(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024051329
(43)【公開日】2024-04-11
(54)【発明の名称】画像処理装置、方法及びプログラム並びに撮像システム及び記録媒体
(51)【国際特許分類】
H04N 23/698 20230101AFI20240404BHJP
H04N 5/265 20060101ALI20240404BHJP
G06T 3/4038 20240101ALI20240404BHJP
G03B 37/00 20210101ALI20240404BHJP
G03B 19/06 20210101ALI20240404BHJP
G03B 11/00 20210101ALI20240404BHJP
G03B 15/00 20210101ALI20240404BHJP
【FI】
H04N5/232 380
H04N5/265
G06T3/40 720
G03B37/00 Z
G03B19/06
G03B11/00
G03B15/00 H
G03B15/00 W
【審査請求】未請求
【請求項の数】24
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022157436
(22)【出願日】2022-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083116
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲三
(74)【代理人】
【識別番号】100170069
【弁理士】
【氏名又は名称】大原 一樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128635
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100140992
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲政
(72)【発明者】
【氏名】小川 真吾
(72)【発明者】
【氏名】岸根 慶延
(72)【発明者】
【氏名】平川 友也
【テーマコード(参考)】
2H054
2H059
2H083
5B057
5C023
5C122
【Fターム(参考)】
2H054BB02
2H054BB07
2H059BA11
2H083AA04
2H083AA26
2H083AA32
5B057AA14
5B057CA08
5B057CA12
5B057CA16
5B057CB08
5B057CB12
5B057CB16
5B057CD01
5B057DA16
5B057DB02
5B057DB09
5B057DC05
5C023AA11
5C023AA14
5C023BA11
5C023CA03
5C023DA04
5C023EA05
5C122DA04
5C122DA15
5C122DA30
5C122EA06
5C122EA40
5C122FA03
5C122FB16
5C122FH03
5C122FH04
5C122FH11
5C122FH20
5C122GA01
5C122HA13
5C122HA35
5C122HA88
5C122HB01
5C122HB05
5C122HB10
(57)【要約】
【課題】一部が重複する複数の画像からパノラマ画像を良好に生成することができる画像処理装置、方法及びプログラム並びに撮像システム及び記録媒体を提供する。
【解決手段】画像取得部202は、それぞれ異なる波長帯域の複数の画像(カラー画像、第1スペクトル画像λ
1、及び第2スペクトル画像λ
2)からなる第1画像群I
G1と第2画像群I
G2とを取得する。画像作成部204は、第1画像群I
G1、第2画像群I
G2に含まれる第1スペクトル画像λ
1、第2スペクトル画像λ
2の比を示す第3画像λ
2/λ
1と第4画像λ
2/λ
1とを作成する。情報取得処理部206は、第3画像λ
2/λ
1と第4画像λ
2/λ
1の重複領域の画像間の位置に関する情報を取得する。パノラマ合成処理部208は、画像間の位置に関する情報に基づいて、第1画像群I
G1、第2画像群I
G2に含まれる第1カラー画像I
c1と第2カラー画像I
c2とをパノラマ合成する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサを備えた画像処理装置において、
前記プロセッサは、
第1画角で撮像されたそれぞれ異なる波長帯域の複数の第1画像と、前記第1画角と一部が重複する第2画角で撮像されたそれぞれ異なる波長帯域の複数の第2画像とを取得する画像取得処理と、
前記第1画像に含まれる少なくとも2つの画像に基づいて第3画像を作成し、前記第2画像に含まれる少なくとも2つの画像に基づいて第4画像を作成する画像作成処理と、
前記第3画像と前記第4画像との画角の重複領域の画像間の位置に関する情報を取得する情報取得処理と、
前記位置に関する情報に基づいて、前記複数の第1画像に含まれる画像から選択した1以上の第1画像と、前記複数の第2画像に含まれる画像から選択した1以上の第2画像とをパノラマ合成するパノラマ合成処理と、を行う、
画像処理装置。
【請求項2】
前記情報取得処理は、前記重複領域の画像からそれぞれ対応する特徴点を抽出し、前記特徴点に基づいて前記位置に関する情報として取得する、
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記情報取得処理は、前記第1画像及び前記第2画像の少なくとも一方を幾何変換する変換式のパラメータであって、それぞれ対応する前記特徴点を一致させる前記変換式のパラメータを、前記位置に関する情報として取得する、
請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記第1画像及び前記第2画像は、撮影領域を複数に分割して撮像した場合に得られる複数の分割画像のうちの隣接する2つの分割画像である、
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記画像作成処理は、前記複数の第1画像に含まれる前記2つの画像の比又は差から前記第3画像を作成し、前記複数の第2画像に含まれる前記2つの画像の比又は差から前記第4画像を作成する、
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記パノラマ合成される前記選択した1以上の第1画像及び第2画像は、前記第3画像及び前記第4画像の作成に使用される前記2つの画像とは異なる画像を含む、
