一対の素子電極を有し、発光素子23は、上面及び下面に一対の素子電極を有している。発光素子21、22は、ワイヤ13によって、一対の素子電極とリード11とが接続されている。発光素子23は、下面の素子電極とリード11とを導電性の接着剤等で接続し、上面の素子電極とリード11とをワイヤ13で接続している。
図1Bに示す例において、発光素子21、22、23は、直線状に配置されているが、発光素子21、22、23のそれぞれが三角形の頂点に位置するように配置されていてもよい。
【0034】
なお、発光素子20は、フリップチップ実装されていてもよい。発光装置1は、発光素子20に加えて、ツェナーダイオードなどの保護素子を有していてもよい。
【0035】
(第2壁)
第2壁40は、第1壁30の上面に配置される部材である。第2壁40は、矩形環状である。平面視において、第2壁40は、発光素子20の側面から離隔している。第2壁40は、発光装置1の周縁に位置し、発光装置1の発光面を囲んでいる。平面視における第2壁40の外周の形状は、例えば、四角形である。なお、平面視における第2壁40の外周の形状は、円形、楕円形、六角形等の多角形又はこれら多角形の角部を丸めた形状であってもよい。平面視における第2壁40の内周の形状は、外周の形状と相似形状を有している。なお、第2壁40の内周の形状は、外周の形状と異なる形状を有していてもよい。
【0036】
また、
図1Bに示す例では、第1壁30の上面の一部は、第2壁40の内側面より内側に位置している。詳細には、第1壁30の四角環状の上面のうち、角部の一部が第2壁40の内側面よりも発光装置1の内側に位置している。このように、第2壁40の内側面の一部が、第1壁30の内側面と同じ位置にあるか、それよりも外側に位置することで、発光素子20から発する光が、第2壁40によって遮られにくくすることができる。
【0037】
第2壁40の断面形状は、四角形である。また、第2壁40の内側面及び外側面は、底部10に対し垂直な面であるのが好ましい。第2壁40の内側面は、断面視において発光素子20の直上よりも外側に位置するように第1壁30の内側面から突き出ていてもよい。第2壁40の内側面は、断面視において第1壁30の内側面よりも内側(発光素子側)に位置しないことが好ましい。これにより、発光素子20から出る光が、第2壁40の内側面によって遮られにくくすることができる。断面視において、第2壁40の内側面は、第1壁30の内側面よりも外側に位置してもよい。第2壁40の外側面は、第1壁30の外側面と連続するように形成されている。第2壁40の外側面は、第1壁30の外側面と、位置を合わせ、第1壁30の外側面と同一平面になっている。第1壁30の外側面と第2壁40の外側面とは、面一である。断面視において、第2壁40のx方向の長さは、第1壁30の上面の位置におけるx方向の長さと同じ、または、第1壁30の上面の位置におけるx方向の長さよりも短い。断面視において、第2壁40のx方向の長さは一定であるのが好ましい。発光装置1は、第2壁40の高さを変えることで、発光装置1の高さを調整することができる。また、第1壁30の上面に第2壁40を配置して、高さを調整するため、発光装置1のx方向およびy方向の大きさを変えずに高さを調整することができる。
【0038】
第2壁40の上面は平らに形成されている。なお、第2壁40の上面は、高さが異なる部分を有していてもよい。
【0039】
発光装置1の第2壁40は、遮光部41及び光反射部42を有している。
【0040】
(遮光部)
遮光部41は、発光素子20からの光に対して遮光性を有する部材である。遮光部41は、第1壁30の上面に配置されている。遮光部41は、光反射部42よりも発光素子20のピーク波長に対する光透過率が低い。
【0041】
遮光部41の断面形状は、上面41aと、下面41bと、内側面41cと、外側面41dと、を有し、内側面41cの一部に段差を有している。遮光部41の段差は、段差上面41eと、遮光部41の下面41bと段差上面41eとを接続する段差側面41fと、を有している。遮光部41の段差は、内側面41cにおいて、発光素子20側から遮光部41の外側面41dの側に凹んでいる。
【0042】
断面視において、遮光部41の上面41aの位置におけるx方向の長さは、遮光部41の下面41bの位置におけるx方向の長さと異なっている。遮光部41の上面41aの位置におけるx方向の長さは、遮光部41の下面41bの位置におけるx方向の長さよりも長くてよい。
【0043】
第2壁40の上面は、遮光部41の上面41aによって、第2壁40の外側面は、遮光部41の外側面41dによって構成されている。これにより、発光装置1を遠くから視認した際に、発光装置1が白っぽく見えることを低減することができる。よって、発光装置1の点灯時と非点灯時とのコントラスト比を高めることができる。なお、点灯時と非点灯時とのコントラスト比が高いとは、発光装置1を発光させていない場合に、暗く見えることである。第2壁40の内側面の一部、は、遮光部41の内側面41cによって構成されている。
【0044】
遮光部41は、黒色であるのが好ましい。遮光部41は、例えば、母材とする樹脂に光吸収材を含有させたものである。遮光部41は、例えば、発光素子20から出る光又は可視光の70%以上を吸収する材料であることが好ましく、90%以上を吸収する材料であることがより好ましい。また、遮光部41は、発光素子20のピーク波長に対する光透過率が40%以下であるものであってもよい。
【0045】
遮光部41の母材とする樹脂は、樹脂部14と同様の材料を用いることができる。また、光吸収材として、カーボンブラック、顔料、染料、カーボンブラックによって着色されたガラスフィラー等を用いることができる。遮光部41は、例えば、シリコーン樹脂を母材とする樹脂に、光吸収材としてカーボンブラックを含有させたものを用いることができる。
【0046】
(光反射部)
光反射部42は、遮光部41よりも発光素子20からの光に対する光反射率が高い部材である。光反射部42は、第2壁40の内側面の一部を構成している。平面視において光反射部42の内側面と外側面との間隔は、略一定である。平面視において、光反射部42は略矩形環状である。光反射部42は、第1壁30の上面に配置されている。平面視において、光反射部42は、遮光部41と重なっている。
【0047】
断面視における光反射部42の形状は、例えば、矩形である。なお、光反射部42の断面形状は、台形等の四角形であってもよい。光反射部42の上面と光反射部42の外側面は、遮光部41と接している。光反射部42は、遮光部41の段差上面41eと、遮光部41の段差側面41fと、によって画定される凹みに配置されている。
【0048】
光反射部42の下端部は、第2壁40の下端部を構成している。また、断面視において、光反射部42の下端部から上端部までのz方向の長さは、第2壁40の下端部から上端部までのz方向の長さの半分よりも短い。これにより、発光装置1の点灯時と非点灯時とのコントラスト比を高めることができる。光反射部42のz方向の長さは、第2壁40の内側面に対して、例えば35%以上45%以下である。また、断面視において、光反射部42のx方向の長さは第2壁40のx方向の長さの半分と同じ、もしくは長い。これにより、発光装置1において、発光素子20の発する光が、光反射部42から漏れにくくなる。なお、光反射部42のx方向の長さは、第2壁40のx方向の長さの半分よりも短くてもよい。
【0049】
光反射部42は、白色であるのが好ましい。光反射部42の材料は、樹脂部14と同様の材料を用いることができる。光反射部42は、例えば、シリコーン樹脂を母材とする樹脂に、光拡散材として酸化チタンを含有させたものを用いることができる。また、光反射部42は、遮光部41と同じ母材を用いることができる。これにより、線膨張係数等の物性を揃えることができる。そのため、発光装置1の温度変化等に対する安定性を、高めることができる。
【0050】
第2壁40が遮光部41及び光反射部42を有することで、光反射部42によって発光素子20から出る光を光取出面側に反射させ、かつ、遮光部41によって発光装置1の点灯時と非点灯時とのコントラスト比を高めることができる。
【0051】
(凹部)
凹部60は、基台15の底部10、第1壁30、及び、第2壁40によって画定されている。発光装置1において、凹部60を画定する内側面は、第1壁30、光反射部42及び遮光部41によって構成されている。また、凹部60を画定する内側面において、光反射部42は、遮光部41と第1壁30との間に位置している。すなわち、凹部60を画定する内側面は、基台15の底部10側から上方に向かって、第1壁30、光反射部42、遮光部41の順に並んでいる。
【0052】
(透光性部材)
