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特開2024-52031プログラム、電気自動車の充放電スケジュール管理方法、及び情報処理システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024052031
(43)【公開日】2024-04-11
(54)【発明の名称】プログラム、電気自動車の充放電スケジュール管理方法、及び情報処理システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/04 20230101AFI20240404BHJP
【FI】
G06Q10/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022158464
(22)【出願日】2022-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000183646
【氏名又は名称】出光興産株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】591030237
【氏名又は名称】BIPROGY株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000752
【氏名又は名称】弁理士法人朝日特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】畑 瞬介
(72)【発明者】
【氏名】木谷 王彦
(72)【発明者】
【氏名】野村 裕宗
(72)【発明者】
【氏名】吉田 怜
(72)【発明者】
【氏名】久米 洋輝
(72)【発明者】
【氏名】松岡 史哲
(72)【発明者】
【氏名】岡田 和也
(72)【発明者】
【氏名】寺本 憲人
(72)【発明者】
【氏名】阿部 航大
【テーマコード(参考)】
5L010
5L049
【Fターム(参考)】
5L010AA04
5L049AA04
(57)【要約】
【課題】電気自動車の充放電スケジュールを管理する。
【解決手段】サーバ10は、電気自動車を有する需要家がある期間において購入する購入電力量の予測を取得し、予測における購入電力量のピーク値が基準値を超えた場合、電気自動車の使用を抑制するための不使用情報を出力し、予測及び不使用情報に基づいて、購入電力量のピーク値が基準値を超えないように電気自動車の充放電スケジュールを決定する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータに、
電気自動車を有する需要家がある期間において購入する購入電力量の予測を取得するステップと、
前記予測における購入電力量のピーク値が基準値を超えた場合、前記電気自動車の使用を抑制するための不使用情報を出力するステップと、
前記予測及び前記不使用情報に基づいて、前記購入電力量のピーク値が前記基準値を超えないように前記電気自動車の充放電スケジュールを決定するステップと
を実行させるためのプログラム。
【請求項2】
前記電気自動車に関する情報を取得するステップ
を実行させ、
前記充放電スケジュールを決定するステップにおいて、前記電気自動車に関する情報、前記購入電力量の予測、及び前記不使用情報に基づいて前記電気自動車の充放電スケジュールが決定される
請求項1に記載のプログラム。
【請求項3】
前記電気自動車に関する情報が、当該電気自動車の予約を管理する管理システムにおける、当該電気自動車の前記期間における予約状況を含む
請求項2に記載のプログラム。
【請求項4】
前記管理システムにおいて前記期間のうち前記ピーク値に対応する時間帯に前記電気自動車の予約がされていない場合、前記需要家に電力を供給するため当該管理システムにおいて当該時間帯に当該電気自動車を予約するステップ
を実行させるための、請求項3に記載のプログラム。
【請求項5】
前記管理システムにおいて前記期間に前記電気自動車の予約がされている場合、前記不使用情報を出力するステップにおいて、当該管理システムに対して当該不使用情報が出力される
請求項3に記載のプログラム。
【請求項6】
前記管理システムにおいて前記期間のうち前記ピーク値に対応する時間帯に前記電気自動車の予約がされている場合、当該予約の変更なしで前記購入電力量のピーク値が前記基準値を超えないように前記充放電スケジュールを決定することが可能か判断するステップと、
前記予約の変更なしで前記購入電力量のピーク値が前記基準値を超えないように前記充放電スケジュールを決定することが可能であると判断された場合、前記需要家に電力を供給するため前記管理システムにおいて前記電気自動車を予約するステップと
請求項5に記載のプログラム。
【請求項7】
前記管理システムにおいて前記期間のうち前記ピーク値に対応する時間帯に前記電気自動車の予約がされている場合、当該予約の変更なしで前記購入電力量のピーク値が前記基準値を超えないように前記充放電スケジュールを決定することが可能か判断するステップと、
前記予約の変更なしで前記購入電力量のピーク値が前記基準値を超えないように前記充放電スケジュールを決定することが可能でないと判断された場合、当該予約をしたユーザに通知を送信するステップ
を実行させるための、請求項5に記載のプログラム。
【請求項8】
前記電気自動車に関する情報が、当該電気自動車の電池残量を含む
請求項2に記載のプログラム。
【請求項9】
前記電気自動車に関する情報が、当該電気自動車の走行実績を含む
請求項2に記載のプログラム。
【請求項10】
