(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024051647
(43)【公開日】2024-04-11
(54)【発明の名称】光源装置
(51)【国際特許分類】
F21V 29/90 20150101AFI20240404BHJP
F21V 29/503 20150101ALI20240404BHJP
F21V 29/77 20150101ALI20240404BHJP
F21V 29/76 20150101ALI20240404BHJP
F21V 29/54 20150101ALI20240404BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20240404BHJP
【FI】
F21V29/90
F21V29/503
F21V29/77
F21V29/76
F21V29/54
F21Y115:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022157927
(22)【出願日】2022-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【弁理士】
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【弁理士】
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100172188
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 敬人
(72)【発明者】
【氏名】勝本 善巳
(57)【要約】
【課題】発光素子を所定の温度に安定して維持できるとともに短時間で所定の温度に調整できる光源装置を提供する。
【解決手段】光源装置100は、発光素子10、基台20、第1温度調整部31、及び第2温度調整部32を備える。基台20は、載置部21、放熱部22、及び伝達部23を有する。載置部21には、発光素子10が載置される。放熱部22は、載置部21から離れた位置に設けられ、載置部21からの熱を放出する。伝達部23は、載置部21と放熱部22とを接続し、載置部21からの熱を放熱部22に伝達する。第1温度調整部31及び第2温度調整部32は、基台20の温度を調整する。載置部21、伝達部23、及び放熱部22は、一体である。伝達部23の水平方向の幅W3は、放熱部22の水平方向の幅W2より小さい。第1温度調整部31及び第2温度調整部32は、それぞれ、載置部21、伝達部23、及び放熱部22のいずれかと接触する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光素子と、
前記発光素子が載置される載置部と、前記載置部から離れた位置に設けられ前記載置部からの熱を放出する放熱部と、前記載置部と前記放熱部とを接続し前記載置部からの熱を前記放熱部に伝達する伝達部と、を有する基台と、
前記基台の温度を調整する第1温度調整部と、
前記基台の温度を調整する第2温度調整部と、
を備え、
前記載置部、前記伝達部、及び前記放熱部は、一体であり、
前記伝達部の水平方向の幅は、前記載置部と、前記伝達部と、前記放熱部と、前記第1温度調整部と、前記第2温度調整部とを含む断面において、前記放熱部の水平方向の幅より小さく、
前記第1温度調整部及び前記第2温度調整部は、それぞれ、前記載置部、前記伝達部、及び前記放熱部のいずれかと接触する、光源装置。
【請求項2】
前記基台は、金属を含む、請求項1記載の光源装置。
【請求項3】
前記第1温度調整部は、ペルチェ素子である、請求項1記載の光源装置。
【請求項4】
前記基台は、前記載置部と前記放熱部との間に位置し、前記載置部、前記放熱部、及び前記伝達部と分離可能な分離部をさらに有し、
前記第1温度調整部は、第1面と、前記第1面とは反対側を向く第2面と、を有し、
前記第1面は、前記載置部、前記伝達部、及び前記放熱部のいずれかと接触し、
前記第2面は、前記分離部と接触する、請求項3記載の光源装置。
【請求項5】
前記第2温度調整部は、ペルチェ素子であり、
前記第2温度調整部は、第3面と、前記第3面とは反対側を向く第4面と、を有し、
前記第3面は、前記載置部、前記伝達部、及び前記放熱部のいずれかと接触し、
前記第4面は、前記分離部と接触する、請求項4記載の光源装置。
【請求項6】
前記分離部は、第1分離部及び第2分離部を有し、
前記伝達部は、前記第1分離部と前記第2分離部との間に位置し、
前記第2面は、前記第1分離部と接触し、
前記第4面は、前記第2分離部と接触する、請求項5記載の光源装置。
【請求項7】
前記第1温度調整部は、前記載置部と接触し、
前記第2温度調整部は、前記伝達部と接触する、請求項1記載の光源装置。
【請求項8】
前記第1面は、前記載置部と接触し、
前記第3面は、前記伝達部と接触する、請求項5記載の光源装置。
【請求項9】
前記第1温度調整部及び前記第2温度調整部は、それぞれ、前記伝達部と接触する、請求項1記載の光源装置。
【請求項10】
前記第1面及び前記第3面は、それぞれ、前記伝達部と接触する、請求項6記載の光源装置。
【請求項11】
前記放熱部は、フィン構造を有する、請求項1~10のいずれか1つに記載の光源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施形態は、光源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
LED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)の発光効率の低下を抑制するためにLED光源の温度調整がなされることがある。特許文献1では、放熱経路の一部をペルチェ素子が担う、LED光源が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