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記複数の第1画像及び前記複数の第2画像は、それぞれ赤色、緑色及び青色からなるカラー画像を含み、
前記パノラマ合成処理は、前記カラー画像をパノラマ合成する、
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記複数の第1画像及び前記複数の第2画像を撮像する撮像装置と、
請求項1から7のいずれか1項に記載の画像処理装置と、を備え、
前記画像取得処理は、前記撮像装置が撮像した前記複数の第1画像及び前記複数の第2画像を前記撮像装置から取得する、
撮像システム。
【請求項9】
前記第3画像及び前記第4画像の作成に使用される前記2つの画像のうちの一方は、クロロフィル吸収帯域を有するスペクトル画像である、
請求項8に記載の撮像システム。
【請求項10】
前記第3画像及び前記第4画像の作成に使用される前記2つの画像は、650nmから720nmの間で選択された2つのスペクトル画像である、
請求項8に記載の撮像システム。
【請求項11】
前記第3画像及び前記第4画像の作成に使用される前記2つの画像のうちの一方は、可視光領域の画像であり、他方は可視光領域以外の画像である、
請求項8に記載の撮像システム。
【請求項12】
前記撮像装置は、撮影レンズと、複数の撮像素子と、前記撮影レンズからの光路を分割して前記複数の撮像素子に導く光学部材とを含む撮像部を有し、
前記撮像部は、それぞれ異なる波長帯域の光学像を前記複数の撮像素子に入射させる波長選択素子を含む、
請求項8に記載の撮像システム。
【請求項13】
前記撮像装置は、赤色、緑色及び青色からなるカラー画像を撮像するカラーカメラ及びマルチスペクトルカメラのうちの少なくとも一方を含む、
請求項8に記載の撮像システム。
【請求項14】
プロセッサを備えた画像処理装置における前記プロセッサが実行する画像処理方法において、
第1画角で撮像されたそれぞれ異なる波長帯域の複数の第1画像と、前記第1画角と一部が重複する第2画角で撮像されたそれぞれ異なる波長帯域の複数の第2画像とを取得するステップと、
前記第1画像に含まれる少なくとも2つの画像に基づいて第3画像を作成し、前記第2画像に含まれる少なくとも2つの画像に基づいて第4画像を作成するステップと、
前記第3画像と前記第4画像との画角の重複領域の画像間の位置に関する情報を取得するステップと、
前記位置に関する情報に基づいて、前記複数の第1画像に含まれる画像から選択した1以上の第1画像と、前記複数の第2画像に含まれる画像から選択した1以上の第2画像とをパノラマ合成するステップと、
を含む画像処理方法。
【請求項15】
前記重複領域の画像からそれぞれ対応する特徴点を抽出し、前記特徴点に基づいて前記位置に関する情報として取得する、
請求項14に記載の画像処理方法。
【請求項16】
前記位置に関する情報を取得するステップは、前記第1画像及び前記第2画像の少なくとも一方を幾何変換する変換式のパラメータであって、それぞれ対応する前記特徴点を一致させる前記変換式のパラメータを、前記位置に関する情報として取得する、
請求項15に記載の画像処理方法。
【請求項17】
前記第1画像及び前記第2画像は、撮影領域を複数に分割して撮像した場合に得られる複数の分割画像のうちの隣接する2つの分割画像である、
請求項14に記載の画像処理方法。
【請求項18】
前記第3画像及び第4画像を作成するステップは、前記複数の第1画像に含まれる前記2つの画像の比又は差から前記第3画像を作成し、前記複数の第2画像に含まれる前記2つの画像の比又は差から前記第4画像を作成する、
請求項14に記載の画像処理方法。
【請求項19】
前記第3画像及び前記第4画像の作成に使用される前記2つの画像のうちの一方は、クロロフィル吸収帯域を有するスペクトル画像である、
請求項14に記載の画像処理方法。
【請求項20】
前記第3画像及び前記第4画像の作成に使用される前記2つの画像は、650nmから720nmの間で選択された2つのスペクトル画像である、
請求項14に記載の画像処理方法。
【請求項21】
前記第3画像及び前記第4画像の作成に使用される前記2つの画像のうちの一方は、可視光領域の画像であり、他方は可視光領域以外の画像である、
請求項14に記載の画像処理方法。
【請求項22】
前記パノラマ合成される、前記選択した1以上の第1画像及び第2画像は、前記第3画像及び前記第4画像の作成に使用される前記2つの画像とは異なる画像を含む、
請求項14に記載の画像処理方法。
【請求項23】
請求項14から22のいずれか1項に記載の画像処理方法をコンピュータに実行させる画像処理プログラム。
【請求項24】
非一時的かつコンピュータ読取可能な記録媒体であって、請求項23に記載の前記画像処理プログラムが記録された記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像処理装置、方法及びプログラム並びに撮像システム及び記録媒体に係り、特に一部が重複する複数の画像をパノラマ合成する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、可視光撮像画像データと赤外光撮像画像データとを同時に撮像し、赤外光撮像画像データの合成のりしろ部から抽出した特徴点を用いて、可視光撮像画像データをパノラマ合成する第一の合成処理を行う撮像装置が提案されている(特許文献1)。
【0003】
空等の低周波模様を多く含む被写体を連続撮影して得られた複数の可視光撮像画像データの場合には、可視光撮像画像データの合成のりしろ部からは特徴点が見つけ難いが、赤外光撮像画像データの場合には、赤外光撮像画像データの合成のりしろ部からは特徴点が見つけ易い。そこで、可視光撮像画像データの合成に赤外光撮像画像データを利用することにより、低周波模様を多く含む被写体であっても可視光撮像画像データを高精度に合成できるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示の技術に係る一つの実施形態は、複数の画像からパノラマ画像を良好に生成することができる画像処理装置、方法及びプログラム並びに撮像システム及び記録媒体を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1態様に係る発明は、プロセッサを備えた画像処理装置において、プロセッサは、第1画角で撮像されたそれぞれ異なる波長帯域の複数の第1画像と、第1画角と一部が重複する第2画角で撮像されたそれぞれ異なる波長帯域の複数の第2画像とを取得する画像取得処理と、第1画像に含まれる少なくとも2つの画像に基づいて第3画像を作成し、第2画像に含まれる少なくとも2つの画像に基づいて第4画像を作成する画像作成処理と、第3画像と第4画像との画角の重複領域の画像間の位置に関する情報を取得する情報取得処理と、位置に関する情報に基づいて、複数の第1画像に含まれる画像から選択した1以上の第1画像と、複数の第2画像に含まれる画像から選択した1以上の第2画像とをパノラマ合成するパノラマ合成処理と、を行う画像処理装置である。