透光性部材50は、凹部60内に配置され、基台15に配置された発光素子20を覆う部材である。透光性部材50の上面は、平らな面である。透光性部材50の上面は、発光装置1における発光面である。透光性部材50の上面は、第2壁40の上面と面一である。なお、透光性部材50の上面は、高さが異なる部分を有していてもよい。例えば、透光性部材50の一部は、第2壁40の上面の一部に配置されることがある。第2壁40の上面に配置された透光性部材50の上面の位置は、発光素子20を覆う透光性部材50の上面の位置よりも高くなっていてもよい。
【0053】
断面視において、透光性部材50は、単層でもよいし、複数層でもよい。第1壁30と第2壁40とによって凹部60を画定する内側面が構成されていることで、透光性部材50のz方向の長さが長くなっている。これにより、発光装置1における色混ざりをよくすることができる。例えば、発光装置1が異なる発光ピーク波長を発する発光素子21、22、23を有する場合、発光素子21、22、23の発する光は、透光性部材50中で混ざることになる。そのため、透光性部材50のz方向の長さが長いことで、発光素子21、22、23の発する光をより混ぜることができる。
【0054】
透光性部材50は、例えば、母材とする樹脂に光拡散材を含有させたものである。透光性部材50は、発光素子20からの光に対する光透過率が60%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましい。透光性部材50の母材及び光拡散材は、樹脂部14と同様の材料を用いることができる。遮光部41と、光反射部42と、透光性部材50と、は、同じ母材を用いることが好ましい。これにより、遮光部41と、光反射部42と、透光性部材50と、の間での剥離を生じにくくすることができる。そのため、各部材間からの光漏れを低減することができる。また、水分が、各部材間の剥離箇所から、発光装置1内へ浸入しにくくすることができる。そのため、発光素子20等の劣化を低減し、信頼性を高めることができる。
【0055】
透光性部材50は、例えば、母材に対して20%以上40%以下の光拡散材を含有している。透光性部材50に熱が加わることで、透光性部材50は収縮することがある。そのため、例えば、発光装置1に反りが生じることがある。透光性部材50の光拡散材の含有率を20%以上とすることで、透光性部材50の収縮を低減することができる。
【0056】
透光性部材50は、波長変換物質を含有してもよい。波長変換物質は、発光素子20が発する一次光の少なくとも一部を吸収して、一次光とは異なる波長の二次光を発する部材である。例えば、発光素子20が発する一次光と波長変換物質が発する二次光とを混光することによって、白色光が得られるようにすることができる。
【0057】
波長変換物質としては、例えば、イットリウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(例えば、Y3(Al,Ga)5O12:Ce)、ルテチウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(例えば、Lu3(Al,Ga)5O12:Ce)、テルビウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(例えば、Tb3(Al,Ga)5O12:Ce)、CCA系蛍光体(例えば、Ca10(PO4)6Cl2:Eu)、SAE系蛍光体(例えば、Sr4Al14O25:Eu)、クロロシリケート系蛍光体(例えば、Ca8MgSi4O16Cl2:Eu)、シリケート系蛍光体(例えば、(Ba,Sr,Ca,Mg)2SiO4:Eu)、βサイアロン蛍光体(例えば、(Si,Al)3(O,N)4:Eu)、若しくはαサイアロン蛍光体(例えば、Ca(Si,Al)12(O,N)16:Eu)等の酸窒化物系蛍光体、LSN系蛍光体(例えば、(La,Y)3Si6N11:Ce)、BSESN系蛍光体(例えば、(Ba,Sr)2Si5N8:Eu)、SLA系蛍光体(例えば、SrLiAl3N4:Eu)、CASN系蛍光体(例えば、CaAlSiN3:Eu)若しくはSCASN系蛍光体(例えば、(Sr,Ca)AlSiN3:Eu)等の窒化物系蛍光体、KSF系蛍光体(例えば、K2SiF6:Mn)、KSAF系蛍光体(例えば、K2(Si1-xAlx)F6-x:Mn ここで、xは、0<x<1を満たす。)若しくはMGF系蛍光体(例えば、3.5MgO・0.5MgF2・GeO2:Mn)等のフッ化物系蛍光体、ペロブスカイト構造を有する量子ドット(例えば、(Cs,FA,MA)(Pb,Sn)(F,Cl,Br,I)3 ここで、FAとMAは、それぞれホルムアミジニウムとメチルアンモニウムを表す。)、II-VI族量子ドット(例えば、CdSe)、III-V族量子ドット(例えば、InP)、又はカルコパイライト構造を有する量子ドット(例えば、(Ag,Cu)(In,Ga)(S,Se)2)等を用いることができる。
【0058】
また、波長変換物質は、これらの蛍光体のうちの1種を単体で、又はこれらの蛍光体のうち2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0059】
発光装置1は、第1壁30を有する基台15と、基台15上に配置され、平面視において第1壁30に囲まれる発光素子20と、を備えている。発光装置1は、第1壁30の上面に第2壁40を配置している。また、発光装置1は、断面視において、第1壁30の内側面と第2壁40の内側面とにおいて、異なる傾斜を有することができる。これにより、発光装置1の光取出しを良くし、信頼性を高めることができる。第1壁30の内側面が傾斜していることで、光取出しを良くすることができる。また、第2壁の内側面が傾斜せず、垂直であることで、太陽光等に起因する透光性部材50と第2壁40との剥離を低減することができる。
【0060】
発光装置1は、遮光部41よりも光反射率の高い光反射部42を第2壁40の内側面の一部として配置している。これにより、発光装置1の光取出し効率をより向上させることができる。
【0061】
発光装置1において、凹部60を画定する内側面は、第1壁30と光反射部42と遮光部41とによって構成されている。凹部60を画定する内側面において、光反射部42は、遮光部41と第1壁30との間に配置されている。そのため、凹部60の深さ方向(-z方向)における中間までの領域においては、第1壁30と光反射部42とによって、明るさを向上させることができ、発光装置1の発光面に近い上方の領域においては、遮光部41によって、発光装置1の点灯時と非点灯時とのコントラスト比を向上させることができる。
【0062】
発光装置1において、第1壁30の外側面と、第2壁40の外側面とは、面一である。そのため、平面視において、第1壁30の外周の大きさと、第2壁40の外周の大きさと、は、基本的に一致している。
【0063】
発光装置1は、基台15に発光素子20を配置してワイヤ13等で接続し、第1壁30の内側に透光性部材50等を配置することで、発光装置としての基本構成を備えている。このような発光装置において、第1壁30自体の高さを変えてしまうと、発光装置全体が大きくなってしまう場合がある。しかし、本開示の発光装置1は、基台15に変更を加えずに、第2壁40によって、発光装置1のz方向の高さを高くすることができる。
【0064】
(第2壁の変形例)
次に、第2壁40の変形例に係る発光装置1A、1Bについて、
図2A、2Bを参照しながら説明する。
図2Aは、発光装置1Aの概略を例示する断面図である。
図2Bは、発光装置1Bの概略を例示する断面図である。なお、
図2A以降の断面図においては、ワイヤ13の図示を省略している。
【0065】
発光装置1Aは、断面視における、第2壁40の内側面を構成する光反射部42の下端部から上端部までのz方向の長さが発光装置1と異なっている。その他の点については、発光装置1と共通である。断面視において、光反射部42の下端部から上端部までのz方向の長さは、第2壁40の長さの半分と同じ、もしくは半分よりも長くなっている。光反射部42の下端部から上端部までのz方向の長さは、第2壁40の内側面に対して、例えば50%以上90%以下である。
【0066】
発光装置1Aは、第2壁40の内側面における光反射部42の面積の割合を大きくすることで、光反射部42による明るさ向上の効果をさらに高めることができる。
【0067】
発光装置1Bは、第2壁40が光反射部42を有していない点で、発光装置1、1Aと異なっている。その他の点については、発光装置1と共通である。発光装置1Bにおいて、第2壁40の内側面は、遮光部41のみからなっている。
【0068】
発光装置1Bは、第2壁40の内側面を遮光部41のみとすることで、非点灯時の発光面をより暗くすることができ、点灯時と非点灯時とのコントラスト比を高めることができる。
【0069】
(透光性部材の変形例)