電力卸市場における価格の予測を取得するステップ
を実行させ、
前記充放電スケジュールを決定するステップにおいて、前記価格の予測、前記購入電力量の予測、及び前記不使用情報に基づいて前記電気自動車の充放電スケジュールが決定される
請求項1に記載のプログラム。
【請求項11】
前記需要家が発電機器を有し、
前記期間において前記発電機器が発電する発電量を予測するステップと、
前記発電量に基づいて前記購入電力量を予測するステップ
を実行させるための、請求項1に記載のプログラム。
【請求項12】
前記期間における前記需要家の電力需要を予測するステップと、
前記電力需要に基づいて前記購入電力量を予測するステップ
を実行させるための、請求項1に記載のプログラム。
【請求項13】
前記需要家が複数の電気自動車を有し、
前記複数の電気自動車のうち対象となる対象電気自動車を特定するステップ
を実行させ、
前記不使用情報を出力するステップにおいて、前記対象電気自動車の使用を抑制するための不使用情報が出力され、
前記充放電スケジュールを決定するステップにおいて、前記対象電気自動車の充放電スケジュールが決定される
請求項1に記載のプログラム。
【請求項14】
電気自動車を有する需要家がある期間において購入する購入電力量の予測を取得するステップと、
前記購入電力量のピーク値が基準値を超えた場合、前記電気自動車の使用を抑制するための不使用情報を出力するステップと、
前記予測及び前記不使用情報に基づいて、前記購入電力量のピーク値が前記基準値を超えないように前記電気自動車の充放電スケジュールを決定するステップと
を有する電気自動車の充放電スケジュール管理方法。
【請求項15】
電気自動車を有する需要家がある期間において購入する購入電力量の予測を取得する取得手段と、
前記購入電力量のピーク値が基準値を超えた場合、前記電気自動車の使用を抑制するための不使用情報を出力する出力手段と、
前記予測及び前記不使用情報に基づいて、前記購入電力量のピーク値が前記基準値を超えないように前記電気自動車の充放電スケジュールを決定する決定手段と
を有する情報処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気自動車の充放電スケジュールを管理する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
蓄電池を有する移動体の充電を制御する技術が知られている。例えば特許文献1には、蓄電池を有する移動体の充電を制御するシステムにおいて、契約電力の超過、移動体の蓄電池の充電量の不足といった事態を回避するため、天候の予報に基づいて太陽光発電設備の発電量を予測し、発電量の予測値と移動体の運行計画とに基づいて充放電計画を作成する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-44972号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の技術においては、需要家における購入電力量のピーク値が基準値を超えそうな場合において、ピークが予測される時間帯を含むある期間において電気自動車の使用予定があるときは電力購入量の調整をすることが難しかった。
【0005】
これに対し本発明は、電気自動車の充放電スケジュールを管理する技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、コンピュータに、電気自動車を有する需要家がある期間において購入する購入電力量の予測を取得するステップと、前記予測における購入電力量のピーク値が基準値を超えた場合、前記電気自動車の使用を抑制するための不使用情報を出力するステップと、前記予測及び前記不使用情報に基づいて、前記購入電力量のピーク値が前記基準値を超えないように前記電気自動車の充放電スケジュールを決定するステップとを実行させるためのプログラムを提供する。
【0007】
本開示の別の一態様は、電気自動車を有する需要家がある期間において購入する購入電力量の予測を取得するステップと、
前記購入電力量のピーク値が基準値を超えた場合、前記電気自動車の使用を抑制するための不使用情報を出力するステップと、
前記予測及び前記不使用情報に基づいて、前記購入電力量のピーク値が前記基準値を超えないように前記電気自動車の充放電スケジュールを決定するステップと
を有する電気自動車の充放電スケジュール管理方法を提供する。
【0008】
本開示のさらに別の一態様は、電気自動車を有する需要家がある期間において購入する購入電力量の予測を取得する取得手段と、前記購入電力量のピーク値が基準値を超えた場合、前記電気自動車の使用を抑制するための不使用情報を出力する出力手段と、前記予測及び前記不使用情報に基づいて、前記購入電力量のピーク値が前記基準値を超えないように前記電気自動車の充放電スケジュールを決定する決定手段とを有する情報処理システムを提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、電気自動車の充放電スケジュールを管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】一実施形態に係る電力制御システムの概要を示す図。
図2】電力制御システムの機能構成を例示する図。
図3】サーバのハードウェア構成を例示する図。
図4】電力制御システムの動作を例示するフローチャート。
図5】電力制御システムの動作を例示するフローチャート。
図6】購入電力量の予測値を例示する図。
