(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024050295
(43)【公開日】2024-04-10
(54)【発明の名称】画像処理装置、システム、画像処理方法、及び画像処理プログラム
(51)【国際特許分類】
A61B 8/14 20060101AFI20240403BHJP
【FI】
A61B8/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022157094
(22)【出願日】2022-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】江畑 徹郎
【テーマコード(参考)】
4C601
【Fターム(参考)】
4C601BB03
4C601DD14
4C601EE09
4C601GA18
4C601GA21
4C601GA26
4C601GC03
4C601GD04
4C601JB34
4C601JC06
4C601JC37
4C601KK31
(57)【要約】
【課題】光学カメラ画像と、超音波画像との位置合わせの精度を高めることができる画像処理装置、システム、画像処理方法、及び画像処理プログラムを提供する。
【解決手段】光学カメラ画像により識別可能な第1の特徴、及び超音波画像により識別可能な第2の特徴を有しているマーカであり、第1の特徴及び第2の特徴により他のマーカとの区別が可能な複数のマーカが被検体の上に設けられた状態で撮影された光学カメラ画像及び超音波画像を取得し、超音波画像から、関心領域を検出し、光学カメラ画像から、マーカを表す第1マーカ画像を検出し、超音波画像から、マーカを表す第2マーカ画像を検出し、第1マーカ画像の第1の特徴、及び第2マーカ画像の第2の特徴に基づいて、被検体の光学カメラ画像と被検体の超音波画像との位置合わせを行って、被検体の光学カメラ画像に関心領域を表す画像を重畳させた状態で表示させる画像処理装置。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのプロセッサを備え、
前記プロセッサは、
光学カメラ画像により識別可能な第1の特徴、及び超音波画像により識別可能な第2の特徴を有しているマーカであり、前記第1の特徴及び前記第2の特徴により他のマーカとの区別が可能な複数のマーカが被検体の上に設けられた状態で光学カメラにより撮影された前記被検体の光学カメラ画像、及び超音波画像撮影装置により撮影された前記被検体の超音波画像を取得し、
前記被検体の超音波画像から、関心領域を検出し、
前記被検体の光学カメラ画像から、前記マーカを表す第1マーカ画像を検出し、
前記被検体の超音波画像から、前記マーカを表す第2マーカ画像を検出し、
前記第1マーカ画像の前記第1の特徴、及び前記第2マーカ画像の前記第2の特徴に基づいて、前記被検体の光学カメラ画像と前記被検体の超音波画像との位置合わせを行って、前記被検体の光学カメラ画像に前記関心領域を表す画像を重畳させた状態で表示させる、
画像処理装置。
【請求項2】
前記第1の特徴は、色、形状、及び大きさの少なくとも一方に応じた特徴である
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記第2の特徴は、輝度、配置されている深さ、形状、及び大きさの少なくとも一方に応じた特徴である
請求項1に距離の画像処理装置。
【請求項4】
前記関心領域は血管である
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記プロセッサは、
前記被検体の表面に沿って走査され、前記超音波画像を生成するためのプローブの位置を、前記第1マーカ画像及び前記第2マーカ画像の少なくとも一方に基づいて導出し、
前記プローブの位置が、予め定められた撮影位置以外である場合、警告を表す情報を出力する
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項6】
複数の前記マーカは、複数の列をなして配置されており、前記被検体の超音波画像の撮影が、1回の走査で複数の列の撮影を行い、かつ前記列をずらしながら複数回行われる場合、
前記予め定められた撮影位置は、前回撮影した複数の列の一部と、今回撮影する複数の列の一部とが、重複する位置である
請求項5に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記プロセッサは、
複数の前記超音波画像に含まれる前記第2マーカ画像が1つの場合、警告を表す情報を出力する
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項8】
複数の前記マーカは、複数の列をなして配置されており、前記複数の超音波画像の撮影が、1回の走査で複数の列の撮影を行う場合であって 前記被検体の超音波画像に含まれる前記第2マーカ画像が1つの場合、
前記プロセッサは、
複数の前記マーカの配置間隔に基づいて、前記マーカの配置に対するプローブの角度を推定し、
推定した前記プローブの角度、前記第1マーカ画像の前記第1の特徴、及び前記第2マーカ画像の前記第2の特徴に基づいて、前記被検体の光学カメラ画像と前記被検体の超音波画像との位置合わせを行う
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記超音波画像撮影装置と、
前記光学カメラと、
前記複数のマーカと、
請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の画像処理装置と、
を備えたシステム。
【請求項10】
光学カメラ画像により識別可能な第1の特徴、及び超音波画像により識別可能な第2の特徴を有しているマーカであり、前記第1の特徴及び前記第2の特徴により他のマーカとの区別が可能な複数のマーカが被検体の上に設けられた状態で光学カメラにより撮影された前記被検体の光学カメラ画像、及び超音波画像撮影装置により撮影された前記被検体の超音波画像を取得し、
前記被検体の超音波画像から、関心領域を検出し、
前記被検体の光学カメラ画像から、前記マーカを表す第1マーカ画像を検出し、
前記被検体の超音波画像から、前記マーカを表す第2マーカ画像を検出し、
前記第1マーカ画像の前記第1の特徴、及び前記第2マーカ画像の前記第2の特徴に基づいて、前記被検体の光学カメラ画像と前記被検体の超音波画像との位置合わせを行って、前記被検体の光学カメラ画像に前記関心領域を表す画像を重畳させた状態で表示させる、
処理をプロセッサが実行する画像処理方法。
【請求項11】
光学カメラ画像により識別可能な第1の特徴、及び超音波画像により識別可能な第2の特徴を有しているマーカであり、前記第1の特徴及び前記第2の特徴により他のマーカとの区別が可能な複数のマーカが被検体の上に設けられた状態で光学カメラにより撮影された前記被検体の光学カメラ画像、及び超音波画像撮影装置により撮影された前記被検体の超音波画像を取得し、
前記被検体の超音波画像から、関心領域を検出し、
前記被検体の光学カメラ画像から、前記マーカを表す第1マーカ画像を検出し、
前記被検体の超音波画像から、前記マーカを表す第2マーカ画像を検出し、
前記第1マーカ画像の前記第1の特徴、及び前記第2マーカ画像の前記第2の特徴に基づいて、前記被検体の光学カメラ画像と前記被検体の超音波画像との位置合わせを行って、前記被検体の光学カメラ画像に前記関心領域を表す画像を重畳させた状態で表示させる、
処理をプロセッサに実行させるための画像処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、画像処理装置、システム、画像処理方法、及び画像処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
被検体に向けて送信した超音波による超音波エコーを受信し、受信した超音波エコーに基づく受信信号を出力する超音波プローブを用いて被検体の超音波画像を撮影する超音波画像撮影装置が知られている。また、超音波画像の撮影において、被検体の表面を光学カメラにより撮影して光学カメラ画像を取得する技術が知られている。
【0003】
