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特開2024-49876データ処理システム、物理量計測装置、データ収集装置、データ処理方法、データ提供方法、及び、データ収集方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024049876
(43)【公開日】2024-04-10
(54)【発明の名称】データ処理システム、物理量計測装置、データ収集装置、データ処理方法、データ提供方法、及び、データ収集方法
(51)【国際特許分類】
   G08C 15/06 20060101AFI20240403BHJP
【FI】
G08C15/06 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022156371
(22)【出願日】2022-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100214248
【弁理士】
【氏名又は名称】青山 純
(74)【代理人】
【識別番号】100214260
【弁理士】
【氏名又は名称】相羽 昌孝
(72)【発明者】
【氏名】坂巻 裕太
(72)【発明者】
【氏名】山田 泰雅
(72)【発明者】
【氏名】関口 孝志
【テーマコード(参考)】
2F073
【Fターム(参考)】
2F073AA01
2F073AA02
2F073AA12
2F073AB01
2F073BB01
2F073BB04
2F073BB07
2F073BC01
2F073BC02
2F073CC03
2F073CC09
2F073CD11
2F073DD07
2F073DE16
2F073EE11
2F073EF08
2F073EF09
2F073FF01
2F073FG01
2F073FG02
2F073FG04
2F073GG01
2F073GG08
(57)【要約】
【課題】物理量を計測する計測装置側にリアルタイムクロック回路を備えることなく、物理量データの収集装置側で計測時刻を特定することを可能とするデータ処理システムを提供する。
【解決手段】データ処理システムは、物理量計測装置と、データ収集装置とを備える。物理量計測装置は、物理量センサがサンプリング条件にて物理量を計測したときの複数の物理量データDによりその計測順が判別可能に構成された物理量データ列Dset1と、物理量センサが物理量を最後に計測してからの経過時間をタイマーカウント部により計測した最終計測後経過時間Tfとをデータ収集装置に送信する。データ収集装置は、時刻計測部により計測された現在時刻Tcと、最終計測後経過時間Tfとに基づいて、物理量データ列Dset1を構成する複数の物理量データDの各々に対して計測時刻Tsを特定する。
【選択図】 図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1又は複数の物理量計測装置と、前記物理量計測装置と通信可能に構成された1又は複数のデータ収集装置と、を備えるデータ処理システムであって、
前記物理量計測装置は、
計測対象の物理量を計測する物理量センサと、
前記物理量センサにより前記物理量を計測した物理量データをリングバッファ形式で記憶する記憶部と、
時間の経過に伴ってカウント値をカウントするタイマーカウント部と、
前記タイマーカウント部によりカウントされた前記カウント値に基づいて、所定のサンプリング条件にて前記物理量センサにより前記物理量を計測したときの前記物理量データを前記記憶部に記憶する計測処理部と、
前記物理量センサが前記物理量を最後に計測してからの経過時間を前記タイマーカウント部により最終計測後経過時間として計時する計時処理部と、
所定の送信条件が満たされたとき、前記記憶部に記憶された複数の前記物理量データにより前記物理量データの計測順が判別可能に構成された物理量データ列と、前記計時処理部により計時された前記最終計測後経過時間とを前記データ収集装置に送信する送信処理部と、を備え、
前記データ収集装置は、
現在時刻を計測する時刻計測部と、
前記物理量計測装置から前記物理量データ列と前記最終計測後経過時間とを受信する受信処理部と、
前記時刻計測部により計測された前記現在時刻と、前記受信処理部により受信された前記最終計測後経過時間とに基づいて、前記受信処理部により受信された前記物理量データ列を構成する複数の前記物理量データの各々に対して前記物理量データとして前記物理量が計測されたときの計測時刻を特定する時刻特定処理部と、
前記受信処理部により受信された前記物理量データ列に、前記時刻特定処理部により特定された前記計測時刻を前記物理量データ毎に対応付けて記憶装置に記憶する記憶処理部と、を備える、
データ処理システム。
【請求項2】
前記送信処理部は、
前記物理量データ列及び前記最終計測後経過時間ともに、前記サンプリング条件を前記データ収集装置に送信し、
前記時刻特定処理部は、
前記時刻計測部により計測された前記現在時刻と、前記受信処理部により受信された前記最終計測後経過時間及び前記サンプリング条件とに基づいて、前記受信処理部により受信された前記物理量データ列を構成する複数の前記物理量データの各々に対して前記計測時刻を特定する、
請求項1に記載のデータ処理システム。
【請求項3】
データ収集装置と通信可能に構成された物理量計測装置であって、
計測対象の物理量を計測する物理量センサと、
前記物理量センサにより前記物理量を計測した物理量データをリングバッファ形式で記憶する記憶部と、
時間の経過に伴ってカウント値をカウントするタイマーカウント部と、
前記タイマーカウント部によりカウントされた前記カウント値に基づいて、所定のサンプリング条件にて前記物理量センサにより前記物理量を計測したときの前記物理量データを前記記憶部に記憶する計測処理部と、
前記物理量センサが前記物理量を最後に計測してからの経過時間を前記タイマーカウン
ト部により最終計測後経過時間として計時する計時処理部と、
所定の送信条件が満たされたとき、前記記憶部に記憶された複数の前記物理量データにより前記物理量データの計測順が判別可能に構成された物理量データ列と、前記計時処理部により計時された前記最終計測後経過時間とを前記データ収集装置に送信する送信処理部と、を備える、
物理量計測装置。
【請求項4】
1又は複数の物理量計測装置と通信可能に構成されたデータ収集装置であって、
現在時刻を計測する時刻計測部と、
