(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024005168
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】吐出ヘッド、ヘッドモジュール、吐出装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/01 20060101AFI20240110BHJP
B41J 2/16 20060101ALI20240110BHJP
B41J 2/14 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
B41J2/01 301
B41J2/16 503
B41J2/14 501
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022105237
(22)【出願日】2022-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】230100631
【弁護士】
【氏名又は名称】稲元 富保
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 剛史
【テーマコード(参考)】
2C056
2C057
【Fターム(参考)】
2C056FA04
2C056FA13
2C056FA14
2C056HA06
2C056HA42
2C056HA46
2C057AF68
2C057AG14
2C057AG44
2C057AN05
2C057AN06
2C057AP12
2C057AP25
2C057BA14
(57)【要約】
【課題】ノズル板の端部を保護できる吐出ヘッド、ヘッドモジュール及び吐出装置を提供する。
【解決手段】被吐出物を吐出する複数のノズル111を有するノズル板110と、ノズルに111通じる流路が形成された流路部材120と、ノズル板110の第1方向の両側に配置される保護部材180とを備え、保護部材180はノズル板110と樹脂からなる封止材181で接合されており、封止材181は、ノズル板110の第1方向と交差する第2方向に沿う外縁部を覆うように設けられている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被吐出物を吐出するノズルを有するノズル板と、
前記ノズルに通じる流路が形成された流路部材と、
前記ノズル板の第1方向の両側に配置される保護部材と、を備え、
前記保護部材は、前記ノズル板と樹脂で接合されており、
前記保護部材又は前記樹脂は、少なくとも、前記ノズル板の前記第1方向と交差する第2方向に沿う外縁部を覆うように設けられている
ことを特徴とする吐出ヘッド。
【請求項2】
前記保護部材又は前記樹脂の前記ノズル板側の端部は、平面視において、前記ノズル板の外縁と前記ノズルが配置された領域との間に位置する
ことを特徴とする請求項1に記載の吐出ヘッド。
【請求項3】
前記ノズル板の吐出面の内、前記保護部材又は前記樹脂に覆われている外縁部には撥液処理が施されていない
ことを特徴とする請求項1に記載の吐出ヘッド。
【請求項4】
前記ノズル板の吐出面は、前記保護部材の表面より凹んでいる
ことを特徴とする請求項1に記載の吐出ヘッド。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載の複数の吐出ヘッドを備え、
前記複数の吐出ヘッドは、前記第2方向に並べて配置されている
ことを特徴とするヘッドモジュール。
【請求項6】
請求項1ないし4のいずれかに記載の吐出ヘッドを備えている
ことを特徴とする吐出装置。
【請求項7】
請求項5に記載のヘッドモジュールを備えている
ことを特徴とする吐出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は吐出ヘッド、ヘッドモジュール、吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液体を吐出する吐出ヘッド、あるいは、吐出ヘッドを複数並べたヘッドモジュールとして、ノズルが形成されたノズル面の周縁部を覆うカバー部材を設けるものがある。
【0003】
従来、複数のインク吐出エネルギー発生素子が形成された基板上に、被覆樹脂層のコーティング、露光、現像処理により、複数のインク吐出エネルギー発生素子に対応してインク流路及びインク吐出口が形成されたインクジェット記録ヘッドにおいて、被覆樹脂層の内部に、インク吐出口より大きな口径の孔を有するプレートを積層状に挿入することにより、オリフィスプレート厚を、インク流路の高さに比し、大としたものが知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ノズル板が露出した状態で、ノズル板の外側に保護部材を配置した構成にあっては、ノズル板の外縁部が保護されていない。そのため、保護部材の接着時等にノズル板に欠けなどが発生するおそれがあるという課題がある。
