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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024050813
(43)【公開日】2024-04-10
(54)【発明の名称】ワーク処理システム
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/683 20060101AFI20240403BHJP
   H01L 21/301 20060101ALI20240403BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20240403BHJP
【FI】
H01L21/68 P
H01L21/78 P
H01L21/304 648A
H01L21/304 643A
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024016094
(22)【出願日】2024-02-06
(62)【分割の表示】P 2020108832の分割
【原出願日】2020-06-24
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
(71)【出願人】
【識別番号】000151494
【氏名又は名称】株式会社東京精密
(74)【代理人】
【識別番号】100083116
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲三
(74)【代理人】
【識別番号】100140992
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲政
(74)【代理人】
【識別番号】100170069
【弁理士】
【氏名又は名称】大原 一樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128635
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 潔
(72)【発明者】
【氏名】曽田 陽彦
(72)【発明者】
【氏名】清水 翼
(57)【要約】
【課題】スピンナ装置の回転テーブルの回転中心とワークユニットとを正確に位置決めできるワーク処理システムを提供する。
【解決手段】ワーク処理システムは、ワークを備えたワークユニットを収納するワーク収納カセットと、スピンナ装置と、ワーク収納カセットとスピンナ装置との間でワークユニットを搬送する搬送装置と、を備え、スピンナ装置は、搬送装置により搬送されたワークユニットを受け取り保持する保持面を有する回転テーブルと、回転テーブルの外周部に設けられ、搬送装置から受け渡されたワークユニットの外周部の複数位置に径方向外側から接触可能であり、回転テーブルの回転中心とワークユニットとの相対的な位置決めを行う複数の位置決め部材と、を有する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークを備えたワークユニットを収納するワーク収納カセットと、
スピンナ装置と、
前記ワーク収納カセットと前記スピンナ装置との間で前記ワークユニットを搬送する搬送装置と、
を備え、
前記スピンナ装置は、
前記搬送装置により搬送された前記ワークユニットを受け取り保持する保持面を有する回転テーブルと、
前記回転テーブルの外周部に設けられ、前記搬送装置から受け渡された前記ワークユニットの外周部の複数位置に径方向外側から接触可能であり、前記回転テーブルの回転中心と前記ワークユニットとの相対的な位置決めを行う複数の位置決め部材と、
を有する、
ワーク処理システム。
【請求項2】
前記複数の位置決め部材は、それぞれ前記ワークユニットが接触する位置にテーパ面を有し、前記テーパ面は前記位置決め部材の先端から前記保持面に近づくにつれて前記回転テーブルの回転中心に近づくように傾斜している、
