(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024051290
(43)【公開日】2024-04-11
(54)【発明の名称】発電装置
(51)【国際特許分類】
F03B 1/02 20060101AFI20240404BHJP
F03B 17/06 20060101ALI20240404BHJP
【FI】
F03B1/02
F03B17/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022157366
(22)【出願日】2022-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 浩一
(72)【発明者】
【氏名】勝山 悟朗
【テーマコード(参考)】
3H072
3H074
【Fターム(参考)】
3H072AA03
3H072BB09
3H072BB33
3H072CC32
3H072CC52
3H074AA12
3H074BB30
3H074CC11
(57)【要約】
【課題】押圧力に応じて羽根構造体の向き及び形状が自由に調整可能であり、かつ機械的強度が向上した発電装置の提供。
【解決手段】回転軸と、前記回転軸と共に回転可能であって前記回転軸に貫通され、かつ、互いに対向して配置された、表面に凹部Aを有する基材A及び表面に凹部Bを有する基材Bと、前記凹部Aに回転可能に挿入される凸部a及び前記凹部Bに回転可能に挿入される凸部bとを有してなり、押圧力を受けて前記基材A及び前記基材Bを前記回転軸を中心にして前記回転軸と共に回転させる羽根構造体と、前記回転軸の回転によって発電を行う発電部とを有する発電装置である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸と、
前記回転軸と共に回転可能であって前記回転軸に貫通され、かつ、互いに対向して配置された、表面に凹部Aを有する基材A及び表面に凹部Bを有する基材Bと、
前記凹部Aに回転可能に挿入される凸部a及び前記凹部Bに回転可能に挿入される凸部bとを有してなり、押圧力を受けて前記基材A及び前記基材Bを前記回転軸を中心にして前記回転軸と共に回転させる羽根構造体と
前記回転軸の回転によって発電を行う発電部と、
を有することを特徴とする発電装置。
【請求項2】
前記基材A及び前記基材Bに対し、前記凸部a及び前記凸部bにより回転可能な前記羽根構造体の向きを固定する固定部材を有する、請求項1に記載の発電装置。
【請求項3】
前記羽根構造体が、
前記基材Aに対向する側壁aと、
前記基材Bに対向する側壁bと、
前記側壁a及び前記側壁bと直交する側壁c1とを有してなり、
前記側壁aに前記凸部aが設けられ、
前記側壁bに前記凸部bが設けられた、
請求項1及び2のいずれかに記載の発電装置。
【請求項4】
前記羽根構造体における、前記側壁aに孔aが2以上設けられ、前記側壁bに孔bが2以上設けられた、請求項3に記載の発電装置。
【請求項5】
前記基材Aに、前記羽根構造体における前記孔aと対応した孔Aを有し、
前記基材Bに、前記羽根構造体における前記孔bと対応した孔Bを有し、
固定部材により、前記孔Aと前記孔aとが、及び、前記孔Bと前記孔bとが貫通され、回転可能な前記羽根構造体が固定された、請求項4に記載の発電装置。
【請求項6】
前記固定部材が、前記基材A及び前記基材Bの外周縁部に配される、請求項5に記載の発電装置。
【請求項7】
前記羽根構造体が、前記孔a及び前記孔bの近傍に、2以上の前記孔a及び前記孔bにおける各孔の位置を識別するための識別用印を有する、請求項4に記載の発電装置。
【請求項8】
前記羽根構造体が2以上あり、前記羽根構造体が、前記羽根構造体の種類を識別する識別手段を有する、請求項1から2のいずれかに記載の発電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、欧州、及びアジア等の新興国において、環境性、及び再生エネルギーの有効活用の観点から、出力100kW以下のピコ水力発電装置又はマイクロ水力発電装置が普及し始めてきている。
【0003】
上記ピコ水力発電装置又はマイクロ水力発電装置は、水路の流量及び流速が適切な場合には、高重量の丈夫な羽根構造体を用いても発電することができるが、(1)高重量の丈夫な羽根構造体は水流が少ないと水車(回転体)が回転しにくいことから発電することが困難となる。一方、(2)軽量な羽根構造体を用い水流が速いと、水車が物理的に破損しやすくなり、水車が回転し過ぎ又は発電し過ぎることにより電気的破損が生じるおそれがある。このように従来のピコ水力発電装置又はマイクロ水力発電装置は、水流の状況に応じて羽根構造体の回転及び発電効率を調整することができなかった。
【0004】
