(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024050245
(43)【公開日】2024-04-10
(54)【発明の名称】管理装置及び管理プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/40 20240101AFI20240403BHJP
G06Q 10/20 20230101ALI20240403BHJP
【FI】
G06Q50/30
G06Q10/00 300
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022156985
(22)【出願日】2022-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】000005902
【氏名又は名称】株式会社三井E&S
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】永井 道生
(72)【発明者】
【氏名】二又 浩文
【テーマコード(参考)】
5L010
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L010AA20
5L049AA20
5L049CC41
5L050CC41
(57)【要約】
【課題】船舶の主機における異常又は故障に効率良く対応すること。
【解決手段】実施形態の、管理サーバは、取得部及び提供部を有する。取得部は、主機を搭載した船舶から、主機の予備のパーツであって船舶に積まれたパーツに関する情報と、主機の運転に関する情報を取得する。提供部は、取得部によって取得された情報を基に、主機の運用を支援するための情報を提供する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
主機を搭載した船舶から、前記主機の予備のパーツであって前記船舶に積まれたパーツに関する情報と、前記主機の運転に関する情報を取得する取得部と、
前記取得部によって取得された情報を基に、前記主機の運用を支援するための情報を提供する提供部と、
を有することを特徴とする管理装置。
【請求項2】
前記取得部によって取得された情報を基に、前記船舶に積まれた前記パーツの数量を記録するデータベースを更新する更新部と、
前記データベースを基に、前記船舶において前記パーツが不足しているか否かを判定する判定部と、
をさらに有し、
前記提供部は、前記判定部による判定結果に応じた情報を前記船舶に提供することを特徴とする請求項1に記載の管理装置。
【請求項3】
前記取得部は、前記主機の異常検知結果をさらに取得し、
前記提供部は、前記船舶の異常対応を支援する装置に、前記異常検知結果とともに、前記運転に関する情報を提供することを特徴とする請求項1に記載の管理装置。
【請求項4】
主機を搭載した船舶から、前記主機の予備のパーツであって前記船舶に積まれたパーツに関する情報と、前記主機の運転に関する情報を取得する取得ステップと、
前記取得ステップによって取得された情報を基に、前記主機の運用を支援するための情報を提供する提供ステップと、
をコンピュータに実行させることを特徴とする管理プログラム。
【請求項5】
前記取得ステップによって取得された情報を基に、前記船舶に積まれた前記パーツの数量を記録するデータベースを更新する更新ステップと、
前記データベースを基に、前記船舶において前記パーツが不足しているか否かを判定する判定ステップと、
をさらに実行させ、
前記提供ステップは、前記判定ステップによる判定結果に応じた情報を前記船舶に提供することを特徴とする請求項4に記載の管理プログラム。
【請求項6】
前記取得ステップは、前記主機の異常検知結果をさらに取得し、
前記提供ステップは、前記船舶の異常対応を支援する装置に、前記異常検知結果とともに、前記運転に関する情報を提供することを特徴とする請求項4に記載の管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、管理装置及び管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
船舶に搭載された主機に異常又は故障が発生すると、その対応のため船舶の正常な航行が不可能になり、運航遅延といった問題が発生する。また、そのような異常又は故障の発生を防止するためには、日常のメンテナンスが必要である。