同一の被検体に対して超音波画像及び光学カメラ画像の撮影を行う技術として、例えば特許文献1に記載の技術が知られている。特許文献1に記載の技術では、被検体の体の特定の位置にプローブを当て、被検体とプローブとの位置関係を初期化した後、プローブを用いて撮影された光音響波画像(超音波画像)と、光学撮像画像(光学カメラ画像)とに写るマーカから、光音響波画像と光学撮影画像との位置合わせ行う技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の技術では、光学カメラ画像と、超音波画像との位置合わせを十分に行えない場合があった。例えば、特許文献1に記載の技術では、同種の複数のマーカを設けるため、光学撮像画像に写るマーカと、超音波画像に写るマーカとの対応付けを誤る可能性があった。光学撮像画像に写るマーカと、超音波画像に写るマーカとの対応付けを誤った場合、光音響波画像と光学撮像画像との位置合わせの精度が低くなってしまう。
【0006】
本開示は上記事情を考慮して成されたものであり、光学カメラ画像と、超音波画像との位置合わせの精度を高めることができる画像処理装置、システム、画像処理方法、及び画像処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本開示の第1の態様の画像処理装置は、少なくとも1つのプロセッサを備え、プロセッサは、光学カメラ画像により識別可能な第1の特徴、及び超音波画像により識別可能な第2の特徴を有しているマーカであり、第1の特徴及び第2の特徴により他のマーカとの区別が可能な複数のマーカが被検体の上に設けられた状態で光学カメラにより撮影された被検体の光学カメラ画像、及び超音波画像撮影装置により撮影された被検体の超音波画像を取得し、被検体の超音波画像から、関心領域を検出し、被検体の光学カメラ画像から、マーカを表す第1マーカ画像を検出し、被検体の超音波画像から、マーカを表す第2マーカ画像を検出し、第1マーカ画像の第1の特徴、及び第2マーカ画像の第2の特徴に基づいて、被検体の光学カメラ画像と被検体の超音波画像との位置合わせを行って、被検体の光学カメラ画像に関心領域を表す画像を重畳させた状態で表示させる。
【0008】
本開示の第2の態様の画像処理装置は、第1の態様の画像処理装置において、第1の特徴は、色、形状、及び大きさの少なくとも一方に応じた特徴である。
【0009】
本開示の第3の態様の画像処理装置は、第1の態様の画像処理装置において、第2の特徴は、輝度、配置されている深さ、形状、及び大きさの少なくとも一方に応じた特徴である。
【0010】
本開示の第4の態様の画像処理装置は、第1の態様の画像処理装置において、関心領域は血管である。
【0011】
本開示の第5の態様の画像処理装置は、第1の態様の画像処理装置において、プロセッサは、被検体の表面に沿って走査され、超音波画像を生成するためのプローブの位置を、第1マーカ画像及び第2マーカ画像の少なくとも一方に基づいて導出し、プローブの位置が、予め定められた撮影位置以外である場合、警告を表す情報を出力する。
【0012】
本開示の第6の態様の画像処理装置は、第5の態様の画像処理装置において、複数のマーカは、複数の列をなして配置されており、被検体の超音波画像の撮影が、1回の走査で複数の列の撮影を行い、かつ列をずらしながら複数回行われる場合、予め定められた撮影位置は、前回撮影した複数の列の一部と、今回撮影する複数の列の一部とが、重複する位置である。
【0013】
本開示の第7の態様の画像処理装置は、第1の態様の画像処理装置において、プロセッサは、複数の超音波画像に含まれる第2マーカ画像が1つの場合、警告を表す情報を出力する。
【0014】
本開示の第8の態様の画像処理装置は、第1の態様の画像処理装置において、複数のマーカは、複数の列をなして配置されており、複数の超音波画像の撮影が、1回の走査で複数の列の撮影を行う場合であって 被検体の超音波画像に含まれる第2マーカ画像が1つの場合、プロセッサは、複数のマーカの配置間隔に基づいて、マーカの配置に対するプローブの角度を推定し、推定したプローブの角度、第1マーカ画像の第1の特徴、及び第2マーカ画像の第2の特徴に基づいて、被検体の光学カメラ画像と被検体の超音波画像との位置合わせを行う。
【0015】
また、上記目的を達成するために本開示の第9の態様のシステムは、超音波画像撮影装置と、光学カメラと、複数のマーカと、本開示の画像処理装置と、を備える。
【0016】
また、上記目的を達成するために本開示の第10の態様の画像処理方法は、光学カメラ画像により識別可能な第1の特徴、及び超音波画像により識別可能な第2の特徴を有しているマーカであり、第1の特徴及び第2の特徴により他のマーカとの区別が可能な複数のマーカが被検体の上に設けられた状態で光学カメラにより撮影された被検体の光学カメラ画像、及び超音波画像撮影装置により撮影された被検体の超音波画像を取得し、被検体の超音波画像から、関心領域を検出し、被検体の光学カメラ画像から、マーカを表す第1マーカ画像を検出し、被検体の超音波画像から、マーカを表す第2マーカ画像を検出し、第1マーカ画像の第1の特徴、及び第2マーカ画像の第2の特徴に基づいて、被検体の光学カメラ画像と被検体の超音波画像との位置合わせを行って、被検体の光学カメラ画像に関心領域を表す画像を重畳させた状態で表示させる処理をプロセッサが実行するための方法である。
【0017】
また、上記目的を達成するために本開示の第11の態様の画像処理プログラムは、光学カメラ画像により識別可能な第1の特徴、及び超音波画像により識別可能な第2の特徴を有しているマーカであり、第1の特徴及び第2の特徴により他のマーカとの区別が可能な複数のマーカが被検体の上に設けられた状態で光学カメラにより撮影された被検体の光学カメラ画像、及び超音波画像撮影装置により撮影された被検体の超音波画像を取得し、被検体の超音波画像から、関心領域を検出し、被検体の光学カメラ画像から、マーカを表す第1マーカ画像を検出し、被検体の超音波画像から、マーカを表す第2マーカ画像を検出し、第1マーカ画像の第1の特徴、及び第2マーカ画像の第2の特徴に基づいて、被検体の光学カメラ画像と被検体の超音波画像との位置合わせを行って、被検体の光学カメラ画像に関心領域を表す画像を重畳させた状態で表示させる、処理をプロセッサに実行させるためのものである。
【発明の効果】
【0018】
本開示によれば、光学カメラ画像と、超音波画像との位置合わせの精度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】実施形態の医療画像撮影システムにおける全体の構成の一例を示すブロック図である。
【
図2】受信回路の構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】画像生成部の構成の一例を示すブロック図である。
【
図5】被検体上にマーカ群を配置した状態の一例を示す図である。
【
図6A】実施形態のマーカ群の一例を示す斜視図である。
【
図6B】
図6Aに示した対マーカ群を矢印A方向から見た平面図である。
【
図6C】
図6Aに示した対マーカ群を矢印B方向から見た平面図である。
【
図7】被検体上にマーカ群が設けられた状態で撮影された光学カメラ画像の一例である。
【
図8】被検体上にマーカ群が設けられた状態で撮影された超音波画像の一例である。
【
図9】実施形態のマーカ特徴情報の一例を説明するための図である。
【
図10】実施形態の超音波画像撮影装置の本体部の機能に係る構成の一例を表す機能ブロック図である。
【
図11】実施形態の医療画像撮影システムによる処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図12】超音波画像の撮影における超音波プローブの位置について説明するための図である。
【
図13】実施形態の超音波画像撮影装置の本体部で実行される画像処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図14】光学カメラ画像と超音波画像との位置合わせ方法について説明するための図である。
【
図15】血管を表す画像が重畳された光学カメラ画像について説明するための図である。
【
図16】超音波画像における超音波プローブの位置について説明するための図である。
