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  • 特開-積層体及び積層体の製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024052221
(43)【公開日】2024-04-11
(54)【発明の名称】積層体及び積層体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01B 5/14 20060101AFI20240404BHJP
   G03F 7/004 20060101ALI20240404BHJP
   G06F 3/041 20060101ALI20240404BHJP
   B32B 7/025 20190101ALI20240404BHJP
【FI】
H01B5/14 A
G03F7/004 512
G06F3/041 660
G06F3/041 495
B32B7/025
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022158787
(22)【出願日】2022-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】両角 一真
(72)【発明者】
【氏名】片山 晃男
(72)【発明者】
【氏名】有冨 隆志
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 守正
【テーマコード(参考)】
2H225
4F100
5G307
【Fターム(参考)】
2H225AC32
2H225AC34
2H225AC63
2H225AD14
2H225AD24
2H225AM13P
2H225AM22N
2H225AM23P
2H225AM32N
2H225AM32P
2H225AN12P
2H225AN39N
2H225AN39P
2H225AN41P
2H225AN43N
2H225AN47P
2H225AN51P
2H225AN60N
2H225AN65P
2H225AN66P
2H225AN82P
2H225AN89P
2H225AP06N
2H225BA02P
2H225BA09P
2H225BA17P
2H225BA32P
2H225BA35N
2H225CA14
2H225CB05
2H225CC01
2H225CC13
4F100AA25B
4F100AA28B
4F100AA33B
4F100AB01C
4F100AB10C
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4F100AB20C
4F100AB24C
4F100AB25C
4F100AB31C
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4F100AK01C
4F100AK02A
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4F100BA07
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4F100BA10C
4F100DC21B
4F100DC21C
4F100EH46
4F100EH66
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4F100JG01B
4F100JG01C
4F100JN01B
4F100YY00B
4F100YY00C
5G307FA01
5G307FA02
5G307FB01
5G307FB02
5G307FC02
5G307FC03
(57)【要約】
【課題】ラミネート適性に優れ、かつ、マイグレーションの発生が抑制された積層体、及び積層体の製造方法の提供。
【解決手段】基材と、上記基材上に透明配線層及び金属配線層がこの順に積層された配線部と、を有する積層体であって、上記金属配線層の幅R1と上記透明配線層の幅R2とが、下記の式(1)を満たす積層体、及び、積層体の製造方法。
0.1μm≦R2-R1≦6.0μm (1)
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、前記基材上に透明配線層及び金属配線層がこの順に積層された配線部と、を有する積層体であって、
前記金属配線層の幅R1と前記透明配線層の幅R2とが、下記の式(1)を満たす積層体。
0.1μm≦R2-R1≦6.0μm (1)
【請求項2】
前記金属配線層は、金属単体及び金属合金の少なくとも一方を含み、
前記金属単体が、金、銀、銅、モリブデン、アルミニウム、チタン、クロム、亜鉛、及びマンガンからなる群より選ばれる少なくとも1種であり、
前記金属合金が、金、銀、銅、モリブデン、アルミニウム、チタン、クロム、亜鉛、及びマンガンからなる群より選ばれる2種以上の金属元素からなる合金である請求項1に記載の積層体。
【請求項3】
前記金属配線層は、さらに樹脂を含む請求項2に記載の積層体。
【請求項4】
前記透明配線層が、インジウムスズ酸化物及びインジウム酸化亜鉛から選ばれる少なくとも1種の金属酸化物を含む請求項1に記載の積層体。
【請求項5】
前記透明配線層が、金ナノワイヤ、銀ナノワイヤ、銅ナノワイヤ、及び白金ワイヤから選ばれる少なくとも1種の金属ナノワイヤと、樹脂と、を含む請求項1に記載の積層体。
【請求項6】
前記金属配線層の幅R1が、8μm~14μmである請求項1に記載の積層体。
【請求項7】
前記透明配線層の幅R2が、8.1μm~14.5μmである請求項1に記載の積層体。
【請求項8】
前記金属配線層の厚さR3が、0.2μm~5μmである請求項1に記載の積層体。
【請求項9】
前記金属配線層の幅R1と、前記透明配線層の幅R2と、前記金属配線層の厚さR3とが、下記の式(2)を満たす請求項1に記載の積層体。
0.3≦(R2-R1)/R3≦4.0 (2)
【請求項10】
前記透明配線層の厚さが、0.01μm~1μmである請求項1に記載の積層体。
【請求項11】
隣接する前記透明配線層のパターン間の距離が、1μm~20μmである請求項1に記載の積層体。
【請求項12】
請求項1~請求項11のいずれか1項に記載の積層体の製造方法であって、
前記基材、透明導電層、及び金属層をこの順に有する導電性基材を準備する工程と、
前記金属層上に、エッチングレジストを形成する工程と、
前記エッチングレジストをパターニングして、エッチングレジストパターンを得る工程と、
前記エッチングレジストパターンをマスクとして、前記透明導電層及び前記金属層をエッチングする工程と、
をこの順に有し、
前記金属配線層の幅R1と、前記透明配線層の幅R2と、前記エッチングレジストパターンの幅R4とが、下記の式(3)を満たす積層体の製造方法。
R1<R2≦R4 (3)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、積層体及び積層体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
静電容量型入力装置等のタッチパネルを備えた表示装置〔例えば、有機エレクトロルミネッセンス(EL)表示装置及び液晶表示装置〕では、視認部のセンサーに相当する電極パターン、周辺配線部分の配線、取り出し配線部分の配線等の導電パターンなどがタッチパネル内部に設けられている。
一般に、パターン化した層の形成には、必要とするパターン形状を得るための工程数が少ないという理由から、感光性転写材料を用いて任意の基板上に設けた感光性樹脂組成物の層に対して、所望のパターンを有するマスクを介した露光を行った後、現像する方法が広く用いられている。また、従来、導電パターンを印刷により形成することも行われており、印刷による導電パターンは、圧力センサー、バイオセンサー等の各種センサー、プリント基板、太陽電池、コンデンサー、電磁波シールド、タッチパネル、アンテナなどとして、種々の分野において広く使用されている。
【0003】
感光性転写材料を用いて形成された配線の導電パターンとしては、例えば、特許文献1において、ガラス基板上に、透明電極、透明絶縁膜、及び配線電極がこの順に積層された導電パターンが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2011/129210号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示の一実施形態が解決しようとする課題は、ラミネート適性に優れ、かつ、マイグレーションの発生が抑制された積層体を提供することである。
本開示の他の実施形態が解決しようとする課題は、ラミネート適性に優れ、かつ、マイグレーションの発生が抑制された積層体の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための具体的な手段には、以下の実施態様が含まれる。
[1] 基材と、上記基材上に透明配線層及び金属配線層がこの順に積層された配線部と、を有する積層体であって、
上記金属配線層の幅R1と上記透明配線層の幅R2とが、下記の式(1)を満たす積層体。
0.1μm≦R2-R1≦6.0μm (1)
[2] 上記金属配線層は、金属単体及び金属合金の少なくとも一方を含み、
上記金属単体が、金、銀、銅、モリブデン、アルミニウム、チタン、クロム、亜鉛、及びマンガンからなる群より選ばれる少なくとも1種であり、
上記金属合金が、金、銀、銅、モリブデン、アルミニウム、チタン、クロム、亜鉛、及びマンガンからなる群より選ばれる2種以上の金属元素からなる合金である[1]に記載の積層体。
[3] 上記金属配線層は、さらに樹脂を含む[2]に記載の積層体。
[4] 上記透明配線層が、インジウムスズ酸化物及びインジウム酸化亜鉛から選ばれる少なくとも1種の金属酸化物を含む[1]~[3]のいずれか1つに記載の積層体。
[5] 上記透明配線層が、金ナノワイヤ、銀ナノワイヤ、銅ナノワイヤ、及び白金ワイヤから選ばれる少なくとも1種の金属ナノワイヤと、樹脂と、を含む[1]~[4]のいずれか1つに記載の積層体。
[6] 上記金属配線層の幅R1が、8μm~14μmである[1]~[5]のいずれか1つに記載の積層体。
[7] 上記透明配線層の幅R2が、8.1μm~14.5μmである[1]~[6]のいずれか1つに記載の積層体。
[8] 上記金属配線層の厚さR3が、0.2μm~5μmである[1]~[7]のいずれか1つに記載の積層体。
[9] 上記金属配線層の幅R1と、上記透明配線層の幅R2と、上記金属配線層の厚さR3とが、下記の式(2)を満たす[1]~[8]のいずれか1つに記載の積層体。
0.3≦(R2-R1)/R3≦4.0 (2)
[10] 上記透明配線層の厚さが、0.01μm~1μmである[1]~[9]のいずれか1つに記載の積層体。
[11] 隣接する上記透明配線層のパターン間の距離が、1μm~20μmである[1]~[10]のいずれか1つに記載の積層体。
[12] [1]~[11]のいずれか1つに記載の積層体の製造方法であって、
上記基材、透明導電層、及び金属層をこの順に有する導電性基材を準備する工程と、
上記金属層上に、エッチングレジストを形成する工程と、
上記エッチングレジストをパターニングして、エッチングレジストパターンを得る工程と、
上記エッチングレジストパターンをマスクとして、上記透明導電層及び上記金属層をエッチングする工程と、
をこの順に有し、
上記金属配線層の幅R1と、上記透明配線層の幅R2と、上記エッチングレジストパターンの幅R4とが、下記の式(3)を満たす積層体の製造方法。
R1<R2≦R4 (3)
【発明の効果】
【0007】
本開示の一実施形態によれば、ラミネート適性に優れ、かつ、マイグレーションの発生が抑制された積層体が提供される。
本開示の他の実施形態によれば、ラミネート適性に優れ、かつ、マイグレーションの発生が抑制された積層体の製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示に係る積層体の一例を示す断面模式図である。
図2】パターンAを示す概略平面図である。
図3】パターンBを示す概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示について詳細に説明する。以下に記載する要件の説明は、本開示の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本開示はそのような実施態様に限定されるものではなく、本開示の目的の範囲内において、適宜、変更を加えて実施することができる。
【0010】
本開示において、「~」を用いて示された数値範囲は、「~」の前後に記載される数値をそれぞれ下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
本開示に段階的に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本開示に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
【0011】
本開示において、組成物中の各成分の量について言及する場合、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合には、特に断らない限り、組成物中に存在する複数の成分の合計量を意味する。
【0012】
本開示において、2つ以上の好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。
【0013】
本開示において、「工程」との用語は、独立した工程だけでなく、他の工程と明確に区別できない場合であっても、その工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
【0014】
本開示において、「透明」とは、波長400nm~700nmの可視光の平均透過率が、70%以上であることを意味し、80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。
本開示において、「可視光の平均透過率」は、分光光度計を用いて測定される値である。分光光度計としては、例えば、日立製作所(株)製の分光光度計(型番:U-3310)を用いることができる。但し、分光光度計は、これに限定されない。
【0015】
本開示において、分子量分布がある化合物の分子量は、特に断りがない限り、重量平均分子量(Mw;以下、同じ。)である。
【0016】
本開示において、重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、特に断りがない限り、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した値である。
GPCによる測定は、カラムとして、TSKgel(登録商標) GMHxL、TSKgel(登録商標) G4000HxL、又は、TSKgel(登録商標) G2000HxL〔いずれも東ソー(株)製の商品名〕、溶離液としてテトラヒドロフラン(THF)、検出器として示差屈折計、及び、標準物質としてポリスチレンを使用し、GPC分析装置により測定した上記ポリスチレン換算値である。
【0017】
本開示において、「水溶性」とは、液温が22℃であるpH7.0の水100gへの溶解度が0.1g以上であることを意味する。例えば、「水溶性樹脂」とは、上記溶解度の条件を満たす樹脂を意味する。
【0018】
本開示において、組成物における「固形分」とは、組成物を用いて形成される組成物層を形成する成分を意味し、組成物が溶剤を含む場合には、溶剤を除いた全ての成分を意味する。また、組成物層を形成する成分であれば、溶剤以外の液体状の成分も固形分とみなす。本開示において、「溶剤」とは、水及び有機溶剤を意味する。
【0019】
本開示において、「露光」とは、特に断らない限り、光を用いた露光のみならず、電子線、イオンビーム等の粒子線を用いた描画も含む。また、露光に用いられる光としては、一般的に、水銀灯の輝線スペクトル、エキシマレーザに代表される遠紫外線、極紫外線(EUV光)、X線、電子線等の活性光線(活性エネルギー線)などが挙げられる。
【0020】
本開示において、「(メタ)アクリル」は「アクリル」及び「メタクリル」の両方を包含する用語であり、「(メタ)アクリレート」は「アクリレート」及び「メタクリレート」の両方を包含する用語であり、「(メタ)アクリロイル」は「アクリロイル」及び「メタクリロイル」の両方を包含する用語である。
【0021】
本開示における基(原子団)の表記において、置換及び無置換を記していない表記は、置換基を有さないものとともに、置換基を有するものをも包含するものである。例えば、「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(「無置換アルキル基」ともいう。)のみならず、置換基を有するアルキル基(「置換アルキル基」ともいう。)をも包含するものである。
本開示における化学構造式は、水素原子を省略した簡略構造式で記載する場合がある。
【0022】
本開示において、「質量%」と「重量%」とは同義であり、「質量部」と「重量部」とは同義である。
【0023】
本開示において、透明配線層及び金属配線層における「幅」とは、長手方向に直交する方向の長さを指し、所謂、線幅を意味する。
【0024】
[積層体]
本開示に係る積層体は、基材と、上記基材上に透明配線層及び金属配線層がこの順に積層された配線部と、を有する積層体であって、上記金属配線層の幅R1と上記透明配線層の幅R2とが、下記の式(1)を満たす。
0.1μm≦R2-R1≦6.0μm (1)
【0025】
従来、銅等の金属層に対して、エッチングレジストにより形成された配線パターンをマスクとしてエッチングすることにより、回路配線を形成する技術が広く知られている。このようなプロセスで得られた配線パターンは、残存する金属層からなる配線部を有し、非配線部は金属層がエッチングにより除去された凹形状となっており、配線部の厚さ分の凹凸が回路面に存在する形状となる。
一般に、配線基板上の配線パターンを保護する場合、回路面上に粘着性を有する光学フィルム〔例えば、OCA(Optical Clear Adhesive)フィルム〕をラミネートして保護フィルムを積層することが行われている。しかし、回路面に上記のような凹凸があると、ラミネートの際に空気を巻き込み、上記光学フィルムと配線基板との間に気泡が生じることがある。気泡は、視認性に影響を与えるのみならず、誤作動の原因にもなり得る。
これに対し、本開示に係る積層体は、基材と、基材上に透明配線層及び金属配線層がこの順に積層された配線部と、を有しており、透明配線層の幅が金属配線層の幅よりも広く、かつ、透明配線層の幅と金属配線層の幅との差が特定値以上である。本開示に係る積層体では、凹部に適度な段差が形成されているため、ラミネートの際に空気を巻き込み難く、気泡が生じ難いと考えられる。よって、本開示に係る積層体は、ラミネート適性に優れる。加えて、本開示に係る積層体は、基材と、基材上に透明配線層及び金属配線層がこの順に積層された配線部と、を有しており、透明配線層の幅が金属配線層の幅よりも広く、かつ、透明配線層の幅と金属配線層の幅との差が特定値以下であることで、短絡の原因となり得るマイグレーションの発生が抑制されるという効果も奏し得る。
【0026】
なお、上記の推測は、本開示に係る積層体を限定的に解釈するものではなく、一例として説明するものである。
【0027】
以下、本開示に係る積層体について、詳細に説明する。
【0028】
以下、本開示に係る積層体の一例を図面として挙げて説明する。
図1は、本開示に係る積層体の一例を示す断面模式図である。
但し、本開示に係る積層体は、図1に示す構成を有するものに制限されない。また、図1における各構成の大きさは概念的なものであり、構成間の大きさの相対的な関係は図1に示すものに制限されない。
図1に示す積層体100は、基材30と、基材30上に設けられた配線部60と、を有する。配線部60は、透明配線層40及び金属配線層50を有する。透明配線層40及び金属配線層50は、基材30側からこの順で積層されている。透明配線層40の幅R2は、金属配線層50の幅R1よりも広くなっており、金属配線層50は、透明配線層40の面上に、端部がはみ出すことなく積層されている。
【0029】
<<金属配線層の幅R1と透明配線層の幅R2との関係>>
本開示に係る積層体は、金属配線層の幅R1と上記透明配線層の幅R2とが、下記の式(1)を満たす。
R2-R1が0.1μm以上であると、ラミネート適性に優れる傾向がある。
R2-R1が6.0μm以下であると、マイグレーションの発生を抑制し得る。
本開示に係る積層体は、ラミネート適性、及び、マイグレーションの発生抑制の観点から、下記の式(1-1)を満たすことが好ましく、下記の式(1-2)を満たすことがより好ましく、下記の式(1-3)を満たすことが更に好ましい。
0.1μm≦R2-R1≦6.0μm (1)
0.2μm≦R2-R1≦5.5μm (1-1)
0.3μm≦R2-R1≦5.0μm (1-2)
0.5μm≦R2-R1≦4.5μm (1-3)
【0030】
<<金属配線層の幅R1>>
金属配線層の幅R1は、特に限定されないが、例えば、4μm~18μmであることが好ましく、6μm~16μmであることがより好ましく、8μm~14μmであることが更に好ましく、8μm~12μmであることが特に好ましい。
金属配線層の幅R1が4μm以上であると、エッチングレジストがプロセス中に剥離し難く、歩留まりが良い傾向がある。
金属配線層の幅R1が18μm以下であると、金属配線を密に配置させることができるため、狭額縁化できる傾向がある。
【0031】
本開示において、金属配線層の幅R1は、以下の方法により測定される。
積層体を、ウルトラミクロトームを用いて切断することにより、ラインアンドスペースの配線パターンの断面を作製する。作製に際しては、断面がパターンの長手方向に対して略垂直となるように積層体を切断する。次いで、断面を、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて加速電圧5kVの条件で観察し、断面において金属配線層のパターンの厚み方向の中央部における幅を測定する。上記の作製及び測定を5回繰り返し(換言すると、断面を5個作製し、各断面において金属配線層のパターンの厚み方向の中央部における幅を測定し)、得られた5個の測定値を算術平均する。以上により得られた値を金属配線層の幅R1とする。
走査型電子顕微鏡としては、日本電子(株)製の走査型電子顕微鏡(型番:JSM-7200F)を好適に使用できる。但し、走査型電子顕微鏡は、これに限定されない。
【0032】
<<透明配線層の幅R2>>
透明配線層の幅R2は、特に限定されないが、例えば、4.5μm~18.5μmであることが好ましく、6.5μm~16.5μmであることがより好ましく、8.1μm~14.5μmであることが更に好ましく、8.5μm~12.5μmであることが特に好ましい。
透明配線層の幅R2が4.5μm以上であると、エッチングレジストがプロセス中に剥離し難く、歩留まりが良い傾向がある。
透明配線層の幅R2が18.5μm以下であると、金属配線を密に配置させることができるため、狭額縁化できる傾向がある。
【0033】
本開示において、透明配線層の幅R2は、以下の方法により測定される。
積層体を、ウルトラミクロトームを用いて切断することにより、ラインアンドスペースの配線パターンの断面を作製する。作製に際しては、断面がパターンの長手方向に対して略垂直となるように積層体を切断する。次いで、断面を、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて加速電圧5kVの条件で観察し、断面において透明配線層のパターンの厚み方向の中央部における幅を測定する。上記の作製及び測定を5回繰り返し(換言すると、断面を5個作製し、各断面において透明配線層のパターンの厚み方向の中央部における幅を測定し)、得られた5個の測定値を算術平均する。以上により得られた値を透明配線層の幅R2とする。
走査型電子顕微鏡としては、日本電子(株)製の走査型電子顕微鏡(型番:JSM-7200F)を好適に使用できる。但し、走査型電子顕微鏡は、これに限定されない。
【0034】
<<金属配線層の厚さR3>>
金属配線層の厚さR3は、特に限定されないが、例えば、6μm以下であることが好ましく、0.1μm~6μmであることがより好ましく、0.2μm~5μmであることが更に好ましく、0.3μm~4μmであることが特に好ましい。
金属配線層の厚さR3が6μm以下であると、ラミネートの際に空気をより巻き込み難く、ラミネート適性により優れる傾向がある。
【0035】
本開示において、金属配線層の厚さR3は、以下の方法により測定される。
積層体を、ウルトラミクロトームを用いて切断することにより、ラインアンドスペースの配線パターンの断面を作製する。作製に際しては、断面がパターンの長手方向に対して略垂直となるように積層体を切断する。次いで、断面を、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて加速電圧5kVの条件で観察し、断面において金属配線層のパターンの幅方向の中央部における厚さを測定する。上記の作製及び測定を5回繰り返し(換言すると、断面を5個作製し、各断面において金属配線層のパターンの幅方向の中央部における厚さを測定し)、得られた5個の測定値を算術平均する。以上により得られた値を金属配線層の厚さR3とする。
走査型電子顕微鏡としては、日本電子(株)製の走査型電子顕微鏡(型番:JSM-7200F)を好適に使用できる。但し、走査型電子顕微鏡は、これに限定されない。
【0036】
<<金属配線層の幅R1と透明配線層の幅R2と金属配線層の厚さR3との関係>>
本開示に係る積層体は、金属配線層の幅R1と透明配線層の幅R2と金属配線層の厚さR3とが、下記の式(2a)を満たすことが好ましく、下記の式(2b)を満たすことがより好ましく、下記の式(2)を満たすこと更に好ましい。
(R2-R1)/R3が0.15以上であると、ラミネートの際に空気をより巻き込み難く、ラミネート適性により優れる傾向がある。
(R2-R1)/R3が5.0以下であると、マイグレーションの発生がより抑制される傾向がある。
0.15≦(R2-R1)/R3≦5.0 (2a)
0.2≦(R2-R1)/R3≦4.5 (2b)
0.3≦(R2-R1)/R3≦4.0 (2)
【0037】
<<透明配線層の厚さ>>
透明配線層の厚さは、特に限定されないが、例えば、1μm以下であることが好ましく、0.01μm~1μmであることがより好ましく、0.03μm~0.8μmであることが更に好ましく、0.05μm~0.5μmであることが特に好ましい。
透明配線層の厚さが1μm以下であると、透明性により優れる傾向がある。また、透明配線層の厚さが1μm以下であると、ラミネートの際に空気をより巻き込み難く、ラミネート適性により優れる傾向がある。
【0038】
本開示において、透明配線層の厚さは、以下の方法により測定される。
積層体を、ウルトラミクロトームを用いて切断することにより、ラインアンドスペースの配線パターンの100nm厚の切片を作製する。作製に際しては、断面がパターンの長手方向に対して略垂直となるように積層体を切断する。必要であれば、Ptコート後にアラルダイト樹脂により包埋及び重合処理してから断面を作製してもよい。次いで、断面を、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて加速電圧100kVの条件で観察し、断面において透明配線層のパターンの幅方向の中央部における厚さを測定する。上記の作製及び測定を5回繰り返し(換言すると、断面を5個作製し、各断面において透明配線層のパターンの幅方向の中央部における厚さを測定し)、得られた5個の測定値を算術平均する。以上により得られた値を透明配線層の厚さとする。
透過型電子顕微鏡としては、日立ハイテク(株)製の透過型電子顕微鏡(型番:FHT7700)を好適に使用できる。但し、透過型電子顕微鏡は、これに限定されない。
【0039】
<<透明配線層のパターン間の距離>>
隣接する透明配線層のパターン間の距離は、特に限定されないが、例えば、1μm~20μmであることが好ましく、3μm~15μmであることがより好ましく、5μm~10μmであることが更に好ましい。
透明配線層のパターン間の距離が1μm以上であると、イオン化した金属がより移動し難くなり、マイグレーションの発生がより抑制される傾向がある。また、透明配線層のパターン間の距離が1μm以上であると、ラミネートの際に空気をより巻き込み難く、ラミネート適性により優れる傾向がある。
透明配線層のパターン間の距離が20μm以下であると、例えば、本開示に係る積層体における配線部をタッチパネルの周辺配線、取り出し配線等として使用する場合には、配線をより高密度化できる傾向がある。
【0040】
本開示において、透明配線層のパターン間の距離は、以下の方法により測定される。
積層体を、ウルトラミクロトームを用いて切断することにより、ラインアンドスペースの配線パターンの断面を作製する。作製に際しては、断面がパターンの長手方向に対して略垂直となるように積層体を切断する。次いで、断面を、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて加速電圧5kVの条件で観察し、隣接する透明配線層の間の距離を測定する。上記の作製及び測定を5回繰り返し(換言すると、断面を5個作製し、各断面において隣接する透明配線層の端部間の最短距離を測定し)、得られた5個の測定値を算術平均する。以上により得られた値を透明配線層のパターン間の距離とする。
走査型電子顕微鏡としては、日本電子(株)製の走査型電子顕微鏡(型番:JSM-7200F)を好適に使用できる。但し、走査型電子顕微鏡は、これに限定されない。
【0041】
〔基材〕
本開示に係る積層体は、基材を有する。
本開示に用いられる基材としては、公知の基材を用いればよい。
基材は、必要に応じて、導電性を有しない任意の層を有してもよい。
基材としては、例えば、樹脂基材、ガラス基材、及び半導体基材が挙げられる。
基材の好ましい態様としては、例えば、国際公開第2018/155193号の段落[0140]に記載されたものが挙げられ、これらの記載内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0042】
基材を構成する材質としては、例えば、ガラス、シリコン、及び樹脂が挙げられる。
基材は、透明であることが好ましい。
透明なガラス基材としては、コーニング社のゴリラガラスに代表される強化ガラスが挙げられる。また、透明なガラス基材としては、特開2010-86684号公報、特開2010-152809号公報、及び特開2010-257492号公報において使用されている材料を使用できる。
【0043】
基材としてフィルム基材を用いる場合は、光学的に歪みが小さく、かつ/又は、透明度が高いフィルム基材を用いることが好ましい。このようなフィルム基材としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、トリアセチルセルロース、ポリイミド及びシクロオレフィンポリマーが挙げられる。
【0044】
ロールツーロール方式で製造する場合、基材は、フィルム基材であることが好ましい。
また、ロールツーロール方式によりタッチパネル用の回路配線を製造する場合、基材は、シート状樹脂組成物であることが好ましい。
【0045】
基材は、後述の配線部を一方の面のみに有していても、両面に有していてもよい。
【0046】
基材の厚さは、特に制限されないが、例えば、50μm~300μmであることが好ましく、50μm~200μmであることがより好ましく、50μm~150μmであることが更に好ましい。
【0047】
基材の厚さは、以下の方法により測定される平均厚さを意味する。
基材の厚み方向の断面観察像において、任意に選択した10箇所で測定される基材の厚さの算術平均値を求め、得られた値を基材の平均厚さとする。基材の厚み方向の断面観察像は、走査型電子顕微鏡(SEM)を使用することで得られる。
【0048】
〔配線部〕
本開示に係る積層体は、基材上に配線部を有する。配線部は、透明配線層及び金属配線層がこの順に積層されている。
【0049】
<透明配線層>
透明配線層は、透明であって、かつ、導電性を有する層であればよい。
本開示において、「導電性」とは、体積抵抗率が1×10Ωcm未満である性質を意味する。透明配線層の体積抵抗率は、1×10Ωcm未満であることが好ましい。
上記体積抵抗率は、市販の抵抗率測定器〔例えば、日東精工アナリテック(株)製のロレスターGX MCP-T700(製品名)〕により測定される。
【0050】
透明配線層は、金属酸化物及び金属ナノワイヤからなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。また、透明配線層は、さらに樹脂を含むことも好ましい。
透明配線層は、例えば、金属酸化物を含む層であってもよく、金属ナノワイヤを含む層であってもよく、金属ナノワイヤ及び樹脂を含む層であってもよい。
金属酸化物としては、例えば、インジウムスズ酸化物(ITO:Indium Tin Oxide)、及び、インジウム酸化亜鉛(IZO:Indium Zinc Oxide)が挙げられる。
これらの中でも、金属酸化物としては、インジウムスズ酸化物が好ましい。
金属ナノワイヤとしては、例えば、金ナノワイヤ、銀ナノワイヤ、銅ナノワイヤ、及び白金ワイヤが挙げられる。
これらの中でも、金属ナノワイヤとしては、銀ナノワイヤが好ましい。
【0051】
透明配線層は、インジウムスズ酸化物及びインジウム酸化亜鉛から選ばれる少なくとも1種の金属酸化物を含むことが好ましい。
また、透明配線層は、金ナノワイヤ、銀ナノワイヤ、銅ナノワイヤ、及び白金ワイヤから選ばれる少なくとも1種の金属ナノワイヤと、樹脂と、を含むことも好ましい。
【0052】
金属ナノワイヤの形状としては、例えば、円柱状、直方体状、及び、断面が多角形となる柱状が挙げられる。
金属ナノワイヤは、例えば、高い透明性が必要とされる用途では、円柱状、及び、断面が多角形となる柱状の少なくとも一方の形状を有することが好ましい。
【0053】
金属ナノワイヤの断面形状は、例えば、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いることにより観察できる。
【0054】
金属ナノワイヤの直径(所謂、短軸長)は、特に制限されないが、例えば、透明性の観点から、50nm以下であることが好ましく、35nm以下であることがより好ましく、20nm以下であることが更に好ましい。
金属ナノワイヤの直径の下限は、例えば、耐酸化性及び耐久性の観点から、5nm以上であることが好ましい。
【0055】
金属ナノワイヤの長さ(所謂、長軸長)は、特に制限されないが、例えば、導電性の観点から、5μm以上であることが好ましく、10μm以上であることがより好ましく、30μm以上であることが更に好ましい。
金属ナノワイヤの長さの上限は、例えば、製造過程における凝集物の生成抑制の観点から、1mm以下であることが好ましい。
【0056】
金属ナノワイヤの直径及び長さは、例えば、透過型電子顕微鏡(TEM)又は光学顕微鏡を用いることにより測定できる。
