(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024050306
(43)【公開日】2024-04-10
(54)【発明の名称】レンズ機構及びレンズ装置
(51)【国際特許分類】
G02B 7/04 20210101AFI20240403BHJP
G02B 7/02 20210101ALI20240403BHJP
【FI】
G02B7/04 D
G02B7/02 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022157108
(22)【出願日】2022-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】近藤 信之
(72)【発明者】
【氏名】岡 光彦
(72)【発明者】
【氏名】江澤 利明
【テーマコード(参考)】
2H044
【Fターム(参考)】
2H044AC02
2H044AC03
2H044BD06
2H044BD11
2H044BD16
(57)【要約】
【課題】例えば、移動部材のガタ抑制と、移動部材の摺動抵抗低減とを両立できるレンズ機構及びレンズ装置を提供する。
【解決手段】レンズ機構は、レンズを保持するレンズ保持部材と、レンズ保持部材に連結され、光軸方向に移動する移動部材と、移動部材の移動をガイドするガイド軸とを備える。移動部材は、ガイド軸が挿入される軸受部を有する。軸受部は、第1部分と、第2部分とを有する。第1部分は、ガイド軸と接触する。第2部分には、ガイド軸が遊挿されている。
【選択図】
図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズを保持するレンズ保持部材と、
前記レンズ保持部材に連結され、光軸方向に移動する移動部材と、
前記移動部材の移動をガイドするガイド軸と、
を備え、
前記移動部材は、前記ガイド軸が挿入される軸受部を有し、
前記軸受部は、第1部分と、第2部分とを有し、
前記第1部分は、前記ガイド軸と接触し、
前記第2部分には、前記ガイド軸が遊挿されている
レンズ機構。
【請求項2】
前記第1部分は、前記軸受部の第1側に位置し、
前記第2部分は、前記軸受部の第2側に位置する
請求項1に記載のレンズ機構。
【請求項3】
前記第1側は、対物側であり、
前記第2側は、結像側である
請求項2に記載のレンズ機構。
【請求項4】
前記第1部分は、前記ガイド軸と接触する凸部を有する
請求項1に記載のレンズ機構。
【請求項5】
前記凸部は、前記ガイド軸の周方向に沿って形成されている
請求項4に記載のレンズ機構。
【請求項6】
前記凸部は、縦断面視で凸曲面状に形成されており、前記ガイド軸の外周面と接触する
請求項4に記載のレンズ機構。
【請求項7】
前記レンズ機構は、
前記移動部材の外側に配置されたカム筒と、
前記カム筒の外側に連結された操作部材と、
をさらに備え、
前記移動部材には、カム軸が設けられ、
前記カム筒は、前記カム軸と係合するカム溝を有し、
前記移動部材は、前記操作部材及び前記カム筒の回転に応じて前記カム軸が前記カム溝に沿って移動することにより、前記光軸方向に移動する
請求項1に記載のレンズ機構。
【請求項8】
複数の前記カム軸の個数は、3つである
請求項7に記載のレンズ機構。
【請求項9】
前記レンズ機構は、前記移動部材と前記カム筒との間に設けられ、前記移動部材及び前記カム筒を支持する固定部材をさらに備える
請求項7に記載のレンズ機構。
【請求項10】
前記ガイド軸は、前記固定部材に設けられている
請求項9に記載のレンズ機構。
【請求項11】
前記移動部材は、前記レンズ保持部材の調整機構を介して前記レンズ保持部材の外側に連結されている
請求項1に記載のレンズ機構。
【請求項12】
前記第2部分は、前記ガイド軸の直径の0.2%以上0.6%以下で前記ガイド軸と離れている
請求項1に記載のレンズ機構。
【請求項13】
前記レンズ機構は、
前記ガイド軸としての第1ガイド軸と、
前記移動部材の移動をガイドする第2ガイド軸と、
を備える
請求項1に記載のレンズ機構。
【請求項14】
請求項1から請求項13の何れか一項に記載のレンズ機構と、
前記レンズ機構をチルトさせるチルト機構と、
前記レンズ機構をシフトさせるシフト機構と、
前記チルト機構及び前記シフト機構の少なくとも一方を前記光軸方向の周りに回転させる回転機構と、
を備えるレンズ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の技術は、レンズ機構及びレンズ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、保持部材と、駆動部材と、第1の案内部材と、第1の鏡筒と、第2の案内部材と、第2の鏡筒と、調整部とを有するレンズ鏡筒が開示されている。保持部材は、光学素子を保持し、第1の被案内部及び第2の被案内部を有する。駆動部材は、保持部材を光軸方向に移動させる。第1の案内部材は、第1の被案内部を光軸方向に案内する。第1の鏡筒は、第1の案内部を保持し、光軸方向に移動可能である。第2の案内部材は、第2の被案内部を光軸方向に案内する。第2の鏡筒は、第2の案内部を保持する。調整部は、第1の案内部と第2の案内部の光軸と直交する方向の相対的な位置を変化させる。
【0003】
