(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024049313
(43)【公開日】2024-04-09
(54)【発明の名称】アンチヒューズ素子及び発光装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/82 20060101AFI20240402BHJP
H01S 5/0239 20210101ALI20240402BHJP
H05B 45/40 20200101ALI20240402BHJP
H05B 45/54 20200101ALI20240402BHJP
H01C 13/00 20060101ALI20240402BHJP
【FI】
H01L21/82 F
H01S5/0239
H05B45/40
H05B45/54
H01C13/00 F
H01C13/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023089120
(22)【出願日】2023-05-30
(31)【優先権主張番号】P 2022154688
(32)【優先日】2022-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】笠井 久嗣
【テーマコード(参考)】
3K273
5F064
5F173
【Fターム(参考)】
3K273AA10
3K273BA33
3K273CA01
3K273EA06
3K273EA25
3K273EA41
3K273EA42
3K273GA28
3K273GA29
3K273HA16
3K273HA17
5F064FF28
5F064FF34
5F064FF46
5F173MA10
5F173MB03
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5F173ME02
5F173ME03
5F173ME22
5F173ME32
5F173ME33
5F173MF03
5F173MF28
5F173MF39
(57)【要約】
【課題】アンチヒューズ素子が絶縁破壊した場合において、所期の箇所に通電経路を発生可能なアンチヒューズ素子及びそれを用いた発光装置を提供することを目的とする。
【解決手段】第1電極と、前記第1電極上に配置された絶縁層と、前記絶縁層上に配置された第2電極とを備え、前記絶縁層は、厚みの薄い第1領域と、前記第1領域よりも厚みの厚い第2領域とを有し、前記第2電極の外縁は、上面視において、前記絶縁層の外縁よりも内側に位置するアンチヒューズ素子。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電極と、前記第1電極上に配置された絶縁層と、前記絶縁層上に配置された第2電極とを備え、
前記絶縁層は、厚みの薄い第1領域と、前記第1領域よりも厚みの厚い第2領域とを有し、
前記第2電極の外縁は、上面視において、前記絶縁層の外縁よりも内側に位置するアンチヒューズ素子。
【請求項2】
前記第1領域は、上面視において、前記第2領域に包囲されている請求項1に記載のアンチヒューズ素子。
【請求項3】
前記第2電極及び前記絶縁層の一部は、外部に露出している請求項2に記載のアンチヒューズ素子。
【請求項4】
前記第2電極は、上面視において、角が面取りされた四角形である請求項1に記載のアンチヒューズ素子。
【請求項5】
前記第1領域を通過する少なくとも1つの断面において、前記第2領域は、厚みが一定であり、かつ前記第2領域上において、前記第2電極の厚みが一定である請求項1に記載のアンチヒューズ素子。
【請求項6】
さらに、前記第2電極に接続された電流供給部材を備え、前記電流供給部材は、前記第2領域の上方にのみ配置されている請求項1に記載のアンチヒューズ素子。
【請求項7】
さらに導電性の基板を備え、前記第1電極が前記基板上に配置されており、
前記導電性の基板の外縁は、上面視において、前記第1電極の外縁よりも外側に位置する請求項1に記載のアンチヒューズ素子。
【請求項8】
前記基板は、前記第1電極の外縁と一致する第1縁部と、前記第1電極の外縁よりも外側に位置する第2縁部とを、厚み方向に備える請求項7に記載のアンチヒューズ素子。
【請求項9】
請求項1~8のいずれかに記載のアンチヒューズ素子と、
発光素子と、を備える発光装置。
【請求項10】
前記発光素子は半導体レーザ素子である請求項9に記載の発光装置。
【請求項11】
上面視において、前記アンチヒューズ素子は、前記半導体レーザ素子の出射するレーザ光の光軸を含む仮想直線を避けた領域に配置されている請求項10に記載の発光装置。
【請求項12】
前記アンチヒューズ素子と前記半導体レーザ素子とが並列接続されており、該並列接続された前記アンチヒューズ素子と前記半導体レーザ素子との組が複数直列接続されている請求項11に記載の発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、アンチヒューズ素子及び発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、大電流を流す発光素子並びに直列又は並列に接続した複数の発光素子等を搭載した発光装置が用いられている。例えば、発光素子などが通電不能となった際、自らが絶縁破壊を起こすことによって新たな通電経路となるアンチヒューズ素子を発光素子とともに併設した発光装置の開発が実現されつつある(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、アンチヒューズ素子における絶縁層の厚みが不均一となった場合、絶縁破壊が望ましくない位置で発生してしまう虞がある。とりわけ、ワイヤ等の電流供給部材によってアンチヒューズ素子に給電を行う場合、その絶縁破壊部分に電流が集中することとなり、絶縁破壊部周辺の温度が高くなり電流供給部材が溶融するなどの不具合が懸念される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願において開示されるアンチヒューズ素子は、第1電極と、前記第1電極上に配置された絶縁層と、前記絶縁層上に配置された第2電極とを備え、前記絶縁層は、厚みの薄い第1領域と、前記第1領域よりも厚みの厚い第2領域とを有し、前記第2電極の外縁は、上面視において、前記絶縁層の外縁よりも内側に位置する。