そこで、例えば、開放周流形水車と、発電装置と、前記開放周流形水車と、前記発電装置を配設するための水路フリュームとを備え、前記開放周流形水車のそれぞれの先端側の形状は三角形状であり、前記水路フリュームの形状はV字構造である水力発電装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載の水力発電装置は、速い水流によって水車が物理的な破損したり、水車が回転し過ぎ又は発電し過ぎることによる発電部又は電力利用先の電気的破損が生じてしまうという問題がある。
【0006】
本発明は、押圧力に応じて羽根構造体の向き及び形状を調整可能であり、かつ機械的強度が向上した発電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するための手段としての本発明の発電装置は、回転軸と、前記回転軸と共に回転可能であって前記回転軸に貫通され、かつ、互いに対向して配置された、表面に凹部Aを有する基材A及び表面に凹部Bを有する基材Bと、前記凹部Aに回転可能に挿入される凸部a及び前記凹部Bに回転可能に挿入される凸部bとを有してなり、押圧力を受けて前記基材A及び前記基材Bを前記回転軸を中心にして前記回転軸と共に回転させる羽根構造体と、前記回転軸の回転によって発電を行う発電部とを有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によると、押圧力に応じて羽根構造体の向き及び形状が調整可能であり、かつ機械的強度が向上した発電装置を提供することを目的とする。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、第1の実施形態の発電装置の一例を示す斜視図である。
【
図2A】
図2Aは、第1の実施形態の発電装置における羽根構造体の一例を示す斜視図である。
【
図2B】
図2Bは、第1の実施形態の発電装置における羽根構造体の他の一例を示す斜視図である。
【
図2C】
図2Cは、第1の実施形態の発電装置における羽根構造体の他の一例を示す斜視図である。
【
図2D】
図2Dは、第1の実施形態の発電装置における羽根構造体の他の一例を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、基材Aと基材Bの間に羽根構造体を取り付ける状態を示す部分断面図である。
【
図5】
図5は、第1の比較形態の発電装置の一例を示す斜視図である。
【
図6A】
図6Aは、第1の比較形態の発電装置における羽根構造体の一例を示す斜視図である。
【
図6B】
図6Bは、第1の比較形態の発電装置における羽根構造体の他の一例を示す斜視図である。
【
図6C】
図6Cは、第1の比較形態の発電装置における羽根構造体の他の一例を示す斜視図である。
【
図6D】
図6Dは、第1の比較形態の発電装置における羽根構造体の他の一例を示す斜視図である。
【
図7】
図7は、第2の比較形態の発電装置の一例を示す斜視図である。
【
図8A】
図8Aは、第2の比較形態の発電装置における羽根構造体の一例を示す斜視図である。
【
図8B】
図8Bは、第2の比較形態の発電装置における羽根構造体の他の一例を示す斜視図である。
【
図8C】
図8Cは、第2の比較形態の発電装置における羽根構造体の他の一例を示す斜視図である。
【
図8D】
図8Dは、第2の比較形態の発電装置における羽根構造体の他の一例を示す斜視図である。
【
図9】
図9の(a)~(c)は、
図2Aの羽根構造体を取り付けた第1の実施形態の発電装置の回転力を評価した結果を示す図である。
【
図10】
図10の(a)~(c)は、
図2Bの羽根構造体を取り付けた第1の実施形態の発電装置の回転力を評価した結果を示す図である。
【
図11】
図11の(a)~(c)は、
図2Cの羽根構造体を取り付けた第1の実施形態の発電装置の回転力を評価した結果を示す図である。
【
図12】
図12の(a)~(c)は、
図2Dの羽根構造体を取り付けた第1の実施形態の発電装置の回転力を評価した結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(発電装置)
本発明の発電装置は、回転軸と、表面に凹部Aを有する基材Aと、表面に凹部Bを有する基材Bと、前記凹部Aに回転可能に挿入される凸部a及び前記凹部Bに回転可能に挿入される凸部bを有する羽根構造体と、発電部とを有し、更に必要に応じてその他の部材を有する。
【0011】
従来の特許文献1(特開2021-152343号公報)のように、板状の羽根構造体であると、羽根構造体に当たった水を貯めることができず逃がしてしまい、水車を効率良く回転させることができなかった。また、従来の特許文献1(特開2021-152343号公報)は、少ない水流用の回転しやすい羽根構造体から速い水流用の回転し過ぎない羽根構造体への交換ができないため、速い水流での発電装置の破損を防止することができなかった。
【0012】