具体的には、透過型電子顕微鏡(TEM)又は光学顕微鏡を用いて拡大観察される金属ナノワイヤから、任意に選択した300個の金属ナノワイヤの直径と長さを測定する。測定された値を算術平均し、得られた値を金属ナノワイヤの直径及び長さとする。
【0057】
透明配線層は、金属ナノワイヤを含む場合、金属ナノワイヤを1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
【0058】
透明配線層が金属ナノワイヤを含む場合、透明配線層における金属ナノワイヤの含有率は、例えば、透明性、導通性、及び分散安定性の観点から、透明配線層の全質量に対して、1質量%~30質量%であることが好ましく、1質量%~20質量%であることがより好ましく、1質量%~15質量%であることが更に好ましい。
【0059】
透明配線層が樹脂を含む場合、樹脂は、耐久性の観点から、バインダーポリマーであることが好ましい。
樹脂としては、例えば、アクリル樹脂〔例えば、メタクリル酸ベンジル/メタクリル酸/アクリル酸共重合体〕、ポリエステル樹脂〔例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)〕、ポリカーボネート樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン)、ポリノルボルネン、セルロース樹脂〔例えば、セルロース樹脂としては、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、メチルセルロース(MC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、及びセルロース〕、ポリビニルアルコール(PVA)、及びポリビニルピロリドンが挙げられる。
樹脂は、例えば、透明性及び耐久性の観点から、アクリル樹脂及びポリウレタン樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましく、アクリル樹脂及びポリウレタン樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種であることがより好ましい。
【0060】
樹脂のガラス転移温度(Tg)は、特に制限されないが、例えば、180℃以下であることが好ましく、40℃~160℃であることがより好ましく、60℃~150℃であることが更に好ましい。
【0061】
本開示において、樹脂のガラス転移温度は、示差走査熱量測定(DSC)を用いて測定される。樹脂のガラス転移温度の測定は、具体的には、JIS K 7121:1987、又は、JIS K 6240:2011に記載の方法に準拠して行う。本開示におけるガラス転移温度は、補外ガラス転移開始温度(「Tig」ともいう。)を用いる。
ガラス転移温度の測定方法をより具体的に説明する。
ガラス転移温度を求める場合、予想される樹脂のTgより約50℃低い温度にて装置が安定するまで保持した後、加熱速度:20℃/分で、ガラス転移が終了した温度よりも約30℃高い温度まで加熱し、示差熱分析(DTA)曲線又はDSC曲線を作成する。
補外ガラス転移開始温度(Tig)、すなわち、本開示におけるガラス転移温度Tgは、DTA曲線又はDSC曲線における低温側のベースラインを高温側に延長した直線と、ガラス転移の階段状変化部分の曲線の勾配が最大になる点で引いた接線との交点の温度として求める。
【0062】
樹脂の重量平均分子量は、特に制限されないが、例えば、1,000~2,000,000であることが好ましく、10,000~1,200,000であることがより好ましい。
【0063】
透明配線層は、樹脂を含む場合、樹脂を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
【0064】
透明配線層が樹脂を含む場合、透明配線層における樹脂の含有率は、例えば、透明配線層の形成性、導電性、及び透明性の観点から、透明配線層の全質量に対して、20質量%~90質量%であることが好ましく、30質量%~80質量%であることがより好ましく、40質量%~70質量%であることが更に好ましい。
【0065】
透明配線層及び金属配線層のいずれもが樹脂を含む場合、透明配線層に含まれる樹脂は、金属配線層に含まれる樹脂と同じであってもよく、異なっていてもよい。
透明配線層及び金属配線層のいずれもが樹脂を含む場合、透明配線層は、金属配線層との密着性の観点から、金属配線層に含まれる樹脂と同じ樹脂を含むことが好ましい。
【0066】
透明配線層は、各種添加剤を含んでいてもよい。
添加剤としては、ヒンダードフェノール類等の酸化防止剤、ベンゾトリアゾール等の防錆剤など、公知の添加剤が挙げられる。
【0067】
透明配線層は、単層であってもよく、2層以上の複層であってもよい。
透明配線層が複層である場合、複数ある透明配線層は、同じ材質であってもよく、異なる材質であってもよい。
【0068】
<金属配線層>
金属配線層は、金属を含み、かつ、導電性を有する層であればよい。
金属配線層の体積抵抗率は、1×10Ωcm未満であることが好ましい。
金属配線層は、金属単体及び金属合金からなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。また、金属配線層は、金属単体及び金属合金からなる群より選ばれる少なくとも1種に加えて、さらに樹脂を含むことも好ましい。
金属配線層は、例えば、金属単体からなるものであってもよく、金属合金からなるものであってもよく、金属単体及び金属合金からなる群より選ばれる少なくとも1種と、樹脂と、を含むものであってもよい。
【0069】
金属単体としては、例えば、金、銀、銅、モリブデン、アルミニウム、チタン、クロム、亜鉛、ニッケル、白金、パラジウム、及びマンガンが挙げられる。
金属単体は、金、銀、銅、モリブデン、アルミニウム、チタン、クロム、亜鉛、及びマンガンからなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、銀及び銅から選ばれる少なくとも1種であることがより好ましい。
金属合金としては、例えば、金、銀、銅、モリブデン、アルミニウム、チタン、クロム、亜鉛、ニッケル、白金、パラジウム、及びマンガンからなる群より選ばれる2種以上の金属元素からなる合金が挙げられる。
金属合金は、金、銀、銅、モリブデン、アルミニウム、チタン、クロム、亜鉛、及びマンガンからなる群より選ばれる2種以上の金属元素からなる合金であることが好ましく、銀と銅との合金であることがより好ましい。
【0070】
金属配線層は、金属単体及び金属合金の少なくとも一方を含み、金属単体が、金、銀、銅、モリブデン、アルミニウム、チタン、クロム、亜鉛、及びマンガンからなる群より選ばれる少なくとも1種であり、金属合金が、金、銀、銅、モリブデン、アルミニウム、チタン、クロム、亜鉛、及びマンガンからなる群より選ばれる2種以上の金属元素からなる合金であることが好ましい。また、金属配線層は、金属単体及び金属合金の少なくとも一方と、樹脂と、を含み、金属単体が、金、銀、銅、モリブデン、アルミニウム、チタン、クロム、亜鉛、及びマンガンからなる群より選ばれる少なくとも1種であり、金属合金が、金、銀、銅、モリブデン、アルミニウム、チタン、クロム、亜鉛、及びマンガンからなる群より選ばれる2種以上の金属元素からなる合金であることも好ましい。
【0071】
金属配線層が金属単体及び金属合金の少なくとも一方と樹脂とを含む場合、金属単体及び金属合金は、金属ナノ体であることが好ましい。
金属ナノ体の形状は、特に制限はなく、公知の形状であればよい。
金属ナノ体は、金属ナノ粒子であることが好ましい。
【0072】
金属ナノ粒子は、球状粒子であってもよく、平板状粒子であってもよく、不定形状粒子であってもよい。
金属ナノ粒子の平均一次粒径は、安定性及び融着温度の観点から、0.1nm~500nmであることが好ましく、1nm~200nmであることがより好ましく、1nm~100nmであることが更に好ましい。
【0073】
本開示における金属ナノ粒子の平均一次粒径は、走査型電子顕微鏡〔例えば、(株)日立ハイテクノロジーズ製のS-3700N(型番)〕を用いて、粒子100個の走査型電子顕微鏡写真(SEM像)撮影を行い、画像処理測定装置〔例えば、(株)ニレコ製のルーゼックス AP〕を用いて、上記粒子の粒径を測定し、算術平均値を求めることによって得る。すなわち、本開示でいう粒径は、粒子の投影形状が円形である場合には、その直径で表し、球形以外の不定形であれば、その投影面積と同じ面積の円とした際の直径で表す。
【0074】
金属ナノ粒子は、導電性の観点から、銀よりも貴な金属を含むことも好ましく、この場合、少なくとも一部が金により被覆された扁平状粒子を含むことがより好ましい。
「銀よりも貴な金属」とは、「銀の標準電極電位よりも高い標準電極電位を有する金属」を意味する。
【0075】
金属ナノ粒子における、銀より貴な金属の銀に対する比率は、0.01原子%~5原子%であることが好ましく、0.1原子%~2原子%であることがより好ましく、0.2原子%~0.5原子%であることが更に好ましい。
銀より貴な金属の含有量は、例えば、試料を酸等により溶解した後、高周波誘導結合プラズマ(ICP:Inductively Coupled Plasma)発光分光分析により測定できる。
【0076】
金属ナノ体としては、例えば、分散性及び導通性の観点から、アスペクト比が1:1~1:10であり、かつ、球相当径が1nm~200nmである金属ナノ粒子が好ましい。
【0077】
金属配線層は、金属ナノ体を含む場合、金属ナノ体を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
【0078】
金属配線層が金属ナノ体を含む場合、金属配線層における金属ナノ体の含有率は、例えば、導通性及び分散安定性の観点から、金属配線層の全質量に対して、30質量%~99質量%であることが好ましく、50質量%~95質量%であることがより好ましく、70質量%~90質量%であることが更に好ましい。
【0079】
金属配線層が樹脂を含む場合、樹脂は、例えば、耐久性の観点から、バインダーポリマーであることが好ましい。
樹脂としては、例えば、アクリル樹脂〔例えば、メタクリル酸ベンジル/メタクリル酸/アクリル酸共重合体〕、ポリエステル樹脂〔例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)〕、ポリカーボネート樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン)、ポリノルボルネン、セルロース樹脂〔例えば、セルロース樹脂としては、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、メチルセルロース(MC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、及びセルロース〕、ポリビニルアルコール(PVA)、及びポリビニルピロリドンが挙げられる。
樹脂は、例えば、耐久性の観点から、アクリル樹脂を含むことが好ましく、アクリル樹脂であることがより好ましい。
【0080】
樹脂は、導電性の高分子材料であってもよい。
導電性の高分子材料としては、ポリアニリン、ポリチオフェン等が挙げられる。
【0081】
樹脂のガラス転移温度(Tg)は、特に制限されないが、例えば、180℃以下であることが好ましく、40℃~160℃であることがより好ましく、60℃~150℃であることが更に好ましい。
【0082】
本開示において、樹脂のガラス転移温度は、示差走査熱量測定(DSC)を用いて測定される。樹脂のガラス転移温度の測定は、具体的には、JIS K 7121:1987、又は、JIS K 6240:2011に記載の方法に準拠して行う。本開示におけるガラス転移温度は、補外ガラス転移開始温度(「Tig」ともいう。)を用いる。
ガラス転移温度の測定方法をより具体的に説明する。
ガラス転移温度を求める場合、予想される樹脂のTgより約50℃低い温度にて装置が安定するまで保持した後、加熱速度:20℃/分で、ガラス転移が終了した温度よりも約30℃高い温度まで加熱し、示差熱分析(DTA)曲線又はDSC曲線を作成する。
補外ガラス転移開始温度(Tig)、すなわち、本開示におけるガラス転移温度Tgは、DTA曲線又はDSC曲線における低温側のベースラインを高温側に延長した直線と、ガラス転移の階段状変化部分の曲線の勾配が最大になる点で引いた接線との交点の温度として求める。
【0083】
樹脂の重量平均分子量は、特に制限されないが、例えば、1,000~2,000,000であることが好ましく、10,000~1,200,000であることがより好ましい。
【0084】
金属配線層は、樹脂を含む場合、樹脂を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
【0085】
金属配線層が樹脂を含む場合、金属配線層における樹脂の含有率は、例えば、金属配線層の形成性及び導電性の観点から、金属配線層の全質量に対して、1質量%~70質量%であることが好ましく、5質量%~50質量%であることがより好ましく、10質量%~30質量%であることが更に好ましい。
【0086】
金属配線層は、各種添加剤を含んでいてもよい。
添加剤としては、ベンゾトリアゾール等の防錆剤など、公知の添加剤が挙げられる。
【0087】
また、金属配線層は、無機粒子を含んでいてもよい。
無機粒子としては、例えば、シリカ粒子、ムライト粒子、及びアルミナ粒子が挙げられる。
【0088】
金属配線層は、単層であってもよく、2層以上の複層であってもよい。
金属配線層が複層である場合、複数ある金属配線層は、同じ材質であってもよく、異なる材質であってもよい。
【0089】
金属配線層は、波長400nm~700nmの可視光の平均透過率が、70%未満であることが好ましく、60%以下であることがより好ましい。
【0090】
<用途>
本開示に係る積層体は、タッチパネルの回路配線、各種電子デバイスの回路配線等に好適に使用できる。本開示に係る積層体における導電部は、例えば、タッチパネルの周辺配線又は取り出し配線として好適に使用できる。
本開示に係る積層体は、種々の装置に適用することができる。
適用できる装置としては、例えば、入力装置が挙げられ、タッチパネルであることが好ましく、静電容量型タッチパネルであることがより好ましい。
本開示に係る積層体を備えた入力装置は、有機エレクトロルミネッセンス表示装置、液晶表示装置等の表示装置に適用することができる。
また、本開示に係る積層体は、フレキシブル表示装置(例えば、フレキシブルタッチパネル)に好適に用いることができる。
【0091】
[積層体の製造方法]
本開示に係る積層体の製造方法(以下、単に「製造方法」ともいう。)は、既述の本開示に係る積層体を製造できれば、特に限定されない。
本開示に係る製造方法としては、ロールツーロール方式による製造方法が好ましい。
本開示に係る製造方法としては、例えば、本開示に係る積層体を製造しやすいという観点から、以下の第1の実施形態に係る製造方法が好ましい。
【0092】
〔第1の実施形態に係る製造方法〕
第1の実施形態に係る製造方法は、基材、透明導電層、及び金属層をこの順に有する導電性基材を準備する工程(「工程1-1」ともいう。)と、上記金属層上に、エッチングレジストを形成する工程(「工程1-2」ともいう。)と、上記エッチングレジストをパターニングして、エッチングレジストパターンを得る工程(「工程1-3」ともいう。)と、上記エッチングレジストパターンをマスクとして、上記透明導電層及び上記金属層をエッチングする工程(「工程1-4」ともいう。)と、をこの順に有する。
第1の実施形態に係る製造方法では、上記金属配線層の幅R1と、上記透明配線層の幅R2と、上記エッチングレジストパターンの幅R4とが、下記の式(3)を満たす関係にある。
R1<R2≦R4 (3)
【0093】
以下、上記工程の手順について、詳細に説明する。
【0094】
<工程1-1>
工程1-1は、基材、透明導電層、及び金属層をこの順に有する導電性基材を準備する工程である。
基材としては、既述の基材を好適に使用できる。
【0095】
透明導電層は、透明であって、かつ、導電性を有していれば、その材質に制限はない。
透明導電層は、金属酸化物及び金属ナノワイヤからなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。また、透明導電層は、さらに樹脂を含むことも好ましい。
透明導電層は、例えば、金属酸化物を含む層であってもよく、金属ナノワイヤを含む層であってもよく、金属ナノワイヤ及び樹脂を含む層であってもよい。
透明導電層における金属酸化物は、既述の透明配線層における金属酸化物と同義であり、好ましい態様も同様であるため、ここでは説明を省略する。
透明導電層における金属ナノワイヤは、既述の透明配線層における金属ナノワイヤと同義であり、好ましい態様も同様であるため、ここでは説明を省略する。
透明導電層における樹脂は、既述の透明配線層における樹脂と同義であり、好ましい態様も同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0096】
透明導電層は、金属ナノワイヤを含む場合、金属ナノワイヤを1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
透明導電層が金属ナノワイヤを含む場合、透明導電層における金属ナノワイヤの含有率は、例えば、透明導電層の全質量に対して、1質量%~30質量%であることが好ましく、1質量%~20質量%であることがより好ましく、1質量%~15質量%であることが更に好ましい。
【0097】
透明導電層は、樹脂を含む場合、樹脂を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
透明導電層が樹脂を含む場合、透明導電層における樹脂の含有率は、例えば、透明導電層の全質量に対して、20質量%~90質量%であることが好ましく、30質量%~80質量%であることがより好ましく、40質量%~70質量%であることが更に好ましい。
【0098】
透明導電層は、各種添加剤を含んでいてもよい。
添加剤としては、ヒンダードフェノール類等の酸化防止剤、ベンゾトリアゾール等の防錆剤など、公知の添加剤が挙げられる。
【0099】
透明導電層は、単層であってもよく、2層以上の複層であってもよい。
透明導電層が複層である場合、複数ある透明導電層は、同じ材質であってもよく、異なる材質であってもよい。
【0100】
透明導電層の厚さは、特に限定されないが、例えば、1μm以下であることが好ましく、0.01μm~1μmであることがより好ましく、0.03μm~0.8μmであることが更に好ましく、0.05μm~0.5μmであることが特に好ましい。
透明導電層の厚さは、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、面内方向に対して垂直方向の断面を観察することによって測定される、10箇所の厚さの平均値(即ち、平均厚さ)である。
【0101】
透明導電層の形成方法は、特に制限されない。
例えば、透明導電層が金属酸化物を含む層である場合、透明導電層の形成方法としては、スパッタリング、蒸着等の方法が好ましく挙げられる。
スパッタリングの場合、真空中で不活性ガス(主にアルゴン)を導入し、ターゲット(例えば、プレート状の成膜材料)にマイナスの電圧を印加する。この印加によりグロー放電を発生させ、不活性ガス原子をイオン化する。ターゲットの表面においてガスイオンを高速で激しく衝突させ、ターゲットを構成する成膜材料の粒子(例えば、原子及び/又は分子)を弾き出し、勢いよく基材又は基板の表面に付着又は堆積させ薄膜を形成する。
蒸着法としては、例えば、誘導加熱蒸着法、抵抗加熱蒸着法、レーザービーム蒸着法、及び電子ビーム蒸着法が挙げられる。いずれの蒸着法を用いても構わないが、高い成膜速度を有する観点から、電子ビーム蒸着法が好適に用いられる。蒸着中は、基材の温度が上昇しないように基材を冷却しながら蒸着を行ってもよい。
【0102】
例えば、金属ナノワイヤを含む層である場合、透明導電層の形成方法としては、金属ナノワイヤを含む導電性素材を液中に分散した材料(「導電性インクX」ともいう。)を塗布することにより形成する方法が挙げられる。塗布後は、必要に応じて、乾燥、焼成等を行ってもよい。
導電性インクXの塗布方法としては、特に制限されず、例えば、インクジェット法、スプレー法、ロールコート法、バーコート法、カーテンコート法、及び、ダイコート法(即ち、スリットコート法)が挙げられる。
導電性インクXは、硬化型のインクであってもよく、例えば、熱硬化型、光硬化型、又は、熱及び光硬化型のインクであってもよい。
導電性インクXは、金属ナノワイヤと樹脂とを含むことが好ましい。
導電性インクXにおける金属ナノワイヤとしては、既述の透明配線層における金属ナノワイヤが好ましく挙げられる。
導電性インクXは、金属ナノワイヤを1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
導電性インクXにおける金属ナノワイヤの含有率は、導電性インクXの全質量に対して、0.001質量%~30質量%であることが好ましく、0.001質量%~20質量%であることがより好ましく、0.001質量%~15質量%であることが更に好ましい。
導電性インクXにおける樹脂としては、既述の透明配線層における樹脂が好ましく挙げられる。
導電性インクXは、樹脂を含む場合、樹脂を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
導電性インクXが樹脂を含む場合、導電性インクXにおける樹脂の含有率は、導電性インクXの全質量に対して、0.02質量%~90質量%であることが好ましく、0.03質量%~80質量%であることがより好ましく、0.04質量%~70質量%であることが更に好ましい。
【0103】
導電性インクXは、重合性化合物を含んでいてもよい。
導電性インクXが重合性化合物を含む場合、導電性インクXは、重合性化合物に加えて、重合開始剤を含むことが好ましい。
【0104】
重合性化合物は、透明導電層の強度の観点から、エチレン性不飽和化合物であることが好ましく、(メタ)アクリレート化合物であることがより好ましい。(メタ)アクリレート化合物としては、ウレタン(メタ)アクリレート化合物も好ましい。
また、重合性化合物は、透明導電層の強度の観点から、2官以上の重合性化合物を含むことが好ましく、3官能~10官能の重合性化合物を含むことがより好ましく、4官能~8官能の重合性化合物を含むことが更に好ましい。
さらに、重合性化合物は、透明導電層の強度の観点から、2官能以上のエチレン性不飽和化合物を含むことが好ましく、2官能以上の(メタ)アクリレート化合物を含むことがより好ましい。
【0105】
重合性化合物としては、市販品を使用できる。
重合性化合物の市販品としては、例えば、東亞合成(株)製のアロニックス(登録商標) M-350、及びアロニックス(登録商標) M-1960が挙げられる。
【0106】
重合性化合物としては、後述する感光性樹脂層に用いられる重合性化合物も好適に使用できる。
【0107】
導電性インクXは、重合性化合物を含む場合、重合性化合物を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
【0108】
導電性インクXが重合性化合物を含む場合、導電性インクXにおける重合性化合物の含有率は、透明導電層の強度の観点から、導電性インクX中の全固形分量に対して、0.02質量%~90質量%であることが好ましく、0.03質量%~80質量%であることがより好ましく、0.04質量%~70質量%であることが更に好ましい。
【0109】
重合開始剤としては、特に限定されないが、光重合開始剤が好ましい。
光重合開始剤としては、光ラジカル重合開始剤が好ましい。
光重合開始剤としては特に制限はなく、公知の光重合開始剤を使用できる。
【0110】
光重合開始剤としては、例えば、オキシムエステル構造を有する光重合開始剤(以下、「オキシム系光重合開始剤」ともいう。)、α-アミノアルキルフェノン構造を有する光重合開始剤(以下、「α-アミノアルキルフェノン系光重合開始剤」ともいう。)、α-ヒドロキシアルキルフェノン構造を有する光重合開始剤(以下、「α-ヒドロキシアルキルフェノン系重合開始剤」ともいう。)、アシルフォスフィンオキサイド構造を有する光重合開始剤(以下、「アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤」ともいう。)、及び、N-フェニルグリシン構造を有する光重合開始剤(以下、「N-フェニルグリシン系光重合開始剤」ともいう。)が挙げられる。
これらの中でも、光重合開始剤としては、α-ヒドロキシアルキルフェノン系重合開始剤〔例えば、IGM Resins B.V.製のOmnirad(登録商標) 184〕が好ましい。
重合開始剤としては、後述する感光性樹脂層に用いられる重合開始剤も好適に使用できる。
【0111】
導電性インクXは、重合開始剤を含む場合、重合開始剤を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
導電性インクXが重合開始剤を含む場合、導電性インクXにおける重合開始剤の含有率は、透明導電層の強度の観点から、導電性インクX中の全固形分量に対して、0.001質量%~20質量%であることが好ましく、0.002質量%~15質量%であることがより好ましく、0.003質量%~10質量%であることが更に好ましい。
【0112】
導電性インクXは、各種添加剤を含んでいてもよい。
添加剤としては、分散剤等の公知の添加剤が挙げられる。
分散剤としては、例えば、DisperBYK-111〔ビックケミー社製〕が挙げられる。
【0113】
導電性インクXは、溶剤を含んでいてもよい。
導電性インクXに含まれる溶剤には、水、有機溶剤、及びこれらの混合液を使用できる。
有機溶剤としては、トルエン、ドデカン、テトラデカン、シクロドデセン、n-ヘプタン、n-ウンデカン等の炭化水素類、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、及び、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のプロピレングリコールエーテル類が好ましい。
【0114】
金属層は、金属を含む層であり、金属単体及び金属合金からなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。また、金属層は、金属単体及び金属合金からなる群より選ばれる少なくとも1種に加えて、さらに樹脂を含むことも好ましい。
金属層は、例えば、金属単体からなるものであってもよく、金属合金からなるものであってもよく、金属単体及び金属合金からなる群より選ばれる少なくとも1種と、樹脂と、を含むものであってもよい。
金属層における金属単体は、既述の金属配線層における金属単体と同義であり、好ましい態様も同様であるため、ここでは説明を省略する。
金属層における金属合金は、既述の金属配線層における金属合金と同義であり、好ましい態様も同様であるため、ここでは説明を省略する。
金属層における樹脂は、既述の金属配線層における樹脂と同義であり、好ましい態様も同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0115】
金属層は、金属単体及び金属合金の少なくとも一方を含み、金属単体が、金、銀、銅、モリブデン、アルミニウム、チタン、クロム、亜鉛、及びマンガンからなる群より選ばれる少なくとも1種であり、金属合金が、金、銀、銅、モリブデン、アルミニウム、チタン、クロム、亜鉛、及びマンガンからなる群より選ばれる2種以上の金属元素からなる合金であることが好ましい。また、金属層は、金属単体及び金属合金の少なくとも一方と、樹脂と、を含み、金属単体が、金、銀、銅、モリブデン、アルミニウム、チタン、クロム、亜鉛、及びマンガンからなる群より選ばれる少なくとも1種であり、金属合金が、金、銀、銅、モリブデン、アルミニウム、チタン、クロム、亜鉛、及びマンガンからなる群より選ばれる2種以上の金属元素からなる合金であることも好ましい。
【0116】
金属層が金属単体及び金属合金の少なくとも一方と樹脂とを含む場合、金属単体及び金属合金は、金属ナノ体であることが好ましい。
金属層における金属ナノ体は、既述の金属配線層における金属ナノ体と同義であり、好ましい態様も同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0117】
金属層は、金属ナノ体を含む場合、金属ナノ体を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
金属層が金属ナノ体を含む場合、金属層における金属ナノ体の含有率は、例えば、金属層の全質量に対して、30質量%~99質量%であることが好ましく、50質量%~95質量%であることがより好ましく、70質量%~90質量%であることが更に好ましい。
【0118】
金属層は、樹脂を含む場合、樹脂を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
金属層が樹脂を含む場合、金属層における樹脂の含有率は、例えば、金属層の全質量に対して、1質量%~70質量%であることが好ましく、5質量%~50質量%であることがより好ましく、10質量%~30質量%であることが更に好ましい。
【0119】
金属層は、各種添加剤を含んでいてもよい。
添加剤としては、ベンゾトリアゾール等の防錆剤など、公知の添加剤が挙げられる。
【0120】
金属層は、無機粒子を含んでいてもよい。
無機粒子としては、例えば、シリカ粒子、ムライト粒子、及びアルミナ粒子が挙げられる。
【0121】
金属層は、単層であってもよく、2層以上の複層であってもよい。
金属層が複層である場合、複数ある金属層は、同じ材質であってもよく、異なる材質であってもよい。
【0122】
金属層は、波長400nm~700nmの可視光の平均透過率が、70%未満であることが好ましく、60%以下であることがより好ましい。
【0123】
金属層の厚さは、特に限定されないが、例えば、6μm以下であることが好ましく、0.1μm~6μmであることがより好ましく、0.2μm~5μmであることが更に好ましく、0.3μm~4μmであることが特に好ましい。
金属層の厚さは、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、面内方向に対して垂直方向の断面を観察することによって測定される、10箇所の厚さの平均値(即ち、平均厚さ)である。
【0124】
金属層の形成方法は、特に制限されない。
例えば、金属層が金属ナノ体を含む場合、金属層の形成方法としては、金属ナノ体を含む導電性素材を液中に分散した材料(「導電性インクY」ともいう。)を塗布することにより形成する方法が挙げられる。塗布後は、必要に応じて、乾燥、焼成等を行ってもよい。
導電性インクYの塗布方法としては、特に制限されず、例えば、インクジェット法、スプレー法、ロールコート法、バーコート法、カーテンコート法、及び、ダイコート法(即ち、スリットコート法)が挙げられる。
導電性インクYは、硬化型のインクであってもよく、例えば、熱硬化型、光硬化型、又は、熱及び光硬化型のインクであってもよい。
導電性インクYは、金属ナノ体と樹脂とを含むことが好ましい。
導電性インクYにおける金属ナノ体としては、既述の金属配線層における金属ナノ体が好ましく挙げられる。
導電性インクYは、金属ナノ体を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
導電性インクYにおける金属ナノ体の含有率は、導電性インクYの全質量に対して、1質量%~99質量%であることが好ましく、1質量%~95質量%であることがより好ましく、1質量%~90質量%であることが更に好ましい。
導電性インクYにおける樹脂としては、既述の金属配線層における樹脂が好ましく挙げられる。
導電性インクYは、樹脂を含む場合、樹脂を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
導電性インクYが樹脂を含む場合、導電性インクYにおける樹脂の含有率は、導電性インクYの全質量に対して、0.1質量%~70質量%であることが好ましく、0.3質量%~50質量%であることがより好ましく、0.5質量%~30質量%であることが更に好ましい。
【0125】
導電性インクYは、重合性化合物を含んでいてもよい。
導電性インクYが重合性化合物を含む場合、導電性インクYは、重合性化合物に加えて、重合開始剤を含むことが好ましい。
導電性インクYにおける重合性化合物は、導電性インクXにおける重合性化合物と同義であり、好ましい態様も同様であるため、ここでは説明を省略する。
導電性インクYにおける重合開始剤は、導電性インクXにおける重合開始剤と同義であり、好ましい態様も同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0126】
導電性インクYは、重合性化合物を含む場合、重合性化合物を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
導電性インクYが重合性化合物を含む場合、導電性インクYにおける重合性化合物の含有率は、金属層の強度の観点から、導電性インクY中の全固形分量に対して、0.1質量%~60質量%であることが好ましく、0.3質量%~50質量%であることがより好ましく、0.5質量%~30質量%であることが更に好ましい。
【0127】
導電性インクYは、重合開始剤を含む場合、重合開始剤を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
導電性インクYが重合開始剤を含む場合、導電性インクYにおける重合開始剤の含有率は、金属層の強度の観点から、導電性インクY中の全固形分量に対して、0.01質量%~20質量%であることが好ましく、0.03質量%~15質量%であることがより好ましく、0.05質量%~10質量%であることが更に好ましい。
【0128】
導電性インクYは、各種添加剤を含んでいてもよい。
添加剤としては、分散剤等の公知の添加剤が挙げられる。
分散剤としては、例えば、DisperBYK-111〔ビックケミー社製〕が挙げられる。
【0129】
導電性インクYは、溶剤を含んでいてもよい。
導電性インクYにおける溶剤は、導電性インクXにおける溶剤と同義であり、好ましい態様も同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0130】
<工程1-2>
工程1-2は、工程1-1で準備した導電性基材の金属層上に、エッチングレジストを形成する工程である。
金属層上にエッチングレジストを形成する方法としては、特に制限はなく、公知のレジスト形成方法を用いることができる。
工程1-2は、感光性転写材料を金属層上に接触させて転写することにより、エッチングレジストを形成する工程であることが好ましく、仮支持体上に予め形成されてなる感光性転写材料を金属層上に接触させ、転写することにより、エッチングレジストを形成する工程であることがより好ましい。
感光性転写材料を用いてエッチングレジストを金属層上に転写する方法としては、感光性転写材料における感光性樹脂層(エッチングレジストに相当)に金属層を接触させ、感光性転写材料と上記金属層とを圧着させる方法が好ましい。