請求項1に記載のワーク処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はワーク処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ワークに対して加工を行う加工装置において、ワークを塗布装置、又は洗浄装置に搬送する機能を備える装置構成が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1の加工装置では、ダイシングシートを介してリング状のフレームにワーク(例えばウエハ)を固定したワークユニットが収納されたカセットを準備する。カセットからワークユニットを取り出し、一対のガイドレールにより位置決めし、塗布装置、又は洗浄装置に用いられるスピンナ装置の回転テーブルの上に、ワークユニットを受け渡ししている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009-253226号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、回転テーブルは塗布、及び洗浄のプロセスにおいて3000rpm等の高速で回転する。回転テーブルとフレームの回転中心は正確に合わせる必要がある。つまり、回転の重心バランスを合わせる必要がある。
【0006】
また、塗布プロセスにおいては、ノズルをワークに正確に位置づける必要があるため、搬送に起因する回転テーブルとワークユニットとの位置ずれを最小限に抑える必要がある。
【0007】
しかしながら、ガイドレール、回転テーブルの位置は装置の組立て精度の影響を受けるため、ガイドレールだけで回転テーブルの回転中心とワークユニットとを正確に位置決めすることは難しい。
【0008】
また、一対のガイドレールによりフレームを挟持した場合でも、ガイドレールとフレームとの隙間を無くすことはできず、そのため誤差成分を含んでしまう。また、隣接した加工装置の振動の影響を受け、ガイドレールと回転テーブルとの位置関係は状況により不定となる。
【0009】
特に、加工装置に複数のスピンナ装置を搭載する場合、スピンナ装置を一対のガイドレールの下方で直線状に並べて配置する必要がある。加工装置の組み立て精度は、単一のスピンナ装置の場合と比べると要求精度が高くなる。現実には正確に直線状に複数のスピンナ装置を配置するのは困難であり、そのためスピンナ装置ごとに回転テーブルの中心ずれが生じ、回転テーブルの回転中心とワークユニットとを正確に位置決めすることが困難になる。
【0010】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、スピンナ装置の回転テーブルの回転中心とワークユニットとを正確に位置決めできるワーク処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、次の発明態様を提供する。
【0012】
第一態様のワーク処理システムは、ダイシングシートを介してリング状のフレームにワークが固定されたワークユニットを収納するワーク収納カセットと、ワーク収納カセットから搬送方向に並列配置された複数のスピンナ装置と、ワーク収納カセットと複数のスピンナ装置との間でワークユニットを搬送する搬送装置と、を備えたワーク処理システムであって、搬送装置は、ワーク収納カセットから搬送方向に延びる一対のガイドレールと、一対のガイドレールに案内されつつワークユニットを搬送方向に搬送するクランプ部材と、を有し、スピンナ装置は、搬送方向に直交する昇降方向に昇降自在に構成された回転テーブルであって、搬送装置により搬送されたワークカセットを受け取り保持する保持面を有する回転テーブルと、回転テーブルの外周部に設けられた複数の位置決めピンであり、搬送装置から受け渡されたワークユニットの外周部の複数位置に径方向外側から接触可能であり、回転テーブルの回転中心とワークユニットとの相対的な位置決めを行う複数の位置決めピンと、を有する。
【0013】
第二態様のワーク処理システムにおいて、複数の位置決めピンは、それぞれワークユニットが接触する位置にテーパ面を有し、テーパ面は位置決めピンの先端から保持面に近づくにつれて回転テーブルの回転中心に近づくように傾斜している。
【0014】
第三態様のワーク処理システムにおいて、複数の位置決めピンは、回転テーブルの回転中心から径方向に等距離離れた位置に設けられる。
【0015】
第四態様のワーク処理システムにおいて、複数の位置決めピンは、回転テーブルの回転中心を中心とする周方向に均等に配置される。
【0016】
第五態様のワーク処理システムにおいて、回転テーブルの外周に、回転テーブルが回転すると回動しフレームをクランプするフレームクランパを備え、複数の位置決めピンがフレームクランパを軸支する。
【0017】
第六態様のワーク処理システムにおいて、複数の位置決めピンは、断面が一定の柱形状であり、回転テーブルにおいてワーク収納カセットの側に配置され、搬送部材がワークユニットを複数の位置決めピンに接触させる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、スピンナ装置の回転テーブルの回転中心とワークユニットとを相対的に正確に位置決めできる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1はワーク処理システムを含むシステムの全体構成図である。