前記物理量計測装置から、所定のサンプリング条件にて計測対象の物理量をそれぞれ計測したときの複数の物理量データにより前記物理量データの計測順が判別可能に構成された物理量データ列と、前記物理量データとして前記物理量を最後に計測してからの経過時間を示す最終計測後経過時間とを受信する受信処理部と、
前記時刻計測部により計測された前記現在時刻と、前記受信処理部により受信された前記最終計測後経過時間とに基づいて、前記受信処理部により受信された前記物理量データ列を構成する複数の前記物理量データの各々に対して前記物理量データとして前記物理量が計測されたときの計測時刻を特定する時刻特定処理部と、
前記受信処理部により受信された前記物理量データ列に、前記時刻特定処理部により特定された前記計測時刻を前記物理量データ毎に対応付けて記憶装置に記憶する記憶処理部と、を備える、
データ収集装置。
【請求項5】
計測対象の物理量を計測する物理量センサ、前記物理量センサにより前記物理量を計測した物理量データをリングバッファ形式で記憶する記憶部、及び、時間の経過に伴ってカウント値をカウントするタイマーカウント部を備える物理量計測装置と、現在時刻を計測する時刻計測部を備えるとともに、前記物理量計測装置と通信可能に構成されたデータ収集装置と、を備えるデータ処理システムを用いて、データを処理するデータ処理方法であって、
前記物理量計測装置にて、
前記タイマーカウント部によりカウントされた前記カウント値に基づいて、所定のサンプリング条件にて前記物理量センサにより前記物理量を計測したときの前記物理量データを前記記憶部に記憶する計測処理工程と、
前記物理量センサが前記物理量を最後に計測してからの経過時間を前記タイマーカウント部により最終計測後経過時間として計時する計時処理工程と、
所定の送信条件が満たされたとき、前記記憶部に記憶された複数の前記物理量データにより前記物理量データの計測順が判別可能に構成された物理量データ列と、前記計時処理工程により計時された前記最終計測後経過時間とを前記データ収集装置に送信する送信処理工程と、を行い、
前記データ収集装置にて、
前記物理量計測装置から前記物理量データ列と前記最終計測後経過時間とを受信する受信処理工程と、
前記時刻計測部により計測された前記現在時刻と、前記受信処理工程により受信された前記最終計測後経過時間とに基づいて、前記受信処理工程により受信された前記物理量データ列を構成する複数の前記物理量データの各々に対して前記物理量データとして前記物理量が計測されたときの計測時刻を特定する時刻特定処理工程と、
前記受信処理工程により受信された前記物理量データ列に、前記時刻特定処理工程により特定された前記計測時刻を前記物理量データ毎に対応付けて記憶装置に記憶する記憶処理工程と、を行う、
データ処理方法。
【請求項6】
計測対象の物理量を計測する物理量センサ、前記物理量センサにより前記物理量を計測した物理量データをリングバッファ形式で記憶する記憶部、及び、時間の経過に伴ってカウント値をカウントするタイマーカウント部を備えるとともに、1又は複数のデータ収集装置と通信可能に構成された物理量計測装置を用いて、データを提供するデータ提供方法であって、
前記タイマーカウント部によりカウントされた前記カウント値に基づいて、所定のサンプリング条件にて前記物理量センサにより前記物理量を計測したときの前記物理量データを前記記憶部に記憶する計測処理工程と、
前記物理量センサが前記物理量を最後に計測してからの経過時間を前記タイマーカウント部により最終計測後経過時間として計時する計時処理工程と、
所定の送信条件が満たされたとき、前記記憶部に記憶された複数の前記物理量データにより前記物理量データの計測順が判別可能に構成された物理量データ列と、前記計時処理工程により計時された前記最終計測後経過時間とを前記データ収集装置に送信する送信処理工程と、を行う、
データ提供方法。
【請求項7】
現在時刻を計測する時刻計測部を備えるとともに、1又は複数の物理量計測装置と通信可能に構成されたデータ収集装置を用いて、データを収集するデータ収集方法であって、
前記物理量計測装置から、所定のサンプリング条件にて計測対象の物理量をそれぞれ計測したときの複数の物理量データにより前記物理量データの計測順が判別可能に構成された物理量データ列と、前記物理量データとして前記物理量を最後に計測してからの経過時間を示す最終計測後経過時間とを受信する受信処理工程と、
前記時刻計測部により計測された前記現在時刻と、前記受信処理工程により受信された前記最終計測後経過時間とに基づいて、前記受信処理工程により受信された前記物理量データ列を構成する複数の前記物理量データの各々に対して前記物理量データとして前記物理量が計測されたときの計測時刻を特定する時刻特定処理工程と、
前記受信処理工程により受信された前記物理量データ列に、前記時刻特定処理工程により特定された前記計測時刻を前記物理量データ毎に対応付けて記憶装置に記憶する記憶処理工程と、を行う、
データ収集方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ処理システム、物理量計測装置、データ収集装置、データ処理方法、データ提供方法、及び、データ収集方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、監視対象物に計測装置を取り付けて、監視対象装置の状態を監視することが行われている。例えば、特許文献1には、電源モニタ情報抽出手段により抽出されたモニタ情報に、リアルタイムクロック(RTC)回路で計測した日時(計測時刻)を付加して、遠隔監視システムに送信する電源モニタ装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-34181号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された電源モニタ装置では、モニタ情報に計測時刻を付加するためのリアルタイムクロック回路を備えているため、コストアップの原因となっている。そこで、コスト低減のため、リアルタイムクロック回路を無くすことが考えられるが、リアルタイムクロック回路を単になくしただけでは、モニタ情報を解析する際に、どの時点で取得されたモニタ情報であるかが不明となり、例えば、モニタ情報を時系列で解析することが困難になってしまうという問題点があった。
【0005】