特許文献2には、レンズ保持部材と、案内部材と、光軸周りに回転可能なカム部材とを有するレンズ鏡筒が開示されている。案内部材は、レンズ保持部材の光軸方向への移動を案内する直溝を有する。カム部材は、レンズ保持部材を光軸方向に移動させるためのカム溝を有する。レンズ保持部材は、複数の第1のコロ部材と複数の第2のコロ部材とを有する。複数の第1のコロ部材のうち少なくとも一つの第1のコロ部材は、直溝およびカム溝に係合する。複数の第2のコロ部材のそれぞれは、レンズ保持部材の周方向において複数の第1のコロ部材のそれぞれと同じ位相であって、かつ複数の第1のコロ部材のそれぞれに対して光軸方向に離れた位置に設けられている。複数の第2のコロ部材のうち少なくとも一つの第1のコロ部材と同じ位相に設けられた第2のコロ部材の径は、少なくとも一つの第1のコロ部材の径よりも小さい。
【0004】
特許文献3には、光学系の複数のあおり動作が可能な光学機器が開示されている。光学機器は、複数の駆動手段と、制御手段と、検出手段とを有する。複数の駆動手段は、複数のあおり動作の駆動を行う。制御手段は、光学系を駆動前のあおり状態から目標あおり状態に駆動するように複数の駆動手段を制御する。検出手段は、光学機器に対する重力方向を検出する。制御手段は、検出された重力方向に応じて、複数の駆動手段の駆動順序および駆動方向を設定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2015-210490号公報
【特許文献2】特開2019-040092号公報
【特許文献3】特開2021-117415号公報
【発明の概要】
【0006】
本開示の技術に係る一つの実施形態は、例えば、移動部材のガタ抑制と、移動部材の摺動抵抗低減とを両立できるレンズ機構及びレンズ装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の技術に係る第1の態様は、レンズを保持するレンズ保持部材と、レンズ保持部材に連結され、光軸方向に移動する移動部材と、移動部材の移動をガイドするガイド軸と、を備え、移動部材は、ガイド軸が挿入される軸受部を有し、軸受部は、第1部分と、第2部分とを有し、第1部分は、ガイド軸と接触し、第2部分には、ガイド軸が遊挿されているレンズ機構である。
【0008】
本開示の技術に係る第2の態様は、第1の態様に係るレンズ機構において、第1部分は、軸受部の第1側に位置し、第2部分は、軸受部の第2側に位置するレンズ機構である。
【0009】
本開示の技術に係る第3の態様は、第2の態様に係るレンズ機構において、第1側は、対物側であり、第2側は、結像側であるレンズ機構である。
【0010】
本開示の技術に係る第4の態様は、第1の態様に係るレンズ機構において、第1部分は、ガイド軸と接触する凸部を有するレンズ機構である。
【0011】
本開示の技術に係る第5の態様は、第4の態様に係るレンズ機構において、凸部は、ガイド軸の周方向に沿って形成されているレンズ機構である。
【0012】
本開示の技術に係る第6の態様は、第4の態様に係るレンズ機構において、凸部は、縦断面視で凸曲面状に形成されており、ガイド軸の外周面と接触するレンズ機構である。
【0013】
本開示の技術に係る第7の態様は、第1の態様に係るレンズ機構において、レンズ機構は、移動部材の外側に配置されたカム筒と、カム筒の外側に連結された操作部材と、をさらに備え、移動部材には、カム軸が設けられ、カム筒は、カム軸と係合するカム溝を有し、移動部材は、操作部材及びカム筒の回転に応じてカム軸がカム溝に沿って移動することにより、光軸方向に移動するレンズ機構である。
【0014】
本開示の技術に係る第8の態様は、第7の態様に係るレンズ機構において、複数のカム軸の個数は、3つであるレンズ機構である。
【0015】
本開示の技術に係る第9の態様は、第7の態様に係るレンズ機構において、レンズ機構は、移動部材とカム筒との間に設けられ、移動部材及びカム筒を支持する固定部材をさらに備えるレンズ機構である。
【0016】
本開示の技術に係る第10の態様は、第9の態様に係るレンズ機構において、ガイド軸は、固定部材に設けられているレンズ機構である。
【0017】
本開示の技術に係る第11の態様は、第1の態様に係るレンズ機構において、移動部材は、レンズ保持部材の調整機構を介してレンズ保持部材の外側に連結されているレンズ機構である。
【0018】
本開示の技術に係る第12の態様は、第1の態様に係るレンズ機構において、第2部分は、ガイド軸の直径の0.2%以上0.6%以下でガイド軸と離れているレンズ機構である。
【0019】
本開示の技術に係る第13の態様は、第1の態様に係るレンズ機構において、レンズ機構は、ガイド軸としての第1ガイド軸と、移動部材の移動をガイドする第2ガイド軸と、を備えるレンズ機構である。
【0020】
本開示の技術に係る第14の態様は、第1の態様から第13の態様の何れか一つの態様に係るレンズ機構と、レンズ機構をチルトさせるチルト機構と、レンズ機構をシフトさせるシフト機構と、チルト機構及びシフト機構の少なくとも一方を光軸方向の周りに回転させる回転機構とを備えるレンズ装置である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図7】レンズ装置の一例の一部断面を含む斜視図である。
【
図8】レンズ装置の一例の一部断面を含む斜視図である。
【
図9】レンズ機構における第1領域及び第2領域の一例を示す断面図である。
【
図12】第1ガイド軸及び第1軸受の周辺部の一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本明細書の説明において、「直交」とは、完全な直交の他に、本開示の技術が属する技術分野で一般的に許容される誤差であって、本開示の技術の趣旨に反しない程度の誤差を含めた意味合いでの直交を指す。本明細書の説明において、「平行」とは、完全な平行の他に、本開示の技術が属する技術分野で一般的に許容される誤差であって、本開示の技術の趣旨に反しない程度の誤差を含めた意味合いでの平行を指す。本明細書の説明において、「等間隔」とは、完全な等間隔の他に、本開示の技術が属する技術分野で一般的に許容される誤差であって、本開示の技術の趣旨に反しない程度の誤差を含めた意味合いでの等間隔を指す。
