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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024051856
(43)【公開日】2024-04-11
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/822 20060101AFI20240404BHJP
   H10B 12/00 20230101ALI20240404BHJP
【FI】
H01L27/04 C
H01L27/108 625A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022158225
(22)【出願日】2022-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】308033711
【氏名又は名称】ラピスセミコンダクタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】谷畑 篤史
【テーマコード(参考)】
5F038
5F083
【Fターム(参考)】
5F038AC02
5F038AC03
5F038AC04
5F038AC05
5F038AC10
5F038AC15
5F038AC18
5F038AV06
5F083AD17
5F083GA19
5F083JA02
5F083JA39
5F083PR03
5F083PR12
(57)【要約】
【課題】本開示は、トレンチの一部分への電界集中を緩和することを目的とする。
【解決手段】半導体装置は、基板と、前記基板に形成されたトレンチと、前記基板の表面側において、前記トレンチの周囲を囲むように形成された拡散層と、前記基板及び前記拡散層の一部が酸化されることで前記トレンチの内壁に形成された第1酸化膜と、前記第1酸化膜が形成された前記トレンチに挿入された第1電極と、前記基板、前記拡散層、及び前記第1電極上に形成された第2酸化膜と、前記第2酸化膜上に形成された第2電極と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板に形成されたトレンチと、
前記基板の表面側において、前記トレンチの周囲を囲むように形成された拡散層と、
前記基板及び前記拡散層の一部が酸化されることで前記トレンチの内壁に形成された第1酸化膜と、
前記第1酸化膜が形成された前記トレンチに挿入された第1電極と、
前記基板、前記拡散層、及び前記第1電極上に形成された第2酸化膜と、
前記第2酸化膜上に形成された第2電極と、
を備える、
半導体装置。
【請求項2】
前記第2電極は、電圧が印加されたことに基づいて、前記拡散層の周囲から前記トレンチに対して反対方向に空乏層を形成する、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第2電極は、前記拡散層の周囲を囲むように形成された、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記トレンチ及び前記拡散層は、平面視にて矩形状に形成され、
前記第2電極は、前記拡散層の四隅を覆うように形成された、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記拡散層と前記第2電極とは、積層方向において重なり合う部分を有する、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記基板は、P型の半導体であり、
前記拡散層、前記第1電極、及び前記第2電極は、N型の半導体である、
請求項1に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、トレンチキャパシタを有する半導体装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-351856号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、トレンチキャパシタを有する半導体装置では、トレンチの内壁に絶縁膜として熱酸化膜が形成されることが多い。この場合、トレンチの開口側において断面形状が角張る部分は、他の部分に比べてSi(シリコン)原子が少なく、Siの酸化レートが遅いために酸化後は尖って鋭角となる。これにより、トレンチキャパシタを有する従来の半導体装置では、当該角張る部分が鋭角となることで電界が集中して耐圧が低下する問題があった。
【0005】
そこで、本開示は、トレンチの一部分への電界集中を緩和することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の半導体装置は、基板と、前記基板に形成されたトレンチと、前記基板の表面側において、前記トレンチの周囲を囲むように形成された拡散層と、前記基板及び前記拡散層の一部が酸化されることで前記トレンチの内壁に形成された第1酸化膜と、前記第1酸化膜が形成された前記トレンチに挿入された第1電極と、前記基板、前記拡散層、及び前記第1電極上に形成された第2酸化膜と、前記第2酸化膜上に形成された第2電極と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、トレンチの一部分への電界集中を緩和することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1の実施形態に係る半導体装置の平面図である。
図2図1のA-A線における断面図である。
図3】従来の半導体装置の平面図である。