【0007】
本発明の第2態様に係る画像処理装置は、第1態様において、情報取得処理は、重複領域の画像からそれぞれ対応する特徴点を抽出し、特徴点に基づいて位置に関する情報として取得する。
【0008】
本発明の第3態様に係る画像処理装置は、第2態様において、情報取得処理は、第1画像及び第2画像の少なくとも一方を幾何変換する変換式のパラメータであって、それぞれ対応する特徴点を一致させる変換式のパラメータを、位置に関する情報として取得することが好ましい。
【0009】
本発明の第4態様に係る画像処理装置は、第1態様において、第1画像及び第2画像は、撮影領域を複数に分割して撮像した場合に得られる複数の分割画像のうちの隣接する2つの分割画像である。
【0010】
本発明の第5態様に係る画像処理装置は、第1態様において、画像作成処理は、複数の第1画像に含まれる2つの画像の比又は差から第3画像を作成し、複数の第2画像に含まれる2つの画像の比又は差から第4画像を作成することが好ましい。
【0011】
本発明の第6態様に係る画像処理装置は、第1態様から第5態様のいずれかにおいて、パノラマ合成される選択した1以上の第1画像及び第2画像は、第3画像及び第4画像の作成に使用される2つの画像とは異なる画像を含む。
【0012】
本発明の第7態様に係る画像処理装置は、第1態様から第6態様のいずれかにおいて、複数の第1画像及び複数の第2画像は、それぞれ赤色、緑色及び青色からなるカラー画像を含み、パノラマ合成処理は、カラー画像をパノラマ合成する。
【0013】
第8態様に係る発明は、複数の第1画像及び複数の第2画像を撮像する撮像装置と、第1態様から第7態様のいずれかの画像処理装置と、を備え、画像取得処理は、撮像装置が撮像した複数の第1画像及び複数の第2画像を撮像装置から取得する、撮像システムである。
【0014】
本発明の第9態様に係るは、第8態様において、第3画像及び第4画像の作成に使用される2つの画像のうちの一方は、クロロフィル吸収帯域を有するスペクトル画像であることが好ましい。
【0015】
本発明の第10態様に係る撮像システムは、第8態様において、第3画像及び第4画像の作成に使用される2つの画像は、650nmから720nmの間で選択された2つのスペクトル画像であることが好ましい。
【0016】
本発明の第11態様に係る撮像システムは、第8態様において、第3画像及び第4画像の作成に使用される2つの画像のうちの一方は、可視光領域の画像であり、他方は可視光領域以外の画像である。
【0017】
本発明の第12態様に係る撮像システムは、第8態様において、撮像装置は、撮影レンズと、複数の撮像素子と、撮影レンズからの光路を分割して複数の撮像素子に導く光学部材とを含む撮像部を有し、撮像部は、それぞれ異なる波長帯域の光学像を複数の撮像素子に入射させる波長選択素子を含むことが好ましい。
【0018】
本発明の第13態様に係る撮像システムは、第8態様において、撮像装置は、赤色、緑色及び青色からなるカラー画像を撮像するカラーカメラ及びマルチスペクトルカメラのうちの少なくとも一方を含むことが好ましい。
【0019】
第14態様に係る発明は、プロセッサを備えた画像処理装置におけるプロセッサが実行する画像処理方法において、第1画角で撮像されたそれぞれ異なる波長帯域の複数の第1画像と、第1画角と一部が重複する第2画角で撮像されたそれぞれ異なる波長帯域の複数の第2画像とを取得するステップと、第1画像に含まれる少なくとも2つの画像に基づいて第3画像を作成し、第2画像に含まれる少なくとも2つの画像に基づいて第4画像を作成するステップと、第3画像と第4画像との画角の重複領域の画像間の位置に関する情報を取得するステップと、位置に関する情報に基づいて、複数の第1画像に含まれる画像から選択した1以上の第1画像と、複数の第2画像に含まれる画像から選択した1以上の第2画像とをパノラマ合成するステップと、を含む画像処理方法である。
【0020】
本発明の第15態様に係る画像処理方法は、第14態様において、重複領域の画像からそれぞれ対応する特徴点を抽出し、特徴点に基づいて位置に関する情報として取得することが好ましい。
【0021】
本発明の第16態様に係る画像処理方法は、第15態様において、位置に関する情報を取得するステップは、第1画像及び第2画像の少なくとも一方を幾何変換する変換式のパラメータであって、それぞれ対応する特徴点を一致させる変換式のパラメータを、位置に関する情報として取得することが好ましい。
【0022】
本発明の第17態様に係る画像処理方法は、第14態様において、第1画像及び第2画像は、撮影領域を複数に分割して撮像した場合に得られる複数の分割画像のうちの隣接する2つの分割画像である。
【0023】
本発明の第18態様に係る画像処理方法は、第14態様において、第3画像及び第4画像を作成するステップは、複数の第1画像に含まれる2つの画像の比又は差から第3画像を作成し、複数の第2画像に含まれる2つの画像の比又は差から第4画像を作成することが好ましい。
【0024】
本発明の第19態様に係る画像処理方法は、第14態様において、第3画像及び第4画像の作成に使用される2つの画像のうちの一方は、クロロフィル吸収帯域を有するスペクトル画像である。
【0025】
本発明の第20態様に係る画像処理方法は、第14態様において、第3画像及び第4画像の作成に使用される2つの画像は、650nmから720nmの間で選択された2つのスペクトル画像である。
【0026】
本発明の第21態様に係る画像処理方法は、第14態様から第20態様のいずれかにおいて、第3画像及び第4画像の作成に使用される2つの画像のうちの一方は、可視光領域の画像であり、他方は可視光領域以外の画像である。
【0027】
本発明の第22態様に係る画像処理方法は、第14態様から第21態様のいずれかにおいて、パノラマ合成される、選択した1以上の第1画像及び第2画像は、第3画像及び第4画像の作成に使用される2つの画像とは異なる画像を含む。
【0028】
第23態様に係る発明は、第14態様から第22態様のいずれかの画像処理方法をコンピュータに実行させる画像処理プログラムである。