本発明においては、回転軸と、前記回転軸と共に回転可能であって前記回転軸に貫通され、かつ、互いに対向して配置された、表面に凹部Aを有する基材A及び表面に凹部Bを有する基材Bと、前記凹部Aに回転可能に挿入される凸部a及び前記凹部Bに回転可能に挿入される凸部bとを有してなり、押圧力を受けて前記基材A及び前記基材Bを前記回転軸を中心にして前記回転軸と共に回転させる羽根構造体と、前記回転軸の回転によって発電を行う発電部とを有することにより、羽根構造体に設けられた凸部a及び凸部bが羽根構造体の回転軸として機能し、凸部a及び凸部bによって羽根構造体が回転可能なので、押圧力としての水圧(水流)に応じて羽根構造体の向き(角度)及び形状を自由に調整可能であるが故に、水圧にかかわらず効率良く発電可能である。また、発電装置に組み立てられた際に、羽根構造体の凸部aは基材Aの凹部Aと、羽根構造体の凸部bは基材Bの凹部Bとそれぞれ係合することによって、発電装置の機械的耐久性を向上させることができる。これらの結果として、水流が少ない場合には、軽量な羽根構造体に組み替えることにより、回転しやすくして効率良く発電したり、水流が速い場合には、羽根構造体が回転し過ぎないように調整することにより発電装置の破損を防止することができる。
【0013】
本発明の一態様において、基材A及び基材Bに対し、凸部a及び凸部bにより回転可能な羽根構造体の向きを固定する固定部材を有することにより、押圧力である水圧(水流)に応じて羽根構造体の向き(角度)及び形状を調整した状態で、固定部材によって羽根構造体を基材A及び基材Bに確実に固定することができる。
【0014】
本発明の一態様において、羽根構造体が、基材Aに対向する側壁aと、基材Bに対向する側壁bと、側壁a及び側壁bと直交する側壁c1と、側壁a及び側壁bと直交しかつ側壁c1と直交する側壁c2とを有してなり、側壁aに凸部aが設けられ、側壁bに凸部bが設けられている。この態様によると、押圧力である水圧(水流)を逃がさない形状の羽根構造体に調整することができ、羽根構造体に当たった水を内部に貯めることができるので、基材A及び基材Bを回転軸を中心にして回転軸と共に効率よく回転させることができる。
【0015】
本発明の一態様において、羽根構造体における、側壁aに孔aが2以上設けられ、側壁bに孔bが2以上設けられているので、押圧力である水圧(水流)に応じて羽根構造体の向き及び形状を適宜調整することができる。側壁aに孔aが4以上設けられ、側壁bに孔bが4以上設けられていることが羽根構造体の向き及び水流に対する形状を自由に調整する点から好ましい。
【0016】
本発明の一態様において、基材Aに、羽根構造体における孔aと対応した孔Aを有し、基材Bに、羽根構造体における孔bと対応した孔Bを有し、固定部材により、孔Aと孔aとが、及び、孔Bと孔bとが貫通され、回転可能な羽根構造体が固定されるので、押圧力である水圧(水流)に応じて羽根構造体の向き及び形状を調整した状態で、固定部材によって確実に固定することができる。
【0017】
本発明の一態様において、固定部材が、基材A及び基材Bの外周縁部に配される。この態様のように、固定部材が、基材A及び基材Bの外周縁部に配されていると、固定部材を中央部に配する場合に比べて、発電装置の機械的強度を向上させることができる。
【0018】
本発明の一態様において、羽根構造体が、孔A及び孔Bの近傍に、2以上の孔A及び孔Bにおける各孔の位置を識別するための識別用印を有する。この態様のように、羽根構造体が、孔A及び孔Bの近傍に、2以上の前記孔A及び前記孔Bにおける各孔の位置を識別するための識別用印を有しているので、羽根構造体の取付角度を間違えることなく、容易かつ確実に羽根構造体を基材A及び基材Bに取り付けることができる。
【0019】
本発明の一態様において、羽根構造体が2以上あり、羽根構造体が、羽根構造体の種類を識別する識別手段を有する。この態様のように、羽根構造体が2以上の複数種類であり、前記羽根構造体が、前記羽根構造体の種類を識別する識別手段を有しているので、複数種類の羽根構造体を間違いなく、確実に組み立てることができる。
【0020】
<回転軸>
回転軸は、基材A及び基材Bを貫通し、前記基材A及び基材Bと共に回転する部材であり、その形状、大きさ、材質などについては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
回転軸の材質としては、例えば、金属、樹脂などが挙げられる。
金属としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ステンレス鋼、鉄、アルミニウム、チタン、ニッケル合金、炭素鋼、クロム鋼、マンガン鋼などが挙げられる。
【0021】
樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂、テフロン(登録商標)、MCナイロン樹脂、超高分子量ポリエチレン樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレン-アクリロニトリル共重合体、スチレン-ブタジエン共重合体、スチレン-無水マレイン酸共重合体、ポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ポリビニルトルエン樹脂、ポリ-N-ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキド樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0022】
