(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024049369
(43)【公開日】2024-04-09
(54)【発明の名称】ウエハ処理装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/677 20060101AFI20240402BHJP
H01L 21/02 20060101ALI20240402BHJP
【FI】
H01L21/68 A
H01L21/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023160238
(22)【出願日】2023-09-25
(31)【優先権主張番号】63/410,687
(32)【優先日】2022-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】519237203
【氏名又は名称】エーエスエム・アイピー・ホールディング・ベー・フェー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】梅岡 良行
【テーマコード(参考)】
5F131
【Fターム(参考)】
5F131AA02
5F131AA21
5F131AA22
5F131AA23
5F131BB04
5F131BB05
5F131CA32
5F131DA32
5F131DA33
5F131DA36
5F131DB03
5F131DB52
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5F131DB62
5F131DB76
5F131DD03
5F131DD29
5F131DD33
5F131DD46
5F131DD53
5F131DD63
5F131DD65
5F131DD73
5F131DD83
5F131DD84
5F131DD85
5F131GB03
5F131GB12
(57)【要約】 (修正有)
【課題】チャンバ間のより効率的なウエハ移動スケジューリングを可能にする装置及び方法を提供する。
【解決手段】ウエハ処理装置は、第一のロードロック131及び第二のロードロック132と、ウエハを前処理又は後処理するための、少なくとも1つの追加のチャンバ141、142と、ウエハを処理する少なくとも1つの反応チャンバ143~146と、第一のウエハハンドリングチャンバ181と、第二のロボット172が、反応チャンバとパススルーチャンバ161の間でウエハを移動させる第二のウエハハンドリングチャンバ171と、第一のウエハハンドリングチャンバと第二のウエハハンドリングチャンバの両方から、ウエハを積み重ねるパススルーチャンバと、第一のロボット及び第二のロボットによる複数のウエハの移動をスケジューリングするスケジューリングユニット190と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウエハ処理装置であって、
第一のロードロックおよび第二のロードロックであって、前記第一および第二のロードロックが、複数のウエハを積み重ねるように構成され、前記ウエハが、前記第一および第二のロードロックに挿入されてもよく、前記ウエハが、前記第一および第二のロードロックから除去されてもよい、第一のロードロックおよび第二のロードロックと、
前記ウエハを前処理または後処理するための、少なくとも1つの追加のチャンバと、
前記ウエハを処理するように構成された、少なくとも1つの反応チャンバと、
第一のロボットおよび第二のロボットから受け取ったウエハを積み重ねるように構成された、パススルーチャンバと、
第一のロボットを備える第一のウエハハンドリングチャンバであって、前記第一のロボットが、前記第一および第二のロードロック、前記追加のチャンバ、および前記パススルーチャンバの間でウエハを移動させるように構成される、第一のウエハハンドリングチャンバと、
第二のロボットを備える第二のウエハハンドリングチャンバであって、前記第二のロボットが、前記反応チャンバと前記パススルーチャンバの間でウエハを移動させるように構成される、第二のウエハハンドリングチャンバと、
前記第一のロボットおよび前記第二のロボットによる前記複数のウエハの移動をスケジューリングするように構成された、スケジューリングユニットとを備える、ウエハ処理装置。
【請求項2】