図2図2はワークユニットの平面図である。
図3図3はワーク処理システムの斜視図である。
図4図4はワーク処理システムの側面図である。
図5図5はワーク処理システムの上面図である。
図6図6は第一形態のワーク処理システムの説明図である。
図7図7は第二形態のワーク処理システムの説明図である。
図8図8は第三形態のワーク処理システムの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図面に基づいて、本発明の好ましい実施形態について詳説する。本明細書では、同一の構成要素には同一の参照符号を付して、重複する説明は適宜省略する。
【0021】
〔全体構成〕
図1は実施形態に係るワーク処理システムを含むシステムの全体構成図である。図2はワークユニットの平面図である。図3はワーク処理システムの斜視図であり、図4はワーク処理システムの側面図であり、図5はワーク処理システムの上面図である。同図に示すワーク処理システム10は、ワーク収納カセットと、並列配置された複数のスピンナ装置との間で、搬送装置によりワークユニットを搬送するシステムである。
【0022】
ワーク処理システム10は、図1に示されるように、ワーク収納カセット20と、スピンナ装置30と、搬送装置50と、を備える。実施形態においては、ワーク処理システム10に隣接して加工ステージ80が設けられる。なお、図1において、スピンナ装置30と加工ステージ80との間のワークユニットWUの搬送方向をX軸方向で示し、ワーク収納カセット20とスピンナ装置30との間のワークユニットWUの搬送方向をY軸方向で示し、鉛直方向をZ軸方向で示している。X軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向は、互いに直交する。ワークユニットWUは加工対象となるワークWを備えている(図2参照)。
【0023】
加工ステージ80は、テーブル82と、テーブル82の上に配置されたX-Y駆動機構84と、レーザ照射装置86と、を備える。X-Y駆動機構84は、ワークユニットWUを載置するための載置台88を備える。加工ステージ80では、載置台88に載置されたワークユニットWUが、X-Y駆動機構84により、レーザ照射装置86の下方の加工位置に移動される。レーザ照射装置86は、載置台88にされたワークWにレーザ光LDを照射する。レーザ照射装置86は、アブレーション等のワークWの表面への加工、及びワークWの内部へのレーザ加工領域の形成のいずれにも適用できる。
【0024】
ワークユニットWUは、ワーク処理システム10と加工ステージ80との間で、図示しない搬送アームによって移動される。
【0025】
図2に示されるようにワークユニットWUは、ワークWと、ダイシングシートSと、リング状のフレームFと、を備え、ダイシングシートSを介してリング状のフレームFにワークWが固定される。ワークWは、例えば、半導体ウエハである。半導体ウエハには各種のデイバスが形成される。半導体ウエハは、各種工程を経て、分割ラインに沿って複数のチップに分割される。ワークWは、半導体ウエハに限定されない。
【0026】
ワークWが、例えば、(Die Attach Filmダイアタッチフィルム)と呼ばれるダイボンディング用のフィルム状接着剤Dが貼着されたダイシングシートS(ダイシングテープ、粘着テープ、又は粘着シート等とも称される)に貼り付けられる。
【0027】
ダイシングシートSの周縁部は、剛性のあるリング状のフレームF(ダイシングフレーム、リングフレーム等とも称される)にマウントされる。ワークWが、ダイシングシートSを介してフレームFの開口の位置に配置される。
【0028】
図2において、フレームFは、周方向に沿って形成された4個の直線部分と、直線部分の間に形成された円弧部分とを有する。4個の直線部分の中で、対向する2つの直線部分は互いに平行であり、フレームFの中心に対して周方向に均等に配置される。ただし、フレームFの形状は上記形状に限定されず、適宜変更できる。
【0029】
図1及び図3に示されるように、ワークユニットWUを収納したワーク収納カセット20が準備される。ワーク収納カセット20は、図示しないカセットステージに載置される。カセットステージは、昇降機構によりZ軸方向に昇降可能に構成される。
【0030】
図3に示されるように、ワーク収納カセット20は、略直方体の箱形状に形成される。ワーク収納カセット20は、上面、及び底面を除く、少なくとも一方に開口22を有する。ワーク収納カセット20の内部には、水平に延びる複数の溝24が形成され、複数段の棚が形成される。各棚には、ワークユニットWUが1枚ずつ水平方向に格納される。ワーク収納カセット20の開口22を介して、ワークユニットWUがワーク収納カセット20に対して取出し、及び収納される。