【0029】
第24態様に係る発明は、非一時的かつコンピュータ読取可能な記録媒体であって、第14態様の画像処理プログラムが記録された記録媒体である。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】
図1は、本発明に係る撮像システムに適用される撮像装置の第1実施形態を示す図である。
【
図2】
図2は、本発明に係る画像処理装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、主に
図2に示した画像処理装置のプロセッサの機能を示す機能ブロック図である。
【
図4】
図4は、
図1に示した撮像装置により撮像された、主要被写体が「葉」のカラー画像を示す図である。
【
図5】
図5は、
図4に示したカラー画像と同時に撮像された第1スペクトル画像λ
1と第2スペクトル画像λ
2との比の画像λ
2/λ
1を示す図である。
【
図6】
図6は、第3画像λ
2/λ
1と第4画像λ
2/λ
1との一例を示す図である。
【
図7】
図7は、
図6(A)に示した第3画像λ
2/λ
1と、
図6(B)に示した第4画像λ
2/λ
1とをパノラマ合成したパノラマ画像を示す図である。
【
図8】
図8は、パノラマ合成部により合成されたパノラマ画像IPを示す図である。
【
図9】
図9は、本発明に係る撮像システムの実施形態を示す概念図である。
【
図10】
図10は、ドローンに搭載された撮像装置により広域の撮影領域を、複数に分割して撮像した場合に得られる複数の分割画像を示す図である。
【
図11】
図11は、本発明に係る撮像システムに適用される撮像装置の第2実施形態を示す図である。
【
図12】
図12は、本発明に係る画像処理方法の実施形態を示すフローチャートである。
【
図13】
図13は、波長帯域が異なる2つの画像の比を示す画像の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、添付図面に従って本発明に係る画像処理装置、方法及びプログラム並びに撮像システム及び記録媒体の好ましい実施形態について説明する。
【0032】
[撮像装置の第1実施形態]
図1は、本発明に係る撮像システムに適用される撮像装置の第1実施形態を示す図であり、特に撮像部に関して示している。
【0033】
図1に示す撮像装置10の撮像部は、撮影レンズ11と、複数の撮像素子12、13、14と、撮影レンズ11からの光路を分割してそれぞれ撮像素子12、13、14に導く光学部材であるビームスプリッタBS1、BS2とを含んで構成されている。
【0034】
撮影レンズ11により集光される光束は、ビームスプリッタBS1により分割され、ビームスプリッタBS1により反射した光束は、赤外線カットフィルタF1を介して撮像素子12の受光面に結像される。ビームスプリッタBS1を透過した光束は、ビームスプリッタBS2により更に分割され、ビームスプリッタBS2により反射した光束は、第1波長選択素子である第1バンドパスフィルタF2により波長選択されて撮像素子13の受光面に結像され、ビームスプリッタBS2を透過した光束は、第2波長選択素子である第2バンドパスフィルタF3により波長選択されて撮像素子14の受光面に結像される。
【0035】
撮像素子12は、CMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)型のカラー撮像素子により構成されている。尚、撮像素子12は、CMOS型に限らず、CCD(Charge Coupled Device)型の撮像素子でもよい。撮像素子12は、x方向(水平方向)及びy方向(垂直方向)に二次元的に配列された光電変換素子(フォトダイオード)で構成される複数の画素上に、赤色(R)、緑色(G)及び青色(B)のカラーフィルタが、周期的色配列(例えば、ベイヤ配列、X-Trans(登録商標)等)で配設され、各フォトダイオード上にはマイクロレンズが配置されている。
【0036】
撮像素子12の受光面には、赤外線カットフィルタF1により赤外領域の波長がカットされた可視光領域の被写体光が入射する。撮像素子12の受光面に結像された被写体の光学像は、撮像素子12によって電気信号に変換される。即ち、撮像素子12の各画素には、入射する光量に応じた電荷が蓄積され、撮像素子12からは各画素に蓄積された電荷量(信号電荷)に応じた電気信号が画像信号として読み出される。本例の撮像素子12は、カラー撮像素子であるため、撮像素子12からは、カラーフィルタに対応したRGBからなるモザイク画像を示す画像信号が出力される。
【0037】
撮像素子12から出力されるモザイク画像を示す画像信号は、図示しない信号処理部によりホワイトバランス補正、ガンマ補正処理、デモザイク処理(デモザイキング処理、同時化処理とも言う)等のデジタル信号処理が行われる。これにより、R画像、G画像、B画像のカラー画像を取得することができる。
【0038】
一方、撮像素子13の受光面には、第1バンドパスフィルタF2により波長選択された波長帯域(第1波長帯域)の被写体光が入射する。撮像素子13の受光面に結像された第1波長帯域の被写体の光学像は、撮像素子13によって電気信号に変換され、第1波長帯域を有する第1画像(第1スペクトル画像)を示す画像信号として出力される。
【0039】
同様に、撮像素子14の受光面には、第2バンドパスフィルタF3により波長選択された波長帯域(第2波長帯域)の被写体光が入射する。撮像素子14の受光面に結像された第2波長帯域の被写体の光学像は、撮像素子14によって電気信号に変換され、第2波長帯域を有する第2画像(第2スペクトル画像)を示す画像信号として出力される。
【0040】
尚、撮像素子13、14は、各画素にカラーフィルタが設けられていない、白黒撮像素子である。
【0041】
上記構成の撮像装置10は、パノラマ合成する画像として、それぞれ異なる波長帯域の複数の第1画像、複数の第2画像、…、を撮像する。複数の第1画像、及び複数の第2画像は、本例では、RGBのカラー画像、第1スペクトル画像及び第2スペクトル画像の複数枚の第1画像群、及び第2画像群である。
【0042】
各画像群は、1回の撮像で同時に取得することができる。また、被写体像を各撮像素子12、13、14に結像させる撮影レンズ11は、共通するため、各撮像素子12、13、14から出力されるカラー画像、第1スペクトル画像及び第2スペクトル画像の撮影範囲は一致する。
【0043】
[画像処理装置のハードウェア構成]
図2は、本発明に係る画像処理装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【0044】
