(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024051849
(43)【公開日】2024-04-11
(54)【発明の名称】熱可塑性樹脂用核剤、樹脂組成物、成形品および熱可塑性樹脂の結晶化の促進方法
(51)【国際特許分類】
C08L 101/00 20060101AFI20240404BHJP
C08K 5/20 20060101ALI20240404BHJP
C07C 233/83 20060101ALI20240404BHJP
C07C 233/63 20060101ALI20240404BHJP
【FI】
C08L101/00
C08K5/20
C07C233/83
C07C233/63
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022158211
(22)【出願日】2022-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000000387
【氏名又は名称】株式会社ADEKA
(74)【代理人】
【識別番号】100096714
【弁理士】
【氏名又は名称】本多 一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100124121
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 由美子
(74)【代理人】
【識別番号】100176566
【弁理士】
【氏名又は名称】渡耒 巧
(74)【代理人】
【識別番号】100180253
【弁理士】
【氏名又は名称】大田黒 隆
(72)【発明者】
【氏名】正井 省吾
(72)【発明者】
【氏名】上田 直人
【テーマコード(参考)】
4H006
4J002
【Fターム(参考)】
4H006AA02
4H006AA03
4H006AB99
4H006BJ20
4H006BJ50
4H006BM30
4H006BM72
4H006BS10
4H006BV62
4H006BV72
4J002CF061
4J002CF071
4J002CF181
4J002CL011
4J002CL031
4J002EP016
4J002FD206
4J002GG01
4J002GG02
4J002GK01
4J002GN00
4J002GT00
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ポリオレフィン系樹脂以外の熱可塑性樹脂に対して優れた結晶化促進作用を有する熱可塑性樹脂用核剤、樹脂組成物、成形品および熱可塑性樹脂の結晶化の促進方法を提供する。
【解決手段】下記一般式(1)、
(一般式(1)中、Mは、比重が4.0以下である1~3価の金属原子等を表し、aは1または2を表し、bは1または3を表し、xは1~3の整数を表し、ax=2bを満たす。Zはシクロヘキサン環又はベンゼン環を含む特定の基を表す。)で表される化合物を含む熱可塑性樹脂用核剤である(ただし、ポリオレフィン系樹脂用核剤を除く)。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)、
(一般式(1)中、Mは、比重が4.0以下である1~3価の金属原子またはヒドロキシ基が結合した比重が4.0以下である2~3価の金属原子を表し、aは1または2を表し、bは1または3を表し、xは1~3の整数を表し、ax=2bを満たす。Zは下記一般式(2)または(3)で表される基を表す。
(一般式(2)および(3)中、*は一般式(1)のカルボニル炭素と連結する位置を表し、Yは、直接結合、または炭素原子数1~4のアルキレン基を表し、R
1~R
10はそれぞれ独立に、水素原子、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、炭素原子数1~10のアルキル基、炭素原子数1~10のハロゲン化アルキル基、炭素原子数1~10のアルコキシ基または炭素原子数2~10のアルケニル基を表す。))で表される化合物を含むことを特徴とする熱可塑性樹脂用核剤(ただし、ポリオレフィン系樹脂用核剤を除く)。
【請求項2】
ポリアミド系樹脂用核剤、ポリエステル系樹脂用核剤またはポリ乳酸系樹脂用核剤である請求項1記載の熱可塑性樹脂用核剤。
【請求項3】
熱可塑性樹脂(ただし、ポリオレフィン系樹脂を除く)と、
下記一般式(1)、
(一般式(1)中、Mは、比重が4.0以下である1~3価の金属原子またはヒドロキシ基が結合した比重が4.0以下である2~3価の金属原子を表し、aは1または2を表し、bは1または3を表し、xは1~3の整数を表し、ax=2bを満たす。Zは下記一般式(2)または(3)で表される基を表す。
(一般式(2)および(3)中、*は一般式(1)のカルボニル炭素と連結する位置を表し、Yは、直接結合、または炭素原子数1~4のアルキレン基を表し、R
1~R
10はそれぞれ独立に、水素原子、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、炭素原子数1~10のアルキル基、炭素原子数1~10のハロゲン化アルキル基、炭素原子数1~10のアルコキシ基または炭素原子数2~10のアルケニル基を表す。))で表される化合物と、
を含むことを特徴とする樹脂組成物。
【請求項4】
前記熱可塑性樹脂が、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂またはポリ乳酸系樹脂を含む請求項3記載の樹脂組成物。
【請求項5】
請求項3または4記載の樹脂組成物を成形して得られることを特徴とする成形品。
【請求項6】
熱可塑性樹脂(ただし、ポリオレフィン系樹脂を除く)の結晶化を促進する方法であって、
下記一般式(1)、
(一般式(1)中、Mは、比重が4.0以下である1~3価の金属原子またはヒドロキシ基が結合した比重が4.0以下である2~3価の金属原子を表し、aは1または2を表し、bは1または3を表し、xは1~3の整数を表し、ax=2bを満たす。Zは下記一般式(2)または(3)で表される基を表す。
(一般式(2)および(3)中、*は一般式(1)のカルボニル炭素と連結する位置を表し、Yは、直接結合、または炭素原子数1~4のアルキレン基を表し、R
1~R
10はそれぞれ独立に、水素原子、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、炭素原子数1~10のアルキル基、炭素原子数1~10のハロゲン化アルキル基、炭素原子数1~10のアルコキシ基または炭素原子数2~10のアルケニル基を表す。))で表される化合物を、熱可塑性樹脂用核剤として使用することを特徴とする熱可塑性樹脂(ただし、ポリオレフィン系樹脂を除く)の結晶化の促進方法。
【請求項7】
前記熱可塑性樹脂が、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂またはポリ乳酸系樹脂を含む請求項6記載の熱可塑性樹脂の結晶化の促進方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱可塑性樹脂用核剤、樹脂組成物、成形品および熱可塑性樹脂の結晶化の促進方法に関し、詳しくは、ポリオレフィン系樹脂以外の熱可塑性樹脂に対して優れた結晶化促進作用を有する熱可塑性樹脂用核剤、樹脂組成物、成形品および熱可塑性樹脂の結晶化の促進方法に関する。
【背景技術】
【0002】
熱可塑性樹脂の特性を向上させる目的で、種々の検討がなされている。例えば下記特許文献1には、重合ロジン類の金属塩を含有する熱可塑性樹脂用核剤が提案されており、これを用いることにより、熱可塑性樹脂に対して結晶化速度の向上効果や機械的・光学的性能の向上効果などを発現できることが開示されている。また、下記特許文献2には、アスパラギン酸構造を含む特定の化合物を含むポリオレフィン系樹脂用核剤が提案されており、このポリオレフィン系樹脂用核剤が、ポリオレフィン系樹脂に対し優れたβ晶形成作用を発揮することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-227546号公報
【特許文献2】国際公開第2020/137179号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1で提案されている熱可塑性樹脂用核剤は、結晶化促進作用が十分とはいえない場合があり、さらなる改善が望まれていた。また、特許文献2で提案されている化合物は、ポリオレフィン系樹脂以外の熱可塑性樹脂に用いる添加剤としては、何ら検討がなされていなかった。
【0005】
そこで、本発明の目的は、ポリオレフィン系樹脂以外の熱可塑性樹脂に対して優れた結晶化促進作用を有する熱可塑性樹脂用核剤、樹脂組成物、成形品および熱可塑性樹脂の結晶化の促進方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、アスパラギン酸構造を含む特定の化合物が、ポリオレフィン系樹脂以外の熱可塑性樹脂に対して優れた結晶化促進作用を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明の熱可塑性樹脂用核剤は、下記一般式(1)、