【0023】
はじめに、本開示の一実施形態に係る撮像装置10の構成について説明する。
【0024】
図1には、本実施形態に係る撮像装置10が斜視図にて示されている。一例として
図1に示されるように、撮像装置10は、レンズ装置12と、撮像装置ボディ14とを備える。レンズ装置12は、撮像装置ボディ14の前部に設けられている。
図1では、レンズ装置12及び撮像装置ボディ14が模式的に示されている。撮像装置ボディ14には、イメージセンサ(図示省略)及びコンピュータ(図示省略)等が内蔵されている。レンズ装置12に関して、矢印A側は、対物側を示しており、矢印B側は、結像側を示している。光軸OAは、レンズ装置12の光軸である。以下、光軸OAの軸方向を「光軸方向」と称する。
【0025】
図2には、レンズ装置12が平面図にて示されており、
図3には、レンズ装置12が側面図にて示されている。また、
図4には、レンズ装置12が縦断面図(すなわち、側面断面図)にて示されている。一例として
図2から
図4に示されるように、レンズ装置12は、レンズ機構16と、チルト機構18と、シフト機構20と、レボルビング機構22と、マウント24とを備える。
【0026】
レンズ機構16は、フォーカスリング26を有する。フォーカスリング26は、光軸方向の周りにリング状に形成されている。フォーカスリング26は、光軸方向の周りに回転することが可能である。
【0027】
チルト機構18は、レンズ機構16をチルトさせる機構である。チルト機構18は、チルトベース28と、チルトステージ30と、チルトロック32と、チルトつまみ34とを有する。境界36は、チルトベース28とチルトステージ30との間の境界である。境界36は、光軸OAと直交するチルト軸(図示省略)を中心に円弧状に形成されている。チルト機構18は、境界36を起点に作動する。
【0028】
チルトステージ30は、チルトベース28よりも対物側に配置されている。チルトステージ30は、レンズ機構16に対して固定されている。チルトベース28は、チルトステージ30をチルト可能に支持している。チルトとは、チルト軸を中心に回動する動作を指す。チルトステージ30は、レンズ機構16と一体にチルトする。
【0029】
チルトロック32及びチルトつまみ34は、軸状の部材である。チルトロック32は、チルトロック32の軸方向がチルト軸の軸方向と平行に配置されている。同様に、チルトつまみ34は、チルトつまみ34の軸方向がチルト軸の軸方向と平行に配置されている。チルトロック32及びチルトつまみ34は、チルトベース28に設けられている。
【0030】
チルトロック32は、チルトベース28に対してチルトステージ30を固定するロック状態と、チルトステージ30のチルトを許容するアンロック状態とを取り得る部材である。チルトつまみ34は、チルトステージ30をチルトさせる部材である。チルトつまみ34とチルトステージ30との間には、例えばラックアンドピニオン機構(図示省略)が設けられており、チルトステージ30は、チルトつまみ34の回転量に応じた移動量でチルトする。
【0031】
レボルビング機構22は、レンズ機構16、チルト機構18、及びシフト機構20を回転させる機構である。レボルビング機構22は、レボルビングステージ38と、レボルビングベース40とを有する。境界42は、レボルビングベース40と後述するシフトベース44との間の境界である。境界42は、光軸OAと直交する面に沿って形成されている。レボルビング機構22は、境界42を起点に作動する。
【0032】
レボルビングステージ38は、チルトベース28よりも結像側に配置されている。レボルビングステージ38は、チルトベース28に対して固定されている。レボルビングベース40は、シフトベース44よりも結像側に配置されている。レボルビングベース40は、シフトベース44を光軸方向の周りに回転可能に支持している。レンズ機構16、チルト機構18、レボルビングステージ38、及びシフト機構20は、光軸方向の周りに一体に回転する。レンズ機構16、チルト機構18、レボルビングステージ38、及びシフト機構20は、ユーザ等によって回転方向に力が加えられることにより回転する。レボルビング機構22は、本開示の技術に係る「回転機構」の一例である。
【0033】
シフト機構20は、レンズ機構16及びチルト機構18をシフトさせる機構である。シフト機構20は、シフトベース44と、シフトステージ46と、シフトロック48と、シフトつまみ50とを有する。境界52は、シフトベース44とシフトステージ46との間の境界である。境界52は、光軸OAと直交する面に沿って形成されている。シフト機構20は、境界52を起点に作動する。
【0034】
シフトステージ46は、レボルビングステージ38よりも結像側に配置されている。シフトステージ46は、レボルビングステージ38に対して固定されている。シフトベース44は、シフトステージ46よりも結像側に配置されている。シフトベース44は、シフトステージ46をシフト可能に支持している。シフトとは、光軸方向と直交する方向にスライドする動作を指す。シフトステージ46は、レンズ機構16、チルト機構18、及びレボルビングステージ38と一体にシフトする。一例として、シフトステージ46がシフトする方向(以下、「シフト方向」と称する)は、撮像装置10(
図1参照)の上下方向に設定されている。
【0035】