次に、透光性部材50の変形例に係る発光装置3A、3Bについて、
図3A、3Bを参照しながら説明する。
図3Aは、発光装置3Aの概略を例示する断面図である。
図3Bは、透光性部材50の変形例に係る発光装置3Bの概略を例示する断面図である。
【0070】
発光装置3Aは、透光性部材50が発光装置1と異なっている。その他の点については、発光装置1と共通である。発光装置3Aの透光性部材50は、発光素子20を覆う下部51及び下部51上に位置する上部52からなる。発光装置3Aは、上部52と下部51との間に界面55を有していてよい。
【0071】
下部51は、凹部60内に配置されている透光性部材50の中で下方に位置している部分である。下部51は、底部10側に位置し、発光素子20を覆っている。下部51は、第1壁30と底部10とによって画定される部分に配置されている。上部52は、凹部60内に配置されている透光性部材50の中で上方に位置している部分である。上部52は、発光面を形成している。上部52は、下部51の上面及び第2壁40によって画定される部分に配置されている。すなわち、下部51及び上部52は、透光性部材50における積層された2つの層となっている。
【0072】
下部51及び上部52の材料は、母材とする樹脂に光拡散材を含有させたものとすることができ、下部51と上部52とで母材が異なっていてもよく、母材が同じで光拡散材の種類又は含有量が異なっていてもよい。
【0073】
発光装置3Aは、発光素子20を覆う下部51及び下部51上に位置する上部52からなる透光性部材50であることで、発光素子20に近い側と発光面に近い側とで光に対する特性の異なる透光性部材50を積層することができる。そのため、発光装置3Aからの光をより細かく調整することができる。また、下部51は第1壁30に、上部52は第2壁40に合わせて物性等を設定することができる。そのため、発光装置3Aの信頼性をより向上させることができる。
【0074】
発光装置3Bは、透光性部材50の下部51の上面の位置が発光装置3Aと異なっている。その他の点については、発光装置3Aと共通である。発光装置3Bにおいて、下部51の上面は、
図3Bに示すように、第1壁30の上面よりも高い位置にある。下部51は、断面視において、第1壁30と第2壁40との境界を覆っている。上部52は、断面視において、光反射部42と遮光部41との境界を覆っている。
【0075】
図3A、
図3Bに示すように、発光装置3Bは、透光性部材50を上部52と下部51等の2以上の積層構造とすることで、積層されている透光性部材50の特性をより細かく調節することができる。
【0076】
[第2実施形態に係る発光装置]
第2実施形態に係る発光装置2について、
図4A、4Bを参照しながら説明する。
図4Aは、発光装置2の概略を例示する平面図である。
図4Bは、
図4AのIVB-IVB線における概略を例示する断面図である。
【0077】
発光装置2は、透光性部材50について発光装置1と異なり、その他の構成は発光装置1と共通である。発光装置2の透光性部材50は、発光素子20を覆う下部51及び下部51上に位置する上部52A、52B、52Cからなる。なお、上部52A、52B、52Cを区別せず、又はまとめて上部52として説明する場合がある。
【0078】
発光装置2において、上部52は着色剤を含有している。上部52は、平面視において、上部52A、52B、52Cの3つの領域に分割されている。上部52A、52B、52Cの3つの領域は、平面視において、発光素子20が並ぶ方向に透光性部材50を略3等分している。断面視において、上部52Aは、発光素子22の上方に配置され、上部52Bは、発光素子21の上方に配置され、上部52Cは、発光素子23の上方に配置されている。平面視において、発光素子20と、上部52Aと上部52Bとの境界及び上部52Bと上部52Cとの境界と、は、重なっていない。上部52A、52B、52Cは、隣りに配置されている領域と異なる色度を有することが好ましく、3つの領域すべてにおいて異なる色度を有していることがより好ましい。
【0079】
発光装置2は、発光素子20の発光色に対応する色度を有する上部52を配置することが好ましい。青色光を発する発光素子21の上方に青色の上部52B、緑色光を発する発光素子22の上方に緑色の上部52A、赤色光を発する発光素子23の上方に赤色の上部52Cが位置している。上部52が着色剤を含有していることで、点灯時と非点灯時とのコントラスト比を高めることができる。
【0080】
断面視において、上部52の下端部は、第1壁30の上面と同じ高さ、もしくは高い位置にある。これにより、発光素子20の側面の発する光を、第1壁30によって反射させやすくなる。
【0081】
断面視において、上部52Aの下端部は、他の2つの領域よりも高い位置にある。上部52Aの下端部の位置が高いことで、発光装置2の光取出しを良くすることができる。赤、青、緑のうち最も明るさを要求される緑色光を発する発光素子22の上方の上部52Aの断面視におけるz方向の長さが短いことで、着色剤によって吸収される光を低減することができる。上部52Bの下端部と上部52Cの下端部とは、同じ高さであってもよいし、異なる高さであってもよい。また、上部52B、52A、52Cの順に、下端部の位置が低く、または、高くなっていてもよい。
【0082】
着色剤として、顔料及び染料のいずれか1つを含むものを用いてもよい。
【0083】
顔料としては特に限定されるものではないが、例えば、無機系材料や有機系材料を用いたものがあり、以下の材料を用いたものが挙げられる。
【0084】
無機系材料として、例えば、べんがら(Fe2O3)、鉛丹(Pb3O4)、チタンニッケルアンチモン系酸化物、チタンニッケルバリウム系酸化物、チタンクロムアンチモン系酸化物、チタンクロムニオブ系酸化物等が挙げられる。
【0085】
有機系材料として、例えば、銅フタロシアナート系、アントラキノン系、アゾ系、キナクリドン系、ペリレン系、ジケトピロロピロール系、モノアゾ系、ジスアゾ系、ピラゾロン系、ベンツイミダゾロン系、キノキサリン系、アゾメチン系、イソインドリノン系、イソインドリン系等が挙げられる。
【0086】
染料としては特に限定されるものではないが、例えば、アントラキノン系染料、メチン系染料、アゾメチン系染料、オキサジン系染料、アゾ系染料、スチリル系染料、クマリン系染料、ポルフィリン系染料、ジベンゾフラノン系染料、ジケトピロロピロール系染料、ロダミン系染料、キサンテン系染料、ピロメテン系染料等が挙げられる。
【0087】
なお、顔料及び染料は、基本的に発光素子20からの光を異なる波長に変換しないものがよい。これは、透光性部材50に波長変換部材を含有させた場合に、波長変換部材に影響を及ぼさないためである。
【0088】
下部51は、着色剤を含有していない。上部52と下部51との間は、界面55を有している。下部51及び上部52は母材が同じであることが好ましい。これにより、下部51と上部52との間での剥離を生じにくくすることができる。
【0089】
発光装置2は、平面視において上部52が3つの領域に分かれ、3つの領域は互いに異なる色度を有することで、外光等があっても非点灯時の発光面が減法混色によって黒く見えやすい。このため、発光装置の点灯時と非点灯時とのコントラスト比を高めることができる。
【0090】
なお、発光装置1A、1Bで説明した第2壁の変形例と発光装置3A、3Bで説明した透光性部材の変形例とは、相互に組み合わせることができる。また、第2実施形態に係る発光装置2とも組み合わせることができる。
【0091】
[第1実施形態に係る発光装置の製造方法]
次に、第1実施形態に係る発光装置1の製造方法について、
図5から
図7Iを参照しながら説明する。
図5は、発光装置の製造方法を例示するフローチャートである。
図6Aは、発光装置1の製造方法における中間体の概略を例示する平面図である。
図6Bは、
図6Aに示すVIB-VIB線における概略を例示する断面図である。
図7Aから
図7Iは、各工程における状態の概略を例示する断面図である。
【0092】
発光装置1の製造方法は、発光素子20と、発光素子20が配置された底部100と、底部100上かつ発光素子20の側面から離隔して発光素子20を囲む第1壁300と、を有する中間体800を準備する工程S10と、第1壁300の高さを越える高さであり、第1壁300の上面及び発光素子20を覆う透光性部材500を配置する工程S20と、第1壁300の上面の少なくとも一部を露出させるように、透光性部材500の一部を除去して、第1溝71を形成する工程S30と、第1溝71に第1樹脂410を配置し、第2壁400を形成する工程S40と、平面視で第2壁400を第1溝71に沿って切断し、個片化を行う工程S50と、を含む。
【0093】
(中間体を準備する工程)
中間体を準備する工程S10を、主に
図6Aと