(一般式(1)中、Mは、比重が4.0以下である1~3価の金属原子またはヒドロキシ基が結合した比重が4.0以下である2~3価の金属原子を表し、aは1または2を表し、bは1または3を表し、xは1~3の整数を表し、ax=2bを満たす。Zは下記一般式(2)または(3)で表される基を表す。
(一般式(2)および(3)中、*は一般式(1)のカルボニル炭素と連結する位置を表し、Yは、直接結合、または炭素原子数1~4のアルキレン基を表し、R
1~R
10はそれぞれ独立に、水素原子、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、炭素原子数1~10のアルキル基、炭素原子数1~10のハロゲン化アルキル基、炭素原子数1~10のアルコキシ基または炭素原子数2~10のアルケニル基を表す。))で表される化合物を含むことを特徴とするものである。ただし、本発明の熱可塑性樹脂用核剤からは、ポリオレフィン系樹脂用核剤は除かれる。
【0008】
本発明の熱可塑性樹脂用核剤は、ポリアミド系樹脂用核剤、ポリエステル系樹脂用核剤またはポリ乳酸系樹脂用核剤として好適である。
【0009】
また、本発明の樹脂組成物は、熱可塑性樹脂(ただし、ポリオレフィン系樹脂を除く)と、
下記一般式(1)、
(一般式(1)中、Mは、比重が4.0以下である1~3価の金属原子またはヒドロキシ基が結合した比重が4.0以下である2~3価の金属原子を表し、aは1または2を表し、bは1または3を表し、xは1~3の整数を表し、ax=2bを満たす。Zは下記一般式(2)または(3)で表される基を表す。
(一般式(2)および(3)中、*は一般式(1)のカルボニル炭素と連結する位置を表し、Yは、直接結合、または炭素原子数1~4のアルキレン基を表し、R
1~R
10はそれぞれ独立に、水素原子、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、炭素原子数1~10のアルキル基、炭素原子数1~10のハロゲン化アルキル基、炭素原子数1~10のアルコキシ基または炭素原子数2~10のアルケニル基を表す。))で表される化合物と、
を含むことを特徴とするものである。
【0010】
本発明の樹脂組成物においては、前記熱可塑性樹脂が、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂またはポリ乳酸系樹脂を含むことが好ましい。
【0011】
さらに、本発明の成形品は、上記の樹脂組成物を成形して得られることを特徴とするものである。
【0012】
さらにまた、本発明の熱可塑性樹脂の結晶化の促進方法は、熱可塑性樹脂(ただし、ポリオレフィン系樹脂を除く)の結晶化を促進する方法であって、
下記一般式(1)、
(一般式(1)中、Mは、比重が4.0以下である1~3価の金属原子またはヒドロキシ基が結合した比重が4.0以下である2~3価の金属原子を表し、aは1または2を表し、bは1または3を表し、xは1~3の整数を表し、ax=2bを満たす。Zは下記一般式(2)または(3)で表される基を表す。
(一般式(2)および(3)中、*は一般式(1)のカルボニル炭素と連結する位置を表し、Yは、直接結合、または炭素原子数1~4のアルキレン基を表し、R
1~R
10はそれぞれ独立に、水素原子、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、炭素原子数1~10のアルキル基、炭素原子数1~10のハロゲン化アルキル基、炭素原子数1~10のアルコキシ基または炭素原子数2~10のアルケニル基を表す。))で表される化合物を、熱可塑性樹脂用核剤として使用することを特徴とするものである。
【0013】
本発明の熱可塑性樹脂の結晶化の促進方法においては、前記熱可塑性樹脂が、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂またはポリ乳酸系樹脂を含むことが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ポリオレフィン系樹脂以外の熱可塑性樹脂に対して優れた結晶化促進作用を有する熱可塑性樹脂用核剤、樹脂組成物、成形品および熱可塑性樹脂の結晶化の促進方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。先ず、熱可塑性樹脂用核剤について説明する。
【0016】
<熱可塑性樹脂用核剤>
本実施形態の熱可塑性樹脂用核剤は、下記一般式(1)で表される化合物を含む。ただし、熱可塑性樹脂核剤からは、ポリオレフィン系樹脂用核剤は除かれる。
【0017】
本実施形態の熱可塑性樹脂用核剤は、ポリオレフィン系樹脂以外の熱可塑性樹脂に対して優れた結晶化促進作用を有する。その結果、本実施形態の熱可塑性樹脂用核剤によれば、ポリオレフィン系樹脂以外の熱可塑性樹脂を含む樹脂組成物からなる成形品に、耐熱性、剛性、透明性などの特性を付与することができる。
【0018】
【0019】
ここで、一般式(1)中、Mは、比重が4.0以下である1~3価の金属原子またはヒドロキシ基が結合した比重が4.0以下である2~3価の金属原子を表し、aは1または2を表し、bは1または3を表し、xは1~3の整数を表し、ax=2bを満たす。また、Zは下記一般式(2)または(3)で表される基を表す。
【0020】
【0021】
ここで、一般式(2)および(3)中、*は一般式(1)のカルボニル炭素と連結する位置を表し、Yは、直接結合、または炭素原子数1~4のアルキレン基を表し、R1~R10はそれぞれ独立に、水素原子、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、炭素原子数1~10のアルキル基、炭素原子数1~10のハロゲン化アルキル基、炭素原子数1~10のアルコキシ基または炭素原子数2~10のアルケニル基を表す。
【0022】
一般式(2)および(3)中のYで表される炭素原子数1~4のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、イソブチレン基が挙げられる。さらに優れた結晶化促進作用を有する熱可塑性樹脂用核剤を得る観点から、Yは直接結合またはメチレン基が好ましく、直接結合がより好ましい。
【0023】
一般式(2)および(3)中のR1~R10で表されるハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。これらの中では、塩素が特に好ましい。
【0024】
一般式(2)および(3)中のR1~R10で表される炭素原子数1~10のアルキル基としては、例えば、直鎖状または分岐状のアルキル基、あるいは、3~10のシクロアルキル基等が挙げられる。具体的には、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、イソブチル基、シクロブチル基、n-アミル基、tert-アミル基、シクロペンチル基、n-ヘキシル基、シクロヘキシル基、n-ヘプチル基、シクロヘプチル基、n-オクチル基、イソオクチル基、tert-オクチル基、2-エチルヘキシル基、n-ノニル基、イソノニル基、n-デシル基等が挙げられる。
【0025】
一般式(2)および(3)中のR1~R10で表される炭素原子数1~10のハロゲン化アルキル基としては、例えば、上記アルキル基の水素原子の一部または全部をハロゲン原子で置換したもの等を挙げることができ、ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。
【0026】
一般式(2)および(3)中のR1~R10で表される炭素原子数1~10のアルコキシ基としては、例えば、直鎖状または分岐状のアルコキシ基、あるいは炭素原子数5~10のシクロアルコキシ基等が挙げられる。具体的には、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、n-ブトキシ基、n-ヘキシルオキシ基、1-メチルエトキシ基、2-メチルプロポキシ基、1-メチルブトキシ基、4-メチルペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等が挙げられる。
【0027】
一般式(2)および(3)中のR1~R10で表される炭素原子数2~10のアルケニル基としては、例えば、ビニル、プロペニル、ブテニル、ヘキセニル、オクテニル、デセニル等を挙げることができる。二重結合の位置は、α-位であっても、内部であっても、ω-位であってもよい。
【0028】
一般式(2)および(3)のR1~R10としては、水素原子またはハロゲン原子が好ましく、水素原子が特に好ましい。
【0029】
一般式(1)中のMとしては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、アルミニウム等の金属原子が挙げられる。2~3価の金属原子はヒドロキシ基と結合していてもよい。ヒドロキシ基と結合した2~3価の金属原子としては、例えば、ヒドロキシアルミニウムおよびジヒドロキシアルミニウム等が挙げられる。さらに優れた結晶化促進作用を有する熱可塑性樹脂用核剤を得る観点から、一般式(1)中のMはリチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、アルミニウム、ヒドロキシアルミニウムまたはジヒドロキシアルミニウムであることが好ましく、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、ヒドロキシアルミニウムであることがさらに好ましく、ナトリウムであることが特に好ましい。