シフトロック48及びシフトつまみ50は、軸状の部材である。シフトロック48は、シフトロック48の軸方向が光軸方向及びシフト方向と直交する方向と平行に配置されている。同様に、シフトつまみ50は、シフトつまみ50の軸方向が光軸方向及びシフト方向と直交する方向と平行に配置されている。シフトロック48及びシフトつまみ50は、シフトステージ46に設けられている。
【0036】
シフトロック48は、シフトベース44に対してシフトステージ46を固定するロック状態と、シフトステージ46のシフトを許容するアンロック状態とを取り得る部材である。シフトつまみ50は、シフトステージ46をシフトさせる部材である。シフトつまみ50とシフトベース44との間には、例えばラックアンドピニオン機構(図示省略)が設けられており、シフトステージ46は、シフトつまみ50の回転量に応じた移動量でシフトする。
【0037】
マウント24は、レンズ機構16の結像側の端部に設けられている。マウント24は、レボルビングベース40に対して固定されている。マウント24は、撮像装置ボディ14(
図1参照)に設けられたマウント(図示省略)に取り付けられる。マウント24が撮像装置ボディ14に設けられたマウントに取り付けられることにより、レンズ装置12が撮像装置ボディ14の前部に固定される。
【0038】
図5には、レンズ機構16が縦断面図にて示されている。一例として
図5に示されるように、レンズ機構16は、第1レンズ60と、第2レンズ62と、第3レンズ64と、第1レンズ枠66と、第2レンズ枠68と、第3レンズ枠70と、移動枠72と、固定部材74と、カム筒76と、回転筒78と、フォーカスリング26とを有する。
【0039】
一例として、第1レンズ60は、対物レンズであり、第2レンズ62は、フォーカスレンズであり、第3レンズ64は、単焦点レンズである。第1レンズ60は、第2レンズ62よりも対物側に配置されており、第3レンズ64は、第2レンズ62よりも結像側に配置されている。第1レンズ60は、本開示の技術に係る「対物レンズ」の一例である。第2レンズ62は、本開示の技術に係る「レンズ」及び「フォーカスレンズ」の一例である。
【0040】
第1レンズ60は、第1レンズ枠66の内側に配置されており、第2レンズ62は、第2レンズ枠68の内側に配置されており、第3レンズ64は、第3レンズ枠70の内側に配置されている。本明細書において、「内側」とは、方向を特定する説明がない限り、「径方向の内側」を指す。第1レンズ枠66は、第1レンズ60を保持しており、第2レンズ枠68は、第2レンズ62を保持しており、第3レンズ枠70は、第3レンズ64を保持している。第2レンズ枠68は、本開示の技術に係る「レンズ保持部材」の一例である。
【0041】
第1レンズ枠66は、第1枠80と、第2枠82とを有する。第1枠80は、第2枠82の対物側に設けられている。第1枠80の内側には、第1レンズ60のうちの対物側に位置するレンズ60Aが配置されており、第2枠82の内側には、第1レンズ60のうちの結像側に位置するレンズ60Bが配置されている。
【0042】
第2レンズ枠68は、第3枠84と、第4枠86とを有する。第3枠84は、第4枠86の対物側に設けられている。第4枠86の内側には、第2レンズ62が配置されている。第2レンズ62及び第4枠86は、チルト機構18、シフト機構20、及びレボルビング機構22の内側に配置されている(
図4参照)。
【0043】
第3枠84は、第2レンズ62よりも対物側に配置されている。また、第3枠84は、第1レンズ枠66のうちの第2枠82の外側に配置されている。本明細書において、「外側」とは、方向を特定する説明がない限り、「径方向の外側」を指す。第1レンズ60のうちの結像側に位置するレンズ60Bは、第3枠84の内側に配置されている。第1レンズ60のうちの結像側に位置するレンズ60Bは、本開示の技術に係る「対物レンズの少なくとも一部」の一例である。第3枠84は、本開示の技術に係る「連結部材」の一例である。
【0044】
移動枠72は、第3枠84の外側に連結されている。移動枠72は、例えば、樹脂によって形成される。固定部材74は、固定枠88と、連結枠90とを有する。固定枠88は、連結枠90の対物側に設けられている。固定枠88は、移動枠72の外側に配置されている。連結枠90の結像側の端部には、第3レンズ枠70が固定されている。連結枠90の内側には、第4枠86及び第2レンズ62が配置されている。固定部材74は、第1レンズ枠66に対して固定されている。固定部材74のうちの固定枠88は、本開示の技術に係る「固定部材」の一例である。移動枠72は、本開示の技術に係る「移動部材」の一例である。
【0045】
カム筒76は、移動枠72及び固定枠88の外側に配置されている。回転筒78は、カム筒76の外側に連結されており、フォーカスリング26は、回転筒78の外側に連結されている。カム筒76は、本開示の技術に係る「カム筒」の一例である。フォーカスリング26は、本開示の技術に係る「操作リング」の一例である。
【0046】
フォーカスリング26、回転筒78、及びカム筒76は、固定部材74に対して光軸方向の周りに回転可能に支持されている。また、移動枠72及び第2レンズ枠68は、固定部材74に対して光軸方向に移動可能に支持されている。
【0047】
移動枠72には、カム軸92が設けられている。カム軸92は、移動枠72からカム筒76に向けて延びる軸状の部材である。固定枠88は、移動枠72とカム筒76との間に設けられている。カム軸92は、固定枠88を貫通しており、固定枠88に対してカム筒76の側に突出している。カム筒76の固定枠88側の面(すなわち、内周面)には、カム溝94が形成されている。カム溝94は、光軸方向の周りに延びる螺旋に沿って形成されている。カム溝94には、カム軸92が係合されている。