【
図17】実施形態の超音波画像撮影装置の撮影制御部で実行される撮影所魚処理の一例を示すフローチャートである。
【
図18A】光学カメラ画像と超音波画像との位置合わせの方法の他の例について説明するための図である。
【
図18B】光学カメラ画像と超音波画像との位置合わせの方法の他の例について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、本実施形態は本発明を限定するものではない。
【0021】
まず、本実施形態の医療画像撮影システム1について、全体の構成の一例について説明する。
図1には、本実施形態の医療画像撮影システム1について全体の構成の一例を表したブロック図が示されている。
図1に示すように本実施形態の医療画像撮影システム1は、超音波画像撮影装置13、光学カメラ14、及びマーカ群16を備える。本実施形態の医療画像撮影システム1が、本開示のシステムの一例である。
【0022】
図1に示すように、本実施形態の超音波画像撮影装置13は、超音波プローブ10及び本体部12を備える。
【0023】
超音波プローブ10は、振動子アレイ20と、送信回路24及び受信回路26を含む送受信回路22とを備える。振動子アレイ20は、1次元状、又は2次元状に配列された複数の振動子(図示省略)を備える。一例として本実施形態では、超音波プローブ10が、複数の振動子が直線状に配列されたリニア型の超音波プローブである形態について説明する。なお、超音波プローブ10は、本形態に限定されず、振動子が湾曲して配列されたコンベックス型又はセクタ型の超音波プローブであってもよい。複数の振動子の各々は、送信回路24から印加される駆動信号に基づいて超音波を送信するとともに、被検体内で生じた超音波エコーを受信して、受信した超音波エコーに応じた電気信号を出力する。
【0024】
複数の振動子の各々は、例えば、PZT(Lead Zirconate Titanate)に代表される圧電セラミック、PVDF(Poly Vinylidene Di Fluoride)に代表される高分子圧電素子、及び、PMN-PT(Lead Magnesium Niobate-Lead Titanate)に代表される圧電単結晶等の圧電性を有する材料である圧電体の両端に電極を形成することにより構成される。
【0025】
送信回路24は、振動子アレイ20から被検体に向けて超音波ビームの送信を行わせる。具体的には、送信回路24は、例えば、複数のパルス発生器(図示省略)を含んでおり、本体部12の撮影制御部90からの制御信号に応じて選択された送信遅延パターンに基づき、振動子アレイ20が有する複数の振動子の各々に対して、それぞれの遅延量を調整して駆動信号を供給して電圧を印加する。それぞれの駆動信号は、パルス状又は連続波状の電圧信号であり、振動子アレイ20の振動子の電極に電圧が印加されると、圧電体が伸縮する。以上の結果、それぞれの振動子からパルス状又は連続波状の超音波が発生し、それらの超音波の合成波から超音波ビームが形成される。
【0026】
送信された超音波ビームは、被検体内の各部位(例えば、血管及び他の組織等)及び被検体内に配置された器具等にて反射されることで超音波エコーが発生する。発生した超音波エコーは、被検体内を伝搬して振動子アレイ20が有する複数の振動子によって受信される。各振動子は、受信した超音波エコーに応じた電気信号を発生させる。各振動子において発生した電気信号は受信回路26に出力される。
【0027】
受信回路26は、本体部12の撮影制御部90からの制御信号に従い、振動子アレイ20から出力される信号(厳密には、アナログの電気信号)に対する処理を行って、音線信号を生成する。
図2には、本実施形態の受信回路26の構成の一例を表すブロック図が示されている。
図2に示すように受信回路26は、例えば、増幅部50、AD(Analog Digital)変換部52、及びビームフォーマ54を有する。
【0028】
増幅部50は、振動子アレイ20が有する複数の振動子の各々から出力された電気信号を増幅し、増幅後の電気信号をAD変換部52に出力する。AD変換部52は、増幅後の電気信号をデジタルの受信データに変換し、変換された各受信データをビームフォーマ54に出力する。ビームフォーマ54は、本体部12の撮影制御部90からの制御信号に応じて選択された受信遅延パターンに基づいて設定される音速又は音速の分布に従い、AD変換部52によって変換された各受信データに対してそれぞれの遅延を与えて加算して、受信フォーカス処理を行う。この受信フォーカス処理により、AD変換部52で変換された各受信データが整相加算され、且つ、超音波エコーの焦点が絞り込まれた音線信号が生成される。生成された音線信号は、本体部12の通信I/F(Interface)部40を介して画像生成部46に出力される。
【0029】
一方、本体部12は、プロセッサ30、メモリ32、記憶部34、通信I/F部40、入力I/F部42、表示部44、及び画像生成部46を備える。プロセッサ30、メモリ32、記憶部34、通信I/F部40、入力I/F部42、表示部44、及び画像生成部46はシステムバスやコントロールバス等のバス49を介して相互に各種情報の授受が可能に接続されている。
【0030】
プロセッサ30は、記憶部34に記憶された画像処理プログラム36を含む各種のプログラムをメモリ32へ読み出し、読み出したプログラムに従った処理を実行する。これにより、プロセッサ30は、超音波画像の撮影や、超音波画像及び光学カメラ画像に対する画像処理に関する制御を行う。メモリ32は、プロセッサ30が処理を実行するためのワークメモリである。
【0031】
記憶部34には、画像生成部46により生成された超音波画像の画像データ、光学カメラ14から取得した光学カメラ画像の画像データ、画像処理プログラム36、詳細を後述するマーカ特徴情報38、及びその他の各種情報等が記憶される。記憶部34の具体例としては、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、及びSD(Secure Digital)カード等が挙げられる。
【0032】
通信I/F部40は、WiFi(登録商標)又はBluetooth(登録商標)等の無線通信、若しくは有線通信により、超音波プローブ10、光学カメラ14、及び本体部12の外部の装置との間で各種情報の通信を行う。本体部12からは通信I/F部40を介して超音波プローブ10に超音波画像を撮影するための制御信号が出力される。また、超音波プローブ10から通信I/F部40を介して本体部12に音線信号が入力される。また、光学カメラ14から通信I/F部40を介して本体部12に光学カメラ画像を表す画像データが入力される。以下、光学カメラ画像を表す画像データを単に、「光学カメラ画像」という。例えば、本体部12には、光学カメラ14から光学カメラ画像が入力される、という。
【0033】
入力I/F部42及び表示部44はユーザインタフェースとして機能する。表示部44は、ユーザに対して、超音波画像の撮影に関する各種の情報を提供する。表示部44は特に限定されるものではなく、液晶モニタ及びLED(Light Emitting Diode)モニタ等が挙げられる。また、入力I/F部42は、超音波画像の撮影等に関する各種の指示を入力するためにユーザによって操作される。入力I/F部42は特に限定されるものではなく、例えば、キーボード、タッチペン、及びマウス等が挙げられる。なお、入力I/F部42及び表示部44を一体化したタッチパネルディスプレイを採用してもよい。
【0034】
画像生成部46は、超音波プローブ10の受信回路26から入力された音線信号に基づいて超音波画像を生成する機能を有する。
図3には、本実施形態の画像生成部46の構成の一例を表すブロック図が示されている。
図3に示すように画像生成部46は、例えば、信号処理部60、DSC(Digital Scan Converter)62、及び画像処理部64を有する。信号処理部60は、受信回路26によって生成された音線信号に対し、超音波の反射位置の深度に応じて距離による減衰の補正を施した後、包絡線検波処理を施すことにより、超音波画像Uを示すBモード画像信号を生成する。DSC62は、信号処理部60で生成されたBモード画像信号を通常のテレビジョン信号の走査方式に従う画像信号にラスター変換等により変換する。画像処理部64は、DSC62から入力されるBモード画像信号に階調処理等の各種の必要な画像処理を施した後、Bモード画像信号を出力する。画像生成部46から出力されたBモード画像信号が、超音波画像Uに相当する。