【0030】
一般式(1)中のbは1であることが好ましい。またxは1または2であることが好ましい。
【0031】
さらに優れた結晶化促進作用を有する熱可塑性樹脂用核剤を得る観点から、一般式(1)中のZは一般式(3)で表される基であることが好ましい。
【0032】
一般式(1)で表される化合物の具体例としては以下のものが挙げられる。ただし、本実施形態の熱可塑性樹脂用核剤はこれらに限定されるものではない。
【0033】
【0034】
一般式(1)で表される化合物は、例えば、アスパラギン酸の金属塩と、安息香酸クロリド、シクロヘキサンカルボン酸クロリド等のカルボン酸クロリドとを、塩基の存在下で反応させる方法等により製造することができる。
【0035】
本実施形態の熱可塑性樹脂用核剤は、例えば結晶性熱可塑性樹脂用核剤であればよい。結晶性熱可塑性樹脂用核剤としては、例えばポリアミド系樹脂用核剤、ポリエステル系樹脂用核剤、ポリアセタール系樹脂用核剤、ポリ乳酸系樹脂用核剤、ポリフェニレンサルファイド系樹脂用核剤などが挙げられる。
【0036】
ここで、ポリアミド系樹脂用核剤としては、例えばポリアミド6(PA6)用核剤、ポリアミド46(PA46)用核剤、ポリアミド66(PA66)用核剤、ポリアミド11(PA11)用核剤、ポリアミド12(PA12)用核剤などの脂肪族ポリアミド系樹脂用核剤、ポリアミド4T(PA4T)用核剤、ポリアミド6T(PA6T)用核剤、ポリアミド9T(PA9T)用核剤、ポリアミド10T(PA10T)用核剤、ポリアミド12T(PA12T)用核剤、ポリアミドMXD6(PAMXD6)用核剤などの半芳香族ポリアミド系樹脂用核剤などが挙げられる。
【0037】
ポリエステル系樹脂用核剤としては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)用核剤、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)用核剤、ポリブチレンテレフタレート(PBT)用核剤、ポリエチレンナフタレート(PEN)用核剤などが挙げられる。
【0038】
ポリ乳酸系樹脂用核剤としては、例えばポリ乳酸(PLA)用核剤などが挙げられる。
【0039】
本実施形態の熱可塑性樹脂用核剤は、ポリアミド系樹脂用核剤、ポリエステル系樹脂用核剤またはポリ乳酸系樹脂用核剤として好適であり、ポリアミド系樹脂用核剤またはポリエステル系樹脂用核剤であることがより好ましい。
【0040】
本実施形態の熱可塑性樹脂用核剤は、さらに具体的には、ポリアミド6(PA6)用核剤、ポリアミド66(PA66)用核剤、ポリアミド11(PA11)用核剤、ポリアミド12(PA12)用核剤、ポリアミド9T(PA9T)用核剤、ポリエチレンテレフタレート(PET)用核剤、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)用核剤、ポリブチレンテレフタレート(PBT)用核剤、ポリエチレンナフタレート(PEN)用核剤またはポリ乳酸(PLA)用核剤であることが好ましく、ポリアミド6(PA6)用核剤、ポリアミド66(PA66)用核剤、ポリアミド11(PA11)用核剤、ポリアミド12(PA12)用核剤、ポリアミド9T(PA9T)用核剤、ポリエチレンテレフタレート(PET)用核剤、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)用核剤、ポリブチレンテレフタレート(PBT)用核剤またはポリエチレンナフタレート(PEN)用核剤であることがより好ましく、ポリアミド6(PA6)用核剤、ポリアミド66(PA66)用核剤、ポリエチレンテレフタレート(PET)用核剤またはポリブチレンテレフタレート(PBT)用核剤であることがさらに好ましく、ポリアミド6(PA6)用核剤、ポリアミド66(PA66)用核剤またはポリエチレンテレフタレート(PET)用核剤であることがさらに一層好ましく、ポリアミド6(PA6)用核剤またはポリエチレンテレフタレート(PET)用核剤であることが特に好ましい。
【0041】
<樹脂組成物>
次に、本実施形態の樹脂組成物について説明する。本実施形態の樹脂組成物は、熱可塑性樹脂と、上記一般式(1)で表される化合物と、を含む。ただし、熱可塑性樹脂から、ポリオレフィン系樹脂は除かれる。
【0042】
本実施形態の樹脂組成物は、熱可塑性樹脂の結晶化が促進されたものとなる。その結果、本実施形態の樹脂組成物によれば、成形品に耐熱性、剛性、透明性などの特性を付与することができる。
【0043】
本実施形態の樹脂組成物に含まれる熱可塑性樹脂としては、例えばポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリ乳酸系樹脂、ポリフェニレンサルファイドなどの結晶性樹脂、ポリカーボネート樹脂、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、含ハロゲン樹脂、石油樹脂、クマロン樹脂、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリフェニレンオキサイドなどの非晶性樹脂、熱可塑性エラストマーなどが挙げられる。
【0044】
ここで、ポリアミド系樹脂としては、例えばポリアミド6(PA6)、ポリアミド46(PA46)、ポリアミド66(PA66)、ポリアミド11(PA11)、ポリアミド12(PA12)などの脂肪族ポリアミド系樹脂、ポリアミド4T(PA4T)、ポリアミド6T(PA6T)、ポリアミド9T(PA9T)、ポリアミド10T(PA10T)、ポリアミド12T(PA12T)、ポリアミドMXD6(PAMXD6)などの半芳香族ポリアミド系樹脂などが挙げられる。
【0045】
また、ポリエステル系樹脂としては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などが挙げられる。
【0046】
さらに、ポリ乳酸系樹脂としては、例えばポリ乳酸(PLA)などが挙げられる。
【0047】
熱可塑性樹脂は1種が単独で含まれていても、2種以上が組み合わせて含まれていてもよい。また、熱可塑性樹脂は共重合体であってもよく、ポリマーアロイであってもよい。なお、熱可塑性樹脂の分子量、重合度、密度、軟化点、溶媒への不溶分の割合、立体規則性の程度、触媒残渣の有無、原料となるモノマーの種類や配合比率、重合に使用される触媒の種類などは特に限定されるものではなく、適宜選択される。
【0048】
本実施形態の熱可塑性樹脂は、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂またはポリ乳酸系樹脂を含むことが好ましく、ポリアミド系樹脂またはポリエステル系樹脂を含むことがより好ましい。
【0049】
本実施形態の熱可塑性樹脂は、さらに具体的には、ポリアミド6(PA6)、ポリアミド66(PA66)、ポリアミド11(PA11)、ポリアミド12(PA12)、ポリアミド9T(PA9T)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)またはポリ乳酸(PLA)を含むことが好ましく、ポリアミド6(PA6)、ポリアミド66(PA66)、ポリアミド11(PA11)、ポリアミド12(PA12)、ポリアミド9T(PA9T)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)またはポリエチレンナフタレート(PEN)を含むことがより好ましく、ポリアミド6(PA6)、ポリアミド66(PA66)、ポリエチレンテレフタレート(PET)またはポリブチレンテレフタレート(PBT)を含むことがさらに好ましく、ポリアミド6(PA6)、ポリアミド66(PA66)またはポリエチレンテレフタレート(PET)を含むことがさらに一層好ましく、ポリアミド6(PA6)またはポリエチレンテレフタレート(PET)を含むことが特に好ましい。
【0050】
また、本実施形態の樹脂組成物に含まれる一般式(1)で表される化合物としては、上述の熱可塑性樹脂用核剤に含まれるものとして例示した化合物と同一のものが挙げられる。
【0051】
本実施形態の樹脂組成物において、一般式(1)で表される化合物の含有量は、例えば熱可塑性樹脂100質量部に対して0.001~10質量部であればよい。熱可塑性樹脂の結晶化をさらに促進し、かつ、ブルームの発生や化合物の抽出性を抑制する観点から、上記一般式(1)で表される化合物の含有量は、熱可塑性樹脂100質量部に対して0.005~1質量部であることが好ましく、0.02~0.5質量部であることがより好ましく、0.05~0.3質量部であることがさらに好ましい。
【0052】