【0048】
カム軸92及びカム溝94は、光軸方向の周りに作用する力を光軸方向への力に変換するカム機構96を形成している。フォーカスリング26がユーザ等によって回転方向に操作された場合、フォーカスリング26及びカム筒76の回転に応じてカム軸92がカム溝94に沿って移動することにより、移動枠72及び第2レンズ枠68が光軸方向に移動する。カム軸92は、本開示の技術に係る「カム軸」の一例である。カム溝94は、本開示の技術に係る「カム溝」の一例である。
【0049】
なお、
図5には、1つのカム機構96が図示されているが、レンズ装置12には、3つのカム機構96が設けられている。すなわち、複数のカム軸92の個数は、3つである。3つのカム軸92は、光軸方向の周りに等間隔に配置されている。なお、3つのカム機構96のカム溝94は、独立していてもよいし、繋がっていてもよい。
【0050】
図6には、レンズ装置12が
図5のF6-F6線断面図にて示されている。また、
図7及び
図8には、レンズ装置12が一部断面を含む斜視図にて示されている。
図8は、
図7とは異なる角度から見た斜視図である。
【0051】
一例として
図6から
図8に示されるように、レンズ機構16は、複数のレンズ調整軸98と、複数のあおりガイド100と、センサ102とを有する。レンズ調整軸98は、光軸OAに対する第2レンズ枠68の角度(すなわち、あおり角度)の調整を行う部材であり、あおりガイド100は、第2レンズ枠68の角度の調整をガイドする部材である。レンズ調整軸98及びあおりガイド100の具体的な構成については、後述する。センサ102は、移動枠72の光軸方向の位置を検出するセンサである。センサ102としては、例えば、抵抗素子を用いた抵抗式変位センサ、GMR(Giant Magneto Resistive)センサと着磁シートの組み合わせによる磁気式変位センサ、及び、回折格子と光ピックアップを利用した光学式変位センサ等のリニアセンサ等が挙げられる。
【0052】
一例として、複数のレンズ調整軸98の個数は、3つである。同様に、複数のあおりガイド100の個数も、3つである。3つのレンズ調整軸98は、光軸方向の周りに等間隔に配置されている。同様に、3つのあおりガイド100も、光軸方向の周りに等間隔に配置されている。レンズ調整軸98とあおりガイド100とは、光軸方向の周りの方向(すなわち、レンズ機構16の周方向)に交互に配置されている。各あおりガイド100は、隣り合うレンズ調整軸98の間に配置されている。
【0053】
3つのレンズ調整軸98及び3つのあおりガイド100は、第2レンズ枠68の調整機構104を構成している。移動枠72は、調整機構104によって第2レンズ枠68(具体的には、第3枠84)の外側に連結されている。調整機構104は、第4枠86及び第2レンズ62(
図5参照)よりも対物側に配置されている。また、複数のレンズ調整軸98、複数のあおりガイド100、及びセンサ102は、固定枠88の内側に配置されている。
【0054】
調整機構104は、本開示の技術に係る「レンズ保持部材の調整機構」の一例である。レンズ調整軸98は、本開示の技術に係る「調整部材」の一例である。あおりガイド100は、本開示の技術に係る「ガイド部材」の一例である。センサ102は、本開示の技術に係る「センサ」の一例である。
【0055】
レンズ機構16は、第1ガイド軸110と、第1軸受112と、第2ガイド軸114と、第2軸受116とを有する。第1ガイド軸110及び第2ガイド軸114は、ピン状に形成されており、光軸方向に延びている。第1ガイド軸110及び第2ガイド軸114は、固定枠88に設けられている。第2ガイド軸114は、光軸OAを挟んで第1ガイド軸110と対向する側(すなわち、第1ガイド軸110と反対側)に配置されている。第1ガイド軸110及び第2ガイド軸114は、例えば、金属によって形成される。
【0056】
第1軸受112及び第2軸受116は、移動枠72に形成されている。すなわち、移動枠72は、第1軸受112及び第2軸受116を有する。第1軸受112は、光軸方向に延びる孔状に形成されている。第2軸受116は、光軸方向に延びるU字溝状に形成されている。第2軸受116のU字溝形状の底部は、第2ガイド軸114よりも光軸OA側(すなわち、レンズ機構16の径方向の内側)に位置し、第2軸受116のU字溝形状の開放部は、第2ガイド軸114よりも光軸OAと反対側(すなわち、レンズ機構16の径方向の外側)に位置する。
【0057】
第1軸受112には、第1ガイド軸110が挿入されており、第2軸受116には、第2ガイド軸114が挿入されている。第1軸受112に第1ガイド軸110が挿入され、第2軸受116に第2ガイド軸114が挿入されることにより、移動枠72の光軸方向への移動がガイドされる。第1ガイド軸110は、本開示の技術に係る「ガイド軸」及び「第1ガイド軸」の一例である。第2ガイド軸114は、本開示の技術に係る「第2ガイド軸」の一例である。第1軸受112は、本開示の技術に係る「軸受」の一例である。
【0058】
図9には、レンズ機構16が第1領域120と第2領域122とに分割された態様が示されている。
図9は、
図6と同様の位置でレンズ機構16を切断した断面図である。一例として
図9に示されるように、第1領域120及び第2領域122は、第1ガイド軸110と第2ガイド軸114とを結ぶ線分124で分割された領域である。第1領域120には、3つのレンズ調整軸98のうちの1つのレンズ調整軸98と、3つのあおりガイド100のうちの2つのあおりガイド100とが配置されている。第2領域122には、3つのレンズ調整軸98のうちの2つのレンズ調整軸98と、3つのあおりガイド100のうちの1つのあおりガイド100とが配置されている。