図4図3のX-X線における断面図である。
図5図4の二点鎖線で囲まれた部分を拡大して示す図である。
図6】第2の実施形態に係る半導体装置の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施形態の例を、図面を参照しつつ説明する。なお、各図面において同一又は等価な構成要素及び部分には同一の参照符号を付与している。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
【0010】
(第1の実施形態)
まず、本実施形態の第1の実施形態について説明する。
図1は、第1の実施形態に係るトレンチキャパシタTCを有する半導体装置10の平面図である。半導体装置10は、一例として、DRAM(Dynamic Random Access Memory)である。
【0011】
図1に示すように、半導体装置10は、基板20と、トレンチ22と、拡散層24と、熱酸化膜26と、第1電極28と、第2電極30と、を備える。
【0012】
基板20は、例えば、P型のSi(シリコン)基板から構成され、平面視にて長方形状を呈する。基板20は、カソード電極として機能する。
【0013】
トレンチ22は、基板20に対し、ドライエッチングによってトレンチ加工を行うことにより形成される。一例として、トレンチ22は、基板20の中央部に形成されており、平面視にて長方形状を呈する。
【0014】
拡散層24は、基板20の表面側において、トレンチ22の周囲を囲むように形成された、N型の不純物が比較的高濃度で拡散された半導体層(N+層)である。ここで、基板20の表面側とは、トレンチ22の開口側又はゲート電極となる第2電極30が形成される側、と言うこともできる。拡散層24は、公知のイオン注入技術を用いて、基板20の表面部分に形成される。基板20(図2参照)及び拡散層24には、タングステン等の導電体から構成されるコンタクトC1が接続されている。
【0015】
熱酸化膜26は、公知の熱酸化法により、基板20及び拡散層24の一部が酸化されることでトレンチ22の内壁に形成される。熱酸化膜26はトレンチ22とともに、トレンチキャパシタTCを構成している。熱酸化膜26は「第1酸化膜」の一例である。
【0016】
第1電極28は、トレンチ22を埋め込むように、熱酸化膜26が形成されたトレンチ22に挿入されており、平面視にて長方形状を呈する。第1電極28は、N型のPoly-Si(ポリシリコン)から形成される。第1電極28には、タングステン等の導電体から構成されるコンタクトC2が接続されている。第1電極28は、アノード電極として機能する。
【0017】
第2電極30は、拡散層24の周囲を囲むように形成されたゲート電極である。第2電極30は、N型のPoly-Siから形成される。第2電極30には、タングステン等の導電体から構成されるコンタクトC3が接続されている。
【0018】
図2は、図1のA-A線における断面図である。
図2に示すように、基板20にはトレンチ22が形成されており、トレンチ22の内壁には熱酸化膜26が形成されている。また、熱酸化膜26が形成されたトレンチ22には、第1電極28が挿入されている。
【0019】
基板20、拡散層24、及び第1電極28上には、ゲート酸化膜32が形成されている。なお、図1では、説明の都合上、ゲート酸化膜32の図示を省略している。ゲート酸化膜32は「第2酸化膜」の一例である。
【0020】
ゲート酸化膜32は、例えば、シリコン酸化膜から構成されている。そして、図2に示すように、第2電極30は、ゲート酸化膜32上に形成されている。また、拡散層24と第2電極30とは、半導体装置10の積層方向において重なり合う部分を有している。
【0021】
次に、トレンチキャパシタTCを有する従来の半導体装置(以下、「従来装置100」とする)について説明する。図3は、従来装置100の平面図である。
【0022】
図3に示すように、従来装置100は、基板200と、トレンチ220と、拡散層240と、熱酸化膜260と、第1電極280と、を備える。なお、従来装置100における基板200、トレンチ220、拡散層240、熱酸化膜260、及び第1電極280の構成は、半導体装置10における基板20、トレンチ22、拡散層24、熱酸化膜26、及び第1電極28の構成と共通のため、説明を省略する。
【0023】
図4は、図3のX-X線における断面図である。
図4に示すように、基板200にはトレンチ220が形成されており、トレンチ220の内壁には熱酸化膜260が形成されている。また、熱酸化膜260が形成されたトレンチ220には、第1電極280が挿入されている。そして、基板200及び拡散層240にはコンタクトC10が接続され、第1電極280にはコンタクトC11が接続されている。コンタクトC10及びコンタクトC11は、一例として、タングステン等の導電体から構成される。
【0024】
ここで、コンタクトC11に+の電圧Vg(Vg>0V)を印加し、コンタクトC10に0Vを印加する。これにより、コンタクトC11を介して第1電極280へと電子が流れて、トレンチキャパシタTCへ電子が蓄積される。
【0025】
図5は、図4の二点鎖線で囲まれた部分を拡大して示す図である。
上記のように、従来装置100では、トレンチ220の内壁に絶縁膜として熱酸化膜260が形成されている。この場合、基板200の表面側、すなわち、トレンチ220の開口側において断面形状が角張る部分(以下、「角部300」とする)は、他の部分に比べてSi原子が少なく、Siの酸化レートが遅いために酸化後は尖って鋭角となる(図5参照)。また、角部300には、N型の不純物が比較的高濃度で拡散された半導体層(N+層)である拡散層240が隣接している。これにより、従来装置100では、鋭角な角部300への電界集中により耐圧が低下する問題があった。