本実施形態の樹脂組成物は、必要に応じて、さらに、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、その他の酸化防止剤、ヒンダードアミン化合物、紫外線吸収剤、脂肪酸金属塩、難燃剤、難燃助剤、滑剤、充填剤、ハイドロタルサイト類、帯電防止剤、蛍光増白剤、顔料、染料などの添加剤(以下、「その他の添加剤」と称する)のうち少なくとも一種を含むものであってもよい。その他の添加剤の含有量は特に限定されるものではなく、各々の添加剤が、樹脂組成物中において適度な濃度となるような含有量であればよい。
【0053】
フェノール系酸化防止剤としては、例えば、2,6-ジ-tert-ブチル-4-エチルフェノール、2-tert-ブチル-4,6-ジメチルフェノール、スチレン化フェノール、2,2’-メチレンビス(4-エチル-6-tert-ブチルフェノール)、2,2’-チオビス-(6-tert-ブチル-4-メチルフェノール)、2,2’-チオジエチレンビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2-メチル-4,6-ビス(オクチルスルファニルメチル)フェノール、2,2’-イソブチリデンビス(4,6-ジメチルフェノール)、イソオクチル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N’-ヘキサン-1,6-ジイルビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオンアミド]、2,2’-オキサミド-ビス[エチル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2-エチルヘキシル-3-(3’,5’-ジ-tert-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2’-エチレンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェノール)、3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンゼンプロパン酸およびC13-15アルキルのエステル、2,5-ジ-tert-アミルヒドロキノン、ヒンダードフェノールの重合物(ADEKA POLYMER ADDITIVES EUROPE SAS社製 商品名「AO.OH.98」)、2,2’-メチレンビス[6-(1-メチルシクロヘキシル)-p-クレゾール]、2-tert-ブチル-6-(3-tert-ブチル-2-ヒドロキシ5-メチルベンジル)-4-メチルフェニルアクリレート、2-[1-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-ペンチルフェニル)エチル]-4,6-ジ-tert-ペンチルフェニルアクリレート、6-[3-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチル)プロポキシ]-2,4,8,10-テトラ-tert-ブチルベンズ[d,f][1,3,2]-ジオキサホスフォビン、ヘキサメチレンビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ビス[モノエチル(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ホスホネート]カルシウム塩、5,7-ビス(1,1-ジメチルエチル)-3-ヒドロキシ-2(3H)-ベンゾフラノンとo-キシレンとの反応生成物、2,6-ジ-tert-ブチル-4-(4,6-ビス(オクチルチオ)-1,3,5-トリアジン-2-イルアミノ)フェノール、DL-a-トコフェノール(ビタミンE)、2,6-ビス(α-メチルベンジル)-4-メチルフェノール、ビス[3,3-ビス-(4’-ヒドロキシ-3’-tert-ブチル-フェニル)ブタン酸]グリコールエステル、2,6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾール、2,6-ジフェニル-4-オクタデシロキシフェノール、ステアリル(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ジステアリル(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ホスホネート、トリデシル-3,5-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジルチオアセテート、チオジエチレンビス[(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、4,4’-チオビス(6-tert-ブチル-m-クレゾール)、2-オクチルチオ-4,6-ジ(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェノキシ)-s-トリアジン、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、ビス[3,3-ビス(4-ヒドロキシ-3-tert-ブチルフェニル)ブチリックアシッド]グリコールエステル、4,4’-ブチリデンビス(2,6-ジ-tert-ブチルフェノール)、4,4’-ブチリデンビス(6-tert-ブチル-3-メチルフェノール)、2,2’-エチリデンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェノール)、1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-tert-ブチルフェニル)ブタン、ビス[2-tert-ブチル-4-メチル-6-(2-ヒドロキシ-3-tert-ブチル-5-メチルベンジル)フェニル]テレフタレート、1,3,5-トリス(2,6-ジメチル-3-ヒドロキシ-4-tert-ブチルベンジル)イソシアヌレート、1,3,5-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-2,4,6-トリメチルベンゼン、1,3,5-トリス[(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシエチル]イソシアヌレート、テトラキス[メチレン-3-(3’,5’-tert-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、2-tert-ブチル-4-メチル-6-(2-アクリロイルオキシ-3-tert-ブチル-5-メチルベンジル)フェノール、3,9-ビス[2-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルヒドロシンナモイルオキシ)-1,1-ジメチルエチル]-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、トリエチレングリコールビス[β-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオネート]、ステアリル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸アミド、パルミチル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸アミド、ミリスチル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸アミド、ラウリル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸アミド等の3-(3,5-ジアルキル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸誘導体等が挙げられる。
【0054】
リン系酸化防止剤としては、例えば、トリフェニルホスファイト、ジイソオクチルホスファイト、ヘプタキス(ジプロピレングリコール)トリホスファイト、トリイソデシルホスファイト、ジフェニルイソオクチルホスファイト、ジイソオクチルフェニルホスファイト、ジフェニルトリデシルホスファイト、トリイソオクチルホスファイト、トリラウリルホスファイト、ジフェニルホスファイト、トリス(ジプロピレングリコール)ホスファイト、ジオレイルヒドロゲンホスファイト、トリラウリルトリチオホスファイト、ビス(トリデシル)ホスファイト、トリス(イソデシル)ホスファイト、トリス(トリデシル)ホスファイト、ジフェニルデシルホスファイト、ジノニルフェニルビス(ノニルフェニル)ホスファイト、ポリ(ジプロピレングリコール)フェニルホスファイト、テトラフェニルジプロピレングリコールジホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイト、トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4-ジ-tert-ブチル-5-メチルフェニル)ホスファイト、トリス〔2-tert-ブチル-4-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニルチオ)-5-メチルフェニル〕ホスファイト、トリ(デシル)ホスファイト、オクチルジフェニルホスファイト、ジ(デシル)モノフェニルホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールとステアリン酸カルシウム塩との混合物、アルキル(C10)ビスフェノールAホスファイト、テトラフェニル-テトラ(トリデシル)ペンタエリスリトールテトラホスファイト、ビス(2,4-ジ-tert-ブチル-6-メチルフェニル)エチルホスファイト、テトラ(トリデシル)イソプロピリデンジフェノールジホスファイト、テトラ(トリデシル)-4,4’-n-ブチリデンビス(2-tert-ブチル-5-メチルフェノール)ジホスファイト、ヘキサ(トリデシル)-1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-tert-ブチルフェニル)ブタントリホスファイト、テトラキス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ビフェニレンジホスホナイト、9,10-ジハイドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナンスレン-10-オキサイド、(1-メチル-1-プロペニル-3-イリデン)トリス(1,1-ジメチルエチル)-5-メチル-4,1-フェニレン)ヘキサトリデシルホスファイト、2,2’-メチレンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)-2-エチルヘキシルホスファイト、2,2’-メチレンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)-オクタデシルホスファイト、2,2’-エチリデンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)フルオロホスファイト、4,4’-ブチリデンビス(3-メチル-6-tert-ブチルフェニルジトリデシル)ホスファイト、トリス(2-〔(2,4,8,10-テトラキス-tert-ブチルジベンゾ〔d,f〕〔1,3,2〕ジオキサホスフェピン-6-イル)オキシ〕エチル)アミン、3,9-ビス(4-ノニルフェノキシ)-2,4,8,10-テトラオキサ-3,9-ジホスフェススピロ[5,5]ウンデカン、2,4,6-トリ-tert-ブチルフェニル-2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオールホスファイト、ポリ4,4’-イソプロピリデンジフェノールC12-15アルコールホスファイト、ビス(ジイソデシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(トリデシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(オクタデシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4,6-トリ-tert-ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4-ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト等が挙げられる。
【0055】
硫黄系酸化防止剤としては、例えば、テトラキス[メチレン-3-(ラウリルチオ)プロピオネート]メタン、ビス(メチル-4-[3-n-アルキル(C12/C14)チオプロピオニルオキシ]5-tert-ブチルフェニル)スルファイド、ジトリデシル-3,3’-チオジプロピオネート、ジラウリル-3,3’-チオジプロピオネート、ジミリスチル-3,3’-チオジプロピオネート、ジステアリル-3,3’-チオジプロピオネート、ラウリル/ステアリルチオジプロピオネート、4,4’-チオビス(6-tert-ブチル-m-クレゾール)、2,2’-チオビス(6-tert-ブチル-p-クレゾール)、ジステアリル-ジサルファイドが挙げられる。
【0056】
その他の酸化防止剤としては、N-ベンジル-α-フェニルニトロン、N-エチル-α-メチルニトロン、N-オクチル-α-ヘプチルニトロン、N-ラウリル-α-ウンデシルニトロン、N-テトラデシル-α-トリデシルニトロン、N-ヘキサデシル-α-ペンタデシルニトロン、N-オクチル-α-ヘプタデシルニトロン、N-ヘキサデシル-α-ヘプタデシルニトロン、N-オクタデシル-α-ペンタデシルニトロン、N-ヘプタデシル-α-ヘプタデシルニトロン、N-オクタデシル-α-ヘプタデシルニトロン等のニトロン化合物、3-アリールベンゾフラン-2(3H)-オン、3-(アルコキシフェニル)ベンゾフラン-2-オン、3-(アシルオキシフェニル)ベンゾフラン-2(3H)-オン、5,7-ジ-tert-ブチル-3-(3,4-ジメチルフェニル)-ベンゾフラン-2(3H)-オン、5,7-ジ-tert-ブチル-3-(4-ヒドロキシフェニル)-ベンゾフラン-2(3H)-オン、5,7-ジ-tert-ブチル-3-{4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル}-ベンゾフラン-2(3H)-オン、6-(2-(4-(5,7-ジ-tert-2-オキソ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-3-イル)フェノキシ)エトキシ)-6-オキソヘキシル-6-((6-ヒドロキシヘキサノイル)オキシ)ヘキサノエート、5-ジ-tert-ブチル-3-(4-((15-ヒドロキシ-3,6,9,13-テトラオキサペンタデシル)オキシ)フェニル)ベンゾフラン-2(3H)オン等のベンゾフラン化合物等が挙げられる。
【0057】
ヒンダードアミン化合物としては、例えば、2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジルステアレート、1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジルステアレート、2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジルベンゾエート、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、テトラキス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)・ジ(トリデシル)-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)-ジ(トリデシル)-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,4,4-ペンタメチル-4-ピペリジル)-2-ブチル-2-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)マロネート、1-(2-ヒドロキシエチル)-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジノール/コハク酸ジエチル重縮合物、1,6-ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4-ジクロロ-6-モルホリノ-s-トリアジン重縮合物、1,6-ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4-ジクロロ-6-tert-オクチルアミノ-s-トリアジン重縮合物、1,5,8,12-テトラキス〔2,4-ビス(N-ブチル-N-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)アミノ)-s-トリアジン-6-イル〕-1,5,8,12-テトラアザドデカン、1,5,8,12-テトラキス〔2,4-ビス(N-ブチル-N-(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)アミノ)-s-トリアジン-6-イル〕-1,5,8-12-テトラアザドデカン、1,6,11-トリス[2,4-ビス(N-ブチル-N-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)アミノ)-s-トリアジン-6-イルアミノ]ウンデカン、1,6,11-トリス[2,4-ビス(N-ブチル-N-(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)アミノ)-s-トリアジン-6-イルアミノ]ウンデカン、3,9-ビス〔1,1-ジメチル-2-{トリス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジルオキシカルボニル)ブチルカルボニルオキシ}エチル〕-2,4,8,10-テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン、3,9-ビス〔1,1-ジメチル-2-{トリス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジルオキシカルボニル)ブチルカルボニルオキシ}エチル〕-2,4,8,10-テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン、ビス(1-ウンデシルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)カーボネート、2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジルヘキサデカノエート、2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジルオクタデカノエート等が挙げられる。