【0059】
一例として、センサ102は、第1領域120に配置されている。センサ102は、レンズ機構16の周方向におけるレンズ調整軸98とあおりガイド100との間に配置されている。センサ102は、第1ガイド軸110よりも第2ガイド軸114に近い領域に配置されている。
【0060】
図10には、
図9のA部が拡大図にて示されており、
図11には、
図9のB部が拡大図にて示されている。一例として
図10及び
図11に示されるように、移動枠72は、調整機構104と対応する位置に形成された開口130及び開口132を有する。開口130は、レンズ調整軸98と対応する位置に形成されており、開口132は、あおりガイド100と対応する位置に形成されている。固定枠88は、調整機構104と対応する位置に形成された開口134及び開口136を有する。開口134は、レンズ調整軸98と対応する位置に形成されており、開口136は、あおりガイド100と対応する位置に形成されている。カム筒76は、調整機構104と対応する位置に形成された開口138及び開口140を有する。開口138は、レンズ調整軸98と対応する位置に形成されており、開口140は、あおりガイド100と対応する位置に形成されている。
【0061】
レンズ調整軸98は、支持部材98Aと、回転部材98Bとを有する。支持部材98Aは、第2レンズ枠68のうちの第3枠84に固定されている。支持部材98Aは、第3枠84の外側に延びる軸状の部材である。回転部材98Bは、支持部材98Aに回転可能に支持されている。回転部材98Bは、支持部材98Aの中心軸に対して偏芯した形状を有する。回転部材98Bは、移動枠72に形成された開口130に収容されており、開口130の内周面と当接している。回転部材98Bの回転角度に応じて回転部材98Bの回転中心と開口130の内周面との距離が変更されることにより、第2レンズ枠68の角度が調整される。
【0062】
あおりガイド100は、支持部材100Aと、ガイド部材100Bとを有する。支持部材100Aは、第2レンズ枠68のうちの第3枠84に固定されている。支持部材100Aは、第3枠84の外側に延びる軸状の部材である。ガイド部材100Bは、支持部材100Aに固定されている。ガイド部材100Bは、移動枠72に形成された開口132(すなわち、溝)に収容されている。ガイド部材100Bは、光軸方向に移動可能に開口132と係合されている。ガイド部材100Bが開口132によってガイドされることにより、第2レンズ枠68の角度の調整がガイドされる。
【0063】
図12には、第1ガイド軸110及び第1軸受112の周辺部が
図9のF12-F12線断面図にて示されている。一例として
図12に示されるように、第1軸受112は、第1部分112Aと、第2部分112Bとを有する。
図12には、第1部分112A及び第2部分112Bを拡大した図がそれぞれ示されている。一例として、第1部分112Aは、第1軸受112の第1側に位置し、第2部分112Bは、第1軸受112の第2側に位置する。第1側は、第1軸受112の軸方向の第1側であり、第2側は、第1軸受112の軸方向の第2側である。一例として、第1側は、対物側であり、第2側は、結像側である。第1部分112Aは、第1ガイド軸110と接触し、第2部分112Bには、第1ガイド軸110が遊挿されている。第1部分112Aは、第1ガイド軸110と接触する凸部118を有する。
【0064】
凸部118は、縦断面視で凸曲面状に形成されており、第1ガイド軸110の外周面と接触している。縦断面とは、
図12の通り、凸部118の高さ方向に沿って切断した断面を指す。凸部118は、第1ガイド軸110の周方向に沿って形成されている。一例として、凸部118は、第1ガイド軸110の周方向に沿って環状に形成されている。凸部118は、縦断面視で凸曲面状に形成され、かつ第1ガイド軸110の周方向に沿って形成されることにより、第1ガイド軸110の外周面と線接触している。
【0065】
一例として、第2部分112Bは、第1ガイド軸110の直径の0.2%以上0.6%以下で第1ガイド軸110と離れている。なお、第2部分112Bは、移動枠72の姿勢変化に伴って第1ガイド軸110と接触することにより移動枠72の姿勢を保持する機能を有する。
【0066】
第1部分112Aは、本開示の技術に係る「第1部分」の一例である。第2部分112Bは、本開示の技術に係る「第2部分」の一例である。対物側は、本開示の技術に係る「第1側」の一例である。結像側は、本開示の技術に係る「第2側」の一例である。凸部118は、本開示の技術に係る「凸部」の一例である。
【0067】
次に、本実施形態の効果について説明する。
【0068】
本実施形態に係るレンズ装置12では、レンズ機構16は、第2レンズ62を保持する第2レンズ枠68と、第2レンズ枠68に連結された移動枠72と、移動枠72の外側に配置されたカム筒76と、カム筒76の外側に連結されたフォーカスリング26とを備える。移動枠72には、カム軸92が設けられており、カム筒76は、カム軸92と係合するカム溝94を有している。したがって、フォーカスリング26がユーザ等によって回転方向に操作された場合には、フォーカスリング26及びカム筒76の回転に応じてカム軸92がカム溝94に沿って移動することにより、移動枠72及び第2レンズ枠68を光軸方向に移動させることができる。これにより、ユーザ等が手動でピントを被写体に合わせることができる。
【0069】
また、複数のカム軸92の個数は、3つである。したがって、フォーカスリング26がユーザ等によって回転方向に操作された場合には、3つのカム軸92が位置する3箇所で移動枠72に対して光軸方向への移動力を付与することができる。