前記スケジューリングユニットが、プロセッサ、メモリ、およびIOインターフェースを備え、
前記メモリが待機キューを備える、請求項1に記載のウエハ処理装置。
【請求項3】
前記スケジューリングユニットが、前記第一のロボットおよび前記第二のロボットによる前記複数のウエハの移動を、互いに独立して、かつ非同期的にスケジューリングするように構成される、請求項1に記載のウエハ処理装置。
【請求項4】
前記パススルーチャンバが、ウエハを積み重ねるための、少なくとも1つの上部チャンバ、および少なくとも1つの下部チャンバをさらに備える、請求項1に記載のウエハ処理装置。
【請求項5】
前記上部チャンバが、前記追加のチャンバからウエハを受け取り、前記ウエハを前記反応チャンバに送るように構成され、および
前記下部チャンバが、前記反応チャンバからウエハを受け取り、前記ウエハを前記第一または第二のロードロックに送るように構成される、請求項4に記載のウエハ処理装置。
【請求項6】
ウエハ処理装置のスケジューリングユニット内で、ウエハの移動をスケジューリングする方法であって、前記方法が、
計算された作動時間に基づいてウエハ移動時間データを調製することであって、前記ウエハ移動時間データが、ウエハが前記チャンバおよびロードロックの間を移動するのに要する時間である、調製することと、
前記ウエハ移動時間コンピュータデータを、前記スケジューリングユニットのメモリ内の待機キューに保存することであって、前記待機キューが第二のウエハ移動時間データを保存する、保存することと、
前記保存されたウエハ移動時間データ、および前記待機キュー内の前記第二のウエハ移動時間データの間に、任意の時間重複があるかどうかを判定することと、
重複が存在する場合、現在のタイムスタンプに従って、前記保存されたウエハ移動時間データを更新して、重複がなくなるまで判定を繰り返すことと、
重複が存在しない場合、前記待機キューに保存された前記ウエハ移動時間データを実行することと、
前記調製された時間データと前記実際の所要時間との間の差を計算し、前記キューに残存する前記ウエハ移動時間データに、前記時間差を反映することと、
前記待機キューから移動時間データを削除することとを含む、方法。
【請求項7】
前記計算が、
前記調製された時間データと前記実際の所要時間の平均時間との間の前記差を計算し、前記キューに残存する前記ウエハ移動時間データに、前記時間差を反映することを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
ウエハの移動に使用されるチャンバが現在使用中であるかを判定することと、
使用される前記チャンバが現在使用中でない場合に、プレチャンバプロセスの前記開始時間を設定することと、および
プレチャンバプロセスを実行することとを含む、請求項6~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
コンピュータシステムのプロセッサによって実行可能な命令のセットをその上に保存して、請求項6~7のいずれか一項に記載の方法を実施する、非一時的、コンピュータ可読、および有形の媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ウエハを処理するための装置および方法、特に、チャンバ間のより効率的なウエハ移動スケジューリングを可能にする、装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ウエハ処理装置内のウエハに関して、ウエハを適切なタイミングで正確に反応チャンバに挿入することが、不可欠である場合がある。また、ウエハが処理完了後直ちに反応チャンバから排出されることが、重要である場合がある。
【0003】
したがって、ウエハ処理装置内のEPIチャンバへの、およびそこからの、ウエハの挿入および排出のタイミングは、処理後のウエハの品質にとって、重要な問題でありうる。
【0004】
さらに、チャンバにおける、あらゆる種類のボトルネック効果は、生産性の低下をもたらす。したがって、チャンバ間のウエハの移動を容易にする、装置および方法が、必要とされうる。
【0005】
また、EPI製品の処理時間は長いため、効果的な移送方法が必要となる。
【0006】