【0035】
画像生成部46により生成された超音波画像Uの一例を
図4に示す。
図4に示した超音波画像Uには、血管Bの横断面が示されている。ここで、血管Bの横断面とは、血管Bの延出方向と直交する切断面を意味する。なお、本実施形態では、
図4に示すように、超音波画像Uにおいて、体表面Sと被検体の内部とを結ぶ方向を深度方向Dという超音波画像U中の血管Bの各部分は、深度方向Dにおいて、超音波プローブ10が接触した被検体の体表面Sからの距離、すなわち深度に応じた位置に表示される。
【0036】
一方、光学カメラ14は、可視光を受光し、受光した可視光に基づいて光学カメラ画像を生成する。光学カメラ14により得られた光学カメラ画像は、超音波画像撮影装置13に出力される。
【0037】
マーカ群16は、複数のマーカ70を含んでおり、被検体の上に設けられる。超音波画像撮影装置13及び光学カメラ14は、マーカ群16が被検体の上に設けられた状態で被検体及びマーカ群16の撮影を行う。
図5には、被検体Wの上にマーカ群16を設けた状態の一例が示されている。また、
図6Aには、本実施形態のマーカ群16の一例を表す斜視図が示されている。また、
図6Bには、
図6Aに示したマーカ群16を矢印A方向から見た平面図が示されており、
図6Cには、
図6Aに示したマーカ群16を矢印B方向から見た平面図が示されている。
【0038】
図5及び
図6A~
図6Cに示すように、本実施形態のマーカ群16は、ゲルパッド72中に10種類のマーカ70A~70Dが埋め込まれている。なお、本実施形態では、10種類のマーカ70A~70Dの各々について種類を区別せずに総称する場合、種類を示す符号を省略してマーカ70という。
【0039】
ゲルパッド72は、音響インピーダンスが水、または人体の軟組織に近似した材料により形成される。ゲルパッド72の材料としては、例えば、ウレタンゴムやシリコーンゴムなどの非含水ゲル物質、及びポリビニルアルコールやポリエチレンオキサイド等の高分子含水ゲル等が挙げられる。
【0040】
マーカ70は、光学カメラ画像により識別可能な第1の特徴と、超音波画像により識別可能な第2の特徴とを有している。マーカ70A~70Dの各々は、第1の特徴により光学カメラ画像において他の種のマーカ70との区別が可能とされている。本実施形態では、第1の特徴として、マーカ70の表面の色を採用している。表面の色は、マーカの種類に応じて4種類(4色)ある。具体的には、マーカ70Aは表面が赤色であり、マーカ70Bは表面が緑色であり、マーカ70Cは表面が青色であり、マーカ70Dは表面が紫色である。従って、マーカ70を撮影した光学カメラ画像におけるマーカ70を表す画像の色に基づいて、マーカ70が4種類のうちのいずれであるかを識別することができる。以下、本実施形態では、光学カメラ画像におけるマーカ画像を「第1マーカ画像」という。
図7には、光学カメラ14により撮影された光学カメラ画像Pの一例が示されている。具体的には、第1マーカ画像75(75A)の色が赤色であれば、マーカ70Aであると識別できる。また、第1マーカ画像75(75B)の色が緑色であれば、マーカ70Bであると識別でき、第1マーカ画像75(75C)の色が青色であれば、マーカ70Cであると識別でき、第1マーカ画像75(75D)の色が紫色であれば、マーカ70Dであると識別できる。
【0041】
また、マーカ70A~70Dの各々は、第2の特徴により超音波画像Uにおいて他の種のマーカ70との区別が可能とされている。本実施形態では、第2の特徴として、マーカ70がゲルパッド72に埋め込まれている深さを採用している。ゲルパッド72に埋め込まれている深さは、超音波画像Uの深度方向Dに対応している。埋め込まれている深さはマーカの種類に応じて4種類ある。具体的には、マーカ70Aは、ゲルパッド72の表面から5mmの位置に埋め込まれている。また、マーカ70Bは、ゲルパッド72の表面から10mmの位置に埋め込まれている。また、マーカ70Cは、ゲルパッド72の表面から15mmの位置に埋め込まれている。また、マーカ70Dは、ゲルパッド72の表面から20mmの位置に埋め込まれている。なお、深さ5mmの位置に埋め込まれているとは、マーカ70の中心(重心)が、ゲルパッド72の表面から5mmの位置に存在することをいう。また、同様に、深さ10mmの位置に埋め込まれているとは、マーカ70の中心(重心)が、ゲルパッド72の表面から10mmの位置に存在することをいう。同様に、深さ15mmの位置に埋め込まれているとは、マーカ70の中心(重心)が、ゲルパッド72の表面から15mmの位置に存在することをいう。同様に、深さ20mmの位置に埋め込まれているとは、マーカ70の中心(重心)が、ゲルパッド72の表面から20mmの位置に存在することをいう。従って、マーカ70を撮影した超音波画像Uにおける、マーカ70を表すマーカ画像の深度方向Dの位置に基づいて、マーカ70が4種類のうちのいずれであるかを識別することができる。以下、本実施形態では、超音波画像Uにおけるマーカ画像を「第2マーカ画像」という。
図8には、超音波画像撮影装置13により撮影された超音波画像Uの一例が示されている。
図8に示した超音波画像Uには、マーカ70Aに対応する第2マーカ画像76A、及びマーカ70Bに対応する第2マーカ画像76Bが含まれている。具体的には、第2マーカ画像76(76A)の深さが5mmであれば、マーカ70Aであると識別できる。また、第2マーカ画像76(76B)の深さが10mmであれば、マーカ70Bであると識別でき、第2マーカ画像76の深さが15mmであれば、マーカ70Cであると識別でき、第2マーカ画像76の深さが20mmであれば、マーカ70Dであると識別できる。
【0042】
図9には、第1の特徴と、第2の特徴と、マーカ70の種類との対応関係を表す情報であるマーカ特徴情報38の一例が示されている。
図1に示したように、マーカ特徴情報38は、超音波画像撮影装置13の本体部12の記憶部34に記憶される。
【0043】
このように、本実施形態の医療画像撮影システム1では、第1の特徴及び第2の特徴により、マーカ70の種類が、4種類のうちのいずれであるか識別することができる。換言すると、第1の特徴、第2の特徴、及びマーカ特徴情報38により、光学カメラ画像Pにおける第1マーカ画像75に対応する超音波画像Uにおける第2マーカ画像76を特定することができる。
【0044】
次に、超音波画像撮影装置13の本体部12の機能的構成について説明する。
図10には、本実施形態の超音波画像撮影装置13の本体部12の機能に係る構成の一例を表す機能ブロック図が示されている。
図10に示すように、本体部12は、第1取得部80、第1検出部81、第2取得部82、第2検出部83、位置合わせ部86、表示制御部88、及び撮影制御部90を備えている。一例として本実施形態の本体部12は、プロセッサ30が記憶部34に記憶されている画像処理プログラム36を実行することにより、メモリ32が第1取得部80、第1検出部81、第2取得部82、第2検出部83、位置合わせ部86、表示制御部88、及び撮影制御部90として機能する。
【0045】
撮影制御部90は、超音波画像Uの撮影を行う場合、上述したように超音波プローブ10の送受信回路22に制御信号を出力する機能を有する。撮影制御部90から出力された制御信号が超音波プローブ10の送信回路24及び受信回路26に入力されることにより、上述したように超音波プローブ10の受信回路26から音線信号が本体部12の画像生成部46に出力される。超音波プローブ10の送受信回路22及び本体部12の画像生成部46は、撮影制御部90の制御によって、超音波画像の撮影期間中、超音波画像を一定のフレームレートにて連続して複数回取得する。
【0046】
第1取得部80は、光学カメラ画像Pを取得する機能を有する。一例として本実施形態の第1取得部80は、記憶部34から光学カメラ画像Pを取得する。第1取得部80により取得された光学カメラ画像Pは、第1検出部81に出力される。