【0031】
図1に示されるように、複数のスピンナ装置30が、搬送方向(Y軸方向)に沿って、例えば直線状に並列配置される。スピンナ装置30は、回転テーブル32と、回転テーブル32を支持するベース34とを備える。回転テーブル32は、上面にワークユニットWUを受け取り保持する保持面32Aを有する。保持面32Aは、例えば、下方から吸引することにより吸着面として機能できる。回転テーブル32の保持面32Aは、ワークユニットWUを直接的、又は間接的に保持できる。直接的な保持は、ワークユニットWUが保持面32Aに直接保持される場合である。間接的な保持は、保持面32Aの上に載置された他の部材の上にワークユニットWUが保持される場合である。
【0032】
ベース34は、回転テーブル32を回転駆動させる図示しない回転機構と、回転テーブル32を搬送方向(Y軸方向)に直交する昇降方向(Z軸方向)に昇降自在に駆動する図示しない昇降機構と、を備える。
【0033】
スピンナ装置30は、ワークユニットWUのワークWに対し、塗布、及び洗浄できるよう構成される。スピンナ装置30は、例えば、図示しないノズルを備える。ノズルから塗布液、洗浄液等が、回転テーブル32に保持されたワークユニットWUのワークWに噴出される。塗布液、洗浄液等を噴出する際、回転テーブル32はワークユニットWUを保持した状態で、例えば、3000rpmを上限として回転する。
【0034】
図3に示されるように、ワーク収納カセット20は、その開口22をスピンナ装置30に向けて、カセットステージに載置される。搬送装置50は、ワーク収納カセット20と複数のスピンナ装置30との間でワークユニットWUを搬送する。
【0035】
図1、及び図3に示されるように搬送装置50は、ワーク収納カセット20から搬送方向(Y軸方向)に延びる一対のガイドレール52と、搬送方向(Y軸方向)に沿って移動自在の搬送部材としてクランプ部材54と、を有する。クランプ部材54は、ワークユニットWUのフレームFを把持し、一対のガイドレール52に案内しつつワークユニットWUを搬送方向(Y軸方向)に沿って搬送する。なお、図3においては、ワークユニットWUのフレームFのみを示している。搬送部材としてクランプ部材54を例示したが、ワークユニットWUを搬送できる限り、構造は限定されない。例えば、ワークユニットWUを吸着パッドで吸着したり、爪等で引っ掛けたりして搬送してもよい。
【0036】
ガイドレール52は、Y軸方向に直交する面で切断した断面において、略L字形状を有する。一対のガイドレール52は、一方がL字形状で、他方が逆L字形状となるよう、向かい合うように所定の距離だけ離して配置される。クランプ部材54により搬送されるワークユニットWUは、その下面がL字形状の一対のガイドレール52により支持され、X軸方向への移動が規制される。
【0037】
クランプ部材54は、ワーク収納カセット20を向く側に把持部を備え、フレームFを把持する。クランプ部材54は図示しない駆動装置により、搬送方向(Y軸方向)への移動と、フレームFに対する把持と解放とが制御される。
【0038】
図4、及び図5に示されるように、スピンナ装置30と一対のガイドレール52との位置関係は、スピンナ装置30は、一対のガイドレール52に間に位置するように配置され、図5に示されるように、一対のガイドレール52の下方に配置される。図4はY軸方向から見た側面図であり、図5はZ軸方向に沿って上から見た上面図である。
【0039】
なお、図3、及び図4に示されるように、スピンナ装置30の回転テーブル32の周囲に、ワークユニットWUのフレームFの下面を保持するL字形状の保持部材36と、保持部材36の角部において軸支されるフレームクランパ38を備える。図3に示されるように、4個の保持部材36、及びフレームクランパ38は、回転テーブル32の回転中心を中心とする周方向に均等に配置される。
【0040】
図4に示されるように、保持部材36は回転テーブル32から外径方向に延びる水平部36Aと、水平部36AからZ軸方向の上に延びる立設部36Bとを有する。フレームクランパ38は、一端がクランプ部38Aで他端が錘部38Bで構成され、軸38Cを介して保持部材36の角部に回動自在に軸支される。フレームクランパ38は、回転テーブル32が回転していない場合、錘部38Bは重力方向に垂下する。回転テーブル32が回転した場合、錘部38Bは遠心力により外周側に揺動し、クランプ部38AがフレームFをクランプできる。
【0041】