実施形態は、発光素子を所定の温度に安定して維持できるとともに、発光素子を短時間で所定の温度に調整できる光源装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一実施形態に係る光源装置は、発光素子と、基台と、第1温度調整部と、第2温度調整部と、を備える。前記基台は、載置部と、放熱部と、伝達部と、を有する。前記載置部には、前記発光素子が載置される。前記放熱部は、前記載置部から離れた位置に設けられ、前記載置部からの熱を放出する。前記伝達部は、前記載置部と前記放熱部とを接続し、前記載置部からの熱を前記放熱部に伝達する。前記第1温度調整部及び前記第2温度調整部は、前記基台の温度を調整する。前記載置部、前記伝達部、及び前記放熱部は、一体である。前記伝達部の水平方向の幅は、前記載置部と、前記伝達部と、前記放熱部と、前記第1温度調整部と、前記第2温度調整部とを含む断面において、前記放熱部の水平方向の幅より小さい。前記第1温度調整部及び前記第2温度調整部は、それぞれ、前記載置部、前記伝達部、及び前記放熱部のいずれかと接触する。
【発明の効果】
【0006】
本発明の一実施形態によれば、発光素子を所定の温度に安定して維持できるとともに、発光素子を短時間で所定の温度に調整できる光源装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第1実施形態に係る光源装置を示す斜視図である。
【
図2】第1実施形態に係る光源装置を示す斜視断面図である。
【
図3A】第1実施形態に係る光源装置を示す断面図である。
【
図3B】第1実施形態の変形例に係る光源装置を示す断面図である。
【
図4】第2実施形態に係る光源装置を示す斜視図である。
【
図5】第2実施形態に係る光源装置を示す斜視断面図である。
【
図6】第2実施形態に係る光源装置を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態に係る光源装置を示す斜視図である。
図2は、第1実施形態に係る光源装置を示す斜視断面図である。
図3Aは、第1実施形態に係る光源装置を示す断面図である。
図1~
図3Aに示すように、第1実施形態に係る光源装置100は、発光素子10と、基台20と、第1温度調整部31と、第2温度調整部32と、カバー40と、を備えている。なお、発光素子10は発光装置15であってもよい。
図2及び
図3Aでは、カバー40を取り外した状態を示している。以下、
図3Aを用いて第1実施形態に係る光源装置100について説明する。
【0009】
(発光装置15)
発光装置15は、例えば、基板12と、基板12上に配置される発光素子10と、を含む。発光装置15は、発光素子10を封止する封止樹脂と、封止樹脂内に分散される波長変換部材と、をさらに含んでもよい。発光装置15から発せられる光は、白色であってよい。
【0010】
(発光素子10)
発光素子10は、例えば、LEDである。発光素子10は、例えば、LD(Laser Diode:レーザーダイオード)であってもよい。発光素子10がLDである場合、LDは気密封止される。発光素子は、例えば、ピーク波長が350nm以上450nm以下の光を発する。光源装置100は、少なくとも1つの発光素子10を含む。光源装置100は、2つ以上の発光素子10を含んでいてもよい。また、光源装置100は、1つ以上の発光素子10と、波長変換部材を備える発光装置を備えていてもよい。
【0011】
(波長変換部材)
波長変換部材は、例えば、BAM蛍光体(例えば、BaMgAl10O17:Eu)、イットリウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(例えば、(Y,Gd)3(Al,Ga)5O12:Ce))、βサイアロン系蛍光体(例えば、(Si,Al)3(O,N)4:Eu)若しくはαサイアロン系蛍光体(例えば、Ca(Si,Al)12(O,N)16:Eu)等の酸窒化物系蛍光体、CASN蛍光体(例えば、CaAlSiN3:Eu)若しくはSCASN系蛍光体(例えば、(Sr,Ca)AlSiN3:Eu)等の窒化物系蛍光体、またはKSF系蛍光体(例えば、K2SiF6:Mn)など、種々の蛍光体を単独または複数種類を組み合わせて使用することができる。
【0012】
(基台20)
基台20は、載置部21と、放熱部22と、伝達部23と、を有する。載置部21は、基台20の上部に位置する。放熱部22は、基台20の下部に位置する。伝達部23は、載置部21と放熱部22との間に位置する。伝達部23は、載置部21と、載置部21から離れた位置に設けられた放熱部22と、を接続する。載置部21、伝達部23、及び放熱部22は、一体である。つまり、載置部21、伝達部23、及び放熱部22は、互いに分離不能に設けられている。これにより、載置部21、伝達部23、及び放熱部22の間に接触熱抵抗が生じないので、発光素子10で生じる熱を、伝達部23を介して載置部21から放熱部22へ効率よく逃がすことができる。
【0013】
(載置部21)
載置部21には、発光素子10が載置される。例えば、発光素子10は、載置部21に接着剤、グリス、またはAgペースト等を用いて配置することができる。伝達部23は、載置部21からの熱を放熱部22に伝達する。放熱部22は、載置部21からの熱を放出する。発光素子10が発する熱は、載置部21及び伝達部23を介して放熱部22に伝達され、放熱部22において放熱される。放熱部22は、例えば、フィン構造を有する。
【0014】
本明細書では、放熱部22から載置部21に向かう方向を「上」といい、その逆方向を「下」という。ただし、この表現は便宜的なものであり、重力の方向とは無関係である。また、本明細書では、上下方向に垂直な方向を「水平方向」という。
【0015】