本発明は、上述した課題に鑑み、物理量を計測する計測装置側にリアルタイムクロック回路を備えることなく、物理量データの収集装置側で計測時刻を特定することを可能とするデータ処理システム、物理量計測装置、データ収集装置、データ処理方法、データ提供方法、及び、データ収集方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係るデータ処理システムは、
1又は複数の物理量計測装置と、前記物理量計測装置と通信可能に構成された1又は複数のデータ収集装置と、を備えるデータ処理システムであって、
前記物理量計測装置は、
計測対象の物理量を計測する物理量センサと、
前記物理量センサにより前記物理量を計測した物理量データをリングバッファ形式で記憶する記憶部と、
時間の経過に伴ってカウント値をカウントするタイマーカウント部と、
前記タイマーカウント部によりカウントされた前記カウント値に基づいて、所定のサンプリング条件にて前記物理量センサにより前記物理量を計測したときの前記物理量データを前記記憶部に記憶する計測処理部と、
前記物理量センサが前記物理量を最後に計測してからの経過時間を前記タイマーカウント部により最終計測後経過時間として計時する計時処理部と、
所定の送信条件が満たされたとき、前記記憶部に記憶された複数の前記物理量データにより前記物理量データの計測順が判別可能に構成された物理量データ列と、前記計時処理部により計時された前記最終計測後経過時間とを前記データ収集装置に送信する送信処理部と、を備え、
前記データ収集装置は、
現在時刻を計測する時刻計測部と、
前記物理量計測装置から前記物理量データ列と前記最終計測後経過時間とを受信する受信処理部と、
前記時刻計測部により計測された前記現在時刻と、前記受信処理部により受信された前記最終計測後経過時間とに基づいて、前記受信処理部により受信された前記物理量データ列を構成する複数の前記物理量データの各々に対して前記物理量データとして前記物理量が計測されたときの計測時刻を特定する時刻特定処理部と、
前記受信処理部により受信された前記物理量データ列に、前記時刻特定処理部により特定された前記計測時刻を前記物理量データ毎に対応付けて記憶装置に記憶する記憶処理部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係るデータ処理装置によれば、物理量計測装置が、サンプリング条件にて物理量センサが物理量をそれぞれ計測したときの複数の物理量データによりその計測順が判別可能に構成された物理量データ列と、物理量センサが物理量を最後に計測してからの経過時間をタイマーカウント部により計測した最終計測後経過時間とをデータ収集装置に送信し、データ収集装置が、時刻計測部により計測された現在時刻と、最終計測後経過時間とに基づいて、物理量データ列を構成する複数の物理量データの各々に対して計測時刻を特定する。したがって、物理量計測装置側にリアルタイムクロック回路を備えることなく、データ収集装置側で物理量データの各々における計測時刻を特定することができる。
【0008】
上記以外の課題、構成及び効果は、後述する発明を実施するための形態にて明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】データ処理システム1の一例を示す全体構成図である。
図2】物理量計測装置3の一例を示すブロック図である。
図3】物理量計測装置3の一例を示す機能説明図である。
図4】データ収集装置4の一例を示すブロック図である。
図5】データ収集装置4の一例を示す機能説明図である。
図6】各装置を構成するコンピュータ900の一例を示すハードウエア構成図である。
図7】物理量計測装置3(データ処理装置31)及びデータ収集装置4による動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明を実施するための実施形態について説明する。以下では、本発明の目的を達成するための説明に必要な範囲を模式的に示し、本発明の該当部分の説明に必要な範囲を主に説明することとし、説明を省略する箇所については公知技術によるものとする。
【0011】
図1は、データ処理システム1の一例を示す全体構成図である。データ処理システム1は、ポンプ装置2にて計測対象の物理量を計測したときの物理量データを処理し、ポンプ装置2を管理するためのシステムとして機能する。
【0012】
データ処理システム1は、その主要な構成として、監視対象のポンプ装置2と、ポンプ装置2に取付可能な物理量計測装置3と、物理量計測装置3と通信可能に構成されたデータ収集装置4と、データ収集装置4と通信可能に構成されたデータ管理装置5と、データ管理装置5と通信可能に構成された端末装置6とを備える。各装置2~6は、例えば、汎
用又は専用のコンピュータ(後述の図6参照)で構成されるとともに、ネットワーク7を介して各種のデータを相互に送受信可能に構成される。なお、各装置2~6の数は、図1の例に限られず、1つでもよいし、複数でもよい。
【0013】
ポンプ装置2は、任意の流体を移送する装置であり、例えば、インフラ設備(上水道、下水道等)やプラント設備(石油精製、発電、製造、化学プロセス等)に設置されて使用される。ポンプ装置2は、ポンプ部20と、ポンプ装置2の駆動源となるモータ21と、モータ21が発生した駆動力をポンプ部20に伝達する継手部22と、ポンプ装置2の動作を制御するポンプ制御盤23とを備える。
【0014】
ポンプ部20は、例えば、羽根車、回転軸、軸受、メカニカルシール、グランドパッキン、ケーシング、配管等で構成される。モータ21は、例えば、インバータモータ等の任意の形式のモータで構成される。継手部22は、例えば、カップリング、継手、ジョイント、軸受等で構成される。ポンプ制御盤23は、例えば、組込型コンピュータで構成され、ユーザ(ポンプ装置2の設置作業者や管理者等)により運転条件が設定された設定値と、ポンプ部20及びモータ21の各部に設けられたセンサ類(不図示)の検出値とに基づいて、モータ21の回転動作を制御する。なお、ポンプ装置2は、各装置3~6と通信可能に構成されていてもよい。
【0015】
物理量計測装置3は、ポンプ装置2に起因する物理量を計測する装置であり、例えば、ポンプ部20、モータ21又は継手部22の任意の位置に取り付けられる。物理量計測装置3は、計測対象の物理量を計測する物理量センサ30と、物理量センサ30により物理量を計測したときの物理量データを処理するデータ処理装置31と、物理量センサ30及びデータ処理装置31を内蔵し、ポンプ装置2に取付可能な筐体300とを備える。