【0026】
これに対し、第1の実施形態に係る半導体装置10では、基板20、拡散層24及び第1電極28上にゲート酸化膜32が形成され、ゲート酸化膜32上に第2電極30が形成されていることで、トレンチ22の開口側において断面形状が角張る部分(以下、「トレンチ22の角部」とする)への電界集中を緩和することができる。
【0027】
半導体装置10では、コンタクトC2に+の電圧Vg(Vg>0V)、コンタクトC1に0Vが印加されると、コンタクトC2を介して第1電極28へと電子が流れて、トレンチキャパシタTCへ電子が蓄積される。このとき、半導体装置10では、コンタクトC1及びコンタクトC2へ電圧を印可する際に、コンタクトC3に+の電圧Vg(Vg>0V)が印加される。これにより、半導体装置10では、コンタクトC3を介して電圧が印加された第2電極30により、拡散層24の周囲からトレンチ22に対して反対方向(図2において矢印Yで示す方向)に空乏層40が形成される。なお、コンタクトC3に印加される電圧は特に限定されず、ゲート酸化膜32の膜厚に応じた+の電圧が印可される。
【0028】
半導体装置10では、空乏層40が形成されることで、電子分布がトレンチ22の角部から離れる方向(矢印Y方向)に広がる。これにより、半導体装置10によれば、従来装置100に比べて、トレンチ22の一部分、具体的には、トレンチ22の角部への電界集中を緩和することができる。
【0029】
また、半導体装置10では、第2電極30は、拡散層24の周囲を囲むように形成されている。これにより、半導体装置10によれば、コンタクトC3に+の電圧Vg(Vg>0V)が印加されたことに基づいて、拡散層24の周囲を囲むように空乏層40を形成することができる。
【0030】
また、半導体装置10では、拡散層24と第2電極30とは、積層方向において重なり合う部分を有する。これにより、半導体装置10によれば、拡散層24に連続する部分に空乏層40を形成することができる。
【0031】
また、半導体装置10では、基板20は、P型の半導体であり、拡散層24、第1電極28、及び第2電極30は、N型の半導体である。これにより、半導体装置10によれば、P型とN型とを逆にした場合に比べて、応答性を高めることができる。ただし、半導体装置10の構成はこれに限定されず、第1の実施形態の構成からP型とN型とを逆にしてもよい。
【0032】
また、第1の実施形態では、トレンチ22を平面視にて長方形状に形成したが、これに限らず、トレンチ22を平面視にて円形状に形成してもよい。
【0033】
(第2の実施形態)
次に、本実施形態の第2の実施形態について、第1の実施形態との重複部分を省略又は簡略しつつ説明する。
【0034】
図6は、第2の実施形態に係るトレンチキャパシタTCを有する半導体装置10の平面図である。なお、図6のB-B線における断面図は、コンタクトの参照符号を除いて図2と同様であるため図示を省略する。
【0035】
図6に示すように、半導体装置10は、基板20と、トレンチ22と、拡散層24と、熱酸化膜26と、第1電極28と、第2電極30と、を備える。
【0036】
ここで、第2の実施形態における第2電極30は、平面視にて略L字状を呈する第2電極30A、第2電極30B、第2電極30C、及び第2電極30Dから構成されている。そして、第2電極30は、拡散層24の四隅を覆うように形成されている。具体的には、図6に示すように、第2電極30Aは拡散層24の図中左下の隅を、第2電極30Bは拡散層24の図中右下の隅を、第2電極30Cは拡散層24の図中左上の隅を、第2電極30Dは拡散層24の図中右上の隅を覆っている。
【0037】
また、基板20及び拡散層24にはコンタクトC4が接続され、第1電極28にはコンタクトC5が接続され、第2電極30BにはコンタクトC6が接続されている。第2電極30AにはコンタクトC7が接続され、第2電極30CにはコンタクトC8が接続され、第2電極30DにはコンタクトC9が接続されている。コンタクトC4からコンタクトC9は、一例として、タングステン等の導電体から構成される。
【0038】
ここで、第2の実施形態に係る半導体装置10では、コンタクトC5に+の電圧Vg(Vg>0V)、コンタクトC4に0Vが印加されると、コンタクトC5を介して第1電極28へと電子が流れて、トレンチキャパシタTCへ電子が蓄積される。このとき、半導体装置10では、コンタクトC4及びコンタクトC5へ電圧を印可する際に、コンタクトC6からコンタクトC9にそれぞれ+の電圧Vg(Vg>0V)が印加される。これにより、半導体装置10では、コンタクトC6からコンタクトC9を介して電圧が印加された第2電極30Aから第2電極30Dにより、拡散層24の周囲からトレンチ22に対して反対方向(図2において矢印Yで示す方向)に空乏層40が形成される。これにより、第2の実施形態に係る半導体装置10では、第1の実施形態と同様、空乏層40が形成されることで電子分布がトレンチ22の角部から離れる方向に広がり、トレンチ22の角部への電界集中を緩和することができる。また、第2の実施形態に係る半導体装置10では、電界集中が特に強い拡散層24の四隅(トレンチ22の四隅)だけを第2電極30で覆うことで、トレンチ22の角部への電界集中を緩和しつつ、拡散層24の周囲を囲むように第2電極30を形成した場合よりも第2電極30の体積を減らすことができる。
【符号の説明】
【0039】
10 半導体装置
20 基板
22 トレンチ
24 拡散層
26 熱酸化膜(第1酸化膜)
28 第1電極
30 第2電極
32 ゲート酸化膜(第2酸化膜)
図1
図2
図3
図4
図5
図6