このセクションに記載の、問題および解決策の考察を含むいずれの考察も、本開示の背景を提供する目的でのみこの開示に含まれており、考察のいずれかまたは全てが、本発明がなされた時点において既知であったこと、またはそれらが他に先行技術を構成することを、認めるものと、考えられるべきではない。
【発明の概要】
【0007】
この「発明の概要」は、選択された複数の概念を簡略化した形態で紹介するために、提供されている。これらの概念は、下記の開示の例示の実施形態の「発明を実施するための形態」において、さらに詳細に記述される。この「発明の概要」は、特許請求される主題の主要な特徴、または本質的な特徴を特定することを意図せず、特許請求される主題の範囲を限定するために使用されることも意図しない。
【0008】
一実施形態に従い、ウエハ処理装置であって、第一のロードロックおよび第二のロードロックであって、第一および第二のロードロックが、複数のウエハを積み重ねるように構成され、ウエハが、第一および第二のロードロックに挿入されてもよく、ウエハが、第一および第二のロードロックから除去されてもよい、第一のロードロックおよび第二のロードロックと、ウエハを前処理または後処理するための、少なくとも1つの追加のチャンバと、ウエハを処理するように構成された、少なくとも1つの反応チャンバと、第一のロボットおよび第二のロボットから受け取ったウエハを積み重ねるように構成された、パススルーチャンバと、第一のロボットを備える第一のウエハハンドリングチャンバであって、第一のロボットが、第一および第二のロードロック、追加のチャンバ、およびパススルーチャンバの間でウエハを移動させるように構成される、第一のウエハハンドリングチャンバと、第二のロボットを備える第二のウエハハンドリングチャンバであって、第二のロボットが、反応チャンバとパススルーチャンバの間でウエハを移動させるように構成される、第二のウエハハンドリングチャンバと、第一のロボットおよび第二のロボットによる複数のウエハの移動をスケジューリングするように構成された、スケジューリングユニットとを備える、ウエハ処理装置が提供される。
【0009】
少なくとも1つの態様では、スケジューリングユニットは、第一のロボットと第二のロボットによる複数のウエハの移動を、互いに独立して、かつ非同期的にスケジューリングするように、構成される。
【0010】
少なくとも1つの態様では、スケジューリングユニットは、プロセッサ、メモリ、およびIOインターフェースを備え、メモリは待機キューを備える。
【0011】
少なくとも1つの態様では、パススルーチャンバは、ウエハを積み重ねるための、少なくとも1つの上部チャンバ、および少なくとも1つの下部チャンバを、さらに備える。
【0012】
少なくとも1つの態様では、上部チャンバは、追加のチャンバからウエハを受け取り、ウエハを反応チャンバに送るように構成され、下部チャンバは、反応チャンバからウエハ受け取り、ウエハを第一または第二のロードロックに送るように、構成される。
【0013】
別の実施形態によると、ウエハ処理装置のスケジューリングユニット内で、ウエハの移動をスケジューリングする方法が提供されており、方法は、計算された作動時間に基づいてウエハ移動時間データを調製することであって、ウエハ移動時間データが、ウエハがチャンバおよびロードロックの間を移動するのに要する時間である、調製することと、ウエハ移動時間コンピュータデータを、スケジューリングユニットのメモリ内の待機キューに保存することであって、待機キューが第二のウエハ移動時間データを保存する、保存することと、保存されたウエハ移動時間データ、および待機キュー内の第二のウエハ移動時間データの間に、任意の時間重複があるかを判定することと、重複が存在する場合、現在のタイムスタンプに従って、保存されたウエハ移動時間データを更新して、重複がなくなるまで判定を繰り返すことと、重複が存在しない場合、待機キューに保存されたウエハ移動時間データを実行することと、調製された時間データと実際の所要時間との間の差を計算し、キューに残存するウエハ移動時間データに、時間差を反映することと、待機キューから移動時間データを削除することとを含む。
【0014】
少なくとも1つの態様では、計算は、準備した時間データと実際の所要時間の平均時間との間の差を計算し、キューに残存するウエハ移動時間データに、その時間差を反映することである。
【0015】
少なくとも1つの態様では、方法は、実行する前に、ウエハの移動に使用されるチャンバが現在使用中であるかを判定することと、使用されるチャンバが現在使用中でない場合に、プレチャンバプロセスの開始時間を設定することと、およびプレチャンバプロセスを実行することとを、さらに含む。