本願において開示される発光装置は、上記アンチヒューズ素子と、発光素子とを備える。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、アンチヒューズ素子が絶縁破壊した場合において、所期の箇所に通電経路を発生可能なアンチヒューズ素子及びそれを用いた発光装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施形態1のアンチヒューズ素子の上面図(a)、Ib-Ib線の断面図(b)及び下面図(c)を示す図である。
【
図2A】
図1のアンチヒューズ素子における接続形態を説明するための図である。
【
図2B】
図1のアンチヒューズ素子における別の接続形態を説明するための図である。
【
図3B】
図3Aの発光装置から蓋部を取り除いた上面図である。
【
図3C】
図3AにおけるIIIc-IIIc線の断面図である。
【
図3D】
図3Bの発光装置における半導体レーザ素子とアンチヒューズ素子との位置関係を説明するための部分上面図である。
【
図3E】光学部材を配置した
図3Aの発光装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本明細書または特許請求の範囲において、三角形や四角形などの多角形に関しては、多角形の隅に角丸め、面取り、角取り、丸取り等の加工が施された形状、辺の中間部分に加工が施された形状も含めて、多角形と呼ぶ。多角形に限らず、長方形、台形、円形、凹凸等、特定の形状を表す言葉についても同様である。
また、本明細書または特許請求の範囲において、ある構成要素に関し、これに該当するものが複数あり、それぞれを区別して表現する場合に、その構成要素に「第1」、「第2」等と付すことがある。
以下に、図面を参照しながら、本発明を実施するための形態を説明する。ただし、示される形態は、本発明の技術思想が具体化されたものではあるが、本発明を限定するものではない。以下の説明において、同一の名称、符号については同一もしくは同質の部材を示しており、重複した説明は適宜省略することがある。各図面が示す部材の大きさ及び位置関係等は、理解の便宜を図るために誇張していることがある。
以下の説明においては、第2電極が配置された側を上、第1電極が配置された側を下と称することがあり、上面視とは、第2電極側から見た場合を指す。
【0009】
<実施形態1:アンチヒューズ素子>
実施形態1のアンチヒューズ素子10は、
図1(b)に示すように、第1電極1と、この第1電極1上に配置された絶縁層3と、この絶縁層3上に配置された第2電極2とを備える。絶縁層3は、厚みの薄い第1領域31と、第1領域31よりも厚みの厚い第2領域32とを有する。これによれば、アンチヒューズ素子10が絶縁破壊した場合において、所期の箇所に通電経路を発生可能なアンチヒューズ素子10を得ることができる。
絶縁破壊が生じる電圧は、絶縁層3が厚いほど大きくなる。従って、絶縁層に厚みの薄い第1領域を設け、その領域を通電箇所とすることによって、通電箇所を、予め設定された所定の位置に制御することが可能となる。その結果、絶縁破壊部に電流が集中して、破壊部周辺が昇温することがあっても、例えば、通電箇所を電流供給部材41の接続部位を避けて設定することにより、電流供給部材41の近傍において、熱による電流供給部材41の溶融や損傷を効果的に抑制することができる。
【0010】
(第1電極及び第2電極)
第1電極1及び第2電極2は、絶縁層3を挟んで配置されている。例えば、
図1(b)に示すように、第1電極1は、基板4上に配置され、絶縁層3が第1電極1上に配置され、第2電極2は、絶縁層3上に配置することができる。この場合、第2電極2は、外部に露出していることが好ましい。ここで、外部に露出しているとは、絶縁層3及び後述する電流供給部材41と接触していない部分が、絶縁層、保護膜、半導体層、導電層等のいずれにも被覆されておらず、周辺雰囲気に晒されていることを意味する。特に、絶縁層3及び後述する電流供給部材41と接触していないすべての部分が、絶縁層、保護膜、半導体層、導電層等のいずれにも被覆されていないことが好ましい。これにより、第2電極2に後述する電流供給部材41を設ける際のハンドリングが容易となる。
第1電極1及び第2電極2の平面形状は、例えば、円又は楕円、三角形、四角形、六角形及び八角形等の多角形又はこれらの角が面取りされた形状、これらの形状が組み合わせられた形状等、種々の形状が挙げられる。特に、四角形の角が面取りされた結果、形状が厳密には八角形となる場合があるが、このような場合も角が面取りされた四角形と呼称することがある。第1電極1及び第2電極2は、同じ平面形状であってもよい。
図1(a)においては、第1電極1は四角形、第2電極2は、面取りされた四角形である。ここで、面取りとは角を斜めに削るC面取り、及び角を丸めるR面取りを含む。第2電極2が面取りされた形状である場合、面取りの程度は、第2電極2の大きさによって適宜設定することができる。例えば、第2電極2が、以下の大きさである場合、R5以上R80以下が挙げられ、R10以上R60以下が好ましい。ここでのRの単位はμmである。第2電極2が面取りされた形状である場合は面取りされていない場合に比べ、図形の頂点近傍に印加される電界強度の局所的な緩和を図ることができる。
【0011】
上面視で、第1電極1と第2電極2とは、同じ面積であってもよいし、異なる面積であってもよい。
図1(a)においては、第2電極2は、第1電極1よりも面積が小さい。なお、