<基材A及び基材B>
基材A及び基材Bは、回転軸と共に回転可能であって回転軸に貫通され、かつ、互いに対向して配置された部材であり、その形状、大きさ、材質、構造などについては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
基材A及び基材Bの材質としては、例えば、樹脂、金属などが挙げられる。これらの中でも、軽量化の点から樹脂が好ましい。
金属としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ステンレス鋼、鉄、アルミニウム、チタン、ニッケル合金、炭素鋼、クロム鋼、マンガン鋼などが挙げられる。
【0023】
樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂、テフロン(登録商標)、MCナイロン樹脂、超高分子量ポリエチレン樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレン-アクリロニトリル共重合体、スチレン-ブタジエン共重合体、スチレン-無水マレイン酸共重合体、ポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ポリビニルトルエン樹脂、ポリ-N-ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキド樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0024】
基材A及び基材Bの形状としては、例えば、円盤状などが挙げられる。
基材A及び基材Bの大きさとしては、発電装置の大きさに応じて適宜選択することができる。
基材A及び基材Bの構造としては、単層構造であってもよく、複数層構造であってもよい。
【0025】
基材Aは、その表面に羽根構造体の凸部aが回転可能に挿入される凹部Aを有する。
基材Bは、その表面に羽根構造体の凸部bが回転可能に挿入される凹部Bを有する。
基材Aの凹部A及び基材Bの凹部Bの形状及び大きさは、羽根構造体の凸部a及び凸部bに対応した形状及び大きさであることが好ましい。
【0026】
基材Aは、羽根構造体における孔aと対応した孔Aを有する。固定部材により、基材Aの孔Aと羽根構造体の孔aとが貫通され、回転可能な羽根構造体が固定される。
基材Bは、羽根構造体における孔bと対応した孔Bを有する。固定部材により、基材Bの孔bと羽根構造体の孔bとが貫通され、回転可能な羽根構造体が固定される。
基材Aにおける孔Aの数は1個が好ましい。基材Bにおける孔Bの数は1個が好ましい。これにより、固定部材の数を減らすことができ、発電装置の軽量化が実現できる。
固定部材は、基材A及び基材Bに対し、凸部a及び凸部bにより回転可能な羽根構造体の向きを固定する部材であり、例えば、ネジ、ビス、ボルトとナットなどが挙げられる。
固定部材は、基材A及び基材Bの外周縁部に配されることが、発電装置の機械的強度の向上の点から好ましい。
【0027】
<羽根構造体>
羽根構造体は、押圧力を受けて基材Aと基材Bを回転軸を中心にして回転軸と共に回転させる部材であり、その形状、大きさ、材質、種類などについては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
羽根構造体の材質としては、例えば、樹脂、金属などが挙げられる。これらの中でも、軽量化の点から樹脂が好ましい。樹脂及び金属としては、上記基材A及び基材Bと同様のものが挙げられる。
【0028】
羽根構造体の形状としては、例えば、箱形状などが挙げられる。箱形状であると押圧力を生じさせる水を貯めることができる点から好ましい。
羽根構造体としては、基材Aに対向する側壁aと、基材Bに対向する側壁bと、側壁a及び側壁bと直交する側壁c1と、側壁a及び側壁bと直交しかつ側壁c1と直交する側壁c2とを有する。
羽根構造体における側壁aに孔aが2以上設けられることが好ましく、4以上設けられることがより好ましい。羽根構造体における側壁bに孔bが2以上設けられることが好ましく、4以上設けられることがより好ましい。これにより、押圧力である水圧(水流)に応じて羽根構造体の向き及び形状を調整することができる。
【0029】
羽根構造体の大きさとしては、発電装置の大きさに応じて適宜選択することができる。
羽根構造体の種類としては、2以上であることが好ましく、4以上であることがより好ましい。これにより、押圧力である水圧(水流)に応じて複数種類の羽根構造体の中から選択して交換することができる。
羽根構造体が、前記羽根構造体の種類を識別する識別手段を有することが好ましい。識別手段としては、例えば、文字、記号、数字、ロゴマーク、色又はこれらの組み合わせなどが挙げられる。
【0030】
羽根構造体は、基材Aの表面に設けられた凹部Aに回転可能に挿入される凸部aを有する。