載置部21と、伝達部23と、放熱部22と、第1温度調整部31と、第2温度調整部32とを含む断面において、載置部21は、第1載置部分21aと、第2載置部分21bと、第3載置部分21cと、を有する。第1載置部分21a、第2載置部分21b、及び第3載置部分21cは、水平方向に並んでいる。第1載置部分21aは、上下方向において、発光素子10と重なる。第2載置部分21b及び第3載置部分21cは、例えば、上下方向において、発光素子10と重ならない。第1載置部分21aは、水平方向において、第2載置部分21bと第3載置部分21cとの間に位置する。
【0016】
(放熱部22)
載置部21と、伝達部23と、放熱部22と、第1温度調整部31と、第2温度調整部32とを含む断面において、放熱部22は、第1放熱部分22aと、第2放熱部分22bと、第3放熱部分22cと、を有する。第1放熱部分22a、第2放熱部分22b、及び第3放熱部分22cは、水平方向に並んでいる。第1放熱部分22aは、上下方向において、第1載置部分21aと重なる。第2放熱部分22bは、上下方向において、第2載置部分21bと重なる。第3放熱部分22cは、上下方向において、第3載置部分21cと重なる。第1放熱部分22aは、水平方向において、第2放熱部分22bと第3放熱部分22cとの間に位置する。フィン構造は、例えば、第2放熱部分22b及び第3放熱部分22cに設けられる。
【0017】
(伝達部23)
この例では、伝達部23は、上下方向において、第1載置部分21aと第1放熱部分22aとの間に位置する。伝達部23は、上下方向において、第2載置部分21bと第2放熱部分22bとの間には位置しない。また、伝達部23は、上下方向において、第3載置部分21cと第3放熱部分22cとの間には位置しない。
【0018】
図3Aは、載置部21と、伝達部23と、放熱部22と、第1温度調整部31と、第2温度調整部32とを含む断面図である。
図3Aに示すような断面において、伝達部23の水平方向の幅W3は、放熱部22の水平方向の幅W2よりも小さい。また、伝達部23の水平方向の幅W3は、載置部21の水平方向の幅W1よりも小さい。幅W3は、例えば、幅W1に対して10%以上50%以下、好ましくは、15%以上40%以下であってよい。これにより、放熱部22への熱伝導、または、載置部21への熱伝導を制御することができる。
【0019】
なお、幅W1、幅W2、幅W3は、一定であってもよいし、一定でなくてもよい。幅W1、幅W2、幅W3が一定ではない場合、載置部21の水平方向の幅の最大値を幅W1、放熱部22の水平方向の幅の最大値を幅W2、伝達部23の水平方向の幅の最大値を幅W3とみなすことができる。
図3Aの例では、伝達部23のうち、放熱部22に近い部分の幅が載置部21に近い部分の幅よりも大きい。
図3Aの例では、伝達部23のうち放熱部22に近い部分の幅が幅W3である。これにより、熱を放熱部22に向けて段階的に広げることができるので、効率よく放熱することができる。
【0020】
(分離部24)
基台20は、分離部24をさらに有する。分離部24は、上下方向において、載置部21と放熱部22との間に位置する。分離部24は、載置部21、放熱部22、及び伝達部23と分離可能に設けられている。つまり、分離部24は、載置部21、伝達部23、及び放熱部22と一体ではない。
【0021】
この例では、分離部24は、第1分離部24aと、第2分離部24bと、を有する。第1分離部24aは、上下方向において、第2載置部分21bと第2放熱部分22bとの間に位置する。第2分離部24bは、上下方向において、第3載置部分21cと第3放熱部分22cとの間に位置する。伝達部23は、水平方向において、第1分離部24aと第2分離部24bとの間に位置する。
【0022】
第1分離部24aは、第2載置部分21b、第2放熱部分22b、及び伝達部23により囲まれ水平方向に向かって開口する凹部に設けられる。また、第2分離部24bは、第3載置部分21c、第3放熱部分22c、及び伝達部23により囲まれ水平方向に向かって開口する凹部に設けられる。
【0023】
基台20は、例えば、金属を含む。基台20は、例えば、金属からなり得る。これにより、発光素子10からの熱を容易に放熱することができる。載置部21、放熱部22、及び伝達部23は、例えば、それぞれ、金属からなる。また、分離部24を含む場合、分離部24(第1分離部24a及び第2分離部24b)は、例えば、金属からなり得る。基台20の材料となる金属としては、例えば、マグネシウム、アルミニウム、鉄、銅、モリブデン、タングステン、または鋼材などが挙げられる。基台20の材料となる金属としては、好ましくは、アルミニウム、銅が挙げられる。なお、基台20の材料は、合金であってもよい。合金は上述の金属を含んでもよく、例えば、アルミニウム合金、ステンレスであってよい。
【0024】
(第1温度調整部31、第2温度調整部32)
第1温度調整部31及び第2温度調整部32は、それぞれ、基台20の温度を調整する。第1温度調整部31及び第2温度調整部32は、加熱及び冷却の少なくともいずれかを行うことで、基台20の温度を調整する。第1温度調整部31及び第2温度調整部32は、例えば、加熱及び冷却の両方を行うものであることが好ましい。第1温度調整部31及び第2温度調整部32は、例えば、ペルチェ素子である。
【0025】
第1温度調整部31及び第2温度調整部32は、例えば、電熱線ヒーターやセラミックヒーターなどの加熱のみを行うものであってもよいし、ファンなどの冷却のみを行うものであってもよい。第1温度調整部31及び第2温度調整部32は、例えば、一方が加熱及び冷却の両方を行うものであり、他方が加熱または冷却のみを行うものであってもよい。
【0026】
第1温度調整部31は、第1面31aと、第2面31bと、を有する。第2面31bは、第1面31aとは反対側を向く面である。第1温度調整部31がペルチェ素子の場合、第1面31aは、放熱面及び吸熱面の一方であり、第2面31bは、放熱面及び吸熱面の他方である。つまり、第1温度調整部31がペルチェ素子の場合、第1面31aが放熱面のとき第2面31bは吸熱面であり、第1面31aが吸熱面のとき第2面31bは放熱面である。
【0027】