この方法によれば、感光性転写材料における感光性樹脂層と金属層との密着性が向上するため、感光性樹脂層を、透明導電層及び金属層をエッチングする際のエッチングレジストとしてより好適に使用できる。
なお、本開示に係る積層体の製造方法に用いられる感光性転写材料の好ましい態様は、後述する。
【0131】
エッチングレジストは、ポジ型であってもよく、ネガ型であってもよい。
エッチングレジストは、重合性化合物と、光重合開始剤と、アルカリ可溶性樹脂とを含むものであってもよく、酸の作用により極性が変化する樹脂〔好ましくは、酸分解性樹脂(即ち、酸分解性基で保護された酸基を有する構成単位を有する重合体)〕と、光酸発生剤とを含むものであってもよく、フェノール性水酸基を有する構成単位を有する樹脂と、キノンジアジド化合物とを含むものであってもよい。
これらの中でも、エッチングレジストは、重合性化合物と、光重合開始剤と、アルカリ可溶性樹脂とを含むものであることが好ましい。
【0132】
金属層と感光性転写材料とを圧着する方法としては、特に制限されず、公知の転写方法及びラミネート方法を使用できる。
感光性転写材料の上記金属層への貼り合わせは、感光性転写材料における仮支持体に対して、感光性樹脂層を有する側の最外層と上記金属層とを重ね、ロール等の手段を用いて加圧及び加熱を施すことにより行われることが好ましい。
貼り合わせには、例えば、ラミネーター、真空ラミネーター等の公知のラミネーターを使用できる。また、貼り合わせには、例えば、生産性をより向上できるオートカットラミネーターも使用できる。
ラミネート温度は、特に制限されないが、例えば、70℃~130℃であることが好ましい。
【0133】
感光性転写材料が保護フィルムを有する場合、工程1-2の前に、保護フィルムを剥離する工程を含むことが好ましい。
保護フィルムを剥離する方法は、特に制限されず、公知の方法を適用できる。
【0134】
感光性転写材料を用いる場合、工程1-2と工程1-3との間、又は、工程1-3における露光と現像処理との間に、仮支持体を剥離する剥離工程を含むことが好ましい。
仮支持体を剥離する方法は、特に制限されず、特開2010-072589号公報の段落[0161]~[0162]に記載のカバーフィルムを剥離する方法と同様の方法を適用できる。
【0135】
<工程1-3>
工程1-3は、工程1-2において形成した上記エッチングレジストをパターニングして、エッチングレジストパターンを得る工程である。
工程1-3は、エッチングレジストをパターン露光及び現像することによりパターニングされたエッチングレジスト(即ち、エッチングレジストパターン)を得る工程であることが好ましい。
パターン露光は、パターン状の露光処理、すなわち、露光部と非露光部とが存在する形態の露光処理である。
パターン露光における露光領域と未露光領域との位置関係は特に制限されず、適宜調整される。
【0136】
パターン露光におけるパターンの詳細な配置及び具体的サイズは、特に制限されない。
例えば、エッチング方法により製造される回路配線を有する入力装置を備えた表示装置(例:タッチパネル)の表示品質を高め、かつ、取り出し配線の占める面積を小さくする観点から、パターンの少なくとも一部(好ましくは、タッチパネルの電極パターン及び/又は取り出し配線の部分)は、幅が20μm以下の細線を含むことが好ましく、幅が10μm以下の細線を含むことがより好ましい。
【0137】
工程1-3において得られるエッチングレジストパターンの幅R4は、最終的に得られる本開示に係る積層体における金属配線層の幅R1及び透明配線層の幅R2と、下記の式(3)を満たす関係にあり、下記の式(3-1)を満たすことが好ましい。
R1<R2≦R4 (3)
R1<R2<R4 (3-1)
【0138】
また、工程1-3において得られるエッチングレジストパターンの幅R4は、4.5μm~19.5μmであることが好ましく、6.5μm~17.5μmであることがより好ましく、8.1μm~15.5μmであることが更に好ましく、8.5μm~13.5μmであることが特に好ましい。
【0139】
工程1-3において得られるエッチングレジストパターンは、本開示における効果をより発揮する観点から、パターン間の距離が1μm~20μmであることが好ましく、パターン間の距離が3μm~15μmであることがより好ましく、パターン間の距離が5μm~10μmであることが更に好ましい。
【0140】
露光に使用する光源は、工程1-2において形成したエッチングレジストを露光可能な波長の光(例えば、365nm又は405nm又は436nm)を照射する光源であれば、適宜選択して使用できる。
露光に使用する光源としては、具体的には、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプ等の放電ランプ;LED(Light Emitting Diode)等の半導体光源;などが挙げられる。
露光量は、5mJ/cm~200mJ/cmであることが好ましく、10mJ/cm~100mJ/cmであることがより好ましい。
本開示に係る積層体の製造方法における、露光に使用する光源、露光量、及び露光方法の好ましい態様としては、例えば、国際公開第2018/155193号の段落[0146]~[0147]に記載されたものが挙げられ、これらの記載内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0141】
感光性転写材料を使用した場合、工程1-3においては、転写層(例えば、感光性樹脂層)から仮支持体を剥離した後にパターン露光してもよく、仮支持体を剥離する前に、仮支持体を介してパターン露光し、その後、仮支持体を剥離してもよい。
マスクは、露光前に仮支持体を剥離した場合には、転写層に接触させて露光してもよいし、転写層に接触させずに近接させて露光してもよい。また、仮支持体を剥離せずに露光する場合には、マスクは、仮支持体に接触させて露光してもよいし、仮支持体に接触させずに近接させて露光してもよい。転写層とマスクとの接触によるマスク汚染の防止、及び、マスクに付着した異物による露光への影響を避ける観点から、仮支持体を剥離せずにパターン露光することが好ましい。
露光方式は、例えば、接触露光の場合には、コンタクト露光方式を選択し、非接触露光方式の場合には、プロキシミティ露光方式、レンズ系又はミラー系のプロジェクション露光(所謂、投影露光)方式、露光レーザー等を用いたダイレクト露光(所謂、直接描画露光)方式を適宜選択できる。レンズ系又はミラー系のプロジェクション露光の場合、必要な解像力、焦点深度等に応じて、適当なレンズの開口数(NA)を有する露光機を使用できる。ダイレクト露光方式の場合には、直接エッチングレジストに描画を行ってもよいし、レンズを介してエッチングレジストに縮小投影露光をしてもよい。露光は、大気下で行うだけでなく、減圧下又は真空下で行ってもよく、光源と転写層との間に水等の液体を介在させて露光してもよい。
工程1-3における露光は、光の回折及び光の散乱を低減させて解像性を向上させる観点からは、転写層から仮支持体を剥離した後に転写層とマスクとを接触させる接触露光により行われることが好ましい。また、工程1-3における露光は、マスク及びエッチングレジストへの影響を小さくする観点から、直接描画露光、又は、投影露光により行われることが好ましい。
【0142】
工程1-3における現像処理は、現像液により行われることが好ましい。
現像液としては、エッチングレジスト(感光性樹脂層)の非画像部(所謂、不要部分)を除去することができれば、特に制限されない。現像液としては、例えば、特開平5-72724号公報に記載の現像液等、公知の現像液を使用できる。
現像液としては、pKa=7~13の化合物を0.05mol/L~5mol/L(リットル)の濃度で含むアルカリ水溶液系の現像液が好ましい。
現像液は、水溶性の有機溶剤及び/又は界面活性剤を含んでいてもよい。
アルカリ性水溶液に含まれ得るアルカリ性化合物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、及び、コリン(2-ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウムヒドロキシド)が挙げられる。
現像液としては、国際公開第2015/093271号の段落[0194]に記載の現像液も好ましく挙げられる。この記載内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
好ましく使用される現像方式としては、例えば、国際公開第2015/093271号の段落[0195]に記載の現像方式が挙げられる。この記載内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0143】
現像方式としては、特に制限されず、例えば、パドル現像、シャワー現像、シャワー及びスピン現像、並びに、ディップ現像のいずれであってもよい。
シャワー現像とは、露光後のエッチングレジスト(感光性樹脂層)に現像液をシャワーにより吹き付けることにより、非画像部を除去する現像処理である。
現像工程の後は、洗浄剤をシャワーにより吹き付け、現像残渣を除去することが好ましい。
現像液の液温は、特に制限されないが、例えば、20℃~40℃であることが好ましい。
【0144】
<工程1-4>
工程1-4は、工程1-3において得られたエッチングレジストパターンをマスクとして、上記透明導電層及び上記金属層をエッチングする工程である。
エッチング処理は、金属層及び透明導電層に対して、一括して行ってもよく、逐次行ってもよいが、金属層及び透明導電層の順に逐次行うことが好ましい。
【0145】
エッチング処理方法としては、公知の方法を適用できる。
エッチング処理方法は、エッチング液を使用するウェットエッチング法が好ましい。
ウェットエッチング法に用いられるエッチング液は、エッチングの対象に合わせて酸性又はアルカリ性のエッチング液を適宜選択すればよい。
【0146】
酸性のエッチング液としては、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、酢酸、フッ酸、シュウ酸、及びリン酸からなる群より選ばれる酸性成分単独の水溶液、並びに、酸性成分と、塩化鉄(II)、塩化鉄(III)、硝酸鉄(II)、硝酸鉄(III)、硫酸鉄(II)、硫酸鉄(III)、フッ化アンモニウム、及び過マンガン酸カリウムからなる群より選ばれる塩との混合水溶液が挙げられる。
酸性成分は、複数の酸性成分を組み合わせた成分であってもよい。
【0147】
アルカリ性のエッチング液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、有機アミン、及び、有機アミンの塩(例:テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド)からなる群より選ばれるアルカリ成分単独の水溶液、並びに、アルカリ成分と、塩(例:過マンガン酸カリウム)との混合水溶液が挙げられる。
アルカリ成分は、複数のアルカリ成分を組み合わせた成分であってもよい。
【0148】
エッチング液は、エッチング速度、被エッチング材料の形状等を制御する観点から、有機溶剤、界面活性剤、アミン、無機塩剤等と組み合わせて用いてもよい。
【0149】
エッチング処理は、スプレー法、シャワー法、浸漬法等の公知の方法を用いて、金属層及び透明導電層にエッチング液を接触させることにより行うことができる。
金属層及び透明導電層にエッチング液を接触させる方法としては、シャワー法が好ましい。
【0150】
エッチング液の液温は、特に制限されないが、例えば、20℃~60℃であることが好ましい。
【0151】
工程1-4では、エッチングレジストパターンをマスクとして、金属層及び透明導電層をエッチングすることで、エッチングレジストパターンによりマスクされていない部分の金属層及び透明導電層が除去される。
マスクされていない部分の金属層及び透明導電層の除去は、例えば、エッチング液の組成(例:エッチング液に含まれる酸性成分又はアルカリ成分の種類、酸又はアルカリの濃度、添加剤の種類等)、エッチング液の液温、エッチング時間等により制御できる。
【0152】
工程1-4では、マスクされていない部分の金属層のみを除去できるエッチング液を使用した後、マスクされていない部分の透明導電層のみを除去できるエッチング液を使用することが好ましい。
【0153】
マスクされていない部分の金属層及び透明導電層の除去の程度は、例えば、エッチング時間により制御できる。
例えば、エッチング時間が長いほど、マスクされていない部分の金属層及び透明導電層が除去される傾向にあり、最終的に得られる本開示に係る積層体における金属配線層の幅R1及び透明配線層の幅R2が狭くなる。
エッチング時間は、特に制限されず、所望とする金属配線層の幅R1及び透明配線層の幅R2に応じて、適宜設定すればよい。
エッチング時間としては、例えば、10秒~500秒が挙げられる。
【0154】
なお、エッチング液は、金属を溶解させる作用を有するものであるため、金属層及び/又は透明導電層に樹脂が含まれる場合には、エッチングレジストパターンによりマスクされていない部分の金属層及び/又は透明導電層に含まれる樹脂が残存する場合がある。金属層及び/又は透明導電層に含まれる樹脂は、一部が除去されていなくてもよいが、完全に除去されることが好ましい。金属層及び/又は透明導電層に含まれる樹脂は、例えば、シャワー圧、エッチング処理時間等を制御することにより、完全に除去できる。
【0155】
<工程1-5>
第1の実施形態に係る製造方法は、工程1-4の後に、エッチングレジストパターンを除去して、配線部を形成する工程(「工程1-5」ともいう。)を含むことが好ましい。
【0156】
残存するエッチングレジストパターンを除去する方法としては、特に制限はなく、例えば、薬品処理により除去する方法が挙げられ、除去液を用いて除去する方法が好ましい。
エッチングレジストパターンの除去方法としては、撹拌中の除去液に、残存するエッチングレジストパターンを浸漬する方法が挙げられる。
除去液の液温は、30℃~80℃であることが好ましく、40℃~80℃であることがより好ましい。浸漬時間は、特に制限されず、例えば、1分間~30分間が挙げられる。
【0157】
除去液としては、例えば、無機アルカリ成分又は有機アルカリ成分を、水、ジメチルスルホキシド、N-メチルピロリドン、又はこれらの混合溶液に溶解させた除去液が挙げられる。
無機アルカリ成分としては、例えば、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムが挙げられる。有機アルカリ成分としては、第一級アミン化合物、第二級アミン化合物、第三級アミン化合物及び第四級アンモニウム塩化合物が挙げられる。
また、残存するエッチングレジストパターンは、除去液を使用し、スプレー法、シャワー法、パドル法等の公知の方法により除去してもよい。
【0158】
<その他の工程>
本開示に係る積層体の製造方法は、上述した工程以外の任意の工程(その他の工程)を含んでいてもよい。その他の工程としては、例えば、以下の工程が挙げられる。但し、その他の工程は、これらの工程に限定されない。
【0159】
-可視光線反射率を低下させる工程-
本開示に係る積層体の製造方法は、上記導電部の一部又は全ての可視光線反射率を低下させる処理を行う工程を含んでいてもよい。
可視光線反射率を低下させる処理としては、酸化処理が挙げられる。
例えば、導電部が銅を含む場合、銅を酸化処理して酸化銅とし、導電部を黒化することにより、導電部の可視光線反射率を低下させることができる。
可視光線反射率を低下させる処理については、特開2014-150118号公報の段落[0017]~[0025]、並びに、特開2013-206315号公報の段落[0041]、[0042]、[0048]及び[0058]に記載があり、これらの記載内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0160】
-絶縁膜を形成する工程、及び、絶縁膜の表面に新たな導電層を形成する工程-
本開示に係る積層体の製造方法は、導電部の表面に絶縁膜を形成する工程と、絶縁膜の表面に新たな導電部を形成する工程と、を含むことも好ましい。
上記の工程を経ることで、第一の電極パターンと絶縁した第二の電極パターンとを形成できる。
絶縁膜を形成する工程としては、特に制限されず、公知の永久膜を形成する方法が挙げられる。また、絶縁性を有する感光性材料を用いて、フォトリソグラフィにより所望のパターンの絶縁膜を形成してもよい。
絶縁膜の表面に新たな導電部を形成する工程は、特に制限されず、例えば、導電性を有する感光性材料を用いて、フォトリソグラフィにより所望のパターンの新たな導電部を形成してもよい。
【0161】
また、本開示に係る積層体の製造方法に適用可能な露光工程、現像工程、及びその他の工程としては、例えば、特開2006-23696号公報の段落[0035]~[0051]に記載の工程が挙げられる。これらの記載内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0162】
〔感光性転写材料〕
本開示に係る積層体の製造方法に用いられる感光性転写材料は、仮支持体と、感光性樹脂層を含む転写層とを有することが好ましく、仮支持体と、感光性樹脂層を含む転写層と、保護フィルムとをこの順に有することがより好ましい。
本開示に用いられる感光性転写材料は、仮支持体と感光性樹脂層との間、感光性樹脂層と保護フィルムとの間等に他の層を有していてもよい。
他の層としては、熱可塑性樹脂層、水溶性樹脂層等が挙げられる。
感光性樹脂層、保護フィルム、及び他の層は、いずれも、単層であってもよく、2層以上の複層であってもよい。
本開示に用いられる感光性転写材料の構成は、仮支持体/感光性樹脂層/保護フィルムであることが好ましい。
本開示に用いられる感光性転写材料は、ロール状の感光性転写材料であってもよい。
【0163】
以下、感光性転写材料を構成する各要素について説明する。
【0164】
<仮支持体>
本開示に用いられる感光性転写材料は、仮支持体を有することが好ましい。
仮支持体は、感光性樹脂層又は感光性樹脂層を含む転写層を支持し、かつ、剥離可能な支持体である。
【0165】
仮支持体は、単層であってもよく、2層以上の複層であってもよい。
【0166】
仮支持体は、感光性樹脂層をパターン露光する際に、仮支持体を介した感光性樹脂層の露光が可能になる観点から、光透過性を有することが好ましい。
なお、本開示において「光透過性を有する」とは、パターン露光に使用する波長の光の透過率が50%以上であることを意味する。
仮支持体は、感光性樹脂層の露光感度向上の観点から、パターン露光に使用する波長(より好ましくは波長365nm)の光の透過率が60%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましい。
なお、感光性転写材料が備える層の透過率とは、層の主面に垂直な方向(厚さ方向)に光を入射させたときの、入射光の強度に対する層を通過して出射した出射光の強度の比率であり、マルチチャンネル分光器〔例えば、大塚電子(株)製MCPD Series〕を用いて測定される。
【0167】
仮支持体を構成する材料としては、例えば、ガラス基板、樹脂フィルム及び紙が挙げられ、強度、可撓性及び光透過性の観点から、樹脂フィルムが好ましい。
樹脂フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、トリ酢酸セルロースフィルム、ポリスチレンフィルム及びポリカーボネートフィルムが挙げられる。
これらの中でも、樹脂フィルムとしては、PETフィルムが好ましく、2軸延伸PETフィルムがより好ましい。
【0168】
仮支持体の厚さは、特に制限されず、例えば、支持体としての強度、貼り合わせに求められる可撓性、及び、光透過性の観点から、材質に応じて選択すればよい。
仮支持体の厚さは、5μm~100μmであることが好ましい。
仮支持体の厚さは、例えば、取り扱い性及び汎用性の観点から、10μm~50μmであることがより好ましく、10μm~20μmであることが更に好ましく、10μm~16μmであることが特に好ましい。
また、仮支持体の厚さは、例えば、樹脂パターンの欠陥抑制性、解像性及び直線性の観点から、50μm以下であることが好ましく、25μm以下であることがより好ましく、20μm以下であることが更に好ましく、16μm以下であることが特に好ましい。
仮支持体の厚さは、走査型電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)による断面観察により測定した任意の5点の平均値として算出される。
【0169】
また、仮支持体として使用するフィルムには、シワ等の変形、傷などがないことが好ましい。
【0170】
仮支持体を介するパターン露光時のパターン形成性、及び、仮支持体の透明性の点から、仮支持体に含まれる微粒子、異物及び欠陥の数は少ない方が好ましい。
仮支持体に含まれる直径1μm以上の微粒子、異物及び欠陥の合計数は、50個/10mm以下であることが好ましく、10個/10mm以下であることがより好ましく、3個/10mm以下であることが更に好ましく、0個/10mmであることが特に好ましい。
【0171】
仮支持体を介するパターン露光時のパターン形成性、及び、仮支持体の透明性の観点から、仮支持体のヘイズは小さい方が好ましい。具体的には、仮支持体のヘイズ値は、2%以下であることが好ましく、1.0%以下であることがより好ましく、0.5%以下であることが更に好ましく、0.1%以下であることが特に好ましい。
本開示におけるヘイズ値は、ヘイズメーター〔例えば、日本電色工業(株)製のNDH-2000(型番)〕を用いて、JIS K 7105:1981に準ずる方法により測定する。
【0172】
仮支持体の表面には、ハンドリング性を付与するために、微小な粒子を含む層(「滑剤層」ともいう。)を設けてもよい。
滑剤層は、仮支持体の片面に設けてもよいし、両面に設けてもよい。
滑剤層に含まれる粒子の直径は、例えば、0.05μm~0.8μmとすることができる。また、滑剤層の膜厚は、例えば、0.05μm~1.0μmとすることができる。
【0173】
仮支持体における感光性樹脂層側とは反対側の面の算術平均粗さRaは、搬送性、樹脂パターンの欠陥抑制性、及び、解像性の観点から、仮支持体における感光性樹脂層側の面の算術平均粗さRa以上であることが好ましい。
仮支持体における感光性樹脂層側とは反対側の面の算術平均粗さRaは、搬送性、樹脂パターンの欠陥抑制性、及び、解像性の観点から、100nm以下であることが好ましく、50nm以下であることがより好ましく、20nm以下であることが更に好ましく、10nm以下であることが特に好ましい。
仮支持体における感光性樹脂層側の面の算術平均粗さRaは、仮支持体の剥離性、樹脂パターンの欠陥抑制性、及び、解像性の観点から、100nm以下であることが好ましく、50nm以下であることがより好ましく、20nm以下であることが更に好ましく、10nm以下であることが特に好ましい。
「仮支持体における感光性樹脂層側とは反対側の面の算術平均粗さRa」-「仮支持体における上記感光性樹脂層側の面の算術平均粗さRa」の値は、搬送性、樹脂パターンの欠陥抑制性、及び、解像性の観点から、0nm~10nmであることが好ましく、0nm~5nmであることがより好ましい。
【0174】
本開示における仮支持体又は保護フィルムの表面の算術平均粗さRaは、以下の方法により測定する。
3次元光学プロファイラー(New View7300、Zygo社製)を用いて、以下の条件にて仮支持体又は保護フィルムの表面を測定し、表面プロファイルを得る。
測定・解析ソフトとしては、MetroPro ver8.3.2のMicroscope Applicationを用いる。次に、上記測定・解析ソフトにてSurface Map画面を表示し、Surface Map画面中でヒストグラムデータを得る。得られたヒストグラムデータから、算術平均粗さを算出し、仮支持体又は保護フィルムの表面のRa値を得る。
仮支持体又は保護フィルムが感光性樹脂層等に貼り合わされている場合は、感光性樹脂層から仮支持体又は保護フィルムを剥離して、剥離した側の表面のRa値を測定する。
【0175】
仮支持体の剥離力、具体的には、仮支持体と感光性樹脂層との間の剥離力は、巻き取られた積層体をロールツーロール方式によって再び搬送する際に、上下に積み重なった積層体と積層体との接着に起因する仮支持体の剥離を抑制する観点から、0.5mN/mm以上であることが好ましく、0.5mN/mm~2.0mN/mmであることがより好ましい。
【0176】
本開示における仮支持体の剥離力は、以下のように測定する。
厚さ100μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に、スパッタ法にて厚さ200nmの銅層を作製し、銅層付きPET基板を作製する。
作製した感光性転写材料から保護フィルムを剥離し、ラミネートロール温度100℃、線圧0.6MPa、線速度(即ち、ラミネート速度)1.0m/minのラミネート条件で上記銅層付きPET基板にラミネートする。次に、仮支持体の表面にテープ〔日東電工(株)製のPRINTACK〕を貼りつけた後に、銅層付きPET基板上に少なくとも仮支持体及び感光性樹脂層を有する積層体を、70mm×10mmにカットしてサンプルを作製する。上記サンプルのPET基板側を試料台の上に固定する。
引張圧縮試験機〔型番:SV-55、(株)今田製作所製〕を用いて、180度の方向に、5.5mm/秒でテープを引っ張ることにより、感光性樹脂層と仮支持体との間で剥離して、剥離に必要な力(剥離力)を測定する。
【0177】
仮支持体の好ましい態様としては、例えば、特開2014-85643号公報の段落[0017]及び[0018]、特開2016-27363号公報の段落[0019]~[0026]、国際公開第2012/081680号の段落[0041]~[0057]、国際公開第2018/179370号の段落[0029]~[0040]、並びに、特開2019-101405号公報の段落[0012]~[0032]に記載があり、これらの記載内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0178】
<感光性樹脂層>
本開示に用いられる感光性転写材料は、感光性樹脂層を有することが好ましい。
第1の実施形態に係る製造方法に用いられる感光性転写材料において、感光性樹脂層は、ポジ型感光性樹脂層であっても、ネガ型感光性樹脂層であってもよいが、ネガ型感光性樹脂層であることが好ましい。
ネガ型感光性樹脂層は、重合性化合物、光重合開始剤、及び、アルカリ可溶性樹脂を含むことが好ましく、上記感光性樹脂層の全質量基準で、エチレン性不飽和化合物:5質量%~70質量%;光重合開始剤:0.01質量%~20質量%;及びアルカリ可溶性樹脂:10質量%~90質量%を含むことがより好ましい。
ポジ型感光性樹脂層としては、制限されず、公知のポジ型感光性樹脂層を利用できる。ポジ型感光性樹脂層は、酸分解性樹脂、すなわち、酸分解性基で保護された酸基を有する構成単位を有する重合体と、光酸発生剤と、を含むことが好ましい。また、ポジ型感光性樹脂層は、フェノール性水酸基を有する構成単位を有する樹脂、及び、キノンジアジド化合物を含むことが好ましい。また、ポジ型感光性樹脂層は、酸分解性基で保護された酸基を有する構成単位を有する重合体、及び、光酸発生剤を含む化学増幅ポジ型感光性樹脂層であることがより好ましい。
以下、各成分を順に説明する。なお、以下の説明において、単に「感光性樹脂層」という場合は、ポジ型感光性樹脂層及びネガ型感光性樹脂層の両方をいうものとする。
【0179】
<<重合性化合物>>
ネガ型感光性樹脂層は、重合性化合物を含むことが好ましい。
なお、本開示において「重合性化合物」とは、後述する光重合開始剤の作用を受けて重合する化合物であって、後述するアルカリ可溶性樹脂とは異なる化合物を意味する。
【0180】
重合性化合物が有する重合性基としては、重合反応に関与する基であれば特に制限されず、例えば、ビニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、スチリル基、マレイミド基等のエチレン性不飽和基を有する基、及び、エポキシ基、オキセタン基等のカチオン性重合性基を有する基が挙げられる。
重合性基としては、エチレン性不飽和基を有する基が好ましく、アクリロイル基又はメタクリロイル基がより好ましい。
また、重合性化合物としては、エチレン性不飽和化合物を含むことが好ましく、(メタ)アクリレート化合物を含むことがより好ましい。
【0181】
ネガ型感光性樹脂層は、解像性、及び、パターン形成性の観点から、2官能以上の重合性化合物(所謂、多官能重合性化合物)を含むことが好ましく、3官能以上の重合性化合物を含むことがより好ましい。ここで、2官能以上の重合性化合物とは、一分子中に重合性基を2つ以上有する化合物を意味する。
また、解像性及び剥離性に優れる点で、重合性化合物が一分子中に有する重合性基の数は、6つ以下が好ましい。
【0182】
ネガ型感光性樹脂層は、感光性と解像性及び剥離性とのバランスがより優れる点で、2官能又は3官能エチレン性不飽和化合物を含むことが好ましく、2官能エチレン性不飽和化合物を含むことがより好ましい。
ネガ型感光性樹脂層における、エチレン性不飽和化合物の合計含有量に対する2官能又は3官能エチレン性不飽和化合物の含有量の割合は、剥離性に優れる点から、60質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることが更に好ましい。上限は、特に制限されず、100質量%であってもよい。すなわち、ネガ型感光性樹脂層に含まれるエチレン性不飽和化合物の全てが2官能エチレン性不飽和化合物であってもよい。
【0183】
ネガ型感光性樹脂層は、解像性、及び、パターン形成性の観点から、ポリアルキレンオキサイド構造を有する重合性化合物を含むことが好ましく、ポリエチレンオキサイド構造を有する重合性化合物を含むことがより好ましい。
ポリアルキレンオキサイド構造を有する重合性化合物としては、例えば、後述するポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレートが好ましく挙げられる。
【0184】
-エチレン性不飽和化合物B1-
ネガ型感光性樹脂層は、芳香環及び2つのエチレン性不飽和基を有するエチレン性不飽和化合物B1を含むことが好ましい。エチレン性不飽和化合物B1は、上述したエチレン性不飽和化合物のうち、一分子中に1つ以上の芳香環を有する2官能エチレン性不飽和化合物である。
【0185】
ネガ型感光性樹脂層中、エチレン性不飽和化合物の含有質量に対するエチレン性不飽和化合物B1の含有質量の比は、解像性がより優れる点から、40質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましく、55質量%以上であることが更に好ましく、60質量%以上であることが特に好ましい。上限は、特に制限されないが、剥離性の点から、99質量%以下であることが好ましく、95質量%以下であることがより好ましく、90質量%以下であることが更に好ましく、85質量%以下であることが特に好ましい。
【0186】
エチレン性不飽和化合物B1が有する芳香環としては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環等の芳香族炭化水素環、チオフェン環、フラン環、ピロール環、イミダゾール環、トリアゾール環、ピリジン環等の芳香族複素環、及びこれらの縮合環が挙げられる。
これらの中でも、エチレン性不飽和化合物B1が有する芳香環としては、芳香族炭化水素環が好ましく、ベンゼン環がより好ましい。
エチレン性不飽和化合物B1が有する芳香環は、置換基を有してもよい。
エチレン性不飽和化合物B1は、芳香環を1つのみ有してもよく、2つ以上有してもよい。
【0187】
エチレン性不飽和化合物B1は、現像液によるネガ型感光性樹脂層の膨潤を抑制することにより解像性が向上するため、ビスフェノール構造を有することが好ましい。
ビスフェノール構造としては、例えば、ビスフェノールA(2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン)に由来するビスフェノールA構造、ビスフェノールF(2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン)に由来するビスフェノールF構造、及び、ビスフェノールB(2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン)に由来するビスフェノールB構造が挙げられる。
これらの中でも、ビスフェノール構造としては、ビスフェノールA構造が好ましい。
【0188】
ビスフェノール構造を有するエチレン性不飽和化合物B1としては、例えば、ビスフェノール構造と、そのビスフェノール構造の両端に結合した2つのエチレン性不飽和基(好ましくは、(メタ)アクリロイル基)とを有する化合物が挙げられる。
ビスフェノール構造の両端と2つのエチレン性不飽和基とは、直接結合してもよく、1つ以上のアルキレンオキシ基を介して結合してもよい。
ビスフェノール構造の両端に付加するアルキレンオキシ基としては、エチレンオキシ基又はプロピレンオキシ基が好ましく、エチレンオキシ基がより好ましい。
ビスフェノール構造に付加するアルキレンオキシ基の付加数は、特に制限されないが、1分子あたり4個~16個であることが好ましく、1分子あたり6個~14個であることがより好ましい。
ビスフェノール構造を有するエチレン性不飽和化合物B1については、特開2016-224162号公報の段落[0072]~[0080]に記載されており、これらの記載内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0189】
エチレン性不飽和化合物B1としては、ビスフェノールA構造を有する2官能エチレン性不飽和化合物が好ましく、2,2-ビス(4-((メタ)アクリロキシポリアルコキシ)フェニル)プロパンがより好ましい。
2,2-ビス(4-((メタ)アクリロキシポリアルコキシ)フェニル)プロパンとしては、例えば、2,2-ビス(4-(メタクリロキシジエトキシ)フェニル)プロパン〔日立化成(株)製の「FA-324M」〕、2,2-ビス(4-(メタクリロキシエトキシプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2-ビス(4-(メタクリロキシペンタエトキシ)フェニル)プロパン〔新中村化学工業(株)製の「BPE-500」〕、2,2-ビス(4-(メタクリロキシドデカエトキシテトラプロポキシ)フェニル)プロパン〔日立化成(株)製の「FA-3200MY」〕、2,2-ビス(4-(メタクリロキシペンタデカエトキシ)フェニル)プロパン〔新中村化学工業(株)製の「BPE-1300」〕、2,2-ビス(4-(メタクリロキシジエトキシ)フェニル)プロパン〔新中村化学工業(株)製の「BPE-200」〕、及び、エトキシ化(10)ビスフェノールAジアクリレート〔新中村化学工業(株)製の「NKエステル A-BPE-10」〕が挙げられる。
【0190】
エチレン性不飽和化合物B1としては、下記式(Bis)で表される化合物を使用できる。
【0191】
【化1】