【0058】
紫外線吸収剤としては、例えば、2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、5,5’-メチレンビス(2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン)等の2-ヒドロキシベンゾフェノン類;2-(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-5-tert-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-ブチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-3-tert-ブチル-5-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-3,5-ジクミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2’-メチレンビス(4-tert-オクチル-6-ベンゾトリアゾリルフェノール)、2-(2-ヒドロキシ-3-tert-ブチル-5-カルボキシフェニル)ベンゾトリアゾールのポリエチレングリコールエステル、2-〔2-ヒドロキシ-3-(2-アクリロイルオキシエチル)-5-メチルフェニル〕ベンゾトリアゾール、2-〔2-ヒドロキシ-3-(2-メタクリロイルオキシエチル)-5-tert-ブチルフェニル〕ベンゾトリアゾール、2-〔2-ヒドロキシ-3-(2-メタクリロイルオキシエチル)-5-tert-オクチルフェニル〕ベンゾトリアゾール、2-〔2-ヒドロキシ-3-(2-メタクリロイルオキシエチル)-5-tert-ブチルフェニル〕-5-クロロベンゾトリアゾール、2-〔2-ヒドロキシ-5-(2-メタクリロイルオキシエチル)フェニル〕ベンゾトリアゾール、2-〔2-ヒドロキシ-3-tert-ブチル-5-(2-メタクリロイルオキシエチル)フェニル〕ベンゾトリアゾール、2-〔2-ヒドロキシ-3-tert-アミル-5-(2-メタクリロイルオキシエチル)フェニル〕ベンゾトリアゾール、2-〔2-ヒドロキシ-3-tert-ブチル-5-(3-メタクリロイルオキシプロピル)フェニル〕-5-クロロベンゾトリアゾール、2-〔2-ヒドロキシ-4-(2-メタクリロイルオキシメチル)フェニル〕ベンゾトリアゾール、2-〔2-ヒドロキシ-4-(3-メタクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロピル)フェニル〕ベンゾトリアゾール、2-〔2-ヒドロキシ-4-(3-メタクリロイルオキシプロピル)フェニル〕ベンゾトリアゾール等の2-(2-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール類;フェニルサリシレート、レゾルシノールモノベンゾエート、2,4-ジ-tert-ブチルフェニル-3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート、オクチル(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシ)ベンゾエート、ドデシル(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシ)ベンゾエート、テトラデシル(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシ)ベンゾエート、ヘキサデシル(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシ)ベンゾエート、オクタデシル(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシ)ベンゾエート、ベヘニル(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシ)ベンゾエート等のベンゾエート類;2-エチル-2’-エトキシオキザニリド、2-エトキシ-4’-ドデシルオキザニリド等の置換オキザニリド類;エチル-α-シアノ-β,β-ジフェニルアクリレート、メチル-2-シアノ-3-メチル-3-(p-メトキシフェニル)アクリレート等のシアノアクリレート類;2-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-ヘキシルオキシフェノール、2-(2-ヒドロキシ-4-オクトキシフェニル)-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、トリオクチル-2,2’,2”-((1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリイル)トリス(3-ヒドロキシベンゼン-4-,1-ジイル)トリプロピオネート)、2-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-[2-(2-エチルヘキサノイルオキシ)エトキシ]フェノール、2,4,6-トリス(2-ヒドロキシ-4-ヘキシルオキシ-3-メチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、1,12-ビス[2-[4-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-3-ヒドロキシフェノキシ]エチル]ドデカンジオエート等のトリアジン類;各種の金属塩、または金属キレート、特にニッケル、クロムの塩、またはキレート類等が挙げられる。
【0059】
脂肪酸金属塩としては、例えば、直鎖または分岐状の脂肪酸残基を含む炭素原子数12~30の脂肪酸の金属塩等が挙げられる。脂肪酸金属塩を構成する金属イオンとしては、例えば、ナトリウムイオン、カリウムイオン、リチウムイオン、ジヒドロキシアルミニウムイオン、カルシウムイオン、亜鉛イオン、バリウムイオン、マグネシウムイオン、ヒドロキシアルミニウムイオン等が挙げられ、これらの中ではナトリウムイオン、カリウムイオン、リチウムイオン、カルシウムイオンが好ましい。脂肪酸金属塩を構成する脂肪酸としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキジン酸、アラキドン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、モンタン酸、メリシン酸等が挙げられ、これらの中ではミリスチン酸、ステアリン酸が好ましい。脂肪酸金属塩を構成する脂肪酸は、脂肪酸残基の水素原子のうち一または二以上が水酸基で置換されたものであってもよい。このような脂肪酸としては、例えば、12-ヒドロキシステアリン酸、12-ヒドロキシオレイン酸等が挙げられる。
【0060】
難燃剤としては、例えば、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、クレジル-2,6-ジキシレニルホスフェート、レゾルシノールビス(ジフェニルホスフェート)、(1-メチルエチリデン)-4,1-フェニレンテトラフェニルジホスフェート、1,3-フェニレンテトラキス(2,6-ジメチルフェニル)ホスフェート、株式会社ADEKA製の商品名「アデカスタブFP-500」、「アデカスタブFP-600」、「アデカスタブFP-800」の芳香族リン酸エステル、フェニルホスホン酸ジビニル、フェニルホスホン酸ジアリル、フェニルホスホン酸(1-ブテニル)等のホスホン酸エステル、ジフェニルホスフィン酸フェニル、ジフェニルホスフィン酸メチル、9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキシド誘導体等のホスフィン酸エステル、ビス(2-アリルフェノキシ)ホスファゼン、ジクレジルホスファゼン等のホスファゼン化合物、リン酸メラミン、ピロリン酸メラミン、ポリリン酸メラミン、ポリリン酸メラム、ポリリン酸アンモニウム、リン酸ピペラジン、ピロリン酸ピペラジン、ポリリン酸ピペラジン、リン含有ビニルベンジル化合物および赤リン等のリン系難燃剤、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等の金属水酸化物、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、臭素化フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ヘキサブロモベンゼン、ペンタブロモトルエン、エチレンビス(ペンタブロモフェニル)、エチレンビステトラブロモフタルイミド、1,2-ジブロモ-4-(1,2-ジブロモエチル)シクロヘキサン、テトラブロモシクロオクタン、ヘキサブロモシクロドデカン、ビス(トリブロモフェノキシ)エタン、臭素化ポリフェニレンエーテル、臭素化ポリスチレンおよび2,4,6-トリス(トリブロモフェノキシ)-1,3,5-トリアジン、トリブロモフェニルマレイミド、トリブロモフェニルアクリレート、トリブロモフェニルメタクリレート、テトラブロモビスフェノールA型ジメタクリレート、ペンタブロモベンジルアクリレート、および、臭素化スチレン等の臭素系難燃剤等が挙げられる。これら難燃剤は、フッ素樹脂等のドリップ防止剤や多価アルコール、ハイドロタルサイト等の難燃助剤と併用することが好ましい。