第2温度調整部32は、第3面32aと、第4面32bと、を有する。第4面32bは、第3面32aとは反対側を向く面である。第2温度調整部32がペルチェ素子の場合、第3面32aは、放熱面及び吸熱面の一方であり、第4面32bは、放熱面及び吸熱面の他方である。つまり、第2温度調整部32がペルチェ素子の場合、第3面32aが放熱面のとき第4面32bは吸熱面であり、第3面32aが吸熱面のとき第4面32bは放熱面である。
【0028】
この例では、第1温度調整部31は、第1面31a及び第2面31bが水平方向に並ぶように設けられている。つまり、この例では、第1温度調整部31は、第1面31a及び第2面31bが上下方向に沿うように設けられている。
【0029】
この例では、第1温度調整部31は、水平方向において、伝達部23と第1分離部24aとの間に設けられている。第1温度調整部31は、伝達部23及び第1分離部24aと接触している。より具体的には、第1面31aは、伝達部23の一方の側面と接触している。また、第2面31bは、第1分離部24aの伝達部23の側面と対向する側面と接触している。
【0030】
この例では、第2温度調整部32は、第3面32a及び第4面32bが水平方向に並ぶように設けられている。つまり、この例では、第2温度調整部32は、第3面32a及び第4面32bが上下方向に沿うように設けられている。
【0031】
この例では、第2温度調整部32は、水平方向において、伝達部23と第2分離部24bとの間に設けられている。第2温度調整部32は、伝達部23及び第2分離部24bと接触している。より具体的には、第3面32aは、伝達部23の他方の側面と接触している。他方の側面とは、第1面31aが接触している側面(すなわち、一方の側面)とは反対側の側面である。また、第4面32bは、第2分離部24bの伝達部23の側面と対向する側面と接触している。
【0032】
このように、第1温度調整部31及び第2温度調整部32は、それぞれ、載置部21、伝達部23、及び放熱部22のいずれかと接触する。第1温度調整部31及び第2温度調整部32は、基台20と接触した面を介して、基台20を加熱または冷却することで、基台20の温度を所定の温度に調整する。
【0033】
本明細書において、「接触」は、他の部材を介さない直接的な接触であってもよいし、他の部材を介した間接的な接触であってもよい。他の部材は、例えば、温度調整部(第1温度調整部31及び第2温度調整部32)と基台20との熱的な接触を可能とする材料からなる。他の部材は、例えば、いわゆる断熱材よりも高い熱伝導率を有する。他の部材は、例えば、接着剤や放熱シートなどである。つまり、第1温度調整部31及び第2温度調整部32は、基台20に直接的に接触していてもよいし、熱伝導率が高い接着剤や放熱シートなどを介して基台20に間接的に接触していてもよい。
【0034】
所定の温度は、例えば、計測時の目標温度である。所定の温度は、例えば、温度調整部を使用しない場合の発光素子の熱飽和の温度を基準として、-20℃以上+20℃以下であってよい。所定の温度は、例えば、温度調整部(第1温度調整部31及び第2温度調整部32)を使用しない場合の発光素子の熱飽和の温度よりも高い温度に設定されることが好ましい。例えば、所定の温度は、温度調整部を使用しない場合の発光素子の熱飽和の温度を基準として、+5℃以上+20℃以下、好ましくは+5℃以上+15℃以下であってよい。これにより、光源装置100の外部環境の温度による影響が小さくなり、温度調整が容易となる。なお、温度調整部を使用しない場合の発光素子の熱飽和の温度は、発光素子10による発熱と、放熱部22による放熱と、が釣り合うときの温度である。第1温度調整部31及び第2温度調整部32は、基台20を加熱することで、基台20の温度を所定の温度に調整することが好ましい。
【0035】
また、第1温度調整部31及び第2温度調整部32がペルチェ素子の場合、例えば、ペルチェコントローラーにより電流の向きを変更することで、放熱面と吸熱面とを切り替えることができる。これにより、発光素子10の温度が所定の温度に達していないときには、基台20と接触する第1面31aや第3面32aを放熱面とすることで基台20を加熱し、発光素子10の温度が所定の温度を超えたときには、基台20と接触する第1面31aや第3面32aを吸熱面とすることで基台20を冷却することができる。ペルチェコントローラーは、例えば、発光素子10が配置される基板と同じ基板(基板12)に設けられた白金抵抗温度センサーなどのサーミスタ18による温度測定結果に基づいて、第1温度調整部31及び第2温度調整部32を制御する。発光素子の熱飽和の温度は、サーミスタ18の熱飽和の温度を測れば、発光装置15内での熱抵抗を考慮することで算出できる。
【0036】
なお、この例では、第1温度調整部31及び第2温度調整部32は、伝達部23と接触する位置に設けられているが、第1温度調整部31及び第2温度調整部32の設けられる位置は、これに限定されない。
【0037】
第1実施形態に係る光源装置100において、第1温度調整部31及び第2温度調整部32の少なくともいずれかは、例えば、載置部21と接触する位置に設けられてもよい。第1温度調整部31は、例えば、上下方向において、第2載置部分21bと第1分離部24aとの間に設けられてもよい。この場合、第1面31aは第2載置部分21bの下面と接触し、第2面31bは第1分離部24aの上面と接触する。また、第2温度調整部32は、例えば、上下方向において、第3載置部分21cと第2分離部24bとの間に設けられてもよい。この場合、第3面32aは第3載置部分21cの下面と接触し、第4面32bは第2分離部24bの上面と接触する。
【0038】
第1実施形態に係る光源装置100において、第1温度調整部31及び第2温度調整部32の少なくともいずれかは、例えば、放熱部22と接触する位置に設けられてもよい。第1温度調整部31は、例えば、上下方向において、第2放熱部分22bと第1分離部24aとの間に設けられてもよい。この場合、第1面31aは第2放熱部分22bの上面と接触し、第2面31bは第1分離部24aの下面と接触する。また、第2温度調整部32は、例えば、上下方向において、第3放熱部分22cと第2分離部24bとの間に設けられてもよい。この場合、第3面32aは第3放熱部分22cの上面と接触し、第4面32bは第2分離部24bの下面と接触する。