図1(a)におけるハッチングは、第1電極1と第2電極2を区別しやすくするためのものであって、断面図であることを表すものではない。また、上面視において、第2電極2の外縁2aの一部又は全部が、第1電極1の外縁1aよりも内側に配置されていることが好ましい。なかでも、
図1(a)においては、第2電極2の外縁2aの全部が、第1電極1の外縁1aよりも内側に配置されている。このような構造とすることで、絶縁層3の外縁において第1電極1と第2電極2が短絡することを抑制できる。この場合、第1電極1の平面積は、第2電極2の平面積の105%以上200%以下が挙げられ、110%以上180%以下が好ましく、120%以上170%以下がより好ましい。具体的には、第1電極1は、350μm×1000μm又はそれに相当する大きさ以下が挙げられ、280μm×900μm又はそれに相当する大きさ以下が好ましく、270μm×520μm又はそれに相当する大きさ以下がより好ましい。このような大きさとすることで、アンチヒューズ素子10全体の大きさを小型化することができる。また、第1電極1は、190μm×350μm又はそれに相当する大きさ以上が挙げられ、200μm×360μm又はそれに相当する大きさ以上が好ましく、240μm×400μm又はそれに相当する大きさ以上がより好ましい。このような大きさとすることで、アンチヒューズ素子10に流れる電流密度が過剰となることを抑制できる。
【0012】
第2電極2は、280μm×900μm又はそれに相当する大きさ以下が挙げられ、250μm×500μm又はそれに相当する大きさ以下が好ましく、200μm×450μm又はそれに相当する大きさ以下がより好ましい。このような大きさとすることで、アンチヒューズ素子10全体の大きさを小型化することができる。また、第2電極2は、120μm×280μm又はそれに相当する大きさ以上が挙げられ、130μm×290μm又はそれに相当する大きさ以上が好ましく、170μm×330μm又はそれに相当する大きさ以上がより好ましい。このような大きさとすることで、後述する電流供給部材41を配置するスペースを確保することができる。特に、電流供給部材41を複数配置する場合、電流供給部材41同士の間隔を広げることができる。加えて、第2電極2の上面に、後述するように、電流供給部材41を複数の箇所で接続するためのスペースを確保しやすくすることができる。
【0013】
第1電極1及び第2電極2の膜厚は、それぞれ、全面にわたって同じ厚みであってもよいし、一部に凹凸を有していてもよいし、一部において異なる厚みであってもよく、印加する電圧等によって適宜設定することができる。なかでも、第1電極1は、断面視において、厚みが一定であることが好ましく、上面は平坦であることが好ましい。第1電極1は、例えば、0.1μm以上10μm以下の厚みを有することが挙げられ、0.1μm以上1μm以下が好ましい。この厚さとすることで、第1電極1の導体抵抗をより低くしつつ、絶縁層3が絶縁破壊した後の第1電極1と第2電極2との通電をより安定させることができる。また、第2電極2は、断面視において、後述する絶縁層3の第2領域32上における厚みが一定であることが好ましく、上面が平坦であることがより好ましく、全面にわたって同じ厚みであることがさらに好ましい。ここで、厚みが一定とは、第1電極1および第2電極2の厚みが所期の値から±10%の範囲に収まっていることを指す。これにより、電界強度の局所集中を抑制することができる。また、第2電極2は、後述する絶縁層3の第1領域31上において、凹みがあることが好ましい。これによって、第1領域31の位置をアンチヒューズ素子の上方から視認することができる。第2電極2は、例えば、1μm以上20μm以下の厚みを有することが挙げられ、2μm以上8μm以下が好ましい。この範囲の厚みとすることで、抵抗の上昇を低減することができる。また、この範囲の厚みとすることで、後述するように第2電極2に電流供給部材41が複数の箇所で接続されている場合に、複数の電流供給部材41に電流を分散させやすくすることができる。また、電流供給部材41を第2電極2に接続する場合に、
図2A及び2Bに示すように、接合領域22を、第1領域31の上方から避けるように設定することが容易となる。なお、
図2A及び
図2Bにおけるハッチングは、第1電極1と第2電極2を区別しやすくするためのものであって、断面図であることを表すものではない。
【0014】
第1電極1は、例えば、Au、Pt、Pd、Rh、Ru、Ir、Ni、W、Mo、Cr、V、Ti、Zr、Hf、Al、Cu、Ta、Si等の金属又はこれらの合金を含む単層構造又は多層構造とすることができる。具体的にはRh/Pt/Au、Ni/Pt/Au、Ti/Ru/Ti、Ti/Al-Si/Ta/Ru、Rh/Ni/Au、Pt/Au/Ti、Pt/Au/Cr、Pt/Au/V、Pt/Au/Ni、Pt/Au/Zr、Pt/Au/Hf等の多層構造とすることができる。多層構造である場合、絶縁層3側に配置される金属は絶縁層3との密着性のよい金属であることが好ましく、例えばTi、V、Cr、Ni、Zr、Hfであることが好ましい。特に、第1電極1は、基板4側がPt、絶縁層3側がTiであるような、Pt/Au/Tiの積層構造となっていることが好ましい。このような構成とすることで、第1電極1と絶縁層3との密着性を向上させることができる。
【0015】
第2電極2は、例えば、Au、Pt、Pd、Rh、Ru、Ir、Ni、W、Mo、Cr、V、Ti、Zr、Hf、Al、Cu、Ta、Si等の金属又はこれらの合金を含む単層構造又は多層構造とすることができる。具体的には、Ti/Rh/Au、Ti/Pt/Au、W/Pt/Au、Rh/Pt/Au、Ni/Pt/Au、Ti/Ru/Ti、Ti/Al-Si/Ta/Ru、Rh/Ni/Au、Ru/Ni/Au等の多層構造とすることができる。多層構造である場合、絶縁層3側に配置される金属は絶縁層3との密着性のよい金属であることが好ましく、例えばTi、V、Cr、Ni、Zr、Hfであることが好ましい。また、第2電極2の上面に電流供給部材41を設ける場合、電流供給部材41側に電流供給部材41との接合性がよい金属、例えばAuが設けられることが好ましい。さらに、中間に配置される金属としてはPt、Ru、Rh、Irであることが好ましい。特に、第2電極2は、絶縁層3側がTi、上面側がAuであるような、Ti/Pu/Auの多層構造となっていることが好ましい。このような構成とすることで、第2電極2と絶縁層3との密着性を向上させ、第2電極2と電流供給部材41との密着性を向上させることができる。
【0016】
第2電極2の上面には、電流供給部材41が接続されていることが好ましい。なかでも、複数の電流供給部材41が複数の箇所で第2電極2の上面に接続されていることがより好ましい。電流供給部材41が複数設けられていると、電流供給部材41の溶断などによる電流の遮断をより高い確率で抑制することができる。
電流供給部材41としては、例えば、線状のワイヤ等が挙げられる。電流供給部材41は、Au等の金属で構成されていてもよい。電流供給部材41が接続される接合領域22は、
図2A及び2Bに示すように、絶縁層3の第2領域32の上方にのみ配置されていることが好ましい。言い換えると、電流供給部材41の接合領域22は、後述するように、絶縁層3の第1領域31の上方には配置されていないことが好ましい。アンチヒューズ素子10が絶縁破壊した場合、絶縁層3の第1領域31に電流および熱が集中し、絶縁層3の第2領域32は比較的低い温度となる。そのため、絶縁層3の第2領域32の上方にのみ電流供給部材41を設けることで、熱に起因する電流供給部材41の溶断等を抑制することができる。
【0017】
第1電極1又は第2電極2が配置される基板4は、絶縁基板、半導体基板、導電性基板等のいずれでもよいが、導電性基板であることが好ましい。導電性基板とすることで、基板4を配線経路として利用することが可能となる。また、基板4は高い放熱性を有することが好ましい。高い放熱性を有することで、アンチヒューズ素子10の温度が高温となることを抑制し、アンチヒューズ素子10の破壊電圧及び/又は破壊箇所を制御することが容易となる。また、第1電極1が導電性基板上に配置されていることがより好ましい。導電性基板は、例えば、Au、Pt、Pd、Rh、Ru、Ni、W、Mo、Cr、Ti、Al、Cu、Ta、Si等の金属、又はこれらの合金を含む単層構造又は多層構造とすることができる。また、導電性基板は、シリコン、SiC等の半導体を含む単層構造又は多層構造であってもよい。
基板4の厚みは、用いる材料及び第1電極1及び第2電極2等の厚みによって適宜設定することができる。例えば、50μm以上150μm以下が挙げられる。基板4は、第1電極1が配置される上面に隣接する側面において、凹凸を有していてもよい。
図1においては、基板4は上面側の第1縁部4a及び下面側の第2縁部4bを有する。上面視において、第1縁部4aは、第2縁部4bよりも内側に配置されている。このような構成とすることで、接着剤等が基板4を包囲した場合でも、接着剤等が第1縁部4aへ到達することを抑制できる。また、基板4は、第1電極1の外縁1aと一致する第1縁部4aと、第1電極1の外縁1aよりも外側に位置する第2縁部4bとを、厚み方向に備えることができる。ただし、基板4の上面側において、第2縁部4bは、第1電極1の外縁1aと一致していてもよいし、外縁1aよりも内側にあってもよいし、外側にあってもよい。また、基板4は、その断面において、
図1(b)に示すように、側面に1つの段差があってもよいし、2以上の段差があってもよい。
【0018】
図1(b)においては、第1電極1が基板4上に配置され、第1電極1は、基板4よりも小さい。また、基板4の上面側の第2縁部4bは、上面視において、第1電極1の外縁1aよりも外側に位置する。この場合、上面視で、第2縁部4bに囲まれる領域の面積は、第1電極1の平面積の100%以上200%以下が挙げられ、110%以上180%以下が好ましく、120%以上170%以下がより好ましい。基板4の上面視における大きさ(第2縁部4bの大きさ)は、任意に設定することができる。例えば、400μm×1050μm又はそれに相当する大きさ以下が挙げられ、330μm×950μm又はそれに相当する大きさ以下が好ましく、320μm×570μm又はそれに相当する大きさ以下がより好ましい。また、基板4の上面視における大きさは、230μm×390μm又はそれに相当する大きさ以上が挙げられ、240μm×400μm又はそれに相当する大きさ以上が好ましく、280μm×540μm又はそれに相当する大きさ以上がより好ましい。このような大きさとすることで、アンチヒューズ素子10のハンドリング性を高めることができる。
基板4は、絶縁層3が配置される面と反対側の面に、裏面電極5が配置されていることが好ましい。このような構成とすることで、アンチヒューズ素子10を後述するサブマウント33や底部39等に表面実装することができる。表面実装を行うことでアンチヒューズ素子10の放熱性を向上させ、アンチヒューズ素子10の動作電圧を安定させることができる。
【0019】
(絶縁層)
絶縁層3は、第1電極1及び第2電極2の間に配置されている。言い換えると、絶縁層3は、第1電極1及び第2電極2の双方に接して配置されている。特に、絶縁層3と第2電極2との間に他の部材が介在していないことが好ましい。この場合、第2電極2の表面形状を、絶縁層3の表面形状に近付けることができる。これにより、例えば第1領域31の厚みが第2領域32よりも薄い場合に、第1領域31と第2領域32との境界がより明瞭になる。そのため、第2電極2上に電流供給部材41を接続する場合に、接続箇所の視認性を向上させることができる。
絶縁層3は、第1領域31と、第1領域31よりも厚みの厚い第2領域32とを有する。絶縁層3が、第2領域32よりも厚みの薄い第1領域31を有することにより、絶縁破壊する位置を、第1領域31として、任意に設定することが可能となる。第1領域31は、1つの絶縁層3に対して、1つのみ配置することが好ましい。これにより、確実な絶縁破壊の位置設定が可能となる。