図2に示す画像処理装置20は、コンピュータにより構成され、プロセッサ200、メモリ210、表示器230、入出力インターフェース240、及び操作部250を備える。尚、画像処理装置20は、撮像装置10に内蔵されたものでもよい。
【0045】
プロセッサ200は、CPU(Central Processing Unit)等から構成され、メモリ210に記憶されたオペレーションシステム、及び本発明に係る画像処理プログラムを含む各種のプログラムを実行し、画像処理装置20の各部を統括制御するとともに、後述するパノラマ合成処理に係る各種の処理及び表示制御等を実行する。
【0046】
メモリ210は、フラッシュメモリ、ROM(Read-only Memory)、及びRAM(Random Access Memory)、ハードディスク装置等を含む。フラッシュメモリ、ROM又はハードディスク装置は、オペレーションシステム、画像処理プログラムを含む各種のプログラム等を記憶する不揮発性メモリである。RAMは、プロセッサ200による処理の作業領域として機能するとともに、フラッシュメモリ等に格納されたプログラム等を一時的に記憶する。尚、プロセッサ200が、メモリ210の一部(RAM)を内蔵していてもよい。また、メモリ210は、
図1に示した撮像装置10により撮像された画像群(カラー画像、第1スペクトル画像及び第2スペクトル画像)であって、パノラマ合成に使用される複数の画像群を記憶するとともに、パノラマ合成したパノラマ画像を記憶することができる。
【0047】
表示器230は、操作部250からの指示入力に応じてメモリ210に記憶された画像群のうちのユーザ所望の画像を表示し、あるいはパノラマ合成したパノラマ画像を表示し、また、操作部250から指示入力を受け付ける場合のGUI(Graphical User Interface)の一部として使用される。
【0048】
表示器230は、画像処理装置20がタブレット端末やノートパソコンで構成される場合には、画像処理装置20に包含されるものでもよいし、画像処理装置20がデスクトップパソコンで構成される場合には、画像処理装置20に接続された外部の表示器でもよい。
【0049】
入出力インターフェース240は、外部機器と接続可能な接続部、及びネットワークと接続可能な通信部等を含む。外部機器と接続可能な接続部としては、USB(Universal Serial Bus)、HDMI(High-Definition Multimedia Interface)(HDMIは登録商標)等を適用することができる。プロセッサ200は、入出力インターフェース240を介して撮像装置10や他の外部機器との間で必要なデータのやり取りを行うことができる。
【0050】
操作部250はマウス等のポインティングデバイス、キーボード等を含み、表示器230の表示画面を使用し、ユーザ操作による指示入力を受け付けるGUIの一部として機能する。
【0051】
[画像処理装置の実施形態]
図3は、本発明に係る画像処理装置の実施形態を示す機能ブロック図である。
【0052】
図3は、主に
図2に示した画像処理装置のプロセッサの機能を示す機能ブロック図である。
【0053】
図3において、プロセッサ200は、画像取得部202、画像作成部204、情報取得処理部206、及びパノラマ合成処理部208として機能する。
【0054】
まず、プロセッサ200は、操作部250からの指示入力に応じて、撮像装置10から第1画像群IG1、第2画像群IG2を順次取得する。尚、撮像装置10により撮像された第1画像群IG1、第2画像群IG2が、メモリ210に記憶されている場合には、プロセッサ200は、メモリ210から第1画像群IG1、第2画像群IG2を順次取得することができる。
【0055】
ここで、撮像装置10は、例えば、主要被写体である植物(本例では「葉」)を第1画角(第1撮影範囲)で撮像し、「葉」の第1カラー画像Ic1、第1波長帯域の第1画像(第1スペクトル画像)λ1、及び第2波長帯域の第2画像(第2スペクトル画像)λ2からなる第1画像群IG1を取得し、続いて第1画角と一部が重複する第2画角(第2撮影範囲)で撮像し、「葉」の第2カラー画像Ic2、第1スペクトル画像λ1、及び第2スペクトル画像λ2からなる第2画像群IG2を取得しており、プロセッサ200は、撮像装置10から直接又は間接的に第1画像群IG1及び第2画像群IG2を取得する。
【0056】
また、第1スペクトル画像λ
1は、中心波長λ
1が650nmの狭帯域のスペクトル画像であり、第2スペクトル画像λ
2は、中心波長λ
2が720nmの狭帯域のスペクトル画像である。即ち、
図1に示した撮像装置10の第1バンドパスフィルタF2は、中心波長λ
1が650nmの第1波長帯域を透過させるバンドパスフィルタであり、第2バンドパスフィルタF3は、中心波長λ
2が720nmの第2波長帯域を透過させるバンドパスフィルタである。
【0057】
尚、「葉」のクロロフィルa、bは、波長650nm付近にクロロフィル吸収帯域を有している。
【0058】
画像取得部202は、第1画像群IG1及び第2画像群IG2を順次取得する画像取得処理を行う部分であり、第1画像群IG1を取得すると、第1画像群IG1のうちの第1スペクトル画像λ1、及び第2スペクトル画像λ2を画像作成部204に出力し、カラー画像Ic1をパノラマ合成処理部208に出力する。パノラマ合成処理部208では、入力するカラー画像Ic1をバッファメモリ208Aに保持する。
【0059】
画像作成部204は、第3画像及び第4画像を作成する画像作成処理を行う部分であり、第1画像群IG1に含まれる2つの画像である、第1スペクトル画像λ1と第2スペクトル画像λ2とを入力すると、第1スペクトル画像λ1と第2スペクトル画像λ2との比から第3画像(画像λ2/λ1)を作成する。作成された第3画像λ2/λ1は、情報取得処理部206に出力され、情報取得処理部206のバッファメモリ206Aに保持される。
【0060】
続いて、画像取得部202は、第2画像群IG2を取得すると、上記と同様に第2画像群IG2のうちの第1スペクトル画像λ1、及び第2スペクトル画像λ2を画像作成部204に出力し、カラー画像Ic2をパノラマ合成処理部208に出力する。パノラマ合成処理部208では、入力するカラー画像Ic2をバッファメモリ208Bに保持する。
【0061】
画像作成部204は、第2画像群IG2に含まれる2つの画像である、第1スペクトル画像λ1と第2スペクトル画像λ2とを入力すると、第1スペクトル画像λ1と第2スペクトル画像λ2との比から第4画像(画像λ2/λ1)を作成する。作成された第4画像λ2/λ1は、情報取得処理部206に出力され、情報取得処理部206のバッファメモリ206Bに保持される。