図7】ユーザ端末に表示されるアラート情報を例示する図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
1.構成
図1は、一実施形態に係る電力制御システム1の概要を示す図である。電力制御システム1は、需要家Fにおける電気機器の動作を制御する。需要家Fとは、電気の供給を受けて使用している者をいい、一例においては工場である。需要家Fは、事務所、営業所、学校、又は病院など工場以外の事業所、若しくは一般家庭であってもよい。需要家Fは電気自動車EV、スマートメーターSM、発電装置PG、及びFEMS(Factory Energy Management System)コントローラCTRを有する。この例において、電力制御システム1は、電気自動車EVに備えられた蓄電池BTの動作を制御するものである。より具体的には、電力制御システム1は、購入電力のピーク値すなわち最大値がピークカット値を超えないように制御する。この処理をピークカット処理又は単にピークカットという。
【0012】
需要家Fにおいて、電気自動車EVは、蓄電池BTを備え、蓄電池BTに充電された電力を用いて動作する自動車である。電気自動車EVは、電力で動く四輪の自動車に限定されず、バイクなどの二輪の車であってもよい。需要家Fは、少なくとも1台の電気自動車EVを所有している。蓄電池BTは電力を蓄える装置である。スマートメーターSMは、通信機能を有する電子式電力量計である。すなわちスマートメーターSMは、需要家Fにおける消費電力を計測し、計測により得られた情報を、FEMSコントローラCTRを介してネットワーク上のサーバ(例えばサーバ10)に送信する。 発電装置PGは、再生可能エネルギーを用いて発電する設備である。再生可能エネルギーとは、非化石エネルギー源のうち、エネルギー源として永続的に利用できると認められるものをいい、例えば、太陽光、風力、水力、地熱、太陽熱、及び大気中の熱その他の自然界に存在する熱をいう。FEMSコントローラ CTRは、FEMSにおける制御装置である。FEMSとは、需要家において使用される電力を管理するシステムである。FEMSは、家電などのエネルギーを消費する設備と接続され、電気又はガスの使用量を可視化したり、電気設備を自動制御したりする機能を提供する。
【0013】
電力制御システム1は、サーバ10、ユーザ端末20、サーバ30、サーバ40、サーバ50、及びサーバ60を有する。サーバ10は、他のサーバから取得した情報を用いて、需要家Fにおける蓄電池BTの充放電スケジュールを決定する。ユーザ端末20は、例えば、需要家Fの工場において勤務する従業員などが所有する端末である。ユーザ端末20は、各種の予約が実行可能であって、各種情報の表示が可能である。ユーザ端末20は、ユーザがサーバ10にアクセスする際に用いられるコンピュータ装置である。サーバ30は、あらかじめ定められた期間において、需要家Fが購入する電力量を予測する。サーバ40は、電気自動車EVに係る情報を記憶している。サーバ50は、蓄電池BTの充電率(以下、SOC(State Of Charge)という)を予測する。サーバ60は、電力市場価格を決定する。
【0014】
図2は、電力制御システム1の機能構成を例示する図である。電力制御システム1は、EV予約システム2、購入電力量予測手段31、発電量予測手段32、電力需要予測手段33、EV情報記憶手段41、SOC予測手段51、価格決定手段61、取得手段201、判断手段202、生成手段203、出力手段204、取得手段205、判断手段206、判断手段207、予約手段208、取得手段209、生成手段210、判断手段211、送信手段213、取得手段214、決定手段215、指示手段216、記憶手段217、及び制御手段218を有する。この例において、EV予約システム2、取得手段201、判断手段202、生成手段203、出力手段204、取得手段205、判断手段206、判断手段207、予約手段208、取得手段209、生成手段210、判断手段211、生成手段212、送信手段213、取得手段214、決定手段215、指示手段216、記憶手段217、及び制御手段218はサーバ10に、購入電力量予測手段31、発電量予測手段32、及び電力需要予測手段33はサーバ30に、EV情報記憶手段41はサーバ40に、SOC予測手段51はサーバ50に、価格決定手段61はサーバ60に、それぞれ実装される。
【0015】
EV予約システム2は、電気自動車EVの予約を管理するシステムである。記憶手段217は、各種のデータ及びプログラムを記憶する。取得手段201は、サーバ30から、購入電力量の予測値を取得する。判断手段202は、購入電力量の予測値がピークカット値(基準値に相当する)以上であるかを判断する。生成手段203は、電気自動車EVの使用を抑制するための不使用情報を生成する。出力手段204は、不使用情報を出力する。取得手段205は、サーバ40から、電気自動車EVに係る情報(以下、EV情報という)を取得する。判断手段206は、購入電力量を予測する対象となっている期間(以下、予測対象期間という)に電気自動車EVの使用の予約があるかを判断する。判断手段207は、予測対象期間のうち購入電力量の予測値が連続的にピークカット値以上となる期間(以下、調整対象期間という)に電気自動車EVの使用の予約があるかを判断する。予測対象期間は例えば翌日24時間であり、調整対象期間は、そのうち購入電力量の予測値がピークカット値以上となる期間である。このように予測対象期間は調整対象期間を含む。1つの予測対象期間に複数の調整対象期間が含まれることがある。