【0003】
従来、主機に異常又は故障が発生した場合、船舶の乗員及び工務監督が、エンジン(又は主機)のメーカの担当者と連絡を取りながら修理等の対応をすることになる。
【0004】
また、従来、船舶の運航状態を監視し、異常な運航状態及び機器の異常を発見し、メンテナンス時期を把握するシステムが知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の技術には、船舶の主機における異常又は故障に効率良く対応できない場合があるという問題がある。
【0007】
例えば、従来の技術では、各船舶のメンテナンスに関する情報が、船舶側とメーカ側で十分に共有されず、メーカ側が適切な支援をできない場合がある。
【0008】
1つの側面では、船舶の主機における異常又は故障に効率良く対応することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
1つの態様において、管理装置は、主機を搭載した船舶から、主機の予備のパーツであって船舶に積まれたパーツに関する情報と、主機の運転に関する情報を取得する取得部と、取得部によって取得された情報を基に、主機の運用を支援するための情報を提供する提供部と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
実施形態の1つの態様によれば、船舶の主機における異常又は故障に効率良く対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、第1の実施形態に係る管理システムの構成例を示す図である。
【
図2】
図2は、第1の実施形態に係る管理サーバの構成例を示す図である。
【
図3】
図3は、主機パーツ予備情報の例を示す図である。
【
図4】
図4は、主機パーツ在庫情報の例を示す図である。
【
図6】
図6は、第1の実施形態に係る管理サーバの処理の流れを示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、第2の実施形態に係る管理システムの構成例を示す図である。
【
図8】
図8は、第2の実施形態に係る管理サーバの処理の流れを示すフローチャートである。
【
図9】
図9は、実施形態に係る管理サーバのハードウェア構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本開示による管理装置及び管理プログラムを実施するための形態(以下、「実施形態」と記載する)について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態により本開示が限定されるものではない。
【0013】
本実施形態の目的の1つは、船舶の主機における異常又は故障に効率良く対応することである。
【0014】
[実施形態の構成]
図1を用いて、管理システムについて説明する。
図1は、第1の実施形態に係る管理システムの構成例を示す図である。
【0015】
図1に示すように、管理システム1は、管理サーバ10、船舶20、船主端末30、保険会社サーバ40、及びブローカ端末50を有する。管理システム1に含まれる装置は、いずれもコンピュータによって実現される。また、管理サーバ10は管理装置の一例である。
【0016】
コンピュータは、例えばクラウド上又はローカル環境に設置されたサーバ、デスクトップ型又はラップトップ型のPC、スマートフォン等の携帯型端末である。また、船舶20は、例えばECU(Engine Control Unit)によりコンピュータとしての機能を実現する。以降の説明において、船舶を主体とした処理は、船舶に搭載されたコンピュータによって実行されるものとする。
【0017】
管理システム1に含まれる各装置は、図中の線で接続された装置とデータの通信を行うことができる。例えば、管理システム1の各装置は、インターネットを介してデータ通信を行ってもよいし、ノード間で直接的にデータ通信を行ってもよい。例えば、各装置は、モバイルネットワーク(例えばLTE(Long Term Evolution)、5G)、ローカル無線通信(例えばWi-Fi(登録商標))、又は船舶向けの衛星通信を介して通信を行う。
【0018】
第1の実施形態では、管理サーバ10は、複数の船舶に搭載されている主機のパーツの管理を支援する。なお、
図1には、1つの船舶が示されているが、実際には複数の船舶が管理サーバ10と接続される。
【0019】