次に、ワーク処理システム10における、ワーク収納カセット20、スピンナ装置30、及び搬送装置50の動作を、図3に基づいて簡単に説明する。
【0042】
ワーク収納カセット20は、図示しない昇降機構を備えるカセットステージにより、矢印に示されるように、鉛直方向(Z軸方向)に昇降できる。
【0043】
複数のスピンナ装置30は、図示しない昇降機構により、矢印に示すように、個別に鉛直方向(Z軸方向)に昇降できる。
【0044】
一対のガイドレール52は、矢印で示すように、X軸方向に沿って、互いに離れる方向、及び近づく方向に移動可能に構成される。クランプ部材54は、矢印で示すように、ワークユニットWUの搬送方向(Y軸方向)に移動可能に構成される。
【0045】
最初、クランプ部材54は、Y軸方向に沿ってワーク収納カセット20に近づく方向に移動し、ワークユニットWUのフレームFを把持する。クランプ部材54は、例えば、ワーク収納カセット20に対し遠い側のスピンナ装置30(第一スピンナ装置とも称する)の位置までワークユニットWUを一対のガイドレール52により案内させて搬送する。一対のガイドレール52は基本的にはZ軸方向に移動しないで、同じ高さを維持する。
【0046】
次いで、第一スピンナ装置(スピンナ装置30)の回転テーブル32が上昇し、保持面32AがワークユニットWUの下面を保持する。一対のガイドレール52が、ワークユニットWUの下面を支持しない位置まで、お互い離間するように移動する。クランプ部材54は、ワークユニットWUを解放し、待機位置へ移動する。
【0047】
第一スピンナ装置の保持面32AでワークユニットWUを保持した状態で、回転テーブル32が下降する。回転テーブル32が回転し、図示しないワークWに対して塗布、又は洗浄が行われる。
【0048】
第一スピンナ装置で塗布、又は洗浄が行われる間、クランプ部材54は、Y軸方向に沿ってワーク収納カセット20に近づく方向に移動し、次のワークユニットWUのフレームFを把持する。一対のガイドレール52は、ワークユニットWUの下面を支持できる位置までお互い近づく方向に移動する。なお、ワーク収納カセット20は、上昇、又は下降し、次のワークユニットWUを一対のガイドレール52の位置まで移動させる。
【0049】
クランプ部材54は、ワーク収納カセット20に対し近い側のスピンナ装置30(第二スピンナ装置と称する)の位置までワークユニットWUを一対のガイドレール52により案内させて搬送する。
【0050】
次いで、第二スピンナ装置(スピンナ装置30)の回転テーブル32が上昇し、保持面32AがワークユニットWUの下面を保持する。一対のガイドレール52が、ワークユニットWUの下面を支持しない位置まで、お互い離間するように移動する。第二スピンナ装置の保持面32AでワークユニットWUを保持した状態で、回転テーブル32が下降する。回転テーブル32が回転し、図示しないワークWに対して塗布、又は洗浄が行われる。
【0051】
複数のスピンナ装置30を適用することで、複数のワークユニットWUに対する塗布、又は洗浄のスループットを大幅に向上できる。一つのスピンナ装置30を稼働させている間、他のスピンナ装置30にワークユニットWUを搬送できる。ワークユニットWUに対する処理の待ち時間を低減できる。
【0052】
実施形態では、複数のスピンナ装置30に対し、一対のガイドレール52の下方に直線状に並べて配置する場合において、回転テーブル32の回転中心とワークユニットWUとを正確に位置決めするため、スピンナ装置30の回転テーブル32の外周部に複数の位置決めピンを設けている。以下、好ましい形態について説明する。
【0053】
<第一形態>
図6はワーク処理システム10に含まれる第一形態のスピンナ装置30の説明図であり、図6(A)は全体図であり、図6(B)は拡大図である。
【0054】
図6(A)に示されるように、回転テーブル32の外周部に4個の位置決めピン40が設けられている。位置決めピン40は、回転テーブル32から水平方向に延びる支持部材42の先端の側で支持され、Z軸方向で上向きに延びる。
【0055】
4個の位置決めピン40の配置位置の一例を説明する。図6(A)において、4個のフレームクランパ38は、対向する2個のフレームクランパ38を連結する2組の直線が直交し、一方はY軸方向(搬送方向)に平行で、他方はX軸方向に平行となるように配置される。したがって、4個の位置決めピン40の位置は、各位置決めピン40と回転テーブル32の回転中心とを連結する直線がX軸方向、及びY軸方向とは平行でない位置に配置される。
【0056】