【0006】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、ノズル板の端部を保護することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明に係る吐出ヘッドは、
被吐出物を吐出するノズルを有するノズル板と、
前記ノズルに通じる流路が形成された流路部材と、
前記ノズル板の第1方向の両側に配置される保護部材と、を備え、
前記保護部材は、前記ノズル板と樹脂で接合されており、
前記保護部材又は前記樹脂は、少なくとも、前記ノズル板の前記第1方向と交差する第2方向に沿う外縁部を覆うように設けられている
構成とした。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ノズル板の端部を保護できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る吐出ヘッドの
図2のA-A線に沿う断面説明図である。
【
図2】同吐出ヘッドのノズル面側の平面説明図である。
【
図3】同吐出ヘッドのポート側の平面説明図である。
【
図4】本発明の第2実施形態に係る吐出ヘッドの
図1と同様な断面説明図である。
【
図5】本発明の第3実施形態に係るヘッドモジュールのノズル面側の平面説明図である。
【
図6】同ヘッドモジュールのポート側の平面説明図である。
【
図7】本発明に係る吐出装置の一例の概略説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。本発明の第1実施形態について
図1ないし
図3を参照して説明する。
図1は同実施形態に係る吐出ヘッドの
図2のA-A線に沿う断面説明図、
図2は同吐出ヘッドのノズル面側の平面説明図、
図3は同吐出ヘッドのポート側の平面説明図である。
【0011】
吐出ヘッド100は、被吐出物である液体、例えばインクを吐出する複数のノズル111を二次元マトリクス状に配置したノズル板110と、ノズル111に通じる内部流路を形成した流路部材120と、ノズル板110及び流路部材120を保持するハウジング(フレーム部材)170とを備えている。ハウジング170にはインクポート171、172と電気コネクタ191が設けられている。
【0012】
ノズル板110の第1方向である短手方向の両側には、保護部材180が配置されている。保護部材180はハウジング170に接着接合されている。このとき、ノズル板110の吐出面であるノズル面110aは、保護部材180の表面より凹んでいる。
【0013】
そして、ノズル板110の第1方向と交差する第2方向である長手方向に沿う外側面とハウジング170の保護部材180を接合した面と保護部材180との間の空間には、樹脂からなる封止材181が充填されている。これにより、保護部材180は、樹脂である封止材181によりノズル板110と接合されている。
【0014】
ここで、樹脂である封止材181は、ノズル板110の吐出面であるノズル面110aの内、ノズル面110aの第2方向に沿う外縁部を覆うように設けられている。言い換えれば、樹脂である封止材181のノズル板110側の端部は、平面視において、ノズル板110の外縁とノズル111が配置された領域との間に位置する。
【0015】
このとき、ノズル板110の吐出面であるノズル面110aに形成された撥液膜113は、封止材181で覆われる外縁部の領域110bには設けられていない。つまり、封止材181で覆われる外縁部の領域110bには撥液処理が施されていない。これにより、封止材181とノズル板110のノズル面110aとの密着性を向上できる。
【0016】
このように、保護部材はノズル板と樹脂(封止材)で接合されており、樹脂はノズル板の第1方向と交差する第2方向に沿う周縁部を覆うように設けられている構成とすることで、ノズル板の端部が保護され、外力に耐えることができるようになる。
【0017】
ここで、吐出ヘッド100の製造工程の一例について説明する。
【0018】
ノズル板110には、ステンレス、ニッケルなどの金属、ポリイミドなどの樹脂を用いることもできるが、ここでは、ノズル111となる穴(ノズル穴)を高精度に加工するためにシリコンを使用した。厚さ600μmのシリコンウェハに、インクを吐出するためのノズル穴をフォトリソプロセス及びドライエッチング加工により形成する。ノズル穴はφ0.02mmとした。
【0019】
その後、ウエハを研磨加工することで厚みを100μmまで薄くし、ウエハからダイシング加工する。
【0020】