図6Bに基づいて説明する。中間体を準備する工程S10は、発光素子20、底部100及び第1壁300を有する中間体800を準備する工程である。中間体800における底部100及び第1壁300は、発光装置1における基台15となる部分である。中間体800は、発光装置1となる部分を1又は複数有することができる。なお、ここでは中間体800の一部を拡大して説明する。
【0094】
図6Aに示すように、中間体800は、底部100の一部であるリード111と第1壁300とによって、繋がっている。中間体800において、底部100はx方向及びy方向に配列されている。
【0095】
中間体800は、発光素子21、22、23を有している。以降、発光装置1の説明と同様に、発光素子21、22、23を区別せず、又はまとめて発光素子20として説明する場合がある。
図6Bに示すように、発光素子21、22、23は、x方向に沿って底部100の上面に配置されている。
【0096】
中間体800を準備する工程の前、又は、後に、中間体800を囲む枠F1を形成する工程を備えていてよい。枠F1は、平面視において、中間体800の周囲、又は、中間体800の上面の外周に配置されている。
図6Aに示すように、枠F1は、x方向に並ぶ発光素子21、22、23を1組とする複数の組を囲むように、配置されている。なお、枠F1は、y方向に並ぶ複数の組を囲むように配置してもよいし、1組をそれぞれ囲むように配置してもよい。後述する透光性部材500を配置する際に、枠F1は、透光性部材500の硬化前の材料を堰き止めることができる。枠F1は、例えば、平板状の中間体800に描画した後、硬化することで形成することができる。あるいは、枠F1は、あらかじめ成形された枠状あるいは棒状の成形体を、接合部材等を用いて中間体800上に貼り付けることができる。枠F1の材料としては、例えば、シリコーン樹脂が挙げられる。枠F1は、後述する第1溝を形成する工程S30、第2溝を形成する工程S42において除去される。なお、
図7A以降では、枠F1の図示を省略している。
【0097】
(透光性部材を配置する工程)
透光性部材を配置する工程S20を、主に
図7Aと
図7Bに基づいて説明する。透光性部材を配置する工程S20は、中間体800の上面に透光性部材500を配置する工程である。透光性部材500は、発光素子20を覆うように配置する。透光性部材500は、さらに底部100の上面、第1壁300の内側面301を覆うように配置することが好ましい。透光性部材500は、第1壁300の上面を覆うように配置してもよいし、底部100の上面と第1壁300の内側面301のみを覆うように配置してもよい。
【0098】
配置される透光性部材500の高さは、第1壁300の上面の高さよりも高く配置する。配置される透光性部材500の高さは、発光装置1における透光性部材50の高さと同じでもよい。この場合、透光性部材500の上面を露出させる工程を省略することができる。なお、配置される透光性部材500の高さは、発光装置1における透光性部材50の高さより高くてもよい。
【0099】
透光性部材500は、未硬化の透光性部材500を配置して、硬化することで形成する。硬化前の透光性部材500の材料は、液状又はペースト状である。硬化前の透光性部材500は、例えば、印刷、ポッティング、スプレー等によって配置することができる。硬化前の透光性部材500の材料の配置は、1回で配置してもよい。これにより、製造工程を簡略化することができる。硬化前の透光性部材500の材料の配置は、複数回に分けて配置してもよい。これにより、気泡の発生を低減することができる。例えば、
図7A、
図7Bは、硬化前の透光性部材500の材料を2回に分けて配置している。まず、
図7Aに示すように、透光性部材500は底部100の上面から第1壁300の上面の高さ付近まで配置される。次に、
図7Bに示すように、透光性部材500は
図7Aで形成した透光性部材500の上面から第1壁300の上面より高い位置まで配置される。
図7Bにおいて、
図7Aにおいて形成した透光性部材500と、
図7Bにおいて形成した透光性部材500との境界は、点線で表されている。
【0100】
配置された透光性部材500は、一括で硬化してもよいし、複数回に分けて硬化してもよい。配置された透光性部材500は、一例として、1回目の配置後、続けて2回目の配置を行い、2回目の配置後に一括して硬化させている。なお、配置された透光性部材500は、1回目の配置後、2回目の配置を行う前に、硬化の工程を行ってもよい。
【0101】
(第1溝を形成する工程)
第1溝を形成する工程S30を、主に
図7Cに基づいて説明する。第1溝を形成する工程S30は、透光性部材500に第1溝71を形成する工程である。第1溝71は、第1壁300の上面の少なくとも一部を露出させるように、透光性部材500の一部を除去して形成する。なお、第1溝71を形成する際に、第1壁300の上面の一部を一緒に除去してよい。この場合、第1溝71を形成することで露出した第1壁300の面は、第1溝71を形成する前の上面と異なる面であるが、このような面も第1壁300の上面と称する。
【0102】
第1溝71は、第1壁300の上面の伸びる方向に形成する。第1溝71の中心は、第1溝71が伸びる方向と直交する断面における第1壁300の上面の中心と一致することが好ましい。断面視において、第1溝71のx方向の長さは、第1壁300の上面のx方向の長さと一致するように形成することが好ましい。なお、第1溝71のx方向の長さは、第1壁300の上面のx方向の長さより小さくなるように形成してもよい。これにより、第1壁300の上面の一部の上に、透光性部材500を配置することができる。さらに後工程で形成される第2壁400から第1壁300の上面の一部を露出させることができる。第1溝71を画定する底面は、第1壁300の上面である。また、第1溝71を画定する側面は、透光性部材500の面である。
【0103】
第1溝71は、例えば、ブレードを用いて形成することができる。第1溝を形成する工程S30は、例えば、厚さが100μm以上900μm以下のブレードを用いる。第1溝71は、先端が平坦なブレードを用いて形成することが好ましい。これにより、底部100に対して垂直な第1溝71を形成することができる。なお、第1溝71は、レーザ加工等を用いて形成してもよい。
【0104】
(第2壁を形成する工程)
第2壁を形成する工程S40を、主に
図7D~
図7Hに基づいて説明する。第2壁を形成する工程S40は、第1溝71に第1樹脂410を配置して、第2壁400を形成する工程である。第2壁を形成する工程S40は、第1溝71に第2樹脂を配置する工程S41と、平面視で第1溝71よりも狭い幅で第1溝71に沿って第2樹脂420の一部を除去して、第1壁300の上面を露出させ第2溝を形成する工程S42と、第2溝72に第1樹脂を配置する工程S43と、を含む。
【0105】
第2樹脂を配置する工程S41を、主に
図7Dに基づいて説明する。第2樹脂を配置する工程S41は、第1溝71に第2樹脂420を配置する工程である。第2樹脂420は、少なくとも第1溝71を形成することで露出している、第1壁300の上面、透光性部材500の側面、を覆うように配置する。第2樹脂420は、透光性部材500の上面を覆うように配置してもよい。この場合、後述する透光性部材500の上面を露出させる工程を備える。よって、透光性部材500の高さのばらつきを低減することができる。第2樹脂420は、第1溝71の内部にのみ配置してもよい。
【0106】
配置される第2樹脂420の高さは、透光性部材500の上面の高さよりも高く配置してもよい。また、配置される第2樹脂420の高さは、透光性部材500の上面の高さと同じであってもよい。
【0107】
第2樹脂420は、例えば光反射性を有する樹脂である。第2樹脂420は、未硬化の第2樹脂420を配置して、硬化することで形成する。第2樹脂420は、ポッティング、スプレー塗布の方法を用いて配置する。
【0108】
第2溝を形成する工程S42を、主に
図7E、
図7Fに基づいて説明する。第2溝を形成する工程S42は、第2樹脂420に第2溝72を形成する工程である。第2溝を形成する工程S42は、1回で形成されてもよく、複数回に分けて形成されてもよい。例えば、
図7E、
図7Fは、第2溝72を2回に分けて形成している。
【0109】
図7Eに示すように、第2溝を形成する工程S42は、第2樹脂420の一部を除去して、第1壁300の上面の少なくとも一部を露出させる第1工程を含む。なお、第2樹脂420の一部を除去する際に、第1壁300の上面の一部を一緒に除去してよい。この場合、第2樹脂420を除去することで露出した第1壁300の面は、第2溝72を形成する前の第1壁300の上面と異なる面であるが、このような面も第1壁300の上面と称する。第1工程において、第2溝72は、第1壁300の伸びる方向に形成する。第2溝72の中心は、第2溝72の伸びる方向と直交する断面における第1壁300の上面の中心と一致することが好ましい。また、第2溝72の中心は、第1溝71の中心と一致することがより好ましい。