図6(B)に示されるように、位置決めピン40は、図示しない搬送装置50から受け渡されたワークユニットWUの外周部の径方向外側から接触可能に構成される。位置決めピン40は、ワークユニットWUが接触する位置にテーパ面40Aを有している。テーパ面40Aは位置決めピン40の先端から保持面32Aに近づくにつれて回転テーブル32の回転中心に近づくように傾斜している。テーパ面40Aは平面、又は曲面、又はその組み合わせで構成できる。テーパ面40Aの角度は、90°未満であればよい。テーパ面40Aの角度は、円錐形状であれば60°以上80°以下であることがより好ましい。なお、テーパ面40Aが円錐形状ではなく曲面を有する場合はこの限りではない。また、テーパ面40Aの角度は、テーパ面40Aと、テーパ面40Aを横切る水平面との成す角で決定される。
【0057】
図6(A)に示されるように、複数個の位置決めピン40が設けられるので、ワークユニットWUの外周部の複数位置において径方向外側から接触できる。
【0058】
図6(B)に示されるように、搬送装置50からワークユニットWUが受け渡される際、回転テーブル32は、矢印方向に上昇する。位置決めピン40とワークユニットWUの外周部とが接触する。ワークユニットWUは複数の位置決めピン40のテーパ面40Aに沿うように、破線の矢印に示すように回転テーブル32の回転中心に向かって移動する。その結果、回転テーブル32の回転中心とワークユニットWUとの相対的な位置決めが実行される。第一形態では、セルフアラインメントにより、回転テーブル32の回転中心とワークユニットWUとの位置決めが可能になる。図6(A)に示されるよう、位置決めピン40は、複数(例えば、3、4個程度)設置され、中心位置が1通りに決まるように配置されることが好ましい。
【0059】
回転テーブル32の回転中心とワークユニットWUとの位置決めの精度を向上させるため、複数の位置決めピン40は、回転テーブルの回転中心から径方向に等距離離れた位置に設けられることが好ましい。
【0060】
等距離に配置された複数の位置決めピン40は、フレームFの円弧部分に接触可能になる。フレームFの円弧部分に各位置決めピン40が接触することにより、回転テーブル32の回転中心とワークユニットWUの回転中心との相対的な位置決めが可能である。
【0061】
また、複数の位置決めピン40は、回転テーブル32の回転中心を中心とする周方向に均等に配置されることが好ましい。第一形態では、4個の位置決めピン40は、周方向に隣り合う2つの位置決めピン40が回転テーブル32の回転中心に対してなす中心角が90°となるように配置される。
【0062】
周方向に均等に配置された複数の位置決めピン40は、ワークユニットWUに対して径方向外側からバランスよく接触でき、回転テーブル32の回転中心とワークユニットWUの回転中心との相対的な位置決めが実行される。
【0063】
位置決めピン40の配置、及び形状は、ワークユニットWUのフレームFの形状を考慮して適宜変更できる。位置決めピン40は、例えば、表面硬質処理ないし摩擦低減処理(テフロンコートやタフラム処理等)が施されたステンレス鋼等で構成されることが好ましい。
【0064】
<第二形態>
図7は第二形態のスピンナ装置30を含むワーク処理システム10の説明図であり、図7(A)は全体図であり、図7(B)は拡大図である。第一形態と同様の構成に同様の符号を付して説明を省略する場合がある。
【0065】
図7(A)に示されるように、回転テーブル32の外周部に4個のフレームクランパ38が、4個の保持部材36により、それぞれ軸支されている。4個のフレームクランパ38は、対向する2個のフレームクランパ38を連結する2組の直線が直交し、一方はY軸方向(搬送方向)に平行で、他方はX軸方向に平行となるように配置される。
【0066】
図7(B)に示されるように、保持部材36は、外径方向に延びる水平部36Aと、水平部36AからZ軸方向の上に延びる立設部36Bとを有する。立設部36Bは、ワークユニットWUが接触する位置にテーパ面36Cを有する。テーパ面36Cは立設部36Bの先端から保持面32Aに近づくにつれて回転テーブル32の回転中心に近づくように傾斜している。第二形態では、保持部材36がテーパ面36Cを備える立設部36Bを有し、第一形態の位置決めピン40の同様の機能を果たす。
【0067】
図7(A)に示されるように、複数個の保持部材36が設けられるので、ワークユニットWUの外周部の複数位置において立設部36Bは径方向外側から接触できる。
【0068】