【0016】
物理量センサ30による計測対象の物理量は、例えば、加速度(振動)、速度、変位、環境音等である。物理量センサ30は、例えば、加速度を計測可能な加速度センサ、速度を計測可能な速度センサ、変位を計測可能な変位センサ、環境音を計測可能なマイクロホン等で構成される。なお、計測対象の物理量は、上記の例に限られず、例えば、圧力、荷重、温度、電流値、電圧値等の物理量でもよく、その場合には、圧力センサ、荷重センサ、温度センサ、電流センサ、電圧センサ等の物理量センサ30が用いられる。また、物理量センサ30は、複数の物理量をそれぞれ計測するための複数のセンサを含むものでもよい。
【0017】
データ処理装置31は、物理量センサ30により計測された物理量を示すアナログ信号がデジタル信号に変換された物理量データを処理するための装置である。なお、データ処理装置31は、アナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換回路を備えていてもよいし、物理量センサ30からデジタル信号に変換後の物理量データを取得するものでもよい。
【0018】
筐体300の取付位置は、計測対象の物理量に応じて決められる。なお、ポンプ装置2には、1つの物理量計測装置3が取り付けられてもよいし、図1に示すように、複数の物理量計測装置3が取り付けられてもよい。複数の物理量計測装置3が取り付けられる場合には、共通の物理量を計測するものでもよいし、異なる物理量を計測するものでもよい。
【0019】
データ収集装置4は、ポンプ装置2の設置場所に所在するユーザ(ポンプ装置2の管理者や点検・修理作業者等)により使用されて、物理量計測装置3(具体的には、データ処理装置31)からデータを収集する装置であり、例えば、スマートフォンやタブレット等の携帯型コンピュータで構成される。データ収集装置4のユーザが、例えば、物理量計測装置3から所定の距離内に接近したときに、物理量計測装置3との間で通信が確立される
ことで、物理量計測装置3からデータを収集する。また、データ収集装置4は、アプリケーションやブラウザ等のプログラムがインストールされて、各種の入力操作を受け付けるとともに、物理量計測装置3から収集したデータを表示画面に表示したり、そのデータをデータ管理装置5に送信したりする。
【0020】
データ管理装置5は、データ収集装置4により収集されたデータを管理するためのデータベース50を備え、例えば、サーバ型コンピュータやクラウド型コンピュータで構成される。データ管理装置5は、データ収集装置4から受信したデータをデータベース50に格納したり、そのデータが所定の通知条件を満たすときに、通知情報を端末装置6に送信したり、データベース50に格納したデータの参照要求を端末装置6から受け付けたときに、データベース50の参照情報を端末装置6に送信したりする。
【0021】
端末装置6は、ポンプ装置2の設置場所から離れた遠隔地に所在するユーザ(ポンプ装置2の管理者や点検・修理作業者等)により使用される装置であり、例えば、据置型コンピュータや携帯型コンピュータで構成される。端末装置6は、アプリケーションやブラウザ等のプログラムがインストールされて、各種の入力操作を受け付けるとともに、各種の情報(通知情報やデータベース50の参照情報)を表示画面に表示する。なお、端末装置6は、データ収集装置4を兼用するものでもよい。
【0022】
ネットワーク7は、任意の通信規格に従って有線通信又は無線通信、あるいは、有線通信と無線通信の組合せにより構成される。具体的には、例えば、インターネット等の標準化された通信網、又はローカルネットワーク等の建物内で管理される通信網、あるいは、これらの通信網の組合せを利用することができる。また、無線通信の通信規格としては、典型的には国際規格が用いられる。国際規格の通信手段として、IEEE802.15.4、IEEE802.15.1、IEEE802.15.11a、11b、11g、11n、11ac、11ad、ISO/IEC14513-3-10、IEEE802.15.4g等の方式がある。また、Bluetooth(登録商標)、BluetoothLowEnergy、Wi-Fi、ZigBee(登録商標)、Sub-GHz、EnOcean(登録商標)、LTE等の方式を用いることもできる。
【0023】
図2は、物理量計測装置3の一例を示すブロック図である。図3は、物理量計測装置3の一例を示す機能説明図である。物理量計測装置3は、その主要な構成要素として、上記の物理量センサ30の他に、データ処理装置31を構成する制御部32、タイマーカウント部33、記憶部34、通信部35及び電源36を備える。
【0024】
制御部32は、例えば、記憶部34に記憶されたデータ処理プログラム340を実行することにより、計測処理部320、計時処理部321、及び、送信処理部322として機能する。
【0025】
タイマーカウント部33は、例えば、タイマー回路を内蔵する集積回路で構成され、時間の経過に伴ってカウント値Cをカウントする。タイマーカウント部33は、制御部32から各種のコマンドを受け付けて動作する。コマンドとしては、例えば、カウント値Cの読出やリセット、カウントの開始や終了、カウント値Cに基づく割込信号の発生周期等が挙げられる。なお、タイマーカウント部33は、制御部32に組み込まれて、制御部32の機能の一部として実現されるものでもよい。
【0026】
カウント値Cは、例えば、内部クロックをカウントした値(クロックカウント値)や、内部クロックのクロック周期(クロック周波数でもよい)に基づいてクロックカウント値を時間に換算した値(時間カウント値)等が用いられる。クロック周期が、例えば、0.1[ms]である場合には、クロックカウント値「600,000回」は、時間カウント
値としては「60,000ms」、すなわち、「60s」と換算される。本実施形態では、カウント値Cとして、時間カウント値を用いる場合について説明する。
【0027】
記憶部34は、物理量計測装置3の動作で使用される各種のプログラム(データ処理プログラム340等)やデータ(設定情報341、リングバッファデータ342、最終計測後経過時間Tf等)を記憶する。
【0028】