【0061】
滑剤としては、例えば、ステアリン酸アミド、ベヘン酸アミド等の飽和脂肪酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド等の不飽和脂肪酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、ブチルステアレート、グリセロールモノステアレート、ソルビタンモノパルミチテート、ソルビタンモノステアレート、ステアリン酸、ステアリルアルコール、マンニトール、硬化ひまし油等が挙げられる。
【0062】
充填剤としては、例えば、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、硫酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、ガラス粉末、ガラス繊維、クレー、ドロマイト、シリカ、アルミナ、チタン酸カリウムウィスカー、ワラステナイト、繊維状マグネシウムオキシサルフェート等を挙げることができ、粒子径(繊維状においては繊維径や繊維長およびアスペクト比)を適宜選択して用いることができる。これら充填剤の中では、剛性を付与する効果に優れ、かつ入手が容易であることから、タルクが特に好ましく用いられる。また、充填剤は、必要に応じて表面処理したものを用いることができる。
【0063】
ハイドロタルサイト類は、マグネシウム、アルミニウム、水酸基、炭酸基および任意の結晶水を含む複合塩化合物であればよく、天然物であっても合成物であってもよい。また、ハイドロタルサイト類の結晶構造、粒子形状および粒子サイズは特に限定されるものではない。さらに、ハイドロタルサイト類は、マグネシウムまたはアルミニウムの少なくとも一部がアルカリ金属や亜鉛等の他の金属で置換されたものであってもよく、水酸基や炭酸基の少なくとも一部が他のアニオン基で置換されたものであってもよい。さらにまた、ハイドロタルサイト類は、結晶水が脱水されたものであってもよく、表面がステアリン酸等の高級脂肪酸、オレイン酸アルカリ金属塩等の高級脂肪酸金属塩、ドデシルベンゼンスルホン酸アルカリ金属塩等の有機スルホン酸金属塩、高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸エステルまたはワックス等で被覆されたものであってもよい。
【0064】
帯電防止剤としては、例えば、非イオン性、アニオン性、カチオン性または両性の界面活性剤等による低分子型帯電防止剤、高分子化合物による高分子型帯電防止剤が挙げられる。非イオン性界面活性剤としては、高級アルコールエチレンオキシド付加物、脂肪酸エチレンオキシド付加物、高級アルキルアミンエチレンオキシド付加物、ポリオレフィングリコールエチレンオキシド付加物等のポリエチレングリコール型非イオン界面活性剤;ポリエチレンオキシド、グリセリンの脂肪酸エステル、ペンタエリスリットの脂肪酸エステル、ソルビット若しくはソルビタンの脂肪酸エステル、多価アルコールのアルキルエーテル、アルカノールアミンの脂肪族アミド等の多価アルコール型非イオン界面活性剤等が挙げられる。アニオン性界面活性剤としては、例えば、高級脂肪酸のアルカリ金属塩等のカルボン酸塩;高級アルコール硫酸エステル塩、高級アルキルエーテル硫酸エステル塩等の硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩、パラフィンスルホン酸塩等のスルホン酸塩;高級アルコールリン酸エステル塩等のリン酸エステル塩等が挙げられる。カチオン性界面活性剤としては、アルキルトリメチルアンモニウム塩等の第4級アンモニウム塩等が挙げられる。両性界面活性剤としては、高級アルキルアミノプロピオン酸塩等のアミノ酸型両性界面活性剤、高級アルキルジメチルベタイン、高級アルキルジヒドロキシエチルベタイン等のベタイン型両性界面活性剤等が挙げられる。これらの中ではアニオン性界面活性剤が好ましく、特に、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩、パラフィンスルホン酸塩等のスルホン酸塩が好ましい。
【0065】
高分子型帯電防止剤としては、アイオノマーやポリエチレングリコールを親水部とするブロックポリマー等が挙げられる。アイオノマーとしては、特開2010-132927号公報に記載のアイオノマーが挙げられる。ポリエチレングリコールを親水部とするポリマーとしては、例えば、特開平7-10989号公報に記載のポリエーテルエステルアミド、米国特許第6552131号公報に記載のポリオレフィンとポリエチレングリコールからなるポリマー、特開2016-023254号公報に記載のポリエステルとポリエチレングリコールからなるポリマー等が挙げられる。
【0066】
蛍光増白剤とは、太陽光や人工光の紫外線を吸収し、これを紫~青色の可視光線に変えて輻射する蛍光作用によって、成形体の白色度や青味を助長させる化合物である。蛍光増白剤としては、ベンゾオキサゾール系化合物C.I.Fluorescent Brightener184;クマリン系化合物C.I.Fluorescent Brightener52;ジアミノスチルベンジスルフォン酸系化合物C.I.Fluorescent Brightener24、85、71等が挙げられる。
【0067】
顔料は特に限定されるものではなく、市販の顔料を用いることもできる。顔料の具体例としては、例えば、ピグメントレッド1、2、3、9、10、17、22、23、31、38、41、48、49、88、90、97、112、119、122、123、144、149、166、168、169、170、171、177、179、180、184、185、192、200、202、209、215、216、217、220、223、224、226、227、228、240、254;ピグメントオレンジ13、31、34、36、38、43、46、48、49、51、52、55、59、60、61、62、64、65、71;ピグメントイエロー1、3、12、13、14、16、17、20、24、55、60、73、81、83、86、93、95、97、98、100、109、110、113、114、117、120、125、126、127、129、137、138、139、147、148、150、151、152、153、154、166、168、175、180、185;ピグメントグリーン7、10、36;ピグメントブルー15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:5、15:6、22、24、29、56、60、61、62、64;ピグメントバイオレット1、15、19、23、27、29、30、32、37、40、50等が挙げられる。
【0068】
染料としては、アゾ染料、アントラキノン染料、インジゴイド染料、トリアリールメタン染料、キサンテン染料、アリザリン染料、アクリジン染料、スチルベン染料、チアゾール染料、ナフトール染料、キノリン染料、ニトロ染料、インダミン染料、オキサジン染料、フタロシアニン染料、シアニン染料等が挙げられる。
【0069】
なお、本実施形態の樹脂組成物は、さらに、上記一般式(1)で表される化合物以外の化合物であって、熱可塑性樹脂に対して優れた結晶化促進作用を有する化合物(以下、「その他の核剤」と呼ぶ)を含むものであってもよい。ここで、その他の核剤としては、例えば、ナトリウム 2,2’-メチレンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスフェート、リチウム 2,2’-メチレンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスフェート、ジヒドロキシアルミニウム 2,2’-メチレンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスフェート、ヒドロキシアルミニウム ビス[2,2’-メチレンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスフェート]などの芳香族リン酸エステル金属塩、安息香酸ナトリウム、4-tert-ブチル安息香酸アルミニウム塩、アジピン酸ナトリウム、2ナトリウムビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2,3-ジカルボキシレート、カルシウムシクロヘキサン-1,2-ジカルボキシレート等のカルボン酸金属塩、ジベンジリデンソルビトール、ビス(メチルベンジリデン)ソルビトール、ビス(3,4-ジメチルベンジリデン)ソルビトール、ビス(p-エチルベンジリデン)ソルビトール、ビス(ジメチルベンジリデン)ソルビトール、1,2,3-トリデオキシ-4,6:5,7-o-ビス(4-プロピルベンジリデン)ノニトール等のポリオール誘導体、N,N’,N”-トリス[2-メチルシクロヘキシル]-1,2,3-プロパントリカルボキサミド、N,N’,N”-トリシクロヘキシル-1,3,5-ベンゼントリカルボキサミド、N,N’-ジシクロヘキシルナフタレンジカルボキサミド、1,3,5-トリ(ジメチルイソプロポイルアミノ)ベンゼン等のアミド化合物などが挙げられる。なお、本実施形態の樹脂組成物は、上記その他の核剤を含まないものであってもよい。