【0047】
第1検出部81は、光学カメラ画像Pから、第1のマーカ画像(
図15、第1マーカ画像75A~75D参照)を検出する機能を有する。なお、第1検出部81が光学カメラ画像Pから第1マーカ画像75を検出する方法は特に限定されず、例えば、第1マーカ画像75の典型的なパターンデータをテンプレートとして予め記憶しておき、光学カメラ画像P内をテンプレートでサーチしながらパターンデータに対する類似度を導出し、類似度が基準値以上かつ最大となった場所に第1マーカ画像75が存在するとみなすことができる。また、類似度の導出には、単純なテンプレートマッチングの他に、第1マーカ画像75の特徴量に基づいて学習済みの学習モデルを用いた手法が挙げられる。例えば、SVM(Support Vector Machine)やAdaBoost(Adaptive Boostling)等の機械学習手法、あるいは、ディープラーニングを用いた一般画像認識手法等を用いることができる。
【0048】
また例えば、第1検出部81は、第1マーカ画像75に対してラベルを施した複数の光学カメラ画像Pによって機械学習された学習済みモデルである第1マーカ画像検出モデルを用いて光学カメラ画像P内の第1マーカ画像75を検出してもよい。第1マーカ画像モデルは、例えば、ディープラーニングを用いた物体検出のアルゴリズムである。第1マーカ画像検出モデルとして、例えば、畳み込みニューラルネットワーク(CNN:Convolutional Neural Network)の一種であるR-CNN(Regional CNN)により構成される物体検出モデルを用いることができる。第1マーカ画像検出モデルは、入力された光学カメラ画像P内から物体としての第1マーカ画像75を検出し、光学カメラ画像P内における第1マーカ画像75を表す情報を出力する。
【0049】
第1検出部81は、検出結果として光学カメラ画像Pにおける第1マーカ画像75の位置及び色を表す情報を、光学カメラ画像Pに対応付けて位置合わせ部86に出力する。
【0050】
第2取得部82は、超音波画像Uを取得する機能を有する。一例として本実施形態の第2取得部82は、記憶部34から超音波画像Uを取得する。第2取得部82により取得された超音波画像Uは、第2検出部83に出力される。
【0051】
第2検出部83は、マーカ検出部84及び関心領域検出部85を含む。マーカ検出部84は、超音波画像Uから、第2のマーカ画像を検出する機能を有する。なお、マーカ検出部84が超音波画像Uから第2のマーカ画像を検出する方法は特に限定されず、例えば、第2マーカ画像76の典型的なパターンデータをテンプレートとして予め記憶しておき、超音波画像U内をテンプレートでサーチしながらパターンデータに対する類似度を導出し、類似度が基準値以上かつ最大となった場所に第2マーカ画像76が存在するとみなすことができる。また、類似度の導出には、単純なテンプレートマッチングの他に、第2マーカ画像76の特徴量に基づいて学習済みの学習モデルを用いた手法が挙げられる。例えば、SVM(Support Vector Machine)やAdaBoost(Adaptive Boostling)等の機械学習手法、あるいは、ディープラーニングを用いた一般画像認識手法等を用いることができる。
【0052】
また例えば、マーカ検出部84は、第2マーカ画像76に対してラベルを施した複数の超音波画像Uによって機械学習された学習済みモデルである第2マーカ画像検出モデルを用いて超音波画像U内の第2マーカ画像76を検出してもよい。第2マーカ画像モデルは、例えば、ディープラーニングを用いた物体検出のアルゴリズムである。第2マーカ画像検出モデルとして、例えば、畳み込みニューラルネットワーク(CNN:Convolutional Neural Network)の一種であるR-CNN(Regional CNN)により構成される物体検出モデルを用いることができる。第2マーカ画像検出モデルは、入力された超音波画像U内から物体としての第2マーカ画像76を検出し、超音波画像U内における第2マーカ画像76を表す情報を出力する。
【0053】
関心領域検出部85は、超音波画像Uから関心領域を検出する機能を有する。なお、本実施形態では、血管Bを関心領域の一例としているため、関心領域検出部85は、超音波画像Uから血管Bを検出する。なお、関心領域検出部85が超音波画像Uから血管Bを検出する方法は特に限定されない。一例として本実施形態の関心領域検出部85は、超音波画像Uを、公知のアルゴリズムに従って解析することで、超音波画像U内の血管Bを検出する。例えば、関心領域検出部85は、血管Bが存在する血管領域の典型的なパターンデータをテンプレートとして予め記憶しておき、超音波画像U内をテンプレートでサーチしながらパターンデータに対する類似度を導出し、類似度が基準値以上かつ最大となった場所に血管Bが存在するとみなすことができる。また、類似度の導出には、単純なテンプレートマッチングの他に、血管Vを表す画像の特徴量に基づいて学習済みの学習モデルを用いた手法が挙げられる。例えば、SVM(Support Vector Machine)やAdaBoost(Adaptive Boostling)等の機械学習手法、あるいは、ディープラーニングを用いた一般画像認識手法等を用いることができる。
【0054】
また例えば、関心領域検出部85は、血管Bに対してラベルを施した複数の超音波画像Uによって機械学習された学習済みモデルである血管検出モデルを用いて超音波画像U内の血管Bを検出してもよい。血管検出モデルは、例えば、ディープラーニングを用いた物体検出のアルゴリズムである。血管検出モデルとして、例えば、畳み込みニューラルネットワーク(CNN:Convolutional Neural Network)の一種であるR-CNN(Regional CNN)により構成される物体検出モデルを用いることができる。血管検出モデルは、入力された超音波画像U内から物体としての血管Bを検出し、超音波画像U内における血管Bを表す情報を出力する。
【0055】
第2検出部83は、検出結果として超音波画像Uにおける第2マーカ画像76の位置及び深さを表す情報と、血管Bの位置を表す情報とを、超音波画像Uに対応付けて位置合わせ部86に出力する。
【0056】
位置合わせ部86は、第1検出部81の検出結果、及びマーカ検出部84の検出結果に基づいて、光学カメラ画像Pと超音波画像Uとの位置合わせを行う機能を有する。具体的には、位置合わせ部86は、第1検出部81の検出結果である第1マーカ画像75の第1の特徴(色)と、マーカ検出部84の検出結果である第2マーカ画像76の第2の特徴(深さ)とに基づいて、記憶部34に記憶されているマーカ特徴情報38を参照して、マーカ70の種類の特定を行う。さらに、位置合わせ部86は、特定したマーカ70の種類に応じて、第1マーカ画像75と第1画像生成部78との位置を合わせることにより、光学カメラ画像Pと超音波画像Uとの位置合わせを行う。
【0057】
また、位置合わせ部86は、光学カメラ画像Pと超音波画像Uとの位置合わせを行った結果に基づいて、光学カメラ画像Pに、関心領域検出部85の検出結果である血管Bを表す画像を重畳させる。位置合わせ部86は、光学カメラ画像Pに血管Bを表す画像を重畳させた状態で、表示制御部88に出力する。
【0058】
表示制御部88は、本体部12の表示部44に、血管Bを表す画像が重畳された光学カメラ画像Pの画像を表示させる機能を有する。
【0059】
次に、本実施形態の本体部12の作用について図面を参照して説明する。
まず、本実施形態の医療画像撮影システム1により、血管Bを表す画像が重畳された光学カメラ画像Pを表示部44に表示させるまでの処理全体の流れについて説明する。
図11には、医療画像撮影システム1による処理の流れの一例を表したフローチャートが示されている。
【0060】
ステップS10で技師は、マーカ群16を被検体Wの撮影部位の上に配置する。撮影部位が被検体Wの腕の場合、上記で示した
図5に示した状態となる。
【0061】
次のステップS12で技師は、光学カメラ14により、マーカ群16が設けられた状態の被検体Wを撮影する。上述したように、光学カメラ14により撮影された光学カメラ画像Pは、本体部12に出力され、本体部12の記憶部34に記憶される。