【0039】
また、第1温度調整部31及び第2温度調整部32に加えて、他の温度調整部が設けられてもよい。他の温度調整部は、例えば、載置部21、伝達部23、及び放熱部22のいずれかと接触する位置に設けられる。他の温度調整部は、載置部21、伝達部23、及び放熱部22のうち、第1温度調整部31及び第2温度調整部32と同じ部分に接触するように設けられてもよいし、第1温度調整部31及び第2温度調整部32とは異なる部分に接触するように設けられてもよい。他の温度調整部は、第1温度調整部31および第2温度調整部32と同様に、ペルチェ素子、電熱線ヒーター、セラミックヒーター、またはファンのいずれかであってよい。他の温度調整部は、加熱及び冷却の両方を行うことが可能なペルチェ素子が好ましい。
【0040】
(カバー40)
カバー40は、発光素子10の上方を覆う。カバー40は中空である。カバー40は、例えば、乳白色の樹脂製である。カバー40は、例えば、光拡散材を含む。発光素子10から出射された光は、例えば、カバー40によって拡散され、光源装置100の外部に出射される。また、カバー40は複数あってもよい。カバー40は、例えば、発光素子を覆う円筒形で中空の内側カバーと、内側カバーを覆う球形で中空の外側カバーと、を含んでもよい。これにより、発光素子10から出射される光が内側カバーと外側カバーで効率よく拡散されて、広配光の光を発する光源装置を得ることができる。例えば、配光角が180°以上、好ましくは240°以上、さらに好ましくは、300°以上の光源装置を得ることができる。なお、配光角は、例えば、350°以下、340°以下、または330°以下であってよい。
【0041】
(作用効果)
以下、第1実施形態に係る光源装置100の作用効果について、説明する。
近年、白熱電球の生産停止の影響を受けて、計測用の標準電球も一部生産停止となっており、光の計測業界に影響が出ている。そこで、LEDなどの発光素子を光源として用いた計測用の標準電球が求められている。
【0042】
通常、標準電球を用いた測定では、測定の安定性や再現性を確保するために、標準電球の温度を所定の温度に維持した状態で、測定が行われる。そのため、標準電球として使用される光源装置においては、発光素子の温度を所定の温度に安定して維持できるとともに、発光素子の温度を短時間で所定の温度に調整できることが求められる。
【0043】
一般的なLED電球などの光源装置では、発光素子が点灯することで生じる熱を、基台の載置部から放熱部に伝達し、放熱部において放熱する。標準電球として使用される光源装置においては、これに加えて、発光素子の温度を所定の温度に安定して維持するために、基台の温度を調整するための温度調整部を設けることが考えられる。
【0044】
しかし、温度調整部を設ける場所によっては、温度調整部が基台の載置部から放熱部までの熱の流れ(熱経路)の一部をなし、温度調整部によって基台の熱経路が阻害される場合がある。基台の熱経路が阻害されると、発光素子の温度を所定の温度に安定して維持するのが難しくなったり、発光素子の温度を所定の温度に調整するのにかかる時間が長くなったりするおそれがある。
【0045】
これに対し、第1実施形態に係る光源装置100では、載置部21、伝達部23、及び放熱部22が一体である基台20を用いることで、各部分の接触熱抵抗が生じることが抑制されている。これにより、温度調整部を使用しない場合の発光素子10の熱飽和の温度を低減することができる。また、載置部21、伝達部23、及び放熱部22のいずれかと接触するように、温度調整部(第1温度調整部31及び第2温度調整部32)を設けている。このように、基台20の載置部21から放熱部22までの熱の流れ(熱経路)に沿うように温度調整部(第1温度調整部31及び第2温度調整部32)を設けることで、基台20の熱経路が温度調整部(第1温度調整部31及び第2温度調整部32)により阻害されることを抑制しつつ、温度調整部(第1温度調整部31及び第2温度調整部32)により基台20の温度を調整できる。これにより、特に、熱飽和の温度よりも高い温度で発光素子10の温度を調整し、より安定に維持することができる。また、2つの温度調整部(第1温度調整部31及び第2温度調整部32)を設けることで、温度調整部が1つの場合に比べて供給が可能な熱量が増す。よって、発光素子10の温度を所定の温度により安定して維持できるとともに、発光素子10の温度をより短時間で所定の温度に調整できる。したがって、第1実施形態に係る光源装置100は、例えば、全方向型の標準電球に好適に用いることができる。
【0046】
また、基台20が金属を含む場合でも、第1温度調整部31及び第2温度調整部32により、より効率よく基台20の温度を調整することができる。基台20には、発光素子10からの熱を逃がすために、比較的高い熱伝導率の材料が求められる。一方で、基台20の熱伝導率を高め、放熱性が向上すると、基台20が温まりにくくなる。第1実施形態に係る光源装置100では、第1温度調整部31及び第2温度調整部32を使用することで、基台20に供給可能な熱量を増加させることができ、基台20を温める速度が増す。これにより、基台20と接合されている発光素子10の温度を所定の温度に安定して維持できるとともに、発光素子10の温度をより短時間で所定の温度に調整できる。
【0047】
また、第1温度調整部31及び第2温度調整部32がペルチェ素子であれば、加熱及び冷却の両方の温度調整を行うことができる。これにより、発光素子10の温度を所定の温度により安定して維持できるとともに、発光素子10の温度をより短時間で所定の温度に調整できる。特に、所定の温度が、温度調整部(第1温度調整部31及び第2温度調整部32)を使用しない場合の発光素子の熱飽和の温度よりも高い温度に設定される場合、第1温度調整部31及び第2温度調整部32はペルチェ素子であることが好ましい。ペルチェ素子は、所定の温度が熱飽和の温度よりも高いとき、温度調整が容易となる。所定の温度が比較的高い温度に設定されることで、発光素子10を含む光源装置100の外部環境の温度による影響が小さくなるためである。