例えば、船舶20では、主機が故障した際にパーツの交換が行われる場合がある。また、パーツが不足した場合、船舶20、又は船舶20の船主が使用する船主端末30からメーカに対してパーツの注文が行われる。
【0020】
船舶20に積まれる予備のパーツの数量、及びメーカが確保するパーツの在庫の数量は、いずれも多過ぎても少なく過ぎても問題がある。例えば、船舶20の予備のパーツの数量が少なすぎると、パーツが不足し故障に対応できない場合がある。また、例えば、メーカが確保するパーツの在庫の数量が少なすぎると、船舶20からの注文に対してすぐにパーツを手配できない場合がある。また、いずれの数量も多すぎると、在庫管理のコストが余計に必要になる。
【0021】
管理サーバ10は、船舶20に予備として積まれているパーツの情報と、主機又はメーカ側のパーツの在庫及び手配状況に関する情報とを保持する。そして、そして、管理サーバ10は、保持している情報を用いて、メーカと船舶20との間で、パーツのマッチングを行う。メーカと船舶20は、管理サーバ10によるマッチングの結果に従って、確保するパーツの適切な数量を決定することができる。なお、パーツのマッチングについては後述する。
【0022】
図2を用いて、管理サーバ10の構成を説明する。
図2は、第1の実施形態に係る管理サーバの構成例を示す図である。
【0023】
ここでは、管理サーバ10は、クラウド上に設置されたサーバであるものとする。つまり、管理システム1の各装置は、インターネットを介して管理サーバ10と接続される。
【0024】
図2に示すように、管理サーバ10は、通信部11、記憶部12及び制御部13を有する。
【0025】
通信部11は、他の装置との間でデータの通信を行う。例えば、通信部11は、NIC(Network Interface Controller)のような通信インタフェースである。
【0026】
記憶部12は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、光ディスク、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ、NVSRAM(Non Volatile Static Random Access Memory)等の記憶装置である。
【0027】
記憶部12は、管理サーバ10で実行されるプログラムに関するデータを記憶する。例えば、記憶部12は、主機パーツ予備情報121、主機パーツ在庫情報122、及び主機履歴情報123を記憶する。
【0028】
主機パーツ予備情報121は、複数の船舶のそれぞれにおいて確保されている主機のパーツに関する情報である。
図3は、主機パーツ予備情報の例を示す図である。
【0029】
図3に示すように、主機パーツ予備情報121には、「船舶ID」、「パーツID」及び「数量」という項目が含まれる。
【0030】
項目「船舶ID」は、船舶を識別するための情報である。また、項目「パーツID」は、パーツを識別するための情報である。また、項目「数量」は、項目「船舶ID」によって識別される船舶に積まれた、項目「パーツID」によって識別されるパーツの数量である。
【0031】
例えば、
図3には、船舶「A011」にパーツ「B211」が1個積まれていることが示されている。
【0032】
主機パーツ在庫情報122は、メーカが船舶に手配(販売、配送)するパーツに関する情報である。
図4は、主機パーツ在庫情報の例を示す図である。
【0033】
図4に示すように、主機パーツ在庫情報122には、「パーツID」、「数量」、「単価」、「納期」、「手配先」、「手配個数」という項目が含まれる。
【0034】
項目「パーツID」は、パーツを識別するための情報である。項目「数量」は、項目「パーツID」によって識別されるパーツのメーカにおける在庫の数量である。項目「単価」は、項目「パーツID」によって識別されるパーツの基準となる販売単価である。項目「納期」は、項目「パーツID」によって識別されるパーツの基準となる納期である。
【0035】
また、項目「手配先」、項目「パーツID」によって識別されるパーツの手配先の船舶を識別する情報である。項目「手配個数」、項目「パーツID」によって識別されるパーツの手配中の個数である。
【0036】
例えば、
図4には、パーツ「B211」の在庫数量が15個であり、単価が「¥500,000」であり、納期が5営業日であり、船舶「A011」に3個のパーツが手配中であることが示されている。