【0062】
次のステップS14で技師は、超音波画像撮影装置13により、超音波プローブ10でマーカ群16の表面を走査し、超音波画像Uの撮影を行う。
図12には、超音波画像Uの撮影における、超音波プローブ10と、マーカ群16との位置関係の一例が示されている。
図12に示すように、超音波画像Uに複数のマーカ70が含まれるように、超音波プローブ10を走査方向に移動させながら撮影が行われる。上述したように、超音波プローブ10は音線信号を本体部12に出力する。本体部12の画像生成部46は、音線信号から超音波画像Uを生成する。生成された超音波画像Uは、記憶部34に記憶される。
【0063】
次のステップS16で本体部12は、光学カメラ画像P及び超音波画像Uに画像処理を行い、上述したように血管Bを表す画像が重畳された光学カメラ画像Pを表示部44に表示させる。ステップS16の処理が終了すると、医療画像撮影システム1による一連の処理が終了する。
【0064】
次に上記ステップS16の画像処理の詳細について説明する。
図13には、本実施形態の本体部12において実行される画像処理の流れの一例を表したフローチャートが示されている。一例として、本実施形態の本体部12は、プロセッサ30が、記憶部34に記憶されている画像処理プログラム36を実行することにより、
図13に一例を示した画像処理を実行する。
【0065】
図13のステップS100で第1取得部80は、上述したように、光学カメラ画像Pを取得する。
【0066】
次のステップS102で第2取得部82は、上述したように、超音波画像Uを取得する。
【0067】
次のステップS104で第1検出部81は、上述したように、光学カメラ画像Pから第1マーカ画像を検出する。
【0068】
次のステップS106で第2検出部83の関心領域検出部85は、上述したように、超音波画像Uから関心領域である血管Bを検出する。
【0069】
次のステップS108で第2検出部83のマーカ検出部84は、上述したように、超音波画像Uから第2マーカ画像を検出する。
【0070】
なお、光学カメラ画像を取得する処理と、超音波画像を取得する処理との順序は限定されない。換言すると、上記ステップS100とステップS102との順序は限定されない。また、光学カメラ画像Pから第1マーカ画像75を検出する処理と、超音波画像Uから第2マーカ画像76を検出する処理との順序は限定されない。換言すると、上記ステップS104とステップS108との順序は限定されない。また、超音波画像Uから関心領域を検出する処理と、超音波画像Uから第2マーカ画像76を検出する処理との順序は限定されない。換言すると上記ステップS106とステップS108との順序は限定されない。
【0071】
次のステップS110で位置合わせ部86は、上述したように、第1マーカ画像75及び第2マーカ画像76に基づいて、光学カメラ画像Pと超音波画像Uとの位置合わせを行う。
図14を参照して、光学カメラ画像Pと超音波画像Uとの位置合わせについて詳細に説明する。
【0072】
位置合わせ部86は、フレームLで撮影された超音波画像Uを、光学カメラ画像Pにおける、フレームLの超音波画像Uを撮影した際の超音波プローブ10の位置に対応付ける。また、位置合わせ部86は、フレームMで撮影された超音波画像Uを、光学カメラ画像Pにおける、フレームMの超音波画像Uを撮影した際の超音波プローブ10の位置に対応付ける。位置合わせ部86は、フレームNで撮影された超音波画像Uを、光学カメラ画像Pにおける、フレームNの超音波画像Uを撮影した際の超音波プローブ10の位置に対応付ける。同様に、マーカ70が含まれる超音波画像Uを撮影した各フレームについて、超音波画像Uと、光学カメラ画像P上の位置とを対応付ける。
【0073】
次のステップS112で位置合わせ部86は、上述したように、光学カメラ画像Pに、関心領域である血管Bの画像を重畳させる。
図14を参照して、光学カメラ画像Pに血管Bの画像を重畳させる方法について説明する。
【0074】
マーカ70間の配列の間に超音波プローブ10が位置する状態で撮影された超音波画像Uには、第2マーカ画像76は含まれない。例えば、
図12に示した例では、フレームLとフレームMとの間に撮影された超音波画像U、及びフレームMとフレームNとの間に撮影された超音波画像Uには、第2マーカ画像76が含まれない。そこで、超音波プローブ10が等速で移動したとみなし、フレームLとフレームMとの間に撮影された超音波画像Uは、光学カメラ画像PにおけるフレームLを撮影した際の超音波プローブ10の位置と、フレームMを撮影した際の超音波プローブ10の位置と、の間に、均等に配置する。また、フレームMとフレームNとの間に撮影された超音波画像Uは、光学カメラ画像PにおけるフレームMを撮影した際の超音波プローブ10の位置と、フレームNを撮影した際の超音波プローブ10の位置と、の間に、均等に配置する。
【0075】
そして、位置合わせ部86は、上記のように光学カメラ画像Pと超音波画像Uとの位置合わせを行った状態で、各超音波画像Uから検出された血管Bを表す画像を連結させた画像を生成し、光学カメラ画像Pに重畳させる。
図15には、光学カメラ画像Pに血管Bを表す画像BPを重畳させた状態の一例が示されている。
【0076】
次のステップS114で表示制御部88は、上述したように、血管Bの画像を重畳させた光学カメラ画像P(
図15参照)を表示部44に表示させる。ステップS114の処理が終了すると、
図13に示した画像処理を終了する。
【0077】
[撮影制御処理]
上述のように、光学カメラ画像Pと超音波画像Uとの位置合わせ行う場合、上述したように、1枚の超音波画像Uに、複数の第2マーカ画像76が含まれることが好ましい。また、
図16に示すように、超音波プローブ10を走査方向に移動させて超音波画像Uを撮影する場合、各ラインのスキャンにおいて、同じ列のマーカ70が含まれるように超音波プローブ10を配置することが好ましい。
図16に示した例では、1ライン目の撮影と、2ライン目の撮影とでは、列Bのマーカ70を重複して撮影している。また、2ライン目の撮影と、3ライン目の撮影とでは、列Cのマーカ70を重複して撮影している。
【0078】
本実施形では、上記のように超音波画像Uを撮影するための撮影制御処理を撮影制御部90が実行する。
図17には、本実施形態の撮影制御部90において実行される撮影制御処理の一例を表すフローチャートが示されている。なお、
図17に示した制御処理は、
図9のステップS14の超音波画像Uの撮影において、超音波画像Uの撮影指示を受け付けた場合に超音波画像Uの撮影中にリアルタイムで実行される。
図17のステップS200で撮影制御部90は、超音波画像Uを取得する。
【0079】
次のステップS202で撮影制御部90は、超音波画像Uに含まれる第2マーカ画像76が1つであるか否かを判定する。撮影制御部90は、上述の第2検出部83のマーカ検出部84と同様にして、超音波画像Uから第2マーカ画像76を検出する。超音波画像Uに含まれる第2マーカ画像76が1つである場合、ステップS202の判定が否定判定となり、ステップS210へ移行する。一方、超音波画像Uに含まれる第2マーカ画像76が1つではない場合、換言すると超音波画像Uに第2マーカ画像76が含まれない場合、及び超音波画像Uに第2マーカ画像76が2つ以上含まれる場合、ステップS202の判定が肯定判定となり、ステップS204へ移行する。
【0080】
ステップS204で撮影制御部90は、取得した超音波画像Uが、スキャンラインの先頭の画像であるか判定する。スキャンラインの先頭の画像ではない場合、ステップS204の判定が否定判定となり、ステップS212へ移行する。一方、スキャンラインの先頭の画像である場合、ステップS202の判定が肯定判定となり、ステップS206へ移行する。
【0081】
ステップS206で撮影制御部90は、前のスキャンラインの先頭の超音波画像Uと、取得した超音波画像Uとを比較する。
図16に示した例では、2列目の先頭の超音波画像Uを取得した場合、1列目の先頭の超音波画像Uと比較し、3列目の先頭の超音波画像Uを取得した場合、2列目の先頭の超音波画像Uと比較する。
【0082】
撮影制御部90は、上述したように両者の超音波画像Uに、同じ列のマーカ70が含まれているか否かを判定する。