ピーク値に対応する期間とは、購入電力量の予測値がピークカット値以上となる期間を含む期間であり、予測対象期間がその一例である。予約手段208は、需要家Fに電力を供給するため、電気自動車EVの使用を予約する。 取得手段209は、サーバ50からSOCの予測値を取得する。生成手段210は、SOCの予測値を考慮したうえでの、購入電力量の予測値を生成する。判断手段211は、SOCの予測値を考慮した後の、購入電力量の予測値が、ピークカット値以上となる時間がないかを判断する。生成手段212は、アラート情報を生成する。送信手段213は、調整対象期間において電気自動車EVの予約をしているユーザのユーザ端末20に対して、アラート情報を送信する。取得手段214は、サーバ60から、電力市場価格を取得する。決定手段215は、蓄電池BTの充放電スケジュールを決定する。指示手段216は、蓄電池BTに、充放電スケジュールに沿った充放電の実行を指示する。制御手段218は、各種の制御を行う。
【0016】
購入電力量予測手段31は、あらかじめ定められた期間における、需要家Fが購入する電力量を予測する。発電量予測手段32は、あらかじめ定められた期間における、発電装置PGにおける発電量を予測する。電力需要予測手段33は、あらかじめ定められた期間における、需要家Fが必要とする電力量を予測する。EV情報記憶手段41は、電気自動車EVに係る情報を記憶している。SOC予測手段51は、蓄電池BTの充電率を予測する。価格決定手段61は、電力市場価格を決定する。
【0017】
図3は、サーバ10のハードウェア構成を例示する図である。サーバ10は、CPU(Central Processing Unit)101、メモリ102、ストレージ103、及び通信IF(Interface)104を有するコンピュータ装置である。CPU101は、プログラムに従って各種の演算を行い、他のハードウェア要素を制御する。メモリ102はCPU101がプログラムを実行する際のワークエリアとして機能する主記憶装置であり、例えばRAM(Random Access Memory)を含む。ストレージ103は、各種のデータ及びプログラムを記憶する補助記憶装置であり、例えばHDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)を含む。通信IF104は、所定の通信規格(例えばイーサネット)に従って他のコンピュータと通信する装置である。
【0018】
この例において、ストレージ103が記憶するプログラムには、コンピュータを電力制御システム1におけるサーバ10として機能させるためのプログラム(以下「サーバプログラム」という。)が含まれる。CPU101がサーバプログラムを実行している状態において、メモリ102及びストレージ103の少なくとも一方が記憶手段217の一例であり、通信IF104が取得手段201、出力手段204、取得手段205、取得手段209、送信手段213、取得手段214、及び指示手段216の一例であり、CPU101が判断手段202、生成手段203、判断手段206、判断手段207、予約手段208、生成手段210、判断手段211、生成手段212、決定手段215、及び制御手段218の一例である。
【0019】
図示は省略するが、サーバ30、サーバ40、サーバ50、及びサーバ60も、サーバ10と同様のハードウェア構成を有するコンピュータ装置であり、それぞれプログラムによって図2の機能が実装される。ユーザ端末20は、CPU、メモリ、ストレージ、通信IF、入力装置、及び出力装置を有するコンピュータ装置であり、例えばスマートフォン又はパーソナルコンピュータである。
【0020】
2.動作
本実施形態において、電力制御システム1は、需要家Fに、電気自動車EVに備わる蓄電池BTに蓄えられた電力を供給するシステムである。一般的に、電気使用料金の契約電力は、電力の使用履歴に基づいて決定され、具体的には、月次最大需要電力によって決定される。最大需要電力は、使用した電力のピーク値であって、このピーク値は、30分ごとの平均使用電力によって決定される。1か月の中で最も高い平均使用電力が、月次最大需要電力となる。直近12か月における月次最大需要電力の中で最も高い値が、翌月の契約電力となる。例えば、電力会社と電力を契約している需要家Fの契約電力が350kWである場合を想定する。この需要家Fのある月における月次最大需要電力が400kWであった場合、その翌月の契約電力は、400kWとなる。契約電力は、直近12か月における月次最大需要電力によって決定されるため、契約電力が1度高くなってしまうと、契約電力をすぐに下げることは困難である。したがって、電気使用料金の節約のため、月次最大需要電力が契約電力を超えないように、購入する電力量(以下、購入電力量という)を調整することが好ましい。本実施形態においては、需要家Fの購入電力量を調整するため、需要家Fが所有する施設(例えば工場など)に、需要家Fが所有する電気自動車EVに備えられた蓄電池BTの電力を供給する。通常の場合、電気自動車EVの蓄電池BTは、電気自動車EVを動かすため(すなわち乗用)に用いられる。この例では、購入電力量を低減するため、電気自動車EVを需要家Fの負荷(例えば工場設備等)において用いられる電力の供給源としても用いる(すなわち電源用)。すなわち本実施形態において、蓄電池BTは、電気自動車EVを動かすため、又は、需要家Fに電力を供給するために用いられる。
【0021】
図4及び図5は、電力制御システム1の動作を例示するフローチャートである。以下において、制御手段218などの機能要素を処理の主体として記載することがあるが、これは、サーバプログラム等のソフトウェアを実行しているCPU101等のハードウェア要素が、他のハードウェア要素と協働して処理を行うことを意味する。