【0192】
式(Bis)中、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表し、Aは、Cであり、Bは、Cであり、n及びnは、それぞれ独立に、1~39の整数であり、かつ、n+nは、2~40の整数であり、n及びnは、それぞれ独立に、0~29の整数であり、かつ、n+nは、0~30の整数であり、-(A-O)-及び-(B-O)-の繰り返し単位の配列は、ランダムであってもよく、ブロックであってもよい。ブロックの場合には、-(A-O)-と-(B-O)-とのいずれがビスフェノール構造側であってもよい。
一態様において、n+n+n+nは、2~20の整数であることが好ましく、2~16の整数であることがより好ましく、4~12の整数であることが更に好ましい。また、n+nは、0~10の整数であることが好ましく、0~4の整数であることがより好ましく、0~2の整数であることが更に好ましく、0であることが特に好ましい。
【0193】
エチレン性不飽和化合物B1は、1種単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
ネガ型感光性樹脂層におけるエチレン性不飽和化合物B1の含有率は、解像性がより優れる観点から、ネガ型感光性樹脂層の全質量に対して、10質量%以上であることが好ましく、20質量%以上であることがより好ましい。上限は、特に制限されないが、転写性及びエッジフュージョン(即ち、感光性転写材料の端部からネガ型感光性樹脂層中の成分が滲み出す現象)の観点から、70質量%以下であることが好ましく、60質量%以下であることがより好ましい。
【0194】
ネガ型感光性樹脂層は、上述したエチレン性不飽和化合物B1以外のエチレン性不飽和化合物を含んでいてもよい。
エチレン性不飽和化合物B1以外のエチレン性不飽和化合物は、特に制限されず、公知の化合物の中から適宜選択できる。例えば、一分子中に1つのエチレン性不飽和基を有する化合物(所謂、単官能エチレン性不飽和化合物)、芳香環を有さない2官能エチレン性不飽和化合物、及び、3官能以上のエチレン性不飽和化合物が挙げられる。
【0195】
単官能エチレン性不飽和化合物としては、例えば、エチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルサクシネート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、及び、フェノキシエチル(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0196】
芳香環を有さない2官能エチレン性不飽和化合物としては、例えば、アルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、ウレタンジ(メタ)アクリレート、及び、トリメチロールプロパンジアクリレートが挙げられる。
アルキレングリコールジ(メタ)アクリレートとしては、例えば、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート〔新中村化学工業(株)製の「A-DCP」〕、トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート〔新中村化学工業(株)製の「DCP」〕、1,9-ノナンジオールジアクリレート〔新中村化学工業(株)製の「A-NOD-N」〕、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート〔新中村化学工業(株)製の「A-HD-N」〕、エチレングリコールジメタクリレート、1,10-デカンジオールジアクリレート、及び、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレートが挙げられる。
ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレートとしては、例えば、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、及び、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートが挙げられる。
ウレタンジ(メタ)アクリレートとしては、例えば、プロピレンオキサイド変性ウレタンジ(メタ)アクリレート、並びに、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイド変性ウレタンジ(メタ)アクリレートが挙げられる。ウレタンジ(メタ)アクリレートの市販品としては、例えば、大成ファインケミカル(株)製の「8UX-015A」、新中村化学工業(株)製の「UA-32P」、及び、新中村化学工業(株)製の「UA-1100H」が挙げられる。
【0197】
3官能以上のエチレン性不飽和化合物としては、例えば、ジペンタエリスリトール(トリ/テトラ/ペンタ/ヘキサ)(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトール(トリ/テトラ)(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、及び、これらのアルキレンオキサイド変性物が挙げられる。
ここで、「(トリ/テトラ/ペンタ/ヘキサ)(メタ)アクリレート」は、トリ(メタ)アクリレート、テトラ(メタ)アクリレート、ペンタ(メタ)アクリレート、及びヘキサ(メタ)アクリレートを包含する概念であり、「(トリ/テトラ)(メタ)アクリレート」は、トリ(メタ)アクリレート及びテトラ(メタ)アクリレートを包含する概念である。
一態様において、ネガ型感光性樹脂層は、上述したエチレン性不飽和化合物B1及び3官能以上のエチレン性不飽和化合物を含むことが好ましく、上述したエチレン性不飽和化合物B1及び2種以上の3官能以上のエチレン性不飽和化合物を含むことがより好ましい。この場合、エチレン性不飽和化合物B1の合計含有質量と、3官能以上のエチレン性不飽和化合物の合計含有質量の比は、(エチレン性不飽和化合物B1の合計含有質量):(3官能以上のエチレン性不飽和化合物の合計含有質量)=1:1~5:1であることが好ましく、1.2:1~4:1であることがより好ましく、1.5:1~3:1であることが更に好ましい。
【0198】
3官能以上のエチレン性不飽和化合物のアルキレンオキサイド変性物としては、カプロラクトン変性(メタ)アクリレート化合物〔日本化薬(株)製の「KAYARAD(登録商標)DPCA-20」、新中村化学工業(株)製の「A-9300-1CL」等〕、アルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレート化合物〔日本化薬(株)製の「KAYARAD(登録商標) RP-1040」、新中村化学工業(株)製の「ATM-35E」及び「A-9300」、ダイセル・オルネクス社製の「EBECRYL(登録商標) 135」等〕、エトキシル化グリセリントリアクリレート〔新中村化学工業(株)製の「A-GLY-9E」等〕、アロニックス(登録商標)TO-2349〔東亞合成(株)製〕、アロニックスM-520〔東亞合成(株)製〕、並びに、アロニックスM-510〔東亞合成(株)製〕が挙げられる。
【0199】
また、エチレン性不飽和化合物B1以外のエチレン性不飽和化合物としては、特開2004-239942号公報の段落[0025]~[0030]に記載の酸基を有するエチレン性不飽和化合物を使用してもよい。
【0200】
ネガ型感光性樹脂層におけるエチレン性不飽和化合物の含有量Mmとアルカリ可溶性樹脂の含有量Mbとの比Mm/Mbの値は、解像性及び直線性の観点から、1.0以下であることが好ましく、0.9以下であることがより好ましく、0.5~0.9であることが更に好ましい。
また、ネガ型感光性樹脂層におけるエチレン性不飽和化合物は、硬化性、及び、解像性の観点から、(メタ)アクリル化合物を含むことが好ましい。
さらに、ネガ型感光性樹脂層におけるエチレン性不飽和化合物は、硬化性、解像性及び直線性の観点から、(メタ)アクリル化合物を含み、かつ、ネガ型感光性樹脂層に含まれる(メタ)アクリル化合物の含有量に対するアクリル化合物の含有量が、60質量%以下であることがより好ましい。
【0201】
エチレン性不飽和化合物B1を含むエチレン性不飽和化合物の分子量〔分子量分布を有する場合は、重量平均分子量(Mw)〕としては、200~3,000が好ましく、280~2,200がより好ましく、300~2,200が更に好ましい。
【0202】
ネガ型感光性樹脂層は、重合性化合物を含む場合、重合性化合物を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
【0203】
ネガ型感光性樹脂層が重合性化合物を含む場合、ネガ型感光性樹脂層における重合性化合物の含有率は、ネガ型感光性樹脂層の全質量に対し、10質量%~70質量%であることが好ましく、20質量%~60質量%であることがより好ましく、20質量%~50質量%であることが更に好ましい。
【0204】
<<光重合開始剤>>
ネガ型感光性樹脂層は、光重合開始剤を含むことが好ましい。
光重合開始剤は、紫外線、可視光線、X線等の活性光線を受けて、エチレン性不飽和化合物の重合を開始する化合物である。光重合開始剤としては、特に制限されず、公知の光重合開始剤を使用できる。
光重合開始剤としては、例えば、光ラジカル重合開始剤及び光カチオン重合開始剤が挙げられる。
これらの中でも、光重合開始剤としては、解像性、及び、パターン形成性の観点から、光ラジカル重合開始剤が好ましい。
【0205】
光ラジカル重合開始剤としては、例えば、オキシムエステル構造を有する光重合開始剤、α-アミノアルキルフェノン構造を有する光重合開始剤、α-ヒドロキシアルキルフェノン構造を有する光重合開始剤、アシルフォスフィンオキサイド構造を有する光重合開始剤、N-フェニルグリシン構造を有する光重合開始剤、及び、ビイミダゾール化合物が挙げられる。
【0206】
光ラジカル重合開始剤としては、例えば、特開2011-95716号公報の段落[0031]~[0042]、及び、特開2015-14783号公報の段落[0064]~[0081]に記載された重合開始剤を使用してもよい。
【0207】
光ラジカル重合開始剤としては、例えば、ジメチルアミノ安息香酸エチル(DBE、CAS No.10287-53-3)、ベンゾインメチルエーテル、アニシル(p,p’-ジメトキシベンジル)、TAZ-110〔商品名、みどり化学(株)製〕、ベンゾフェノン、TAZ-111〔商品名、みどり化学(株)製〕、Irgacure(登録商標) OXE01、OXE02、OXE03、及びOXE04〔いずれも商品名、BASF社製〕、Omnirad(登録商標) 651及び369〔いずれも商品名、IGM Resins B.V.社製〕、並びに、2,2’-ビス(2-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニル-1,2’-ビイミダゾール〔東京化成工業(株)製〕が挙げられる。
【0208】
光ラジカル重合開始剤の市販品としては、例えば、1-[4-(フェニルチオ)フェニル]-1,2-オクタンジオン-2-(O-ベンゾイルオキシム)〔商品名:IRGACURE(登録商標) OXE01、BASF社製〕、1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]エタノン-1-(O-アセチルオキシム)〔商品名:IRGACURE(登録商標) OXE02、BASF社製〕、IRGACURE(登録商標) OXE03〔BASF社製〕、2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルフォリニル)フェニル]-1-ブタノン〔商品名:Omnirad 379EG、IGM Resins B.V.製〕、2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オン〔商品名:Omnirad 907、IGM Resins B.V.製〕、2-ヒドロキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオニル)ベンジル]フェニル}-2-メチルプロパン-1-オン〔商品名:Omnirad 127、IGM Resins B.V.製〕、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)ブタノン-1〔商品名:Omnirad 369、IGM Resins B.V.製〕、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン〔商品名:Omnirad 1173、IGM Resins B.V.製〕、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン〔商品名:Omnirad 184、IGM Resins B.V.製〕、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン〔商品名:Omnirad 651、IGM Resins B.V.製〕、2,4,6-トリメチルベンゾリル-ジフェニルフォスフィンオキサイド〔商品名:Omnirad TPO H、IGM Resins B.V.製〕、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾリル)フェニルフォスフィンオキサイド〔商品名:Omnirad 819、IGM Resins B.V.製〕、オキシムエステル系の光重合開始剤〔商品名:Lunar 6、DKSHジャパン(株)製〕、2,2’-ビス(2-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニルビスイミダゾール(2-(2-クロロフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体)〔商品名:B-CIM、Hampford社製〕、及び、2-(o-クロロフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体〔商品名:BCTB、東京化成工業(株)製〕が挙げられる。
【0209】
光カチオン重合開始剤(所謂、光酸発生剤)は、活性光線を受けて酸を発生する化合物である。光カチオン重合開始剤としては、波長300nm以上、好ましくは波長300~450nmの活性光線に感応し、酸を発生する化合物が好ましいが、その化学構造は制限されない。また、波長300nm以上の活性光線に直接感応しない光カチオン重合開始剤についても、増感剤と併用することによって波長300nm以上の活性光線に感応し、酸を発生する化合物であれば、増感剤と組み合わせて好ましく使用できる。
光カチオン重合開始剤としては、pKaが4以下の酸を発生する光カチオン重合開始剤が好ましく、pKaが3以下の酸を発生する光カチオン重合開始剤がより好ましく、pKaが2以下の酸を発生する光カチオン重合開始剤が特に好ましい。pKaの下限値は、特に定めないが、例えば、-10.0以上であることが好ましい。
【0210】
光カチオン重合開始剤としては、例えば、イオン性光カチオン重合開始剤及び非イオン性光カチオン重合開始剤が挙げられる。
イオン性光カチオン重合開始剤として、例えば、ジアリールヨードニウム塩類、トリアリールスルホニウム塩類等のオニウム塩化合物、及び、第4級アンモニウム塩類が挙げられる。
イオン性光カチオン重合開始剤としては、特開2014-85643号公報の段落[0114]~[0133]に記載のイオン性光カチオン重合開始剤を使用してもよい。
【0211】
非イオン性光カチオン重合開始剤としては、例えば、トリクロロメチル-s-トリアジン類、ジアゾメタン化合物、イミドスルホネート化合物、及び、オキシムスルホネート化合物が挙げられる。トリクロロメチル-s-トリアジン類、ジアゾメタン化合物、及びイミドスルホネート化合物としては、特開2011-221494号公報の段落[0083]~[0088]に記載の化合物を使用してもよい。また、オキシムスルホネート化合物としては、国際公開第2018/179640号の段落[0084]~[0088]に記載された化合物を使用してもよい。
【0212】
ネガ型感光性樹脂層は、光重合開始剤を含む場合、光重合開始剤を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
【0213】
ネガ型感光性樹脂層が光重合開始剤を含む場合、ネガ型感光性樹脂層における光重合開始剤の含有率は、特に制限されないが、感光性樹脂層の全質量に対して、0.1質量%以上であることが好ましく、0.5質量%以上であることがより好ましく、1.0質量%以上であることが更に好ましい。上限は、特に制限されないが、ネガ型感光性樹脂層の全質量に対して、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましい。
【0214】
<<アルカリ可溶性樹脂(ネガ型)>>
ネガ型感光性樹脂層は、アルカリ可溶性樹脂を含むことが好ましい。
なお、本開示において、「アルカリ可溶性」とは、液温が22℃である1質量%濃度の炭酸ナトリウム水溶液100gへの溶解度が0.1g以上であることを意味する。
アルカリ可溶性樹脂としては、特に制限はなく、例えば、エッチングレジストに使用される公知のアルカリ可溶性樹脂が好適に挙げられる。
また、アルカリ可溶性樹脂は、バインダーポリマーであることが好ましい。
アルカリ可溶性樹脂は、酸基を有するアルカリ可溶性樹脂であることが好ましい。
アルカリ可溶性樹脂としては、後述する重合体Aが好ましい。
【0215】
-重合体A-
アルカリ可溶性樹脂としては、重合体Aを含むことが好ましい。
重合体Aの酸価は、現像液によるネガ型感光性樹脂層の膨潤が抑制され、解像性がより向上する観点から、220mgKOH/g以下であることが好ましく、200mgKOH/g未満であることがより好ましく、190mgKOH/g未満であることが更に好ましい。下限は、特に制限されないが、現像性がより向上する観点から、60mgKOH/g以上であることが好ましく、120mgKOH/g以上であることがより好ましく、150mgKOH/g以上であることが更に好ましく、170mgKOH/g以上であることが特に好ましい。
【0216】
酸価は、試料1gを中和するのに必要な水酸化カリウムの質量[mg]であり、本開示においては、単位をmgKOH/gと記載する。酸価は、例えば、化合物中における酸基の平均含有量から算出できる。
重合体Aの酸価は、重合体Aを構成する構成単位の種類及び酸基を含有する構成単位の含有量により調整できる。
【0217】
重合体Aの重量平均分子量は、5,000~500,000であることが好ましい。
重合体Aの重量平均分子量が500,000以下であると、解像性及び現像性をより向上し得る。
重合体Aの重量平均分子量は、100,000以下であることがより好ましく、60,000以下であることが更に好ましく、50,000以下であることが特に好ましい。
重合体Aの重量平均分子量が5,000以上であると、現像凝集物の性状、並びに、エッジフューズ性及びカットチップ性の未露光膜の性状をより制御しやすくなる。
重合体Aの重量平均分子量は、10,000以上であることがより好ましく、20,000以上であることが更に好ましく、30,000以上であることが特に好ましい。
エッジフューズ性とは、感光性転写材料をロール状に巻き取った場合に、ロールの端面からの感光性樹脂層のはみ出し易さの程度をいう。
カットチップ性とは、未露光膜をカッターで切断した場合に、チップの飛び易さの程度をいう。チップが感光性樹脂層の上面等に付着すると、後の露光工程等でマスクに転写して、不良品の原因となる。
重合体Aの分散度は、1.0~6.0であることが好ましく、1.0~5.0であることがより好ましく、1.0~4.0であることが更に好ましく、1.0~3.0であることが更に好ましい。
本開示において、重量平均分子量等は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いて測定される値である。また分散度は、数平均分子量に対する重量平均分子量の比(重量平均分子量/数平均分子量)である。
【0218】
ネガ型感光性樹脂層は、露光時の焦点位置がずれたときの線幅太り及び解像度の悪化を抑制する観点から、重合体Aとして、芳香族炭化水素基を有する単量体成分を含むものであることが好ましい。なお、このような芳香族炭化水素基としては、例えば、置換又は非置換のフェニル基、及び、置換又は非置換のアラルキル基が挙げられる。
重合体Aにおける芳香族炭化水素基を有する単量体成分の含有割合は、全単量体成分の合計質量を基準として、20質量%以上であることが好ましく、30質量%以上であることがより好ましく、40質量%以上であることが更に好ましく、45質量%以上であることが特に好ましく、50質量%以上であることが最も好ましい。上限は、特に制限されないが、好ましくは95質量%以下であり、より好ましくは85質量%以下である。なお、複数種類の重合体Aを含む場合における芳香族炭化水素基を有する単量体成分の含有割合は、重量平均値として求める。
【0219】
芳香族炭化水素基を有する単量体としては、例えば、アラルキル基を有するモノマー、スチレン、及び重合可能なスチレン誘導体(例:メチルスチレン、ビニルトルエン、tert-ブトキシスチレン、アセトキシスチレン、4-ビニル安息香酸、スチレンダイマー、スチレントリマー等)が挙げられる。
これらの中でも、芳香族炭化水素基を有する単量体としては、アラルキル基を有するモノマー、又は、スチレンが好ましい。
一態様において、重合体Aにおける芳香族炭化水素基を有する単量体成分がスチレンである場合、スチレン単量体成分の含有割合は、全単量体成分の合計質量を基準として、20質量%~50質量%であることが好ましく、25質量%~45質量%であることがより好ましく、30質量%~40質量%であることが更に好ましく、30質量%~35質量%であることが特に好ましい。
【0220】
アラルキル基としては、例えば、置換又は非置換のフェニルアルキル基(ベンジル基を除く)、及び、置換又は非置換のベンジル基が挙げられる。
これらの中でも、アラルキル基としては、置換又は非置換のベンジル基が好ましい。
【0221】
フェニルアルキル基を有する単量体としては、例えば、フェニルエチル(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0222】
ベンジル基を有する単量体としては、例えば、ベンジル基を有する(メタ)アクリレート(例:ベンジル(メタ)アクリレート、クロロベンジル(メタ)アクリレート等)、及び、ベンジル基を有するビニルモノマー(例:ビニルベンジルクロライド、ビニルベンジルアルコール等)が挙げられる。
これらの中でも、ベンジル基を有する単量体としては、ベンジル(メタ)アクリレートが好ましい。
一態様において、重合体Aにおける芳香族炭化水素基を有する単量体成分がベンジル(メタ)アクリレートである場合、ベンジル(メタ)アクリレート単量体成分の含有割合は、全単量体成分の合計質量を基準として、50質量%~95質量%であることが好ましく、60質量%~90質量%であることがより好ましく、70質量%~90質量%であることが更に好ましく、75質量%~90質量%であることが特に好ましい。
【0223】
芳香族炭化水素基を有する単量体成分を含有する重合体Aは、芳香族炭化水素基を有する単量体と、後述する第一の単量体の少なくとも1種及び/又は後述する第二の単量体の少なくとも1種とを重合することにより得られることが好ましい。
【0224】
芳香族炭化水素基を有する単量体成分を含有しない重合体Aは、後述する第一の単量体の少なくとも1種を重合することにより得られることが好ましく、第一の単量体の少なくとも1種と後述する第二の単量体の少なくとも1種とを共重合することにより得られることがより好ましい。
【0225】
第一の単量体は、分子中にカルボキシ基を有する単量体である。
第一の単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、フマル酸、ケイ皮酸、クロトン酸、イタコン酸、4-ビニル安息香酸、マレイン酸無水物、及びマレイン酸半エステルが挙げられる。
これらの中でも、第一の単量体としては、(メタ)アクリル酸が好ましい。
重合体Aにおける第一の単量体の含有割合は、全単量体成分の合計質量を基準として、5質量%~50質量%であることが好ましく、10質量%~40質量%であることがより好ましく、15質量%~30質量%であることが更に好ましい。
【0226】
第一の単量体の共重合割合は、全単量体成分の合計質量を基準として、10質量%~50質量%であることが好ましい。
第一の単量体の共重合割合を10質量%以上にすることは、良好な現像性を発現させる観点、エッジフューズ性を制御する観点等から好ましく、15質量%以上にすることがより好ましく、20質量%以上にすることが更に好ましい。
第一の単量体の上記共重合割合を50質量%以下にすることは、レジストパターンの高解像性及びスソ形状の観点、並びに、レジストパターンの耐薬品性の観点から好ましく、これらの観点においては、35質量%以下にすることがより好ましく、30質量%以下にすることが更に好ましく、27質量%以下にすることが特に好ましい。
【0227】
第二の単量体は、非酸性であり、かつ、分子中に重合性不飽和基を少なくとも1個有する単量体である。
第二の単量体としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート類、酢酸ビニル等のビニルアルコールのエステル類、及び、(メタ)アクリロニトリルが挙げられる。
これらの中でも、第二の単量体としては、メチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、及びn-ブチル(メタ)アクリレートからなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましく、メチル(メタ)アクリレートがより好ましい。
重合体Aにおける第二の単量体の含有割合は、全単量体成分の合計質量を基準として、5質量%~60質量%であることが好ましく、15質量%~50質量%であることがより好ましく、20質量%~45質量%であることが更に好ましい。
【0228】
重合体Aは、露光時の焦点位置がずれたときの線幅太り及び解像度の悪化を抑制する観点から、単量体として、アラルキル基を有する単量体、及び/又は、スチレンを含むことが好ましい。
重合体Aは、例えば、メタクリル酸とベンジルメタクリレートとスチレンを含む共重合体、メタクリル酸とメチルメタクリレートとベンジルメタクリレートとスチレンを含む共重合体等であることが好ましい。
一態様において、重合体Aは、芳香族炭化水素基を有する単量体成分を25質量%~40質量%と、第一の単量体成分を20質量%~35質量%と、第二の単量体成分を30質量%~45質量%とを含む重合体であることが好ましい。また、別の態様において、芳香族炭化水素基を有する単量体成分を70質量%~90質量%と、第一の単量体成分を10質量%~25質量%とを含む重合体であることが好ましい。
【0229】
重合体Aは、側鎖に、直鎖構造、分岐構造、又は脂環構造のいずれかを有していてもよい。側鎖に分岐構造を有する基を含むモノマー、又は、側鎖に脂環構造を有する基を含むモノマーを使用することによって、重合体Aの側鎖に分岐構造又は脂環構造を導入できる。脂環構造を有する基は、単環又は多環であってもよい。
側鎖に分岐構造を有する基を含むモノマーの具体例としては、(メタ)アクリル酸i-プロピル、(メタ)アクリル酸i-ブチル、(メタ)アクリル酸s-ブチル、(メタ)アクリル酸t-ブチル、(メタ)アクリル酸i-アミル、(メタ)アクリル酸t-アミル、(メタ)アクリル酸iso-アミル、(メタ)アクリル酸2-オクチル、(メタ)アクリル酸3-オクチル、及び(メタ)アクリル酸t-オクチルが挙げられる。
これらの中でも、側鎖に分岐構造を有する基を含むモノマーとしては、(メタ)アクリル酸i-プロピル、(メタ)アクリル酸i-ブチル、及びメタクリル酸t-ブチルからなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましく、メタクリル酸i-プロピル、及び、メタクリル酸t-ブチルからなる群より選ばれる少なくとも1種がより好ましい。
側鎖に脂環構造を有する基を含むモノマーとしては、例えば、単環の脂肪族炭化水素基を有するモノマー、及び、多環の脂肪族炭化水素基を有するモノマーが挙げられる。また、側鎖に脂環構造を有する基を含むモノマーとしては、炭素数(炭素原子数)5~20個の脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリレートが挙げられる。
側鎖に脂環構造を有する基を含むモノマーのより具体的な例としては、(メタ)アクリル酸(ビシクロ[2.2.1]ヘプチル-2)、(メタ)アクリル酸-1-アダマンチル、(メタ)アクリル酸-2-アダマンチル、(メタ)アクリル酸-3-メチル-1-アダマンチル、(メタ)アクリル酸-3,5-ジメチル-1-アダマンチル、(メタ)アクリル酸-3-エチルアダマンチル、(メタ)アクリル酸-3-メチル-5-エチル-1-アダマンチル、(メタ)アクリル酸-3,5,8-トリエチル-1-アダマンチル、(メタ)アクリル酸-3,5-ジメチル-8-エチル-1-アダマンチル、(メタ)アクリル酸2-メチル-2-アダマンチル、(メタ)アクリル酸2-エチル-2-アダマンチル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシ-1-アダマンチル、(メタ)アクリル酸オクタヒドロ-4,7-メンタノインデン-5-イル、(メタ)アクリル酸オクタヒドロ-4,7-メンタノインデン-1-イルメチル、(メタ)アクリル酸-1-メンチル、(メタ)アクリル酸トリシクロデカン、(メタ)アクリル酸-3-ヒドロキシ-2,6,6-トリメチル-ビシクロ[3.1.1]ヘプチル、(メタ)アクリル酸-3,7,7-トリメチル-4-ヒドロキシビシクロ[4.1.0]ヘプチル、(メタ)アクリル酸(ノル)ボルニル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸フェンチル、(メタ)アクリル酸-2,2,5-トリメチルシクロヘキシル、及び(メタ)アクリル酸シクロヘキシルが挙げられる。
これらの中でも、側鎖に脂環構造を有する基を含むモノマーとしては、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸(ノル)ボルニル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸-1-アダマンチル、(メタ)アクリル酸-2-アダマンチル、(メタ)アクリル酸フェンチル、(メタ)アクリル酸1-メンチル、及び(メタ)アクリル酸トリシクロデカンからなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましく、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸(ノル)ボルニル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸-2-アダマンチル、及び(メタ)アクリル酸トリシクロデカンからなる群より選ばれる少なくとも1種がより好ましい。
【0230】
重合体Aは、1種単独で使用してもよく、2種以上使用してもよい。
重合体Aを2種以上使用する場合には、芳香族炭化水素基を有する単量体成分を含む重合体Aを2種類使用すること、又は、芳香族炭化水素基を有する単量体成分を含む重合体Aと、芳香族炭化水素基を有する単量体成分を含まない重合体Aと、を使用することが好ましい。後者の場合、芳香族炭化水素基を有する単量体成分を含む重合体Aの使用割合は、重合体Aの全量に対して、50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることが更に好ましく、90質量%以上であることが特に好ましい。
【0231】
重合体Aの合成は、上記で説明した単数又は複数の単量体を、アセトン、メチルエチルケトン、イソプロパノール等の溶剤で希釈した溶液に、過酸化ベンゾイル、アゾイソブチロニトリル等のラジカル重合開始剤を適量添加し、加熱撹拌することにより行うことが好ましい。混合物の一部を反応液に滴下しながら合成を行う場合もある。反応終了後、更に溶剤を加えて、所望の濃度に調整する場合もある。合成手段としては、溶液重合以外に、塊状重合、懸濁重合、又は乳化重合を用いてもよい。
【0232】
重合体Aのガラス転移温度(Tg)は、30℃~135℃であることが好ましい。
ネガ型感光性樹脂層において、135℃以下のTgを有する重合体Aを使用すると、露光時の焦点位置がずれたときの線幅太り及び解像度の悪化を抑制できる。このような観点から、重合体AのTgは、130℃以下であることがより好ましく、120℃以下であることが更に好ましく、110℃以下であることが特に好ましい。また、ネガ型感光性樹脂層において、30℃以上のTgを有する重合体Aを使用すると、耐エッジフューズ性を向上できる。このような観点から、重合体AのTgは、40℃以上であることがより好ましく、50℃以上であることが更に好ましく、60℃以上であることが特に好ましく、70℃以上であることが最も好ましい。
【0233】
ネガ型感光性樹脂層は、アルカリ可溶性樹脂以外の樹脂を含んでいてもよい。
アルカリ可溶性樹脂以外の樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、スチレン-アクリル共重合体(但し、スチレン含有率が40質量%以下であるもの)、ポリウレタン樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルホルマール、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリヒドロキシスチレン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリベンゾオキサゾール樹脂、ポリシロキサン樹脂、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン、及び、ポリアルキレングリコールが挙げられる。
【0234】
ネガ型感光性樹脂層は、アルカリ可溶性樹脂を含む場合、アルカリ可溶性樹脂を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
【0235】
ネガ型感光性樹脂層がアルカリ可溶性樹脂を含む場合、ネガ型感光性樹脂層におけるアルカリ可溶性樹脂の含有率は、ネガ型感光性樹脂層の全質量に対して、10質量%~90質量%であることが好ましく、30質量%~70質量%であることがより好ましく、40質量%~60質量%であることが更に好ましい。
ネガ型感光性樹脂層におけるアルカリ可溶性樹脂の含有率が、ネガ型感光性樹脂層の全質量に対して、10質量%以上であると、耐エッジフューズ性をより向上できる。
ネガ型感光性樹脂層におけるアルカリ可溶性樹脂の含有率が、ネガ型感光性樹脂層の全質量に対して、90質量%以下であると、現像時間をより制御できる。
【0236】
<<重合禁止剤>>
ネガ型感光性樹脂層は、重合禁止剤を含んでいてもよい。
重合禁止剤としては、ラジカル重合禁止剤が好ましい。
重合禁止剤としては、例えば、特許第4502784号公報の段落[0018]に記載された熱重合防止剤が挙げられる。
熱重合防止剤としては、フェノチアジン、フェノキサジン又は4-メトキシフェノールが好ましい。その他の重合禁止剤としては、例えば、ナフチルアミン、塩化第一銅、ニトロソフェニルヒドロキシアミンアルミニウム塩、及びジフェニルニトロソアミンが挙げられる。
【0237】
ネガ型感光性樹脂層は、重合禁止剤を含む場合、重合禁止剤を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
【0238】
ネガ型感光性樹脂層が重合禁止剤を含む場合、ネガ型感光性樹脂層における重合禁止剤の含有率は、ネガ型感光性樹脂層の全質量に対して、0.01質量%~3質量%であることが好ましく、0.05質量%~1質量%であることがより好ましい。
ネガ型感光性樹脂層における重合禁止剤の含有率が、ネガ型感光性樹脂層の全質量に対して0.01質量%以上であると、ネガ型感光性樹脂層に対し、保存安定性を付与できる。
ネガ型感光性樹脂層における重合禁止剤の含有率が、ネガ型感光性樹脂層の全質量に対して3質量%以下であると、感度をより良好に維持できる。
【0239】
<<非共有電子対を有する化合物>>
感光性樹脂層は、金属ナノ体及び樹脂を含む層A、及び、金属を含む層Bとの密着性の観点から、非共有電子対を有する化合物を含むことが好ましい。
非共有電子対を有する化合物としては、金属ナノ体及び樹脂を含む層A、及び、金属を含む層Bとの密着性の観点から、窒素原子、酸素原子、又は硫黄原子を少なくとも含む化合物であることが好ましく、複素環式化合物、チオール化合物、又はジスルフィド化合物であることがより好ましく、複素環式化合物であることが更に好ましい。
【0240】
複素環式化合物が有する複素環は、単環及び多環のいずれの複素環でもよい。
複素環化合物が有するヘテロ原子としては、例えば、窒素原子、酸素原子、及び硫黄原子が挙げられる。
複素環化合物は、窒素原子、酸素原子、及び、硫黄原子からなる群より選ばれる少なくとも1種の原子を含むことが好ましく、窒素原子を含むことがより好ましい。
窒素原子を含む複素環式化合物(即ち、含窒素複素環式化合物)は、2つ以上の窒素原子を含む複素環を有することが好ましく、3つ以上の窒素原子を含む複素環を有することがより好ましく、3つ又は4つの窒素原子を含む複素環を有することが更に好ましい。
【0241】
複素環化合物としては、例えば、トリアゾール化合物、ベンゾトリアゾール化合物、テトラゾール化合物、チアジアゾール化合物、トリアジン化合物、ローダニン化合物、チアゾール化合物、ベンゾチアゾール化合物、ベンゾイミダゾール化合物、ベンゾオキサゾール化合物、及びピリミジン化合物が挙げられる。
これらの中でも、複素環化合物としては、トリアゾール化合物、ベンゾトリアゾール化合物、テトラゾール化合物、チアジアゾール化合物、トリアジン化合物、ローダニン化合物、チアゾール化合物、ベンゾチアゾール化合物、ベンゾイミダゾール化合物、及びベンゾオキサゾール化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物が好ましく、トリアゾール化合物、ベンゾトリアゾール化合物、テトラゾール化合物、チアジアゾール化合物、チアゾール化合物、ベンゾチアゾール化合物、ベンゾイミダゾール化合物、及びベンゾオキサゾール化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物がより好ましく、トリアゾール化合物及びテトラゾール化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物が更に好ましく、トリアゾール化合物が特に好ましい。
【0242】
複素環化合物の好ましい具体例を以下に示す。
トリアゾール化合物及びベンゾトリアゾール化合物としては、以下の化合物が例示できる。
【0243】
【化2】