【0016】
別の実施形態によれば、非一時的、コンピュータ可読、および有形媒体は、それ上に、上述の方法を実施するコンピュータシステムのプロセッサによって実行可能な命令のセットが保存される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
当然のことながら、図内の要素は単純化および明瞭化のために例示されており、必ずしも原寸に比例して描かれていない。例えば、図内の要素のうちの一部の寸法は、本開示の例示された実施形態の理解の向上を助けるために、他の要素に対して、誇張されている場合がある。
【0018】
【
図1】
図1は、本開示の実施形態による、システムレイアウト全体を図示する。
【
図2】
図2は、本開示の実施形態による、スケジューリングユニットのダイアグラムを図示する。
【
図3】
図3は、本開示の実施形態による、ウエハスケジューリング方法のフローチャートダイアグラムを図示する。
【
図4】
図4はまた、本開示の実施形態による、プレチャンバ処理方法のフローチャートダイアグラムを図示する。
【
図5】
図5は、本開示の実施形態による、チャンバおよびロボット間の、概略的なウエハ移動の例を図示する。
【
図6】
図6は、本開示の実施形態による、ウエハ移動時間データを更新する例を図示する。
【
図7】
図7は、待機キュー内の時間データが実行される(ウエハが移動している)際に、時間データと実際の所要時間との間の差が計算され、補正のために他のウエハ移動時間データに反映される例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
ある特定の実施形態、および実施例を以下に開示するが、本発明の具体的に開示された実施形態、および/または本発明の使用、ならびにその明白な修正および均等物を超えて、本発明が拡張されることは、当業者によって理解されるであろう。それ故に、開示された本発明の範囲は、後述する特定の開示された実施形態によって限定されるべきではないことが、意図される。
【0020】
本明細書で使用される場合、「基材」という用語は、修飾されてもよい、または装置、回路、もしくは薄膜がその上に形成されてもよい、任意の下地材料(複数可)を含む、任意の下地材料(複数可)を指す場合がある。「基材」は、連続的または非連続的、剛直または可撓性、固体または多孔質、およびそれらの組み合わせであってもよい。基材は、粉末、プレート、またはワークピースなどの、任意の形態であってもよい。プレートの形態の基材は、様々な形状、およびサイズのウエハを含んでもよい。基材は、例えば、ケイ素、シリコンゲルマニウム、酸化ケイ素、ヒ化ガリウム、窒化ガリウム、および炭化ケイ素を含む、半導体材料から作製されてもよい。
【0021】
例として、粉末の形態の基材は、医薬品製造のための用途を有する場合がある。多孔質基材は、ポリマーを含んでもよい。ワークピースの例としては、医療機器(例えば、ステントおよびシリンジ)、宝石類、ツーリング装置、電池製造のための構成要素(例えば、アノード、カソード、もしくはセパレータ)、または光起電力電池の構成要素などが、挙げられてもよい。
【0022】
連続基材は、堆積プロセスが生じるプロセスチャンバの境界を越えて、延在してもよい。一部のプロセスでは、連続基材は、プロセスチャンバを通して移動してもよく、これによりプロセスは基材の端部に達するまで継続される。連続基材は、任意の適切な形態で、連続基材の製造および出力を可能にするために、連続基材供給システムから供給されてもよい。
【0023】
連続基材の非限定的な例としては、シート、不織布薄膜、ロール、箔、ウェブ、可撓性材料、連続フィラメントまたは繊維(例えば、セラミック繊維もしくはポリマー繊維)の束が、挙げられてもよい。連続基材はまた、非連続基材がその上へと取り付けられる、担体、またはシートを備えてもよい。
【0024】
本明細書に提示された例示は、任意の特定の材料、構造、または装置の実際の外観であることを意味せず、本開示の実施形態を記述するために使用される、単に理想化された表現にすぎない。
【0025】