図16に示した例では、撮影制御部90は、1ライン目の超音波画像Uと、2ライン目の超音波画像Uとでは、列Bのマーカ70が含まれているか否かを判定する。また、撮影制御部90は、2ライン目の超音波画像Uと、3ライン目の超音波撮影とでは、列Cのマーカ70が含まれているか否かを判定する。なお、本実施形態の撮影制御部90は、マーカ群16におけるマーカ70の配列に関する情報を取得することができ、取得した情報に基づいて判定する。
【0083】
次のステップS208で撮影制御部90は、上記のようにマーカ70の列が重複しているか否かを判定する。重複していない場合、ステップS208の判定が否定判定となり、ステップS210へ移行する。
【0084】
ステップS210で撮影制御部90は、超音波画像Uの撮影が適切ではないとして、警告を出力した後、ステップS212へ移行する。例えば、撮影制御部90は、表示部44に、超音波プローブ10の位置が適切ではないことを表す情報を表示させる。
【0085】
一方、マーカ70の列が重複している場合、ステップS208の判定が肯定判定となり、ステップS212へ移行する。ステップS212で撮影制御部90は、撮影制御処理を終了するか否か判定する。例えば、入力I/F部42を用いて技師により行われた撮影終了の指示を受け付けた場合、撮影制御部90は、撮影制御処理を終了すると判定する。撮影制御処理を終了するまで、ステップS212の判定が否定判定となり、ステップS200に戻り、ステップS200~S210の処理を繰り返す。一方、撮影制御処理を終了する場合、ステップS212の判定が肯定判定となり、
図17に示した撮影制御処理を終了する。
【0086】
このように撮影制御処理を行うことで、光学カメラ画像Pと超音波画像Uとの位置合わせを行うのに適した超音波画像Uを撮影することができる。
【0087】
以上説明したように、上記形態の本体部12の関心領域検出部85は、被検体Wの超音波画像Uから、関心領域である血管Bを検出する。第1検出部81は、被検体Wの光学カメラ画像Pから、マーカ70を表す第1マーカ画像75を検出する。関心領域検出部85は、被検体Wの超音波画像Uから、マーカ70を表す第2マーカ画像76を検出する。位置合わせ部86は、第1マーカ画像75の第1の特徴、及び第2マーカ画像76の第2の特徴に基づいて、被検体Wの光学カメラ画像Pと被検体Wの超音波画像Uとの位置合わせを行う。表示制御部88は、被検体Wの光学カメラ画像Pに関心領域である血管B表す画像BPを重畳させた状態で表示部44に表示させる。
【0088】
このように、上記形態の超音波画像撮影装置13によれば、光学カメラ画像Pにより識別可能な第1の特徴、及び超音波画像Uにより識別可能な第2の特徴を有し、第1の特徴及び第2の徳用により他のマーカ70との区別が可能なマーカ群16を用いて撮影され光学カメラ画像Pと、超音波画像Uとの位置合わせを、第1の特徴及び第2の特徴に基づいて行う。
【0089】
従って、上記形態の超音波画像撮影装置13によれば、光学カメラ画像Pと、超音波画像Uとの位置合わせの精度を高めることができる。
【0090】
なお、本開示の技術は、上記各形態に限定されず、さらに種々の変形が可能である。
【0091】
上記形態では、光学カメラ画像Pにより識別可能な第1の特徴として、マーカ70の色を適用した形態について説明したが、第1の特徴は、色に限定されない。例えば、マーカ70の形状であってもよい。マーカ70の形状としては、上面から見た形態が、円形となる形状(球形)、楕円形となる形状(楕円体)、及びN角形となる形状(断面がN形の柱状体)等が挙げられる。
【0092】
また、例えば、第1の特徴としては、マーカ70の大きさであってもよい。
【0093】
また、上記形態では、超音波画像Uにより識別可能な第2の特徴として、マーカ70が配置された深さを適用した形態について説明したが、第2の特徴は、配置された深さに限定されない。例えば、マーカ70の形状であってもよい。この場合、同一の形態であっても、超音波画像Uにおける第2マーカ画像76の形状がとなるように、マーカ70が配置されていてもよい。例えば、マーカ70が楕円体の場合、楕円体の長軸方向と、深度方向Dとの成す角度を異ならせることで、超音波画像Uにおける第2マーカ画像76の形状を異ならせることができる。なお、楕円体のマーカ70と、球形のマーカ70とを用いる場合、楕円体のマーカ70では、長軸方向と超音波プローブ10の移動方向とが平行であると、楕円体の断面が円形になるため、円形のマーカとの区別が付きにくい。この場合、第2マーカ画像76を含む超音波画像Uのフレーム数が、楕円体のマーカ70の方が、球形のマーカ70よりも多くなるため、第2マーカ画像76を検出した超音波画像Uのフレーム数により、検出が可能である。
【0094】
また、例えば、第2の特徴としては、マーカ70の大きさであってもよい。
【0095】
また、例えば、第2の特徴としては、第2マーカ画像76の輝度が異なるようなマーカ70であってもよい。このようなマーカ70は、マーカ70の種類に応じて音響インピーダンスを異ならせることで得ることができる。
【0096】
なお、複数種類の第1の特徴、及び複数種類の第2の特徴を組み合わせてもよい。
【0097】
また、上述した例では、超音波画像Uに複数の第2マーカ画像76が含まれることが好ましいとしたが、超音波画像Uは1つの第2マーカ画像76のみを含んでいてもよい。この場合、例えば、位置合わせ部86は、以下のようにして光学カメラ画像Pと超音波画像Uとの位置合わせを行えばよい。
図18Aに示すように、位置させた超音波プローブ10を走査方向に移動させて超音波画像Uの撮影を行った場合について説明する。
図18Bに示すように、マーカ70の配列間隔αは既知であり、また、各列におけるマーカ70の間隔βも既知である。そのため、配列間隔αに対する超音波プローブ10のなす角度θ1、及びマーカ70の間隔βに対する超音波プローブ10のなす角度θ2を、配列間隔α及びマーカ70の間隔βから導出することができる。
【0098】
また、マーカ70の配列間隔αは、間隔βが異なる複数のマーカ群16を用意しておき、超音波プローブ10の幅に応じたマーカ群16を用いるようにしてもよい。
【0099】
また、マーカ群16におけるゲルパッド72の形状を、被検体Wの撮影部位に応じた形状としてもよい。
【0100】
また、
図5に示したS16の画像処理、すなわち、光学カメラ画像Pに、血管Bを表す画像BPを重畳させて表示させる処理を行うタイミング、及び装置は、上記形態に限定されない。例えば、画像処理は、超音波画像Uの撮影(
図5のS14)中に行ってもよい。また、超音波画像Uの撮影の後、例えば、後日、医師等の診断が行われる際に行ってもよい。また、画像処理は、超音波プローブ10で行ってもよいし、医療画像撮影システム1の外部の装置で行ってもよい。
【0101】
また、上記各形態では、音線信号に基づいて超音波画像Uを生成する画像生成部46が本体部12に設けられているが、これに代えて、画像生成部46は、超音波プローブ10内に設けられていてもよい。この場合、超音波プローブ10は、超音波画像Uを生成して本体部12に出力する。
【0102】
また、上記形態において、例えば、第1取得部80、第1検出部81、第2取得部82、第2検出部83、位置合わせ部86、表示制御部88、及び撮影制御部90といった各種の処理を実行する処理部(processing unit)のハードウェア的な構造としては、次に示す各種のプロセッサ(processor)を用いることができる。上記各種のプロセッサには、前述したように、ソフトウェア(プログラム)を実行して各種の処理部として機能する汎用的なプロセッサであるCPU(Central Processing Unit)に加えて、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の製造後に回路構成を変更可能なプロセッサであるプログラマブルロジックデバイス(Programmable Logic Device:PLD)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路等が含まれる。
【0103】