図7Eに示すように、第2溝72の幅は、第1溝71の幅よりも狭くなるように形成する。第2溝72を画定する底面は、第1壁300の上面である。第2溝72を画定する側面は、第2樹脂420の面である。
【0110】
図7Fに示すように、第2溝を形成する工程S42は、第1工程の後に、透光性部材500の側面の一部を露出させる第2工程を含んでいてよい。第2工程は、透光性部材500の側面を覆う第2樹脂420のうち、上側に位置する第2樹脂420を除去する工程である。これにより、透光性部材500の側面の一部は、第2樹脂420から露出する。なお、第2溝72を形成する際に、透光性部材500の側面の一部を一緒に除去してよい。この場合、第2溝72を形成することで露出した透光性部材500の面は、第2溝72を形成する前の側面と異なる面であるが、このような面も透光性部材500の側面と称する。第1工程において形成される第2溝72の幅は、第1溝71の幅よりも狭くなるように形成される。第2溝を形成する工程S42は、第1工程と、第2工程とを有することで、第2壁400の第2樹脂420の幅、高さをそれぞれ調整することができる。これにより、求める特性に応じて、発光装置1を製造することができる。なお、第2工程を行った後、第1工程を行ってもよい。
【0111】
第2溝72は、第1溝71と同様の方法を用いて形成できる。第1工程は、例えば、厚さが100μm以上600μm以下のブレードを用いる。第2工程は、例えば、厚さが100μm以上900μm以下のブレードを用いる。第1工程において用いられる刃の形状は、第2工程において用いられる刃の形状と同じでもよいし、異なっていてもよい。例えば、第1工程、第2工程ともに、先端が平坦なブレードを用いて形成することが好ましい。これにより、底部100に対して垂直な第2溝72を形成することができる。また、第2溝72を形成するブレードの厚さを調節することで、発光装置1における光反射部42の幅を調整することができる。
【0112】
第1樹脂を配置する工程S43を、主に
図7Gに基づいて説明する。第1樹脂を配置する工程S43は、第2溝72に第1樹脂410を配置する工程である。第1樹脂を配置する工程S43において、第2溝72に第1樹脂410を配置することで、第2壁400を形成する。第2壁400は、発光装置1における第2壁40となる部分である。第1樹脂410は、少なくとも第2溝72を形成することで露出している、第1壁300の上面、第2樹脂420の上面、第2樹脂420の側面、透光性部材500の側面を覆うように配置する。第1樹脂410は、透光性部材500の上面を覆うように配置してもよい。この場合、後述する透光性部材500の上面を露出させる工程を備える。よって、透光性部材500の高さのばらつきを低減することができる。第1樹脂410は、第2溝72の内部にのみ配置してもよい。第1樹脂410が透光性部材500を覆っている場合、透光性部材500の上面に配置されている第2樹脂420の上面を介して覆っている。
【0113】
配置される第1樹脂410の高さは、透光性部材500の上面の高さよりも高く配置することができる。この場合、後述する第1樹脂410の上面の高さと透光性部材500の上面の高さとを揃える工程、もしくは、透光性部材500の上面を露出させる工程を備える。また、配置される第1樹脂410の高さは、透光性部材500の上面の高さと同じであってもよい。また、配置される第1樹脂410の高さは、透光性部材500の上面を覆う第2樹脂420の上面の高さと同じであってよい。
【0114】
第1樹脂は、例えば遮光性を有する樹脂である。第1樹脂410は、未硬化の第1樹脂410を配置して、硬化することで形成する。第1樹脂410は、第2樹脂420と同じ方法を用いて形成してもよいし、異なる方法を用いて形成してもよい。
【0115】
透光性部材500の上面を露出させる工程を、主に
図7Hに基づいて説明する。第2壁を形成する工程S40の後に、透光性部材500の上面を露出させる工程を含むことができる。透光性部材500の上面は、第1樹脂410、第2樹脂420を除去することで、露出させている。ここでは、透光性部材500の上面に、第2樹脂420及び第1樹脂410が配置されているため、これらを除去すると共に、透光性部材500の上面の一部を除去している。除去された透光性部材500の上面は、個片化後の発光装置における発光面となる。なお、第2壁400を形成した後、すでに透光性部材500の上面が露出している場合がある。その場合、透光性部材500の上面を露出させる工程に代えて、すでに露出している透光性部材500の上面の高さと、第2壁400の上面の高さと、を合わせる工程を行うことができる。
【0116】
透光性部材500の上面を露出させる工程は、例えば、第2壁400の形成後に、透光性部材500の上面に配置されている第1樹脂410、第2樹脂420を研磨して、透光性部材500の上面を露出させる。透光性部材500の上面は、研磨によって凹凸が形成され、透光性部材500の上面における外光等の散乱を低減した発光装置1を製造することができる。透光性部材500の上面の研磨には、例えば、研磨紙、バフ研磨、ダイヤモンド砥石などを用いる。
【0117】
(個片化を行う工程)
個片化を行う工程S50を、主に
図7Iに基づいて説明する。個片化を行う工程S50は、発光装置1へ切断する工程である。中間体800が複数である場合は、個片化を行う工程S50によって、第1壁30と第2壁40とからなる側壁を有し、第1壁30及び第2壁40と、底部10と、によって画定される凹部60に透光性部材50が配置されている、複数の発光装置1となる。なお、発光装置1となる部分が単数である中間体800では、個片化を行う工程S50を省略することができる。
【0118】
個片化を行う工程S50は、第1溝71もしくは第2溝72の伸びる方向に切断する。個片化を行う工程S50は、第1溝71もしくは第2溝72が伸びる方向と直交する断面における第1溝71もしくは第2溝72の中心で切断することが好ましい。個片化を行う工程S50は、第2壁400、第1壁300及び底部100を切断する。
【0119】
個片化する方法としては、例えば、ダイシング加工、金型加工、トムソン加工、超音波加工、レーザ加工等の方法が挙げられる。
【0120】
発光装置1の製造方法は、基台15の反りを低減することができる。金型等を用いて、第1壁300と第2壁400とを一括で形成する場合、第1壁300と第2壁400とを合わせた高さの壁を一括で形成するため、基台15の反りが大きくなりやすい。これに対して、発光装置1の製造方法は、第1壁300の上に第2壁400を形成するため、基台15の反りを低減することができる。
【0121】
発光装置1の製造方法は、光取出しが良く、平面における外形が小さい発光装置1を製造することができる。金型等を用いて、第1壁300と第2壁400とを一括で形成する場合、
図6Bに示す第1壁300の内側面と同程度の傾斜を有する壁を形成しようとすると、平面における外形が大きくなる。これに対して、発光装置1の製造方法は、第1壁300と第2壁400とを別工程で形成する。そのため、第1壁300の内側面は、発光素子20からの光を反射させやすくするために傾斜を有するように形成し、第2壁400の内側面は、平面における外形が大きくならないように略垂直になるように形成することができる。よって、平面における外形を大きくせずに、光取出しの良い発光装置1を製造することができる。
【0122】
発光装置1の製造方法は、発光素子20の実装が容易である。発光装置1の製造方法において、第2壁400の内側面は、略垂直になるように形成されているため、発光素子20を実装する治具が第2壁400の内側面と接触しやすい。しかし、発光装置1の製造方法は、第1壁300と第2壁400とを別工程で形成する。そのため、発光装置1の製造方法は、第2壁400を形成する前に、発光素子20を実装することができ、発光素子20の実装が容易である。
【0123】
発光装置1の製造方法によれば、第2樹脂420として光反射性を有する樹脂を用い、第1樹脂410として遮光性を有する樹脂を用いることで、遮光性の領域と光反射性の領域とを組み合わせた第2壁400を形成することができる。これにより、点灯時と非点灯時とのコントラスト比を高めることができる。
【0124】
[第2実施形態に係る発光装置の製造方法]
次に、第2実施形態に係る発光装置2の製造方法について、
図8から
図9Mを参照しながら説明する。
図8は、発光装置の製造方法を例示するフローチャートである。
図9Aから
図9Mは、各工程における状態の概略を例示する断面図である。
【0125】