設定情報341には、例えば、物理量計測装置3が動作する際に制御部32により参照される設定パラメータとして、例えば、サンプリング条件が記憶されるとともに、データ収集装置4を介して設定可能に構成される。サンプリング条件は、物理量センサ30にて物理量を計測する計測時点を定める条件であり、例えば、サンプリング周期やサンプリング周波数により設定される。本実施形態では、サンプリング条件として、サンプリング周期Spが設定されている場合について説明する。
【0029】
リングバッファデータ342には、物理量センサ30により物理量を計測したときの物理量データDがリングバッファ形式で記憶される。リングバッファデータ342は、物理量データDを記憶可能な上限のデータ数に応じて確保されたメモリの領域(物理量データメモリ領域)を有し、図3に示すように、物理量データDを次回記憶するときのメモリアドレスAを示す次回記憶メモリアドレスAnと、物理量データDを次回記憶するときのインデックスIを示す次回記憶インデックスInとにより管理される。
【0030】
リングバッファデータ342は、そのデータ構成として、図3に示すように、物理量データメモリ領域に配列された各メモリアドレスAに対して、例えば、通し番号等により物理量データDの計測順が割り振られるインデックスIと、物理量データDの計測時点におけるタイマーカウント部33によるカウント値Cと、物理量センサ30により計測された物理量データDとをそれぞれ対応付けて記憶するためのバッファを有する。なお、カウント値Cは省略されてもよいし、カウント値Cが、例えば、累積値であり、物理量データDの計測順を示す情報として代用できる場合には、インデックスIは省略されてもよい。
【0031】
通信部35は、ネットワーク7を介して、例えば、データ収集装置4との間で各種のデータを送受信する通信インターフェースとして機能する。電源36は、例えば、一次電池、二次電池、太陽電池、燃料電池等で構成され、物理量計測装置3の各部に電力を供給する。なお、電源36は、ポンプ装置2から電力供給を受けるものでもよい。
【0032】
計測処理部320は、タイマーカウント部33によりカウントされたカウント値Cに基づいて、設定情報341で定められたサンプリング条件にて物理量センサ30が物理量を計測したときの物理量データDを記憶部34のリングバッファデータ342に記憶する。
【0033】
例えば、計測処理部320は、サンプリング条件としてのサンプリング周期Spに従ってタイマーカウント部33に割込信号を発生させるために、割込信号の発生周期を指示するコマンドをタイマーカウント部33に送る。そのコマンドを受け付けたタイマーカウント部33によるカウント値Cが割込信号の発生周期(=サンプリング周期Sp)を満たすと、計測処理部320は、タイマーカウント部33から割込信号を受け付けて、そのタイミング(計測時点)で物理量センサ30により物理量を計測し、物理量データDを取得する。そして、計測処理部320は、次回記憶メモリアドレスAnが示すバッファに対して、その取得した物理量データDとともに、次回記憶インデックスInが示すインデックスIと、割込信号を受け付けたときのタイマーカウント部33によるカウント値Cとを記憶する。さらに、計測処理部320は、次のバッファ(末尾のバッファの場合には、先頭のバッファに戻る)を示すメモリアドレスAに次回記憶メモリアドレスAnを更新するとともに、インデックスIをインクリメントすることで次回記憶インデックスInを更新する
【0034】
なお、計測処理部320は、物理量センサ30により計測された物理量に対して所定の演算を行うことにより物理量データDを取得するようにしてもよい。例えば、物理量データDに対する演算は、例えば、計測時点が異なる所定のデータ点数分の物理量データDに対して移動平均を求めるものであり、例えば、単純移動平均や加重移動平均等が挙げられる。
【0035】
計時処理部321は、物理量センサ30が物理量データDとして物理量を最後に計測してからの経過時間を最終計測後経過時間Tfとして計時する。例えば、計時処理部321は、物理量センサ30が物理量データDとして物理量を計測した計測時点と、最終計測後経過時間Tfを計時する対象となる計時対象時点とにおいて、カウント値Cの読出を指示するコマンドをタイマーカウント部33にそれぞれ送ることで、物理量データDの計測時点におけるタイマーカウント部33によるカウント値Cと、計時対象時点におけるタイマーカウント部33によるカウント値Cとの差分を取ることで、最終計測後経過時間Tfを計時する。
【0036】
なお、計時処理部321は、計測時点におけるカウント値Cとして、リングバッファデータ342に最後に記憶された物理量データDに対応するカウント値Cを用いて、最終計測後経過時間Tfを計時するようにしてもよい。また、計時処理部321は、物理量データDの計測時点において、カウント値Cのリセットを指示するコマンドをタイマーカウント部33に送ることで、計時対象時点におけるカウント値Cを用いて最終計測後経過時間Tfを計時するようにしてもよい。
【0037】
送信処理部322は、所定の送信条件が満たされたとき、記憶部34のリングバッファデータ342に記憶された複数の物理量データDにより構成された物理量データ列Dset1と、送信条件が満たされた送信条件充足時点(計時対象時点)において計時処理部321により計時された最終計測後経過時間Tfとをデータ収集装置4に送信する。なお、送信処理部322は、物理量データ列Dset1及び最終計測後経過時間Tfとともに、設定情報341で定められたサンプリング条件をデータ収集装置4に送信するようにしてもよい。
【0038】
送信条件は、例えば、データ収集装置4から物理量データDのデータ要求を受信したときや、リングバッファデータ342に記憶された物理量データDのデータ点数が所定の基準値を超えたとき等が挙げられる。
【0039】
物理量データ列Dset1は、物理量データDの計測順が判別可能に構成された複数の物理量データDからなるデータセットである。物理量データ列Dset1には、物理量データDの計測順を判別可能とするために、物理量データDの各々に対応するインデックスI及びカウント値Cの少なくとも一方が含まれる。最終計測後経過時間Tfは、送信条件が満たされた送信条件充足時点にて計時処理部321により計時されることで、物理量データ列Dset1を構成する複数の物理量データDのうち物理量データDとして物理量を最後に計測してから送信条件充足時点までの経過時間に相当する。図3では、物理量データ列Dset1として、100点の物理量データD1~D100で構成され、インデックスI及びカウント値Cを含む場合が例示されている。また、最終計測後経過時間Tfは、最後に計測した物理量データD100の計測時点からの経過時間である場合が例示されている。