【0037】
主機履歴情報123は、複数の船舶のそれぞれにおける履歴情報である。
図5は、主機履歴情報の例を示す図である。例えば、履歴情報は、メンテナンスの記録、異常又故障といったイベントに関する情報である。
【0038】
図5に示すように、主機履歴情報123には、「船舶ID」、「日時」、「内容」、「運転データ」という項目が含まれる。
【0039】
項目「船舶ID」は、船舶を識別するための情報である。項目「日時」は、イベントが発生した日時である。項目「内容」は、イベントの内容である。項目「運転データ」は、イベントが発生した際の主機の運転データである。
【0040】
例えば、
図5には、船舶「A011」で「2022/9/1 15:04」に定期メンテナンスが実施され、その時の主機の積算運転時間が2124時間であったことが示されている。
【0041】
制御部13は、管理サーバ10全体を制御する。制御部13は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)等の電子回路や、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路である。
【0042】
また、制御部13は、各種の処理手順を規定したプログラム及び制御データを格納するための内部メモリを有し、内部メモリを用いて各処理を実行する。また、制御部13は、各種のプログラムが動作することにより各種の処理部として機能する。
【0043】
例えば、制御部13は、取得部131、更新部132、マッチング部133及び提供部134として機能する。なおマッチング部133は判定部の一例である。
【0044】
取得部131は、他の装置から情報を取得する。取得部131は、専用のAPI(Application Programming Interface)を用いて、船舶20及びメーカから情報を取得することができる。
【0045】
取得部131は、主機を搭載した船舶から、主機の予備のパーツであって船舶に積まれたパーツに関する情報(例えば、数量)と、主機の運転に関する情報(例えば、運転データ及び履歴情報)を取得する。また、取得部131は、メーカから、各パーツの在庫の数量及び手配状況を取得する。
【0046】
取得部131は、取得した情報を基に主機パーツ予備情報121、主機パーツ在庫情報122及び主機履歴情報123を作成する。
【0047】
更新部132は、取得部131によって取得された情報を基に、主機パーツ予備情報121、主機パーツ在庫情報122及び主機履歴情報123を更新する。主機パーツ予備情報121は、船舶に積まれたパーツの数量を記録するデータベースの一例である。
【0048】
例えば、
図5の4行目に示すように、更新部132は、取得部131によって取得された情報を基に、船舶「A011」、日時「2022/9/5 19:30」、内容「臨時メンテナンスを実施 B211を交換」というレコードを主機履歴情報123に追加する。このとき、更新部132は、「B211を交換」という情報を基に、主機パーツ予備情報121の船舶「A011」のパーツ「B211」の数量を1だけ減少させる。
【0049】
マッチング部133は、メーカと船舶20との間でパーツのマッチングを行う。具体的には、マッチング部133は、主機パーツ予備情報121、主機パーツ在庫情報122及び主機履歴情報123を基に、メーカ及び船舶20におけるパーツの数量の多寡を判定する。このような判定処理により、パーツの数量が少なすぎる、又は多すぎるメーカ及び船舶20を特定することをマッチングと呼ぶ。
【0050】
まず、マッチング部133は、主機パーツ予備情報121を参照し、各船舶における各パーツの数量と閾値(上限値及び下限値)を比較する。これにより、マッチング部133は、データベースを基に、船舶においてパーツが不足しているか否かを判定する。
【0051】
数量が上限値を超えているパーツについて、マッチング部133は予備の数量が多すぎると判定する。
【0052】
一方、数量が下限値以下であるかパーツについて、マッチング部133は、不足していると判定し、下限値から主機パーツ予備情報121の数量を引いた値を、不足分として計算する。
【0053】
ここでは、閾値を2とする。
図3の例では、船舶「A011」、「A012」、「A013」において、パーツ「B211」の数量が下限値以下であるため、マッチング部133は、それぞれの不足分を1と計算する。このとき、マッチング部133は、各船舶について不足量を合計し、不足量の合計を3と計算する。