【0244】
【化3】

【0245】
テトラゾール化合物としては、以下の化合物が例示できる。
【0246】
【化4】

【0247】
【化5】

【0248】
チアジアゾール化合物としては、以下の化合物が例示できる。
【0249】
【化6】

【0250】
トリアジン化合物としては、以下の化合物が例示できる。
【0251】
【化7】

【0252】
ローダニン化合物としては、以下の化合物が例示できる。
【0253】
【化8】

【0254】
チアゾール化合物としては、以下の化合物が例示できる。
【0255】
【化9】

【0256】
ベンゾチアゾール化合物としては、以下の化合物が例示できる。
【0257】
【化10】

【0258】
ベンゾイミダゾール化合物としては、以下の化合物が例示できる。
【0259】
【化11】

【0260】
【化12】

【0261】
ベンゾオキサゾール化合物としては、以下の化合物が例示できる。
【0262】
【化13】

【0263】
含硫黄化合物としては、例えば、チオール化合物、及び、ジスルフィド化合物が挙げられる。
チオール化合物としては、例えば、脂肪族チオール化合物が挙げられる。
脂肪族チオール化合物としては、単官能の脂肪族チオール化合物、及び、多官能の脂肪族チオール化合物(すなわち、2官能以上の脂肪族チオール化合物)が挙げられる。
単官能の脂肪族チオール化合物としては、例えば、1-オクタンチオール、1-ドデカンチオール、β-メルカプトプロピオン酸、メチル-3-メルカプトプロピオネート、2-エチルヘキシル-3-メルカプトプロピオネート、n-オクチル-3-メルカプトプロピオネート、メトキシブチル-3-メルカプトプロピオネート、及びステアリル-3-メルカプトプロピオネートが挙げられる。
多官能の脂肪族チオール化合物としては、例えば、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトブチレート)、1,4-ビス(3-メルカプトブチリルオキシ)ブタン、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトブチレート)、1,3,5-トリス(3-メルカプトブチリルオキシエチル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン、トリメチロールエタントリス(3-メルカプトブチレート)、トリス[(3-メルカプトプロピオニルオキシ)エチル]イソシアヌレート、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)、テトラエチレングリコールビス(3-メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3-メルカプトプロピオネート)、エチレングリコールビスチオプロピオネート、1,4-ビス(3-メルカプトブチリルオキシ)ブタン、1,2-エタンジチオール、1,3-プロパンジチオール、1,6-ヘキサメチレンジチオール、2,2’-(エチレンジチオ)ジエタンチオール、meso-2,3-ジメルカプトコハク酸、及びジ(メルカプトエチル)エーテルが挙げられる。
【0264】
ジスルフィド化合物としては、例えば、2-(4’-モルフォリノジチオ)ベンズチアゾール、2,2’-ベンズチアゾイルジスルフィド、ビス(2-ベンズアミドフェニル)ジスルフィド、1,1-チオビス(2-ナフトール)、ビス(2,4,5-トリクロロフェニル)ジスルフィド、4,4’-ジチオモルフォリン、テトラエチルチウラムジスルフィド、ジベンジルジスルフィド、ビス(2,4-ジニトロフェニル)ジスルフィド、4,4’-ジアミノジフェニルジスルフィド、ジアリルジスルフィド、ジ-tert-ブチルジスルフィド、ビス(6-ヒドロキシ-2-ナフチル)ジスルフィド、ジシクロヘキシルジスルフィド、o-イソブチロイルチアミンジスルフィド、及びジフェニルジスルフィドが挙げられる。
【0265】
非共有電子対を有する化合物の分子量は、金属ナノ体及び樹脂を含む層A、及び、金属を含む層Bとの密着性の観点から、1,000未満であることが好ましく、50~500であることがより好ましく、50~200であることが更に好ましく、50~150であることが特に好ましい。
【0266】
感光性樹脂層は、非共有電子対を有する化合物を含む場合、非共有電子対を有する化合物を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
感光性樹脂層が非共有電子対を有する化合物を含む場合、感光性樹脂層における非共有電子対を有する化合物の含有率は、金属ナノ体及び樹脂を含む層A、及び、金属を含む層Bとの密着性の観点から、感光性樹脂層の全質量に対し、0.01質量%~20質量%であることが好ましく、0.1質量%~10質量%であることがより好ましく、0.3質量%~8質量%であることが更に好ましく、0.5質量%~5質量%であることが特に好ましい。
【0267】
<<色素>>
感光性樹脂層は、露光部及び非露光部の視認性、現像後のパターン視認性、並びに、解像性の観点から、色素を含むことが好ましく、発色時の波長範囲400nm~780nmにおける最大吸収波長が450nm以上であり、かつ、酸、塩基、又はラジカルにより最大吸収波長が変化する色素(以下、「色素N」ともいう。)を含むことがより好ましい。 感光性樹脂層が色素Nを含むと、詳細なメカニズムは不明であるが、隣接する層(例えば、仮支持体及び基材)との密着性が向上し、解像性がより優れる。
【0268】
本開示において、色素が「酸、塩基又はラジカルにより最大吸収波長が変化する」とは、発色状態にある色素が、酸、塩基又はラジカルにより消色する態様、消色状態にある色素が、酸、塩基又はラジカルにより発色する態様、及び、発色状態にある色素が、他の色相の発色状態に変化する態様のいずれの態様を意味してもよい。
具体的には、色素Nは、露光により消色状態から変化して発色する化合物であってもよく、露光により発色状態から変化して消色する化合物であってもよい。この場合、色素Nは、露光により酸、塩基又はラジカルが感光性樹脂層内において発生し作用することにより、発色又は消色の状態が変化する色素であってもよく、酸、塩基又はラジカルにより感光性樹脂層内の状態(例えば、pH)が変化することにより、発色又は消色の状態が変化する色素であってもよい。また、色素Nは、露光を介さずに、酸、塩基又はラジカルを刺激として直接受けて発色又は消色の状態が変化する色素であってもよい。
【0269】
色素Nは、露光部及び非露光部の視認性、並びに、解像性の観点から、酸又はラジカルにより最大吸収波長が変化する色素であることが好ましく、ラジカルにより最大吸収波長が変化する色素であることがより好ましい。
感光性樹脂層は、露光部及び非露光部の視認性、並びに、解像性の観点から、色素Nとしてラジカルにより最大吸収波長が変化する色素、及び、光ラジカル重合開始剤の両方を含むことが好ましい。
また、色素Nは、露光部及び非露光部の視認性の観点から、酸、塩基、又はラジカルにより発色する色素であることが好ましい。
【0270】
本開示における色素Nの発色機構の例としては、感光性樹脂層に光ラジカル重合開始剤、光カチオン重合開始剤(所謂、光酸発生剤)、又は光塩基発生剤を添加して、露光後に光ラジカル重合開始剤、光カチオン重合開始剤、又は光塩基発生剤から発生するラジカル、酸又は塩基によって、ラジカル反応性色素、酸反応性色素、又は塩基反応性色素(例えば、ロイコ色素)が発色する態様が挙げられる。
【0271】
色素Nは、露光部及び非露光部の視認性の観点から、発色時の波長範囲400nm~780nmにおける最大吸収波長が、550nm以上であることが好ましく、550nm~700nmであることがより好ましく、550nm~650nmであることが更に好ましい。
【0272】
色素Nの最大吸収波長は、大気雰囲気下で、分光光度計〔例えば、(株)島津製作所製のUV3100(型番)〕を用いて、400nm~780nmの範囲で色素Nを含む溶液(液温:25℃)の透過スペクトルを測定し、上記波長範囲において光の強度が最小となる波長(最大吸収波長)を検出することにより得られる。
【0273】
露光により発色又は消色する色素としては、例えば、ロイコ化合物が挙げられる。
露光により消色する色素としては、例えば、ロイコ化合物、ジアリールメタン系色素、オキザジン系色素、キサンテン系色素、イミノナフトキノン系色素、アゾメチン系色素及びアントラキノン系色素が挙げられる。
色素Nとしては、露光部及び非露光部の視認性の観点から、ロイコ化合物が好ましい。
【0274】
ロイコ化合物としては、例えば、トリアリールメタン骨格を有するロイコ化合物(所謂、トリアリールメタン系色素)、スピロピラン骨格を有するロイコ化合物(所謂、スピロピラン系色素)、フルオラン骨格を有するロイコ化合物(所謂、フルオラン系色素)、ジアリールメタン骨格を有するロイコ化合物(所謂、ジアリールメタン系色素)、ローダミンラクタム骨格を有するロイコ化合物(所謂、ローダミンラクタム系色素)、インドリルフタリド骨格を有するロイコ化合物(所謂、インドリルフタリド系色素)、及び、ロイコオーラミン骨格を有するロイコ化合物(所謂、ロイコオーラミン系色素)が挙げられる。
ロイコ化合物としては、トリアリールメタン系色素又はフルオラン系色素が好ましく、トリフェニルメタン骨格を有するロイコ化合物(所謂、トリフェニルメタン系色素)又はフルオラン系色素がより好ましい。
【0275】
ロイコ化合物は、露光部及び非露光部の視認性の観点から、ラクトン環、スルチン環又はスルトン環を有することが好ましい。
ロイコ化合物がラクトン環、スルチン環又はスルトン環を有すると、これらの環を、光ラジカル重合開始剤から発生するラジカル、又は、光カチオン重合開始剤から発生する酸と反応させて、ロイコ化合物を閉環状態に変化させて消色させるか、又は、ロイコ化合物を開環状態に変化させて発色させることができる。
ロイコ化合物は、ラクトン環、スルチン環又はスルトン環を有し、ラジカル又は酸によりラクトン環、スルチン環又はスルトン環が開環して発色する化合物であることが好ましく、ラクトン環を有し、ラジカル又は酸によりラクトン環が開環して発色する化合物であることがより好ましい。
【0276】
色素Nとしては、例えば、以下の染料及びロイコ化合物が挙げられる。
色素Nのうち染料の具体例としては、ブリリアントグリーン、エチルバイオレット、メチルグリーン、クリスタルバイオレット、ベイシックフクシン、メチルバイオレット2B、キナルジンレッド、ローズベンガル、メタニルイエロー、チモールスルホフタレイン、キシレノールブルー、メチルオレンジ、パラメチルレッド、コンゴーフレッド、ベンゾプルプリン4B、α-ナフチルレッド、ナイルブルー2B、ナイルブルーA、メチルバイオレット、マラカイトグリーン、パラフクシン、ビクトリアピュアブルー-ナフタレンスルホン酸塩、ビクトリアピュアブルーBOH〔保土谷化学工業(株)製〕、オイルブルー#603〔オリヱント化学工業(株)製〕、オイルピンク#312〔オリヱント化学工業(株)製〕、オイルレッド5B〔オリヱント化学工業(株)製〕、オイルスカーレット#308〔オリヱント化学工業(株)製〕、オイルレッドOG〔オリヱント化学工業(株)製〕、オイルレッドRR〔オリヱント化学工業(株)製〕、オイルグリーン#502〔オリヱント化学工業(株)製〕、スピロンレッドBEHスペシャル〔オリヱント化学工業(株)製〕、m-クレゾールパープル、クレゾールレッド、ローダミンB、ローダミン6G、スルホローダミンB、オーラミン、4-p-ジエチルアミノフェニルイミノナフトキノン、2-カルボキシアニリノ-4-p-ジエチルアミノフェニルイミノナフトキノン、2-カルボキシステアリルアミノ-4-p-N,N-ビス(ヒドロキシエチル)アミノ-フェニルイミノナフトキノン、1-フェニル-3-メチル-4-p-ジエチルアミノフェニルイミノ-5-ピラゾロン、及び、1-β-ナフチル-4-p-ジエチルアミノフェニルイミノ-5-ピラゾロンが挙げられる。
【0277】
色素Nのうちロイコ化合物の具体例としては、p,p’,p”-ヘキサメチルトリアミノトリフェニルメタン(所謂、ロイコクリスタルバイオレット)、Pergascript Blue SRB〔チバガイギー社製〕、クリスタルバイオレットラクトン、マラカイトグリーンラクトン、ベンゾイルロイコメチレンブルー、2-(N-フェニル-N-メチルアミノ)-6-(N-p-トリル-N-エチル)アミノフルオラン、2-アニリノ-3-メチル-6-(N-エチル-p-トルイジノ)フルオラン、3,6-ジメトキシフルオラン、3-(N,N-ジエチルアミノ)-5-メチル-7-(N,N-ジベンジルアミノ)フルオラン、3-(N-シクロヘキシル-N-メチルアミノ)-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-(N,N-ジエチルアミノ)-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-(N,N-ジエチルアミノ)-6-メチル-7-キシリジノフルオラン、3-(N,N-ジエチルアミノ)-6-メチル-7-クロロフルオラン、3-(N,N-ジエチルアミノ)-6-メトキシ-7-アミノフルオラン、3-(N,N-ジエチルアミノ)-7-(4-クロロアニリノ)フルオラン、3-(N,N-ジエチルアミノ)-7-クロロフルオラン、3-(N,N-ジエチルアミノ)-7-ベンジルアミノフルオラン、3-(N,N-ジエチルアミノ)-7,8-ベンゾフロオラン、3-(N,N-ジブチルアミノ)-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-(N,N-ジブチルアミノ)-6-メチル-7-キシリジノフルオラン、3-ピペリジノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-ピロリジノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3,3-ビス(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)フタリド、3,3-ビス(1-n-ブチル-2-メチルインドール-3-イル)フタリド、3,3-ビス(p-ジメチルアミノフェニル)-6-ジメチルアミノフタリド、3-(4-ジエチルアミノ-2-エトキシフェニル)-3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-4-アザフタリド、3-(4-ジエチルアミノフェニル)-3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)フタリド、及び、3’,6’-ビス(ジフェニルアミノ)スピロイソベンゾフラン-1(3H),9’-[9H]キサンテン-3-オンが挙げられる。
【0278】
色素Nは、露光部及び非露光部の視認性、現像後のパターン視認性、並びに、解像性の観点から、ラジカルにより最大吸収波長が変化する色素であることが好ましく、ラジカルにより発色する色素であることがより好ましい。
色素Nとしては、ロイコクリスタルバイオレット、クリスタルバイオレットラクトン、ブリリアントグリーン、及びビクトリアピュアブルー-ナフタレンスルホン酸塩からなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましい。
【0279】
感光性樹脂層は、色素を含む場合、色素を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
感光性樹脂層が色素を含む場合、感光性樹脂層における色素の含有率は、露光部及び非露光部の視認性、現像後のパターン視認性、並びに、解像性の観点から、感光性樹脂層の全質量に対し、0.1質量%以上であることが好ましく、0.1質量%~10質量%であることがより好ましく、0.1質量%~5質量%であることが更に好ましく、0.1質量%~1質量%であることが特に好ましい。
【0280】
色素の含有量は、感光性樹脂層に含まれる色素Nの全てを発色状態にした場合の色素の含有量を意味する。
以下、ラジカルにより発色する色素を例に、色素Nの含有量の定量方法を説明する。
メチルエチルケトン100mLに、色素を0.001g又は0.01gを溶かした2種類の溶液を調製する。得られた各溶液に、光ラジカル重合開始剤であるIrgacure(登録商標) OXE01〔商品名、BASFジャパン(株)製〕を加え、365nmの光を照射することによりラジカルを発生させ、全ての色素を発色状態にする。その後、大気雰囲気下で、分光光度計〔型番:UV3100、(株)島津製作所製〕を用いて、液温が25℃である各溶液の吸光度を測定し、検量線を作成する。
次に、色素に代えて感光性樹脂層3gをメチルエチルケトンに溶かすこと以外は、上記と同様の方法で、色素を全て発色させた溶液の吸光度を測定する。得られた感光性樹脂層を含む溶液の吸光度から、検量線に基づいて、感光性樹脂層に含まれる色素の含有量を算出する。
【0281】
<<熱架橋性化合物>>
感光性樹脂層は、得られる硬化膜の強度、及び、得られる未硬化膜の粘着性の観点から、熱架橋性化合物を含むことが好ましい。なお、本開示においては、後述するエチレン性不飽和基を有する熱架橋性化合物は、重合性化合物としては扱わず、熱架橋性化合物として扱うものとする。
【0282】
熱架橋性化合物としては、例えば、メチロール化合物及びブロックイソシアネート化合物が挙げられる。
これらの中でも、熱架橋性化合物としては、得られる硬化膜の強度、及び、得られる未硬化膜の粘着性の観点から、ブロックイソシアネート化合物が好ましい。
ブロックイソシアネート化合物は、ヒドロキシ基及びカルボキシ基と反応するため、例えば、樹脂及び/又は重合性化合物が、ヒドロキシ基及びカルボキシ基の少なくとも一方を有する場合には、形成される膜の親水性が下がり、感光性樹脂層を硬化した膜を保護膜として使用する場合の機能が強化される傾向がある。なお、ブロックイソシアネート化合物とは、「イソシアネートのイソシアネート基をブロック剤で保護(所謂、マスク)した構造を有する化合物」を指す。
【0283】
ブロックイソシアネート化合物の解離温度は、特に制限されないが、100℃~160℃であることが好ましく、130℃~150℃であることがより好ましい。
ブロックイソシアネートの解離温度とは、「示差走査熱量計を用いて、DSC(Differential scanning calorimetry)分析にて測定した場合における、ブロックイソシアネートの脱保護反応に伴う吸熱ピークの温度」を意味する。
示差走査熱量計としては、例えば、セイコーインスツルメンツ(株)製の示差走査熱量計(型番:DSC6200)を好適に使用できる。但し、示差走査熱量計は、これに限定されない。
【0284】
解離温度が100℃~160℃であるブロック剤としては、例えば、活性メチレン化合物〔マロン酸ジエステル(マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、マロン酸ジn-ブチル、マロン酸ジ2-エチルヘキシル等)〕、及び、オキシム化合物〔ホルムアルドオキシム、アセトアルドオキシム、アセトオキシム、メチルエチルケトオキシム、シクロヘキサノンオキシム等の分子内に-C(=N-OH)-で表される構造を有する化合物〕が挙げられる。
これらの中でも、解離温度が100℃~160℃であるブロック剤は、例えば、保存安定性の観点から、オキシム化合物を含むことが好ましく、オキシム化合物であることがより好ましい。
【0285】
ブロックイソシアネート化合物は、例えば、膜の脆性改良、被転写体との密着力向上等の観点から、イソシアヌレート構造を有することが好ましい。
イソシアヌレート構造を有するブロックイソシアネート化合物は、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネートをイソシアヌレート化して保護することにより得られる。
イソシアヌレート構造を有するブロックイソシアネート化合物のなかでも、オキシム化合物をブロック剤として用いたオキシム構造を有する化合物が、オキシム構造を有さない化合物よりも解離温度を好ましい範囲にしやすく、かつ、現像残渣を少なくしやすいという観点から好ましい。
【0286】
ブロックイソシアネート化合物は、重合性基を有していてもよい。
重合性基としては、特に制限はなく、公知の重合性基を用いることができ、ラジカル重合性基が好ましい。
重合性基としては、例えば、(メタ)アクリロキシ基、(メタ)アクリルアミド基、スチリル基等のエチレン性不飽和基、及び、グリシジル基等のエポキシ基を有する基が挙げられる。
これらの中でも、重合性基としては、エチレン性不飽和基が好ましく、(メタ)アクリロキシ基がより好ましく、アクリロキシ基が更に好ましい。
【0287】
ブロックイソシアネート化合物としては、市販品を使用できる。
ブロックイソシアネート化合物の市販品の例としては、カレンズ(登録商標) AOI-BM、カレンズ(登録商標) MOI-BM、及びカレンズ(登録商標) MOI-BP〔以上、昭和電工(株)製〕、並びに、ブロック型のデュラネートシリーズ〔例えば、旭化成ケミカルズ(株)製のデュラネート(登録商標) TPA-B80E、デュラネート(登録商標)SBN-70D、デュラネート(登録商標) WM44-L70G、及びデュラネート(登録商標) WT32-B75P〕が挙げられる。
また、ブロックイソシアネート化合物として、下記の構造の化合物も使用できる。
【0288】
【化14】

【0289】
感光性樹脂層は、熱架橋性化合物を含む場合、熱架橋性化合物を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
【0290】
感光性樹脂層が熱架橋性化合物を含む場合、感光性樹脂層における熱架橋性化合物の含有率は、感光性樹脂層の全質量に対して、1質量%~50質量%であることが好ましく、5質量%~30質量%であることがより好ましい。
【0291】
<<酸分解性基で保護された酸基を有する構成単位を有する重合体>>
ポジ型感光性樹脂層は、酸分解性基で保護された酸基を有する構成単位(以下、「構成単位A」ともいう。)を有する重合体(以下、「重合体X」ともいう。)を含むことが好ましい。
ポジ型感光性樹脂層は、重合体Xを含む場合、重合体Xを1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
【0292】
重合体Xにおいて、酸分解性基で保護された酸基は、露光により生じる触媒量の酸性物質(例えば、酸)の作用により、脱保護反応を経て酸基に変換される。重合体Xにおいて酸基が生じることで、現像液に対するポジ型感光性樹脂層の溶解性が増大する。
【0293】
重合体Xは、付加重合型の重合体であることが好ましく、(メタ)アクリル酸又はそのエステルに由来する構成単位を有する重合体であることがより好ましい。
【0294】
-酸分解性基で保護された酸基を有する構成単位-
重合体Xは、酸分解性基で保護された酸基を有する構成単位(即ち、構成単位A)を有することが好ましい。重合体Xが構成単位Aを有することにより、ポジ型感光性樹脂層の感度を向上できる。
【0295】
酸基としては、制限されず、公知の酸基を利用できる。
酸基は、カルボキシ基又はフェノール性水酸基であることが好ましい。
【0296】
酸分解性基としては、例えば、酸により比較的分解し易い基、及び、酸により比較的分解し難い基が挙げられる。
酸により比較的分解し易い基としては、例えば、アセタール型保護基(例えば、1-アルコキシアルキル基、テトラヒドロピラニル基、及びテトラヒドロフラニル基)が挙げられる。
酸により比較的分解し難い基としては、例えば、第三級アルキル基(例えば、tert-ブチル基)、及び第三級アルキルオキシカルボニル基(例えば、tert-ブチルオキシカルボニル基)が挙げられる。
これらの中でも、酸分解性基としては、アセタール型保護基が好ましい。
【0297】
酸分解性基の分子量は、樹脂パターンの線幅のバラツキを抑制する観点から、300以下であることが好ましい。
【0298】
構成単位Aは、感度及び解像度の観点から、以下の式A1により表される構成単位、式A2により表される構成単位、又は式A3により表される構成単位であることが好ましく、式A3により表される構成単位であることがより好ましい。
式A3で表される構成単位は、アセタール型の酸分解性基で保護されたカルボキシ基を有する構成単位である。
【0299】
【化15】