図7(B)に示されるように、搬送装置50のガイドレール52からワークユニットWUが受け渡される際、回転テーブル32は、矢印方向に上昇する。立設部36BとワークユニットWUとが接触する。ワークユニットWUは複数の立設部36Bのテーパ面36Cに沿うように、破線の矢印に示すように回転テーブル32の回転中心に向かって移動する。その結果、回転テーブル32の回転中心とワークユニットWUとの相対的な位置決めが実行される。第二形態では、セルフアラインメントにより、回転テーブル32の回転中心とワークユニットWUとの位置決めが可能になる。図7(A)に示されるよう、保持部材36は、複数(例えば、3、4個程度)設置され、中心位置が1通りに決まるように配置されることが好ましい。
【0069】
<第三形態>
図8は第三形態のスピンナ装置30を含むワーク処理システム10の説明図である。第一形態又は第二形態と同様の構成に同様の符号を付して説明を省略する場合がある。
【0070】
図8に示されるように、回転テーブル32の外周部に2個の位置決めピン40が設けられている。位置決めピン40は、回転テーブル32から水平方向に延びる支持部材42の先端の側で支持され、Z軸方向で上向きに延びる。
【0071】
第三形態では、複数の位置決めピン40は、断面が一定の柱形状であり、回転テーブル32において、図示しないワーク収納カセット20の側に配置される。ワーク収納カセット20の側とは、回転テーブル32の回転中心を通るX軸方向に平行な直線を基準に、ワーク収納カセット20に面する回転テーブル32の円弧状の部分を意味する。断面が一定の柱形状は、円柱、及び多角柱を含む。断面は、Z軸方向に直交する面で切断した断面である。
【0072】
第三形態では、クランプ部材54が、ワーク収納カセット20からワークユニットWUを把持し、一対のガイドレール52に案内させてスピンナ装置30を超える位置まで搬送する。超える位置とは、ワークユニットWUの中心が、回転テーブル32の回転中心から、ワーク収納カセット20とは反側に離れた位置にあることを意味する。
【0073】
次に、スピンナ装置30の回転テーブル32が上昇し、保持面32AがワークユニットWUの下面を保持する。クランプ部材54が、ワークユニットWUのフレームFを把持した状態で、ワーク収納カセット20の側にワークユニットWUを搬送する。ワークユニットWUのフレームFが複数の位置決めピン40に押し当てられる。これにより、ワークユニットWUと位置決めピン40とが接触し、回転テーブル32の回転中心とワークユニットWUとの相対的な位置決めが実行される。
【0074】
位置決めピン40が断面一定の柱形状を有しているので、ワークユニットWUを位置決めピン40に押し付けた際、ワークユニットWUが上方方向に逃げるのを抑制できる。
【0075】
位置決めピン40は、複数(例えば、2,3個程度)設置され、ワークユニットWUを押し付けた際に中心位置が1通りに決まるように配置される。位置決めピン40は、ワーク収納カセット20の側に配置される。したがって、回転テーブル32の重量バランスを考慮して、カウンターウエイトを、X軸方向を基準に、位置決めピン40と反対側に設けることが好ましい。
【0076】
上述したように、第一形態、第二形態、及び第三形態において、搬送装置50に備えられる一対のガイドレール52は、ワークユニットWUを案内するガイドとして機能する。一方、スピンナ装置30とワークユニットWUとの位置決めは、スピンナ装置30に設けられた位置決めピン40(又は保持部材36)により実行される。すなわち、位置決めピン40(又は保持部材36)により、回転テーブル32の中心を直接参照できる。
【0077】
なお、第一形態、第二形態、及び第三形態では、複数のスピンナ装置を備えるワーク処理システムを説明したが、1個のスピンナ装置を備えるワーク処理システムにも、第一形態、第二形態、及び第三形態の位置決めピンを適用できる。また、位置決めピンを適用することで、スピンナ装置に設置された制振部材が経年劣化した場合でも、回転テーブルの回転中心とワークユニットとの相対的な位置決めを実行できる。
【符号の説明】
【0078】
10…ワーク処理システム、20…ワーク収納カセット、22…開口、24…溝、30…スピンナ装置、32…回転テーブル、32A…保持面、34…ベース、36…保持部材、36A…水平部、36B…立設部、36C…テーパ面、38…フレームクランパ、38A…クランプ部、38B…錘部、38C…軸、40…位置決めピン、40A…テーパ面、42…支持部材、50…搬送装置、52…ガイドレール、54…クランプ部材、80…加工ステージ、82…テーブル、84…X-Y駆動機構、86…レーザ照射装置、88…載置台、D…フィルム状接着剤、F…フレーム、LD…レーザ光、S…ダイシングシート、W…ワーク、WU…ワークユニット
図1
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図4
図5
図6
図7
図8