【0070】
また、レンズ機構16は、移動枠72の移動をガイドする第1ガイド軸110及び第2ガイド軸114を備える。したがって、フォーカスリング26の回転に連動してカム筒76の姿勢が変化した場合でも、移動枠72の移動が第1ガイド軸110及び第2ガイド軸114によってガイドされることにより、移動枠72のガタを抑制することができる。これにより、移動枠72に連結された第2レンズ枠68のガタを抑制することができる。
【0071】
また、第1ガイド軸110及び第2ガイド軸114が位置する2箇所で移動枠72の移動をガイドすることができる。これにより、例えば、1箇所で移動枠72の移動をガイドする構造に比して、移動枠72の移動を安定してガイドすることができる。
【0072】
また、移動枠72は、第1ガイド軸110が挿入される第1軸受112を有している。第1軸受112は、第1部分112Aと、第2部分112Bとを有する。第1部分112Aは、第1ガイド軸110と接触しており、第2部分112Bには、第1ガイド軸110が遊挿されている。したがって、例えば、第1ガイド軸110が軸方向に亘って第1軸受112と接触している場合に比して、移動枠72のガタ抑制と、移動枠72の摺動抵抗低減とを両立することができる。
【0073】
また、第1部分112Aは、第1軸受112の軸方向の第1側に位置し、第2部分112Bは、第1軸受112の軸方向の第2側に位置する。したがって、第1部分112Aで移動枠72のガタ抑制を図ることができ、第2部分112Bで移動枠72の摺動抵抗低減を図ることができる。
【0074】
また、第1部分112Aが位置する第1側は、対物側であり、第2部分112Bが位置する第2側は、結像側である。ここで、レンズ装置12の対物側は、自由端側であり、レンズ装置12の結像側は、撮像装置ボディ14に固定される固定端側である。したがって、結像側に比して剛性が低下する対物側において、第1部分112Aが第1ガイド軸110と接触することにより、移動枠72のガタを効果的に抑制することができる。すなわち、第1ガイド軸110が遊挿される第2部分112Bが対物側に設けられる場合に比して、移動枠72のガタを抑制することができる。
【0075】
また、第1部分112Aは、第1ガイド軸110と接触する凸部118を有する。したがって、凸部118の縦断面視で凸部118が第1ガイド軸110と点接触した状態になるので、第1部分112Aにおいても、移動枠72のガタ抑制と移動枠72の摺動抵抗低減とを図ることができる。すなわち、第1部分112Aが第1ガイド軸110の軸方向に亘って第1ガイド軸110と面接触する構造(すなわち、凸部118よりも接触面積が大きい構造)に比して、移動枠72のガタを抑制しつつ、移動枠72の摺動抵抗を低減することができる。
【0076】
また、凸部118は、第1ガイド軸110の周方向に沿って形成されている。したがって、凸部118を第1ガイド軸110の周方向に沿って線接触させることができる。これにより、例えば、第1ガイド軸110の周方向に複数の凸部118が点在する構造に比して、移動枠72の摺動抵抗を低減しつつ、移動枠72のガタを抑制することができる。
【0077】
また、凸部118は、縦断面視で凸曲面状に形成されており、ガイド軸の外周面と接触する。これにより、凸部118の縦断面視で凸部118が第1ガイド軸110と点接触した状態を実現することができる。
【0078】
また、第2部分112Bは、第1ガイド軸110の直径の0.2%以上0.6%以下で第1ガイド軸110と離れている。ここで、第2部分112Bと第1ガイド軸110との間の距離が第1ガイド軸110の直径の0.2%未満である場合、第1軸受112が樹脂によって形成され、第1ガイド軸110が金属によって形成された場合に温度の低下に伴う線膨張差により第2部分112Bが第1ガイド軸110と干渉する虞がある。一方、第2部分112Bと第1ガイド軸110との間の距離が第1ガイド軸110の直径の0.6%を超える場合、移動枠72の姿勢変化に伴って第1ガイド軸110と接触することができなくなる。
【0079】
したがって、第2部分112Bが、第1ガイド軸110の直径の0.2%以上0.6%以下で第1ガイド軸110と離れていると、温度の低下に伴う線膨張差により第2部分112Bが第1ガイド軸110と干渉することを防止しつつ、移動枠72の姿勢変化に伴って第2部分112Bが第1ガイド軸110と接触することにより移動枠72の姿勢を保持することができる。
【0080】
また、レンズ機構16は、固定枠88を有している。固定枠88は、移動枠72とカム筒76との間に設けられており、移動枠72及びカム筒76を支持している。したがって、移動枠72及びカム筒76が共通の固定枠88によって支持されているので、例えば、移動枠72を支持する第1支持枠と、カム筒76を支持する第2支持枠とが別々に設けられている場合に比して、レンズ機構16を小型化することができる。
【0081】
また、第1ガイド軸110及び第2ガイド軸114は、固定枠88(すなわち、固定された部材)に設けられている。したがって、例えば、第1ガイド軸110及び第2ガイド軸114が可動する部材に設けられている構造に比して、移動枠72のガタを抑制することができる。
【0082】
また、第2軸受116は、光軸方向に延びるU字溝状に形成されている。第2軸受116のU字溝形状の底部は、第2ガイド軸114よりも光軸OA側に位置し、第2軸受116のU字溝形状の開放部は、第2ガイド軸114よりも光軸OAと反対側に位置する。したがって、製造誤差及び/又は変形等によって第1軸受112と第2軸受116との間の距離が設計値よりも短くなった場合でも、第2ガイド軸114が第2軸受116のU字溝形状の開放部側に逃げることができる。これにより、例えば、第2軸受116が第1軸受112と同様の構成である場合に比して、移動枠72の摺動抵抗が増加することを抑制することができる。