【0022】
ステップS401において、取得手段201は、サーバ30から、予測対象期間における、需要家Fの購入電力量の予測値の時間変化を取得する。サーバ30の購入電力量予測手段31は、あらかじめ定められたタイミングにおいて、需要家Fの購入電力量を予測する。すなわち、サーバ30の購入電力量予測手段31は、購入電力量の予測値を生成する。あらかじめ定められたタイミングは、例えば、サーバ10などのサーバ30とは異なるコンピュータ装置から、購入電力量の予測の要求を受け付けたときである。購入電力量は、例えば、需要家Fが工場の設備を稼働させるために必要な電力量である。購入電力量の予測値は、図4における実線グラフに相当する。購入電力量の予測値は、サーバ30の発電量予測手段32において生成された発電量の予測値、及び、サーバ30の電力需要予測手段33において生成された電力需要の予測値を用いて生成される。購入電力量の予測値は、電力需要の予測値から発電量の予測値を引いた値である。なお、発電量の予測値が電力需要の予測値以上である場合、発電装置PGにおける発電量のみで電力の供給が可能であると予測されるため、購入電力量の予測値は0である。
【0023】
図6は、購入電力量の予測値を例示する図である。図6に示すグラフは、購入電力量の予測値を縦軸とし、時刻を横軸として構成されていて、予測対象期間は、2022年8月18日の0時から24時までである。図6に示す図において、実線グラフは、蓄電池BTの電力を需要家Fに供給しない場合においての、購入電力量の予測値の時間変化を示している。二点破線は、ピークカット値を示している。ピークカット値は、需要家Fの契約電力に基づいて決定された値であって、例えば、契約電力が示す電力量である。実線グラフ及びピークカット値を比べると、2022年8月18日の11時から16時まで、購入電力量の予測値はピークカット値以上である。点線グラフは、蓄電池BTの電力を需要家Fに供給する場合においての、購入電力量の予測値の時間変化を示している。需要家Fに供給される、蓄電池BTの電力は、電気自動車EVの予約状況、及び電気自動車EVのSOCによって決定される。点線グラフは、予測対象期間においては、どの時刻においても、購入電力量の予測値がピークカット値未満である。このように、需要家Fが購入する電力量が契約電力を超えないようにするため、購入電力量の予測値がピークカット値を下回ることが望ましい。
【0024】
ステップS402において、判断手段202は、予測対象期間において、購入電力量の予測値がピークカット値以上となる時間があるかを判断する。サーバ10は、購入電力量の予測値がピークカット値以上となる時間がある場合、ステップS403に処理を進める。サーバ10は、購入電力量の予測値がピークカット値以上となる時間がない場合、すなわち、購入電力量の予測値が予測対象期間において常にピークカット値未満である場合、ステップS414の処理に進む。
【0025】
ステップS403において、生成手段203は、不使用情報を生成する。予測対象期間において、不使用情報は、調整対象期間が存在するため、調整対象期間において電気自動車EVの予約を新たに受け付けないように、電気自動車EVの予約を管理するEV予約システム2に指示をするための情報である。不使用情報は、電気自動車EVを使用しないでほしい時間帯、及び調整対象期間においてピークカット値を超えてしまっている分の電力量を含んでいる。電気自動車EVを使用しないでほしい時間帯は、例えば調整対象期間ではないが、需要家Fへの電力の供給に余裕を持たせるために、調整対象期間の前後所定時間(例えば30分)なども含んでいてもよい。
【0026】
ステップS404において、出力手段204は、EV予約システム2に、ステップS403において生成された不使用情報を出力する。
【0027】
ステップS405において、取得手段205は、サーバ40から、EV情報を取得する。サーバ40のEV情報記憶手段41は、EV情報を記憶している。EV情報は、EV予約システム2における電気自動車EVの予約状況、蓄電池BTの現在のSOC、及び電気自動車EVの走行実績を含んでいる。需要家Fが複数台の電気自動車EVを所有している場合、蓄電池BTの現在のSOC、及び電気自動車EVの走行実績は、電気自動車EVごとの値である。電気自動車EVの予約状況は、予測対象期間において使用を予約されている電気自動車EVの予約状況であって、例えば、予約されている対象の電気自動車EVを一意に識別するための識別番号、その電気自動車EVを予約している予約者の氏名、及びその予約がされている時間を含んでいる。電気自動車EVの走行実績は、例えば、過去に走行した距離の合計、及び過去に走行した時間の合計を含んでいる。需要家Fが複数台の電気自動車EVを所有している場合、取得手段205は、需要家Fが所有する電気自動車EVそれぞれについてEV情報を取得する。
【0028】
以下に示すステップS406~ステップS413の処理は、需要家Fが所有する電気自動車Hの台数の分だけ繰り返し行われる。例えば、ステップS405において、10台の電気自動車に関するEV情報が取得された場合、その10台について、ステップS406~ステップS413の処理が行われる。具体的には、例えば、電気自動車EVの識別番号(不図示)が小さい電気自動車EVから順に処理の対象となる1台の電気自動車EVが特定され、特定された電気自動車EVについてステップS406~ステップS413の処理が行われる。
【0029】