【0054】
マッチング部133は、不足量の合計と主機パーツ在庫情報122における数量(メーカの在庫量)とを比較する。不足量の合計が主機パーツ在庫情報122における数量を超えている場合、マッチング部133は、メーカの在庫量が不足していると判定する。
【0055】
一方、不足量の合計が主機パーツ在庫情報122における数量以下である場合、マッチング部133は、メーカの在庫量が不足していない判定する。さらに、主機パーツ在庫情報122における数量が、船舶の数×基準値(例えば4)を超えている場合、マッチング部133は、メーカの在庫量が多すぎると判定する。
【0056】
図4の例では、パーツ「B211」の数量は15であり、不足量の合計である3を超えている。このため、マッチング部133は、メーカの在庫量は不足していないと判定する。ただし、パーツ「B211」の数量が3(船舶の数)×4(基準値)=12を超えているため、マッチング部133は、メーカの在庫量が多すぎると判定する。
【0057】
提供部134は、取得部131によって取得された情報を基に、主機の運用を支援するための情報を提供する。提供部134は、マッチング部133による判定結果に応じた情報を、船舶20、船主端末30及びメーカに提供する。
【0058】
例えば、船舶20における予備のパーツの数量が下限値以下であれば、船舶20又は船舶20の船主が使用する船主端末30に、メーカからパーツを購入することを促すメッセージを送信する。
【0059】
一方、マッチング部133によってメーカの在庫量が不足していると判定された場合、提供部134は、メーカにパーツの生産を促すメッセージを送信する。
【0060】
また、管理サーバ10は、主機履歴情報123を保険会社が使用する保険会社サーバ40に提供してもよい。この場合、保険会社は、提供された情報を基に、船主に対してテレマティックス保険を提供することができる。
【0061】
管理サーバ10は、船主端末30を介してブローカ端末50へ主機履歴情報123を提供してもよい。これにより、ブローカと船主との間で船舶の売買が行われる際に主機履歴情報123が利用される。
【0062】
図6を用いて、第1の実施形態における管理サーバ10の処理の流れを説明する。
図6は、第1の実施形態に係る管理サーバの処理の流れを示すフローチャートである。
【0063】
図6に示すように、まず、管理サーバ10は、船舶ごとの主機パーツの情報を取得し、主機パーツ予備情報121を作成する(ステップS101)。
【0064】
次に、管理サーバ10は、主機履歴情報123に応じて主機パーツ予備情報121を更新する(ステップS102)。管理サーバ10は、船主又はメーカからマッチング依頼があるまで(ステップS103、No)、ステップS102を繰り返す。
【0065】
船主又はメーカからマッチング依頼があった場合(ステップS103、Yes)、管理サーバ10は、主機パーツ予備情報121と主機パーツ在庫情報122を参照してマッチングを行う(ステップS104)。そして、管理サーバ10は、マッチングの結果を、船舶、船主又はメーカに提供する。
【0066】
管理サーバ10は、マッチング依頼に応じてマッチングを行う代わりに、一定期間ごとに自動的にマッチングを行うようにしてもよい。
【0067】
[第1の実施形態の効果]
これまで説明してきたように、管理サーバ10は、取得部131、更新部132、マッチング部133及び提供部134を有する。取得部131は、主機を搭載した船舶から、主機の予備のパーツであって船舶に積まれたパーツに関する情報と、主機の運転に関する情報を取得する。提供部134は、取得部131によって取得された情報を基に、主機の運用を支援するための情報を提供する。船舶においては、提供された情報を基に、船舶の主機における異常又は故障に効率良く対応できるようになる。
【0068】
また、更新部132は、取得部131によって取得された情報を基に、船舶に積まれたパーツの数量を記録するデータベースを更新する。マッチング部133は、データベースを基に、船舶においてパーツが不足しているか否かを判定する。提供部134は、マッチング部133による判定結果に応じた情報を船舶に提供する。
【0069】
これにより、船舶では、予備のパーツが不足しないようにメーカに補充依頼を行うことができる。また、メーカは、船舶の状況に応じてパーツの販売を行うことができる。