羽根構造体は、基材Bの表面に設けられた凹部Bに回転可能に挿入される凸部bを有する。
羽根構造体の凸部a及び前記凸部bは羽根構造体の回転軸として機能し、前記凸部a及び凸部bによって羽根構造体が回転可能なので、羽根構造体の向き及び押圧力としての水圧(水流)に対する向き及び形状が自由に調整可能である。
凸部a及び凸部bは、同軸であってもよいし、異軸であってもよい。
凸部a及び凸部bの形状は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、回転可能である点から円柱形状が好ましい。
押圧力としては、基材A及び基材Bを回転軸を中心にして回転軸と共に回転させることができれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、水圧(水流)であることが好ましい。押圧力が水圧である場合、発電装置は水力発電装置となる。
【0031】
羽根構造体は、基材Aにおける孔Aと対応した孔aを有する。羽根構造体は、基材Bにおける孔Bと対応した孔bを有する。固定部材により、基材Aの孔Aと羽根構造体の孔aとが貫通され、回転可能な羽根構造体が固定される。
羽根構造体における孔aの数は2以上が好ましく、4以上がより好ましい。
羽根構造体における孔bの数は2以上が好ましく、4以上がより好ましい。
羽根構造体は、孔a及び孔bの近傍に、2以上の孔a及び孔bにおける各孔の位置を識別するための識別用印を有することが好ましい。これにより、羽根構造体の取付角度を間違えることなく、容易かつ確実に羽根構造体を基材A及び基材Bに取り付けることができる。
識別用印としては、例えば、刻印、凸部、数字、記号、又はこれらの組み合わせなどが挙げられる。
【0032】
<発電部>
発電部は、回転軸の回転によって発電を行うことができるものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜、公知の発電部を選択することができ、交流発電機であってもよく、直流発電機であってもよく、例えば、回転磁石式の交流発電機、整流子付直流発電機、マグネットポンプなどが挙げられる。
【0033】
回転磁石式の交流発電機としては、特に制限はないが、例えば、自転車の照明などに用いられているハブダイナモなどが挙げられる。ハブダイナモは、円筒状のハウジング部及び回転軸から構成され、ハウジング部の内周面に複数個の磁石が固定されコイル部が設けられ、磁石を有するハウジング部の回転によりコイル部との電磁誘導により発電するように構成されている。
【0034】
マグネットポンプは、ローターに内蔵された従動マグネットが、該マグネットと磁石結合された駆動マグネットの回転により同期回転して流体を吸入圧送することができるものであり、回転磁石が磁力により回転体の回転と連動して回転可能であり、該回転磁石と該回転体とが、流体の流通が不能に隔離されて配置されている。このマグネットポンプは、メカニカルシール部などの軸封装置を用いていないため、長期間使用してもポンプの腐食やポンプ回りの汚れがなく、メカニカルシール部の劣化などによる水漏れが生じない点で有利である。
【0035】
<その他の部材>
その他の部材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、蓄電手段、異物分離手段などが挙げられる。
【0036】
蓄電手段は、発電した電力を蓄電する手段であり、発電した電力を送電可能としてもよい。蓄電手段は発電装置に着脱可能に有することが好ましい。送電するだけではなく、発電した電力を蓄電することにより、簡便に利用することができ、発電装置自身での電力の利用もできる。
【0037】
ここで、本発明の発電装置の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。また、下記構成部材の数、位置、形状等は本実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好ましい数、位置、形状等にすることができる。
【0038】
<第1の実施形態>
図1は、第1の実施形態の発電装置の一例を示す斜視図である。
図2A~
図2Dは、それぞれ第1の実施形態の発電装置に取り付けられる羽根構造体の一例を示す斜視図である。
図3は基材Aと基材Bの間に羽根構造体を取り付ける状態を示す部分断面図である。
図4は発電部としてのハブダイナモの一例を示す斜視図である。
【0039】
第1の実施形態の発電装置30は、回転軸1と、表面に凹部A21を有する基材A2と、表面に凹部B22を有する基材B3と、凹部A21に回転可能に挿入される凸部a11及び凹部B22に回転可能に挿入される凸部b20を有する羽根構造体4と、発電部5とを有する。
図1中6は羽根構造体用固定部材、8は支持部材、9は発電部用固定部材、10は回転軸保持部材を表す。
【0040】
基材A2及び基材B3は、回転軸1と共に回転可能であって回転軸1に貫通され、かつ、互いに対向して配置された円盤状の部材である。