【0020】
第1領域31は、上面視において、その一部又は全部が第2領域32に包囲されていることが好ましく、第1領域31の全部が第2領域32に包囲されていることが好ましい。このような構成とすることで、第1領域31で発生した熱の影響を第2領域32により緩和することができる。
図2Aに示したように、上面視で、第1領域31は、例えば、第2電極2の中央又はその近傍に配置してもよい。また、上面視で、第1領域31は、
図2Bに示したように、第2電極2の辺の近傍に配置してもよい。第2電極2が長辺と短辺を有する長方形である場合、長方形の2つの対角線の交点よりも1つの短辺に近い領域のみに第1領域31を配置してもよい。第2電極2が厳密な長方形ではなく、例えば角が面取りされたような形状である場合、面取りがなされていない長方形を基準として対角線を決定することができる。このような配置によって、第2電極2の上面に電流供給部材41の接合領域22のためのスペースを確保しやすくすることができる。
【0021】
絶縁層3の第1領域31と第2領域32とにおける厚みの差は、用いる絶縁層3の材料等によって適宜設定することができる。絶縁層3をSiO2によって形成する場合、第1領域31の厚みは、例えば、第2領域32の厚みの60%以上80%以下が挙げられる。具体的には、第2領域32における絶縁層3の厚みは、5nm以上50nm以下が挙げられ、8nm以上20nm以下が好ましい。また、第2領域32における絶縁層3の厚みは、第1領域31における絶縁層3の厚みよりも5nm大きいことが好ましい。従って、第1領域31における絶縁層3の厚みは、10nm以上90nm以下が挙げられ、13nm以上25nm以下が好ましい。
第1領域31を通過する少なくとも1つの断面において、第2領域32は厚みが一定であることが好ましく、第2領域32は全域にわたって厚みが一定であることがより好ましい。ここで、一定とは、第2領域32の厚みが所期の値から±10%の範囲に収まっていることを指す。このような構成とすることで、アンチヒューズ素子10の破壊電圧及び/又は破壊箇所を制御しやすくなる。
【0022】
第1領域31は上面視で円形であることが好ましく、それ以外の形状であってもよい。第1領域31の上面視における大きさは、絶縁層3全体の0.1%以上30%以下が挙げられ、0.5%以上15%以下が好ましい。具体的には、第1領域31の上面視における大きさは、直径400μm又はそれに相当する大きさ以下が挙げられ、直径100μm又はそれに相当する大きさ以下が好ましく、直径20μm又はそれに相当する大きさ以下がより好ましい。また、直径10μm又はそれに相当する大きさ以上が挙げられ、直径15μm又はそれに相当する大きさがより好ましい。このような構造によって、第2電極2の上面に電流供給部材41の接合領域22のためスペースを確保しやすくすることができる。第2領域32の上面視の形状は、絶縁層3の形状及び第1領域31の形状等に応じて適宜設定することができる。
絶縁層3の平面形状は、例えば、円又は楕円、三角形、四角形、六角形及び八角形等の多角形又はこれらの角が面取りされた形状、これらの形状が組み合わせられた形状等、種々の形状が挙げられる。ここで、面取りとは角を斜めに削るC面取り、及び角を丸めるR面取りを含む。特に、四角形の角が面取りされた結果、形状が厳密には八角形となる場合があるが、このような場合も角が面取りされた四角形と呼称することがある。絶縁層3は特に、角が面取りされた四角形であることが好ましい。このような構成とすることで、図形の頂点近傍に印加される電界強度の局所的な緩和を図ることができる。
【0023】
絶縁層3は、上面視における大きさは、第1電極1より小さくてもよいし、第1電極1と同じでもよい。また、上面視で、絶縁層3は第1電極1の外縁内に収まっている。これにより、アンチヒューズ素子10の小型化を図ることができる。更に、絶縁層3は、上面視で、第2電極2よりも大きくてもよいし、第2電極2と同じでもよい。なかでも、上面視における大きさが、第1電極1と同じでありかつ第2電極2よりも大きいことが好ましい。言い換えると、絶縁層3及び第1電極1の外縁が一致し、第2電極2の外縁2aが、絶縁層3の外縁3aの内側にあることが好ましい。従って、絶縁層3の一部は、第2電極2とともに、外部に露出していることが好ましい。このような構成とすることで、第1電極1と第2電極2が短絡することを抑制できる。ここで、絶縁層3の一部とは、絶縁層3の第2電極2側の上面の一部であってもよいし、上面に隣接する側面の一部又は全部であってもよい。なかでも、絶縁層3の上面の一部と側面の全部が外部に露出していることがより好ましい。
絶縁層3は、例えば、SiO2、シリコン酸化膜、Al2O3、TiO2、Ta2O5、Nb2O5、ZrO2、AlOxNy、SiN、SiNx等の単層又は多層構造の層が挙げられる。なかでも、SiO2またはシリコン酸化膜が好ましい。絶縁層3を絶縁破壊耐性の高いSiO2またはシリコン酸化膜によって形成することで、絶縁層3の厚みを薄くすることができ、小型化および材料の節約をすることができる。
【0024】
<実施形態2:発光装置>
実施形態2の発光装置30は、
図3B及び3Cに示すように、上述したアンチヒューズ素子10と、発光素子20とを備える。これらアンチヒューズ素子10及び発光素子20は、導電層46を有するパッケージ43内の気密封止された閉空間に配置されていることが好ましい。
発光装置30においては、1つの発光素子に対して1つのアンチヒューズ素子が配置されていることが好ましく、複数の発光素子が配置される場合には、各発光素子に対してそれぞれアンチヒューズ素子が配置される。このような構成とすることで、何れの発光素子が電流不通となった場合でもアンチヒューズ素子の働きにより発光装置全体の導通を維持することができる。
発光装置30は、さらに、サブマウント33、光反射部材34、保護素子35、光学部材44等を有していてもよい。
【0025】