【0062】
図4は、
図1に示した撮像装置により撮像された、主要被写体が「葉」のカラー画像である。尚、
図4では、白黒写真が示されているが、実際にはカラー画像である。
【0063】
図4において、32は「葉」の領域を示し、34は「葉」の影の領域を示す。
図4に示すようにカラー画像には、主要被写体である葉32の他に、葉32の影34や水面などの背景が写っており、カラー画像をパノラマ合成する場合、背景の情報がパノラマ合成の成功率を低下させる原因となる。
【0064】
図5は、
図4に示したカラー画像と同時に撮像された第1スペクトル画像λ
1と第2スペクトル画像λ
2との比の画像λ
2/λ
1を示す図である。
【0065】
図5に示す画像λ
2/λ
1は、葉32の部分のみに濃淡が現れ、背景が殆ど「黒」となり、背景の情報が削除されたものとなる。したがって、隣接する2つの第3画像λ
2/λ
1と第4画像λ
2/λ
1の重複領域から画像間の位置に関する情報を取得する際に、背景に影響されることなく、精度の高い画像間の位置に関する情報を取得することができ、取得した画像間の位置に関する情報に基づいて他の画像(カラー画像)をパノラマ合成することで、良好なパノラマ画像を生成することが可能になる。
【0066】
図3に戻って、情報取得処理部206は、バッファメモリ206Aに保持された第3画像λ
2/λ
1とバッファメモリ206Bに保持された第4画像λ
2/λ
1との画角の重複領域の画像間の位置に関する情報を取得する。
【0067】
図6は、第3画像λ
2/λ
1と第4画像λ
2/λ
1との一例を示す図である。
図6(A)及び(B)は、それぞれ第3画像λ
2/λ
1、及び第4画像λ
2/λ
1を示しており、これらの第3画像λ
2/λ
1と第4画像λ
2/λ
1とは重複領域を有している。
【0068】
情報取得処理部206のパラメータ取得部206Cは、第3画像λ2/λ1と第4画像λ2/λ1との重複領域の画像からそれぞれ対応する特徴点を抽出し、特徴点に基づいて位置に関する情報として取得する。
【0069】
第3画像λ2/λ1と第4画像λ2/λ1との重複領域の画像間の、拡大縮小(撮像距離の違い)、回転等に強いロバストな局所特徴量として、SIFT (Scale-invariant feature transform)特徴量、SURF (Speed-Upped Robust Feature)特徴量、及びAKAZE (Accelerated KAZE)特徴量が知られている。パラメータ取得部206Cは、SIFT等のアルゴリズムにより特徴量が一致する特徴点を複数セット取得する。
【0070】
いま、第3画像λ2/λ1を基準画像とした場合、パラメータ取得部206Cは、第3画像λ2/λ1の特徴点と、第4画像λ2/λ1の特徴点とを一致させるための、第4画像λ2/λ1を拡大縮小、平行移動、回転等を示すパノラマ合成用のパラメータを取得することができる。
【0071】
また、パラメータ取得部206Cは、第4画像λ2/λ1を、幾何変換式にしたがって幾何変換してパノラマ合成する場合、その幾何変換する変換式のパラメータであって、それぞれ対応する特徴点を一致させる変換式のパラメータを、複数セットの対応点に基づいて取得することができる。例えば、幾何変換する変換式が、射影変換やアフィン変換する変換式の場合、射影変換やアフィン変換の変換式の変換行例(パラメータ)を複数セットの対応点に基づいて算出する。
【0072】
図7は、
図6(A)に示した第3画像λ
2/λ
1と、
図6(B)に示した第4画像λ
2/λ
1とをパノラマ合成したパノラマ画像を示す図である。尚、本例では、第3画像λ
2/λ
1と第4画像λ
2/λ
1とをパノラマ合成するために必要な情報が取得できればよく、必ずしも第3画像λ
2/λ
1と第4画像λ
2/λ
1とをパノラマ合成する必要はない。
【0073】
パノラマ合成処理部208のパノラマ合成部208Cは、情報取得処理部206が取得した第3画像λ2/λ1と第4画像λ2/λ1との重複領域の画像間の位置に関する情報に基づいて、バッファメモリ208Aに保持された第1カラー画像Ic1と、バッファメモリ208Bに保持された第2カラー画像Ic2とをパノラマ合成するパノラマ合成処理を行う。本例では、第3画像λ2/λ1に対応する第1カラー画像Ic1を基準画像とし、第4画像λ2/λ1に対応する第2カラー画像Ic2を画像間の位置に関する情報に基づいて幾何変換し、第1カラー画像Ic1に幾何変換後の第2カラー画像Ic2を重ね合わせる。尚、第1カラー画像Ic1と幾何変換後の第2カラー画像Ic2との重複部分は、例えば、重み付け加算し、より自然になるように合成することが好ましい。
【0074】
パノラマ合成部208Cにより合成されたパノラマ画像IPは、表示器230に表示され、あるいはメモリ210に保存される。
【0075】
図8は、パノラマ合成部により合成されたパノラマ画像I
Pを示す図である。
【0076】
パノラマ合成前の2枚の画像(第1カラー画像Ic1、第2カラー画像Ic2)はそれぞれカラー画像であるため、合成後のパノラマ画像IPもカラー画像である。
【0077】
上記構成の画像処理装置20によれば、パノラマ画像IPはカラー画像であるが、主要被写体の葉のみが抽出された画像である第3画像λ2/λ1と第4画像λ2/λ1とから、背景の影響を受けない精度の高いペアの特徴点を抽出することができ、精度の高いペアの特徴点の情報に基づいて、第3画像λ2/λ1と第4画像λ2/λ1にそれぞれ対応する第1カラー画像Ic1と第2カラー画像Ic2とをパノラマ合成するため、合成精度の高いパノラマ画像IPを生成することができる。
【0078】
[撮像システム]
図9は、本発明に係る撮像システムの実施形態を示す概念図である。
【0079】
図9に示す撮像システム1は、空撮用の飛行体であるドローン30と、リモートコントローラ35と、画像処理装置20とを含み、ドローン30とリモートコントローラ35と画像処理装置20とは、ネットワーク40により接続されている。
【0080】
また、
図1に示した撮像装置10は、ジンバル雲台33を介してドローン30に搭載されている。
【0081】
ドローン30は、リモートコントローラ35により飛行経路、及び撮像装置10による撮像が遠隔操作され、撮像装置10により撮像された撮影ポイントごとの画像群は、無線通信を利用してリモートコントローラ35、ネットワーク40を介して画像処理装置20に転送され、又はリモートコントローラ35を経由せずに直接、画像処理装置20に転送され、あるいは撮像装置10内のメモリカードに記録される。