【0040】
図4は、データ収集装置4の一例を示すブロック図である。図5は、データ収集装置4の一例を示す機能説明図である。データ収集装置4は、その主要な構成要素として、制御
部40、時刻計測部41、記憶部42、通信部43、入力部44及び出力部45を備える。
【0041】
制御部40は、例えば、記憶部42に記憶されたデータ収集プログラム420を実行することにより、受信処理部400、時刻特定処理部401、及び、記憶処理部402として機能する。
【0042】
時刻計測部41は、例えば、リアルタイムクロック(RTC)回路を内蔵する集積回路で構成され、現在時刻Tcを計測する。時刻計測部41は、制御部40から各種のコマンドを受け付けて動作する。コマンドとしては、例えば、現在時刻Tcの読出や設定等が挙げられる。なお、時刻計測部41は、制御部40に組み込まれて、制御部40の機能の一部として実現されるものでもよい。
【0043】
記憶部42は、データ収集装置4の動作で使用される各種のプログラム(データ収集プログラム420等)やデータ(設定情報421等)を記憶する。設定情報421には、例えば、データ収集装置4が動作する際に制御部40により参照される設定パラメータ(データ収集条件等)が記憶されるとともに、例えば、データ収集装置4を介して設定可能に構成される。
【0044】
通信部43は、ネットワーク7を介して、例えば、物理量計測装置3やデータ管理装置5との間で各種のデータを送受信する通信インターフェースとして機能する。入力部44及び出力部45は、ユーザの入力操作を受け付けるとともに、各種の情報を表示画面や音声を介して出力することでユーザインターフェースとして機能する。
【0045】
受信処理部400は、所定の収集条件が満たされたとき、物理量データDのデータ要求を物理量計測装置3に送信することで、その応答として、物理量計測装置3から物理量データ列Dset1と最終計測後経過時間Tfとを受信する。例えば、受信処理部400は、収集条件として、物理データの収集を指示するユーザの入力操作を受け付けたときや、設定情報421で定められたデータ収集条件が満たされたときや、物理データの収集を指示するデータ管理装置5からの実行指令を受信したとき等に、物理量データDのデータ要求を物理量計測装置3に送信する。なお、受信処理部400は、物理量計測装置3から物理量データ列Dset1及び最終計測後経過時間Tfとともに、サンプリング条件をさらに受信するようにしてもよい。
【0046】
時刻特定処理部401は、時刻計測部41により計測された現在時刻Tcと、受信処理部400により受信された最終計測後経過時間Tfとに基づいて、受信処理部400により受信された物理量データ列Dset1を構成する複数の物理量データDの各々に対して物理量データDとして物理量が計測されたときの計測時刻Tsを特定する。
【0047】
例えば、時刻特定処理部401は、現在時刻Tcの読出を指示するコマンドを時刻計測部41に送ることで、時刻計測部41により計測された現在時刻Tcを取得する。そして、物理量データ列Dset1が、例えば、図3及び図5に例示するように、100点の物理量データD1~D100で構成され、カウント値C1~C100を含む場合には、時刻特定処理部401は、現在時刻Tcを基準にして、現在時刻Tcから最終計測後経過時間Tfを減算した時刻を、最後に計測した物理量データD100の計測時刻Ts100(=Tc-Tf)と特定する。そして、時刻特定処理部401は、その計測時刻Ts100からカウント値C100を減算した時刻を、最後の計測時点から1サンプリング周期分前に計測した物理量データD99の計測時刻Ts99(=T100-C100)と特定し、その計測時刻Ts99からカウント値C99を減算した時刻を、最後の計測時点から2サンプリング周期分前に計測した物理量データD98の計測時刻Ts98(=T99-C99
)と特定し、このような処理を繰り返すことで、物理量データD1~D97の各々に対しても計測時刻Ts1~Ts97を特定する。
【0048】
なお、時刻特定処理部401は、サンプリング条件をさらに受信した場合には、現在時刻Tcと、最終計測後経過時間Tf及びサンプリング条件とに基づいて、物理量データ列Dset1を構成する複数の物理量データDの各々に対して計測時刻Tsを特定するようにしてもよい。その場合には、時刻特定処理部401は、計測時刻Tsを特定する際に、カウント値Cを減算する代わりに、例えば、サンプリング条件に基づくサンプリング周期Spに相当する時間を減算するようにすればよい。
【0049】
記憶処理部402は、受信処理部400により受信された物理量データ列Dset1に、時刻特定処理部401により特定された計測時刻Tsを物理量データD毎に対応付けて、記憶装置としてのデータベース50に記憶する。具体的には、記憶処理部402は、物理量データD及び計測時刻Tsを物理量データD毎に対応付けることで、物理量データD及び計測時刻Tsで構成される計測時刻付きの物理量データ列Dset2を生成する。そして、記憶処理部402は、その計測時刻付きの物理量データ列Dset2をデータ管理装置5に送信することで、データベース50に格納される。
【0050】
なお、計測時刻付きの物理量データ列Dset2は、データ収集装置4の表示画面に表示されてもよい。また、計測時刻付きの物理量データ列Dset2には、記憶処理部402(物理量計測装置3の送信処理部322でもよい)により、例えば、ポンプ装置2及び物理量計測装置3の少なくとも一方を識別するための識別情報(ポンプ装置2の装置ID、物理量計測装置3の装置ID等)が付加されてもよく、その場合には、計測時刻付きの物理量データ列Dset2に識別情報が関連付けられた状態でデータベース50に格納されるようにしてもよい。
【0051】
図6は、各装置を構成するコンピュータ900の一例を示すハードウエア構成図である。ポンプ装置2(主にポンプ制御盤23)、物理量計測装置3(主にデータ処理装置31)、データ収集装置4、データ管理装置5、及び、端末装置6の各々は、汎用又は専用のコンピュータ900により構成される。
【0052】
コンピュータ900は、図6に示すように、その主要な構成要素として、バス910、プロセッサ912、メモリ914、入力デバイス916、出力デバイス917、表示デバイス918、ストレージ装置920、通信I/F(インターフェース)部922、外部機器I/F部924、I/O(入出力)デバイスI/F部926、及び、メディア入出力部928を備える。なお、上記の構成要素は、コンピュータ900が使用される用途に応じて適宜省略されてもよい。