【0070】
[第2の実施形態]
管理サーバ10は、主機のパーツの管理だけでなく、主機に異常が発生した際の支援を行うことができる。第2の実施形態では、管理サーバ10は、船舶の主機に異常が発生した際に支援を行う支援サーバに情報を提供する。
【0071】
図7は、第2の実施形態に係る管理システムの構成例を示す図である。
図7に示すように、管理システム2は、管理サーバ10、船舶20、船主端末30、保険会社サーバ40、ブローカ端末50、及び支援サーバ60を有する。
【0072】
支援サーバ60は、船主端末30(又は船舶20)と、船舶20の主機に関する技術的な支援を行う支援担当者との間の情報の送受信を行う。例えば、支援サーバ60と船主端末30とは、専用回線による線陸間通信で接続される。
【0073】
例えば、支援サーバ60は、船主と支援担当者とが利用できるテレビ電話システムを提供する。また、支援サーバ60は、船舶20に異常が発生した際に、事前に用意された文書又は動画のマニュアルを船主端末30に提供する。
【0074】
ここで、管理サーバ10の取得部131は、船舶20から主機の異常検知結果をさらに取得する。そして、提供部134は、船舶20の異常対応を支援する支援サーバ60に、異常検知結果とともに、運転に関する情報(主機履歴情報123)を提供する。
【0075】
また、提供部134は、主機パーツ予備情報121を支援サーバ60に提供する。このため、支援担当者は、船舶20に積まれた予備のパーツを考慮して支援を行うことができる。例えば、支援担当者は、主機パーツ予備情報121を基に、異常対応のために新たなパーツの調達が必要であるか否かを判断できる。
【0076】
管理サーバ10が、主機履歴情報123を支援サーバ60に提供することで、支援担当者は船舶20の監視を行うことができる。例えば、支援担当者は、軽微な異常の検知結果及び主機履歴情報123を基に、大きなトラブルの発生を未然に予測することができる。
【0077】
図8を用いて、第2の実施形態における管理サーバ10の処理の流れを説明する。
図8は、第2の実施形態に係る管理サーバの処理の流れを示すフローチャートである。
【0078】
図8に示すように、まず、管理サーバ10は、船舶ごとの主機パーツの情報を取得し、主機パーツ予備情報121を作成する(ステップS201)。
【0079】
次に、管理サーバ10は、主機履歴情報123に応じて主機パーツ予備情報121を更新する(ステップS202)。管理サーバ10は、船主から支援依頼があるまで(ステップS203、No)、ステップS202を繰り返す。
【0080】
支援依頼があった場合(ステップS203、Yes)、管理サーバ10は、主機パーツ予備情報121と主機履歴情報123を支援サーバ60に提供する(ステップS204)。
【0081】
図9は、実施形態に係る管理サーバのハードウェア構成例を示す図である。
図9に示すように、管理サーバ10は、プロセッサ1010と、メモリ1020と、入出力IF1030と、バス1040とを備えるコンピュータを含む。プロセッサ1010、メモリ1020、及び入出力IF1030は、バス1040によって互いに情報の送受信が可能である。
【0082】
プロセッサ1010は、メモリ1020に記憶された管理プログラムを読み出して実行することによって、各機能を実行する。プロセッサ1010は、例えば、処理回路の一例であり、CPU、DSP(Digital Signal Processor)、及びシステムLSI(Large Scale Integration)のうち1つ以上を含む。
【0083】
メモリ1020は、RAM、ROM、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、及びEEPROM(登録商標)(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)のうち1つ以上を含む。入出力IF1030は、例えば、AD変換器、DA変換器、及び入出力ポート等を含む。
【0084】
なお、管理サーバ10は、コンピュータが読み取り可能な管理プログラムが記録された記録媒体から管理プログラムを読み出すデータ読出部を備える構成であってもよい。プロセッサ1010は、データ読出部を制御して記録媒体に記録された管理プログラムをデータ読出部から取得し、取得した管理プログラムをメモリ1020に記憶させることができる。記録媒体は、例えば、不揮発性又は揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク、フレキシブルメモリ、光ディスク、コンパクトディスク、及びDVD(Digital Versatile Disc)のうち1つ以上を含む。