発光装置2の製造方法は、透光性部材を配置する工程S20の後に、透光性部材500上に第1着色樹脂を配置する工程S61と、第1着色樹脂520Aの一部を除去して、透光性部材の一部を露出させる工程S62と、一部を露出させた透光性部材500上に第2着色樹脂を配置する工程S63と、第1着色樹脂520Aの他の一部を除去して、透光性部材の他の一部を露出させる工程S64と、他の一部を露出させた透光性部材500上に第3着色樹脂を配置する工程S65と、を有する点で、発光装置1の製造方法と異なる。なお、第1溝を形成する工程S30以降の工程は、第3着色樹脂を配置する工程S65の後に行う。
【0126】
中間体を準備する工程S10は、発光装置1の製造方法と基本的に共通する。
【0127】
発光装置2の製造方法の透光性部材を配置する工程S20を
図9Aに基づいて説明する。透光性部材を配置する工程S20は、発光装置1の製造方法と基本的に共通する。後述する工程は、着色剤を含む部材を透光性部材500の上面に配置する。そのため、配置される透光性部材500の高さは、発光装置2の高さの半分以下であることが好ましい。
【0128】
(第1着色樹脂を配置する工程)
第1着色樹脂を配置する工程S61を、主に
図9Bに基づいて説明する。第1着色樹脂を配置する工程S61は、透光性部材500上に第1着色樹脂520Aを配置する工程である。配置される第1着色樹脂520Aの高さは、完成した発光装置2の有する上部52Aの高さよりも高くなることが好ましい。断面視において、第1着色樹脂520Aは、透光性部材500の上面のうち、少なくとも発光素子20の上方に位置する透光性部材500の上面を覆うように配置する。なお、第1着色樹脂520Aは、透光性部材500の上面すべてを覆っていてもよい。第1着色樹脂を配置する工程S61は、第1着色剤を含有している第1着色樹脂520Aの材料を配置し、硬化する工程である。あるいは、あらかじめ成形された着色剤を含有するシート状、ブロック状の成形体を、接合部材等を用いて透光性部材500の上面に貼り付けてもよい。
【0129】
(透光性部材の一部を露出させる工程)
透光性部材の一部を露出させる工程S62を、主に
図9Cに基づいて説明する。透光性部材の一部を露出させる工程S62は、第1着色樹脂520Aの一部を除去して、透光性部材500の一部を露出させる工程である。第1部分75は、第1着色樹脂520Aの一部を除去することで形成される溝状の部分である。第1部分75は、透光性部材500の上面を露出させるように形成する。なお、第1部分75を形成する際に、透光性部材500の上面の一部を一緒に除去してよい。この場合、第1部分75を形成することで露出した透光性部材500の上面は、第1部分75を形成する前の透光性部材500の上面と異なる面であるが、このような面も透光性部材500の上面と称する。
【0130】
透光性部材の一部を露出させる工程S62は、断面視において、第1着色樹脂520Aを、第1着色樹脂520Aの下面と透光性部材500の上面との界面よりも低い位置まで除去することが好ましい。これにより、後述する工程において配置する着色樹脂を、第1着色樹脂520Aを介さず、透光性部材500の上面に配置することができる。また、透光性部材の一部を露出させる工程S62は、露出される透光性部材500、つまり、第1部分75を画定する底面が、第1壁300の上面よりも上側に位置するように露出させることが好ましい。これにより、第1部分75を形成する際に、第1壁300の一部を第1着色樹脂520Aと一緒に除去されることを防ぐことができる。
【0131】
平面視において、第1部分75は、第1壁300の間を発光素子20が並ぶ方向に3つの領域に等分した場合に、中央でない領域の一方に形成する。第1部分75は、平面視において、透光性部材500を介して、発光素子20のうちの1つと重なっている。
【0132】
第1部分75は、第1溝71と同様の方法を用いて形成できる。第1部分75は、例えば、厚さが100μm以上600μm以下のブレードを用いて形成する。第1部分75において用いられる刃の形状は、例えば、先端が平坦なブレードを用いて形成する。
【0133】
(第2着色樹脂を配置する工程)
第2着色樹脂を配置する工程S63を、主に
図9Dに基づいて説明する。第2着色樹脂を配置する工程S63は、第1部分75に第2着色樹脂520Bを配置する工程である。第2着色樹脂520Bは、少なくとも第1部分75を形成することで露出している透光性部材500の上面を覆うように配置する。第2着色樹脂520Bは、第1部分75を形成することで露出している、透光性部材500の側面、第1着色樹脂520Aの側面を覆うように配置する。第2着色樹脂520Bは、第1着色樹脂520Aの上面を覆うように配置してもよい。この場合、後述する第1着色樹脂520Aの上面を露出させる工程を備える。よって、第1着色樹脂520Aの高さ、第2着色樹脂520Bの高さ、第3着色樹脂520Cの高さのばらつきを低減することができる。なお、第2着色樹脂520Bは、第1部分75の内部にのみ配置してもよい。
【0134】
配置される第2着色樹脂520Bの高さは、第1着色樹脂520Aの上面の高さよりも高く配置することができる。この場合、第1着色樹脂520Aの上面の高さと第2壁400の上面の高さとを揃える工程、もしくは、第1着色樹脂520Aの上面を露出させる工程を備える。また、配置される第2着色樹脂520Bの高さは、第1着色樹脂520Aの上面の高さと同じであってよい。この場合、第1着色樹脂520Aの上面を露出させる工程を省略することができる。
【0135】
第2着色樹脂を配置する工程S63は、第1着色樹脂を配置する工程S61と同様の方法を用いて形成できる。第2着色樹脂520Bは、第2着色剤を含有している。
【0136】
(透光性部材の他の一部を露出させる工程)
透光性部材の他の一部を露出させる工程S64を、主に
図9Eに基づいて説明する。透光性部材の他の一部を露出させる工程S64は、第1着色樹脂520Aの他の一部を除去して、透光性部材500の他の一部を露出させる工程である。透光性部材の他の一部を露出させる工程S64は、透光性部材の一部を露出させる工程S62と基本的に同じ工程である。第2部分76は、第1着色樹脂520Aの一部を除去することで形成される溝状の部分である。第2部分76は、透光性部材500の上面を露出させるように形成する。なお、第2部分76を形成する際に、透光性部材500の上面の一部を一緒に除去してよい。この場合、第2部分76を形成することで露出した透光性部材500の上面は、第2部分76を形成する前の透光性部材500の上面と異なる面であるが、このような面も透光性部材500の上面と称する。また、第2着色樹脂520Bが第1着色樹脂520Aの上面を覆っている場合は、第2部分76を形成する際に、除去する第1着色樹脂520Aの上面を覆う第2着色樹脂520Bも一緒に除去する。
【0137】
透光性部材の他の一部を露出させる工程S64は、断面視において、第1着色樹脂520Aを、第1着色樹脂520Aの下面と透光性部材500の上面との界面よりも低い位置まで除去することが好ましい。断面視において、第1部分75を画定する底面と第2部分76を画定する底面は、同じ高さに形成してもよいし、異なるように形成してもよい。
【0138】
平面視において、第2部分76は、第1壁300の間を発光素子20が並ぶ方向に3等分した場合に、中央でない領域の他方に形成されている。第2部分76は、平面視において、発光素子20のうちの1つと重なっている。
【0139】
第2部分76は、第1溝71と同様の方法を用いて形成できる。第2部分76は、第1部分75と同じブレードを用いて形成することが好ましい。
【0140】
(第3着色樹脂を配置する工程)
第3着色樹脂を配置する工程S65を、主に
図9Fに基づいて説明する。第3着色樹脂を配置する工程S65は、第2部分76に第3着色樹脂520Cを配置する工程である。第3着色樹脂520Cは、少なくとも第2部分76を形成することで露出している透光性部材500の上面を覆うように配置する。第3着色樹脂520Cは、第2部分76を形成することで露出している、透光性部材500の側面、第1着色樹脂520Aの側面を覆うように配置する。第3着色樹脂520Cは、第2着色樹脂520Bの上面を覆うように配置してもよい。この場合、後述する第1着色樹脂520Aの上面を露出させる工程を備える。よって、第1着色樹脂520Aの高さ、第2着色樹脂520Bの高さ、第3着色樹脂520Cの高さのばらつきを低減することができる。なお、第3着色樹脂520Cは、第2部分76の内部にのみ配置してもよい。
【0141】