基材A2は、その表面に羽根構造体4の凸部a11が回転可能に挿入される凹部A21を有する。
基材B3は、その表面に羽根構造体4の凸部b20が回転可能に挿入される凹部B22を有する。
基材A2の凹部A21及び基材B3の凹部B22の形状及び大きさは、羽根構造体4の凸部a11及び凸部b20に対応した形状及び大きさである。
基材A2は、羽根構造体4における孔a12と対応した孔A7を有する。羽根構造体用固定部材6により、基材A2の孔A7と羽根構造体の孔a12とが貫通され、回転可能な羽根構造体4が固定される。
基材B3は、羽根構造体4における孔b13と対応した孔B7(不図示)を有する。羽根構造体用固定部材6により、基材B3の孔B7と羽根構造体の孔b13とが貫通され、回転可能な羽根構造体4が固定される。
【0041】
羽根構造体4は、押圧力としての水流を受けて基材A2及び基材B3を、回転軸1を中心にして回転軸1と共に回転させる箱形状の部材である。
羽根構造体4は、基材A2の凹部A21に回転可能に挿入される凸部a11と、基材B3の凹部B22に回転可能に挿入される凸部b20とを有している。
図3に示すように、基材A2の凹部A21に羽根構造体4の凸部a11を回転可能に挿入し、基材B3の凹部B22に羽根構造体4の凸部b20を回転可能に挿入する。これにより、凸部a11及び凸部b20が羽根構造体4の回転軸として機能し、凸部a11及び凸部b20によって羽根構造体4が回転可能なので、押圧力としての水圧(水流)に対する羽根構造体の向き及び形状を自由に調整可能である。
【0042】
羽根構造体4は、
図2A~
図2Dに示すように、異なる形状及び構造のものを水流及び水量に応じて適宜選択することができる。
羽根構造体4は、
図2A~
図2Dに示すように、基材A2に対向する側壁a14と、基材B3に対向する側壁b15と、側壁a14及び側壁b15と直交する側壁c1(16)と、側壁a14及び側壁b15と直交しかつ側壁c1(16)と直交する側壁c2(17)とを有している。
また、羽根構造体4は、
図2A及び
図2Cに示すように、基材A2に対向する側壁a14と、基材B3に対向する側壁b15と、側壁a14及び側壁b15と直交する側壁c1(16)と、側壁a14及び側壁b15と直交しかつ側壁c1(16)と直交する側壁c2(17)とを有している。
側壁a14には凸部a11が設けられ、側壁b15には凸部b20が設けられている。また、側壁a14には孔a12が4つ設けられ、側壁b15には孔b13が4つ設けられている。
羽根構造体4は、
図2A~
図2Dに示すように、孔a12及び孔b13の近傍に、4つの孔A12及び4つの孔b13における各孔の位置を識別するための識別用印19を有している。これにより、羽根構造体4の向き(角度)を間違えることなく、容易かつ確実に羽根構造体を基材A2及び基材B3に取り付けることができる。
羽根構造体4は4種類であり、4種類の羽根構造体4は、それぞれ羽根構造体4の種類を識別する識別手段を有している。これにより、複数の種類の羽根構造体を間違いなく、確実に組み立てることができる。
【0043】
発電部5としては、自転車の照明に使用されるハブダイナモが用いられる。発電部5としてのハブダイナモは、
図4に示すように円筒状本体の両端にフランジ部24a,24bを有し、各フランジ部には接続部材(不図示)と連結するための連結孔23を複数有している。
図4中1は回転軸であり、回転軸1の回転によって発電が行われる。
発電部5としてのハブダイナモは接続部材を介して、発電部用固定部材9により基材A2と基材B3に連結される。接続部材を介することにより、発電部5としてのハブダイナモと基材A2及び基材B3とを安定かつ確実に接続し、固定することができる。
【0044】
第1の実施形態の発電装置は、押圧力に応じて羽根構造体の向き及び形状が調整可能であり、かつ機械的強度が向上したものである。また、発電装置を構成する部品点数が少なく、ネジ止めによって発電装置を容易に組み立てることができると共に、部品交換、修理、及びメンテナンスを迅速かつ容易に行うことができる。
【0045】
<第1の比較形態>
図5は、第1の比較形態の発電装置の一例を示す斜視図である。
図6A~
図6Dは、それぞれ第1の比較形態の発電装置に取り付けられる羽根構造体の一例を示す斜視図である。
第1の比較形態の発電装置40は、第1の実施形態の
図2A~
図2Dの羽根構造体4の代わりに、凸部a11及び凸部b20を有しない
図6A~
図6Dの羽根構造体4を用い、4本の羽根構造体用固定部材6で基材A及び基材Bと羽根構造体4を固定する以外は、第1の実施形態の発電装置30と同じである。なお、第1の比較形態において、既に説明した第1の実施形態と同一の構成については、同じ参照符号を付してその説明を省略する。
第1の比較形態の発電装置40は、
図6A~
図6Dの4種類の羽根構造体の向きを押圧力に応じてある程度調整することができるが、4本の固定部材により基材A及び基材Bに固定するので手間がかかり、また、羽根構造体が基材A及び基材Bの凹部と係合する凸部を有していないので、第1の実施形態に比べて機械的強度が低下する。