【0300】
式A1中、R11及びR12は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、又はアリール基を表し、R11及びR12の少なくとも一方は、アルキル基又はアリール基であり、R13は、アルキル基又はアリール基を表し、R11又はR12と、R13とは、連結して環状エーテルを形成してもよく、R14は、水素原子又はメチル基を表し、Xは、単結合、又は二価の連結基を表し、R15は、置換基を表し、nは、0~4の整数を表す。
【0301】
式A2中、R21及びR22は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、又はアリール基を表し、R21及びR22の少なくとも一方は、アルキル基又はアリール基であり、R23は、アルキル基又はアリール基を表し、R21又はR22と、R23とは、連結して環状エーテルを形成してもよく、R24は、それぞれ独立に、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシカルボニル基、ヒドロキシアルキル基、アリールカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、又はシクロアルキル基を表し、mは、0~3の整数を表す。
【0302】
式A3中、R31及びR32は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、又はアリール基を表し、R31及びR32の少なくとも一方はアルキル基又はアリール基であり、R33は、アルキル基又はアリール基を表し、R31又はR32と、R33とは、連結して環状エーテルを形成してもよく、R34は、水素原子又はメチル基を表し、Xは、単結合、又はアリーレン基を表す。
【0303】
式A3中、R31又はR32がアルキル基の場合、R31又はR32で表されるアルキル基は、炭素数1~10のアルキル基であることが好ましい。
式A3中、R31又はR32がアリール基の場合、R31又はR32で表されるアリール基は、フェニル基であることが好ましい。
式A3中、R31及びR32は、それぞれ独立に、水素原子、又は炭素数1~4のアルキル基であることが好ましい。
式A3中、R33は、炭素数1~10のアルキル基であることが好ましく、炭素数1~6のアルキル基であることがより好ましい。
式A3中、R31~R33で表されるアルキル基及びアリール基は、置換基を有していてもよい。
式A3中、R31又はR32と、R33とは、連結して環状エーテルを形成することが好ましい。環状エーテルの環員数は、5又は6であることが好ましく、5であることがより好ましい。
式A3中、Xは、単結合であることが好ましい。アリーレン基は、置換基を有していてもよい。
式A3中、R34は、重合体Xのガラス転移温度(Tg)をより低くし得るという観点から、水素原子であることが好ましい。
【0304】
式A3におけるR34が水素原子である構成単位の含有率は、重合体Xに含まれる構成単位Aの全質量に対して、20質量%以上であることが好ましい。
構成単位A中の、式A3におけるR34が水素原子である構成単位の含有率は、13C-核磁気共鳴スペクトル(NMR)測定から常法により算出されるピーク強度の強度比により確認できる。
【0305】
式A1~式A3の好ましい態様としては、国際公開第2018/179640号の段落[0044]~[0058]を参照できる。
【0306】
式A1~式A3において、酸分解性基は、感度の観点から、環状構造を有する基であることが好ましく、テトラヒドロフラン環構造又はテトラヒドロピラン環構造を有する基であることがより好ましく、テトラヒドロフラン環構造を有する基であることが更に好ましく、テトラヒドロフラニル基であることが特に好ましい。
【0307】
重合体Xは、構成単位Aを有する場合、構成単位Aを1種のみ有していてもよく、2種以上有していてもよい。
【0308】
重合体Xが構成単位Aを有する場合、重合体Xにおける構成単位Aの含有率は、重合体Xの全質量に対して、10質量%~70質量%であることが好ましく、15質量%~50質量%であることがより好ましく、20質量%~40質量%であることが更に好ましい。
重合体Xにおける構成単位Aの含有率が上記範囲内であると、解像度がより向上する。
重合体Xが2種以上の構成単位Aを含む場合、上記構成単位Aの含有率は、2種以上の構成単位Aの合計含有率を表すものとする。
重合体Xにおける構成単位Aの含有率は、13C-NMR測定から常法により算出されるピーク強度の強度比により確認できる。
【0309】
-酸基を有する構成単位-
重合体Xは、酸基を有する構成単位(以下、「構成単位B」ともいう。)を有していてもよい。
【0310】
構成単位Bは、酸分解性基で保護されていない酸基、すなわち、保護基を有しない酸基を有する構成単位である。重合体Xが構成単位Bを有することで、パターン形成時の感度が良好となる。また、重合体Xが構成単位Bを有することで、露光後の現像工程においてアルカリ性の現像液に溶けやすくなるため、現像時間の短縮化を図ることができる。
【0311】
構成単位Bにおける酸基とは、pKaが12以下のプロトン解離性基を意味する。
酸基のpKaは、感度向上の観点から、10以下であることが好ましく、6以下であることがより好ましい。また、酸基のpKaは、-5以上であることが好ましい。
【0312】
酸基としては、例えば、カルボキシ基、スルホンアミド基、ホスホン酸基、スルホ基、フェノール性水酸基、及びスルホニルイミド基が挙げられる。
酸基は、カルボキシ基又はフェノール性水酸基であることが好ましく、カルボキシ基であることがより好ましい。
【0313】
重合体Xは、構成単位Bを有する場合、構成単位Bを1種のみ有していてもよく、2種以上有していてもよい。
【0314】
重合体Xが構成単位Bを有する場合、重合体Xにおける構成単位Bの含有率は、重合体Xの全質量に対して、0.01質量%~20質量%であることが好ましく、0.01質量%~10質量%であることがより好ましく、0.1質量%~5質量%であることが更に好ましい。
重合体Xにおける構成単位Bの含有率が上記範囲内であると、解像性がより向上する。
重合体Xが2種以上の構成単位Bを有する場合、上記構成単位Bの含有率は、2種以上の構成単位Bの合計含有率を表すものとする。
構成単位Bの含有率は、13C-NMR測定から常法により算出されるピーク強度の強度比により確認できる。
【0315】
-他の構成単位-
重合体Xは、既述の構成単位A及び構成単位B以外の、他の構成単位(以下、「構成単位C」ともいう。)を有することが好ましい。構成単位Cの種類及び含有率の少なくとも一方を調整することで、重合体Xの諸特性を調整できる。重合体Xが構成単位Cを有することで、重合体Xのガラス転移温度、酸価、及び親疎水性を容易に調整できる。
【0316】
構成単位Cを形成するモノマーとしては、例えば、スチレン化合物、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸環状アルキルエステル、(メタ)アクリル酸アリールエステル、不飽和ジカルボン酸ジエステル、ビシクロ不飽和化合物、マレイミド化合物、不飽和芳香族化合物、共役ジエン系化合物、不飽和モノカルボン酸、不飽和ジカルボン酸、及び不飽和ジカルボン酸無水物が挙げられる。
【0317】
構成単位Cを形成するモノマーは、基板との密着性の観点から、(メタ)アクリル酸アルキルエステルであることが好ましく、炭素数4~12のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルであることがより好ましい。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、及び(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシルが挙げられる。
【0318】
構成単位Cとしては、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、アセトキシスチレン、メトキシスチレン、エトキシスチレン、クロロスチレン、ビニル安息香酸メチル、ビニル安息香酸エチル、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸シクロペンチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、アクリロニトリル、又はエチレングリコールモノアセトアセテートモノ(メタ)アクリレートに由来の構成単位が挙げられる。
構成単位Cとしては、特開2004-264623号公報の段落[0021]~[0024]に記載された化合物に由来の構成単位も挙げられる。
【0319】
構成単位Cは、解像性の観点から、塩基性基を有する構成単位を含むことが好ましい。
塩基性基としては、例えば、窒素原子を有する基が挙げられる。
窒素原子を有する基としては、例えば、脂肪族アミノ基、芳香族アミノ基、及び含窒素複素芳香環基が挙げられる。塩基性基は、脂肪族アミノ基であることが好ましい。
【0320】
脂肪族アミノ基としては、第一級アミノ基、第二級アミノ基、又は第三級アミノ基のいずれであってもよいが、解像性の観点から、第二級アミノ基又は第三級アミノ基であることが好ましい。
【0321】
塩基性基を有する構成単位を形成するモノマーとしては、例えば、メタクリル酸1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル、メタクリル酸2-(ジメチルアミノ)エチル、アクリル酸2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル、メタクリル酸2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル、アクリル酸2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル、メタクリル酸2-(ジエチルアミノ)エチル、アクリル酸2-(ジメチルアミノ)エチル、アクリル酸2-(ジエチルアミノ)エチル、メタクリル酸N-(3-ジメチルアミノ)プロピル、アクリル酸N-(3-ジメチルアミノ)プロピル、メタクリル酸N-(3-ジエチルアミノ)プロピル、アクリル酸N-(3-ジエチルアミノ)プロピル、メタクリル酸2-(ジイソプロピルアミノ)エチル、メタクリル酸2-モルホリノエチル、アクリル酸2-モルホリノエチル、N-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]アクリルアミド、4-アミノスチレン、4-ビニルピリジン、2-ビニルピリジン、3-ビニルピリジン、1-ビニルイミダゾール、2-メチル-1-ビニルイミダゾール、1-アリルイミダゾール、及び1-ビニル-1,2,4-トリアゾールが挙げられる。
これらの中でも、塩基性基を有する構成単位を形成するモノマーとしては、メタクリル酸1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジルが好ましい。
【0322】
また、構成単位Cとしては、電気特性を向上させる観点から、芳香環を有する構成単位、又は、脂肪族環式骨格を有する構成単位が好ましい。
これらの構成単位を形成するモノマーとしては、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、及びベンジル(メタ)アクリレートが挙げられ、シクロヘキシル(メタ)アクリレートが好ましい。
【0323】
重合体Xは、構成単位Cを有する場合、構成単位Cを1種のみ有していてもよく、2種以上有していてもよい。
【0324】
重合体Xが構成単位Cを有する場合、重合体Xにおける構成単位Cの含有率は、重合体Xの全質量に対して、90質量%以下であることが好ましく、85質量%以下であることがより好ましく、80質量%以下であることが更に好ましい。また、重合体Xにおける構成単位Cの含有率は、重合体Xの全質量に対して、10質量%以上であることが好ましく、20質量%以上であることがより好ましい。
重合体Xにおける構成単位Cの含有率が上記範囲内であると、解像度、及び、基板との密着性がより向上する。
重合体Xが2種以上の構成単位Cを有する場合、上記構成単位Cの含有率は、2種以上の構成単位Cの合計含有率を表すものとする。
構成単位Cの含有率は、13C-NMR測定から常法により算出されるピーク強度の強度比により確認できる。
【0325】
重合体Xの好ましい例を以下に示す。ただし、重合体Xは、以下の例示に制限されない。なお、下記に示す重合体Xにおける各構成単位の比率、及び、重量平均分子量は、それぞれ、好ましい物性を得るために適宜選択される。
【0326】
【化16】

【0327】
重合体Xのガラス転移温度(Tg)は、90℃以下であることが好ましく、20℃~60℃であることがより好ましく、30℃~50℃であることが更に好ましい。
ポジ型感光性樹脂層が後述する感光性転写材料を用いて形成される場合、重合体Xのガラス転移温度が上記範囲内であると、ポジ型感光性樹脂層の転写性を向上できる。
【0328】
重合体XのTgを上記範囲内に調整する方法としては、例えば、FOX式を用いる方法が挙げられる。FOX式によれば、例えば、目的とする重合体Xにおける各構成単位の単独重合体のTg、及び、各構成単位の質量分率に基づいて、目的とする重合体XのTgを調整できる。
【0329】
以下、FOX式について、第一の構成単位及び第二の構成単位を有する共重合体を例に用いて説明する。
第一の構成単位の単独重合体のガラス転移温度をTg1、共重合体における第一の構成単位の質量分率をW1、第二の構成単位の単独重合体のガラス転移温度をTg2、共重合体における第二の構成単位の質量分率をW2とした場合、第一の構成単位及び第二の構成単位を有する共重合体のガラス転移温度Tg0(単位:K)は、以下の式に従って推定できる。
FOX式:1/Tg0=(W1/Tg1)+(W2/Tg2)
【0330】
また、重合体Xの重量平均分子量を調整することにより、重合体XのTgを調整することもできる。
【0331】
重合体Xの酸価は、解像性の観点から、0mgKOH/g~50mgKOH/gであることが好ましく、0mgKOH/g~20mgKOH/gであることがより好ましく、0mgKOH/g~10mgKOH/gであることが更に好ましい。
【0332】
重合体の酸価は、重合体1gあたりの酸性成分を中和するのに要する水酸化カリウムの質量を表したものである。具体的な測定方法を以下に説明する。
まず、測定試料を、テトラヒドロフラン及び水を含む混合溶媒(体積比:テトラヒドロフラン/水=9/1)に溶解する。電位差滴定装置〔例えば、型番:AT-510、京都電子工業(株)製〕を用いて、25℃において得られた溶液を、0.1mol/L水酸化ナトリウム水溶液を用いて中和滴定する。滴定pH曲線の変曲点を滴定終点として、次式により酸価を算出する。
A=56.11×Vs×0.1×f/w
A:酸価(mgKOH/g)
Vs:滴定に要した0.1mol/L水酸化ナトリウム水溶液の使用量(mL)
f:0.1mol/L水酸化ナトリウム水溶液の力価
w:測定試料の質量(g)(固形分換算)
【0333】
重合体Xの重量平均分子量(Mw)は、ポリスチレン換算重量平均分子量で、60,000以下であることが好ましい。ポジ型感光性樹脂層が後述する感光性転写材料を用いて形成される場合、重合体Xの重量平均分子量が60,000以下であると、低温(例えば、130℃以下)でポジ型感光性樹脂層を転写できる。
【0334】
重合体Xの重量平均分子量は、2,000~60,000であることが好ましく、3,000~50,000であることがより好ましい。
【0335】
重合体Xの数平均分子量と重量平均分子量との比(分散度)は、1.0~5.0であることが好ましく、1.05~3.5であることがより好ましい。
【0336】
重合体Xの重量平均分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)によって測定する。測定装置としては、様々な市販の装置を用いることができる。以下、GPCによる重合体Xの重量平均分子量の測定方法について具体的に説明する。
測定装置として、HLC(登録商標)-8220GPC(東ソー(株)製)を用いる。
カラムとして、TSKgel(登録商標)Super HZM-M(4.6mmID×15cm、東ソー(株)製)、Super HZ4000(4.6mmID×15cm、東ソー(株)製)、Super HZ3000(4.6mmID×15cm、東ソー(株)製)、及びSuper HZ2000(4.6mmID×15cm、東ソー(株)製)をそれぞれ1本ずつ直列に連結したものを用いる。
溶離液として、THF(テトラヒドロフラン)を用いる。
測定条件は、試料濃度を0.2質量%、流速を0.35mL/min、サンプル注入量を10μL、及び測定温度を40℃とする。
検出器として、示差屈折率(RI)検出器を用いる。
検量線は、東ソー株式会社製の「標準試料TSK standard,polystyrene」:「F-40」、「F-20」、「F-4」、「F-1」、「A-5000」、「A-2500」、及び「A-1000」の7サンプルのいずれかを用いて作成する。
【0337】
ポジ型感光性樹脂層が重合体Xを含む場合、ポジ型感光性樹脂層における重合体Xの含有率は、高解像性の観点から、ポジ型感光性樹脂層の全質量に対して、50質量%~99.9質量%であることが好ましく、70質量%~98質量%であることがより好ましい。
【0338】
重合体Xの製造方法としては、制限されず、公知の方法を利用できる。
例えば、有機溶剤中、重合開始剤を用いて、構成単位Aを形成するためのモノマー、さらに必要に応じて、構成単位Bを形成するためのモノマー及び構成単位Cを形成するためのモノマーを重合することにより重合体Xを製造できる。また、重合体Xは、いわゆる高分子反応でも製造できる。
【0339】
<<他の重合体>>
ポジ型感光性樹脂層は、酸分解性基で保護された酸基を有する構成単位を有する重合体を含む場合、酸分解性基で保護された酸基を有する構成単位を有する重合体に加えて、酸分解性基で保護された酸基を有する構成単位を有しない重合体(以下、「他の重合体」ともいう。)を含んでいてもよい。
【0340】
他の重合体としては、例えば、ポリヒドロキシスチレンが挙げられる。
ポリヒドロキシスチレンの市販品としては、例えば、サートマー社製のSMA 1000P、SMA 2000P、SMA 3000P、SMA 1440F、SMA 17352P、SMA 2625P、及びSMA 3840F、東亞合成(株)製のARUFON(登録商標) UC-3000、ARUFON(登録商標) UC-3510、ARUFON(登録商標) UC-3900、ARUFON(登録商標) UC-3910、ARUFON(登録商標) UC-3920、及びARUFON(登録商標) UC-3080、並びに、BASF社製のJoncryl(登録商標) 690、Joncryl(登録商標) 678、Joncryl(登録商標) 67、及びJoncryl(登録商標) 586が挙げられる。
【0341】
ポジ型感光性樹脂層は、他の重合体を含む場合、他の重合体を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
【0342】
ポジ型感光性樹脂層が他の重合体を含む場合、ポジ型感光性樹脂層における他の重合体の含有率は、重合体成分の全質量に対して、50質量%以下であることが好ましく、30質量%以下であることがより好ましく、20質量%以下であることが更に好ましい。
【0343】
本開示において、「重合体成分」とは、ポジ型感光性樹脂層に含まれる全ての重合体の総称である。例えば、ポジ型感光性樹脂層が重合体Xと他の重合体とを含む場合、重合体X及び他の重合体を合わせて「重合体成分」という。なお、後述する架橋剤、分散剤、及び界面活性剤に該当する化合物は、高分子化合物であっても重合体成分には含まれないものとする。
【0344】
ポジ型感光性樹脂層における重合体成分の含有率は、ポジ型感光性樹脂層の全質量に対して、50質量%~99.9質量%であることが好ましく、70質量%~98質量%であることがより好ましい。
【0345】
<<アルカリ可溶性樹脂(ポジ型)>>
ポジ型感光性樹脂層は、アルカリ可溶性樹脂を含むことが好ましく、アルカリ可溶性樹脂及びキノンジアジド化合物を含むことがより好ましく、フェノール性水酸基を有する構成単位を有する樹脂及びキノンジアジド化合物を含むことが更に好ましい。
【0346】
アルカリ可溶性樹脂としては、例えば、水酸基、カルボキシ基又はスルホ基を、主鎖又は側鎖に有する樹脂が挙げられる。
アルカリ可溶性樹脂としては、例えば、ポリアミド樹脂、ポリヒドロキシスチレン、ポリヒドロキシスチレンの誘導体、スチレン-無水マレイン酸共重合体、ポリビニルヒドロキシベンゾエート、カルボキシ基含有(メタ)アクリル系樹脂、及びノボラック樹脂が挙げられる。
アルカリ可溶性樹脂としては、例えば、m-/p-混合クレゾールとホルムアルデヒドとの縮重合体、及び、フェノールとクレゾールとホルムアルデヒドとの縮重合体が好ましい。
【0347】
アルカリ可溶性樹脂は、フェノール性水酸基(-Ar-OH)、カルボキシ基(-COH)、スルホ基(-SOH)、リン酸基(-OPOH)、スルホンアミド基(-SONH-R)、又は置換スルホンアミド系酸基(例えば、活性イミド基、-SONHCOR、-SONHSOR、及び-CONHSOR)を有してもよい。ここで、Arは、置換基を有してもよい2価のアリール基を表し、Rは、置換基を有してもよい炭化水素基を表す。
【0348】
ノボラック樹脂は、例えば、フェノール系化合物とアルデヒド化合物とを、酸触媒の存在下で縮合させることにより得られる。
フェノール系化合物としては、例えば、o-、m-又はp-クレゾール、2,5-、3,5-又は3,4-キシレノール、2,3,5-トリメチルフェノール、2-t-ブチル-5-メチルフェノール、及びt-ブチルハイドロキノンが挙げられる。
アルデヒド化合物としては、例えば、脂肪族アルデヒド類(例:ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、及びグリオキサール)、及び、芳香族アルデヒド類(例:ベンズアルデヒド及びサリチルアルデヒド)が挙げられる。
酸触媒としては、例えば、無機酸(例:塩酸、硫酸及びリン酸)、有機酸(例:シュウ酸、酢酸及びp-トルエンスルホン酸)、及び、二価金属塩(例:酢酸亜鉛)が挙げられる。
縮合反応は、常法に従って行うことができる。
縮合反応は、例えば、60℃~120℃の範囲の温度で2時間~30時間の条件で行われる。
縮合反応は、適当な溶媒中で行ってもよい。
【0349】
アルカリ可溶性樹脂としては、ノボラック樹脂等のフェノール性水酸基を有する構成単位を有する樹脂が好ましい。
【0350】
アルカリ可溶性樹脂の重量平均分子量は、パターン形成性の観点から、5.0×10~2.0×10であることが好ましい。
アルカリ可溶性樹脂の数平均分子量は、パターン形成性の観点から、2.0×10~1.0×10であることが好ましい。
【0351】
例えば、米国特許第4123279号明細書に記載されている、t-ブチルフェノールとホルムアルデヒドとの縮重合体及びオクチルフェノールとホルムアルデヒドとの縮重合体のような、炭素数が3~8のアルキル基を置換基として有するフェノールとホルムアルデヒドとの縮重合体を併用してもよい。
また、米国特許第4123279号明細書に記載されている、t-ブチルフェノールホルムアルデヒド樹脂及びオクチルフェノールホルムアルデヒド樹脂のような、炭素数が3~8のアルキル基を置換基として有するフェノールとホルムアルデヒドとの縮合物を併用してもよい。
【0352】
ポジ型感光性樹脂層は、アルカリ可溶性樹脂を含む場合、アルカリ可溶性樹脂を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
【0353】
ポジ型感光性樹脂層がアルカリ可溶性樹脂を含む場合、ポジ型感光性樹脂層におけるアルカリ可溶性樹脂の含有率は、ポジ型感光性樹脂層の全質量に対して、30質量%~99.9質量%であることが好ましく、40質量%~99.5質量%であることがより好ましく、70質量%~99質量%であることが更に好ましい。
【0354】
<<光酸発生剤>>
ポジ型感光性樹脂層は、感光性化合物として、光酸発生剤を含むことが好ましい。
光酸発生剤は、活性光線(例えば、紫外線、遠紫外線、X線、及び電子線)の照射により酸を発生することができる化合物である。
【0355】
光酸発生剤としては、波長300nm以上、好ましくは波長300nm~450nmの活性光線に感応することにより酸を発生する化合物が好ましい。また、波長300nm以上の活性光線に直接感応しない光酸発生剤についても、増感剤と併用することによって波長300nm以上の活性光線に感応することにより酸を発生する化合物であれば、増感剤と組み合わせて好ましく使用できる。
【0356】
光酸発生剤は、pKaが4以下の酸を発生する光酸発生剤であることが好ましく、pKaが3以下の酸を発生する光酸発生剤であることがより好ましく、pKaが2以下の酸を発生する光酸発生剤であることが更に好ましい。
光酸発生剤に由来する酸のpKaの下限は、制限されないが、例えば、-10.0以上であることが好ましい。
【0357】
光酸発生剤としては、例えば、イオン性光酸発生剤及び非イオン性光酸発生剤が挙げられる。
【0358】
イオン性光酸発生剤としては、例えば、オニウム塩化合物が挙げられる。
オニウム塩化合物としては、例えば、ジアリールヨードニウム塩化合物、トリアリールスルホニウム塩化合物、及び第四級アンモニウム塩化合物が挙げられる。
イオン性光酸発生剤は、オニウム塩化合物であることが好ましく、トリアリールスルホニウム塩化合物及びジアリールヨードニウム塩化合物の少なくとも一方であることがより好ましい。
【0359】
イオン性光酸発生剤としては、特開2014-85643号公報の段落[0114]~[0133]に記載されたイオン性光酸発生剤も好ましく使用できる。
【0360】
非イオン性光酸発生剤としては、例えば、トリクロロメチル-s-トリアジン化合物、ジアゾメタン化合物、イミドスルホネート化合物、及びオキシムスルホネート化合物が挙げられる。
非イオン性光酸発生剤は、感度、解像度、及び基板との密着性の観点から、オキシムスルホネート化合物であることが好ましい。
【0361】
トリクロロメチル-s-トリアジン化合物、ジアゾメタン化合物、及びイミドスルホネート化合物の具体例としては、特開2011-221494号公報の段落[0083]~[0088]に記載された化合物が挙げられる。
【0362】
オキシムスルホネート化合物としては、国際公開第2018/179640号の段落[0084]~[0088]に記載されたものを好ましく使用できる。
【0363】
光酸発生剤は、感度及び解像度の観点から、オニウム塩化合物、及びオキシムスルホネート化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物であることが好ましく、オキシムスルホネート化合物であることがより好ましい。
【0364】
光酸発生剤の好ましい例として、以下の構造を有する光酸発生剤が挙げられる。
【0365】
【化17】