配置される第3着色樹脂520Cの高さは、第1着色樹脂520Aの上面の高さよりも高く配置してもよい。配置される第3着色樹脂520Cの高さは、第1着色樹脂520Aの上面に配置された第2着色樹脂520Bの上面の高さより高く配置してもよい。配置される第3着色樹脂520Cの高さは、第2着色樹脂520Bの上面の高さと同じであってよい。第3着色樹脂520Cが第1着色樹脂520Aの上面の高さ以上の場合、第1着色樹脂520Aの上面の高さと第2壁400の高さとを揃える工程、もしくは、第1着色樹脂520Aの上面を露出させる工程を備える。また、配置される第3着色樹脂520Cの高さは、第1着色樹脂520Aの上面の高さと同じであってもよい。この場合、第1着色樹脂520Aの上面を露出させる工程を省略することができる。
【0142】
第3着色樹脂を配置する工程S65は、第1着色樹脂を配置する工程S61と同様の方法を用いて形成できる。第3着色樹脂520Cは、第3着色剤を含有している。
【0143】
第3着色樹脂を配置する工程S65後の断面視において、第1着色樹脂520Aは、第2着色樹脂520Bと第3着色樹脂520Cとの間に位置している。第1着色樹脂520Aの下面は、第2着色樹脂520Bの下面及び第3着色樹脂520Cの下面よりも上方に位置している。
【0144】
ここでは一例として、第1着色樹脂520Aが緑色、第2着色樹脂520Bが青色、第3着色樹脂520Cが赤色であり、青色光を発する発光素子21の上方に青色の第2着色樹脂520B、緑色光を発する発光素子22の上方に緑色の第1着色樹脂520A、赤色光を発する発光素子23の上方に赤色の第3着色樹脂520Cを形成している。なお、透光性部材500上に最初に配置された緑色の第1着色樹脂520Aが、青色の第2着色樹脂520B及び赤色の第3着色樹脂520Cに挟まれる位置に形成されている。
【0145】
第1溝を形成する工程S30以降の工程は、発光装置1の製造方法と基本的に共通している。以下の段落では、発光装置1の製造方法と異なる点のみ説明する。また、以下の段落では、
図9Gに示すように、第1着色樹脂520Aの上面に、第2着色樹脂520Bと第3着色樹脂520Cとが積層されている例を用いて説明する。透光性部材500の上方に位置している第1着色樹脂520Aから第3着色樹脂520Cの上面は、第3着色樹脂520Cである。
【0146】
(第1溝を形成する工程)
第1溝を形成する工程S30の工程を、主に
図9Gに基づいて説明する。発光装置2の製造方法は、透光性部材500の上面に配置されている第1着色樹脂520Aと第2着色樹脂520Bと第3着色樹脂520Cとを透光性部材500と一緒に除去する点で、発光装置1の製造方法と異なっている。
【0147】
(第2壁を形成する工程)
第2樹脂を配置する工程S41を、主に
図9Hに基づいて説明する。発光装置2の製造方法は、少なくとも第1溝71を形成することで露出している、第1壁300の上面、透光性部材500の側面、第1着色樹脂520Aの側面、第2着色樹脂520Bの側面、第3着色樹脂520Cの側面、を覆うように第2樹脂420を配置する点で、発光装置1の製造方法と異なっている。
図9Hに示す例において、第2樹脂420は、第3着色樹脂520Cの上面を覆うように配置している。
【0148】
第2溝を形成する工程S42を、主に
図9I、
図9Jに基づいて説明する。発光装置2の製造方法は、第1着色樹脂520Aの側面、第2着色樹脂520Bの側面、第3着色樹脂520Cの側面を覆う第2樹脂420のうち、上側に位置する第2樹脂420を除去する点で、発光装置1の製造方法と異なっている。
【0149】
第1樹脂を配置する工程S43を、主に
図9Kに基づいて説明する。発光装置2の製造方法は、第1樹脂410が少なくとも第2溝72を形成することで露出している、第1壁300の上面、第2樹脂420の上面、第2樹脂420の側面、透光性部材500の側面、第1着色樹脂520Aの側面、第2着色樹脂520Bの側面、第3着色樹脂520Cの側面、を覆うように配置する点で、発光装置1の製造方法と異なっている。
図9Kに示す例において、第1樹脂410は、第2樹脂420を介して、第3着色樹脂520Cの上面を覆うように配置している。第3着色樹脂520Cは、第2着色樹脂520Bの上面を覆うように配置している。また、第3着色樹脂520Cは、第2着色樹脂520Bを介して、第1着色樹脂520Aの上面を覆うように配置している。
【0150】
第1着色樹脂520Aの上面を露出させる工程を、主に
図9Lに基づいて説明する。発光装置2の製造方法は、第2壁を形成する工程S40の後に、第1着色樹脂520Aの上面を露出させる工程を含む点で、発光装置1の製造方法と異なっている。第1着色樹脂520Aの上面は、第1着色樹脂520Aの上面に配置されている第2着色樹脂520B、第3着色樹脂520C、第2樹脂420及び第1樹脂410を除去することで露出させている。これにより、第2着色樹脂520B及び第3着色樹脂520Cの上面も露出する。また、
図9Lに示す例は、第1着色樹脂520Aの上面の一部も除去している。
【0151】
発光装置2の製造方法は、点灯時と非点灯時とのコントラスト比を高めた発光装置を提供することができる。発光装置2の製造方法は、第1着色樹脂520Aから第3着色樹脂520Cを形成した後、第2壁400を形成する。そのため、発光素子20の上方に着色剤を含有する領域を形成することができるからである。
【0152】
発光装置2の製造方法は、配光の広い発光装置を提供することができる。発光装置2の製造方法は、第2壁400の形成後に、第1着色樹脂520Aの上面を露出させる工程を備えている。そのため、第1着色樹脂520A、第2着色樹脂520B及び第3着色樹脂520Cで形成される発光装置2の発光面の高さと、第2壁400の上面とを一致させることができる。これにより、配光の広い発光装置を提供することができる。
【0153】
[変形例に係る発光装置の製造方法]
次に、第2壁40の変形例に係る発光装置1Bの製造方法について、
図10A、
図10Bを参照しながら説明する。
図10A、
図10Bは、各工程における状態の概略を例示する断面図である。
【0154】
発光装置1Bの製造方法は、第2壁を形成する工程S40のうち、第2樹脂を配置する工程S41と第2溝を形成する工程S42、を含んでいない点で、発光装置1の製造方法と異なっている。そのほかの製造方法に関しては、発光装置1の製造方法と基本的に共通している。以下の段落では、発光装置1の製造方法と異なる点のみ説明する。
【0155】
第1溝を形成する工程S30を、主に
図10Aに基づいて説明する。発光装置1Bの製造方法は、第1溝71を第1壁300の上面よりも狭い幅に形成する点で、発光装置1の製造方法と異なっている。
【0156】
第1樹脂を配置する工程S43を、主に
図10Bに基づいて説明する。発光装置1Bの製造方法は、少なくとも第1溝71を形成することで露出している、第1壁300の上面、透光性部材500の側面、を覆うように第1樹脂410を配置する点で、発光装置1の製造方法と異なっている。これにより、第1樹脂410のみからなる第2壁40の内側面を形成することができる。第1樹脂410は、例えば遮光性を有する樹脂である。
図10Bに示す例において、第1樹脂410は、透光性部材500の上面を覆うように配置されている。
【0157】
[透光性部材を配置する工程の変形例]
次に、透光性部材を配置する工程S20の変形例について、
図11Aから
図11Dを参照しながら説明する。
図11Aから
図11Dは、各工程における状態の概略を例示する断面図である。すでに説明した透光性部材を配置する工程S20は、この変形例によっても行うことができる。
【0158】
透光性部材を配置する工程S20の変形例は、透光性部材500を複数回に分けて配置する工程を含む。例えば、透光性部材を配置する工程S20の変形例は、発光素子20を覆う第1層を形成する工程と、第1層530A上に配置される第2層を形成する工程と、を有する。
【0159】
第1層を形成する工程を、主に
図11Aに基づいて説明する。第1層を形成する工程は、配置される透光性部材500の第1層530Aの高さ以外は、発光装置1の製造方法における透光性部材を配置する工程S20と基本的に共通している。断面視において、配置される第1層530Aの高さは、第1壁300の高さと一致していることが好ましい。これにより、後述する第2層530Bと接合する際に発生するボイドを少なくすることができる。
【0160】
断面視において、配置される第1層530Aの高さは、第1壁300の高さより高くてもよい。この場合、第1壁300の上面を覆うように配置することが好ましい。また、第1壁300の上方と発光素子20の上方とにおいて、第1層530Aの上面が平坦になるように形成することがより好ましい。これにより、後述する活性化層530Cを形成する工程は省略することができる。第1層530Aは、第2層を形成する工程の前に硬化する。後述する活性化層を形成する工程を行う場合、第1層530Aは、活性化層を形成する工程の前に硬化する。
【0161】