ここで、加工後、ノズル板110のノズル面110aのみに撥液膜113としての撥水膜を形成する。その後、ノズル111のエリアとノズル板110の短手方向の端部との間から端部までの領域、すなわち、第2方向(長手方向)に沿う周縁部の撥水膜を除去する。除去方法としては、撥水膜を除去しないエリアをテープで保護し、プラズマ処理によって除去する。
【0021】
流路部材120は、ノズル板110のノズル111にインクを供給する流路を有する。厚さ600μのシリコンウェハ上にSiO2膜を厚さ0.6μm、Si膜を厚さ1.5μm、SiO2膜を厚さ0.4μmで積層することにより、3層構成の振動板を形成した後に、下部電極として、Ti膜を厚さ20nm、Pt膜を厚さ200nmでスパッタリング法により成膜した。
【0022】
そして、下部電極上に、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)を有機金属溶液に用いたゾルゲル法で厚さ2μmを成膜した後、700℃で焼成し、PZTの圧電体膜を形成した。
【0023】
その後、圧電体膜上にPt膜を厚さ200nmでスパッタリング法により成膜して上部電極とした。
【0024】
上部電極形成後に、上部電極、圧電体、下部電極をドライエッチング法でパターニングすることで、圧力室に対応した圧電素子を形成した。
【0025】
また、圧力室間の隔壁上の部分は隔壁上で振動板の可動部にかからないようにした。こうすることで、圧力室に対応した振動板の変形を阻害することがない。
【0026】
次に、プラズマCVD法により、層間絶縁膜を成膜し、上部電極上及び下部電極上の層間絶縁膜にコンタクトホールを形成した後、Ti膜を厚さ50nm、Al膜を厚さ2μmで順次積層し、ドライエッチングによって配線層を形成した。
【0027】
そして、インク供給口部分の振動板をドライエッチングし、圧力室基板の元になるウエハが完成する。
【0028】
次に、保持基板凹部及び供給口となる保持基板開口部を有する保持基板を、シリコンウェハを用いて形成した。まず、ウエハを厚さ400μmに研磨し、液室基板側に酸化膜などを形成する。その後、その酸化膜を保持基板凹部及び供給口が開口するようにフォトリソパターニングする。
【0029】
そして、さらにその上にレジストを形成し、保持基板開口部だけが開口するようにレジストをフォトリソパターニングする。そして、ICPエッチングで液室基板側から開口部を貫通形成する。その後、液室基板側のレジストのみを除去し、はじめにパターニングした酸化膜パターンをマスクとして、基板側をICPエッチングでハーフエッチングする。最後に酸化膜を除去すると、液室基板側の凹部と貫通開口部を形成することができる。
【0030】
作成した保持基板ウエハの接合面にエポキシ系接着剤をフレキソ印刷機により膜厚2μで塗布し接合し、接着剤を硬化することで保持基板を接合した。その後、600μmの液室基板を80μmまで研磨した後に、圧力室、流体抵抗部をICPドライエッチング法で形成し、ウエハからダイシングによりチップ化し、流路部材120が完成する。
【0031】
ハウジング170は、エポキシやPPSなどの樹脂、ステンレスなどの金属から構成することができるが、ここではエポキシ樹脂を使用した。
図3に示すように、背面側(ノズル111と反対側)には、インクポート171、172が設けられ、1色又は2色のインクを供給できるようにした。内部には、インクポート171、172から供給されるインクを流路部材120の内部流路に送るための流路が形成されている。
【0032】
流路部材120の圧電体に電気信号を送信するためのプリント基板がハウジング170内に配置され、外部から電気信号を送るための電気コネクタ191が配置されている。
【0033】
保護部材180は、ノズル板110よりもノズル面110a側に凸になっており、印刷メディアやワイパー(払拭部材)からノズル板110を保護する。保護部材180は、エポキシ樹脂、PPSなどの樹脂、ステンレスなどの金属から構成することができるが、ここではエポキシ樹脂を使用した。
【0034】
吐出ヘッドは、ノズル板110、液室基板と保持基板からなる流路部材120、ハウジング170が積層されており、ハウジング170には保護部材180も積層される。
【0035】
作製したノズル板110を、エポキシ系接着剤をフレキソ印刷機により膜厚2μmで塗布し接合、接着剤を硬化することで流路部材120と接合した。そして、液室基板の個別配線パッド部にACF接合やワイヤーボンディングにて、プリント基板を接合する。
【0036】
次に、流路部材120とハウジング170、ハウジング170と保護部材180を接着接合する。
【0037】
最後に、ノズル板110、ハウジング170、保護部材180との間の空間に封止材181を充填する。さらに、ノズル板110上の撥水膜が除去されたエリアにも封止材181をオーバーラップさせることで、ノズル板110の第1方向の端部(外縁部)が保護され、外力に耐えることができる。