【0048】
また、基台20が分離部24を有することで、第1温度調整部31や第2温度調整部32がペルチェ素子の場合に、第1温度調整部31や第2温度調整部32の駆動発熱を分離部24によって放熱することができる。つまり、分離部24は、第1温度調整部31や第2温度調整部32のためのヒートシンクとして機能する。分離部24により、第1温度調整部31および第2温度調整部32を効率よく冷却することができるので、発光素子10の温度を所定の温度により安定して維持できるとともに、発光素子10の温度をより短時間で所定の温度に調整できる。
【0049】
また、伝達部23が第1分離部24aと第2分離部24bとの間に位置する構造とし、第1温度調整部31の第1面31aや第2温度調整部32の第3面32aが載置部21、伝達部23、放熱部22のいずれかと接触し、第1温度調整部31の第2面31bが第1分離部24aと接触し、第2温度調整部32の第4面32bが第2分離部24bと接触することで、2つの温度調整部で基台20の温度調整を効率よく行うことができる。また、温度調整部ごとに異なる分離部24が接触するので、第1温度調整部31と第2温度調整部32とを個別に冷却し、安定的に駆動させることができる。
【0050】
また、
図3Aに示すような断面視において、発光素子10と伝達部23が同一直線上にあることで、発光素子10から放熱部22までの熱経路を短くすることができる。これにより、発光素子10で生じる熱を効率よく放熱部22へ伝達することができる。また、第1温度調整部31及び第2温度調整部32からの熱を効率よく載置部21へ伝達することができる。
【0051】
また、分離部24は、載置部21、放熱部22、及び伝達部23と直接的に接触しない。これにより、主な熱の流れ(熱経路)が載置部21、伝達部23、及び放熱部22がなす経路となり、第1温度調整部31及び第2温度調整部32での温度調整が容易となる。
【0052】
また、放熱部22がフィン構造を有することで、より効率的に放熱できる。
【0053】
(変形例1)
図3Bは、第1実施形態の変形例に係る光源装置を示す断面図である。
図3Bに示すように、第1実施形態の変形例に係る光源装置100Bは、第1分離部24a及び第2分離部24bがフィン構造を有する点で、
図3Aに示した第1実施形態に係る光源装置100と相違する。光源装置100Bの他の点は、光源装置100と同一である。
【0054】
第1分離部24aと第2分離部24bがフィン構造を有することで、放熱性が向上する。光源装置100Bにおいて、第1温度調整部31と第2温度調整部32がともにペルチェ素子であってよい。ペルチェ素子により調整される発光素子10の温度が、温度調整部を設けない場合の発光素子10の熱飽和の温度を基準として、+5以上+20℃以下、好ましくは+5℃以上+15℃以下であるとき、第1分離部24aは第1温度調整部31のためのヒートシンクとして好適に機能する。また、第2分離部24bは第2温度調整部32のためのヒートシンクとして好適に機能する。
【0055】
以上、第1実施形態に関して、標準LEDを例に挙げ説明してきたが、第1実施形態はこれに限られない。発光素子を所定の温度に安定して維持することが必要な用途において好適な光源として利用することができる。また、発光素子に代えて、発光素子を含む発光装置を所定の温度に安定して維持してもよい。
【0056】
<第2実施形態>
図4は、第2実施形態に係る光源装置を示す斜視図である。
図5は、第2実施形態に係る光源装置を示す斜視断面図である。
図6は、第2実施形態に係る光源装置を示す断面図である。
図4~
図6に示すように、第2実施形態に係る光源装置100Aは、発光素子10と、基台20と、第1温度調整部31と、第2温度調整部32と、カバー40と、を備えている。
図5及び
図6では、カバー40を取り外した状態を示している。
【0057】
第2実施形態に係る光源装置100Aは、基台20の構造と、第1温度調整部31及び第2温度調整部32の設けられる位置と、が異なる以外は、第1実施形態に係る光源装置100と実質的に同じである。第2実施形態に係る光源装置100Aにおいても、基台20の載置部21、伝達部23、及び放熱部22は、一体である。以下、
図6を用いて説明する。
【0058】
(伝達部23)
この例では、伝達部23は、上下方向において、第3載置部分21cと第3放熱部分22cとの間に位置する。伝達部23は、上下方向において、第1載置部分21aと第1放熱部分22aとの間には位置しない。また、伝達部23は、上下方向において、第2載置部分21bと第2放熱部分22bとの間には位置しない。
【0059】
図6は、載置部21と、伝達部23と、放熱部22と、第1温度調整部31と、第2温度調整部32とを含む断面図である。
図6に示すような断面において、伝達部23の水平方向の幅W3は、放熱部22の水平方向の幅W2よりも小さい。また、伝達部23の水平方向の幅W3は、載置部21の水平方向の幅W1よりも小さい。幅W3は、例えば、幅W1に対して10%以上50%以下、好ましくは、15%以上40%以下であってよい。これにより、放熱部22への熱伝導、または、載置部21への熱伝導を制御することができる。
【0060】
(分離部24)