【0083】
また、移動枠72は、第2レンズ枠68の調整機構104を介して第2レンズ枠68の外側に連結されている。したがって、調整機構104によって移動枠72に対して第2レンズ枠68の角度を調整することができる。
【0084】
また、レンズ装置12は、レンズ機構16と、レンズ機構16をチルトさせるチルト機構18と、レンズ機構16をシフトさせるシフト機構20を備える。したがって、チルト機構18によりレンズ機構16をチルトさせた状態で撮像を行うチルト撮像、及び、シフト機構20によりシフト機構20をシフトさせた状態で撮像を行うシフト撮像を行うことができる。
【0085】
また、レンズ装置12は、チルト機構18及びシフト機構20を光軸方向の周りに回転させるレボルビング機構22を備える。したがって、レボルビング機構22によってチルト機構18を回転させることにより、レンズ機構16をチルトさせる方向を変更することができる。また、レボルビング機構22によってシフト機構20を回転させることにより、レンズ機構16をシフトさせる方向を変更することができる。
【0086】
次に、本実施形態の変形例について説明する。
【0087】
上記実施形態において、第1軸受112のうちの第1部分112Aが位置する第1側は、対物側であり、第1軸受112のうちの第2部分112Bが位置する第2側は、結像側であるが、第1軸受112のうちの第1部分112Aが位置する第1側は、結像側であり、第1軸受112のうちの第2部分112Bが位置する第2側は、対物側でもよい。
【0088】
また、上記実施形態において、凸部118は、第1ガイド軸110の周方向に沿って環状に形成されているが、第1ガイド軸110の周方向に沿って延びる複数の突条によって形成されていてもよい。
【0089】
また、上記実施形態において、複数のカム軸92の個数は、3つであるが、3つ以外でもよい。
【0090】
また、上記実施形態において、レンズ機構16は、移動枠72をガイドする第1ガイド軸110及び第2ガイド軸114を有するが、移動枠72をガイドするガイド軸の個数は、1つでもよく、3つ以上でもよい。
【0091】
また、上記実施形態において、レボルビング機構22は、チルト機構18及びシフト機構20を光軸方向の周りに回転させる機構であるが、チルト機構18及びシフト機構20のどちらか一方を光軸方向の周りに回転させる機構でもよい。
【0092】
また、上記実施形態において、レンズ装置12は、チルト機構18、シフト機構20、及びレボルビング機構22を有するが、チルト機構18、シフト機構20、及びレボルビング機構22の少なくとも一つは、省かれてもよい。
【0093】
以上に示した記載内容及び図示内容は、本開示の技術に係る部分についての詳細な説明であり、本開示の技術の一例に過ぎない。例えば、上記の構成、機能、作用、及び効果に関する説明は、本開示の技術に係る部分の構成、機能、作用、及び効果の一例に関する説明である。よって、本開示の技術の主旨を逸脱しない範囲内において、以上に示した記載内容及び図示内容に対して、不要な部分を削除したり、新たな要素を追加したり、置き換えたりしてもよいことは言うまでもない。また、錯綜を回避し、本開示の技術に係る部分の理解を容易にするために、以上に示した記載内容及び図示内容では、本開示の技術の実施を可能にする上で特に説明を要しない技術常識等に関する説明は省略されている。
【0094】
本明細書において、「A及び/又はB」は、「A及びBのうちの少なくとも1つ」と同義である。つまり、「A及び/又はB」は、Aだけであってもよいし、Bだけであってもよいし、A及びBの組み合わせであってもよい、という意味である。また、本明細書において、3つ以上の事柄を「及び/又は」で結び付けて表現する場合も、「A及び/又はB」と同様の考え方が適用される。
【0095】
本明細書に記載された全ての文献、特許出願及び技術規格は、個々の文献、特許出願及び技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。
【符号の説明】
【0096】
10 撮像装置
12 レンズ装置
14 撮像装置ボディ
16 レンズ機構
18 チルト機構
20 シフト機構
22 レボルビング機構
24 マウント
26 フォーカスリング
28 チルトベース
30 チルトステージ
32 チルトロック
34 チルトつまみ
36 境界
38 レボルビングステージ
40 レボルビングベース
42 境界
44 シフトベース
46 シフトステージ
48 シフトロック
50 シフトつまみ
52 境界
60 第1レンズ
62 第2レンズ
64 第3レンズ
66 第1レンズ枠
68 第2レンズ枠
70 第3レンズ枠
72 移動枠
74 固定部材
76 カム筒
78 回転筒
80 第1枠
82 第2枠
84 第3枠
86 第4枠
88 固定枠
90 連結枠
92 カム軸
94 カム溝
96 カム機構
98 レンズ調整軸
98A 支持部材
98B 回転部材
100 あおりガイド
100A 支持部材
100B ガイド部材
102 センサ
104 調整機構
110 第1ガイド軸
112 第1軸受
112A 第1部分
112B 第2部分
114 第2ガイド軸
116 第2軸受
118 凸部
120 第1領域
122 第2領域
124 線分
130 開口
132 開口
134 開口
136 開口
138 開口
140 開口