示された、かつ記述された特定の実装は、本発明のおよび最良の形態の例示であり、態様および実装の範囲を、いかなる方法でも、他に限定することを、意図していない。実際に、簡潔のために、従来の製造、接続、調製、およびシステムの他の機能的態様を詳細に記述していない場合がある。さらに、様々な図に示された接続線は、様々な要素間の、例示的な機能的関係、および/または物理的連結を表すことが、意図されている。多くの代替的もしくは追加的な機能的関係、または物理的接続が、実際のシステムにおいて存在してもよく、および/または一部の実施形態では存在しなくてもよい。
【0026】
数多くの変形が可能であるため、本明細書に記載の構成、および/または手法は本質的に例示的であること、ならびにこれらの特定の実施形態または実施例は、限定的な意味で考慮されるべきではないことが、理解されるべきである。本明細書に記載の特定のルーチンまたは方法は、任意の数の処理方策のうちの1つ以上を、代表する場合がある。それ故に、例示された様々な動作は、例示される順序で実施されてもよく、他の順序で実施されてもよく、または一部の事例では省略されてもよい。
【0027】
本開示の主題は、本明細書に開示の様々なプロセス、システム、および構成、ならびに他の特徴、機能、動作、および/または特性の、全ての新規かつ自明でない組み合わせおよび部分的組み合わせだけでなく、そのありとあらゆる均等物も含む。
【0028】
【0029】
第一のウエハハンドリングチャンバ181は、第一のロボット182を備えてもよい。第一のロボット182は、複数のロードロック131、132、複数の追加のチャンバ141、142、およびパススルーチャンバ161の間でウエハを移動させうる。
【0030】
第一のロードロック131、および第二のロードロック132は、第一のウエハハンドリングチャンバ181の横に配置されてもよい。第一の/第二のロードロック131、132は、ウエハを積み重ねて保持することができ、これは、第一の/第二のロードロック131、132に積み重ねられたウエハが、互いに接触しない場合があることを意味する。
【0031】
追加のチャンバ141、142は、第一のウエハハンドリングチャンバ181に接続されて位置してもよい。追加のチャンバ141、142は、反応チャンバ143、144、145、146に入る前に、ウエハを保持および前処理するために、使用されうる。追加のチャンバは、反応チャンバ内の処理後にウエハを保持するためにも使用されうる(後処理の目的)。
【0032】
前処理および後処理には、ウエハの洗浄、および/または冷却が含まれうる。
【0033】
追加チャンバ141、142の数は、1~8とすることができ、2つの追加チャンバのみが、
図1に示される。パススルーチャンバ(PTC)161は、第一のウエハハンドリングチャンバ181に接続されてもよい。
【0034】
PTC161は、上部チャンバ162、および下部チャンバ163を含んでもよい。それは、少なくとも1つの上部チャンバ162、および少なくとも1つの下部チャンバ163である。説明を容易にするために、4つの上部チャンバ、および2つの下部チャンバを、
図1に示す。
【0035】
上部チャンバ162は、第一/第二のロードロック131、132から、ウエハを保持してもよい。また、上部チャンバ162からのウエハは、反応チャンバ143、144、145、146に入ることができる。下部チャンバ163は、ウエハ処理後に、反応チャンバ143、144、145、146からのウエハを保持してもよく、下部チャンバ163からのウエハは、第一または第二のロードロック131、132に入ることができる。
【0036】
ウエハは、反応チャンバ143、144、145、146に挿入されるまで、上部チャンバ162で待機しうる。処理後、ウエハは、反応チャンバ143、144、145、146から排出され、下部チャンバ163に留まり、反応チャンバ143、144、145、146における反応からの熱を冷却することができる。
【0037】
第二のウエハハンドリングチャンバ171は、第二のロボット172を含む。第二のロボット172は、反応チャンバ143、144、145、146、およびパススルーチャンバ161の間で、ウエハを移動することができる。
【0038】
ウエハは、反応チャンバ143、144、145、146で処理されてもよい。処理工程で反応が行われるため、反応チャンバ143、144、145、146から排出された際、ウエハは高温になり得、高温のウエハは、下部チャンバ163で冷却され得る。
【0039】