【0053】
プロセッサ912は、1つ又は複数の演算処理装置(CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro-Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、GPU(Graphics Processing Unit)、NPU(Neural Processing Unit)等)で構成され、コンピュータ900全体を統括する制御部として動作する。メモリ914は、各種のデータ及びプログラム930を記憶し、例えば、メインメモリとして機能する揮発性メモリ(DRAM、SRAM等)と、不揮発性メモリ(ROM)、フラッシュメモリ等とで構成される。
【0054】
入力デバイス916は、例えば、キーボード、マウス、テンキー、電子ペン等で構成され、入力部として機能する。出力デバイス917は、例えば、音(音声)出力装置、バイブレーション装置等で構成され、出力部として機能する。表示デバイス918は、例えば
、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、電子ペーパー、プロジェクタ等で構成され、出力部として機能する。入力デバイス916及び表示デバイス918は、タッチパネルディスプレイのように、一体的に構成されていてもよい。ストレージ装置920は、例えば、HDD、SSD等で構成され、記憶部として機能する。ストレージ装置920は、オペレーティングシステムやプログラム930の実行に必要な各種のデータを記憶する。
【0055】
通信I/F部922は、インターネットやイントラネット等のネットワーク940(図1のネットワーク7と同じであってもよい)に有線又は無線により接続され、所定の通信規格に従って他のコンピュータとの間でデータの送受信を行う通信部として機能する。外部機器I/F部924は、カメラ、プリンタ、スキャナ、リーダライタ等の外部機器950に有線又は無線により接続され、所定の通信規格に従って外部機器950との間でデータの送受信を行う通信部として機能する。I/OデバイスI/F部926は、各種のセンサ、アクチュエータ等のI/Oデバイス960に接続され、I/Oデバイス960との間で、例えば、センサによる検出信号やアクチュエータへの制御信号等の各種の信号やデータの送受信を行う通信部として機能する。メディア入出力部928は、例えば、DVDドライブ、CDドライブ等のドライブ装置、メモリカードスロット、USBコネクタで構成され、DVD、CD、メモリカード、USBメモリ等のメディア(非一時的な記憶媒体)970に対してデータの読み書きを行う。
【0056】
上記構成を有するコンピュータ900において、プロセッサ912は、ストレージ装置920に記憶されたプログラム930をメモリ914に呼び出して実行し、バス910を介してコンピュータ900の各部を制御する。なお、プログラム930は、ストレージ装置920に代えて、メモリ914に記憶されていてもよい。プログラム930は、インストール可能なファイル形式又は実行可能なファイル形式でメディア970に記録され、メディア入出力部928を介してコンピュータ900に提供されてもよい。プログラム930は、通信I/F部922を介してネットワーク940経由でダウンロードすることによりコンピュータ900に提供されてもよい。また、コンピュータ900は、プロセッサ912がプログラム930を実行することで実現する各種の機能を、例えば、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等のハードウエアで実現するものでもよい。
【0057】
コンピュータ900は、例えば、据置型コンピュータや携帯型コンピュータで構成され、任意の形態の電子機器である。コンピュータ900は、クライアント型コンピュータでもよいし、サーバ型コンピュータやクラウド型コンピュータでもよいし、例えば、制御盤、コントローラ(マイコン、プログラマブルロジックコントローラ、シーケンサを含む)等と呼ばれる組込型コンピュータでもよい。
【0058】
(データ処理方法)
図7は、物理量計測装置3(データ処理装置31)及びデータ収集装置4による動作の一例を示すフローチャートである。図7に示す一連の処理(データ処理方法)は、物理量計測装置3による処理(データ提供方法)と、データ収集装置4による処理(データ収集方法)とにより実行される。
【0059】
以下では、物理量計測装置3が、設定情報341で定められたサンプリング条件としてのサンプリング周期Spに従って物理量を繰り返し計測している状況において、データ収集装置4が、物理量データDの収集を指示するユーザの入力操作を受け付けた場合について、図7を参照して説明する。
【0060】
まず、ステップS100にて、物理量計測装置3の計測処理部320は、タイマーカウ
ント部33により計時されたカウント値Cに基づいて、サンプリング条件(本実施形態では、サンプリング周期Sp)に基づくタイミング(計測時点)にて割込信号を受け付けると、物理量センサ30により物理量を計測し、物理量データDを取得する。そして、計測処理部320は、その取得した物理量データDとともに、インデックスI及びカウント値Cをリングバッファデータ342に記憶する。その際、計測処理部320は、次回記憶メモリアドレスAn及び次回記憶インデックスInを更新する。
【0061】
サンプリング条件を満たす計測時点が到来する毎に、計測処理部320は、上記のステップS100を繰り返すことで、リングバッファデータ342には、物理量データDが蓄積される。
【0062】
一方、ステップS200にて、データ収集装置4の受信処理部400は、物理量データDの収集を指示するユーザの入力操作を受け付けると、物理量計測装置3との通信を開始し、物理量データDのデータ要求を物理量計測装置3に送信する。
【0063】
そして、ステップS110にて、送信処理部322は、データ収集装置4からデータ要求を受信し、送信条件が満たされたものと判断する。
【0064】
次に、ステップS111にて、送信処理部322は、リングバッファデータ342を参照し、複数の物理量データDにより構成された物理量データ列Dset1を取得する。
【0065】