【0046】
<第2の比較形態>
図7は、第2の比較形態の発電装置の一例を示す斜視図である。
図8A~
図8Dは、それぞれ第2の比較形態の発電装置に取り付けられる羽根構造体の一例を示す斜視図である。
第2の比較形態の発電装置50は、第1の実施形態の
図2A~
図2Dの羽根構造体4の代わりに、凸部a11及び凸部b20を有さず、かつ孔a12及び孔b13の数がそれぞれ2個である
図8A~
図8Dの羽根構造体4を用い、4本の羽根構造体用固定部材6で基材A及び基材Bと羽根構造体4を固定する以外は、実施形態1の発電装置30と同じである。なお、比較形態2において、既に説明した実施形態1と同一の構成については、同じ参照符号を付してその説明を省略する。
比較形態2の発電装置は、
図8A~
図8Dの4種類の羽根構造体の向きが固定であり、4本の固定部材で基材A及び基材Bと羽根構造体4を固定するので手間がかかり、羽根構造体が基材A及び基材Bの凹部と係合する凸部を有していないので、第1の実施形態に比べて機械的強度が低下する。
【実施例0047】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0048】
(実施例1)
実施例1は、
図2Aの羽根構造体を取り付けた
図1の第1の実施形態の発電装置30を用い、回転0度(
図9の(a))、回転9度(
図9の(b))、及び回転18度(
図9の(c))の状態において、下記の基準で回転力を評価した。結果を以下に示す。なお、
図9(a)~
図9(c)は、発電装置30から基材A2を除いた状態を示す平面図である。
【0049】
[評価基準]
5:回転力がかなり高い
4:回転力が高い
3:回転力が普通
2:回転力が弱い
1:回転力がかなり弱い
【0050】
(1)
図9の(a)の回転0度の場合には、-36度の位置の羽根構造体に貯まる水の量は全体の8割である。また、-36度の位置の羽根構造体に当たる水の量は全体の2割である。また、0度の位置の羽根構造体に当たる水の量は全体の8割である。したがって、
図8の(a)の回転0度の場合の回転力は5段階中の「5」となる。
(2)
図9の(b)の回転9度の場合には、-27度の位置の羽根構造体に貯まる水の量は全体の7割である。また、-27度の位置の羽根構造体に当たる水の量は全体の9割である。また、9度の位置の羽根構造体に当たる水の量は0である。したがって、
図9の(b)の回転9度の場合の回転力は5段階中の「4」となる。
(3)
図9の(c)の回転18度の場合には、-18度の位置の羽根構造体に貯まる水の量は全体の6割である。また、-18度の位置の羽根構造体に当たる水の量は10割(すべて)である。また、18度の位置の羽根構造体に当たる水の量は0である。したがって、
図9の(c)の回転18度の場合の回転力は5段階中の「4」となる。
以上により、実施例1の発電装置の回転力は合計で「13」となる。
【0051】
(実施例2)
実施例2は、
図2Bの羽根構造体を取り付けた
図1の第1の実施形態の発電装置30を用い、回転0度(
図10の(a))、回転9度(
図10の(b))、及び回転18度(
図10の(c))の状態において、実施例1と同様の基準により回転力を評価した。結果を以下に示す。なお、
図10(a)~
図10(c)は、発電装置30から基材A2を除いた状態を示す平面図である。
【0052】
(1)
図10の(a)の回転0度の場合には、-36度の位置の羽根構造体に貯まる水の量は0である。また、-36度の位置の羽根構造体に当たる水の量は0である。また、0度の位置の羽根構造体に当たる水の量は10割(すべて)である。したがって、
図10の(a)の回転0度の場合の回転力は5段階中の「4」となる。
(2)
図10の(b)の回転9度の場合には、-27度の位置の羽根構造体に貯まる水の量は0である。また、-27度の位置の羽根構造体に当たる水の量は全体の2割である。また、9度の位置の羽根構造体に当たる水の量は全体の6割である。したがって、
図10の(b)の回転9度の場合の回転力は5段階中の「1」となる。
(3)
図10の(c)の回転18度の場合には、-18度の位置の羽根構造体に貯まる水の量は全体の2割である。また、-18度の位置の羽根構造体に当たる水の量は0である。また、18度の位置の羽根構造体に当たる水の量は全体の8割である。したがって、
図10の(c)の回転18度の場合の回転力は5段階中の「2」となる。
以上により、実施例2の発電装置の回転力は合計で「7」となる。
【0053】
(実施例3)
実施例3は、
図2Cの羽根構造体を取り付けた
図1の第1の実施形態の発電装置30を用い、回転0度(
図11の(a))、回転9度(
図11の(b))、及び回転18度(
図11の(c))の状態において、実施例1と同様の基準により回転力を評価した。結果を以下に示す。なお、
図11(a)~
図11(c)は、発電装置30から基材A2を除いた状態を示す平面図である。
【0054】
(1)