【0085】
また、管理サーバ10は、ネットワークを介してサーバから管理プログラムを受信する通信部を備えていてもよい。この場合、プロセッサ1010は、通信部を介してサーバから管理プログラムを取得し、取得した管理プログラムをメモリ1020に記憶させることができる。
【0086】
また、管理サーバ10は、ASIC及びFPGA等の集積回路を含んでいてもよい。
【0087】
今回開示された実施形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。実に、上記した実施形態は多様な形態で具現され得る。また、上記の実施形態は、添付の特許請求の範囲及びその趣旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されてもよい。
【符号の説明】
【0088】
1、2 管理システム
10 管理サーバ
11 通信部
12 記憶部
13 制御部
20 船舶
30 船主端末
40 保険会社サーバ
50 ブローカ端末
60 支援サーバ
121 主機パーツ予備情報
122 主機パーツ在庫情報
123 主機履歴情報
131 取得部
132 更新部
133 マッチング部
134 提供部
【手続補正書】
【提出日】2023-05-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
主機を搭載した船舶から、前記船舶に積まれた前記主機の予備のパーツの数量と、前記主機の運転に関する情報と、を取得する取得部と、
前記取得部によって取得された情報を基に、前記船舶に積まれた前記パーツの数量を記録するデータベースを更新する更新部と、
前記データベースを基に、前記船舶において前記パーツが不足しているか否かを判定する判定部と、
前記取得部によって取得された情報、及び前記判定部による判定の結果を基に、前記主機の運用を支援するための情報を提供する提供部と、
を有することを特徴とする管理装置。
【請求項2】
前記取得部は、前記パーツのメーカにおける在庫の数量をさらに取得し、
前記判定部は、前記パーツの前記メーカにおける在庫の数量をさらに記録する前記データベースを更新し、
前記判定部は、前記データベースを基に、前記メーカにおいて前記パーツが不足しているか否かをさらに判定することを特徴とする請求項1に記載の管理装置。
【請求項3】
前記取得部は、前記主機の異常検知結果をさらに取得し、
前記提供部は、前記船舶の異常対応を支援する装置に、前記異常検知結果とともに、前記運転に関する情報を提供することを特徴とする請求項1に記載の管理装置。
【請求項4】
主機を搭載した船舶から、前記船舶に積まれた前記主機の予備のパーツの数量と、前記主機の運転に関する情報を取得する取得ステップと、
前記取得ステップによって取得された情報を基に、前記船舶に積まれた前記パーツの数量を記録するデータベースを更新する更新ステップと、
前記データベースを基に、前記船舶において前記パーツが不足しているか否かを判定する判定ステップと、
前記取得ステップによって取得された情報、及び前記判定ステップによる判定の結果を基に、前記主機の運用を支援するための情報を提供する提供ステップと、
をコンピュータに実行させることを特徴とする管理プログラム。
【請求項5】
前記取得ステップは、前記パーツのメーカにおける在庫の数量をさらに取得し、
前記判定ステップは、前記パーツの前記メーカにおける在庫の数量をさらに記録する前記データベースを更新し、
前記判定ステップは、前記データベースを基に、前記メーカにおいて前記パーツが不足しているか否かをさらに判定することを特徴とする請求項4に記載の管理プログラム。
【請求項6】
前記取得ステップは、前記主機の異常検知結果をさらに取得し、
前記提供ステップは、前記船舶の異常対応を支援する装置に、前記異常検知結果とともに、前記運転に関する情報を提供することを特徴とする請求項4に記載の管理プログラム。
【手続補正書】
【提出日】2023-09-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
主機を搭載した船舶から、前記船舶に積まれた前記主機の予備のパーツの数量と、前記パーツのメーカにおける在庫の数量と、前記主機の運転に関する情報と、を取得する取得部と、