次に、ステップS112にて、計時処理部321は、送信条件が満たされた送信条件充足時点において、物理量センサ30が物理量を最後に計測してからの経過時間を示す最終計測後経過時間Tfを計時する。すなわち、計時処理部321は、物理量データ列Dset1に含まれる複数の物理量データDのうち、最後に物理量を計測したときの物理量データDを記憶した計測時点から上記の送信条件充足時点までに経過した経過時間を最終計測後経過時間Tfとして計時する。
【0066】
次に、ステップS113にて、送信処理部322は、ステップS110にて取得した物理量データ列Dset1と、ステップS112にて計時された最終計測後経過時間Tfとをデータ収集装置4に送信する。
【0067】
そして、ステップS210にて、受信処理部400は、ステップS200に送信したデータ要求に対する応答として、物理量計測装置3から物理量データ列Dset1及び最終計測後経過時間Tfを受信する。
【0068】
次に、ステップS211にて、時刻特定処理部401は、現在時刻Tcの読出を指示するコマンドを時刻計測部41に送ることで、時刻計測部41により計測された現在時刻Tcを取得する。
【0069】
そして、ステップS212にて、時刻特定処理部401は、ステップS211にて取得した現在時刻Tcと、ステップS210にて受信された最終計測後経過時間Tfとに基づいて、ステップS210にて受信された物理量データ列Dset1を構成する複数の物理量データDの各々に対して計測時刻Tsを特定する。
【0070】
次に、ステップS213にて、記憶処理部402は、ステップS210にて受信された物理量データ列Dset1に、ステップS212にて特定された計測時刻Tsを物理量データD毎に対応付けることで、計測時刻付きの物理量データ列Dset2を生成する。そして、記憶処理部402は、その計測時刻付きの物理量データ列Dset2をデータ管理装置5に送信することで、記憶装置としてのデータベース50に記憶する。
【0071】
以上のようにして、一連の処理を終了する。なお、物理量計測装置3による処理(データ提供方法)において、ステップS100が計測処理工程、ステップS110~S111、S112が計時処理工程、ステップS113が送信処理工程に相当する。また、データ収集装置4による処理(データ収集方法)において、ステップS200、S210が受信処理工程、ステップS211、S212が時刻特定処理工程、ステップS213が記憶処理工程に相当する。
【0072】
本発明に係るデータ処理システム1によれば、物理量計測装置3(データ処理装置31)が、サンプリング条件にて物理量センサ30が物理量をそれぞれ計測したときの複数の物理量データDによりその計測順が判別可能に構成された物理量データ列Dset1と、物理量センサ30が物理量を最後に計測してからの経過時間をタイマーカウント部33により計測した最終計測後経過時間Tfとをデータ収集装置に送信し、データ収集装置が、時刻計測部41により計測された現在時刻Tcと、最終計測後経過時間Tfとに基づいて、物理量データ列Dset1を構成する複数の物理量データDの各々に対して計測時刻Tsを特定する。したがって、物理量計測装置3(データ処理装置31)側にリアルタイムクロック回路を備えることなく、データ収集装置4側で物理量データDの各々における計測時刻Tsを特定することができる。
【0073】
(他の実施形態)
本発明は上述した実施形態に制約されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することが可能である。そして、それらはすべて、本発明の技術思想に含まれるものである。
【0074】
上記実施形態では、データ処理装置31が、ポンプ装置2とは別体の装置である物理量計測装置3で実現される場合について説明したが、データ処理装置31の機能の一部又は全部(特に制御部32の機能)が、ポンプ装置2のポンプ制御盤23に組み込まれることによりポンプ装置2で実現されていてもよい。その場合には、物理量センサ30と、ポンプ制御盤23とを有線又は無線により接続し、各種のデータを送受信するようにすればよい。また、ポンプ装置2が、物理量センサ30を備えるようにしてもよい。
【0075】
上記実施形態では、物理量計測装置3により送信された物理量データ列Dset1は、データ収集装置4により計測時刻付きの物理量データ列Dset2としてデータ管理装置5に送信されて、記憶装置としてのデータベース50に格納される場合について説明したが、計測時刻付きの物理量データ列Dset2の送信先の装置や格納先の記憶装置は適宜変更されてもよい。例えば、計測時刻付きの物理量データ列Dset2は、データ管理装置5や端末装置6に送信されてもよいし、データ収集装置4や端末装置6が備える記憶装置に格納されてもよい。
【0076】
上記実施形態では、物理量計測装置3(データ処理装置31)が、図7に示すフローチャートに従って動作する場合について説明したが、各ステップの実行順序を適宜変更してもよいし、一部のステップを省略してもよい。
【0077】
上記実施形態では、物理量計測装置3は、ポンプ装置2に取り付けられる場合について説明したが、例えば、冷凍機、気体機械、工作機械、プレス機器、搬送機器、診断機器等の各種の装置に取り付けられてもよい。その場合には、物理量センサ30は、各種の装置に起因する物理量を計測するようにすればよい。
【符号の説明】
【0078】
1…データ処理システム、2…ポンプ装置、3…物理量計測装置、
4…データ収集装置、5…データ管理装置、6…端末装置、7…ネットワーク、
20…ポンプ部、21…モータ、22…継手部、23…ポンプ制御盤、
30…物理量センサ、31…データ処理装置、32…制御部、
33…タイマーカウント部、34…記憶部、35…通信部、36…電源、
40…制御部、41…時刻計測部、42…記憶部、43…通信部、44…入力部、
45…出力部、50…データベース、300…筐体、
320…計測処理部、321…計時処理部、322…送信処理部、
340…データ処理プログラム、341…設定情報、342…リングバッファデータ、
400…受信処理部、401…時刻特定処理部、402…記憶処理部、
420…データ収集プログラム、421…設定情報、
C…カウント値、D…物理量データ、Dset1、Dset2…物理量データ列、
Sp…サンプリング周期、Tc…現在時刻、Tf…最終計測後経過時間、Ts…計測時刻
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7