【0082】
図10は、ドローンに搭載された撮像装置により広域の撮影領域を、複数に分割して撮像した場合に得られる複数の分割画像を示す図である。
【0083】
広域の撮影領域は、例えば、撮影対象の農産物が生産される大規模な農地である。
【0084】
図10に示す分割画像I
G(1,1)、I
G(1,2)、I
G(1,3)、…、I
G(2,1)、…は、それぞれドローン30の飛行経路上の撮影ポイントで撮像された画像群(カラー画像I
C、第1スペクトル画像λ
1及び第2スペクトル画像λ
2)であり、隣接する分割画像I
G(1,1)、I
G(1,2)、…、は、重複領域を有する。
【0085】
リモートコントローラ35によりドローン30を遠隔操作する操作者は、撮像装置10により撮像され、送信されるライブビュー画像をリモートコントローラ35のモニタで確認しながら、ドローン30を各撮影ポイントに移動させ、各撮影ポイントにて撮像装置10による撮像を実行させる。
【0086】
これにより、
図10に示したように分割画像I
G(1,1)、I
G(1,2)、…、の撮像が順次行われる。また、順次撮像された分割画像I
G(1,1)、I
G(1,2)、…、は、無線通信により画像処理装置20に送信され、又はドローン30の帰還後に撮像装置10又はメモリカードから画像処理装置20により送信される。
【0087】
尚、リモートコントローラ35によりドローン30を遠隔操作する場合に限らず、予め飛行経路及び撮影ポイントを含む空撮計画を作成し、空撮計画にしたがってドローン30を自律飛行させ、撮影ポイントごとに撮像装置10による撮像を実行させてもよい。
【0088】
図10において、分割画像I
G(1,1)を、
図3に示した第1画像群I
G1とすると、分割画像I
G(1,2)は、第2画像群I
G2に対応する。
【0089】
画像処理装置20は、順次入力する分割画像IG(1,1)、分割画像IG(1,2)に対して、第1画像群IG1、第2画像群IG2に対する処理と同様の処理を行うことで、パノラマ画像IPを生成することができる。
【0090】
また、画像処理装置20は、次に分割画像IG(1,3)を入力すると、幾何変換後の分割画像IG(1,2)を第1画像群IG1とし、新たに入力した分割画像IG(1,3)を第2画像群IG2とすることで、幾何変換後の分割画像IG(1,2)と分割画像IG(1,3)とをパノラマ合成することができる。
【0091】
このようにして画像処理装置20は、分割画像IG(1,1)、IG(1,2)、…、を順次パノラマ合成することで、広域の撮影領域のパノラマ画像を生成することができる。
【0092】
ユーザは、広域の撮影領域のパノラマ画像により撮影対象の農産物の生育状況を確認することができる。
【0093】
[撮像装置の第2実施形態]
図11は、本発明に係る撮像システムに適用される撮像装置の第2実施形態を示す図である。
【0094】
図11に示す撮像装置50は、ビームスプリッタ52と、マルチスペクトルカメラ54と、RGBカメラ56とから構成されている。
【0095】
マルチスペクトルカメラ54は、それぞれ波長帯域が異なる複数のスペクトル画像を撮像するもので、公知のものを使用することができる。
【0096】
RGBカメラ56は、赤色、緑色及び青色からなるカラー画像を撮像するカラーカメラであり、公知のものを使用することができる。
【0097】
被写体光は、ビームスプリッタ52により分割され、ビームスプリッタ52を通過する被写体光はマルチスペクトルカメラ54に入射し、ビームスプリッタ52で反射する被写体光はRGBカメラ56に入射する。
【0098】
これにより、撮像装置50は、複数のスペクトル画像とカラー画像とを同時に撮像することができる。尚、スペクトル画像とカラー画像の画像サイズは同一であることが好ましいが、画像サイズが異なる場合には、画像サイズを同一にする補間処理等を行う。
【0099】
撮像装置50により同時に撮像される複数のスペクトル画像及びカラー画像を含む画像群は、
図1に示した第1実施形態の撮像装置10により撮像される画像群と同様に画像処理装置20にて使用することができる。
【0100】
[画像処理方法]
図12は、本発明に係る画像処理方法の実施形態を示すフローチャートである。
【0101】
尚、
図12に示す画像処理方法は、
図3に示した画像処理装置のプロセッサ200により行われる方法である。
【0102】
図12において、プロセッサ200は、撮像装置10により撮像された第1画像群I
G1、第2画像群I
G2を順次取得する(ステップS10)。
【0103】
プロセッサ200は、第1画像群I
G1に含まれる第1スペクトル画像λ
1、第2スペクトル画像λ
2の比を示す第3画像λ
2/λ
1と、第2画像群I
G2に含まれる第1スペクトル画像λ
1、第2スペクトル画像λ
2の比を示す第4画像λ
2/λ
1とを作成する(ステップS12、
図6参照)。
【0104】
続いて、プロセッサ200は、第3画像λ2/λ1と第4画像λ2/λ1との重複領域における、互いに対応する複数のペアの特徴点を抽出する(ステップS14)。
【0105】
プロセッサ200は、複数のペアの特徴点に基づいて、第3画像λ2/λ1の特徴点と第4画像λ2/λ1の特徴点とを一致させるための、幾何変換式のパラメータを取得する(ステップS16)。
【0106】
次に、プロセッサ200は、第1画像群IG1から選択した第1画像(本例では、第1カラー画像Ic1)と、第2画像群IG2から選択した第2画像(本例では、第2カラー画像Ic2)であって、ステップS16で取得したパラメータを有する幾何変換式により変換された第2画像とを合成し、パノラマ画像IPを作成する(ステップS18)。
【0107】
このようにして作成されたパノラマ画像IPは、表示器230に表示され、又はメモリ210に保存される。
【0108】
[他の実施形態]
本実施形態では、波長帯域が異なる2つの画像として、中心波長λ1が650nmの第1スペクトル画像と中心波長λ2が720nmの第2スペクトル画像を使用し、2つの画像の比を示す画像を作成するようにしたが、波長帯域が異なる2つの画像は、これらの波長帯域の画像に限定されない。
【0109】
図13は、波長帯域が異なる2つの画像の比を示す画像の他の例を示す図である。
【0110】
図13(A)に示す画像は、中心波長が580nmのスペクトル画像と中心波長が650nmのスペクトル画像の比を示す画像であり、
図13(B)に示す画像は、中心波長が790nmのスペクトル画像と中心波長が720nmのスペクトル画像の比を示す画像である。