この例では、分離部24は、1つである。この例では、分離部24は、上下方向において、第1載置部分21aと第1放熱部分22aとの間、及び第2載置部分21bと第2放熱部分22bとの間に位置する。伝達部23は、水平方向において、分離部24と並んでいる。この例では、分離部24は、第1載置部分21a、第2載置部分21b、第1放熱部分22a、第2放熱部分22b、及び伝達部23により囲まれ水平方向に向かって開口する凹部に設けられる。この例では、分離部24の下面は凹部の底面側から開口側に向かって傾斜している。すなわち、分離部24の下面と第2放熱部分22bの上面との間の距離は、分離部24の下面と第1放熱部分22aの上面との間の距離よりも大きい。この例では、分離部24の下面と、第1放熱部分22a及び第2放熱部分22bの上面との間の距離は、凹部の底面側から開口側に向かって連続的に大きくなる。これにより、分離部24の下面側から治具を挿入して、分離部24を第1温度調整部31および第2温度調整部32が配置されている2方向に同時に力をかけて、同時に固定することができる。
【0061】
(第1温度調整部31、第2温度調整部32)
この例では、第1温度調整部31は、第1面31a及び第2面31bが上下方向に並ぶように設けられている。つまり、この例では、第1温度調整部31は、第1面31a及び第2面31bが水平方向に沿うように設けられている。
【0062】
この例では、第1温度調整部31は、上下方向において、第1載置部分21aと分離部24との間、及び第2載置部分21bと分離部24との間に設けられている。第1温度調整部31は、第1載置部分21a、第2載置部分21b、及び分離部24と接触している。より具体的には、第1面31aは、第1載置部分21aの下面及び第2載置部分21bの下面と接触している。また、第2面31bは、分離部24の上面と接触している。
【0063】
この例では、第2温度調整部32は、第3面32a及び第4面32bが水平方向に並ぶように設けられている。つまり、この例では、第2温度調整部32は、第3面32a及び第4面32bが上下方向に沿うように設けられている。
【0064】
この例では、第2温度調整部32は、水平方向において、伝達部23と分離部24との間に設けられている。第2温度調整部32は、伝達部23及び分離部24と接触している。より具体的には、第3面32aは、伝達部23の一方の側面と接触している。また、第4面32bは、分離部24の伝達部23の側面と対向する側面と接触している。また、第2温度調整部32は、伝達部23の一部によって形成される第1凹部26aと、分離部24の一部によって形成され、第1凹部26aと対向する第2凹部26bとの間に設けられている。第3面32aは、第1凹部26aの底面をなす伝達部23の側面と接触する。また、第4面32bは、第2凹部26bの底面をなす分離部24の底面と接触する。
【0065】
第2実施形態に係る光源装置100Aにおいても、第1温度調整部31及び第2温度調整部32は、それぞれ、載置部21、伝達部23、及び放熱部22のいずれかと接触する。第1温度調整部31及び第2温度調整部32は、基台20と接触した面を介して、基台20を加熱または冷却することで、基台20の温度を調整する。
【0066】
なお、この例では、第1温度調整部31が載置部21と接触する位置に設けられており、第2温度調整部32が伝達部23と接触する位置に設けられているが、第1温度調整部31及び第2温度調整部32の設けられる位置は、これに限定されない。第1温度調整部31の設けられる位置は、第2温度調整部32の設けられる位置と逆でもよい。
【0067】
第2実施形態に係る光源装置100Aにおいて、第1温度調整部31及び第2温度調整部32の少なくともいずれかは、例えば、放熱部22と接触する位置に設けられてもよい。第1温度調整部31は、例えば、上下方向において、第1放熱部分22aと分離部24との間に設けられてもよい。この場合、第1面31aは第1放熱部分22aの上面と接触し、第2面31bは分離部24の下面と接触する。また、第1温度調整部31は、例えば、上下方向において、第2放熱部分22bと分離部24との間に設けられてもよい。この場合、第1面31aは第2放熱部分22bの上面と接触し、第2面31bは分離部24の下面と接触する。また、第2温度調整部32は、例えば、上下方向において、第1放熱部分22aと分離部24との間に設けられてもよい。この場合、第3面32aは第1放熱部分22aの上面と接触し、第4面32bは分離部24の下面と接触する。また、第2温度調整部32は、例えば、上下方向において、第2放熱部分22bと分離部24との間に設けられてもよい。この場合、第3面32aは第2放熱部分22bの上面と接触し、第4面32bは分離部24の下面と接触する。
【0068】
また、第2実施形態に係る光源装置100Aにおいても、第1温度調整部31及び第2温度調整部32に加えて、他の温度調整部が設けられてもよい。他の温度調整部は、例えば、載置部21、伝達部23、及び放熱部22のいずれかと接触する位置に設けられる。他の温度調整部は、載置部21、伝達部23、及び放熱部22のうち、第1温度調整部31及び第2温度調整部32と同じ部分に接触するように設けられてもよいし、第1温度調整部31及び第2温度調整部32とは異なる部分に接触するように設けられてもよい。
【0069】
(作用効果)
第2実施形態に係る光源装置100Aにおいても、載置部21、伝達部23、及び放熱部22を一体にするとともに、載置部21、伝達部23、及び放熱部22のいずれかと接触するように、温度調整部(第1温度調整部31及び第2温度調整部32)を設けている。このように、基台20の載置部21から放熱部22までの熱の流れ(熱経路)に沿うように温度調整部(第1温度調整部31及び第2温度調整部32)を設けることで、基台20の熱経路が温度調整部(第1温度調整部31及び第2温度調整部32)により阻害されることを抑制しつつ、温度調整部(第1温度調整部31及び第2温度調整部32)により基台20の温度を調整できる。これにより、特に、熱飽和の温度よりも高い温度で発光素子10の温度を調整し、より安定に維持することができる。また、2つの温度調整部(第1温度調整部31及び第2温度調整部32)を設けることで、温度調整部が1つの場合に比べて、発光素子10の温度を所定の温度により安定して維持できるとともに、発光素子10の温度をより短時間で所定の温度に調整できる。したがって、第2実施形態に係る光源装置100Aは、例えば、全方向型の標準電球に好適に用いることができる。
【0070】