(発光素子)
発光素子20は、発光ダイオード、半導体レーザ素子等を用いることができる。なかでも、発光素子は、半導体レーザ素子(以下、「半導体レーザ素子20」ということがある。)が好ましい。
発光素子、特に半導体レーザ素子は、上面視で長方形の外形を有するものが挙げられる。この場合、長方形の2つの短辺のうちの一辺と交わる側面が、半導体レーザ素子から出射される光の出射端面となる。半導体レーザ素子の上面及び下面は、出射端面よりも面積が大きい。
半導体レーザ素子から出射される光(レーザ光)は拡がりを有し、光の出射端面と平行な面において楕円形状のファーフィールドパターン(以下「FFP」という。)を形成する。FFPとは、出射端面から離れた位置における出射光の形状及び光強度分布である。ここで、FFPの楕円形状の中心を通る直線を、半導体レーザ素子の光軸と呼び、FFPの楕円形状の中心を通る光、言い換えると、FFPの光強度分布においてピーク強度の光を、光軸を進む光と呼ぶ。FFPの光強度分布において、ピーク強度値に対して1/e2以上の強度を有する光を、主要部分の光と呼ぶ。半導体レーザ素子から出射される光のFFPの形状は、活性層を含む複数の半導体層の層方向よりも、それに垂直な積層方向の方が長い楕円形状である。層方向をFFPの水平方向、積層方向をFFPの垂直方向という。FFPの光強度分布に基づき、光強度分布の半値全幅に相当する角度を、その半導体レーザ素子の光の拡がり角とする。FFPの垂直方向における光の拡がり角を垂直方向の拡がり角、FFPの水平方向における光の拡がり角を水平方向の拡がり角という。
【0026】
半導体レーザ素子は、例えば、青色の光を出射する半導体レーザ素子、緑色の光を出射する半導体レーザ素子、赤色の光を出射する半導体レーザ素子、また、これら以外の光を出射する半導体レーザ素子を採用することができる。青色の光とは、その発光ピーク波長が420nm~494nmの範囲内にある光、緑色の光とは、その発光ピーク波長が495nm~570nmの範囲内にある光、赤色の光とは、その発光ピーク波長が605nm~750nmの範囲内にある光を指す。
青色の光を発する半導体レーザ素子及び緑色の光を発する半導体レーザ素子としては、窒化物半導体を含む半導体レーザ素子が挙げられる。窒化物半導体は、例えば、GaN、InGaN、及びAlGaN等の半導体層を用いることができる。赤色の光を発する半導体レーザ素子は、InAlGaP系、GaInP系、AlGaAs系の半導体層を含むものが挙げられる。
半導体レーザ素子20は、1つのエミッターを有するシングルエミッター、2つ以上のエミッターを有するマルチエミッター等のいずれであってもよい。半導体レーザ素子が複数のエミッターを有する場合、それぞれのエミッターに係る出射端面から、楕円形状のFFPを形成するレーザ光が出射される。
発光素子、特に、半導体レーザ素子は、放熱性等の観点から、サブマウントの上に配置されていることが好ましい。
【0027】
(サブマウント)
サブマウント33は、2つの接合面を有する。サブマウント33は、2つの接合面が互いに平行な円柱、四角柱等の多角形柱の形状であることが好ましい。なかでも、直方体であるものが好ましい。サブマウント33は、例えば、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、又は炭化ケイ素等を用いて形成することができる。接合面には、接合のための金属膜が設けられていることが好ましい。
【0028】
(パッケージ)
パッケージ43は、アンチヒューズ素子10と、発光素子20とを、気密封止された閉空間に配置するための部材であって、例えば、基部37及び蓋部材38を有する。
基部37は、アンチヒューズ素子10及び発光素子20等が配置される底部39と、底部39を囲う壁部40とを有する。つまり、基部37は凹部を有し、凹部が底部39と壁部40とによって構成されている。上面視において、基部37の外形は円、楕円、四角形等の多角形等の種々の形状が挙げられ、凹部の外形も、同様にこれらの種々の形状であるものが挙げられる。なかでも矩形であるものが好ましい。底部39は、平板形状であるものが好ましい。壁部40は、底部の外周から、アンチヒューズ素子及び発光素子等の高さよりも高くなるように、アンチヒューズ素子及び発光素子等の上方側に延びている。壁部40は、平板状に延びていてもよいし、1以上の段差40aを有していていもよい。
【0029】
底部39と壁部40とは、同じ材料によって一体的に形成したものであってもよいし、異なる材料、例えば、壁部はセラミック、底部は金属によって形成したものであってもよい。セラミックとしては、例えば、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、酸化アルミニウム、炭化ケイ素等が挙げられる。金属としては、例えば、Cu、Al、Fe等、複合物として、銅モリブデン、銅-ダイヤモンド複合材料、銅タングステン等を用いることができる。この場合、底部39に採用される金属は、壁部40に採用されるセラミックよりも放熱性に優れたもの、熱伝導率の高いものが好ましい。
【0030】
蓋部材38は、所定の雰囲気下で基部37に接合され、この閉空間が気密封止された空間となる。気密封止された空間内に半導体レーザ素子20等を配置することにより、集塵による品質劣化を抑制することができる。気密封止するために、蓋部材38は、基部37に、例えば、金属接合材等によって、接合されている。金属接合材としては、AuSnなどの金属ろう、はんだ等が挙げられる。
蓋部材38は、下面と、上面とを有する。蓋部材38は、例えば、平板形状であることが好ましく、上面視において、基部37の外形に相当する外形を有するものが好ましい。また、蓋部材38は、光を透過する透光性を有するものが好ましい。ここで、透光性とは、パッケージ内に収容される発光素子が出射する光の透過率が50%以上であるものが挙げられ、60%以上、70%以上、80%以上のものが好ましい。ただし、蓋部材38は、一部にのみ透光性の領域を有するものであってもよい。透光性の領域は、発光素子20から出射される光を透過させるように、形状および個数を適切に選んで設けることができる。例えば