【0111】
図13(A)及び(B)に示す画像は、それぞれ葉のみを示す画像となり、特徴点を抽出するための画像として適している。
【0112】
一方、
図13(C)に示す画像は、中心波長が850nmの赤外線画像と中心波長が790nmの赤外線画像の比を示す画像である。この画像は、葉の画像が不鮮明であり、特徴点を抽出するための画像として適していない。
【0113】
したがって、2つの画像のうちの一方は、クロロフィル吸収帯域を有するスペクトル画像であることが好ましい。また、2つの画像は、650nmから720nmの間で選択された2つのスペクトル画像であることがより好ましい。
【0114】
更に、2つの画像のうちの一方は、可視光領域の画像とし、他方は可視光領域以外の画像(赤外線画像)としてもよい。
【0115】
また、本実施形態では、波長帯域が異なる2つの画像の比を示す画像を作成するようにしたが、これに限らず、波長帯域が異なる2つの画像の差を示す画像を作成し、差を示す画像を使用して特徴点の抽出等を行うようにしてもよい。尚、差を示す画像は、単なる差分だけでなく、差を規格化したものも含む。
【0116】
また、2つの画像の差を規格化した画像として、例えば、NDVI(Normalized Difference Vegetation Index:正規化植生指数)を示す画像(以下、「NDVI画像」という)でもよい。NDVI画像は、植生の分布状況や活性度を示す指標として活用されている。
【0117】
NDVI画像は、植物の分光反射特性を利用しており,赤色域の反射強度を示す赤色光の画像をRED、近赤外域の波長の反射強度を示す近赤外光の画像をNIRとしたときに、次の[数1]式により表わすことができる。
【0118】
[数1]
NDVI=(NIR-RED)/(NIR+RED)
したがって、波長帯域が異なる2つの画像として、撮像される画像群に赤色光画像REDと近赤外光の画像NIRとが含まれている場合には、NDVI画像を作成することができ、このNDVI画像を使用して特徴点の抽出等を行うようにしてもよい。
【0119】
更に、波長帯域が異なる2つの画像は、狭帯域のスペクトル画像に限らず、RGB画像のうちのいずれかの色画像を含んでいてもよい。
【0120】
また、本実施形態では、パノラマ合成する画像はカラー画像としたが、これに限らず、同時に撮像された画像群から選択された1以上の画像をパノラマ合成するようにしてもよい。2以上の画像をパノラマ合成する場合には、2以上の画像の比又は差の画像をパノラマ合成してもよく、NDVI画像をパノラマ合成してもよい。
【0121】
更にまた、本実施形態では、主要被写体が植物(本例では「葉」)の場合について説明したが、主要被写体は植物に限らない。例えば、パノラマ合成される橋梁、トンネル、ダム等の構造物でもよい。
【0122】
また、撮像システムに適用される撮像装置は、
図1又は
図11に示したものに限らず、カラーカメラ(RGBカメラ)及びマルチスペクトルカメラのうちの少なくとも一方を含むものでもよい。
【0123】
[その他]
本実施形態において、例えば、画像処理装置20のプロセッサ200のように各種の処理を実行する処理部(processing unit)のハードウェア的な構造は、次に示すような各種のプロセッサ(processor)である。各種のプロセッサには、ソフトウェア(プログラム)を実行して各種の処理部として機能する汎用的なプロセッサであるCPU(Central Processing Unit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などの製造後に回路構成を変更可能なプロセッサであるプログラマブルロジックデバイス(Programmable Logic Device:PLD)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)などの特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路などが含まれる。
【0124】
1つの処理部は、これら各種のプロセッサのうちの1つで構成されていてもよいし、同種または異種の2つ以上のプロセッサ(例えば、複数のFPGA、あるいはCPUとFPGAの組み合わせ)で構成されてもよい。また、複数の処理部を1つのプロセッサで構成してもよい。複数の処理部を1つのプロセッサで構成する例としては、第1に、クライアントやサーバなどのコンピュータに代表されるように、1つ以上のCPUとソフトウェアの組合せで1つのプロセッサを構成し、このプロセッサが複数の処理部として機能する形態がある。第2に、システムオンチップ(System On Chip:SoC)などに代表されるように、複数の処理部を含むシステム全体の機能を1つのIC(Integrated Circuit)チップで実現するプロセッサを使用する形態がある。このように、各種の処理部は、ハードウェア的な構造として、上記各種のプロセッサを1つ以上用いて構成される。
【0125】
更に、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造は、より具体的には、半導体素子などの回路素子を組み合わせた電気回路(circuitry)である。
【0126】
また、本発明は、コンピュータにインストールされることにより、コンピュータを本発明に係る画像処理装置として機能させる画像処理プログラム、及びこの画像処理プログラムが記録された非一時的かつコンピュータ読取可能な不揮発性の記録媒体を含む。
【0127】
更に、本発明は上述した実施形態に限定されず、本発明の精神を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0128】
1…撮像システム
10…撮像装置
11…撮影レンズ
12、13、14…撮像素子
20…画像処理装置
30…ドローン
32…葉
33…ジンバル雲台
34…影
35…リモートコントローラ
40…ネットワーク
50…撮像装置
52…ビームスプリッタ
54…マルチスペクトルカメラ
56…RGBカメラ
200…プロセッサ
202…画像取得部
204…画像作成部
206…情報取得処理部
206A、206B、208A、208B…バッファメモリ
206C…パラメータ取得部
208…パノラマ合成処理部
208C…パノラマ合成部
210…メモリ
230…表示器
240…入出力インターフェース
250…操作部
BS1、BS2…ビームスプリッタ
F1…赤外線カットフィルタ
F2…第1バンドパスフィルタ
F3…第2バンドパスフィルタ
S10、S12、S14、S16、S18…ステップ