【0038】
次に、本発明の第2実施形態について
図4を参照して説明する。
図4は同実施形態に係る吐出ヘッドの
図1と同様な断面説明図である。
【0039】
保護部材180にはハウジング170側に段差部が形成されてノズル板110のノズル面110aの第2方向に沿う外縁部に対向する部分(庇部)180aが設けられている。なお、本実施形態において、保護部材180は、ステンレス製とし、厚さ0.15の圧延材を用い、フォトリソプロセスとウェットエッチングにより貫通開口部及び深さ0.1の段差部を加工した
【0040】
そして、保護部材180の庇部180aとノズル板110のノズル面110a及びハウジング170のノズル面側表面との間には、樹脂である接着剤182が充填されて、保護部材180の庇部180aとノズル板110のノズル面110aとが接着接合されている。
【0041】
保護部材180の庇部180aは、ノズル板110のノズル面110aの第2方向に沿う外縁部を覆い、かつ、ノズル111と重ならない領域で、ノズル面110aに対向する。言い換えれば、保護部材180のノズル板110側の端部は、平面視において、ノズル板110の外縁とノズル111が配置された領域との間に位置する。
【0042】
本実施形態でも、ノズル板110のノズル面110aのうち、保護部材180と接着剤182で接合する領域110bには、撥液膜113を設けていない。
【0043】
このように構成することにより、保護部材180によってノズル板110の端部が保護され、外力に耐えることができる。
【0044】
次に、本発明の第3実施形態について
図5及び
図6を参照して説明する。
図5は同実施形態に係るヘッドモジュールのノズル面側の平面説明図、
図6は同ヘッドモジュールのポート側の平面説明図である。
【0045】
ヘッドモジュール400は、複数の吐出ヘッド100を第2方向に並べて配置して構成している。
【0046】
なお、本実施形態では、複数の吐出ヘッド100毎に保護部材180を設けているが、複数の吐出ヘッド1に共通の1又は2以上の保護部材180を設ける構成とすることもできる。
【0047】
次に、本発明に係る吐出装置の一例について
図7を参照して説明する。
図7は同装置の概略説明図である。
【0048】
印刷装置1は、液体を吐出する装置であり、シート材Pを搬入する搬入部10と、前処理部20と、印刷部30と、乾燥部40と、搬出部50とを備えている。
【0049】
印刷装置1は、搬入部10から搬入(供給)されるシート材Pに対し、前処理手段である前処理部20で必要に応じて前処理液を付与(塗布)し、印刷部30で液体を付与して所要の印刷を行い、乾燥部40でシート材Pに付着した液体を乾燥させた後、シート材Pを搬出部50に排出する。
【0050】
搬入部10は、複数のシート材Pを収容する搬入トレイ11(下段搬入トレイ11A、上段搬入トレイ11B)と、搬入トレイ11からシート材Pを1枚ずつ分離して送り出す給送装置12(12A、12B)とを備え、シート材Pを前処理部20に供給する。
【0051】
前処理部20は、例えばインクを凝集させ、裏写りを防止する作用効果を有する処理液をシート材Pの印刷面に付与する処理液付与手段である塗布部21などを備えている。
【0052】
印刷部30は、シート材Pを周面に担持して回転する担持部材(回転部材)であるドラム31と、ドラム31に担持されたシート材Pに向けて液体を吐出する液体吐出部32を備えている。
【0053】
また、印刷部30は、前処理部20から送り込まれたシート材Pを受け取ってドラム31との間でシート材Pを渡す渡し胴34と、ドラム31によって搬送されたシート材Pを受け取って乾燥部40に渡す受け渡し胴35を備えている。
【0054】
前処理部20から印刷部30へ搬送されてきたシート材Pは、渡し胴34に設けられた把持手段(シートグリッパ)によって先端が把持され、渡し胴34の回転に伴って搬送される。渡し胴34により搬送されたシート材Pは、ドラム31との対向位置でドラム31へ受け渡される。
【0055】
ドラム31の表面にも把持手段(シートグリッパ)が設けられており、シート材Pの先端が把持手段(シートグリッパ)によって把持される。ドラム31の表面には、複数の吸引穴が分散して形成され、吸引手段によってドラム31の所要の吸引穴から内側へ向かう吸い込み気流を発生させる。
【0056】
そして、渡し胴34からドラム31へ受け渡されたシート材Pは、シートグリッパによって先端が把持されるとともに、吸引手段による吸い込み気流によってドラム31上に吸着担持され、ドラム31の回転に伴って搬送される。
【0057】