【0366】
波長405nmに吸収を有する光酸発生剤としては、例えば、アデカアークルズ(登録商標)SP-601〔(株)ADEKA製〕が挙げられる。
【0367】
ポジ型感光性樹脂層は、耐熱性及び寸法安定性の観点から、酸発生剤(好ましくは、光酸発生剤)として、キノンジアジド化合物を含むことが好ましい。
キノンジアジド化合物は、例えば、フェノール性水酸基を有する化合物とキノンジアジドスルホン酸ハライドとを、脱ハロゲン化水素剤の存在下で縮合反応させることにより合成できる。
【0368】
キノンジアジド化合物としては、例えば、1,2-ベンゾキノンジアジド-4-スルホン酸エステル、1,2-ナフトキノンジアジド-4-スルホン酸エステル、1,2-ナフトキノンジアジド-5-スルホン酸エステル、1,2-ナフトキノンジアジド-6-スルホン酸エステル、2,1-ナフトキノンジアジド-4-スルホン酸エステル、2,1-ナフトキノンジアジド-5-スルホン酸エステル、2,1-ナフトキノンジアジド-6-スルホン酸エステル、その他のキノンジアジド誘導体のスルホン酸エステル、1,2-ベンゾキノンジアジド-4-スルホン酸クロライド、1,2-ナフトキノンジアジド-4-スルホン酸クロライド、1,2-ナフトキノンジアジド-5-スルホン酸クロライド、1,2-ナフトキノンジアジド-6-スルホン酸クロライド、2,1-ナフトキノンジアジド-4-スルホン酸クロライド、2,1-ナフトキノンジアジド-5-スルホン酸クロライド、及び2,1-ナフトキノンジアジド-6-スルホン酸クロライドが挙げられる。
【0369】
ポジ型感光性樹脂層は、光酸発生剤を含む場合、光酸発生剤を1種のみ含んでいてもよく、2種以上を含んでいてもよい。
【0370】
ポジ型感光性樹脂層が光酸発生剤を含む場合、ポジ型感光性樹脂層における光酸発生剤の含有率は、感度及び解像度の観点から、ポジ型感光性樹脂層の全質量に対して、0.1質量%~10質量%であることが好ましく、0.5質量%~5質量%であることがより好ましい。
【0371】
<<その他の成分>>
感光性樹脂層は、上述した以外の成分を含有してもよい。
【0372】
(界面活性剤)
感光性樹脂層は、厚さ均一性の観点から、界面活性剤を含むことが好ましい。
界面活性剤としては、例えば、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性(非イオン性)界面活性剤、及び両性界面活性剤が挙げられる。
これらの中でも、界面活性剤としては、ノニオン性界面活性剤が好ましい。
界面活性剤としては、例えば、特許第4502784号公報の段落[0017]、及び、特開2009-237362号公報の段落[0060]~[0071]に記載の界面活性剤が挙げられる。
【0373】
界面活性剤としては、フッ素系界面活性剤又はシリコーン系界面活性剤が好ましい。
フッ素系界面活性剤の市販品としては、例えば、メガファック(登録商標) F-171、F-172、F-173、F-176、F-177、F-141、F-142、F-143、F-144、F-437、F-444、F-475、F-477、F-479、F-482、F-551-A、F-552、F-554、F-555-A、F-556、F-557、F-558、F-559、F-560、F-561、F-565、F-563、F-568、F-575、F-780、EXP、MFS-330、MFS-578、MFS-579、MFS-586、MFS-587、R-41、R-41-LM、R-01、R-40、R-40-LM、RS-43、TF-1956、RS-90、R-94、RS-72-K、及びDS-21〔以上、DIC(株)製〕、フロラード(登録商標) FC430、FC431、及びFC171〔以上、住友スリーエム(株)製〕、サーフロン(登録商標) S-382、SC-101、SC-103、SC-104、SC-105、SC-1068、SC-381、SC-383、S-393、及びKH-40〔以上、AGC(株)製〕、PolyFox(登録商標) PF636、PF656、PF6320、PF6520、及びPF7002〔以上、OMNOVA社製〕、並びに、フタージェント(登録商標) 710FL、710FM、610FM、601AD、601ADH2、602A、215M、245F、251、212M、250、209F、222F、208G、710LA、710FS、730LM、650AC、681、及び683〔以上、(株)NEOS製〕が挙げられる。
また、フッ素系界面活性剤としては、フッ素原子を含む官能基を有する分子構造を有し、熱を加えるとフッ素原子を含む官能基の部分が切断されてフッ素原子が揮発するアクリル系化合物も好適に使用できる。このようなフッ素系界面活性剤としては、例えば、DIC(株)製のメガファック DSシリーズ〔化学工業日報(2016年2月22日)及び日経産業新聞(2016年2月23日)参照〕のメガファック(登録商標) DS-21が挙げられる。
【0374】
また、フッ素系界面活性剤としては、フッ素化アルキル基又はフッ素化アルキレンエーテル基を有するフッ素原子含有ビニルエーテル化合物と、親水性のビニルエーテル化合物との重合体も好適に使用できる。
また、フッ素系界面活性剤としては、ブロックポリマーも使用できる。
また、フッ素系界面活性剤としては、フッ素原子を有する(メタ)アクリレート化合物に由来する構成単位と、アルキレンオキシ基(好ましくは、エチレンオキシ基及びプロピレンオキシ基)を2以上(好ましくは、5以上)有する(メタ)アクリレート化合物に由来する構成単位と、を含む含フッ素高分子化合物も好適に使用できる。
また、フッ素系界面活性剤としては、エチレン性不飽和基を側鎖に有する含フッ素重合体も使用できる。このようなフッ素系界面活性剤としては、例えば、メガファック(登録商標) RS-101、RS-102、RS-718K、及びRS-72-K〔以上、DIC(株)製〕が挙げられる。
【0375】
ノニオン性界面活性剤としては、例えば、グリセロール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン並びにそれらのエトキシレート及びプロポキシレート(例:グリセロールプロポキシレート、及びグリセロールエトキシレート)、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ソルビタン脂肪酸エステル、プルロニック(登録商標) L10、L31、L61、L62、10R5、17R2、及び25R2(以上、BASF社製)、テトロニック(登録商標) 304、701、704、901、904、及び150R1(以上、BASF社製)、ソルスパース(登録商標)20000〔日本ルーブリゾール(株)製〕、NCW-101、NCW-1001、及びNCW-1002〔以上、富士フイルム和光純薬(株)製〕、パイオニン(登録商標) D-6112、D-6112-W、及びD-6315〔以上、竹本油脂(株)製〕、サーフィノール(登録商標) 104、400、及び440、並びに、オルフィン(登録商標) E1010〔以上、日信化学工業(株)製〕が挙げられる。
なお、近年、炭素数が7以上の直鎖状パーフルオロアルキル基を有する化合物は、環境適性が懸念されるため、パーフルオロオクタン酸(PFOA)、及び、パーフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)の代替材料を使用した界面活性剤を用いることが好ましい。
【0376】
シリコーン系界面活性剤としては、例えば、シロキサン結合からなる直鎖状ポリマー、及び、側鎖や末端に有機基を導入した変性シロキサンポリマーが挙げられる。
シリコーン系界面活性剤としては、例えば、DOWSIL(登録商標) 8032 ADDITIVE、トーレシリコーン DC3PA、トーレシリコーン SH7PA、トーレシリコーン DC11PA、トーレシリコーン SH21PA、トーレシリコーン SH28PA、トーレシリコーン SH29PA、トーレシリコーン SH30PA、及びトーレシリコーン SH8400〔以上、東レ・ダウコーニング(株)製〕、X-22-4952、X-22-4272、X-22-6266、KF-351A、K354L、KF-355A、KF-945、KF-640、KF-642、KF-643、X-22-6191、X-22-4515、KF-6004、KP-341、KF-6001、及びKF-6002〔以上、信越化学工業(株)製〕、F-4440、TSF-4300、TSF-4445、TSF-4460、及びTSF-4452〔以上、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製〕、並びに、BYK307、BYK323、及びBYK330〔以上、ビックケミー社製〕が挙げられる。
【0377】
感光性樹脂層は、界面活性剤を含む場合、界面活性剤を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
【0378】
感光性樹脂層が界面活性剤を含む場合、感光性樹脂層における界面活性剤の含有率は、感光性樹脂層の全質量に対して、0.001質量%~10質量%であることが好ましく、0.01質量%~3質量%であることがより好ましい。
【0379】
(添加剤)
感光性樹脂層は、上記成分以外に、必要に応じて公知の添加剤を含んでいてもよい。
添加剤としては、例えば、増感剤、可塑剤、ヘテロ環状化合物、アルコキシシラン化合物、及び、溶剤が挙げられる。
また、ネガ型感光性樹脂層及び/又はポジ型感光性樹脂層における添加剤としては、金属酸化物粒子、酸化防止剤、分散剤、酸増殖剤、現像促進剤、導電性繊維、熱ラジカル重合開始剤、熱酸発生剤、紫外線吸収剤、増粘剤、及び、有機又は無機の沈殿防止剤も挙げられる。
これら添加剤の好ましい態様については、特開2014-85643号公報の段落[0165]~[0184]にそれぞれ記載があり、これらの記載内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
感光性樹脂層は、添加剤を含む場合、添加剤を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
【0380】
感光性樹脂層は、増感剤を含んでいてもよい。
増感剤としては、特に制限されず、公知の増感剤、染料及び顔料を使用できる。
増感剤としては、例えば、ジアルキルアミノベンゾフェノン化合物、ピラゾリン化合物、アントラセン化合物、クマリン化合物、キサントン化合物、チオキサントン化合物、アクリドン化合物、オキサゾール化合物、ベンゾオキサゾール化合物、チアゾール化合物、ベンゾチアゾール化合物、トリアゾール化合物(例えば、1,2,4-トリアゾール)、スチルベン化合物、トリアジン化合物、チオフェン化合物、ナフタルイミド化合物、トリアリールアミン化合物、及び、アミノアクリジン化合物が挙げられる。
【0381】
感光性樹脂層が増感剤を含む場合、感光性樹脂層における増感剤の含有率は、目的に応じて適宜選択できるが、光源に対する感度の向上、及び、重合速度と連鎖移動のバランスによる硬化速度の向上の観点から、感光性樹脂層の全質量に対して、0.01質量%~5質量%であることが好ましく、0.05質量%~1質量%であることがより好ましい。
【0382】
感光性樹脂層は、可塑剤及びヘテロ環状化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種を含んでいてもよい。
可塑剤及びヘテロ環状化合物としては、国際公開第2018/179640号の段落[0097]~[0103]及び[0111]~[0118]に記載された化合物が挙げられる。
【0383】
感光性樹脂層(好ましくは、ポジ型感光性樹脂層)は、アルコキシシラン化合物を含んでいてもよい。
アルコキシシラン化合物としては、例えば、γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリアコキシシラン、γ-グリシドキシプロピルアルキルジアルコキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリアルコキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルアルキルジアルコキシシラン、γ-クロロプロピルトリアルコキシシラン、γ-メルカプトプロピルトリアルコキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリアルコキシシラン、及びビニルトリアルコキシシランが挙げられる。
これらの中でも、アルコキシシラン化合物としては、トリアルコキシシラン化合物であることが好ましく、γ-グリシドキシプロピルトリアルコキシシラン、又はγ-メタクリロキシプロピルトリアルコキシシランであることがより好ましく、γ-グリシドキシプロピルトリアルコキシシランであることが更に好ましく、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシランであることが特に好ましい。
【0384】
感光性樹脂層がアルコキシシラン化合物を含む場合、感光性樹脂層におけるアルコキシシラン化合物の含有率は、基板との密着性及びエッチング耐性の観点から、感光性樹脂層の全質量に対して、0.1質量%~50質量%であることが好ましく、0.5質量%~40質量%であることがより好ましく、1.0質量%~30質量%であることが更に好ましい。
【0385】
感光性樹脂層は、溶剤を含んでいてもよい。感光性樹脂層を形成するための感光性樹脂組成物が溶剤を含む場合、感光性樹脂層に溶剤が残留することがある。
【0386】
(不純物等)
感光性樹脂層は、所定量の不純物を含んでいてもよい。
不純物としては、例えば、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、鉄、マンガン、銅、アルミニウム、チタン、クロム、コバルト、ニッケル、亜鉛、スズ、ハロゲン、及びこれらのイオンが挙げられる。
これらの中でも、ハロゲン化物イオン、ナトリウムイオン、及びカリウムイオンは、不純物として混入し易いため、下記の含有量にすることが好ましい。
【0387】
感光性樹脂層における不純物の含有量は、感光性樹脂層の全質量に対して、80質量ppm以下が好ましく、10質量ppm以下がより好ましく、2質量ppm以下が更に好ましい。下限は、感光性樹脂層の全質量に対して、1質量ppb以上とすることができ、0.1質量ppm以上としてもよい。
【0388】
感光性樹脂層における不純物の含有量を上記範囲内にする方法としては、感光性樹脂層を形成するための感光性樹脂組成物の原料として不純物の含有量が少ないものを選択する方法、感光性樹脂層の作製時に不純物の混入を防ぐ方法、及び、洗浄して除去する方法が挙げられる。このような方法により、感光性樹脂層における不純物の含有量を上記範囲内にできる。
【0389】
不純物は、例えば、ICP(Inductively Coupled Plasma)発光分光分析法、原子吸光分光法、及びイオンクロマトグラフィー法等の公知の方法により定量できる。
【0390】
感光性樹脂層における、ベンゼン、ホルムアルデヒド、トリクロロエチレン、1,3-ブタジエン、四塩化炭素、クロロホルム、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、ヘキサン等の化合物の含有量は、少ないことが好ましい。
これら化合物の感光性樹脂層の全質量に対する含有量としては、100質量ppm以下が好ましく、20質量ppm以下がより好ましく、4質量ppm以下が更に好ましい。下限は、感光性樹脂層の全質量に対して、10質量ppb以上とすることができ、100質量ppb以上とすることができる。
これら化合物の含有量は、上記の金属の不純物の含有量と同様の方法により抑制できる。また、これら化合物の含有量は、公知の方法により定量できる。
【0391】
感光性樹脂層における水の含有量は、信頼性及びラミネート性を向上させる観点から、感光性樹脂層の全質量に対して、0.01質量%~1.0質量%であることが好ましく、0.05質量%~0.5質量%であることがより好ましい。
【0392】
(残存モノマー)
感光性樹脂層は、既述のアルカリ可溶性樹脂の各構成単位に対応する残存モノマーを含む場合がある。
残存モノマーの含有量は、パターニング性及び信頼性の観点から、アルカリ可溶性樹脂全質量に対して、5,000質量ppm以下であることが好ましく、2,000質量ppm以下であることがより好ましく、500質量ppm以下であることが更に好ましい。下限は、特に制限されないが、1質量ppm以上であることが好ましく、10質量ppm以上であることがより好ましい。
アルカリ可溶性樹脂の各構成単位の残存モノマーは、パターニング性及び信頼性の観点から、感光性樹脂層の全質量に対して、3,000質量ppm以下であることが好ましく、600質量ppm以下であることがより好ましく、100質量ppm以下であることが更に好ましい。下限は、特に制限されないが、0.1質量ppm以上であることが好ましく、1質量ppm以上であることがより好ましい。
【0393】
高分子反応でアルカリ可溶性樹脂を合成する際のモノマーの残存モノマー量も、上記範囲内とすることが好ましい。例えば、カルボン酸側鎖にアクリル酸グリシジルを反応させてアルカリ可溶性樹脂を合成する場合には、アクリル酸グリシジルの含有量を上記範囲内にすることが好ましい。
残存モノマーの量は、液体クロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィー等の公知の方法により測定できる。
【0394】
-物性等-
感光性樹脂層の厚さは、0.1μm~300μmであることが好ましく、0.2μm~100μmであることがより好ましく、0.5μm~50μmであることが更に好ましく、0.5μm~15μmであることがより更に好ましく、0.5μm~10μmであることが特に好ましく、0.5μm~8μmであることが最も好ましい。
感光性樹脂層の厚さが上記範囲内であると、感光性樹脂層の現像性がより向上し、解像性をより向上できる。
また、感光性樹脂層の厚さは、解像性及び本開示における効果をより発揮する観点から、10μm以下であることが好ましく、5.0μm以下であることがより好ましく、0.5μm~4.0μmであることが更に好ましく、0.5μm~3.0μmであることが特に好ましい。
【0395】
感光性転写材料が備える各層の厚さは、感光性転写材料の主面に対して垂直な方向の断面を走査型電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)により観察し、得られた観察画像に基づいて各層の厚さを10点以上計測し、算術平均することにより求められる平均厚さである。
【0396】
感光性樹脂層の波長365nmの光の透過率は、10%以上であることが好ましく、30%以上であることが好ましく、50%以上であることがより好ましい。上限は、特に制限されないが、99.9%以下であることが好ましい。
【0397】
<感光性樹脂層の形成方法>
感光性樹脂層の形成方法は、上記の成分を含む層を形成可能な方法であれば、特に制限されない。
感光性樹脂層の形成方法としては、例えば、ネガ型感光性樹脂層である場合、重合性化合物、光重合開始剤、アルカリ可溶性樹脂、溶剤等を含む感光性樹脂組成物を調製し、仮支持体等の表面に感光性樹脂組成物を塗布し、感光性樹脂組成物の塗膜を乾燥することにより形成する方法が挙げられる。
【0398】
感光性樹脂層の形成に使用される感光性樹脂組成物としては、例えば、重合性化合物、光重合開始剤、アルカリ可溶性樹脂、上記の任意成分及び溶剤を含む組成物が挙げられる。感光性樹脂組成物は、感光性樹脂組成物の粘度を調節し、感光性樹脂層の形成を容易にするため、溶剤を含むことが好ましい。
【0399】
感光性樹脂組成物に含まれる溶剤としては、アルカリ可溶性樹脂、重合性化合物、光重合開始剤及び上記の任意成分を溶解又は分散可能であれば、特に制限されず、公知の溶剤を使用できる。
溶剤としては、例えば、アルキレングリコールエーテル溶剤、アルキレングリコールエーテルアセテート溶剤、アルコール溶剤(例:メタノール及びエタノール)、ケトン溶剤(例:アセトン及びメチルエチルケトン)、芳香族炭化水素溶剤(例:トルエン)、非プロトン性極性溶剤(例:N,N-ジメチルホルムアミド)、環状エーテル溶剤(例:テトラヒドロフラン)、エステル溶剤、アミド溶剤、ラクトン溶剤、及びこれらの2種以上を含む混合溶剤が挙げられる。
感光性樹脂組成物は、アルキレングリコールエーテル溶剤及びアルキレングリコールエーテルアセテート溶剤からなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。
感光性樹脂組成物は、アルキレングリコールエーテル溶剤及びアルキレングリコールエーテルアセテート溶剤からなる群より選ばれる少なくとも1種と、ケトン溶剤及び環状エーテル溶剤からなる群より選ばれる少なくとも1種とを含む混合溶剤であることがより好ましく、アルキレングリコールエーテル溶剤及びアルキレングリコールエーテルアセテート溶剤からなる群より選ばれる少なくとも1種と、ケトン溶剤と、環状エーテル溶剤との3種を少なくとも含む混合溶剤であることが更に好ましい。
【0400】
アルキレングリコールエーテル溶剤としては、例えば、エチレングリコールモノアルキルエーテル、エチレングリコールジアルキルエーテル、プロピレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコールジアルキルエーテル、ジエチレングリコールジアルキルエーテル、ジプロピレングリコールモノアルキルエーテル、及びジプロピレングリコールジアルキルエーテルが挙げられる。
アルキレングリコールエーテルアセテート溶剤としては、例えば、エチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、及びジプロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテートが挙げられる。
【0401】
溶剤としては、国際公開第2018/179640号の段落[0092]~[0094]に記載された溶剤、及び、特開2018-177889公報の段落[0014]に記載された溶剤を使用してもよく、これらの記載内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0402】
感光性樹脂組成物は、溶剤を含む場合、溶剤を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
【0403】
感光性樹脂組成物が溶剤を含む場合、感光性樹脂組成物における溶剤の含有量は、感光性樹脂組成物中の全固形分100質量部に対し、50質量部~1,900質量部であることが好ましく、100質量部~900質量部であることがより好ましい。
【0404】
感光性樹脂組成物の調製方法は、特に制限されず、例えば、各成分を上記溶剤に溶解させた溶液を予め調製し、得られた溶液を所定の割合で混合することにより、感光性樹脂組成物を調製する方法が挙げられる。
感光性樹脂組成物は、粒子の除去性の観点から、感光性樹脂層を形成する前に、フィルターを用いてろ過することが好ましく、孔径0.2μm~10μmのフィルターを用いてろ過することがより好ましく、孔径0.2μm~7μmのフィルターを用いてろ過することが更に好ましく、孔径0.2μm~5μmのフィルターを用いてろ過することが特に好ましい。
フィルターの材質及び形状は、特に制限されず、公知のものを使用できる。
上記ろ過は、1回以上行うことが好ましく、複数回行うことも好ましい。
【0405】
感光性樹脂組成物の塗布方法は、特に制限されず、公知の方法で塗布すればよい。
感光性樹脂組成物の塗布方法としては、例えば、スリット塗布、スピン塗布、カーテン塗布、及びインクジェット塗布が挙げられる。
【0406】
感光性樹脂組成物の塗膜の乾燥方法としては、例えば、自然乾燥、加熱乾燥、及び減圧乾燥が挙げられる。これらの乾燥方法を単独で又は複数を組み合わせて適用してもよい。
乾燥方法としては、加熱乾燥及び/又は減圧乾燥が好ましい。
ここで、「乾燥」とは、感光性樹脂組成物に含まれる溶剤の少なくとも一部を除去することを意味する。
乾燥温度は、80℃以上であることが好ましく、90℃以上であることがより好ましい。上限は、特に制限されず、130℃以下であることが好ましく、120℃以下であることがより好ましい。温度を連続的に変化させて乾燥させてもよい。
乾燥時間は、20秒以上であることが好ましく、40秒以上であることがより好ましく、60秒以上であることが更に好ましい。上限は、特に制限されず、600秒以下であることが好ましく、300秒以下であることがより好ましい。
感光性樹脂層は、感光性樹脂組成物を後述する保護フィルム上に塗布し、乾燥することにより形成してもよい。
【0407】
本開示における感光性転写材料は、解像性及び仮支持体の剥離性の観点から、上記仮支持体と上記感光性樹脂層との間に、他の層を有していてもよい。
【0408】
<保護フィルム>
感光性転写材料は、保護フィルムを有することが好ましい。
なお、転写層には、保護フィルムは含まれない。
保護フィルムと感光性樹脂層とは、直接接していることが好ましい。
【0409】
保護フィルムを構成する材料としては、例えば、樹脂フィルム及び紙が挙げられる。
保護フィルムを構成する材料は、強度及び可撓性の観点から、樹脂フィルムであることが好ましい。
樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、トリ酢酸セルロースフィルム、ポリスチレンフィルム、及びポリカーボネートフィルムが挙げられる。
これらの中でも、樹脂フィルムとしては、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、又は、ポリエチレンテレフタレートフィルムが好ましい。
【0410】
保護フィルムの厚さは、特に制限されないが、5μm~100μmであることが好ましく、10μm~50μmであることがより好ましい。
【0411】
保護フィルムにおける感光性樹脂層側とは反対側の面の算術平均粗さRaは、搬送性、樹脂パターンの欠陥抑制性、及び、解像性の観点から、保護フィルムにおける感光性樹脂層側の面の算術平均粗さRa以下であることが好ましく、保護フィルムにおける感光性樹脂層側の面の算術平均粗さRaより小さいことがより好ましい。
保護フィルムにおける感光性樹脂層側とは反対側の面の算術平均粗さRaは、搬送性及び巻き取り性の観点から、300nm以下であることが好ましく、100nm以下であることがより好ましく、70nm以下であることが更に好ましく、50nm以下であることが特に好ましい。また、保護フィルムにおける感光性樹脂層側の面の算術平均粗さRaは、解像性がより優れる点から、300nm以下であることが好ましく、100nm以下であることがより好ましく、70nm以下であることが更に好ましく、50nm以下であることが特に好ましい。
保護フィルムの表面のRa値が上記範囲内であると、感光性樹脂層及び形成される樹脂パターンの厚さの均一性がより向上し得る。
保護フィルムの表面のRa値の下限は、特に制限されないが、両面ともにそれぞれ、1nm以上であることが好ましく、10nm以上であることがより好ましく、20nm以上であることが更に好ましい。
保護フィルムの剥離力は、仮支持体の剥離力よりも小さいことが好ましい。
【0412】
-感光性転写材料の厚さ-
感光性転写材料の厚さは、5μm~55μmであることが好ましく、10μm~50μmであることがより好ましく、20μm~40μmであることが更に好ましい。
感光性転写材料の厚さは、上記各層の厚みの測定方法に準ずる方法によって測定する。
感光性転写材料における仮支持体及び保護フィルムを除く層の厚さは、本開示における効果をより発揮する観点から、20μm以下であることが好ましく、10μm以下であることがより好ましく、8μm以下であることが更に好ましく、2μm以上8μm以下であることが特に好ましい。
感光性転写材料における感光性樹脂層、水溶性樹脂層及び熱可塑性樹脂層の合計厚さは、本開示における効果をより発揮する観点から、20μm以下であることが好ましく、10μm以下であることがより好ましく、8μm以下であることが更に好ましく、2μm以上8μm以下であることが特に好ましい。
【0413】
〔感光性転写材料の製造方法〕
本開示に用いられる感光性転写材料の製造方法は、特に制限されず、公知の方法を適用できる。
本開示に用いられる感光性転写材料の製造方法としては、例えば、生産性に優れる観点から、仮支持体の表面に感光性樹脂組成物を塗布して塗膜を形成する工程と、形成した塗膜を乾燥して感光性樹脂層を形成する工程と、を含む方法が挙げられる。
【0414】
本開示に用いられる感光性転写材料が、感光性樹脂層の仮支持体側とは反対側の面に保護フィルムを有する場合には、例えば、上記にて形成した感光性樹脂層の上に、保護フィルムを圧着させ、貼り合わせることにより、仮支持体/感光性樹脂層/保護フィルムの構成を有する感光性転写材料を製造できる。
【0415】
保護フィルムと感光性樹脂層とを貼り合わせる方法は、特に制限されず、公知の方法を使用できる。保護フィルムと感光性樹脂層との貼り合わせには、例えば、真空ラミネーター、オートラミネーター等の公知のラミネーターを使用できる。
ラミネーターは、ゴムローラー等の任意の加熱可能なローラーを備え、加圧及び加熱ができるものであることが好ましい。
【0416】
上記のようにして製造した感光性転写材料を巻き取ることにより、ロール形態の感光性転写材料を作製し、保管してもよい。ロール形態の感光性転写材料は、ロールツーロール方式での基材との貼合工程にそのままの形態で提供できる。
【0417】
(電子デバイス及びその製造方法)
本開示に係る電子デバイスは、本開示に係る積層体を備える。
本開示に係る電子デバイスの製造方法は、本開示に係る積層体を備える電子デバイスの製造方法であれば、特に制限されない。
【0418】
電子デバイスの製造方法における、各工程の具体的な態様、各工程を行う順序等の実施態様については、上述の「積層体の製造方法」の項において説明した通りであり、好ましい態様も同様である。
電子デバイスの製造方法は、上記の方法により、電子デバイス用配線を形成すること以外は、公知の電子デバイスの製造方法を参照すればよい。
また、電子デバイスの製造方法は、上述した以外の任意の工程(その他の工程)を含んでもよい。
【0419】
電子デバイスとしては、特に制限はないが、半導体パッケージ、プリント基板、センサー基板の各種配線形成用途、タッチパネル、電磁波シールド材、フィルムヒーターのような導電性フィルム、液晶シール材、マイクロマシン又はマイクロエレクトロニクス分野における構造物等が好ましく挙げられる。
これらの中でも、電子デバイスとしては、タッチパネルが特に好ましく挙げられる。
電子デバイスとしては、フレキシブル表示装置、特に、フレキシブルタッチパネルが好適に挙げられる。
【0420】
タッチパネルの製造に用いられるマスクのパターンの一例を、図2及び図3に示す。
図2に示されるパターンA、及び、図3に示されるパターンBにおいて、GRは非画像部(遮光部)であり、EXは画像部(露光部)であり、DLはアライメント合わせの枠を仮想的に示したものである。タッチパネルの製造方法において、例えば、図2に示されるパターンAを有するマスクを介して上記感光性樹脂層を露光することで、EXに対応するパターンAを有する回路配線が形成されたタッチパネルを製造できる。具体的には、国際公開第2016/190405号の図1に記載の方法で作製できる。製造されたタッチパネルの一例においては、露光部EXの中央部(資格が連結したパターン部分)は透明電極(タッチパネル用電極)が形成される部分であり、露光部EXの周縁部(細線部分)は周辺取出し部の配線が形成される部分である。
【0421】
上記電子デバイスの製造方法により、電子デバイス用配線を少なくとも有する電子デバイスが製造され、好ましくは、例えば、タッチパネル用配線を少なくとも有するタッチパネルが製造される。
タッチパネルは、透明基板と、電極と、絶縁層又は保護層とを有することが好ましい。
タッチパネルにおける検出方法としては、抵抗膜方式、静電容量方式、超音波方式、電磁誘導方式、光学方式等の公知の方式が挙げられる。
これらの中でも、タッチパネルにおける検出方法としては、静電容量方式が好ましい。
【0422】
タッチパネル型としては、いわゆるインセル型(例えば、特表2012-517051号公報の図5図6図7及び図8に記載のもの)、いわゆるオンセル型(例えば、特開2013-168125号公報の図19に記載のもの、並びに、特開2012-89102号公報の図1及び図5に記載のもの)、OGS(One Glass Solution)型、TOL(Touch-on-Lens)型(例えば、特開2013-54727号公報の図2に記載のもの)、各種アウトセル型(いわゆる、GG、G1・G2、GFF、GF2、GF1及びG1F等)、並びに、その他の構成(例えば、特開2013-164871号公報の図6に記載のもの)が挙げられる。
タッチパネルとしては、例えば、特開2017-120435号公報の段落[0229]に記載のものが挙げられる。
【実施例0423】
以下、実施例により本開示を更に詳細に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本開示の趣旨を逸脱しない限り、適宜変更することができる。したがって、本開示の範囲は、以下に示す実施例により限定的に解釈されるべきものではない。なお、特に断りのない限り、「部」及び「%」は、質量基準である。
【0424】
〔感光性樹脂組成物Pの作製〕
下記の成分を混合し、感光性樹脂組成物Pを調製した。
【0425】
-感光性樹脂組成物Pの組成-
・スチレン/メタクリル酸/メタクリル酸メチルの共重合体のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液(固形分濃度:30.0質量%、各モノマーの比率:52質量%/29質量%/19質量%、Mw:70,000):23.4質量部
・BPE-500〔エトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート、新中村化学工業(株)製〕:4.1質量部
・NKエステル HD-N〔1,6-ヘキサンジオールジメタクリレート、新中村化学工業(株)製〕:2.2質量部
・B-CIM〔2,2’-ビス(2-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニル-1,2’-ビイミダゾール、光重合開始剤、黒金化成(株)製〕:0.25質量部
・SB-PI 701〔4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、増感剤、三洋貿易(株)より入手〕:0.04質量部
・TDP-G〔フェノチアジン、川口化学工業(株)製〕:0.0175質量部
・1-フェニル-3-ピラゾリドン〔富士フイルム和光純薬(株)製〕:0.0011質量部
・ロイコクリスタルバイオレット〔東京化成工業(株)製〕:0.051質量部
・N-フェニルカルバモイルメチル-N-カルボキシメチルアニリン〔富士フイルム和光純薬(株)製〕:0.02質量部
・1,2,4-トリアゾール〔東京化成工業(株)製〕:0.75質量部
・メガファック(登録商標) F-552〔フッ素系界面活性剤、DIC(株)製〕:0.05質量部
・メチルエチルケトン〔三協化学(株)製〕:40.4質量部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート〔昭和電工(株)製〕:26.7質量部
・メタノール〔三菱ガス化学(株)製〕:2質量部
【0426】
〔感光性転写材料Pの作製〕
仮支持体(ポリエチレンテレフタレートフィルム、厚さ:16μm、ヘイズ:0.12%)の面上に、上記にて調製した感光性樹脂組成物Pを、スリット状ノズルを用いて、塗布幅が1.0mであり、かつ、乾燥後の膜厚が5.0μmとなるように塗布し、100℃で2分間乾燥することにより、感光性樹脂層Pを形成した。次いで、仮支持体の面上に形成された感光性樹脂層Pの露出した面に、保護フィルム(ポリプロピレンフィルム、厚さ:12μm)を貼り合わせることにより、感光性転写材料P(層構成:仮支持体/感光性樹脂層P/保護フィルム)を得た。
【0427】
〔銀微粒子の作製〕