図3Aに示すように、透光性の領域を対応する発光素子20の数だけ設けてもよい。また、蓋部材38には、表面上の一部の領域に、金属膜が設けられているものが好ましい。この金属膜は、他の構成要素との接合のために設けられる。従って、金属膜が設けられる領域の一部または全部が、他の構成要素と接合する接合領域となる。なかでも、金属膜は、蓋部材38の基部37との対向する面(以下、「下面」という)に設けられ、蓋部材38の外縁に沿って、環状に設けられるものが好ましい。
蓋部材38は、サファイア、ガラス等によって形成することができる。サファイアは透光性を有しており、比較的屈折率が高く、比較的強度も高い材料である。金属膜は、例えば、Ti/Pt/Auで形成することができる。
蓋部材38における透光性を有する領域には、波長変換部材が配置されていてもよい。波長変換部材は、当該分野で公知の蛍光体を含有させることができる。
【0031】
パッケージにおける基部37、特に、底部39、任意に壁部40の上面等において、導電層46が設けられ、これにより、アンチヒューズ素子10及び発光素子20等の電気的な接続が図られる。
図3Cおいては、導電層46は、壁部40の段差40aの上面に配置されている。なお、
図3Cにおいては、見やすさのためワイヤ等の部材を省略している。導電層46の形状、厚み及び材料等は、当該分野で公知のものを使用することができる。
導電層46には、アンチヒューズ素子10及び発光素子20等に接続された電流供給部材41が接続されている。アンチヒューズ素子10に接続する電流供給部材41の本数は2本乃至4本が好ましいが、それ以外の本数であってもよい。このような本数とすることで、アンチヒューズ素子に大きな電流が流れた場合でも、各々の電流供給部材41に電流が分散するため、安定して動作する可能性を高めることができる。電流供給部材41は、例えば、線状の形状とするものが挙げられ、例えば、金属のワイヤであることが好ましい。金属には、例えば、金、アルミニウム、銀、銅、これらの合金等を用いることができる。
パッケージ43における導電層46及び電流供給部材41によって、
図4に示すように、アンチヒューズ素子10と発光素子20とを、並列に接続することができる。また、このような並列接続されたアンチヒューズ素子10と発光素子20との組が複数配列されている場合には、それらは並列接続又は直列接続することができ、なかでも、直列接続されていることが好ましい。直列接続されていることで、複数の発光素子20のうち1つが不通となった場合に、対応するアンチヒューズ素子に電圧が集中し、アンチヒューズ素子が導通するのに十分な電圧を確保することができる。
また、後述するように、発光装置が保護素子としてツェナーダイオードを備える場合には、
図3Bに示すように、複数のアンチヒューズ素子10と発光素子20との組に対して、ツェナーダイオードを、並列に接続することが好ましい。このような構成とすることで、装置全体を逆電流による破壊から保護することができる。
【0032】
図3Bに示す発光装置30には、パッケージ内に、5つの半導体レーザ素子20が、5つのアンチヒューズ素子10とそれぞれ一組となって、一方向に配列されている。
パッケージ43内におけるアンチヒューズ素子10及び半導体レーザ素子20の配置は、それらの数及び大きさ、パッケージの形状及び大きさ等によって適宜設定することができる。例えば、
図3Dに示すように、上面視において、アンチヒューズ素子10は、半導体レーザ素子20から出射するレーザ光の光軸Aを含む仮想直線を避けた領域に配置されていることが好ましい。言い換えると、出射端面から出射されるレーザ光の光軸Aの延長線に、アンチヒューズ素子の一部又は全部が交わらないように、アンチヒューズ素子が配置されていることが好ましい。特に、アンチヒューズ素子10の半導体レーザ素子20に近い側の側面10Aが、半導体レーザ素子20の光軸に平行な側面の延長線Cよりも側方、つまり、半導体レーザ素子20から離れる方向Xに配置されていることが好ましい。これにより、半導体レーザ素子の光の漏れに起因するアンチヒューズ素子10の劣化を抑制することができる。アンチヒューズ素子10は、半導体レーザ素子20の背面側に配置することができる。ここで、背面とは、半導体レーザ素子20において、半導体レーザ素子20の出射端面から最も遠い面であり、背面側とは、半導体レーザ素子20の出射端面よりも背面に近い領域を指す。
【0033】
(光反射部材)
光反射部材34は、光を反射する光反射面34aを有する。光反射面34aは、下面及びこれを配置するパッケージ43の底部39の表面に対して傾斜している。例えば、光反射面34aは、下面に対して20度以上80度以下、例えば、45度の傾斜角をなす傾斜面に設けられる。光反射面34aは、平面形状、曲面形状のいずれであってもよい。曲面形状の場合、局所的に下面から見て垂直又は平行な部分を有することがある。光反射面34aは、なかでも、平面形状であるものが好ましい。
光反射部材34は、ガラス、金属等を用いて形成することができる。具体的には、石英若、BK7(硼珪酸ガラス)等のガラス、アルミニウム等の金属、Siを主材料として含むものを用いて形成することができる。光反射面は、例えば、Ag、Al等の金属、Ta2O5/SiO2、TiO2/SiO2、Nb2/SiO2等の誘電体多層膜を用いて形成することができる。光反射面34aは、反射させるレーザ光のピーク波長に対する光反射率は、99%以上の光反射率を実現するものが挙げられ、95%以上、90%以上であってもよい。
【0034】
(光学部材44)
光学部材44は、発光装置30において、パッケージ43の蓋部材38の上に配置され、集光等、任意の配光を行うための部材である。