活性化層を形成する工程を、主に
図11Bに基づいて説明する。第1層を形成する工程と第2層を形成する工程との間に、活性化層530Cを形成してもよい。活性化層を形成する工程は、第2層を形成する工程において行うことができる。活性化層530Cは、第1層530A上に形成する。活性化層530Cは、第1壁300の上面にも形成されていることが好ましい。これにより、第1層530A及び第1壁300の上面にわたって、連続する平面を形成することができる。そのため、後述する第2層530Bと接合する際に発生するボイドを少なくすることができる。
【0162】
活性化層530Cは、例えば、SiO2である。活性化層530Cは、例えば蒸着及びスパッタリング等の方法を用いて形成することができる。活性化層530Cの膜厚は、例えば5nm以上100nm以下である。
【0163】
第2層を形成する工程を、主に
図11C、
図11Dに基づいて説明する。第2層を形成する工程は、第1層530A上に第2層530Bを接合する工程である。第2層530Bは、予め硬化された板状の部材である。第1層530Aと第2層530Bとは、大気圧プラズマ接合法を用いて接合する。大気圧プラズマ接合法は、大気圧プラズマP1を照射して第1層530A又は活性化層530Cの表面を清浄化及び活性化し、第2層530Bと第1層530A又は活性化層530Cとを押圧して接合する方法である。
【0164】
第2層530Bの材料は、透光性部材500と同様のものを用いることができる。第2層530Bの材料は、第1層530Aの材料と同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0165】
発光装置2の製造方法において、透光性部材を配置する工程S20の変形例を用いる場合は、第1着色樹脂を配置する工程S61を変更する。第1着色樹脂520Aを第2層530Bとして、透光性部材500に大気圧プラズマ接合法によって配置する。
【0166】
透光性部材を配置する工程S20の変形例は、透光性部材500に反りの発生しやすい材料を用いる場合に、中間体800の反りを低減することができる。例えば、透光性部材500としてエポキシ樹脂を用いる場合である。透光性部材を配置する工程S20の変形例は、硬化された第1層530Aと硬化された第2層530Bとを接合する。そのため、透光性部材500の硬化時の収縮による影響を抑えることができる。よって、透光性部材500を配置した中間体800の反りを低減することができる。
【0167】
なお、以上説明した第1実施形態に係る発光装置1の製造方法、第2実施形態に係る発光装置2の製造方法、第2壁40の変形例に係る発光装置1Bの製造方法、透光性部材を配置する工程S20の変形例は、相互に組み合わせることができる。
【0168】
本開示は、次の各項の実施形態を含む。
[項1]
発光素子と、前記発光素子が配置された底部と、前記底部上に配置されかつ前記発光素子の側面から離隔して前記発光素子を囲む第1壁と、を有する中間体を準備する工程と、
前記第1壁の高さを越える高さであり、前記第1壁の上面及び前記発光素子を覆う透光性部材を配置する工程と、
前記第1壁の上面の少なくとも一部を露出させるように、前記透光性部材の一部を除去して、第1溝を形成する工程と、
前記第1溝に第1樹脂を配置し、第2壁を形成する工程と、
前記第1溝内の前記第2壁を、前記第1溝の伸びる方向に切断し、個片化を行う工程と、を含む発光装置の製造方法。
[項2]
前記第2壁を形成する工程は、
前記第1溝にさらに第2樹脂を配置する工程と、
前記第1溝よりも狭い幅で前記第1溝の伸びる方向に前記第2樹脂の一部を除去して、前記第1壁の上面を露出させ第2溝を形成する工程と、
前記第2溝に前記第1樹脂を配置する工程と、を含む項1に記載の発光装置の製造方法。
[項3]
前記第2壁を形成する工程において、前記第2樹脂は、光反射性樹脂である、項2に記載の発光装置の製造方法。
[項4]
前記第2壁を形成する工程は、さらに前記透光性部材の上面にも前記第1樹脂を配置し、
前記第2壁を形成する工程の後に、前記第1樹脂を除去し、前記透光性部材の上面を露出させる、項1から項3のいずれか1項に記載の発光装置の製造方法。
[項5]
前記透光性部材を配置する工程の後に、
前記透光性部材上に第1着色樹脂を配置する工程と、
前記第1着色樹脂の一部を除去して、前記透光性部材の一部を露出させる工程と、
前記一部を露出させた前記透光性部材上に第2着色樹脂を配置する工程と、
前記第1着色樹脂の他の一部を除去して、前記透光性部材の他の一部を露出させる工程と、
前記他の一部を露出させた前記透光性部材上に第3着色樹脂を配置する工程と、を有する、項1から項4のいずれか1項に記載の発光装置の製造方法。
[項6]
前記第2着色樹脂を配置する工程は、さらに前記第1着色樹脂上にも前記第2着色樹脂を配置し、
前記第3着色樹脂を配置する工程は、さらに前記第2着色樹脂上にも前記第3着色樹脂を配置し、
前記第1溝を形成する工程は、前記透光性部材上の、前記第1着色樹脂と前記第2着色樹脂と前記第3着色樹脂とを除去して前記第1壁の上面を露出させる、項5に記載の発光装置の製造方法。
[項7]
前記第2壁を形成する工程において、前記第1着色樹脂と前記第2着色樹脂と前記第3着色樹脂との上面にも前記第1樹脂を配置し、前記第2壁を形成する工程の後に前記第1着色樹脂と前記第2着色樹脂と前記第3着色樹脂との上面を露出させる、項5又は項6に記載の発光装置の製造方法。
[項8]
前記透光性部材を配置する工程は、
前記発光素子を覆う第1層を形成する工程と、前記第1層上に配置される第2層を形成する工程と、を有し、
前記第2層を形成する工程において、前記第1層と前記第2層とは、大気圧プラズマ接合によって固定する項1から項7のいずれか1項に記載の発光装置の製造方法。
[項9]
前記第2層を形成する工程は、
前記大気圧プラズマ接合を行う前に、活性化層を前記第1層上に形成する項8に記載の発光装置の製造方法。
[項10]
前記第2壁を形成する工程において、前記第1樹脂は、遮光性を有する樹脂である、項1から項9のいずれか1項に記載の発光装置の製造方法。
[項11]
前記個片化を行う工程によって、前記第1壁と前記第2壁とからなる側壁を有し、前記第1壁及び前記第2壁と、前記底部と、によって画定される凹部に前記透光性部材が配置されている発光装置を製造する、項1から項10のいずれか1項に記載の発光装置の製造方法。
[項12]
第1壁を有する基台と、
前記基台上に配置され、平面視において前記第1壁に囲まれる発光素子と、
遮光部及び前記遮光部よりも光反射率が高い光反射部をそれぞれ前記第1壁の上面に配置する第2壁と、
前記基台及び前記第2壁によって画定される凹部に配置される透光性部材と、を備え、
前記遮光部と前記光反射部は、ともに樹脂を含み、
前記第2壁の外側面と前記第1壁の外側面とは連続して形成されており、
前記光反射部は、前記第2壁の内側面の一部を構成し、
前記遮光部は、前記第2壁の外側面と、前記第2壁の上面と、を構成している発光装置。
[項13]
前記凹部の内側面は、前記第1壁と、前記光反射部と、前記遮光部と、からなり、
前記凹部の内側面において、前記光反射部は、前記遮光部と前記第1壁との間に位置している、項12に記載の発光装置。
[項14]
前記光反射部は、白色であり、前記遮光部は、黒色である、項12又は項13に記載の発光装置。
[項15]
前記透光性部材は、前記発光素子を覆う下部及び前記下部上に位置する上部からなり、
前記下部は、前記基台によって画定される部分に配置され、
前記上部は、前記下部の上面及び前記第2壁によって画定される部分に配置されている項12から項14のいずれか1項に記載の発光装置。
[項16]
前記上部と前記下部との間は、界面を有し、
平面視において、前記上部は、3つの領域に分割され、
前記3つの領域は互いに異なる色度を有する、項15に記載の発光装置。
[項17]
前記遮光部と、前記光反射部と、前記透光性部材と、は、母材が同じである項12から項16のいずれか1項に記載の発光装置。
[項18]
前記第1壁の外側面と前記第2壁の外側面とは、面一である、項12から項17のいずれか1項に記載の発光装置。
【符号の説明】
【0169】
1 発光装置(第1実施形態)
2 発光装置(第2実施形態)
10 底部
11 リード
13 ワイヤ
14 樹脂部
15 基台
20 発光素子
21 発光素子(青色)
22 発光素子(緑色)
23 発光素子(赤色)
30、300 第1壁
40、400 第2壁
41 遮光部
42 光反射部
50 透光性部材
51 下部
52 上部
60 凹部
71 第1溝
72 第2溝
100 底部(中間体)
410 第1樹脂
420 第2樹脂
500 透光性部材
520A 第1着色樹脂
520B 第2着色樹脂
520C 第3着色樹脂
530A 第1層
530B 第2層
530C 活性化層