ステップS406において、判断手段206は、ステップS405において取得された予約状況を参照し、予測対象期間に電気自動車EVを使用する予約(以下、EV予約という)があるかを判断する。サーバ10は、予測対象期間にEV予約がある場合、ステップS407に処理を進める。サーバ10は、予測対象期間にEV予約がない場合、ステップS408に処理を進める。
【0030】
ステップS407において、判断手段207は、ステップS405において取得された予約状況を参照し、調整対象期間にEV予約がないかを判断する。サーバ10は、調整対象期間にEV予約がない場合、ステップS409に処理を進める。サーバ10は、調整対象期間にEV予約がある場合、ステップS412に処理を進める。
【0031】
ステップS408において、予約手段208は、蓄電池BTから需要家Fに電力を供給するため、調整対象期間においてEV予約されていない電気自動車EVを予約する。需要家Fに電力を供給するための電気自動車EVの予約は、EV予約システム2に対して実行される。すなわち、予約手段208は、EV予約システム2に対し、電気自動車EVの予約を依頼する。EV予約システム2は、この依頼に応じて予約を行う。
【0032】
ステップS409において、取得手段209は、サーバ50から、SOCの予測値を取得する。サーバ50のSOC予測手段51は、蓄電池BTの、調整対象期間におけるSOCを予測する。すなわち、SOC予測手段51は、SOCの予測値を生成する。サーバ50のSOC予測手段51は、あらかじめ定められたタイミングにおいて、電気自動車EVのSOCを予測する。あらけじめ定められたタイミングは、例えば、サーバ10などのサーバ50とは異なるコンピュータ装置から、SOCの予測の要求を受け付けたときである。SOCの予測値は、例えば、走行実績、現在から調整対象期間に至るまでの間の予約状況、及び現在のSOCを用いて計算される。
【0033】
ステップS410において、生成手段210は、ステップS409で取得されたSOCの予測値が考慮された、購入電力量の予測値(以下、調整済予測値という)を生成する。調整済予測値は、図6における点線グラフに相当する。
【0034】
ステップS411において、判断手段211は、調整対象期間において調整済予測値がピークカット値以上となる時間がないかを判断する。すなわち、判断手段211は、電気自動車EVの使用の予約の変更なしで購入電力量のピーク値がピークカット値を超えないように充放電スケジュールを決定することが可能かを判断する。サーバ10は、調整済予測値がピークカット値以上となる時間がない場合、すなわち、調整済予測値が調整対象期間において常にピークカット値未満である場合、ステップS408に処理を進める。サーバ10は、調整済予測値がピークカット値以上となる時間がある場合、ステップS412に処理を進める。
【0035】
ステップS412において、生成手段212は、アラート情報を生成する。アラート情報は、電気自動車EVの予約に係る情報を含んでいる。この例において、電気自動車EVの用途として、乗用よりも電源用が強制的に優先されることが、需要家Fにおいて定められている。そこで、ステップS412の段階において、予約手段208は、予約システム2に対し、強制予約の要求を送信する。 この要求は、強制予約の対象となる電気自動車EVの識別情報、予約開始時刻及び終了時刻、並びに強制予約である旨(又は電源利用である旨)のコードを含む。この要求を受けた予約システム2は、対象となる時間帯に既に入っている乗用の予約を強制的にキャンセルし、電源用の予約を設定する。乗用の予約のキャンセル及び電源用の予約の追加が完了すると、生成手段212は、キャンセルされた乗用の予約をしていたユーザに対応するユーザ端末20に向けたアラート情報を生成する。
【0036】
なお電気自動車EVの予約において、乗用と電源用との予約の関係は、需要家F又は電力制御システム1の管理者が任意に設定することができる。例えば、乗用と電源用との予約の関係は、電源用が乗用よりも優先されるものの、乗用の予約の強制キャンセルまでは行わない関係に設定されてもよい。この場合、生成手段212は、乗用の予約をしているユーザに対応するユーザ端末20に向け、キャンセルを促すアラート情報を生成する。
【0037】
ステップS413において、送信手段213は、ユーザ端末20に、アラート情報を送信する。ユーザ端末20は、アラート情報を表示する。
【0038】
図7は、ユーザ端末20に表示されるアラート情報を例示する図である。図7に示す図は、アラート情報701~703で構成されている。アラート情報701は、乗用よりも電源用の予約が強制的に優先される場合のアラート情報の例である。アラート情報701は、「電力逼迫のため、以下のEV予約はキャンセルされました。」というメッセージと、「予約されていた時間:2022年8月18日 11:00-14:00」という時間とを含んでいる。アラート情報701のようなメッセージがユーザ端末20に表示されることによって、ユーザは、ユーザ自身がしていたEV予約がキャンセルされたことを把握することができる。
【0039】
アラート情報702は、乗用よりも電源用の予約が優先されものの、乗用の予約の強制キャンセルまでは行われない場合のアラート情報の例である。アラート情報702は、「電力逼迫のため、以下のEV予約のキャンセルをお願いします。」というメッセージと、「現在の予約時間:2022年8月18日 11:00-14:00」という時間とを含んでいる。メッセージ下部には、予約をキャンセルするためのボタンが表示されていて、ユーザはこのボタンを押下すると、予約のキャンセル操作に進むことができる。アラート情報702のようなメッセージがユーザ端末20に表示されることによって、電力制御システム1は、ユーザに対して、調整対象期間におけるEV予約のキャンセルを促すことができる。