光学部材44は、上面と、下面と、側面とを有し、レンズ面44aを有していてもよい。レンズ面44aは、上面又は下面のいずれかに形成されていることが好ましい。例えば、光学部材44は、全体として、平板形状の一面にドーム型等のレンズ面44aが配されたような形状が挙げられる。レンズ面44aは、1つのドーム型のレンズによって形成されていてもよいし、
図3Eに示すように、複数のレンズ面44aが連なった形状、複数のレンズが並列された形状等のいずれであってもよい。光学部材44は、平板形状の部分とレンズとが一体となって形成されていてもよいし、別体のものを接合したものであってもよい。光学部材44は、例えば、上面視において、その外形は、基部37と同様、種々の形状であってもよいが、矩形であるものが好ましい。
光学部材44は、透光性を有し、レンズ面44a及びそれ以外の部分においても透光性を有するものが好ましい。光学部材44は、例えば、BK7等のガラスを用いて形成することができる。
【0035】
(保護素子)
保護素子35は、特定の素子(例えば半導体レーザ素子20)に過剰な電流が流れて破壊されることを抑制する素子である。保護素子としては、例えば、ツェナーダイオードが挙げられる。ツェナーダイオードは、Siで形成されたものであってもよい。
発光装置30が保護素子35を有する場合、保護素子35は、発光装置30に対して1つのみ設けられてもよいし、各半導体レーザ素子20につき1つずつ設けられてもよい。保護素子35が各半導体レーザ素子20につき1つずつ設けられる場合、アンチヒューズ素子10と同様に、半導体レーザ素子20から出射するレーザ光の光軸Aを含む仮想直線を避けた領域に配置されていることが好ましい。例えば、保護素子35は、半導体レーザ素子20の背面側であって、光軸Aを含む直線を基準としてアンチヒューズ素子10とは反対側に配置することができる。このような配置にすることで、半導体レーザ素子20の光の漏れに起因する保護素子35の劣化を抑制することができる。
【0036】
(発光装置の動作)
発光装置30には、パッケージ43内に、5つの半導体レーザ素子20が直列接続されており、各々の半導体レーザ素子20に対してアンチヒューズ素子10が並列接続されている。発光装置30の通常の駆動時には半導体レーザ素子20のみに電流が流れ、アンチヒューズ素子10に対して電流は流れない。
もしアンチヒューズ素子10が接続されていなかった場合、半導体レーザ素子20のうちどれか1つに故障が生じ、電流が不通となると、直列接続されている他の半導体レーザ素子20のすべてが電流不通となり、すべての半導体レーザ素子20が消灯してしまう。
一方、アンチヒューズ素子10が並列接続されていた場合、何れかの半導体レーザ素子20に故障が生じ、電流が不通となると、並列接続されているアンチヒューズ素子10に過剰な電流が供給され、絶縁破壊を起こし導通状態となる。その結果、故障を生じていない他の半導体レーザ素子20に対しては電流供給状態が維持され、点灯を保ったままとなる。
【0037】
以上の実施形態に加えて、さらに以下の付記を開示する。
(付記1)
第1電極と、前記第1電極上に配置された絶縁層と、前記絶縁層上に配置された第2電極とを備え、
前記絶縁層は、厚みの薄い第1領域と、前記第1領域よりも厚みの厚い第2領域とを有し、
前記第2電極の外縁は、上面視において、前記絶縁層の外縁よりも内側に位置するアンチヒューズ素子。
(付記2)
前記第1領域は、上面視において、前記第2領域に包囲されている付記1に記載のアンチヒューズ素子。
(付記3)
前記第2電極及び前記絶縁層の一部は、外部に露出している付記1または2に記載のアンチヒューズ素子。
(付記4)
前記第2電極は、上面視において、角が面取りされた四角形である付記1から3のいずれかに記載のアンチヒューズ素子。
(付記5)
前記第1領域を通過する少なくとも1つの断面において、前記第2領域は、厚みが一定であり、かつ前記第2領域上において、前記第2電極の厚みが一定である付記1から4のいずれかに記載のアンチヒューズ素子。
(付記6)
さらに、前記第2電極に接続された電流供給部材を備え、前記電流供給部材は、前記第2領域の上方にのみ配置されている付記1から5のいずれかに記載のアンチヒューズ素子。
(付記7)
さらに導電性の基板を備え、前記第1電極が前記基板上に配置されており、
前記導電性の基板の外縁は、上面視において、前記第1電極の外縁よりも外側に位置する付記1から6のいずれかに記載のアンチヒューズ素子。
(付記8)
前記基板は、前記第1電極の外縁と一致する第1縁部と、前記第1電極の外縁よりも外側に位置する第2縁部とを、厚み方向に備える付記1から7のいずれかに記載のアンチヒューズ素子。
(付記9)
付記1~8のいずれかに記載のアンチヒューズ素子と、
発光素子と、を備える発光装置。
(付記10)
前記発光素子は半導体レーザ素子である付記9に記載の発光装置。
(付記11)
上面視において、前記アンチヒューズ素子は、前記半導体レーザ素子の出射するレーザ光の光軸を含む仮想直線を避けた領域に配置されている付記10に記載の発光装置。
(付記12)
前記アンチヒューズ素子と前記半導体レーザ素子とが並列接続されており、該並列接続された前記アンチヒューズ素子と前記半導体レーザ素子との組が複数直列接続されている付記10または11に記載の発光装置。
【産業上の利用可能性】
【0038】
各実施形態に記載の発光装置は、プロジェクタ、車載ヘッドライト、ヘッドマウントディスプレイ、照明、ディスプレイ等に使用することができる。
【符号の説明】
【0039】
1 第1電極
1a 外縁
2 第2電極
2a 外縁
3 絶縁層
3a 外縁
4 基板
4a 第1縁部
4b 第2縁部
5 裏面電極
10 アンチヒューズ素子
10A 側面
20 発光素子/半導体レーザ素子
22 接合領域
30 発光装置
31 第1領域
32 第2領域
33 サブマウント
34 光反射部材
34a 光反射面
35 保護素子
37 基部
38 蓋部材
39 底部
40 壁部
40a 段差
41 電流供給部材
43 パッケージ
44 光学部材
44a レンズ面
46 導電層