<計算例>
以下、計算例1について、説明する。
計算例1は、第2実施形態に係る光源装置100Aにおける温度上昇速度の熱シミュレーション結果を示している。つまり、計算例1は、2つの温度調整部(第1温度調整部31及び第2温度調整部32)を設けた場合の温度上昇速度の熱シミュレーション結果を示している。
【0071】
計算例1では、設定した第2実施形態の構造に対して、所定の温度である90℃まで光源装置を加熱する際の光源装置の温度の変化を予想する熱シミュレーションを行った。なお、ここでは、熱飽和の温度が約80℃に設定された。計算例1では、温度調整部としてペルチェ素子を仮定した。基台20の熱伝導率は220W/(m・K)に設定した。これは、アルミニウム合金(合金番号6063、JIS H4100:2015)の熱伝導率に相当する。
【0072】
計算例1において、光源装置内の発光素子の温度変化に着目した。2つの温度調整部を設けた計算例1では、加熱開始から5分以内に発光素子の温度が目標温度である90℃に達し、その後、発光素子の温度が90℃に安定して維持されることが熱シミュレーションから示唆された。
【0073】
計算例1では、第2実施形態の構造を仮定しているので、基台20の載置部21、伝達部23、及び放熱部22が一体である。また、基台20の熱伝導率が比較的高めに設定されている。したがって、設定した光源装置100を熱飽和の温度(約80℃)に対して所定の温度(90℃、すなわち、80℃を基準として+10℃)に素早く到達させることは、光源装置100の放熱性が高いため難しいことが予想される。しかしながら、光源装置100が、第1温度調整部31と、第2温度調整部32を有することで、基台20へ供給可能な熱量が増加し、発光素子10を素早く所定の温度まで昇温させることができることが示唆された。
【0074】
実施形態は、以下の構成を含んでもよい。
【0075】
(構成1)
発光素子と、
前記発光素子が載置される載置部と、前記載置部から離れた位置に設けられ前記載置部からの熱を放出する放熱部と、前記載置部と前記放熱部とを接続し前記載置部からの熱を前記放熱部に伝達する伝達部と、を有する基台と、
前記基台の温度を調整する第1温度調整部と、
前記基台の温度を調整する第2温度調整部と、
を備え、
前記載置部、前記伝達部、及び前記放熱部は、一体であり、
前記伝達部の水平方向の幅は、前記載置部と、前記伝達部と、前記放熱部と、前記第1温度調整部と、前記第2温度調整部とを含む断面において、前記放熱部の水平方向の幅より小さく、
前記第1温度調整部及び前記第2温度調整部は、それぞれ、前記載置部、前記伝達部、及び前記放熱部のいずれかと接触する、光源装置。
【0076】
(構成2)
前記基台は、金属を含む、構成1記載の光源装置。
【0077】
(構成3)
前記第1温度調整部は、ペルチェ素子である、構成1または2に記載の光源装置。
【0078】
(構成4)
前記基台は、前記載置部と前記放熱部との間に位置し、前記載置部、前記放熱部、及び前記伝達部と分離可能な分離部をさらに有し、
前記第1温度調整部は、第1面と、前記第1面とは反対側を向く第2面と、を有し、
前記第1面は、前記載置部、前記伝達部、及び前記放熱部のいずれかと接触し、
前記第2面は、前記分離部と接触する、構成1~3のいずれか1つに記載の光源装置。
【0079】
(構成5)
前記第2温度調整部は、ペルチェ素子であり、
前記第2温度調整部は、第3面と、前記第3面とは反対側を向く第4面と、を有し、
前記第3面は、前記載置部、前記伝達部、及び前記放熱部のいずれかと接触し、
前記第4面は、前記分離部と接触する、構成4の記載の光源装置。
【0080】
(構成6)
前記分離部は、第1分離部及び第2分離部を有し、
前記伝達部は、前記第1分離部と前記第2分離部との間に位置し、
前記第2面は、前記第1分離部と接触し、
前記第4面は、前記第2分離部と接触する、構成4または5記載の光源装置。
【0081】
(構成7)
前記第1温度調整部は、前記載置部と接触し、
前記第2温度調整部は、前記伝達部と接触する、構成1~5のいずれか1つに記載の光源装置。
【0082】
(構成8)
前記第1面は、前記載置部と接触し、
前記第3面は、前記伝達部と接触する、構成5記載の光源装置。
【0083】
(構成9)
前記第1温度調整部及び前記第2温度調整部は、それぞれ、前記伝達部と接触する、構成1~6のいずれか1つに記載の光源装置。
【0084】
(構成10)
前記第1面及び前記第3面は、それぞれ、前記伝達部と接触する、構成6記載の光源装置。
【0085】
(構成11)
前記放熱部は、フィン構造を有する、構成1~10のいずれか1つに記載の光源装置。
【0086】
以上のように、実施形態によれば、所定の温度に安定して維持できるとともに、短時間で所定の温度に調整できる光源装置が提供される。
【0087】
前述の各実施形態は、本発明を具現化した例であり、本発明はこれらの実施形態には限定されない。例えば、前述の各実施形態において、いくつかの構成要素又は工程を追加、削除又は変更したものも本発明に含まれる。また、前述の各実施形態は、相互に組み合わせて実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0088】
本発明は、発光素子を所定の温度に安定して維持する光源として好適に用いることができる。本発明は、例えば、全方向型の標準電球などの標準光源に利用することができる。
【符号の説明】
【0089】
10:発光素子
12:基板
15:発光装置
18:サーミスタ
20:基台
21:載置部
21a:第1載置部分
21b:第2載置部分
21c:第3載置部分
22:放熱部
22a:第1放熱部分
22b:第2放熱部分
22c:第3放熱部分
23:伝達部
24:分離部
24a:第1分離部
24b:第2分離部
26a:第1凹部
26b:第2凹部
31:第1温度調整部
31a:第1面
31b:第2面
32:第2温度調整部
32a:第3面
32b:第4面
40:カバー
100、100A、100B:光源装置