1つの処理部は、これらの各種のプロセッサのうちの1つで構成されてもよいし、同種又は異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGAの組み合わせや、CPUとFPGAとの組み合わせ)で構成されてもよい。また、複数の処理部を1つのプロセッサで構成してもよい。
【0104】
複数の処理部を1つのプロセッサで構成する例としては、第1に、クライアント及びサーバ等のコンピュータに代表されるように、1つ以上のCPUとソフトウェアの組み合わせで1つのプロセッサを構成し、このプロセッサが複数の処理部として機能する形態がある。第2に、システムオンチップ(System On Chip:SoC)等に代表されるように、複数の処理部を含むシステム全体の機能を1つのIC(Integrated Circuit)チップで実現するプロセッサを使用する形態がある。このように、各種の処理部は、ハードウェア的な構造として、上記各種のプロセッサの1つ以上を用いて構成される。
【0105】
更に、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造としては、より具体的には、半導体素子などの回路素子を組み合わせた電気回路(circuitry)を用いることができる。
【0106】
また、上記各実施形態では、穿刺補助処理プログラム51がROM50Bに予め記憶(インストール)されている態様を説明したが、これに限定されない。画像処理プログラム36は、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disc Read Only Memory)、及びUSB(Universal Serial Bus)メモリ等の記録媒体に記録された形態で提供されてもよい。また画像処理プログラム36は、ネットワークを介して外部装置からダウンロードされる形態としてもよい。
【0107】
以上の記載から、以下の付記に記載の発明を把握することができる。
【0108】
[付記1]
少なくとも1つのプロセッサを備え、
前記プロセッサは、
光学カメラ画像により識別可能な第1の特徴、及び超音波画像により識別可能な第2の特徴を有しているマーカであり、前記第1の特徴及び前記第2の特徴により他のマーカとの区別が可能な複数のマーカが被検体の上に設けられた状態で光学カメラにより撮影された前記被検体の光学カメラ画像、及び超音波画像撮影装置により撮影された前記被検体の超音波画像を取得し、
前記被検体の超音波画像から、関心領域を検出し、
前記被検体の光学カメラ画像から、前記マーカを表す第1マーカ画像を検出し、
前記被検体の超音波画像から、前記マーカを表す第2マーカ画像を検出し、
前記第1マーカ画像の前記第1の特徴、及び前記第2マーカ画像の前記第2の特徴に基づいて、前記被検体の光学カメラ画像と前記被検体の超音波画像との位置合わせを行って、前記被検体の光学カメラ画像に前記関心領域を表す画像を重畳させた状態で表示させる、
画像処理装置。
【0109】
「付記2」
前記第1の特徴は、色、形状、及び大きさの少なくとも一方に応じた特徴である
付記1に記載の画像処理装置。
【0110】
「付記3」
前記第2の特徴は、輝度、配置されている深さ、形状、及び大きさの少なくとも一方に応じた特徴である
付記1または付記2に距離の画像処理装置。
【0111】
「付記4」
前記関心領域は血管である
付記1から付記3のいずれか1つに記載の画像処理装置。
【0112】
「付記5」
前記プロセッサは、
前記被検体の表面に沿って走査され、前記超音波画像を生成するためのプローブの位置を、前記第1マーカ画像及び前記第2マーカ画像の少なくとも一方に基づいて導出し、
前記プローブの位置が、予め定められた撮影位置以外である場合、警告を表す情報を出力する
付記1から付記4のいずれか1つに記載の画像処理装置。
【0113】
「付記6」
複数の前記マーカは、複数の列をなして配置されており、前記被検体の超音波画像の撮影が、1回の走査で複数の列の撮影を行い、かつ前記列をずらしながら複数回行われる場合、
前記予め定められた撮影位置は、前回撮影した複数の列の一部と、今回撮影する複数の列の一部とが、重複する位置である
付記5に記載の画像処理装置。
【0114】
「付記7」
前記プロセッサは、
複数の前記超音波画像に含まれる前記第2マーカ画像が1つの場合、警告を表す情報を出力する
付記1から付記6のいずれか1つに記載の画像処理装置。
【0115】
「付記8」
複数の前記マーカは、複数の列をなして配置されており、前記複数の超音波画像の撮影が、1回の走査で複数の列の撮影を行う場合であって 前記被検体の超音波画像に含まれる前記第2マーカ画像が1つの場合、
前記プロセッサは、
複数の前記マーカの配置間隔に基づいて、前記マーカの配置に対するプローブの角度を推定し、
推定した前記プローブの角度、前記第1マーカ画像の前記第1の特徴、及び前記第2マーカ画像の前記第2の特徴に基づいて、前記被検体の光学カメラ画像と前記被検体の超音波画像との位置合わせを行う
付記1から付記6のいずれか1つに記載の画像処理装置。
【0116】
「付記9」
前記超音波画像撮影装置と、
前記光学カメラと
前記複数のマーカと、
付記1から付記8のいずれか1つに記載の画像処理装置と、
を備えたシステム。
【0117】
「付記10」
光学カメラ画像により識別可能な第1の特徴、及び超音波画像により識別可能な第2の特徴を有しているマーカであり、前記第1の特徴及び前記第2の特徴により他のマーカとの区別が可能な複数のマーカが被検体の上に設けられた状態で光学カメラにより撮影された前記被検体の光学カメラ画像、及び超音波画像撮影装置により撮影された前記被検体の超音波画像を取得し、
前記被検体の超音波画像から、関心領域を検出し、
前記被検体の光学カメラ画像から、前記マーカを表す第1マーカ画像を検出し、
前記被検体の超音波画像から、前記マーカを表す第2マーカ画像を検出し、
前記第1マーカ画像の前記第1の特徴、及び前記第2マーカ画像の前記第2の特徴に基づいて、前記被検体の光学カメラ画像と前記被検体の超音波画像との位置合わせを行って、前記被検体の光学カメラ画像に前記関心領域を表す画像を重畳させた状態で表示させる、
処理をプロセッサが実行する画像処理方法。
【0118】
「付記11」
光学カメラ画像により識別可能な第1の特徴、及び超音波画像により識別可能な第2の特徴を有しているマーカであり、前記第1の特徴及び前記第2の特徴により他のマーカとの区別が可能な複数のマーカが被検体の上に設けられた状態で光学カメラにより撮影された前記被検体の光学カメラ画像、及び超音波画像撮影装置により撮影された前記被検体の超音波画像を取得し、
前記被検体の超音波画像から、関心領域を検出し、
前記被検体の光学カメラ画像から、前記マーカを表す第1マーカ画像を検出し、
前記被検体の超音波画像から、前記マーカを表す第2マーカ画像を検出し、
前記第1マーカ画像の前記第1の特徴、及び前記第2マーカ画像の前記第2の特徴に基づいて、前記被検体の光学カメラ画像と前記被検体の超音波画像との位置合わせを行って、前記被検体の光学カメラ画像に前記関心領域を表す画像を重畳させた状態で表示させる、
処理をプロセッサに実行させるための画像処理プログラム。
【符号の説明】
【0119】
1 超音波診断装置
10 超音波プローブ
12 本体部
13 超音波画像撮影装置
14 光学カメラ
16 マーカ群
20 振動子アレイ
22 送受信回路
24 送信回路
26 受信回路
30 プロセッサ
32 メモリ
34 記憶部
36 画像処理プログラム
38 マーカ特徴情報
40 通信I/F部
42 入力I/F部
44 表示部
46 画像生成部
49 バス
50 増幅部
52 A/D変換部
54 ビームフォーマ
60 信号処理部
62 DSC
64 画像処理部
70A~70D マーカ
72 ゲルパッド
75A~75D 第1マーカ画像
76A、76B 第2マーカ画像
80 第1取得部
81 第1検出部
82 第2取得部
83 第2検出部
84 マーカ検出部
85 関心領域検出部
86 位置合わせ部
88 表示制御部
90 撮影制御部
A、B 矢印
B 血管、BP 血管を表す画像
D 深度方向
L、M、N フレーム
P 光学カメラ画像
S 体表面
U 超音波画像
W 被検体