トルエン〔富士フイルム和光純薬(株)製の試薬一級〕200mLと、ブチルアミン〔富士フイルム和光純薬(株)製の試薬一級〕11gと、を混合し、マグネチックスターラーを用いて十分に撹拌した。なお、添加したアミンのモル比は、銀に対して2.5となる。ここに、撹拌を行いながら、硝酸銀〔東洋化学工業(株)製の試薬特級〕10gを添加した。硝酸銀が溶解した後、高分子分散剤であるDISPERBYK-111を10gとヘキサン〔富士フイルム和光純薬(株)製の試薬特級〕10gを添加した。ここに、イオン交換水50mLに水素化ホウ素ナトリウム〔富士フイルム和光純薬(株)製〕1gを添加して調製した0.02g/mLの水素化ホウ素ナトリウム水溶液を滴下し、銀微粒子を含む液を得た。1時間撹拌した後、メタノール〔富士フイルム和光純薬(株)製の試薬特級〕200mLを添加して銀微粒子を凝集させ、沈降させた。さらに、遠心分離にて銀微粒子を完全に沈降させた後、上澄みであるトルエン及びメタノールを除去し、過剰の有機物を除去して、銀微粒子を約6g得た。
【0428】
〔銀インクXの調製〕
下記の成分を予備混練した後、三本ロールにて混練し、銀インクXを調製した。
【0429】
-銀インクXの組成-
・銀微粒子:100質量部
・メタクリル酸ベンジル/メタクリル酸/アクリル酸共重合体(構成単位の質量比:74.5/10/15.5、酸価:186mgKOH/g、重量平均分子量:60,000):1.53質量部
・アロニックス(登録商標) M-1960〔重合性化合物、東亞合成(株)製〕:0.73質量部
・アロニックス(登録商標) M-350〔重合性化合物、東亞合成(株)製〕:0.80質量部
・Omnirad(登録商標) 184〔光重合開始剤、IGM Resins B.V.製〕:0.05質量部
・ベンゾフェノン〔光重合開始剤、富士フイルム和光純薬(株)製〕:0.05質量部
・Omnirad(登録商標) 819〔光重合開始剤、IGM Resins B.V.製〕:0.16質量部
・DISPERBYK-111〔高分子分散剤、ビックケミー・ジャパン(株)社製〕:0.02質量部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート〔昭和電工(株)製〕:230質量部
【0430】
(実施例1)
1.導電性基材の作製
基材〔ZeonorFilm(登録商標) ZF16、厚さ:100μm、日本ゼオン(株)製〕の面上に、特許第6505777号公報の段落[0036]~[0042]に記載の手法により製造した銀ナノワイヤインクを、ウェット膜厚10μmとなるようにスピンコーターを用いて塗布し、塗布膜を形成した。次いで、形成した塗布膜を100℃で5分間乾燥させることにより、透明導電層を備える基材〔層構成:基材/透明導電層〕を得た。次いで、バッチ式真空蒸着装置〔型番:EBH-800、(株)アルバック製〕内に、上記にて得た透明導電層を備える基材を設置した。次いで、蒸着ボート上に1.0μm厚になる量の銅を置いた。次いで、真空到達度9.0×10-3Pa以下になるまで真空引きをした後、蒸発ボートを加熱し、上記基材が備える透明導電層の面上への真空蒸着を実施し、金属層を形成した。以上のようにして、導電性基材(層構成:基材/透明導電層/金属層)を作製した。
【0431】
2.積層体の作製
上記にて作製した感光性転写材料Pから保護フィルムを剥がした後、ロール温度90℃、線圧0.8MPa、及び線速度3.0m/分のラミネート条件で、感光性転写材料(層構成:仮支持体/感光性樹脂層)を導電性基材の金属層の露出面に貼り合わせ、積層物を得た。
【0432】
得られた積層物の仮支持体上に、ライン幅12μm及びスペース幅8μmのラインアンドスペースパターンと、それに接続された取り出し端子パターンと、を有するガラスマスクを密着させた後、積層物に対し、超高圧水銀灯〔型番:USH-2004MB、ウシオ電機(株)製〕を用いて露光を行った。
【0433】
なお、露光条件は、以下のようにして決定した。
超高圧水銀灯〔型番:USH-2004MB、ウシオ電機(株)製〕を用いて、上記ガラスマスクを介して露光した後、1時間放置してから現像した際に、ライン12μm/スペース8μmのパターン部において、残存パターン幅が10.9μm~11.1μmの範囲となるような露光量とした。
以降の実施例及び比較例においても、同様の観点から、露光条件を決定した。
【0434】
露光後1時間放置した後の積層物から仮支持体を剥離し、現像液として1.0質量%濃度の炭酸カリウム水溶液(液温:30℃)を用い、シャワー現像を30秒間行うことにより未硬化部分を除去し、レジストパターンを形成した。
【0435】
現像後の積層物のレジストパターンが形成された側の面に対し、液温25℃の銅エッチング液〔商品名:Cu-02、関東化学(株)製〕をシャワーにより90秒間吹き付け、金属層をエッチング処理することで、金属配線層(金属種:Cu)を得た。
【0436】
次いで、さらに現像後の積層物のレジストパターンが形成された側の面に対し、30質量%濃度の硝酸第二鉄水溶液(液温:45℃、pH:0.6)をシャワーにより50秒間吹き付け、レジストパターンが表面に存在しない部分の透明導電層をエッチング処理することで、透明配線層を得た。
【0437】
上記エッチング処理後の積層物を、3質量%濃度の水酸化ナトリウム水溶液(液温:50℃)に70秒間浸漬させ、積層物に残存するレジストパターンを剥離し、実施例1の積層体を得た。
得られた実施例1の積層体を、光学顕微鏡を用いて観察したところ、基材上に透明配線層及び金属配線層がこの順に形成されており、透明配線層の両端部は、金属配線層の両端部から0.5μmずつ外側にあることを確認した。
【0438】
透明配線層の体積抵抗率及び金属配線層の体積抵抗率を測定したところ、いずれも1×10Ωcm未満であった。
【0439】
(実施例2)
1.導電性基材の作製
実施例1と同様の操作を行い、導電性基材(層構成:基材/透明導電層/金属層)を作製した。
【0440】
2.積層体の作製
実施例1と同様の操作を行い、積層物を得た。
得られた積層物の仮支持体上に、ライン幅8μm及びスペース幅4μmのラインアンドスペースパターンと、それに接続された取り出し端子パターンと、を有するガラスマスクを密着させた後、積層物に対し、超高圧水銀灯〔型番:USH-2004MB、ウシオ電機(株)製〕を用いて露光を行った。
露光後1時間放置した後の積層物から仮支持体を剥離し、現像液として1.0質量%濃度の炭酸カリウム水溶液(液温:30℃)を用い、シャワー現像を30秒間行うことにより未硬化部分を除去し、レジストパターンを形成した。
現像後の積層物のレジストパターンが形成された側の面に対し、液温25℃の銅エッチング液〔商品名:Cu-02、関東化学(株)製〕をシャワーにより90秒間吹き付け、金属層をエッチング処理することで、金属配線層(金属種:Cu)を得た。
次いで、さらに現像後の積層物のレジストパターンが形成された側の面に対し、30質量%濃度の硝酸第二鉄水溶液(液温:45℃、pH:0.6)をシャワーにより50秒間吹き付け、レジストパターンが表面に存在しない部分の透明導電層をエッチング処理することで、透明配線層を得た。
上記エッチング処理後の積層物を、3質量%濃度の水酸化ナトリウム水溶液(液温:50℃)に70秒間浸漬させ、積層物に残存するレジストパターンを剥離し、実施例2の積層体を得た。
得られた実施例2の積層体を、光学顕微鏡を用いて観察したところ、基材上に透明配線層及び金属配線層がこの順に形成されており、透明配線層の両端部は、金属配線層の両端部から0.5μmずつ外側にあることを確認した。
【0441】
透明配線層の体積抵抗率及び金属配線層の体積抵抗率を測定したところ、いずれも1×10Ωcm未満であった。
【0442】
(実施例3)
1.導電性基材の作製
実施例1と同様の操作を行い、透明導電層を備える基材〔層構成:基材/透明導電層〕を得た。次いで、バッチ式真空蒸着装置〔型番:EBH-800、(株)アルバック製〕内に、上記にて得た透明導電層を備える基材を設置した。次いで、蒸着ボート上に0.5μm厚になる量の銅を置いた。次いで、真空到達度9.0×10-3Pa以下になるまで真空引きをした後、蒸発ボートを加熱し、上記基材が備える透明導電層の面上への真空蒸着を実施し、金属層を形成した。以上のようにして、導電性基材(層構成:基材/透明導電層/金属層)を作製した。
【0443】
2.積層体の作製
実施例1と同様の操作を行い、積層物を得た。
得られた積層物の仮支持体上に、ライン幅12μm及びスペース幅8μmのラインアンドスペースパターンと、それに接続された取り出し端子パターンと、を有するガラスマスクを密着させた後、積層物に対し、超高圧水銀灯〔型番:USH-2004MB、ウシオ電機(株)製〕を用いて露光を行った。
露光後1時間放置した後の積層物から仮支持体を剥離し、現像液として1.0質量%濃度の炭酸カリウム水溶液(液温:30℃)を用い、シャワー現像を30秒間行うことにより未硬化部分を除去し、レジストパターンを形成した。
現像後の積層物のレジストパターンが形成された側の面に対し、液温25℃の銅エッチング液〔商品名:Cu-02、関東化学(株)製〕をシャワーにより50秒間吹き付け、金属層をエッチング処理することで、金属配線層(金属種:Cu)を得た。
次いで、さらに現像後の積層物のレジストパターンが形成された側の面に対し、30質量%濃度の硝酸第二鉄水溶液(液温:45℃、pH:0.6)をシャワーにより50秒間吹き付け、レジストパターンが表面に存在しない部分の透明導電層をエッチング処理することで、透明配線層を得た。
上記エッチング処理後の積層物を、3質量%濃度の水酸化ナトリウム水溶液(液温:50℃)に70秒間浸漬させ、積層物に残存するレジストパターンを剥離し、実施例3の積層体を得た。
得られた実施例3の積層体を、光学顕微鏡を用いて観察したところ、基材上に透明配線層及び金属配線層がこの順に形成されており、透明配線層の両端部は、金属配線層の両端部から0.5μmずつ外側にあることを確認した。
【0444】
透明配線層の体積抵抗率及び金属配線層の体積抵抗率を測定したところ、いずれも1×10Ωcm未満であった。
【0445】
(実施例4)
1.導電性基材の作製
実施例1と同様の操作を行い、導電性基材(層構成:基材/透明導電層/金属層)を作製した。
【0446】
2.積層体の作製
実施例1と同様の操作を行い、積層物を得た。
得られた積層物の仮支持体上に、ライン幅15μm及びスペース幅5μmのラインアンドスペースパターンと、それに接続された取り出し端子パターンと、を有するガラスマスクを密着させた後、積層物に対し、超高圧水銀灯〔型番:USH-2004MB、ウシオ電機(株)製〕を用いて露光を行った。
露光後1時間放置した後の積層物から仮支持体を剥離し、現像液として1.0質量%濃度の炭酸カリウム水溶液(液温:30℃)を用い、シャワー現像を30秒間行うことにより未硬化部分を除去し、レジストパターンを形成した。
現像後の積層物のレジストパターンが形成された側の面に対し、液温25℃の銅エッチング液〔商品名:Cu-02、関東化学(株)製〕をシャワーにより160秒間吹き付け、金属層をエッチング処理することで、金属配線層(金属種:Cu)を得た。
次いで、さらに現像後の積層物のレジストパターンが形成された側の面に対し、30質量%濃度の硝酸第二鉄水溶液(液温:45℃、pH:0.6)をシャワーにより30秒間吹き付け、レジストパターンが表面に存在しない部分の透明導電層をエッチング処理することで、透明配線層を得た。
上記エッチング処理後の積層物を、3質量%濃度の水酸化ナトリウム水溶液(液温:50℃)に70秒間浸漬させ、積層物に残存するレジストパターンを剥離し、実施例4の積層体を得た。
得られた実施例4の積層体を、光学顕微鏡を用いて観察したところ、基材上に透明配線層及び金属配線層がこの順に形成されており、透明配線層の両端部は、金属配線層の両端部から2.5μmずつ外側にあることを確認した。
【0447】
透明配線層の体積抵抗率及び金属配線層の体積抵抗率を測定したところ、いずれも1×10Ωcm未満であった。
【0448】
(実施例5)
1.導電性基材の作製
基材〔ZeonorFilm(登録商標) ZF16、厚さ:100μm、日本ゼオン(株)製〕の面上に、特許第6505777号公報の段落[0036]~[0042]に記載の手法により製造した銀ナノワイヤインクを、ウェット膜厚20μmとなるようにスピンコーターを用いて塗布し、塗布膜を形成した。次いで、形成した塗布膜を100℃で5分間乾燥させることにより、透明導電層を備える基材〔層構成:基材/透明導電層〕を得た。次いで、実施例1と同様の操作により、真空蒸着を実施し、金属層を形成した。以上のようにして、導電性基材(層構成:基材/透明導電層/金属層)を作製した。
【0449】
2.積層体の作製
実施例1と同様の操作を行い、積層物を得た。
得られた積層物の仮支持体上に、ライン幅11μm及びスペース幅9μmのラインアンドスペースパターンと、それに接続された取り出し端子パターンと、を有するガラスマスクを密着させた後、積層物に対し、超高圧水銀灯〔型番:USH-2004MB、ウシオ電機(株)製〕を用いて露光を行った。
露光後1時間放置した後の積層物から仮支持体を剥離し、現像液として1.0質量%濃度の炭酸カリウム水溶液(液温:30℃)を用い、シャワー現像を30秒間行うことにより未硬化部分を除去し、レジストパターンを形成した。
現像後の積層物のレジストパターンが形成された側の面に対し、液温25℃の銅エッチング液〔商品名:Cu-02、関東化学(株)製〕をシャワーにより90秒間吹き付け、金属層をエッチング処理することで、金属配線層(金属種:Cu)を得た。
次いで、さらに現像後の積層物のレジストパターンが形成された側の面に対し、30質量%濃度の硝酸第二鉄水溶液(液温:45℃、pH:0.6)をシャワーにより50秒間吹き付け、レジストパターンが表面に存在しない部分の透明導電層をエッチング処理することで、透明配線層を得た。
上記エッチング処理後の積層物を、3質量%濃度の水酸化ナトリウム水溶液(液温:50℃)に70秒間浸漬させ、積層物に残存するレジストパターンを剥離し、実施例5の積層体を得た。
得られた実施例5の積層体を、光学顕微鏡を用いて観察したところ、基材上に透明配線層及び金属配線層がこの順に形成されており、透明配線層の両端部は、金属配線層の両端部から0.25μmずつ外側にあることを確認した。
【0450】
透明配線層の体積抵抗率及び金属配線層の体積抵抗率を測定したところ、いずれも1×10Ωcm未満であった。
【0451】
(実施例6)
1.導電性基材の作製
バッチ式真空蒸着装置〔型番:EBH-800、(株)アルバック製〕内に、基材〔ZeonorFilm(登録商標) ZF16、厚さ:100μm、日本ゼオン(株)製〕を設置した。次いで、蒸着ボート上に0.1μm厚になる量のITOを置いた。次いで、真空到達度9.0×10-3Pa以下になるまで真空引きをした後、蒸発ボートを加熱し、上記基材の面上への真空蒸着を実施し、透明導電層を形成した。以上のようにして、透明導電層を備える基材〔層構成:基材/透明導電層〕を得た。次いで、上記基材が備える透明導電層の面上に、銀インクXを、ウェット膜厚42μmとなるようにスピンコーターを用いて塗布し、塗布膜を形成した。形成した塗布膜を100℃で5分間乾燥させ、次いで、140℃で30分間焼成することにより、金属層を形成した。以上のようにして、導電性基材(層構成:基材/透明導電層/金属層)を作製した。
【0452】
2.積層体の作製
実施例1と同様の操作を行い、積層物を得た。
得られた積層物の仮支持体上に、ライン幅12μm及びスペース幅8μmのラインアンドスペースパターンと、それに接続された取り出し端子パターンと、を有するガラスマスクを密着させた後、積層物に対し、超高圧水銀灯〔型番:USH-2004MB、ウシオ電機(株)製〕を用いて露光を行った。
露光後1時間放置した後の積層物から仮支持体を剥離し、現像液として1.0質量%濃度の炭酸カリウム水溶液(液温:30℃)を用い、シャワー現像を30秒間行うことにより未硬化部分を除去し、レジストパターンを形成した。
現像後の積層物のレジストパターンが形成された側の面に対し、液温25℃の銀エッチング液〔商品名:Pure Etch AS128、林純薬工業(株)製〕をシャワーにより90秒間吹き付け、金属層をエッチング処理することで、金属配線層(金属種:Ag)を得た。
次いで、さらに現像後の積層物のレジストパターンが形成された側の面に対し、10質量%濃度の硫酸水溶液〔商品名:10%硫酸、富士フイルム和光純薬(株)製〕をシャワーにより30秒間吹き付け、レジストパターンが表面に存在しない部分の透明導電層をエッチング処理することで、透明配線層を得た。
上記エッチング処理後の積層物を、3質量%濃度の水酸化ナトリウム水溶液(液温:50℃)に70秒間浸漬させ、積層物に残存するレジストパターンを剥離し、実施例6の積層体を得た。
得られた実施例6の積層体を、光学顕微鏡を用いて観察したところ、基材上に透明配線層及び金属配線層がこの順に形成されており、透明配線層の両端部は、金属配線層の両端部から1.0μmずつ外側にあることを確認した。
【0453】
透明配線層の体積抵抗率及び金属配線層の体積抵抗率を測定したところ、いずれも1×10Ωcm未満であった。
【0454】
(実施例7)
1.導電性基材の作製
実施例6と同様の操作を行い、透明導電層を備える基材〔層構成:基材/透明導電層〕を得た。次いで、上記基材が備える透明導電層の面上に、銀インクXを、ウェット膜厚105μmとなるようにスピンコーターを用いて塗布し、塗布膜を形成した。形成した塗布膜を100℃で10分間乾燥させ、次いで、140℃で30分間焼成した。以上のようにして、導電性基材(層構成:基材/透明導電層/金属層)を作製した。
【0455】
2.積層体の作製
実施例1と同様の操作を行い、積層物を得た。
得られた積層物の仮支持体上に、ライン幅13μm及びスペース幅7μmのラインアンドスペースパターンと、それに接続された取り出し端子パターンと、を有するガラスマスクを密着させた後、積層物に対し、超高圧水銀灯〔型番:USH-2004MB、ウシオ電機(株)製〕を用いて露光を行った。
露光後1時間放置した後の積層物から仮支持体を剥離し、現像液として1.0質量%濃度の炭酸カリウム水溶液(液温:30℃)を用い、シャワー現像を30秒間行うことにより未硬化部分を除去し、レジストパターンを形成した。
現像後の積層物のレジストパターンが形成された側の面に対し、液温25℃の銀エッチング液〔商品名:Pure Etch AS128、林純薬工業(株)製〕をシャワーにより200秒間吹き付け、金属層をエッチング処理することで、金属配線層(金属種:Ag)を得た。
次いで、さらに現像後の積層物のレジストパターンが形成された側の面に対し、10質量%濃度の硫酸水溶液〔商品名:10%硫酸、富士フイルム和光純薬(株)製〕をシャワーにより40秒間吹き付け、レジストパターンが表面に存在しない部分の透明導電層をエッチング処理することで、透明配線層を得た。
上記エッチング処理後の積層物を、3質量%濃度の水酸化ナトリウム水溶液(液温:50℃)に70秒間浸漬させ、積層物に残存するレジストパターンを剥離し、実施例7の積層体を得た。
得られた実施例7の積層体を、光学顕微鏡を用いて観察したところ、基材上に透明配線層及び金属配線層がこの順に形成されており、透明配線層の両端部は、金属配線層の両端部から0.5μmずつ外側にあることを確認した。
【0456】
透明配線層の体積抵抗率及び金属配線層の体積抵抗率を測定したところ、いずれも1×10Ωcm未満であった。
【0457】
(実施例8)
1.導電性基材の作製
実施例6と同様の操作を行い、透明導電層を備える基材〔層構成:基材/透明導電層〕を得た。次いで、上記基材が備える透明導電層の面上に、銀インクXを、ウェット膜厚202μmとなるようにスピンコーターを用いて塗布し、塗布膜を形成した。形成した塗布膜を100℃で15分間乾燥させ、次いで、140℃で30分間焼成した。以上のようにして、導電性基材(層構成:基材/透明導電層/金属層)を作製した。
【0458】
2.積層体の作製
実施例1と同様の操作を行い、積層物を得た。
得られた積層物の仮支持体上に、ライン幅14μm及びスペース幅6μmのラインアンドスペースパターンと、それに接続された取り出し端子パターンと、を有するガラスマスクを密着させた後、積層物に対し、超高圧水銀灯〔型番:USH-2004MB、ウシオ電機(株)製〕を用いて露光を行った。
露光後1時間放置した後の積層物から仮支持体を剥離し、現像液として1.0質量%濃度の炭酸カリウム水溶液(液温:30℃)を用い、シャワー現像を30秒間行うことにより未硬化部分を除去し、レジストパターンを形成した。
現像後の積層物のレジストパターンが形成された側の面に対し、液温25℃の銀エッチング液〔商品名:Pure Etch AS128、林純薬工業(株)製〕をシャワーにより400秒間吹き付け、金属層をエッチング処理することで、金属配線層(金属種:Ag)を得た。
次いで、さらに現像後の積層物のレジストパターンが形成された側の面に対し、10質量%濃度の硫酸水溶液〔商品名:10%硫酸、富士フイルム和光純薬(株)製〕をシャワーにより50秒間吹き付け、レジストパターンが表面に存在しない部分の透明導電層をエッチング処理することで、透明配線層を得た。
上記エッチング処理後の積層物を、3質量%濃度の水酸化ナトリウム水溶液(液温:50℃)に70秒間浸漬させ、積層物に残存するレジストパターンを剥離し、実施例8の積層体を得た。
得られた実施例8の積層体を、光学顕微鏡を用いて観察したところ、基材上に透明配線層及び金属配線層がこの順に形成されており、透明配線層の両端部は、金属配線層の両端部から0.5μmずつ外側にあることを確認した。
【0459】
透明配線層の体積抵抗率及び金属配線層の体積抵抗率を測定したところ、いずれも1×10Ωcm未満であった。
【0460】
(実施例9)
1.導電性基材の作製
実施例6と同様の操作を行い、透明導電層を備える基材〔層構成:基材/透明導電層〕を得た。次いで、上記基材が備える透明導電層の面上に、銀インクXを、ウェット膜厚223μmとなるようにスピンコーターを用いて塗布し、塗布膜を形成した。形成した塗布膜を100℃で20分間乾燥させ、次いで、140℃で30分間焼成した。以上のようにして、導電性基材(層構成:基材/透明導電層/金属層)を作製した。
【0461】
2.積層体の作製
実施例1と同様の操作を行い、積層物を得た。
得られた積層物の仮支持体上に、ライン幅14.5μm及びスペース幅5.5μmのラインアンドスペースパターンと、それに接続された取り出し端子パターンと、を有するガラスマスクを密着させた後、積層物に対し、超高圧水銀灯〔型番:USH-2004MB、ウシオ電機(株)製〕を用いて露光を行った。
露光後1時間放置した後の積層物から仮支持体を剥離し、現像液として1.0質量%濃度の炭酸カリウム水溶液(液温:30℃)を用い、シャワー現像を30秒間行うことにより未硬化部分を除去し、レジストパターンを形成した。
現像後の積層物のレジストパターンが形成された側の面に対し、液温25℃の銀エッチング液〔商品名:Pure Etch AS128、林純薬工業(株)製〕をシャワーにより450秒間吹き付け、金属層をエッチング処理することで、金属配線層(金属種:Ag)を得た。
次いで、さらに現像後の積層物のレジストパターンが形成された側の面に対し、10質量%濃度の硫酸水溶液〔商品名:10%硫酸、富士フイルム和光純薬(株)製〕をシャワーにより55秒間吹き付け、レジストパターンが表面に存在しない部分の透明導電層をエッチング処理することで、透明配線層を得た。
上記エッチング処理後の積層物を、3質量%濃度の水酸化ナトリウム水溶液(液温:50℃)に70秒間浸漬させ、積層物に残存するレジストパターンを剥離し、実施例9の積層体を得た。
得られた実施例9の積層体を、光学顕微鏡を用いて観察したところ、基材上に透明配線層及び金属配線層がこの順に形成されており、透明配線層の両端部は、金属配線層の両端部から0.5μmずつ外側にあることを確認した。
【0462】
透明配線層の体積抵抗率及び金属配線層の体積抵抗率を測定したところ、いずれも1×10Ωcm未満であった。
【0463】
(比較例1)
1.導電性基材の作製
実施例1と同様の操作を行い、導電性基材(層構成:基材/透明導電層/金属層)を作製した。
【0464】
2.積層体の作製
実施例1と同様の操作を行い、積層物を得た。
得られた積層物の仮支持体上に、ライン幅12μm及びスペース幅8μmのラインアンドスペースパターンと、それに接続された取り出し端子パターンと、を有するガラスマスクを密着させた後、積層物に対し、超高圧水銀灯〔型番:USH-2004MB、ウシオ電機(株)製〕を用いて露光を行った。
露光後1時間放置した後の積層物から仮支持体を剥離し、現像液として1.0質量%濃度の炭酸カリウム水溶液(液温:30℃)を用い、シャワー現像を30秒間行うことにより未硬化部分を除去し、レジストパターンを形成した。
現像後の積層物のレジストパターンが形成された側の面に対し、液温25℃の銅エッチング液〔商品名:Cu-02、関東化学(株)製〕をシャワーにより90秒間吹き付け、金属層をエッチング処理することで、金属配線層(金属種:Cu)を得た。
次いで、さらに現像後の積層物のレジストパターンが形成された側の面に対し、30質量%濃度の硝酸第二鉄水溶液(液温:45℃、pH:0.6)をシャワーにより90秒間吹き付け、レジストパターンが表面に存在しない部分の透明導電層をエッチング処理することで、透明配線層を得た。
上記エッチング処理後の積層物を、3質量%濃度の水酸化ナトリウム水溶液(液温:50℃)に70秒間浸漬させ、積層物に残存するレジストパターンを剥離し、比較例1の積層体を得た。
得られた比較例1の積層体を、光学顕微鏡を用いて観察したところ、基材上に透明配線層及び金属配線層がこの順に形成されており、透明配線層の両端部が金属配線層の両端部と一致していることを確認した。
【0465】
(比較例2)
1.導電性基材の作製
実施例6と同様の操作を行い、導電性基材(層構成:基材/透明導電層/金属層)を作製した。
【0466】
2.積層体の作製
実施例1と同様の操作を行い、積層物を得た。
得られた積層物の仮支持体上に、ライン幅12μm及びスペース幅8μmのラインアンドスペースパターンと、それに接続された取り出し端子パターンと、を有するガラスマスクを密着させた後、積層物に対し、超高圧水銀灯〔型番:USH-2004MB、ウシオ電機(株)製〕を用いて露光を行った。
露光後1時間放置した後の積層物から仮支持体を剥離し、現像液として1.0質量%濃度の炭酸カリウム水溶液(液温:30℃)を用い、シャワー現像を30秒間行うことにより未硬化部分を除去し、レジストパターンを形成した。
現像後の積層物のレジストパターンが形成された側の面に対し、液温25℃の銀エッチング液〔商品名:Pure Etch AS128、林純薬工業(株)製〕をシャワーにより90秒間吹き付け、金属層をエッチング処理することで、金属配線層(金属種:Ag)を得た。
次いで、さらに現像後の積層物のレジストパターンが形成された側の面に対し、10質量%濃度の硫酸水溶液〔商品名:10%硫酸、富士フイルム和光純薬(株)製〕をシャワーにより50秒間吹き付け、レジストパターンが表面に存在しない部分の透明導電層をエッチング処理することで、透明配線層を得た。
上記エッチング処理後の積層物を、3質量%濃度の水酸化ナトリウム水溶液(液温:50℃)に70秒間浸漬させ、積層物に残存するレジストパターンを剥離し、比較例2の積層体を得た。
得られた比較例2の積層体を、光学顕微鏡を用いて観察したところ、基材上に透明配線層及び金属配線層がこの順に形成されており、透明配線層の両端部が金属配線層の両端部と一致していることを確認した。
【0467】
(比較例3)
1.導電性基材の作製
実施例1と同様の操作を行い、導電性基材(層構成:基材/透明導電層/金属層)を作製した。
【0468】
2.積層体の作製
実施例1と同様の操作を行い、積層物を得た。
得られた積層物の仮支持体上に、ライン幅17μm及びスペース幅3μmのラインアンドスペースパターンと、それに接続された取り出し端子パターンと、を有するガラスマスクを密着させた後、積層物に対し、超高圧水銀灯〔型番:USH-2004MB、ウシオ電機(株)製〕を用いて露光を行った。
露光後1時間放置した後の積層物から仮支持体を剥離し、現像液として1.0質量%濃度の炭酸カリウム水溶液(液温:30℃)を用い、シャワー現像を30秒間行うことにより未硬化部分を除去し、レジストパターンを形成した。
現像後の積層物のレジストパターンが形成された側の面に対し、液温25℃の銅エッチング液〔商品名:Cu-02、関東化学(株)製〕をシャワーにより200秒間吹き付け、金属層をエッチング処理することで、金属配線層(金属種:Cu)を得た。
次いで、さらに現像後の積層物のレジストパターンが形成された側の面に対し、30質量%濃度の硝酸第二鉄水溶液(液温:45℃、pH:0.6)をシャワーにより30秒間吹き付け、レジストパターンが表面に存在しない部分の透明導電層をエッチング処理することで、透明配線層を得た。
上記エッチング処理後の積層物を、3質量%濃度の水酸化ナトリウム水溶液(液温:50℃)に70秒間浸漬させ、積層物に残存するレジストパターンを剥離し、比較例3の積層体を得た。
得られた比較例3の積層体を、光学顕微鏡を用いて観察したところ、基材上に透明配線層及び金属配線層がこの順に形成されており、透明配線層の両端部は、金属配線層の両端部から3.5μmずつ外側にあることを確認した。
【0469】
[測定]
〔金属配線層の幅R1〕
実施例1~9及び比較例1~3の各積層体について、金属配線層の幅R1を求めた。
積層体を、ウルトラミクロトームを用いて切断することにより、ラインアンドスペースの配線パターンの断面を作製した。作製に際しては、断面がパターンの長手方向に対して略垂直となるように積層体を切断した。次いで、断面を、日本電子(株)製の走査型電子顕微鏡(SEM、型番:JSM-7200F)を用いて加速電圧5kVの条件で観察し、断面において金属配線層のパターンの厚み方向の中央部における幅を測定した。上記の作製及び測定を5回繰り返し(換言すると、断面を5個作製し、各断面において金属配線層のパターンの厚み方向の中央部における幅を測定し)、得られた5個の測定値を算術平均することにより、金属配線層の幅R1を求めた。結果を表1に示す。
【0470】
〔透明配線層の幅R2〕
実施例1~9及び比較例1~3の各積層体について、透明配線層の幅R2を求めた。
積層体を、ウルトラミクロトームを用いて切断することにより、ラインアンドスペースの配線パターンの断面を作製した。作製に際しては、断面がパターンの長手方向に対して略垂直となるように積層体を切断した。次いで、断面を、日本電子(株)製の走査型電子顕微鏡(SEM、型番:JSM-7200F)を用いて加速電圧5kVの条件で観察し、断面において透明配線層のパターンの厚み方向の中央部における幅を測定した。上記の作製及び測定を5回繰り返し(換言すると、断面を5個作製し、各断面において透明配線層のパターンの厚み方向の中央部における幅を測定し)、得られた5個の測定値を算術平均することにより、透明配線層の幅R2を求めた。結果を表1に示す。
【0471】
〔金属配線層の厚さR3〕
実施例1~9及び比較例1~3の各積層体について、金属配線層の厚さR3を求めた。
積層体を、ウルトラミクロトームを用いて切断することにより、ラインアンドスペースの配線パターンの断面を作製した。作製に際しては、断面がパターンの長手方向に対して略垂直となるように積層体を切断した。次いで、断面を、日本電子(株)製の走査型電子顕微鏡(SEM、型番:JSM-7200F)を用いて加速電圧5kVの条件で観察し、断面において金属配線層のパターンの幅方向の中央部における厚さを測定した。上記の作製及び測定を5回繰り返し(換言すると、断面を5個作製し、各断面において金属配線層のパターンの幅方向の中央部における厚さを測定し)、得られた5個の測定値を算術平均することにより、金属配線層の厚さR3を求めた。結果を表1に示す。
【0472】
〔透明配線層の厚さ〕
実施例1~9及び比較例1~3の各積層体について、透明配線層の厚さを求めた。
積層体を、ウルトラミクロトームを用いて切断することにより、ラインアンドスペースの配線パターンの100nm厚の切片を作製した。作製に際しては、断面がパターンの長手方向に対して略垂直となるように積層体を切断した。次いで、断面を、日立ハイテク(株)製の透過型電子顕微鏡(型番:FHT7700)を用いて加速電圧100kVの条件で観察し、断面において透明配線層のパターンの幅方向の中央部における厚さを測定した。上記の作製及び測定を5回繰り返し(換言すると、断面を5個作製し、各断面において透明配線層のパターンの幅方向の中央部における厚さを測定し)、得られた5個の測定値を算術平均することにより、透明配線層の厚さを求めた。結果を表1に示す。
【0473】
〔透明配線層のパターン間の距離〕
実施例1~9及び比較例1~3の各積層体について、透明配線層のパターン間の距離を求めた。
積層体を、ウルトラミクロトームを用いて切断することにより、ラインアンドスペースの配線パターンの断面を作製した。作製に際しては、断面がパターンの長手方向に対して略垂直となるように積層体を切断した。次いで、断面を、日本電子(株)製の走査型電子顕微鏡(SEM、型番:JSM-7200F)を用いて加速電圧5kVの条件で観察し、隣接する透明配線層の間の距離を測定した。上記の作製及び測定を5回繰り返し(換言すると、断面を5個作製し、各断面において隣接する透明配線層の端部間の最短距離を測定し)、得られた5個の測定値を算術平均することにより、透明配線層のパターン間の距離を求めた。結果を表1に示す。
【0474】
[評価]
実施例1~9及び比較例1~3の各積層体について、以下の評価を行った。
【0475】
1.ラミネート適性
積層体にOCA(Optical Clear Adhesive)フィルム〔型番:8215、スリーエムジャパン(株)〕をロール温度50℃、線圧0.2MPa、線速度1.0m/分のラミネート条件で貼り合わせ、評価用サンプルとした。
貼り合わせ直後の評価用サンプル、雰囲気温度25℃及び55%RHの環境下に30分間放置した後(以下、「貼り合わせ経時後」ともいう。)の評価用サンプル、及び、加熱温度を50℃に設定したコンベクションオーブン内にて30分間放置した後(以下、「加熱後」ともいう。)の評価用サンプルについて、倍率50倍の光学顕微鏡を用いた観察を行い、下記の評価基準に従い、評価を行った。結果を表1に示す。
配線基板としては、「3」、「4」又は「5」が好ましく、「4」又は「5」がより好ましく、「5」が特に好ましい。
【0476】
-評価基準-
5:貼り合わせ直後からOCAフィルムと積層体の配線パターンとの間の泡がない。
4:貼り合わせ直後には、OCAフィルムと積層体の配線パターンとの間に微少に泡が存在するが、貼り合わせ経時後には消える。
3:貼り合わせ経時後には、OCAフィルムと積層体の配線パターンとの間に微少に泡が存在するが、加熱後には消える。
2:加熱後にOCAフィルムと積層体の配線パターンとの間に微少に泡が存在する。
1:加熱後にOCAフィルムと積層体の配線パターンとの間に粗大な泡が存在する。
【0477】
2.マイグレーションの発生抑制
マイグレーションの発生が抑制されているか否かは、通電前後における配線パターンの寸法変化の程度に基づいて評価した。
配線パターンの端子部に電極を接続した積層体を、槽内温度85℃、槽内湿度85%RHの恒温槽内に設置して、直流(DC)5Vの電圧を50時間印加した。印加後、配線パターンにおける透明配線層の幅を、倍率500倍の光学顕微鏡を用いて測定し、印加前と比較した透明配線層の幅の変化率(以下、「幅変化率」ともいう。)を求め、下記の評価基準に従い、評価を行った。結果を表1に示す。
幅変化率が小さいほど、マイグレーションの発生が抑制されていることを意味する。
配線基板としては、「3」、「4」又は「5」が好ましく、「4」又は「5」がより好ましく、「5」が特に好ましい。
【0478】
-評価基準-
5:幅変化率<10%
4:10%≦幅変化率<15%
3:15%≦幅変化率<20%
2:20%≦幅変化率<25%
1:25%≦幅変化率
【0479】
【表1】
【0480】
表1に示すように、実施例の積層体は、ラミネート適性に優れ、かつ、マイグレーションの発生が抑制された積層体であることが確認された。
一方、比較例の積層体では、優れたラミネート適性とマイグレーションの発生抑制とを両立できないことが確認された。
【符号の説明】
【0481】
100:積層体、30:基材、40:透明配線層、50:金属配線層、60:配線部、R1:金属配線層の幅、R2:透明配線層の幅、GR:遮光部(非画像部)、EX:露光部(画像部)、DL:アライメント合わせの枠
図1
図2
図3