【0040】
アラート情報703は、乗用よりも電源用の予約が優先されものの、乗用の予約の強制キャンセルまでは行われない場合のアラート情報の別の例である。アラート情報703は、「電力逼迫のため、以下のEV予約の時間変更をお願いします。」というメッセージと、「現在の予約時間:2022年8月18日 11:00-14:00 避けるべき時間:2022年8月18日 11:00-16:00」という時間とを含んでいる。メッセージ下部には、予約時間を変更するためのボタンが表示されていて、ユーザはこのボタンを押下すると、予約時間の変更操作に進むことができる。アラート情報703のようなメッセージがユーザ端末20に表示されることによって、電力制御システム1は、ユーザに対して、調整対象期間におけるEV予約の時間変更を促すことができる。
【0041】
ステップS414において、取得手段214は、サーバ60から、電力市場価格を取得する。サーバ60の価格決定手段61は、電力市場価格を決定する。サーバ60の価格決定手段61は、あらかじめ定められたタイミングにおいて、予測対象期間(ある期間に相当する)における電力市場価格の時間変化を決定する。あらかじめ定められたタイミングは、例えば、サーバ10などのサーバ60とは異なるコンピュータ装置から、電力市場価格の決定の要求を受け付けたときである。電力市場価格は、所定の時間分解能(例えば30分毎)で決定される。一例において、ここで決定される電力市場価格はJPEX(Japan Electric Power Exchange、日本卸電力取引所)における取引価格である。
【0042】
ステップS415において、決定手段215は、ステップS405で取得されたEV情報、ステップS409で取得されたSOCの予測値、不使用情報、及び購入電力量の予測に基づいて、蓄電池BTの充放電スケジュールを決定する。充放電スケジュールとは、蓄電池BTの充電及び放電のスケジュールのことである。蓄電池BTの充電は、あらかじめ定められた充電システム(不図示)において実行される。蓄電池BTの放電は、電気自動車EVを動かすため、又は、需要家Fに電力を供給するために実行される。購入電力量の予測は、購入電力量の予測値、又は調整済予測値に相当する。決定手段215は、充放電スケジュールを最適化するように決定する。充放電スケジュールを最適化するとは、予測対象期間において、購入電力量の予測値又は調整済予測値がピークカット値を下回る(「購入電力量のピーク値が基準値を超えない」に相当する)ようにしつつ、予測対象期間において購入する電力に係る費用が最も安くなるように、充放電スケジュールを決定することをいう。予測対象期間において購入する電力に係る費用は、ステップS414において取得された電力市場価格を用いて計算される。また、なるべく少ない数の蓄電池BTから需要家Fに電力が供給されるように、ステップS409において取得されたSOCの予測値がより大きい蓄電池BTが需要家Fに供給されるようにスケジュールされてもよい。なるべく少ない数の蓄電池BTから需要家Fに電力が供給されることによって、蓄電池BTから需要家Fに電力を供給しつつ、調整対象期間において使用できる電気自動車EVの台数も最大限に確保することができる。なお、決定手段215は、蓄電池BTを使用しても、購入電力量の予測値又は調整済予測値がピークカット値以上となってしまう場合、購入電力量の予測値又は調整済予測値が購入電力量のピーク値が最大限下がるように、充放電スケジュールを決定する。
【0043】
ステップS416において、指示手段216は、蓄電池BTに、ステップS414において決定された充放電スケジュールに従った充放電の実行を指示する。購入電力量の予測値又は調整済予測値がピークカット値を下回るように決定された充放電スケジュールに従って蓄電池BTの充放電が実行されることによって、電気使用料金の基本料金の値上げを抑制することができる。
【0044】
3.変形例
本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく種々の変形実施が可能である。以下、変形例をいくつか説明する。以下の変形例に記載した事項のうち2つ以上のものが組み合わせて適用されてもよい。
【0045】
予測対象期間の長さ及び調整対象期間の最小単位は実施形態の例に限定されない。予測対象期間は、例えば電力需要の予測精度、発電量の予測精度、及び電力市場価格の決定周期などの要因に応じて決定される。また、調整対象期間の最小単位は、例えば、電力会社との契約における電力のピーク値の定義に応じて決定される。以上の事項に基づき、図6に示すグラフの横軸は、時刻であることに限定されず、日付であってもよい。図6に示すグラフの横軸は、例えば、3日間などであってもよい。
【0046】