【0070】
本実施形態の樹脂組成物を製造する方法としては、特に限定されるものではなく、例えば、熱可塑性樹脂の粉末若しくはペレット、上記一般式(1)で表される化合物および必要に応じて上述したその他の添加剤を配合し、FMミキサー、ミルロール、バンバリーミキサー、スーパーミキサー等の混合装置を用いてドライブレンドする方法、熱可塑性樹脂の粉末若しくはペレット、一般式(1)で表される化合物および必要に応じてその他の添加剤を配合し、ドライブレンドして得られた混合物を単軸押出機や二軸押出機等の溶融混練装置を用いて、例えば120~350℃で、溶融混練する方法などが挙げられる。ここで、溶融混練によって得られた混練物は、例えばペレタイザー等の造粒装置を用いて、ペレット状などの形状に造粒されてもよい。
【0071】
なお、上記一般式(1)で表される化合物は、当該化合物および上述したその他の添加剤のうち一種または二種以上を含む添加剤組成物として配合されてもよく、熱可塑性樹脂、一般式(1)で表される化合物および必要に応じてその他の添加剤のうち一種または二種以上を含む添加剤マスターバッチとして配合されてもよい。ここで、添加剤組成物は、バインダー、ワックス、溶剤、シリカ等の造粒助剤がさらに配合され、造粒されたワンパック添加剤組成物であってもよい。
【0072】
また、上記一般式(1)で表される化合物および上述したその他の添加剤のうち少なくとも一つの成分が、熱可塑性樹脂モノマーまたはオリゴマーの重合前または重合中に添加され、得られた重合体に残りの成分が添加されてもよい。
【0073】
<成形品>
次に、成形品について説明する。本実施形態の成形品は、上述した樹脂組成物を成形して得られる。
【0074】
本実施形態の成形品は、耐熱性、剛性、透明性などの特性が優れたものとなる。
【0075】
本実施形態の成形品としては、例えば、射出成形品、繊維、フラットヤーン、二軸延伸フィルム、一軸延伸フィルム、無延伸フィルム、シート、サーモフォーミング成形品、押出ブロー成形品、射出ブロー成形品、射出延伸ブロー成形品、異形押出成形品、回転成形品等が挙げられる。本実施形態の成形品として、さらに具体的には、自動車外装部品、自動車内装部品、筐体、容器、配管等が挙げられる。
【0076】
本実施形態の成形品を成形する方法は特に限定されるものではなく、例えば、射出成形法、押出成形法、ブロー成形法、回転成形、真空成形法、インフレーション成形法、カレンダー成形法、スラッシュ成形法、ディップ成形法、サーモフォーミング成形法等の方法が挙げられる。
【0077】
<熱可塑性樹脂の結晶化の促進方法>
次に、熱可塑性樹脂の結晶化の促進方法について説明する。本実施形態の熱可塑性樹脂の結晶化の促進方法は、熱可塑性樹脂の結晶化を促進する方法であって、上記一般式(1)で表される化合物を、熱可塑性樹脂用核剤として使用する方法である。ただし、熱可塑性樹脂から、ポリオレフィン系樹脂は除かれる。
【0078】
本実施形態の熱可塑性樹脂の結晶化の促進方法によれば、ポリオレフィン系樹脂以外の熱可塑性樹脂の結晶化を促進することができる。その結果、熱可塑性樹脂の結晶化の促進方法によれば、ポリオレフィン系樹脂以外の熱可塑性樹脂を含む樹脂組成物からなる成形品に、耐熱性、剛性、透明性などの特性を付与することができる。
【0079】
本実施形態の熱可塑性樹脂の結晶化を促進する方法において、熱可塑性樹脂は、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂またはポリ乳酸系樹脂を含むことが好ましく、ポリアミド系樹脂またはポリエステル系樹脂を含むことがより好ましい。
【0080】
本実施形態の熱可塑性樹脂の結晶化を促進する方法において、熱可塑性樹脂は、さらに具体的には、ポリアミド6(PA6)、ポリアミド66(PA66)、ポリアミド11(PA11)、ポリアミド12(PA12)、ポリアミド9T(PA9T)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)またはポリ乳酸(PLA)を含むことが好ましく、ポリアミド6(PA6)、ポリアミド66(PA66)、ポリアミド11(PA11)、ポリアミド12(PA12)、ポリアミド9T(PA9T)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)またはポリエチレンナフタレート(PEN)を含むことがより好ましく、ポリアミド6(PA6)、ポリアミド66(PA66)、ポリエチレンテレフタレート(PET)またはポリブチレンテレフタレート(PBT)を含むことがさらに好ましく、ポリアミド6(PA6)、ポリアミド66(PA66)またはポリエチレンテレフタレート(PET)を含むことがさらに一層好ましく、ポリアミド6(PA6)またはポリエチレンテレフタレート(PET)を含むことが特に好ましい。
【実施例0081】
以下、実施例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例によって何ら制限を受けるものではない。
【0082】
<樹脂組成物の製造>
(実施例1~70および比較例1~10)
表1~10に示す熱可塑性樹脂および一般式(1)で表される化合物を表1~10に示す配合量配合して、FMミキサー(三井鉱山社製 FM200)を用いて1000rpmで1分間混合した。得られた混合物を単軸押出機(東洋精機製作所社製 ラボプラストミルマイクロ)に投入し、表1~10に示す溶融温度、スクリュー速度200rpmの条件で溶融混練した後、造粒して樹脂ペレットを得た。得られた樹脂ペレットを60℃で8時間乾燥させたものを、実施例1~70および比較例1~10の樹脂組成物とした。なお、表1~10において、熱可塑性樹脂および一般式(1)で表される化合物の配合量の単位は質量部である。
【0083】
本実施例において使用した熱可塑性樹脂は、以下の通りである。
PA6:ポリアミド6(東レ社製、商品名「アミランCM1017」)
PA66:ポリアミド66(東レ社製、商品名「アミランCM3001-N」)
PA11:ポリアミド11(アルケマ社製、商品名「リルサンBESN P20 TL」)
PA12:ポリアミド12(UBE社製、商品名「UBESTA3024U」)
PA9T:ポリアミド9T(クラレ社製、商品名「ジェネスタN1000A」)
PET:ポリエチレンテレフタレート(帝人社製、商品名「TRN-8550FF」)
PTT:ポリトリメチレンテレフタレート(デュポン社製、商品名「ソロナEP3301 NC010」)
PBT:ポリブチレンテレフタレート(ポリプラスチックス社製、商品名「ジュラネックス2002」)
PEN:ポリエチレンナフタレート(帝人社製、商品名「テオネックスTN8050SC」)
PLA:ポリ乳酸(ネイチャーワークス社製、商品名「インジオ バイオポリマー2003D」)
【0084】
また、表1~10において、一般式(1)で表される化合物の「立体構造」とはアスパラギン酸残基の立体構造を表し、Zは以下の基を表す。
【0085】
【0086】
<特性評価>
実施例1~70および比較例1~10の樹脂組成物の結晶化温度を、示差走査熱量測定装置(パーキンエルマー社製、装置名「ダイアモンド」)を用いて測定した。ここで、結晶化温度は、窒素雰囲気下、室温から50℃/minの速度で300℃まで昇温し、5分間保持後、10℃/minの速度で50℃まで冷却した際に、冷却過程にて観測された発熱ピークの温度(℃)として求めた。一般式(1)で表される化合物未添加のポリマーと比較して、結晶化温度が高くなった場合を○とした。結果を表1~10中の結晶化促進作用の欄に併記する。
【0087】
【表1】
※1:一般式(1)で表される化合物の配合量
※2:製造時の溶融温度
【0088】
【0089】
【0090】
【0091】
【0092】
【0093】
【0094】
【0095】
【0096】
【0097】
上記測定の結果、実施例1~7、実施例8~14、実施例15~21、実施例22~28、実施例29~35、実施例36~42、実施例43~49、実施例50~56、実施例57~63および実施例64~70の樹脂組成物は、それぞれ比較例1、比較例2、比較例3、比較例4、比較例5、比較例6、比較例7、比較例8、比較例9および比較例10の樹脂組成物と比べて、結晶化温度が高くなることが明らかになった。したがって、実施例1~70の樹脂組成物において、一般式(1)で表される化合物が熱可塑性樹脂用核剤として作用し、熱可塑性樹脂の結晶化が促進されていることがわかった。
【0098】
以上より、本発明の熱可塑性樹脂用核剤は、ポリオレフィン系樹脂以外の熱可塑性樹脂に対して優れた結晶化促進作用を有することが確認された。