スケジューリングユニット190は、第一のウエハハンドリングチャンバ181、第一のロボット182、第二のウエハハンドリングチャンバ171、および第二のロボット172に、接続されてもよい。スケジューリングユニット190は、ウエハの移動をスケジューリングする。
【0040】
図2は、スケジューリングユニット190を図示する。スケジューリングユニット190は、ウエハの移動時間を計算するように構成されたプロセッサ191、第一のロボット182および第二のロボット172によって、ロードロックおよびチャンバ間のウエハの移動時間を保存するように構成された、二つの待機キュー194および195を備えるメモリ192、ならびに信号を受信および送信するよう構成された、IOインターフェースを備え得る。
【0041】
本開示の装置は、2つのウエハハンドリングチャンバ(WHC)、すなわち、2つのロボット(第一182、および第二172)を有する。第一および第二のロボットの移動は、本開示では、独立してスケジューリングされている。
【0042】
ウエハが、第一または第二のロードロック131、132にある場合、これは第一のロボットのスケジューリングの開始時間である。各モジュール(ロードロック、チャンバ、ロボットなど)の実際の作動時間(処理時間、および移動時間)を、スケジューリングに使用してもよい。
【0043】
各モジュールの作動時間は、信号化され、および記録されてもよく、それらは、各モジュールのウエハ移動の平均作動時間を計算するために、使用されてもよい。
【0044】
第一のロボット182、すなわち第一のWHC181、および第二のロボット172、すなわち第二のWHC171は、それぞれ独立したスケジューリングを有し、各スケジューリングスキームを第一の待機キュー194、および第二の待機キュー195に、それぞれ挿入することができる。しかしながら、第一のWHC181の、および第二のWHC171の、スケジューリング時間データは、1つの共通の待機キューに保存されうる。
【0045】
【0046】
以前に記録された作動時間に基づいて、スケジューリングユニット190は、ウエハが第一のロボットによって(追加のチャンバ、ロードロック、およびPTCの間で)輸送される時間を計算し、ウエハ移動時間データ(310)として、ウエハ輸送時間を調製しうる。第一のWHC181の、すなわち第一のロボット182の、スケジューリングは、ウエハが第一/第二のロードロックにある時に、開始される。また、調製されたウエハ移動時間データは、第一の待機キュー194(320)に入力されうる。
【0047】
第二のWHC171については、すなわち第二のロボット172のスケジューリングは、ウエハがPTC161に存在するときに開始されてもよく、スケジューリングユニット190は、第二のロボットによって(反応チャンバおよびPTCの間で)ウエハが輸送される時間を計算し、これをウエハ移動時間データ(310)として調製してもよい。そして、これらの調製されたウエハ移動時間データは、第二の待機キュー195(320)に保存されうる。
【0048】
待機キュー(第一194、または第二195)には、以前に保存された別の時間データが存在しうる。新しく保存された時間データは、既存の時間データ(330)と比較され、任意の時間競合(時間重複)が存在するかどうかをチェックする。
【0049】
競合(時間重複)がない場合、新しく保存された時間データは、変化せずキュー内に残存し、ウエハ処理に使用される(340)。
【0050】
競合(時間重複)がある場合、新しく保存されたウエハ移動時間データは、現在の時間(おそらくは、場所における局所的時間)に基づいて更新され、比較が再び再開される(345)。
【0051】
ウエハ移動時間データの更新方法を、
図6に図示する。
【0052】
新しく調製された時間データが「RM5→PTC 15:00:00→15:00:02」である場合(ウエハが、第二のロボットによって反応チャンバ5からPTCへ輸送される、すなわち、第二のWHCが15:00:00に開始され、15:00:00:02に終了することを意味する)、ウエハの輸送には2秒かかる。しかしながら、既存の時間データは、「RM6→PTC 14:59:59→15:00:01」である(繰り返しになるが、ウエハが、第二のロボットによって反応チャンバ6からPTCへ輸送される、すなわち、第二のWHCが14:59:59に開始され、15:00:01に終了することを意味する)。