液体吐出部32は、吐出手段である吐出ユニット33(33A~33D)を備えている。例えば、吐出ユニット33Aはシアン(C)の液体を、吐出ユニット33Bはマゼンタ(M)の液体を、吐出ユニット33Cはイエロー(Y)の液体を、吐出ユニット33Dはブラック(K)の液体を、それぞれ吐出する。また、その他、白色、金色(銀色)などの特殊な液体の吐出を行う吐出ユニットを使用することもできる。
【0058】
吐出ユニット33は、例えば、前述したヘッドモジュール400を含むフルライン型ヘッドである。
【0059】
液体吐出部32の各吐出ユニット33は、印刷情報に応じた駆動信号によりそれぞれ吐出動作が制御される。ドラム31に担持されたシート材Pが液体吐出部32との対向領域を通過するときに、吐出ユニット33から各色の液体が吐出され、当該印刷情報に応じた画像が印刷される。
【0060】
乾燥部40は、印刷部30でシート材P上に付着した液体を乾燥させる。これにより、液体中の水分等の液分が蒸発し、シート材P上に液体中に含まれる着色剤が定着し、また、シート材Pのカールが抑制される。
【0061】
反転機構部60は、乾燥部40を通過したシート材Pに対して両面印刷をおこなうときに、スイッチバック方式で、シート材Pを反転する機構であり、反転されたシート材Pは印刷部30の搬送経路61を通じて渡し胴34よりも上流側に逆送される。
【0062】
搬出部50は、複数のシート材Pが積載される搬出トレイ51を備えている。乾燥部40から反転機構部60を介して搬送されてくるシート材Pは、搬出トレイ51上に順次積み重ねられて保持される。
【0063】
本願において、吐出される被吐出物は、ヘッドから吐出可能な粘度や表面張力を有するものであればよく、特に限定されないが、常温、常圧下において、または加熱、冷却により粘度が30mPa・s以下となるものであることが好ましい。より具体的には、水や有機溶媒等の溶媒、染料や顔料等の着色剤、重合性化合物、樹脂、界面活性剤等の機能性付与材料、DNA、アミノ酸やたんぱく質、カルシウム等の生体適合材料、天然色素等の可食材料、などを含む溶液、懸濁液、エマルジョンなどであり、これらは例えば、インクジェット用インク、表面処理液、電子素子や発光素子の構成要素や電子回路レジストパターンの形成用液、3次元造形用材料液等の用途で用いることができる。
【0064】
また、吐出装置には、ヘッドモジュール、ヘッドユニットなどを備え、ヘッドを駆動させて液体を吐出させる装置が含まれる。吐出装置には、液体が付着可能なものに対して液体を吐出することが可能な装置だけでなく、液体を気中や液中に向けて吐出する装置も含まれる。
【0065】
この「吐出装置」は、液体が付着可能なものの給送、搬送、排紙に係わる手段、その他、前処理装置、後処理装置なども含むことができる。
【0066】
例えば、「吐出装置」として、インクを吐出させて用紙に画像を形成する装置である画像形成装置、立体造形物(三次元造形物)を造形するために、粉体を層状に形成した粉体層に造形液を吐出させる立体造形装置(三次元造形装置)がある。
【0067】
また、「吐出装置」は、吐出された液体によって文字、図形等の有意な画像が可視化されるものに限定されるものではない。例えば、それ自体意味を持たないパターン等を形成するもの、三次元像を造形するものも含まれる。
【0068】
上記「液体が付着可能なもの」とは、液体が少なくとも一時的に付着可能なものであって、付着して固着するもの、付着して浸透するものなどを意味する。具体例としては、用紙、記録紙、記録用紙、フィルム、布などの被記録媒体、電子基板、圧電素子などの電子部品、粉体層(粉末層)、臓器モデル、検査用セルなどの媒体であり、特に限定しない限り、液体が付着するすべてのものが含まれる。
【0069】
上記「液体が付着可能なもの」の材質は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックスなど液体が一時的でも付着可能であればよい。
【0070】
また、「吐出装置」は、吐出ヘッドと被吐出物が付着可能なものとが相対的に移動する装置があるが、これに限定するものではない。具体例としては、吐出ヘッドを移動させるシリアル型装置、吐出ヘッドを移動させないライン型装置などが含まれる。
【0071】
また、「吐出装置」としては、他にも、用紙の表面を改質するなどの目的で用紙の表面に処理液を塗布するために処理液を用紙に吐出する処理液塗布装置、原材料を溶液中に分散した組成液を、ノズルを介して噴射させて原材料の微粒子を造粒する噴射造粒装置などがある。
【符号の説明】
【0072】
1 印刷装置
10 搬入部
20 前処理部
30 印刷部
40 乾燥部
50 搬出部
21 塗布部
33 吐出ユニット
100 ヘッド
110 ノズル板
111 ノズル
120 流路部材
170 ハウジング
180 保護部材
181 封止材(樹脂)
182 接着剤
400 ヘッドモジュール