サーバ10が電気自動車EVを電源用に予約する際、SOCにより予約の候補となる電気自動車EVを絞り込んでもよい。EV予約システム2は、一般ユーザから、乗用だけでなく電源用としての予約も受け付ける。予約を受け付ける際には、EV予約システム2は、電気自動車EVの用途(乗用か電源用か)の入力を要求する。電気自動車の用途に応じて、予約の候補となる電気自動車EVが絞り込まれる。例えば、乗用及び電源用のそれぞれについて、予約開始時刻におけるSOCの下限値が設定されている。SOCが下限値を下回る電気自動車は、予約の候補とならない(すなわち予約することができない)。電気自動車EVを電源用に予約する場合、さらにその目的(ピークカット用かそれ以外か)に応じて、異なる下限値が設定される。ピークカットを目的とする場合のSOCの下限値は、それ以外を目的とする場合の下限値よりも低い。例えば、電気自動車EVを動かすために放電しているときのSOCの下限値は50%であって、需要家Fに電力を供給するために放電しているときのSOCの下限値は10%であってもよい。なお、EV予約システム2は、電源用に電気自動車EVを予約する場合の目的を予約者の識別情報(サーバ10か一般ユーザか)から判断する。あるいは、EV予約システム2は、電源用に電気自動車EVを予約する場合の目的を予約者に入力させてもよい。
【0047】
実施形態においては、電力制御システム1にEV予約システム2が含まれる例を説明したが、電力制御システム1はEV予約システム2を含んでおらず、EV予約システム2は電力制御システム1とは別のシステムであってもよい。この場合、電力制御システム1から出力される不使用情報に対してEV予約システム2がどのような反応(例えば、既に入っているEV予約を強制的にキャンセルするのか、又は予約しているユーザにキャンセルを依頼するのか)をするかは、電力制御システム1(の管理者)とEV予約システム2(の管理者)との間の事前の契約又は取り決めにより決められる。また、EV予約システム2はコンピュータシステムに限定されない。EV予約システム2は、担当者(人間)が帳簿で予約を管理するようなアナログな仕組みであってもよい。この場合、電力制御システム1は、この担当者に対して電子メール又はメッセージングサービスなどにより不使用情報を通知する。
【0048】
図5の処理の対象となる電気自動車EVを特定する方法は、実施形態において例示したものに限定されない。実施形態において、識別番号に従って対象となる電気自動車EVを特定し、特定された電気自動車EVについてEV情報が取得される例を説明した。しかし、サーバ10は、まず需要家Fが有する全ての電気自動車EVについてEV情報を取得し、取得したEV情報に基づいて対象となる電気自動車EVを特定してもよい。一例において、サーバ10は、各電気自動車EVのSOC及び走行実績から、調整対象期間の始期におけるその電気自動車EVのSOCを予測し、予測されたSOCに基づいて対象となる電気自動車EVを特定してもよい。例えば、サーバ10は、調整対象期間の始期におけるSOCが多い電気自動車EVから順に、処理の対象として特定してもよい。なおこの場合、ステップS409の処理は省略される。あるいは、サーバ10は、自らSOCを予測するのではなく、サーバ50が予測したSOCを、サーバ50から取得してもうよい。
【0049】
調整対象期間は、実施形態において説明した、「購入電力量の予測値がピークカット値以上となる期間」に限定されない。サーバ10は、購入電力量の予測値がピークカット値以上となる期間の前後に所定の期間(例えば30分又は1時間など)のマージンを設定し、このマージンを含めて調整対象期間としてもよい。
【0050】
電力制御システム1における機能要素とハードウェア要素との対応関係は実施形態において例示したものに限定されない。例えば、実施形態においてサーバ10の機能として説明したものの一部が、別のサーバに実装されてもよい。また、要求される機能を実現できるものであれば、電力制御システム1はどのようなハードウェア構成を有していてもよい。例えば、物理的に複数の装置が協働してサーバ10として機能してもよい。サーバ10は物理サーバでもよいし、仮想サーバ(いわゆるクラウドを含む)であってもよい。
【0051】
機能要素とハードウェアとの対応関係は実施形態において例示したものに限定されない。例えば、実施形態においてサーバ10に実装されるものとして説明した機能の少なくとも一部がユーザ端末20に実装されてもよい。さらに、図2において例示した機能要素の一部が省略されてもよい。
【0052】
電力制御システム1の動作は上述した例に限定されない。電力制御システム1の処理手順は、矛盾の無い限り、順序が入れ替えられてもよい。また、電力制御システム1の一部の処理手順が省略されてもよい。
【0053】
要するに、本発明に係る電力制御システムにおいて、電気自動車を有する需要家がある期間において購入する購入電力量の予測を取得するステップと、前記購入電力量のピーク値が基準値を超えた場合、前記電気自動車の使用を抑制するための不使用情報を出力するステップと、前記予測及び前記不使用情報に基づいて、前記購入電力量のピーク値が前記基準値を超えないように前記電気自動車の充放電スケジュールを決定するステップとが実行されていればよい。
【0054】
実施形態において例示した各種のプログラムは、それぞれ、インターネット等のネットワークを介したダウンロードにより提供されてもよいし、DVD-ROM(Digital Versatile Disc Read Only Memory)等のコンピュータ読み取り可能な非一時的記録媒体に記録された状態で提供されてもよい。
【符号の説明】
【0055】
1…電力制御システム、2…EV予約システム、10…サーバ、20…ユーザ端末、30…サーバ、31…購入電力量予測手段、32…発電量予測手段、33…電力需要予測手段、40…サーバ、41…EV情報記憶手段、50…サーバ、51…SOC予測手段、60…サーバ、61…価格決定手段、101…CPU、102…メモリ、103…ストレージ、104…通信IF、701…アラート情報、702…アラート情報、703…アラート情報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7