【0053】
この場合、輸送は第二のロボットによって実行されるが、そのため、RM5とRM6のタイミングは競合する。この競合により、新しく調製して保存した時間データを、現在のタイムスタンプで更新し、開始時間として使用する。すなわち、「RM5→PTC||15:00:00→15:00:02」が、「RM5→PTC||15:00:02→15:00:04」に更新される(現在の時刻を15:00:02と仮定)。
【0054】
更新は、競合が発生しなくなるまで繰り返される(345)。
【0055】
待機キューの時間データが実行される(ウエハが移動している)と、時間データと実際の所要時間との間の差が計算され、補正のために、他のウエハ移動時間データに反映される(350)。
図7は、この状況の例を図示する。
【0056】
図7(a)の、RM5からPTCへの時間データは、15:00:04、および15:02:00から開始する2秒である。しかしながら、15:00:04での、実際の所要時間は、2秒ではなく3秒である。したがって、この実際の時間差を計算し、残りのキューの移動時間データに反映する。
【0057】
別の方法でデータを反映することが、可能である。例えば、実際の所要時間の平均を使用できる。累積データを使用して平均時間を導き出すことができ、このデータを使用して、そのモジュールに対する、残りのキューの移動時間データを更新することができる。これが使用される場合、
図7(b)のデータの変化は、3秒以外の何らかの異なる値でありうる。
【0058】
最後に、ウエハが処理されると、待機キューに保存された時間データが削除される(360)。
【0059】
本開示のスケジューリング方法は、滞在時間、およびチャンバ間の移動(移送)時間の情報、ならびに以前の所要時間を反映することによって移送スケジュールを更新することを使用するため、予測的スケジューリング方法とみなされる。
【0060】
ウエハ処理装置がウエハを処理し始める際、最初は、装置の反応チャンバが完全には準備されないため、最初の処理済みウエハの品質は、後の処理済みウエハの品質と比較して、それほど良好ではない場合がある。
【0061】
したがって、チャンバに実際のウエハを挿入する前に、チャンバの状態を準備する、「プレチャンバプロセス」が必要である。
【0062】
この「プレチャンバプロセス」では、サセプターおよびゲート弁は、チャンバ内のウエハなしに、チャンバへのウエハ輸送の通常の処理と同じ方法で操作されうる。しかしながら、ロボットの動作(ウエハの移動)は、プレチャンバプロセスと関連付けられていない。
【0063】
図4は、プレチャンバプロセスのフローチャートを図示する。
【0064】
第一に、処理されるチャンバについては、それが現在使用中であるかどうか判定しうる(410)。チャンバが使用中でない場合、プレチャンバプロセスの開始時間を設定する(420)。
【0065】
その後、実際のウエハの挿入の準備が完了するまで、プレチャンバプロセスが複数回実行される可能性がある(430)。
【0066】
1つのチャンバについて、ウエハ挿入前に、1回または2回プレチャンバプロセスを実行することが好ましい。このプレチャンバプロセスは、ウエハ移動時間データ(310)を調製する前に実行されうる。
【0067】
【0068】
エリアAでは、第一のロードロックのウエハは、(第一のロボットにより)PM3に移動し、PTCの別のウエハは、(第二のロボットにより)PM5に移動する。また、エリアBでは、ウエハは、PM7からPTCへ(第二のロボットによって)降ろされ、PM3内の別のウエハは、(第一のロボットによって)PTVに移動する。
【0069】
図5のAおよびBは、本開示の装置およびスケジューリング方法は、第一のロボットおよび第二のロボットによって、ウエハを移動させることができ、その移動が、互いに独立して、非同期的であることを示す。
【0070】
上述の装置の配置は、本発明の原理の適用の単なる例示であり、また特許請求の範囲において定義されるように、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、数多くの他の実施形態、および修正がなされてもよい。したがって、本発明の範囲は、上記の説明を参照して決定されるべきではなく、その代わりに、その均等物の全範囲とともに添付の特許請求の範囲を参照して決定されるべきである。
【外国語明細書】