図11の(a)の回転0度の場合には、-36度の位置の羽根構造体に貯まる水の量は全体の4割である。また、-36度の位置の羽根構造体に当たる水の量は全体の2割である。また、0度の位置の羽根構造体に当たる水の量は全体の8割である。したがって、
図11の(a)の回転0度の場合の回転力は5段階中の「4」となる。
(2)
図11の(b)の回転9度の場合には、-27度の位置の羽根構造体に貯まる水の量は全体の3割である。また、-27度の位置の羽根構造体に当たる水の量は全体の9割である。また、9度の位置の羽根構造体に当たる水の量は0である。したがって、
図10の(b)の回転9度の場合の回転力は5段階中の「4」となる。
(3)
図11の(c)の回転18度の場合には、-18度の位置の羽根構造体に貯まる水の量は全体の2割である。また、-18度の位置の羽根構造体に当たる水の量は10割(すべて)である。また、18度の位置の羽根構造体に当たる水の量は0である。したがって、
図11の(c)の回転18度の場合の回転力は5段階中の「4」となる。
以上により、実施例3の発電装置の回転力は合計で「12」となる。
【0055】
(実施例4)
実施例4は、
図2Cの羽根構造体を取り付けた
図1の第1の実施形態の発電装置30を用い、回転0度(
図12の(a))、回転9度(
図12の(b))、及び回転18度(
図12の(c))の状態において、実施例1と同様の基準により回転力を評価した。結果を以下に示す。なお、
図12(a)~
図12(c)は、発電装置30から基材A2を除いた状態を示す平面図である。
【0056】
(1)
図12の(a)の回転0度の場合には、-36度の位置の羽根構造体に貯まる水の量は0である。また、-36度の位置の羽根構造体に当たる水の量は0である。また、0度の位置の羽根構造体に当たる水の量は10割(すべて)である。したがって、
図12の(a)の回転0度の場合の回転力は5段階中の「4」となる。
(2)
図12の(b)の回転9度の場合には、-27度の位置の羽根構造体に貯まる水の量は0である。また、-27度の位置の羽根構造体に当たる水の量は全体の5割である。また、9度の位置の羽根構造体に当たる水の量は全体の7割である。したがって、
図12の(b)の回転9度の場合の回転力は5段階中の「3」となる。
(3)
図12の(c)の回転18度の場合には、-18度の位置の羽根構造体に貯まる水の量は全体の2割である。また、-18度の位置の羽根構造体に当たる水の量は0である。また、18度の位置の羽根構造体に当たる水の量は全体の8割である。したがって、
図12の(c)の回転18度の場合の回転力は5段階中の「2」となる。
以上により、実施例4の発電装置の回転力は合計で「9」となる。
【0057】
次に、実施例1~4の回転力(合計)の評価結果をまとめて表1に示す。
【表1】
表1の結果から、回転力は実施例1>実施例3>実施例4>実施例2の順に大きいことがわかった。
【0058】
本発明の態様としては、例えば、以下のとおりである。
<1> 回転軸と、
前記回転軸と共に回転可能であって前記回転軸に貫通され、かつ、互いに対向して配置された、表面に凹部Aを有する基材A及び表面に凹部Bを有する基材Bと、
前記凹部Aに回転可能に挿入される凸部a及び前記凹部Bに回転可能に挿入される凸部bとを有してなり、押圧力を受けて前記基材A及び前記基材Bを前記回転軸を中心にして前記回転軸と共に回転させる羽根構造体と
前記回転軸の回転によって発電を行う発電部と、
を有することを特徴とする発電装置である。
<2> 前記基材A及び前記基材Bに対し、前記凸部a及び前記凸部bにより回転可能な前記羽根構造体の向きを固定する固定部材を有する、前記<1>に記載の発電装置である。
<3> 前記羽根構造体が、
前記基材Aに対向する側壁aと、
前記基材Bに対向する側壁bと、
前記側壁a及び前記側壁bと直交する側壁c1とを有してなり、
前記側壁aに前記凸部aが設けられ、
前記側壁bに前記凸部bが設けられた、
前記<1及び<2>のいずれかに記載の発電装置である。
<4> 前記羽根構造体における、前記側壁aに孔aが2以上設けられ、前記側壁bに孔bが2以上設けられた、前記<3>に記載の発電装置である。
<5> 前記基材Aに、前記羽根構造体における前記孔aと対応した孔Aを有し、
前記基材Bに、前記羽根構造体における前記孔bと対応した孔Bを有し、
固定部材により、前記孔Aと前記孔aとが、及び、前記孔Bと前記孔bとが貫通され、回転可能な前記羽根構造体が固定された、前記<4>に記載の発電装置である。
<6> 前記固定部材が、前記基材A及び前記基材Bの外周縁部に配される、前記<5>に記載の発電装置である。
<7> 前記羽根構造体が、前記孔a及び前記孔bの近傍に、2以上の前記孔a及び前記孔bにおける各孔の位置を識別するための識別用印を有する、前記<4>に記載の発電装置である。
<8> 前記羽根構造体が2以上あり、前記羽根構造体が、前記羽根構造体の種類を識別する識別手段を有する、前記<1>から<2>のいずれかに記載の発電装置である。
【0059】
前記<1>から<8>のいずれかに記載の発電装置によると、従来における諸問題を解決し、本発明の目的を達成することができる。