前記取得部によって取得された情報を基に、前記船舶に積まれた前記パーツの数量と、前記パーツの前記メーカにおける在庫の数量と、を記録するデータベースを更新する更新部と、
前記データベースを基に、前記船舶において前記パーツが不足しているか否か、及び前記メーカにおいて前記パーツが不足しているか否かを判定する判定部と、
前記取得部によって取得された情報、及び前記判定部による判定の結果を基に、前記主機の運用を支援するための情報を提供する提供部と、
を有することを特徴とする管理装置。
【請求項2】
前記取得部は、前記主機の異常検知結果をさらに取得し、
前記提供部は、前記船舶の異常対応を支援する装置に、前記異常検知結果とともに、前記運転に関する情報を提供することを特徴とする請求項1に記載の管理装置。
【請求項3】
主機を搭載した船舶から、前記船舶に積まれた前記主機の予備のパーツの数量と、前記パーツのメーカにおける在庫の数量と、前記主機の運転に関する情報を取得する取得ステップと、
前記取得ステップによって取得された情報を基に、前記船舶に積まれた前記パーツの数量と、前記パーツの前記メーカにおける在庫の数量と、を記録するデータベースを更新する更新ステップと、
前記データベースを基に、前記船舶において前記パーツが不足しているか否か、及び前記メーカにおいて前記パーツが不足しているか否かを判定する判定ステップと、
前記取得ステップによって取得された情報、及び前記判定ステップによる判定の結果を基に、前記主機の運用を支援するための情報を提供する提供ステップと、
をコンピュータに実行させることを特徴とする管理プログラム。
【請求項4】
前記取得ステップは、前記主機の異常検知結果をさらに取得し、
前記提供ステップは、前記船舶の異常対応を支援する装置に、前記異常検知結果とともに、前記運転に関する情報を提供することを特徴とする請求項3に記載の管理プログラム。
【手続補正書】
【提出日】2024-03-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
主機を搭載した船舶から、前記船舶に積まれた前記主機の予備のパーツの数量と、前記主機の運転に関する情報とを取得し、メーカから前記パーツのメーカにおける在庫の数量を取得する取得部と、
前記船舶に積まれた前記パーツの数量を含む主機パーツ予備情報と、前記メーカにおける在庫の数量を含む主機パーツ在庫情報と、を記憶する記憶部と、
前記取得部によって取得された情報を基に、前記主機パーツ予備情報及び前記主機パーツ在庫情報を更新する更新部と、
前記主機パーツ予備情報及び前記主機パーツ在庫情報を基に、前記船舶において前記パーツが不足しているか否か、及び前記メーカにおいて前記パーツが不足しているか否かを判定する判定部と、
前記取得部によって取得された情報、及び前記判定部による判定の結果を基に、前記主機の運用を支援するための情報を提供する提供部と、
を有することを特徴とする管理装置。
【請求項2】
前記取得部は、前記主機の異常検知結果をさらに取得し、
前記提供部は、前記船舶の異常対応を支援する装置に、前記異常検知結果とともに、前記運転に関する情報を提供することを特徴とする請求項1に記載の管理装置。
【請求項3】
主機を搭載した船舶から、前記船舶に積まれた前記主機の予備のパーツの数量と、前記主機の運転に関する情報とを取得し、メーカから前記パーツのメーカにおける在庫の数量を取得する取得ステップと、
記憶部に記憶された、前記船舶に積まれた前記パーツの数量を含む主機パーツ予備情報と、前記メーカにおける在庫の数量を含む主機パーツ在庫情報と、を、前記取得ステップによって取得された情報を基に更新する更新ステップと、
前記主機パーツ予備情報及び前記主機パーツ在庫情報を基に、前記船舶において前記パーツが不足しているか否か、及び前記メーカにおいて前記パーツが不足しているか否かを判定する判定ステップと、
前記取得ステップによって取得された情報、及び前記判定ステップによる判定の結果を基に、前記主機の運用を支援するための情報を提供する提供ステップと、
をコンピュータに実行させることを特徴とする管理プログラム。
【請求項4】
前記取得ステップは、前記主機の異常検知結果をさらに取得し、
前記提供ステップは、前記船舶の異常対応を支援する装置に、前記異常検知結果とともに、前記運転に関する情報を提供することを特徴とする請求項3に記載の管理プログラム。